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しあわせの花(ハヤヒナ)【次スレ継続中】
日時: 2011/09/22 23:00
名前: ロッキー・ラックーン
参照: http://soukensi.net/perch/hayate/subnovel/read.cgi

こんにちは、ロッキー・ラックーンと申します。
初めて続きモノに挑戦します。
お付き合い頂ければ嬉しいです。


テーマは「ヒナに恋しちゃって仕方ないハヤテ」です。

ご感想頂けると、非常に励みになります。
それではよろしくお願いします。


※追記(2012/10/25)
残念ながらひなたのゆめサイト様が消滅しましたが、双剣士様の大変なご苦労により再度ココでお話を作らせて頂く事にしました。
感謝してもし尽くせない喜びを胸に、投稿をさせて頂く所存ですので皆様どうぞよろしくお願いします。




【もくじ】
リンククリックで対象の話に進みます。

>>1  第1話【傘ひとつ 人ふたり】

>>5  第2話【触れ合う手と手(朝っぱらから)】

>>10 第3話【家に帰って片付けが全部済むまで遠足は終わらないと思う】

>>15 第4話【花言葉 -I miss you-】

>>20 第5話【「ハヤテ!」での金髪+幼女の回答例は2通りある】

>>25
第4.5話オモテ【京アニがアニメ化とかしてる方の日常】
第4.5話ウラ【想い断ちがたく、初恋なりがたし】

>>30 第6話【 Steppin' 】

>>39 第7話【愛と情熱のカルナバル】



ヒナ編 -Heart of Daisy-

>>42 第1話【 Output 】

>>47 第2話【母と子と】

>>50 第3話【 He loves you 】

>>72
第4話【 Spring will come!! 】
その@『決心』
そのA『 Do my Best! 』

>>73
第5話【 Spring will come!! 】
そのB『あしたのわたし』

>>79
第6話【 Spring will come!! 】
そのC『 Tiny Star 』

>>80 第7話【 Heart of Flower 】
※ヒナ編最終回


アフターストーリー(カップル成立後)

第1話
>>53 その@【グッドモーニング3人娘。】
>>57 そのA【生徒総会の一存】
>>62 そのB【かつらけ おとまり】
>>66 そのC【俗・先生さよなら絶望】
>>69 そのD【Heart to Heart】※暫定最終回

第2話
>>85 その@【 カポーンって擬音は誰が考えたんだろう? スゲーよね Mk-2 】
>>85 そのA【 ハヤテの部屋 〜湯けむり編〜 】
>>91 そのB【 満月の夜、いい湯だね 】
>>94 そのC【 Get Back 】
>>97 そのD【 sotto voce 】


次スレ(現在更新中)
しあわせの花 Cuties
http://soukensi.net/perch/hayate/subnovel/read.cgi?no=339
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Re: しあわせの花 ( No.1 )
日時: 2011/09/22 23:02
名前: ロッキー・ラックーン

「幸福」
そんな花言葉を持った花があります。

その花にかかれば、きっとこの僕にも…





     第1話【傘ひとつ 人ふたり】



その日の空は、僕の主の様に気まぐれだった。


…と、カッコつけてみたものの、雨水の滴る借金1億5千万円の執事がノート片手に呆けているという事実は変わらない。

こんにちは、綾崎ハヤテです。
カンのいい読者様ならもうお分かりでしょうが、今のこの状況を説明させて頂くと…


下校・帰宅

お嬢様が忘れ物(マンガ練習ノート)に気付く

学校に取りに行く(一人手ぶらで)

帰り道、突然の雨

学院敷地内の東屋(あずまや:屋外にある屋根付きの簡単な建物です。公園とかによくあるアレ。)に避難←今ココ


といった具合で非常に困っている所です。
お嬢様のノートも濡れてしまってフニャフニャ。これは覚悟して帰らないとな…

しかし帰るにしても、もう少し雨足が弱まらないとちょっとキツい。
男独りでただ雨宿りしているだけでは退屈させてしまいましょう。
ここで一つ、雨の日の思い出話でも。

それは僕が小学1年生のとき…「ハヤテ君?」

「うひっ!!?」


思い出に浸っていた所に急な一声。
自分の世界から引き戻された僕は驚いて、奇声と共に跳びあがった。


「な、何よ変な声出して…」

「あ、ヒナギクさんでしたか…。スミマセン、急に声をかけられて驚いたもので」


声の主は、才色兼備で文武両道の完璧超人・白皇学院生徒会長・剣道部部長…
と、特長や肩書きを出したら枚挙にいとまが無いアパートの隣人。皆様ご存知、桂ヒナギクさん。
もう部活をしてる生徒も大半が帰ってしまった時間帯に一人。恐らく、生徒会の居残り業務だったのだろう。


「あ…ビックリさせてゴメンね。そんな事より、その格好…」

「いや〜、お嬢様の忘れ物を取りに来たら、降られちゃって…」


流石というべきか、今朝は雲ひとつ無い青空だったにも関わらず、ヒナギクさんは大きめの傘を差している。
びしょ濡れボディを指差され、いささか恥ずかしい。


「風邪引いたら大変ね。ちょっと待ってて…ハイ、これで頭拭いて」


と、東屋に入ってきて差し出してくれたのは薄いピンクのスポーツタオル。


「えええ!?いいですよ、申し訳ない…」

「何言ってるの!ハヤテ君が風邪引いたら、一緒に住んでる私たちにまで伝染っちゃうじゃない。
それに…洗ってあるやつだから、大丈夫よ…?」

「あわわわ…そんなつもりは全然!!」


一度断ってしまった事で、要らんことにまで気遣わせてしまった。
人の厚意は素直に受け取らないといけないな…


「…では、スミマセン。お借りします」

「うん」


一通り身体を拭き終えたら、タオルは絞れるほどに水分を含んでいた。


「スミマセン、せっかくのタオルが…」

「こーゆー時のために使うものでしょ?さ、身体冷やしちゃう前に早く帰って温まりましょう。」

「えっ…?」


と、彼女はごくごく自然に僕を傘に入れて歩き出す。
いわゆるひとつの「あいあい傘」の状態だ。
これはいけない…


「そ、そんな!悪いですよ…」

「じゃあ何?私に同じアパートの住人をずぶ濡れのままほったらかして帰れって言うの?それは無理な申し出ね」

「う"っ…」


笑顔で言い放つヒナギクさんに、何も言い返せない。
というか、逆の立場になってみれば確かにこの状態で帰るのは気が引ける。


「ってワケで、しばらく私と『あいあい傘』だけど、ゴメンね…」

「いえいえいえいえ、ヒナギクさんが謝る必要なんてひとっっっつも無いですよ!!
ていうかヒナギクさんとなら誰だって嬉しいですし…ていうか謝るのは僕の方ですし…」

「クスッ…冗談よ。じゃあ帰りましょう?」


明らかにテンパっている僕に笑うヒナギクさん。
これじゃいけないと思って、一呼吸つく。
少し冷静になって彼女を見てみると、これまた自分の情けなさに気付く。
でも、これは自分の一声で変えられる…


「では、ヒナギクさん」

「ん?」


声をかけると同時に、彼女の右手からは傘を、左手からは鞄を丁寧に取る。
そう、僕は手ぶら(一応ノートは持ってるが)でヒナギクさんの傘に入れてもらっていたのだ。
コレは情けない…


「コレくらいはさせて下さい」

「…ありがと」


彼女も僕の男心を察してくれたのか、何も言い返さずにお礼の言葉ひとつ。
というか、お礼の言葉すら要らないのに…

それからの帰り道は、とても楽しかった。
会話の内容がどうだったとかいう訳ではなく、普段は取ることの出来ない近い距離だとか、僕の何気ない話に対しての仕草だとか、僕だけに発せられている美声だとか、改めて非現実的なまでに美しいと思う顔の造形だとか…ヒナギクさんとの時間・空間が楽しかったのだ。
そんな楽しい時間は矢のように過ぎていき…


「さ、着いたわね。寒くない?」

「はい。ホント、何から何までスミマぷっ…」


急に口を指で押さえられる。


「ハヤテ君、今日は『スミマセン』しか言ってない…困った時はお互い様よ。だから私にはその言葉は要らない。…助けてもらったら『ありがとう』でいいじゃない?私たち…………友達でしょ?」


確かに!!!ここまで読み返してみたら、僕はヒナギクさんに謝ってばかりじゃないか…
彼女の数々の行為に対してふさわしい言葉を僕はまだ言っていなかった。


「そうですね、スミマ…おっと。ありがとうございます、ヒナギクさん」

「うん、どういたしまして!!」


その言葉と笑顔に、思わず胸が温かくなった。
また一つ、この人から学ばせてもらった。


「ところで…」

「?」

「さっき『誰だって嬉しい』って言ってたけど、ハヤテ君は私と『あいあい傘』して、嬉しかったかしら?」

「え"っ…?」


急な質問に、頭が真っ白になる。
先程自分が言った言葉と、質問の意味を理解して、今度は顔が真っ赤になる。


「そそそ、そんな!えーーと…ハイ、嬉しかったです!!」


なんともバカみたいな返答。
「穴があったら入りたい」とは、この事だ。
しかし、きっとこれに対してヒナギクさんは大人びた笑顔で流してくれるだろうと思っていたら…


「天王州さんとするよりも?」

「えっ…?」


先程以上に予想外の質問に、面食らってしまう。


「クスッ、冗談よ。じゃあ、お風呂の用意するから待っててね」

「ヒナ…」


名前を言い終わる前に去ってしまった。
というか、ホントに何から何までお世話になりっぱなしだ。


「お待たせ!お風呂、マリアさんが用意してくれてて、もう入れるって。ハヤテ君が雨の中手ぶらだったのを知ってたみたい。流石ね…」

「そうですか、ありがたい限りです」

「じゃあ、風邪引かないように気をつけてね。鞄持ってくれてありがとう」

「いえいえそんな!こちらこそ何から何までありがとうございました!!」


先程までとは少し距離の離れたその笑顔が印象的だった。






カポーン
とても心地の良い湯船の中。雨で冷えた身体が芯から温まる。


(「天王州さんとするよりも?」)


ヒナギクさんは冗談と言っていたが、僕にとってはあまりに強烈なインパクトの質問だった。
何度も何度もあの声が脳内再生される。


「アーたんよりも…かぁ」


アーたんと『あいあい傘』をする場面を想像…
しようとしたら、先程まで自分のすぐ左隣にあった温もりの記憶がそれを遮った。
僕は気にする事も無く、その温かな記憶に身を委ねて目を瞑った。

今日は良い日だったな〜
と、眠る前までずっと今日の記憶が頭で何度も再生されたのだった。



------------------------


ちなみに…



「お嬢様、申し訳ありません!!ノートなのですが…」

「あぁ、大丈夫だ。アレには私の黒歴史の遺産が詰まっていたから、どう処理しようか考えていたのだが…びしょ濡れにしてくれたから迷う手間が省けたというモンだ!」


お仕事に関しては、お咎めナシでした。
と言っても、結果オーライですが…


「それよりハヤテ!私の出番はココだけなのか!?」

「え"…そ、そーみたいですね」

「ぐぬぬ…そんなにヒナギクがいいのか!?胸の大きさなら私と似たようなものじゃないか!!」

「お、お嬢様!!それ以上の発言は命の危険が…あ、皆様お読み頂きありがとうございました!」

「コラ、ハヤテ〜!!あ、みんな次回は『メインヒロイン』の私の大活躍に期待してるといいぞ!!」


次回第2話【みんなもマスター!ナギナギ体操(第2)】(ウソ)


つづく


------------------------


いつぞやにあいあい傘モノの一話完結を書きましたが、そのハヤテバージョンといった形です。
まだ彼の中での「好きな人」の対象はアーたんです。
ここからどんどんヒナに刺激して貰おうと思ってます。


ヒナの「友達でしょ?」の前の間はたーっぷりと取って読んで頂けると幸いです。


冒頭のハヤテの小1の時の話は、伏線にしようか迷ってる段階です。
つまりはテキトーです。


ナギナギ体操は、アニメ1期での遊園地(ナギナギランド)でのネタです。
アニメ1期ももう4年も前の話なんですね。時の流れは恐ろしい・・・


お読み頂きありがとうございました。
それではまた。

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Re: しあわせの花(ハ ( No.2 )
日時: 2011/09/23 02:20
名前: ムジョー

こんちわそして初めまして

映画の出来はよかったけど、
買うにはあたいせん
とか考えるムジョーです 


ええ、もえましたよ悪いか?
わるイカ?

家族(姉)から「ぜったいれいどのめせん」(必ず死亡)

をくらいながら、ニヤニヤしてましたよ?わるイカ?
なんてバカはおいといて、感そーいきまーす

きゃわいかったなあひなさん
属性ツンデレのデレがやっときたってかんじですね。
ヒナギクらしさをだしつつ、そこにデレを加えると、

ムッツ○ーニのように鼻血がでます
でましたよ、ええ、悪いか?
わるイカ?え?わるイカ?

なんてことをせず次へ、、、
セリフで場面が想像できるむじが異常なんでしょうか?
いいえ違いますラッキーさんがうますぎるんです

ってぐらいうまかったです。
ええ、ハヤテを殺すなんて、三十かいも考えてませんよええ、

〇〇〇に〇〇〇して〇〇〇〇〇なんて考えてませんよ

では最後に、、、
これからもあまあまな小説、かんばってください!  
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Re: しあわせの花(ハヤヒナ) ( No.3 )
日時: 2011/09/23 10:46
名前: こよーて

はじめまして、こよーていいます
いや〜ヒナ好きにはたまんない話ですね。
しかもテーマからするとハヤテが攻めてくるんでしょうか?
なにやら余裕の感じられるヒナギクさんも初期ぽくて良い感じです。
では、応援してます。がんばってください。
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Re: しあわせの花(ハヤヒナ) ( No.4 )
日時: 2011/09/23 19:06
名前: ロッキー・ラックーン

ご感想ありがとうございます。



>ムジョーさん

初めまして、こんにちは。
イカ娘可愛いですよね。笑

ハヤテに惚れさせるのに、ヒナのツンは非常に厄介な存在なんですよ。
いずれ物語の核心になるかもしれない(アバウトですが)ので、あまり深くは語りませんが・・・

セリフはかなり気を遣ってるつもりです。
それはもう書いてるコッチがハヤテを呪ってやりたい位です。笑

適度に頑張りますので、次回もどうぞ見てやって下さい。



>こよーてさん

初めまして、こんにちは。
攻めるハヤテというよりは、ヒナの魅力に攻められるハヤテを書ければと考えています。
ですので、とにかくヒナを魅力的に文章に出来るかというのがキモになってくると思いますので、温かく見て頂けると幸いです。

余裕の感じられるヒナは、物語の核心となります。
終始こんな感じのヒナとなると思います。

応援ありがとうございます!



現在鋭意製作中ですので、しばらくお待ちください。
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第2話 ( No.5 )
日時: 2011/09/30 22:58
名前: ロッキー・ラックーン

こんにちは、ロッキー・ラックーンです。
約1週間ぶりの更新です。
更新頻度は高くないですが、物語はしっかり終わらせるつもりですのでお付き合い頂けると嬉しいです。
それでは第2話、どーぞ。



------------------------


     第2話?【みんなもマスター?ナギナギ体操だぞ!!】



「起きろー!ハヤテ!!朝だぞーー!!!」

「う"〜ん…お嬢様れすかぁ〜…?」


珍しく(いや、初めてか?)元気の良い主人の声で起こされた僕は、未だに夢うつつ。
もうあと5分…そんなワガママも虚しく、小さな手でわしゃわしゃと頭をかき回され、叩き起こされる。


「お嬢様が僕より早起きだなんて、珍しいですね〜」

「そうだ、私は生まれ変わったのだ!!怠惰な生活を改め、お前やマリアに余計な世話をかけない事を決心したのだ!!」

「お…お嬢様…」


ついにこんな日が来るとは…
感動で朝から涙腺が緩む。


「では、一日の始まりはおめざのナギナギ体操からだ!庭に出るぞ、ハヤテ!!」

「え?」


ナギナギ体操?なんじゃそりゃ?


「ほら、早く行くぞ!」

「…はい、お嬢様」


庭に出てみると…


「おはようございます、ハヤテ君」

「マリアさん、おはようございます。マリアさんも…?」

「あらやだ、ハヤテ君ったら。朝の体操といったらナギナギ体操でしょう?」


マリアさん!!?
貴女まで何言ってるんですか?


「ハヤテ、朝のナギナギ体操に遅れるなんて…気が緩んでるのではなくて?」

「アーたん!?」


アーたん(小さいほうです)までこんな朝早くに!?
ていうか、今の今までそんな体操聞いた事も無いぞ…


「ハヤテ君、おはよう!」

「ひ、ヒナギクさん!!」


助かった…この人なら僕の疑問に的確に答えてくれるはず!!


「あの…このナギナギ体操って…?」

「あら、ハヤテ君…昨日あんなに『朝はナギナギ体操じゃないともう仕事しない』って駄々こねてたのに…ヒナヒナ体操の何が気に入らなかったっていうの?」

「げ、ヒナギクさんまで…」


もう僕の味方はいないのか!?ていうか、「ヒナヒナ体操」も気になるぞ…


「ハヤテ、私語は慎め!!ミスしたらクビだぞ…では、ミュージックスタートだ!!」

「なんで体操ミスるだけでクビなんですかーーーーー!?」









・・・

「うわぁぁぁああ!!」

バサッ


そこには、寝巻き姿の借金1億5千万男が一人、布団から起き上がっていた。

…ですよねー、夢オチですよねー。しょーもない夢見ちゃってスミマセン。
では改めてタイトルからどうぞ。





     第2話【触れ合う手と手(朝っぱらから)】



「う"〜ん…晴れた晴れた」

庭に出て深呼吸、ひときわ大きく身体を伸ばす。
昨日の雨から一転、雲ひとつ無い空には顔を出したばかりの朝日が綺麗に輝いている。

さて、今日も一日頑張りますか!!

まずは庭の掃き掃除…
と思ったら、その庭には葉っぱひとつ落ちてない。

ならば廊下の雑巾がけだ…
と思ったら、その廊下にはチリひとつ落ちてない。

しからばトイレ掃除だコノヤロウ…
と思ったら、そのトイレにはフローラルな香りが漂いピカピカに仕上がっている。
もちろんペーパーの端は三角にされている。

ええい、それじゃあ朝食の用意だ…
と思いキッチンに向かうと、近づくにつれて良い香りが鼻をくすぶってくる。
こんな事を僕が起きる前にしてしまう住人はただ一人。


「おはようございます、マリアさん」

「あらハヤテ君、おはようございます」

「今日は一段とお早いですね」

「ええ。ちょっと早く目が覚めちゃったんですが、朝の空気がとっても気持ち良かったので張り切っちゃいました!」


やはり、あれらの仕事は全てマリアさんによるものだった。
「ちょっと早く」って…いったい何時起きですか?


「今日の朝の仕事は全部私がやりますので、ハヤテ君は朝食まで自由にしてて下さい。そうだ、朝の散歩でもしてきたらどうですか?きっと気持ちが良いですよ」

「え、そんな…」

「今日は私がやりたいんです。美味しい朝食作っておきますので、しっかりお腹を空かしてきて下さい!」

「スミマ…いえ、ありがとうございます、マリアさん。では、お言葉に甘えまして行ってきます!!」

「は〜い、お気をつけて!」


早速、昨日の教訓を活かす事が出来たと思う。
「ありがとう」だと、会話を笑顔で締められるんだと気付いた。

外へ出ようと扉を開けると、庭には鮮やかな桃色の髪が揺れていた。


「おはようございます、ヒナギクさん」

「あらハヤテ君、おはよう!い〜い天気ね!!」


朝の太陽に負けんばかりの眩しい笑顔。皆様ご存知、桂ヒナギクさん。
落ち着いた色のジャージと鮮やかな髪とのコントラストがとても新鮮だ。
ちなみに僕はというと…もちろんいつもの執事服。


「これからいつものランニングですか?ご精が出ますね!」

「うん。ハヤテ君はどうしたの?いつもならお掃除してる位の時間だけど…」


そう。僕たちが早朝に庭で会うのはほぼ日課となっている。
今日に限って僕の事情がいつもと違うという訳なのだ。


「ええ。今日は何もかもマリアさんがやって下さって、お時間を頂きまして…ちょっと散歩にでもと思いまして」

「そうなんだ…すごいわね、マリアさん」

「ええ、とても…」


世間話も早々に、ヒナギクさんの出発を見送ってから自分も出ようと思い、準備運動をしている姿を見守っていた。
が、なかなか彼女は出発をしようとしない。
特に訳も無いだろうと思いつつも見守り続けていたら…


「ねえ、ハヤテ君…」

「はい?」

「散歩なら、私も…一緒に行っても良いかしら?」


予想外の頼みごと。
僕としては何の問題も無い、嬉しいだけのものだが…
ヒナギクさんの日課の邪魔にならないだろうか?


「もちろんですが…僕に気を遣って言って下さっているなら、全然大丈夫ですよ。ヒナギクさんのランニングの方が大事ですから…」

「つまりはOKなのね?ありがと!!…じゃあ、行きましょっ!」


眩しい笑顔で華麗にスルー。
と同時にその白い右手が僕の左手を掴み、足早にムラサキノヤカタを後にする。


「ちょっ、ヒナギクさん」

「こんな気持ちの良い朝だもの。1秒たりとも無駄にしたくはないわ」

「そうじゃなくて!あの…手が…」


そう、僕たちの手は繋がれた状態になっている。
僕は照れてしまい、「手がどうなっているのか」を言えずにいた。
僕の言葉に彼女はハッと気付き、歩を止めて手を離す。


「あ!ゴメンね…嫌だった?」

「そそそそんな!嫌だっただなんて!!ぜぜ全然!!」


またテンパッた。が、今度は「穴があったら入りたい」よりも思うことがあった。

そうだ。むしろ手を繋いでる事にヒナギクさんが気付いて、嫌な思いをされるのが怖かった。
高い所で怖がっていた時に手を差し伸べた事はあったが、正直なところ自信は無かった。
彼女が怖がっている時になって、初めて僕に手を出す資格が出るのだという認識があったのだ。
この後の彼女の言葉が怖い。


「クスッ…このやり取り、昨日と同じ…」

「!!」


お互い目を合わせ、しばらくの間。
自分の昨日のあまりにも恥ずかしい回答を思い出して赤面する。


「……スミマセン」

「え〜。昨日のハヤテ君、とっても可愛かったのに〜…フフッ…」


ともあれ良かった。嫌悪されている訳ではなさそうだ。
と分かると、昨日からやたらとヒナギクさんのペースに乗せられて少しばかり悔しい。
ちょっと大胆な行動で慌てさせてやりたい。


「じゃ、じゃあヒナギクさん!改めて…」


と、自分の左手を差し出す。
きっと、赤面しながら手を弾くに違いな「うん、ありがとっ!」

って、えーーーーーー!?


改めて繋がれた、僕とヒナギクさんの手。
今さら「冗談のつもりでした」と言う事も出来ず、散歩は再開される。
先程とは違い、触れる手に感覚が集中してしまう。

手に集中していたせいか、さっきは感じる事の無かった違和感を覚えた。
この違和感の原因が何なのか追求すべく、失礼ながら掌を少しさする様に動かし、触覚をさらに刺激する。


「あっ…」


思わず声が出てしまった。
ヒナギクさんの掌は想像とは違い、少し硬かったのだ。
というのも、指の付け根にマメが出来ていたからだ。

きっと竹刀を振り続けて出来てしまったものだろう。
以前、生徒会の会議で疲れたと言っていた日の深夜に素振りをしてたのを見た事がある。


「やっぱり…私の手…女のくせにマメだらけで硬いよね?…ホントに嫌じゃない?」


前の質問の時とは明らかに違った空気。
きっと僕が違和感を覚えたのを察知されたのだろう。(「あっ」とか言っておいてこんな言い方もどうかと思うが)
毎日毎日真面目に剣道に取り組む彼女を想像すると、「違和感」と感じた自分がとても恥ずかしい。
なんであんな声が出てしまったんだ…

しかしながら、どうやら彼女も僕と同じく自分の手に自信が持てていなかったようだ。
僕は勇気を出して、その白く温かい手を両手で優しく握る。


「この掌は、ヒナギクさんのたゆまぬ努力の結晶で…僕は素敵だと思います」

「ハヤテ君…」

「…って、僕がそんな偉そうな事を言えたタチじゃありませんね」

「ううん、ありがと…嬉しいわ…」


綺麗だった。
さっきまでの笑顔が天に昇る朝日だとしたら、今度のは雨上がりの空だ。
雨の余韻を美しく魅せる太陽が輝いて、虹を映し出すかのごとくだ。

この人の笑顔には不思議な安心感を覚えてしまう。
こんな不幸の権化のような僕でも幸せになって良いんだと訴えかけてくれるかのような不思議な笑顔。
そんな笑顔を朝からひとり占めだなんて、今日はツイてるな〜とか思っていたら、もうアパートの近くまで帰ってきてしまっていた。
昨日に引き続き、満たされる時間と言うものは長くは続かないものだ。


「今日は…ハヤテ君に朝から時間がある日なんて初めてだったから、ワガママ言っちゃって…付き合ってくれてありがとう」

「いえいえ、ワガママだなんてそんな。僕なんかで良ければいつだって…」

「……ホントに〜?」


ヒナギクさんの瞳は「また無責任な事を言って…」と言っていた。
こーゆー所を直さないといけないんだろうな〜。


「スミマセン…」

「気にしないで。ちょっとイジワルしただけ…さ、マリアさんの美味しい朝ごはんが待ってるわよ!」

「そうですね…あ、ヒナギクさん」


朝食前に着替えに向かう彼女を呼び止める。
また僕は言うべき事を言ってなかった。


「ん?何かしら?」

「今朝は僕も楽しかったです。…ありがとうございました」

「ハヤテ君が楽しいって思ってくれたなら、こんなに嬉しい事は無いわ…じゃ、着替えてくるわね!」

「ハイ、ではのちほど…」


昨日の教訓を活かせた所を見せる事ができたと思う。
上機嫌な足取り(たぶん)で自室に向かうヒナギクさんを見送る。

良い朝だったな〜。マリアさんありがとうございます。
今日も良い事ありそうだ。(←もう起きている)
さて、今日こそはお嬢様とアーたんを起こして久々にみんな一緒に朝食だ!!(ちなみに現在13連敗中)

彼女につられ、僕も上機嫌な足取りでねぼすけなご主人様とお姫様を起こしに向かったのだった。


つづく


------------------------


前回せっかく使ったので、ナギナギ体操ネタを挟んでみました。
「ヒナヒナ体操」…なんともヒナらしいネーミングになったから言わせてみました。
何の曲に合わせて踊るんでしょうね?笑

本編ですが、ハヤテ・ヒナギクにお互い「手」に対してコンプレックスを持たせて、手繋ぎイベントをより甘くしたつもりです。
何に対しても妥協ゼロのヒナの手は、かなりたくましくなってるんじゃないかと勝手に想像してます。

これでもまだハヤテも「好きな人」は、ヒナではありません。ので、ヒナに惚れてしまうイベントまではラッキーな展開が続きます。
ハヤテが羨ましいですね。


ご感想・ご指摘お待ちしております。
それでは、お付き合い頂きありがとうございました。
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Re: しあわせの花(ハ ( No.6 )
日時: 2011/10/03 00:31
名前: ムジョー

イカーーーーーーー

さっきなくなったムジョーです


いーーーなーーーーー
呪いてーなーハヤテ、

甘い、甘い、甘すぎて力がでない
いちごに練乳かけたより甘い
それに砂糖と牛乳かけたより甘い!
甘すぎて喉が焼ききれるくらい甘い!
甘すぎてほかの感覚が壊れて、
「ヌフォ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ガヘッガヘッガヘッ」

っていって、周りの人から白い目でみられるくらい甘い

ハァ、ハァ、ハァ、

上は読みとばして結構です。

甘いよ?甘すぎるよ?甘すぎるんじゃないか?
つい学校で叫んだよ?
シネーハヤテー
って

うまいよ、上手すぎて、ラッキーさんの読者の八割がハヤテかヒナを呪ってるだろ?
だって俺もその一人だもの。


って言う前置きはおいていて、

この後、あまあまイベントが起きて、
(ハヤテ、ヒナの部屋突入みたいな)

読者をイラッとさせて、
けど目がはなせないみたいなことになるんじゃなイカ?

っと言うことで、PSPの文字制限が迫ってきたので、ここらで切りたいと思います

それでは、
バーイバーイキーン
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Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【第2話更新】 ( No.7 )
日時: 2011/10/05 12:38
名前: ロッキー・ラックーン

>ムジョーさん
ご感想ありがとうございます。

ハヤテが羨ましい目に遭っているのは、ひとえにヒナの内面が原作に比べて成長している事が原因です。
素直かつちょっとあざとい(笑)感じになっていると思います。

成長と言う形で変化したヒナに対し、ハヤテの心情はまだ変化無しです。
そんなハヤテへヒナが刺激を送り続ける事で、物語の中心である「ハヤテの恋」を展開させようと思っています。

現段階では自覚無くヒナの刺激を受けまくってるハヤテはホントに呪ってやりたいほど羨ましいですね。



いやーしかし、物語の大まかな流れは大体出来てはいますが、それを一話一話に仕上げていくのが非常に難しいですね。
ちょっと時間はかかりますが、次回も楽しみにして頂けると嬉しいです。

では、ありがとうございました。
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Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【第2話】の感想 ( No.8 )
日時: 2011/10/12 11:53
名前: リバーシブル


 個人的にはヒナヒナ体操とナギナギ体操、両方見たかった。

 何故、途中で目覚めたんだハヤテ!!(オイ


 それはそうとこっちでははじめましてー リバーシブルです。


 >>さて、今日こそはお嬢様とアーたんを起こして久々にみんな一緒に朝食だ!!(ちなみに現在13連敗中)

 ハヤテ君、その台詞はフラグと言うものだよ!ヒナギクと甘々なイベントを起こしたんだ!

 それぐらい甘んじて受けるといい!!!

 >>これでもまだハヤテも「好きな人」は、ヒナではありません。
 >>ので、ヒナに惚れてしまうイベントまではラッキーな展開が続きます。
 >>ハヤテが羨ましいですね。

 なん……だと………ウラヤマシイ
 

 この小説でのボスキャラ(私の主観ですけど)はラスボスが

 アーたん(未だに好きという設定を見て)(原作ではこの娘の為に鈍感を意識させて発動させてたらしいですし)

 でラスボスが

 ナギ(絆では他よりも強い……後は設定次第でしょうが)


 ……あ、あれ?ラスボスが二人もいる?……いやでも考えてみたら

 全ての登場人物たちが魅力的なキャラですし(私の中ではヒナギクがTOPのままですが)




 結論―――――全員ラスボス。

 はたしてヒナギクはそのラスボスたちを越えて意中の人と結ばれるのでしょうか!?
 


 はい、なんか変な暴走をしましたが、言いたい事は続きをまったりと楽しみにさせていただきます!という事ですー。
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Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【第2話更新】 ( No.9 )
日時: 2011/10/13 20:47
名前: ロッキー・ラックーン
参照: http://hinayume.net/hayate/subnovel/read.cgi?no=7738

>リバーシブルさん
はじめまして、ご感想ありがとうございます。

1期ハヤテで一番印象的なシーンがナギナギ体操なんですよ。
お屋敷の遊園地の回だったかな?ケレ・ナグーレ君たちがいきなり踊りだして…って感じだったと思います。
で、どうにかヒナで上手い事出来ないかなと思ったら、「ヒナヒナ体操」…いい響きじゃないかという事で、ヒナ(ハヤテの夢ですが)に言わせてみました。

朝食に関しては、ハヤテはきっちりフラグ回収して14連敗達成してます。
ナギとアリスのお寝坊コンビ相手じゃベイス○ーズもビックリの連敗数です。

物語に関してですが、ナギは完全にボケとコメディ要因です。
「ハヤテの恋」を中心に進めていきたいので、ナギの思い込み関連でイザコザは起こしません。
ネタバレになりますが、物語に直接関わる部分じゃないからいいかな?と思って言っちゃいました。

ナギに関してはスタンスが決定していますが、アーたんに関してはまだ考えている所です。
もちろん、ハヤテの中での葛藤は起こりますが、本人を絡めてなんやかんやをするかどうかは未定です。しかしながら、ラスボス的存在はやはりアーたんです。

第3話にえらい時間がかかっていますが、まったり楽しみにして頂ければ幸いです。
リバーシブルさんのジョジョも楽しみにしてます!

それでは、失礼しました。
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Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【第2話更新】 ( No.10 )
日時: 2011/10/20 22:34
名前: ロッキー・ラックーン
参照: http://hinayume.net/hayate/subnovel/read.cgi?no=7738

こんにちは、ロッキー・ラックーンです。
めちゃくちゃ時間かかりましたが、ようやく第3話です。
今回でだいぶハヤテの心情は変わっていきます。
それではどーぞ!


------------------------


     第3話【家に帰って片付けが全部済むまで遠足は終わらないと思う】


おはようございます、綾崎ハヤテです。
学校は休み、お嬢様は千桜さんと同人イベントへ…という訳で、お暇を頂いている今日この頃です。

ズズズズ…
縁側ですするお茶がウマいなぁ…
天気も良いし、風は心地良いし、花壇の花は綺麗だし、平和ってイイですね。
さて今日は本当にする事が無いし、人生初の昼寝というものでも バターン


「ハヤテ、さっさと支度なさい!!」

「…え?」


かくかくしかじかとアーたんから事情を説明してもらう


「…なるほど、ほんにゃら公園ですか」

「そうよ、私はあそこに行くためにこの姿になったと言っても過言では無いのよ」


要約すると、テレビで隣県にある自然公園のローラー式すべり台(滑る部分がクルクル回るアレです)のCMを見たらしく、その時アーたんに電流が走ったそうだ。
容姿相応の好奇心がとても可愛らしい。(…と言っても元のアーたんでもすべり台に衝撃を受けそうだが)

絶好の行楽日和の今日、ヒマを持て余している僕に断る理由も無い。


「分かった、行こう!じゃあ、僕はお弁当でも作って…」

「その必要は無くってよ!…ヒナ!!」

「はいは〜い。お弁当に飲み物にビニールシートにタオル…準備は完璧よ!」


ホいつの間に!?(←ネタ分かる人がいてくれるだろうか?)
なるほど、同室にはヒナギクさんがいるからあのアーたんがアクティブなのか…
しかし生徒会やら部活やらで忙しいヒナギクさんにまで手が回っているとは、さすがというべきか。


「…というコトよ。ハヤテはその窮屈そうな執事服を着替えて来たらどうでしょう?」

「ハイ」


言われるがままに私服に着替え、手早く出かける準備を済ませて来る。
学校行事以外でのピクニック(サバイバル除く)なんていつぶりだろう…?というか、初めてだ。
自然と胸が高鳴ってくる。


「フンフ〜ン(←鼻歌)お待たせしました!」

「遅くってよ、あまり女の子を待たすものではありませんわ」


おお…いつもヒラヒラフリフリな服のアーたんが非常に動きやすそうな(皆様のご想像にお任せします)格好を…


「ああ…この服?ヒナのお下がりを貰いましたの」

「何故かずーっとお義母さんが取っておいてたのよね。捨てるのも勿体無かったし、サイズの合うものはアリスに着て貰ってるの」

「なるほど」


僕の視線を感じたのか、その新鮮な格好の説明をしてくれる。
いやしかし、そこまですべり台に気合が入っているとは…


「さあ、ハヤテの準備も出来たことですし、出発よ!」

「「オー!」」


なんだかんだで僕もヒナギクさんもノリノリだ。アーたんの掛け声への返事にも気合が入る。


「では…ヒナ!ハヤテ!」


呼びかけと同時にアーたんは僕に左手、ヒナギクさんには右手を差し出す。
即座に僕たちはそれに応え、その小さな小さな手を握る。


「私は一度はぐれたら迷子になる絶対の自信がありますので…二人とも頼みますわよ」

「ハイハイ…では、出発しましょうか」

「そうね」


アパートから駅までの道中、僕たち三人で手を繋いで歩いた。

普段お嬢様の手を取る時も、以前ヒナギクさんと(図らずも)手を繋いだ時もそう。人の温もりは、心まで温かくするものなんだなと思わされる。
だから隣にいるアーたんも、その隣にいるヒナギクさんも、とても素敵な笑顔で…その笑顔は僕の温もりから生まれているのだとしたら、こんなに幸せな事は無い。


「ハヤテ君、幸せそうね…?」

「あ、やっぱりそう見えますか〜?実は僕、こーゆーピクニック的なもの、生まれて初めてなもんで…野宿とかサバイバルとかなら数え切れないんですけど…」


ヒナギクさんの質問への答えも嘘じゃないけど…もっと奥の本心を言うのはちょっと照れくさい。
こういう事をサラッと言えるのがクールな男ってヤツなのだろうか?


「そ、そうなの…じゃあ今日は思いっきり楽しみましょうね!」

「ハイ!」


まあそんな事はどーでもいいや。ヒナギクさんの言う通り、今日は思う存分楽しむぞ〜!

アパートの最寄り駅から公園の駅までは各駅停車で70分ほど。
しかしそこはせっかくのレジャーということで、40分で行ける特急をチョイス。(特急券ひとり500円)
電車の中では、窓の景色にアーたんがハシャぎ、山がちになってきて橋を渡る時にはヒナギクさんが震え上がりと、何かと騒がしいひと時だった。


「いよいよ、着きましたわ!」

「あ゙ぁ〜〜なんで電車があんな高い所を通るのよ…」

「まあまあ…」


ほんにゃら公園駅に到着。
アーたん、駅と隣接する公園の入り口前でなぜか決めポーズ。
ヒナギクさん、何もしてないのに疲労困憊(こんぱい)。その手を取るのが僕。


「さあヒナ、いつまでもしおれてないで早く行きましょう!!」

「わわっ、アリス!?も〜、分かったから!!」


その小さい手で僕から無理矢理ヒナギクさんを引っぺがすアーたん。
ヒナギクさんも口ではああ言うが、顔は緩んでいる。
まるで本当の母と子みたいだと思った。

…となると僕は父親?
そういえばヒナギクさん、小さくなったアーたんと初めて会った時、「子供を産むような行為なんて」とか言ってたけど、ヒナギクさんでもそんな事考えるんだな…
いやいや何を考えてるんだ僕は!
僕はヒナギクさんをそんな目で見た事なんて…でも朝風さんに「ヒナギクさんの体目当て」とか言われた時にハッキリ否定出来なかったし…
いやだから何を考えてるんだ!!
そもそもあのヒナギクさんが僕なんかとそんな…
だからそうじゃなくて!!!


「ハヤテ〜!置いてきますわよ〜!!」

「あれ…わ〜!置いてかないで〜!!」


アーたんの叫び声(叫ばないと聞こえない所まで離されていた)でようやく我に返り、ダッシュで二人を追いかけたのだった。
僕って、ほんとバカ…


------------------------


どどーん(ワン○ース的な効果音)

いよいよ着きました、アーたんのお目当てのローラーすべり台です。
さすが、この公園の目玉だけあって大きいですね〜。
小高い丘のスタートから登って、ゴールは遥か向こうに。
…ん、「小高い丘」ですと?
二人の方をおそるおそる向いてみると…

アーたん、目を輝かせ、今にも登って行きたいとウズウズ。
ヒナギクさん、虚ろな目で、今にも逃げ出したいと足がブルブル。


「さ…さぁ!お目当てのものも見れたし、帰りましょ「ヒナ〜?」

「ヒナギクさん、さすがにソレは無理があるかと…」

「ゔ〜」


ヒナギクさんもすべり台を楽しみにしていたのか、とても残念そう。
むむむ…ココは何か力になれないものか…?
と、考えていたら先にアーたんが動き出す。


「ヒナ、行きましょう!」

「えっ!?でも!!」

「怖いなら、私を抱えて滑れば良いですわ。…大丈夫ですから」

「……うん」


アーたんに勇気付けられ、手を引っ張られるヒナギクさん。
ははは…これじゃどっちが母親か分からないや。


「ハヤテ〜!!」

「は…は…ハヤテ君…♪(←精一杯の楽しそうな感じ)」


すべり台の頂上まで登って手を振ってくれる二人に、僕も笑顔で返す。(ヒナギクさん、顔が引きつってます…)
そのまま滑っていくのかと思いきや、やはりヒナギクさんはためらってるようだ。
そんなヒナギクさんにアーたんが一つ耳打ち…
ヒナギクさんの脚の震えが止まり、仲良くスタートに腰を掛け、滑り出していった。

あ、ゴールは何百メートルも向こうだからそっちに行かないと!
急いで三人分の荷物を抱えてゴールまで走った。

ゴール地点では先に二人が到着し、僕が来るのを待っていた。


「お待たせしました。…お目当てのすべり台はどうだった?」

「ハヤテ…私は今、猛烈に感動しています…素晴らしい…」


とても清清しい、何かを達成した時の笑顔のアーたん。
ヒナギクさんは…一応聞いてみよう。


「えーっと…ヒナギクさんはいかがでしたか?」

「こここ…怖かったけど…アリスがいてくれたから…だだ大丈夫…♪(←精一杯の笑顔)」


あちゃ〜、やっぱり怖かったか。
とりあえずは、無事で何より。
それはそうと、滑り出したときの二人のやりとりが気になる…


「そーいえば、滑り出す時にヒナギクさんにアーたんが何か言ってたよね?」

「ええ…勇気が出るおまじないです。もっとも、ヒナだけにとってのかもしれないけど…」

「おまじないかぁ!ちなみにどんな…?」

「それは内緒…本人以外が聞いたら効果が無くなってしまいます」

「ええ〜!?そんなもんなの…?」

「ええ」


そうか、それは残念。
ヒナギクさん、高い所が苦手だから毎回そのおまじないを使えば平気になるんじゃないかな…?


「それよりハヤテ!!」

「は、ハイ!」

「この感動が冷め止まぬ内に…もう一回…もう一回よ!」

「え、でも…」

「私はここで休んでるわ。シートも持って来てるから用意もしておくし…あ、あとマリアさんからデジカメ借りてるから二人で滑ってるトコを撮ってあげるわ!」

「え、あ、じゃあお願いします。って、アーたん引っ張らなくてもちゃんと行くから!」


今度は僕がアーたんに引っ張られる。
数百メートル向こうのスタートまで、この小さなお姫様の歩調は速まりっぱなしだ。


「ホントはね…」

「?」


滑り台までの道のりで急に話し始めるアーたん。
さっきまでの雰囲気とちょっと違い、こちらも聞く態勢を改める。


「ヒナにはあの高さは無理かなと思ったのですが…『私をハヤテだと思って』って言ったら、大丈夫でした。…信頼されているのね」

「え…?」


それってさっきの「おまじない」の話…?
聞き返そうと思ったら、もうスタートに着いてしまった。


「独り言よ…ハヤテ、行きましょう!」

「…うん」


とりあえず細かい事は気にせず、アーたんの後ろを登って頂上に着くと…いや〜いい眺めだ〜!
公園が一望出来る見晴らしで、遥かゴール地点にいるヒナギクさんが手を振っているのも見える。
僕たち二人もブンブンと大きく手を振り返す。


「ではハヤテ…後ろ、お願いね」

「うん」


先程のヒナギクさんと同様に、足を伸ばして座った状態のひざの上にアーたんを乗せる。
こうしてみると、本当にアーたんは小さくなってしまったんだなと改めて思う。
僕が…守ってあげなくちゃ!


「なにしみじみしているの?」

「あ、ゴメン。アーたん、ホントにちっちゃくてカワイイなって…」

「こんな所で、こんな小さな女の子に欲情しているのですか?」

「え゙!?」


なんか、変な方向に話が行ってるような…


「ご主人様もあんなだし、ハヤテは小さい子がご趣味の殿方なのかしら?」

「わわわわわ!!じゃあ行くよ!!」


勢いでごまかしてすべり台スタート。
…おおおお、なかなか爽快なスピード感!
切っていく風も涼しくて気持ちいい。


「ハヤテ!どうかしら〜?」

「最高だよ、アーたん〜!」


自分たちの声を風に置き去りにしながら会話。
それっきりお互い口を開かず、その爽快感に身を委ねる。
何百メートルの距離も、あっという間にゴール。


「いや〜、案外楽しいものだね」

「ハヤテ、感動が少ないんじゃなくって?私はもう感激して言葉も無いというのに…」

「お疲れ様〜」


後からゴール地点にやってきたのはヒナギクさん。
その手にはデジカメが…きっと滑っている僕たちを撮るために場所を変えていたのだろう。


「キレイに撮れたわよ〜!二人とも、本当の親子みたい…」

「どれどれ…おお、よく撮れてますね〜」


見せてもらったディスプレイの中には満面の笑顔の僕とアーたん。
カメラマンの腕が良いのか、ベストショットと言って過言ではない出来だ。
それはそうと、僕たちだけ写真を撮ってもらうのも気が引ける。
次は僕がカメラマンをしなくちゃな…


「じゃあ、次はヒナギクさんの写真を撮りますよ?アーたん、まだ行けるよね?」

「まだもヘチマもありませんわ!何度でも…何度でも行くわよ!!」

「え゙…まさか…?」


会話が終わる前にアーたんがヒナギクさんを連れて行ってしまった。

…お〜、滑ってくる。 パシャリ
ハイ、キレイに撮れました。


「二人ともお疲れ様でした〜」

「ハヤテ、写真はどうでしたか?」

「バッチリだよ、アーたん!!」


僕はいわゆるドヤ顔で自分の撮った写真を見せた。
中々の出来だったし、きっと二人とも感心の声を…


「このヒナ…白目向いてますわよ」

「「え゙!?」」


二人仲良く声を上げる。
改めて見てみると…アチャー、やっちまったな〜。
それにしても、白目向きながらも笑顔っぽい顔を作るヒナギクさんもさすが…


「それじゃあ、撮り直しですね!」

「行きましょう、ヒナ!」

「やっぱりそーゆーオチなのね…」


今度はキレイに撮れました。
引きつってるヒナギクさんの顔も逆に可愛らしく映ってます。…というか、なんだかんだでヒナギクさん3回も滑ってます。


「さて、この感動はまた後で存分に味わうものとして…私、お腹が空きましたわ。ここでお弁当にしましょう。」

「…うん、そうしましょ。(「また後で」って…まだ滑る気なの!?)」

「いやー僕もお腹空きました!ヒナギクさんのお弁当…楽しみです!」

「あんまり期待されても困っちゃうけど…ハイ」


と言いながらヒナギクさんがシートに広げられるは、彩り鮮やかなお弁当。
僕は二人にお茶を行き渡らせる。

…お、やっぱり大好物のハンバーグは欠かしてないな…ヒナギクさん。
うまそ〜!!


「さすがヒナ、美味しそうね。それでは…」

「「「いただきます!!!」」」


三人仲良くご挨拶。
アーたんは何より先にハンバーグを丸ごと頬張る。


「美味しい…ヒナにお願いして良かったわ」

「…ありがと。たくさん食べてね!」

「あら、ハヤテ…こんなに美味しいハンバーグをまだ食べてないのね。ヒナ、自信作なんだし食べさせてあげたら?」

「「えっ!!?」」


チラッ(え?何言ってるの!?アーたんいきなりそれは反則では!!?)
チラッ(そ、そうね…でもこんな小さい子の言う事に付き合えないのも大人げ無いわよね…?)
チラチラッ(では、ヒナギクさん。いいのですか?)
チラッ…チラッ(もう…仕方無くよ!仕方無く!!)

↑一瞬の目配せでの僕たちの心の会話です


「じゃあ…ハヤテ君、あーん…」

「あーん」


ヒナギクさんにハンバーグを口まで運んでもらう。
ハンバーグが口に入りきり、ヒナギクさんがお箸を僕の口から引き戻す。
ただそれだけ、数秒の時間がやたらと長く感じた。

…むむっ!これは!!


「う…うまい!!この肉の粗挽き加減、そして絶妙のコネ具合、そして弁当で冷めているにも関わらず、肉汁をもらさず中に閉じ込めている!!ヒナギクさん、美味しい…美味しいですよ!!」

「そんな、料理まんがみたいな解説をされるとちょっと恥ずかしいわ…」


ジトー(料理まんがみたいな解説が恥ずかしいんじゃなくて、あなたたちの妙なラブラブっぷりが恥ずかしいのではなくて?)
↑手近に皆様の声を代弁する人がいたので、金髪縦ロール幼女(独身・実年齢16歳)にツッコンでもらいました。


「いや〜…ヒナギクさん、なんというか…ごちそうさまでした!」

「そ、そう。美味しかったなら何よりよ…お粗末さまでした!」


アーたんの視線に、僕たち二人の空気も妙なものになる。
しかし、よくヒナギクさんも付き合いとはいえやってくれたな…

そんなこんなで美味しく楽しい昼食も済む。


「「「ごちそうさまでした!!!」」」


ヒナギクさんと僕とでお弁当の片付け。
楽しいお食事のあとのゴミはきちんと分別しましょう。


「スー… スー…」

「あ、アーたん!」


アーたんはというと、ちょっと目を離したスキに眠ってしまったようだ。
無理もない。あれだけハシャいで、食事も済んで、この陽気だ。


「あらあら…じゃあちょっと休憩しましょ」

「ハイ」


シートに直に頭をつけて眠っているアーたんにヒナギクさんが膝まくらをする。
さっき以上に親子みたいだな…


「ヒナギクさん…ホント何から何までありがとうございます。忙しい中での貴重な休みに、怖い思いまでして付き合ってくれて…」

「フフッ、そんな事全然いいのよ。すべり台はちょっと怖かったけど…それ以上に楽しかったし、何より…」

「?」

「この子の事、もっと知りたいし。…天王州さんよね?この子」

「えっ!!?」


なぜそれを!?アーたんは僕以外誰にも言ってないし…
即答で否定できない僕の態度がヒナギクさんの言葉を肯定した結果となる。


「そりゃあ分かるわよ。あれだけ近くで一緒に暮らしてるし、彼女が普通じゃない事を考えたら…ね?」

「…そうですね」

「でもこの子、私の事もハヤテ君の事も覚えてないわよね…何かあったの?」

「いえ、僕も詳しい事は何も…」


僕も、ただ「話を合わせてくれ」としか言われていない。
いったい、なにがどうなってるのやらだ。


「そう…ハヤテ君でも分からないの。でも、こんな小さくなって、記憶も無くしちゃって…何も頼れるものが無いだなんて、そんなの寂しいじゃない?私に出来る事はしてあげないと!って思って…」

「ありがとうございます。…今のアーたんは、迷子になってる普通の女の子です。ホントに非力で…ヒナギクさんが味方になってくれたら、それだけで心強いと思います」


自分だけが背負っていた秘密を共有してもらい、僕も心強い。
事情を知ってくれる味方が一人いるだけで、どれだけ支えられる事か…


「うん、ハヤテ君も頑張らないとね。…好きな人、だもんね?」


ズキン

なんだろう?
急に酷く胸が痛くなって…

ヒナギクさんは変わらない笑顔で話し続けていた。
変わってないはずだったのに、なぜかその笑顔が存在が儚く消えてしまいそうに見えた。
そんな顔を見た瞬間、訳の分からない心境になって…


「そ…そうですね…」


ヒナギクさんの顔が直視できない。
またあの表情が見えてしまうのがイヤだ。
いや、今の自分の訳の分からない顔を見られたくない方が上か…


「ん?どーしたの?」

「あ、いえ、何でも…」


目を逸らして言葉を濁す事しか出来ない。
何なんだ?ホントに何なんだ!?


「あっ…私、余計な事言っちゃった…?ごめんなさい…一番辛いのはハヤテ君なのに…」

「違います!!」


怒鳴るのと同時に、ヒナギクさんから差しのべられた手を乱暴に掃った。

違和感…とでも言えばいいのか?
モヤモヤと黒い膜が胸を覆うような…ダメだ違う、上手く表現出来ない。
忘れたいのに、ヒナギクさんのあの表情が目ん玉にこびり付いて離れない。

脳みそが思考の旅に出てしまいそうだったが、怯えているヒナギクさんの姿が目に入り、我に返った。
違うんだ、こんな事をするつもりなんて…


「す、スミマセン!!こんなつもりは…僕はなんて事を!!」

「…ううん。私こそ無神経だった。ゴメンね…」

「いえいえいえいえ!!ヒナギクさんが悪い事なんてこれっぽっちもありません!!!」


そう、ヒナギクさんは事実を述べ、僕を励まそうとしてくれた。
そんな彼女の行動の何処に否をつけようというのか。
僕はいったい何をしたいんだ?


「ふあ…騒がしいですわね…何をしてるんですか…ふあ〜…」


大きなあくび2回とともにアーたんが目覚めた。


「あらアリス、おはよう。ご気分はいかが?」

「ふあ…寝起きの形としてはイマイチですわね。でもヒナの膝まくらは、えも言えぬ寝心地でしたわね…ありがとう」

「どういたしまして」

「で、どうしてハヤテは土下座なんかしているのかしら?」


やはりアーたんは僕に話題を振ってきた。
そりゃまあ、寝起き一発目に見たのが土下座なら誰だって気になるだろう。
なんて説明したものか。
やっぱ、正直に打ち明けるしか…


「ハヤテ君ったら『僕もアーたんに膝まくらをやらせて下さい!』って、土下座までして頼んでくるのよ〜」


え?ヒナギクさん…それって…


「あら、そうだったの…てっきりヒナに膝まくらしてくれって頼んでると思っていたわ」

「え…?」


アーたんまで何を言って…
またおかしな話に…


「結局のところ、どうなのかしら?ヒナの膝まくらは最高でしたわよ…ハヤテはして欲しくないのかしら?」

「え゙っ!?」


自然とさっきまでアーたんの枕だったヒナギクさんのふとももに目が行ってしまう。
うわ〜、やわらかそうな…ってそうじゃなくて!!
ついさっきまでシリアス気取ってたつもりだったのに、まさか空気読めてないのは僕のほう…?


「膝まくらしてあげたらヒナ?私はこれから一人ですべり台に行ってきますので…」

「あら、一人で?」

「ええ、一人だと二人の時とはまた違った爽快感が絶対に味わえると思いますから…」

「たくましいのね…」

「とりあえず5回滑って来ますので…私が帰ってきたらハヤテは膝まくらの感想を発表なさい」

「へ?もう決定なの!?」

「当たり前じゃないですか…というか、ハヤテだってノリノリではなくて?さっきヒナの脚を見てた時のいやらしい目つきったら「わぁ〜!!ストーップ!!!」


アーたんが言い終わる前に口を押さえたが、それも無意味。
愛想笑いでヒナギクさんの方を向いてみたが、ヒナギクさんは満面の笑顔。逆に怖い…


「というわけで、私は私で楽しんできますので!」


と、キーンのポーズで走り去ってしまった。(きっとまたお嬢様の影響だろう)
そして残された若い男女、目が合う二人…


「…ハハハハハ…」


とりあえずの愛想笑い。
いやまさかアーたんに付き合って膝まくらまではさすがに「…どうぞ?」
ってええええ!?


「いやいやいや、ヒナギクさん!アーたんに付き合ってそんな事までしなくても!!」

「私はハヤテ君さえ良ければ全然構わないわよ?アリスの言う事とかは関係無くて」


…マジで言ってるんですか!?
そんな事言われちゃ僕だってガマンしませんよ…?


「…それじゃあ…お願いします」

「フフッ…甘えんぼさんなのね」


ゆっくり…それはもうゆっくりとヒナギクさんのふとももに頭をのせる。
ああ、やってしまった。やってもらってしまった膝まくら。
髪の毛越しでも分かるヒナギクさんの感触。ここが天国か!?


「でも、ハヤテ君にはいつも助けてもらってるから…たまにはこうやって甘えてくれると、嬉しいな」

「ヒナギクさん…」


僕の頭を優しく撫でてくれる。
恥ずかしくてあまり凝視出来ないけど、本当に優しい笑顔だ。

ああ、小さい子供にとってお母さんってこんな感じなんだ…
ヒナギクさんの子供になる子は、きっと幸せになるだろうな…
僕も、こんな人がお母さんだったら…きっとこんな風に甘えてばかりだっただろうな…

気付いたら、僕の目には涙が溢れていた。


「っ…」

「ど、どーしたの!?何か気分でも悪い?」

「いえ…なんか嬉しくて。『ヒナギクさんがお母さんだったら良かったのに』って…もっと…撫でてもらっていいですか?」

「フフッ…良いわよ。気の済むまで甘えて良いからね」

「ありがとうございます」


優しくて温かくてやわらかくて…こうやって身体を他人に委ねる事なんていつぶりだろう…?
気持ち良くなった僕は、だんだんと意識が遠のいて行くのだった。



「…くん…テ君…ハヤテ君…」

「う…う〜ん…ヒナギクさん?」


優しく頭を揺すられて起こされる。
ああ、僕は膝まくらされて気持ちよくて寝ちゃっていたのか…


「ようやくお目覚めですわね、甘え上手のハヤ坊さん」

「げ…アーたん…」

「ヒナの膝まくらはいかがでしたか…って、存分に満喫してたようですけど」

「ハハハ…」


愛想笑いでなんとか誤魔化す。
ふと時計を見てみると3時半。昼食を食べ終わったのが1時ごろだったから、だいぶ寝ていたようだ。


「なんかすいません、気付いたら寝ちゃってて…」

「良いのよ、ハヤテ君の寝顔も見れたし」

「ゔっ…これはお恥ずかしい…」

「え〜、そんな事無いわよ〜。とっても可愛かったから〜」

「それはそうと、ハヤテも起きて、私も存分に満喫出来ましたし、そろそろ帰りましょうか?」

「「賛成〜」」


というわけで、帰り支度を始める。
ところで、アーたんは僕の寝てる間に15回ほど余計に滑っていたようだ。
さて、支度も整ってさあ帰ろうと思ったときに…


「あ、二人ともちょっと待って!」


急に呼び止めるヒナギクさん。
何だろう?忘れ物かな?


「せっかくだし、3人で写真撮っていきましょう!私、向こうの人にシャッターお願いしてくるわ。」


と、素早い動きで頼みに行った。
その姿をアーたんと二人で見守る。


「幸せですわ…」

「ん?」

「あなたがいて、ヒナがいて、こうやって楽しい時間を過ごせて…私は幸せ者ですわね」

「僕も同じ事を思ってた。きっとヒナギクさんも同じだよ」

「そうね…」

「お待たせ〜!じゃあ、すみません。お願いします!」


と、しんみりムードの中ヒナギクさんがカメラマンとなってくれる女性を連れてきた。
アーたんをヒナギクさんとふたりで挟んで並び、シャッターを待つ。


「撮りますよ〜。はい、チーズ!!」

「ありがとうございます〜!」


なんかお嬢様に似た声の人だな…
などと思いながら、カメラを受け取りに行ったヒナギクさんが女性と話しているのを見てボーっとしていた。
ヒナギクさんが女性に何か言われ、ちょっと照れているようだ。その後挨拶を終え、戻ってきた。


「お待たせ〜!」

「いえいえ。…何かお話でもされたのですか?」

「うん。ちょっとね」

「ヒナ、撮った写真を見せてくださる?」

「ハイハイ、これよ」


アーたんと一緒にデジカメのディスプレイを見せてもらう。
お〜、良く撮れてる。来て良かったな。


「では、そろそろ帰りましょう!ヒナ、ハヤテ、帰るまでが遠足よ!!」

「「ハーイ」」


帰り道も元気良くハシャぐアーたんを僕たち二人で見守る。
特急に乗り込み、席に座るとアーたんはすぐさま眠りに落ちるのだった。
眠るアーたんに、今度は僕が膝まくらしてあげる。
うわ〜、小さい子ってこんなに軽いんだな…
と思っていたら、向かいのヒナギクさんと目が合う。(←ボックス席に座っています)


「今日は楽しかったですね」

「そうね、来て良かったわ…」


さすがのヒナギクさんも元気いっぱいのアーたんに振り回されて、少し疲れているようだ。
ともあれ、アーたんが眠ってるスキに昼間の事を謝っておきたい!


「ヒナギクさん」

「うん?」

「昼間の事なんですが…ホントにスミマセンでした」

「昼間?…ああ、あの事?全然気にしてない…というか忘れてたくらいだし。それより私も協力するから頑張ろうね!」


ドキン

笑顔で返してくれたヒナギクさんの言葉に、胸が熱く…それはもう熱くなった。
その熱さが顔からつま先にかけてまで広がる。
あれ?僕はいったいどうしちゃったんだろう?


「…返事は〜?」

「!!」


うつむいて自分の世界に入っていた僕の顔を、ヒナギクさんが覗き込む。
ヤバイ!なんか知らないけど恥ずかしい…


「はははハイ、頑張りましゅ!!」

「プッ…どうしたの、いきなり?」


盛大に噛んでしまった。その恥ずかしさで余計に顔が熱くなる。


「い、いえいえいえいえ!何でも無いです!!」

「そう?じゃあそーゆー事にしといてあげる。」


それからというものの、無言の二人の時間が続いた。
といっても気まずいとか会話が見つからないとかいうものではなく、ごくごく自然な流れだ。
たまにヒナギクさんと目が合うと、そのつど彼女は笑顔を返してくれた。
その笑顔を見るたびに胸が熱くなって締め付けられそうになるのを感じた。


「ふあ…また寝てしまいましたのね…」

「おはよう、アーたん」


アパートの駅に着く5分前。タイミングばっちりだ。


「あら…今度はハヤテが膝まくらしてくれてたの?」

「うん」

「ちょっと硬かったけど…ありがとう」

「どういたしまして」


そりゃあヒナギクさんと膝まくらで比べられてもといった感じだ。
駅に着き、そこからは行きと同様に三人で手を繋いで帰った。


「着きましたわね…ヒナ、ハヤテ、今日はありがとう!」

「「どういたしまして」」


アパートに到着するやいなや、アーたんはマリアさんに自慢しに行くとヒナギクさんからカメラを借りてダッシュして行った。
残された僕たち二人は荷物の片付けだ。


「ハヤテ君、今日はありがとう」

「いえいえ、こちらこそありがとうございました」

「またこんな風に何処か行けると良いわね」

「ええ、行けますよ…行きましょう!」

「フフフッ…ヨロシクね」


家に帰るまでではなく、帰って片付けを済ますまでが遠足なのだとドキドキしながら感じる僕だった。


つづく


------------------------


【あとがき(30巻感想も…)】

よーやくハヤテがヒナに恋心を抱き始めました。
といっても、ハヤテはまだ胸の熱さをただの「違和感」としか感じていません。
「自分の好きな人はアテネだ」という、ある意味刷り込み的なものが頭の中にあるからです。
だから、心ではヒナに惚れてしまってるけど、頭ではそれを理解できていないといった感じで読んでいただけると良いかと…。
アリス関連で二人を近づけさせるのはやりたかった事なのですが、なかなかネタが出てこなくて時間がかかってしまいました。

あと、ハヤテは母性に飢えてる…というか分からないのだと勝手に考えています。
膝まくらイベントではそういった母性に甘えたい心8割・スケベ心2割なハヤテを出したつもりです。
ハヤテも一応16歳の男の子なので、人並みくらいのスケベ心を持っているという設定で物語を作ってます。
それにしても羨ましい野郎です。


ところでローラーすべり台って、皆さんご存知ですかね?
自分は結構好きだった記憶と、初めて見たときはすごく新鮮だったので、アリスを動かすネタにしてみました。


あと、色々と解説を…

・ヒナの「ハヤテ君、幸せそうね…?」というセリフは「大好きなアーたんと手を繋げて幸せそうね?」という皮肉が込められてます。
しかしハヤテの心としてはだいぶヒナに傾いている段階なので、「アーたんと手を繋げて」という意識にすら至っていません。

・「ヒナの体が目当てだ」に対して…
13巻での理沙とのやりとりでハヤテは吹き出しのセリフで否定してないんですよね。
アレにとてもイライラした記憶があったので使ってみました。

・ハンバーグあーんイベントのアリスのツッコミは8巻のハヤヒナのパロです。
改めて8巻を読んでみると…今のハヤヒナっていったい…orz
それにしても先日30巻が出たのを考えると、時が流れてしまったと感じますね。

・「なんかお嬢様に似た声の人だな…」
適当に釘宮キャラをイメージして頂ければと…深い意味はゼロです。

・その女性とヒナの会話ですが…
「可愛い旦那さんと娘さんが一緒で羨ましいですね」みたいな事を言われて戻ってきました。
さすがに恥ずかしくてそんな事を言われたとヒナは言えませんでした。

・あとマリアさんもこの日はお休みでしたが、アーたんのお誘いには「家でゆっくりしたい」ということで今回は来てませんでした。
決して誘われなかったとかそういうのではありません!


ここから30巻感想です。(ちょっとネタバレです)
30巻はようやくヒナに出番が回ってきましたね。
マンガの面白さの研究をしてましたが、あのヒナのセリフは自虐ネタにしか見えなかったのは私だけではないはず…

「現状の正確な把握と、情報の収集・選別」
→ヒナが未だに2位に倍近くの差で人気投票で勝てている現状がある

「客観的な立場からの分析・研究」
→読者目線で明らかにヒナ関連のハヤテの言動が10巻くらいまでと現在では異なっている

「そこからより精度の高い理論の構築…描くのは私じゃない。だから伸ばす方向さえ見誤らなければ」
→アテネ以降未だに新キャラ、その伏線ばかり伸ばして、ヒナの恋や伏線回収を進めていない今の「ハヤごと!」の現状への苦言

に見えてならないのです。
さらに言ってしまえば、そういうヒナの考える理屈とかは抜きで好きなのが桂ヒナギクというキャラなのですが…笑

あといよいよヒナの制服を着やがりました、ハヤテ…許せん!



非常に取り留めの無い文章になってしまいましたが、以上です。
ご感想・ご質問などお待ちしております。

ありがとうございました。

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しあわせの花(ハヤヒナ)第3話の感想 ( No.11 )
日時: 2011/10/20 23:40
名前: リバーシブル

>呼びかけと同時にアーたんは僕に左手、ヒナギクさんには右手を差し出す。
>即座に僕たちはそれに応え、その小さな小さな手を握る。

親子じゃないですか。


>チラッ(え?何言ってるの!?アーたんいきなりそれは反則では!!?)
>チラッ(そ、そうね…でもこんな小さい子の言う事に付き合えないのも大人げ無いわよね…?)
>チラチラッ(では、ヒナギクさん。いいのですか?)
>チラッ…チラッ(もう…仕方無くよ!仕方無く!!)
>↑一瞬の目配せでの僕たちの心の会話です

なんだ、ただの夫婦か………



あれ?あーたんの行動……二人の仲を手助けしようとしてるようにしか見えないぞ?

何を企んでいるのだ(マテ

実はラスボスに見せかけた最大の味方なのではなかろうか、この幼女。



次回の話もガンバッテクダサイ! 
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Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【第3話更新】 ( No.12 )
日時: 2011/10/21 01:03
名前: ロッキー・ラックーン
参照: http://hinayume.net/hayate/subnovel/read.cgi?no=7738

>リバーシブルさん
ご感想ありがとうございます。

アリスは自分が一番楽しめる事をしているだけという形になります。
ヒナとハヤテの二人とも大好きで、いつまで経っても進展が無い二人をからかってやっています。

ただ、アリスがやっててが楽しい事がアテネにとって一番の選択かと言われたら、そうではなくなってしまいます。
そこらへんは記憶喪失なので彼女も深く考えずにやっていると捉えてください。

アーたんは一応ラスボスになる予定ですが、彼女自身にも選択が迫られる時がやってくる予定です。
ただ、ヒナとハヤテの進展を邪魔するような展開はしないと思います。
ハヤテに「ヒナたんLOVE」と言ってもらうのが目的のお話ですので…笑


余談ですが、3話のサブタイトル…「ふるえるぞハート、燃えつきるほどヒート!」と少し考えてました。
ハヤテの心情がそんな感じなので…笑

おあとがよろしいようで。
ありがとうございました!
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Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【第3話更新】 ( No.13 )
日時: 2011/10/21 21:07
名前: こよーて

相合傘におててつないで散歩についに膝枕!
ちゃくちゃくと接触度があがっていきますね〜(怒)
無自覚にヒナギクの惹かれ戸惑うハヤテがそれを自覚したときいったいどうなるのでしょうか?
まだ母性に惹かれてる部分が強いみたいですが早くその時がくるのが楽しみですね。
あとヒナギクの何気ない余裕はなにか心境の変化でもあったのでしょうか?
滑り台にはしゃぐあーたんも新鮮ですね。見事に引っ掻き回してくれました。

では、続きがんばってください
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Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【第3話更新】 ( No.14 )
日時: 2011/10/22 21:14
名前: ロッキー・ラックーン
参照: http://hinayume.net/hayate/subnovel/read.cgi?no=7738

>こよーてさん
ご感想ありがとうございます。

ハヤテがヒナを「恋の対象」として意識しない接触に関しては今回で最後になるかと思います。
まあ、最近女の子とおフロに入るのが得意なハヤテなんで、ヒナとも入ってもらおうかとも思いましたが、ヒナが他ヒロインの何番煎じになるのがイヤなので入らせてあげません。
一緒におフロは恋人同士になってから勝手にどうぞといった感じです。


次にヒナの母性に関してですが…
この物語のヒナは、アリスを自分の子供のごとく可愛がってるというのが前提にあります。
記憶も身寄りの無いアリスを小さい頃の自分に重ね、義理の両親が自分に注いでくれた愛情をそのままアリスに向けようと考えているのです。
ヒナの心情は一切出さないお話作りをしているので、そういった部分の説明をしたくてたまらないんですよね。笑
こよーてさんの言う「ヒナの何気ない余裕」にも根拠はありますが、さすがにそのネタバレは核心の中の核心ですので、また今度ということで…

長々としたレスになってしまいました。
ありがとうございました。

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Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【第3話更新】 ( No.15 )
日時: 2011/10/31 02:18
名前: ロッキー・ラックーン

こんにちは、ロッキー・ラックーンです。
今回はハヤテからのパロディ満載にしつつ、物語の一つの核心に触れようと思います。

それではどーぞ!


------------------------


最近…自分はどうかしてると思う。
毎晩毎晩、一人の女の子の事が気になっている。
そのせいか、あらゆる事が上の空で…どこか気持ちが落ち着かない。
もしかして…これは…

鯉(コイ)!?


「いやまさかそんな!?確かにたまには広島がAクラスになっても良いと思うけど!!」(鯉は英語でカープなので…)


     第4話【花言葉 -I miss you-】


「というワケで、私に相談してくれたと…?」

「ハイ…西沢さんなら普通の答え(←良い意味で言ってるつもり)を出してくれそうなので…」

「うっ…ハヤテ君まで普通って言うかな〜!?」


一人の女の子というのはもちろん皆様ご存知、桂ヒナギクさんの事だ。
先週末、ヒナギクさんとアーたんと3人で公園に行って遊んだ。それからというものの、僕の頭の中はあの人の事でいっぱいだ。
とにかく彼女の事が四六時中頭から離れない。
どうせ僕一人で考えて導き出す結論なんて的外れになるだろうと思って、墓穴を掘ってしまう前に西沢さんという助っ人に相談をお願いした。
知り合いには見られたくないので、お嬢様が学校に来てない日の放課後に、隣り町にあるちょっとレトロな趣きの喫茶店にしけ込んでるという訳だ。


「でも、私を選んだのはなかなかナイスな判断だと思うよ?」

「ハイ、自分でもそう思います」


お嬢様、マリアさん、アーたん、生徒会の皆々様、ワタル君、サキさん、伊澄さん、咲夜さん、桂先生、シラヌイ、タマ、西沢さん…
これは皆さんも西沢さん一択ですよね?


「それにしてもハヤテ君が私に恋の相談だなんてね…まあこのラブ師匠に任せてよ!」

「あ、ラブ師匠の称号ならもう他の人についてますよ?」

「えっ、そうなの!?じゃあ…ラブマイスター・ウエストで………(←自分で言って恥ずかしくなった)」

「ではお願いします、ラブマイス「やっぱそれやめて〜!」


やっぱり西沢さんも良い人だな…
僕の事を好きと言ってくれたにもかかわらず、こんな厚かましいお悩み相談にまで乗ってくれて…


「でも、相談も何も…寝ても覚めてもヒナさんの事ばかり考えてるんでしょ?」

「…ハイ」


改めて他人の口からその事実を告げられると恥ずかしくなる。
でもまあ、事実は事実として認めるしかない。


「じゃあ決まりじゃないかな?『ハヤテ君はヒナさんに恋してる』…間違い無いよ」

「ですからそれが信じられなくて…確かにヒナギクさんは素敵だと思いますが…僕には…他に好きな人が…」

「…例のお姫様の事かな?」

「…ハイ」


そう。甲斐性無しの僕にも…アーたんという想い人がいる。
10年間想い続けた、初恋の人。
彼女を好きだと言いながら、ヒナギクさんの事ばかり考えている。
うわ…改めて僕ってヤツは最低な男だな…


「う〜ん、コレばっかりはハヤテ君の気持ち次第としか言えないかな〜?」

「まあ…そうですよね…」


大概「恋の相談」なんてものは結論を出すのが目的ではなく、ただ「恋している自分」の姿を見せて、相手にリアクションを取ってもらうという儀式に過ぎないものだ。ぶっちゃけ、お互い結論なんか考えちゃいない。
今回の僕の相談もそんな形に終結しそうだった。


「でも、私からアドバイスを送るとしたら…10年って年月に縛られる必要は無いんじゃないかな?」

「縛られる…ですか?」

「うん。ハヤテ君の話を聞いてると、アテネちゃんとの関係に対して義務感ていうのかな…そんな感じのものが受け取れるかな?そりゃあ正式なお付き合いだったらそういうのも少しは必要かもだけど…今アテネちゃんとはそんな関係じゃないんでしょ?」

「ハイ…一応…振られちゃった感じです」

「だとしたら、『今』ハヤテ君の中にある気持ちの方が大事なんじゃないかな?…あくまで、私の視点で見てだよ?ハヤテ君の10年間がどんなものだったかが、私には分からないって所がポイント」

「なるほど…」


義務感…確かにあったかもしれない。
でも10年という月日は僕にとっては間違い無く本物だし…
アーたんの事が「好き」じゃないかと言われたらウソになる。

でも今は、ヒナギクさんの事を考えてる時間の方が多い。
…ウソを言った。ヒナギクさんの事しか考えていない。


「でもねハヤテ君…一番大事なのはハート!ハヤテ君の気持ち!恋は自由…フリーダムなんだよ!つまらない理屈とか抜きで、好きなものは好き!!だから自分を解き放って叫ぶの。想いのままに!!」


非常に熱く力説する西沢さん。
さすが「ラブマイスター」だけある…


「私のこの手が真っ赤に燃える!!ハヤテを掴めと轟き叫ぶ!!ふるえるぞハート、燃えつきるほどヒート!!!」

「ちょ、ちょ、西沢さん…!!」

「あっゴメン…ちょっと熱くなっちゃって…テヘ」


熱くなりすぎです。しかも僕の名前呼んでるし。
…でも、やっぱ恋ってこんなにも人の心を動かすものなんだな。
ハート…僕の気持ち…か。


「そんな感じだから、私まだまだハヤテ君に恋してるからね?」

「ちょっとリアクションに困りますが…こんな僕なんかに、ありがとうございます」

「お礼の言葉はいらないから、私と付き合ってくれたらそれで良いんだけど…」

「ゔっ…スミマセン…」

「むむむ…謝られると逆にショックかな…まあ、私で良ければまたいつでも相談してね!ハヤテ君の恋、上手くいくといいね」

「…西沢さん」


僕の恋がどう転ぶにせよ、「上手くいく」というのは西沢さんにとってはそんなに嬉しくないはずだ。…自分で言うのもナンだけど。
それをこういう風に言ってくれるとなると、もはや僕一人の恋ではなくなってるのかもしれない。


「ホントに…ありがとうございました」

「ウン、頑張ってね!ハートだよ!!…またね!!」


------------------------


西沢さんと別れて、アパートに戻るまでの道のりも、ずっと考え続けた。

それにしても僕があのヒナギクさんに恋かぁ…
始めは、住む世界が違うと思ってた。でもそんな事は一切無かった。
元気で…朗らかで…美しくて…たまに出る子供みたいなところがまた可愛くて…
このままいくらでも褒める言葉が出せそうだ。

僕の事、どう思ってるかな?
多分、以前ほど嫌われてはない…はず…。(←オイオイ…)
挨拶だって返してくれるし、こないだ遊びにも行けたし。(全部アーたんのおかげだけど)
どうすれば僕の事見てくれるかな…?コレも西沢さんに聞いとけば良かったな…

好きな人とかいるのかな…?いや、いないでいて欲しいな…
でもいるかもな〜。華の女子高生だもんな〜。
ヤバイ、気になってきたぞ…!
いない!いないと信じたい…!!

もう学校から帰ってるかな?今日も会えたらいいな…

その時の僕は「恋しちゃってます」オーラ全開で、傍から見たらとても気持ち悪かったと思う。
まあこれも、恋はフリーダムというラブマイスターの教え通りなので、どうかお目こぼしを…。
とかなんとか考えてる内に、アパートに到着。


「あら、ハヤテ君。おかえりなさい!」


アホみたいにニヤけている僕を迎えてくれたのは、会いたくて仕方無かったあの人。
よっしゃ!超ラッキー!!


「あ、ヒナギクさん…ただいま戻りました。ヒナギクさんもお帰りでしたか」

「うん。今日は部活も生徒会も無かったから」


今日も可愛いなぁと思いながらも、平静を装って挨拶し返す。
帰り道に思っていた願望がわずか数行のうちに叶うとは…僕にしては運が良すぎる。
どうやら花壇の手入れをしているようだ。

余談だが、このアパートの花壇の世話はヒナギクさんが主にやっている。
「生活のほとんどをマリアさんとハヤテ君に世話してもらってるからせめてこれくらいは」と志願されたのだ。
学校生活で有り余る活躍をしているのだから、そんな気を遣わなくて良いとは言ったものの、それに引き下がる彼女ではない。
ちなみに花壇の世話は、水をやったり、雑草をむしったりするだけだが、継続してやるのは結構めんどくさいものだ。


「今日も花壇のお世話ですか…ご精が出ますね」

「うん、自分で言い出した事だし…花は好きだから楽しいわよ?それに、同じ名前を付けてるから…ね!」

「ハハハ…雛菊、綺麗に咲いてますね」

「そうね」


花壇には、赤・白・ピンクと色鮮やかな雛菊。(←漢字は花のほうとして下さい)
その花は太陽を仰ぎ、風とヒナギクさんの想いを受けて、真っ直ぐに咲いている。
ちなみにこの雛菊はお嬢様が、多少の皮肉を込めて調達してきたものだ。
ヒナギクさんも最初は少し恥ずかしがっていたが、今はもう自分の分身かのごとく毎日世話をしている。


「僕にも花壇のお手入れ、手伝わせてください!」

「え…じゃあお願いしようかしら?」


ここに居座るのにとても体の良い理由を見つけられた。
断られるかなとも思ったが、案外ヒナギクさんも一発でOKしてくれた。
僕は鼻歌混じりに如雨露(じょうろ)に水を汲みに行った。


「フンフ〜ン♪水汲んできました〜!」

「ありがと!じゃあ今日はハヤテ君が水やりしてあげてね」

「ハイ!」


言われた通り、咲き誇る雛菊たちの根元に水をやっていく。
乾いた土に水が行き渡り、とても気持ち良さそうだ。


「帰って来て早々、手伝わせちゃってゴメンね?」

「いえいえいえ!僕がしたかっただけなんで!…それにヒナギクさん、こないだ言ってたじゃないですか。『ゴメンは要らない』って」


そう言いながらあの時の「あいあい傘」を思い出して、少し顔が赤くなる。
また出来たらいいな…


「あっ、そうだったわね…じゃあ、ありがとうハヤテ君!」

「ハイ、どういたしまして…って言うのもおかしいですね、自分の住んでる家の庭ですし」


そんな事を言って二人で笑い合う。
…やっぱり幸せだな、この人といると。


「そーいえば、ヒナギクさんのお名前の由来って、この雛菊と関係してるんですか?」

「ん?そうね〜…」


何気無い疑問を口にしただけで、他意は無かった。
ただ、それに対するヒナギクさんの含みのある言い方が気になった。
口元に手を当てて、少し考えてる様子だ。


「雛菊の花言葉って、知ってる?」

「ええ、『無意識』や『明朗』『純真』『お人好し』…とかですよね」

「…えらく詳しいのね?」

「ハイ、花屋でのバイト経験もありますので!」

「…そうなの」


実際のところバイト経験も嘘ではないが、花言葉なんて大して覚えちゃいない。
とにかくヒナギクさんが気になって仕方無かったので、最近なんとなく調べたのだ。
好きな人の名前が花で、その花言葉を調べるというなんともロマンチスト(笑)なヤツだ。


「ハヤテ君の言ってくれた他に『幸福』っていうのもあるらしいの。」

「そうなんですか!」

「それでね、『私の周りの人たちみんなを幸せにして欲しい』っていう事で、雛菊にしたんだって」

「…なるほど」


…そうだとしたら、僕はもう彼女の名前の通りだ。
ヒナギクさんと一緒にいて、いや…一緒でなくても、彼女の事を考えるだけでとても幸せな気分になれる。
ちなみに僕の調べたものには「幸福」は載ってなかった。(後日見直したら、見落としただけだった)


「素敵な名前ですね…」

「うん、私も大好き。…私がこの名前に誇りを持ってる事が、本当の両親との唯一の繋がりなの」


そうか、ヒナギクさんは自分を置いて行った両親の事も愛し続けている。
ヒナギクさんがヒナギクさんであり続ける事だけが、その両親へ出来る愛情表現なのか…

これが分かってようやく先ほどの含みのある物言いに合点がいく。
「雛菊」という名前は、ヒナギクさんの心の奥の奥まで踏み込んだ領域だったのだ。
人の名前だから、誰にでも重要である事には違いないが、ヒナギクさんにとってはさらにそうなのだ。


「…照れくさい話だから、他の人にはナイショよ?」

「…ハイ!」

「じゃあ片付けて、せっかくだから縁側でお茶にしましょ?」

「い〜いですね〜!そうしましょう、そうしましょう!!」


雫を輝かせる雛菊を見ながらのティータイム。
「しあわせの花」の姿に微笑む彼女は、僕の心を温かい気持ちで満ち溢れさせるのだった。


つづく


------------------------


【あとがき】

今回は小説タイトルの由来となるお話でした。
アニメ2期のヒナのキャラソン"I miss you"を聴いて、思いついたものです。
ハヤテのセリフを少しだけ歌詞にかぶせてます。
ちなみに、"Power of Flower"の歌詞もちょっとだけパロって使ってます。
ヒナの歌はどれも大好きなので、これ以降もチョロっと使うと思います。


さてハヤテですが、ようやく「自分はヒナギクが好きだ」という認識を持ちました。
「ヒナギクへの想い」を重点にしたので、「アーたん・ナギ他との人間関係」についての解決は後回しです。
ハヤテのモノローグ(一人語り)をとにかくヒッナヒナにしようと心がけましたが、いかがでしょうか?
ハヤテのヒナへの想いの気付きをもう少しドラマチックにしようかなとも思いましたが、冒頭の原作9巻のヒナのパロディを使いたかったのでナシにしました。
始まりをテキトーにした分、その先の恋をハヤテには頑張ってもらおうと思ってます。
ただ、告白だとかのアクションはアテネ(アリスではなく)との関係をハッキリさせてからでないといけないので、非常にネタに困っているところです。笑
そんな所もまったり考えていこうと思います。

歩への相談と、花壇のやり取りのパートは分けようかなとも思いましたが、結局一緒にしました。
帰り道にアホみたいにヒナヒナ考えてるハヤテの描写を書きたかったので…笑
この物語の歩も、もちろんヒナのハヤテへの想いを知ってます。
ただラブマイスター(笑)として、「自分の恋は自分で掴み取れ」というスタンスを取ってるものとしてますが、全面的に二人の味方です。


ところで余談ですが、何巻か忘れましたけど原作でヒナが答案用紙に「桂ヒナギク」って書いてた所があったのですが…
一応正式(畑先生の公式プロフィール)には「桂雛菊」がヒナの名前だからスゲー違和感を感じた覚えがあります。「高校生で自分の名前カタカナは無いだろ!」って。
ちなみにハヤテは「綾崎颯」、ナギは「三千院凪」が正式名ですね。
ちなみに私のハンドルネームの由来はビートルズの曲名です。スミマセン。


毎度のこと、非常に取り留めの無いあとがきでしたが、以上です。
ご意見ご感想お待ちしております。
ありがとうございました。

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Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【第4話更新】 ( No.16 )
日時: 2011/10/31 07:29
名前: リバーシブル

>そう。甲斐性無しの僕にも…アーたんという想い人がいる。
>10年間想い続けた、初恋の人。
>彼女を好きだと言いながら、ヒナギクさんの事ばかり考えている。
>うわ…改めて僕ってヤツは最低な男だな…

ハヤテ………自分の事を好いてくれる人に他の人が気になってるんですっていう

相談自体が既に最低なことだからな!!?西沢さんじゃなかったら刺されてるぞ多分!


>でも今は、ヒナギクさんの事を考えてる時間の方が多い。
>…ウソを言った。ヒナギクさんの事しか考えていない。

もう、既に恋の末期癌ですね。処方といたしましてとっとと告白しやがれコノヤロー

でもまだ解決事項が残ってるから無理か………


>好きな人とかいるのかな…?いや、いないでいて欲しいな…
>でもいるかもな〜。華の女子高生だもんな〜。
>ヤバイ、気になってきたぞ…!
>いない!いないと信じたい…!!

残念ながら居るんだよ(お前だお前←ハヤテには絶対に聞こえない声)



自分の想いを自覚したハヤテ、しかも未確認状態の時の反応がヒナギクと一緒とか、

以心伝心の関係かお前らは!!


今回のハヤテのにやけた表情に殴りたいのを抑えつつ次回も楽しみにしてます。
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Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【第4話更新】 ( No.17 )
日時: 2011/10/31 23:12
名前: ロッキー・ラックーン

>リバーシブルさん
ご感想ありがとうございます。

今回のハヤテの行動は非常に軽率です。
自分の事で手一杯だから相手を思いやれる余裕が無い状態です。
なるべくなら第三者を交えずにヒナヒナさせてやりたい所ではありますが、私の中での「歩=スケールのデカイ奴」を表現したかったから登場してもらいました。
最初は「前の学校のうるさい女」としか思ってませんでしたが、案外子供っぽいヒナを諭す歩がなかなかツボだったので最近では好きなキャラの一人です。

ヒナの片想いのいろいろ(セリフとかモノローグとか)をハヤテがパクることで読者の皆様に「そういえばあの時ヒナがこう言ってたな〜」と懐かしんで頂きたいというのもありますので、今後も以心伝心の状態は続きます。
おっしゃるとおり、恋の末期癌状態はまだまだ続く予定です。

次回もどうぞお楽しみに!
それでは失礼します。
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Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【第4話更新】 ( No.18 )
日時: 2011/11/02 23:19
名前: こよーて

ついに自覚しましたね。
ハヤテ君のうかれっぷりには目も当てられません。
ただでさえデリカシーないのにさらに周りが見えなくなってるようですね。
まさか西沢さんに相談とは……!
西沢さんの寛大さと図太さには感服ものです。
ハヤテ君にはのちにくるであろうアテネ問題までは今の状態を楽しんでほしいものです。
よく言う『今が1番幸せ』て状態でしょうから。
まあ、こちらとしてはその後の修羅場が1番楽しみなんですが。
今のヒナギクの心情も気になるとこですがハヤテの一人称の手前それは難しいですかね?
では、これからもがんばってください。
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Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【第4話更新】 ( No.19 )
日時: 2011/11/03 03:27
名前: ロッキー・ラックーン
参照: http://hinayume.net/hayate/subnovel/read.cgi?no=7738

>こよーてさん
ご感想ありがとうございます。

目も当てられない浮かれっぷりを表現出来ていたのなら幸いです。
それがこの物語の最大のテーマですので。笑

アテネ関連は、修羅場ナシに終わります。
このレスを書いているのが5話アップ直前ですので…
ハヤテの恋によって憎悪するキャラを出したくないし、なによりテーマから外れたストーリーになってしまうと考えた結果です。
そのためナギ・アテネ・歩ともに精神的成長が著しい状態になっちゃいました。

ヒナギク目線で物語をやり直す事で、ハヤテ目線では分からなかった行動の真意が分かるかな〜とも思いますが、多分やりません。想像して頂くのも一つの楽しみだと思いますので…(スミマセン、手間がかかるのも事実です)
いずれヒナから説明されるとは思いますが、未定です。

ちなみに他の作者さんのオススメになりますが、明日の明後日さんの「太陽と月」でその手法が取られています。同じストーリーをヒナ・ハヤテ目線で2回やっているので、かなりのボリュームとなってます。
だいぶ前に書かれたものですが、いまだにひなゆめで一番のハヤヒナだと思ってますので、未読の際は是非。

うお、オススメで終わってしまいました。
次回もお楽しみください!

では失礼します。
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Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【第4話更新】 ( No.20 )
日時: 2011/11/03 03:44
名前: ロッキー・ラックーン
参照: http://hinayume.net/hayate/subnovel/read.cgi?no=7738

こんにちは、ロッキー・ラックーンです。
ハヤテのアニメ3期が決定だそうです。おめでとう!
この勢いで「HiNA」第2弾の製作もお願いします!!

それではどーぞ!


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「ごめ〜ん、ハヤテ君!!…待った?」

「いえいえ、つい今来たばかりです」


とまあ聞き飽きたようなデートの常套句でやり取りをするのは、僕こと綾崎ハヤテと、皆様ご存知桂ヒナギクさん。
恋人同士でもない僕ら二人だけど、今回は僕からの誘いで、一緒に映画館に行く事にしたのだ。
いつぞやの「自分の意思で誘いなさい」という彼女の言葉を信じ、勇気を出して誘ってみたのだ。

ちなみにヒナギクさんは約束の時間の1時間前に待ち合わせ場所にやってきた。
そういう僕はその1時間前からこの場所にいる。
さてさて、今回はどんな事が起こるのだろうか…?


     第5話【「ハヤテ!」での金髪+幼女の回答例は2通りある】


事の始まりは4日前…
僕は自室で好きな人の事を考えながら悶々としていた。

相手と自分二人だけの世界を脳内に創り出す。その好きな人を自分の思い通りに動かす。欲望と妄想は止まらない。
「恋」だなんて言葉にすればキレイなものだが、その実態は幼い独占欲に他ならないものなのだ。

…などと片想いの恋ひとつで人生を悟ったように考え、またそんな自分に陶酔してしまう。
実際はアクションひとつ起こさずに妄想しているだけ。
そんな自分に気付いて、また切なくなる。

コンコン

誰かのノックの音でハッと我に返る。
余談だが我に返ってしまうと「恋する自分」なんて、実に滑稽で笑えるものに見えてしまうものだ。


「はい、どうぞ」

「失礼します。ハヤテ君、ナギが部屋まで来て欲しいそうなので、手が空いたら行ってもらっていいですか?」


ノックの音の主はマリアさん。
お嬢様がマリアさんを使って呼び出すだなんて、ココに来てからは一度も無かった事だ。
一体なんだろう?


「かしこまりました。すぐ行きます!」

「ええ、お願いしますね」


あまり考えもせず、ふたつ返事で部屋を飛び出した。
この呼び出しがこれからの僕の運命を大きく変えることも知らずに…


コンコン

「あ〜、ハヤテか?」

「ハイ」

「いいぞ、入ってくれ〜」

「ハイ、では失礼します」


お嬢様の態度はいつも通り。特に気にもせずドアを開けてみると、アーたんも一緒に姿勢を正して待っていた。
お嬢様とアーたんがこんな風に僕を呼び出すのも初めて…というかこの二人が一緒というのもあまり見た事が無い。


「あれ…アーたん?」

「よく来てくれましたわね、ハヤテ」

「ああ、アーちゃんも私が呼んだ…というか、私たち二人でお前を呼んだと言った方が正しいな」

「…そうですか」


色々と初めて尽くしだった事で、ようやく僕もこのただならぬ雰囲気を察して何かしらの事件を覚悟した。
一体どんな言葉が僕を待っているのだろう。


「まあ立ち話もなんだから、座ってくれ。ホラ、そこのイスに…」

「ハイ、では失礼して…」

「わざわざすまんな。マリアを使って呼び出して改まった話をするのは、他でもないハヤテの事だ。いくつか質問するから答えてくれ…答えたくないものには答えなくても構わない」

「ハイ」


改まった雰囲気に、さすがに緊張してきた。
最近は特に問題も無かった気がするけど、何かあったのかな…?


「なぜ私にはこの物語で出番が無い!?」

「ほえ?」


あまりに唐突かつ意味不明なお言葉に、変な声が出た。
出番って…?


「ナーちゃん…その質問は作者にする事ではなくて?」

「おおっと、すまんすまん…こんなふいんき久しぶりだっただから素の自分が出てしまった!テヘペロ」


一瞬にして雰囲気台無し。
というかさっきはスルーしていたけど、この二人の呼び方って…?こんなに仲良かったっけ?


「えーっと…それで僕への質問…というのは?」

「ああ、それそれ!お前、ヒナギクの事好きだろ?」


ギックウウウウ
と心臓が鳴ったような気がした。
脳みそがこの展開に追いつかない。


「え…え?ええ!?」

「否定しないんだな…」

「そうですわね」


なんか二人して残念な雰囲気を醸し出している。
この後の言葉が怖い。


「まあそんなのお前を見てればすぐに分かる…というワケで、アーちゃん!」

「ハイ。ハヤテ、これを…」

「?」


といってアーたんが差し出すは2枚の紙切れ。
受け取って見てみると、それは今流行りの恋愛の泣けるマジな映画のチケットだった。


「コレは…?」

「見れば分かるだろ?映画のチケットだ」

「はぁ…」


もちろんそんな事を聞いた訳では無いが、その後の会話に困ってしまう。
どういう聞き方をすればこの展開に追いつけるものなのか…?


「このチケットはな、私たち二人の汗と涙の結晶なのだ!」

「その通りですわ!」

「…それで、その結晶を何故僕なんかに?」

「そりゃあ、私たち…」

「その映画、全く興味ありませんし」


ズコー
という音をたてながらコケた。
汗と涙の結晶なのに…


「という事だ。お前にやる!誰か誘って行って来たらどうだ?」

「ハイ、ありがとうございます…」


いまだに雰囲気が掴みにくい所ではあるけど、流れからかろうじて察するに、これでヒナギクさんを誘えって事なのかな…?


「ゲフン ヒナギクとか ゲフフン 誘って行けば ゲフフフン 良いんじゃないか」

「ケホッ そうですわね ケホケホ ヒナなら ケホン 喜びますわ」


全部言っとるー!
今度はヘコーという音をたててコケた。


「では二つ目の質問だ。ハヤテはこの映画、誰を誘って観に行くつもりだ?」

「えーっと…では、ヒナギクさんを…」


改めて姿勢を正しての質問。
なんか言わされた感が強烈だけど、僕の意思でもあるから何の問題も無い答えだ。


「な、なにーー!?あのヒナギクを誘うのか!!?お前、本当にイケるのか?」

「ハヤテったら、まさかあのヒナを…成長したのですわね…嬉しいですわ…」


えーっと…何でしょうかこの茶番は?
僕はどんなリアクションをしたら…


「では、三つ目を私から。…ハヤテの好きな人は…誰ですか?」

「!!」


急に空気が締まった気がした。
この質問には本気100パーセントで答えなければならない、そんな気を起こさせる雰囲気になった。


「答えたくないのであれば、答えなくても構わんのだぞ?」

「ええ、ハヤテ…」


一度目を瞑る。
お嬢様と過ごした日々、アーたんと過ごした日々を思い出す。
そして最後に、ヒナギクさんの事を…

覚悟は決まった。


「僕の好きな人は…ヒナギクさんです!」

「なるほど…本気なのだな?」

「ええ、お嬢様にウソなど言いません!!」

「私…といっても、アテネの方ですが。好きな人というのは私でもないのですね?」

「ハイ、ヒナギクさんです!」


覚悟して言った。
これに何を返されても後悔しない。するもんか。


「よーし、じゃあ頑張って来い!ハヤテならいける!!何より、私がついてる。」

「私も、及ばずながら応援してますわよ」

「お嬢様、アーたん…」

「あらあら、お話は終わりですか?」

「「「マリア(さん)!?」」」


マリアさん、いきなりの登場。
まるで待ってましたと言わんばかりのタイミングだ。


「ハヤテ君、貴方には貴方の話を聞いてくれる人がたくさんいます。…もちろん私もです。だから、何かあったら遠慮なんていりませんからね?」

「そうだハヤテ!私の執事なら、好きな女くらい口説き落として来い!借金の事なんか気にしないでいいからな!!」

「私も、ハヤテが好きです。…だから、その大好きな貴方の幸せを望みます。過去の事を気にする必要もありません」

「…っ」


思わず涙が出てきた。
僕は一人ではないし、この恋も僕一人で悩む事でもないのだと分かったからだ。
というか、思い返してみたら完全に僕のために会話の流れを作ってくれていたのだ。

もう迷いは無くなった。
僕はヒナギクさんが好きだ。誰に咎められてもコレだけは譲れない!


「皆さん、ありがとうございます…僕は、嬉しくて嬉しくて…」

「おっと、ハヤテ!!その言葉はヒナギクを落としてから言うんだな。アイツはお堅いぞ!?(笑)」

「そうですね、皆さんに良い報告が出来るように頑張ります!!」

「あとハヤテ、この映画を観に行って告白しろというワケじゃないぞ?このチケットは私たちからの支援物資の一つに過ぎない…戦況が思わしくなければ、引く事も重要だ」

「ハイ、報告がいつになるか分かりませんが、全力を尽くします!!」


なんか途中から兵士の送別会みたいになってるような…


「よ〜し、じゃあ今夜は一発景気付けだ!…マリア!」

「ハイハイ、お持ちしましたよ」


お嬢様の一声で、マリアさんが台所に行き、戻ってくる。
と、マリアさんの手にあるアレは…!
少し刺激的なジュース(笑)ではないですか!?

ツッコむ暇も与えられずに全員分がグラス(アーたんにはひと口分だけ)に注がれる。


「よし、皆に行き渡ったな?では、ハヤテの恋の成就を願って…カンパーイ!!」

「「「カンパーイ!」」」


僕自身あまり乾杯の席に慣れていない事と、今回の乾杯のテーマもあり非常に照れくさい。
けど、僕の右手にあるグラスの中のものを飲み干せば、きっと「しあわせの花」を手に入れる覚悟が出来るのだと思った。
その覚悟を決め、ひと思いに飲み干す。
…うん、久しぶりに少々刺激的。


「お!ハヤテ、グラスが空だな…では私自ら注いでやろう!」

「お嬢様、ありがとうございます!…いただきます!!」

「はーはっはっは!いいぞ、ハヤテ!もっと飲みんしゃい!」

「ハヤテ君、私からも注がせてください」

「マリアさん、ありがとうございます!!…いただきます!!」

「さすがハヤテ君、もう一回カッコイイ所見せてください」

「ええ、今夜はいくらでも飲みますぞ!!」


…終いにはただのどんちゃん騒ぎになっていた。
そして僕以外全員飲みすぎて寝てしまった。(アーたんはおねむの時間なのでひと口で寝てしまいました)

眠ってしまったお嬢様たちに布団をかけ、縁側に出て夜空を眺めていた。
ヒナギクさんをデートにか…昔、そんなことを生徒会の三人組にやらされた事があったな〜。
あの時もホントに楽しくて、でも嫌われているんじゃないかって怖くて…
今は、お嬢様が、アーたんが、マリアさんが、西沢さんが…皆がついている。勇気は100倍だ!!


「あら、ハヤテ君?」

「ヒナギクさん!?こんな時間に…」


突然のエンカウント。
と同時に心臓がバクバク言い出した。
さぁ、どうやって切り出そうか…


「ハヤテ君、アリスはナギの部屋かしら?すぐ戻るって言ってたけど…」

「ああ、アーたんならお嬢様のお部屋で寝てますよ。だいぶお疲れのようだったので、今夜はこのままお休みです」

「そうなんだ。マリアさんもいないから心配しちゃった…ところでハヤテ君、ちょっとお酒臭いわよ?」

「え゙…やだなぁ、ヒナギクさん。ぼかぁまだ16歳でござんすよ…」


あのダメに…桂先生と一緒に暮らしていたとなると、ヒナギクさんの嗅覚も研ぎ澄まされているようだ。
いえいえ、僕らは少し刺激的なジュース(笑)を飲んでいただけなので、決して飲酒など!!


「まったく、未成年でしょ!?黙認なんてのも立場上出来ないし、ホントに頼むわよ…?まあ、ハヤテ君もストレス溜まってるわよね…私からはガミガミ言わないけど」

「え…ハハハ…」

「でも、あんまり飲みすぎるとすぐお姉ちゃんみたくなるわよ!?…ああはなりたくないでしょ?」

「ハイ、断じて」


なんとかヒナギクさんのお目こぼしも頂けた。(いや、飲酒ではないのでそんな必要もありませんが!!笑)
さてさて、映画の話…


「あの…ヒナギクさん?」

「なーに?」

「あの、今週末お暇ですか…?あ、いや、今週末が無理でしたらお暇な時が出来るまで待ちます!!」

「どうしたの?改まっちゃって…あ、スケジュールね。今週は日曜ならお休みよ」


いやったあ!と、ガッツポーズをしたい所だけど、まだそれは先だ。
まだ本題にすら入っていない。


「えと、あの…でしたら、良かったら僕と一緒に、この映画を観に行きませんか!?」


言えた!言えたぞ!!
あとは野となれ山となれ(←それは違う気がする)…チケット2枚をかざし、ヒナギクさんの返事を待つ。
かざしたチケットをヒナギクさんは手に取り、書いてある情報を読む。


「ハヤテ君から映画のお誘いなんて…また美希たちからの差し金かしら?」

「いえ、今回は100パーセント僕の意思です!!」


そう、チケットは貰い物だけど…誘う意思は全部僕のものだ。
笑顔でヒナギクさんの返事を待つが、内心はヒヤヒヤだった。


「そう…なら嬉しいわ。是非行きたいわ」

「やった…」

「あ、でも日曜は朝ちょっと実家に行くから…駅前で待ち合わせでいい?」

「ええ、是非!!」

「フフッ、楽しみにしてるわね…じゃあおやすみ。もう飲んじゃダメよ?」

「気をつけます。…おやすみなさい!」


という訳で、あっさり成功!日曜日、楽しみすぎる!!
それから3日間、僕の脳みそは何百、何千とヒナギクさんとデートする姿をシミュレートするのだった。
確実に来る幸福を待つ時間こそが至高と言うが、まさにその通りなのだった。

ヒナギクさん、今度は前みたいな失敗はしません。
だからどうか…僕の事を見ていてください!!


つづく


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【あとがき】


タイトル前より先に進まずに終了です。
だいぶ長くなってしまいましたので…

今回で、ハヤテの恋における手枷・足枷を取り外しました。あとは本人の勇気次第です。
アテネ関連はもっと殺伐とした感じにも出来ましたが、ハヤテにはヒナをまっすぐ見てもらいたいと思って書いてるので、ハヤテの恋に対し本気の憎悪を抱く人間を出しません。あくまでコメディ主体です。
失恋を迎えてしまったナギ・アリス(アテネ)、それぞれがハヤテの幸せ・ヒナギクの幸せを考えた末に精神的に成長した結果の行動と読んで頂けたらと。
ちなみにナギもアリスもマリアも、ヒナの想いを知ってます。
彼女たちも、ハヤヒナがさっさとくっつくように全面協力する形となります。

ナギとアリスは良いコンビ(ねぼすけ・世間離れコンビ)になると思うんですが、原作では絡みが本当に少ないです。
コレもキャラ多すぎの弊害かと…
アーちゃん・ナーちゃん話は次回に真相をやる予定です。

あと、マリアさんが持ってきたのはあくまでジュース(笑)です!
未成年の飲酒はいけませんよ〜。

ご感想・ご質問などお待ちしております。
ありがとうございました。

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Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【第5話更新】 ( No.21 )
日時: 2011/11/03 07:15
名前: リバーシブル
参照: http://hinayume.net/hayate/subnovel/read.cgi?no=8011

更新お疲れ様です。リバーシブルです。

>恋人同士でもない僕ら二人だけど、今回は僕からの誘いで、一緒に映画館に行く事にしたのだ。
>いつぞやの「自分の意思で誘いなさい」という彼女の言葉を信じ、勇気を出して誘ってみたのだ。

 ほう、経験が生きたな……ヒナギクも喜んでるはずだろうな、ハヤテ自身の意思であれば

>ちなみにヒナギクさんは約束の時間の1時間前に待ち合わせ場所にやってきた。
>そういう僕はその1時間前からこの場所にいる。

 二人とも行動が早すぎですよ!!?(;゚Д゚)! 楽しみなのはわかるけどせめて三〇分前に

 しておきなさい(苦笑)



>改まった雰囲気に、さすがに緊張してきた。
>最近は特に問題も無かった気がするけど、何かあったのかな…?
>「なぜ私にはこの物語で出番が無い!?」

 え?え?いきなりメタ発言してる!!?(;゚Д゚)!?

 その後の中盤の茶番的なコントにも笑ってしまいました。

 


 ジュース(笑)を一杯貰っておこうか(マテ)


 次回も頑張ってください
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Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【第5話更新】 ( No.22 )
日時: 2011/11/04 01:41
名前: ロッキー・ラックーン

>リバーシブルさん
ご感想ありがとうございます。

ハヤテの意思で誘われたヒナギクの心情…書きたくて仕方ねーっす!!笑
それはもう天にも昇る勢いになると思います。
この待ち合わせ時間の余剰分も、次回以降に余す所無く使えたらと思ってます。

ナギ・アリスにはひたすらコメディ要員として働いてもらってます。
コメディ要員かつ、ハヤテ・ヒナがくっつくためのキーパーソンなので、思いっきり暴れ回ってもらってます。

ジュース(笑)は、彼らが恋人同士になれたらお祝いで飲みましょう!

次回もお楽しみに。
それでは失礼します。
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Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【第5話更新】 ( No.23 )
日時: 2011/11/05 03:59
名前: こよーて

い、いつの間にナーちゃん、アーちゃんなんて関係に!?
まあそれはともかく、「私の執事なら、好きな女くらい口説き落として来い!」
「何より、私がついてる。」
が、かっこいいですね。ナギ頼もしすぎです。
これまでお得意の不幸スキル発動することなくとんとん拍子にいくのも彼女たちが見守ってたからかもしれませんね。
そしてついに好きな人宣言!
よくぞここまで!!
ホント成長したのもです。こちらも嬉しいかぎりです。
あと、好きな人のことを考え悶々としたり、デートを心待ちにしてるさまはもう普通の男の子ですね。
なんかおかしくなりました。


では、このへんで。次回も楽しみにしてます。
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Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【第5話更新】 ( No.24 )
日時: 2011/11/05 23:32
名前: ロッキー・ラックーン
参照: http://hinayume.net/hayate/subnovel/read.cgi?no=7738

>こよーてさん
ご感想ありがとうございます。

ナギ・アリスの関係は次回に。現在制作中で、かなりメチャクチャな展開になってしまいましたが…笑

金髪幼女共のセリフはかなり気を遣いました。
自身の失恋からハヤテの応援に移り変わるための前向きな気持ちを全面に出せる言葉を選んだつもりです。

ハヤテの不幸スキル不発の要因は、何よりも「雛菊の花言葉」のつもりでしたが、確かに幼女たちの見守りと手助けも必須ですね。
これだけの人に囲まれているにもかかわらず、原作ハヤテの不幸っぷりはホントに酷いものです。

ハヤテも思春期の男の子です。一応…笑
悶々として、勢い余って後悔するくらいの洗礼は受けてもらわないとと思ってます。
16歳なんだから、成功の倍以上の失敗をしてヒナの事を深く知って欲しいと願ってます。

毎度コメント励みになります。
ありがとうございました!
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Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【第5話更新】 ( No.25 )
日時: 2011/11/06 01:06
名前: ロッキー・ラックーン
参照: http://hinayume.net/hayate/subnovel/read.cgi?no=7738

こんにちは、ロッキー・ラックーンです。
「HiNA2」の発売も決定だそうです。嬉しすぎる…
「HiNA」からもう約3年…時が経つのは早いです。

今回は一風変わった趣向にしましたお話です。
それではどーぞ!


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皆様ごきげんよう。
アリス(仮名)でございます。
今、私は非常に困っておりますの…大事件です。


     第4.5話オモテ【京アニがアニメ化とかしてる方の日常】


本日の起床…正午。

ヒナとハヤテと千桜さんは学校へ。
マリアさんは最近趣味でハマっているというセパタクローへという書置きが。
つまり私の他にこのアパートにいる人間はいないという事なのです…ただ一人を除いて。

コンコン

「ナギさん、いらっしゃいますか?」


返事が無い、ただの空室のようですわね…
いえいえ、あの方が普通に起きて学校だなんてあり得ませんわ!


「ナギさん!入りますわよ!!」


と言いながらズカズカと入っていきますと…
やはり、中には布団にうずくまる大家さんの姿がありました。


「ナギさん!起きてください!大事件ですわよ!!」

「う〜んムニャムニャ アニメ第3期なんて幻想か〜ムニャラ」

「アニメ3期も大事件も現実ですわよ!!」

「なにーーー!…って、アリスじゃないか。こんな朝早くにどうしたと言うのだ?」


「朝早く」なんてどの口がおっしゃいますか…
おっと、そんなツッコミより事件ですね。


「落ち着いて聞いてください。今、このアパートには…私と貴女しかいないのです!」

「ふ〜ん…」

「何をのんきにしてらっしゃるのですか!?私たちでどうやって昼食の用意をすれば…」

「見くびるなよ、お姫様!!」

「!!」


おお、寝起きだというのに急に頼もしく見えてきましたわ。
さすがに今の私の倍の年齢だと言えますね…


「誰もいないなら…寝ながら帰りを待てば良いではないか!」


ズコー

この私をギャクまんがのようにコケさせるとは…さすがは三千院家のご令嬢。
そこにシビれもしませんし、憧れもしませんけど。
それにしてもダメですわこいつ…早くなんとかしませんと…


「じょ、冗談だ!昼メシくらい、この私に任せろ!!」

「ジトー」


さすがにこのドン引きの視線を送れば、日和ってくれましたわね…
でも、事態としては一つも前に進んでないような気もしますが。


「さて、着替えも済んだ!アリスよ、これから私は千桜直伝の究極奥義を使うぞ!!」

「して、その究極奥義とやらは何でしょうか?」

「フフフ、聞いて驚くな…コンビニ弁当だぞ!!」


・・・


「まあ、昼食さえ調達出来れば良いですからね…」

「頼む、ソコはツッコんでくれ…」


マリアさんが出かけるのに、私たちの昼食の用意をしてない事は少々不自然に思いましたが(毎日本当にありがとうございます)、実はナギさんが「コンビニに一人で行ってみたい」と事前に言っていたそうなのです。


「さぁアリスお嬢様よ、何でも食べたいものを言ってくれ!」

「…では、焼きそばを」


以前、ヒナが昼食に作ってくれた焼きそばがとても美味しくて、それから私の好物になりました。
ちなみにハヤテとマリアさんにも別の日に作ってもらいましたが、それぞれ味付けの好みが違うようです。


「なに、そんなもので良いのか?任せておくアルよ!」

「ある…?」

「すまん、聞かなかった事にしてくれ…では、お留守番頼んだぞ!」

「はい…早く帰って来てくださいね?」

「ああ。…三千院ナギ、ガン○ムスロー○ド○イ、行きまーす!!」


なんだかよく分からない事を言いながら行ってしまいました。
そしてついにアパートには私一人となってしまいました。
一人きりは慣れっこでしたが、最近のココの賑やかさを思い出すと少々寂しいですわね…


ピンポーン

アンニュイな気持ちから我に返させる呼び鈴。
少し寂しかった所ですし、ちょうど良いタイミングですわ。

ピンポンピンポン
ピンポーン


「はいはーい!」


と扉を開いた瞬間、稲妻が走り土砂降りの雨となった。


「新聞を取ってください」

「え!?」


何ですかこの世紀末な感じの方々は!?
というかつい一瞬前まで快晴でしたわよね?


「新聞を取ってください」

「えと…今は主人が留守ですので…」

「ホホホ、たとえ世界が破滅しても新聞を取らなそうな顔をしてるね。
傘も差さずに勧誘する…みじめな姿はしれた事。しかしこうして自然の音を直に感じる…これが一番の音楽だと気付く…
さあ、新聞を取ってください」


ダメだ、何も聞いてませんわ!
今の姿の私に新聞だなんて、いったい何を考えてるのでしょう?


「すみませんが、子供の私では…」

「頑(かたく)なな女だね…頑なな女は全滅したと聞いたが、まさかこの関東に生き残ってたとはね…彦六!!」

「ヘイ!」

「こうなったら、アレをお見舞いしな!!」

「クックック…」


彦六と呼ばれた手下っぽい世紀末な方が前に出てきました。
そのトゲトゲしい服で私は何をされるというのですの!!?


「今流行りの恋愛の泣けるマジな映画のチケットです」

「ほえ?」

「フフフ…では、パパとママによろしく…」


去ってしまいました。映画のチケットを残して…
そして天気はまた快晴になりました。
これはいったい…

それから10分後


「おーい、帰ったぞ!!」

「おかえりなさい。」

「それより聞いてくれ!帰り道に凄い連中とすれ違ったぞ。それはもうもはや世紀末といった感じの…」


何故だか知りませんが、ナギさんの口調はとてもエキサイトな感じです。
あーいった方々に憧れてるのでしょうか…?


「私も南斗五車星の一角の娘として一戦交えてみたいところだったが、持病のシャクが…」


もう私もお腹が空いて少し気が立っているのでツッコみません。
こうなったら自分で本題に入るしか無さそうです。


「ナギさん、そんな事よりもお昼食はまだでしょうか?」

「おお、すまんすまん。アリスはこれだったな…ホレ!」


と、ようやく渡されるはコンビニの袋。
やっと昼食にありつける訳ですわね…


「ありがとうございます………!!?」


容器を開けてみると、そこには焼き魚が一尾。
少々展開についていけませんが…
まさか!まさかとは思いますが…


「ナギさん…これって…?」

「ん?焼き鯖(さば)だぞ」

「私がお願いしましたのは…?」

「え?焼き鯖だろ?」





「焼きそばですわ!!!」





「もしかして…聞き間違えちゃったか?メンゴメンゴ」

「そんなカワイイレベルの問題じゃありませんわ!ゆゆしき問題です事よ!!」


や…やはりナギさんの聞き間違えですか…
それにしても、よくコンビニに焼き鯖なんてありましたわね…
まあ、ナギさんも悪気があった訳じゃありませんし、犠牲になった鯖の命のためにも頂く事にしましょうか。


「はぁ…せっかく買って来て頂いたので、これを頂きますわ…それで、ご飯のほうは?」

「? …どゆこと?」





「白メシですよ!!!」





「え、いや…そんだけだが…」

「単品で食べろとおっしゃるのですか!?」

「いや、だってアリスが焼き鯖って言ったから…」





「焼きそばですわよ!!!」





「焼いたソバです!」

「でも、ホラこーゆー事件もブログとかに書いて消費すれば…」

「ブログなんてやってませんわよ!」

「えーっと…じゃあ、鯖のみで」





「鯖ぁーーーーっ!!」

↑叫ばずにはいられません。



「だいいちナギさんには前々からイライラしてたのです!ハヤテが毎日毎日起こしてるのにサボってばかり!少しは自分で起きるとかしたらいかがですか、この引きこもり!!」


カチーン

「…私が引きこもりなのとアリスが鯖を食うのは全然関係無くないか?」

「全然関係ありますわよ!」

「何だよ!?言ってみろ!!」

「引きこもりだから鯖単品を不思議と思わず買ってくるんでしょう!!」

「だぁあああ!!」




「聞き間違いくらい、誰だってあるだろ!?それをネチネチと…引きこもりじゃないし」

「幼少の身体には昼食は死活問題ですわ!引きこもりには分からないでしょうけど」

「引きこもりじゃないし」

「言っておきますけどね、今度からナギさんは絶対起こして差し上げませんわよ!?」

「はいはいそりゃ結構!アリスが起きられなくても起こしてあげないぞ!!」

「誰が貴女みたいな引きこもりに起こされると言うのですか!」

「引きこもりじゃないし!」

------------------------

「お話の続きだけど、ごめんなさい。桂ヒナギクよ!

いきなりだけど、むかし戦から五十歩逃げた兵士が、百歩逃げた兵士の事を笑ったという事があったの。
でも、五十歩逃げた兵士も『逃げた』事には変わらないということで、『程度の差はあっても本質的には変わらない』という意味で『五十歩百歩』という言葉が生まれたわ。
日本のことわざの『どんぐりの背比べ』も同様の意味になるわね。

…ひょっとして今回の私の出番ってココだけかしら?」

------------------------


「引きこもり引きこもりうるさいぞ!お前だってハヤテやヒナギクがいないと何も出来ないじゃないか!!」

「私は子供ですわよ!貴女の半分にも満たない年頃ですわ!!…それにしても何なんですか、いつも描いているあのマンガは!!アホですか!!」

「な、な、なん…だと…もういっぺん言ってみろ!」

「何度でも言って差し上げますわよ!アホですかアホですかアホですか!!」

「こ…の…アホでも引きこもりでもない!!ほら、お前が頼んだ焼き鯖だ!!文句を言わずにさっさと食え!!」





「焼きそばでしょうが!!!」





「だぁぁ、もう!!そんなに焼きそばが好きなんだったら…私がハヤテに習って作ってやらない事も…無いぞ?」

・・・←微妙な間

「な、な、な…何を言ってるんですの!?…でも、貴女のそういうポジティブな所…嫌いではありませんわよ?」

・・・←微妙な間2

「は、はぁ〜!?何言ってるんだ!…可愛いくせに!!」

「うるさいですわ!この…ツンデレの天才!いえ、天才のツンデレ!!」

「そっちこそお姫様のツンデレのくせに」

「そっちこそ可愛いくせに!」

「そっちこそ可愛いくせに!…アーちゃん!!」

「逆にそっちこそ可愛いくせに!…なら貴女はナーちゃんですわ!!」

・・・←微妙な間3

いつの間にか、私たちは固い握手を結んでいました。


つづく





------------------------





おっす!オラ、三千院ナギ!
「ハヤテのごとく!」のメ・イ・ン!ヒロインだぞ。
断じてニートでもなければ、引きこもりでもない。
今回はこのメインヒロインの私の恋物語をしてやるから、ありがたーく読むのだぞ!


     第4.5話ウラ【想い断ちがたく、初恋なりがたし】


「みんな帰ってくるの遅いな〜」

「そうですわね…」


今日は私と、さっき親友になったアリスと二人で留守番だ。
昼食も何とか済ませ、非常にタイクツな時間を送っている。
まったく、ハヤテもマリアも主人に留守番させるとはどーゆーことなのだ!?(←平日で学校がある日です)


「そういえば先程、こんなものを例の方々から頂きましたの」


と言ってアリスが差し出すは、今流行りの恋愛の泣けるマジな映画のチケットだ。
あの世紀末な連中がまさか新聞の勧誘などとは誰も信じるまい…


「むむむ…コレは…」

「どうしましょう?せっかく頂いたものですし、無駄にするのも勿体無いお話ですわ」


正直、私もこんな映画興味無い。
観るなら断然、今年映画化した執事コメディのアニメ映画だ。(メインヒロインが最高だぞ!)
いわゆるカップル向けの映画であり、このチケットを譲ってやる相手とそいつが誰を誘って行くかなんて事が私の頭の中で高速ではじき出された。
自分ではじき出しておいて、その男女の組み合わせに複雑な気持ちになる。


「なあ、アーちゃん…」

「なんでしょうか?」

「お前、ハヤテの事…好きか?」

「ええ、もちろん好きですわよ。…ナーちゃんもそうでしょう?」

「ああ、私も好きだ…初恋だった」

「『だった』のですか?」

「ああ…」


いきなりだが、最近…失恋した。いや、前々から勘付いてはいたけど。
私はハヤテと恋人同士だと思い込んでいた。出逢った時の言葉を勘違いして。
その勘違いの経緯(いきさつ)を先日、マリアに問いただしたのだ。
それを聞き、今までどうにも合点がいかなかった出来事のつじつまが合い、自分の思い込みだった事を自覚した。

確かに男女として愛し合っている事は思い込みだったけど、私とハヤテの間にある絆は思い込みではない。コレだけは譲れない。
だから、癇癪を起こしてクビだのなんだのと騒ぐような事は無い。ありえん。

そしてそのハヤテはというと、完全にヒナギクにゾッコンだ。
私もガキとはいえ、一応オンナだ。それくらいは見て分かる。

主人として、ハヤテの幸せを願う気持ちはウソじゃない。
アイツはこれまでずっと死に物狂いで頑張ってきたんだ。
好きな女にくらい振り向いてもらってもバチなど当たらない。
分かってる、分かってるんだけど、ハヤテが欲しいというワガママな感情を消し去る事が出来ない。
いっその事、記憶を全部捨ててしまいたい。この身体ごと消えてしまえば良い。
そんな風に考えてしまい、ハヤテの恋に対してイマイチ応援が出来てない今日この頃だ。


「私も…初恋でしたわ」

「そうか…お互い辛いな」


コツンと、アーちゃんが肩を寄せてきた。
やめろよ…そんな事したら…ガマン出来なくなっちゃうじゃないか…


「う…うぁ…うぁぁああ…」

「うっ…ぐすっ…」


泣いた。二人して泣きまくった。

私もアーちゃんもお互いに、支えが欲しかったんだと思う。
ハヤテが、ヒナギクが悪いわけじゃない。
でも、そうなってしまうと、この溢れる想いはどこに行けばいい…?
その行き着いた答えが今という瞬間なんだなと、脳内の冷静な自分が見て思っていた。


・・・


「泣いたな…」

「ええ、泣きまくりましたわね…」

「ハハ、なんかサッパリしたな〜!」

「ナーちゃんもですか?私もです」

「映画のチケット…ハヤテにやっていいか?」

「ええ、もちろんです!で、そのお相手は…」


「「ヒナ(ギク)!」」


心の整理もした。失恋仲間も出来た。上出来な初恋だったのではないか?
後は、その初恋の相手を幸せにしてやる、私の力で!
失恋パワーってやつなのか?なんか恋してた時よりみ・な・ぎっ・て来てるのは気のせいか…?


「それにしても、アイツら…見てるこっちがイライラする両想いっぷりだよな」

「そうですわよ!この間なんて、ヒナが膝まくらで頭ナデナデまでしてあげてたのに…ハヤテはその後何もしなかったのですよ!」

「なにーー!?まったく!ハヤテはまったく!!」


少しウソをついたな。
やっぱり、簡単に想いを断ち切る事は出来ないや。
ゆっくり、ゆっくりと自分のペースで…また新たな恋が芽生えるのを信じて、気長にやろうと思う。


「私たちの力で、さっさとアイツらくっつけてやるぞ!アーちゃん!!」

「がってんしょうちですわ、ナーちゃん!!」


ふたつの恋が終わりを迎えた。
しかしそれは、新たな恋とひとつの友情のスタートになるのだった。


第5話につづく


------------------------
【あとがき】

(オモテ)
コメディ専門パートでした。ナギ・アリスのじょーじょー友情のエピソード。
完全にマンガ「日常」のパクりです。ハヤテ29巻に「してない方の日常」というサブタイトルがあったのが印象的だったので、逆バージョンをやってみました。
アーたんを好き勝手に喋らすのが楽しかったです。
ネタは、「日常」3巻と7巻から取ってるので、ご興味ある方はご覧ください。

アーたんが焼きそばを好きになった所は、ヒナが料理しているところにアリスがいて、二人でお喋りしてるシーンなんてあったら良いなと思って考えました。
母親なヒナが見てみたい欲求が自分にはあるみたいです。笑


(ウラ)
サブタイトルは、「HiNA」の曲からです。金髪幼女たちの恋の終わりエピソード。
これが無くちゃハヤテとヒナをくっつけられません。
思ったより全然シリアスになってビックリ。

今の段階は空元気かもしれませんが、時間とともにハヤテへの恋心が愛情になっていくと思います。
原作では考えられない精神の成熟っぷりですね。

ハヤヒナは出番ナシでした。スミマセン!!
映画はまた次回以降です…。


それでは、ご感想・ご質問などお待ちしております。
ありがとうございました。


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Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【第4.5話更新】 ( No.26 )
日時: 2011/11/06 16:26
名前: リバーシブル
参照: http://hinayume.net/hayate/subnovel/read.cgi?no=8011


>扉を開いた瞬間、稲妻が走り土砂降りの雨となった。

 ついでに大地は荒れ果てて周りの家が崩壊してるんですねわかります。

 というか、新聞社も回らす営業を選ぼうよ!!? これじゃ契約できないよ!!?


>「今流行りの恋愛の泣けるマジな映画のチケットです」

 洗剤だと思ってた、というかなぜ子供にそういうチケットを渡すの!!?

 父親と母親宛だとしても別のものを渡したほうがいいでしょ!!?多分。



>「ナギさん…これって…?」
>「ん?焼き鯖(さば)だぞ」
>「私がお願いしましたのは…?」
>「え?焼き鯖だろ?」
>「焼きそばですわ!!!」

 うん、ナギがゆっきゅんの遺伝子を立派に受け継いでると納得できたような

 気がする……きっとこのボケは母親仕込みに違いない……!


>「そっちこそ可愛いくせに!…アーちゃん!!」
>「逆にそっちこそ可愛いくせに!…なら貴女はナーちゃんですわ!!」
>・・・←微妙な間3
>いつの間にか、私たちは固い握手を結んでいました。

 結論、二人とも可愛い!異論は割と認めない


その後の話で成長したんだなと思えるようなシーンがあり、これが友情なのか、と

読み進めておりました。

頑張れナギ!お前には好いている男の子がいるぞ!……あれ?あーたんどうなるの?

次回も頑張ってください
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Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【第4.5話更新】 ( No.27 )
日時: 2011/11/08 01:45
名前: ロッキー・ラックーン
参照: http://hinayume.net/hayate/subnovel/read.cgi?no=7738

>リバーシブルさん
ご感想ありがとうございます。

新聞社の方々は「日常」7巻からです。カバー裏を見て、応援したくなってしまいました。
そちらの方で渡していたのは、ベースターズ戦のチケットでした。いらなすぎる…(ファンの方ゴメンナサイ)

焼きそばネタは「日常」3巻から。ちゃんみおの悲痛な叫びをアリスにやってもらいました。
あのレベルのボケは、ゆっきゅん遺伝子か鷺ノ宮遺伝子くらいしか出来ませんね。笑

号泣のシーンは、私が勝手に想像してる原作ヒナの(ハヤテに完全に断られての)失恋シーンを、ナギ・アリスにやってもらいました。
ヒナの場合、肩を貸すのはもちろん歩です。あんまり見たいシーンではありませんけど…笑

ナギと一樹の話はだいぶ好きです。
最近完全にご無沙汰なのでやって欲しいですね。
もともと女の子主軸のお話なので、アーたんのハヤテ以外のお相手は難しいですね〜。
だからこそ、ハヤテはアーたんが本命なのでしょうけど…。

次回は間違いなくハヤヒナです。多分…
お楽しみに!!
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Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【第4.5話更新】 ( No.28 )
日時: 2011/11/11 00:48
名前: こよーて

さすがナギ! 普通じゃ考えられんミスを平然とやってのける!
そこに〜・・・いや、焼き鯖ピンで食べさせられたアリスに合掌です。味噌鯖単品じゃなくてよかった
なんにしろアーちゃん、ナーちゃんの友情話おもしろかったです。同レベルでのケンカも含めて。
ヒナギクがアリスに焼きそばを作ってやってるとこを思い浮かべると微笑ましくなります。
それにしてもマリアさん、一人でセパタクローとは・・・
つ、次はデートですかね? 楽しみにしてます。
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Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【第4.5話更新】 ( No.29 )
日時: 2011/11/11 03:07
名前: ロッキー・ラックーン
参照: http://hinayume.net/hayate/subnovel/read.cgi?no=7738

>こよーてさん
ご感想ありがとうございます。
ついでに関係無いけどハヤテ誕生日おめでとう。

楽しんで頂けたようで何よりです。
ネタ元のあらゐ先生に感謝です。

ヒナとアリスの物語やりたいんですよね〜。
本編は期待だけさせといて何のカラミも無くて寂しいんですよ。
美少女母娘の日常をお願いします、畑先生!!

マリアさんもそのうち出したい所ですが…未定です。
アパートになっちゃって、趣味の釣りがなかなか出来なくなって鬱憤が溜まってると思うので、運動して発散してもらいました。

次回はデートの予定です。
長くなりそうで、少し時間がかかっています。

お楽しみに!!
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Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【第6話更新】 ( No.30 )
日時: 2011/11/19 06:57
名前: ロッキー・ラックーン
参照: http://hinayume.net/hayate/subnovel/read.cgi?no=7738

こんにちは、ロッキー・ラックーンです。
今回こそデート編です。
それではどーぞ!


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     第6話【 Steppin' 】


さて、前回のタイトル前からの続きです。
待ち合わせ時間の1時間以上前に集合した僕たち。

ちなみに、待ち合わせ時間があるという事は、僕が先に来る事が出来ていれば、彼女が予定より早く来れた時間がそのまま、一緒にいられる時間となる。
つまり、「ヒナギクさんが僕を待っている」などという、あまりにも無駄で馬鹿馬鹿しくて勿体無い時間が発生しない。
よって約束の2時間前に来ている事なんて、僕にとってはなんらおかしな事ではなかった。


「映画の時間まで随分あるし、お茶でもしましょうか?」

「そうですね、是非!」


やった、期待通り!いや、期待以上!!
本来なら僕が提案しようと思っていた事を、ヒナギクさんから言ってくれた。
かなり幸先の良いスタートではないだろうか…。


「ココに入ってみませんか?」

「ええ、良いわよ。初めて入るお店よ…」

「僕もです」


映画館の方向に歩いていった所にある少々古そうな喫茶店に入った。
ドアにつけてある鈴の音とともに、60歳手前くらいになると思われるマスターの「いらっしゃい」の声が僕たちを迎えた。
マスターは僕と目が合うと、優しい笑顔で目配せしてくれ、僕もそれに対して軽い会釈で返した。

というのも実は昨日、今日のデート(って言って良いんですよね?)のための下見でこの近辺をくまなく歩き回ったのだ。
前回の映画の時の反省ももちろんあるが、なにより今まで行った事のない所から、「ヒナギクさんと初めて二人で行った思い出の場所」を作りたいと思ったからだ。
もちろんこの喫茶店にも立ち寄った。コーヒーが美味しいかったのもあるが、初対面の僕のくだらない話をマスターがとても親身になって聞いてくれた。
そんな事もあり、本番の今回ヒナギクさんを連れて来る事にしたのだ。
ちなみにヒナギクさんに対して言ったセリフは、「貴女と二人で入るのが初めてだ」という意味で返したので、ウソをついた訳ではない。(かなり苦しいかな…)


「はい、おまちどうさま」

「「いただきます」」


僕はホットのブラック、ヒナギクさんはホットのミルクティを注文。
好きな女の子の手前だからカッコつけた訳ではなく、僕はブラックコーヒーが好きだ。
両親の下にいた時は、それはもう薄いコーヒー(粉1に対してぬるーいお湯90くらい)しか飲んだことが無く、砂糖やミルクなんてものの存在すら知らなかった。
5歳くらいだかの時に、父親の仕事(もちろん犯罪です)の手伝いの帰りに一回だけ寄った普通の喫茶店のコーヒーが僕にとっての究極であり至高であった。そのため、初めて三千院家御用達のコーヒーを飲んだときに「コーヒーのIT革命や!」と叫びまくったのは言うまでも無い。


「美味しいわね」

「そうですね」


どうやらヒナギクさんにも気に入って貰えたようだ。
美味しいものを口にした時の顔というのは、本当に幸せそうなものだ。
そんな彼女の顔を見ている僕はもっと幸せだが。


「それでね、またアリスったら…」

「ハハハ…」


それから、他愛もないお話を1時間ほど。
ずっと喋りっぱなしだった訳ではない。会話が途切れると、その都度ヒナギクさんは僕に目を合わせて笑いかけてくれた。
その笑顔を見る度に、僕の鼓動は経絡秘孔を突かれたかのように熱くなったのだった。
やばい…可愛すぎるぜ…


「「ごちそうさまでした〜」」

「ハイ、ありがとうございました」


そんなこんなで、映画の時間にも良い頃合いになり、席を立つ。
お会計には僕一人で行ったが、その手にはヒナギクさんから貰った小銭を持っていた。
というのも、今回のデートでは「自分の分は自分で払う事」をヒナギクさんから強く提案され、僕もそれに応じたのだ。
つまり、お金を出す事以外でヒナギクさんを満足させる手腕が問われるのである。


「可愛らしい娘さんじゃないですか」

「えへへ…そうですよね…」


気を利かせてくれたマスターの言葉に、なんともアホみたいな答え。
これも若さゆえの過ちで見逃して欲しい…


「また、お二人で来てくださいね」

「ええ、きっと…」


マスターのセールストークに、絶対の自信は無いけどとりあえず答える。
今度は恋人同士になって来れたら…最高だなぁ。


「お待たせしました!」

「いいえ〜。良いお店だったわね」

「気に入って頂けて何よりです!さて、映画館に向かうとしましょうか」

「うん!」


映画館までの道のり、約300メートル。
ヒナギクさんの両手…手ぶら。綾崎ハヤテの両手…手ぶら。

う〜ん、手を握りに行って良いのだろうか…
この前(第2話参照)はあんまり意識しなかったけど、僕はなんて羨ましい時間を無駄に過ごしたんだ!
何かきっかけがあれば…!!

コツン

と、不意に僕の左手がヒナギクさんの右手に当たってしまった。


「あ、スミマセン!」

「いいえ、大丈夫よ…」


コレがきっかけなのか!?行っちゃっていいんですか!?
いや…でも…ちょっと痛い思いさせて「手を繋がせてください」だなんて厚かましいよな…

と、グルグル考えてる内に映画館にご到着。「いくじなし…」ボソッ


「えっ?なんでしょうか…?」

「あ、独り言よ。気にしないで」


完全にテンパってたので、その時のヒナギクさんの言葉を聞く余裕など無かったのだった。
はぁ…僕ってヤツは…orz

おおっと、いけない!気を取り直して映画だ!
さすがに前回のような(原作第16巻参照)お化け屋敷みたいな所ではなく、最近流行りのごくごく普通のシネコンというやつだ。

映画の内容はというと…いわゆる「純愛ラブストーリー」で、笑いどころが無い「マジな感じ」だ。正直あんまり興味は無い。
観るなら断然、今年夏に公開された執事コメディのアニメ映画だ。(主人公に片想いの生徒会長の娘が最高に可愛い!!)
まあそんな事を言っても、ストーリーが始まってしまったら最後まで見るのに変わりはないのだが…


「私もこの映画観たかったのよね〜」

「そうですか〜、良かったです!」


しかしながら、ヒナギクさんの掴みは良さそうだ!ありがとう、アーたん、お嬢様!!
この言葉に、僕の映画への興味が一気に沸いてきた。


・・・(上映中)

いや〜、しかし本当にマジな感じですよコレ…
あ、でもやっぱりヒナギクさんは見入ってる。
僕も終わった後で内容話せるようにしないと!(←すっかり邪念ばかりの綾崎ハヤテ君)


・・・(そして映画はクライマックスへ)

おお…なかなか感動的で少しウルッと来ちゃうな。
と思いながら、横のヒナギクさんを見てみると…大号泣。


「ちょ…ック…ゴメン…ね…ヒック…気に…しないで…」

「……」


僕は何も言わずに、ヒナギクさんの目の前に自分のハンカチを差し出した。
多分、泣き顔を僕に見せるのは彼女にとってかなり悔しい事だと思う。
僕なりに精一杯気をまわした結果の行動だ。


「ありがと…」


その言葉に僕は笑顔だけで応える。
映画を存分に楽しんでいるヒナギクさんの邪魔にはなりたくなかった。


・・・(特にハヤテ的なオチも無く、無事に上映終了)

「いや〜、なかなか感動的でしたね」

「……」


ゔっ、ヒナギクさんは俯いたまま。
映画の掴みが良過ぎたのが失敗だったかな…
僕は、かける言葉をあまり無い脳みそのすみずみに至るまで探した。
…が、ヒナギクさんはその俯いた顔を少し上げて上目遣いで


「みんなにはナイショね…お願いっ」

「…はっ、ハイッ!もちろんです!!」


ズギューンと心臓を撃ち抜かれた気がした。
ちょっと、いきなりそのお願いは反則的な可愛さですよ…


「あと、ハンカチありがとう…洗ってから返すわね」

「…ハイ」


本当は洗ってない方が良いんだけど…ってコレじゃ変態だ。
いやいや読者の皆様、僕は決してヒナギクさんをよこしまな目で見るだなんて!!(←言い訳をするほど泥沼にはまる綾崎ハヤテ君)

ゴホン…なんにせよ、以前タオルを借りた(第1話参照)お返しにはなったかな…


「もうお昼過ぎね。お腹も空いたし、どこかでご飯にしましょう」

「そうですね」


喫茶店の時に引き続き、僕が言おうと思うよりわずかに先にヒナギクさんが提案してくれた。
ホントに流れとしては理想以上じゃないだろうか。

さてさて昼食だが、ヒナギクさんのリクエストでラーメンを食べる事に。
かなり意外な提案だったが、この辺りのお店は全てチェックしてあり、ラーメン屋もその例に漏れないので困る事は無かった。
というか、ラーメンは執事になる前はこの辺りでかなりの頻度で食べてたからチェックするまでも無かったのだった。

ちなみにラーメンというものは、ささやかな贅沢(1杯600円は贅沢品ですよ)として、僕の至福のひと時を演出する食べ物だ。


「それにしても、本当にラーメンで良いんですか?」

「あら、ハヤテ君はラーメン嫌い?」

「いえいえ、まさか!むしろ主食みたいなモノですよ」

「そう。なら問題無いわね?ほとんど行く機会も無いし、自分で作るのも無理だし、ハヤテ君に美味しい所を教えて欲しいのよね。それに…」

「はい?」

「いや、なんでもないわ…」

「?」


最後の一言がちょっと気になったが、確かにヒナギクさんの言う通りだ。
女の子にラーメン屋通いはなかなかハードルが高いし、インスタント以外で自分で作るにはあまりに難しい食べ物だ。(麺・スープ・具、いずれも一から作るのはすごく時間がかかります。しかもなかなか自分の思い通りの味にならないんですよ。)
ともなると、「美味しいラーメン」は想像以上に女の子にはレアな食べ物なのかもしれない。


「分かりました!ラーメンならお任せください!!」

「ホント!?楽しみ!!」


・・・

アリガトウゴザイマシター

「美味しかったわ〜」

「ええ!」

「あーゆーこってりしたのは食べた事無かったから、新鮮だったわね。今度アリスも連れてきてあげましょう」

「そうですね。お気に召して頂けて何よりです!」


良かった。お腹もいっぱいでヒナギクさんも上機嫌だ。
それにしてもヒナギクさん、ホントにアーたんが可愛いんだな。
「でも今は僕の事だけ考えて欲しいな」なんて、父親だったら思うものなのかな…?

さてデートもまだまだお昼過ぎ。さて、これからどうやって過ごそうか…


「ふ〜、お腹もいっぱいだし、ちょっと休みましょうか?」

「そうですね…って!?」

「え゙っ!?」


セリフと同時に突き当たるは、「ご休憩」の看板が入り口にある建物。
コレにはヒナギクさんの顔も見る見る真っ赤になる。

-----------
「オッス、メインヒロインの三千院ナギだってばよ!!
↑の意味が分からない人はグーグル先生に聞くんだぞ!お前たちのお父さんお母さんに聞いたら…どうなっても知らんぞ♪まあ私は面白いけどな。
…ってハヤテ!私の出番はコレだけか!?」
-----------


「え!?いや、その、け、決してそーゆー意味で言ったんじゃなくて!!」

「わ、分かってますから!大丈夫ですから!落ち着いて…」

「ホントなの!私、ホントに…」


うう、一刻も早くここから立ち去りたいけど…まずは落ち着いて貰わないと!


「やや!そこにいるのは…」

「ヒナちゃんとハヤ太君ではあ〜りませんか」

「それはそうとこんな街中で、何を揉めてるんだ?」

「ゲッ!?」


うおっ!最悪な場所で最悪なエンカウント!!(セリフは上から順に朝風さん瀬川さん花菱さんです)
最近こんな展開無かったぞ!作者どーゆーことだ!?(←知りません)


「むむ、まさかハヤ太君…こんなアダルティな場所にヒナを無理矢理連れ込もうと…」

「え〜!?そんなの、このいいんちょさんレッドが許さないよ〜!」

「なんだハヤ太君、結局ヒナのカラダがお目当てじゃないか」


ヤバイ。典型的なヤバイパターンだぞ!
…かくなる上は!!


「…あーーー!!?あんな所でガンダムに乗った魔法少女がアッカリーンしてるーー!!」

「「「なにーー!?」」」


と反対側を向いた瞬間に


「逃げましょう!」

「…うん」


何とか逃亡成功。
恐らく75日は僕に黒い噂が絶えなくなるだろうけど…orz

…いや、むしろよくぞヒナギクさんの痛恨のミスをうやむやにしてくれました!
ありがとう生徒会の皆さん!!
ヒナギクさんの為ならば、僕はどんな汚名でも喜んで被りましょう。


「とりあえず、どこか入って落ち着きましょう?」

「うん、ゴメンね…」

「ヒナギクさんのせいなんかじゃありませんよ」


僕はこの時走るのに夢中で、ヒナギクさんの手を握ってるのに気付かないのだった。


・・・

「まったくハヤ太君も『俺たちはこれから愛について語り合うんだ!』くらい言えば漢らしいってもんなのに…」

「それじゃハヤ太君じゃないだろ…」

「まあどうせ何かミスってヒナが癇癪起こしたんだろ?いつもの事さ…さて、独り身の姉の方でもからかいに行くか」

「「さんせー!」」


・・・

「……」

「落ち着きましたか?」

「…うん。ありがとう」


僕たちはとりあえず、ヒナギクさんの手を引いて一番最初に目に付いたファミレスに入っていた。
ココなら、元々の目的である「少し休む事」も果せて、一石二鳥だ。
それにしてもヒナギクさん、俯いたままだ。
そりゃあまあ気まずいだろうけど…僕は全然気にしないのに。

…って、いかんいかん!黙って観察なんてしててどうする!?
たまの休みに付き合って貰ってるんだ。僕が頑張らなくて誰がヒナギクさんを楽しませるっていうんだよ。


「ヒナギクさん!」

「ひゃい!?」


いきなりの呼びかけに驚くヒナギクさんを可愛いと思いながらも僕は口調を緩めない。


「今度はヒナギクさんが行きたい所に行って、やりたい事をしませんか?せっかくの休日です。落ち込んでるヒマなんてありませんよ!」

「ハヤテ君…」

「ね。そうしましょう、そうしましょう!!」

「……ありがとう」


僕の精一杯の笑顔に、ヒナギクさんの表情も徐々に緩んでくる。
その後は、何処に行こうか少し考えてる様子だ。


「何かリクエストはありませんか?」

「う〜ん、そうねえ…あ、『あそこ』にまた行きたいわ!」

「『あそこ』ですか!」


「あそこ」というのは、千葉県某所にある日本一有名な遊園地とは全く無関係な(笑)あの遊園地だ。(原作第16巻参照)
そういえば、この前映画に行った後もあそこに行ったんだよな。今思うと、我ながら無謀なヤツだな…


「いいですね〜!実にいいですね〜!!そうと決まれば早速行きましょう!」

「うん!」


ヒナギクさんにも笑顔が戻ってきて、なんだかとってもイイ感じだ。
駅までの道のりも、電車の中も、とにかくヒナギクさんを近くに感じる事が出来て、これまたとってもイケてる感じだ。

そして、着いたぞ!「あそこ」!!
ココのスゴイ所は何と言ってもリピーター率の高さだ。
1度来て存分に楽しんでも、まだまだ遊び足りない感覚を残したまま一日が終わってしまう不思議な魔法をかけてくれる場所だ。
前回が初来園で、しかもアフター5からしか遊んでいないヒナギクさんなら…魔法の効力は倍増だ。


「うわ〜!ハヤテ君アレ見て見て!!」

「すごーい!コレはこないだは見られなかったわね?」

「た…高い所だから…手…離さないでね?」

「ホラ、ハヤテ君早く〜!」


あえて言おう。し・あ・わ・せ・だ!!
それにしても前回ココに来た時の僕は、こんなヒナギクさんを見てて何も思わなかったワケだ。
…アホか。いやアホだ。


「♪〜」


3時間ほどアトラクションに乗り続けたので、軽く休憩。
ジュースを可愛らしくすするヒナギクさんに、疲れが癒される。


「楽しんで頂けてますか?」

「うん!ハヤテ君と一緒だからとっても楽しいわ」

「……」


ちくしょ〜!嬉しすぎるぜ!!
この一言のために生きていると言っても過言ではない。最高のお言葉だ。
この言葉こそが今回のデートのハイライトだと思った。少なくともこの時は…


「ハヤテ君も…楽しい?」

「ハイ!最高です!!」

「そう…時間もあと少ししか無いから、ラストスパートね」

「ハイ!!」


やっぱり、楽しい時間というものは矢のように過ぎていってしまい…
魔法の国もタイムリミットを迎えてしまうのだった。


・・・

そして、アパートの最寄り駅からの帰り道。
僕たちは線路沿いの人気の無い道を歩いていた。


「今日はありがとう。とっても楽しかったわ!映画も『あそこ』も」

「…はい。楽しんで頂けて良かったです」


なんてカッコつけて返事なんてしていたが、実はこの時、僕は最高に緊張していた。
ヒナギクさんに告白しようと、帰りの電車の中で決意したからだ。
家に帰って寝るまでが「あそこ」の魔法のタイムリミット。
僕は魔法にかけられたかのように、これまでの人生で一番最高にヒナギクさんに魅入ってしまったのだ。

アーたん、お嬢様、マリアさん、西沢さん…僕はこれからヒナギクさんに告白します。
どうか勇気を…僕に与えてください!!
手には汗をかきまくってるし、視点は定まらないし、呂律(ろれつ)は微妙にまわってないし、これじゃまるっきり不審者だ。
どのタイミングで行こうか、なかなか踏み出せない。

…いや、今さら何を言ってるんだ!
僕には皆の支えがあったじゃないか。
タイミングは待つものじゃなくて、自分で作るものだろうが!
行け!綾崎ハヤテ!!


「ひ、ヒナギクさん!」

「はい?」

「あの、えと…ヒナギクさんに、聞いて欲しい事があります!」

「改まっちゃってなに〜?あ、まさか…またお金無くなっちゃった?」

「いえ、そうではなくて…」

「ゴメン、冗談よ。お話の続きをお願い…」


前回の事を覚えていてくれて嬉しいけど、今はそうじゃない。
もう言い出したんだ、引き返すだなんて漢じゃない!


      ゴオオオ パアアアン
「はい…その……僕は!…ヒナギクさんの事が好きです!」
          ゴオオオオオオオオオオオオオ



…あれ?
ってええーーーーーーーーーーーーーーーーーー!?

このタイミングで電車だなんて…
そりゃないよ…


ガクッ

僕は大きくうなだれてしまった。
魔法が解けてしまった。そんな感覚だ…


「ハヤテ君、今なんて言ったの?電車がうるさくて…」

「ハハハ…すいません。何でも無いです。」


もう今日は仕方ない…
お嬢様が言った通り、「戦略的撤退」として次のタイミングを作る事に僕の脳みそで決定してしまった。


「えー!?なんだったのよ…?」

「すみません…奇跡か魔法でもあればもう一度お聞かせする事が出来るんですが。ハハハ…」

「……」


ごめんなさい、ヒナギクさん。
タイミングと歯切れの悪い僕を許して下さい…
でも、次こそは必ずや…!!


つづく


















・・・

















「奇跡でも!魔法でも!私が…ハヤテ君に起こしてあげる!!」

「えっ…」


ギュッ…


何が何だか、一瞬ワケが分からなかった。
「第6話は終わったんじゃないの?」とかそういう事を言ってるんじゃない。
脳みそが冷静になって状況を飲み込むにつれて、心臓がバックバクに動き出したのを感じた。


…ヒナギクさんが僕に抱き着いて来たのだった。


「これで…ハヤテ君が言うまで…私は離れないわよ…?」

「ひっ、ヒナギクさん!!」

「お願いだから…言って…言いなさいよ、綾崎ハヤテーー!!」


・・・

きっと、ヒナギクさんも不安だったんだと思う。
思わせぶりな僕の態度、次第に近づいていった距離、はっきりしない二人の関係…

今ならばもう分かる。僕も同じだったから。


「ヒナギクさん」

「…何よ!?」

「残念ながら、僕が『それ』を言っても…貴女は僕から離れられません」

「は?それってどーゆー…」

「僕が貴女を離さないからです!」


ギュッ

「!?」

「好きです、ヒナギクさん。僕は、貴女の事が…大好きです!!」


力いっぱい…本当に力いっぱい、その細い身体が折れてしまう程に強く抱きしめた。
やっと…やっと言えた。
でももっともっと、全然言い足りない。


「貴女の笑顔が好きです。怒った時の顔も可愛らしいし、泣いた時の顔にも惚れました。もっともっと、いろんなヒナギクさんを…知りたいです!好きになりたいです!!」

「は、ハヤテ…くん…」

「こんなしょーもない僕ですが、貴女のそばにいさせてください!!」

「うん…ヒック…私も…大好き…」

「ヒナギクさん…」

「変なの…嬉しくて…嬉しくてたまらないのに…涙が…止まらないの…」

「止めないでください。もっと…その涙、僕に見せてください」

「もう…いじわる…」


ヒナギクさんが僕の告白に、涙して喜んでくれている。
この人を好きになって…本当に良かった。


・・・

「落ち着きましたか?」

「うん…あったかい…」


僕たちは一旦場所を移して、負け犬公園まで寄り道をしていた。
僕が買ってきた缶のココアをヒナギクさんはゆっくりと飲んだ。


「!」「!」


不意に目が合った。
先程のやり取りを思い出して照れ臭くなるけど、目を逸らしたりはしない。
ようやく手に入れた「しあわせの花」…もう手離さない、絶対に。


「これから…よろしくね、ハヤテ君」

「僕の方こそ…よろしくお願いします、ヒナギクさん」


ヒナギクさんの持つココアが無くなるまでの甘い時間。
それを僕たちは大切に大切に過ごすのだった。



アーたん、お嬢様、僕の愛する全ての皆さん、僕…好きな人がいます。大好きな人が。
それって、素敵な事ですよね?
きっとそうですよね?

僕はその人を、この命尽きるまで愛し続けます。
ありがとう…みんな、ありがとう!


今度こそ
つづく


------------------------


【あとがき】

ヒナギクの魔法で物語を延長させられました。笑
ようやく二人をくっつけられましたが、いかがでしたでしょうか?
さて、物語に沿って解説を…


・タイトル
→「HiNA」からです。OVAのテーマでしたね…懐かしい。
歌詞の感じが二人のこれからにピッタリかなと思いましたので。

・「あまりにも無駄で馬鹿馬鹿しくて勿体無い時間」
→ハヤテにとってはそうかもしれませんが、それはヒナにとっては「確実に来る幸福を待つ至高の時間」です。
恋に恋してるハヤテの身勝手さを表現したつもりです。

・喫茶店
→デート前日の下見は実はナギ・アリスの提案というのが裏設定です。自分たちの助力したイベントで上手くいって欲しいという願いが二人にはあります。
思いっきり余談ですが、これからのハヤヒナを思いっきりシリアスに向かわせる伏線の文章をなんとなく入れましたが、回収するかは未定です。
回収しなくても良いくらい微妙な感じで書きましたので…笑

・映画
→原作16巻同様、「映画を観に行ったけど、映画以外が話のメインになった」感じです。
ヒナは頭が良いから、物語のキャラクターの心情を理解しようと観ているため感情移入が強いんじゃないかなと想像して、大号泣してもらいました。

・ラーメン
→ヒナが口ごもったのは、「ハヤテ君と初めて二人で行った思い出の場所を作りたい」と言おうとして、恥ずかしくなったからです。
二人とも考える事は同じです。笑

・「ご休憩」うんぬん
→無くても全く問題無い部分でした。
が、3人娘も出したかったのと、たまには不幸スキルを発動してもらおうと思ったので…
ミスったのはヒナでしたが。笑

・某遊園地(笑)
→16巻の流れを追って、今度は告白するという形にしたかったので使いました。
休憩時のヒナの感想の部分は、16巻と読み比べて彼女の成長を分かるようにしたつもりです。
ちなみに見てお分かりの通り「魔法」をひとつのキーワードとして多用しました。

・告白
当初ヒナには「奇跡も魔法もあるんだよ」と言わせようかと思いましたが、あまりにもゲンが悪いのでやめました。パクリだし。笑(←ネタ元は「魔法少女まどか☆マギカ」です。)

最後のモノローグはアニメ2期13話のヒナのパロディです。
さすがにハヤテ目線で「お父さん、お母さん」はあり得ないんで、こんな形です。
このモノローグは原作には無いので、とても印象的でした。
伊藤静さんのセリフの言い方が「私がスキになったからあなたたち(両親)はいなくなったんじゃないよね?」というヒナの根底に存在するある種の恐怖を上手く表してたなと思います。もちろん「ハヤテをスキになった」希望の方が上でしたが…

そしてこの二人、まだチューの一つもしてませんね。
どうやってしてもらおうか、現在画策中です。


かなり駆け足になりましたが、以上です。
ご感想・ご質問などお待ちしております。
ありがとうございました。


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Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【第6話更新】 ( No.31 )
日時: 2011/11/20 20:02
名前: こよーて

おおおおめ!
ついにゴールイン!!
あ、いや、ゴールインはもっとずっと後か!
なんにしろようやくここまできましたね。
ヒナギクの魔法がきいたとはいえハヤテよくやりました。
ヒナギクもさすがです。
「奇跡でも!魔法でも!私が…ハヤテ君に起こしてあげる!!」
にはぐっとくるものがありました
「いくじなし…」も最高にツボにはまりました。
そして原作をなぞった遊園地デート
これは原作の中でも最も好きな話の一つなので嬉しかったですね
あのときのヒナギクの笑顔、今一度見たいものです。
これからのシリアス展開も気になるところです。
ようやく気持ちが通じた二人になにがあるのか?
ひじょうに楽しみです。
これからもがんばってください
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Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【第6話更新】 ( No.32 )
日時: 2011/11/20 23:38
名前: ロッキー・ラックーン

>こよーてさん
ご感想ありがとうございます。

そうです、ゴールインはまだまだずっと先なんですよ。
ココまで進めたからにはこの設定の二人をもっと使って楽しみたいんです。笑

「ヒナギクの助けをもらって告白するハヤテ」というのは物語開始当初から考えてはいたんですが、遊園地デートのパロディは4.5話更新以降に思いつきました。
遊園地は、自分も15巻の予告でメチャメチャ楽しみにしてたのを覚えています。
なぜ今こんな事になってるのか甚だ疑問です…orz

ヒナのセリフは頑張ったつもりです。
多分あのセリフを言うのにヒナは決死の覚悟をしたと思います。
まあハヤヒナ信者としては、二人がくっつくのは奇跡でも魔法でもなくて必然なんですが…笑
ちなみに手がぶつかったのはヒナが勇気を出したからです。

シリアス展開はやるかどうか完全に未定です。
もともとのテーマの「ヒッナヒナなハヤテ」から逸れてしまって色々と設定を考えたりする方がメインになってしまいますので…
今後もコメディ・パロディ中心のハヤヒナをご期待頂ければと思います。

それでは、また次回に。
ありがとうございました。
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Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【第6話更新】 ( No.33 )
日時: 2011/11/21 19:08
名前: クロック

はじめまして。
クロックといいます
はじめから読ませてもらいました
ヒナギク好きとしてはこんなのが読みたかった。
ハヤテのほうがヒナギクにメロメロとかもう最高ですわ!
ハヤテの浮かれっさまがすっごく面白いです
しかも最初からメロメロだったのではなくじょじょに順を追って意識していくのがまたよいかんじです
二人の関係だけじゃなく他の住人たちとの絡みも面白いです
とくにハヤテヒナギクアリスのピクニックがお気に入りです
この三人の擬似家族関係もっとみたいですね。
今後も楽しみなので応援してます。では!

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Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【第6話更新】 ( No.34 )
日時: 2011/11/22 01:59
名前: ロッキー・ラックーン

>クロックさん
ご感想ありがとうございます。

自分も、「ヒナにラブラブなハヤテ」が読みたかったんですが、なかなか無い→なら自分で作っちゃえといったノリで描き始めた感じです。
ハヤテのヒッナヒナモノローグは毎回気合を入れてるんで、イラッ☆としてくれたら嬉しいです。

この物語でのハヤヒナは、もはや二人だけのスキ・キライという関係で済むものじゃなくなっています。
だから、周りの住人も出します。皆がいてのハヤヒナです。

アリス登場時は擬似家族展開に期待してたんですがね…ルカが…orz
文といい、アテネといい、キャラの伏線を張っては他の新キャラ出してばっかりいるから全然物語が進まないんですよ。その最たる例がヒナです。
ヒナの恋物語が10巻の時点でほぼ止まっている状態だから正直しんどいです。笑

おっと…愚痴言ってちゃダメですね。笑
こんな思いを持ってハヤヒナに臨んでると思っていただければ…
擬似家族は今後もやりますよ〜!

今後もどうぞお読み頂けるようお願いします!
それでは失礼しました。
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Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【第6話更新】 ( No.35 )
日時: 2011/11/22 07:37
名前: ゆーじ


初めまして!
前まではハヤヒナ派だったけど、今はハヤナギ・ハヤアテ派になってしまったこの小説的には邪道な人間なゆーじと申します!
いやでもハヤヒナもハヤヒナで充分美味しいんですが!

ごほん、まぁそこは置いといて…いいわけないんですけど、置いておきます。

実はこっそり読ませていただいてます!
ヒナギクにぞっこんでたまに惚気まくったり思春期の男の子らしいモノローグに走っちゃうハヤテが珍し可愛いです(笑)
これからもちょこっとえっちなハヤテ君の奮闘記(?)に期待しています(笑)

もちろんハヤテとヒナギクのニヤニヤイベントにもニヤニヤしながら期待しています!

では、これからもがんばって下さい!
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Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【第6話更新】 ( No.36 )
日時: 2011/11/22 20:51
名前: ロッキー・ラックーン

>ゆーじさん
ご感想ありがとうございます。

ハヤアテ派さんですか。
アテネファンからしたら、この物語のアリスには納得がいかないとは思いますが…
置いといてください。笑

ハヤテ目線でヒナを語る事って原作でも二次創作でもなかなか無いですよね。
だからヒナにゾッコンなモノローグ満載のハヤテというのをやってみたかったんです。

これからのハヤテはもっと奮闘してもらいますよ。
ニヤニヤなイベントもたっぷりいきます!
…と言っても、おさわりはあまりありませんが。笑

今後もどうぞお楽しみください。
では、失礼しました。
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Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【第6話更新】 ( No.37 )
日時: 2011/11/24 13:03
名前: しろと

おもしろいです
ヒナギクは最初からハヤテをおとす気で狙っておとしたのか?
素でおとしたのか? 気になるとこです
これからも頑張って下さい
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Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【第6話更新】 ( No.38 )
日時: 2011/11/25 01:58
名前: ロッキー・ラックーン

>しろとさん
ご感想ありがとうございます。

おもしろいと一言頂けるだけで非常に励みになります。
これまでのヒナのスタンスについては、今後言及していくつもりなので、お楽しみにして下さい。
今の時点では、「変化」という形でヒナを好きになったハヤテに対し、ヒナは「成長」という形でハヤテへの接し方を変えたという感じで受け取って頂けると良いかと思います。

これが大まかな話の流れで、その流れに対して色々とエピソードを作っていくといった作り方をしています。
色々と作りたい話はたくさんあるんですが、セリフ回しだとか状況設定だとか細かい事がなかなかパッと作り出せずに時間がかかっています。

今後もどうぞよろしくです。
では、失礼しました。
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Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【第6話更新】 ( No.39 )
日時: 2011/12/01 18:20
名前: ロッキー・ラックーン

こんにちは、ロッキー・ラックーンです。
書きたい事をダラダラやってたら時間もかかって、かなりのボリュームになってしまいました。
今回が暫定最終回といった感じです。
それではどーぞ!


------------------------


「「「「「ほーれ、チューウ!チューウ!!」」」」」


眼前に広がるは、ついさっき恋人になったヒナの美貌。
目を閉じて、僕からのキスを今か今かと待っている。
いやぁ〜、かんわぃぃいいいなぁぁああ〜〜…


…って、なんでこんな事になってるんだーーーー!?





     第7話【 愛と情熱のカルナバル 】





「そろそろ、帰りましょうか?」

「うん」


公園からの帰り道。
僕たちは手を繋いで(指を絡ませた、いわゆる「恋人繋ぎ」ってヤツです)寄り添って歩いていた。

ああ、僕は本当にヒナギクさんの恋人になったんだ…
夢みたいだな…
僕みたいなほんとしょーもない男がうんぬんかんぬん…


「…テくん?…ハヤテ君!!」

「ヒャイ!?」


急に大きな声で呼びかけられ、驚いてしまった。
そうだ、余韻に浸るんじゃなくて今この時を楽しまないと…


「スミマセン、ボーっとしてました」

「んもう!せっかく一緒に歩いてるのに他の事考えてたの!?」

「…ハハハ、スミマセン」


他の事というか、貴女の事なんですけどね。
…って言ったらまた怒られそうだから謝っておく。


「それで、お話は?」

「あ、そうそう。あの…ね?えーっと…」


僕が話を振ると、ヒナギクさんは赤くなってモジモジし出した。
…そんな素振り見せられると僕も緊張しちゃうじゃないですか。


「私の事…『ヒナ』って、呼んで欲しいなぁ…って」

「…え?」

「だ〜か〜ら〜…『ヒナ』って呼んで欲しいの!!…敬語だって他人行儀だし、もっと軽い感じで接して欲しいの!」

「そ、そうですか…?」


むむむ…
ヒナ…って、メチャクチャ照れくさいんですけど!!

だけどもだ・け・ど!
これならヒナギクさ…ヒナとの距離がグッと近づいた感じだよな…
勇気を出すぞ!!


「ヒナ」

「!!」

「ヒナ…ヒナ「分かったからもう良いわよ!」


なんか呼んだ僕より呼ばれたヒナの方が照れているような…ま、いっか。
じゃあ、今度は僕の番で…


「じゃあ、僕の事は『ハヤテ』と呼んでくださいね?」

「うん、もちろんそのつもりよ?…よろしくね、ハヤテ!」


うおっ!カワイイ!!
恥ずかしがると思ったら、返り討ちに遭ってしまった。


「ヨ、ヨロシクデス」

「なに恥ずかしがってるのよ…?」

「…ヒナが…カワイイから…」

「もう…ありがと、ハヤテ」


うん。改めて言おう、幸せであると!
これからの日々が楽しみで仕方ない。


「あ、そうそう…帰ったらお嬢様たちに紹介させてもらっても良いですか?」

「それはもちろん良いけど…まだ敬語なの?」

「うーん…なんかちょっと馴染まなくて…」


ヒナ…はなんとか呼べるけど、タメ口(というか、生まれは僕の方が早いけど)はなんかまだしっくり来ない。
我ながらおかしなお話だ。


「そーゆーもんなのかしら…?まあ、ハヤテのペースに任せるわ。まさか、死ぬまで敬語使うつもりでも無いでしょ?」

「ゔっ…もちろんですよ!」


多分、ヒナは「死ぬまで一緒だ」と言いたかったのかもしれない。
しかし、それは僕には「死ぬまでの時間なんてのはとても短くて、ヒナと一緒にいられる時間なんて本当にわずかなものだ」と聞こえたような気がした。
この幸せな時間、僕は一瞬たりとも無駄に過ごしてはいけないのだと勝手に思った。

…と言ってもすぐに敬語を直すというワケではないのですが。(台無し)

それはさておいて、帰ったらまずは皆さんに報告だ!
どんな言い方にしようかな〜…

アパートまでの帰り道、僕は隣にいるヒナの少し不満そうな顔に気付こうともせずにニヤニヤしていた。
公園で「事」を済ませておけば良かったのだと後悔する事も知らずに…


・・・


「ただいま帰りました〜」

「おかえりなさい、ハヤテ君、ヒナギクさん…ナギがお部屋で待ってますわよ?」


帰って一番最初に迎えてくれたのはマリアさん。
ココで一発目の報告と行こうかと思ったら、先にお嬢様の方に行くようにと目配せが…
待っててください、マリアさん。僕はやりましたよ!!


「ハイ、ではすぐに向かいます。ヒナ」

「うん…」


マリアさんの前で、ヒナと呼んでみた。
二人きりの時より恥ずかしい。マリアさんの反応を見ようと思ったが、恥ずかしかったので振り返らずにスタスタとお嬢様の部屋へ向かった。


「お嬢様、ただいま帰りました」

「うむ、入っていいぞ!」

「ハイ、では…」


部屋に入ると、やはりそこにはアーたんも一緒だった。
軽い既視感を覚える光景。違うのは、僕の横にヒナがいる事くらい。


「ん?ヒナギクもいるのか?」

「ええ。…いいかしら?」

「ああ、別に構わんが…なんだハヤテ、話でもあるのか?」


あれ?お嬢様が呼んだんじゃなかったですか?
それにわざとらしいボケ…また何かあるのかな…?


「お嬢様、アーたん…報告します。僕はこちらの…桂ヒナギクさんと、お付き合いさせて頂く事になりました」

「ナギ、アリス…改めてよろしくね」


特に打ち合わせもせず僕の言葉に合わせてイイ感じにつなげてくれるあたりはさすがヒナ。
さて、この二人はどんな反応をしてくれるのかな…


「「…ぷ」」

「「ぷ?」」

「「プハハハハハハハ!!」」

「「!?」」


大爆笑ですと!?
いったいぜんたいどんな展開なんだ!?


「え?ハヤテがヒナギクと付き合うのか?バカも休み休み言え。ハハハハ!」

「ヒナもそんな冗談に付き合うだなんて!?そんなまさか!!フフフフフ!」

「ハハハ…おーい、マリア!面白い話があるぞ!!」

ガラッ

「ハイハイ、何でしょう?」

「ハヤテが!ヒナギクと!付き合うんだとさ!プハハハハ!!」

「え!?才色兼備のスーパー美少女のヒナギクさんがハヤテ君と?クスッ…それは面白いご冗談ですね…」


なんか訳の分からない展開だけど、コレって僕がバカにされてますよね…
もしかして…ハメられた?何か騙された?
いや、この人たちに限ってそんな事!!


「ちょ、ちょ、ちょ!!待ってください!」

「なんだ?」

「コレは冗談なんかじゃなくて本当に…「「「ハハハハハハ!」」」

「まだそんな事言ってるのか、面白いヤツだな〜ハハハ」


えええ!?全否定!?
ヒナの方を見ても全く訳の分からなそうな顔をしてるし…
どーゆー事だ!?





--それなら…証拠を見せれば良いのよ!!--





「ムム、なにやつ!?」

ガラガラガラッ

「ヒナさんとハヤテ君の仲をバカにするような輩は許さない…ラブマイスター・ウエストよ!」

「私はそのついでだ」


と、押入れの中からズリズリと出てきたのは西沢さんと、千桜さん。
なんかイヤ〜な予感がしてきたぞ…


「ハヤテ君、口で言って信じてくれないならどうやって説得すればいい?そう!行動で示せばいいの!」

「はぁ…」


質問しといて僕の答えは聞かずですか。
「行動」って…もしや…


「だからここで、ハヤテ君とヒナさんが両想いである事を…皆に見せてあげて!!」

「そうだな、証拠を見せられたら私たちも文句は言えんな、アーちゃん」

「ええ、グウの音も出ない証拠を見せられれば仕方ありませんね、マリアさん」

「そうですね、では見せてもらいましょうか?ハヤテ君、ヒナギクさん…」

「「え゙っ…!?」」


うん、分かった。
僕たちハメられてました。


「いや、その、証拠とか言われましても僕たち」

「「「「「ほーれ、チューウ!チューウ!!(手拍子つき)」」」」」(以降ずっとチュウコール)


うおっ、何だこの息の合ったコールは!?
しかも「証拠」がいつの間にか「チュウ」にすり替ってるし…



って、まだヒナとはキスもしてないじゃないかーーーーーーーーーーーーー!!



まさかファーストキスをこんな皆の見てる前で!?
僕は良いとしても、ヒナが絶対に嫌がるに「イイ…よ?」
ってえええーーーーーーーーーー!?


「いいんですか、ホントに?」ヒソヒソ

「だって、こんなに煽られて、期待させといて出来ないなんて悔しいじゃない…」ヒソヒソ

「でも、ホントに最初なのに…」ヒソヒソ

「大丈夫。みんな、私たちの事を想って…喜んでくれてるわ。むしろドンと来いよ…」ヒソヒソ

「ヒナ…」ヒソヒソ


たしかに、皆さん僕たちの為に集まってきてくれた。
やり方はちょっとえげつないけど…応えたい、この気持ちに。
僕は決心し、スクッと立ち上がる。

パン!パンパンパン!  (チュウコール終わり)
↑タ●リさんの手拍子を締めるアレです

うわ、皆さん息ピッタリ…
まさか僕がコレやると読んでた…?
それはさておき…


「皆さん、今日は僕たちの為にお集まり頂き、ありがとうございます」

「そんな事より早くチュウ見せろー!」←ナギのヤジです

「オホン!今宵、貴女たちは…僕、綾崎ハヤテと…彼女、桂ヒナギクの『はじめて』の瞬間に立ち会います…皆さん、しかと目に焼き付けてください!」

「「「「「オーーーー!」」」」」

「コールお願いします!」

「「「「「チューウ!チューウ!!」」」」」


スゴイ、皆さんノリノリ過ぎる。
さて、ヒナはというと…既にスタンバイOKだーー!(ズコー)

目を閉じて、僕からのキスを今か今かと待っている。
それにしてもカワイイ、カワイすぎる!!

見惚(みと)れてしまってた僕は我に返り、慌てずゆっくりとヒナの頭とあごに手を添える。
もうコールも耳に入らない。
半径数十センチだけど、僕たち二人だけの世界が出来る。

行くよ、ヒナ…


・・・

「「「「「フォーーーー」」」」」(←海外コメディドラマのキスシーンのノリで)


何秒…何十秒唇を重ねていたかは覚えてない。
ただ、初めて味わうヒナの唇の柔らかい感触が、天にも昇る嬉しさを僕の心にもたらしたのだった。


「ヒナギク…」

「ハヤテ…」


目を合わせて互いの名前を呼び合う僕たちは、周りの目も忘れてその気になっているのだった。
お粗末さまでした。


「おーい、二人とも戻ってきて〜!」

「「!!」」


西沢さんの声に、すっかりスイッチの入ってしまっていた僕たちは我に返った。
いかんいかん…完全に魅入ってしまっていた。
ヒナの顔なんてもうまっかっかだ。


「まあ、なんとゆーか…ごちそうさまだ」

「「////」」

「今回は、『普通に祝っても面白みに欠ける』というアーちゃんの意見に、ここにいる全員が同意してこうなったワケだ」

「ぶい!ですわ」


笑顔でVサインを僕たちに送るアーたん。
なるほど、見事な小悪魔っぷりですね。


「いやぁ〜、僕たちマジで初めてだったんですよ〜?」

「なに!?帰ってくるまでに一発かましてきたんじゃないのか?」

「ナギ!そんなはしたない言葉を使って…」

「チュウの話だよ、マリアは耳年増だな…初めてなのは悪かったな。まあ、アレだ。これから二人でこれ以上の思い出を作っていってくれ」

「お嬢様…」


お嬢様の口ぶりからは多少の申し訳無さが伺える。
ホントに帰ってくるまでにしてきたと思ってたんだな…

「これ以上の思い出」…多分、作れる。
いや絶対作って見せましょう!!


「ヒナギク…ハヤテをよろしくな」

「ナギ…」

「こいつは…鈍感で、デリカシーも無くて、イライラする時もあるだろうけど…本当にお前の事を愛してると私は思う。それに、これまでたくさん辛い目にもあって来た…お前の力で、ハヤテを幸せにしてやってくれ!」

「ええ、もちろんよ!」


お嬢様…本当に僕の事を想ってくれているんだな…
辛い目にはたくさんあいましたけど、お嬢様に拾ってもらってからは十分幸せでしたよ。


「ハヤテ君」

「西沢さん…」

「ヒナさんはね、普段は強く見えるけど、ハヤテ君の事になるとホントに全然ダメな…ただの女の子なの。ハヤテ君がそばにいないと、不安で、寂しくて仕方ないの。だから…たくさん、たくさん愛してあげてね。ハヤテ君の『ヒナさんが好きだ』っていう気持ちを伝えて伝えて、伝えまくってあげてね!」

「はい、それなら…『ヒナが好きだ』という気持ちなら、誰にも負けません」


西沢さんも、本気でヒナを想っている。
こんなにたくさんの人に想われてる僕らの恋は、きっともう二人だけのものでは無いのかもしれない。
皆さん、僕たちはきっと幸せになります。
「しあわせの花」の名を持つヒナと一緒だ。幸せになれないわけが無い!


「よ〜し、しんみりムードもココまでだぞ!…マリア!」

「はいは〜い、お待たせしました♪」


なんか見覚えのあるやり取りだと思ったら…今回は既にグラスに注いである状態でお盆を持ってきたマリアさん。
やっぱり宴会ですね。


「ちょっ…ナギ!ダメよ、お酒なんて飲んじゃ…「ハイハイ、乾杯の音頭は…失恋ハムスター、頼んだゾ!」

「ええ〜っ、ナギちゃんがそれを言うかな〜…まあ、いっか。んでは、ラブマイスター・ウエストから、乾杯前の一言を!」

「「「「ヒュー!!」」」」(←ノってないのはハヤヒナで)


(絶妙な間)


「…ハヤテ君、まだ諦めてないからねっ♪」(←超本気な目線をハヤテに)

「「「「「「・・・」」」」」」


(凍結した間)


「カンパーイ!!」

「「「「「「カンパーイ」」」」」」


・・・


「それにしても流石だなハムスター、完全に空気が凍ったぞ」

「フフフ、甘いよナギちゃん。私が本気を出せば、あそこでカラダごとハヤテ君に差し出す事さえ…」

「あーそーか、すごいな」

「ぐぬぬ、なんかすごくバカにされてるような…」


・・・


「ハヤテ君、良く頑張りましたね」

「マリアさん、ありがとうございます」

「告白は自分から行ったんですか?」

「ハイ、でもちょっとアクシデントがあって…結局はヒナに助けられました」

「まあまあ、呼び方まで変わって…本当に幸せそうですね〜」

「いやぁ〜、ハハハ…」

「ハヤテ君も取られちゃったし、私も新しい恋を探して、幸せ作らないといけませんね〜」

「えっ?それってどーゆー…」

「フフッ、こっちの話です。さ、もっと飲みましょう♪カンパーイ!」

「か、カンパーイ」


・・・


「ちょっと、ハル子までこんなもの飲んで!生徒会役員としての自覚が…」

「オイオイ、ヒナ。これは酒なんかじゃなくてジュース(笑)だ。決して生徒会の一員としての自覚が無いわけではない」

「なによ、(笑)って!?」

「ほら、マリアさんなんてもうグラス空けてるぞ。ここら辺の違いが発育に差が出てくるんじゃないか?」チラッ

「んなっ…このくらい…私だってこのくらい空けられるわよー!!」グイグイッ

「おっ、イイ飲みっぷり!…マリアさん、追加お願いしまーす!」

「はいはーい、お任せください!」

「プハッ…どーお、ハル子?これでも私の発育が悪いって言えるかしら?」

「まあまあ、そのお話はコレ(追加分)を飲んでからにしようじゃないか」ドンッ

「いくらでもかかって来なさい!」

↑のやり取りを×10回くらい


1時間後・・・


「プラ●トの歌姫やお江戸のアイドルがなんぼのもんじゃーい!私の歌を聴けーーー!!」

「「「やんや、やんや!」」」


なぜか白皇生徒会長リサイタルが開催される始末に。
それにしてもヒナ、かなりギリギリな発言を…


「ヒナギクさん、だいぶアレしてらしてるのに、綺麗な歌声ですね…」

「そ、そーですね…」


プ●ントの歌姫もとい、一人カラオケがご趣味のマリアさんにはヒナの歌はどう聴こえてるのだろうか?
そんな非常にどうでも良い事を考えてると…


「ちょっと、マリアさん!!」

「え゙っ…ヒナギクさん、なんでしょうか?」

「いつまで私のハヤテをたぶらかしてるんですか!?ハヤテを誘惑してるのは…コレですかっ!」ムニッ

「ひゃんっ!!」


まさかヒナ、そこまでキているとは…
あの姉あって、この妹ありという事なのか〜!?
ってそうじゃなくて止めないと!


「ちょっ!ヒナ…「こんなけしからん胸を使って!許しませんよ!!」ムニムニッ

「や、やめてくださいヒナギクさん…ぁん…」

「い〜いですね〜、マリアさんは。こ〜んな素敵なモノをお持ちで…ハヤテ!!」

「は、ハイっ!」


うおっ、次のターゲットは僕か。
一体どんな言いがかりを…


「私の胸じゃ物足りないって言うの!?自分から告白してきたくせに!!」

「ゲッ…」

「どーなのよ!?答えなさいよ!」


物足りないもヘチマも、まだ見た事だって無いじゃないですかー!(←ウソ OVA参照 というか思いっきり触った事もありましたね)
むむむ…しかしココで彼氏ならば、ヒナのプライドを尊重しつつ場を収める妙案を思いつくはずだ!

…ひらめいた!


「ボソボソ…」

「ひゃい、よろこんで…」ドサッ

「「ヒナ(ギクさん)!」」


軽い爆発音を聞こえさせるようなセリフと共に倒れてしまった。
やっぱり少々刺激的だったかな…?


「ハヤテ君、ヒナギクさんになんて言ったんですか?」

「ゔっ…禁則事項です…」

「ふ〜ん、私には言えないような事なんですね〜」ニヤニヤ

「ははは…」


そりゃあ言えるわけありませんよ。
「ヒナの胸の事、良く知らないから今度二人っきりの時に確かめさせてね」だなんて…
目が覚めたら記憶が無い的なノリで頼むぞ、作者!(←知りません)

おっとと、寝てしまったヒナを放置したままだった。
僕は彼女の部屋に運ぼうと、抱きかかえる。


「おっ、ハヤテ!もう『お持ち帰り』か〜!!お盛んなこって!」

「まあまあ、ナギちゃん!そんな無粋な事を言うでないよ。ココは爽やかに見送って、一人身同士、語らおうじゃあないの!」

「違いますよ〜!ベッドまで運んであげるだけですって…では、ちょっと失礼します」


もう部屋にいる全員が出来上がってるようだ。
基本的に発言がお下品な事になっている。
とりあえず、ヒナを運ぶべく部屋から退散する。


「ハヤテ君、勢いに身を任せるのは決して悪い事ばかりじゃないからね〜…」


西沢さん、部屋の外からでも聞こえる音量で…

さて、ヒナの部屋に到着し、ベッドに寝かせて布団をかけてあげた。
うん、寝顔も本当に愛らしい。
…よく考えたら、コレも「二人っきり」といえばそうだ。

いかん!煩悩が頭を支配してきたぞ…
いかんいかん!寝てる相手になんやかんやなんて、鬼畜の所業じゃないか…
いかんいかんいかん!でもキスくらいなら…

ってバカ野郎!
自分で自分の頭をボカンと殴り、部屋を後にした。


「いくじなし…」ボソッ


扉を閉める音に混じったヒナのつぶやきが僕の耳に届く事はなかった。


・・・


お嬢様の部屋に戻る前に、頭を冷やすべく中庭に来て夜風に当たっていた。
鮮やかな満月が照らし、今日という日を祝福してくれているかのようだ。
月明かりの落ちる縁側で、考えるのはやはり彼女の事だ。
考えても考えても尽きる事は無い。


「綺麗な月ね…」

「!!?」

「あらあら、お化けにでも遭遇したような顔をして…」

「あ、アーたん!?」


ビックリした。
ココにいるのは僕だけのはずだったからか?それもある。
でももっと驚いたのは、僕に声をかけた人物の姿に対してだ。


「ええ、そうですわ。…なぜか元に戻ったようで」

「そうなんだ…あの、その…」


アーたんが元の大きさに戻っていたのだった。
そういえば宴会中に発言が無かったと思ったら…

その姿を見た瞬間、色んな…本当に色んな事が頭を駆け巡り、何から話せば良いか分からなかった。


「ヒナとの事…おめでとう」

「アーたん…」


僕から言い出しにくい雰囲気が伝わったのか、一番伝えなければいけない事を彼女から振ってくれた。


「うん、ありがとう。…でも、その…」

「これは予言なのですが…」

「?」

「そんなに遠くない未来に…貴方が原因で、ヒナは辛い目に遭うかもしれません」

「えっ!?」


いきなり何を…?
唐突な発言に面食らって、脳みそが整理出来ない。
ヒナが辛い目に?僕が原因?


「それってどーゆー…」

「その時には、ハヤテ。貴方がヒナの側についていてあげるのです。何があっても決して諦めず、ヒナを守るのです」

「そんな事を言われても…」


全く意味が分からないし、そんな時に厚かましくも側にいてあげるなんて…僕に出来るのか?


「ヒナは絶対に貴方を信じ続けます。貴方もヒナを信じて…そうすれば必ず乗り越えられます」

「何がなんだか良く分からないけど、ヒナを離さなければ良いの?」

「ええ、何があっても」


ヒナが僕を信じてくれるのならば、僕はヒナを信じるだけだ。口で言うだけなら簡単だ。
多分、アーたんが言おうとしているのは、とびっきりヤバイ状況の事なのだろう。
その時、僕がヒナに何が出来るか?僕の想いが試される訳か…。


「こんな予言、当たらなければ良いに越した事は無いのですが…絶対ですわよ?」

「うん、頑張るよ」

「私も…貴方たちの幸せを望んでいるうちの一人です。だから必ず二人で幸せになってくださいね」

「ありがとう、アーたん…」


初恋の相手から次の恋の相手との事を応援されている。
こんな珍しい現象も、ヒナの人柄の良さを考えれば納得が出来る。


「さて、これからの事は明日考えるとして…私は先に休みますわ」

「うん、おやすみアーたん」

「おやすみなさい、ハヤテ」


僕の奇妙な初恋はこれで幕を閉じた。
ありがとう、アーたん。


・・・


「ただいま帰りました!」

「遅いぞハヤテ…まさか!?」

「ちっ、違いますよ〜!!縁側で夜風に当たっていたんです!!」

「あれ〜、何が違うんだ〜?私は『まさか』としか言ってないぞ?」

「なるほど、熱く火照ったカラダを冷ましていたワケだね?」

「西沢さんまで〜…」

「まあまあ、二人ともそのへんにしておけ…さて綾崎君、本人もいなくなった事だし、存分にヒナについて語ってもらおうか。コレまで私の出番が無かった分までな」

「千桜さん…」


そういえば初登場だったかと、変な事を考えているうちに僕のグラスには液体がなみなみと注がれているのに気付く。
えーい、今夜は燃え尽きるまでやってやるぜ!!

この夜、僕は皆にヒナの好きなところを108個知らしめたのだった。




翌朝・・・


「おはよう、ハヤテ!う〜ん…今日も気持ちの良い朝ね!」

「おはよう、ヒナ!」


いつもの風景。いつもの朝の挨拶。
これまでと違う僕らの関係。
太陽の光がさんさんと降り注ぎ、僕らの新たな生活を祝福してくれているようだ。


「今日も一日、頑張りましょうね!」

「ハイ!」

「そういえば昨日…私何か変な事言ってなかった?歌ってた後からの記憶が無いの…」

「え゙っ…大丈夫です!何も言ってなかったです!!」

「何よ、『え゙っ』って!?ホントの事を言いなさいよ!」

「まあまあ…そうだ、こんな良い朝は無駄にしちゃいけませんよ!今はランニングの方が大事です!」

「んもう!…今度二人っきりの時、楽しみにしてるからね」ボソッ

「////」


しっかり記憶があるじゃないですか…。
でも、覚えててくれたという事は…ウェヒヒ…


「もう!朝からだらしない顔しないの!!…じゃ、行って来るわね〜!」

「はーい、お気をつけて!」


その愛らしい背中を見送る。
毎日やっている玄関掃除がやけに新鮮な感じがしたのは、きっと気のせいではなかった。

「しあわせの花」…まだ僕はそれを手に入れただけ。
手に入れたその花を、どれだけ大きく美しく咲かせる事が出来るか…
僕たち二人の日々は、まだ始まったばかりだ。


------------------------


ちなみに・・・


「アレ…アーたん戻ってる!?」

「え?どういう事ですか?」

「昨日の夜は大きくなってたんだよ」

「そうですか…どおりで記憶が無いかと…」

「一体なんで戻ったんだろうね?」

「う〜ん、なぜか知らないのですが満月の夜の記憶が全然ありませんわ。…ひょっとしたら何か関係があるのかも」


翌月の満月の夜、そこには大きな胸を揺らして走り回るアーたんの姿が…
って、どこのサ●ヤ人ですか。


いったんおわり


------------------------


【あとがき】

とりあえず、「ハヤテの片想い」のパートは今回で終了です。
でも!まだまだこの設定でやりたい話はあるので終わりません。
次回以降は時系列を戻して、ヒナ(か別の人)目線の話をやろうかなと思ってます。
要所要所のヒナの思ってる事を明らかにするつもりです。


さて、今回も長ったらしいので解説もやたらとボリューミーな感じに…

・タイトル
ヒナのキャラソンからです。「宴」→「祭り」→「カーニバル」といった連想です。(「カルナバル」はカーニバルのラテン語読みだそうです)
まあチュウもしてるし、「愛」も「情熱」もありますよね?笑

・呼び方
呼び方まで変わると本当に二次創作っぽさが出てきますね。
ちなみにチュウの後の「ヒナギク…」というセリフはハヤテが本気でスイッチ入っちゃってるからです。

・茶番再び
裏設定として、歩がナギの漫画を読みに来てました。
住民+歩でお祝いの準備をしています。
登場キャラが多くなると、セリフで判別できるようにするのが大変でした。
ちなみにハヤテの千桜さんへの呼び方は「春風さん」だったと思いましたが、一度間違っちゃったんでそのまま「千桜さん」で通してます。特に影響無い関係の二人なので。

・宴会再び
ジュース(笑)です。未成年の飲酒はダメですよ〜。笑

・マリアさん
特にこれまで話に絡ませませんでしたが、まあハヤテが好きだったとゆーことです。
一話くらいマリアさんの話をやろうかななんて思ってます。

・ヒナ酔い
ヒナもお祝いされて最高にハイ!ってやつになってしまってるだけです。笑
雪路のしょうもなさと、伊藤静さんのお触り癖(があると言われてます)を合わせた感じに…
ちなみに…
プラ●トの歌姫→マリアさん
お江戸のアイドル→歩
にかかった中の人ネタでした。

・アーたん(大)
この人との関係をきっぱりさせないとハヤテの恋は始まらないと思ったんで無理矢理登場してもらいました。
「アテネ」の時は「アリス」の記憶はあるけど、「アリス」になると「アテネ」の記憶が消える設定です。
「予言」うんぬんはフラグ立てっぱなしで終わる可能性もあります。「予言が外れた」という形で…
とにかくアテネがハヤヒナを応援してくれるというシーンを書きたかったんです。
サイ●人みたいな設定はこれからもちょくちょく出せるようにしたかったからです。


かなーりごちゃごちゃとした感じになってしまいました。
「ここの部分どーなのよ?」とかあればご遠慮なくどーぞ。
ご感想・ご質問などお待ちしております。
ありがとうございました。


この作者は、誤字脱字の連絡を歓迎しています。連絡は→[チェック]/修正は→[メンテ]
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Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【第7話更新】 ( No.40 )
日時: 2011/12/03 00:57
名前: こよーて

あーびっくりした!
『暫定』なんですね・・・『とりあえず』なんですね
最終回の文字に思わずビビってしまいましたがまだまだ続くようで一安心です。
さて、「「「「「ほーれ、チューウ!チューウ!!」」」」」にいきなり笑わせてもらいました。
いきなりなにごとぞ? と思いましたがこれをあのメンバーでやってるのですからね。
まあそれよりも、とたんにラブりだしましたよ!
それはもう砂糖吐きそうなくらいに!
そしてえげつないとか言いながらもノリノリじゃねーかハヤテ!
膝枕のときもそうだったが自分から言い出せない分そうゆうスキを逃しませんね。
みんなも計画立てて準備してたてことは告白してくるのわかってたのかな?
千桜は役得でしたね。三人娘すら立ち会えなかった初めての瞬間に立ち会えたし。
これであとでてないのはドSの副会長さんでしょうか。
彼女に弄られる二人も見てみたいものです。
あと一人初登場のアテネ。いきなり楽しそうな予言してくれます。
いや、二人には楽しくないのでしょうが。

とりあえずの区切り、お疲れ様です。ここまで楽しませてもらいました。
新章も楽しみです。あのときヒナギクがなにを思ってたのか? 気になるとこはたくさんあります。
では、長々となってしまいましたがこの辺で!
これからも応援してます。がんばってください。



あ、最後にみなさん、おs・・・ジュース(笑)には気を付けましょうね
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Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【第7話更新】 ( No.41 )
日時: 2011/12/04 01:21
名前: ロッキー・ラックーン

>こよーてさん
ご感想ありがとうございます。

そうです、「暫定」です。アニメ1期もやってた手法なんでマネしてみました。
次回以降は時系列を戻すか、カップル成立後の短編を予定しています。

アパートの住人達は、二人がくっつかずに帰ってきた時の対応も用意していたかもしれません。
はっきり言ってハヤヒナに対してかなりじれったく思っているので、強行手段でさっさとくっつけてしまう形でも面白かったかもしれません。

未出の主要キャラ…う〜ん、あと出るのは雪路くらいになりますかね〜…未定です。
まあ、イチャつくのを見られて弱みを握られる二人も面白いかもしれません。笑

暫定最終回までの流れは決めていたものの、ここから先は完全に宙ぶらりんな状態です。
物語自体は続けますので、どうぞお付き合い頂ければと思います。

では、ありがとうございました。
この作者は、誤字脱字の連絡を歓迎しています。連絡は→[チェック]/修正は→[メンテ]
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Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【第7話更新】 ( No.42 )
日時: 2011/12/10 00:12
名前: ロッキー・ラックーン

こんにちは、ロッキー・ラックーンです。
今回から、時系列を1話以前に戻してヒナ目線でやります。
しばらくヒナ編を続けるつもりで、タイトルもちょっと付け加えちゃったり…。
それではどーぞ!


------------------------


白皇学院生徒会長――桂ヒナギクはたまに…いや、毎日思っている。

ああ…どうして私は…あの人の事が好きなんだろう…?

惚れた方が負けとはいえ…
夜…家の庭先で、"女装して"女の子と抱き合うような男の子の事を、どうして自分は好きになってしまったんだろう?

しかも…!!
なんでそんなに…似合ってんのよ、女装が!!!



     しあわせの花 -Heart of Daisy-
     第1話【 Output 】



改めまして皆さんこんにちは、桂ヒナギクです。
そう、ここ最近の悩み…皆さんご存知、綾崎ハヤテ君の事。

16歳の誕生日に、自分は彼が好きだと気付いて以来、半年も経ってしまったけどいまだ何の進展も無い。
この半年間、彼との間には様々な事件が起きた。本当に、あり得ないくらいの頻度と濃密さで。
旅行をしたり、命を懸けた冒険をしたり、一緒に住んだり、子供分(て言えば誤解が無いわね?)が出来たり…。
それでも、私は想いを告げずに彼が告白してくるのを待っている状態のままだ。

…多分、このまま一生待っても「告白される時」というのは来ない。
この半年で得たものと言えば、この確信くらいがせいぜいだ。

なら自分から行けばいい?さすが読者の皆さん、鋭いわね…
まあこれも答えが既に出てる。「それが出来れば苦労は無い」だ。

「ありがとう」が言えない。
「ごめん」が言えない。
目を合わせられない。
想いを込めた言葉が届けられない。

…要するに、「綾崎ハヤテに恋する桂ヒナギク」をアウトプットする事が出来ないのだ。
はぁ…我ながらなんて滑稽な「恋する乙女」かしら。

♪〜♪〜

と、ネガティブ街道まっしぐらになっている私に一通のメールが届く。

----------
【西沢 歩】
件名:たすけて〜!

ヒナさん、宿題が分からないよ〜
おヒマだったらどうかお力添えを〜!><;
----------


「歩…まったく、しょうがないわね〜」


口ではそう言いつつも、このメールはとてもありがたかった。
たまの休みの日をこんな鬱屈とした思考を巡らせて終わるなんて、まっぴらごめんだからだ。
勉強ついでに、彼女と何か出来ればと思った。多分向こうもそう思っている事だろう。


「いつものとこね…っと!」


1時間後にいつも会う時に使っている喫茶店を指定。
最寄駅まで5分、電車が待ち時間合わせて15分、そこから喫茶店まで3分…
身だしなみを整えるのに30分以上の余裕がある。
それだけの時間があれば泣いていた顔を洗う事も出来る。
さて、気分を入れ替えて出かける用意をしなくっちゃ!



・・・



「この問題は、アルファがベータをカッパらってイプシロンすれば良いワケ」

「なるほど!ヒナさんの説明は分かりやすいな〜」

「もう、お世辞はいいから…じゃあ、次の問題からは自分でやってみて」

「ハイ、ヒナ先生」


場面は変わって喫茶店。
歩の宿題に関しては特に問題は無さそう。
解き方のコツさえ教えてしまえば後は自分でやり遂げる力が備わっているようだ。


「出来た〜!ヒナさん、見てみて」

「はい、どれどれ…うん、出来てるわね」

「アハハ、ヒナさんのおかげですよ」

「それなら良かったわ」


用事である宿題は片付いた。
さて、これからどうしようかしら…


「ヒナさん」

「はい?」

「もしこれからヒマでしたら…カラオケにでも一緒に行きませんか?」

「カラオケ?良いわね〜、行きましょう!」


私が言う前に歩からのお誘いだ。
これはまたありがたい。


「やった〜!ヒナさん、少し元気無さそうだから…歌って発散しましょう!」

「あれ…やっぱり、そう見えるかしら…?」


特に顔に出していたつもりは無いし、歩に呼ばれた事でだいぶ気が紛れていたと思ってたけど…
歩はそういう所がやけに鋭い。


「そうですよ〜。…よし!マスター、チョコレートパフェふたつお願いしまーす!」

「は〜い!」

「え?歩!?」

「とりあえず甘いもの食べて、愚痴こぼしてから行きましょう!宿題のお礼ってコトで…」

「んもう、勝手に注文して…」

「ヒナさんも好きでしょ、パフェ」

「それは…」

「なら決定!早く来ないかな〜♪」


私は歩のこういう多少強引な所は好きだ。
素直になれない私が、気付いたら自然体でいられるような雰囲気が出来ている。
だから彼女の前では自分を飾らない、強がらない。
きっと、私が男だったら歩にメチャクチャ惚れ込んでたと思う。


「はい、お待たせしました。お嬢さんたち、いつも可愛いからサービスね〜」

「「うわぁ…」」


マスターのおじさんが持ってきてくれたパフェは、なんともゴキゲンなボリュームだった。
私も甘いものは大好きだけど、こんなに食べられるのかしら…?
ちなみに、歩は目をキラキラと輝かせてそのパフェに見惚れている。


「あ、ありがとうございます…」

「フフフッ、ごゆっくり〜」スタスタ

「ヒナさん聞いた?『可愛いから』だってよ!ちくしょ〜、『たち』って言ってもきっと私はヒナさんのついでなんだろうな〜!ま、いっか。いただきま〜す!!」

「い、いただきます…」


セリフとは裏腹なゴキゲン具合がまた可愛いわね…。
パフェに夢中で食らいついている歩を見ていたら、なんか自分の悩んでいる事がどうでも良く思えてきた。


「ムグムグ それでヒナさん…モゴ 悩みはモグモグ ハヤテ君の事かな?」

「歩、行儀が悪いわよ…。まあ、そうだったんだけど…どうでも良くなっちゃったわ」


パフェを食べる手を休めて答える。
この感覚は、あきらめというよりは立ち直りに近いと思う。
何も話していないのに、妙に心が軽くなった気がする。


「ふぇん?モグモグ」

「恋の悩みも、甘いものの前では取るに足らないってコト!さ、食べるわよ〜♪」


休めていた手と口をフル稼動させてパフェに食らいつく。
ん〜♪やっぱり甘いものは最高ね。



・・・



「「ごちそうさまでした〜!」」


食べ切れるか心配になる位の量だったけど、案外あっさりと食べられてしまうものだ。
これで今度は私の体重がゴキゲンな事に…いけないいけない、せっかくのお休みにそんなつまらない事考えちゃダメね。


「いやぁ〜、幸せですねヒナさん」

「フフッ…そうね」

「では、甘いものも食べましたし、カラオケに馳せ参じるとしましょう!」

「うん!」


結局、喫茶店代は全部歩のおごりとなった。
呼んで貰って気晴らししてくれたのに加えてご馳走までしてもらうのは気が引けたけど、彼女の「どうしても」の言葉に、ありがたく甘えさせてもらう事にした。

ところでカラオケ屋さんへの道中で少し思ったのだけど、二人で歌うとなるとローテーションがかなりキツくなるんじゃないかしら?
普段あまりカラオケには行かないし、行くとしてもあの子たち(美希・泉・理沙)とだとか、生徒会(愛歌さん・ハル子他多数)とか、人数はいつも結構なものになる。
まあ歩と一緒だし、逆に二人で気楽なカラオケになって新鮮で面白いかもしれないわね…


「さあ、着きましたよ!」

「そうね」


着くやいなや、手馴れた感じで受付をする歩。
聞いた所だと、よくナギと二人で歌いに来るらしい。
とりあえず店選びから何から、全てお任せしてしまった。


「あれ?ヒナギクさん?」

「!! ま、マリアさん!?」


受付する歩をボーっと待っていた私に声をかけたのは、アパートの隣人でナギのメイド、皆様憧れのご存知マリアさん。
ほとんど見た事が無い私服姿だったので、かけられた声と姿に一瞬、整合性が取れなくて驚いた。


「ヒナギクさんもカラオケですか?」

「ええ、歩と…」

「あら、西沢さんとお二人ですか〜」


少し離れた歩を指し示す。
マリアさんは一体誰と…?
もしかしてハヤテ君もいるのかな…?


「マリアさんはどなたと一緒なんですか?」

「私は一人ですよ」

「えっ!?」


完全に想定外の答えに声が出てしまった。
いやいや、一人カラオケだって立派な趣味の一つ。
失礼の無い振舞いをしなくちゃ!


「あっ、スミマセン…ちょっと意外でしたので…。良く来られるんですか?」

「はい、最近ハマっちゃって。お休みの日は結構来ますよ」

「そうなんですか〜」


マリアさんの意外な一面が見えてビックリ。
そういえば、「マリアさんは歌ってもスゴイ」とハヤテ君が言っていた覚えがある。
せっかくだし、誘ってみようかしら…


「あ、あの!」

「はい?」

「良かったら私たちもマリアさんとご一緒してもいいですか?」

「え?せっかくお二人の所に私がお邪魔しちゃってよろしいんでしょうか?」

「お邪魔だなんてそんな!せっかくここでお会い出来たんですから…」

「そうですね…では、お言葉に甘えてご一緒させて頂きます♪」


やった。
そうとなれば早速、歩に三人での受付をお願いしに…


「では、お二人とも私の使ってるお部屋に来てください。西沢さんのキャンセルと人数追加の手続きは私がしておきます」

「へ?」

「はい、ですから私の使ってるお部屋にどうぞ。303号室です」

「『使ってる』って…マリアさんは今来られたんじゃないんですか?」

「いえ、ちょっと休憩にと思って出てたんですよ。…私はもうかれこれ3時間程前からいますよ?」


なんとー!
趣味の力というのはスゴイわね…


「そ、そうなんですか。分かりました。歩ー」

「なんですか〜、ヒナさん…あ、ナギちゃんのメイドさんの…」

「こんにちは♪」


歩に事に経緯を説明して、晴れて三人で女子会の開催とあいなった。



303号室・・・



「マリアさんの歌、楽しみだな〜」

「西沢さんの歌も、この間ナギが褒めてましたわよ?」

「私、カラオケはあんまり来ないから…」

「大丈夫、ヒナさんなら歌っても最強ですよ!」


さてさて始まりました、カラオケ女子会。
スタートを飾るのは、やっぱり歌ってもすごいマリアさんの歌声。


「♪〜♪〜」


スゴイ…雰囲気に飲み込まれていくと言うか…私の語彙(ごい)にこのスゴさを表現するにふさわしい言葉が見つからない。
天は二物も三物も与えるのね…(←「ヒナギクさんだってそうですよ〜」ハヤテ談)


「ふ〜。お粗末さまでした」

「マリアさんスゴイです!プラ●トの歌姫というか…コロニーの一つや二つ乗っ取れるんじゃないかな」

「私も…感動しました」

「フフッ、お二人とも褒めても何も出ませんよ♪」


♪〜


「おっ、次は私だね〜!いきま〜す!!」


二番手は歩。
ノリの良いイントロで聴いてるこっちも楽しくなっちゃうわね。


「♪♪〜」


ウソ…歩ってこんなに歌うの上手いんだ…。
それと歌唱力もさることながら、スゴイ歌詞の曲を歌うのね…。


「うひゃ〜!やっぱカラオケって超楽し〜!!」

「西沢さんの歌声もステキですね。数多く存在する私設の親衛隊が公式ファンクラブの座を巡ってバトっちゃう位ステキでした」

「この歌はよく分からないけど…上手いわね…」

「いや〜、やっぱ歌はメッセージがストレートで熱い方が良いですよね〜」


♪〜


そして三番手は残った私。
こんな上手い二人に見られちゃって恥ずかしいわね…


「♪〜〜」


うう、恥ずかしい。
…でも、好きな歌を思いっきり歌うのはやっぱり気分が良いわ。


「終わりです///」

「ヒナさん歌じょうず!!」

「ええ、ステキでしたね。私たちを差し置いてフルアルバムを二つも出すだけの事はありますね…」


ちょっと褒めすぎ…///
マリアさんの言ってる事も良く分からないし。(HiNA2もヨロシクね!)
でも、やっぱり気持ち良い!気分もノッてきたわ!!


「さぁ〜て、一回りしてウォーミングアップも終了ね。ドンドン歌いましょ〜!!」

「「オー!」」


こうしてカラオケ女子会は夜まで続くのだった。



・・・



「じゃあヒナさん、マリアさん、私はこっちなので…」

「お気をつけて〜」

「またね、歩!」


アッという間に楽しい時間は終わり、同じアパートのマリアさんと二人で帰路につく。
そういえば同じアパートに住んで結構たつけど、マリアさんと二人になるのは初めてだ。


「西沢さん、素敵な方ですね」

「はい、私にはもったいない位の…大切な友達です。明るくて、前向きで、素直で、強くて…私が持ってない所をたくさん持ってて…『私もあんな風になれたらな』って、いつも思ってます」


私が歩について思っている事を他人に話すのは多分これが初めてだ。
私にとって歩は、友達であると同時にライバルでもあり、何より憧れの存在であると言える。
ナギやあの子たちは「ごくごく普通の子」と言っているけど、とんでもない。
私の超えられない壁を自然体で超えている超人と言って良い。


「『あんな風に』ですか…ヒナギクさんも十分魅力的な女性だと私は思いますよ?しいて言えば、もう少しだけご自分をさらけ出した方が、鈍感な彼も貴女の気持ちに気付いてくれると思いますが…」

「なっ、何でそこでハヤテ君が出て来るんですか!?私は別に…」

「あらあらうふふ、私は『ハヤテ君』とは一言も言っていませんよ?」

「あ゙っ…」


しまった、自爆した。
ど、どうやって誤魔化そう…


「いえ、私は、その…」

「ハヤテ君に…『自分はヒナギクさんに嫌われてるんじゃないか』って、よく相談されるんです。もちろん、私にはそうは見えません…でもやっぱり、思ってる事って口にしないと伝わらないって思うんです」

「……」


私はマリアさんの言葉に黙ってうなづく。
確かに、私はハヤテ君の事をいつも考えるけど、その姿は私の脳内で勝手に作り上げたイメージに過ぎない。
私の中で勝手に「彼は私が好きじゃない」だとか「彼は私には無関心」だとかネガティブな事を考えてばかり。

きっと、ハヤテ君もそう。
私が想いを伝えない…少なくとも「嫌ってるだなんて、気のせいだ」と言わないから、彼の中で勝手に私のイメージが作り上げられてしまう。
どんなに想っても、恋焦がれても、それを伝えなければ意味が無いんだ。


「ですから、ヒナギクさんがハヤテ君に対して思ってる事を…少しだけで良いんです。伝えてあげてみたら良いんじゃないでしょうか?」

「…はい」


少しだけ…「綾崎ハヤテに恋する桂ヒナギク」じゃなくても良い。とりあえず。
「ただの桂ヒナギク」からもっとハヤテ君にアウトプットする事から始めてみよう。
一番いけないのは、自分なんかダメだと思い込む事…私なら出来る!やってみせるわ!!


「マリアさん、ありがとうございます。少し勇気が出てきました」

「うふふ、どういたしまして」

「あ、でも私がハヤテ君を好きな事は…」

「大丈夫です。それは、ヒナギクさんがハヤテ君に直接伝えなければならない事ですから♪」


ニコリと微笑みかけてくれるマリアさん。ホントに大人なのね…。
ますます憧れちゃうわ。

こうして、鬱屈した休日は親友と先輩によって素敵な一日に変わったのだった。



・・・数日後



「あら…降ってきちゃったわね…」


生徒会の仕事で一人居残りをしていた夕方。
朝の快晴だった空とは打って変わって、どんよりとした暗い空に強めの雨が降っている。
幸いな事に、大きめの傘を持って来ているので濡れる心配無く帰れるけど。


「さて、コレでお終いね」


書類を棚にしまって、足早に下校する。
いくら傘を持ってるとはいえ、ゆっくり歩いていると足元が濡れてしまうから、普段よりも早足で歩く。


「…あら?」


白皇学院の時計塔から校門までは結構な距離がある。
その道のりには校舎があり、ホールがあり、食堂や図書館がいくつもあり、広場があって雨宿りの出来る東屋がありと、他にも数多くの設備が存在する。
なぜいきなりそんな説明をしたかって?
私の視線の先の東屋に見慣れた人影があったからだ。

その人影の正体は…言うまでもなく綾崎ハヤテ。私の想い人。
ずぶぬれになって、その片手にはノートらしきものを持っている。
おおかた、ナギの忘れ物を傘も持たずに取りに来たのだろう。

これはまたとないチャンスじゃないかしら…
少しずつで良い。私の事をもっとハヤテ君に伝えよう!

深呼吸して高鳴る鼓動を落ち着かせ、私は彼のもとへと向かうのだった。


つづく


------------------------


【あとがき】

ハヤテ編第1話以前のヒナでした。
この雨の日が直接ハヤテ編1話に繋がります。
色々やりたい放題だったな〜。


■タイトル
"Heart of Daisy"…直訳で「雛菊の気持ち」…まんまですね。
キャラソンでは「ヒナギク=Flower」で通ってますけど、デイジーの方がしっくりくるのと、響きが好きなので…。

■タイトル前のモノローグ
29巻のヒナのモノローグをパクリました。
ルカとのエピソードに対してのヒナの言葉ですが、この物語でルカが出る事は多分ありません。

■ヒナ先生
ヒナの「アルファが…」のセリフはドラ●もんのパクリです。分かってくれる人がいたら嬉しい…
歩の学力がどの程度かは知りませんが、宿題を片付けるシーンに時間をかけたくなかったのでアッサリと。

■カラオケ女子会
「せっかくだからマリアさんも出して中の人ネタやっちゃえ〜」と勢いだけで書いたらこんな事に…
マリアさんはガン●ムSE●D、歩は銀●です。
HiNA2も発売まであと2週間切りました。めちゃくちゃ楽しみです。

■マリアさん
色恋沙汰は疎いはずのマリアさんでしたが、ヒナのアドバイザーになってましたね。
まあ、今回は「恋愛」というより「人付き合い」のお話だったからマリアさんも的確に話せたんだという理解でお願いします。


■桂雛菊にとっての西沢歩

今回はこの物語のヒナの中での歩という存在がどんなものなのかというのを表現するのに重点を置いたつもりです。
ヒナの中で、歩というのは「恋する乙女の理想」という存在です。
一度の成功・失敗をいつまでも引きずる、自分の思ってる事を言葉に出来ない、なぜハヤテが好きなのか分からないヒナは、
立ち直り・切り替えが早い、自分の気持ちを伝える強さを持つ、好きな人を想う自分を信じ続けられる、といった歩のメンタルに激しく憧れています。

憧れるが故に、歩自身のコンプレックスには気付けない。例えば、住んでいる場所がヒナの方が圧倒的に恵まれている状況である事とか、ハヤテが何かあるとすぐにヒナを頼っているのを羨んでる所とか…。
そういう事が分からずにヒナの脳内では「ハヤテを想う心」という点では、歩>自分という構図がヒナの頭の中で確定してしまうんです。
だから、なぜ自分がハヤテに恋してるのか分からなくなる時がある。自分の思ってる事なのに自信がグラつく。
ヒナ編では歩との心の通じ合い・成長の過程も出来たらと思っています。



まだ全然先が見えてませんが、ヒナ編はハヤテ以外との人間との交流から自身を見つめ直すヒナがメインになりそうな予感。
今回の歩・マリアさんに加えて、アリス、ナギetcと、絡ませたいキャラがたくさんいます。
まだまだしばらく続きますので、皆様お付き合いお願い致します。

ご感想・ご質問などお待ちしております。
ありがとうございました。
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Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【ヒナ編第1話更新】 ( No.43 )
日時: 2011/12/11 21:30
名前: こよーて

ここではウジウジしてるヒナギクが新鮮にかんじました
1話で感じたヒナギクの余裕は余裕なんかあったんじゃなく勇気ふりしぼったものだったんですね
ヒナギクの成長もみんなの助けがあってこそのようで。
この頃からみんなじれったく思ってたのかな?
それともこの頃はまだハヤテの気持ちはヒナギクに向いてなかったからヒナギクに危機感くらいかな?
この編からはヒナギクの成長もみれそうなのでまた別の楽しみができそうです。
ところでプラ●トの歌姫てヒナギクもコスプレしたあの方のこと?
では、次回もがんばってください。
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Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【ヒナ編第1話更新】 ( No.44 )
日時: 2011/12/13 02:25
名前: ロッキー・ラックーン

>こよーてさん
ご感想ありがとうございます。

ハヤテ編の頃から何度か申し上げてますが、「変化」という形でヒナに恋をするハヤテに対し、ヒナは「成長」という形でハヤテへの想いを深めていきます。
その成長の糧となるのが、歩なりマリアさんなりといった他者との交流です。
手探りではありますが、ヒナ編はこんな感じで進めていきます。

しかし、改めてハヤテ編1話を読んでみると…ヒナ余裕ありすぎですね。
まあ、ハヤテ目線だからそういうフィルターがかかってたという解釈をして頂けたらな〜なんて。笑

おっしゃる通り、プ●ントの歌姫はあの方です。厳密に言えばニセモノの方でしたけど…笑
原作9巻が出た頃はアニメ化がまだだったもので、ピンク髪ということでヒナがコスプレしましたが、アニメのキャストが決まってみるとマリアさんが田中理恵さんだったからどうするのかな〜と思ってました。
中の人ネタは個人的には15巻のマリアさんの「ジャンクにしますよ」のセリフを聞きたいです。関係無いですね。

毎度ご感想頂けてとても励みになります。
これからもどうぞよろしくお願いします。
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Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【ヒナ編第1話更新】 ( No.45 )
日時: 2011/12/14 10:16
名前: しろと

西沢さんジャ○アンと疑われるほどだったのに上手くなったんだ
なんにしろハヤヒナは西沢さんあってこそですね
これからの彼女の活躍も期待したいとこです

ところでこのSS妙に原作と被りますね
ここでナギアリスの昼食話した直後に原作でもナギアリスやったしガーデニングしかり
今週はラーメンですよ
あなた超能力者ですか?
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Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【ヒナ編第1話更新】 ( No.46 )
日時: 2011/12/14 12:42
名前: ロッキー・ラックーン
参照: http://hinayume.net/hayate/subnovel/read.cgi?no=7738

>しろとさん
ご感想ありがとうございます。

そういえば、歩はジャイ●ン級とかいう話ありましたね。
…それはもはや普通じゃないですね。
今回は完全に中の人補正がかかってました。笑
歩はこれからも超人的なメンタルを見せてくれると思います。

自分はずーっとコミックス派なので、30巻までの話しか分かりませんが…
ムラサキノヤカタ編の設定から考えられるシチュエーションを思いついたら偶然、畑先生の表現したいベクトルと被ったといった所でしょうか?
間もなく31巻発売なので、そんな話があると思うと余計楽しみになります。笑

では、次回もお楽しみに。
ありがとうございました。
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Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【ヒナ編第1話更新】 ( No.47 )
日時: 2011/12/22 04:20
名前: ロッキー・ラックーン
参照: http://hinayume.net/hayate/subnovel/read.cgi?no=7738

こんにちは、ロッキー・ラックーンです。
『HiNA2』聞いてます。良い感じです。
ちなみに映画のHPにある特設サイトから、伊藤静さんによるHiNA2全曲紹介ラジオが配信されてます。作詞家さんまで呼んでてスゴイです。

今回はヒナとアリスの絡みです。
それではどーぞ!


------------------------


「ヒナギクさん、明日学校終わってからお暇ですか?」


とある金曜の夜、お風呂あがりに縁側で涼んでいた私にハヤテ君からのいきなりの質問。
土曜日は午前授業のみ。…という事は!!


「ええ、明日は特にする事は無いわ…何かあるの?」


本当は生徒会の仕事が残っていたけど、今夜中に頭の中にまとめて、明日早出して書類を作れば十分イケると思い、即答。
「何かあるの?」だなんて、自分で言ってて笑ってしまいそうになるセリフだ。期待しかしてないくせに。


「良かった〜!実は明日、アーたんが一人で留守番になってしまうので、昼食の面倒を見てあげて欲しいんですよ。お願いしてもよろしいでしょうか?」

「……」

「ヒナギクさん…?」

「…あ、お昼ご飯ね!お安いご用よ♪」


ほんの刹那の間だけど、眉間にシワが寄ってしまった。
ハヤテ君に、見られてないわよね…?



     しあわせの花 -Heart of Daisy-
     第2話【 母と子と 】



「はぁ…」


大きなため息をつきながら自宅へ向かう土曜日の昼間。
空は晴れ、穏やかな陽気がとても気持ち良い。
それとは対照的な私の心情。

…もう、聞き方が思わせぶりなのよ!

その日、ナギとハル子は同人誌のイベントに参加するためお休み。
「生徒会役員がそんな理由で学校を欠席だなんて」と思わない事も無いけど、何ヶ月も前から決まってて、それに向かって本気で頑張っていたイベントなら致し方ないとも思う。
ちなみに、剣道の大会は土曜に開かれる事が多く、参加する際は公用欠席扱いになる。
部としての活動かどうかの違いだけで、普段頑張っている事の成果を発揮するのに変わりはないから、非難するのは少し違うなというのが私のスタンスだ。

という訳で、今日の放課後ハヤテ君はフリーの状態なんだと思っていた。
だから冒頭の彼のセリフに異様なまでの期待をしてしまったのだ。
実際は、ハヤテ君とマリアさん共々二人の手伝いとして借り出され、残るアパートの住人は私とアリスだけ。
ただ明日の予定を聞かれただけで舞い上がってしまった事への自己嫌悪。それがため息の理由の一つ目。
そう、一つ目という言い方をするからには二つ目もある。

かなりぶっちゃけた話にはなるけど、私はアリスが苦手だ。
特徴的な髪型、年齢に不相応な立ち居振る舞い、元々不思議な力を秘めているところ…何よりハヤテ君が「アーたん」と呼んでいる事。裏は取れてはいないけど、あの子は十中八九、天王州さんだ。
で、そんな彼女がなぜあんな姿に、なぜ記憶が無いのか、なぜ私と一緒に暮らす必要があるのか、なぜその理由を私に教えてくれないのか、疑問に感じる点がたくさんある。
そんな風に思ってる中で、一緒に住んでいても…

いや、ごめんなさい。
私がアリスを苦手に思ってる理由はこんな事じゃない。
きっと鋭い読者の皆さんなら分かってるはず。
【ハヤテ君の好きな人が彼女である事に劣等感を抱いているから】
…これに尽きると思う。

ハヤテ君の愛してる人はこの人なんだと思うと、切なくて胸が張り裂けそうになる。
ハヤテ君の愛するその目で見られると、ハヤテ君の愛するその声で話しかけられると、ハヤテ君の愛するその手で触れられると、妬ましくて仕方なくなる。
多分だけど、もし私がハヤテ君の恋人になれたとして、他のハヤテ君が好きな女の子にこう思われたとしたら理不尽だと感じると思う。
分かってる。分かってるのに自分の心が制御出来ない。
ホント、バカみたい。


「…早く帰ろう」


ブンブンと頭を振る。
こんなダメな事をずっと考えていても仕方ない。
逆に考えれば、せっかくの二人っきりになるチャンスだ。
コミュニケーションをしっかり取って、お互いの考えてる事をすり合わせるには今日しか無い。
そう自分に言い聞かせて駆け足でアパートへと向かうのだった。



・・・



「ただいまー」

「おかえりなさい、ヒナギクさん」


縁側にいたアリスは、私の姿が玄関から見えるとマリアさんのサンダルを履いて近寄ってきた。
幼い身体に不釣合いなサンダルでひょこひょこと歩いてきて私を迎えてくれた。


「ひなたぼっこ?」

「はい。とても気持ちの良い陽気でしたので…」


さっきも言ったとおり、陰鬱とした気分の私をせせら笑うかのような陽気。
そんな陽気の中を走って来たから汗もかいたし、お腹も空いてしまった。


「お腹空いたでしょ?すぐにお昼ご飯作るから!」

「はい、お願いします」


足早に自室に戻って制服を着替え、いつも使っているエプロンで身体を覆いながら台所へと向かった。
手を洗いアルコール消毒も済ませ、作るメニューは…焼きそば。焼いたソバだ。
昨日の夜の時点で冷蔵庫の中身を下見しておいたので、材料はバッチリ揃っていて、調理する時間もそんなにかからないお手軽メニューだ。

ところで、いつだったかナギが名作だと薦めてきたから読ませてもらったマンガに「『焼きそばが食べたい時』と『カップ焼きそばが食べたい時』は別の時であり、『カップ焼きそば』は『焼きそば』に近いものだが、焼きそばに勝ってもいないし負けてもいない」というセリフがあって、妙に納得してしまった事をなんとなく思い出した。確かにあの二つは全くの別物だと私も思う。
ちなみに「綾崎ハヤテに本気で恋焦がれてる時」と「叶わぬ恋に没頭する哀れな自分に酔ってる時」は紙一重で別物だ。「カップ焼きそば現象」とは違って、後者は明らかに前者に負けているけど…。

…と余計な事を考えている間に野菜とお肉の切り分けも終了。
後は順番に炒めれば…


「ヒナギクさん」

「!!」


気付いたら、アリスが私のエプロンのすそを掴んでいた。
正直、かなり驚いた。余計な考え事をしてたのもあり、身体が震えてしまった。


「なに?これから火を使うから危ないわよ」

「すみません、ココで見ててもよろしいでしょうか?」

「良いわよ。でもココじゃ近いから、そこの椅子に座ってなさい」

「はい!」


油の跳ねない距離までアリスを遠ざけ、調理再開。
お肉(赤みが無くなる手前まで)→野菜(水分をしっかり飛ばす)→麺(水を少量加えると蒸し焼きに出来て美味しい)の順番でフライパンに入れる。


「何を作ってるのですか?」

「焼きそばよ。もう少しで出来るからね」

「なんで水を入れるんですか?」

「こうすると全体に熱が伝わって美味しくなるのよ」

「へ〜っ、そうなんですか…良い匂いですわ」


…焼きそばを作りながらの会話の最中、強烈なフラッシュバックに襲われた。
私が桂家に来て、初めてお義母さんと二人っきりになった時、お義母さんは焼きそばをお昼ご飯に作っていた。
10年位前の話で、今の今まで全然覚えてなかったのに…

その頃の私はひどく不安定で、お義父さんやお義母さんは優しくしてくれていたのに、なんやかんやと反発してた記憶がある。
「偽者の親のくせに」とか「本当のお母さんに会わせろ」とか、酷い事を言っていた。
まあ、6つか7つの子供がいきなりそんな環境の変化に順応できても不気味だけど…
とにかく、その時に食べた焼きそばが本当に美味しくて、その時お義母さんと初めて笑って会話した記憶がある。


「ヒナギクさん、泣いてらっしゃるんですか?」

「!!」


気付いたら涙がこぼれていた。
私はハッとして慌てて目をこする。


「なっ、泣いてなんかないわよ!!煙が目にしみちゃって…ケホケホ…えーっと、もうすぐだからね♪さぁ、そこの棚からお皿を出して!」

「…は〜い」


無理やり作った笑顔でごまかし、出来上がった焼きそばをお皿に盛り付ける。
う〜ん、我ながら良い出来ね。


「美味しそうですわね〜!早く食べましょ食べましょ!!」

「はいはい、そんなに急かさないで」


アリスが二人分の箸を出し、私が二人分のお茶を用意する。食卓完成!


「「いただきまーす!!」」


うん、味は言うまでも無く上々。
アリスも美味しそうに食べてくれている。


「美味しい?」

「はい、とっても美味しいです!」

「ふふっ、良かった…」


笑顔で答えるアリス。その姿を見ていたら、これまで感じていた氷のような感情がみるみる融けていくような気がした。
無邪気というか、愛らしいというか…とにかく、本気でハヤテ君の事を想っている時と同じような…温かい気持ちになった。


「『焼きそば』というものはこんなに美味しいものなのですね!ヒナギクさんのおかげで私の好物が一つ増えましたわ♪」

「おかわりもあるから、たくさん食べてね」


焼きそば自体は市販のものを調理しただけだから少し恥ずかしいけど…かなりウケが良いようで何より。
私もかなりお腹が空いていたので、始めは二人分には多いかなと思ってフライパンに残していた分もあっという間に完食。


「「ごちそうさまでした!」」


食べ終わったら仲良く片付け。
その後は歯磨き。
ふと、永久歯が生え揃った体が幼児化したら歯並びとかはどうなるんだろうとか思いもしたが、禁則事項のようなので考えるのをやめた。


「ふ〜っ、お腹もいっぱいになりましたし、一緒にひなたぼっこでもしませんか?」

「うん、良いわよ」


さっき私が帰ってきた時もやってたのにというツッコミも入れずに誘いを受ける。(後から聞いた話だと、日中起きている時はたいがい縁側でボーっとしてるらしい)
ちょうど、色んな話が出来るチャンスだと思った。
座布団と温かいお茶とちょっとした毛布(アリスいわく「極楽3点セット」というらしい)を用意して、縁側へ。


「う〜ん、今日は特別気持ちの良い日ですね〜」

「そうね…ふぁ〜あ」


大きなあくび。いけないいけない、完全に気が抜けてしまっている。
でも、お腹いっぱいご飯を食べた後にこの陽気。仕方ないか。


「いつもこうしてるの?」

「はい、お天気の空を眺めながらボーッっとする。こんなに楽しい事はありませんわ!」

「そ、そう…」


いきなりの●太君みたいな事を力説するアリス。
確かに、気持ち良くて眠くなっちゃって、幸せな気分に浸れるけど。


「ねえ、アリス…」

「はい?」

「寂しくない?お父さんもお母さんもいなくて…」


なんとなく。ただなんとなく聞いてみただけだった。
私の場合は、お姉ちゃんがいた。今でこそなんだかんだとけなすような事を言うけど、お姉ちゃん無しで今の私は存在しえない。
今、この子は誰を支えにして生きているんだろうかと思ってしまったのだ。


「う〜ん…父も母も知らないから分かりませんわね…でも…」

「?」

「寂しいなんて事はひとつもありませんわ…私には素敵な『ママ』がいますから♪」

「え?それって…」

「ふふふっ♪」


屈託の無い笑顔で私を見つめるアリス。
…きっと、私もお姉ちゃんをあんな瞳で見てた。
「この人だけは、自分をスキでいてくれる。離れないでいてくれる」…そう信じている目だ。

友情でも、恋でもない…自分の中に初めて芽生えた感情。愛情…っていうのかな?
多分、お姉ちゃんやお義父さんお義母さんが私に対して持ってくれている気持ち。
この子を守りたい。裏切りたくない。そんな気持ちで胸がいっぱい。
誰かに信頼される事って、こんなに心を動かされる事なんだ…

気が付いたら、アリスを抱きしめていた。
彼女が戸惑っているのもお構いなし。


「えっ、あの…ヒナギクさん?」

「『ヒナ』で良いわ…というか、そう呼んでちょうだい」

「?」

「『ママ』は恥ずかしいからやめてもらいたいけど、『ヒナギクさん』だなんて他人行儀じゃない…ね?」


余談だけど、私は自分の名前の呼ばれ方をその人との関係のバロメーターにしている。
要は、親しい人からは「ヒナ」と呼ばれたいのだ。
もちろんハヤテ君にもいつかそう呼んで貰う日を夢見てるし、歩からも「さん付け」をやめて欲しいと思ってる。


「分かりました…ヒナ」

「うん。」


さっきまでの私はナシ。好きになっちゃった。
私はこの子、アリスの母親だ。
どんな苦境に立たされようと、私はこの子を守る。


「ところでヒナ」

「ん?なあに?」

「ハヤテにはもっと積極的に行った方が良いと思うのですが…あの通り鈍感なのですし」

「!!?」


いきなりのダメ出し。
アレ!?このままキレイに終わるんじゃなかったの?作者さん!(←ごめんなさい)


「え、その…ハヤテ君も忙しいみたいだし」

「ヒナはハヤテが好きなんでしょう?」

「う、うん…」

「だったら、もっとアプローチしないとダメですわ!ハヤテは鈍感なくせに妙にモテるみたいですから、『見てるだけ』『思ってるだけ』はNGです!」

「は、はいっ」


子供らしからぬ剣幕で私に迫るアリス。
つられて従ってしまう私。


「『ママ』であるヒナが『パパ』であるハヤテを好きなのは、私にとってとても嬉しい事なのです。ですから、ヒナは思う存分ハヤテへの恋を実らせてください」

「えっ、でも…」

「『天王州アテネ』の事ですか?ごめんなさい、ヒナ。今は何も話す事ができません…でもきっといつか全てをお話ししますから。貴女は貴女の道を進んでください」

「……」


私の心を見透かしたような言葉。やっぱりこの子は不思議な力を持っている。
でもそんな事、もうどうでも良いや。
私はアリスを信じるし、アリスも私を信じてくれていると思う。
しばらくはそんな感じで付き合っていこう。


「どうやったら、ハヤテ君の前で素直になれるかな…?」

「それは何と言っても表情ですわ。好きな人の前でしかめっ面をしてて、本人も相手も嬉しいわけがありません!…では、ヒナ」

「?」

「『嬉しい〜♪ハヤテ君、ありがとう!ニコッ』ハイ、続けて!」

「う、嬉しい〜#ハヤテ君、ありがとう?(棒)」

「全然ダメダメです、下の下ですわ!さあ、もう一度!!」


不用意な私の一言で急に始まったアリス先生のレッスン。
それから皆が帰ってくるまで続いたのだった。



数日後・・・



「ありがとうございました、ヒナギクさん」

「いいえ、またいつでもいらっしゃい」


私の部屋。宿題に困っていたハヤテ君に手助けをしてあげていた。
そろそろハヤテ君、帰っちゃうわね…よーし、アリスの過酷な特訓の成果を見せてやるわ。


「では、そろそろ僕はおいとまさせて頂き…」

「ハヤテ君」

「?」

「いい夢見られると良いわね…おやすみっ」チュッ


(凍った間)


「はわわわわわ!ヒナギクさん!!?」

「あの、いや、その…おやすみっ!!」バタン


アリス神拳奥義その4「おやすみのキス」あえなく失敗…
扉を乱暴に閉めてハヤテ君を追い出した。


「あ゙ぁぁぁあああ!なにやってるの私わーーー!!もう死にたいわーーーー!!!」

「ヒナ、大成功ですわよ!!厳しい特訓に耐えた甲斐がありましたわね」


頭を掻きむしる私の横で、押し入れから出てきた娘は誇らしげに肩を叩いてきたのだった。orz


つづく


------------------------


・・・ちなみに


「ヒナギクさん…キス…夢…」

「おい、ハヤテ!ハヤテ!!…へんじがない。 ただの しかばねのようだ」


当のハヤテはあれから3日ほど夢うつつだったそうだ。

------------------------


【あとがき】

28巻アリス初登場から、29巻10話までヒナとアリスの会話が皆無なのにアリスが「ヒナ」と呼んでいたのを見て思いついた話です。
本編は完全にルカ中心のためヒナ・アリスの関係は完全にしょられてましたので…。
ハヤテ編4.5話の焼きそばエピソードの補完をしつつ書いてみました。

■カップ焼きそば現象
「みな●け」からです。私自身かなり納得させてもらった説です。

■のび●君みたいな…
「あったかいふとんで、ぐっすりねる!こんな楽しいことがあるか」というセリフのパロディです。
アリスの日常を一話にしてみると面白いんじゃないでしょうか?ハヤテの日常はとてもキツそうで見てられませんでした。

■アリス
アリスはハヤテにとっても重要でしたが、ヒナにとっても歩と同レベルのキーパーソンです。
「ヒナとハヤテをくっつけたい」「アテネの記憶が無い」という設定にしましたので、簡単に動かせる最強キャラです。
アテネの記憶に干渉されないという意味で、アリスは「ちびアテネ」と言うより「アリス」という独立した人格として動かしています。
逆にアテネになってしまうと、アリスの記憶がアテネの人格に干渉する。アテネとアリス二人で「アテネ」という人格になる。
心の自由の点でアリス>アテネという力関係になるんです。記憶が無い事で逆に。
そうしないと、いたる所でアテネが干渉してきてハヤヒナが成立しなくなっちゃうんですよね。
これからもアリスの暴走っぷりを書きたいと思います。
それにしても、31巻ではヒナとマリアさんまで同人イベントに行っちゃって、アリスは一人ぼっち(とトラ一頭)で家にいるんですかね〜?

■ヒナの記憶
ヒナはとっても良い子だから義理の両親ともすぐに打ち解けたと思いますが、焼きそばエピソードのためにちょっと反抗期のある設定にさせてもらいました。
アリスと昔の自分を重ねた結果、自分が受けた愛情をそのままアリスに向けてやるという結論に。
イヤイヤ言いつつアリスの特訓を受けてるのも愛情表現の一つです。


さてさて、解説はこんなところです。
ヒナ編になってから、ハヤヒナが全然出てませんね。書きたい…
次回はそんな願望を無理矢理叶える形になるかもしれません。

ご感想・ご質問などお待ちしております。
ありがとうございました。





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Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【ヒナ編第2話更新】 ( No.48 )
日時: 2011/12/23 16:59
名前: ピアノフォルテ

 どうも、失礼します。いや、面白いっすよ。コレ。
 乗せられて微妙に暴走するヒナギクとかニヤニヤしてしまいます。
 皆可愛い!!可愛いは正義!!
 それでは、これからも無理せず執筆続けてくださいね
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Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【ヒナ編第2話更新】 ( No.49 )
日時: 2011/12/24 03:37
名前: ロッキー・ラックーン
参照: http://hinayume.net/hayate/subnovel/read.cgi?no=7738

>ピアノフォルテさん
ご感想ありがとうございます。

ハヤテの事になると他人の思惑に乗せられまくりで、その結果暴走しちゃうというパターンのヒナが好きなんです。
それでも絶対他人のせいにしないヒナが可愛くて可愛くて…。
これからもニヤニヤできる物語を作りたいと思ってます。

では、ありがとうございました!
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Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【ヒナ編第2話更新】 ( No.50 )
日時: 2012/01/05 02:20
名前: ロッキー・ラックーン

こんにちは、ロッキー・ラックーンです。
スミマセン、ヒナ編迷走中です。
今回はナギとの絡みです。

それではどーぞ!


------------------------


最近、ハヤテ君との関わりが不気味なほど上手くいっている。
「あいあい傘」で一緒に帰ったり、早朝から二人きりで手を繋いで散歩したり、アリスも一緒にまるで家族みたいなシチュエーションでピクニックをしたり…
分かってるわよ!どうせ何かしらのオチがつくんでしょ!?覚悟は出来てるから何でも来なさい!

トントン

頭の中で誰に向けてか分からない決意表明をしていた最中のノック。
私はハッと我に返り、脳内のくだらない考え事を払い去った。


     しあわせの花 -Heart of Daisy-
     第3話【 He loves you 】



「はい、どうぞ」

「私だ」


扉の前には、皆さんご存知私の想い人、綾崎ハヤテ…の主人、三千院ナギ。
彼女が私を訪ねて来る事、いつも一緒の執事を連れずに単身乗り込んで来ている事、心なしか元気が無さそうな事…色々と見慣れない点があったけど、とりあえずは用件を聞く。


「あらナギ、こんばんは。こんな時間にどうしたの?」

「ヒナギク、明日の放課後はヒマか?」


挨拶の一つもせずに用件に移るあたりが彼女らしいといえばらしい。特に気にしない。
ちなみに明日は…生徒会で外せない大事な会議がある。


「明日は生徒会の会議があるわね…」

「そうか。終わってからで良い、時間を取れないか?話したい事がある」

「私は大丈夫だけど、貴女はいいの?だいぶ待つ事になるわよ?」

「構わん。お前の都合に合わせる」


ぶっきらぼうな言い方はいつも通りなのに、その内容は私の都合を中心に回っている。
これにも普段とは明らかな違和感を覚える。


「今じゃダメかしら?私の部屋で…」

「悪い。あまり他の人間には聞かれたくない話だ」


簡単な作りとはいえ、アパートの一室を貸し切ってもNGという事は、ここの住人が関わってくる話なのかもしれない。
それとも、以前読ませてもらった自作のマンガについてか…ともあれ、かなり込み入った話になりそうな事をナギの顔が物語っていた。


「分かったわ、それなら良い場所があるわ。じゃあ、明日連絡入れるから…」

「ああ、頼む…じゃあ」

「おやすみ」


言葉すくなに立ち去るナギ。
その後ろ姿からは心情を察する事が出来なかった。一体どういう話なんだろう…?
彼女の「話したい事」が、この先の私の運命を大きく左右するという事など、この時の私は知る由も無かった。



・・・翌日、生徒会室



「では、以上で会議を終了します。お疲れ様でした」

『おつかれさまでした〜!』


滞りなく会議は終了。
私の終了の挨拶と同時ににわかに部屋はざわつき、解散ムードが部屋に充満する。
私も他のメンバー同様、資料を鞄の中につめて帰宅する用意にいそしんでいると…


「ヒナ、お疲れ」

「ハル子、お疲れ様」


私と同じアパートの住人、春風千桜。
生徒会書記を務めていて、会議の際に毎回彼女が作成する議事録はとても読みやすく分かりやすいと評判だ。
アパートが同じなので、生徒会の活動がある日は毎回彼女と一緒に帰っていたのだった。


「ゴメン、ハル子。今日は先に帰ってて」

「なんだ、用事でもあるのか?」

「うん、ナギに呼ばれてて…ちょっと寄り道していくから」

「そうか。…って事はナギは今待ってるのか?」

「うん。そうだと思う」

「そりゃあ珍しいな!あのグータラ女王が学校に来て、終業チャイムと同時に帰らないだなんて」


ハル子の言う「珍しい」という言葉は「学校に来る」と「終業チャイムと同時に帰らない」二つにかかっている。
後者はともかくとして、前者はやはり問題アリの状態だ。


「おっけ、じゃあ先に帰ってるので。今日はマリアさんの特製カレーだって聞いてるから、遅くならないようにな」

「うん、お疲れ様」


思いがけず今日の夕飯の献立を知る。
カレーが大好きな私の胸がときめいたのは言うまでも無い。(「ときめく胸はあるのか」というツッコミは受け付けない)



・・・



時間と場所は移り、喫茶店。
いつも歩とおしゃべりする時に使っているお店だ。

入ってすぐ左側にポツンと一つだけあるボックス席、ここが私たちの指定席だ。
他の客席は入口から右側にしかない。
込んだ話や他人には聞かれたくない話をするには最適な空間だった。(もっとも、歩と私の会話はくだらないものが大半を占めているけど)

正直、歩以外の人とこの席で話す事は無いと思っていた。
ここは私と歩のお気に入りで、ある意味二人だけの秘密とでも言えるくらい私たちの中では重要な場所だったからだ。
そんな場所を使う必要があると思わせる程に、今回のナギの様子はいつもとは異なっていたのだった。


「……」

「……」


向かい合ったまま何も語らない。この状態のままゆうに5分は経過している。
注文してすぐに出されたにも関わらずに、一向に手をつけないナギのミルクティから放たれる湯気の量が明らかに減っている事が時間の経過を表していた。
特に話を急(せ)くことは無いと思っていたけど、さすがに限界…


「それでナギ、話したい事って?」

「……うむ」


今日出会ってから一度も合う事の無かった視線がはじめて交わった。
普段私に向けられる攻撃的な眼はそこには無く、消え入りそうな程に儚くて端整な眼だった。


「…質問がある」

「何かしら?」


ようやく明かされるナギの心情。
私は、その「質問」の内容がどんなものでも驚かないように身構えた。


「お前の目から見て、『私とハヤテの関係』って、何だ?」

「…は?」

「いや、深い意味は無い。ただ単に『ハヤテは私の何か?』というのを聞きたいんだ」


突拍子も無い間の抜けた質問だとも思ったけど、ナギの眼は本気の本気。
私もその本気に応えた回答をしなくてはならない。


「そうね…まず、執事よね」

「そうだな。他には?」

「う〜ん…クラスメイトなんて言って良いのかしら?」

「確かにそうだ。…他は?」

「う〜ん……」


正直なところ、困った質問だ。
ナギとハヤテ君の関係…「主とその執事」以外に…


「家族…っていうのはアリかしら?」

「…それも間違い無い」


こっぱずかしい回答ではあったけど、二人の間には主従というよりは家族の絆の方が強いと思う。
それこそ、私なんかでは入り込めないような関係が二人にはある。それを恨めしく思う事もしばしばだけど、今はその話は別。


「他には…そうね〜…」

「いや、もういい。分かった」


果たしてあの回答で良かったのかは皆目見当もつかないけど、質問者から打ち切るというのであればそれに従うまで。
いったいナギは私にどんな回答を期待したのだろう…?


「もう一つ質問だ」

「良いわよ、何?」

「答えたくなけりゃ答えなくても構わない」

「分かったわ」

「お前…ハヤテの事、どう思ってる?」

「!!」


一つ目の質問から方向性は急転換。私の心の中のそのまた中の深い所をえぐるような質問。
ハヤテ君の事…もちろん毎日、毎晩想い続けるほどに恋焦がれている。
でも、はっきり言って私を嫌ってるかのような節のあるナギにそんな事を言ってしまって大丈夫なのだろうか…?


「いや、いいんだ。答えたくなければ「好きよ」


ナギの言葉を遮って出た言葉。それは酷く簡潔で、それでいて私の心を最上級に正直に表現した言葉だった。
さすがのナギも私の素直な気持ちを聞いたからか、目を丸くしている。


「そうか、それはハヤテを男として見ての…恋愛の『好き』か?」

「そうよ、私はハヤテ君に恋してる」

「そうか…」


それ以降、ナギの言葉は止まった。
この回答は果たして正しい選択だったのか、自信は無い。
でも、今日のナギには自分の心を偽って誤魔化す事がどうしても出来なかった。


「……」

「……」


長い沈黙が続く。
重苦しくて耐えられない空気だけど、それを打開する言葉が見つからない。
一秒一秒が果てしない時間に思えた。


「『君が欲しい』って言われたんだ」

「?」


意外にも、沈黙を破ったのはナギの言葉だった。
その大きな瞳に涙をいっぱいに溜め込んでいる。


「クリスマスイブの夜に、出逢っていきなりな」

「……」


黙ってナギの言葉を聞く。
その発言をした人間の名前が無いけど、おそらくハヤテ君の事だろう。


「一目惚れだったさ。それから、ずっとずっと好きだったし、あの時よりもっともっと好きになった…恋人同士だと思っていたんだ」


「一目惚れ」の単語に、ピクリと反応してしまう。
私にも身に覚えがありすぎた経験だったからだ。


「でも、全部私の勘違いだった…笑える話だろ?」

「……」


もちろん私は笑わない。
ナギからの次の言葉を待つだけ。


「親に売られて借金まで押し付けられたから、私を誘拐しようと思っていたらしいんだ。…まあ、今となっては誘拐されてそのままハヤテのものにされても良かったなんて事も思ってるが…」

「……」

「冗談だ」


自嘲気味で酷く饒舌…初めて見るナギの姿。
分からない。
なぜ、彼女は自分の心の奥底を私なんかに話すだろう?


「…それを、どうして私に?」

「……」


私の言葉に、言葉が詰まるナギ。
なめ回すように私の身体を見て、最後には視線を合わす。


「ハヤテは、お前が好きだ」

「はぁ!?」


いきなりの爆弾発言に脳みそがついていけない。
ハヤテ君が?私を?ナギが何を言ってるのか分からない。


「いや、本人に直接聞いたわけじゃないがな…まあ間違い無い。最近、明らかにハヤテのお前の見方が変わった」

「変わった?」

「ああ、明らかにだ。見る頻度が爆発的に増えた、その度に切なそうな表情を浮かべる、私からお前の話を振ると喜んで話の主導権を持っていく、あと…」

「あと?」


嬉しさと、それを疑う気持ちと、急展開のワケ分からなさと、ごちゃまぜになった複雑になった心情でも、ナギの次の言葉は最高に気になった。


「毎晩、お前の名前をつぶやいて、泣いてる」

「!?」


想像出来ない。
だって、ハヤテ君がですよ!?私の事を想って毎晩泣いてるって…私がやってる事と変わらないじゃない!


「ちょっと、想像出来ないわね…」

「そうか、まあ信じるかどうかはおまえの自由だ。私は私の見たものをありのまま言っているだけだ」

「…そう」


ナギが私にウソや嫌がらせでこんな事を言うのは考えにくい。
きっと、正真正銘ホントの事なのだろう。


「…でも、それを何で私に?」

「……」


そう、それが一番気になった事。
少なくとも私の感覚では、ナギは私の事をあまり良く思ってないと思っていた。
そんな相手に、自分の恋が不利になる事なんて絶対言わない…と思う。


「ハヤテの幸せにはお前が必要だからだ」

「私が?」

「そうだ。そして私はハヤテの主人だ。私にはハヤテを幸せにする義務がある。どんなに私がハヤテの事を好きでも、ハヤテが私の事を好きでないのなら、潔く認めなければならない…不本意だがな」

「……」


驚いた。
そこにいるのは以前のようなワガママお姫様ではなく、幼いながらも主人の貫禄が垣間見えるお嬢様だった。


「アイツが不幸な目に遭うのは、もうたくさんだ。幸せにまみれた人生を送って、死ぬ時まで笑っていて欲しい。そのためのお前だ…笑っちゃうくらい奇麗事だろ?」

「……」


確かに明らかに自分の気持ちを押し殺しているのが分かる。でもだからと言ってどうしようもない事だって世の中にはウンザリするほどある。
…これがナギが結論付けたハヤテ君への「愛のかたち」なんだと思う。
そう考えてみると、私は愛なんてまだ知らない。愛なんてまだ呼べない。
そんな私がハヤテ君を幸せにだなんて…出来るのだろうか?


「まあ、だからと言って『ハヤテに告白してやれ』とかは言わない。それはお前の自由だからな」

「そう…」

「今日の話は忘れてくれて良い。私がただ聞いて欲しかっただけだからな…帰るか」

「……」


私はナギの言葉に無言でうなづく。
気付いたら彼女のカップに入ったミルクティは空になっていた。


「今日はすまなかったな。良い店だった」

「…うん」


いまだにナギにかける言葉が見つからない。
会計を済ませ、足早に店から出てアパートへと向かう。


「……」

「……」


相変わらず無言のまま。ナギは私の数歩前を歩く。
消え入りそうな背中は、私に「慰めるな」と主張しているようにも見えた。


「……」


不意にナギが立ち止まり、私の方を向く。
その顔は意外にも笑顔ではあったけど、明らかに無理矢理作ったものだった。


「ヒナギクはハヤテのどんな所が好きなんだ?」

「!?」


人通りの無い道に入った瞬間だった。
本当に急なタイミングでの質問。
そして、ことさら私にとっては最大級に返答に困る質問だった。


「う〜ん、そうね…優しい所とか、笑顔が素敵な所とか…違うわね。なんかこう、言葉に出来ないというか…たくさんありすぎて訳が分からないというか…」

「……」


そう、この質問に私が困る理由…「コレだ!」という答えが無いのだ。
それは綾崎ハヤテという人間そのもの、まるごとが好きなんだとも言える。しかし逆に言えば、ただなんとなく輪郭をつかめない感情を恋としてとらえているとも言える。
この答えになってない答えに、ナギの顔がにわかにほころぶ。


「そうだよな…ハヤテの良いトコなんてありすぎて分からないよな…そんなハヤテだから私だって…」


ほころんだはずのナギの瞳から大きな雫がこぼれ落ちていく。
笑顔を保とうと必死に目を擦っても、その雫は流れ出るのをやめない。
一度決壊した感情はとどまる事を知らない。


「ウグッ…すまん…こんなつもりじゃ…ヒクッ…」

「ナギ…」


もう私も見ていられなくなって、その小さな手を握り締めた。


「やめろヒナギク…もっと…嬉しそうに…ヒック…したらどうだ?」

「何言ってるの…貴女もう…ボロボロじゃない…私で良ければ、泣いて良いから…」

「グスッ…すまん…うぅぅ…」


ナギは泣いた。私の肩で、声を殺して。
失恋の苦さというものを痛いほどに強く感じた。



・・・



「…すまなかったな」

「いいえ、私なんかで良ければ」


流石に泣いた直後に帰るのも怪しまれるだろうと思い、私たちはアパート近くの公園で休んでいた。
思い切り泣いたせいか、ナギの顔は妙に晴れ晴れしかった。


「私な…『ヒナギクになりたい』って、ずっと思ってたんだ」

「私に…?」

「ああ。カッコ良いし、明るいし、何でも出来るし…憧れてた。終いにはハヤテまで私から奪うし」

「奪ってなんてないわよ」

「まあ、遅かれ早かれだ。まあでもヒナギクになったら毎日学校に行かなきゃならないし、授業が終わっても残って生徒会で仕事だし、ネーミングセンスは無いし…結局私は、ハヤテを振り向かせるために自分を変える事が出来ないって分かった」

「ネーミングセンスは余計なお世話よ」

「ハハハ…まあ、とりあえず私はお前たちの邪魔はしないから適当にやってくれ」


そのやりとりを最後に、再びナギの足がアパートに向かって動き出した。
小さな身体から踏み出される一歩はとても大きく、その度に鮮やかな金髪が大きく揺れて綺麗だった。


「今日はマリアの特製カレーだぞ!」

「そうね、楽しみだわ」


きっとまだ時間はかかる。
それでも、この整理し切れていない二つの気持ちが重なる時が来ると信じるのだった。


・・・


「いつもいつもありがとうございます」

「いいえ〜、こっちも教えてて復習出来るから」


その夜、私の部屋。
今日もハヤテ君が私に宿題の教えを乞いに来ていた。

この人は、私が好き。…ホントかしら?
好きだったらこんなシチュエーション、逃さずに確実に仕留めに来ると思うけど…(←人の振り見て我が振り直せないヒナギクさん)


「今日は、いつものお礼にと思いまして…」

「わぁ…」


彼が取り出すは、焼きあがってまだ間もないクッキー。
花の形にかたどられたそれは、見た目にも美しくて食べるのがもったいないほど。


「まずは、おひとつどうぞ」

「うん。いただきます…」


口じゅうに甘みが広がる。
香ばしくて食感も良くて、やっぱり彼は料理上手だと改めて思い知らされる。


「おいしいわ」

「そうですか、良かったです」


ふと、16歳の誕生日の時を思い出した。
あの時も彼からクッキーをもらい…好きだと分かった。
目の前にはあの時と同じ笑顔。

いとおしい。
押さえつけていた感情が風船のように膨らんできた。
もう止まらない、止められない。


「あの…ね、ハヤテ君」

「ん?はい、なんでしょう?」

「私ね…ハヤテ君が…」

「え…?」


もうひと押し。勢いに任せるだけでも口から出てしまう。
「好き」という一言。


「……」

「……」


言葉が止まる。
なにやってんのよ、もう言うだけじゃないの!



「…あの、ヒナギクさん?」

「ゴメン!なんでもないわ!!クッキーありがとう」

「あ、ハイ。では、また明日。おやすみなさい」

「おやすみ」


名残惜しそうにハヤテ君は出て行った。

ココロは叫んでいるのに、やっぱり大好きなのに…
言えなかった。


「うぁぁあ゙あ゙…」


泣いた。ワケも分からずに、声をあげて。
怖かった。言ってしまって、彼が変な顔をしてしまわないか。嫌がられないか。
悪い方、悪い方へと想像してしまった。

ようやく分かった。
悔しいのは自分から好きと言ってしまう事ではない。
それすらも言えずに怖がっている自分が情けなくて悔しくて…涙が止まらない。


「ハヤテ君…好きだよ…気づいて…」


臆病なココロは彼には決して届かない叫びを一晩中あげ続けるのだった。


つづく


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【あとがき】

コメディ無し、ラブラブ無し…なんじゃこりゃ…orz
そもそもナギがどうしたかったのかが分かりにくい。

ナギはハヤテ編4.5話で完全に吹っ切れるのですが、勘違いだと分かった直後にこうやって事実(恋人同士に見られてない事)の確認をしていたという事になります。
そして、ヒナはナギから聞いただけではありますが、「ハヤテは自分が好き」だと知ります。
この2点を表現しようとしたのですが、ナギの動かし方が難しくて難しくて…
スミマセン、次回は頑張ります!!


■サブタイトル
ビートルズの名曲"She loves you"をもじりました。
文字通り「彼はお前が好き」
ペンネームを曲名まんま使ってるんで、たまにはと思いまして…

■ところどころキャラソン
"Heart of Flower"(HiNAより)"sotto voce"(HiNA2より)
からちょっとだけ使ってます。
知らずに使ってるワケではないと、気付いて頂けた方に対しての報告です。



さて、ぜんぜんハヤヒナやってないんで、次回は暫定最終回以降のアフターストーリーを考えています。(ヒナ編があまりに時間がかかりそうなので)
「バカップル」「ノリノリ」「ちょっとハートフル」な感じで、もともとのテーマ「ヒッナヒナなハヤテ」全開で行こうと思ってます。
宣言してハードルも上げたので、あとは書くだけです。過度な期待をせずにお待ち頂けると嬉しいです。

ご感想・ご質問などお待ちしております。(ちょっと怖いですが)
お付き合い頂き、ありがとうございました。
この作者は、誤字脱字の連絡を歓迎しています。連絡は→[チェック]/修正は→[メンテ]
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Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【ヒナ編第3話更新】 ( No.51 )
日時: 2012/01/08 00:51
名前: こよーて

いつものほんわかな締めじゃなく涙で締めとはめずらしいですね
このような出来事あってのあの暫定最終回だったんですね
甘いケーキだけじゃなくにがいコーヒーもいいアクセントてことで!
次回は甘々みたいだし!
ナギよかったと思います
自分の気持ちにケジメをつけ、かといって無暗にヒナに塩を送らず自分で整理させようとするとは。
まあハヤテにはあまいようですが。
まだまだ臆病なヒナギクもかわいらしいです
今後の成長の過程にも期待大ですね
では、次回の久しぶりのヒッナヒナな話すっごくすっごく楽しみにしてます!
今年もまた頑張ってください

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Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【ヒナ編第3話更新】 ( No.52 )
日時: 2012/01/08 14:07
名前: ロッキー・ラックーン
参照: http://hinayume.net/hayate/subnovel/read.cgi?no=7738

>こよーてさん
ご感想ありがとうございます。

ナギのこの行動の根拠をつけるために、1話まるまるナギ編にするという案も浮かんだんですが、長くなりそうだし、憂鬱な展開が目白押しになってしまいますのでやめました。
となると、ヒナ視点でナギの行動の根拠をつけなければならない→非常に難しいという構図に…

締めも「ハヤテは自分が好き」と知ってしまったヒナをコメディ的なオチにする手腕がありませんでした。
この段階でカップル成立しない事が前提にあるので、ヒナに泣いてもらうという決断をするに至りました。
アクセントとして捉えて頂ければ、こんなに嬉しい事はありません。

次回は現在製作中です。
ホントに過度な期待をせずにお待ち頂ければと思います。汗

それでは、ありがとうございました。
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Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【ヒナ編第3話更新】 ( No.53 )
日時: 2012/01/26 15:51
名前: ロッキー・ラックーン
参照: http://hinayume.net/hayate/subnovel/read.cgi?no=7738

こんにちは、ロッキー・ラックーンです。
ものすごく時間がかかりました。そう、モン●ンのせいです。笑

今回から3回か4回に渡って、カップル成立後の一日をやっていきます。
それではどーぞ!



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「しあわせ」という言葉を持った花の名前を知ってますか?
その花は、太陽を仰ぎ、風と夢を受けて、無邪気な色で、花びらをハミングで揺らすんです。

…「デイジー」?
うん、確かにそうです。惜しい!!

これは、僕が見つけて触れる事を許された「しあわせの花」とのお話です。




     After第1話その@【グッドモーニング3人娘。】




気持ちの良い朝、通学路。
いつもと同じ道だけど、これまでとは全然違う。
さんさんと照らす太陽と、それに負けない笑顔を僕だけに向けて輝かせる少女。
夢にまで見た風景。



「ハヤテおそーい!はやくはやく!!」

「ハハハ、まだ7時ですよ。ゆっくり行きましょうよ〜」



おはようございます。なんだかとっても久しぶりな気がします、綾崎ハヤテです。
今日は、ヒナと恋人同士になってから初めての学校。…二人きりで登校です。

鮮やかな桃色の髪を大きく揺らして呼びかけるヒナ。
その姿に、僕の表情はゆるゆるに緩みきってしまう。
ああ、僕の見てた夢は幸せにあまりにも近すぎたんだ。
たかだか一緒に登校するだけでこんなに心が満たされるなんて…



「ちょっとハヤテ!?」

「ん、なんでしょうか?」

「さっきからずっと上の空じゃない。何か考え事?」



気付いたら僕のもとまで戻って来ていたヒナ。
大きく美しい瞳が僕の事をいぶかしげに見つめる。
その瞳がどうしようもなく僕を惑わせる、狂わせる。ずっと見ていたい。



「そうですね〜…夢が叶う事ってステキな事なんだな〜って…」

「夢?」

「はい。ヒナと二人で学校に行く事です」



思っていたことをありのままに話す。
臆面もなく発する僕の言葉に、ヒナの顔はみるみる真っ赤になっていく。



「そ、そんな簡単な事、夢なんかに見ないで良いわよ!!私はこれからずっとハヤテと登校するつもりだから…そ、そこんとこヨロシクっ!!」



照れ隠しに、早口でまくし立てるヒナ。
これからずっと一緒に登校出来る…
スミマセン、やっぱり僕にとってそれは夢のような時間ですよ。



「フフッ、ありがとうございます」

「そんな事より、さっさと行きましょう!!」



引っぱられた左手は、そのままヒナの右手に絡められた。
他の生徒が登校するにはかなり早い時間であるため、学校の近くでも僕たちの行為に注目する人はいない。
彼女の歩調に合わせ、少々足早に学校へ向かう。

優しい。
ヒナが僕の手に触れている時はいつもそう感じる。力加減とかそーゆー意味ではなく。
本当に何気なくだけど、彼女が僕を愛してくれている事を確かに感じさせてくれる特別な瞬間だ。



「ん…あれは…」

「どうしたの?」



正門に近づくにつれて大きくなる人影が三つ。
そのいずれも、僕たちが良く知る人物のものだった。



「やあやあ、ヒナちゃん、ハヤ太君!」

「さっそく仲睦まじく手を繋いで登校か!うらやましいなぁ、コノコノ!!」

「この時間なら、まわりの目を気にする必要も無いしな」



案の定、生徒会三人娘の皆様方。(セリフは上から瀬川さん、朝風さん、花菱さん)
先日までとは明らかに違う僕たちの様子を見ても、特に驚いてはいないようだ。
ま、まさか僕たちを待ち伏せていたのか…?



「おはよう…それにしてもあなた達、随分早いのね。まだ7時よ?」

「ふっふっふ、昨日ナギちゃんから『朝一番に学校の正門で待ち伏せていれば面白い動画が撮れる』とタレ込みがあったのだ」

「そうだ、撮影のためなら私たちは6時半に学校に来る事もいとわない!」

「ちゃんと待ち合わせの時間に来たのは私だけだがな…」

「「ちょ、それは言わない約束でしょ〜(だろ)!」」



やっぱり彼女らのお目当ては僕達か!
最近の僕とヒナは乗せられやすいから、またとんでもない事をして後悔する展開になるのが目に浮かぶ。
そうだろ、作者!?(←ん〜、どうでしょう?)



「それはそうと、ハヤ太君!!」

「ハイっ!?」

「君の口から、君達二人の仲を紹介してくれ」



しみじみとボーっとしていた僕に不意に朝風さんからかけられた声。
そういえば、彼女たちには僕とヒナの関係を発表していなかった。

この人達はヒナの親友。言うなれば僕は、彼女らの大事な大事な親友を奪いに来た一匹の餓狼か。
ここは真面目に誠意ある挨拶をすべきだな…



「…そうですね。ご挨拶遅れました。このたび、僕こと綾崎ハヤテはこちらの桂ヒナギクさんとお付き合いさせて頂く事になりました。ヒナの親友の皆様にもご迷惑かけると思いますが、何卒よろしくお願いします」

「ちょっとハヤテ、挨拶が堅すぎ…」

「いやいや、ヒナの親友だからね。真面目にヒナと付き合う事を示したいんだ!」



僕の挨拶と、ヒナとのやりとりに、三人の目が丸くなる。
そりゃそうか。これまでの僕はあまりにも態度がはっきりしなかった。
我ながらなかなか最低なジゴロ野郎だったもんな…



「『ヒナ』だってよ?」

「まさかハヤ太君の口からそんな言葉を聞く日が来ようとは…」

「そういえばハヤ太君の顔つきも少し頼れる感じになった…と思う」



僕への印象を好き勝手に述べる皆様方。
ここはヒナが好きな事をもっとアピールしたい…そうだ!



「朝風さん!」

「ん、なんだハヤー太君?」



なんかいつもに増して変な呼び方になってる事にもお構いなし。



「以前、『僕がヒナのカラダ目当てだ』って言いましたよね?」

「ああ、そんな事もあったな〜。とうとう認めてしまうんだな?」



僕の言葉に朝風さん以外の3人の顔が真っ赤になる。
ヒナが何か言いたそうにしているのを制して、話を続ける。



「今さらの答えになってすみません。それですと半分だけ正解です」

「半分?」

「ハイ。カラダだけじゃなくてココロも…桂ヒナギクの全て。過去も未来も全部ひっくるめて、僕はヒナを愛し抜きます!!」

「「「Oh…」」」



ヒナは顔を真っ赤にしてうつむき、他の3人は先程以上に目を丸くする。まあ当然だろう。
…さすがに言い過ぎたかな。いや本気だけど。



「まさかここまでハヤ太君が男らしくなるとは…」

「ヒナちゃん、ハヤ太君にどんな魔法をかけたの!?」

「もはやこれは奇跡だな…」



「魔法」に「奇跡」…確かにあの日、ヒナが勇気を出して起こしてくれた。
そのおかげで今僕達はこうやって二人でいられている。
僕がこうやってヒナが好きだと言えるのは、なによりヒナが僕を好きでいてくれるからなのだと改めて思った。



「もう…ハヤテったら…」

「そう言いつつも、まんざらでもないヒナちゃんなのでした」

「ここまで言われたら、ヒナもハヤー太君にお返ししないとな〜」

「さあヒナ!さあ!!」



ニヤニヤと煽る3人、実はメチャクチャ期待しちゃってる僕。
それぞれの思惑が重なる中、ヒナの口から出る言葉は…



「ハヤテ、私も大好き…」

「「「うおぉぉおおお!!」」」



朝から学校でなにやってんだとか、バカップルワロタとか、リア充爆発しろとか、色々聞こえてくるけど、そんなのどーでもいい!!
幸せです!



「ヒナにここまで言わせるだなんて、よほどの事だぞ!!」

「そんな二人ならもう何しても大丈夫だな。ホラ、キスシーンをこのカメラに!」

「「ほ〜れ、チューウ!チューウ!!」」

「「!?」」



おもむろにビデオカメラを取り出す花菱さん。
そしてなんかどっかで見た事のある展開だー!



チューウ!チューウ!
「……」「……」
     チューウ!チューウ!



やまないチュウコールの中、僕達は目を合わす。
この時の僕とヒナは、どんなニュー●イプよりも心を通わしていた。



「ハヤテ!後でね!!」

「オッケー、ヒナ!」

「「「あっ!?」」」



僕達が選んだ行動…「二手に分かれて逃げる」というものだった。
流石にあの3人+ビデオカメラの前でヘタな事は出来ない…理性の勝利だった。
ヒナはまっすぐ時計塔に向かって、僕はいったん校舎方面を経由して時計塔で合流する事にした。(目配せでそこまで決めました)



・・・


「くそっ、逃げられてしまったか…が、しかし!」

「ここまで私達の思い通りなのだ!」

「我々の秘策とバックの『彼女ら』まで計算するのは、ヒナでも不可能だろうな」

「「「フッフッフ…」」」


・・・




「ふぅ…太陽が眩しいや」



時計塔に向かう途中。
僕らが二手に分かれても、あの3人は追いかける気配が無かったので、のんびりと歩いていた。

…ふと、一本の大きな木の前で立ち止まった。それは他の人にとっては何の変哲も無いただの木だ。
だけど、少なくとも僕にとってはかけがえの無い思い出がそこにあった。
僕とヒナが初めて会った木だ。

初めて来た白皇を見て回って、なんとなく時計塔が気になって、独り言を漏らしたのをヒナに聞かれたんだったな。
高い所が苦手なのに小鳥のために木登りなんてして、涙ぐみながら僕の元へ飛び降りて…
初対面の僕にいきなりスカートの中を見せてきて…もっとちゃんと見とけば良かった。ゲフン!

思えば僕は、あの時からもうヒナが気になっていたんだ。
気になっていたけど、気付けなくて、自分の気持ちが分からなくて…

あれからまだ一年も経ってないのに、ヒナとは本当に色々な事があった。
必ずしも笑って語れる思い出ばかりじゃないけど、彼女に助けられる度に僕は強くなれた。成長できた。
これから先どんな事がヒナとの間に起きるんだろう…



「思い出に浸っている所悪いが…」

「い゙っ!!」



急に声をかけられ、驚いて奇声を上げてしまった。
その声の主はヒナの親友、花菱さん。どうやら一人のようだ。
先程の雰囲気とはうって変わって、なんだかとても儚い表情を浮かべている。



「驚かせてしまったか。すまないな、ハヤ太君。」

「いえいえ。…ところで、いかがなさったんですか?」

「ああ、話したい事があるのだがいいか?…他の二人はいない」

「…はい、大丈夫ですよ」

「そうか、重ね重ねすまんな。君と一度二人で話してみたかったのだ」



何やらとても深刻な話みたいだ。
ヒナの仕事の手伝いを約束してはいるが、ここは話を聞いた方が良さそうだ。



「…とりあえず、ヒナとは上手くいっておめでとう」

「ありがとうございます」



とりあえず…って事は、ヒナに関しての話なのかな?
僕は花菱さんの次の言葉を待つ。



「君は、ヒナが好きか?」



なんとも今さらながらの質問にも聞こえたが、彼女の目は冗談を求めてはいない。
僕がヒナを本当に好きなのか、本気で問う目だ。



「はい、もちろん。世界中の誰よりも大好きです」

「そうか。君からそんな風に言われるだなんて、ヒナも幸せ者だな」



僕の答えに彼女の表情が緩む。が、次の言葉を発する時にはまた元の切なげなものに戻っていた。



「さっき、『過去も未来も全部ひっくるめて』と言っていたが…」

「?」

「知ってるのか?ヒナの過去の事…」



ヒナの過去…両親に借金を押し付けられて逃げられた事だろう。
僕と似てはいる境遇だが、決定的に違う点が一つ。
ヒナは実の両親を今でも心から愛している。再会出来るのであればしたくてたまらないのだ。



「ハイ。ヒナから少しだけ聞いた事が…」

「じゃあ、自分の過去の事は?」

「僕の…ですか?」

「ああ、そうだ。君の過去の事だ」



彼女の言葉の真意が良く分からない。
う〜ん…自分の事なんだし、知らないのもおかしな話だ。



「僕の過去…まあ自分の事ですし、大体の事は知ってるつもりですよ?」

「…そうか。それならいいんだ」



先ほどの切なげな顔から一転、少々けわしい顔になる花菱さん。
本当にいつもの雰囲気とは違う。
いつも眠たそうにしている両目は、今はぱっちりと開かれて僕を見つめている。



「君にひとつ、ヒナの幸せのために出来る事を教えておこう」

「…なんでしょうか?」



僕がヒナの幸せのために出来る事…
それがあるのなら、なんだってやってやる。何でも来い!!



「ヒナの前から黙っていなくならない事だ」

「!!」

「ヒナは人との別れに物凄く敏感だ。…なぜだかは、分かるな?」

「…はい」



それくらい、僕でも分かる。
ヒナは愛する人に黙っていなくなられて、とても悲しい思いをした。

…そんな事を僕がするだろうか。
今は分からない。わからないけど、ヒナにとっては重大な問題だ。



「断言しよう。少なくとも一度、君は必ずヒナの前からいなくなる決心をする時が来る」

「僕が…ですか?」

「そうだ。君がだ」



断言されてしまった。
そういえばアーたんにも同じような事を言われたような…



「その時が来ても、きっとヒナは君を好きでいるはずだ。だから、ヒナの前からいなくならないでくれ」

「はい…ちなみにそれはどんな理由で断言出来るんですか?」

「…それは私の口からは言えない。それに、知らなければそのままでいるに越した事は無いからな」

「…そうですか」



言葉を濁されてしまった。
まあとりあえず、僕はただ真っ直ぐにガムシャラにヒナを好きでいれば良い。
…そういう事なのかもしれない。



「ヒナはな、私のヒーローなんだ」

「ヒーロー…ですか」



僕から目を離し、時計塔を見上げる花菱さん。
けわしい顔は、最初の切なげな顔に戻っている。



「ああ。10年前からずっとな」

「10年ですか…」



10年…その言葉に僕は自分の初恋を思い出す。
まだ16歳の自分にはとてつもなく長い時間に思える。



「君が、ヒーローのヒナをヒロインに変えてしまったな」

「僕が…ですか?」

「ああ。君といい、歩君といい、私より後から来たというのにヒナを夢中にさせて…正直憎らしい」

「花菱さんはもしかしてヒナが…」



以前彼女が「自分の想いは絶対に受け入れえられないから伝えない」と言っていたのを思い出した。
いわゆる「禁断の愛」に対しての理解があったのも、これで合点がつく。



「フッ…ハヤ太君の割には鋭いじゃないか。私も、ヒナの前では乙女なのさ…」

「……」



返す言葉が思いつかない。
でも、先ほどまでの切なげな顔は、いつの間にかいつもの飄々とした表情になっていた。
アレ?花菱さんってこんなにかわいかったっけ?
ひょっとしたらヒナよりも…



「↑…なーんて思ったってムダだぞ?」

「わわわっ!勝手に僕の心を改竄しないでください!読者さんが混乱するじゃないですか!!それに、僕にはヒナしかいませんよ!!」(上のモノローグは美希のイタズラです)

「フッ…君がシケた顔をしてたからな。まあとにかくハヤ太君はヒナを幸せにしてくれ。それでいい…」



それは、ヒナの十年来の親友としての言葉だった。
多分今の段階では、僕よりも西沢さんよりも、花菱さんのヒナへの想いは強い。
でもいつかきっと、誰よりも強くヒナを愛したい。
そう心に誓うのだった。



「あっ、いた!ハヤテ〜!!」

「「ヒナ…」」



和みつつあった雰囲気の場に突然現れるは、僕らの共通の想い人、ヒナ。



「あんまり遅いからどうしたのかと思って…美希に捕まってたのね?」

「いえ、まあ、なんというか…」

「フッフッフ、隠すなハヤ太君。実は彼が私を呼び出して『今日のヒナの下着の色がどーしても知りたい』とせがんできたから、私は仕方なく…」

「な゙っ!?」



いきなり突拍子のない爆弾発言。
何を言ってるんだこの人は!?

それよりヒナだ!
おそるおそる表情を覗いてみると…フーッとひとつ、大きなため息をつく。



「んもう!!ハヤテがそんな事言うわけ無いでしょ!?」

「フフフ、どうだか…では、さらばだハヤ太君!」



ピューッと、それはもう疾風のごとく去ってしまった。
逃げ足だけはノーベル賞ものだな、あの3人は…

それよりなにより、ヒナが僕の事を信頼してくれてて良かった。
多分以前だったらワケも分からずに殴られてたに違いない。



「ハヤテ…」

「はい、なんでしょうか?」



うつむいてモジモジしながら僕に呼びかけるヒナ。
なんかいつもと様子が違うような…



「…見たい?」

「ん?」

「…だから見たいかって聞いてるのっ!」



見る?何を?
ちょっと一連の流れをおさらいしよう。
ヒナが現れて、花菱さんが爆弾発言をして、ヒナはそれを突っぱねて…あっ!!

質問の意味が分かり、僕も顔を真っ赤にしてうつむいてしまう。



「ゴメン!なんでも…「見たい!見たいです!っていうか、見たくないワケが無いじゃないですか!僕が見たくないだなんて言うとでも思ってるんですか!?」



ヒナだけに恥をかかせたくないのもあり(←建前)、思いっきり肯定する。



「そ、そう?そうなんだ。ならいくらでも良いわよ!!減るもんじゃないしっ!!」

「そうですか!ありがとうございます!!」



なんかお互い、引き際を逃したような…
ぎこちない会話が続く。



「…なんか、ゴメンね」

「…いえ、こちらこそ」



冷静になる二人。それにしても朝7時からなんて会話だ…
でも、あのまま流れに任せてればと思うと…残念無念。



「生徒会室に行きましょ?」

「ハイ」



手を取って、思い出の木からさほど離れていない時計塔に向かう。
優しい手を柔らかく握り、あわただしい朝の終わりに心を静めるのだった。

ふと、ヒナが僕の耳に顔を近づけてくる。


「朝のお仕事が予定通り終わったら…ねっ!」

「!!」


思いがけぬ「ご褒美」の提案に、僕のモチベーションは天井を振り切ったのだった。



つづく


------------------------

【あとがき】
カップル成立後初めての学校の日の朝でした。
朝7時からあのテンションはついて行けません。
このあと、その?か?くらいまで長い一日が続きます。


■3人娘

アパートの住人以外で最初にハヤヒナを知るなら彼女たちでしょうということで。
結局キスシーンは撮れてないですが、その?以降へのフラグも立てているのでお楽しみにして頂ければと…
ちなみに、美希も集合のはずの6時半には間に合ってないですが、泉・理沙がもっと遅かったので間に合った事にしているという設定です。

あと「ヒナのカラダ目当て」のくだりに対して、決着をつけたかったので、ハヤテをとても男らしくしてみました。



■花菱美希と綾崎ハヤテ

原作19巻の絡みが好きだったので、真面目な感じでしゃべらせてみました。
美希は原作でも完全にヒナに恋してますね。気持ちは分かる!!

そしてハヤテの過去を知るような発言。…というか、知ってるという設定です。「調べるのが得意」という公式設定がありましたので。
だから、ハヤテがヒナを我が物顔で扱ってるのにはハラワタ煮えくり返ってます。
それでもヒナの幸せを願ってるから、癇癪も起こさずに接しています。
多分物語内では一番オトナなキャラです。



■ご褒美

ヒナヒナ病のハヤテ君には最高のご褒美です。羨ましい!
エロなハヤテを出してコミカルに終わらせるパターンはこれからも多用したいと考えてます。
ってか、ヒナの勇気もスゴイ事になってますが、全部アリスとの特訓の成果です。


ご感想・ご質問などお待ちしております。
ありがとうございました。



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Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【アフター第1話更新】 ( No.54 )
日時: 2012/01/29 17:30
名前: クロック

お巡りさ〜ん、バカップルでええええす!!!
バカップルが公衆の前面でイチャイチャしてますよおおおお!!!
通報しますた。
久しぶりにバカップルみた気分です
ご馳走様でした。
あっと、おかわりおねがいします
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Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【アフター第1話更新】 ( No.55 )
日時: 2012/01/29 20:11
名前: こよーて

おお、読んでるこっちがこっぱずかしくなるバカップルぷりですね〜
ちゅーう再びか? と思いましたが残念!
が、「彼女ら」がいるからまだわからんか!
複数形なのが気になるとこです。
そしてまたもや意味深フラグきましたね〜
いちゃいちゃも見たいしそっちも見たい!
はたして「ご褒美」はちゃんとあるのか? ここに載せて大丈夫な事なのか?
いろいろと楽しみです。
がんばってください。
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Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【アフター第1話更新】 ( No.56 )
日時: 2012/01/29 23:23
名前: ロッキー・ラックーン
参照: http://hinayume.net/hayate/subnovel/read.cgi?no=7738

こんばんは、作者です。
コメントを頂けると非常に嬉しいです。
では早速レス返しをば…


>クロックさん
ご感想ありがとうございます。

まだまだ通報するには甘いですよ!
これからもっともっと…笑
しかし、学院の治安維持のトップが風紀を乱していては、次の選挙は危ないかもしれませんね。笑

私も久々にあま〜いお話を書いたような気がします。
カップル成立以前のヒナだとどうしても暗くなってしまいますからね…

お粗末さまでございました。
おかわりはご用意中なので、もうしばらくお待ちください。



>こよーてさん
毎度ご感想ありがとうございます。

「彼女ら」と言っても、2・3人しか思い浮かびませんよね?
ご想像の通りだと思います。笑

アフターでハヤヒナの過去には触れるつもりはありません。
ハヤテの決意を強めるための一要素に過ぎないものとして捉えて頂けると良いかと思います。
あくまでヒッナヒナを追求していくつもりです。

「ご褒美」に関してですが…
物語にするつもりが無いのでココで解説すると、ヒナはアリスに「女の子のパンツが嫌いな男なんていない!」と説教されてます。
もちろん18禁なんかにはしませんが(というかそんな文才は無い)コミカルにエロは多用するつもりなので、どうぞよろしくです。



それでは、失礼しました。
次回お楽しみに!
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Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【アフター第1話更新】 ( No.57 )
日時: 2012/02/25 13:23
名前: ロッキー・ラックーン
参照: http://hinayume.net/hayate/subnovel/read.cgi?no=7738

こんにちは、ロッキー・ラックーンです。
最近更新が月1ペースに…。
筆は遅いですが、どうぞお付き合いください。

今回はカップル成立後の一日、昼の部です。
それではどーぞ!



------------------------



おっす、オラ三千院ナギ!

最近あんまりにも出番が無いもんだから、この話の語り手として乗っ取ってやったのだ!
この私が語ってやるんだから、みんなありがたーく読むのだぞ!



「はぁ…はぁ…」

「こらハヤテ!もっと急ぎなさい!!」



白皇学院の時計塔から教室のある本館に向かって走る男女が二人。
男の方は綾崎ハヤテ、私の執事だ。女の方は桂ヒナギク、つい最近ハヤテの彼女になったヤツだ。

現在の時刻…AM8:20。予鈴が鳴るのが25分。
恋人同士になった二人だから、一緒に登校するのは不自然ではない。
しかしハヤテはまあ良い(どうでも)として、時間を厳守する事に口うるさいヒナギクがこんなギリギリになって焦っている姿なぞ、そうそう見られるモノじゃない。
なにやら早朝から生徒会室で二人で仕事をしてたらしいが、何があったのだ…?



「ヒナ…オレンジ…」

「んもう!バカな事つぶやいてないで早く教室行くわよ!!」



普段はマル●イン並みのすばやさを誇るはずのハヤテは、ポーッとアホ面を浮かべて上の空。
ヒナギクの方は明らかに顔を赤らめて照れている様子だ。

…お前ら、ホントにナニをしてたのだーーー!?


{ちょっ、お嬢様!}    ←このカッコはハヤテとして読んでください。


ん?なんだハヤテか。語り手が二人いると読者が混乱するだろ。
それに今かなりイイトコなんだ。
これからお前達がしてたアホみたいな事の解説を…


{あわわわ!!作者がお嬢様の出番があるからスタンバイよろしくと言ってましたよ!!
ホラ、早くお召し物を変えに行きましょう!}


え…?そうかそうか、出番か!!それなら仕方無いなぁ〜。
じゃあみんな、メ・イ・ンヒロインのこの私の出番を心待ちにしておくのだぞ!!
さらばだ!


{ふぅ〜、危なかった…あ、それではサブタイトルをどうぞ!}





     After第1話そのA【 生徒総会の一存 】






ざわ…  ざわ…
  ざわ…  ざわ…


『皆さん、ご静粛に!』    ←『』で囲んだのはマイクを通したセリフとして読んで下さい

シーン…

『ありがとうございます。それではこれより、2学期の生徒総会を始めます。進行は私、生徒会長の桂ヒナギクが行います。よろしくお願いします!』

パチパチパチパチ
「ワーワーワー!」「会長〜!」「今日もカッコイイ!!」



皆さんこんにちは、綾崎ハヤテです。
お嬢様に乗っ取られてしまった時はどうなる事かと思いきや、一安心です。
…ん?朝の仕事の後に何をしてたかですって?

ゲフン!ゲフフン!!

そんな事よりも、上のヒナのカッコイイ姿の解説をする方が大事だと僕は思うんです。
僕達の目は、前についているんです。それは、前に向かって進むためなのです。
振り返らずに進んで行こうじゃありませんか!!

(微妙な間)

今日は学期に一度ある生徒総会の日。
生徒会が全校生徒に今期の活動の報告し、承認を得るための場となっていて、進行はもちろん生徒会長が執り行う。
白皇に入ってこれまで二度見てきたが、委員会も部活動も(動画研究会はスルー)していない僕にとっては、ただただ壇上に上がって話すヒナがとにかくカッコ良かったという感想しか浮かばなかった。

今朝のヒナの早出は、その生徒総会の場において全校生徒に配られる資料が生徒会室にあるのを最終確認する仕事があったためだった。
そして僕はその手伝いをさせて貰うためについてきたのだっだ。
けっして、登校中に人目をはばからずイチャイチャしたかったからではない。…本当です。



『今学期の会計の着地の見通しについては……』
『体育会と文化会の比率をかんがみて…』
『アレがあーで…』
『コレがこーで…』



生徒会が承認を得る場とは言っているが、実質はヒナの独演会みたいなものだ。内容に文句をつける人など出てこない。
生徒は「話を聴く」というよりも、「生徒会長を見に来ている」と言った方が正しそうだ。
「そんなんでいいの?」と問われるかもしれないが、白皇の生徒会ですよ?実際の仕事も完璧に出来ているのが大前提じゃないですか。

そーゆーワケで、僕は自分の座席でヒナの凛々しい姿を遠目に見ながら「アレが僕の彼女なんだぞ」と思って優越感に浸っていた。
そして今朝の生徒会室でのヒナのあられもない姿を思い出して、鼻の下を伸ばしていた。ウェヒヒヒ…



『以上で今学期の生徒会報告を終了します。ご清聴ありがとうございました!』

ざわ…  パチパチパチ
「うお〜!会長〜!!」「ステキ〜!!」
パチパチパチパチ  ざわ…



深々と礼をするヒナに向けて、全校生徒が大喝采。毎回の事ながらスゴイ盛り上がり。
僕もその例に漏れず、惜しみない拍手を送る。



『では続いて、各委員会とクラブ活動からのお知らせに移ります。まずは風紀委員から…』



ヒナの見せ場も終わり、コレで生徒総会は大成功に終わったと思った。
この時はそんな悠長な事を考えながら壇上に上がっていく人たちの話を流して聞いていた。
この後起きる大事件(?)の事など知る由も無く…。



『では最後の部活は…ゲッ!………動画研究会です。代表者の方、お願いします。』

ざわ…    ざわ…
「動画研究会?そんな部活あったっけ?」「それより会長、今『ゲッ』って言ったよね?」
    ざわ…     ざわ…



生徒会報告の後の各活動からのお知らせは、毎回事前に手続きを踏まないと時間を割いてもらえないらしい。
委員会からは生活態度についての注意喚起やイベントの案内、部活からは部員の勧誘や対外試合の応援のお願いなどが主な内容だ。
これといって問題になるような事など起きたためしがない。

という訳で、一度目を通したはずの資料を見ながら進行をしているヒナのいぶかしげな表情や、壇上に上がってきた代表者(もちろん三人娘)のニヤニヤ顔が僕に不安感というか…何かしらのトラブルを予感させた。



『あー、あー、ゴホン!動画研究会の朝風だ』『同じく花菱だ』『瀬川でーす!』

『今回皆さんの前に出てきて発表する事は、他でもない生徒会長桂ヒナギクの事だ!』


ざわ…
    ざわ…


朝風さんがヒナの名前を出すやいなや、ホール内が一斉にざわつき始める。
マズイ、あの人たち…僕達の事を言う気だ。

壇上に駆けつけるべく立ち上がろうとした瞬間、足元に赤いバラが突き刺さった。



「悪いけど、足止めさせてもらうよ」

「ヒムロさん…」



まさかこの物語に出る事など誰が予想したか、大河内家の執事、冴木ヒムロさん。
いつものように澄ました顔でバラの花を愛でている。



「なぜ貴方が…」

「なぜ?そりゃあ…金で雇われたからに決まってるじゃないか。あの娘達は僕の金ヅルさ」



なるほど、そういう事か。
悪ふざけには金に糸目をつけそうにないあの三人らしい。

いったん落ち着いて、ヒナの様子を見てみると…
僕と同様、壇上に駆けつけようとした所を伊澄さん(本気モード)がお札を手に、足止めしている。
手回しが周到すぎだ…



「そうですか…それでも通ると言ったら?」

「やめといた方が良い。それに、君も生徒会長も決して悪いようにはされないさ。座ってゆっくり見てるのが一番だと思うよ」

「……」



この会話を最後に、僕は立ち上がろうとするのをやめた。
冷静に考えてみたら、あの三人がヒナに本気で害を及ぼす事はありえない。…と思う。
そう自分に言い聞かせて事の顛末(てんまつ)を見守る事にした。



『耳の早い諸君には、もう情報が入ってるかもしれないから単刀直入に言おう。ヒナに恋人が出来た!!』

ざわ…               ざわ…
「ええーーーー!?」「そんな!俺の桂さんに…」「いつお前の物になったんだよ」
     ざわ…               ざわ…



言った。やっぱり言ってしまったか。
となると、ここから僕の名前が出るのはそう遠くない。
きっと全校生徒から大ブーイングされるに違いない…どうする僕!?



『そしてその気になるお相手は…クラスメイトの綾崎ハヤテ君だ!!』

「エエーーーーーーーーーーーーーーーー!?」



ここまで全校生徒が心を一つに叫んだ事なんてあっただろうか…というレベルの声がホール内に響いた。
そしてホール内全員の視線が僕に集まった。



『静粛に!!我々、動画研究会は彼から決意表明のコメントをして頂いた。それをここでご覧頂こう…』



生徒の視線が壇上奥のスクリーンに集まる。
はて?そんな映像を撮られた覚えなんて無いけど…



『桂ヒナギクの全て。過去も未来もひっくるめて、僕はヒナを愛し抜きます!!』

『僕はヒナを愛し抜きます!!』

『僕は』

『ヒナを』

『愛し抜きます!!』  ます…マス…(←エコー)



なんじゃこりゃーーーー!!
今朝のやり取りじゃないですかーーーー!!
しかもしっかり編集してあるし…

そうか、隠しカメラか!
どおりで僕達のキスシーンにはいやに執着が無いと思ったら…



     ざわ…             ウオオオオオオオオ!
「くっそー!綾崎、負けたぜ!!」「ヤバイ…綾崎君カッコイイかも…」
ワーワーワーワー                ざわ…



おお、意外にも生徒の皆には好印象!
僕もヒナも真っ赤になって縮こまる。



『諸君、静粛に!!せっかく本人達もいる事なのだし、ココは直接お話を伺おう。二人とも壇上へ!!』

ざわ…
    ざわ…


足元に突き刺さったバラはいつの間にか消えていて(ついでにヒムロさんも)大河内家のぼっちゃんが一人で花吹雪を撒いていた。
全校生徒の注目を浴びた手前、引き下がる事も出来ず、僕とヒナは彼女達に言われるがまま壇上に上がっていった。



『ではいくつか質問していこう。告白はどっちから?』



壇上に来るや否や朝風さんから発せられる質問。
なんですか、「新婚さんいらっ●ゃい!」ですか!?



『あの…僕から…です』

オオーー!!

『コレは意外!超鈍感の女泣かせの天然ジゴロで名を馳せるハヤ太君からの告白とは!!』



いつの間にか手にはマイクを握らされていて、ツッコミながらも従順に答えてしまうのは、きっと作者のせいです。(←違います)
それにしても酷い言われようだ。事実だけど…



『して、いったいどんな告白をしたんだ?みんな、気になるだろ!?』

キニナルー!!オシエテーー!!!

『えっと…』



情けない僕の告白譚(第6話参照)を思い出して言葉に詰まる。
いったいどう表現したら良いものか…



『じゃあそれは私の方から…「貴女の事が好きです。もっといろんな貴女を知って、それを好きになりたいです」と、熱く語られました…』

オオオオオオーーーーーー!



ヒナはそう語った後、僕の方を向いてウインクをひとつ…カワイイな…
じゃなくて、僕の情けないエピソードを話さないよう気を遣ってくれたようだ。
なんともありがたい話だ。



『まさかあのハヤ太君がそんな熱い告白とは…。そして、ヒナはそれにどう答えたんだ?』

『はい。僕の告白に涙して喜んでくれて「私も」と…。嬉しかったです』

ヒューヒュー!!



僕達の出来事をほぼありのまま話す。
聴衆の生徒の反応が意外とかなり好意的で、悪い気はしなかった。



『はいはい、もはや二人の間には我々の入り込めない領域が出来ているようで…。では、二人から全校生徒に向かって何か言いたい事があればどうぞ』



言いたい事って…特に無いんですけど。



『えーっと、何と言えば良いんでしょうか…。皆様の憧れのヒナギクさんとお付き合いさせて頂く事になりました。覚悟は出来ています。自分の何に代えても彼女を守る事を誓いますので、どうか応援よろしくお願いします!!』


ざわ…                       ざわ…
「綾崎ガンバレよー!!」「お幸せにー!」「桂さんを泣かしたら俺が殴りに行くぞー!」
        ざわ…                    ざわ…


なんか意外と言うか…
学院のアイドルの最高峰のヒナを取られたのだからもっとブーイングが起こるものかと思ってたけど、全校生徒の反応は好意的なものだった。



『私からは、動画研究会の三人にです。』

「「「げっ…」」」



ヒナの言葉に、三人の顔はにわかに引きつる。
イヤな予感がするならやらなきゃ良かったんじゃ…



『ありがとう』

「「「…えっ!?」」」

『なによその顔…怒鳴り散らされるとでも思ったの?』

「「「いえいえいえ!滅相もない!」」」

『なら素直に私の言葉を受け取りなさい。…ありがとう!』



3人の妙なシンクロ具合はさておき、ヒナの心境としては、僕との関係をどう公表するか悩んでいたのを全て受け持ってくれた事に対して出た言葉なのだろう。



『皆さんも、動画研究会メンバーに温かい拍手をお願いします!』

パチパチパチ…


ひとり、またひとりと、拍手をする人は増えていき、ついには先程のヒナのステージに匹敵する喝采へとなった。
これで僕たちの関係のお披露目会見は終わったと思った。



バン!!

「異議あり!!」



という大声で喝采を突き破る少女が現れるまでは…



------------------------



さて、動画研究会への拍手を止めた少女。
二つに結んだ長めの黒髪を揺らして叫ぶ姿は、僕もヒナも良く見知った人物だった。


「にっ、西沢さん!?」

「歩!?なんでっ!?」


驚いた。そりゃあ驚くはずだ。
あの西沢さんが白皇学院の制服を来て、この喝采を一撃で静めさせるべく異議を唱えているのだから。



「なんでもヘチマもありませんよ!…皆さん、騙されてはいけません!こんな事で認めてしまって良いのかな!?いえ、良いハズがありません!!」



いきなり始まった西沢さんの講演会に、ホール内全ての人間が静まり返る。



「それはなぜか!!それは…私たちがまだ二人の恋人同士の『証拠』を見てないからです!!」

ざわ…             ざわ…
「確かにそうだな」「でも証拠なんてどうやって見ればいいの?」
      ざわ…             ざわ…


にわかにざわつくホール。
「証拠」という言葉に、僕とヒナに電流走る!
冷や汗が止まらない。
まさか…まさか…!!



「さあ、見せてもらいましょう!ヒナさんとハヤテ君の愛のしるしを!!」

シーン…



再び静まったホールの中心で西沢さんは叫ぶ。
時間の流れが凍ったように感じた。



「チューウ、チューウ、チューウ…」



ふと、どこからともなく聞こえてくる「ゼ●の使い魔」や「と●ドラ!」のメインヒロインに酷似した声。
その声に、ひとり、またひとりとコールに乗っかって行き…



『チューウ!チューウ!チューウ!…』



ホール内にいる全員による大コールへと発展したのだった。

ふと、ホールの一番後ろで立っている人物と目が合った。
満面の笑みでこちらに向かってピースサインを送るその人は…読者の皆様のご想像通り、アーたん。
その姿に、僕とヒナはただただコケる事しか出来なかった。


チューウ!チューウ!チューウ!チューウ!チューウ!チューウ!チューウ!チューウ!チューウ!チューウ!
『どーしたの!?みんな二人のラブラブな姿を心待ちにしてるんだよ!!さあ!命を、魂を燃やすんだーーーー!』
                         チューウ!チューウ!チューウ!チューウ!チューウ!チューウ!チューウ!チューウ!チューウ!


いつの間にやら壇上にいる西沢さん。
撮影準備万端な動画研究会3人娘。
立ち尽くす綾崎ハヤテ。
…そして、意を決する桂ヒナギク。



『静まりなさい!!』



そのヒナの一言で、ボルテージ最高潮のホール内は一瞬にして水を打ったような静けさに変わる。
誰もが悪ふざけの過ぎた全校生徒へのお説教が始まると思っていた。



『キスっていうのは、もっと…静かにするものなのよ…良く見てなさい!』



というセリフを残してマイクを置き、数メートル離れた僕の方へ寄って来るヒナ。
ホール内は誰一人、物音すら立てない。
…まさか、コレは!!



「ヒナ…?」

「ハヤテ…もうヤケよ!」



と言いつつもまんざらでも無い表情のヒナ。
分かりました。「毒を食らわば皿まで」ですね!(←意味不明)



…ウォオオオーーーーーーーーーー!!



唇を重ねる僕らに、ホール内は先程以上の熱気に包まれた。
…まさか、ここまで全部アーたんの思い通り?恐ろしい子!!



つづく



------------------------



って、待てぇーーーーーーい!!
私の出番があると言うから語り手を代わってやったものの…セリフ一つしか無かったではないか!!
しかもハヤテのヤツ、私の名前すら出しやがらないし。

絶対に許さん。
許さないから…ここから先はずっと私のターンだ!!
今回の種明かしを私がしてやるから、ありがたーく読むのだぞ!


さて、今回の生徒会長スキャンダル会見の真相。
実は生徒全員が仕掛け人だったのだ!!

ハヤテがヒナギクに告白するためにデートに行った日、私はアーちゃんとハムスターと3人で話し合った。
学校でのヒナギクの人気はもちろんの事、ハヤテを好いている女子もなかなかの数がいる。
二人がくっつく事を良く思わない人間が出てくるだろう事も予測出来た。

ハヤテもヒナギクも、自分の気持ちと向き合うために頑張った。
そんなあいつらが誰かから憎まれるだなんて、私は嫌だ。認めたくない。
だったら…学校公認のカップルに仕立て上げてやれば良いという結論に至ったのだ。
そうなってしまえば後はカンタン。
学校へはマリアとアーちゃんに根回ししてもらい、私とハムスターで今回の騒動のシナリオを立てたというワケだ。

フフフ、どーだ驚いたか!?
…なに?ほとんど予想通りだと!?
この私のミラクルなハイセンスについて来れるとは、なかなか恐れ入ったぞ!!
よーし、ではご褒美にハヤテとヒナギクが朝やってた事を…


ざわ…(←桃色の殺気)


…と思ったが、お腹が空いたから私は帰る。
みんな、私へのファンレターを出して作者に出番を増やすように頼むんだぞ!ヨロシクな!!
さらばだ!!



今度こそつづく



------------------------



【あとがき】

長い一日の昼の部でした。
ヒナギクに恋人が出来た事を学校中に隠し通すのは無理だと思うので、完全に公認のカップルになってもらいました。
彼らの仲を否定する人間は出て来ないです。
では、色々解説を…



■朝のご褒美
ハヤテは、その?でヒナが言っていた「ご褒美」をしっかり貰ったようですね。
何をしていたかは皆様のご想像にお任せします。笑
ヒナもそんな事を見越してなのか、しっかりと「お気に入り(原作9巻参照)」を身に着けていたようで…。
くっそー、羨ましい!!


■意外な登場人物
まさかヒムロなんて出すとは自分でも思ってもみなかったです。
?ハヤテを足止め出来て?特にハヤヒナに何の感情も抱かない人物…って考えたら彼に白羽の矢が立ちました。
金さえ出せば何でもする性格も使いやすいですね。


■部外者
歩は「せっかくやるなら目立ちたい」という事で、ピエロ役を買って出ました。
白皇への侵入はマリアとアリスの根回しで関係者扱いされているので問題なく出来てます。
…潮見高校は創立記念日かなんかで偶然お休みです。


■三人娘
その?で言っていた事の種明かしをすると…
秘策→どこかしらに仕込んだ隠しカメラ
バックの彼女たち→ナギ・アリス・歩たち

です。予想通りですよね?笑


全校生徒への発表がメインになってしまったので、ハヤヒナがあまり出来ませんでした。
夕方・夜の部は二人の絡みをもっと増やす予定です。
あ、でもその前に3/3が近いのでなんかお祝い作品的な物も作りたい…
予定は未定です。


ご感想・ご質問などお待ちしております。
ありがとうございました。

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Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【アフター第1話その?更新】 ( No.58 )
日時: 2012/02/27 00:12
名前: こよーて

うあああああああ!!!
一体なにがあったんだ? オレンジてなに?
はやてえええ!!!

にしても学院中にばれて追っかけまわされるお約束かと思ってましたが、
やりますねザ・生徒会。
悪ふざけと友情の紙一重っぷりは彼女ららしいですね
すべてを見越してのシナリオ展開もアーちゃん、ナーちゃんの天才コンビさすがです。
そして名門白皇学院の全生徒を扇動するなんてもはや普通じゃねえ西沢さん!
ヒナハヤがただ流されぱなしになるほどの周りの行動力すごいです。面白いです。
最初から最後までニヤニヤしぱなしでした。
でもここ学院内ですよね・・・?
あ、理事長公認だからいいのか!

では、つづきも楽しみにしてます!
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Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【アフター第1話その?更新】 ( No.59 )
日時: 2012/02/27 15:14
名前: ロッキー・ラックーン
参照: http://hinayume.net/hayate/subnovel/read.cgi?no=7738

>こよーてさん
ご感想ありがとうございます。

追っかけまわされる展開だと、ハヤヒナに対して負の感情を持った人間が存在してしまいますので、ナシにするのは最初から決めてました。
ただ、どーやって学校中から祝福される展開に持っていくかがなかなか浮かばず…といった流れになりました。特に歩の扱いが難しいところで…笑
歩の白皇の制服姿は私の願望です。見てみたい…!

ところで白皇の大人の方々でマトモな人って薫先生くらいだと思うんですがどうでしょうか?
キリカ様に雪路に牧村先生に…そんくらいか。もともとの登場人物が少ないですね。
理事長以下、個性派揃いの白皇ならコレくらいはアリでしょうね。笑

そしてヒナのオレンジも見てみたい…!
フリルのついた可愛いやつだそうです。
いったいソレでハヤテに何をしたんでしょうかね…笑

次回もお楽しみに!
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Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【アフター第1話その?更新】 ( No.60 )
日時: 2012/03/05 18:13
名前: クロック

お、おれんじ!!!
二人が何をやってたのかよりあーたんの特訓が気になる!
この幼女はいったいなんの特訓をさせてんだ!?
ま、これで学院公認のバカップルですか。
うらやましくない、うらやましくないぞ!!!
見かけたら「やーい、やーいバカップル〜!」て指さしてやる〜泣
では、引き続き夕方、夜の部も楽しみに・・・夜? え、よ、夜!? しよやあああ???
いかん、取り乱してしまいました。
短編集も読ませてもらいました。
これからもイベントごとにここより少し進んだ二人の話あるのでしょうか?
も少しで白い日だったり・・・
ではあらためて、しあわせの花及び花びら楽しみにしてます!
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Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【アフター第1話その?更新】 ( No.61 )
日時: 2012/03/06 11:34
名前: ロッキー・ラックーン
参照: http://hinayume.net/hayate/subnovel/read.cgi?no=7738

>クロックさん
ご感想ありがとうございます。

アーたんの特訓は、特にハヤテのスケベ心を鷲掴む事に重きを置いています。
この幼女様がいないと、ハヤヒナの関係の進展速度は8割減であるとマリアさんが分析しています。笑

夕方の部は現在半分ほど進行中、夜は登場キャラの案までは出ている状態です。
お互いのカラダに興味津々の二人(笑)ですが、ひなゆめルールはしっかり守らせますのでご安心ください。

短編集もお読み頂きありがとうございます。
ホワイトデーは、バレンタインをやらなかったので今年はやる予定はありません。
今迷ってるのは、歩の誕生日…ハヤヒナメインでどう扱うかを模索しております。

しかしクロックさん、指差して煽るものならあの二人はさらにイチャつきやがるだろうから逆効果もいいトコですよ。笑

では次回お楽しみに!
ありがとうございました。
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Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【アフター第1話その?更新】 ( No.62 )
日時: 2012/03/27 13:36
名前: ロッキー・ラックーン
参照: http://hinayume.net/hayate/subnovel/read.cgi?no=7738

こんにちは、ロッキー・ラックーンです。
またひと月あけてしまった…。

今回はカップル成立後の一日、夕方の部です。
それではどーぞ!



------------------------



「は〜い、二人とももっとイイ顔して〜!」

「こっ、こんな格好で出来るわけないでしょ〜!!」

「……」



こんにちは、綾崎ハヤテです。急な展開に読者の皆様は置いてけぼりですね。
簡単に今の状況を説明すると…

ヒナのお義母様→カメラを持って満面の笑み
桂ヒナギク→三千院家執事服着用
綾崎ハヤテ→白皇学院制服(女子用)着用


…って、また僕はヒナの制服を着てるのかーーー!!!


あ…でもヒナの良い匂いがする…(←変態)





     After第1話そのB【 かつらけ おとまり 】





「はぁ〜…それにしてもアリス達ったら、悪ふざけが過ぎてるわよね…」

「まあまあ…」



てんやわんやの学校からの帰り道。
僕達二人の足はアパートではなく、別の場所に向かっていた。
今日はお義母様と桂先生にご挨拶に伺うというワケで、ヒナの実家に泊めてもらう事になっているのだ。
朝から色々と慌ただしさを極めたせいか、ヒナの顔には少し疲れが見えていた。



「今日はあと僕が頑張るだけだから、帰ってゆっくり休みましょう?」

「休むのも良いけど…ハヤテと色んな事話したいな…静かな部屋は久しぶりだし」



確かに、アパートのヒナの部屋にはアーたんがいる事もあって、二人でじっくり話すことは少ない。
三人で過ごすのも楽しくて落ち着くけど、たまには二人きりで話してみるのも良いかもしれない…。
二人きり…朝の生徒会室の続きも期待出来るかな…ウェヒヒヒ



「そっ、そうですね!アパートじゃ二人きりになるのも難しいですしね」

「ハヤテ…今エッチな事考えてたでしょ?鼻の下が伸びてるわよ」

「え゙っ…そんな事ひとっつも無いですよ…?」

「んもう!一応、お義母さん達がいるんだから、期待には応えられないわよ?」

「ハハハ…スミマセン…」



うん、自重しよう。
挨拶に来た自分の娘の彼氏が家でそんなチョメチョメな事をしていたら、僕はそいつを殴って追い出すだろう。(その娘が誰との子供なのかはとりあえずは置いといて)
何事も信頼が一番大事だ…でも、「一応、お義母さん達がいるんだから」と言う事は、ヒナとしても致し方無いという意識があるのかな…ウェヒヒヒ
というか、こんなエロな綾崎ハヤテ…他に書く人なんていないですよ?困った作者だ…(←人のせいにするか)



「ゴホン…まあ、とりあえずそれは置いといて、緊張します…」

「大丈夫。あのお義母さんとお姉ちゃんよ?いつも通りのハヤテでいてくれれば平気…まあ気持ちは分かるけど」



家に泊めてもらうのはヒナの誕生日の前以来だから…だいぶ久しぶりだ。
前回、ヒナのお義母様はいきなり転がり込んできた僕に優しく接してくれて、連泊もあっさり快諾してくれた。
今回の僕の挨拶も、多分笑って聞いてくれると思うけど…やっぱり緊張するな…

と思い巡らせている内に到着。
相変わらず大きな家だ。



「じゃあ入るわよ?お話はお茶でもしながらしてもらうから、玄関では軽い挨拶程度で済ませてね」

「ハイ…頑張ります…」

「あっ、ハヤテ…おでこ…」

「ん?何か付いてますか?」


チュッ…

差し出した額に軽いキス。
不意打ちに僕は顔を真っ赤にさせる。



「ちょっ、ヒナ!?」

「そうそう、その表情よ。いつものハヤテでねっ!」



その眩しい笑顔に浸るヒマも与えられず、扉は開かれる。
あ、なんか肩の力抜けたな…さすがはヒナ。



「ただいま〜!」

「お邪魔します」

「あら、ヒナちゃんお帰りなさい。あらあら綾崎君も…」



入るとほぼ同時にお義母様は玄関へと出迎えてくれた。
なんか、この前お会いした時よりさらに若々しくなってるような…



「こ、こんにちは!お久しぶりです」

「いらっしゃい!さ、立ち話もなんだから上がって上がって!」

「はい、お邪魔します!」



そそくさと上がる僕を笑顔で迎えてくれるお義母様。
その姿を見て、心なしかヒナも安心してるように見えた。



「ハヤテ、私着替えてくるからちょっと待っててね。お義母さん、お茶の用意をお願いしてもいい?」

「はいはい任せてね…でも良いのかしら?」

「…ん?何が?」

「綾崎君に着替えさせてもらわなくてヒナちゃんは良いのかしら?」

「「ぶっ…」」



お義母様の不意打ちに僕達は二人して顔を真っ赤にさせる。
そして、自然とヒナの身に纏った色鮮やかな制服に目がいってしまう。



「何言ってるのお義母さん!?こら、ハヤテもジロジロ見ない!!」

「え〜、残念だな〜…綾崎君も残念でしょ?」

「え、いや、その…」

「もうバカ!私は行ってるわよ!!」



ドスドスと足音をたてて自室に向かうヒナ。
残された僕はただしどろもどろにしているしかなかった。



「フフフッ、ヒナちゃん顔真っ赤だったわね〜」

「は、はあ…」



悪戯な笑顔を浮かべるお義母様。似たような表情を最近よく見るような…あ、アーたんがよくする顔だった。
コレは幸先が…良いのかな…?



「じゃあ、私はお茶を淹れてるから、綾崎君は手を洗ってからリビングに来なさい…洗面所の場所は覚えてるわよね?」

「あ、ハイ!」

「綾崎君から大事なお話があるってヒナちゃん言ってたから、楽しみにしてるわね〜!ワクワク!」

「は、ハハハ…」



お義母様はスタスタと僕の荷物を持ってリビングに向かう。
僕も一人でつっ立ってる訳には行かないので、足元に用意された来客用のスリッパを履いて洗面所へと向かった。





・・・





「う〜ん…」



洗面台の石鹸を無心で泡立てる。
こういう一人の時間を与えられると逆に緊張が盛り返してしまうというか…



「…いかんいかん!!」



ハッと我に返り、無意味に泡まみれの手を流す。
せっかく二人が緊張をほぐしてくれたんだ、あとは僕の勇気だけなんだ!!



「いくぞ…」



手を拭いて、意を決した僕はお義母様の待つリビングへと足を進めた。
…おっと、うがいを忘れていた。






・・・






トントン

「失礼します」

「あら綾崎君、リビングに入るのにノックなんてしちゃって!!自分の家のようにくつろいで良いのよ〜?」

「いえいえ、そーいうワケには…」

「もう、頑固者なのね…あ、好きな所に座ってね」

「ハイ、では失礼します」



好きな所と言われたので、当然ながら下座に着席。
キッチンにいるお義母様の淹れる紅茶の香りが鼻をくすぶった。



「ヒナちゃん、例のお姫様とは上手くやれてるかしら?」



お茶菓子を用意しながら発せられる声。
ただの世間話とはいえ、この件に関しては話したい事がたくさんある。



「ハイ、それはもう…本当の親子みたいにいつも一緒で…」

「本当の親子…?」



その単語に、お義母様の笑顔が一瞬消える。
僕はそれに気にせず話を続ける。



「ええ、いつだったかヒナが言ってました。今のご両親が自分に注いでくれた愛情をそのままアーたんに向けて注いでやるんだって…」

「まあ…ヒナちゃんがそんな事を…」



僕の言葉に、お義母様は驚きを隠そうとしない。



「ハイ。僕、思うんです…血の繋がりは確かに大事なものだと思います。でも、切れないものかと思ったら実はそんなでもなくて、意外とアッサリ切り捨てられてしまうんです」

「…」



いきなり語り出してしまったが、この話はもちろん僕の両親の事だ。
血は繋がっているけど、僕は彼らに対して怒りだとか悲しみの感情すら抱かない。…多分、向こうも僕に対して「便利な金ヅルだけど、無ければ無いで全然気にしない」といった程度の認識をしている事だろう。
完全に無関心…マザー・テレサいわく「愛の反対」の状態だ。



「でも、心の繋がりは切っても切れません。いくら見捨てようと思っても、心が繋がっている限り見捨てきれない。心の底から憎んだり恨んだり…ましてや無関心になりきる事は出来ないんですよ。だから、本当は切れないはずの心の繋がりを無理矢理切り離されてしまったヒナはとても深く傷ついたんだと思います」

「心の繋がり…かぁ」



そう、親に捨てられて悲しいと思うのは血ではなく心を離されたから。
これが僕の思う、僕とヒナの境遇の決定的な違い。



「ハイ。だから僕にとっては三千院家の皆様は家族ですし、お義母様とヒナ、ヒナとアーたん…例のお姫様だって本当の親子なんだと思います。心の繋がりという点で…」

「…そうね」

「あっ、スミマセン!熱くなって生意気な事を言ってしまいました…」

「ううん、その通りだと思うわ…。それにそう言ってくれて、とっても嬉しいわ!!」

「ハハハ…」



相変わらずの優しい笑顔。
それはヒナがアーたんを見るときの表情とどことなく似ていた。



「それより綾崎君?」

「はい?」



いきなり真剣な表情に変わるお義母様。
アレ…やっぱり失礼だったかな?



「さっきからウチのヒナギクの事、なんて呼んでるのかしら?」

「…ん?…あっ!!」



言われて初めて気付いた。
さっきから僕はお義母様の前でヒナヒナと連呼していた。



「いえ、あの、ヒナギクさんとは懇意にさせて頂いていると言うか、その…」

「フフフッ、あなた達はからかうと本当に面白いわね〜!」

「いえ…スミマセン…」

「謝る事なんて無いのよ〜?綾崎君のお話が楽しみね〜!ヒナちゃんまだかしら…」



モジモジと赤くなる僕を、お義母様はニヤニヤと眺める。
ヒナ…早く来てください…!



「お待たせ〜!」



颯爽とリビングに現れるヒナ。待ってました!
最近はようやく見慣れてきた私服姿。相変わらずカワイイな…



「あ、来たわね〜!綾崎君が待ちかねてたわよ〜?」

「ん?どーゆー事?」

「フフフッ、コッチの話。じゃ、お茶にしましょうか〜!」



僕の隣に座るヒナ。
お義母様はその姿を見守りつつ、お湯を入れて温められていたティーカップの中身を空けて、香りの良い紅茶を注いでいった。



・・・



「お味はいかが?」

「ハイ、とっても美味しいです」

「フフッ、それは良かったわ…」



とりあえずは紅茶をひと口。
これからする挨拶への緊張で乾いているノドにはちょうど良かった。



「…じゃあ、早速だけど『お話』っていうのを聞かせてもらって良いかしら?」

「…はい」



ついにこの時が来た。
まるでヒナに告白した時のように心臓がバクバクいっている。
ヤバイ、こんなに緊張するものなのか…  グイッ


「えっ?」

「大丈夫だから…落ち着いて」



僕の服の袖を軽く引っぱってのヒナの言葉。
その笑顔に、今までの緊張は全て消し飛んでしまった。
…よし!



「ゴホン…お義母様、僕こと綾崎ハヤテはヒナギクさんとお付き合いさせて頂く事になりました。ふつつかものでご迷惑をおかけすると思いますが、命に代えてもヒナギクさんを守る覚悟です。どうか、なにとぞよろしくお願いします!」

「…え?」



僕の言葉に、お義母様はキョトン顔。
アレ…そんなに意外だったのかな?



「あの…いかがなさいました?」

「それだけなの?ヒナちゃんと付き合うって…お話っていうのは、本当にそれだけなの?」



少し深刻な顔で迫るお義母様。
しまった…なにかまずったか…?



「スミマセン…僕のご挨拶に至らぬ点があれば、反省します!」

「いや、そうじゃなくて…。なんだぁ〜…残念…」



酷くガッカリした様子のお義母様。
ヤバイ…僕は取り返しのつかない事をしてしまったのか…?
せめて、何がいけなかったのか教えて頂ければ…!!



「せっかく、おばあちゃんになっちゃったかと思ってワクワクしてたのに〜…」

「「………はぁ!?」」



お義母様の言葉から約3秒の間。
その意味をようやく理解した僕達二人のシンクロした声が部屋に響いた。



「ちょっ、お義母様いったい何を!?」

「そ、そうよ!私達まだ何も…」

「あらあら!『まだ』って事はヒナちゃんは十分その気みたいね。良かったわね〜綾崎君!」

「え、ホントに…?」

「だからそーじゃなくて!ハヤテは黙ってなさい!!」



ものすごい剣幕で僕に突っかかるヒナ。
久々にこんな顔してるのを見た…でもカワイイ…



「綾崎君…」

「はい」

「離れのベッドに枕ふたつ用意してあるから…ヒナちゃんの説得さえ上手くいけば私からは何も言わないからね!」

「え゙っ…あの…頑張ります」

「頑張らなくていいから!!(ゴツン)んもう、お義母さん!!」



久々にヒナの拳骨を頂いた。
あ、なんかあんまりにも久しぶりで逆に気持ち良いような…おかわりお願いします!(←最近変態に歯止めがきかなくなってきた綾崎ハヤテ君)



「うふふっ…ヒナちゃんたら照れちゃって」

「もう…こーゆー時くらい親の威厳ってものを出してもいいんじゃないの?」

「心配しなくても、そんなの必要無いわよ。綾崎君は、ヒナちゃんが私にとってどれだけ大切なのかわかってるもの…」

「えっ…?」

「だから、お義母さんから言う事は一つだけ。『幸せになりなさい』…それだけよ」

「……」「……」



僕達は互いに顔を見合わせる。
「しあわせの花」の名を持つその少女の瞳は、涙を溜めて輝いていた。
それを見て思った。僕達二人ならきっと幸せになれると。



「お義母さん…私、もう十分過ぎるくらい幸せよ…」

「あらあらヒナちゃんたら…。綾崎君…いえ、ハヤテ君。私はいつだってあなた達の味方だから、困った事があったら何でも相談してね!」

「お義母様…」



お義母様の言葉に、僕の胸も熱くなる。
自分の存在が認められるというのは、何度経験しても嬉しい事だ。



「もう、『お義母様』だなんて他人行儀ね〜。ヒナちゃんの彼氏なんだから、『ママ』って呼んで良いのよ〜?」

「え゙!?それはちょっと抵抗が…」



流石に娘のヒナを差し置いてママ呼ばわりは出来ない…というのもあるし、何より照れくさい。
僕とお義母様のやりとりを見るヒナの表情も複雑な感じだ。



「ちょっと、お義母さん!あんまりハヤテを困らせないの!」

「ちぇ〜、つまんないの…」

「ハハハ…」



プンスカと湯気を立てるヒナに、口を3の形にするお義母様、苦笑いの僕。
なんだかとっても和やかな雰囲気だ。



「そんな和やかな雰囲気を一気に盛り上げるわよ〜!!」

「?」「?」


カシャッ

そんな音を立てて、時計の歯車が回ったような映像がお義母様の言葉と同時に頭に飛び込んできた。
…ふとヒナを見てみると、良く見知った三千院家御用達の執事服を身に纏っていた。
あぁ、男装も良く似合ってる。凛々しくてカワイイなぁ〜。

って、アレは僕の服じゃないか!

恐る恐る自分の身体を見てみると…


・・
・・・
・・・・


鮮やかなピンクのセーラー服。



「って、えええええええええええええ!?」

「キャ〜!!何よコレーーー!?」

「フフフッ、せっかくだから記念撮影をと思って。二人とも良く似合ってるわよ〜!」

「そーじゃなくて、いったいいつの間に着替えさせたのよ!?」

「知り合いの魔法少女に時間を止める力を持ってる子がいてね〜。ちょっと、ねっ!」

「ちょっとって…どこのほ●ほむですか!?」



…といった感じでタイトル前に続くというワケです。
それにしても、ヒナの制服を一度とならず二度までも着る事の出来る僕はなんという幸せ者だろう。
このまま本能に身を任せてヒナの匂いを堪能する…ワケにもいかず、写真を撮った後(結局撮った)ヒナの部屋を使って交代で着替えたのだった。



「フフフッ、ハヤテ君!ヒナちゃんの制服を初めて着てみた感想は?」

「あ…実は初めてじゃなかったりします」

「まあ!まあまあまあ!!二人とも意外とマニアックなのね…うんうん!お義母さんはそーゆーの、全然否定しないからねっ!」

「ハヤテ…貴方、少し黙りなさーーーい!!」



白桜の放つ桜吹雪がキレイだなと思うと同時に、僕の視界はブラックアウトしたのだった。




つづく



------------------------



【あとがき】

夕方の部、終了です。
今回は私の考えるハヤテとヒナの家族観の違いをハヤテに解説させました。
境遇の似た二人ですが、その心持ちは完全に正反対です。その根拠はというと…物語内でハヤテが語った通りです。
「心の繋がり」という意味で、ハヤヒナ+アリスの家族論なんかも後々やりたいなと思っています。

それにしても、ヒナママ書いてて楽しいですね。アリスと絡ませてハヤヒナをタジタジにしたいです。
ハヤテ…再びのヒナ制服着用、許せませんね。

夜の部はまた別のキャラが出る予定ですが、皆様もうお分かりですよね?笑
姉の威厳を見せて貰いたいところです。

ご感想・ご質問などお待ちしております。
ありがとうございました。






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Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【アフター第1話その?更新】 ( No.63 )
日時: 2012/03/31 14:34
名前: クロック

お義母様〜
今、目の前にいる男はこないだお泊りした男とまったくの別人ですよ〜
変態て名の紳士ですよ〜(失礼)
信用もほどほどにしないとホントにおばあちゃんになっちゃいますよ〜
あ、でも原作のハヤテも変態ぽくなってるしな〜
あれはヒナいぢめたいSなのかその後のお仕置き楽しみなMなのか?

「さっきからウチのヒナギクの事、なんて呼んでるのかしら?」
はちと怖かったり〜
そして次はいよいよ「夜」ですか!
まああの姉さん登場じゃハヤテもいかがわしいことはできそうもないかな?
では、楽しみにしてます
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Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【アフター第1話その?更新】 ( No.64 )
日時: 2012/03/31 20:07
名前: こよーて

アパート学校実家、どこ行ってもいぢられる運命の二人なんですね
またもや強力ないぢりキャラでましたか
ヒナギクのすべてを知り尽くしてるヒナママには二人がかりでもけっして勝てることはないでしょう。
アリスとのタッグはぜひとも見たいものです
にしてもヒナママ何者?

次回はお姉ちゃん登場ですか!
実はヒナギクの次に好きなキャラだったりします。
たとえどんなダメ人間でもなんだかんだでヒナギクを1番想ってるでしょうしね!
彼女の活躍ともども楽しみにしてます
頑張ってください!
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Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【アフター第1話その?更新】 ( No.65 )
日時: 2012/03/31 20:52
名前: ロッキー・ラックーン
参照: http://hinayume.net/hayate/subnovel/read.cgi?no=7738

>クロックさん
ご感想ありがとうございます。

仰るとおり、前回泊まりに来た男とは完全に別人ですね。紳士ではなくただの変態です。笑
ヒナママがおばあちゃんになるのはそう遠くない未来かもしれません。
ヒナママはハヤテの言葉からいじれる要素を見逃しませんからね、あのセリフはなかなか良かったのかと思ってます。

最近の原作ハヤテは正直理解出来ません。というか、自分のウソをごまかすためにヒナの制服を着たってのがハッキリ言って許せません。(文句ばかり出てしまうのでこのへんで…)

さてさて、「夜の部」は少しだけ二人の身体的接触を書いてみようと思ってます。
もちろん姉にオチを付けてもらうのは言うまでもありませんが…笑

また時間があいてしまうかもしれませんが、どうぞお楽しみに!




>こよーてさん
ご感想ありがとうございます。

ハヤヒナにプライベートの安息の時間は無しに等しいです。せいぜい、生徒会室でのひと時くらいでしょうか?笑
そのうちアリス+ヒナママはやりたいと思ってます。

二人の着替えシーンは、原作9巻のヒナのライブの時みたいなイメージで読んでいただければと…。(「ちょ!!今どうやって着替えさせられたの私!?」とヒナが言ってます)
魔法少女ネタは頻繁に使ってますが(ウェヒヒヒとか)、特に意味はありません。

次回は…「この姉あって、この妹あり」といった感じに出来たらと思っています。
ハヤテとの絡み方やセリフ回しに時間がかかると思いますが、気長にお待ち頂ければ幸いです。


では、ありがとうございました!
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Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【アフター第1話その?更新】 ( No.66 )
日時: 2012/04/08 21:42
名前: ロッキー・ラックーン

こんにちは、ロッキー・ラックーンです。
最近月1ペースの更新だったからか、なんだかとっても早く書けた気がします。

今回はカップル成立後の一日、夜の部です。
色々あってまだ今回では終わりません。
それではどーぞ!




------------------------




「ごちそうさま〜!」

「ごちそうさまでした!」

「は〜い、お粗末さまでした!」


こんばんは、綾崎ハヤテです。
前回に引き続き、桂家お泊り大作戦(?)のため、ヒナの実家にいます。

夕食はお義母様の特製必殺カレー。
ヒナの大好物であるのはもちろんの事、僕も一口でその味の虜となり、鍋の中のほとんどを二人で平らげてしまった。
母の味とはよく言うが、まさにその表現が最適だと感じる食べ物だった。
僕たちの食べっぷりに、お義母様も上機嫌のようだ。



「じゃあ、片付けはお義母さんがやっとくから、二人でお風呂入ってきちゃいなさい!」

「ハイ…って、えええええええ!?」

「お義母さん!!サラッと自然な感じで何を言ってるのよ!?」

「あら、ハヤテ君はヒナちゃんとお風呂入りたくないかしら?」

「え?」



ヒナとお風呂…一糸纏わぬ身体の二人…ウェヒヒヒ
僕の脳内で弾かれた回答はただひとつ。



「もちろん入りたいです!入りたくないワケが無いじゃないですか!!」

「まあ!ハヤテ君は素直な良い子ね」

「ハヤテ…」



満面の笑みのヒナ。
ゆっくりと僕に近づくその姿はまさに天使そのもの。
まさか…ホントに…!!



「このエロ執事!!」



本日2回目のゲンコツを頂きました。気持ちイイ…
あ、僕は決してエロ執事なんかではありません。
ただ、ヒナとの身体の触れ合いを望んでいる事を公言しているだけです!(←世間ではそれをエロと言う)





     After第1話そのC【 俗・先生さよなら絶望 】





「ふぅ…」



サブタイトル前の奮戦もむなしく、僕は一人でお風呂を頂いた後、離れの部屋で宿題を片付けていた。
ちなみにお風呂には今はヒナが入っている。


「ん゙〜〜っ!終わったぞ…」



無事に宿題は終了。
さてさてヒナがお風呂からあがってくるまでの時間、何をしようか…。



「……」



静かに目を閉じて、瞑想する。
明鏡止水の心に映るものは、やっぱり最愛の人。
柔らかな笑みで伸ばすその手が優しく僕を包み込む。
あぁ…いつまでも、いつまでも触れられていたい。




トントン

「入ってもいいかしら?」

「!!」



すっかり自分の世界に陶酔していた僕を現実に引き戻すノック。
ドア越しのその透き通った声に僕の心は否応なしに高鳴った。



「は、はーい。どうぞ!」

「お邪魔します」



開けた扉の前には、つい今まで脳内を独占していた想い人、桂ヒナギク。
風呂上がりの艶っぽい肌がまた僕の煩悩を刺激した。



「何してたの?」

「あ、はい。宿題を片付けてまして…ついさっき終わった所です」



貴女の事を考えてましたというキザったらしいセリフも頭に浮かんだが、当然ながら却下。



「じゃあ、私もココにいて良いかしら?」

「はい、もちろん!…というか、いて下さい!」

「うん。いっぱいお喋りしよ」

「はいっ!」



二人きりの部屋。こんなに落ち着いて話すのはいつ以来か…。
学校の事、生徒会の事、バイトの事、アーたんの事…
話す内容は本当にたわいもない事ばかり。



「あ、そうだ…ちょっと聞いても良いかしら?」

「はい。何でもどうぞ」



ふと思い出したかのように質問しようとするヒナの面持ちはいささか緊張気味だった。
僕はそれを気にもせず、彼女からの言葉を待つだけ。



「どうして、私を好きになってくれたの?…教えてもらっても良い?」

「!!」



その質問は至極単純ながらも、今の僕の生活の根底にある気持ちを表す必要のある奥深いものだった。
ヒナの顔は真剣そのもの。
きっと勇気を出して聞いた事だろうから、僕もその勇気に応えるべく、他人に伝えて分かりやすい表現をボキャブラリーの乏しい脳みそから絞り出す。



「…いつだったか、雛菊の花言葉について話してくれた時がありましたよね?」

「うん、そんな事もあったわね…」



何を言ってるか分からない読者様は上スクロールにて第4話をどうぞ。



「その時にハッキリ気付きました。僕にとってヒナは『しあわせの花』なんです。ヒナといる時は心が温かくなってとても幸せな気持ちになります。これまで不幸だと思っていた自分の人生が完全に変わってしまいました。…まあ、ヒナは『雛菊』なんだからそれが当たり前なんでしょうけど」

「……」

「気が付いたら恋をしてました。寝ても覚めても貴女の事ばかり考えていました。『しあわせの花』を僕だけのものにしたいと思うようになりました」

「……」

「ヒナがヒナであるから。これが僕がヒナを好きになった理由です。ちょっと日本語がおかしいかもしれませんけど」

「……」



むむむ、いざ言葉にすると難しい。
もちろん、美しい顔が好きだとか、誰からも好かれる爽やかな性格が良いだとか、たまに出る隙がまたカワイイだとか、ヒナにとってはコンプレックスである胸も僕にとっては奇跡の丘だとか、細かい事を挙げればキリが無い。
でもこれらは木で例えれば枝や葉に当たるもので、要はその前提となる根や幹に相当する「桂ヒナギクという存在そのもの」に僕はどうしようもないくらいに魅かれているのだと言えば少しは伝わるだろうか…?

先程からずっと無言のヒナ。
俯いている顔を下から覗き込むと…その美しく大きな瞳に涙を一杯に溜めていた。



「えっ、ヒナ!?僕はまた何か失礼な事を…?」

「嬉しいのよぉ…ばかぁ…」



見当はずれな事を言う僕をポカポカと叩いて照れ隠しをするヒナ。
ぐちゃぐちゃに涙を零しながら満面の笑みを浮かべるその顔は、いつもの美しさとは一線を引いた愛らしさがあった。



「私がハヤテの『しあわせの花』だなんて、言われてこれ以上嬉しい言葉なんて無いじゃない…」

「…なんか、スミマセン」

「ばか…」



泣き顔を見られないようにしながら身を寄せるヒナを僕は優しく抱き寄せた。
やっぱり、制服より実物のヒナの方が良い匂いがする。(←最近匂いフェチの気を見せてきた綾崎ハヤテ君)



「じゃあ、この際ついでなんですが…」

「ん?」

「ヒナはどうして僕なんかを好きになってくれたんですか?僕がヒナに惚れるのは当然として、ヒナが僕に惚れるなんてちょっと信じられなかったんで…」



ヒナの勇気に便乗しての質問。
正直なところ、ココで聞かなかったら永遠の謎になっていたかもしれないテーマ。



「…どうして私がハヤテを好きになるハズが無いって思ったの?」

「借金持ちで、女顔で、ヘタレで、優柔不断で、デリカシーが無くて、女装趣味で、不幸体質で、他の女の子が好きと公言してたくせに身の回りには女の子とのトラブルばかりで、ヒナに惚れられる要素が見当たらなくて…」

「…自覚あったんだ?」

「最近、ようやく自分を客観的に見れるようになってきたんで…」



そうそう、ヒナを好きになったと同時に、コレまでの自分の人生の反省を毎晩寝る前にするようになった。主に女の子との付き合いについて。
なったはいいものの、毎晩が自己嫌悪の連続。自分で言っててイライラするレベルの最低男だ…。
だからこそ教えて欲しい。
こんな最低な男に恋してしまった最高の女の気持ちというものを!



「…笑わない?」

「…ええ、もちろん」



その言葉は「今から言うよ」という合図だった。
瞬間、告白した時と同じレベルの緊張が脳内に走った。



「一目惚れよ」

「…え?」

「だ〜か〜ら〜、一目惚れ!!」

「あの…お米とかじゃなくて?」

「分かりにくいボケはいらないわよ!学校のあの木で初めて会った時から気になってたの!!」

「そ、そーなんですか…」



一目惚れ…。
初対面の時というと、ヒナが木から下りられなくなっている時に僕が通りかかって、スカートの中を見せてくれたあの時か…
今でも何気なくスパッツを僕に見せ付けるヒナの姿を覚えている。…ゲフン!ゲフフン!!

確かに僕も、出逢って以来ずっとヒナの事を考えていたかもしれない。
とてもキレイで、それでいて無茶ばかりする放っておけない人だと最初は思っていた。いや、多分今もそこから大きくは変わらない。
そんなヒナが好きで好きでたまらなくなってしまった。それだけが今と昔の違いだと思う。



「でもハヤテ、貴方はまだ自分の事を客観的になんて見れてないじゃない」

「…と言いますと?」

「綾崎ハヤテという人はね、優しくて…ホントどうしようもなく優しいの。それに人の心の痛みを知っているわ。知っている上で、後ろを振り返る訳でもない、今と向き合って生きる事を忘れない。…そんな貴方だから、私はもっともっと好きになったの」



照れながら僕の事を話すヒナ。
その表情はとても優しく、僕は本当にこの人から想われているんだな〜、と嬉しくなった。

ふと、目が合った。
交じり合った視線をお互いそらす事は無い。
その美しい瞳に僕の心は吸い寄せられる。まさに虜といった状態だ。



「ヒナ…髪、触ってもいいですか?」



辛抱出来なくなって手が伸びてしまう。
ところで「彼女の身体のドコが一番好きか?」と問われたら、僕は真っ先に髪だと答える。
多分ヒナ自身、身体で一番気を遣って手入れをしている所だろう。美しく、鮮やかで、風に揺れているのを見た時なんかは心が躍って仕方ない。
毎日毎晩…というか常に、ヒナの髪を自分の手で梳く妄想をしているものだ。



「…イヤ!」

「!!」



拒絶の言葉と同時に、伸ばしていた手が弾かれた。
…ヤバイ、いきなりすぎたかな?



「なんて言うと思う?…どうぞ!」

「!?」



間髪入れずに僕の胸に背中を密着させるヒナ。
あまりに急すぎて、事態の把握が出来ない僕。



「ひっ、ヒナ!?」

「髪、触りたいんでしょ?これならやりやすいじゃない」

「じゃあ、遠慮無く…」



鼻先に髪が触れてくすぐったい位の距離。
ヒナは上半身の体重のほとんどを僕に委ねる。
僕はその身体を左手で優しく支えて、右手では差し出された桃色の髪を何度も何度も梳いた。



「ヒナの髪、大好きなんです…ずっと、触りたいって思ってました…」

「そうなの…嬉しいな…もっと…」



艶っぽい声と同時に前髪のヘアピンをはずすヒナ。
その行為ひとつで、彼女がどれだけ僕の存在を受け入れてくれているのかが分かった。
僕は今まで以上に丁寧に丁寧にヒナの前髪をかき上げた。



「んっ…なんだか、くすぐったいわね…」

「…スミマセン。やめますか?」

「…分かってるくせに」



無意味なやりとりをしつつ、触るのをやめない。
ところで、前髪をかき上げて分かった事がひとつ。ヒナのおでこは結構広い。
それがどうしたと問われればそこまでだが、前髪をかき上げるのを許された僕だけが知っている事だと思うと、優越感に浸れるというものだ。



「ひとつ言って良いですか?」

「ん?」

「僕、今すっっっっっっっごく幸せです」

「…ばか」



言葉と同時に、撫でていた手も止まる。
見つめ合ったまま決して動かない二人。

いつしか僕を見つめていた二つの瞳は閉じられていた。
その行為が意味する事を僕は勘違いする事無く受け止め、柔らかく艶やかな唇へと自分の口を近づけた。
唇が触れ合う直前、ふと僕らが二人きりでこの行為をするのが初めてだった事に気がついた。

それから2分経ったか3分経ったか分からなくなった頃、不意に自分の口内に何かが侵入してくる違和感に襲われた。
驚いた僕は唇を離そうとしたが、ヒナの両手が僕の頭を押さえていたため無理だった。
程なくしてその違和感の正体に気づき、離れようとした事を後悔するのも忘れて、ヒナをむさぼるのに夢中になった。
熱くてとろけてしまいそうな程に甘いヒナの感触は、髪とはまた違った充足感で僕を満たしてくれた。
あぁ…このままずっとずっとこうしていたいな…



・・・バタン!!

「ヒナえも〜ん!!」

「!?」「!!?」

「………あ゙っ」









凍った。








…何がだって?
時間が、空間が、空気が、ヒナの目線が、僕の表情が、とにかくこの世のあらゆるものがです。


そして時は動き出す。
何が起きたかを理解したヒナはワナワナと震えながら世界の凍結の原因となった人物へと近づいていく。
口元のだらしない状態もお構いなしだ。
僕はその姿を黙って見守る事しか出来なかった。口周りをぬぐいつつ。



「オ、オネエチャン。イツカラココニ…?」

「『僕、今すっっっっっっっごく幸せです』から…ぜ〜んぶ見てたわよ!」

「ワタシイツモ『のっく』ヲシナサイト、イッテルワヨネ…?」

「ひ、ヒナったら、そんな言葉遣いしてると読みにくいって読者から反感買うわよ〜?あ、あと、口から糸引いてる…」

「モンドウムヨウ!!」



ヒナは一瞬で間合いを詰める。
対して桂先生は慌てて距離を取る事しか出来なかった。



「くそ〜、姉より優れた妹なんていないのよ〜!!」



というセリフと共にやぶれかぶれな攻撃を繰り出す桂先生。
あ〜あ〜、そんなセリフを使ったら…



「アタタタタタタターーーッ!!!!」



一瞬の内に百発のパンチを繰り出すヒナ。
上のセリフは幻聴かもしれない。
こんな声が聞こえそうな程、ヒナの百裂拳は凄まじかった。
当然、桂先生は壁に吹っ飛ばされる。



「お姉ちゃん、私の名を言ってみなさい!!」

「…ぐぐ、これで勝ったと思うなよ〜!!ガクッ」



気絶する桂先生。
世紀末の救世主のオーラを出して僕の元へ戻ってくるヒナ。
急展開に完全に置いてけぼりを食らった僕。



「もう、あの程度で気絶するなんて我ながら情け無い姉ね…」



いやいや、「あの程度」って!?
もはや世紀末覇者しか耐えられないレベルじゃないですか!

というツッコミを入れる間もなく僕に寄り添うヒナ。



「続き、しよっか?」



上目遣いでの訴えかけに、僕の理性は簡単に吹き飛んでしまったのだった。
次回が楽しみだな…ウェヒヒヒ



つづく…?




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さ〜て、読者の皆様お待ちかねのバックステージだぞ!(以下、素の文はナギ)
この三千院ナギが色々と解説を…


「って、待ちなさーい!!私は本気で無視なんですか!?ねえ、ねえ!!?」(以下、「」囲みは雪路)


ああ、桂先生の出番はあったじゃないですか。私は名前すら出てないのに。
ご満足頂けませんでしたか?


「あったりまえじゃーー!!パロディでオトしただけじゃないの!!もっと本編にか〜ら〜み〜た〜い〜!!お姉ちゃんらしいトコ見〜せ〜た〜い〜!!」


うわ…コレが30手前の大人のワガママか!
厄介な人だ…こんなだから結婚出来ないんだろうな…


「結婚なんてまっぴらよ!!…どうせコレ以上ヒナ達のイチャイチャなんて規制かかって文章に出来ないでしょ〜?私を出せば万事解決よ〜!!」


ゔっ…変なトコだけ妙に鋭い…


「よっしゃ〜!!次回、最強お姉ちゃんの活躍に乞うご期待!これで勝ったと思うなよ〜!!!」


うわっ!勝手にシメちゃったよこの人…
次回はメ・イ・ン!!ヒロインのこの私に期待して欲しいぞ!!
読者のみんなが熱望すれば、出番はある!!…かも。




つづく



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【あとがき】

長い一日の夜の部でした。
本当はココで雪路を活躍させてアフター第1話終了という予定でしたが、ハヤヒナのイチャイチャが書き出したらやたら長くなってしまったので、雪路は次回に持ち越し・アフターは延長です。

サブタイトル、アニメ1期で印象的だったので使ってみました。
「俗」は本家絶望先生を真似てます。

ついにハヤテに言わせてしまいました「しあわせの花」というワード。
なんとなく雛菊の花言葉を調べてタイトルを決めた頃が懐かしくなってしまいました。
ていうか、ハヤヒナがこんなにおしゃべりする予定は全然ありませんでした。
ココのボリュームの関係で、雪路はオチのみの登場に。

そしてそこそこ濃い目なイチャイチャ。
あまり直接的な表現を使わずに書きましたが、伝わっているでしょうか?
動き出したのはヒナからです。アリスの特訓の成果がモロに出た形になりました。うらやましい…
ちなみにヒナのおでこの件は、中の人補正です。

最後に雪路。
登場シーンをどうするか悩んだ結果がアレです。
ずっと見ていたにもかかわらず、一番イイトコで入っちゃうあたりがハヤヒナ泣かせな人です。(作者としては大助かりですが。笑)
そして北●の拳パロ…「姉より優れた…」を言わせたかっただけです。
あと、捨てゼリフの元ネタが分かってくれる人がいたら嬉しいです。中の人ネタです。


さてさて次回は夜の部パート2として、雪路先生に活躍してもらいます。
ハヤヒナ濃厚イチャイチャは今回限りです。
そして、ナギには出番があるのか…笑


ご感想・ご質問などお待ちしております。
ありがとうございました。
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Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【アフター第1話その?更新】 ( No.67 )
日時: 2012/05/27 23:36
名前: モダンの怪

読みました。おもしろいです。
なにがおもしろいかてハヤテの変態チックなノロケおもしろいです。
アテネに洗脳(?)されてだんだんと大胆になるヒナギクおもしろいです!
よもや世紀の鈍感男と恋愛臆病娘がくっ付くとこんなことになろうとは!てかんじですね!
あ、周りの人々の応援もおもしろいです
これからもバカップルのドタバタと幸せ期待してます。
あ、周りの人々の嫌がらせ(応援?)期待してます。
では!
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Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【アフター第1話その?更新】 ( No.68 )
日時: 2012/05/28 12:52
名前: ロッキー・ラックーン
参照: http://hinayume.net/hayate/subnovel/read.cgi?no=7738

>モダンの怪さん
ご感想ありがとうございます。

まさに、ハヤテの変態チックなノロケと大胆になるヒナは自分が二次創作において一番やりたかった事です。
まだまだ活躍させたい周囲の人々がいるので、続けていきます。
最近はちょっと更新できていませんが、気長にお待ち頂けると幸いです。

では、ありがとうございました。
この作者は、誤字脱字の連絡を歓迎しています。連絡は→[チェック]/修正は→[メンテ]
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Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【アフター第1話その?更新】 ( No.69 )
日時: 2012/06/16 00:55
名前: ロッキー・ラックーン
参照: http://hinayume.net/hayate/subnovel/read.cgi?no=7738

こんにちは、ロッキー・ラックーンです。
ムチャクチャ空いてしまいましたが、どうぞお付き合いください。

今回はカップル成立後の一日、深夜の部です。
とりあえずひと段落で、暫定最終回パート2といった所になります。

※この作品は未成年者の飲酒を推奨するものではありません。
「お酒は20歳から!飲んだら乗るな、乗るなら飲むな!!」
です。笑

それではどーぞ!




------------------------





「桂先生、僕こと綾崎ハヤテはヒナギクさんとお付き合いさせて頂く事になりました。命に代えてもヒナギクさんを守る覚悟です。どうか、なにとぞよろしくお願いします!」

「へぇ〜、学校での騒ぎも見てたけど本気みたいね…」

「ハイ、冗談一切抜きです!」

「…よっし!ヒナの事、頼んだわよ〜!!」

「ハイっ!!」

「お姉ちゃん…








なんで何事も無かったかのようにしてるのよーーー!!!」





冒頭からヒナの剛掌波が飛ぶ桂邸の離れ。
果たしてアフター終了までこの建物はもつのだろうか…。笑







     After第1話そのD【 Heart to Heart 】







「んもう!ほんっっ……っとに信じられない!!」

「……」(土下座中)

「まあまあ、桂先生もこうやって謝ってますし…」

「ていうか、ハヤテはなんでそんなに落ち着いてられるの!?」

「ハハ、何というかお約束ですし…」



読者の皆様こんばんは、毎度の事ながらお騒がせしております。
引き続きまたまたヒナのお家からです。
さてさて今回は冒頭からヒナがお説教モード。
前回はとってもイイトコで終わってしまい、非常に残念な思いをしました。
初めての二人きりのキスだったのですが…って、桂先生はずっと聞いてたとか言ってたから、またまた二人きりではなかったみたいだな…orz



「それはそうと、ヒナ!綾崎君!」

「なに?…ていうか、誰の許しを得てしゃべってるの、お姉ちゃん?」

「まあまあ、いいじゃないですか…で、何でしょうか?」



相変わらずツンケンと接するヒナとそれを宥める僕。



「せっかくめでたい事があったんだから、お祝いしないとお酒の神様に怒られるってモンよ!」

「「ぶっ…!!」」



桂先生の手にはどこから取り出したのやら、麦から作られた苦い液体の入った大ビンとジョッキが3つ。
どちらもキンキンに冷えてやがるっ…



「ちょっ、桂先生!いいんですか?教師が生徒にこんな…」

「何を言ってんの綾崎君、この空間に教師も生徒も無いわよ!!私の事は『お姉さま』と呼びなさい」

「…はぁ。もう、仕方の無い『お義姉様』ですね…」



と言いつつ、差し出されたジョッキを受け取る僕。



「ホラ、ヒナも…」

「その手には乗らないわよ!生徒会長である私がこんな事認める訳が…」

「なーに固い事言ってんのよ!そんなんだから胸板だって硬いままなのよ?」


カチーン


「だっ、誰の何が硬いですって〜!?」

「何度でも言ってあげるわ。ヒナのまな板ペッタンコ〜!!」

「げっ…」

「……」(←言葉にならない怒り)



桂先生の不用意な言葉に、ヒナからは轟音が鳴り響くようなオーラが繰り出された。
それはもう、誰もが数秒後に地獄絵図を想像するような。



「よこしなさい…」

「「えっ…?」」

「付き合ってあげるって言ってるの!私の気が変わらないうちにさっさとしなさい!!」

「はっ、ハイっ!」



ヒナの口から出てきた言葉は、あまりにも意外なものだった。
その表情はいたって冷静そのもの。
急な変わり身に、僕も桂先生も驚きを隠せない。
桂先生はとにかく手早く、ヒナにジョッキを手渡して乾杯の準備をする。



「ハイ、では行き渡ったようなので…ゴホン!! 我が妹と、その恋人の末永い幸せを願って…カンパイ!」

「「かんぱーい!」」



数十秒前の不穏な空気はどこへやら、桂家の離れは宴会ムードへ。
ビンを空にすると、どこからか新たなビンを桂先生が持ってくるというループが片手では数えられないくらい繰り返された。



「それにしてもヒナ、よく怒らなかったですね?」

「私が引かないと、お姉ちゃんはドンドン調子に乗るから…。ねえ、ハヤテ?」

「はい?」

「えーっとね、その…私の胸…硬かった?」

「「ぶっ!!」」



早くも酔いが回ってるのか、桂先生の前で…。
しかもこの手の質問には即答でないと、かえってフォローじゃなくなる…!



「そんな事ないです!僕の触覚にジャストフィット!サイコーの柔らかさでした!!」

「もう!ハヤテのえっち〜!!」

「ぶっ!!」



僕を叩くヒナの力加減は明らかに強すぎ、数秒間呼吸が出来なくなった。
うん。僕の彼女、完全に回ってます。



「ヒナ、そろそろやめといた方が…」

「何言ってるのハヤテ!!私は全然酔ってなんてないんだから!お姉ちゃん!!ボーっとしてないで、おかわりよこしなさい!」

「はいはい」



ジョッキになみなみと注がれる黄金の液体。
ヒナはそれをものの数秒で片付けてしまう。
やっぱりこの二人、紛れも無く血の繋がった姉妹だ…。



「ハヤテ、さっきから全然進んでないわね…私とのお酒が飲めないってゆーの!?」

「いえっ、そんな事は…」

「だったら飲む!!…お・ね・が・いっ!」

「…いただきます!!」



くそー、可愛すぎる!!
変なタイミングで僕のテンションはMAXに。なみなみ注がれた液体も一瞬で飲み干した。
ていうか、ヒナ…あざとい。笑



「ごちそうさまでした!」

「キャー、ハヤテカッコイイ!私、もう一回見たーい!!」

「ええ、何度でもお見せします!!」

「お姉ちゃん、ハヤテに注いであげてね!」

「はいはい」



自分でも分かる。これはバカップルだ。
桂先生のニヤニヤと、次から次へと現れる新しいビンは留まる事を知らなかった。





【1時間後】




「ヒナはね、最強なのっ!だってこーんなにカッコイイ恋人と、こーんなにスゴイお姉ちゃんがいるんだもんっ!!ハヤテも、お姉ちゃんも、だ〜いすきっ!!」

「僕もヒナのこと、大好きで〜す!!」

「やった〜!私たち、両想い〜!!」

「両想いで〜す!!」



気付けば、桂家の離れは混沌と化していた。
空になったビンの数は20本を超え、この宴会の言いだしっぺの桂先生はお酌に徹していた。



「売り出せ会長ブロマイド〜♪ファンサービスも絶やすまじ♪チャランポランするわ♪」

「ハハハ〜、さすがは白皇の歌姫です〜!!」

「HIKIKOMORIお嬢様だろうが、超人メイドさんだろうが、実は漫画家志望アイドルだろうが、なんでもかかって来なさいってのよ〜!私の歌を…」 バタン!!



音程ズレズレな歌を機嫌良く歌っていたと思ったら急に倒れこむヒナ。
普段の僕だったら、いの一番に身体を支えるところだったが、この時に限っては笑顔で見守り続けるだけだった。



「ヒナ!ヒナ!…寝ちゃってるわね〜」



ヒナの頬をペチペチと叩く桂先生。
だいぶ乱暴に扱っているように見えたが、起きる気配は一向に無い。



「まったくヒナったらあんな飲み方して…いったい誰に似たのかしらね?」

「良く言いますよ。次から次へと注いでたくせに…。それに、誰に似てるかと言われれば、完全に先生と同じ血が流れてると思いますが…」

「あらそうだっけ?参ったなコリャ…」



ポリポリと頭をかきながらしらばっくれるあたり、最初からヒナを酔い潰させるつもりだった事が伺える。
まったく、この人はホントに…



「まあまあ、こうやって背伸びして大人ぶるのだって今しか出来ない楽しみよ〜。人生一回こっきりだし、『ダメだ』って言われてる事の一つや二つ破るのが子供の仕事ってモンよ!」

「はぁ…まあそれに対しては異論は無いですが…」



「貴女の場合は、一つや二つでは済まなかったのでは?」というセリフは飲み込んでおいた。
確かに、ヒナが「優等生」のカラを破って、一般的に「悪いと言われてる事」をするのであれば、僕や先生の前だけだろうとも思った。
今この時間・この空間というものは、ヒナにとって特別なものなんだと思う。もちろん、僕にとってもだけど。



「じゃあココで騒いじゃヒナにも悪いし、ちょっと外に出て飲むわよ」

「えっ?まだ飲むんですか?」

「あったりまえじゃない!まだまだ序の口よ〜」

「やれやれ…」



ヒナをベッドに運び、布団をかける。
その寝顔はとても気持ち良さそうで、見ているこちらも幸せになるような眠りっぷりだった。
僕はヒナの羽根のように軽い身体を優しく横たわらせ、額にキスをしてから桂先生を追った。

離れから出ると、そこにはバーベキューなどで使うキャンプ用のイスが用意されていた。
それと、これまたどこから持ち出したのか、新しいビンとグラスも。
ホントに、お酒のためであれば色々と用意周到な人だ。



「さぁ〜、座って座って!これからお姉さまが色々聞いちゃうゾ〜!」

「はぁ…」

「とりあえずカンパーイ!」

「かんぱーい」

「で、綾崎君。あんたヒナのドコが好きなの?」

「いきなりですね…」

「人生というのは、いつもいきなり突拍子も無い事が起こるモノなのよ」

「…そうですね」



桂先生の言葉の奥に含まれた意味には特に気にしなかった。
ただひたすらに、ヒナの好きな所を脳内から出るだけ搾り出す。



「知ってますよね?雛菊の花言葉…僕にとって、ヒナはまさに雛菊…『しあわせの花』なんです。ヒナの事を考えているだけで、僕はとても幸せな気持ちになります。気が付いたら、恋してました。不幸だらけだった僕の人生が、いつの間にか雛菊の花でいっぱいになってました。」

「……」



桂先生は面食らった表情。
きっと、ここまで一人の女の子に対して真剣に考える僕が想像出来なかったのだろう。



「ちょっと、キザ過ぎましたか?」

「…いや、そんな事無いわよ!!ホラ、どーした?グラスが空いて無いぞ〜。もっと飲め飲めー!」

「もう…今日だけですからね」



なみなみと注がれたグラス。
ちょっとこっぱずかしいセリフの照れ隠しも込めて、その液体を一気にノドに流し込んだ。



「ぷはっ…」

「いい飲みっぷりじゃないの。ドンドン行くわよ!」

「ゔっ…こーなったらいくらでも来てください!!」



・・・



「ヤバイ、かなーり気持ち良くなっちゃいました」

「あら〜?三千院家の執事はその程度で潰れちゃうのかしら〜?」

「もう勘弁してください…」



だいぶ飲んだ。これまでの人生で一番の量なのは間違い無い。耳が熱い。
しかしそれより何より驚きなのは、僕に注ぎながらもそれ以上のペースで飲んでいる桂先生は、顔色ひとつ変えてないで飲み続けている事だ。



「綾崎君…」

「はい?」



にわかに桂先生の雰囲気が変わる。
ポワポワ浮かんだ感じの今の頭でも簡単に理解できた。
僕は気付けに右手に持ったグラスの中身を一気に空にした。



「私達姉妹の過去の事、聞いてるわよね?」

「ハイ。少しだけですが、ヒナから…」

「あの頃の私は、年もあんたとそんなに変わらなかったわ。だいぶムチャしたもんよ…」

「そうなんですか…」



空に浮かぶ月に遠い目を向ける桂先生。
きっと僕とはまた一味違った波瀾万丈な人生だったに違いない。



「『もうイヤだ』『逃げ出したい』って思った事も数え切れない位あった。…でもね」

「?」

「ヒナがいたから何でも出来た。現実から目を逸らさずに立ち向かえた。あの子は私の『しあわせの花』だったから…」

「それって…」

「そうよ。さっきのアンタの答え、最高だって褒めてんのよ!幸せになりなさいよ〜!コノコノ」



やっぱりヒナは桂先生にとっても、幸せを運ぶ花だったようだ。
小突いてくる手はとても優しく、ヒナに触れられている時を思い出した。
それもそうか。これまでずっとこの手がヒナを撫でてきたんだもんな…。



「ありがとうございます。ヒナも僕も、必ず幸せになってみせます!」

「よっし、いい返事ね!あっ、それと…」

「?」

「……いや、なんでもないわ。何があってもヒナの事、信じてやんなさい!」

「ハイッ!」



何があっても…か。
なんか最近同じような事を言われ続けてる気がする。
それだけ周りの人々がヒナの事を愛しているんだと思うと、また胸が温かくなった。
空に浮かんだ月は、とても温かく輝いていた。



・・・



「おはよう、ハヤテ!」

「おはようございます、ヒナ」



現在時刻、午前8時。ちなみに今日は休みで、ヒナと一日デートの予定。
結局昨晩は何時まで桂先生と語り明かしたかよく覚えていない。
話した内容もイマイチ記憶に無い…ヒナの事というのだけは確かだ。



「き、昨日の事は…皆にはナイショね?」

「ハイ、もちろん」



どうやらヒナは昨日の事は覚えているようだ。
流石姉妹、アルコールにはめっぽう強い。



「じゃあ私、着替えて来るね!」

「ハイ。僕も着替えてから向こうに行きますので…」

「うん、後でね!!」



少し跳ねた自慢の髪を可愛らしく揺らして出て行った。
ヒナを見送った後、僕もすぐに持参した私服に着替える。



「ゔ〜ん…今日もいい天気だ」



身支度を済ませて離れから出ると、秋口の心地の良い陽気が僕を照らした。

今日はどんなヒナと出会えるだろう。
そのヒナに対して僕はどんな事を思うのだろう。
今よりもっともっとヒナを好きになれたら良いな…。

希望に満ちた胸を高鳴らせながら、桂家の本邸へと向かうのだった。



「ハヤテ、コレはあくまで暫定最終回ぞよ。もうちっとだけ続くんじゃ!!」



澄み渡る空から、お嬢様の良く分からない天の声が聞こえた気がした。




おわり





------------------------




【あとがき】
カップル成立後日談は今回で終了です。
アフター第1話としながらも、第2話の構想がまだ無いので暫定最終回という扱いとなりました。
雪路の姉の威厳的なものと、これからのハヤテの希望を軸としましたが、いかがでしたでしょう?
では、解説を数点…。


■サブタイトル
ハヤテと雪路の話す雰囲気を出せたらいいなと思いました。
余談ですが、アフターのサブタイトルは、全て何かしらの別の作品タイトルをもじってます。

■ハヤテのフォロー
コイツはいったいヒナの胸に何をしやがったんでしょうか。笑
まあ原作でも思いっきり触ってましたけど…(ヒナがヒーローショーの楽屋にいた時です)
生徒会室の目的外使用はいけません!

■ヒナに限って…
酔って歌った歌は、本来のヒナなら口にする事の無い歌です。
いつも好き放題やってる3人娘を見て、文句を言いながらも羨ましく思っていたヒナを表現しようと思いました。

■姉・雪路
雪路にとっても、ヒナは「しあわせの花」でした。
それをハヤテが言ってくれたのが嬉しくてたまらなかったようです。
その事が「ハヤテの過去」を追及するのを留まらせました。(雪路自身、美希を情報源に既にハヤテの過去を知っています)

余談ですが、畑先生の脳内にある雪路主役のアナザーストーリーがいつか実現するのを楽しみにしてます。

■希望の朝
「おれ達の戦いはこれからだ!」的なシメです。
楽しい事でも辛い事でも、ヒナと一緒なら大丈夫でしょう。
最後のナギはもちろんドラ●ン●ールのパロディです。



さてさて、アフターひとつ終わらせるのに5ヶ月近くかかってしまいましたが、まだまだこのハヤヒナ+周りの人々でやりたいお話はたくさんあります。
いかんともしがたい遅筆ではありますが、読んで頂ける皆様の声を糧にこれからもやっていこうと思います。
どうぞよろしくお願いします!!



ご感想・ご質問などお待ちしております。
ありがとうございました。
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Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【アフター第1話その?】暫定最終回 ( No.70 )
日時: 2012/06/18 23:55
名前: こよーて

おおお! 待ってましたロッキー・ラックーンさん!
最終回の文字にまたもやビビってしまいました。
しかし生徒会長さん連日酒盛りすか・・・デートの前日は控えたほうが・・・
まあそうなことよりも雪路いいキャラですよね〜
なさけないお姉ちゃんも頼りになるお姉ちゃんも両方あっての雪路!
雪路の口からでた「しあわせの花」はハヤテのそれとはまた別の重みを感じました。
雪路大好きです
もうちっとだけ続くんじゃ!!はまだまだまだまだ続くて意味でOKですよね!
次はアフター2話なのでしょうか? ヒナ編のつづきでしょうか?
いずれも楽しみにしてます。
頑張ってください
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Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【アフター第1話その?】暫定最終回 ( No.71 )
日時: 2012/06/20 00:02
名前: ロッキー・ラックーン
参照: http://hinayume.net/hayate/subnovel/read.cgi?no=7738

>こよーてさん
ご感想ありがとうございます。

そうか、告白イベント終わってからも酒盛りしてましたね。
前日が日曜なのに一日学校行って、また次の日は休み…色々と矛盾点が…汗
白皇独自の安息日とかいうヤツでご勘弁ください。笑

この物語、「しあわせの花」の主人公はもちろんハヤテです。
その一方、他の「しあわせの花」の物語の主人公は雪路だったのです。前作主人公みたいな位置づけですね。
やっぱり主役の言葉ですから重みもあるのだと思います。

雪路の存在無くして、ヒナの過去を語る事は出来ません。
それだけに、雪路の借金返済ストーリーを公式でやって頂きたいんですよね。ヒナファンとして。
いろいろ話が逸れてしまいました。笑
私も雪路は大好きです。

ドラ●ン●ールは何周か分からないくらい読みました。
もちろん、そのつもりで使っております。
作者自身、ドコがこの物語の終着点なのかが現時点で分かって無いのも鳥山大先生と一緒です。笑

ヒナ編、アフター、さらに新ネタ…書きたい事はた〜くさんあるんですが、消化する力がともなっておりません。
これからも気を長〜くしてお付き合い頂けると非常に嬉しく思います。

では、ありがとうございました。
次回お楽しみに。
この作者は、誤字脱字の連絡を歓迎しています。連絡は→[チェック]/修正は→[メンテ]
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Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【アフター第1話その?】暫定最終回 ( No.72 )
日時: 2012/07/13 00:01
名前: ロッキー・ラックーン
参照: http://hinayume.net/hayate/subnovel/read.cgi?no=7738

こんにちは、ロッキー・ラックーンです。
久々の更新は、ヒナ編を終盤に迎えようというお話です。
間が開いてしまってますので、ヒナ編これまでのお話はページトップの目次からご覧ください。(←さりげに宣伝)

ヒナ編3話は涙で終わってしまいました。
あくまでポジティブポジティブに進むのが、この物語です。
…というような作者の反省を活かしたお話として、皆様に伝えられれば幸いでございます。

それではどーぞ!


------------------------












いきなりの話になるけど、私こと桂ヒナギクは負けず嫌いだ。

これは幼少の頃から何ひとつ変わってない自分の性格だと思う。
例えばテストだとか、マラソン大会だとか、順番がつくものはもちろんの事。
果ては「バスの降りますボタンを誰よりも早く押す」だとか「帰り道の水たまりを全部飛び越える」みたいな自分ルールに関してもこだわりが強い。

そんな負けず嫌いの権化のような私だけど、最近完膚なきまでに叩きのめされた事がある。
「それ」はとても単純な事だけど、私にとってはとても難しくて、まさに「生まれ変わった自分」にでもなれなきゃ無理と思える事だった。
しかしその大敗北の中で、ひとつ得たものもある。
「生まれ変わった自分だったらこの勝負に勝てる」という確信だ。

私は負けず嫌いだ。
このまま負けっぱなしで終わるだなんて、ありえてはいけない。
生まれ変わらなきゃ勝てない…上等じゃないの!

最高の私を、見せつけてあげるわよ!!





     しあわせの花 -Heart of Daisy-
     第4話【 Spring will come!! その@『決心』 】





「で、ヒナさん。大事な話というのはいったい何かな?」

「うん。順を追って話すから、落ち着いて聞いて欲しいの…」



冒頭から真剣ムードで話し込むのは、私こと桂ヒナギクと親友の西沢歩の二人。
前回(ヒナ編第3話)涙した夜から数日後、私はひとつの決心をした。
今日は、それを歩に伝えようと思い、いつもの喫茶店に呼び出したのだった。

その決心というのは、以前宣言した事を撤回するというもの。
そういった行為を歩に対してするのは二度目になる。一度目は…『ハヤテのごとく!』原作をどうぞ。

というわけで、前科のある私は、非常に緊張した面持ちで彼女に向き合うのだった。
テーブルの上には、これまでオーダーした飲み物のカップが二つずつ。
ちなみに、既に下げてもらったものが一つずつある。
私達がこの客席に着いてから、一時間強が経過していた。



「歩…私ね、この前…」

「うん」

「ハヤテ君に勉強を教えてて、その後、いつものお礼にクッキーを焼いたって言って私にくれたの。そのクッキーが美味しくて、私の事を見てくれる笑顔が嬉しくて、『ハヤテ君が好きだ』っていう気持ちが止まらなくなったの。…でも、結局ソレを言えなかった」

「…」

「それで、やっと気付いたの。『ああ、自分から好きだって言う事が悔しいんじゃなくて、そんな簡単な一言も言えない自分が情けなくて悔しいんだ』って。ようやく、ほんの数日前に」

「…そうなんだ」

「だから私、変わろうと思うの。ハヤテ君への気持ちをアウトプット出来る自分に…!『自分からは告白しない』っていうやつ、撤回させて欲しいの…」

「うん。ソレが良いと思う」



歩は優しい笑顔を絶やさない。
多分、私がこういう話をするだろうと分かっていたのかもしれない。



「ゴメン、私…歩に言った事、なにひとつ守れなくて…」

「そんな事いいよ。好きになるのは仕方ないし、好きな人に自分からは告白しないっていう方が変じゃないかな?むしろ、ヒナさんがようやくスタートラインに立ったんだなって…私はそう思う」



思い返してみれば、彼の事となると私はいつもおかしな選択をしてしまっていた。
その度に私の話を聞いてくれたのは歩だった。
歩のおかげで、少しずつ、だけど確実に、私がつまらない意地を張る場面は減っていった。
恋敵のはずの私が道を踏み外す度に、そこからの軌道修正をしてくれた。



「歩…ありがとう…」

「お礼を言うにはまだ早いんじゃないかな!ココからなんです。ヒナさんがハヤテ君と恋人同士になって初めて一つの節目になるんです!!」

「…そうね。私も歩のように、好きだって…きっとハヤテ君に言ってみせるわ」

「その意気です!そうと決まれば、景気付けの甘いものですね。マスター、デラックスチョコレートパフェふたつ〜!」カシコマリマシタ-



歩が注文したゴキゲンメニュー。
コレを食べ終わる時には、彼に私の気持ちを打ち明ける覚悟が出来る。
そう思いながら、夢中になってパフェに食らいつく歩を上回るペースで食べ終えた。



「そーいえば、ヒナさん」

「ん?」

「私、こないだハヤテ君から告白の返事をもらいました」

「…そう、なんだ」



あまりにも急な告白。私はあえてその結果は聞かない。
どちらにしても、私からどうこう言うような事じゃないと思ったからだ。



「『ヒナさんが好きだから』って、ハッキリと断られました」

「……」



歩は複雑な表情を浮かべていたが、どこか吹っ切れたような爽やかさを感じる事が出来た。

そして、以前ナギから聞いた「ハヤテ君は私が好きだ」という情報…改めてそれが事実であると知って嬉しい反面、親友の恋の終わりが自分によるものだという事に胸が締め付けられる。



「だ〜か〜ら、ヒナさん!」

「はいっ!?」

「私も心置きなくヒナさんの応援に回るんで、そこんとこヨロシクです!!」

「…うん!」



胸を張って言い切る歩の姿は、これまで見たどの彼女よりも頼りがいがあった。
やっぱり私、この人の事がスキなんだと改めて思った。



「でも、私まだまだハヤテ君の事好きだから、油断しちゃダメですよ〜?」

「え…?そうね、私も負けないわよ〜」



この夜、生まれ変わった私に大チャンスが訪れる事を、この時はまだ知る由も無かったのだった。


【その@終わり】




--------------------------------




「ただいま、アリス」

「あらヒナ、おかえりなさい。待っておりましたわ。とりあえずお茶でもいかがです?」

「うん、いただくわ」



時は移って土曜日の夕方。
学校からアパートに帰って来て最初に私を迎えてくれたのは、私の同居人兼ラブ師匠。
いつもと同じく、縁側でお茶をすすっていた。
ちなみにアリスのお茶のメニューは毎日マリアさんが変えてくれているらしく、今日は玄米茶だった。



「今日の修行はお庭でやります。ちょうどハヤテの帰りも遅いようですし、お夕飯までみっちりですわ!」

「了解であります、マスターアリス!」



↑のやり取りは私とアリスのもの。
修行の時はこうしないといけないと、ナギから教わったらしい。
多分、なにかしらのアニメの影響を受けているんだと思う。

帰ってきて早々、制服を着替えもせずに縁側にカバンを置いてアリス…ではなくてお師匠様に対するのだった。





     しあわせの花 -Heart of Daisy-
     第4話【 Spring will come!! そのA『 Do my Best! 』 】






「いよいよ明日はハヤテとデートですわね。コレまでヒナは、私の厳しい修行に弱音を吐く事もせずに、本当によく耐え続けてきました。今日は総仕上げに、明日のデートのシミュレーションをやろうと思ってます」

「して、庭でする修行というのはなんでございましょう?」

「チッチッ、ヒナ…『急いては事を仕損じる』ですわ!順を追ってお話ししますわよ」

「ハイ!」



↑のやり取りは私とアリスのものです。念のためもう一度。
お師匠モードになると一変して違った雰囲気になるアリス。私をたしなめるような素振りはいつもの事だ。



「さてヒナ、『恋人同士になる前のデート』で一番重要な事は何か、分かりますか?」

「う〜ん…会話の内容とかでしょうか?」

「確かにそれも重要ですわね…友達以上恋人未満な気になってる異性に、『犬のフンとかりんとうを間違えた話』をされたりでもしようものなら、雰囲気は台無しになりますわ」

「はぁ…」



ツッコミどころがありすぎる例えに、虚を突かれて何も言えない私。
まさかアリス……いや、ここでは何も問うまい。



「しかし、それよりも何よりも大事なものがあります。『二人の距離』、"distance"ですわ!! りぴーとあふたみー、"distance"!」

「でぃ、でぃすたんす…」

「ん〜、ナイスな発音ですわ!」

「ど、どうも…」



アニメ2期の24話を思い出すヒマも無く、話がだんだんと脱線していくのは、もはや修行の定例だ。
うさん臭い英会話教師は話を続ける。



「普段から顔を合わせている者同士のデートで重要になるのは『デートでしか得られないプレミアム感』です。それを一番に演出するものが、『距離』なのです!!」

「なるほど…」

「勉強を教える時や、洗い物をする時も確かに距離自体は近くなります。でもそれは『近くにいる必要があるから』であって、『近くにいたいと思っている事のアウトプット』ではないのです。ココまでは分かりますか?」

「ハイ、とても分かりやしゅうございます!」

「ですから、勝負は『移動する時の二人の距離感』、コレに尽きるのです!!」

「つまり一緒に歩いている時や、電車やバスに乗ってる時の位置取り…という訳ですね?」

「さすがヒナ、ソコまで理解してらっしゃるなら…もう、今回の修行の内容はお分かりですね?…マリアさ〜ん、出番ですよ〜!!」

「はーい、待ってました!…本当に、出番を待ってました…」



お師匠の指パッチンで現れるは、このアパートの家事の総指揮官マリアさん。
その出で立ちは普段のメイド服ではなく、デニムにTシャツという随分とラフなものだった。



「マリアさん、その格好は…?」

「ヒナ、ココでは『コーチ』と呼びなさい。マリアさんには今日の修行ではハヤテ役になってもらうべく、ハヤテの『歩き方』から『乗り物に乗る時のクセ』まで、ひと通りのハヤテの動きをマスターして頂きました!」

「ハヤテ君の動きィ?」

「ハイ!ヒナギクさんのために私、頑張っちゃいました!」



キャピという効果音が着いてきそうなマリアさんの素振り。
それにしても、「ハヤテ君の動き」って…?
なんだか意味が良く分からない…。



「むむ、イマイチリアクションが悪いですわね…ではマリアさん、例の手を!」

「お任せください!…コホン、『ヒナギクさん、お手をどうぞ』」  ←『』囲みは白石涼子ヴォイス

「!!?」



一瞬、何が起きたか分からなかった。いや、今でも理解できてないけど。
マリアさんの口からハヤテ君の声が出たかと思えば、私の手を引く強さや速さ…マリアさんの取る挙動の全てがハヤテ君のものと同じ感触を私の脳みそに覚えさせたのだった。



「『ヒナギクさん、僕は貴女の事が好きです。僕とお付き合いしてください!!』」

「ひゃ…ひゃい、よろこんで…」



相手はマリアさんなのに、ドキドキが止まらない。
身に纏うオーラというか、雰囲気までもがハヤテ君と同じものに感じるからか…。
ああ、このまま私のカラダもココロも預けてしまいたい…!!



「どうですか、ヒナ?コーチの実力、分かっていただけましたか?」

「は、ハイ!よろしくお願いします、コーチ!」

「うふふっ、メイドさんに不可能はありませんわ!」

「では修行を始めますわね。まず最初に…」



庭先で行われる奇妙な修行は、夕飯前まで続くのだった。
果たしてこの修行の成果を彼に見せる事が出来るのだろうか?
…などと細かい事を考えるのはいったんやめよう。



・・・



「では、今日の修行はココまでにします。ヒナ、お疲れ様でした。本当によく頑張りました!」

「ありがとうございます、師匠!!しかし…」

「なんでしょう?」

「距離感を掴む修行だったはずですが、最後には相撲の稽古になってしまって…大丈夫なのでしょうか?」

「ヒナ、私の修行にムダなものなど一切ありません!精進あるのみです!!」

「ハイ、疑って申し訳ありません。頑張ります!!マリアコーチもありがとうございました!」

「うふふっ…頑張ってくださいね!」



なんか色々ごまかされたような気がするけど、この二人が大丈夫だっていうなら多分大丈夫!!…だと思う。
明日のデートでは見てなさいよ、ハヤテ君!!


【そのA終わり】




--------------------------------


【あとがき】

ヒナ編完結に向け、遊園地デート前のヒナを書いてみました。
では、いつものように解説を…



■タイトル

すべてヒナのキャラソンからです。
ただ、「Spring has come!!」にすると過去の事になってしまうので、そこらへんはいじってます。

『決心』
→HiNA2からです。ヒナの「告白するぞ!」という気持ちを表すには最適なタイトルですね。
ちなみに曲の方はビーチバレーのあたりを表現してるらしいです。
「最高の私を見せつけてあげる」というフレーズがとても印象的で、使ってしまいました。

『Do my Best!』
→アニメ2期のキャラソンから。懐かしい…。



■その@

ハヤテがナギ・アリスから映画のチケットを貰う日の夕方のお話です。
「歩の片想いへの決着」と「ヒナの気持ちを前向きにさせたい」というのがテーマでした。
客観的に見た歩の恋は決着しましたが、歩自身のハヤテへの想いの決着がまだついていません。
これも「やりたい話」のひとつなんですよね…。



■そのA

デート前日、アリスの地獄の特訓編です。
二人の会話はGガン●ムの流派東方不敗師弟コンビのノリです。笑

距離感の修行を積んだヒナ。
ハヤテ編6話で千葉県の某遊園地的な場所に行く際のハヤテのモノローグ、「駅までの道のりも、電車の中も、とにかくヒナギクさんを近くに感じる事が出来て、これまたとってもイケてる感じだ。」というのを読み返して思いついたお話です。

マリアさんの万能っぷりを変な方向に出してみました。
久々に書いたらマリアさんをもっと出したくなったので、次回にも登場してもらおうかなと思います。…多分。笑




さてさて、前話とはうって変わって前向きなヒナを書くことが出来たかなと思います。
「告白する!」と意気込むヒナですが、実際はしませんでしたね。
次回はそこら辺の補完をするお話を予定しております。遊園地前のお話が続く予定です。


ご感想・ご質問などお待ちしております。
ありがとうございました。
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Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【ヒナ編4話更新】 ( No.73 )
日時: 2012/07/13 23:19
名前: ロッキー・ラックーン
参照: http://hinayume.net/hayate/subnovel/read.cgi?no=7738

こんにちは、ロッキー・ラックーンです。
かつて無いペースでの更新になります。
次回でヒナ編をラストにする予定です。

今回はナギとのハヤテ告白劇の裏側のお話です。
それではどーぞ!




--------------------------------





『ハヤテ君が好きです。だから私と…付き合ってくれませんか?』

うーん、普通ね…。
せっかく告白するんだから、なんかもっとこう、気の利いた言葉がいいかな?


『桂ヒナギクは綾崎ハヤテを愛してます。世界中の誰よりも!』

…ちょっと恥ずかしいわね。
でも、言えたらステキかも。


『等価交換よ!私の人生半分あげるから、貴方の人生半分よこしなさい!』

変…よね。錬金術師じゃあるまいし。
それに全部あげても良いの…よ?


『ハヤテーーー!お前が好きだーーー!お前が欲しいーーーーーーー!!』

うん、コレは違うわね。
私としては、ちょっと言われてみたいけど。





…あ、こんばんは。桂ヒナギクです。
何をしてるのかって?
明日はハヤテ君にデートに誘われてて、そこで…告白しようと思ってるの。自分から。
そのイメージトレーニングよ。
なんの考えも無しに言うだなんて出来ないじゃない。
何かイケてる告白のセリフって無いものかしら?

トントン

考えにふけっている脳みそを叩き起こすかのようなノック。
私はブンブンと頭を振ってドアへと急いだ。



「はーい…あら、マリアさん」

「こんばんは、ヒナギクさん。ちょっとよろしいでしょうか?」



突然の訪問者は、意外な人だった。
告白のセリフを決めるのは寝る前になりそうだ。





     しあわせの花 -Heart of Daisy-
     第5話【 Spring will come!! そのB『あしたのわたし』 】





「すまんな、いきなり呼び出して…」

「ううん、いいわよ。ヒマだったし…」



マリアさんの用件は、ナギからの呼び出しだった。
おそらく明日のデートの事だと思う。
私としても告白する決心がついた事をナギに知らせたかったので、この呼び出しはちょうど良いタイミングだった。



「…いよいよ明日だな、デート」

「うん…」



話しながら私に座るよう目配せするナギ。
マリアさんが絡んでいながら、特にお茶とかでもてなされる事も無いので、簡単な話になりそうな事が予想出来た。



「ハヤテのヤツ、デートが決まってからは事あるごとに私にその話をしてくる。うっとうしいったらありゃしないぞ!?」

「そ、そうなんだ…」

「まあ、あんなに楽しそうなハヤテを見られるのもお前のおかげだ。感謝してる」

「ううん。私も、貴女たちには感謝してるわよ」



互いに笑顔がこぼれる。
なんか、ナギの雰囲気が少し大人っぽくなったような気がする。



「それで、お話っていうのは何かしら?」

「ああ、ひとつ頼みがあるんだ」

「頼み?」

「うむ。コレは私が勝手にハヤテのためと思っての頼み事…言ってしまえば自己満足だ。別にハヤテがそれを望んでるわけでも無いし、私としてもそのようにしてもらわなくても問題は無いが、聞くだけ聞いて欲しい」

「そう。何かしら?」



やたらともったいぶった前振り。
まるで、そんな事を言われると是が非でも叶えてあげたくなってしまう私の性格を知ってるかのよう。



「ハヤテからの告白を待ってやって欲しい」

「へ?」

「だから、ハヤテに告白するのを我慢して欲しいと言ってるのだ」

「え〜!?」



あまりにも意外なお願いに、思わず声が出る。
なんで?どうして?



「聞くだけ聞いてくれれば良い。後は任せるので」

「ちょっ、待って。理由くらい聞かせてくれても…」

「聞きたいか?別に面白い理由でもないし、ヒナギクとしては告白する気マンマンなんだろ?」

「ゔっ、何故それを…?んもう、聞くわよ!聞かせなさいよ、理由を!」



なんか弄ばれてるような気がする。
まるでアリスと話してる時みたい…。
後ろを向いて咳払いするナギはどんな顔をしているのだろう?



「ハヤテという男はな、本当に物を欲しがらないヤツなんだ。何をするにも他人優先だ。まあ、そんな事は知ってるよな?」

「うん。私もそう思う」

「で、重要なのはここからだ。つい先日、アイツが初めて『どうしても欲しいもの』を打ち明けてきたんだ。この話の流れで大体分かるだろ?」

「それって、もしかして…」

「うむ、お前の事だ。自惚れてもいいぞ。本当に、何に変えても欲しいって力説されたんだ」



にわかには信じられない話。だって、あのハヤテ君がですよ!?
まあ、ナギが言うのだから本当の事なのだろうけど。



「だから私は主人としてハヤテのために、出来る事だけはしておこうかなと思ってな…。コレくらいしか出来ないけど」

「なんかナギ、少し大人っぽくなったわね…」

「ハハハ、成長期だからな。…というワケだ!ホントに、私の言うとおりにしなくても構わないからな」

「…いいわよ」

「!?」

「その頼み事を引き受けるわよ。…明日だけよ?明日ダメだったら、もう私から行くからね!!」

「…ああ、任せるよ。良いデートになるといいな。用件はコレだけだ。わざわざ部屋まで来てもらって、ありがとな」

「いいえ〜。話せて良かったわ。…おやすみなさい!」

「ああ、おやすみ〜」



ナギの部屋を出た私は、頭を冷やすべく縁側へと向かった。


…今のナギにはちょっと敵わない。
多分、ハヤテ君を想う気持ちが彼女を成長させたんだと思う。
その成長した姿に応えるのも悪くないとも思った。
それに、ハヤテ君から告白してくれるんなら…嬉しい。
明日の今頃の私は、ハヤテ君にとってどんな存在になってるのかな?






--------------------------------





「アーちゃん、いいぞ〜!」

「よいしょっと…。お疲れ様でした!」

「いやはや流石だぞ!あのヒナギクが、アーちゃんの言うとおりにしたらまるで子供だな」

「うふふっ…ナーちゃんの話術があってこそですわよ」



おっす、オラ三千院ナギだってばよ!
カンの良い読者諸君はお気づきかと思うが、今回のやり取りはすべて私とアーちゃんのシナリオどおりだったというワケだ。
アーちゃんは私の部屋の押入れで、私とヒナギクの会話を聞いていたのだ!

ヒナギクには悪いが、私たちはハヤテに自分の手で欲しいものを掴む喜びを味わって欲しいと思ってる。
そのための最後のお膳立てと言うことで、ちょっと無茶をしてみた。



「んじゃ、明日二人が帰ってきてからの予定を考えるとするか…」

「ハイ。西沢さんも駆けつけてくれるそうなので、盛り上がりますわよ〜!」



これで私たちの出番は終わりだ。とりあえずは。
あとはすべて二人次第…。
ハッピーエンドに向かって突き進めコノヤロー!!




【そのBおわり】


--------------------------------


【あとがき】

考え方を変えたヒナが何故自分から告白しなかったのか、というお話でした。
ハヤテ以外全員がハヤテの告白を待ってる…なんとも奇妙な状況ですが、コメディだからこそ、このノリが出来たのかと思います。


■告白いろいろ

冒頭のヒナが考えてた告白のセリフ。全部元ネタがあります。すべて分かる人は流石です。
ネタばらししますと…

1つ目→歩(原作4巻) 2つ目→『タッチ』上杉達也 3つ目→『鋼の錬金術師』エドワード・エルリック 4つ目→『Gガンダム』ドモン・カッシュ
伏せ字ナシ。笑



さてさて次回は、ヒナ編最終回(予定)です。
意外な人との絡みで終わらせようと思ってます。
…とはいえ、まだ大まかな流れすらもまとまってない状況ですので、気を長ーくしてお待ち頂けると嬉しいです。
ココまでお付き合いしてくださる方々…本当に感謝感激です!


ではご感想・ご質問などお待ちしております。
ありがとうございました。

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Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【ヒナ編第5話更新】 ( No.74 )
日時: 2012/07/14 13:17
名前: ゆめみん

どうも〜
はじめまして!
ゆめみんです!
ハヤヒナいいですよね!
そして、今回一番こころにのこったのはガンダムのあのドモンのセリフです!
次回も楽しみにしています
ナギとアリスの仲良しもいいっすね
さようなら
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Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【ヒナ編第5話更新】 ( No.75 )
日時: 2012/07/14 20:42
名前: ロッキー・ラックーン
参照: http://hinayume.net/hayate/subnovel/read.cgi?no=7738

>ゆめみんさん
ご感想ありがとうございます。

はじめまして。
ハヤヒナいいですよね!
語れと言われればいくらでも語れます。
ヒナLOVEなハヤテをお楽しみ頂ければ幸いです。
ナギ・アリスのコンビも回を追うごとにイイ感じになってくれて、とても助かってます。笑

ドモンの告白ですか…笑
まあココのハヤヒナなら石破ラブラブ天驚拳くらい撃てるんじゃないかと思います。
暑苦しくイチャつく二人もイイかもしれませんね。

次回もお楽しみに!
ありがとうございました。
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Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【ヒナ編第5話更新】 ( No.76 )
日時: 2012/07/15 00:40
名前: こよーて

さすがヒナ。空気の読める女だ。
いや、むしろノリノリですね!
あのデート告白回の裏にこんな壮絶な修行があったとは!!!
にしてもヒナギクの周りはハイスペックアドバイバーだらけですね。
それなのに当の本人だけがオロオロしてるのだから困ったものです。
マリアさんデニムやらTシャツやら持ってたんですね。
いやそんなことより相撲てなんだ?相撲て?具体的にはなにをやってたんだ?
いったいなにを想定しての相撲の稽古なんだ?

ヒナギクの告白の助けはナギとの会話があってのだったんですね。
ナーちゃん、アーちゃんグッジョブです
やっぱハヤテ側からやってほしいですしね。
ハヤテもそのおかげで少なからず自信をもつこと出来ての変態さんなのかも?

ちなみにこの4話5話読んでるときのBGMは森高千里さんの気分爽快でした。
では、次回ヒナ編クライマックスですか!頑張ってください!
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Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【ヒナ編第5話更新】 ( No.77 )
日時: 2012/07/15 21:59
名前: ロッキー・ラックーン
参照: http://hinayume.net/hayate/subnovel/read.cgi?no=7738

>こよーてさん
ご感想ありがとうございます。

あれだけのメンツがヒナだけのために知恵を絞る…そりゃあ最強ですね。笑
書いててホントに楽しいです。

ハヤテに告白させたけど、ヒナが目覚めたら必ず自分から告白する展開になっちゃう→ナギの力を借りようという流れになりました。
案外サクサクとネタが浮かんで、良かったと思ってます。

「気分爽快」て、いったいおいくつですか!?笑
そしてそれが分かってしまう私も昭和生まれ…
たしかに歌詞のまんまですね。飲んでるし。笑
私自身もサブタイトルに使ったキャラソンはほとんど流れてません。

さて、相撲の稽古についてツッコミを頂けて、個人的にとても嬉しいです。
もちろん、一応の考えがあってのギャグです。
特に文章として出すつもりも無かったのですが、せっかくツッコミを頂けたので、後日談の番外編という形でレスとさせて頂きます。
ハヤテ編の時にはヒナ編をやるつもりが一切無かったのを念頭に、軽い気持ちでお読みいただければと…。
それにしてもアリス、いったい何手先まで読みきっているのでしょうか?笑

では次回お楽しみに!
ありがとうございました。
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Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【ヒナ編第5話更新】 ( No.78 )
日時: 2012/07/15 21:59
名前: ロッキー・ラックーン
参照: http://hinayume.net/hayate/subnovel/read.cgi?no=7738

     しあわせの花 -Heart of Daisy-
     番外編【 No Smoking -『私は横綱ではありません』- 】





「そーいえば、ひとつ聞きたかった事があるんですが…」

「ん、何かしら?」



とある日の昼休み。
生徒会室にて珍しく二人きりでのランチタイム。
彼は私作の、私は彼作のお弁当を口に運んでいた時の出来事だった。



「ヒナって、相撲好きなんですか?」

「…はぁ?どうして!?」



本当に突拍子の無い質問。
思わず質問に質問で返してしまう。



「いやぁ。僕が告白した時のアレ…今思えば、かなり力強い『寄り切り』だったな〜って、ふと思い出しまして…」

「え?…た、確かに、たまーにテレビで見たりするけど…」



言えない。
「前日にマリアさんと延々相撲の稽古をしてました」だなんて言えない…。



「ヒナ、その卵焼きをくださいな」

「はい、アリス。あーん…って、アリス!?」

「ん〜、美味しい!やっぱり卵焼きはハヤテが一番上手ですわね」

「そ、そうかな…」



隣に現れるは、私たちの恋のキューピッド。(または悪魔の罠)
いつも思うけど、いったいどうやってワープしてくるのやら…
彼の妙な順応っぷりも、もはや慣れっこだ。



「ハヤテの企みはお見通しですわよ!相撲の話にかこつけて、『僕はヒナをベッドに押し倒したい』とでも言うのでしょう?」

「「ぶっ…」」

「では、そーゆーコトで。あ、このウインナーとコロッケもいただきますわね。モグモグ…」



と、次の瞬間には消えているアリス。
生徒会室に残ったのは気まずい空気と、一気に寂しくなった私の弁当箱…。



「…」

「…べっ、べっ、別に!私は構わないんだからね!!」

「ぶっ!!」



どう、ハヤテ!?言ってやったわよ!
…アレ?でも、それってつまり…!!?

あああああああ!!!



「今のナシ!今のナシ!!今のナシ!!!」

「は、ハイ!そーですよね!!ウチのアパートはみんな布団ですし!」

「そ、そうよ!さすがハヤテ!!分かってるゥ〜!!」

「「HAHAHAHAHA!!」」



慌ててごまかす二人。
生徒会室には異様な笑い声が響き渡るのだった…orz




----------------------------------






「僕は、ヒナの心の準備が出来るまで、ずっと待ってますから…」ボソ

「//////」



貴方のそーゆーところ、いつもズルイと思う。
でも、やっぱり大好きなのよね…。


【おわり】


----------------------------------


ヒナがハヤテに抱きついたのが相撲の稽古のせいだった…というワケです。
なんという後付け設定…。

ちなみにタイトルは、smoking→相撲キング→横綱 …しょーもないギャグでした。笑
ありがとうございました。
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Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【ヒナ編第5話更新】 ( No.79 )
日時: 2012/08/19 01:43
名前: ロッキー・ラックーン
参照: http://hinayume.net/hayate/subnovel/read.cgi?no=7738

こんにちは、ロッキー・ラックーンです。
ヒナ編最終回…の予定でしたが、まだ続いちゃいます。

前話に引き続き、デート前夜(深夜編)です。
それではどーぞ!




--------------------------------





「告白…かぁ…」



電気もついてない縁側で、ひとり夜空を眺めながらため息をひとつ。
東京都内とはいえ、ここの庭から見える星はなかなかに綺麗で、私は好きだ。
「雲の切れ間に散りばめたダイヤモンド」だなんてロマンチックな表現をした人も、きっとこうやって夜空を眺めるのが好きだったに違いない。



「綺麗…まるでジンライムのようなお月様ですね」

「…マリアさん」

「こんばんは、ヒナギクさん」

「こんばんは」



現れたのは今晩二度目の超人メイドさん。
印象的な月の例え方に特にツッコミも入れず、ふたり静かに空を見上げるのだった。





     しあわせの花 -Heart of Daisy-
     第6話【 Spring will come!! そのC『Tiny Star』 】





「ナギからのお話、終わりましたか?お茶、どうぞ」

「はい。ありがとうございます」



マリアさんが差し出してくれたお茶を受け取って答える。
夜になるとだいぶ冷えてくる季節、温かいお茶はありがたい。



「スミマセン。『ハヤテ君にちゃんと気持ちを伝えろ』と言った私が(←ヒナ編第1話参照)ヒナギクさんの告白を邪魔する手助けなんてしてしまって…」

「いえ、いいんです。最終的には、私がナギの意志を尊重したいと思ったので…。変わりましたね、あの子…」

「はい。私も最近、本当に成長したんだなって思います。アリスさんと仲良くなりだしてからでしょうか…」

「そういえば、そんな時期くらいからでしたね」



目を閉じるとまぶたに浮かぶのは、二人のイタズラな笑顔。
思えば彼女たちには本当にお世話になったものだ。



「少し、妬けてしまいますね」

「?」

「私が何年一緒にいても変えられなかったあの子を、出逢って間もないハヤテ君やアリスさんが見違えるように成長させてしまうんですもの」

「クスッ」



口を3の字にして言うマリアさんに、思わずふき出してしまう。
無敵のスーパーメイドさんでも、愚痴をこぼす時の理由は月並みなものだった。



「ムム〜、ヒナギクさんまで私の事を笑うんですか?」

「い、いえ。そんなつもりは…。ただ…」

「ただ?」

「変わる事だけが良い事じゃないとも思います。マリアさんはナギにとって『心の拠り所』であり、『帰ってくる居場所』なんです」



ちなみに、私にとってのお姉ちゃんがそれ。
「初めて」をくれたのはいつもハヤテ君だけど、お姉ちゃんという存在の力強さや安心感は小さい頃も今も何ひとつ変わってはいない。



「それはまるで止まり木のような…だから、マリアさんの前だけではいつまでも変わらないナギでいられるんだと思います」

「止まり木ですか…。ヒナギクさんに言われると、説得力がありますね…」

「……」



誰と比べての説得力かは聞かなかった。
口下手な彼は、おそらく要らぬ発言をしてマリアさんを刺激した事だろう。



「ハヤテ君に同じ事を言ったら、『マリアさんは、このアパートみんなのお母さん的存在ですから』なんて言うんですよ〜!私はピッチピチの17歳なのに…プンスカ」

「ははは…」



乾いた笑いで返さざるをえなかった。
なんで彼は他人のコンプレックスを突くのがこんなにも上手いのだろう?
…ソコを含めて、彼の人間性の魅力とも言えるけど。



「ところで…ヒナギクさんはハヤテ君のどんなところが好きなんですか?」

「え゙?」



不意をつくパスに、一瞬言葉に詰まる。



「いきなりですね…」

「ええ。そういえばお聞きしてなかったなと思いまして…」

「…笑わないで聞いて頂けますか?」

「はい、もちろん!」



ちなみに以前、同じ事をナギにも聞かれたけど、その時はハッキリと答えられなかった。(ヒナ編第3話参照)
あれから一度、本気で考えてみて私なりの現段階での回答を出してみたものをこれから言おうと思う。



「きっかけは初めて出会った時でした。…一目惚れです」

「まあ…」

「それからずっと気になっていたんですけど、どう接していいか分からなくて…。ていうか、自分がハヤテ君に恋してる事を自覚してませんでした。でも、ある時気付きました。『私はこの人がスキなんだ』って。…そう気付かせてくれたのも、ハヤテ君でした」

「そうですか…」



マリアさんは笑顔を絶やさない。
その笑顔に、私はさらに心の奥底をさらけ出す勇気をもらった気がした。



「私、人をスキになる事が怖かったみたいなんです。スキになるといなくなってしまう気がして…」

「……」

「でも今は違います。私の周りにはハヤテ君がいて、アリスがいて、歩がいて、ナギがいて…そこにはもちろんマリアさんもいます。みんなみんな大好きです。『今いる場所(ここ)は、それほど悪くはない』…いえ、今いる場所(ここ)は、私のかけがえの無い居場所なんです。こんな幸せな気持ちにしてくれたハヤテ君に、私はどうしようもないくらいに惹かれてしまいました」



16歳の誕生日の時にハヤテ君からもらった言葉。
あの言葉に、今の私がどれだけ支えられているものだろう。これからもずっと…多分、一生覚えてると思う。
それほどまでに私の人生に衝撃を与えてくれたのだった。



「ちょっと取りとめないですが…コレで答えになってますか?」

「ハイ。ヒナギクさんは、本当にハヤテ君の事が好きなんですね」

「改めて言われると照れちゃいます…」

「あらあらうふふ…」



変わらないマリアさんの笑顔。
まるで全てを見透かしているようなその瞳を、私は直視できなかった。

それきり、私たちの会話は途絶えた。
といっても、気まずい空間というわけではなく、ふたり無言で綺麗な夜空を見て楽しんでいた。
柔らかく光る月の姿は、どことなくハヤテ君の笑顔を連想させた。






あの柔らかくて優しい笑顔を、明日は見る事が出来るのかな?
あの笑顔で「好き」だなんて言われたら、私はきっと天にも昇る気持ちになるのだと思う。
私の気持ちを伝えた時の貴方の顔も、そんな笑顔であふれていたらいいな…








・・・



「これは私の独り言なのですが…」

「…?」



長い沈黙を破るマリアさんの声。
独り言なので私は視線を合わせずに聞き耳を立てるだけ。



「今思えば私も彼の事…好きでした」

「……」



独り言…あくまで独り言だと自分に言い聞かせ、彼女の話をさえぎらずに聞き耳を立て続ける。




「でも、彼の事を想う度に…無意識に『その人』の顔が頭によぎってしまって…その人を悲しませる事だけは、私にはどうしてもできなくて…気付いたら、彼の事を考えるのをやめてました」

「……」

「ヒナギクさんの熱い熱い想いの一部に触れて、ちょっと思い出してしまいました…。結局、私は何かに言い訳をして、自分の想いをさらけ出す事を拒んでいたんじゃないかって、今は思います…」

「マリアさん…!」



思わず声が出てしまった。
私だって言い訳ばかりだった。ただ、周りのみんなが導いてくれたから素直になれた。
アリスが、歩が、ナギが、マリアさんが…みんなの存在無しでは、彼とはただの知り合いで終わっていた。



「あら、ヒナギクさん…まだいらっしゃったのですか?明日は大事な日ですし、そろそろお休みになってはいかがでしょう?お片付けは私にお任せください」

「…そうします。お茶、ごちそうさまでした」



私はマリアさんに話を合わせる。
本人が話すのをやめた以上、この話題に関して詮索するのは無意味だし、なにより酷だと思ったから。



「いえいえ、お粗末さまでした。ヒナギクさんとお話できて、良かったです」

「私もです。ありがとうございました!では…」

「ハイ、おやすみなさい…あっ、ヒナギクさん!!」

「はいっ!?」



自室に歩を向けていた瞬間の呼びかけに、少し驚いた。
向き直って目に入るマリアさんの表情は、これまで以上に穏やかで優しかった。



「ヒナギクさん、ハヤテ君は血は繋がってませんが、私の大事な大事な家族です。…幸せになってくださいね!」

「ハイ!…って、まだ恋人になったワケじゃありませんが…」

「うふふ…では、おやすみなさい」

「ハイ、おやすみなさい」




・・・


部屋に戻り布団に入っても、まぶたから離れないマリアさんの笑顔。
私の恋は、みんなのたくさんの想いに支えられている。改めてそう思った。
明日という日は、きっときっと良い日になるに違いない。



【そのCおわり】


--------------------------------



【あとがき】

実はマリアさんもハヤテが好きでしたという回でした。
といっても、ハヤテ編第7話でちょろっと漏らしてましたけど…。
『その人』というのはもちろんナギです。
原作4巻で、ハヤテが歩に告白されたときのモノローグを参考にしました。

ところで、冒頭の「ダイヤモンド」と「ジンライム」のくだりは、大好きな曲の一節からお借りしました。
ネタを分かってくれる人がいれば嬉しいです。

さてさて、前書きでもお伝えしたとおり、マリアさんとの絡みでヒナ編終了にしようかと思ってましたが、もう一話だけ続けます。
ハヤテ編でそれとなく出した伏線を回収しようと思って書いてたら長くなってしまい、一話分使おうかなという結論に至りました。
お付き合い頂いて感謝感激です!


ではご感想・ご質問などお待ちしております。
ありがとうございました。

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Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【ヒナ編第6話更新】 ( No.80 )
日時: 2012/08/26 13:59
名前: ロッキー・ラックーン
参照: http://hinayume.net/hayate/subnovel/read.cgi?no=7738

こんにちは、ロッキー・ラックーンです。
そろそろ初投稿から1年が経とうとしてます。
時の流れは早いです。(というか、自分の筆が遅い。笑)

今回でヒナ編完結となります。
デート当日のヒナを書きたくて最終回を延ばしました。

それではどーぞ!




--------------------------------



「ただいま〜!」

「あら、ヒナちゃん。お帰りなさい」



おはようございます、桂ヒナギクです。
今日は、待ちに待ったハヤテ君とのデート。
その日の朝早くの事、私は実家(誤解を招かないように言えば桂家)に帰ってきた。

アパート暮らしになってから、はや数ヶ月…。
2週間に一度は実家に帰って、お義母さんに近況を報告している。…と言うと堅苦しく聞こえるけど、ただおしゃべりしてるに過ぎないのが実際のところ。

今日は元々から決めていた帰省日で、特に話す事も無いつもりだったけど、数日前に大イベントが飛び込んで来た。(念のために説明すると、ハヤテ君からデートに誘われた件です)
という訳で、実家に置いてある一番お気に入りの服(個人的に特別な日に着たいからアパートには持って来なかった)に着替えるついでに帰って来たのだった。





     しあわせの花 -Heart of Daisy-
     第7話【 Heart of Flower 】






「今日はヒナちゃんにお客さんが来てるわよ」

「お帰りなさい、ヒナ」

「あ、アリス〜!?」



リビングに入るやいなや現れたのは、皆様ご存知の暴走機関車娘。
私のお気に入りのカップで紅茶に舌鼓を打つ姿はとても優雅にキマっている。
アレ…アパートでの朝食の時はまだ寝てたと思ったけど…いつの間に!?



「ヒナが出かける用意をしている間に、おば様にお迎えに来て頂いたのです」

「また人の心を読んで…」

「まあ!アッちゃんは読心術まで出来るの!?スゴイわね〜!」

「エッヘンですわ!おば様にも今度教えて差し上げます。ちょっとコツを掴めば、ヒナやハヤテのモノローグくらいならバッチリ読めますわよ」

「あらあら!それは楽しみね〜」



私の存在を完全無視で話を進めるふたり。

多分ここからの展開は、私が予測してる物と、ココまで根気良くお付き合いしてくれる読者さんたちの予測してる物と、そう変わらないと思う。
それでも読んでくれる優しい方は下スクロールでどうぞ!

って、何を言ってるのかしら私ったら…?



「それで、(疑似)母娘揃ってウチに来たのは、何かお話があるからかしら?」

「ハイ、その通りです、おば様。これに関しては、ヒナの口から直接言って頂きます」

「え、なになに〜?ヒナちゃんの口からじゃなきゃ言えない事があるのかしら〜?」

「……」



なるほど、思った通りの展開ね。
まあ、自分としてはお義母さんに言うかどうか迷ってたから、ちょうど良いと言えばちょうど良いのかな…?
う〜ん、どうやって切り出してみようかしら…



「お義母さん、今日ね…ハヤテ君と…デート…なの」



あえて間を置きながら、深刻な表情で話す。
さて、お義母さんの反応は…?



「まあまあ!あなた達ったらいつの間にそんな関係になっちゃったの!?」

「そんな関係って、私達まだ…」

「あらヒナ…『そんな関係』っていうのはどーゆー状態を意味するのですか?」

「えっ?」

「そーねー…それはハッキリしておくべきね!『まだ』って事は、ヒナちゃんは、これからなるつもりみたいだし…」



ニヤニヤと私の顔をのぞきこんで来るふたり。
早いところ着替えて出かけたい私としては、イライラが溜まるばかり。



「んもう!!分かってるでしょ!?ハヤテ君と恋人同士になりたいから今日のデートで告白されに行くの!!…これでいい、アリス?」

「はい、とってもぐれーとですわ!」



一応怒った表情の私にお構い無しの満面の笑み。
そんな顔をされてしまうと弱くなってしまうのは、母としての愛情ゆえか…?



「…あんなに小さくて可愛かったヒナちゃんも、恋する乙女な年頃なのね…。時の流れって早いわね…」

「お義母さん…」

「お義母さんもアッちゃんも応援してるからね…頑張りなさい!!」

「…うん」



お義母さんの言葉に、桂家にはじめて来た日の事を思い出した。



「ちゃんと恋人になれたら綾崎君、連れて来なさいよ〜?」

「そ、それはまだ分からない話だから…」

「おば様、それに関しては私が責任持って必ず…」

「あらまあ…これじゃどっちが保護者か分からないわね」

「もう…アリスったら…」

「うふふ…これでもう後戻りはできませんわね?」

「後戻りなんてしないわよ」



そう。もうここまで来たら、後戻りなんてあり得ない。
ハヤテ君とバッチリ仲良くなって帰って来るんだから!







------------------------







「じゃあ、いってらっしゃい!気を付けてね。綾崎君によろしくね」

「ヒナ…ふぁいとですわ!」

「は〜い。いってきま〜す!」



ふたりの家族に見送られて、いざ出発!
…かと思いきや、玄関から路上に出た瞬間に、見慣れた人影が私の方に近付いてくるのが見えた。



「お〜い、ヒナさ〜ん!!」

「!?…歩!?」



後ろに子供を乗せられるタイプの自転車で現れた親友。
かなり急いでこいで来たのか、ハンドルに身を突っ伏して呼吸を整えている。



「ハァハァ…これから、お出かけですか?」

「うん。…大丈夫?」

「ハイ…私の事はお気になさらず…ちょっとだけ、時間大丈夫ですか?」

「うん、大丈夫だけど…」

「良かった〜!間に合ったぁ〜…」



私の言葉にホッと一安心の表情。
一体全体どうしたのかしら?



「ヒナさん、これを!」

「?」



歩が渡して来たのは、小さな紙袋。
開けて中身を出すように目配せする彼女に応えて、丁寧にテープをはがして取り出す。



「これは…」

「それを私だと思って、持っていてください!」



袋から出てきたのは、小さなお守りが一つ。
シンプルなデザインが、逆にご利益を感じさせるような一品だった。
その真ん中には、当然ながら「恋愛成就」の文字が刻まれ…










って、アレ…?









「それがあれば、デート大成功間違いナシですよ!」

「あの…歩さん…?」

「いいんです!私からの心意気なんで、お代なんて請求しません!持ってけドロボー!」

「いえ、そーゆーワケじゃなくてね…」

「ヒナさん、私はもう恋敵じゃないんです!ほどこしとかじゃなくて純粋に応援してるんです!素直に受け取ってくれても良いんじゃないかな!」

「うん、喜んで受け取りたいんだけどね…コレって…」



得意気に胸を張って話す歩に、お守りの文字を恐る恐る見せてみる。





「安産祈願」の文字を…。





目を合わせるバリバリ思春期真っ只中な女子ふたり。
この展開で真っ先に思い浮かぶのは、「ハヤテ君との子供を産むまでに踏むプロセス」一択…。



「ぎゃああああ!!なんじゃコレわーー!?」

「なんじゃコレって、自分で選んだんじゃないの〜!?」

「いや、そーですけど!そーじゃなくて!」



日曜日の朝っぱらから路上で騒ぐ女子高生。
近所迷惑ったらありゃしない…。



「ハァ…でも、ありがたく受け取らせて貰うわ。歩の気持ちがこもってる事には変わりはないしね」

「そ、そーですよね!それに、ひょっとしたら近いうちにホントに安産祈願が必要になるかもだし…」

「んもう!歩ったら…」



どうにかこうにか場をおさめて、受け取ったお守りをバッグの内ポケットの奥底に入れた。
さすがに、コレを他の人に見られたら何を言われるか分からない。…特に、すぐそこにある私の実家にいるふたりには。



「私からの用事はコレだけです。…頑張ってください!!」

「うん、ありがとう…。行ってくるわ!」

「いってらっしゃ〜い!」



親友に見送られて、今度こそ出発!!
ドタバタしたけど、結果的には勇気100倍ね!







------------------------







さてさて、待ち合わせの駅前に向かう私こと桂ヒナギク。
待ち合わせの時間が10時半。現在時刻は9時ちょうど。
…うん、9時半前には着いちゃうわね。イイ感じ。

余談になるけど、普段のアポイントメントであれば、相手に「待たせてしまった」と思わせないために、5分ないしは10分程度前に待ち合わせ場所に着くようにする私だけど、今日に限っては別。

待ち合わせ時間があるという事は、私がハヤテ君より先に来れれば、彼が来た瞬間に「二人の時間」が始まる事になる。
つまり「ハヤテ君が私を待っている」だなんていう、もったいない時間が発生せずに済むという事になる。

よって、ハヤテ君の遅刻癖をさらに考慮すれば1時間前に到着してるくらいが適正かなというのが私の推測だった。



と、長々と語っているうちに駅前に到着!
さすがにまだハヤテ君はいないでしょうと思いながら、辺りを見回してみると…

第一に目に入ったのは、ママチャリを停めて口笛を吹く黒髪の若い女性。後ろには縦ロールの金髪の可愛らしい子供が乗っている。
ペアのサングラスをして、まるでスパイのようだ。
…見なかった事にしよう。

第二に目に入るは、奇妙なマスクを着けた二人組。
メイドブラックマックスハートな人が、相方のマスク・ザ・マネーの駄々をこねているのを、なだめているようだった。
…私は他人…赤の他人です。ていうかなんで私はあの人たちの名前を知ってるのかしら…?

そして第三に目に入ったのは、満面の笑みで時計を見つめている女の子…じゃなかった。
見つけたわ!!



「お〜い!」

「!!」



声をあげながら彼に向かって走る私。
私の声に気付いてこちらを向く彼の姿に、笑顔がこぼれるのが自分でも分かった。



「ごめ〜ん、ハヤテ君!!…待った?」

「いえいえ、つい今来たばかりです」



その言葉が絶対にウソだというのは分かったけど、私がそれを口にする事は無かった。
なによりもハヤテ君との「二人の時間」を過ごす事の方が優先事項だったからだ。



「映画の時間まで随分あるし、お茶でもしましょうか?」

「そうですね。是非!」



既に監視(?)の目があった事は頭から消えていた。
これから過ごす時間への胸の期待値がメーターを振り切っていたから。






…好きだよ、ハヤテ君。
本当は叫びたい。私のこの気持ち…早く、たくさん、力一杯に伝えたい。
でも今日だけ…今日だけは「好きだよ」の代わりに、貴方の隣で咲いてます。

ハヤテ君の気持ちを…待ってるからね…。




【おわり】


--------------------------------


【あとがき】

デート当日の朝、ヒナが何をしてたかを書きたくて最終回をずらしたという訳でした。
もともと当日の朝にヒナが実家に行ったのは、ハヤテとどこかで待ち合わせをさせたかったからなのですが、ヒナ編を書いてる途中で「じゃああの時何してたの?」という事を考えたら、書かずにはいられませんでした。
後付け設定たっぷりですが、お楽しみ頂けたでしょうか?
では、解説を…。



■アリス?ヒナママ

いつの間にやら仲良しな二人。
ヒナママは特にハヤテやナギからの呼び方を知らないので「アッちゃん」です。
ちなみにアリスは最後の応援がしたくて桂家に行きました。
この二人の絡みは今後もやりたいところです。



■歩さん

ヒナの背中を一番最後に押すのは彼女以外ありえません。という訳で、無理矢理登場してもらいました。
何か餞別みたいな物を渡すシーンがやりたかったのと、ハヤテ編では一切そういう描写が無かったのと、コメディにしたかったという三点が都合良く「安産祈願のお守り」という結果に繋がりました。
それにしても、いったいどーゆー経緯で間違えたんでしょうかね〜?笑


■カオスな駅前

これもハヤテ編で一切描写の無かった後付け設定です。
ハヤテは完全に妄想にふけっていたから気付かなかったんだと思います。

待ち合わせ時間の2時間前に来たハヤテに対して、1時間前に来たヒナ。
考えてる事は二人とも同じです。
「特に申し合わせた訳でもないのに、二人して同じ事を考えている」というパターンは大好きで、頻繁に使っております。

そして、刺客たち。笑
歩登場時の自転車の解説はココへのフラグでした。

マスク・ザ・マネー→原作1巻ナギ
メイドブラックマックスハート→原作6巻マリアさん
に登場してます。かなり懐かしい。
こんな人たちが駅前にいたらまず職質ですね。

この人たちも、さすがにデート本番に入ったらアパートに帰りました。
デート最中にこんな人たちに回りをウロつかれたらハヤテ君も気付いたでしょうし…。笑





さてさて、これまた物凄い時間がかかりましたがヒナ編は以上となります。
アリスの師匠キャラ付けを筆頭に、色々とやりたい放題出来て楽しかったです。
「変化したハヤテ」に対する「成長したヒナ」という当初のテーマをお伝えできていたら幸いです。
そして何よりも、長々とここまでお付き合いして頂けた皆さんに感謝感激です。

次回以降はまだ考えてません。
結構ネタに困ってたりするんで、リクエストなんて頂けると嬉しかったりします。


ではご感想・ご質問などお待ちしております。
ありがとうございました。
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Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【ヒナ編最終回更新】 ( No.81 )
日時: 2012/08/26 15:24
名前: みっちょ

初めまして!ハヤヒナ大好きみっちょというものです!(アテネも好きです!)
小説とってもおもしろかったです!
歩・・・「恋愛成就」と「安産祈願」どうやったら間違えるんだ!?
とパソコンの前で突っ込んでしまって妹から白い目で見られちゃいましたwww
次回作も楽しみにしてるので頑張ってください!
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Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【ヒナ編最終回更新】 ( No.82 )
日時: 2012/08/27 02:19
名前: ロッキー・ラックーン
参照: http://hinayume.net/hayate/subnovel/read.cgi?no=7738

>みっちょさん
ご感想ありがとうございます。

初めまして。
みっちょさんのお名前は最近になって拝見するようになりました。(「私は王女〜」にも今度お邪魔させて頂きますね)
ココまで一気に読んでくれたのだとしたら、相当な量だったかと思います。
お付き合い頂いてありがとうございます。

お守りの件は歩のミスなのか、はたまた金髪幼女たちの策略なのか、永遠の謎になりますね。笑
PCにツッコミを入れたくなるコメディをお届けできたのなら、こんなに嬉しい事はありません。

遅筆ですが、これからもどうぞよろしくお願いします。
では、ありがとうございました。
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Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【ヒナ編最終回更新】 ( No.83 )
日時: 2012/08/27 22:35
名前: こよーて

ヒナ編完結おめでとうございます。
しんみりあり、笑いどころありでハヤテ編とはまたまったく違うおもしろさでした。
ハヤテと二人になるのがほとんどなかった分、周りのメンツの活躍ぶり、そして自分の気持ちの整理がよかったのでしょうか。
ハヤテ編ではわからなかった住民達に尽力ぶりはそら待ち合わせ覗き見るくらい正当な権利ですね!
まあマリアさんの職質は免れないと思いますが・・・
あと幼女様はモノローグ読めてたんですね〜おそるべし!

ちなみにリクエストてほどではありませんが読みたいな〜と思うのはハヤヒナアリスヒナママのプチ旅行とか読んでみたいですね!
あとヒナギクと『アテネ』の一夜限りの邂逅とかも見てみたいですね。
ハヤテ編最終回のときのような

ではまた、新章心より待ち望んでいます。
ひとまずお疲れ様です!
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Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【ヒナ編最終回更新】 ( No.84 )
日時: 2012/08/28 02:01
名前: ロッキー・ラックーン
参照: http://hinayume.net/hayate/subnovel/read.cgi?no=7738

>こよーてさん
ご感想ありがとうございます。

おっしゃる通り、ハヤテ編とは全く違った物語をお届けできたかと思います。
ヒナ編1話あとがきで申し上げた「ハヤテ以外との人間との交流から自身を見つめ直すヒナがメイン」というのをなんとか貫き通せた結果であると振り返ってます。
ヒナを除く女性陣には、それぞれのハヤテへの想いの完結ストーリーを用意したいところなんですよね。頑張ってくれたお礼に。
せめて歩編くらいはそのうちやりたいと思ってます。未定ですが。笑(というか、今年の5/15の誕生日記念に投稿しようと思って、結局完結できなかったネタがあったりします…独り言でした)

ワープできて、心を読めて、ラヴ師匠で、ハヤヒナをたしなめるくらいお手の物。
ウチの幼女様はアテネに戻らなくても万能ですね。
元々全然興味無かったキャラですが、色々と好き勝手やらせてる間に大好きになりました。
まだまだこれからも彼女の大暴走は続きます。笑

あと、リクエストありがとうございます。
ご存知の通りの筆の遅さでありますが、ネタとして使わせて頂こうかと思います。
アテネがヒナと会う事になるとすると、アテネの恋の終わりを描く事になります…これまで一度も触れませんでした。どう根拠づけして彼女を納得させるか思い浮かばなかったからです。
その一点に関してが、お時間を頂くポイントになるかと思いますので、あらかじめお伝え(言い訳)させて頂きます。

さてさて、ヒナ編第1話からまるまる8ヶ月以上。
読者さん目線を想像したら、「コイツ、途中でヘバったな」と思わせる時期が何度もあったかと思います。
そんな中、お付き合い頂いて毎回コメントまでくださり本当にありがとうございます。大変な励みになりました。

これからも、ハヤヒナのドタバタ劇にどうぞご期待ください!
では、次回お楽しみに。
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Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【ヒナ編最終回更新】 ( No.85 )
日時: 2012/09/15 04:23
名前: ロッキー・ラックーン
参照: http://hinayume.net/hayate/subnovel/read.cgi?no=7738

こんにちは、ロッキー・ラックーンです。
10月からは第3期ですね。
アテネがメインキャストに入ってない+ルカが入ってますが、どんなお話になる事やら…個人的にはすごくハラハラしてます。
とりあえず、ヒナの見せ場回を何回かお願いします!!

さて、今回はアフター第2話で、久々のハヤテ目線です。
こよーてさんよりリクエスト頂いた「旅行+ヒナ・アテネ邂逅編」となる予定です。

それではどーぞ!




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カポーン



そこには、一糸纏わぬ姿の若い男女ふたり。



「気持ち良いわね」

「そうですね…」



こんにちは、綾崎ハヤテです。なんだかとっても久しぶりな気がします。
いきなりヒナと裸で二人きりです。そうです、混浴です。

…分かります!
読者の皆さんが羨ましくて僕に石とか投げつけたい気持ちはよ〜く分かりますが、とりあえず落ち着いてこれまでのお話を聞いてください!!







     After第2話その@【 カポーンって擬音は誰が考えたんだろう? スゲーよね Mk-2 】









「ヒナのハンバーグ、とっても楽しみですわね!」

「そうだね、アーたん」



それは2週間ほど前、僕とアーたんで桂家にお泊まりしに行った日の夕方まで時をさかのぼる。
僕たちは二人で夕食の食材を買い出しに商店街まで来ていた。
右手にはヒナの持たせてくれたエコバッグを、左手にはアーたんの小さな右手を握っていた僕は、幸せのド真ん中に浸っていた。



「むむ、ハヤテ!あれはなんでしょうか?」



声に出すと同時に僕の手を振りほどいて、興味の対象まで全速力のアーたん。
容姿相応の好奇心に、思わず胸が温かくなる。コレが父親の気持ちというものなのだろうか。



「ハヤテ〜!聞いてますか!?」

「ああ、ゴメンゴメン…」

「ハイハイ、いらっしゃいませ〜!って、ハヤテ君にアリスちゃん!?」



そこは、いわゆる福引きの会場で、アーたんが興味津々に近付いて行ったガラポンの前に立っていたのは意外な人物だった。



「あら、歩さん!ごきげんよう。…コレは一体なんですか?」

「ごきげんよう…コレはね、アリスちゃん。ガラポンっていって、夢とティッシュの詰まった宝箱なのだよ!」

「ガラポン…ですか」

「こんばんは、西沢さん。今日は商店街のお手伝いですか?」

「こんばんは〜。そうそう、『どんぐり』から人を出して欲しいって…今、お店はマスターだけだよ。…おっと、ふたりともゴメンよ!いらっしゃいませ〜!」



接客に忙しい西沢さんに代わって説明すると、商店街での買い物2000円ごとに一回、クジを回せるというものらしい。
夕食の買い出しで2800円程の買い物をした僕たちにも、チャンスがあるという事だ。



「アーたん。ガラポン、回したい?」

「モチのロンですわ!ところでハヤテ、あのとってもイカした形のものは一体…?」



アーたんが指差すは、3等賞の「さすまた」だった。
う〜ん、お姫様の趣味は良く分からない。
っていうか賞品にさすまたって…。



「あれはさすまたって言って、近付いてくる暴漢から身を守るもの…って言えばいいのかな?」

「なんと!形だけじゃなくて用途までイケてるのですね!是非ともアレを手に入れて、ヒナに自慢したいですわね…」

「そ、そう…。じゃあ、黄土色の玉を出さないとだね。西沢さん、僕たちもお願いします」

「ハ〜イ、かしこまりました〜!それじゃ、レシートを見せてね」



買い物のレシートを西沢さんに預け、ガラポンの取っ手まで届かないアーたんを抱っこする。
普段は身長差があって意識する事が無いアーたんの髪の良い香りが鼻をくすぶった。



「アリスちゃん、頑張ってね!」

「黄土色、出しますわよ〜!…えいっ!!」



幸運の女神に好かれているアーたんであれば、自分の望むものを引き当てるくらい雑作も無い事だろう。
しかしながら女神様は「さすまた」ではいささかご不満があったらしく、ガラポンから出てきた玉は黄土色にしては輝きが強すぎる色だった。



「こ、コレは…」

「アリスちゃん大当たり〜!特等の温泉宿泊券、ご家族4名様ご招待〜!!」

「おお〜!スゴイよアーたん!!」



西沢さんの持つ鐘の音が商店街に響き渡る。
僕はアーたんの身体を「たかいたかい」して喜びを表現する。



「さっすがアーたん!強運の持ち主だね!」

「そんな事はありません、ハヤテ…さすまたが…」



なんとも名残惜しそうに、飾ってあるさすまたを見つめるアーたん。
彼女がアレを使って何がしたいのか、さっぱり分からない。
でもまあ、今日のお手柄のお礼も込めて、自腹で買ってあげようかな…。



「ハヤテ君、温泉行ったらヒナさんのお背中、流してあげるんだよ〜!」

「にっ、西沢さん!」

「ムフフ…照れるな照れるな、背中だなんてケチな事言わずに、全身余すとこなくハヤテ君の欲望のままに…」

「歩さん、ソレは当然の事として、問題はその後の事になってくるのですわ…」



僕とヒナの意思が全く働かないところで、次々と何かが決まっていく…。
でも、ヒナと一緒に温泉かぁ〜…。ウェヒヒヒ、胸が熱くなりますの〜!






・・
・・・
・・・・


「あぁん///もうハヤテ、ドコ触ってるのよぉ〜」

「フフフッ…ちゃんと全身くまなく洗わないといけないからね」

「んもう…じゃあ、ココもお願いしようかしら…」

「えっ、ヒナ。そこは…」

「ハヤテになら…なにされても良いのよ…」

「ヒナ…!では、遠慮なく…」


・・・・
・・・
・・







「お〜い、ハヤテ君!?」

「ダメですわ…完全に妄想に取り憑かれてしまってます。放っておきましょう」

「えっ!?でも、好きな人のこんなみっともないスケベ顔を、野晒しにはできないよ…」カシャッ

「歩さんは歩さんで、本当にハヤテの事が好きなのですね…」

「うん、それだけは誰にも負けない…!」カシャッ

「分かりました。ちゃっかりケータイのカメラで撮ってるのは見逃した事にしますね…ハヤテ!!そこは男湯ですよ!!」

「…うわぁ、また変態野郎か!?…あれ、夢…?」

「「はぁ〜、やれやれまったく…」」



少女たちのため息が商店街にこぼれた。
…ていうか、いつの間に僕はこんなキャラになったんだ!?(←だいぶ前からです)
僕はただ純粋にヒナを愛してるだけですよ〜!!



「ハイハイ、読者さんへの言い訳は良いですから、そろそろ帰りましょう。ヒナが待ってます。歩さん、ごきげんよう」

「わわ、待ってよアーたん!!…あ。では西沢さん、失礼します」

「ウフフ、またね。ヒナさんによろしく〜!」



ブンブンと手を振って見送る西沢さんのワルそうな笑顔が僕の目に入る事は無かった。



--------------------------------



「「こんばんは〜!」」

「は〜い。二人ともいらっしゃい!」



桂家に到着。お義母様が優しい笑顔で僕たちを迎えてくれる。



「アッちゃん、パパとのお買い物はどうだった?」

「はい、とっても楽しかったです。それとおば様!今日は素敵なお土産がありますの」

「ん、何かしら〜?ひょっとして、商店街の福引きで温泉でも当てた〜?」

「さすがおば様!バッチリこれまでのあらすじを読めてますわね」

「えへ〜、アッちゃん先生のおかげであります!…ハヤテ君!」

「ハイ!」

「私はいつでもおばあちゃんになる心の準備は出来てるからね!」(ビシッ)



素敵な角度で親指を立てるお義母様。
言っている意味がなんだか良く分からないけど…

あ、まさか!?



「ハヤテ君も男の子だもんね〜。大丈夫!!ヒナちゃんを愛してるのは分かってるから(性的に)」

「ななな、なんですか!?(性的に)って…。僕はヒナとは清いお付き合いを…」

「『ハヤテになら…なにされても良いのよ…』な〜んて!」

「ゲゲ…!?」



したり顔のお義母様に、僕は絶句する。
まさかこの二人の前では妄想すらもアウトになるとは…
作者は僕たちを幸せにする気はあるのか!?(←失敬な)



「玄関で何を騒いでるの、ハヤテ?」

「「ヒナ!」」

「二人ともおかえり」

「ただいまです、ヒナ」



ようやく現れるは、愛しくて仕方ない僕の恋人。
エプロン姿がとてもカワイイ。



「ヒナ、温泉ですわよ!」

「温泉?」



ヒナから頭を撫でられ、とても居心地の良さそうなアーたんが差し出すは、先ほどの福引きで当てた旅行券。
そこに書いてある文をヒナが読み上げる。



「ん〜、どれどれ…。『ご家族で楽しむ温泉!日頃の疲れが吹き飛ぶ2泊3日!移動はモチロン、ひこう…』」

ドサッ!





「大変ですわ!ヒナが『飛行機』の文字だけで白目むいて失神してますわ!!」

「それは大変ね!さあハヤテ君、眠れるお姫様に目覚めのキスを!!」

「あわわわ!大丈夫ですかーー!!?」



その日の食事当番は僕が代わりました。
アーたんの前でのキスの連続記録(=二人きりで出来ない記録)も更新…orz

前略お嬢様、桂家は今日も平和です。



【つづく】


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【あとがき】

ハヤヒナ+アリス・ヒナママの温泉旅行、導入編でした。
回を増すごとに、エロエロでヒナヒナになるハヤテ君…ヒナに愛想を尽かされないか、作者ながら不安でなりません。笑
では、解説いきます。


■サブタイトル

アニメ第1期22話を思い出して。
1期のサブタイトルを色々調べてたら、深夜34時アニメと言われていた頃がとても懐かしくなりました。
あの頃のノリを3期に求めては、ダメでしょうか…?


■幸せいっぱいハヤテ君

ママに頼まれて娘と二人でお買い物。
こーゆー日常のアリスとの絡みをガシガシ書きたかったんです。これからも頻繁にあるかと思います。


■福引き

抽選自体はアリスの強運なので仕込みナシです。
4人分出してくれるだなんて、景気のイイ福引きですね。雪路?…宿直室に篭ってるんじゃないでしょうか?笑
ところで、アマ●ンで「さすまた」を検索してみたところ…1万円くらいしました。ビックリ!


■ハヤヒナ妄想族

ウチのハヤテ君は、原作のヒナに負けない妄想脳の持ち主です。
ヒナのドコを洗おうとしたのでしょうか?けしからん!!
しかし、そんな妄想がことごとく叶ってしまうハヤテ…。うらやましい。

そして、完全に読者目線になる力を身につけているアリス・ヒナママ。
ハヤヒナにとっては恐ろしいの一言です。笑


■思わぬ試練

またまた下田と思いきや、飛行機で行くような場所に…。
ラブラブシーンへの道は険しく遠いものなのです。笑
頑張れ、ヒナ!




さてさて、ドタバタと始まりましたアフター第2話。
大まかな予定としては、アリス・ヒナママの猛攻にハヤヒナが耐えられるかといった感じで、さらにドタバタしていくと思われます。
まだその?以降は全然出来てないので、キリンのような長い首で待って頂けるとありがたいです。

あと、アフター第2話でいったんスレを終了させようかと思ってます。
いい加減下スクロールが面倒だろと思いまして…。
スレを移す事は考えてますが、移したスレで何をするかは未定です。汗
まだまだお付き合い頂きたく思ってる今日この頃です。



最後に白石涼子さん・田中理恵さん、ご結婚おめでとうございます!(すごく今さらですが)
末永くお幸せに。


では、ここまでありがとうございました。
次回お楽しみに!!

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Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【アフター2話-1更新】 ( No.86 )
日時: 2012/09/16 21:35
名前: こよーて

おおお!ネタの採用ありがとうございます。まさに光栄至極!
そう。そうなんですよ!旅行といえば温泉!混浴!ハプニング?ですよね!
さすがロッキー・ラックーンさん!わかっていらっしゃる!
はたして冒頭の二人はお母様と幼女様にハメられたのか?それとも二人して自らか?
これからの展開楽しみです。
あとヒナアテネ邂逅はせかしたのならすみません。
見れるのならいくらでも首長くして待ってます。
では、これからもがんばってください。
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Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【アフター2話-1更新】 ( No.87 )
日時: 2012/09/18 02:22
名前: ロッキー・ラックーン
参照: http://hinayume.net/hayate/subnovel/read.cgi?no=7738

>こよーてさん
コメントありがとうございます。

こちらとしても、ネタの提供ありがとうございました。
遅かれ早かれ、ヒナとアテネは一度顔を合わせなくてはいけないので、良いきっかけになりました。

旅行→温泉→混浴という流れは、前回頂いたコメントを読んだ瞬間に思い浮かんだものです。ウチのバカップルでは、これ以外の展開はありません。笑
かくして二人はどういう経緯で裸で二人きりになったのか、ご期待ください。

さらに期待して頂きたいのが、旅行というこの物語にしてはかなりのレアイベントによる二人の距離の接近具合です。
予定としては、かなりイチャつかせるつもりです。「お約束」も満載ですが。笑

書く前からあんまりデカイ事言うと出来上がった後の自分のガッカリ感も倍増してしまうので、今回はこのへんで…。
では、次回お楽しみに!
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Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【アフター2話-A更新】 ( No.88 )
日時: 2012/10/26 22:16
名前: ロッキー・ラックーン
参照: http://soukensi.net/perch/hayate/subnovel/read.cgi?no=25

こんにちは、ロッキー・ラックーンです。
アニメハヤテは3期の位置づけではなく、全く新しい作品のようですね。
天の声が無いのが非常に寂しいです。

さてさて、今回は旅行編そのAです。
ヒナ編をはさんでいたんで、イチャつくハヤヒナを書いたのは実は久しぶりで楽しかったです。

それではどーぞ!




--------------------------------




ココは東京練馬のとある道路。
カラオケ帰りの美少女(←ココ重要!)がふたり。



「ん゙〜っ…歌った歌った〜♪」

「歩さん、今日はヒナギクさんの歌もたくさん歌ってらっしゃいましたね」

「ハイ。普段はヒナさん恥ずかしがって入れさせてくれないんで…」



こんばんは、西沢歩です。こうやって登場するのって、初めてじゃないかな?
今日はマリアさんと恒例のカラオケ女子会でした。
いつもはヒナさんも含めて3人でやってるけど、今日に限っては二人きり。



「うふふ…。そろそろ、お夕飯を終えて温泉に浸かってる頃でしょうか」

「ですね〜。ハヤテ君と温泉かぁ〜。いいな〜…」



そう。この週末、ヒナさんはハヤテ君とご家族で温泉。
私はその宿泊券を手に入れた福引きの立会人となったのだ。
フフフ、これはもはや私のおかげで発生したイベントと言っても過言ではない。
あのふたりがどれだけ距離を縮めて帰って来るのか、楽しみであると同時に少し胸が痛かったりもする。



「歩さん、良かったら今日はお泊りにいらっしゃいませんか?」

「えっ!?いいんですか?」



ちょっとだけおセンチになった心に、嬉しいお誘い。
アパートにお邪魔すればナギちゃんや千桜ちゃんもいるし、寂しさも吹っ飛ぶ。



「ハイ。恋に敗れた者同士、色々おしゃべりしちゃいましょう」

「えっ?それってどーゆー…」

「ハイハイ、細かい事は気にしない!行きましょ行きましょ〜♪」



マリアさんの押しがいつも以上に強いような気がするけど、まあいいや。
家に電話入れとかなくっちゃ。

前略ヒナさん、コッチはコッチで楽しんでます。
おみやげヨロシクね〜♪





     After第2話そのA【 ハヤテの部屋 〜湯けむり編〜 】






こんにちは、桂ヒナギクです。
今回は温泉旅行という事で、ホテルの客室からお送りします。

…え?ココまでの道のりですって?
そんな、思い出すだけで鳥肌の立ってしまう出来事は、作者さんに頼んでカットしてもらったわよ。(←彼氏にしがみ付きながら飛行機に乗り込んだ桂ヒナギクさんのお願いとなれば断れません)

あ、こら!余計な説明口調はいらないわよ!



「はぁ〜、ようやく着いたわね…」

「ヒナ、ため息をつくと幸せが逃げてしまいますわよ?」

「まぁまぁアーたん、だいぶお疲れみたいだし…」



そりゃあ昨日の夜から恐怖に震える身体を何とか起こして長旅を続けたとなれば疲れもする。
そんな私には構いもせずに、お義母さんとアリスは自分の荷物から着替えを漁り出す。



「とりあえず温泉地に来たからには、温泉を心ゆくまで堪能する必要がありますわね…おば様!」

「いつでもOKよ、アッちゃん!!」

「という訳で、私たちはお風呂に行ってきますので、ヒナの看病はハヤテにお任せします。…さらばです!!」

「さらばだ〜!!」

「看病って、別にそんな…」



と反論する間もなく二人は消えていた。逃げ足の速さはあの3人以上かもしれない…。
それにしても、看病だなんて言うほど調子が悪いわけでもないのに。



「んもう、勝手に行動して…」

「まあまあ。お二方も僕たちに気を遣ってくれたのですし、ここは二人きりの時間を楽しみましょう?」

「二人きり…!?」



ここ最近、あまりにも二人きりの時間が少なくて気が付かなかった。
今、私たち…二人きりだ!
これは大事な時間になるのではないでしょうか?そうよね?(←突然のチャンスにいささか動揺気味の桂ヒナギクさん)



「少し部屋でお休みになりますか?」

「うん、そうするわ…」

「では…どうぞ!」



と言いながら正座するハヤテ。まさかこれって…



「えと…ひょっとして、膝まくら?」

「…ハイ」



はにかんだ笑顔を見せる彼に少し驚く。
ハヤテ…大胆ね。



「ダメ…ですか?」

「ううん。では、お言葉に甘えて…」



ちょっと硬めの膝まくらは、意外にも私の頭にジャストフィット。
視線を上にすると、私の顔を覗き込んでくるハヤテが目に入る。



「どうですか?」

「うん。ちょうどいい硬さ…」

「…それは良かったです」



いつもとは違った角度から見る彼の表情は、幸せに満ち溢れているようだった。
多分、私も同じような顔をしていると思う。



「せっかくの旅行なんで、ヒナにこうやって甘えてもらえると嬉しいです。アパートでも、ヒナの実家でも、こういった時間は取れませんからね」

「そうね…。ていうか、みんなあの二人のせいよね?」

「まあまあ…」



私の頭を撫でる手は、優しくて大きくて…。
つまらない問答をする事よりも、ハヤテの温もりに包まれる事を私の脳みそは無意識に選択していた。
長旅の疲れも相まって、いつの間にやら私の意識は遠い彼方へと旅立っていたのだった。





・・
・・・
・・・・



「ヒナと一緒に温泉だなんて、夢みたいだよ」

「ウフフ…そんな事、夢に見なくても、お風呂くらい毎日一緒に入ってあげるわよ?」

「ひ、ヒナ…!!」

「ところで、私の胸を見て。こいつをどう思う?」

「すごく…大きいです…」

「うれしいこと言ってくれるじゃないの。それじゃあ、とことんよろこばせてあげるからね。コレはハヤテのためにあるんだから!!」

「ああっ!!ヒナ!!!」



片手ではこぼれてしまいそうなソレに顔を埋めるハヤテの姿はまさに赤ん坊のよう。
ああ、やっぱり大きい事って正義なのね。日頃の努力を怠らないでホントに良かった。
もう、貧乳生徒会長だなんて勝手な事は言わせ「ヒナ…ヒナ!」

んもう、うるさいわね。せっかく人が良い夢を見てるのに…!
アレ…夢って!?ちょ、まって!もうすこ「ヒナ〜!!」



・・・・
・・・
・・









ガバッ!!






「「「ヒナ(ちゃん)!!」」」

「…やっぱり、夢オチなのね」



つい今まで目線の下にあったスイカ的な膨らみはどこへやら、私の努力の日々をあざ笑うかのような断崖絶壁があるだけだった。
…断崖絶壁ってなによ!!(←スミマセン)



「おはようヒナ、間もなくお食事が来るそうなので、とりあえず着替えだけ済ませてきたらどうでしょう?」

「おはよ、ハヤテ…。お食事って、もうそんな時間なの?」



ハヤテの言葉に、ふいと時計を見てみると6時半を回っていた。窓の外の景色も暗闇に包まれて別の姿に変わってしまっている。
部屋に着いたのが4時前だったから…だいぶ寝てしまっていたようだ。
私以外の3人は、浴衣姿となっていた。



「ハヤテは『ヒナが寝返りをうてなくて辛そうだったから』と、貴女を布団へと移したから着替えが出来ましたの」

「コッチが疑問を持つ前の解説をありがとう、アリス。じゃあ、着替えてくるわね」

「ハイ」



作者さんの手抜きへのツッコミはさておいて、部屋のお風呂についてる脱衣所にて浴衣に着替える。
コレを着ると途端に温泉に来たっていう感じが膨れ上がるから不思議なものね。
鏡に移る自分の浴衣姿を見てみると…とてもよく似合ってると思う。我ながら。
これは自分に酔っているという訳では無く、以前テレビで「浴衣は胸の無い人の方が似合う」と言っていたのを思い出したからという事。



「ヒナ」

「ひっ!?」



急に声をかけられて、驚いてしまった。
2センチ程開かれた扉の隙間から覗く娘の瞳に、警戒を解く。



「そのむかし、偉い人がこう言いました。『競うな、持ち味をイカせッッ』と」

「ドコの地上最強生物よ!!」

「まあまあ。要はヒナの浴衣姿でハヤテを悩殺してしまえば、そこに胸なんて必要無いのです」

「そうは言ってもねぇ…」



良く似合ってるとはいえ、ホテル備え付けの浴衣だ。
コレで悩殺と言われても、現実味が薄い。(他の衣装ならどうかという事は置いといて)



「では、悩むくらいなら直接本人に聞いてみましょう…ハヤテ〜!」

「な〜に〜?」

「ちょっ!?」



文句を言う暇も無く現れるハヤテ。
…ひょっとして、スタンバイしてた?



「待ちに待ったヒナの浴衣姿ですわよ、ホラ…」



というアリスと同時に脱衣所の扉が全開に。
私の、何の変てつも無いホテルの浴衣姿が披露された。



「……」

「は、ハヤテ…どうかな?」



一応、感想を聞いてみる。
あんまり期待してないけど。



「……」

「ちょっと、どうなのよ?」

「…………いい」

「は?」

「いいですよ…ヒナ…いい…」

「という訳で、ハヤテは言葉を無くしてしまいましたわね。でもヒナ、確かに私もかなりイケてると思いますわ…」

「そっ、そーゆーものかしら?」



これだけベタ褒めされると、悪い気はしないわね…。
今度はもっと可愛い浴衣をハヤテに見せてあげたくなった。



「ハヤテ、いつまでボーッと見てるのですか!?明日の夜には貴方はアレを脱がせるんですから、気をしっかり持たないといけません!」

「!?」



ちょっとアリスさん、今なんと!?



「いや…そのまま…いいよ…ヒナ…」

「ダメですわこいつ…早くなんとかしませんと…」

「いやいや、そーゆー問題じゃ無いわよ!」



アリスのとんでもない発言が頭から離れないうちに、夕食が部屋へと運ばれて来たのだった。

ハヤテ、私…期待しちゃうわよ?
って、4人部屋だからあり得ないわよね。



【つづく】


--------------------------------


【あとがき】

客室にてイチャイチャするの巻でした。
ヒナママの出番が少ないのがちょっと気になるところ…。
まだ一晩も終わってないというか、温泉にすら浸かってないハヤヒナ。
先はまだまだ長そうです。笑
さて、解説いきます。



■アバン(タイトル前の事です)

旅行編のアバンは、東京にいるキャラに出てもらおうかと思ってます。
歩目線は書いててすごく楽しいです。


■サブタイトル

お昼のタマネギマダム的長寿番組から頂きました。
「ハヤテ」以外からのパロディのサブタイトルは久しぶり…。


■お疲れヒナ

飛行機に乗る所はヒナの熱い希望によりカット。
別に作者が飛行機に乗った事が無いからというワケではありません。笑
行き先(ドコの温泉地か)の設定なんかは決めてませんが、特にそういった描写もしないので…。


■膝まくら

ふと前回の膝まくら(第3話)を読んでみたら…まる一年前!?
ホントに細く長くやってるなと思いました。笑
アリスの口調が微妙に定まってなかったのは、そんなに好きじゃなかったからです。
この一年で急激に好きになったんだなと実感…。

話が逸れました。
ハヤヒナの身体的接触をとにかくやりたくて書きました。
この旅行にかける思いはハヤテも強く、大胆になってます。


■ヒナゆめ

はやひなテクニック。笑
「すごく…大きいです…」とハヤテに言わせたかっただけです。
元ネタの閲覧は自己責任でお願いします。笑


■浴衣ヒナ

温泉→浴衣→イイネ という流れに。
ヒナの浴衣姿…見たいですね。
アリスのセリフの通り、貧乳という持ち味を活かしての浴衣姿なのであります。


■アリス爆弾発言

大概の発言を現実のものとしているアリスさんですが、今回に限ってはかなり難しいのではないでしょうか?
今後のアリス・ヒナママの動向にも注目です。



さてさて、久々のバカップルはいかがでしたでしょうか?
アテネの登場の仕方なんかもだいたい浮かんできて、順調にいけば年内にはラスト(スレッドのです)を迎えられるかなと思っております。
いや、来月はハヤテとアーたんの誕生日あるし、何か書きたいというのもあるのでやっぱり未定です。汗
次回は「温泉といったらアレ」というスポーツのお話なんかを考えています。

では、ここまでありがとうございました。
ご感想・ご質問などお待ちしております。
ありがとうございました。
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Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【アフター2話-A更新】 ( No.89 )
日時: 2012/10/31 21:48
名前: こよーて

うあああ!!!
復活してたー!!!
マジで焦った!もう読めんのかと思った!
新管理人さんには感謝の言葉もありません!

で感想です。
ヒナギクさん、大きいヒナギクさんなんてもはやヒナギクさんではありません。(何がとは言えませんが)
不毛な夢はやめましょ?
まあそれはそうと温泉と言えば浴衣!そう浴衣ですね!
・・・完全に頭になかったです、はい。
混浴で頭いっぱいでした、はい!
てはわけでハヤテ!今回ばかりは応援する!
頑張れ!頑張ってことをなせ!
あとヒナギクさん、二人きりの時間はすっげ貴重ですぜ!
寝て過ごすなんてもったいないすよ

では、新サイトでも引き続き応援してます。
頑張ってください。
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Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【アフター2話-A更新】 ( No.90 )
日時: 2012/11/01 00:28
名前: ロッキー・ラックーン
参照: http://soukensi.net/perch/hayate/subnovel/read.cgi?no=25

>こよーてさん
ご感想ありがとうございます。
あと、こちらでははじめまして。

私自身、ひなゆめが消滅してしまって、宙ぶらりんなままの作品をどうしようか、熱心な読者さんへのお詫びはどうしようか、何より1年以上やってきた趣味が水泡に帰してしまってどうしようかなど、色々と悩んでしまいました。
こうやってまた新たに場所を設けて頂ける事に感謝感激しつつやっていきたいと思います。

さてお話についてですが…
大きいヒナギクさんは確かに異次元的存在ですね。
コンプレックスを含めて、ヒナの魅力です。

ヒナの浴衣姿…完全に私の趣味です。笑
でも、絶対イイと思います。
今回のハヤテは頑張りますので、ご期待ください!

二人きりの時間についてですが、逆に想像して頂きたいのが、ハヤテの目線です。
無防備に寝てしまうヒナの姿を独り占め出来る幸福感とか、イタズラしようとして思いとどまる姿とか、文章にしなかった部分での妄想を働かせて欲しいのです!笑

なんにしても、ラブラブな二人が書きたい作者なのでありました。
改めて、これからもよろしくお願いします。
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Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【アフター2話-A更新】 ( No.91 )
日時: 2012/12/18 04:07
名前: ロッキー・ラックーン
参照: http://soukensi.net/perch/hayate/subnovel/read.cgi?no=25

こんにちは、ロッキー・ラックーンです。
長い事更新をしておりませんでした。
体調を崩したり、ネタが浮かばなかったりと…

とまあ言い訳はさて置いて、温泉編第3話です。
温泉編の要、アーたん(大)が登場します。

ちなみに、新規読者様への設定の説明ですが…。
この物語内のアーたんは、普段は小さいですが満月の夜になると大きくなります。(作者がたまにアテネを使いたくなるから無理矢理作った設定です)
「アリス」には「アテネ」の記憶が無く、「アテネ」になると「アリス」だった頃の記憶も引き継いで戻ります。

そんな感じで、久しぶりの更新です!
それではどーぞ!




--------------------------------




親愛なる読者諸君、おはよう!(←現在午後7時を回ってます)
この作品の真のメインヒロイン、三千院ナギだぞっ!

ハヤテとヒナギクとアーちゃんが温泉旅行というワケで、ウチのアパートは今かなりサッパリとしている。
特にマリアが夕飯の準備に取りかかってしまうこの時間、遊び相手のアーちゃんがいないのは私にとってかなりの痛手となるのだ。
ちなみに、ハムスターのヤツが泊まりに来ているが、アイツも夕飯の準備を手伝っている。
あー、早く千桜のヤツがバイトから帰って来ないかな〜。

…てな事を考えていると、玄関の扉が開く音が聞こえた。



「ただいま〜」

「おぉ〜、千桜!待ちわびていたのだぞっ」

「あ、そっか。姫様もいなくてヒマしてたのか?」

「その通りなのだ!なぁ、千桜。『ヒナギク』って、10回言ってみてくれ」

「薮から棒に、一体なんだ?」

「出番が増えるぞ」

「ヒナギクヒナギクヒナギクヒナギクヒナギクヒナギクヒナギクヒナギクヒナギクヒナギク…これで良いか?」

「ああ。コレは途中から『ナギ』としか聞こえなくなる魔法の呪文だ」

「ん…ああ。確かにそうだな」

「ヒナギクを愛でていたと思ったら気付いたら私だった。この要領でハヤテも…」

「ハァ…何をバカな事を言ってるんだ」

「ヒマだからな。バカな事を考えるしかやる事が無い。あ〜、ヒマだ!」

「じゃあ…温泉とまではいかないが、銭湯にでも行くか?」

「おおっ!ソレは良い考えだ。読者もヒナギクよりマリアの裸が見たいに決まっているぞ!!」

「ジャンクにしますよ」



前略ハヤテ、アパートは平和過ぎてもうダメかもしれない。
お土産は温泉まんじゅうで頼むぞっ!



     After第2話そのB【 満月の夜、いい湯だね 】



「「「「ごちそうさまでした〜!」」」」



こんばんは、桂ヒナギクです。なんだかとっても久しぶりな気がするのは作者さんのせいかしら?
前回に引き続き、温泉宿からです。
宿の美味しい夕食に、私たち一行は満足感の余韻に浸っていた。



「いや〜美味しかった!何もしないでもご飯が出てくるだなんて、最高ですね〜」

「まあハヤテ君ったら、専業主婦みたいな事を言うのね」

「そりゃあそうよ。アパートの家事は、ほとんどがハヤテとマリアさんに集中してるから…いつもありがとうね」

「ハヤテ、私からも…いつもありがとうございます」

「い、いえ。そーゆーつもりで言った訳じゃ無かったんですが…」



照れ臭そうに答えるハヤテの姿を見ながら、いつかマリアさんの休養日を作ろうと思った。
私たちの生活を支えてくれる人たちには感謝してもしきれない。



「さて、ご飯も食べたし、私はお風呂に行って来るわ。皆はどうする?さっき入ってたけど…」

「あ、じゃあ僕もお風呂に…」

「私たちは色々見て回ってます。ね、おば様?」

「え…あ、そうだったわね〜。ヒナちゃんとのお風呂は明日のお楽しみ♪」

「わかった。じゃあ行きましょ、ハヤテ」

「ハイ」



お義母さんとアリスの目配せが少し気になったけど、特に相手にはしなかった。
なにより、温泉に浸かって旅の疲れをきれいさっぱり洗い流してしまいたいという欲求が強かったのだと思う。
手早く入浴セットを用意して、ハヤテと二人で部屋から出た。



「なんか、ホントにお二人には気を遣ってもらってる感じですね」

「そうね〜…。まあ皆楽しんでいるんだし、ココはご厚意に甘えちゃいましょう♪」

「そうですね」



二人で大浴場に向かう道…他愛も無い会話だけだけど、「二人でお風呂に向かう」という若干の非日常感が新鮮だった。



「私、時間かかると思うから、出たら先に部屋に戻っててね?」

「え…ハイ、分かりました。では、また後で…」

「うん」



入り口でハヤテと分かれて女湯へ。
夕食後すぐの時間という事もあってか、人はまばらで脱衣所は静かだった。
早速、服を脱いで浴室へ。



「あら…貸し切り状態ね」



大きな浴槽には人は入っていなかった。
早く入りたいという気持ちを抑えて、洗い場に腰掛ける。
さてさてココからが大変。私のように髪の長い人は、浴槽に浸かるまでの時間もバカにならない。

まずは髪をとかす。濡らす前に、髪のもつれや絡まりを無くさないと、傷んでしまうので。
次に髪を濡らす。濡らすというよりは「すすぐ」と言った方が良いかもしれない。
シャンプー前のすすぎをしっかりする事で、髪の汚れの8割が落とせるという話も聞いたことがある。
泡立ちも違ってくるから、ココの工程はかなり重要ね。
そして、シャンプー。爪を立てずに頭皮から。髪の毛をゴシゴシしちゃうのは傷んじゃうのでNG。
最後にまたすすぎ。コレもしっかり流して髪にシャンプーが残らないように。

文章にすると簡単だけど、実際に始めると長い長い。
洗髪に夢中になってる私は、自分に近づく人物の気配に気付く事が出来なかった。



「ふぅ…ようやく終わったわ」

「では、今度は私がお背中を流しますわ」

「ヒッ!!?」



いきなり声をかけられて、奇声と共に飛び上がってしまった。
貸し切り状態だと思い込んでいたのもあり、自分の世界に浸かっていたようだ。
その声の主を確認すると、その姿にまた驚いて変な声が出てしまう。



「て、天王州さん!?」

「あら、『アテネ』と呼んで下さいな、いつものように…」



そこにいたのは天王州アテネ。アリスではなく。
小さいときは私の腰くらいまでしかなかった身長が、私を超えるものになっていて物凄い違和感。



「な、なんで!?」

「今日は満月ですからね。ハヤテから聞いてませんでしたか?」

「あ…それは今思い出したけど、なんでお風呂に?」

「ウフッ、せっかく一晩だけでも戻れるんだから温泉に浸かっておきたいじゃありませんか。それに、ヒナと裸のお付き合いをしたいとも思いまして…さ、背中を向けて下さいな」

「……じゃあ、お言葉に甘えちゃおうかしら」



向けた背中に、石鹸を泡立てたタオルが当てられる。
たどたどしいながらも優しい手つきが、彼女が「アリス」であった事を示しているような気がした。
普段は味わえない感覚に、全身がこそばゆくなる。



「お義母さん、驚かなかったかしら?」

「まあ最初は…。でもすぐに慣れてくれましたので」

「そう。ホント、流石といえば流石ね…」



彼女との会話なんていつぶりだろう?
そんな事を考えていたら、不意に彼女の手の動きが止まる。



「ヒナの背中…今はこうして触る事が出来ますが、『アリス』にはとても高くて大きくて…手が届かないのです」

「アテネ?」

「あんなにも無力な私を、ヒナは心の底から愛してくれました。どんなに感謝しても、し尽くせません。…ありがとう」

「…うん。私こそ、アリスがいたからハヤテとの事、ここまで頑張れた。だから、ありがとう」



ザパー
洗面器に溜めたお湯を背中に流され、終了。



「じゃあ、今度は私が…。背中向けてね」

「はい、お願いします」



私に背中を向けるアテネ。
それはまるで雪のように、と言えるくらい白くて美しい肌だった。
優しく優しく、壊れ物を扱うかのような手つきでタオルをそわせた。



「キレイな肌ねぇ〜」

「ん、そうですか?」

「うん。羨ましいくらい」

「あら、ヒナのお肌も健康的で魅力だと思いますわよ」

「そ、そうかしら…?」

「ええ、『女は美しく、逞しく、愛想良く』ですわ。『アリス』としては、お愛想の点でヒナにもっと上を目指して欲しいようですわね」

「そっか。だからあの特訓なのね…」

「ウフフ…ただ面白がってるだけという訳じゃありません事よ♪」

「はぁ…それなら嬉しいんだけど」



アテネのありがたいお話を聞いている間に、背中をひと通り擦り終えた。
空になっていた洗面器にお湯を溜める。

ザパー



「ハイ、終わり」

「ありがとうございました」

「じゃ、入りましょっか♪」



備え付けの棚に入浴セットを置いて浴槽へ。

いざ入湯。
少し熱めのお湯は、まさに温泉といった感覚を覚えさせた。
今日の疲れはもちろんの事、日頃から身体に溜め込んだ悪いものまで全部お湯に流れていくよう。



「んん〜!気持ちいいわねぇ〜」

「そうですわね。やっぱり日本人なら温泉ですわね。」



私と向かい合ってお湯に浸かるアテネ。
私自身にコンプレックスがあるからなのかは定かではない。私の視線はある一点に向けられる。
少し濁った温泉水の上からでも、その大きくて柔らかそうな物が自らの存在を主張していた。



「それにしても…大きいわねぇ〜」

「え…ああ。こんなもの、愛でてくれる方がいなければ、ただただ邪魔なだけですわよ?」

「……」



しばらくの沈黙。

アテネの言葉。ただの皮肉…にも聞こえた。
が、私の耳にはハヤテとの今の関係に対して言いたい事があるように捉えざるを得なかった。
罪悪感が頭の隅にあった…とでも言えばいいのだろうか?



「アテネ!私ね…」

「ウフフ、触ってみますか?」

「えっ!?」

「まあまあ、遠慮なさらずに」



強引に私の右手を自らの左胸に持っていくアテネ。
ソレは、普段夢の中でハヤテに愛でて貰っている感触そのもので、なんていうか…ちょっと幸せになってしまっている自分がいて恥ずかしい。



「どうですか?」

「…うん。良いと思う///」

「クスッ…思春期の男の子みたいな事を言うんですね」

「んもう!怒るわよっ!!」



笑顔を絶やさないアテネ。何でそんな風にしてられるのよっ!
こ、こんな事…歩とだってした事無いのに!…したいかどうかというのはまた別の話として!!



「ウフフ、まあまあ。私にとって、ヒナがそういう存在だという事です」

「そ、そういう?」

「あっ、別に変な意味ではありませんよ?信頼のおける…という意味です」



「変な意味」という言葉の詮索をしようと思えば出来ただろうけど、ここでは割愛。
両手でお湯を掬いながら話す彼女を黙って見る。



「それで、そんなヒナの事をハヤテが好きだと言うのだから、私はそれを祝福するだけです」

「でも…」

「もちろん、未練が全く無いと言ったらウソになります。ハヤテと接する機会は誰もが平等ではありませんし、なにより私はハヤテとの距離が遠いです。『アリス』は全く別の人格なのですからね」

「……」

「でも、自分以外の誰かをハヤテが好きになって、それがヒナだった。貴女なら、私の大好きなハヤテを幸せに出来る。そう信じられます。だから、貴女で良かった。…同じ人を好きになるのって、そういう事なのだと思いますの」

「…うん」



同じ人を好きになる…なんて切ない言葉なのだろう。

歩も、ナギも、マリアさんも…
それぞれが本気でハヤテの事を好きでいたのに、その気持ちは報われない。
もし、ハヤテが私じゃなくて歩を選んでいたら…果たして今の歩と同じように接する事が出来たのかな…?

そんなエンドレスの思考の旅に出ようとした私の頭を、アテネは軽く小突く。



「と・に・か・く!私達は今のヒナとハヤテに期待してますから…小難しい事は考える必要ナシですわよ?」

「そっか…ありがと」

「ソコは、お礼よりも意気込みが欲しいところですわね…」

「え…じゃあ、がんばる!」

「ハイ。とってもぐれーとですわ♪」



満面の笑みで親指を立てるアテネ。
熱めのお湯に浸かって赤くなった顔がまたなんとも美しいと思ったのだった。



「そういえば…」

「?」

「さっきおば様とこの旅館を散策してたら、離れに露天風呂があると女将さんから聞きましたの」

「あら、そうなの」

「なんでも、17時〜22時以外は時間単位での予約制になるそうです。プライベート空間で温泉を楽しめるから、家族連れやカップルにも好評らしいですわ」

「!!?」



アテネがどういうつもりでこの話を切り出してきたのかは分からない。(という体でいこうと思う)
ただ、それを聞いた瞬間に自分の眉がピクリと動いた事を察知されないように平静を装う事で精一杯だった。



「…ふ……ふゥゥゥ〜…ん。そうなんだ…ナルホドね…。あ!じゃあ、明日の昼間にお義母さんと3人で行きましょ?ハヤテにはちょっと悪いけど…」



うん。我ながら上手い返しね。
多分、大丈夫。気付かれてないハズ!!



「そうですわね。まあ、私はまた小さくなってしまいますが、楽しみですね」

「そうねそうね〜♪で、予約っていうのは玄関の受付で良かったのかしら?」

「ハイ、一家族2回までの予約が可能との事ですわ」

「そうなの。じゃあ、上がったら早速予約に行こうかしら、私一人で!」

「そうですか。ヒナが行ってくれるのなら、安心ですわね〜♪」



コレは気づかれてないわね。
私が一世一代の大作戦を思いついた事を!(どんな内容かは、次回以降のお楽しみよ♪)
案外、アテネになるとアリスの時の妙な鋭さが無くなるのかも…。

それにしても…ハヤテと混浴…。
私ったら、いつの間にこんなに大胆なオンナになってしまったというの?キャーキャー(←作戦バラしてますよ、ヒナギクさん!)



(はぁ、ヤレヤレですわね…)



完全に手のひらの上で踊らされているのに気付けないという点で、アテネの方がアリスよりわずかに上手だという事に私が気付くのは、もう少し先の話になるのだった。



【つづく】


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【あとがき】

会ってしまったヒナとアテネ温泉編でした。ハヤテとの混浴はまだ少し先です。
というか、ほぼ出番のないハヤテ。笑
そういえば、前回のあとがきで卓球的な展開をにおわす煽りをしてましたが…予定変更となりました。スミマセン。
文中に出てないキャラの心情を掴んで頂けたかどうか…本来ならばセリフ回しとかで理解出来るようにするのが筋ですが、いかんせん文章力がアレという事で、解説による補足でご容赦ください。


■アバン

東京組、今回はナギと千桜でした。
「ヒナギク」というワード、何度も発声してると「ナギ」になってしまうのは私だけではないハズ…と思いたい。笑
ほんとにしょーもない事をさせてしまってスミマセン、千桜さん。


■サブタイトル

実は一番悩んだ所だったりします。結局は無難な感じに…。
投稿した現段階でも、なんかしっくり来ないと思ってたりします。

恥ずかしいボツ案↓

「妄想したものをアニメ化出来る道具が欲しい」
「この世で最も偉大な女神(ポロリもあるよ!)」
「"りじちょー"も"せいとかいちょー"も関係ない!!」
「ドキッ!美少女二人の温泉大会!!」

上に行くほど最後まで使おうか迷ったものになります。
コレは恥ずかしい…orz



■ヒナの髪の洗い方講座

ネットで調べたものの受け売りです。
実際、アレだけ髪が長いと手入れが面倒そうですね。


■アテネ参上

いつも急な登場をしますアテネさん。
いきなりの変身にも、ヒナママはすぐに順応してくれます。ホントに便利なキャラです。

「女は美しく、逞しく、愛想良く」…というのは、彼女がハヤテに指南した「強く在れ、優しく在れ、甲斐性を持て」という鉄の掟と対比して作ってみました。
ヒナに関して言えば、美しさ・逞しさは満点。ということで、どれだけハヤテに愛想良く出来るかというのが課題→アリスの特訓が始まったという経緯になります。

さて、今回のアテネ登場に際して書こうと思ったのは…
@アリスの母親としてのヒナへのお礼
Aハヤテの恋人としてのヒナを認めさせる
という二点でした。(続きます)


@
アリスの記憶を引き継いで大きくなったアテネは、小さい身体の無力さを身をもって知っています。
だから、ヒナとの邂逅時は何よりも先に「いつもありがとう」という流れにしようと思いました。

A
ヒナの抱いた「罪悪感」というのは、アテネがいない世界でハヤテにアプローチをして横取りをしたと思われているんじゃないかという事でした。
ただ、アテネもこの物語内での他の女の子同様、「ハヤテが好きな人と結ばれる事が一番の幸せ」という聖人君子の大前提にのっとっているので、ヒナを認めます。かなり無理矢理でしたが…。

ちなみに「同じ人を好きになるって…」というくだりですが、アテネや他の女の子にとってこの結果はあくまで妥協点という事になります。
だから、妥協の出来ないヒナは、「もし自分だったら」と考えてしまって、歩との関係に自信が持てなくなりかけてしまいました。
ただ、この物語での他の女の子たちは既に「ハヤテと自分」ではなくて「ハヤテとヒナをどう成功させるか」という事に興味がシフトしている段階になっているので、面白おかしく応援出来ているという訳になります。


■混浴フラグ

さてようやく出ましたハヤヒナ混浴フラグ。
誘うならやっぱりヒナからだろうという事で、この段階での導入となりました。
ワザとらしいヒナの返事がちょっと頑張った所です。
ヒナから誘われた時のハヤテのリアクション芸の案を頂けたら嬉しいです。笑



長々と解説でした。グダラグダラとした文章にお付き合い頂いて感謝です!!
では、ここまでありがとうございました。
ご感想等お待ちしております!!


この作者は、誤字脱字の連絡を歓迎しています。連絡は→[チェック]/修正は→[メンテ]
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Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【アフター2話-B更新】 ( No.92 )
日時: 2013/03/10 18:33
名前: ハッピーサンデー

初めまして。僕も、毎回楽しみにしています。次回も、期待しています。ヒナは、本当に可愛いですね。あの演技で、バレてないと思っているのでしょうか。アーたんも、良いですね。
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Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【アフター2話-B更新】 ( No.93 )
日時: 2013/03/11 00:21
名前: ロッキー・ラックーン
参照: http://soukensi.net/perch/hayate/subnovel/read.cgi?no=25

>ハッピーサンデーさん
ご感想ありがとうございます。

初めまして!
楽しみにしてくださっているとの事で…ありがとうございます。
かなり放置してしまってしまい、申し訳無さを痛感しております。
続きは必ず投稿致しますので、もうしばらくお待ちください。

ヒナもアリスもアテネも、ホントに可愛くて可愛くて…。
そんな可愛さを私の文章から感じて頂けてるのであれば、非常に嬉しい限りですね。

次回も是非ご覧ください。
ありがとうございました。
この作者は、誤字脱字の連絡を歓迎しています。連絡は→[チェック]/修正は→[メンテ]
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Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【アフター2話-B更新】 ( No.94 )
日時: 2013/06/18 01:30
名前: ロッキー・ラックーン
参照: http://soukensi.net/perch/hayate/subnovel/read.cgi?no=25

こんにちは、ロッキー・ラックーンです。
本当に本当に長い事放置していました。申し訳ございません。
前回更新がアニメ3期中だと思ったら、もう4期も終盤に向かっています。
ゆっくりゆっくりですが、進めていく気はありますので、お付き合い頂けると嬉しく思います。

さて、今回はまたアーたん(大)がメインになるお話です。
この流れにしようかどうかは非常に迷いましたが、なんとか仕上がりました。
お楽しみ頂けたら幸いです。

それではどーぞ!



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     After第2話そのC【 Get Back 】





「フフンフフンフンフン♪ア〜ビバノノ♪」



こんばんは、綾崎ハヤテです。今回も温泉宿からお送りしております。
いや〜、それにしても温泉はイイものですね。
日頃の疲れが吹っ飛んでしまう気持ち良さ。
思わずお風呂で定番のあの曲を口ずさんでしまう程だ。

お嬢様、元気にやってるかな…?
そろそろ夕食も終わって、千桜さんとモン●ンでもしてる頃だろうな。
そういえば、売店にご当地ア●ルーが置いてあったからお土産に買っていってあげようかな…。



「あ、今日は満月か…」



遠い東京の地で暮らす家族に思いを馳せていると、ふと大浴場の窓から見事な月が目に入る。
まんまると暗闇を照らすそれは、今日もあの女神様を連れて来るのだろう。
ところで、月を見ていると思い出す事が結構あったりする。
お嬢様と初めて出会った時、ヒナの誕生日の時、アーたんを王玉から解放した時、ヒナと恋人になれた時…と、何かしら僕の身の周りで大きな事件があった時、その空には月が綺麗に輝いていた。
さて、今夜の満月はどんな事を僕の身に起こすのだろうか…。











ゴキュッゴキュッゴキュッゴキュッ…

「プハ〜っ!う〜ま〜いっ!!」



ここは大浴場から出た先にある休憩スペース。
温泉から上がった僕は、ヒナを待つ間にコーヒー牛乳を飲んでいた。
やっぱフロ上がりにはコレが一番ですよね〜。乾いたカラダに染み渡っていく感じがもうたまらない!
後でヒナにもご馳走してあげようかな〜。



「ずいぶんとご機嫌です事ね、ハヤテ?」

「あ、アーたん!久しぶり」

「ええ、お久しぶりですわ」



空になったビンを片手にニヤニヤしてる僕に声をかけるのは、想像したとおり大きな姿になっているアーたん。
ヒナが着てたものとお揃いの浴衣姿に、はからずも胸が高鳴った。



「あれ、ヒナと一緒じゃないの?」

「ヒナにはスペシャルエステコースを予約しておきましたの。この旅行で、ヒナに日頃の疲れを癒して貰いたいという私とおば様からのプレゼントです」

「そーなんだ」



そういえば、休憩スペースとは逆方向にエステサロンがあったのを思い出した。
なるほど、ヒナはそっちに行ってるのか。となるとしばらくはアーたんと二人きりという事になるな…。
いや、別に他意は無いけど。



「コーヒー牛乳、アーたんも飲む?」

「あら、ご馳走してくださるのですか?」

「うん。じゃあ買って来るね!」



嬉々として自販機に向かう。
キラキラと目を輝かせて喜ぶアーたんの顔に、僕の歩調も軽やかになった。



「ハイ、お待たせ〜」

「ありがとう、ハヤテ。では、いただきます」


ゴキュッゴキュッゴキュッゴキュッ…


「プハーっ!コレですわね!!」

「アーたん、なんというか…ワイルドだね」

「この前ナーちゃんから見せてもらったマンガに、お風呂上がりのコーヒー牛乳の正しい飲み方が載ってましたので」



腰に手を当てて、豪快にコーヒー牛乳を飲み干すアーたん。
僕はというと、彼女としてはそのつもりが無くても、浴衣の中からその存在を主張してくる大きな胸に釘付けだった。



「…ところでハヤテ。さっきから貴方の視線で、胸のあたりが暑苦しいのですが」

「え゙っ…何の事やらさっぱり。気のせいぢゃないかな?」

「ジトー」

「あ、アハハ…」



流石にオイタが過ぎたようだ。
いえいえ!!僕はただ、そこにあるおっぱいに対して敬意を払っただけで、やましい気持ちなど一つも無いんですからね!
ヒナを愛している事とおっぱいへの敬意は全く別のものなんですよ!(←言い訳すればするほどますますドロ沼にはまる綾崎ハヤテ君)



「まったく、久しぶりに会えたというのに締まりませんわね…。場所を変えましょう。少し夜風にでも当たりませんか?」

「うん。じゃあ上着を取ってくるね」

「お願いしますわ」



気を取り直してアーたんとの時間を過ごすべく、茶羽織(浴衣の上に着るアレです)を取りに部屋へと小走りした。











「こうやって二人でいるのも、久しぶり…ですわね」

「そうだね…」



温泉宿の前にはちょっとした遊歩道がある。
街灯の数が少ない中でも月の光で十分に照らされていて明るく、かなりロマンチックな感じが漂う道だったりする。
その遊歩道を久々の身体の感覚を確かめるかのようにゆっくりと歩くアーたんの姿を、僕はその2・3歩後ろから見守っていた。
鮮やかな髪に月明かりがふんわりと落ちていく様には、神々しさすら覚えるほどだった。



「ハヤテ、今の生活はどうですか?」

「うん、すっごく幸せだよ。心の底から」

「そうですか、それは良かった。ヒナのおかげ…という所かしら?」

「それはモチロンだけど…ヒナだけじゃない。アーたんやお義母様やナギお嬢様…僕の幸せを願ってくれる人たちがたくさんいる。本当に感謝のしっぱなしだよ」



道沿いにあるベンチに腰をかけながら質問をするアーたん。
僕はその後ろに立ち、彼女の身体に触れないように背もたれの部分に体重を預ける。
ベンチの周りは見晴らしを妨げるものが無く、素晴らしい満月と星空が僕たちを包み込んでくれた。



「そうですか。自分の身の周りへの感謝の気持ちを常に持つ事というのは、簡単そうに思えてこれが中々難しかったりします。良い心がけですわね」

「うん!」



アーたんは、良いと思った事はすかさずその場で褒めて微笑みかけてくれる。
僕はこの瞬間が大好きだ。子供の時からずっと。



「私も、ヒナやおば様やナーちゃん…もちろん貴方にも。感謝しています。…いつもありがとう」

「…うん。どういたしまして、アーたん」



その小さな手を僕の手の上に乗せるアーたん。
それきり、僕たちは言葉も交わさずに美しい空を見上げていた。











「ハヤテが私を助けてくれた時も、こんな綺麗な月夜でしたわね」

「うん、そうだったね…」



長い沈黙を破ったのはアーたんだった。
立ち上がって、僕の方に向き直り、両手で僕の右手をその胸の前に誘う。



「このまま、私と一緒に何処かに行ってしまいませんか?…いえ、ハヤテと一緒に行きたいのです!」

「アーたん!?」

「借金なら私がカタをつけます。何も気にする事はありません。私は貴方が…ハヤテが好き。今でもずっとずっと」

「え…」

「だからハヤテ、私と一緒に二人でまた…」



アーたんの両手が震えているのが僕の右手に伝わる。
僕の頭は彼女の予想外の言葉と行動にパンク寸前だった。
そんな混乱した脳みそとは裏腹に、僕のまぶたの裏側には一輪の花の姿が鮮明に浮かび上がっていた。
その花は太陽を仰いでいた。その花は僕に「好きだよ」と言ってくれる代わりにそこで咲いていた。



「ごめん、アーたん。それは出来ないよ」

「……」



アーたんの手を両手で優しくほどく。
ほどいた手は、彼女の胸の前に乱暴にならないように置いて来た。



「僕は、ヒナが好き。アーたんの気持ちは嬉しいけど…僕はそれに応えられない」

「…っ」

「もちろん、アーたんも僕の大切な人だよ。初恋…だったと思う。でも、今の僕はあの時とは違うから…。だから、アーたんと一緒には行けない」

「ハヤテぇ…」



涙を見せないように僕に抱きついて来るアーたん。僕はそれを拒む事もせず、触れる事も無い。
コレが彼女に対しての最善の言葉なのかは分からない。
ただ、本気の本気で告白してくれた相手への礼儀として、自分の気持ちをハッキリと言わなくてはいけないのだと思った。



「…もう、私を抱きしめてはくれないのですね」

「ゴメンね…」



僕はそこから動かずにアーたんの身体の震えが止まるまで肩を貸した。
きっと、これで良かった。今の僕には、こう自分に言い聞かせる事しか出来ない。
誰かを選ぶという事は、他の全ての人を選ばないという事だと誰かが言っていたのをふと思い出した。



「という訳でおば様〜、もう良いですわよ〜!」

「は〜い♪」

「!!?」

「ハヤテ君、ゴメンね〜!先に謝っておくわ〜、全部見てたわよ〜」

「お義母様!?」



急に空気が変わった。ガラッと明らかに。
この物語お得意の、僕とヒナを置いてけぼりにする空気になった。



「えーと…アテネさん、コレはいったいどーいう…」

「最終回を迎えようとするにあたって、読者さん的に一番気になるかと思う所をハッキリさせておきたかったので、おば様にご協力頂きました」

「へ?」

「それにしてもハヤテ君、アッちゃんに向かってここまでハッキリ言っちゃうなんて…お母さん、どうしようかと思っちゃったわ」

「いえ、これくらい言ってくれないとこれまでの私たちの苦労は水の泡ですわ」

「あの…何がなにやらさっぱりなのですが…」

「貴方を試させてもらいました。強く、優しく、甲斐性のある…ヒナに相応しい男性かどうかを。他の女に迫られたら流されてしまうような薄情者ではなくて、安心しました」

「は、はぁ…」



最終回という良く分からない言葉に戸惑いを覚えながらも、アーたんのしたかった事が少し理解出来た気がする。
小さい頃から幾度と無く彼女を苛つかせたであろう、優柔不断の化身だった(←過去形)僕への最終試練…と言えば良いのかな?



「ハヤテ」

「?」

「貴方はヒナの事だけを愛しているのでしょう?」

「うん」

「『誰か一人を選ぶ事』というのは、とても勇気がいる事です。勇気とは、恐怖を知る事。勇気とは、無償の愛を惜しまずに差し出す事。今のハヤテには、その勇気があります。だから、もっと自分を誇っても良いのですよ」

「…そうかな?」

「そうですわ。だから、しっかり守りなさい。その手から零れ落ちてしまわぬように」



アーたんの放つ言葉は、ひとつひとつが優しく、それでいて僕に強さを与えてくれるものだった。
勇気…か。
いつの間にか僕の中に宿っていた熱い気持ちの正体は、きっとそれだったのだろう。



「ハヤテ、返事が聞こえませんわよ?」

「アーたん、お義母様。僕は、ヒナを守り抜きます!命を懸けて!!」



嘘じゃない。大口を叩いているつもりも無い。
ただ僕のしたい事、すべき事、出来る事がこの言葉の全てだった。



「うふふっ…良い返事ですわよ。ね、おば様?」

「うんうん。頼りになるわね〜。…でもね、ハヤテ君!」

「ハイ?」

「ヒナちゃんだって、なかなか強いわよ?カラダはもちろんだけど、ココロもね。だから、ハヤテ君が挫けそうな時は遠慮はいらないわ。ヒナちゃんにしっかりと守ってもらいなさい」

「……」「……」



目を見合わす僕とアーたん。
確かにヒナの人生で守るものはヒナ自身が決める事だ。
だから、その守りたいものが僕だったとしたら、これほど嬉しい事は無い。



「ハイ、お義母様!しっかりヒナに守られます!」

「流石はおば様ですわね。美味しい所を一気に持ってかれちゃいましたわ」

「えへへ〜。伊達にヒナちゃんのママを10年もやってないわよ〜♪…というワケで、ハイコレ〜!」



と、お義母様が取り出すは、お米から作られている透明の液体。
真っ白なとっくりに入っているのがなんとも風情のある…



「って、お義母様!?」

「せっかく大きいアッちゃんとも会えたんだしね、細かい事は抜き抜き〜♪」

「そうですわね〜、頂いちゃいましょうか。ハヤテはいらないのですか?」

「そ、そんな。仲間外れはやめて〜」



という訳で、いつものごとく宴会の流れに相成りました。
お義母様がどこからか出してくれたお猪口に注がれる液体からは湯気が出ていた。
いったいドコで用意して持ってきたのやら…



「では、ビッグなアッちゃんとの出会いと、ハヤテ君とヒナちゃんの未来をお祝いして…」

「「「カンパーイ」」」



お月見をしながらというのも実にオツなものだなとしみじみ思う。
普段は透き通るように白いアーたんの顔がすぐに真っ赤になったのはアルコールのせいだと思ったので、深く気にする事はしなかった。












 ざわ…
          ざわ…


「それだ、ロンっ!メンタンピンイーペーコードラ3…裏も乗って倍満だじぇ!」

「うわぁ〜、ナギちゃんそりゃ無いよぉ〜」ぐにゃあ



おっす、今日も元気だタコスが美味い!メインヒロインの三千院ナギだじぇ!
今はハムスターと17歩の勝負をしてる所なのだが…自分の強運が恐ろしいほどに勝ちまくっちゃったりしていて、機嫌がとても良いのだ。

♪〜

と、気分よく高笑いをあげている所に電話がかかって来る。
発信元は…「アリス」と表示されていた。

Pi



「はい、もしもし…ああ、そういえば今日は満月だったな。温泉は楽しんでるか〜?
 …そうか、やっぱりダメだったか。
 …へえ、ハヤテがそんなハッキリと。まあ、それはアーちゃんが相手だったからだと私は思う。うん、きっとそうだ。
 …じゃあ今度は私が慰めてやる番だ。だから、今度会う時まで泣いちゃダメだぞ!
 …引き続き二人の事は頼んだぞ。明日は…そうか、いよいよだな。あいつら、きっと驚くぞ〜。
 …では、アーちゃんもせっかくの元の身体なんだから楽しんでな。
 …うん、またな」


Pi


「アリスちゃんからかな?」

「いや、今日は満月だ。大きい方のアーちゃんだった。…ハヤテに告白出来たらしい」

「…そっか。頑張ったんだね」



今回のアーちゃん(大)の告白の件、実は私とハムスターは前々から知っていたのだ。
満月の夜に何回か会って話しているうちに、思い切って告白してみようという流れになって、私達二人で応援するという事になったのだ。
「告白出来た」から先の話をハムスターは聞いて来ない。ただただ優しくて切なそうな表情で私を見つめる。
コイツのこういう時に空気を読めるスキルは流石だと思う。



「…ところで例の作戦の方も、かな?」

「ああ、順調だそうだ。後は、あの二人が互いに踏み込めるか次第だな」

「そっか、いよいよなんだね〜。ああ、ハヤテ君…」

「コラ、そんな顔するな。皆で二人を応援する約束だろ?」

「…うん。ナギちゃんは偉いね。」

「一度決めた事だからな、当たり前だ。やるからには、徹底的に…だぞ!」



まあ、もちろんハヤテとヒナギクの事を邪魔する気は一切無い。これはアーちゃん(大)も一緒だ。
今回の温泉でも、二人の距離を一気に縮めさせるべく、いくつかのとっておきの策を練っている。
その作戦の実行役を買って出たのがアーちゃんだった。だからこそ、私達は告白の応援が純粋に出来た。
どんな作戦かって?それは…次回をお楽しみに、だぞ!
私の活躍を楽しみにしておくのだぞっ!!










「ふぇぇ〜…これは気持ちいいわぁ〜…」

(↑今回出番ナシで、エステを満喫する桂ヒナギクさんでした)




【つづく】


--------------------------------


【あとがき】


アーたん(大)のハヤテ邂逅編でした。
本気のように見えた告白が実はブラフだった。…ように見せかけておいて本当は結構本気だったという展開でした。
アテネの恋の決定的な終わり…書きたいけど書きたくないというジレンマがネタの出を遅くした要因になりました。
ハヤヒナ混浴は次回に出来たらと思っております。



■サブタイトル

ビートルズの曲名からです。
「一度いた所にまた戻って来て欲しい」というアテネの心情にピッタリでしたので、拝借させて頂きました。


■男・綾崎ハヤテ

ギャグパートではひたすらに男らしいハヤテを魅せます。
愛情とおっぱいは別物…ココまで言えればヒナも呆れてくれそうです。

シリアスパートではとにかくハッキリとした言い回し。
借金でも執事でもなく、ヒナが好きだから。他の女の子に期待させるような言い回しはダメと心に誓っています。
原作とはもはや別人ですね。


■「しっかり守りなさい」

アニメ4期のアリスのこのセリフが今回の話を書くきっかけになりました。
アニメではワタル君にかけられたこの言葉。ぜひともウチのハヤヒナに、と思った次第です。


■恒例の宴会

未成年の飲酒は法律により禁じられています。
この物語のキャラクターは特殊な訓練を受けています。
アテネの顔が赤い理由は、やっぱりこみ上げる物があったようです。


■例の作戦

もちろん、ハヤヒナをドタバタさせて距離を縮めさせるモノになっています。
ご期待ください。



…では、ここまでありがとうございました。
ご感想・ご質問等お待ちしております。
次回もどうぞ、気長にお付き合いください!!


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Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【アフター2話-C更新】 ( No.95 )
日時: 2013/06/18 21:27
名前: Hina2
参照: http://hayahina,trip.

どうも、初めまして〜。Hina2です。

今、第1話から読ませていただきました。

いやー甘いですね〜。

ハヤテがこんなキャラになるとは…(笑)

ヒナギクも凄いですね〜。

原作よりもかなり積極的で、とても可愛いですね〜。

ロッキー・ラックーンさんが書く小説は、

とても面白いです!!

これからも甘い甘いハヤヒナをお願いします。

それでは、頑張ってください!!

それでは、また。
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Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【アフター2話-C更新】 ( No.96 )
日時: 2013/06/23 01:38
名前: ロッキー・ラックーン
参照: http://soukensi.net/perch/hayate/subnovel/read.cgi?no=25

>Hina2さん
ご感想ありがとうございます。

こんな長々とした話を第1話からお読み頂いてありがとうございます。
序盤はもう2年も前に作った物なのでちょっと恥ずかしかったりもして…笑

ハヤテもヒナギクも、原作では持っているポテンシャルの10%も使ってないと思うんですよ。
だから、とにかく想い人に突っ走れるような環境を作りたい…って書いてたらこんな感じになりました。

これからも甘く甘く出来るように頑張ります。
応援ありがとうございました。
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Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【アフター2話-D更新】 ( No.97 )
日時: 2014/02/03 22:32
名前: ロッキー・ラックーン
参照: http://soukensi.net/perch/hayate/subnovel/read.cgi?no=25

こんにちは、ロッキー・ラックーンです。
本当に長い事放置しておりました。久々の更新です。
ハヤヒナ混浴編です。あと、最終回です。(小声


それではどーぞ!



--------------------------------



「ふぅ〜…お腹いっぱいです。何もせずに食べるだけだなんて、なんだか申し訳無いですねぇ〜」

「ハヤテ、お母さんみたいな事言うのね…」



おはようございます。朝もはよから綾崎ハヤテです。
旅行も2日目となりました。朝食を済ませ、ヒナと二人きりでお散歩をしてるところです。



「今日は二人で温泉に入るわよ♪」

「ほぉ〜、それはイイですね〜…って、え"え"えぇぇ!?」



いきなり何を言い出すんだこのカワイコちゃんは!?(←古い
二人で温泉って…そりゃあ入りたい。誰よりも何よりも入りたい!
けど、どーやってそんな事が出来るというのか?



「ヒナ…正気ですか?」

「ムム、それは心外ね。この旅館はね、貸切のお風呂をやってるの。で、お義母さんとアリスには内緒で予約を取っておいたの」

「そうなんですか!…という事は、お二人が寝静まってからの時間という訳ですか?」

「うん。夜の12時からよ♪でも、私が正気かどうか疑うくらいだからハヤテは私とお風呂に入りたくないんだ…グスン」

「スミマセン!そんな事あり得ません!最高です!!」

「そう?なら良いんだけど」



自らの発言のデリカシーの無さを悔やむ。
しかしなるほどなるほど、それなら合点がいく。お二人には悪いけど、確かに僕もヒナと二人きりの時間を取りたいと思っていた。あわよくば混浴も。それが男心というものですよ、お嬢様。(←なんの言い訳やら)
ただ、このタイミングで僕の方は、それをすっかり諦めていた。僕が諦めていた状況でも、ヒナが積極的に機会を作ってくれた。
ヒナが僕との時間のために頑張ってくれる。それが、たまらなく嬉しい。



「お義母さんたちが何か言ったからとかじゃなくて、私がハヤテとの思い出を作りたいなって思ったの。ハヤテはどう?」

「…僕もヒナとの思い出、作りたいです!」

「じゃあ、楽しみにしててね。…ドキドキしてる?」

「ハイ、すっごく…」

「ウフフッ、私もよ♪」



ヒナはニコリと素敵な笑みを一つ見せて、それきり前を向いて僕を先導するように歩く。彼女は今、どんな顔をしているのだろう?
とりあえずは…



(ぃやったぁぁぁあああああーーーーーーーーアイアムナンバーワーーーーン!!!!!YES!YES!!YESアスミス!!!でゅるわぁあああああぶるわっひゃあひゃひゃひゃひゃどぅるわっはあああああああああぎゃあああああうわああああああああ!)



周りに迷惑がかからないよう、心の中で雄叫びをあげた。
出来る事なら、ナギナギ体操なんかも踊っちゃったりもしたいくらいの気持ちだった。

その日一日は観光名所巡りをした。…のではあるが、何を観てもヒナと混浴できる事が頭から離れず終始うわのそらで、どんなものを観てどんなものを食べたのか、良く覚えていなかった。
旅行チケットを当ててくれたアーたんに顔向けできないなこりゃ…。





     After第2話そのD【 sotto voce 】





** AM0:00 **



アーたんとお義母様が寝静まった頃を見計らって部屋からこっそり抜け出した僕とヒナ。
貸切風呂の脱衣所の温度計は22度を表示していたが、明らかにそれよりも暑いような気がした。



「あ、あんまりジロジロ見ないでねっ!」

「はっ、ハイ!!」



皆さん信じられますか?
あの桂ヒナギクが!一糸纏わぬ姿、つまりは裸で!僕の目の前にいるんですよ!!
この衝撃と興奮を表現するには、この作者の力量じゃとてもとても…。(←余計なお世話だ)
嬉しい気持ちも確かにある。だけど、今は目の前のあまりの出来事にいっぱいいっぱいだ。
ヒナの身体を凝視しないよう、なるべく目を合わせるべく顔の方へと視線を集中させる。が、一向に僕とヒナの視線が交じる気配が無い。というのも…



「あの、ヒナ?」

「えっ?あ、なにかしら?」

「その…僕の方も、あんまり見られると恥ずかしいというか…」



ヒナの視線は僕の身体の「とある一点」に集中していたのだった。
僕に興味を持ってくれている事は、素直に嬉しい。が、今はそんな場合と違う。



「ん…あっ!その…ごめん…」

「いえ…イヤって訳ではないのですが…」



もじもじと気まずそうに視線をそらすヒナ。
そんな仕草されたら余計に気を遣っちゃうな…カワイイけど。



「とっ、とりあえず身体を軽く流して、湯船に浸かってしまいましょう!」

「そっ、そうね…」



僕の提案を合図に二人して浴室へと急ぐ。そそくさとシャワーを浴び始め、さっさと湯船に浸かる。
湯船に浸かってしまいさえすれば、お互いの身体は見えなくなる。この時ほど、温泉水が白く濁っているという事象に感謝した事は僕の人生では無かった。







カポーン



「気持ち良いわね」

「そうですね…」



ようやくひと段落。
先程からの微妙な空気も晴れ、ただひたすらに温泉の気持ち良さと、ヒナと二人きりであるという充足感を味わう事が出来た。



「それにしても、ヒナとこうしてお風呂に入れるだなんて…夢のようですよ!」

「別に東京でも一緒にお風呂に入るくらい、出来るわよ?…ちょっとハードルが高いけど」

「え!?いいんですか!?」

「別にいいわよ、そのくらい。出来ればの話だけどね…」



呆れたような笑いを浮かべながら嬉しい事を言ってくれるヒナ。
「出来れば」か…。アパート…アーたん、お嬢様。桂家…お義母様。銭湯…ムリだろそんなの。



「難しい…ですね」

「そうね。だからこそ、数少ないチャンスをものにするべきだと思うでしょ?お義母さんがいない日があったら教えるから、ウチに泊まりに来てね」

「はい…ぜひ!」

「うん、いい返事ね。ご褒美に背中を流してあ・げ・る♪」

「ふぁっ!!?」



な、なんだってー!?
全然脈絡が無い展開だぞ!僕は夢でも見ているのか?考え直してみればヒナが自分から混浴に誘ってくる事自体が非現実的だぞ。
と、紳士的な理性を働かせる僕の背中をヒナはグイグイと押して来る。



「ホラホラ、さっさとあがって〜。私に背中流されるのがイヤなの?」

「そんな訳無いじゃないですか〜。このSS的にはあんまりにも幸せな展開過ぎて信じられなくて…」

「何を訳の分からない事を言ってるの?二人っきりなんだから思いっきり甘えて良いんだからね♪」

「はぁ〜い」



うん。野暮な事は考えるだけムダだ。
ヒナが(多分メチャクチャ勇気を出して)積極的に来てくれてるこの瞬間を楽しませてもらおう。
シャワーの前にある椅子に腰掛けると、ヒナはボディーソープを泡立てたスポンジを僕の身体に這わせた。



「かゆい所はありませんか〜?」

「大丈夫でーす」

「遠慮しなくていいのよ〜?」

「…じゃあ、右の肩のあたりを」

「は〜い♪ココですか?」

「あー、そこそこ。そこイイです」



ああ、人に身体を洗ってもらうのってこんなに気持ち良いんだ…。いや、ここではヤラシイ意味ではなく。
幼少の頃の記憶を辿っても、両親に身体を洗ってもらった事はおろか一緒に入浴した覚えも無い僕にとって、ヒナの手つきの優しさは初めての経験だった。
この人の子供になる人は、本当に幸せな幼少期を過ごせるんだろうなぁと、いつだったか膝まくらをしてもらった時と同じ気持ちになった。
って、僕だけこんな幸せに浸るのもズルいよな…。



「この後は僕にもヒナのお背中、流させてくださいね♪」

「…うん、お願いね」



コレで、ヒナにお返しが出来るぞ。…って、ヒナの背中を僕が!!?
寝ても醒めてもずーっと憧れてやまなかった、あのヒナの身体を僕がこの手ですみずみまで!!?(←そこまで言ってない)
スミマセン!(←何に対しての謝罪だ)
もうしばらくイチャイチャさせてくださいね。西沢さん、男綾崎ハヤテはやりましたぞ!(←裸の彼女の前で他の女の事を考える男綾崎ハヤテ)

…なんだかさっきから野暮なツッコミがうるさいような気がするな。







「いやぁ〜最高でしたね」

「そうね♪良い思い出になったかしら?」

「それはもう!」

「良かったぁ。私もよ♪」



浴室からの帰り道、温泉と二人きりの時間によって、僕たちは心も身体もホッカホカだった。
部屋で眠っているお二人には悪いけど、あの時間が今回の温泉旅行のハイライトだった。…と、この時は思っていた。
ああ、それにしてもヒナの身体…やわらかかったなぁ〜(ニヤニヤ



「ちょっと、ハヤテ顔が緩みきってるわよ。…エッチな事考えてたでしょ?」

「え゙っ!?しまった…あ、いやその…」



うわのそらだった僕は、ヒナの指摘に完全に虚をつかれてしまった。
イカンイカン!これじゃアーたんやお義母様に顔向けできないぞ。紳士綾崎ハヤテとして、顔つきもいつもビシッとしないとな…。



「んもう、ハヤテったら…。あんな事させてあげるの、めったに無いんだからね。ありがたく思いなさいよ…」

「ハハハ、ホントに感謝しております。…でも、ヒナもノリノリでしたよね?」

「…ばか」



先程の時間を思い出したのか、ヒナは顔を真っ赤にさせて目を逸らしてしまった。が、繋いでいた手の力が強くなった。満更でも無かったという事ですね。
え、僕たちがどんな事をしてたかって?…そんなの、見ず知らずの方に言える訳無いじゃないですか〜やだ〜。
…とイチャイチャ話している間に部屋に到着した。



「じゃあ、入るわよ…静かにね…」

「ラジャー…」



ガチャリ



「「あれ!?」」



就寝中のお二人を起こさないように、そっと客室の扉を開けた。が、その気遣いは無用の長物だった模様。
目に入った状況の予想外の事態に、僕もヒナも驚きの声を上げざるをえなかった。
本来なら閉まっているはずの、玄関と寝室を仕切るふすまが全開。その寝室で寝ていたはずのお義母様とアーたんの姿がどこにも見当たらない。
百歩譲って、それだけなら慌てる事無くお二人のドッキリカメラへの心の準備をするという態勢を整えられたと思う。
僕とヒナが予想だにもしなかったのは、「布団が一式しか敷かれていない事」−−これだ。しかも「枕は二つ」という不自然さ。



「どーゆー事なの!?アレ…二人の荷物は?」

「え…と…見当たりません!」

「ホント、どうしたってゆーのよ…?ん、何これ?」



布団だけではなく、荷物まで消えている。まるで蒸発してしまったかのような消えっぷり。
と、ふと枕元に目をやってみると、可愛らしく折られた薄いピンクの紙があった。
僕より一瞬早くそれに気付いたヒナが拾い上げ、丁寧に開封していく。どうやら、お二人からの置き手紙のようだ。



「えーと、『ヒナちゃん、ハヤテ君、後は若い恋人同士で好きになさい。私たちは明日の朝まで別の部屋で寝てるからご心配無く。美人なママとキュートなお姫様より。ハートマーク』って、ええええ!?」

「マジ…ですか…?」



あまりの出来事に言葉を失う。
コレって福引きの景品でしたよね。大丈夫なんでしょうか?(←実は鷺ノ宮の系列の宿で、ナギから伊澄を経由していろいろ注文が入っている事は彼らには知る由も無かった)



「……」「……」



敷かれた布団の上に座る二人、無言の時が流れる。
流石に今の僕は、こんな空気を女の子にどうにかしてもらおうと思うほどの甲斐性無しではいられなかった。



「じゃ、じゃあ…布団もう一式敷きますね」

「いらない」

「…えっ?」

「聞こえなかった?『いらない』って言ったの」



僕の現状維持の提案に対してのヒナの言葉は、あくまでそっけなく。
それでいて、そのそっけなさが僕たちの関係をさらに進めたいという意志の表れになって僕に伝わった。



「その…いいんですか?」

「ダメ、ちゃんと言って。大丈夫だから…」



ここまで来ても最後の一歩を自分の言葉で踏み込む事が出来ない僕を、ヒナは後押ししてくれる。
そのまっすぐな目は、僕の本心からの言葉を待っていた。
覚悟を決めるんだ、綾崎ハヤテ。きっとヒナなら受け入れてくれる。



「愛してる、ヒナ」

「私も愛してる、ハヤテ…」



英語で言えば「アイラブユー」、たったそれだけの言葉。それだけで僕の想いは十分に伝わったし、ヒナのその返事だけで僕にも勇気が出来た。
小さく震える身体を抱き寄せる。僕の大好きな美しい髪を優しく梳きながら、自らの唇を彼女のそれに近づけた。僕を受け入れるヒナの笑顔がなんとなく儚げなのが印象的だった。







「ねえ、ハヤテ…」

「はい?」

「私の今いる場所(ここ)は、本当に幸せなところよ。もう、怖くなんかないわ。貴方と一緒だから…」

「ヒナ…」



僕の腕を枕にして横たわる彼女の言葉。いつぞやの僕の質問に対しての最高の答えだと思う。
あれから随分と経ったものだ。と思うと同時に、嬉しい気持ちが溢れてはからずも目頭が熱くなった。



「僕の今いる場所も、僕にとって一番幸せなところですよ。ヒナのおかげです」

「ハヤテ…おかしいね。嬉しくて嬉しくて仕方ないのに、涙が止まらないの。あの時と同じね」

「僕もです。それで、良いんだと思います。止める必要なんてありません」

「フフッ、そうね…」



僕の言葉に、ヒナの温かい涙が枕を濡らす。あの時…僕が告白した時と同じだ。
悲しみに傷ついた時と嬉しさで満たされた時、正反対の心の動きなのに身体が選ぶ反応は同じもの。人間というのは本当に不思議なものだと思う。
いつの間にかヒナは眠りについていた。



「ヒナ…貴女は僕の…」



汗で額にくっついた前髪を優しく梳くと、ヒナは満足げな寝顔で寝返りをうった。
こんな穏やかな日々をずっとこの人と一緒に過ごしていたい。心からそう思った。

僕は今、この上なく幸せだ。



【おわり】



--------------------------------



【あとがき】

という訳で、最終回でございました。
最初書いてた内容だと温泉シーンがあまりにも少なくて「どうしようどうしよう」と半年以上考えて(半年間ずっと考えたとは言ってない)こんな形になりました。
アリスの特訓のおかげで超積極的に背中を流しにかかるヒナ。うらやましい事この上なし。

・タイトル
HiNA2の曲名からそのまま持ってきました。「ソット・ヴォーチェ」と読みます。音楽の用語で、「ひそやかに、そっと」という意味です。
キャラソンの方だと叶わない恋のような話をしていますが、ココでは用語の意味通りにだけ使っております。(一体何が「そっと」なのか。それは読者の皆様のご想像の通りです。)

・今回一番やりたかった事。
例の誕生日のエピソードでの「今いる場所(ここ)は〜」というくだりに対してのヒナからの回答です。マリアさんと話していた時に一度言ってもらいましたが、そういえばハヤテにはまだだったな〜と、これまでの話を読んで一番に感じましたので…。
このやりとりをしている二人がいったいどんな格好をしているのか、そればかりは読者の皆様のご想像にお任せします。実はボツ案でもう少し表現が直接的なVerを書いてたりもしたけど…健全第一のサイトですからね(ドヤァ

さてさて、かなり急な展開ではありましたがお楽しみ頂けてたら幸いです。
本当に長期間の放置で申し訳ないばかりであります。全然ネタが浮かばない時期もありましたが、こうして投稿出来るまでの状態になんとか持っていけた事に勝手に達成感を覚えております。

とまあこの調子だと、挨拶だけで何十行にもなってしまいますので、最後にもう少しだけお付き合い下さい。今回完全放置のアリスちゃん達のお話です。





--------------------------------





「ふぅ、お疲れ様でした〜」

「お疲れ様〜♪」



皆様、ごきげんよう。アリスでございますわ。
ハヤテとヒナが私たちに内緒で(バレバレですけど)貸切のお風呂に行っている間に、私とおば様は他の部屋に移ってしまいました。
まあ、あの二人にもたまにはご褒美をあげないとかわいそうですからね。ココからは私たちはいっさい干渉しておりませんわ。



「ヒナちゃんたち、驚くかしらね〜?」

「それはもう請け合いですわ♪なんせバレてるだなんて、つゆとも思ってませんもの」

「ウフフ、バレバレなのにねぇ〜。でも二人っきりでお風呂だなんて、結構ダイタンな事をしちゃうのね〜。ママびっくりよ!」

「それだけ、普段の鬱憤が溜まっていたのでしょうね♪」



二人がどれだけ仲を深めてくるか…とっても楽しみですわ。もちろん、相応のちょっかいをかけるつもりマンマンですけどね♪

♪〜

と、祝杯をあげている所に着信が。ヒナに選んでもらったスマホの画面を見て相手を確かめてみると…やはりナーちゃんでしたわね。
こんな時間に電話をかけてくるのは、今夜の作戦を知っている彼女しかありえませんもの。



「はい、アリスでございます」

『あー、もしもし、アーちゃんか。作戦の方は上手くいったか?』

「もちろん♪今は二人きりの寝室ですわよ」

『よし、アーちゃんも桂のおば様も大変お疲れ様だったな…。ところで、ハムスターから聞いたのだが…コレが最終回だというのは、本当なのか?』

「ええ。…歩さんよくご存知でしたわね」

『そんな…まだやる事いっぱいあるだろ!?私の失恋の話とか!私が失恋から立ち直る話とか!私の新しい恋の話とか!とにかく私の出番とか!!!』

「ナーちゃん、落ち着いてください!」

『コレが落ち着いていられるかってんでい!なんだなんだ、ハヤテとヒナギクだけ気持ち良くなっておしまいかよ!メインヒロインはどうした!主役の一番の理解者はどうした!金髪びしょ「お黙りなさい!!」

『ぐう!?』

「いくら心の友と言えども、私が話そうとしている所を無視してまくし立てられては困りますわ。…よろしいですわね?(ギロリ」

『ハイ、スミマセンデシタ』

「よろしい…ではお話ししますわね。(ニッコリ)この最終回はスレッドのレス掲載数の限界近くまで来てしまったための措置ですわ。です

から、ナーちゃんも私も、『新しいスレッドでの出番がある』のですわ」

『なん…だと…?本当か…?』

「ええ。ウソだと思うのなら、http://soukensi.net/perch/hayate/subnovel/read.cgi?no=339へ行って確かめてみたらいかがですか?」

『ああ、そうしてみるのだ!!…おお、ホントだホントだ!私もアーちゃんも出番がしっかりあるではないか!でもなんでハムスターがこんな優遇されているのだ?ブツブツ…』

「まあまあ…という訳で、もうちっとだけ続くんじゃ、ですわ。引き続きお付き合いしてくださったらアリス感激!なのですわ」

『なのだ!』

「ママの活躍にも期待しててね〜♪」



【次スレッドにつづく】



--------------------------------



ハイ。最終回と言いました。(実質)ウソです。
次スレではハヤヒナ以外のキャラの活躍を交えて、書きたい事をパラパラとやっていこうと思います。タイトルも決まっておりますが、とりあえず第1話がいつになるのか分からないので「お楽しみ」という方向で。
そうです、まだまだ書き足りないのです。もっと自己満足したいのです。
もう少しお付き合いください、よろしくお願いします。


それでは、ここまで本当にありがとうございました。
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次スレもどうぞ、気長にお付き合いください!!
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