Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【アフター2話-A更新】 ( No.91 )
日時: 2012/12/18 04:07
名前: ロッキー・ラックーン
参照: http://soukensi.net/perch/hayate/subnovel/read.cgi?no=25

こんにちは、ロッキー・ラックーンです。
長い事更新をしておりませんでした。
体調を崩したり、ネタが浮かばなかったりと…

とまあ言い訳はさて置いて、温泉編第3話です。
温泉編の要、アーたん(大)が登場します。

ちなみに、新規読者様への設定の説明ですが…。
この物語内のアーたんは、普段は小さいですが満月の夜になると大きくなります。(作者がたまにアテネを使いたくなるから無理矢理作った設定です)
「アリス」には「アテネ」の記憶が無く、「アテネ」になると「アリス」だった頃の記憶も引き継いで戻ります。

そんな感じで、久しぶりの更新です!
それではどーぞ!




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親愛なる読者諸君、おはよう!(←現在午後7時を回ってます)
この作品の真のメインヒロイン、三千院ナギだぞっ!

ハヤテとヒナギクとアーちゃんが温泉旅行というワケで、ウチのアパートは今かなりサッパリとしている。
特にマリアが夕飯の準備に取りかかってしまうこの時間、遊び相手のアーちゃんがいないのは私にとってかなりの痛手となるのだ。
ちなみに、ハムスターのヤツが泊まりに来ているが、アイツも夕飯の準備を手伝っている。
あー、早く千桜のヤツがバイトから帰って来ないかな〜。

…てな事を考えていると、玄関の扉が開く音が聞こえた。



「ただいま〜」

「おぉ〜、千桜!待ちわびていたのだぞっ」

「あ、そっか。姫様もいなくてヒマしてたのか?」

「その通りなのだ!なぁ、千桜。『ヒナギク』って、10回言ってみてくれ」

「薮から棒に、一体なんだ?」

「出番が増えるぞ」

「ヒナギクヒナギクヒナギクヒナギクヒナギクヒナギクヒナギクヒナギクヒナギクヒナギク…これで良いか?」

「ああ。コレは途中から『ナギ』としか聞こえなくなる魔法の呪文だ」

「ん…ああ。確かにそうだな」

「ヒナギクを愛でていたと思ったら気付いたら私だった。この要領でハヤテも…」

「ハァ…何をバカな事を言ってるんだ」

「ヒマだからな。バカな事を考えるしかやる事が無い。あ〜、ヒマだ!」

「じゃあ…温泉とまではいかないが、銭湯にでも行くか?」

「おおっ!ソレは良い考えだ。読者もヒナギクよりマリアの裸が見たいに決まっているぞ!!」

「ジャンクにしますよ」



前略ハヤテ、アパートは平和過ぎてもうダメかもしれない。
お土産は温泉まんじゅうで頼むぞっ!



     After第2話そのB【 満月の夜、いい湯だね 】



「「「「ごちそうさまでした〜!」」」」



こんばんは、桂ヒナギクです。なんだかとっても久しぶりな気がするのは作者さんのせいかしら?
前回に引き続き、温泉宿からです。
宿の美味しい夕食に、私たち一行は満足感の余韻に浸っていた。



「いや〜美味しかった!何もしないでもご飯が出てくるだなんて、最高ですね〜」

「まあハヤテ君ったら、専業主婦みたいな事を言うのね」

「そりゃあそうよ。アパートの家事は、ほとんどがハヤテとマリアさんに集中してるから…いつもありがとうね」

「ハヤテ、私からも…いつもありがとうございます」

「い、いえ。そーゆーつもりで言った訳じゃ無かったんですが…」



照れ臭そうに答えるハヤテの姿を見ながら、いつかマリアさんの休養日を作ろうと思った。
私たちの生活を支えてくれる人たちには感謝してもしきれない。



「さて、ご飯も食べたし、私はお風呂に行って来るわ。皆はどうする?さっき入ってたけど…」

「あ、じゃあ僕もお風呂に…」

「私たちは色々見て回ってます。ね、おば様?」

「え…あ、そうだったわね〜。ヒナちゃんとのお風呂は明日のお楽しみ♪」

「わかった。じゃあ行きましょ、ハヤテ」

「ハイ」



お義母さんとアリスの目配せが少し気になったけど、特に相手にはしなかった。
なにより、温泉に浸かって旅の疲れをきれいさっぱり洗い流してしまいたいという欲求が強かったのだと思う。
手早く入浴セットを用意して、ハヤテと二人で部屋から出た。



「なんか、ホントにお二人には気を遣ってもらってる感じですね」

「そうね〜…。まあ皆楽しんでいるんだし、ココはご厚意に甘えちゃいましょう♪」

「そうですね」



二人で大浴場に向かう道…他愛も無い会話だけだけど、「二人でお風呂に向かう」という若干の非日常感が新鮮だった。



「私、時間かかると思うから、出たら先に部屋に戻っててね?」

「え…ハイ、分かりました。では、また後で…」

「うん」



入り口でハヤテと分かれて女湯へ。
夕食後すぐの時間という事もあってか、人はまばらで脱衣所は静かだった。
早速、服を脱いで浴室へ。



「あら…貸し切り状態ね」



大きな浴槽には人は入っていなかった。
早く入りたいという気持ちを抑えて、洗い場に腰掛ける。
さてさてココからが大変。私のように髪の長い人は、浴槽に浸かるまでの時間もバカにならない。

まずは髪をとかす。濡らす前に、髪のもつれや絡まりを無くさないと、傷んでしまうので。
次に髪を濡らす。濡らすというよりは「すすぐ」と言った方が良いかもしれない。
シャンプー前のすすぎをしっかりする事で、髪の汚れの8割が落とせるという話も聞いたことがある。
泡立ちも違ってくるから、ココの工程はかなり重要ね。
そして、シャンプー。爪を立てずに頭皮から。髪の毛をゴシゴシしちゃうのは傷んじゃうのでNG。
最後にまたすすぎ。コレもしっかり流して髪にシャンプーが残らないように。

文章にすると簡単だけど、実際に始めると長い長い。
洗髪に夢中になってる私は、自分に近づく人物の気配に気付く事が出来なかった。



「ふぅ…ようやく終わったわ」

「では、今度は私がお背中を流しますわ」

「ヒッ!!?」



いきなり声をかけられて、奇声と共に飛び上がってしまった。
貸し切り状態だと思い込んでいたのもあり、自分の世界に浸かっていたようだ。
その声の主を確認すると、その姿にまた驚いて変な声が出てしまう。



「て、天王州さん!?」

「あら、『アテネ』と呼んで下さいな、いつものように…」



そこにいたのは天王州アテネ。アリスではなく。
小さいときは私の腰くらいまでしかなかった身長が、私を超えるものになっていて物凄い違和感。



「な、なんで!?」

「今日は満月ですからね。ハヤテから聞いてませんでしたか?」

「あ…それは今思い出したけど、なんでお風呂に?」

「ウフッ、せっかく一晩だけでも戻れるんだから温泉に浸かっておきたいじゃありませんか。それに、ヒナと裸のお付き合いをしたいとも思いまして…さ、背中を向けて下さいな」

「……じゃあ、お言葉に甘えちゃおうかしら」



向けた背中に、石鹸を泡立てたタオルが当てられる。
たどたどしいながらも優しい手つきが、彼女が「アリス」であった事を示しているような気がした。
普段は味わえない感覚に、全身がこそばゆくなる。



「お義母さん、驚かなかったかしら?」

「まあ最初は…。でもすぐに慣れてくれましたので」

「そう。ホント、流石といえば流石ね…」



彼女との会話なんていつぶりだろう?
そんな事を考えていたら、不意に彼女の手の動きが止まる。



「ヒナの背中…今はこうして触る事が出来ますが、『アリス』にはとても高くて大きくて…手が届かないのです」

「アテネ?」

「あんなにも無力な私を、ヒナは心の底から愛してくれました。どんなに感謝しても、し尽くせません。…ありがとう」

「…うん。私こそ、アリスがいたからハヤテとの事、ここまで頑張れた。だから、ありがとう」



ザパー
洗面器に溜めたお湯を背中に流され、終了。



「じゃあ、今度は私が…。背中向けてね」

「はい、お願いします」



私に背中を向けるアテネ。
それはまるで雪のように、と言えるくらい白くて美しい肌だった。
優しく優しく、壊れ物を扱うかのような手つきでタオルをそわせた。



「キレイな肌ねぇ〜」

「ん、そうですか?」

「うん。羨ましいくらい」

「あら、ヒナのお肌も健康的で魅力だと思いますわよ」

「そ、そうかしら…?」

「ええ、『女は美しく、逞しく、愛想良く』ですわ。『アリス』としては、お愛想の点でヒナにもっと上を目指して欲しいようですわね」

「そっか。だからあの特訓なのね…」

「ウフフ…ただ面白がってるだけという訳じゃありません事よ♪」

「はぁ…それなら嬉しいんだけど」



アテネのありがたいお話を聞いている間に、背中をひと通り擦り終えた。
空になっていた洗面器にお湯を溜める。

ザパー



「ハイ、終わり」

「ありがとうございました」

「じゃ、入りましょっか♪」



備え付けの棚に入浴セットを置いて浴槽へ。

いざ入湯。
少し熱めのお湯は、まさに温泉といった感覚を覚えさせた。
今日の疲れはもちろんの事、日頃から身体に溜め込んだ悪いものまで全部お湯に流れていくよう。



「んん〜!気持ちいいわねぇ〜」

「そうですわね。やっぱり日本人なら温泉ですわね。」



私と向かい合ってお湯に浸かるアテネ。
私自身にコンプレックスがあるからなのかは定かではない。私の視線はある一点に向けられる。
少し濁った温泉水の上からでも、その大きくて柔らかそうな物が自らの存在を主張していた。



「それにしても…大きいわねぇ〜」

「え…ああ。こんなもの、愛でてくれる方がいなければ、ただただ邪魔なだけですわよ?」

「……」



しばらくの沈黙。

アテネの言葉。ただの皮肉…にも聞こえた。
が、私の耳にはハヤテとの今の関係に対して言いたい事があるように捉えざるを得なかった。
罪悪感が頭の隅にあった…とでも言えばいいのだろうか?



「アテネ!私ね…」

「ウフフ、触ってみますか?」

「えっ!?」

「まあまあ、遠慮なさらずに」



強引に私の右手を自らの左胸に持っていくアテネ。
ソレは、普段夢の中でハヤテに愛でて貰っている感触そのもので、なんていうか…ちょっと幸せになってしまっている自分がいて恥ずかしい。



「どうですか?」

「…うん。良いと思う///」

「クスッ…思春期の男の子みたいな事を言うんですね」

「んもう!怒るわよっ!!」



笑顔を絶やさないアテネ。何でそんな風にしてられるのよっ!
こ、こんな事…歩とだってした事無いのに!…したいかどうかというのはまた別の話として!!



「ウフフ、まあまあ。私にとって、ヒナがそういう存在だという事です」

「そ、そういう?」

「あっ、別に変な意味ではありませんよ?信頼のおける…という意味です」



「変な意味」という言葉の詮索をしようと思えば出来ただろうけど、ここでは割愛。
両手でお湯を掬いながら話す彼女を黙って見る。



「それで、そんなヒナの事をハヤテが好きだと言うのだから、私はそれを祝福するだけです」

「でも…」

「もちろん、未練が全く無いと言ったらウソになります。ハヤテと接する機会は誰もが平等ではありませんし、なにより私はハヤテとの距離が遠いです。『アリス』は全く別の人格なのですからね」

「……」

「でも、自分以外の誰かをハヤテが好きになって、それがヒナだった。貴女なら、私の大好きなハヤテを幸せに出来る。そう信じられます。だから、貴女で良かった。…同じ人を好きになるのって、そういう事なのだと思いますの」

「…うん」



同じ人を好きになる…なんて切ない言葉なのだろう。

歩も、ナギも、マリアさんも…
それぞれが本気でハヤテの事を好きでいたのに、その気持ちは報われない。
もし、ハヤテが私じゃなくて歩を選んでいたら…果たして今の歩と同じように接する事が出来たのかな…?

そんなエンドレスの思考の旅に出ようとした私の頭を、アテネは軽く小突く。



「と・に・か・く!私達は今のヒナとハヤテに期待してますから…小難しい事は考える必要ナシですわよ?」

「そっか…ありがと」

「ソコは、お礼よりも意気込みが欲しいところですわね…」

「え…じゃあ、がんばる!」

「ハイ。とってもぐれーとですわ♪」



満面の笑みで親指を立てるアテネ。
熱めのお湯に浸かって赤くなった顔がまたなんとも美しいと思ったのだった。



「そういえば…」

「?」

「さっきおば様とこの旅館を散策してたら、離れに露天風呂があると女将さんから聞きましたの」

「あら、そうなの」

「なんでも、17時〜22時以外は時間単位での予約制になるそうです。プライベート空間で温泉を楽しめるから、家族連れやカップルにも好評らしいですわ」

「!!?」



アテネがどういうつもりでこの話を切り出してきたのかは分からない。(という体でいこうと思う)
ただ、それを聞いた瞬間に自分の眉がピクリと動いた事を察知されないように平静を装う事で精一杯だった。



「…ふ……ふゥゥゥ〜…ん。そうなんだ…ナルホドね…。あ!じゃあ、明日の昼間にお義母さんと3人で行きましょ?ハヤテにはちょっと悪いけど…」



うん。我ながら上手い返しね。
多分、大丈夫。気付かれてないハズ!!



「そうですわね。まあ、私はまた小さくなってしまいますが、楽しみですね」

「そうねそうね〜♪で、予約っていうのは玄関の受付で良かったのかしら?」

「ハイ、一家族2回までの予約が可能との事ですわ」

「そうなの。じゃあ、上がったら早速予約に行こうかしら、私一人で!」

「そうですか。ヒナが行ってくれるのなら、安心ですわね〜♪」



コレは気づかれてないわね。
私が一世一代の大作戦を思いついた事を!(どんな内容かは、次回以降のお楽しみよ♪)
案外、アテネになるとアリスの時の妙な鋭さが無くなるのかも…。

それにしても…ハヤテと混浴…。
私ったら、いつの間にこんなに大胆なオンナになってしまったというの?キャーキャー(←作戦バラしてますよ、ヒナギクさん!)



(はぁ、ヤレヤレですわね…)



完全に手のひらの上で踊らされているのに気付けないという点で、アテネの方がアリスよりわずかに上手だという事に私が気付くのは、もう少し先の話になるのだった。



【つづく】


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【あとがき】

会ってしまったヒナとアテネ温泉編でした。ハヤテとの混浴はまだ少し先です。
というか、ほぼ出番のないハヤテ。笑
そういえば、前回のあとがきで卓球的な展開をにおわす煽りをしてましたが…予定変更となりました。スミマセン。
文中に出てないキャラの心情を掴んで頂けたかどうか…本来ならばセリフ回しとかで理解出来るようにするのが筋ですが、いかんせん文章力がアレという事で、解説による補足でご容赦ください。


■アバン

東京組、今回はナギと千桜でした。
「ヒナギク」というワード、何度も発声してると「ナギ」になってしまうのは私だけではないハズ…と思いたい。笑
ほんとにしょーもない事をさせてしまってスミマセン、千桜さん。


■サブタイトル

実は一番悩んだ所だったりします。結局は無難な感じに…。
投稿した現段階でも、なんかしっくり来ないと思ってたりします。

恥ずかしいボツ案↓

「妄想したものをアニメ化出来る道具が欲しい」
「この世で最も偉大な女神(ポロリもあるよ!)」
「"りじちょー"も"せいとかいちょー"も関係ない!!」
「ドキッ!美少女二人の温泉大会!!」

上に行くほど最後まで使おうか迷ったものになります。
コレは恥ずかしい…orz



■ヒナの髪の洗い方講座

ネットで調べたものの受け売りです。
実際、アレだけ髪が長いと手入れが面倒そうですね。


■アテネ参上

いつも急な登場をしますアテネさん。
いきなりの変身にも、ヒナママはすぐに順応してくれます。ホントに便利なキャラです。

「女は美しく、逞しく、愛想良く」…というのは、彼女がハヤテに指南した「強く在れ、優しく在れ、甲斐性を持て」という鉄の掟と対比して作ってみました。
ヒナに関して言えば、美しさ・逞しさは満点。ということで、どれだけハヤテに愛想良く出来るかというのが課題→アリスの特訓が始まったという経緯になります。

さて、今回のアテネ登場に際して書こうと思ったのは…
@アリスの母親としてのヒナへのお礼
Aハヤテの恋人としてのヒナを認めさせる
という二点でした。(続きます)


@
アリスの記憶を引き継いで大きくなったアテネは、小さい身体の無力さを身をもって知っています。
だから、ヒナとの邂逅時は何よりも先に「いつもありがとう」という流れにしようと思いました。

A
ヒナの抱いた「罪悪感」というのは、アテネがいない世界でハヤテにアプローチをして横取りをしたと思われているんじゃないかという事でした。
ただ、アテネもこの物語内での他の女の子同様、「ハヤテが好きな人と結ばれる事が一番の幸せ」という聖人君子の大前提にのっとっているので、ヒナを認めます。かなり無理矢理でしたが…。

ちなみに「同じ人を好きになるって…」というくだりですが、アテネや他の女の子にとってこの結果はあくまで妥協点という事になります。
だから、妥協の出来ないヒナは、「もし自分だったら」と考えてしまって、歩との関係に自信が持てなくなりかけてしまいました。
ただ、この物語での他の女の子たちは既に「ハヤテと自分」ではなくて「ハヤテとヒナをどう成功させるか」という事に興味がシフトしている段階になっているので、面白おかしく応援出来ているという訳になります。


■混浴フラグ

さてようやく出ましたハヤヒナ混浴フラグ。
誘うならやっぱりヒナからだろうという事で、この段階での導入となりました。
ワザとらしいヒナの返事がちょっと頑張った所です。
ヒナから誘われた時のハヤテのリアクション芸の案を頂けたら嬉しいです。笑



長々と解説でした。グダラグダラとした文章にお付き合い頂いて感謝です!!
では、ここまでありがとうございました。
ご感想等お待ちしております!!