Re: しあわせの花(ハヤヒナ)【第5話更新】 ( No.25 )
日時: 2011/11/06 01:06
名前: ロッキー・ラックーン
参照: http://hinayume.net/hayate/subnovel/read.cgi?no=7738

こんにちは、ロッキー・ラックーンです。
「HiNA2」の発売も決定だそうです。嬉しすぎる…
「HiNA」からもう約3年…時が経つのは早いです。

今回は一風変わった趣向にしましたお話です。
それではどーぞ!


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皆様ごきげんよう。
アリス(仮名)でございます。
今、私は非常に困っておりますの…大事件です。


     第4.5話オモテ【京アニがアニメ化とかしてる方の日常】


本日の起床…正午。

ヒナとハヤテと千桜さんは学校へ。
マリアさんは最近趣味でハマっているというセパタクローへという書置きが。
つまり私の他にこのアパートにいる人間はいないという事なのです…ただ一人を除いて。

コンコン

「ナギさん、いらっしゃいますか?」


返事が無い、ただの空室のようですわね…
いえいえ、あの方が普通に起きて学校だなんてあり得ませんわ!


「ナギさん!入りますわよ!!」


と言いながらズカズカと入っていきますと…
やはり、中には布団にうずくまる大家さんの姿がありました。


「ナギさん!起きてください!大事件ですわよ!!」

「う〜んムニャムニャ アニメ第3期なんて幻想か〜ムニャラ」

「アニメ3期も大事件も現実ですわよ!!」

「なにーーー!…って、アリスじゃないか。こんな朝早くにどうしたと言うのだ?」


「朝早く」なんてどの口がおっしゃいますか…
おっと、そんなツッコミより事件ですね。


「落ち着いて聞いてください。今、このアパートには…私と貴女しかいないのです!」

「ふ〜ん…」

「何をのんきにしてらっしゃるのですか!?私たちでどうやって昼食の用意をすれば…」

「見くびるなよ、お姫様!!」

「!!」


おお、寝起きだというのに急に頼もしく見えてきましたわ。
さすがに今の私の倍の年齢だと言えますね…


「誰もいないなら…寝ながら帰りを待てば良いではないか!」


ズコー

この私をギャクまんがのようにコケさせるとは…さすがは三千院家のご令嬢。
そこにシビれもしませんし、憧れもしませんけど。
それにしてもダメですわこいつ…早くなんとかしませんと…


「じょ、冗談だ!昼メシくらい、この私に任せろ!!」

「ジトー」


さすがにこのドン引きの視線を送れば、日和ってくれましたわね…
でも、事態としては一つも前に進んでないような気もしますが。


「さて、着替えも済んだ!アリスよ、これから私は千桜直伝の究極奥義を使うぞ!!」

「して、その究極奥義とやらは何でしょうか?」

「フフフ、聞いて驚くな…コンビニ弁当だぞ!!」


・・・


「まあ、昼食さえ調達出来れば良いですからね…」

「頼む、ソコはツッコんでくれ…」


マリアさんが出かけるのに、私たちの昼食の用意をしてない事は少々不自然に思いましたが(毎日本当にありがとうございます)、実はナギさんが「コンビニに一人で行ってみたい」と事前に言っていたそうなのです。


「さぁアリスお嬢様よ、何でも食べたいものを言ってくれ!」

「…では、焼きそばを」


以前、ヒナが昼食に作ってくれた焼きそばがとても美味しくて、それから私の好物になりました。
ちなみにハヤテとマリアさんにも別の日に作ってもらいましたが、それぞれ味付けの好みが違うようです。


「なに、そんなもので良いのか?任せておくアルよ!」

「ある…?」

「すまん、聞かなかった事にしてくれ…では、お留守番頼んだぞ!」

「はい…早く帰って来てくださいね?」

「ああ。…三千院ナギ、ガン○ムスロー○ド○イ、行きまーす!!」


なんだかよく分からない事を言いながら行ってしまいました。
そしてついにアパートには私一人となってしまいました。
一人きりは慣れっこでしたが、最近のココの賑やかさを思い出すと少々寂しいですわね…


ピンポーン

アンニュイな気持ちから我に返させる呼び鈴。
少し寂しかった所ですし、ちょうど良いタイミングですわ。

ピンポンピンポン
ピンポーン


「はいはーい!」


と扉を開いた瞬間、稲妻が走り土砂降りの雨となった。


「新聞を取ってください」

「え!?」


何ですかこの世紀末な感じの方々は!?
というかつい一瞬前まで快晴でしたわよね?


「新聞を取ってください」

「えと…今は主人が留守ですので…」

「ホホホ、たとえ世界が破滅しても新聞を取らなそうな顔をしてるね。
傘も差さずに勧誘する…みじめな姿はしれた事。しかしこうして自然の音を直に感じる…これが一番の音楽だと気付く…
さあ、新聞を取ってください」


ダメだ、何も聞いてませんわ!
今の姿の私に新聞だなんて、いったい何を考えてるのでしょう?


「すみませんが、子供の私では…」

「頑(かたく)なな女だね…頑なな女は全滅したと聞いたが、まさかこの関東に生き残ってたとはね…彦六!!」

「ヘイ!」

「こうなったら、アレをお見舞いしな!!」

「クックック…」


彦六と呼ばれた手下っぽい世紀末な方が前に出てきました。
そのトゲトゲしい服で私は何をされるというのですの!!?


「今流行りの恋愛の泣けるマジな映画のチケットです」

「ほえ?」

「フフフ…では、パパとママによろしく…」


去ってしまいました。映画のチケットを残して…
そして天気はまた快晴になりました。
これはいったい…

それから10分後


「おーい、帰ったぞ!!」

「おかえりなさい。」

「それより聞いてくれ!帰り道に凄い連中とすれ違ったぞ。それはもうもはや世紀末といった感じの…」


何故だか知りませんが、ナギさんの口調はとてもエキサイトな感じです。
あーいった方々に憧れてるのでしょうか…?


「私も南斗五車星の一角の娘として一戦交えてみたいところだったが、持病のシャクが…」


もう私もお腹が空いて少し気が立っているのでツッコみません。
こうなったら自分で本題に入るしか無さそうです。


「ナギさん、そんな事よりもお昼食はまだでしょうか?」

「おお、すまんすまん。アリスはこれだったな…ホレ!」


と、ようやく渡されるはコンビニの袋。
やっと昼食にありつける訳ですわね…


「ありがとうございます………!!?」


容器を開けてみると、そこには焼き魚が一尾。
少々展開についていけませんが…
まさか!まさかとは思いますが…


「ナギさん…これって…?」

「ん?焼き鯖(さば)だぞ」

「私がお願いしましたのは…?」

「え?焼き鯖だろ?」





「焼きそばですわ!!!」





「もしかして…聞き間違えちゃったか?メンゴメンゴ」

「そんなカワイイレベルの問題じゃありませんわ!ゆゆしき問題です事よ!!」


や…やはりナギさんの聞き間違えですか…
それにしても、よくコンビニに焼き鯖なんてありましたわね…
まあ、ナギさんも悪気があった訳じゃありませんし、犠牲になった鯖の命のためにも頂く事にしましょうか。


「はぁ…せっかく買って来て頂いたので、これを頂きますわ…それで、ご飯のほうは?」

「? …どゆこと?」





「白メシですよ!!!」





「え、いや…そんだけだが…」

「単品で食べろとおっしゃるのですか!?」

「いや、だってアリスが焼き鯖って言ったから…」





「焼きそばですわよ!!!」





「焼いたソバです!」

「でも、ホラこーゆー事件もブログとかに書いて消費すれば…」

「ブログなんてやってませんわよ!」

「えーっと…じゃあ、鯖のみで」





「鯖ぁーーーーっ!!」

↑叫ばずにはいられません。



「だいいちナギさんには前々からイライラしてたのです!ハヤテが毎日毎日起こしてるのにサボってばかり!少しは自分で起きるとかしたらいかがですか、この引きこもり!!」


カチーン

「…私が引きこもりなのとアリスが鯖を食うのは全然関係無くないか?」

「全然関係ありますわよ!」

「何だよ!?言ってみろ!!」

「引きこもりだから鯖単品を不思議と思わず買ってくるんでしょう!!」

「だぁあああ!!」




「聞き間違いくらい、誰だってあるだろ!?それをネチネチと…引きこもりじゃないし」

「幼少の身体には昼食は死活問題ですわ!引きこもりには分からないでしょうけど」

「引きこもりじゃないし」

「言っておきますけどね、今度からナギさんは絶対起こして差し上げませんわよ!?」

「はいはいそりゃ結構!アリスが起きられなくても起こしてあげないぞ!!」

「誰が貴女みたいな引きこもりに起こされると言うのですか!」

「引きこもりじゃないし!」

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「お話の続きだけど、ごめんなさい。桂ヒナギクよ!

いきなりだけど、むかし戦から五十歩逃げた兵士が、百歩逃げた兵士の事を笑ったという事があったの。
でも、五十歩逃げた兵士も『逃げた』事には変わらないということで、『程度の差はあっても本質的には変わらない』という意味で『五十歩百歩』という言葉が生まれたわ。
日本のことわざの『どんぐりの背比べ』も同様の意味になるわね。

…ひょっとして今回の私の出番ってココだけかしら?」

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「引きこもり引きこもりうるさいぞ!お前だってハヤテやヒナギクがいないと何も出来ないじゃないか!!」

「私は子供ですわよ!貴女の半分にも満たない年頃ですわ!!…それにしても何なんですか、いつも描いているあのマンガは!!アホですか!!」

「な、な、なん…だと…もういっぺん言ってみろ!」

「何度でも言って差し上げますわよ!アホですかアホですかアホですか!!」

「こ…の…アホでも引きこもりでもない!!ほら、お前が頼んだ焼き鯖だ!!文句を言わずにさっさと食え!!」





「焼きそばでしょうが!!!」





「だぁぁ、もう!!そんなに焼きそばが好きなんだったら…私がハヤテに習って作ってやらない事も…無いぞ?」

・・・←微妙な間

「な、な、な…何を言ってるんですの!?…でも、貴女のそういうポジティブな所…嫌いではありませんわよ?」

・・・←微妙な間2

「は、はぁ〜!?何言ってるんだ!…可愛いくせに!!」

「うるさいですわ!この…ツンデレの天才!いえ、天才のツンデレ!!」

「そっちこそお姫様のツンデレのくせに」

「そっちこそ可愛いくせに!」

「そっちこそ可愛いくせに!…アーちゃん!!」

「逆にそっちこそ可愛いくせに!…なら貴女はナーちゃんですわ!!」

・・・←微妙な間3

いつの間にか、私たちは固い握手を結んでいました。


つづく





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おっす!オラ、三千院ナギ!
「ハヤテのごとく!」のメ・イ・ン!ヒロインだぞ。
断じてニートでもなければ、引きこもりでもない。
今回はこのメインヒロインの私の恋物語をしてやるから、ありがたーく読むのだぞ!


     第4.5話ウラ【想い断ちがたく、初恋なりがたし】


「みんな帰ってくるの遅いな〜」

「そうですわね…」


今日は私と、さっき親友になったアリスと二人で留守番だ。
昼食も何とか済ませ、非常にタイクツな時間を送っている。
まったく、ハヤテもマリアも主人に留守番させるとはどーゆーことなのだ!?(←平日で学校がある日です)


「そういえば先程、こんなものを例の方々から頂きましたの」


と言ってアリスが差し出すは、今流行りの恋愛の泣けるマジな映画のチケットだ。
あの世紀末な連中がまさか新聞の勧誘などとは誰も信じるまい…


「むむむ…コレは…」

「どうしましょう?せっかく頂いたものですし、無駄にするのも勿体無いお話ですわ」


正直、私もこんな映画興味無い。
観るなら断然、今年映画化した執事コメディのアニメ映画だ。(メインヒロインが最高だぞ!)
いわゆるカップル向けの映画であり、このチケットを譲ってやる相手とそいつが誰を誘って行くかなんて事が私の頭の中で高速ではじき出された。
自分ではじき出しておいて、その男女の組み合わせに複雑な気持ちになる。


「なあ、アーちゃん…」

「なんでしょうか?」

「お前、ハヤテの事…好きか?」

「ええ、もちろん好きですわよ。…ナーちゃんもそうでしょう?」

「ああ、私も好きだ…初恋だった」

「『だった』のですか?」

「ああ…」


いきなりだが、最近…失恋した。いや、前々から勘付いてはいたけど。
私はハヤテと恋人同士だと思い込んでいた。出逢った時の言葉を勘違いして。
その勘違いの経緯(いきさつ)を先日、マリアに問いただしたのだ。
それを聞き、今までどうにも合点がいかなかった出来事のつじつまが合い、自分の思い込みだった事を自覚した。

確かに男女として愛し合っている事は思い込みだったけど、私とハヤテの間にある絆は思い込みではない。コレだけは譲れない。
だから、癇癪を起こしてクビだのなんだのと騒ぐような事は無い。ありえん。

そしてそのハヤテはというと、完全にヒナギクにゾッコンだ。
私もガキとはいえ、一応オンナだ。それくらいは見て分かる。

主人として、ハヤテの幸せを願う気持ちはウソじゃない。
アイツはこれまでずっと死に物狂いで頑張ってきたんだ。
好きな女にくらい振り向いてもらってもバチなど当たらない。
分かってる、分かってるんだけど、ハヤテが欲しいというワガママな感情を消し去る事が出来ない。
いっその事、記憶を全部捨ててしまいたい。この身体ごと消えてしまえば良い。
そんな風に考えてしまい、ハヤテの恋に対してイマイチ応援が出来てない今日この頃だ。


「私も…初恋でしたわ」

「そうか…お互い辛いな」


コツンと、アーちゃんが肩を寄せてきた。
やめろよ…そんな事したら…ガマン出来なくなっちゃうじゃないか…


「う…うぁ…うぁぁああ…」

「うっ…ぐすっ…」


泣いた。二人して泣きまくった。

私もアーちゃんもお互いに、支えが欲しかったんだと思う。
ハヤテが、ヒナギクが悪いわけじゃない。
でも、そうなってしまうと、この溢れる想いはどこに行けばいい…?
その行き着いた答えが今という瞬間なんだなと、脳内の冷静な自分が見て思っていた。


・・・


「泣いたな…」

「ええ、泣きまくりましたわね…」

「ハハ、なんかサッパリしたな〜!」

「ナーちゃんもですか?私もです」

「映画のチケット…ハヤテにやっていいか?」

「ええ、もちろんです!で、そのお相手は…」


「「ヒナ(ギク)!」」


心の整理もした。失恋仲間も出来た。上出来な初恋だったのではないか?
後は、その初恋の相手を幸せにしてやる、私の力で!
失恋パワーってやつなのか?なんか恋してた時よりみ・な・ぎっ・て来てるのは気のせいか…?


「それにしても、アイツら…見てるこっちがイライラする両想いっぷりだよな」

「そうですわよ!この間なんて、ヒナが膝まくらで頭ナデナデまでしてあげてたのに…ハヤテはその後何もしなかったのですよ!」

「なにーー!?まったく!ハヤテはまったく!!」


少しウソをついたな。
やっぱり、簡単に想いを断ち切る事は出来ないや。
ゆっくり、ゆっくりと自分のペースで…また新たな恋が芽生えるのを信じて、気長にやろうと思う。


「私たちの力で、さっさとアイツらくっつけてやるぞ!アーちゃん!!」

「がってんしょうちですわ、ナーちゃん!!」


ふたつの恋が終わりを迎えた。
しかしそれは、新たな恋とひとつの友情のスタートになるのだった。


第5話につづく


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【あとがき】

(オモテ)
コメディ専門パートでした。ナギ・アリスのじょーじょー友情のエピソード。
完全にマンガ「日常」のパクりです。ハヤテ29巻に「してない方の日常」というサブタイトルがあったのが印象的だったので、逆バージョンをやってみました。
アーたんを好き勝手に喋らすのが楽しかったです。
ネタは、「日常」3巻と7巻から取ってるので、ご興味ある方はご覧ください。

アーたんが焼きそばを好きになった所は、ヒナが料理しているところにアリスがいて、二人でお喋りしてるシーンなんてあったら良いなと思って考えました。
母親なヒナが見てみたい欲求が自分にはあるみたいです。笑


(ウラ)
サブタイトルは、「HiNA」の曲からです。金髪幼女たちの恋の終わりエピソード。
これが無くちゃハヤテとヒナをくっつけられません。
思ったより全然シリアスになってビックリ。

今の段階は空元気かもしれませんが、時間とともにハヤテへの恋心が愛情になっていくと思います。
原作では考えられない精神の成熟っぷりですね。

ハヤヒナは出番ナシでした。スミマセン!!
映画はまた次回以降です…。


それでは、ご感想・ご質問などお待ちしております。
ありがとうございました。