「支天輪の彼方で」10周年記念総括文  RSS2.0

2.双剣士のバックボーン(1)


Since : 2008.10.12
written by 双剣士
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はじめに双剣士のバックボーン(1)双剣士のバックボーン(2)取扱いジャンルの変化SS関連企画テキスト系企画読者参加系企画思い出のSS(1)思い出のSS(2)思い出のSS(3)今後の方針サイト移転についておわりにご意見専用掲示板

 「支天輪の彼方で」は開設当初はアニメ感想サイトになるはずでした。もう少し正確に言うと「マウスで触ると変化する画像メニュー」をトップページにて実現することが当時最大の眼目であり、メニューをくぐり抜けた先にあるコンテンツについては真剣に考えていませんでした。開設直後に設置したアニメ感想ページが残っていますが、書き込むための枠作りだけが先行して中身が一切更新されないまま、1ヶ月後のSS目次ページ創設と入れ替わる形で退場させてしまっています。初心者にありがちな三日坊主のくせに読者からの投稿にはちゃっかり便乗しようという、厚かましくも浅ましい態度を当時はとっていたわけです。
 毎年書き連ねている総括文はSSサイト運営の経験について記録するものですので、こうした目的の定まらない時期のことについては深く触れてきませんでした。しかし10年を経過して振り返ると、自分の設定した目標に向かって努力するという殊勝な態度を取って“いなかった”頃の行動のほうが、良くも悪くも双剣士の本質を分かりやすく示していたような気がします。ちょっとした自分語りになりますが、プロローグ編としてお付き合いください。

【ゲーム作者としてのバックボーン】

 もともと私は文芸サークル出身でもなければヲタク友達に囲まれてたわけでもなく、理系大学に通う平凡な学生でした。まだパソコンを持つことが一般的でなかった当時、学生たちはポケットコンピュータという高機能電卓を生協で共同購入して実験などで用いることになっていました。暇があるうえに凝り性だった私は生来あった歴史小説趣味とをミックスして、ポケットコンピュータ上で動作するRPGや格闘ゲーム、戦略シミュレーションゲームなどを作るようになりました。(ちなみに「双剣士」というHNはこれらのゲームを雑誌投稿していた頃、最初のゲームが剣闘アクションものだったことから名乗り始めたのが由来です)
 その後のパソコンの普及に伴い、ポケットコンピュータの投稿雑誌は休刊になってしまいます。絵が描けなかった私はパソコン向けゲームの世界への乗り換えに失敗し、ゲーム制作趣味から足を洗うことになりました。

 そんな私がインターネット接続環境を得たのは1998年5月のこと。そこで2次小説というネットの楽しみ方に出会い、自分もまた書き手としてその世界に飛び込んでいく過程については2周年総括文で詳述してありますが……実を言いますと、あそこでは書かなかった2つの側面があります。
 ひとつはHTMLおよびJavaScriptとの出会い。あのカラフルなWebサイトが記号を並べたテキストファイルで組み立てられていること、読者の方からボタンを押したりマウスを動かしたりすることでWebサイトの絵を切り替えたり文字を動かしたりできること……これを知った途端、眠ってたはずのゲーム作者としての血が沸き立ちました。その勢いのままに、ポケットコンピュータ時代に好評を博した派閥抗争シミュレーションゲームをJavaScriptに移植したのが『選帝侯クラウス』です(別のサイトで現在も公開中)。地味なゲームではありましたけど、HTMLを手書きで扱えるレベルまで習熟し、それをスクリプトを用いて動的に書き換える方法を手に入れる大きなきっかけになりました。まだ「支天輪の彼方で」を開設する前の出来事です。

 支天輪画像に触れることでメニューが切り替わるという、一風変わったトップページに当サイトが一貫してこだわっているのは、それが当サイトで最初にやりたかった挑戦でありサイト誕生の原風景でもあるからです。さらに言うと小説の執筆計画を放り出してRSSやWeb植樹などのスクリプトを作ってみたり、小説投稿掲示板を改造してみたり、しつとらADVみたいなテキストアドベンチャーを作成したりしているのは、「ゲーム作者/スクリプト使いの双剣士」が「SS作者の双剣士」に代わって顔を出すことがある証でもあります。
 現在の「支天輪の彼方で」は紛れもないSSサイトです。しかしそこの運営者はSSを書きたくてサイトを開設したわけではないし、現在でもSS執筆より別のことを優先してしまうことが往々にしてあります。中途半端な浮気性とのそしりを免れないと自分自身でも考えていた時期がありましたが、10年目の今になって振り返ってみると数々の失敗や挫折を味わいつつもサイト閉鎖に至らなかったのは「面白いSSを提供することが当サイトの使命!」と公言しつつも心のどこかで逆のことを考えるという余裕があったからかもしれません。またこういう遊びの技を持ってたおかげで、サイト運営のマンネリ化を防ぐことができたという面も少なくなかったのかも知れません(あくまで私自身にとっては)。


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