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【小説投稿】

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処女作リメイク投稿2-1

by RIDE
小説投稿 | 2017年10月12日(木)21時55分
どうも、RIDEです。

処女作リメイクの第2部を書き終えたのですが、予想以上に長くなって、結果前後半に分けて投稿します。

それでは、たのしんでください 


 タイムネット世界の火星。

 その地にそびえたつマーズタワーに、シャトルが着陸した。

 シャトルから下りていくトールたち。それを出迎えたのは…。

「トールさーん!」

 こちらへと走って向かっていく小さき4つの影。それらを見て、トールは顔を綻ばせる。

「おまえら!」

 ヒューポ、ピカポチ、マンモ、ウンチンボーヤ。いずれもトールの大切な仲間である。

 抱きついてきた仲間たちを抵抗なく迎えるトール。

「久しぶりだな、トール」

 遅れて近づいたのは、旅の中で一番頼れる存在だった仲間。

「バサディアン!」
「会えてまた、嬉しいぞ」

 もう一度会いたいと思っていた仲間たち。再会が叶って、感無量となるトール。

「トール君」

 続いて現れたのは、時の老人であった。

「ジジイ…」
「また、会えたのう」

 トールは涙ぐみ、まっすぐに老人の下へと駆け出す。老人はそれを迎えるよう微笑みながら両の腕を広げた。

 そして…。

「このジジィ!」

 トールは、老人を思い切り殴るのであった。

「い、痛い…」

 勢いよく倒れ込んだ老人は、涙ぐんでトールを見上げる。だが、トールの方も涙目であった。

「さよならも言わせずに帰すなんて、薄情じゃねえか!」

 最もな怒りをぶつけられ、老人も言い返すことはできない。

「…すまぬ」
「謝れたって、俺は絶対、許さねえからな!」

 トールは鼻を鳴らし、そっぽを向く。

「まあまあ、その辺にしましょう」

 ようやく、この塔の主が姿を見せる。

「リナ!」

 タイムネット世界の創造主である少女、リナ。彼女の姿を見てトールは安心した。もう心が荒みこの世界の崩壊を企んでいた頃の彼女の面影は見当たらなかったからだ。

 そしてリナは、二人の少年少女を連れていた。一人は…。

「トールさん、エールさん、無事で何よりです」
「レイ!」

 タイムネット世界とは無関係なはずのクラスメートである少女、レイがいたのだ。

「もしかして、レイも連れてこられたっていう口か?」
「あら、ダイさん」

 トールたちとは違い、おっとりとした様子で応じるレイ。これが彼女の性格なのだろう。

 もう一人は…。

「この人が勇者トールか!会いたかったんだよな!」

 トールを一目見た途端、真っ先に彼へと近づく。

「僕、ジンジャーって言います。トールさんやエールさんみたいな勇者に憧れています!あなたたちのお手伝いができて光栄です!」
「そ、そうか」

 羨望のまなざしを受けいい気分になったのか、トールは調子に乗り鼻高々となる。

「それにニールさん、あの一族の中でも有名な方ですよね」

 ニールは愛想も見せず、特に反応もしなかった。

「なんだこいつは?」

 無視されたような気がして虫が悪いダイは、エールにジンジャーについてそっと尋ねてみる。

「彼は火星に住んでいる子で、私たちに憧れていて勇者に目指しているのよ。それでリナに頼みこんでここの手伝いをしているわけ」
「おいおまえ、こいつってことはないだろ」

 聞こえていたのか、ジンジャーはダイに喰ってかかった。

「おまえじゃない、俺はダイだ」
「ダイ…?」

 名前を聞いて、ジンジャーは何か引っかかったようだ。

「なんだよ?」
「いや、なんでもないよ」

 素っ気なく返事するジンジャー。

「さて、立ち話はここまでにして、続きは場所を移してからにしましょう」



「邪悪なオーラが蔓延している?」

 リナから事情を聞いたトールは、そう返してしまう。

「ええ」
「そう言われてもピンとこないな。もっと詳しく説明してくれ」

 そう口にしたダイをはじめ、皆イマイチ理解できていないようだ。彼らの為、リナは初めから説明した。

「私がタイムネット世界を破壊しようとしたのは、現実世界の寂しさとタイムネット世界への嫉妬が原因と言うことは話しましたよね」

 トールなど前回の冒険を経験した物やこの世界の住人は既に知っていたし、ダイやレイも前もって本人から教えてもらっていたのでそこはわかっている。

「この世界は私の空想でできている。だから、そういった私の負の心が邪悪なオーラとして、この世界の住人に侵食しているのです」
「じゃあ、タイムネットマスターをかけて争い合っているのは」

 リナは頷いた。

「大半は善意で行動しているひとたちがほとんどでしょうけど、知らず知らずのうちに邪悪なオーラに躍らせれて戦っているのが現状です」
「けど、あのミハンって人からはそんな風には思えなかったんだけどな。いけすかないけど」

 ダイが思ったままのことを口にする。すぐさまニールが睨みを利かせてきたが、自分まで話に水を差すことはないということで黙ったままだが。

 しかし、リナも同感だったようだ。

「ミハンさん、そしてステルド軍のトップであるステルドさんたちはそれぞれ個人の目的があるみたいですし、邪悪なオーラの件がなければ彼らに任せようと考えていたんですが…」
「問題は邪悪なオーラだけじゃないんでしょう?」

 トールたちは心配事がまだあることに驚くが、レイは見抜いていた。彼女はおっとりとしているが心を察することは鋭いのだ。

「ええ。実は…」

 リナは、最も重大な不安を口にした。

「このタイムネット世界に、他の世界からの侵入者がいるのです」
「侵入者…」

 思わぬ事態に、トールたちはオウム返しすることしかできなかった。

「正体はわかりません。どこにいるのか、何者なのかも全く。ですが、邪悪なオーラを利用しようとしていて、その存在自体が邪悪なオーラ以上に危険であることははっきりとわかります」

 外の世界から来た存在であるため、リナの力だけでは対処ができない、とのことだ。

「けど、そいつこそが倒さなければならない敵ってことだな?なら、話は早いじゃないか」

 ダイは気合を入れるように拳を握る。

「そいつを倒す!そうすれば、邪悪なオーラだって消えるかもしれない!やってやろうじゃねえか」
「フン、いきなりこの世界に連れてこられたばかりのおまえに何ができる」

 ダイは気に障ったが、ニールの発言は正しい。モンスターの戦いも未経験のダイには何もできない。そもそもこの世界の創造主のリナですら手を焼ける事態に、自分たちではどうすることもできないはずだ。

「ですから、彼に来てもらいました」

 そう言った時、リナの傍らにあるモンスターが出現した。

 時を駆ける伝説の超人、タイムサーファーだ。

「再び集まった勇者たち、そして新たにこの世界に呼ばれた勇者たちよ、そなたたちに新たな力を授けよう」

 そう言って、掌に4つの光球を出現させた。それらはそれぞれトール、エール、ダイ、レイの4人のもとへと飛んでいき、彼らの身体の中へと消えていった。

「い、今のは…?」

 体に異常がないかを確認するトールたちを横に、レイが調子を崩さずに尋ねる。

「モンスターの力をパワーアップさせる術だ。自分自身にも、な」

 それだけではわからなかったが、タイムサーファーは補足して言った。

「その力を使えば、モンスター同士の力を合わせ、新たな進化を発現させることができる。更に力を極めれば、モンスターの力を自分に纏わせることができる。つまりは、自身のものにできるということだ」
「おお、なんかすげえじゃん!」

 トールは目を輝かせる。ダイも同じであった。自分にそんな力が宿ったなんて。超能力でも喜ぶ子供なら当然だ。

「けど、どうやって引き出すの?」

 エールが最もな質問をする。

 その答えに、リナは含みのある笑みを見せた。

「だから、特訓するんですよ」
「特訓…?」

 なんだか嫌な予感がする。時の老人も悪い笑顔だ。

「厳しくいくからな、覚悟してくだされよ」
「これも何かの縁だ、俺も手伝おう」

 ニールもやる気満々だ。

「やるしか、ないのか…」

 こんなところで特訓するなんて思いもよらなかった。トールたちはただため息をつくことしかできなかった。



 ステルド軍の本拠地。

「確かなのですか?」
「はい。火星に居るスパイからの情報です」
「勇者たちのアジトが、マーズタワーということですか…」

 ステルドは考え込む。

 実際はそのようにポーズを取っているだけで、対応はすぐに決まっていた。

「攻めましょう。全軍、火星に向けて出発します!」

 さらにステルドは、あることを確認する。

「G-2の状態はどうですか?」
「いつでも出せます」

 その答えに、ステルドは満足した。

 装備の技術面では、自分たちはどの勢力よりも負けていない。G-2が出れば、その証明となる。

「火星で勇者に勝てば、ミハンの勢力とは戦わずして勝てるものとなります」



 所変わってミハンの屋敷。

 ミハンは拠点を複数持っており、トールたちが捕まっていたものとは別の屋敷である。

「ステルドの軍が動く?」
「ええ、どうやら火星に向かうようですが…」

 ステルドが火星に向かう。

 そのことで、ミハンは思い出していた。

「勇者たちが脱走してからしばらくして、宇宙船が火星に向かったと聞きました」

 そこから、ミハンは推理した。

「おそらく勇者たちの拠点は火星にあり、ステルドはそこを攻めに行くのでしょう」

 ミハンの決断は早かった。

「我々も行きましょう。火星で勇者やステルドの軍と決着をつけます」
「しかし、ミハン様…」

 部下が渋るのは理由があった。ミハンの勢力は宇宙における戦闘力は乏しい。火星に行けることは出来るだろうが、戦いとなると技術力で優れるステルドの軍にやられてしまう。

 火星を本拠地としている勇者たちも恐らくは同様で、これら二つの勢力を同時に相手にすれば負けは見えている。共倒れになるところを狙ったとしても、だ。

 だがミハンには自信があった。

「心配いりませんよ。あれを使いますから」

 部下には心当たりがなく、首を傾げるしかできない。それを尻目にミハンはひとりごちる。

「この戦いで、本当にタイムネットマスターが誰なのか決まるかもしれませんね」



「つ、疲れた…」

 トール、エール、ダイ、レイの4人はマーズタワーの外でくたくたになっていた。

「リナたち、本当に厳しいぜ…」

 彼らが受けた特訓。それは想像を絶するものだったようだ。彼らのお供であるモンスターたちも皆傍らで伏せていた。

「けど、何とか力を使えるようになったじゃない」

 エールが笑みを持って言う。他の3人も同様、満足しているようだ。

「これで、あのミハンとかいうやつにも勝てるぜ!」
「甘いな」

 ダイが意気揚々としている所に、ニールが割って入った。

「奴は強い。この程度ではせいぜい奴と並んだ程度でしかない」

 そもそも、と彼はダイにだけ強調した。

「おまえのようなバカに、奴が倒せるわけがない」
「なんだと!…わっ!」

 ダイはニールの胸ぐらをつかみかけようとするが、その寸前後ろ首に何か冷たいものが当たり、思わず声を上げてしまう。

 振り返ってみると、ジンジャーが缶ジュースを当てていた。

「何すんだ!」

 ダイは憤慨するが、ジンジャーはジュースのように冷たかった。

「ニールさんの言う通りだ。油断していると痛い目見るぞ」

 そして彼は、トールたちに笑顔でジュースを渡す。

「トールさん、エールさん、レイさん、どうぞ」

 そんな彼が、ダイは面白くなかった。

「何で俺だけあんな態度なんだよ」

 ニールもそうだが、彼も何かと気に入らないダイは、ふとジンジャーだけではなく、他の火星の人たちがいることにも気づく。

「ここの人たちって、よくこんなところに住んでいるよな」

 マーズタワーや宇宙港周辺は都市部となっているのだが、火星のほとんどはまだ未開の土地が多い。あまり発展していないこの土地で、どうして人々が住もうと思っているのかダイにはわからなかった。

「ここは、もともと私がタイムネット世界での憩いの場だったの」

 そこへ、リナがやって来た。

「タイムネット世界にも火星が存在しているのは、現実世界から宇宙へと飛び出したいというイメージが強かったからかもしれない。だから、私はここを人が住めるように作ってきた。ここの人たちも、そんな私に優しくしてくれた」

 リナは、意志の強い目を見せる。

「ここの人たちを守りたい。創造主とはいえ、タイムネット世界を混乱させた私はその償いをしなきゃいけないの」

 ダイはそんな彼女にリラックスさせるように言った。

「償いとか、そういう風に硬くならなくてもいいんじゃないか。ここの人たちを見てるだけで、事情を知らない俺でも守りたいって気持ちになるんだから」

 過酷な環境の中でも、必死に生きる人たち。そんな中でも笑顔を忘れずにいる。そんな健気な人々を見てると、守りたくなってしまう。

 それは、理屈や論理などではない。心で感じるものだ。

「…そうですね」

 少しだけ、ダイのいいところがわかった気がするリナであった。

「みんな、大変じゃ!」

 そんな時、時の老人がこの場に急いで現れた。

 裸で…。

「お、おい、じいさん!」

 当然、ダイたちは呆れる。女性陣からは悲鳴も上がる。

「す、すまぬ。風呂に入っていたもので…」

 余程慌てていたのだろう。それだけの事態が起こったのだ。

「そ、それよりも!ステルドの軍がこちらに攻めてきたのじゃ!」



後半へ続きます。
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