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処女作リメイク投稿4-1

by RIDE
小説投稿 | 2018年 1月13日(土)23時 2分
どうも、RIDEです。

処女作リメイクも遂に最終章の第4部です。
しかし、これも長くなったので2つに分けて投稿します


まずは前編をどうぞ。



 新大陸の謎の遺跡。闘技場の近く。

 トールたち勇者と戦おうとするニールと、彼の前に立ち塞がったダイ。二人は睨み合いを続けていた。

 ニールはダイと戦う気である。彼の目の色が感情の高ぶりの証である金色となっているのがそれを証明している。

 その彼が、口を開く。

「融合モンスターを纏え」

 ニールはダイに全力で戦うよう促してくる。ただ倒したいだけならそういうことを言うはずがない。いや、全力の勇者を倒してこそ意味があると考えているのかもしれない。

 どちらにせよ、ダイははい、そうですかとそれを呑む気はなかった。

「それじゃあ戦いにはならないだろ。俺の勝ちに決まっている」

 ニールはモンスターを融合させることも、それを纏うこともできない。ハンデどころではない大きな力の差を空けている相手に、融合モンスターを出すことはまさしく勝負にはならない為ダイの気が引けた。

 だがニールは不敵に笑った。

「この俺を甘く見るなよ」

 ニールは一体のモンスターを前に出す。バサディアン級の大きさを誇っている。

 そのモンスターに、ニールは何と剣を突き刺した。

 自分の仲間を刺したという事態に、ダイは訳がわからず声が出ない。だが変化はここから起こった。

 刺されたモンスターは、なんと巨大化していく。しかも、その姿形も人型で、戦闘に特化したものへと変わっていく。

 また、ニールの剣も彼が上空へと投げると巨大化したモンスターに合わせたサイズへと変わる。そして、ニール自身は光となってモンスターを包み込む。

「これこそ一族が作った宝剣の真の力。モンスターと合身し使い手の戦闘力を上げることができる」
「早い話が、俺たちと同じことができるってだけじゃねえか」

 ニールの剣の力には驚いたが、だからと言って怯むダイではなかった。

「どうやら、戦うしかなさそうだな」
「おまえらしくないな。売られたケンカは即刻買う性分のはずだろう?」

 確かに、ダイは自身に喰ってかかる相手なら誰でも噛みついてきた。特にニールに対しては、負けん気が爆発していたように見える。

 だが、今はそうもいっていられる状況ではない。それに、何故だかわからないがなんか乗り気になれない。

「まあ、おまえから挑戦状を叩きつけたんだ。俺としては受けない理由はないさ」

 融合モンスターを登場させ、それを纏ったダイ。これで互いに戦える状態となった。

「言っておくが手加減はできないぞ。泣き言を言っても知らないからな」
「誰が言うかよ!」

 そのまま、二人の激突が始まった。ダイが殴り、ニールが剣で斬りかかる。

 二人の戦いは互角に行われていた。ニールの一方的な戦い。二人を知るものが観戦していたら最初はそう思っていただろう。しかしダイはニール相手によく戦っていた。ただやられるだけではなく、きちんと反撃もできていた。

 一進一退の攻防の中、ダイはニールに訊かずにはいられなかった。

「ニール!おまえは何故俺たちとまで戦おうとするんだ!?」

 ミハンに対してならまだわかる。一族としての復讐心は無いにしても、自身に呪いをかけた以上、恨みがあってもおかしくない。

「俺たちは、ジンジャーのような奴を止めたいだけなんだ!そのためにミハンと手を組んだことが、そんなに気に入らないのか!」
「おまえたちがそうだから、俺は戦う」

 打ち合いながら、二人は会話を交わしていく。

「俺が戦うのは、この世界のためでも、一族の敵からでもない。俺が強くなりたい為に戦うんだ!」

 ダイはそれを聞き、言葉を失う。

 今まで秘められていたニールの胸中だったからか、黙って耳を傾けることしかできなかった。いや、そうすべきだと無意識のうちに思ったのだろう。

「一族が滅ぼされたことなんてどうでもいい。俺はただ強くなりたいだけだ。だからこそ、俺に呪いという敗北の証を刻み付けたミハンが許せない」

 ニールの昂っていく敵意は、ダイにもぶつけられる。

「おまえたち勇者もそうだ。このままこの世界を平和にはさせない。強くなる為に戦いは必要だ。この世界のこの状況は、俺にとっては都合がいいんだ!」
「都合がいいだと…」

 聞いているうちに、ダイはその身勝手な考えに腹を立てていく。

「この世界がこのままいけば、最悪消滅するかもしれないんだぞ!」
「そうなってとしても俺は構わん。それよりも、自分が俺に倒されることを心配したらどうだ?」

 ニールは戦いのことしか眼中にない。自分さえよければそれでいい。それだけしかない。

 そんな自分勝手な態度に、ダイは怒りを爆発させる。

「ふざけんな!」

 ダイは自身の攻撃に、怒りを込めて放つのだった。



 トール、エール、レイの三人は闘技場の中へと目指していく。

 通路はまっすぐ伸びていた。罠があるかもと警戒していたが、それらしきものはまったくなかった。

 それは、罠は必要ないということなのかもしれない。

「恐らく、この先に待ち受けている最後のモンスターは、絶大な力を持っているのでしょうね」
「油断せずに、いきましょう」

 進んでいく三人の対面から、光が差し込んできた。出口らしきものも見えてくる。

「よし、行くぞ!」

 トールの発破を合図に、三人はスピードを増して中へと入っていった。

 闘技場は、広大であった。

 天井は無く空を見渡すことができる。リングらしきものが無いことから、野球場並みの広さを誇る場のすべてが闘技場なのだろう。

 そして今、三人の前にあるのは戦いの惨状であった。

 多くの人々が倒れている。傷だらけでいることから、ジンジャーが呼んだタイムネットマスターを目指す他の勢力の人間と思われる。傍らで同じように倒れているモンスターがいることから、皆戦いに敗れ、力尽きたのだろう。

 立っているのは、ただ一体のモンスターだけである。

「あれが、最後のモンスターなのか…」

 そのモンスターの四肢は、人型のメカであった。2メートル超はあり、筋骨隆々というわけでは無いが、たくましいという印象を受けた。

 そして、胸部から頭は別の生物が、まるでそのメカに取り込まれたかのように接合していた。その頭が、こちらに顔を向ける。

「おまえたちも俺を狙っているのか?」

 おどろおどろしい声。機械的と生物的なものを融合させたような、聞くものを不快にさせている。

 そのモンスターは、こちらに臨戦態勢を取る。

「おまえたちは俺を捕獲するほど、強いのか?」
「質問ばっか繰り返すんじゃねえ!」

 トールは、ここまで来て問答の必要はないと感じていた。やることはひとつだからだ。

「この場で、おまえを捕獲する!そして争いを終わらせてやる!」
「俺を捕獲、か。それができるほどおまえたちは強いのか?」
「百聞は一見にしかず、よ!」

 エールとレイは自身の融合モンスターを纏い、最後のモンスターへと挑みかかった。

 その二人を、最後のモンスターは軽く殴り倒した。

 今のパンチ一つで実感する。奴は強い。エールとレイが、ああも簡単に一発貰うなんて信じられない。

「まだまだ!」

 トールもベスタートッポを纏い、最後のモンスターを殴る。一発、二発と立て続けに拳を繰り出す。

 エールとレイもビームでトールを援護する。しかし、これだけの攻撃を受けているというのに、最後のモンスターは応えた様子はない。

 その場で、最後のモンスターはベスタートッポを軽く振り払う。トールはそれだけで吹っ飛ばされてしまった。

「その程度では、俺を捕獲はできんぞ」

 最後のモンスターは、掌にエネルギー球を形成する。そしてそれを握りつぶした。

 その瞬間、衝撃波がトールたちを襲った。その威力で、彼らは地面を転がってしまう。

 敵の強さに、トールたちは手を焼く。しかし、相手は待ってはくれない。すかさず第二波の構えが取られていた。

「また来るか!?こうなりゃ空に逃げて…」

 言いかけて、気づいた。それは出来ないことに。

 避けることができなければ、耐えるしかない。

 トールは立ち上がり、堪える態勢を取った。衝撃波が再び襲ったのは、それとほぼ同時であった。

「守ったということか」

 耐えきったトールたち。最後のモンスターはそんな彼らと、その後ろにいる既に敗れ倒れている者たちに目を向けていた。

「そいつらはおまえたちの敵でもあろう?そんな奴らをかばってどうする」

 足手まといの弱きもの。最後のモンスターにはそう見えていた。

「敵とは言えな、こいつらはこの世界の住人だ。見捨てるなんてできないんだよ!俺たちはこの世界を守りたいんだからな!」

 勇者として、何より自分自身が望むため。タイムネット世界が大好きなトールたちにとって、例え敵だとしてもこの世界の人々を見捨てるなんてことは出来ないのだ。

[いいこと言いますね!さすが勇者!]

 拡声器を通したような声が聞こえたかと思うと、上空から二条のビームが降ってきて、最後のモンスターに直撃した。

 頭上を確認するトールたち。そこには2体のロボットが銃器を構えながら滞空していた。

 G-2T-MAX。N-3。

「ステルド!ミハン!」

 頼もしい援軍の登場に、トールたちの声も安堵が混じる。

[窮地に立たされる時になるまで遅れてすみません]
「いや、ナイスタイミングだぜ」

 これで5対1。数の上では圧倒的に有利だ。

 だが、トールは油断が出来ない。最後のモンスターの強さは予想以上だった。いくらミハンとステルドのメカがパワーアップしていたとしても、勝ちはするだろうがこちらも負うダメージは大きいだろう。

「俺も、本気を出そうかな」

 だから、トールは決心した。
「ジンジャーと戦うまで取っておきたかったけど、そうも言ってられないからな」

 ここで手間取っていては後も何もない。彼は立ち上がり、隠していたとっておきを今、披露する。

「バサディアン!マンモ!」

 融合していないトールのお供のモンスター、バサディアンとマンモ。マンモの方は最終進化形態、マンゾウとなってベスタートッポと並び立つ。

「いくぞ!五体融合だ!」

 そして、ベスタートッポとバサディアン、マンゾウは新たな融合モンスターへと姿を変えていく。

「これがとっておきの、ブレイジングペンタグルだ!」

 ブレイジングペンタグル。ベスタートッポにバサディアン、マンゾウの意匠も加えた姿。それを見たものは、ベスタートッポ以上の威圧が伝わっただろう。

 ブレイジングペンタグルとなったトールは、最後のモンスターに挑みかかった。モンスターの方もをれに応じ、両者は組み合って力比べを始めた。

 ベスタートッポの時では、簡単に押されていただろう。だが今は逆に、最後のモンスターの方が苦汁をなめていた。最初こそ互角だったが、段々とブレイジングペンタグルがモンスターを押し倒しかけているのだ。

 そして、ついにブレイジングペンタグルがモンスターを投げ飛ばした。

 そこへすかさず、G-2T-MAXとN-3が砲撃の雨をモンスターに降らせる。無防備な所へ次々と砲弾やビームを喰らい、大きなダメージを負う。

 このまま黙ってやられるわけにはいかない。最後のモンスターはこの状況を打開するための衝撃波を放とうとエネルギー球を形成し始める。

 しかし、トールたちの方が速かった。

 ブレイジングペンタグルがエネルギーの刃を。G-2T-MAXとN-3が大口径ビームカノンの砲口をモンスターの方に向けていた。

「これで終わりだ!」

 G-2T-MAXとN-3の砲口が火を噴き、そのビームによってモンスターは怯む。そこへすかさずトールはエネルギーの刃を投げつけた。

 エネルギーの刃は、見事モンスターの胸部へと深く刺さった。

「おまえたちは、強いな…」

 そう言い、最後のモンスターは倒れた。

「よっしゃ!後は回収だけど…」

 トールはそこで周囲を見る。この機を狙って我先にと回収する奴らがいるかもしれない。そうならば、今度は彼らと戦わなければならなくなる。

 しかし、それは杞憂に終わった。

「おまえが回収しろよ、勇者」

 トールに助けられた一人が促してきた。他の者たちも、笑顔でうなずいている。

「敵対する俺たちを守ってくれた勇者様こそ、そいつを捕獲する資格があるぜ」
「最後はビシッと決めてくれ!」

 周囲からトールを称賛する声が次々と上がっていく。同じ勇者であるエールやレイも、彼がやるべきだと同感の様である。

[僕も異論はありませんよ]

 ステルドとミハンも同じであった。

[ここまで頑張ったトール君なら、何も言うことはありません]

 こうまで来ると気恥ずかしさが生じてくる。しかし同時にこの場にいるみんなが一つになったという嬉しさや心地よさというものもあり、それがトールの背を押すことになる。

「それじゃあ、お言葉に甘えて…」

 勇者としての使命感を込め、トールは最後のモンスターに捕獲用のシールを張った。

「回収完了、と」

 この瞬間、すべてのモンスターが人の手によって捕獲された。

 それと同時に、タイムネットマスターが決まった瞬間でもあった。

「おめでとう、トール!」
「見事、タイムネットマスターになりましたね」

 そう。捕獲数のトップはトールとエール、ステルドとミハンが並んでいた。そして今最後のモンスターを捕獲した事でトールが一歩抜きん出た結果となった。

[まあ、統治国家の建設はタイムネットマスターでなくても出来ますからね]
[僕がなるよりも、彼の方がずっとタイムネットマスターにふさわしいですね]

 ミハンも納得していた。ステルドの方も負け惜しみの様なことを口にしているが、内心ではトールを祝福しているに違いない。

 タイムネットマスターをめぐる戦いは、これで終わった。残す問題は、あと一つ。

 その戦いの始まりの合図であるかのように、突如彼らを影が覆った。

「おまえは…!」

 そこに現れたのは、この戦いを仕組んだ人物であった。

「ジンジャー…!」



後編へ続く。

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