「支天輪の彼方で」7周年記念総括文  RSS2.0

3.当サイトの心理的位置づけ


Since : 2005.10.12
written by 双剣士
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はじめにサイト持ちでない3ヶ月間当サイトの心理的位置づけ結局、何がやりたいのか作者本人の露出についておわりにご意見専用掲示板

 2004年11月20日に、3ヶ月余の沈黙を破って当サイトは更新を再開しました。しかし運営者である私の心境が以前とは別物になっていたことは、前のページで述べたとおりです。自分なりの愛着のあるこのサイトに、当時の私が求めたものはなんだったのでしょうか。

 更新休止する前の私にとって、自分のWebサイトの価値を日々高めてゆき読者に喜んでもらえる方向に改善を重ねていくことは疑う余地もないほど自明な目標でした。手抜きをすればすぐに飽きられてしまう、価値を高めていけば来客数やリンク先も増えて読者からの意見も届きやすくなり、やり甲斐を感じることができてモチベーションの向上にもつながるはず。迷うことなくそう考えていたのです。
 運営を続けていくうちに読者の好みと自分の提供物とのずれを感じたり(4周年総括文を参照)、作者の努力と来客数って相関がないんじゃないか5周年総括文および10万ヒット記念企画を参照)と考えたりもしました。しかし『頑張れば報われる』とは限らないとしても、『没落するとすれば、それは諦めたときだ』というマイナス方向の相関関係は確実にあるものだと信じていました。

 こうした考え方は基本的に間違ってはいないし、サイトを始めよう、もっともっと充実させようと志していた開設初期の段階の道しるべとしては有用だったと現在でも思っています。
 ただし、そこには『なぜサイトの価値を高めていくのか』という根本的な疑問が抜け落ちていました。当時の私にこの疑問を投げかけたとしたら、おそらく以下のような返事をしたでしょう。

 手段と目的がごっちゃになっていることにお気づきでしょうか。言わばこれは、逆送コンベヤの上で走り続けているランナーのような心境です。止まれば後ろに下がってしまう、前に進みたければ必死で駆けるしかないって感じの……いやそれ以上に悪質かな。逆送コンベヤなら長さは有限でありゴールに達すればそれ以上は走らないで済むという特典がありますけど、サイト運営の場合はゴールなんて無いのですから。

 なぜ苦しい思いをして逆送コンベヤに乗るのかという疑問に対し、『いったん始めたからにはそうするのが当然だ』と論理でなくルールによって封をしていたサイト運営者、双剣士。その愚かさに気づくためには、一度逆送コンベヤから降りる必要があったようです。
 3ヶ月余の休息を終えて、私は当サイトに帰ってきました。その直接の動機は前ページに書いたとおり他愛のないものですが、『更新を再開しました』と1行書くだけでは何も変わりません。再開する動機は単純でもいいのですが、維持し続けるためにはそれなりの目的や心の中での位置づけが必要になります。
 ただしその時はもはや、新規コンテンツの追加とかSS執筆目標本数の設定とかいう類の目標は思い浮かびませんでしたね。読者にサービスしなきゃという意識すら抜けてたように思いますし、更新を再開した旨を通知するメールを相互リンク先に送ろうという考えも全く浮かびませんでした。お客さんに見放されるだけのことを私は3ヶ月間やってきたわけだし、関連サイト巡りすら止めていた当時の私にとっては『休止前の賑わいに戻す』ことがそれほど重要だとは思えなくなっていましたので。

 表現がなかなか難しいんですが、以前は『読者へのサービスの場であり自分自身の挑戦の舞台』であった自分のサイトが、休止明けの自分にとっては『ネットに踏み入れるための足場、根城』くらいのイメージに変わっていたんです。そういう目で見れば、曲がりなりにも6年間以上もネットの世界に存在し続けてきた『支天輪の彼方で』は方向性も知名度も固まっているし、アクセス数もコンテンツ量もリンク先の数も恥ずかしくない程度には溜まってきている。がむしゃらに“もっと前へ、もっと上を”と唱えて汗をかくような段階には無いんじゃないかってね。
 現状に満足するとか妥協するとか言う、かつての私が忌み嫌っていたような感覚とは違うんです。なんていうかな、帰る港は広いのに越したことは無いけど、そもそも自分はそんな大型船や多数の船を持つことを望んでいたのかなって。仮にそれらを今後持つことができたとしても果たして満足できるのかなって。そんなことを考えるようになっていたんです。


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