「支天輪の彼方で」7周年記念総括文  RSS2.0

5.作者本人の露出について


Since : 2005.10.12
written by 双剣士
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 さて、ちょっと時期をさかのぼって2004年1月ごろ(更新休止をする半年ほど前)の話をしましょう。このころ私は2年前の同時期に実施した4万ヒット記念企画「連載テキスト企画」にあやかって、8万ヒット記念として連載テキスト企画の第2弾を実施し、途中で過去ログもろとも企画を投げ出すという無責任極まりないことをしてしまいました。
 あの企画にお付き合いいただきました少なからぬ読者の皆さまに、この場を借りましてお詫び申し上げます。ごめんなさい。

 あのときの過去ログは黒歴史として、私のパソコンに厳重に保管してあります。2度とネット上に出す気はありませんので、なぜ突然の企画中止に至ったのかを読者の皆さまに具体的に説明することが出来ません。返す返すも申し訳ない仕儀であります。
 ただ大雑把に申し上げれば……結末を決めずに考えてることをそのまま文章化したらこんなに電波まき散らしな中身になってしまうのかって、愕然とするような内容になってしまったんです。ネット上どころか自分の記憶からも永久追放してしまいたいような支離滅裂で小利口チックな文体に、頭をかきむしりたい気分になりました。小説はテーマと筋書きがあるからいい。総括文は実際に経験したことが歯止めになるからいい。初回のテキスト企画もあらかじめテーマを決めて翌日につながる内容を意識していたから良かったんです。しかし前回の成功に味を占め、あえて制約を設けずに思いついたことを書き連ねたらどうなるか……結果がこれほど無残になるとは想像もしていませんでした。当時の私に出来たことは脇目も振らずに全面撤退することだけだったのです。

 この出来事は『支天輪の彼方で』の更新履歴には名称と日付しか残りませんでしたけど、私の心中には深く刻まれました。やっぱり私は、目的や演出なしに心情を語ってはいけなかったのです。素の自分を認めてくれる人が1人くらいは居るかも知れない、そんな淡い期待は残酷な現実の前に砕け散りました。誰にも認めてもらえなかったからということではなくて……それも少しはあるけど……そうしている自分自身の姿に羞恥心が耐えられなくなってしまったのです。こんなことなら従来どおり『小説サイトの中の人』として、総括文と戯言欄以外では役割どおりの姿を演じ続けてた方がマシじゃないかと。

 いかがですか、そろそろ愚痴っぽい文章に嫌気が差してきたんじゃありませんか?
 では前振りはこのくらいにして本題に入りましょう。ここで述べたかったのは何故8万ヒット企画に失敗したかではなくて、そんな経験をした私が12万ヒット企画でブログを作る気になったのは何故なのか、です。ブログというのは書き手さんの人格および知識・経験自体を前面に押し出した運営形態ですから、自信家でない人には出来ないことなので。

 8万ヒット企画の失敗を受けて以前より一層臆病になった私は、その後のCLANNAD関連サイトからのファン大襲来現象を見て『やっぱり読者が求めてるのは成果物であって、双剣士自身じゃない』という思いを強くしました。その直後に更新休止期間と再開後の苦悩を経て『どうすれば読者に受けるか、ジタバタしても仕方ない』という境地に辿り着くと、私自身を表面に出す必要性はますます無くなってくるように思えました。

 ところがですね、『ハヤテのごとく!』に標的を絞って関連サイトなどを見ていくと、時流が移り変わっているのを痛感せざるをえなかったのです。
 この作品は先日ようやく連載1周年を迎えたばかり、作品中では1ヶ月しか経過してないという若々しいジャンル。したがって【月天召来!】や【寺通学園高等部】がかつて果たしていたような、ファンが集まり議論を戦わせる大手サイトに当たる存在はまだありません(同盟サイトはありますが)。ただし週刊連載という背景と他作品ネタをちりばめた作風という特徴があいまって、物申したいファンは数多くいるという現状でした。
 するとファンたちはどうするか。以前ならメーリングリストや大手掲示板などに吸い込まれていた意見の数々は、今では自前のブログに書いてトラックバック交換し合うという文化に変わっているみたいなのです。そしてブログのお気に入りリンクを通じて同好の士を探し、コメントやトラックバックを通じて絆を深めると。
 これは好き嫌いの問題ではなく歴然とした現実です。そうなると苦手だからといって時流に背を向けたままでは、そもそもの目的である『同好の士とのコミュニティを楽しむ』ことが困難になる恐れがあります。

 かくして苦手意識を抱きつつもブログという流行に乗り出した訳です。最初のうちは失敗しても後腐れなく身を引けるように、ペンネームは双剣士以外の名称を使い、『支天輪の彼方で』とのリンクも結びませんでした。しかし1ヵ月半たっても来客数はゼロ(いや、本当に)で、しかも『支天輪の彼方で』との関連を隠しているから話題選びが窮屈で仕方ない。やっぱり当サイト運営者というアイデンティティを捨ててしまっては練習の枠から出られない……そう考えて12万ヒットを機に旧ブログを完全削除し作り直したのが、現在のブログ『SSサイトの舞台裏(直接リンク)』です。

 現在のところ『SSサイトの舞台裏』は功と罪が4:6くらいでしょうか。思いついたことを1話完結にまとめる練習にはなっていますし、『支天輪の彼方で』のトップページに書くと約束や宣言に取られかねない思いつきでも気楽に書けるので精神衛生的には良くなっています。しかし肝心のSS公開に際して『ブログを読んで印象が変わりました』とか『私(読者)の言いたいことは既に(作者の)ブログに書いてあるようですので……』という感想が届くようになったのは明らかにマイナスです。せっかく浸っていた物語世界が実は双剣士の掌の舞台だった、という冷めた印象を読者に与えてしまっているということですから。
 ただ、本屋で売っている単行本のあとがきなどを見ると小説の発想ネタバレなどをしているのはごく少数で、ほとんどは作者の近況報告とか関係者各位の謝辞という内容になっています。おそらく出版社などでは私が経験したような地点はとっくに通過していて、そのアドバイスを元にプロ作家のあとがきフォーマットは作られているのでしょう。
 最大公約数的なあとがき手法をそのまま鵜呑みにするつもりはありませんけど、まだまだ改善の余地はありそうです。その意味でモチベーションを高めてくれてるだけでも、ブログを設立する前よりは良かったかなと考えております。


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