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「いぶの夜」あとがき

 拙作「いぶの夜」を最後までお読みいただき、本当に有り難うございました。
 当Webページの管理者であり、SS創作&収集家の卵の双剣士です。

 「まもって守護月天」をネタにした2次小説として処女作に当たるのが本作品ですが、書いていて非常に楽しい思いが出来ました。
 紹介文にも書いた通り、当初のプロットでは原作イメージを微塵も残さぬくらいにぶっ壊れたギャグストーリーになるはずでした。花織ちゃんはシャオに続き、ルーアン先生とはトランプ投げで、キリュウとはヨーヨー投げで対抗する(あ、歳がばれるかも)「戦う乙女」として描かれる予定だったのです。
 ところが第3幕を書いた後、頭に浮かんだこの一言がストーリーの流れを変えました。
「ねぇ愛原さん、あたしと、組まない?」
 ‥そう、私が生み出したはずのルーアン先生は、七梨太助護衛の任務を早々と放棄し、自分の欲望のままに突っ走り始めたのです。もうこうなると止まりません。七梨家の廊下で磔になるはずだった乎一郎はルーアン先生の下僕と化し、花織ちゃんを出迎える役を買って出ました。ルーアン先生の恐ろしさを表現するためのやられ役だった乎一郎は、いつしか自分自身がホラーの元凶と化してしまったのです。
 物語を書いた人なら経験がお有りでしょう。キャラクターが自分の制御を離れて突っ走り、しかも当初のプロットよりも面白くなってしまうと言うやつ‥私もオリジナル小説で幾多と無く経験が有りましたが、今回のように結末(七梨太助救出)が決まっている物語でこの暴走が起こると、収拾を付けるのに非常に苦労します。勝手に筆が進むので書くこと自体は楽になりますが‥。
 第4幕、第5幕まではキャラクターに任せて楽ちんな執筆体制を保てば良かったのですが、最終回はそうは行きません。ですがいきなり縛りをきつくすると、キャラクターたちが言うことを聞かない‥かくして、キャラクター任せの第6幕を一旦書き上げてからボツにする、という初めての経験をしました。文字として昇華しない限り心の統制が取れなくなったのです。
 かくして、第6幕はそれ以前と異なり、比較的原作に近い雰囲気となりました。ご意見やご感想などをいただけると幸いです。

 さて、それではここまで読んでくださった方にプレゼントが有ります。
 上記の理由でボツにした「第6幕」第1版を、特別公開します。題して「いぶの夜暴走編」。身も蓋もない内容ですが、キャラクターに任せて筆を進めるとこうなる、という悪例です。ぜひご賞味ください。

 「いぶの夜」を最後まで読んでくださった上に、このあとがきにまで目を通していただき、まことに有り難うございました。
 今後とも頑張りますので、よろしくお願い申し上げます。

1999年1月13日

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