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憧憬は遠く近く 第四章 〜 本当の君と
日時: 2015/12/26 09:40
名前: どうふん
参照: http://soukensi.net/perch/hayate/subnovel/read.cgi?no=413

本スレッド「憧憬は遠く近く 第四章」は本作の最終章となります。
第三章から、一年以上過ぎ、大学入試、卒業を前にしたところから始まります。
二人と、それと周囲に何か変化はあったでしょうか。
とにかく二人と(できる限り)周囲の大団円に向けて当方も最後の一仕事、ラストスパートを掛けたいと思います。



<第一話 卒業を前に>


「それは先生の仕事じゃないですか」
「あのセンパイ、苦手なのよ。いいじゃないの、細かいことは。私はあんたのお姉ちゃんなんだから」目眩がした。
一瞬の後、気を取り直した時には、あのダメな人、というかヒナギクさんのお姉さんははるか彼方に駆け去っていた。
ため息をついた僕は、お弁当を片手に持ったまま、向きを変え、手渡されたプリントを理事室に運びに行った。


「ヒナギクさん、お待たせして済みません」
昼休み、ヒナギクさんはいつもの桜の木の下に先に来ていた。お姉さんのせいで遅くなりました・・・とは言えなかった。また姉妹ゲンカの原因になるのは目に見えている。
「大丈夫よ。チャー坊とお話ししていたの」僕を優しく迎えてくれた瞳の下に、掌に乗った雀の姿があった。
いつの間にか彼女ができていたチャー坊は、二羽で一緒にヒナギクさんの掌の上でご飯粒をつつくほどに慣れている。
「今日はナギは来てないの?」
「ええ。前よりはだいぶ出席日数が増えましたけどね。朝に弱いのは相変わらずで」
「まあでも、今は一応の目標と締切を意識しているわけだから成長はしているわよ」

僕と会ったその日から、ヒナギクさんは二人で助けたこの雀の子をずっと見守って可愛がっていた、ということを知った。
改めて思う。チャー坊に向けた慈愛の籠った瞳も、お嬢様を気遣う優しさも、この人は本当に天女なんだ。そして・・・昔の恋人に対する想いも。


毎日昼休みに、僕はヒナギクさんと一緒に弁当を食べている。お嬢様が登校しているときは三人になる。
その結果、僕は周囲から羨望だけに留まらず、一部から殺意に似たものをいつも感じている。
まあ、それは仕方ない。僕が逆の立場でも多分そうなるだろう。
一度などクラスの黒板に僕とヒナギクさんのかなり趣味の悪い相合傘がでかでかと書かれ、激怒したヒナギクさんを宥めるのが大変だった。

しかし、周囲からは怪訝な顔をされるが、僕はヒナギクさんの恋人、というわけではない。
あの海の公園でヒナギクさんに「恋人でなくてもいい」「ヒナギクさんが気持ちを整理できるまで待ちます」と言って一年半が過ぎた。
今僕たちは三年生だ。それも卒業を1か月後に控えた卒業生だ。


*********************************************************:


その間に、当然ながら色んなことがあった。

三年生になって、ヒナギクさんとは別のクラスになった。
僕はお嬢様の許可をもらって生徒会役員に立候補した。もちろん、目的は三年連続生徒会長となることが確実なヒナギクさんの側にいることだった。
「会長をハヤテの毒牙から守れ」という声が全校に溢れたらしい。
落選間違いなし、という状況だったが、選挙当日ヒナギクさんは、最終演説で全校生徒を前にして言い切った。
「私は今回会長に立候補する立場ですが、サポートしてくれる役員として綾崎ハヤテ君を推薦します。私に投票してくれるなら、綾崎君も生徒会入りさせて下さい」この一言が効いた。きわどく当選することができた。

立候補を見送り、選挙管理委員をやっていたオバカ三人組、いや花菱さんたちによると男子生徒の8割が僕の対立候補に投票したらしい。ちなみに、その場合、女子生徒は皆僕に投票してくれた計算になる。
どう解釈すべきかよくわからないが、ヒナギクさんが男子にも女子にも圧倒的な人気と人望を持っている、と考えるのが一番事実に近いのだろう。ただ、男子と女子では、その表現方法が正反対だったということだ。
ちなみにヒナギクさんは信任投票の結果、白皇学院史上初の満票で会長に選任された。

僕は、任期満了まで生徒会役員としてヒナギクさんの手伝いをした。一部交代したメンバーにも協力してもらい、大分ヒナギクさんの負担を減らすことができたと思う。会長秘書などと陰口を叩かれていたらしいが、本望だ。


さらに僕はヒナギクさんに、勉強を教えてもらっている。
「ヒナギクさんと同じ大学に行きたいんです」と無理やり頼み込んだのだ。
実を言うとマリアさんにも。
それは最難関の国立大学を目指す、ということだった。ヒナギクさんはまず大丈夫だが、僕は半々、というところだ。まあ、やっと半々まで来た、というべきか。
それだけでなく、紆余曲折を経てお嬢様とマリアさんは三千院家の屋敷に戻ったが、僕は週の半分をムラサキノヤカタに執事として泊まり込んでいる。
ヒナギクさんも残ってくれたのであーたんを交えた三人の親子関係も復活した。
そんなこんなでヒナギクさんと一緒にいる機会はそれほど減らなかった。というより、僕がヒナギクさんの傍に居座った。

それでも、まだ・・・。

ヒナギクさんから拒まれることはない。しかし、僕はヒナギクさんに指一本触れることはできないでいた。


************************************************************::


今日は2月14日、バレンタインデーでもある。
昨日、ヒナギクさんが、どう見ても本命のチョコを二つ作っていた事は気付いていた。
ヒナギクさんは、今朝早く、ランニングの代わりにその一つを持って出かけた。
昔の恋人の墓にお供えをしに行くことは分かっている。
その姿を見たくなくて、僕は朝の掃除をさぼった。
たまにはいいさ。
まあ、ヒナギクさんだって僕と顔を合わせたら気まずいだろう。
今もヒナギクさんはしばしばそのお墓に参って、掃除をし、花やお菓子を供えている。


昼食を食べ終わったヒナギクさんは、僕にチョコをくれた。嬉しかった。でも寂しかった。
ヒナギクさんがチョコに添えて、僕に伝えてくれたのは今回も感謝の言葉だったから。
今日も待ちわびた言葉を聞くことはできなかった。

ヒナギクさんが今でも僕を好きでいてくれている、とは思う。
ヒナギクさんは僕に笑顔を向けてくれる。
だが、時々感じる。ヒナギクさんの笑顔に申し訳なさそうな瞳が伴っている。
今でもヒナギクさんの心にはショウタ君が生き続けているんだ。
いや、ショウタ君の幻というべきだろうか。ヒナギクさんが思い出すこともできない過去の恋人。


「きっと大丈夫だよ。ヒナさんは今混乱しているだけで、ハヤテ君への気持ちは全然変わってないよ」
西沢さんはこう言い残してムラサキノヤカタを出て行った。

「中途半端に記憶が戻ったってのが一番やりにくいな・・・。全く・・・君も面倒くさかったが、ヒナも相当なもんだ」
千桜さんも見かねたらしく、呆れ顔で僕にぼやいた。


ヒナギクさんと一緒にいる。それは確かに僕にとっての至福の時間だ。
しかし一人になると気持ちが沈むことが増えた。

傍にいれるだけで満足・・・だったはずなのに。
ヒナギクさんの気持ちに整理がつくまで待つ、と約束したのに。

ヒナギクさんを抱きしめたい。
ヒナギクさんとキスしたい。
いつ頃からだろうか。感情というのか欲望というのか、決して上等とは思えないものが僕の周りで渦を巻くようになった。時々苦しくてたまらなくなる。
僕はやっぱり汚い奴なんだろうか。


1/ 9 ご指摘の点修正しました(白皇学園 ⇒ 白皇学院)。
    ありがとうございました。
2/27 ご指摘の点修正しました(最高学府 ⇒ 最難関の国立大学)。
    ありがとうございました。


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Re: 憧憬は遠く近く 第四章 〜 本当の君と ( No.1 )
日時: 2015/12/27 19:04
名前: ロッキー・ラックーン
参照: http://soukensi.net/perch/hayate/subnovel/read.cgi?no=25

こんにちは、ロッキー・ラックーンです。
ご無沙汰をしております。3章の感想を入れるのをすっかり忘れておりましたが、毎回読ませて頂いてます。

まるで「めぞん一刻」を彷彿させる展開ですね。
ヒナの気持ちを再び揺り動かすためにハヤテがどんな事をしてくれるのか期待しております。

あと、思春期特有の悶々とした気持ちには正直になるべきだとウチのハヤテ君が言ってたり言ってなかったり…彼ほど自分に正直でいられたら人生謳歌しっぱなしでしょうね。

最後に、女だらけの生徒会役員共の園に入ったハヤテ君の仕事っぷりにも楽しみにしております。

では次回も頑張って下さい。
失礼致しました。
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Re: 憧憬は遠く近く 第四章 〜 本当の君と ( No.2 )
日時: 2015/12/29 20:30
名前: どうふん
参照: http://soukensi.net/perch/hayate/subnovel/read.cgi?no=413


ロッキー・ラックーンさんへ


感想ありがとうございます。
ご無沙汰しております。
なるほど、「めぞん一刻」ですか、と恍けるまでもないですね。私もそう思っているくらいですから。

実のところ、私は個人的に二次元における最も魅力的なヒロインは音無響子さんだと思っています。ただし、コミック版限定、ということで。
 ※アニメ版・特撮版は見ておりませんのでとやかく言えません。

ただ、私はヒナギクさんのキャラに響子さんと通じるものを感じています。
まっすぐで思いやりがあって意地っ張りで不器用なところなど。
そんなヒナギクさんが、過去をそんなに簡単に割り切れるわけはない・・・、というのが第4章のキーポイントになります。

今回の設定を思いついた時から、同作品と似た展開になるのは必然であったのかもしれません。


そして、膠着状態はハヤテに打ち破ってもらわなければいけませんが、彼もまた、「待ちます」という言葉を忠実に守って自分からは動いておりません。
このままでは苦しむだけで何も変わらないぞ、ハヤテ君。


それと生徒会活動ですが・・・、いろいろネタとして思いつくことはあるのですが、それを描くと、「お前らさっさと云々」のまま、また1章を費やすことになりそうです。

申し訳ありませんが、私の集中力がそこまで続きそうにないので、ここは結論を急がせてもらいます。
ただ、その概要については、次々回(あるいはその次)あたりに描くことになると思います。


                                     どうふん



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Re: 憧憬は遠く近く 第四章 〜 本当の君と ( No.3 )
日時: 2015/12/30 22:17
名前: どうふん
参照: http://soukensi.net/perch/hayate/subnovel/read.cgi?no=413

オペレーション・パープル自体はさすがに自然消滅している状況です。
まあ、二人が恋人同士に近い時間を過ごしている今、やれることはない、というところでしょうか。
しかし今、煩悶するハヤテを見守る、というより見かねたあの人が行動を再開します。



<第二話:女神のタイムリミット>


その日−バレンタインデーの放課後、ムラサキノヤカタへ帰ったハヤテは、部屋に入ってため息をついた。
「あら、愛しいヒナからチョコをもらってご機嫌なのかと思いきや、随分と凹んでますわね」
気付かなかったがハヤテのベッドにアリスが腰掛けていた。
「あーたん・・・」

アリスもヒナギク同様、再登場した時の姿で今もムラサキノヤカタに住んでいる。
ヒナギクが当人に尋ねたところ「まあ、理事長より、あなたたちの子供をやっている方が楽しいですから」といって笑っていた。

子はかすがい・・・実際その通り、アリスを交えると三人は自然と距離が近づき、外出先で何度となく本物の夫婦と間違えられている。アリスが二人を、専らパパ、ママと呼んでいることが主因とも言えるが、ハヤテはもちろん、ヒナギクも大した抵抗はなく受け入れている。

「で、ヒナからはチョコがもらえなかったんですの?まさかそんなことはないでしょうけど」
「チョコはもらったよ。だけど・・・いつまで経っても僕はヒナギクさんの恋人にはなれないな・・・と思って」
「また変なことを言ってますわね。いつもヒナとあれだけ一緒にいながら、恋人でなくて何ですの」
「そうだね・・・。天女かな・・・」アリスは吹き出した。
「何を言い出すのかと思ったら・・・それはのろけているんですの?ハヤテ」
「そうかな・・・。僕に微笑みかけてはくれるんだけど、高い空の上にいて手が届かなくてね・・・。ずっと待っているんだけど下りてきちゃくれない」

「・・・まあ、ハヤテにしては上出来な形容ですわ」
「それは褒められているのかな?」
「残念だけど馬鹿にされているんです」
(・・・変わらずのドSお姫様だね、あーたん)
「あなたはまだ、大好きな人が本当に苦しんでいることに気付いていないのですから」
「え、え?」
(苦しんでいるって、それは僕のことじゃないのか?)
聞き返す前に、ハヤテの目の前が歪んだような気がした。
腕で目を擦った。
目の前にいたのは天王州アテネだった。


******************************************************************


「ハヤテ、私はもう去らなければなりません。
それまでに私は・・・あくまでアリスとして、あなたが・・・あなたとヒナが幸せになるのを見届けたかったのですが、間もなく時間切れです」

アテネが王玉の呪いを受けて幼い頃の姿に戻り、元に戻る力を蓄えるために、パワースポットであるムラサキノヤカタに、白桜を持つヒナギクの側にいることは知っていた。しかし、時間切れ、とは一体・・・?

茫然と口を開けているハヤテに向かい、アテネは続けた。
「本当のことを言いましょう、ハヤテ。
私は、半年前には元に戻れる力は取り戻していたのですが、あなたたちの子供としてお二人を祝福したくてずっと待っていました。
しかし、もう行かなければなりません。我が庭城・・・ロイヤルガーデンを取り戻さなければなりません。ロイヤルガーデンが滅びる前に。
ですから間もなくお別れです」
「ま・・・待ってよ、あーたん。よくわからないけど、とにかく急すぎるじゃないか」
「そう来ると思って、早めに伝えたのです。3月14日、今から一ヶ月。それでお別れです」
「で、でも・・・何があるのかわからないけど、また会えるんだよね」
「ええ、ロイヤルガーデンを取り戻したら帰ってこれます。ただし、天王州アテネとしてね。アリスはもうさよならです」
「そんな・・・。で、でもそれ、早くヒナギクさんにも伝えなきゃ」
「その必要はありません。ハヤテだけが知っていればいいことです」
「ど、どうして。ヒナギクさんは君の・・・」アテネは人差し指を立ててハヤテの口を塞いだ。
「今は言えません。いいですか。ヒナにもナギにも誰にも言ってはいけません」
「そんな・・・」
「ただし、ハヤテとしては恋人に隠し事はできないでしょう。ヒナとハヤテが、本当の恋人同士になったのなら、その時はヒナにだけは伝えてもいいですわよ」

アテネの言わんとすることがやっとわかった。
どうやって・・・、というセリフを呑込んだ。
(いつまでも甘ったれてどうする。今度こそ人に頼るんじゃなくて自分の力で何とかしなきゃ)

うなずいたアテネが改めて口を開いた。
「一つヒントをあげましょう・・・。ハヤテは永遠の愛というものが存在すると思いますか?」
ハヤテは思い出していた。かつて幼いアテネと永遠の愛を誓ったことを。しかし、今は・・・。
存在するとも、しないとも答えることができず、ハヤテは黙っていた。

「存在しないわけではありません。しかし愛情とは時間が経つと、ずっと遠くに離れていると、いつか疎遠になっていくものです。自然に醒めていくものです」
「え?う、う・・・ん」
「時の流れとは残酷なのよ・・・。だから、人を愛し続けよう、愛され続けようと思ったら、それなりのエネルギーと努力が必要なの。

ただし、自分自身が思い込みに囚われてそこに縛られる、ということならあります。
ハヤテ、あなただってそうでしょう。
私たちが別れて十年が過ぎても、あなたは私を『好きな人』と言ってくれたのは知っています。
でも後で気付いたのではありませんか?あなたの本当の気持ちは他にあった、と。
それを自分一人の力で突き抜けることができましたか。

そして今、ヒナもあの頃のあなたとそっくりの境遇にあって、同じ想いを抱いているのですよ」
「それは・・・」
ハヤテは思い出した。あの頃抱いていたものは、甘酸っぱい初恋の思い出ではなく、罪悪感と申し訳なさが入り乱れ、自分にのしかかる苦しいものだった。
だからこそ気が付かなかった。ヒナギクの想いに。
自分の本当の気持ちさえ。

そして今、ヒナギクは思い出すことさえできない初恋に縛られたまま、好きな人と無理に一線を画している。
(何でこんなことに気付かなかったんだ。僕だけじゃない・・・。ヒナギクさんも苦しんでいるんだ・・・)

ハヤテが顔を上げた時には、アテネはおろかアリスの姿も消えていた。


(もし十年も離れ離れにならなければ、今でもきっとあなたは私を愛してくれていたはずよ、ハヤテ。
そして・・・私はそれだけの間、あなたを想い続けましたけどね)アリスの姿に戻ったアテネは歩み去りながら胸の中で呟いた。
ハヤテは気付いていないし、気付かれてはいけないことだった。


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Re: 憧憬は遠く近く 第四章 〜 本当の君と ( No.4 )
日時: 2016/01/04 22:01
名前: どうふん
参照: http://soukensi.net/perch/hayate/subnovel/read.cgi?no=413

「今のままではダメだ」
やっと気付いたハヤテですが、どうすればいいのかはわからないまま時間は過ぎていきます。
そして、この日はヒナギクさんの誕生日。
アリスが去るにまであと11日。
もうやるしかない。



【第3話: 最後の勝負】



3月3日−白皇学院恒例のヒナ祭り祭りは間もなく終わる。
僕は生徒会室でヒナギクさんを待っていた。
3年続けて遅刻するわけにいかない。実を言うと去年も事故に巻き込まれ、二年連続の大遅刻となった。ボロボロになって到着した僕を見て、ヒナギクさんは呆れていた。


「あら、今年は早かったのね」相変わらず時間に余裕を持ってやってきたヒナギクさんの第一声は予想どおりだった。
「それは、今年は意気込みが違いますから」
「そうでしょうね。もう役員を退任した私たちが、こうして生徒会室にいるんだから」ヒナギクさんが意味ありげに笑った。
「はい、ちゃんとシャルナ会長代行には了解をもらいましたよ」
僕たちが三年生になっての役員選挙で、あのおバカ三人組の代わりに、僕と二年生二人が新たな役員となって加わった。
白皇学院では一年生でも生徒会長になれる代わりに、生徒会役員が三年生ばかりであってはならないという規約があり、二年生以下の役員が最低二人必要となる。三年生の卒業後、春の選挙まで生徒会役員ゼロという事態を避けるためだ。
 ※「規約」・・・言うまでもなく作者の勝手な設定です。
それがわかっているからこそ、あの三人組も身を引くことを受け入れてくれた。

もっとも花菱さんだけは「心を入れ替えて働くから残りたい」と縋ってきたが、それでは僕が役員になれないので断固拒否した。
「他ならぬハヤ太君がそこまで言うなら仕方ない。ヒナを頼んだぞ」最後はそう言ってくれた。

「シャルナさんと(日比野)文さんのコンビは面白かったですね。あの文さんは間違いだらけで手が掛かりましたけど、シャルナさんとコンビを組むといい仕事をしてくれました」

立候補にあたり、文さんの公約は『ライフセーバーとして白皇学院の生徒を救いたい』シャルナさんは『文ちゃんの暴走を防げるのは私しかいない』だった。これが意外に受けて二人とも当選した。

「あの二人、来年は生徒会長と副会長に立候補するみたいね」
「へえ。やっぱりシャルナ会長に文副会長ですか?だとしたら、学院初の留学生会長が誕生しますけど」
「逆みたいよ。シャルナちゃんが、『私は文ちゃんに引き摺られて生徒会に入ったんだから、会長はあなたが責任持ってやりなさい』って説得したんだって」
ヒナギクさんはくすくす笑った。ここでいう説得とは多分鉄拳制裁のことだろう。

「それとね、何と言ってもハヤテ君が入ってくれたのが大きかったわ。三期目に会長の仕事がきついとか大変とか思ったことはなかったもの」
「それは光栄です。会長秘書と呼ばれて頑張った甲斐がありました」
二人で声を合わせて笑った。


話が一段落したところで、僕は、立ち上がって流し台に行き、ヒナギクさんのお気に入りのティーカップに紅茶を淹れた。
ヒナギクさんは、久しぶりに使うティーカップで美味しそうに紅茶を味わっている。
「こうしていると、一緒に生徒会役員をやっていた時みたいですね」
「ええ。ハヤテ君が入れてくれる紅茶の味は全然変わらないわ」
その後も暫く他愛ない話をしていたが、その話題は全てこの一年半の間のことだった。
そしてその期間、二人の不自然というのか微妙な関係がずっと続いていたことを改めて思い出していた。


どれくらい時間が過ぎたのか・・・時計を見ればわかることだが、そんなことは関係ない。最初から決めていた。
ヒナギクさんが紅茶を飲み終わった時に僕は勝負を掛ける。

あのバレンタインデーにあーたんから発破をかけられ、色々とやってはみたものの全て不発でここまで来てしまった。あーたんのタイムリミットまであと11日しかない。
もちろんヒナギクさんはそれを知らない。
このままヒナギクさんとあーたんをお別れさせるわけにはいかない。
何としても、今度こそ。もう後はない。


「ごちそうさま、ハヤテ君」
ヒナギクさんがティーカップを置いた。
その時が来たんだ。

「ヒナギクさん、テラスに出ませんか」
「いいわよ」ヒナギクさんは即答して立ち上がった。右手を差し出しながら。
僕は左手でその手をぎゅっと握った。しまった、と思った。僕の手は汗にまみれている。
気付かれたかな・・・、ヒナギクさんの顔をそっと覗いたがヒナギクさんの表情は変わらない。


外には、いつかと同じ風景が煌めいていた。
「きれい・・・、あの時と同じ」ヒナギクさんが呟いた。
「そうですね。いつか・・・じゃなくて、あの時・・・でした」
「え、何のことかしら」
「僕にとって、あの時は大切な瞬間だったということです」
「ハヤテ君にとっても?」ヒナギクさんは意外そうな顔をした。
それに答える前に、僕はヒナギクさんとつないだ手を右手に持ち変えて背中に回り、左手で肩を押さえた。

「これで、あの時と本当に一緒ですよ、ヒナギクさん」
「そうね・・・。そんなことまで覚えてくれたんだ、ハヤテ君」

「言ったじゃないですか、僕にとっての大切な時間だったって」
「・・・もう少し、詳しく教えてくれるかしら」


******************************************************************************:*******


(いよいよだ)ハヤテは気付かれないよう静かに深呼吸した。
「僕は一年半前に、あの海でヒナギクさんに告白しました。
だけど、僕がその頃にヒナギクさんを好きになったとは思えないんです。
もっと・・・ずっと前から、僕は自分でも気づかないうちにヒナギクさんに魅かれていたと思います。
ただ、いつからだろうと考えると良くわからないんです」
「それで・・・わかったの?」
「多分・・・。あの時しかないと思うんですよ」
「あの時?」
「ちょうど二年前のこの時、この瞬間です。
 あの時、ヒナギクさんが過去の辛い記憶、苦しみを教えてくれました。僕に伝わってきました。
その時まで知りませんでした。あの完璧で誰からも尊敬され愛されているヒナギクさんも、僕とよく似た過去と苦しみを抱えているんだ、って。
今思えば、ほんの一かけらだったわけですが」
あの時、ハヤテがヒナギクに掛けた言葉。それは自分自身に対するものでもあった。
口先の慰めでも気休めでもなく、心から思っていたこと。だからこそヒナギクの胸に響いた。心を動かすことができた。

「そして、ヒナギクさんは怖かったでしょうけど、僕を信じてテラスまで付いて来てくれました。そして今と同じ姿で僕の前にいてヒナギクさんの手や肩から緊張が解けていくのを感じました。
その時に、凄くホッとして・・・。内心ビクビクものだったんですよ。
でも無理にでも連れてきて良かった、と嬉しくて。胸が一杯になったことを覚えています。
その時に僕はヒナギクさんに魅かれ始めたんだと思います」
「とても・・・その後のことを考えたらそうは思えないんだけど」ハヤテは頭を掻いた。

「済みません。今思えばとんでもない勘違いをしていましたから。
ヒナギクさんは僕にとって手が届くような存在じゃないと思っていましたし、ヒナギクさんに嫌われていると信じ込んでいました。
ただ、ヒナギクさんに嫌われている、と思うほど辛いことはなかったのは確かですよ。
そして、それ以上に僕自身が過去を吹っ切れていませんでしたから」

「過去」と言う言葉にヒナギクがぴくん、と反応した。
(気に障ること、言っちゃったかな)しかし今が正念場ということはわかっていた。
「でも、あの頃の僕は、ヒナギクさんへの気持ちに気付いていても、多分何も出来なかったと思うんです。
ギリシャでヒナギクさんに言いましたよね。『好きな人』がいるって。
だけど、あの時の僕は、昔好きだった人への、過去の清算が済んでいなかったからそう思いこんでいた・・・。今はそう思っています」
「だから・・・私にも過去を清算してほしい、と言うのね」
「あ、あの・・・それは違うんですよ」ハヤテの声がちょっと上ずった。
「じゃ、何でそんな話をしたのよ」
「僕は昨日今日じゃなくて、一年前でもなくて、もっとずっと前からヒナギクさんのことが好きでした。それを伝えたかったんです」

ずきん、とヒナギクの胸が痛んだ。確かにハヤテが自分をいつ好きになってくれたかは興味がある。そして、二年前のこの場所でハヤテを好きだと意識した。
同じ瞬間にハヤテが自分に魅かれていた、というのはすごく嬉しいことだと気付いた。
それなのに身構えて、喜ぶ前に全く別のことを考えていた。

(私の過去・・・。まだ私は囚われているんだ)



1/9 ご指摘の点修正しました(白皇学園 ⇒ 白皇学院)。
    ありがとうございました。
3/5 ご指摘の点修正しました(ヒナヒナ祭り ⇒ ヒナ祭り祭り)。
    ありがとうございました。


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Re: 憧憬は遠く近く 第四章 〜 本当の君と ( No.5 )
日時: 2016/01/09 18:08
名前: どうふん
参照: http://soukensi.net/perch/hayate/subnovel/read.cgi?no=413


3月3日夜 時計台の生徒会長室。
最後の勝負を掛けたハヤテとヒナギクさんの攻防(?)と葛藤が続いています。
今回はヒナギクさん側の視点です。


【第4話:あの日 あの場所】


(何でこんなことになっているんだろう・・・)ヒナギクは身を捩るような思いで自問した。
昔からヒナギクは恋愛だけには消極的だった。自分の好きになった人は皆いなくなってしまうから。だがそれは両親のことだと意識していた。

その割に、両親に捨てられたことをさらりと口にして周囲を凍らせたことがしばしばある。
これも傍証と言えるかもしれない。
ヒナギクが本当に辛くて苦しんだ事、トラウマに囚われた原因は、両親に去られたことではなかった。肝心なことは、幾重にも鍵を掛けて心の奥深く沈めていた。

それがなぜ今になって?
新たな恋をした、それだけとは思えない。

謎を解く鍵はギリシャにあるのではないか。
異国でヒナギクはハヤテの無神経な言動にさんざ振り回された挙句、思い余ってやけっぱちのような勢いでハヤテに告白を決意した。
だが、その前後に起こったことは、さながら計測不能の地震のようにヒナギクの心を揺さぶっていた。
深く沈み込むような憂鬱、救われたような安堵、目も眩むほどの失望、力を根こそぎ失ったような衝撃が立て続けに押し寄せた。
その中で心の地層深くに閉じ込めていたものが目を覚まし、幾重もの縛めを突き破り地表に顔を出そうとしたのではなかったか。

ギリシャから帰って以来、悪夢にうなされるようになった。
理解しがたい不安に襲われたり、悪寒が走ったりした。

そして、仲間の後押しを受けてハヤテに告白した時、表現が高尚すぎて(と当人は思っていなかったが)ハヤテには通じなかった。
文字通りの意味に受け取って見当違いな反応をしているハヤテを前に、焦りと緊張がピークに達したと同時に目の前が歪んだ。

歪んだ視界に入ってきたものは紛れもなく幼い自分ともう一つの人影だった。
(そうだ、あの時、私は・・・私には・・・)
ずっと抑えつけていたものが噴出してきたようだった。吐き気がして体の震えが止まらなくなった。
その後のことは覚えていない。


目を覚ましたヒナギクは、一人で事故の現場へと向かった。
あいまいな記憶のかけらをかき集めてやっと辿り着いたものの、新たに思い出せたことは何もなかった。

水平線の彼方に沈みゆく太陽が自分の心情に重なり、ただ腰掛けて夕陽に向かうヒナギクの耳に懐かしい声が響いた。
(ハヤテ君、どうしてここに・・・)
顔をくしゃくしゃにして駆け寄り、自分を抱きしめたハヤテに、間の抜けた質問は必要なかった。


海辺で告白を受けたときは嬉しかった。
だが、それ以上に自分を責める気持ちが強すぎて受け入れることはできなかった。今の私にそんな資格はない、と本気で考えていた。
それでも、ハヤテは、ヒナギクが『気持ちを整理できるまで待ちます』、と言ってくれた。驚きながらも、救われたような気が確かにした。


海から帰ったのち、ヒナギクは昔の恋人の両親に会った。その両親は、引っ越して駅二つ離れた町に住んでいた。
謝ろうとするヒナギクを制した両親は、成長したヒナギクを見て喜んでくれた。
遺影にも会わせてくれた。
緊張した瞳で見上げた昔の恋人は幼い小学生の顔をしていた。
(まあ、当たり前よね・・・)

少し寂しそうに微笑んでいるその顔は思い出として戻っては来なかった。意外なことに心が揺さぶられるような感慨や感傷もなかった。
(どうして・・・?私はこの子、いやこの人と『愛し合っていた』んじゃなかったの?)
しかし、今はっきりわかる。思い出が、いや当時の想いが蘇ったとしても、今の自分が遺影の中の小学生に恋することはない。
ハヤテと海辺で交わした言葉は多分に思い込みであったことを認めざるを得なかった。

(こんな小さな子が、私を助けてくれたんだ・・・)
今となっては申し訳なさと共に、そう思うしかなかった。遺影を見る前に感じた押し潰されるようなプレッシャーは消えていた。

しかしこの子が初恋の相手にして命の恩人であることに変わりはない。
それなのに・・・なぜ?
何で思い出すことができないのか。何でこんなにも自分は醒めているのか。
胸が痛んだ。苦しかった。自分はやっぱり心の冷たい最低の人間なんだろうか。


「あの・・・、本当にぶしつけなお願いであることは承知していますが、ご迷惑でなかったらショウタ君のアルバムを見せてもらえませんか」
ヒナギクの願いは父親から断られた。
「君が見るべきものは未来であって過去じゃない。
そして、さっきも言った通り、君に謝ることは許さない。謝らなきゃいけないのはその場にいた私たちなんだ。
君が立派に成長して、こんな素敵なお嬢さんになったことが今日分かった。それで充分だよ。
今日は本当にありがとう。ショウタも喜んでるよ」
ヒナギクの潤んだ瞳がもう一度遺影に向いた。その顔はやはり寂しそうに見えた。


以来、毎月のように墓参りもしている。それでも昔の恋人を思い出すことはできない。
想いは迷走していた。
ハヤテの気持ちを受け入れても、いや自分の気持ちに正直になってもいいんじゃないか。
記憶が蘇っても、ハヤテへの想いが冷めることはないだろう・・・。

そうは思っても踏ん切りはつかない。
(それじゃショウタ君に申し訳ない。せめて思い出してあげたい。それしか私にできることはないんだもの)
自分に言い聞かせていた。それは過去と決別できないということだった。


そして一年以上の間、ヒナギクはハヤテとほとんど恋人同士のように接しながら、決してそれを認める事はなかった。
ハヤテは何も言わず、ずっとヒナギクが心を開くのを待っている。
偶発事故などを除いては、二人の間に一切のスキンシップは存在しなかった。



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Re: 憧憬は遠く近く 第四章 〜 本当の君と ( No.6 )
日時: 2016/01/12 21:58
名前: どうふん
参照: http://soukensi.net/perch/hayate/subnovel/read.cgi?no=413


前回投稿にて、この物語、というか当方の設定における不透明な部分は全部ばらしたかな、と思っておりますが、見落とし、矛盾点等あればツッコミ歓迎します。
ただし、不思議の姫の能力については、当方にも全くわかりませんのでお含みおきを。

後は、タネも仕掛けもないぞ、ハヤテ君。



【第5話 シナリオの誤算】


ヒナギクにしてみれば。
いっそ、このままでも良いんじゃないか・・・そんなことを考えたことさえある。
ハヤテは自分にはっきりと愛情を示してくれる。
そして今、自分が好きなのは間違いなくハヤテなのだ。ハヤテと恋人同士のような時間を過ごすことは楽しかった。
好きな人から大切にされる心地良さに身を委ねていたこともあった。

だが、その一方でヒナギクの心に確実に大きくなっているもの。ハヤテの気持ちに応えられない辛さであった。
そして、それ以上に、自分のどっちつかずの態度がハヤテを苦しめていることにも気が付いた。
(私は何てことをしているの・・・)また自己嫌悪に苛まれた。

(やっぱり、ダメなんだ、今のままじゃ・・・。ショウタ君・・・、思い出したい)
毎日幾度となくヒナギクは呟いている。
だが、ヒナギクはまだ気づいていない。それがハヤテのために、でもあることに。

懸念はもう一つあった。
ハヤテの気持ちを受け入れようとしたら、あの時と同じことが起こるのではないか。
また意識を失うほどの発作が押し寄せてくるのでは・・・それは確かに現実の恐怖だった。


そしてヒナギクの記憶や思いに関係なく、時間は過ぎていく。
既に一年半が過ぎ、高校卒業、大学入試の結果発表が近い。
同じ大学に行けるかどうかもわからない。それぞれの進路も具体化していく。

どうあっても今まで通りの時間をハヤテと一緒に過ごすことはないだろう。
不安定な気持ちだけでつながっている関係がこの後続くのか。
今、はっきりと決着をつけないと、自然消滅していくのではないか。
それでいいのか・・・何度となく悩んだことを今ヒナギクは改めて思い返していた。


真後ろにいるハヤテの顔と体がそっと近づいてくるのに気付いた。
「ヒナギクさん・・・」
「あら、何かしら」


************************************************************::::::


(この体勢は・・・マズイ)ハヤテは焦っていた。
ヒナギクをテラスに連れ出し、背中から耳元で愛の言葉を囁き、はっきりと拒絶されなければ強引にでも抱き締める。そのまま一気に既成事実(キス)まで持ち込む。
これがハヤテの考えに考えた実に単純なシナリオだった。
セリフも必死で考え、何回もリハーサルした。

今までは概ねシナリオ通り進んでいたが、一つ計算違いがあった。
ヒナギクの耳元に口を寄せるより先に、ヒップに密着してしまった。
(これじゃまるで痴漢の手口じゃないか・・・)
高所恐怖症のヒナギクは、いかにハヤテに支えられていても若干腰は引けている。さらに女性の体形を考えずに無造作にぎりぎりまで接近すれば当然の成り行きだった。

ここで飛び退くのは簡単だ。しかし、その後立て直すのは難しい。
それに、しっかり支えていますと言った手前、もし手を離してしまったらヒナギクがどれほど怒り狂う、いや取り乱すことか。

アリスの顔が目の前に浮かんだ。

一瞬の混乱と逡巡の後、ハヤテは攻めに出た。
ヒナギクの肩に後ろから腕を回し、背面全体に覆いかぶさった。


「ハヤテ君?」困惑したような声がヒナギクの口から洩れた。
だが、ハヤテに退く気はない。後戻りはできない。

「ヒナギクさん、聞いて下さい」
「・・・はい」ヒナギクの喉がごくっと動いたのがわかった。
だが、シナリオが狂ったハヤテの頭からは、用意していたセリフが全て抜け落ちていた。
次の言葉が出てこない。
ヒナギクも動かない。ハヤテに背を委ねたままじっと待っている。

額を汗が流れるのを感じ、ハヤテは決意を固めた。
(迷うことはない。今僕が言うことなんか一つしかないんだ)


「ヒナギクさん、告白して一年半経ちました。
まだ返事はもらえてないけど・・・今でも僕はあなたが好きです。
改めてお願いします。僕と付き合って下さい」
「ハヤテ君・・・。本当に嬉しいけど・・・、私は・・・」色んな感情が押し寄せてきた。鉛のような塊が胸の辺りでつかえていた。
「ショウタ君のことですか? でも・・・。だったら・・・。ヒナギクさんはもう・・・。もう十分に・・・」
「ごめん、ハヤテ君。それは・・・」
今度も最後までは言えなかった。
その辛そうで苦しそうで、そして申し訳なさに満ちた声に、ハヤテの胸は締め付けられた。腕に力が籠った。


「ヒナギクさん、もうこれ以上無理しないで下さい。僕は・・・僕はもう・・・。もうこんなヒナギクさんを見てられません」
出てきたのはシナリオとはかけ離れたセリフだった。

「無理、ですって?そんなつもりはないわ。私は・・・」
「そうじゃない。わかるんですよ、僕には」
「何が・・・、何がわかるの。私の気持ちが本当にわかるの?」

ハヤテは首を振った。
「僕にわかるのは今のヒナギクさんが本当のヒナギクさんじゃないってことです。
ヒナギクさんは常に自分が立派でありたい、そう思ってる。それだけでも凄いことです。
だけど、それだけでなく、実行しようとしている。どんなに苦しくても、それができなければダメだ、と思ってる・・・違いますか」
「・・・それのどこが悪いのよ」
「ショウタ君はヒナギクさんにそんなことを望んだんですか。ヒナギクさんが苦しむことを願ってるんですか」
ヒナギクの背中が怒りかショックか、ぶるぶると震えた。

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Re: 憧憬は遠く近く 第四章 〜 本当の君と ( No.7 )
日時: 2016/01/17 15:36
名前: どうふん
参照: http://soukensi.net/perch/hayate/subnovel/read.cgi?no=413



【第6話:本当の君へ】


ハヤテは止まらない。
「ショウタ君は、ヒナギクさんを守ってくれた。それだけじゃなく最後まで生きようと頑張ったんですよね。

何故です?決まってるじゃないですか。
ヒナギクさんのためですよ。
大好きなヒナギクさんに笑顔になってほしかったんですよ」
「だから・・・だから何なのよ!」ヒナギクは顔を夜景に向けたまま叫んだ。
「今のヒナギクさんは、微かな記憶にすがって、自分にウソをついて無理に無理を重ねているとしか僕には思えません」
ヒナギクの呼吸が荒くなっている。

「よく・・・よくそんなひどいことを・・・言えるわね」
「すみません・・・。ひどいことかも知れません。
だけど僕はヒナギクさんにこれ以上苦しんでほしくないんです。
それに・・・ショウタ君の気持ちがわかるんです。僕だって負けないくらいヒナギクさんのことが・・・。
僕にはわかります。自分のためにヒナギクさんが苦しんでいると知ったら、一番悲しむのはショウタ君ですよ。

そんなヒナギクさんを・・・ショウタ君は絶対に望んじゃいない!」


************************************************************:::


二人を沈黙が包んだ。
そのまま、どれくらい時間が過ぎたのか・・・。

もともとこんなことを言う気はなかった。ただ、自分のヒナギクへの想いを囁こうとしただけだった。
それが想定外の展開の中で胸に詰まった思いの丈を叩きつけてしまった。
思いの丈、それは。
想像しただけで、身を切られるように苦しいこと。
死んだのが自分で、ヒナギクがそれを嘆き悲しんで時を過ごしていたら・・・。
好きな人がいるのに、自分に義理立てして苦しんでいたら・・・。

ヒナギクが泣いていることには気付いていた。
これで良かったのか。何か言わなきゃいけないんじゃないか。
だが、もうハヤテにはヒナギクに掛けるべき一言も思いつかなかった。
できることは、ただヒナギクの背中に自分の温もりを伝えることだけだった。



ヒナギクの両手が、自分の肩を抱いているハヤテの腕をそっと抑えた。
「ハヤテ君・・・手を離して・・・」
「はい・・・」ハヤテは全身の力が抜けていくような気がした。
(やっぱり・・・ダメだったのか・・・)
もうこれ以上自分にできることはない。

いや、一つあった。思いついた。
ハヤテはヒナギクを抱きかかえた。お姫様抱っこの格好だった。
「ちょ、ちょっと、ハヤテ君」
「あの時のお返しです。さ、部屋までお連れしますよ」努めて明るくハヤテは会長室に向かって歩き出した。
会長室で降ろしたヒナギクは黙って去っていくだろう。それを引き止めることはできない。
もしかしたら、これが本当のお別れになるんだろうか。


会長室に戻ったハヤテは腕の力を抜いて、ヒナギクを降ろそうとした。
だが、ヒナギクはハヤテから離れようとしない。ハヤテの服を両手でつかんんだまま身を固くしている。
「ヒナギクさん・・・?」
「・・・ハヤテ君。そのままでいて。少し・・・もう少しだけ」
「はい?」
俯いたままのヒナギクの手に力が籠った。
「お願い・・・そのままで」

わけもわからずハヤテは言う通りにした。
ヒナギクは瞳を閉じ、身を固くしたままハヤテの腕の中で動かない。


********************************************************************:::


ヒナギクが上を向いた。その瞳がまっすぐにハヤテに向いた。
「ハヤテ君、もう一度お願いしていいかしら」
「・・・何をです・・・か?」
「ハヤテ君の気持ちを」
ハヤテの心臓が大きく跳ねた。その顔に歓喜が広がっていく。
ハヤテはヒナギクの瞳をしっかりと見詰め返した。

「は、はい、何度でも・・・。い・・言いますよ、ヒナギクさん。
ヒナギクさんは本当に素敵です。天女です。僕は・・・そんなヒナギクさんが本当に・・・大好きです」
かすれた声を発しながらハヤテはせき込んだ。改めて大きく息を吸った。

「ヒナギクさん、僕と・・・付き合って下さい。本当の恋人として」
ヒナギクは瞳を潤ませながら、身を震わせながら口は開かない。
「あ、あの・・・、ヒナギクさん、お返事を・・・もらっていいですか」

「もう一言・・・、お願い」
「え・・・?」首を傾げたハヤテだが、はっと気が付いた。そうだ、肝心なことが抜けていた。
「僕は絶対ヒナギクさんを一人にしません。ずっと傍にいてヒナギクさんを守ります」
ヒナギクの瞳から涙が溢れ出して止まらなくなった。顔を両手で覆った。
「ありがとう、ハヤテ君。約束よ・・・。
私は・・・天女なんかじゃない・・・。弱くてズルくてわがままで・・・。
だけどハヤテ君が大好きだから・・・。だから・・・許してくれるなら・・・今からでも遅くないなら、あなたの恋人になりたいの。
私も・・・ハヤテ君を・・・きっと大切に・・・する・・・から」
声を絞り出すヒナギクの手に顔に大粒の雨が落ちて来た。
ハヤテの涙雨だった。

改めて思った。ハヤテもまた苦しんでいた、自分のために。
ヒナギクはハヤテの首に腕を回した。ハヤテの首に縋り付いた。
二人の頬が重なり、涙が融けあって一つになった。
「ごめん、ごめんね、ハヤテ君。今までのこと全部・・・」
「そんな、ヒナギクさんこそ・・・。ヒナギクさんに比べれば、この程度・・・。
でも・・・ホントに、ホントに・・・もうだめかと思いましたよ。手を離して、って言われた時は」
「ばか・・・。私はね、あのままじゃ動けないから、手を緩めてもらってハヤテ君に向き合おうとしただけなのよ。あのままじゃ答えなんか言えないでしょ」
実はもう一つあった。今にもあの時の発作が押し寄せるような気がしてハヤテの胸にすがりつきたかった。結局は腕の中でじっと堪えることになったわけだが。
(もう大丈夫・・・)確信できた。蘇った記憶に引きずられたような発作に襲われることはもうない。

「そ、それは想定外でした、あはは・・・。だけど、今僕は本当に・・・今までの千倍も幸せです」
「じゃ私は・・・二千倍ということにしとこうかしら」
「この・・・どこまで負けず嫌いなんですか」
「今、私はね、世界で一番幸せなの。ハヤテ君よりもずっと・・・。私にはハヤテ君がいてくれるから。ハヤテ君がそうしてくれたんだから」

感極まったハヤテの腕に力が籠った。その足は小躍りを始めていた。


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Re: 憧憬は遠く近く 第四章 〜 本当の君と ( No.8 )
日時: 2016/02/01 21:47
名前: どうふん
参照: http://soukensi.net/perch/hayate/subnovel/read.cgi?no=413


ハヤテとヒナギクさん・・・こんなめんどくさい二人がようやく心を通い合わせて10日が過ぎました。
この日はホワイトデー。しかし二人にとってはそれどころでない大きな出来事が・・・



【第7話:最後の親子】


3月14日、A.M.5:00−

ハヤテは腹に強烈な衝撃を受けて目が覚めた。
アリスが馬乗りしていた。

「あ・・・あーたん。ちょ、ちょっと苦しいんだけど」さすがにハヤテの体力と腹筋をもってしても、無防備の状態で8歳児に飛び乗られるのはきつい。ゴホゴホとむせこんでいる。
「あら、パパ。ここはまず娘の早起きを褒めるべきではありませんの?」確かに、アリスがハヤテより早起きしたのは初めてかもしれない。
しかし、それよりはっきりしていることは、最後、ということである。
今日、アリスはムラサキノヤカタを去る。


「さ、今日も楽しい一日が始まりますわよ」
朝日が次第に差し込んできていた。
隣に寝ていたヒナギクもこの騒ぎに目を覚まし、目を擦っている。

大学入試の結果も間もなく出てくる。二人にとって一緒の大学に行けるかどうかは不明だが、それ以上にアリスとの別れが重大事項だった。
卒業式も終わり、毎日が休み、という中、連日三人でお出かけしていた。
一度、ムラサキノヤカタ全員で送別会を、というヒナギクの提案はアリスに却下された。
「私はいずれ戻ってきます。だけどアリスとしてではありません。
残り少ない時間はあくまでアリスとしてパパやママと過ごしたいのです。だから周囲に知らせることも不要です。
お二人がもっと早くくっついていればそんなことはありませんでしたが」
そう言われると二人は何も言い返せず、アリスの希望に任せることにした。


この日、アリスは三人でのハイキングを希望した。
あまり遠くへ行く時間はない、ということで電車に乗って高尾山まで出かけることにした。

空いた電車の中で向き合ってゆったりと座り、アリスははしゃいでいた。
「山の中を走る電車は揺れるんですのね」
「大丈夫?気分が悪くなったりしていない?」
「とんでもないですわ。楽しいです」
「本当に楽しそうだね、あーたん」そういうハヤテの口調にはちょっと寂しさが混じっていた。
「当たり前ですわ。パパとママとお弁当持ってハイキングに出かけるのですから」
(でも、これが最後になるのよね・・・)ヒナギクは思ったが口には出さなかった。


山道は険しかったが、アリスは幼児にしては意外なほどの強靭さで山道を登っていく。
「アリス、この山にはね。タヌキやウサギも住んでいるのよ」ハヤテは噴き出しそうになるのを堪えていた。
「何がおかしいのよ、ハヤテ君」
「い、いえ・・・確か他にクマもいたなあ、と思いまして」
「その時は私がアリスを守るから、ハヤテ君は私を守るのよ」
「ちょっと分が悪いような気もしますけど・・・、お任せ下さい」

「ママ、あそこから沢に下りられますわ」
「え」
「下りてみましょうよ。水が冷たくて気持ちよさそうですわ」
「あーたん、気を付けてね。落ちないように気をつけなきゃ」
「大丈夫ですわよ」と言った傍からアリスは足を滑らせて転がり落ちそうになった。


間一髪。ヒナギクはアリスの手を掴んだ。尻餅だけで済んだ。
ヒナギクは痛みに顔をしかめているアリスをそのまま抱きかかえて沢へ降りた。
ハヤテも続いた。

まだ春とも言えない時期、触れた水の冷たさが気持ちよかった。
「パパ、ママ、お魚がいますわよ」アリスが歓声を上げる。このあたりは子供の感性が残っているのだろう。
「よし、じゃあそこで見ていてごらん」ハヤテは手持ちのペットボトルのお茶を飲み干した。ナイフを取り出しペットボトルの飲み口の狭くなっている部分を切り取って川に浸した。

しばらく、川の中でペットボトルを器用に動かしていたハヤテが戻ってきた。
「はい、あーたん」ハヤテがペットボトルをアリスの目の前に差し出すと、その中にはメダカのような小さな魚が何匹も入っていた。アリスはまた歓声を上げてペットボトルを受け取り、覗き込んでいる。
「へえ、ハヤテ君、凄いのね」感心したヒナギクだが、次の瞬間凍りついた。
「いや、昔良くこうやって晩御飯のおかずを取っていたもので」
「あのね、ハヤテ君。子供の前で言う話じゃないわよ」
確かに・・・アリスの目が大きく見開いて、ペットボトルを背中に隠していた。
「ご、ごめん、あーたん。あくまで昔の話だから。そのお魚さんはあーたんがじっくり見たら逃がそうね」

対岸でがさごそという音がした。
目を向けると大きなイノシシが二頭、草むらの中から現れた。
「ハヤテ君。ここは逃げた方がいいみたいね」
「そうですね、興奮させないようにゆっくりと」
ハヤテはアリスを担いで、沢を登って登山道まで戻った。イノシシはハヤテたちには目もくれず沢の水を飲み、石をひっくり返してカニを漁っている。
「大丈夫みたいですね」
「ええ、あのイノシシの家族、食事に夢中みたいね」
「パパ、ママ、ウリボウもいますわよ」
大きなイノシシの足元には、小さなイノシシ・・・・ウリボウがまとわりついていた。
「ホントだ、イノシシの子供って可愛いですね」
「まるで、アリスみたいね、あのウリボウ。ほんとに瓜みたいな模様があるんだ・・・」
「あら、それはどういう意味においてかしら。可愛いから?パパやママにまとわりついているから?」
「両方だね(よね)」ハヤテとヒナギクのセリフが被った。

「ところでパパ。昔だったら、あのイノシシの親子も晩御飯のおかずにしていたのかしら」
「ちょ、ちょっと勘弁してよ、あーたん」



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Re: 憧憬は遠く近く 第四章 〜 本当の君と ( No.9 )
日時: 2016/02/05 21:35
名前: どうふん
参照: http://soukensi.net/perch/hayate/subnovel/read.cgi?no=413

ハイキングの話、続きます。
そして、アリスが最後に残していったものは・・・。



【第8話:不思議の姫の置き土産】


昼近くになって、展望台の近くの広場に敷物を広げ、三人は弁当箱を開いた。もちろんハヤテとヒナギクが手分けして作ったものだ。
「さすがに展望台からの景色は素敵ね」と言いつつ、ヒナギクの左手はしっかりとハヤテの右手を握って離さない。
「ええ、空気もおいしいですしね」左手でフォークを使うことを強いられているハヤテの口調にはちょっと苦笑が混じっていた。
一方のアリスは景色など目に入らないようで、夢中でおにぎりを頬張り、ハンバーグに箸を伸ばしている。その姿は普通の腹ペコの子供だった。
アリスに目を移した二人の顔に自然と笑みがこぼれる。
「やっぱりパパのハンバーグは最高ですわ。いい奥さんになれますわよ」
「あの・・・あーたん、何か間違ってない?」
「あら、私はてっきりパパがママの専業主夫になるのかと思っていましたが違うのですか」
「・・・多分違うと思うよ、あーたん」
「でも、それも悪くないわね」
「ちょ、ちょっとヒナギクさんまで」


「ところで、アリス。あなたの状況は大体聞いているけど、今から何をするのか教えてくれないかしら」
「それはできません。一つ言えることは、今から私はロイヤルガーデンを取り戻さなければならないということです。これが私の宿命ですから」
「あーたん、また危ない橋をわたるんじゃあ・・・。どうしても行くのなら、僕たちも力を貸すよ」
「そうよ。可愛い娘のためなんだから」
「そのお気持ちだけで十分よ。これは私にしかできないことですし、私がやらなければならないことです。なに、大丈夫ですわよ。いつ、とは言えませんが、必ず戻ってきますから。あなた達の友人としてね。
さ、そんなことより、お弁当を食べますわよ」


改めて思った。自分たちの「愛娘」と会うことはもうできないのだ。
だが、それが避けられないことであるなら、後は残されたわずかな時間を愛娘のために一杯に使い切るしかない。

「ところで、パパ、ママ。最後に一つお願いがあるんですけど」
「え、何だい」「何かしら」ハヤテとヒナギクはちょっと顔を見合わせて頷き、身を乗り出した。
「お二人が愛し合っているということをしっかりと確かめて行きたいのです」
「え、それはつまり・・・?」
「お二人でキスしてもらえませんか」
二人は絶句した。


「娘の健やかなる成長のために有害、なんて言い訳は聞きませんわよ」
「そ、そういう意味じゃなくてね。そもそも僕たちは・・・」
口ごもったハヤテと真っ赤になって俯いたヒナギクを、アリスは交互に眺めていた。
「まさか・・・まだキスもしていない・・・んですの?」
「う・・・うん」二人は顔を赤くしたまま目を反らしている。
「呆れましたわね。それだけラブラブ感を目一杯漂わせておきながら・・・。ヒナの誕生日から10日間何をしていたんだか・・・」
「う・・・」


確かに、今にして思えば。
あの時、生徒会長室で流れのまま既成事実を作っておくべきだった。
しかし涙の抱擁の後、有頂天になったハヤテはヒナギクを抱きかかえたままステップを踏んで飛んだり跳ねたり回ったり、果てはヒナギクに悲鳴を上げさせるほど空中高く放り投げたりで、そんなことまで頭が回らなかった。
それどころか誕生日のプレゼントを渡すことさえ忘れ、次の日、改めて学校に持っていく破目に陥った。
「あら、プレゼントってハヤテ君の告白じゃなかったの?」そう宣ったヒナギクもまた相当舞い上がっていたことは間違いない。


それはともかく歓喜の大爆発の後、幾分冷静になった二人は、つい先ほどの自分たちの姿を思い出して恥ずかしくてたまらなくなった。
ハヤテの場合、それだけでなく、当初、告白のため用意していた歯の浮くようなセリフを思い出し、(言わなくて良かった・・・)と安堵すると同時に気恥ずかしさに悶えていた。
結果的に、奥手な二人に逆戻りで、恋人同士とお互い認識しながら、ろくにスキンシップもとれないまま今日まできた、というのが実相だった。


「ふ・・・ん。ということは、ハヤテとキスしたのは私ともう一人だけというわけですか」
ハヤテは口に含んだお茶を吹き出した。

ヒナギクの目がギラリと光り、ハヤテに向いた。
「ちょ、ちょっとあーたん。それはここで言うことでは」
否定するわけにもいかず、手を振って狼狽しているハヤテを前に、ヒナギクの瞳には今にも正宗を召還しそうな炎が点っていた。
「もう少し詳しく教えてくれるかしら、アリス」

「あら、ムキになるようなことではありませんわよ、ママ。あくまで私たちの子供のころ・・・というのも紛らわしいですが、要は十年以上前の話です」
「もう一人は?」
「やはり同じ頃、ハヤテがロイヤルガーデンからこの世界に一回戻ったことがあるんです。その時にハヤテは通りすがりの女の子とキスしていたんですわ。まあ、これは私が徹底的にお仕置きしましたが」
「ふ・・・ん。まあ子供のころ、の話なのね、ハヤテ君」幾分怒りを鎮めた顔でヒナギクがハヤテの目をじーっと見つめている。
「は・・・はい」
ハヤテは身の置き所がないよう小さくなって、全身に冷たい汗をかいていたが、幾分ホッとしていた。

ギリシャで別れ際に成人体でキスしたことを黙っていたのはアリスのお情けであろうか。それとも自分の身に危険を感じたのか。
さらに「通りすがりの女の子」とのキスは言われるまで思い出せなかった。てっきり水蓮寺ルカとのキスを暴露されるのかと思ったが、これは当人しか知らないことだった。
(と、とにかく「昔の話」で済んで良かった・・・)
しかし今の表情の動きをヒナギクは見逃してはいなかった。



*************************************************************************::::



山を下りた三人は高尾山の駅に着いた。
日暮れに近い人影もまばらな駅の駐車場に一台不釣り合いな高級車が止まっているのが見えた。
「パパ、ママ。ここでお別れですわ」
「今は、よね。また会えるわね」
「もちろんよ、ママ。ところで、これが本当に最後のお願いですけど」
悪い予感がした。

「お二人から、愛娘にキスを贈って下さいな」
「あの・・・キスって・・・」
「二人一緒がいいですわね。私の両頬にお二人で」
(ま、まあ、そのくらいなら・・・)

ベンチに腰掛けたアリスの両側からハヤテとヒナギクはひざまずくような格好で顔を近づけた。
「あの、お二人とも目を瞑ってくださいね。顔を見られるのは恥ずかしいですので」その代わりにアリスは二人の頭にそっと手を置いて引き寄せていた。

その手に不意に力が籠った。前に向かって押された。
「えっ」と目を開けたハヤテの目の前に、ヒナギクの顔がわずか数センチの先にあった。
ハヤテ同様に瞳を大きく見開いていた。
「あら、もう少しでしたのに。やっぱりこの体では力が足りませんでしたわね」
いつの間にか体を後ろに反らしていたアリスは残念そうだった。
「あ・あ・た・んんん・・・。ちょっと悪ふざけが過ぎるんじゃないか」
「・・・怒ったんですの、パパ」
「当たり前だろー。待て、このやんちゃ娘。お尻ぺんぺんだー」
「ママ、助けてー」
「ハヤテ君、次は私にやらせてくれる?」
「ちょ、ちょっと勘弁して、パパ。私は歴史的瞬間の目撃者になりたかっただけで・・・」
「実行犯の間違いだろ。捕まえたっ」ハヤテはアリスの頭を後ろに横抱きした。

「こおらー、ハヤテ。レディのお尻を叩くなんて失礼にも程がありますわよ」手足をばたばたさせて逃れようとするアリスだが、無駄な抵抗というものだった。
「うるさーい。悪い子にはお仕置きだ」ハヤテはアリスを空中でくるりと回して持ち変えると、アリスの左頬に唇をつけた。
「え、あの・・・」
横にやってきたヒナギクもアリスの右頬に唇を当てていた。


「さよなら、アリス」
「・・・さようなら、私の素敵なパパとママ」
アリスは二人に見送られ、車に向かって行った。
車に乗り込むその瞬間にアリスの姿が揺らいだ。
天王州アテネに戻ったその姿が振り向くことはなかった。


***************************************************************:

その日もとっぷりと暮れて、二人はムラサキノヤカタに戻った。
門の前で、ハヤテはふっと溜息をついて立ち止った。
「アリスのこと、皆に説明しなきゃいけませんね」
「その前に私に説明してほしいことがあるの」ヒナギクの口調が変わっていた。感傷に浸っていたハヤテを一気に現実に引き戻す響きがあった。
「な、何でしょう」

この後、ヒナギクの目を盗んでの浮気など不可能であることをハヤテは身をもって知ることになる。
もっともそうでなくとも、大した影響はないと思うが。

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Re: 憧憬は遠く近く 第四章 〜 本当の君と ( No.10 )
日時: 2016/02/10 03:26
名前: ロッキー・ラックーン
参照: http://soukensi.net/perch/hayate/subnovel/read.cgi?no=25

こんにちは、ロッキー・ラックーンです。
これまたご無沙汰してます。更新はサボっていますが生きております。

二人をパパママと呼んでいるアリスちゃんがかわいいですね。アリスちゃんに応えようとしている二人も微笑ましかったり…。
それだけに、いよいよこれからという二人の前からアリスちゃんがいなくなってしまうのが残念でなりません。二人をかなり長い時間面倒見ていただけに、もっと報われて欲しいと思いました。さらにこれからどんな事をするのかも、非常に気にかかるところです。

それはそれとして、まだチュウも済ませていない二人にはアリスちゃん程ではないですが呆れてしまいますね。残りの話でアリスちゃんに頼ることなく男気、もしくは乙女気を見せて頂ける事に期待したいと思います(笑

いよいよクライマックスという所でしょうか、次回も楽しみにしております。
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Re: 憧憬は遠く近く 第四章 〜 本当の君と ( No.11 )
日時: 2016/02/11 18:14
名前: どうふん
参照: http://soukensi.net/perch/hayate/subnovel/read.cgi?no=413

ロッキー・ラックーンさんへ


感想ありがとうございます。
この二人、いよいよこれから、と言いますか、ようやく始まったばかり、と言いますか。
しかしここでアリスは去ることになります。
これを残念がってもらえるのは、それだけ熱心に目を通して頂いたからだと思いますので、感謝、感謝です。

ただ、私としては、アリスは十年越しの失恋に代わるかけがえのない物を得て、十分ではなくとも、大きく報われているんじゃないか、と思っています。
一年以上の間、ちょっと微妙でも素敵な両親と心から可愛がってくれる仲間たちと過ごすことができたのはアリスにとって本当に貴重な経験だったはずです。今のアリス変じてアテネなら、同世代の生徒たちから「恐れ多くて」と避けられるような存在にはならないと思います。
そして、姿を消すにあたっては、一仕事をようやく終えて満足感を抱くことができたのではないでしょうか。

しかし、これから何をするのか・・・前作第三章みたいな世界が展開されるのか。
正直考えが及んでおりませんので何ともいうことはできません。ご容赦。


それと二人の仲ですね。
三歩進んで二歩下がる。そんな二人が劇的に変わることはなさそうですが・・・。それでも残り数話で大きく進歩している、はず・・・です。
アリスが蒔いた種は、遠からず二人の間で芽を吹きます。


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Re: 憧憬は遠く近く 第四章 〜 本当の君と ( No.12 )
日時: 2016/02/15 19:17
名前: どうふん
参照: http://soukensi.net/perch/hayate/subnovel/read.cgi?no=413

この作品を書こうと思い立ったとき、主題とその脇にあってイメージした項目は全部で4点ありました。
 @ヒナギクさんの過去とその後のカップリング
 Aアリスちゃんを交えた親子関係
 B千桜さんの推理
そして、もう1点。
言わば、最後のネタ、ということになりますか。



【第9話:その日の三千院家】


ハヤテとヒナギク、そしてアリスが最後の親子行事としてハイキングに行っている時。
ナギは三千院家の屋敷の自室で漫画を描いていた。

ナギが王玉を再び手に入れ、マリアと共に屋敷に戻ったのは一年ほど前である。ハヤテはムラサキノヤカタとの間を往復する日々を送っている。
今、ムラサキノヤカタにはヒナギクの他、自宅に戻った歩を除き、千桜とカユラが一緒に住んでいた。
そして今、屋敷でナギの漫画をサポートしているのは千桜でもカユラでもなかった。

「ナギ、このコマはおかしい。下町の商店街にこんな高級ショップが並んでるわけないだろ」
「あ、あってもいいではないか。下町ではロケットだって作っているんだぞ」
「(それは部品だろ・・・)あのね、ナギ。お前の漫画には不自然な点が多すぎるんだよ」
「な、何を偉そうに。まだ入賞したこともないくせに」
「だからナギの発想は認めるよ。だけど入選理由には僕のサポートもきちんと認めてほしいな」
「ふ、ふん・・・。アシスタントの分際で」

ナギの漫画が念願のコンクール入選を果たしたのは先月。卒業を控えた2月のことだった。それは、「佳作」として「三千院ナギ」の名前が載っただけで、作品そのものが世間の目に触れることはなかったが。
それでも初めての経験にナギは躍り上がった。
そして次のコンクールには名前ではなく作品を載せるのだと張り切って、ネームを作っている最中だった。

そのナギのアシスタントというより共同執筆に近いレベルで協力しているのは東宮康太郎だった。
漫画家の足橋剛治のアシスタントに加わったナギは、自作の漫画を時々見てもらっている。その程度には漫画を真面目に描くようになった。

半年ほど前にナギは足橋から呼ばれた。
「ナギ君。君の発想は面白いよ。だからアイディアそのものは悪くない。だけど突拍子もない展開や不自然な状況が多いね。もっとストーリーを練り上げる段階で誰かと相談した方がいいんじゃないかな」
「そ、そうなのか?いや、そうでしょうか」
「そうだね。康太郎君、手伝ってあげてくれないか。君は丁寧に常識的にきちんと話をまとめているが逆に突き抜けたところがない。二人で協力しあえば、お互いステップアップが図れるんじゃないかな」
以来、コンビを組むような形で、足橋のアシスタント業務だけでなく自分の作品をお互いに手伝うようになった。
そして今では「ナギ」「康太郎」と呼び合うようになっていた。


**************************************************::::::::::::


「な、なあ、康太郎。このあたりで一休みしないか」
「もう休むのかい」とは言いながら康太郎も心得たものでペンを置いてナギの後ろに回り肩や腕を揉んでいた。日課のようなものだった。
ハヤテほどうまくはないが、ちょっとした気分転換にはなった。

(全くコイツも変わったものだ。昔は単なるヘタレお坊ちゃまとしか思えなかったが)
それを言うなら、ナギとてひきこもりのぐうたらお嬢様に過ぎなかったが。

ハヤテと出会ったころから、康太郎は明らかに変わり始めた。
遠くから眺めるだけだったヒナギクに告白した。振られはしたが、そもそもヒナギクに告白できる男などそういない。大半は何とか気を引こうといじましい真似をするのが精一杯なのである。
余談ながら、そういうわけでヒナギクは自分が同性はともかく異性にどれだけ人気があるかの自覚が乏しい。


そして今、康太郎は漫画家のアシスタントを務めながら、本物の漫画家を目指している。
康太郎もまた、執事をもつ立場でありながら、ナギ同様に親の財産ではなく自分の力で何かを成し遂げようとしていた。
(こいつも、私と同じ夢を目指しているんだな・・・)

「康太郎、今度はお前も入選するんだぞ。せっかく私が手伝ってやってるんだからな」
「何言ってんだ。まず自分のことを考えなきゃ。最優秀か、せめて次点にならなきゃ作品は載らないんだから」
「まずは名前だけでも載らないと意味ないだろ。私はとりあえずの第一ステップはクリアしたのだ。お前はまだ私の境地に達していない」相変わらず可愛げのない言い方だが、ナギなりの思いやりがこめられていることはわかっていた。
「そ、そうだね・・・。ありがとう、ナギ」その反応が面白くなかったのかテレたのか。
「何を覇気のない。そんな風だからヒナギクに振られるのだ」

ナギにしてみれば、康太郎がヒナギクを射止めれば、自分がハヤテの恋人になれたかも知れない、と思っているのだろう。
ナギは今でもハヤテのことが好きなのかな・・・、康太郎の胸がチクリと痛んだ。ハヤテは自分にとって数少ない友人の一人だが、この件についてはそれとは違った感覚がある。

康太郎は軽く頭を振った。それよりも大事なことがある。
「ナギ、受け取ってほしいんだけど」
「ん、何なのだ?」
康太郎が取り出したのはチョコレートの小箱だった。

「こ、これを私に?康太郎、お前が私に?」
「あ、あの、そんな深くは考えないでほしいんだけどさ。ほら、入選のお祝いというか、一緒に漫画に取り組んでいる仲間として、っていうかさ」

ナギはチョコを康太郎を見比べながら黙然としている。そのサイズと入念な包装は義理チョコというレベルではない。
ナギは手を伸ばしてリボンを解き始めた。
康太郎は強烈な喉の渇きを覚えていた。

有名なメーカーのチョコの粒が宝石のように並んでいた。
ナギの胸の奥にしばらく忘れかけていたどぎまぎするような感覚が動いていた。
「ふ、ふん。全く気が利かないやつだな」
「え」
「私はホワイトデーを待つまでもなくゴ○ィバのチョコなどいつでも食べれるのだ。私に気持ちを伝えたいのなら、せめて手作りにしてくるぐらいの心掛けがないと響かんぞ」
「そ、そんな言い方・・・」
「まあいい。受け取ってやる。たまには安物のチョコというのも悪くはない。ただな、条件があるぞ」
「な・・・何だよ」
「今、マリアに頼んでコーヒーを入れてやる。このチョコは二人で食べるぞ」


二人のお気に入りのコーヒーは決まっている。「いつも」のコーヒーを運んできたマリアは、部屋に入って首を傾げた。ちょっと違和感があった。
普段ならそれぞれの机にコーヒーを運んでいる。
しかし、今、二人は休息スペースの丸テーブルに向き合って座っていた。
部屋の中にはかすかにチョコの香りが漂っているが、それらしいものは見えない。ただ、ナギの両手がテーブルの下から出てこない。

(そういえば今日はホワイトデーでしたね。私としたことが、何とうかつなことを)
二人の顔が幾分朱に染まっていることには気付かない振りで、マリアは口を開いた。
「あら、お二人ともテーブルで休憩ですか。コーヒーだけでは寂しいでしょう。何かお菓子をお持ちしましょうか」
「い、いや、何もいらないぞ。コーヒーを飲んだらすぐ始めるから」
「おいしいクッキーがありますよ」
「し、しつこいな、マリア。とにかくコーヒーだけでいいから」
「あら、それは残念ですね。クッキーは私が頂きますわ。ここでご一緒させてもらってもいいですか」
「ば、ばか。目の前でチョコなんて食べられたら気が散る。一人で食べてこい」
「(バレバレですわね。私はクッキーと言っているのに)はいはい。それでは二人でごゆっくりなさって下さいね」
マリアは優しい笑顔を崩すことなく部屋を出た。


廊下を歩きながらマリアは次第に顔が綻んでくるのを抑えることができなかった。
ちょっとだけ寂しさも感じていたが。
(これはちょっぴり想定外でした・・・。やっぱり受験の必要はなかったかしら。いや、そうでもなさそうですね)

鼻歌を歌うようにサン=テグジュペリの名言を口ずさんでいだ。
「Love does not consist in gazing at each other, but in looking together in the same direction.」

その懐には、アリスから託されたアパートの住民一人一人への手紙が入っていることをまだ誰も知らない。


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Re: 憧憬は遠く近く 第四章 〜 本当の君と ( No.13 )
日時: 2016/02/15 22:30
名前: プレイズ

こんにちは。ご無沙汰してますプレイズです。

康太郎がナギの漫画のサポートを務めているのは予想外ですね。
考えてみれば同じ漫画家を志す同士、繋がっている所もある二人です。
ナギの描く漫画は破天荒ですが突拍子のない展開ばかりなので、確かにその辺は康太郎の漫画の長所と合わせれば、上手い具合のバランスになる良いパートナーなのかも。

あと康太郎がチョコを渡して、何か良い感じの雰囲気になってて意外です。
この二人のCP的なハヤテ小説は見たことがないので何か新鮮ですね。
でも漫画家志望という共通項もある二人なので、よく考えればあってもおかしくない組み合わせなんだなとハッと気付きました。
マリアさんもそんな空気のナギにいじわるしたりとらしさ溢れてますねw

一方、アリスちゃんが退場してしまいましたが、ムラサキノヤカタから彼女がいなくなると皆は少し寂しいでしょうね。
アリスはハヤテとヒナギクの関係を想って色々やってくれていましたが、二人はその分もちゃんと上手くやっていってほしいものです。
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Re: 憧憬は遠く近く 第四章 〜 本当の君と ( No.14 )
日時: 2016/02/16 22:39
名前: どうふん
参照: http://soukensi.net/perch/hayate/subnovel/read.cgi?no=413

プレイズさんへ

ご無沙汰してます。
感想ありがとうございます。

さて、今回はナギと康太郎の物語です。ヘタレの代名詞のような康太郎ですが、ヒナギクさんに告白したのが本当だとしたら、そのことは評価していいのでは、と思っています。
好きな人に歯牙にもかけられず、無神経な物言いをされ、傷つきながらも敢えて告白するまでには相当な葛藤があったはずです。ましてヒナギクさんは学園きってのアイドルでヒーローですから。
その点に限り、康太郎はヒナギクさんよりも勇気があったと言ってもいいでしょう。
正直、自分の身に置き換えてみても・・・。

そんな康太郎が描く漫画とはどんなものか。私の想像ではナギと正反対になりそうです。
だからこそナギにブレーキと言いますかサポートができるでしょうし、ナギに逆らうほどの度胸はなさそうですから、なんだかんだと言いながらうまく噛み合うのでは。
そしてナギとの接点が増えた康太郎は、ナギの内面の輝きがヒナギクさんに似ており、決して劣るものではないと気付くのではないでしょうか。
このカップリングにあたり、何の根拠も背景もなしに強引にくっつけたわけではない、という点をわかって頂いたようでありがとうございます。


そして、アリスが去った後の二人ですが、まあ、当分順風満帆ということはないでしょうね。
色んな事件に巻き込まれ、なんやかやとぶつかりながら・・・それでもお互いを大事にして愛情を育てていくだろう、と思っています。何といっても周りには応援する仲間たちがいますから。
もちろん前作のように、アリス変じてアテネが微妙な存在として復活することはありません。


                                       どうふん

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Re: 憧憬は遠く近く 第四章 〜 本当の君と ( No.15 )
日時: 2016/02/20 16:32
名前: どうふん
参照: http://soukensi.net/perch/hayate/subnovel/read.cgi?no=413

そして時は過ぎ、という程でもないですが、皆、それぞれの進路も確定しました。
ハヤテは結局、ヒナギクさんと同じ大学に行くことができたでしょうか。
そして他には誰が・・・



【第10話:それぞれの未来図】



大学入試の結果発表が出揃った。
ムラサキノヤカタの関係者で最難関の国立東京帝都大学に合格したのはヒナギク、ナギ、千桜そしてハヤテだった。他の面々も、それぞれ行先は決まっていた。
そしてもう一人、これは誰も知らないことだったが、マリアも東京帝都大学を受験し、合格していた。
「な、何でマリアが・・・?」ナギは絶句していた。
「まあ、ナギのことが気になりますからね。それにハヤテ君も私がついていないと、どこでヒナギクさんと仲がこじれるか心配ですし」
「確かにマリアさんの学力をもってすれば合格なんか簡単でしょうけど・・・」ヒナギクとマリアに交互に家庭教師をやってもらっていたハヤテも、こんな結末は思いもよらなかった。
「それにね、私もそろそろ子離れしなきゃいけない時が来たのかとも思っているんですよ」
「マ、マリア・・・。もしかしてお前、好きな人でも・・・?」
「それは今から探します、大学で。ナギもハヤテ君も素敵なパートナーがいるんですから。私もそろそろ世間に出てみようかな、って」
「パ、パートナーって、私はいないぞ、そんなもの」
「あら、漫画を描くパートナーのことですよ。大学は違うけど同じ東京だし、これからも一緒に漫画家を目指すと約束したんですよね」
「ほ、ほんとにそれだけだからな」
「はいはい」

ヒナギクはちらり、とハヤテに目を遣った。
(マリアさんも子離れか・・・)それはナギの成長を意味するものだろう。
それはまたヒナギクの密やかな夢を後押ししてくれるかもしれない。


**************************************************:::::::::::::


入学式当日、キャンパス内の桜が満開となっていた。
講堂で型どおりの入学式が執り行われた。ハヤテたちは千桜を交え講堂の真ん中の辺りにいたが、新入生代表で誓いの言葉を述べるヒナギクは一人最前列だった。

入学式が終わり、後方席から順番に退場することになった。最前列のヒナギクが出るのは最後となる。
一足先に講堂を出たハヤテたちは異様な熱気が講堂を取り囲んでいることに気付いた。
入学式当日に一斉に開始される恒例の部・サークル活動の勧誘だったが、こんなことが始まるとは知らない大半の新入生は茫然としている。

「こ、これは凄いですね」あちこちで雰囲気に呑み込まれてサークルのテントやテーブルに連れ込まれる新入生が続出していた。
「ヒナギクさんを待って一緒に出ましょうか」
「ハヤテ君、それは無理ですわ。列がつかえます。一足先に抜けましょう」
ナギ、マリア、千桜には次々と勧誘の声が掛かってくる。部員からマネージャーまで、是非、話を聞いて、と言い寄ってくる。しつこくテントに連れ込もうとする連中もいた。
ハヤテはそれを振り払い振り払い、ようやく校門まで出てきた。
さすがにここまで来ると勧誘は少ない。

ハヤテはヒナギクのことが気になった。あれだけ目を引く女性が一人でいるのだ。目の色を変えてハイエナが押し寄せることは容易に想像がつく。
「さすがのハヤテもヒナギクのことになると見当違いになるのか」
「え、どういうことです」
「心配するな。ヒナギクはすぐに出てくる」
ナギの言葉通り、ほんの十数分後、ヒナギクは軽快なフットワークと流れるような体捌きに華麗な跳躍を加え、何事もなかったようにハヤテたちの前に立っていた。


***********************************************************:::


5人で大学の手前にある喫茶店に入った。
屋敷に帰る前に、大学の周りを少し眺めていきたい、とハヤテが言ったのである。
「ハヤテ君からそんなことを言い出すなんて珍しいですわね」
「そうでもないですよ。最近はだんだん図々しくなってきていますから」困ったような顔を作ったヒナギクの瞳はちょっと自慢気に輝いている。
「ヒナ・・・、お嬢様の前でそれはちょっと」
「今・・・なんて言ったのだ、ハヤテ」
「え、え、何か言いましたっけ?」とぼけてはいたものの顔が真っ赤になっていた。
「ほんとにわかりやすい奴だな。いつの間にそんな仲になったのだ」
ヒナギクも顔をちょっと赤らめていたが、満更でもなさそうだった。
実際ハヤテとヒナギクは、今、二人だけで会話するときは「ヒナ」「ハヤテ」と呼び合っていた。


「まあ、これから大学生活をどうするかはそれぞれ考えなければいけませんわね」
マリアが助け船を出した。
「決まっている。在学中に必ず特別な何かになるのだ」
「東宮君と一緒にですか」
「マリア、しつこいぞ」
「まあ、当分はバイト三昧かな。奨学金だけでは生活厳しいし」
「私は、在学中に司法試験の資格を取って将来は個人事務所を開くつもりよ。そのためには経営の勉強もしなきゃいけないわね」
「さすがはヒナ・・・ギクさんですね。僕はこれからお嬢様だけでなくヒナギクさんも精一杯フォロ−しますよ」
「あのな・・・ハヤテ。無理しないで言いやすい呼び方にしていいぞ。それに『ヒナ』も勉学だけでなく、彼氏との時間をしっかりとることだ。社会に出るとなかなか思うようにいかないぞ」
「あ・・・あはは・・・」
「ナギに説教されちゃったわね。でもありがとう。ご忠告はしっかりと肝に銘じておきます」
「う・・・、まあほどほどにな」
「それでマリアさんは・・・?」
「私も世間に出るのは久しぶりですから。まだ何も決めていませんが、今からじっくりと考えます。もちろんナギの側にいることには変わりありませんよ」
ナギの顔にホッとしたような空気が浮かんだ。

「しかし、ヒナギクの法律事務所か・・・。その時は住み込みで三千院家の顧問弁護士になってくれ」
「それも悪くはないわね。でも私としてはむしろ街中でちょっとしたトラブルに対応したり、泣き寝入りしている人たちの力になりたいの」ヒナギクの頭には、かつて理不尽な境遇にあったハヤテや自分の姿が浮かんでいた。幸いなことに、ハヤテにはアテネやナギが、自分や姉には今の両親がいた。だがそれが天文学的な確率であることもよくわかっていた。

「さすがですね、ヒナギクさんは。私はてっきり国際派弁護士を目指すのかと思いましたけど」
「それはヒナギクには無理だな。国際派ならまず飛行機に乗れないと」
「ナギ・・・。別に海外なんてね。船に乗っても行けるのよ」
「お前の言う海外とは八丈島と北海道のことか?」

しかし、ヒナギクには、ナギの前では、いやハヤテにも今はまだ言えないことがあった。
将来、個人事務所を開設した暁にはハヤテと二人で運営するのが夢だった。

そうなるとハヤテに三千院家の執事は辞めてもらわなければならない。
ナギがハヤテに依存している間は不可能だし、する気もない。
ただ、ナギが成長し、新しい恋と自立への道を進もうとしている今、ハヤテがナギにとって不可欠な存在でなくなる時はきっと来るのではないか。それもそう遠くない未来に。
それはマリアも、おそらくはハヤテも感じているはずだ。

その時になれば・・・

2/27 ご指摘の点、修正しました。ありがとうございました。
     「最高学府=東京帝国大学」 ⇒ 「最難関の東京帝都大学」
     「東京帝国大学」 ⇒ 「東京帝都大学}
      ※「東京帝都大学」は架空の大学です。
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Re: 憧憬は遠く近く 第四章 〜 本当の君と ( No.16 )
日時: 2016/02/21 15:42
名前: ???

こんにちは、???です。
初めからぜんぶ見ました。
ところで、はやて逹の大学は、わかったけど、
ほかのみんなはどこにいったんですか?
もしよかったら教えて下さい。
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Re: 憧憬は遠く近く 第四章 〜 本当の君と ( No.17 )
日時: 2016/02/22 22:03
名前: どうふん
参照: http://soukensi.net/perch/hayate/subnovel/read.cgi?no=413

ええと・・・。???さん、でいいんですよね。


ご質問、ありがとうございます。それとこの長い物語を最初から見て頂いたそうで、併せて御礼申し上げます。


さて、関係者の進路についてです。

第10話を書くにあたり、私が迷ったのは、東京帝都大学に行くメンバーに千桜と康太郎を含めるかどうかでした。(後のメンバーは既定です)
まず千桜ですが、家庭の事情もありますし私立は厳しいかな、と。そして真面目で学業も優秀そうだし、ここはやはり合格組に加えました。
さて、康太郎ですが、まず間違いなく東京帝都大学を受験したでしょう。しかし優等生ではあっても、試験前にナギの漫画のサポートに夢中になっていたので受験科目が多い東京帝都大学の合格は難しいのではないでしょうか。それでもナギと一緒に、せめて近くにという純粋な想いの半分は叶い、御三家の私立どれかには入り込むのでは。
一方、同じことをしていても、ナギは天才なので合格しました。大学こそ離れましたが、その中で二人の愛情が育まれるのではないかと思います。
ナギは康太郎が落ちた原因に気付いているはずですから。


正直なところ、私が考えたのはそこまでです。
しかし折角ですから他のメンバーについても考えてみましょう。
まあ、思い付きですのでその点はご容赦。
彼らが残りの話に出てくることはありません。
(続編でもあれば別ですが、まずなかろう、ということで)


まず西沢歩ですね。彼女は普通に関東圏の私立大学、といったところでしょうか。あまり当人は深く考えず、ヒナギクさんや千桜さんの近くにいて、ちょくちょく遊びに来そうです。
霞愛歌さんは、優秀ですし東京帝都大学でもいいですが、それ以上に彼氏に夢中ですから、大学も女子大が・・・、ということでお○の水女子大としましょう。
生徒会三人娘は・・・、真っ当に行ける大学があるのか疑問ですが、何だかんだといいながら乗り切りそうな気がします。
泉は実力で短大に補欠入学。美希は裏口で私立大(四年制)。そして理沙は大学に行かず家業=神社に就職(?)「今時、大学入学に何の意味がある。私が一足先に大人の女になるのを指を咥えて見ているがいい!」
あとは・・・虎徹ですか。
多分東京帝都大学というかハヤテを目指して浪人していそうです。


                                                        どうふん



※2/28 ご指摘の点、修正しました。ありがとうございました。
     「最高学府」「東京帝国大学」 ⇒ 「東京帝都大学}
     
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Re: 憧憬は遠く近く 第四章 〜 本当の君と ( No.18 )
日時: 2016/02/22 23:34
名前: ???

ありがとうございました。
これからもよろしくお願いします。
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Re: 憧憬は遠く近く 第四章 〜 本当の君と ( No.19 )
日時: 2016/02/24 01:15
名前: 明日の明後日

明日の明後日です、こんばんは。

さて、今回は感想ではなく、誤用の指摘を目的とした投稿であることを予め断っておきます。


>>15(10話)の中で次のような文言があります。

> 最高学府=東京帝国大学

言葉を選ばずに述べますと、この表記は全くの誤りです。詳しくは以下。


@最高学府という単語の意味

最高学府は東京大学を指す言葉ではありません。
学府は学問をする場という意味なので、日本の最上位大学である東京大学が日本の最高学府になる、という思考は自然と言えば自然なのですが、学府という言葉は大学よりも階層が上で、すごく大雑把に言うと学校の種類を示す言葉な訳です。
よって、最高学府とは『学府というカテゴリ』の中の『大学というカテゴリ』内での序列ではなく、学府に含まれるカテゴリ間での序列で最高位であることを表すのです。
すなわち、学府という大きな括りがあって、その中に小学校だとか中学校だとかでグループが作られているのです。
学校教育法では最も専門性の高い高等教育は大学で行われることになっているので、最高学府とは正しくは(特別な指定、制限はなく)大学のことを指します(大学と大学院を分けて考えるとまた話は変わってはきそうですが)。


A東京帝国大学という呼称について

帝国大学は明治時代に勅令によって設立された大学のことを指しますが、○○帝国大学という呼称は戦後数年以内に廃止されました。
設立当時に帝国大学の名前を冠した東京大学、京都大学、大阪大学、名古屋大学、東北大学、九州大学、北海道大学のことを、帝国大学時代の名残で旧帝国大学、旧帝大などとひとまとめにして俗称することも多いですが、現在の日本国内には○○帝国大学という名前の大学は存在しません(ちなみに宮廷大という表記もネットなどでは散見されますが、これは旧帝大の誤表記です)。


以上2点が>>15で見られた誤用・誤表記です。
細かいこととお捉えになるかもしれませんが、看過できるレベルの誤用ではないと判断し指摘差し上げました。
もし不快に感じられたようでしたらお詫び申し上げます。


それでは失礼致します。
明日の明後日でした。



2/26追記

返信内容を拝見しました。
わざわざ調べ直して頂いた様で、かえって恐縮する次第です。

Aに関しましては、どうふんさんの仰るように「架空の大学」を指してのことなのかなとも思ったのですが、旧名をそのまま使用していらしたので念のため、ということでご指摘差し上げました。

さて、名称変更の候補の中に「東京首都大学」とありますが、非常に紛らわしいことに「首都大学東京」という名称の公立大学が実際にあるのです。
国公立の中でもレベルの高い大学ではあるのですが、流石に東京大学と比べるとなると…というところがありますので最難関・東京大学をイメージできるという点を考慮するならば「首都」という言葉は入れないほうがよいのではないか、というのが個人的な見解です。

参考程度に。

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Re: 憧憬は遠く近く 第四章 〜 本当の君と ( No.20 )
日時: 2016/02/26 21:16
名前: どうふん
参照: http://soukensi.net/perch/hayate/subnovel/read.cgi?no=413


明日の明後日さんへ

 ご無沙汰しております。
 ご指摘のレスを頂いたことは気付いておりましたが、しばらく遠出しており、回答が遅れました。
 明日の明後日さんからレスがもらえると、他の方々とは全く違う意味でニヤニヤしています。
それは怖い物見たさにも似て・・・。不謹慎ですね。止めましょう。

とにかくこうして丁寧に目を通して、自分で気付かない問題を指摘してもらえるのは大変ありがたいことだと喜んでおります。入念な説明まで頂き、恐縮至極です。
 当方、勉強し直した結果、以下の通りご回答します。


 @【最高学府】について
ウィキペディア、コトバンクなどで確認したところ、
「最も程度の高い学問を学ぶ学校。通例、大学をさす。
[補説]一般に東京大学のみを指していうのは誤用とされる。明治10年(1877)から、明治30年(1897)に京都帝国大学ができるまでは、東京大学(明治19年からは帝国大学が唯一の大学で、最高学府だった。)」とのことでした。
当方、補説にある「一般に東京大学のみを云々」と考えておりましたので明らかな間違いでした。

 A東京帝国大学という呼称について
  実を言いますと、この名称を使用した理由はもっと単純でして、東京大学そのもの、というわけではなく、東京大学をイメージできる架空の大学、のつもりでした。「ガリレオ(東野圭吾、作)」でいう「帝都大学」みたいなものです。今にして思えば、注釈も入れず、旧大学名をそのまま使ったのは中途半端で軽率でした。

で、対応ですが、以下の通り考えております。
 @「最高学府」は「最難関」といった表現に修正。
 A「東京帝国大学」は別の名前に変更します。「東京帝都大学」「東京首都大学」?日本語としてはおかしな表現となりますがまあ仕方ないかと。
 
改めてご指摘ありがとうございました。
本作も完結が近づいてきましたが、看過できるできないを問わず、また、気付いたところをご指摘頂ければ、幸いです。


どうふん
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Re: 憧憬は遠く近く 第四章 〜 本当の君と ( No.21 )
日時: 2016/02/29 21:20
名前: どうふん
参照: http://soukensi.net/perch/hayate/subnovel/read.cgi?no=413




第11話 憧憬は今ここに 



「何でかしらね」ヒナギクがぼそりと言った。
「え、何でしょう」
入学式の後、ハヤテとヒナギクはマリア、ナギ、千桜と別れ、ムラサキノヤカタに戻る途中だった。千桜は「買い物があるから・・・」と言っていたが、真偽の程は不明である。
「私たちの大学の名前よ」
「『東京帝都大学』のことですか」ハヤテは首を捻った。
「帝都って、皇居のある都って意味だし、昔の東京はそうも呼ばれていたんだから、この名前は二重表現になるじゃない」
「は、はあ・・・。しかしパンフレットには、開校当時からの由緒ある名前とありましたし・・・」
「由緒ねえ・・・。そんな上等なものかしら。誰かが苦し紛れに捻り出したような感じがするんだけど」


*********************************************************************:


ヒナギクは大学生活をムラサキノヤカタで過ごすことに決めていた。
「もっと大学に近いところで賃貸マンションを探したら・・・」と両親からは勧められたが、ヒナギクは頑として譲らなかった。
「それだけの思い入れがここにはあるのよ。それにもしかしたらアリスが戻って来るかもしれないじゃない」あり得ない、とは思っても、今でもヒナギクは時々空っぽの押入れを開けてはため息をついている。
それだけではなく、ムラサキノヤカタは、今まで通りハヤテが週の半分は執事を務めることになっていた。もちろんこちらの理由の方がずっと大きいだろうが。
それを聞いた千桜もそのまま残ることにした。カユラも含め、当面ムラサキノヤカタの住民は三人である。


二人がムラサキノヤカタに戻った時、中には誰もいなかった。二人はヒナギクの部屋に入り、どちらからともなく寄り添って腰を下ろした。
「やっと二人になれましたけど、これから二人だけの時間はどうしても減っちゃいますね」
「ええ。でも今の私たちは恋人同士なんだから。時間が少しぐらい減ったところで、私たちの距離は開かないわよ・・・。と、言いたいけど、どんなに忙しくても二人の時間は一生懸命作らなきゃね」
長すぎる空白の重みをはっきりと知った二人だった。
「はい。そして、社会に出たその後は、また一緒の時間は増えますよ」
「・・・それ、プロポーズと思っていいのかしら」
「あはは・・・。本番はもう一度やらせて下さい。今のは先行予約ということで」
もっとも似たような会話はしょっちゅう交わしている二人だが。
「もう借金もほとんどなくなったのよね、ハヤテ」
「全額じゃないですが。あと5百万円くらいです」


三年生になって白皇学院の五大行事は、ヒナギクとハヤテで全部優勝して1億5千万円を二人で獲得した。
※賞金総額は原作の当初設定に合わせています
二人の個人成績、というより対戦成績は2勝2敗1引き分けと全くの五分だった。引き分けというのは二人で組んだマラソン自由形である。その結果、賞金はほぼ半々となったが、ハヤテとの個人対決に勝ち越せなかったのをヒナギクはかなり悔しがっていた。
(まあ、ハヤテの顔も立てないと)とは思いつつ、いざ勝負となると、そんな意識など吹っ飛んでしまうのがヒナギクである。

前月、周囲の進路が決まっていく中、ヒナギクはハヤテに自分の賞金を全て借金返済に回すよう申し入れた。戸惑うハヤテにヒナギクは言った。
「当たり前じゃないの。ハヤテの借金は私の借金よ」最初は驚いていたハヤテだが、ヒナギクの想いと一緒に受け取ることにした。満足げに頷いたヒナギクの顔がくすり、と笑った。
「本当はね、いつかそう言える日がきっと来るって信じて手を付けなかったのよ」
顔を泣き出しそうに歪めたハヤテの両腕がヒナギクを包み込んでいた。


「ただですね、ヒナ。借金の残りはそのまま持っていたいと思います」ハヤテの脳裏には、二人分の賞金1億5千万円を返す時のナギの寂しそうな笑顔が蘇っていた。
「ナギとの繋ぎ・・・ね」
「はい。僕は恩知らずにはなれません。ヒナは不愉快かもしれないけど、これだけは目を瞑って下さい」
「いつかも言ったわね。ハヤテがそういう人だってことはわかっているわよ」ヒナギクは、ちょっと不自然にはにかんだ。

「ありがとうございます、ヒナ」
「・・・やっぱりちょっとおかしいわね」
「え、何がです」ヒナギクの瞳が妖しく光り出していた。
「私を呼び捨てにしながら、言葉遣いが敬語だとバランスが悪いわ」
「あ、あはは・・・そうでしょうか」ヒナギクの次のセリフは見当がついた。

「ええ。じゃ、ハヤテの次の課題は決まりね。敬語を直すこと」やっぱり・・・。ハヤテは軽くため息をついた。
「はあ・・・相変わらず厳しいですね、ヒナ」
「あら、その代わり甘い時間はたっぷりとあげるから」
「し、心臓に悪いですよ、そんなセリフ」むせこんだハヤテがようやく呼吸を整えて正面を向くと、ヒナギクの瞳がすぐそこにあった。え、と思う間もなくヒナギクの唇がハヤテのそれをついばんだ。

ヒナギクの顔が離れた時、ハヤテの目は焦点が定まらず口は半開きだった。
ずっと憧れていた景色が、手が届かなかった世界が今ハヤテの周りに広がっている。
正直なところ、ここまでヒナギクに心を奪われるとは思わなかった。ヒナギクがどこまで意図しているかは定かでないが、とにもかくにも翻弄されていることは間違いなかった。
(『虜になる』ってこういうことなのかな・・・)

もっともヒナギクの側からすれば、それほど余裕があるわけではない。恍惚としているハヤテから離れたヒナギクの顔は、朱く染まって上気していた。しかしその表情はハヤテの心臓を改めて直撃する。


二人が初めて唇を合わせたのは、アリスと別れてすぐのことだった。今と同じ様にヒナギクの部屋で寄り添って時間を過ごすことが日常となり、ヒナギクが甘えるように恥じらうように求めてきた。それはハヤテにとって、解読まで時間がかかる難解なものだったが。


「ホントにヒナギクさんはキスが好きですね。初めての時はすごくおずおずと遠回しでしたけど、最近は結構大胆におねだりしてくるし。そして今はいきなり、ですか」
まだ目を泳がせながらもからかうような口調のハヤテに、幾分むくれたヒナギクは、指を胸の前でもじもじさせていた。
「私よりずっと沢山ハヤテがキスしているというのは面白くないわよ。回数の差は埋まらないから、相対的な比率だけは近づけておきたいじゃない」
半ば呆れながらもそんなヒナギクが可愛くてたまらず、ハヤテはヒナギクの肩に腕を回し、もう一度唇を寄せた。
「こんなことまで勝負事にしなくても・・・。それに『ずっと沢山』ってことはないですよ」この程度ならWHITE LIEの範囲内だろう。

家族ハイキングにおける一件がヒナギクを刺激したことは間違いない。
ふと、ハヤテは思った。
(まさかとは思うけど・・・。最初からそれがあーたんの狙いだったのかな・・・。
いくら何でもそんなことは・・・ありうる・・・かも・・・しれない)


「念のため言っとくけど、差が開いたら許さないわよ」ヒナギクの左手がハヤテの首に触れてそっと喉元を包み込んだ。その声は甘えるようで、手は優しく添えるように。しかしその親指と人差し指は明らかにハヤテの頸動脈をピンポイントで押さえていた。
冷たい汗がたらりと流れた。
「は、はい。それはもう」


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Re: 憧憬は遠く近く 第四章 〜 本当の君と ( No.22 )
日時: 2016/03/05 19:19
名前: どうふん
参照: http://soukensi.net/perch/hayate/subnovel/read.cgi?no=413


ちょっとやりすぎたかな・・・。前回投稿の二人のことです。
まあ、本作品は大部分がカップリング成立までのプロセスですので、そのほとんどで二人を苦しめることになってしまいました。その分の反動、ということで。


以下、最終話をもって、本作は完結となります。
第一回目の投稿が6月22日ですから、休み休みとはいえ、8か月以上かかりました。
感無量、というとオーバーですが、自分なりの感慨はあります。


二人と、その仲間たちに幸あらんことを。


頂いた感想、質問、指摘、皆私にとっての励みでした。
この長い話に最後までお付き合いいただいた方々、そして前作を含めると一年半もの間、発表の場を提供してくれた管理人さんに心より御礼申し上げます。




【最終話:微笑みは陽ざしのように】


「ちょっと薄暗いわね」
「でも、雨の心配はなさそうですよ」
午前中の講義の後、学食でハヤテと私は一緒に食事していた。人差し指を向けると、ハヤテは笑って頭を掻いた。
午後のスケジュールを聞いた私に、ハヤテはちょっとはにかみながら答えた。
「ええ、今日はお屋敷に戻って仕事があり・・・あってね」
ハヤテの敬語と普通語がちゃんぽんの日本語はまだ直っていない。それでも一生懸命直そうとしている姿は本当に可愛いくて愛しい。
だから半分以上は聞き流しているんだけど、何回も続くと指で差すことにしている。
ハヤテはこれを、また刺されちゃった、と言っているんだけど。


私はできるだけ何気ない風を装いながら、その表情に注目していた。
私に『執事の仕事があって』と言いにくいのはいつものことだけど、それとは違う雰囲気を感じた。目をわずかに逸らしている。
間違いない・・・。

「じゃ、私は図書館で夕方まで勉強してから部屋に戻るわ」
「そうですか。では、また明日ということになりますね。ええと・・・。一緒に受けるのは二時限目の民法と食事を挟んで国文学・・・だね。」
「大丈夫?ハヤテは国文学の方はいつも寝ているじゃない」
「え、それは・・・。その後のデートのため英気を養っているわけで・・・」
「そう?それならいいんだけど」
「え、いいの?」私もハヤテもほとんど同時に笑い出した。

周囲から変な視線が一斉に集まったような気がするけど・・・気のせいよね。大学生にもなると公然と付き合っているカップルなんか沢山いるんだもの。
ハヤテが女子学生のアイドルなのは相変わらずで、時々やきもきさせられるんだけど、今この周囲には男子生徒の方が圧倒的に多いんだし。


****************************************************************:


ハヤテと別れた私は図書館に入館したが、書棚を眺めただけで10分後には外に出た。
空を見上げると相変わらず一面に雲が広がっていた。でもハヤテの言う通り、雨は大丈夫そうだ。
私は駅に向かう途中で近くの花屋さんに小さな花束をつくってもらった。
そして電車に乗ってショウタ君が眠る墓地へと向かった。
だけど今日の目的はお墓参りだけじゃない。


12年前−
私には好きな人がいた。
そのショウタ君は私を守って大怪我をして、泣いて縋る私に「必ず元気になる」と約束してくれた。
約束は果たされることなく、私に謝りながらいなくなってしまった。
憶えてはいないことだけど。
ショウタ君と一緒に、ショウタ君の思い出さえも私は喪った。
心の奥に閉じ込めなければ自分を保つことができなかったから。

10年を経て、新たに好きな人ができた。
その人はショウタ君のことを承知で私と付き合ってくれている。
その人にとって、ショウタ君は恋人を救ってくれた恩人、という位置付けなのだろう。

それだけなら別にいいんだけど。


*************************************************************::


ショウタ君の小さな墓周りは綺麗に箒で掃かれていた。墓石は磨かれたばかりのように濡れて光っている。

周りに人の姿は見えなかったけど、明らかに感じるものがあった。
(やっぱりね)
私は持参していた花束から茎も花もしっかりしている一本を抜き取り、残りをお墓に供えた。
抜き取った一本は顔の前にかざして、目を閉じ、気を凝らした。


「そこよ!」少し離れた大きな黒い墓石のやや上を目がけ、ダーツの要領で花を飛ばした。
墓石の後ろから腕が伸びて、飛んできた花の茎を掴んだ。しゃがみこんで隠れていたハヤテが姿を見せた。
「さすがヒナ。よく僕の気配に気づきましたね」
「そんなに殺気を溢れさせては隠れてもムダよ」
「殺気・・・ってことはないでしょ」
「じゃ愛情の間違いかしら」
「全く敵わないな、ヒナ。全てお見通しだったわけですか」
ハヤテは苦笑いしながら近づいてきて、掴んだ花を私に差し出した。

私は手を出さなかった。
「これはハヤテがお供えしてちょうだい」
「え、でも・・・」
「いいから。一緒にお参りしましょ。ショウタ君に私の恋人を紹介したいの」
「・・・わかりました」

ハヤテはずっと私に黙ってショウタ君のお墓を掃除していた。それは恋人を助けてくれた恩人へのお礼だけでなく、気後れでもあるのだろう。その証拠に、ハヤテはショウタ君の墓を掃除するだけで線香の一本もお供えしたことはないようだ。
『僕はそんな立場じゃない・・・』『ショウタ君は僕のことなんか知らないし』そんなことを考えているに違いない。
そんな意識は今この場で拭い去ってもらわないと。


ショウタ君は私の初恋の相手であって命の恩人。それは変わらない。
そのショウタ君を思い出せないということにちょっと後ろめたさはある。
だけど、それでもいいんじゃないか、と思えるようになった。
記憶が戻ってもショウタ君が還って来ることはない。そして今の私が小学生の姿をした思い出の人に恋することも。
当たり前のことだが私だって大人になっていくんだ。
ショウタ君には感謝の気持ちを、そして思い出せなくとも私の人生の一頁に大きな大きな存在であったことは忘れずにいよう。

そして、ハヤテと付き合うことに何も疚しさを感じることはない。
それだけのことに気付いて、気持ちの整理がつくまで一年半かかった。
ハヤテが辛抱強く待ってくれただけでなく、あれだけ血相を変えて、必死になって私に訴えかけてくれなければ今でも私の気持ちは曖昧のままだったろう。
出口が見つからず迷路を彷徨う私を、ハヤテは迷路ごと叩き壊して助けてくれたんだ。


二人でショウタ君のお墓に手を合わせた。
眼を閉じるとショウタ君の顔が浮かんできた。

ふと気づいた。遺影と・・・私が知る唯一のショウタ君とちょっと違う。
今のショウタ君は寂しそうじゃない。安心したようで、ちょっと悪戯っぽく笑っていた。
胸の奥がちょっと熱くなっている。その笑顔は、懐かしさに似たものを私に運んできた。
多分・・・いや、きっとこんな風にショウタ君は幼い私を見詰めていたんだ。

(ショウタ君、今までありがとう。そしてごめんなさい。長い間心配かけちゃったわね。
でももう大丈夫よ。私はこの人とずっと一緒に歩いていくから。
今度こそ・・・きっと)


ハヤテが目を開けて、空を見上げた。少し不思議そうな顔をしている。
「どうかしたの?」
「え、いや、何か急に陽が差してきたような気がしたんですけど・・・気のせいかな」

私にはわかった。
「それはね、ハヤテ。ショウタ君が今、微笑んでくれたのよ。素敵な恋人を紹介したからきっと安心したのね」
ハヤテは照れたように笑った。
私の言うことを信じてくれたのかしら。

私たちはショウタ君にお別れの挨拶をして、お墓に背を向けた。
ハヤテの手が伸びて私の手を握ってくれた。
私たちは目を合わせて軽く頷き、歩き出した。


雲に覆われた空から陽ざしは零れてこない。
それでも私たちは感じていた。何より暖かい微笑みが背中に届いてくることを。



憧憬は遠く近く【完】


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Re: 憧憬は遠く近く 第四章 〜 本当の君と ( No.23 )
日時: 2016/03/05 21:31
名前: タッキー
参照: http://1120agl

どうも、タッキーです。お久しぶりです。すごくお久しぶりです。

最近はいろいろやることがあってSSの方には手が出せなかったんですが、一旦落ち着いたのと、完結されたとのことで、今こうして感想を書かせていただいています。

まずは完結おめでとうございます。自分もそろそろ今のヤツに手を付けないといけないとは思っているんですが、なかなかどうふんさんのように更新ペースが安定せず(というか更新すらできず)見習わなきゃと思っています。

ショウタ君の登場には正直驚きました。それでも彼のこと受け入れていくハヤテとヒナさんはすごく素敵だったと思います。ただ、自分としてはハヤテに「ショウタくんのことはもう忘れて……!」なんて台詞を言ってほしかったですかね。個人的にこうなるといいな程度の一時の思考ですので聞き流してもらって結構です。

四章にわたる長い作品、本当にお疲れ様でした(もし続きがあったらすみません)。もし、また次の作品を書かれるのであれば、それを楽しみにしております。

それでは
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Re: 憧憬は遠く近く 第四章 〜 本当の君と ( No.24 )
日時: 2016/03/06 12:13
名前: プレイズ

こんにちは、プレイズです。
どうふんさん、四章に渡る力作の完結おめでとうございます。

ヒナギクはショウタ君の事に完全に踏ん切りがついたというか、ちゃんと消化できたようですね。
消化に時間はかかりましたが、ハヤテがただ待つだけじゃなくて意志を持って訴えかけた事が、それに繋がりましたね。

ハヤテがショウタ君に気後れ的な感情を抱いていたのは意外に思えましたが、まあ自分の彼女が最初に惚れた男の子だし、ヒナギクに大きな影響を与えた存在という事で、少しジェラシーのような気持ちもあったんでしょう。

そして、ハヤテが彼の墓の掃除をしている事や、そんな気後れを抱いている事まで見抜くヒナギクは凄いというかさすがですね。
いる場所まで察知してピンポイントで花を飛ばすという。
あと、その前の話で甘えつつ頸動脈に手を添え付けるとかもただ者じゃないですw


この四章に渡る中で、精神面で色々障害があってなかなかじれったく、くっつくまでに時間がかかった二人でした。
ですが周りの人たちの支えもあって、蟠りを徐々に解きほぐしながら歩み寄って繋がっていく過程を堪能させていただきました。

ようやく告白まで行ったと思ったら、さらにショウタ君というヒナギクの過去の重要な出来事が蟠りとなり、また足踏みの形になって、本当に結ばれるまでに障害が立ちはだかるなと。
でもハヤテが、ただ待つだけじゃなくて『そんなヒナギクさんを・・・ショウタ君は絶対に望んじゃいない!』等と心の底からの想いをぶつけた事が、そのしこりを解きほぐしましたね。
相当に時間がかかりましたが、見事に二人が晴れて結ばれてくれて良かったです。

この小説を読むと、正直原作よりも綿密で高質に心理の変遷、進歩が描かれていて、各々のキャラも皆自分で(良い意味で)勝手に動いて行動しており、ある意味原作以上の質なんじゃないかと思うほどです。自分のような素人が言うのもなんですが、名作だと思います。


最後に一つ。
アリスに発破をかけられて以降、二人はキスを自然に出来るようになってカップルらしくなりましたね。
惜しげもなくしてる所を他の住人が目にしたら、きっと『リア充爆発しろ』とか思いそう。

何にせよ二人が正式に、形でも気持ちの面でもpureなカップルになれて良かったです。
今後の二人に幸あれ。

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Re: 憧憬は遠く近く 第四章 〜 本当の君と ( No.25 )
日時: 2016/03/06 21:38
名前: どうふん
参照: http://soukensi.net/perch/hayate/subnovel/read.cgi?no=413

タッキーさんへ

ご無沙汰してます。
感想ありがとうございます。


ショウタ君の登場について。
本作は、ショウタ君、というかヒナギクさんの知られざる過去(そりゃ、そうだろう)とその克服が主題なわけですが、いきなり昔好きだった子を引っ張り出しても唐突ですので、その過程をじっくりと書いた次第です。まあ、こんなに長くかかるとは思いませんでしたが。
一方で、結局どんな子だったのか、自分なりの構想はあるのですが、結局描くことはありませんでした。ここは皆さまの想像にお任せしたい、と思います。


『もうショウタ君のことは忘れて』ですか。う・・・ん。言った瞬間ハヤテはヒナギクさんにボコられそうな気がしますけど。
『思い出すこともできないことをどうして忘れられるのよ!』

いや、待てよ。もしかしたらハヤテは生徒会長室のテラスで言うつもりだったかもしれないですね。
ハヤテがヒナギクさんにどんな『歯が浮くようなセリフ』を囁こうとしたのか、私にもわかりませんが(いいのか)、気恥しさに身もだえするくらいですから。


あと、投稿を再開された様で何よりです。応援しておりますので頑張って下さい。


                                                  どうふん
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Re: 憧憬は遠く近く 第四章 〜 本当の君と ( No.26 )
日時: 2016/03/07 20:30
名前: ???

完結おめでとうございます。
一つだけ気になってる事があるのでお聞きします。
アテネはどうなったんですか
もしよかったら教えて下さい。
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Re: 憧憬は遠く近く 第四章 〜 本当の君と ( No.27 )
日時: 2016/03/07 21:16
名前: どうふん
参照: http://soukensi.net/perch/hayate/subnovel/read.cgi?no=413


プレイズさんへ


力の籠った感想をありがとうございます。
返事を書き上げるまで、時間が掛かってしまいました。


>ヒナギクはショウタ君の事に完全に踏ん切りがついたというか、ちゃんと消化できたようですね。
>ハヤテがただ待つだけじゃなくて意志を持って訴えかけた事が、それに繋がりましたね。

ヒナギクさんの「消化」という表現は適切だと思います。確かに時間はかかりましたが、あの二人のことです。めんどくさくて不器用で、それでも相手のことが大好きで・・・。
まあ、だからこそ仲間たちも応援したくなるんですよね。そしてヒナギクさんの誕生日におけるハヤテの頑張りは褒めて上げたいです。



>ハヤテがショウタ君に気後れ的な感情を抱いていた

これは、ご想像の通りです。実際にハヤテは一度ヒナギクさんに振られ(と言いますか、交際を断られ)ています。その原因は、ショウタ君の存在でした。
それともう一点。もしショウタ君が生きていたら、ハヤテの出る幕があったかどうか。もちろん実際のところはわかりませんが、当のハヤテは似たような恋を経験しているわけですから、その辺りを意識していただろう、と。



>そして、ハヤテが彼の墓の掃除をしている事や、そんな気後れを抱いている事まで見抜くヒナギクは凄いというかさすがですね。

まあ、ヒナギクさんは恋愛音痴ということで、原作・本作を問わず的外れな行動を繰り返していますが、元々が完璧に近い超人です。自信をもってペースを掴むことができれば、あの天然ジゴロが相手だろうと分析し、篭絡してしまうだろう、と思います。
しかし、ちょっとした隙、といいますか、自分が異性にどれほど人気があるかは相変わらず気付いていないようです。



>この四章に渡る中で、精神面で色々障害があってなかなかじれったく、くっつくまでに時間がかかった二人でした。

本作は元々そうした構想のもと書き上げた作品ですが、第三章の最後の方では、『いい加減にしろ』という罵声が飛んできたような気がしました。
当初、10話もあれば本題(つまりショウタ君の登場)に入れると思ったのですが、実際は辿り着くまでその倍掛かりました。
ただ、私としては、周囲の応援はあっても、それに引きずられるような形で交際を始めてもらいたくはありませんでした。ハヤテ君とヒナギクさんそれぞれが悩み、苦しみながらも最後は自分たちの力で勝ち取るような物語を目指しました。その経緯にどこまで説得力を持てたかが、私の懸念です。



>この小説を読むと、正直原作よりも綿密で高質に心理の変遷、進歩が描かれていて(後略)

ありがとうございます。原作キャラあっての本作ですし、ちょっとした思い付きから始めて、勢いで書いた作品をそこまで言っていただけるのはちょっと恥ずかしいですが、光栄です。



>何にせよ二人が正式に、形でも気持ちの面でもpureなカップルになれて良かったです。
>今後の二人に幸あれ。

私の作品は、前作も含め、そうした願望に基づいたものです。読者の方にも同じ想いを抱いていただけたことは、本当に嬉しいです。


プレイズさんの感想は、私の意識しなかったことにも気づかせてもらうなど、読んでいて楽しく、大いに励みになりました。。
長い間に亘り、ご愛読(と言っていいですよね)ありがとうございました。


                                          どうふん
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Re: 憧憬は遠く近く 第四章 〜 本当の君と ( No.28 )
日時: 2016/03/07 21:30
名前: どうふん
参照: http://soukensi.net/perch/hayate/subnovel/read.cgi?no=413


???さんへ

 
 質問ありがとうございます。
 アテネがどうなったのか・・・。
 残念ですけど・・・これは私にもわからないですね。

 ロイヤルガーデンを取り戻しに行ったアテネですが、今ロイヤルガーデンがどのような状態にあって、取り戻した結果、何が起こるのか。
 
 これは、ちょっとした思い付きで片付く問題ではなく、お答えするには、本作とは別に1章を要することになるでしょう。
 申し訳ありませんが、今、この場では何も言えません。

 ご容赦。


                                  どうふん
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Re: 憧憬は遠く近く 第四章 〜 本当の君と ( No.29 )
日時: 2016/03/11 02:09
名前: ロッキー・ラックーン
参照: http://soukensi.net/perch/hayate/subnovel/read.cgi?no=25

こんにちは、ロッキー・ラックーンです。
遅ればせながら、完結おめでとうございます。

固い固いヒナギクの心の扉の鍵をようやく開けることが出来たようで一安心しております。
復活に意欲を示しているであろうアリスちゃんを始め、これからも多くの人々が彼ら二人を応援し祝福してくれるのだと思います。

さて、いつぞやに言った「めぞん一刻を彷彿とさせる」という感覚を最終回でも覚えさせて貰いました。ハヤテ君も五代君よろしく「あなたもひっくるめて、ヒナを貰う」とでもキメていたんだろうなと勝手に想像しております。
余談ですがめぞんで一番好きなシーンは最終回で三鷹さんが五代君に「とにかく…がんばれ。」というシーンだったり…。

それと、ショウタ君の存在という設定について。
登場当初はアッーと驚かせて頂いたこの設定も、どうふんさんのヒナギクという人物への理解とそこからの発想の形として違和感無く受け入れられたと思います。「ラブコメのコメ担当」として、ちぐはぐな言動の繰り返しを強いられるヒナギクというキャラクターと改めて正面から向き合えた作品だったと思いました。

最後に、長い作品の執筆大変お疲れ様でした。
次回作も楽しみにしております。

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Re: 憧憬は遠く近く 第四章 〜 本当の君と ( No.30 )
日時: 2016/03/14 23:14
名前: どうふん
参照: http://soukensi.net/perch/hayate/subnovel/read.cgi?no=413



ロッキー・ラックーンさんへ


ちょっと身辺がバタバタしてお返事が遅れました。
感想ありがとうございます。

「固い固いヒナギクの心の扉の鍵をようやく・・・」
いや、その通りです。只ですら恋愛音痴で面倒くさい二人なのに、本作ではよくここまでハードルを引き上げたもんだ・・・。
我ながら感心しきり・・・というか、それでも、何とかして上げたくなるんですよね。あの二人。
最後は婚約者のようになりましたが、まだ始まったばかりの二人には、これから先まだ色んなことがあるのは当然です。この物語の中だけでも、将来の火種となりかねないものは散在していますし。
それでも自分たちの想いを信じて、仲間たちにも支えられ、幸せな家庭と未来を築くだろう、と思っています。何といっても、これだけの苦労をしてやっと成立したカップルですから。

本作が「めぞん一刻」を彷彿、といっては畏れ多いですが、その影響を感じさせる作品になりました。まあこれは、私がヒナギクさんに勝手な設定を加え、音無響子さんとダブらせたことに原因があります。ただ、ヒナギクさんの場合、かつての恋人を思い出すこともできず、潜在意識の中に閉じ込めた挙句、高所や恋愛に臆病になってしまいました。こんな強引な設定が果たして受け入れられるか、自信はなかったのですが、「違和感なく」と言ってもらえたのは嬉しいです。

ハヤテ君が、初めてショウタ君の墓に向かって、何を念じたのか、私も興味があります。
「あなたもひっくるめてヒナを・・・」だったのか。似たようなセリフですが「あなたの分までヒナを幸せにします」だったかもしれないですね。

ところで、私がめぞん一刻で最も好きなシーンは・・・。まあ、気付いておられるかもしれませんね。最終回近く、五代君と響子さんが、惣一郎さんの墓から手を繋いで去るところです。


あと、アリスちゃん、というか天王州アテネの行方ですね。
これは謎のままにしておこうと思いました。そんなキャラが一人くらいいてもいいかな、と(結局何も考えていなかった)。
ただ、気にする方が何人もおられるようなので、あくまで仮説ということで可能性を探っておきましょう。

仮説@:首尾よくロイヤルガーデンを取り返したものの、力を使い果たし、再びアリスの姿となってヒナギクさんやハヤテと一緒に暮らす。
仮説A:ハヤテやヒナギクさんを巻き込んで、ロイヤルガーデンを巡る戦いが始まる。ただし、神の力を自分のものにする必要があるアテネの前に、その力を神に返そうとするハヤテ達が立ち塞がる
仮説B:念願の法律事務所を開いたヒナギクさんとハヤテの前に、クライアント第一号として登場。しかも被疑者として。弁護を引き受けるヒナギクさん達だが、相手はメイド・・・ではなく名検事のマリアさん。

・・・まあ、その場限りの妄想ですので。不愉快に感じたら済みません。


最後に、ロッキー・ラックーンさんには、当方の第一作から何度も感想を送って頂きありがとうございました。ご自身の作品といい、感想といい、大いに参考にさせていただきました。改めて御礼申し上げます。


どうふん
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Re: 憧憬は遠く近く 第四章 〜 本当の君と ( No.31 )
日時: 2016/03/17 22:44
名前: 瑞穂

 お久しぶりです、すごくお久しぶりです! 瑞穂です!
 どうふんさん、まずは4章にわたる作品の完結おめでとうございます!
最近は感想を書き上げられませんでしたが、プリントアウトして最初から最後まで読ませていただきました!!


 ヒナギクさんだけでなくアリスちゃんも悲しませるところだったのですが、ハヤテ君は最後に自分を出して2人を一番いい形で送り出すことが出来ましたね。何とかやるしかないというハートも成功に結び付いて良かったと思います。
ハヤテ君がヒナギクさんと結ばれるまでにショウタ君のお墓が立ち塞がったのには驚きましたが、2人してそれを乗り越えて掴んだハートは今後の支えになるでしょう。


○  ○


 それからハヤテ君→アリスちゃん、ヒナギクさん→ショウタ君の初恋を被せたどうふんさんの書き方は素晴らしいです。
ハヤテ君とヒナギクさんが結ばれてきっと、アリスちゃんもショウタ君も喜んでいるでしょうね。


 どうふんさんも長い間の執筆お疲れ様でした。また機会があればどうふんさんの作品を楽しみに待っていますから。ひとまずゆっくり休んで英気を養ってくださいね(私が言えるセリフではありませんが)。


 あと一つだけ付け加えさせていただくなら、今月の感想キャンペーンに間に合わなかったことをお詫び申し上げます。
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Re: 憧憬は遠く近く 第四章 〜 本当の君と ( No.32 )
日時: 2016/03/19 22:22
名前: どうふん
参照: http://soukensi.net/perch/hayate/subnovel/read.cgi?no=413


瑞穂さんへ


ご無沙汰してます。
感想ありがとうございました。

一度に最初から最後までですか・・・それは大変だったでしょう。
私自身でも結構時間を取りますし。


本作はヒナギクさんのハッピーエンドを目的とした作品です。だからヒナギクさんは当然ですが、アリスちゃんにとって「一番いい形だったのかはわかりません。
ただ、最大の功労者でもありますし、不幸な形でのエンディングにはしたくなかった、というところです。これはナギやマリアさんも同様です。


ショウタ君の墓は、決して立ち塞がったわけではないですが、二人に残る最後のわだかまりを象徴するもの、という意味ではその通りでしょう。
それを乗り越え、あるいは消化(昇華?)したことが二人の絆になる、と信じています。


ハヤテ君とヒナギクさんはよく似た過去を持っています。
私は、本作でもう一つ似た過去を付け加えましたが、これが結果的に被せることになりました。

ハヤテ君、ヒナギクさんは君とよく似た、そして君以上に苦しい過去を背負っているんだよ。
そして、それを克服することはショウタ君をも救うことになるんだ。ヒナギクさんが大好きな君ならきっとわかるだろう。

そんなメッセージを感じてもらえたのなら嬉しいです。


                             どうふん


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Re: 憧憬は遠く近く 第四章 〜 本当の君と ( No.33 )
日時: 2016/05/06 10:35
名前: 烏天狗


初めまして、烏天狗と申します。

面白かったです。何より、これだけ長いお話しを中ダレすることなくどきどきしながら読めたのは素晴らしいと思います。

ただこれは内容ではありませんが、どうふんさんは、今後の展開などを、あっけらかんと途中で話されていますが、もう少し秘密主義で行ったほうがいいのではないでしょうか。
どうふんさんの作品の魅力は意表をつく展開にあると思っておりますので。

ぜひ、次回作はそんな感じで、と書いちゃうと規約違反になるんですよね。
あくまで読者の感想として。


烏天狗
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Re: 憧憬は遠く近く 第四章 〜 本当の君と ( No.34 )
日時: 2016/05/10 21:06
名前: どうふん
参照: http://soukensi.net/perch/hayate/subnovel/read.cgi?no=413


烏天狗さんへ


 感想ありがとうございます。
 楽しんでもらえたようで何よりです。


 で、ストーリーの事前公開についてですね。正直、考えてもみなかった観点でした。ありがとうございます。
 「意表を突く展開」を褒められたのは嬉しいです。しかしながら・・・。うーん、別段重要事項を事前に暴露しているつもりはないんですけどね。
 せいぜいが雑談とかレス返しの範囲内で。ヒナギクさんのハッピーエンドというゴールは確かに最初から公言しておりましたが・・・。
 今、この場で結論は出せませんが、考えてみます。


 それと次回作についてですね。それは秘密・・・済みません、冗談です。
 現時点では何も考えていない、というのが正直なところです。

 ご容赦。


                                   どうふん

 
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