Re: 憧憬は遠く近く 〜 不思議の姫のアリス ( No.1 ) |
- 日時: 2015/06/25 22:55
- 名前: ロッキー・ラックーン
- 参照: http://soukensi.net/perch/hayate/subnovel/read.cgi?no=25
- こんにちは、ロッキー・ラックーンです。ご無沙汰しております。
最近更新がめっきり無くなりましたが、ネタは練っています。
さて、タイトルの時点でワクワクが止まらないです。あぁ^〜 アリスちゃんの活躍に勝手に期待しております。と同時にヒナの心のモヤモヤに対してどうアプローチされるのか、そのあたりは自身の参考にもさせて頂きたく思ってたり…。 という訳で、次回も期待しております。
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Re: 憧憬は遠く近く 〜 不思議の姫のアリス ( No.2 ) |
- 日時: 2015/06/27 19:08
- 名前: どうふん
- ロッキー・ラックーンさんへ
早速の感想ありがとうございます。 今回の話は、言わば前作の仕切り直し、ということになるでしょうか。 正直、前作を完結させたときは、気が向いたら、番外編やアフターストーリーでも書いてみるか、程度のことしか考えておりませんでした。
それをなぜ今更、というところですが、これは数か月間練りに練った構想がまとまったから、ではもちろんありません。
つい先日、原作におけるキャラ設定に、ふと疑問が湧いたことがきっかけです。 その疑問を解消するための話を作ってみようか、というのが前作同様、行き当たりばったりの動機です。
前作を単純に練り直すつもりはありませんので、変化を付ける意味もあり、前作でほとんど出番がないアリス+1名をキーパーソンとして活躍してもらおうと思っています。 本格的な活躍は第三話からとなりますが。 ご期待に応えられるよう頑張ります。
【第二話:不思議の姫】
(はあ・・・。一体どうすれば) また、ため息をつくヒナギクは放課後の白皇学園を歩いていた。 もはや考えることは、どうすればハヤテとの仲を進展させられるか、ではなく、そもそも自分はハヤテを好きでいるべきなのか、きっぱりと諦めるべきなのではないか、というレベルまで落ちている。
まあ、無理からぬ話である。 実は昨晩もバイト先の喫茶店でハヤテと二人きりになった。夜でもあり、閉店していて客はいない。これはチャンスかも・・・、とヒナギクは思ったのだがハヤテの様子は明らかに迷惑そうだった。 それでも一緒にコーヒーを試飲し、ハヤテに間接キスをされて動揺したが、ハヤテは気付いた気配もなかった。 果ては、ハヤテにいきなり後ろから抱き付かれ、愛の告白らしきことを言われたれたものの、ジョークであることが判明した。 この時ハヤテはペットのタマ(虎)をかくまっており、ヒナギクにばれるわけにいかなかった。非情な仕打ちの一つ一つにはやむをえざる事情があったのだが、ヒナギクにはわからない。 それ以上に問題なのは、ハヤテはヒナギクをごまかすことばかり考えており、傷つけているという意識がかけらもないところにあった。 かくして結果はいつもどおりヒナギクがハヤテをぶん殴って終わった。 しかし、ハヤテの殴られた痛みより、そしてヒナギクの拳の痛みより、心の痛みの方がずっと重症ということであるということに、ハヤテは全く気付いていない。
もう一度ため息をついたヒナギクの腹が柔らかいものに触れた。 (え・・・) 目を下にやると、そこには小さな女の子がいた。 幼稚園児くらいのその子は金髪で、人形のように整った顔をしていた。既視感があった。 (なに、この子・・・?どこかで、見たような・・・)
生徒会三人娘や千桜がヒナギクの元に駆け寄って来たのはほとんど同時だった。 この金髪美少女に興味津々で話し掛けている。 「それが、良く分からないうちにここにいて・・・」 少女のセリフに泉はああ、わかった・・・と一人合点した。 「お嬢ちゃん、迷子なのね。ママはどこにいるかわかる?」 「ママ」少女が指した先は、ヒナギクだった。
当然ながら周囲の生徒たちも巻き込んで騒然となった。 必死になって否定するヒナギクを尻目に、通りがかったハヤテは、少女に向かい 「じゃあ、パパは誰かってことですよね。お嬢ちゃん、パパは?」と呑気な口調で話し掛けていた。 「パパ」少女は、今度はハヤテを指した。
騒然とした雰囲気は一気に混乱へと突入した。 ハヤテとヒナギクは赤くなった顔を見合わせていた。 実のところ、ヒナギクには困惑しつつも「満更でもない」感も漂っていたのだが、ハヤテは相変わらずの口調で 「そ、そんな・・・。いつの間に僕とヒナギクさんの間に子供が・・・」 ヒナギクの抗議する声も無視してさらに調子に乗って続けた。 「はっ!そう言えばあの時・・・」 頭から蒸気を噴き出しそうなヒナギクが、ハヤテの脳天目がけて白桜を振り下ろした。 「言っていい冗談と悪い冗談があるってこと、わかってる?ハヤテ君」 「す、スイマセン、ホント、スイマセン」 真剣白刃取りで受け止めたハヤテは謝りながら笑っていた。さすがに汗をかいていたが、何の切迫感もない。
「本当に違うの、ヒナちゃん?」恐る恐る尋ねたのは泉だった。 「私にこんな大きな子がいるわけないでしょ!」 「でもヒナ。もしかしたら、未来からタイムスリップしてきた二人の子ということもあり得るぞ」 「いや、そういう場合、この子はミニヒナかミニハヤテになるはずだ」 「たしかに頭の良さそうな子だから、どちらかと言えばヒナちゃんに近いけど・・・二人の子供というには・・・」 「どういう意味です、それ」 「だから私は子供を産んだことも、作るような行為をしたこともないわよー!」 かくして、ヒナギクはますます窮地に陥っていく。
結局その場は霞愛歌の登場で収まった。愛歌の説明によると、 @ その少女がアリスという、ある国の王女様で、修行のため日本に来ていること。 A その修行期間はアリスが父母と認めた人物の元で暮らさなければならないこと。 ハヤテが、ムラサキノヤカタにてアリスを受け入れることに積極的になったため、一気に話は進んだ。 後はヒナギクの同意だけ、というところだが、ヒナギクはいつの間にか姿を消していた。
「ハヤテ、私はヒナギクさんと一緒に住まなければいけないの。何としても合意を取り付けて来て」 アリスに言われて飛び出そうとしたハヤテだが、愛歌に呼び止められた。 「ハヤテ君は、よっぽどヒナのことが好きなのね」 「は、何のことです」 「違うの?」 「違います!」 「そんなに言い切っていいのかしら・・・?でもね、私の知る限りハヤテ君は、馬鹿で無神経で鈍感で、無意識に女の子を傷つけることはしょっちゅうだけど・・・」 「・・・ちょっとそれひどくないですか」 「ひどくないわよ。さっきのセリフなんか無神経と言わずして何なのよ。それでも、私の知るハヤテ君は、目の前にいる女の子を妊娠させたみたいなタチの悪い冗談を言うことはなかったわよ。 あの冗談を私に言える?千桜や泉でもいいけど」
ハヤテは沈黙した。そういえば何で僕はあんなことを口走ったんだろう。 「ヒナにしか言えないとしたら、ヒナがハヤテ君にとって特別な存在ってことね。まあ、『特別』にはいろんな意味があるし、他の理由も考えられるけど」 「何です、『他の理由』って」 「そうねえ、例えばハヤテ君はヒナのことをそもそも女の子と見ていないとか」 「そ、そんなことないですよ。あんなに魅力的で可愛いくて格好いい女の子はどこにもいないじゃないですか」
「(全くどこまで・・・)でもおそらくヒナはそう思っているわよ、ハヤテ君。ヒナに協力してもらいたいなら、その誤解を解かないと」 ハヤテはしばらく考え込んでいたが、とにかくヒナギクを探して走り出した。
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Re: 憧憬は遠く近く 〜 不思議の姫のアリス ( No.3 ) |
- 日時: 2015/06/28 00:30
- 名前: タッキー
- 参照: http://hayate/1212613.butler
- ハヤテのバカヤローーーー!!!
あ、すいません。タッキーです。 最近は原作を読んだり、ハヤヒナについて考えたりしているとつい、こう叫んでしまいそうになっています。ハヤテのバ(ry
取り敢えず「未来からきた子ども」というフレーズに反応してしまった自分ですが、それよりも愛歌さんの手厳しいセリフは素晴らしいと思いました(ハヤヒナ並感 なんというか、自分の心の叫びを代わりに言ってもらえたような感じです。ありがとうございました。
今回までの話を読ませてもらった限りではですけど、自分が今やってる話もテーマ的なのは多分どうふんさんと同じだと思います。ハヤテへの不満というか、ヒナさんのモヤモヤというか…それらについてどう接していくのか期待しています(多分ロッキーさんと同じこと言ってる) お互い頑張りましょう。
それでは
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Re: 憧憬は遠く近く 〜 不思議の姫のアリス ( No.4 ) |
- 日時: 2015/06/28 18:07
- 名前: どうふん
タッキーさんへ
感想ありがとうございました。
まあ、ハヤテに関する限り、こうなっちゃうんですよね。 前作においても、今のハヤテに対する怒りとか不快感とか乗り越えて、ハヤテ自身に何らかの成長がないとハッピーエンドには辿り着けなかったわけですし。
考え方によっては、ヒナギクさんが幸せになるには、むしろハヤテに愛想を尽かした方が近道のような気もするくらいです。 まあ、このお話の上ではそうなりませんが。
そうした点だけでなく、タッキーさんの作品は、着想なり構想に当方と似た部分が多い、と思っております。 (後発である私の作品の方が「似てる」、というべきか) 「未来から来た子ども」は、確かにタッキーさんの作品を意識して入れたものです。 まあ、ジョークのつもりですが、あの三人組のことですから、案外本気かもしれないですね。 今後も引き続き、参考にさせて頂きますのでよろしくお願いします。
どうふん
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Re: 憧憬は遠く近く 〜 不思議の姫のアリス ( No.5 ) |
- 日時: 2015/07/01 21:14
- 名前: どうふん
- ギリシャから帰ってきてからの、ハヤテのヒナギクさん限定の無神経な言動には首を傾げます。かつて、ヒナギクさんに嫌われていると思いこんで落ち込んでいたハヤテとは別人です。
これをどう解釈するか、愛歌さんに指摘してもらいました。 それを聞いたハヤテはどう受け止めるのか。 しかし残念ながら・・・
【第三話 : 時に気遣われ 時に頼られ】
ヒナギクは河川敷に腰掛けていた。 普段ハヤテから恋愛の対象として全く相手にされない(とヒナギクは思っている)ばかりか、今回は人前であんな冗談を言われ、顔から火が出る思いをした。 更にハヤテは、ヒナギクを加えてあのお姫様と三人で暮らす話を自分には断りもなく淡々と進めていた。照れる様子もなければ抵抗も感じていない様だった。 (やっぱりハヤテ君は私のことなんて全然女の子と意識してくれてないのかな・・・) このままでは自分の気持ちが冷めそうだった。いや、その方がいいのかな・・・なんてことまで考えていた。
「ヒナギクさん」駆けて来たのはハヤテだった。どんな顔をしていいのかわからず、ヒナギクはそっぽを向いた。 「何よ、一体。お姫様のために一緒に住めという話ならお断りよ」 「ヒナギクさん、いつも迷惑ばかり掛けているのに、今回、また変なことをお願いして申し訳ありません。 だけど誤解しないで下さい。お姫様のため、というのもありますけどそれだけじゃありません。僕は、僕自身がヒナギクさんに一緒に住んでほしいんです」 「バ、バカ、何を言ってるのよ。何でハヤテ君が私と一緒に住みたいのよ」 「僕は、ヒナギクさんと一緒に暮らせたら楽しいだろうなあ、と思ってます」ハヤテはヒナギクの手を握った。 この時初めて、ヒナギクはハヤテの方を見た。幾分心中のマグマが鎮まったような気がした。さっきとは違うものが心の中でざわついている。 「ハヤテ君は私と一緒にいると楽しいの?」自分では意識していないが、口調からは険が取れていた。
ハヤテはヒナギクの瞳から目を逸らさず、きっぱりと言った。 「もちろんです。僕は、ヒナギクさんは魅力的でカッコよくて本当に可愛い女の子だと思っています。 いつも怒られてばかりですけど、ヒナギクさんが笑ってくれると僕は本当に幸せな気持ちになれます」 ヒナギクの心臓が大きく跳ねた。 「だから、一緒に住んでもっともっと笑顔を僕に見せてくれませんか。僕もヒナギクさんが笑顔になれるよう一生懸命頑張ります」 「そ、そんな、いきなり・・・。私のことずっと女の子扱いしてもくれなかったのに・・・」 「はい。ヒナギクさんが、僕がヒナギクさんを女の子と見なしていないと誤解していると愛歌さんから・・・」
かくしてハヤテはヒナギクにまたも殴られて大地にキスすることになる。 (な・・・何がダメだったんだろう・・・?) そんなことを大真面目に悩んでいるハヤテだが、それでも一つ確信していることがあった。 (僕は、嘘はついていない。ヒナギクさんと一緒に暮らせれば楽しいだろうな・・・) しかし、どうしたら受けてもらえるのか、この鈍感執事の頭では全く思いつかない。
その場から走り去ったヒナギクは一人公園にいた。ハヤテの一挙一動に一喜一憂し、喜怒哀楽を振り回されている自分が情けなかった。 普段完璧超人とか才色兼備とか言われている自分が、ハヤテを前にすると、どうしてここまで無力でコミカルな存在になってしまうのか。 「何で私はハヤテ君なんか好きになってしまったのよ」 呟いたつもりが、意外に大きな声になっていた。
後ろから缶コーヒーが突き出されてきた。千桜がそこにいた。 「い、いつからそこにいたの」 「今来たばかりだ。ヒナ、一休みしないか」 「・・・今、休んでいたのよ」 「たまには肩の力を抜け、ヒナ。コーヒーを飲むから付き合ってくれ」
二人はベンチに腰掛けた。 「今持ち合わせがないからコーヒー代は明日まで待って」 「これは私のおごりだ。日頃ヒナにはお世話になっているからな」 「そんなわけにはいかないわよ」 「ヒナ、力を抜けというのはそういうところだ。こういう場合は、ありがたく飲んでもらった方が私は嬉しい」 「じゃあ・・・、ご馳走になるわ」 「ありがとう、ヒナ」 「何を言ってるのよ。御礼を言うのは私の方でしょ。ありがとう、千桜」 「はは、それもそうだな・・・」
ヒナギクの体に、コーヒーの甘さと苦さが沁みこんできた。何となく気分が落ち着いた。 その様子を見ながら、千桜もコーヒーのプルタブを引いた。 「なあ、ヒナ。お前はいつも周りのことばかり考えているが、周りだって、ヒナが思っている以上にヒナを気遣っているんだ。 たまには弱音も吐け。愚痴だって聞いてやる。 ヒナの周りにヒナの幸せを願わないヤツなんかいないってことくらい気付いてくれ」
(それは違う・・・)ヒナギクは思った。少なくとも自分の想い人にそんな意識があるとは思えない。ただ、千桜の思い遣りは涙が出そうになるくらい嬉しかった。 その後は二人とも黙ってゆっくりとコーヒーを飲み干した。
「じゃあな、ヒナ」千桜は立ち上がった。 「待って、千桜。私に何か話があるんじゃないの」 「私の話はもう済んだ。肩の力を抜け、と。あとはコーヒーを付き合ってもらった。私の用はそれだけだ」 「千桜・・・」 「ああ、もう一つあった。もしムラサキノヤカタに来てくれるなら歓迎するぞ」 そう言えば千桜は既にムラサキノヤカタの住人だった。 一人残されたヒナギクは、心のささくれ立った部分に温かいものを当てられたような気がして、ホッと一息をついた。
「いい友達をお持ちですわね」 アリスがいつの間にか足元にいた。不意を突かれたヒナギクは言葉が出ない。 「いろいろと思い悩むことがあるのはわかりました。ですが、ここは私に協力してくれませんか。勝手なことを言ってますが、私とて誰でもいいというわけではありません。あなたの力が必要なのです」 「だったら、もう少し私にわかるように説明してくれない?正直今は何が何だかさっぱりわからないわよ」 「残念ですができませんわ。私にもわからないのですから。それを明らかにするためにも、今、私は元の力を取り戻すことが必要なのです」 「やっぱり、あなたなのね、天王州さん」 「え?」 「あんな都合の良い設定を信じられるわけないでしょ。それに私は天王州さんとも友達だったんだから、あなたを始めて見た時には既視感があったのよ。 そして、今、力を取り戻すと言ったわね。それは天王州さんの能力でしょ」 アリスはいたずらがばれた子供のような顔をした。 「さすがね、ヒナギクさん。昔の記憶はほとんどないけど、あなたが天王州アテネの数少ない友人だったということは何となくわかるわ・・・。
改めてお願いいたします、ヒナギクさん。力を貸して下さい。今はあなたとハヤテだけが頼りです。事情はいつか説明できると思います」 こうした頼み方をされると、ヒナギクは断るのが苦手である。 結局、押し切られる形でヒナギクはムラサキノヤカタに入居することになった。
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Re: 憧憬は遠く近く 〜 不思議の姫のアリス ( No.6 ) |
- 日時: 2015/07/05 22:24
- 名前: どうふん
今までは原作をなぞった話でしたが、ここから先は原作から逸脱していきます。 不思議の姫が、いよいよ活躍を始めます。
まあもちろん全くの独創というほどのことはなく、先達の皆さまの作品を大いに参考にしたものだということはお断りしておきます。
【第4話: 家族の休日】
奇妙な家族生活が始まった。 「家族」とは言ってもハヤテとヒナギクが一つ部屋というわけにはいかず、ヒナギクとアリスの二人で同じ部屋に住んでいる。
毎朝早く、ヒナギクはランニングに出掛ける。ハヤテはそれより早く起きていて、庭を掃除しながらヒナギクを見送る。帰って来たヒナギクはハヤテが「ヒナギクのために」漬けておいた蜂蜜レモンを味わっている。
そして、アリスも交えて食事を、といきたいところだが、アリスは朝が弱くて起きられない。ヒナギクも学校があるため、その後はマリアがアリスを世話することがずっと多い。 「まあ、マリアさんは住人みんなのお母さんみたいな存在ですから」笑顔を崩さないマリアの背後からどす黒いものが発散されていたが、ハヤテは全然気づいていなかった。
ちなみに、その日の夕食はマリア手製の餃子だったが、ハヤテの皿には一つだけ、唐辛子と胡椒とタバスコが一杯詰まった特製餃子が入っていた。 「あら、単なるロシアンルーレットですわよ。当たったのはハヤテ君でしたか」マリアは相変わらずの優しい笑顔を浮かべたままだった。 「ぼ・・・僕だから良いですけど、これをあーたんが食べたら大変なことになっていましたよ」ハヤテは喉を押さえながら、水の一気飲みを繰り返していた。 「そんなヘマはしませんわ」 (うう・・・やっぱり確信犯か)
**********************************************************************:
それでも初めての休日となる土曜日。ハヤテとヒナギクは、アリスのたっての希望でとあるテーマパークに来ていた。 ここはヒナギクにとって、そしておそらくはハヤテにとっても思い出の場所だった。 (ここは、私とハヤテ君が初めて二人でお出かけした場所なのよね・・・。あの時はホントにイイ感じだったのになあ・・・。そもそもハヤテ君はそんなこと覚えていないかしらね)
パーク内に入り、ヒナギクはハヤテをちらりと見たが、ハヤテは嫌がるアリスに無理やり「たかいたかい」をして笑っていた。 (やっぱりハヤテ君は私より天王州さんなのかしら)ヒナギクがそう思ったとき、ハヤテが振り向いてヒナギクに話し掛けた。 「ヒナギクさん、もう一度乗ってみたいアトラクションはありますか?」 「え、もう一度?」 「一度、二人で来たじゃないですか。え、もしかして忘れちゃったんですか?」 「い、いや、そんなことないわよ。そ、そうねえ、どれも楽しかったけど今度はアリスも一緒だし、アリスの希望に合わせた方がいいんじゃないかしら」 「良かったです。ちゃんと覚えていてくれたんですね」 「あ、当たり前じゃないの」 「ホントですか、嬉しいです」
(ハヤテ君もそんなことを考えているんだ・・・)ちょっと意外な気がして、何となく胸の奥が温かくなった。
「ヒナ、助けて。ハヤテがしつこいんですわ」アリスがヒナギクに駆け寄ってしがみついてきた。 「はい、はい」ヒナギクはアテネを抱き上げた。 ちなみに、このお人形みたいな美少女を抱っこしたいとは、男女を問わず周囲の誰もが思うのだが、アリスの許可が下りることはない。 世話をする機会が一番多いマリアでさえ、「そんな恥ずかしいことはできませんわ」と、断られている。 しかし今、ヒナギクがごく自然にアリスを抱き上げたところをみると、ヒナギクは例外なのだろう。考えてみれば、アリスがベッドに使っている押し入れには、ヒナギクが抱き上げないと入れない。
「次は僕ですよ、ヒナギクさん」羨ましそうな顔をしてハヤテがアリスの顔を覗き込む。 「んー、アリス、どうする?」 「私はヒナがいいですわ」 「えー、そんなあ」
「そうしていると、本物の家族だな、ヒナ」 「やあ、偶然だな、ハヤ太君」 「アリスちゃん、久しぶりだねー」 生徒会三人娘がそこにいた。 「何、カメラを回しているのよ」 「こんな面白いもの、撮らないでどうする」最初からこれが目当てで遊園地に来たことは間違いない。 「家族水入らずを邪魔する気はないんだからね、ご自由に」 「そんなわけにいかないでしょ、『やっぱりその子は』なんて言われたくないわよ」
「まあ、いいじゃないですか、ヒナギクさん。僕たちは僕たちで勝手にするということで」 「私は構わないですわよ。折角の遊園地だから楽しまないと損ですわよ」 (え、いいの・・・?)
ヒナギクはハヤテの気持ちが相変わらずわからなかった。 しかし、その一方で(こんな生活も悪くないわね)そんなこともヒナギクは思い始めていた。童心に返って(というのも変な話だが)はしゃぎ回るアリスに振り回されながら、ヒナギクだけでなく、ハヤテも自然と笑顔になっている。 ヒナギクはキラースマイルとは違う笑顔のハヤテを久々に見た。 実際にアリスと遊ぶのは楽しかったし、何よりハヤテが楽しそうにしているのは嬉しかった。
その日、三人で時間の許す限り、比較的空いているアトラクションを目指して駆け回った。
日も暮れて、三人が最後に乗ったのは観覧車だった。 最初は尻込みしていたヒナギクだったが、ハヤテやアリスと手をつないでいると平気でいれた。 二人の手の温もりが、ヒナギクの冷めかけた気持ちをちょっと暖めてくれた。久しぶりにハヤテとの距離が近づいたような気がした。 (アリス・・・ありがとう)ヒナギクはそっとアリスの顔を撫でた。アリスも嬉しそうに顔をヒナギクに寄せてくる。その頬は赤ちゃんのように柔らかくて温かかった。
その一方で、本物の親子みたいな二人を見ているハヤテは、いつか見た「本当のヒナギクさん」を改めて思い出していた。
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Re: 憧憬は遠く近く 〜 不思議の姫のアリス ( No.7 ) |
- 日時: 2015/07/06 00:35
- 名前: ロッキー・ラックーン
- 参照: http://soukensi.net/perch/hayate/subnovel/read.cgi?no=25
- こんにちは、ロッキー・ラックーンです。
4話みたいな話が書きたかった自分の存在を忘れかけていました。思い出しました(北の侍並の感想 ハヤテの考える「本当のヒナギク」とは一体なんぞや…注目しています。
それにしても、アリスちゃんとの同居をきっかけに距離を縮める二人の姿、とても微笑ましく感じます。やっぱりいいモンですね。 ヒナの素直になれないトゲトゲした感情がアリスちゃんというやすりを絡める事でハヤテに届くようになると言えば良いのでしょうか。優しい雰囲気に、見てるこちらもこの親子を応援したくなります。
ではでは次回も期待しております。失礼しました。
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Re: 憧憬は遠く近く 〜 不思議の姫のアリス ( No.8 ) |
- 日時: 2015/07/06 20:21
- 名前: タッキー
- 参照: http://hayate/1212613.butler
- ふぅ…やっぱり幼女は(ry
どうも、タッキーです。
それにしてもアリスちゃんナイスです!ヒナさんとハヤテの距離が縮まっていく様子もそうですが、やはりこの微笑ましい親子のような三人はたまりませんね。
「本当のヒナギクさん」というワードも出てきましたし、よりいっそう次回が楽しみです。がんばってください。
それでは
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Re: 憧憬は遠く近く 〜 不思議の姫のアリス ( No.9 ) |
- 日時: 2015/07/07 22:51
- 名前: どうふん
ロッキー・ラックーンさんへ タッキーさんへ
感想ありがとうございます。 改めて思ったのですが、アリスは強力なキャラですね。実に話を展開させやすい。 ハヤテとヒナギクさんの娘のはずですが、それらしい描写が原作にないのは惜しいな、と思っています。 せめてこの世界の中では、今後、二人の娘として大きな役割を果たしてもらうつもりです。
原作においてハヤテとヒナギクさんが遊園地に行く話は、私の好きなエピソードの一つです。 あの後、ハヤテがすぐに忘れてしまったようになったのは、ストーリーの展開上仕方ないかもしれませんがどうにも解せない話です。 そこでちょっと思い出してもらいました。
ハヤテ君、君はあの時、楽しそうなヒナギクさんを見てどう思ったのかな?
どうふん
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Re: 憧憬は遠く近く 〜 不思議の姫のアリス ( No.10 ) |
- 日時: 2015/07/10 21:53
- 名前: どうふん
- テーマパークから帰って来た三人の団欒は続いています。
何か、二人の気持ちに変化はあったのでしょうか。
【第5話: 親子の寝室】
「でも、まさかヒナがあんなに高いところが苦手とは思いませんでしたわ」 「し、仕方ないじゃない。怖いものは怖いのよ」 「でも、不思議ですよね。あれだけ怖いもの知らずのヒナギクさんが。これ、昔からだったんですか?」 「・・・多分」 「多分?」 「い、いや、きっとそうよ。ずっと昔からそうだったもん」 遊園地に行ったその夜。夕食後、三人は部屋でくつろいでいた。
「でも、一番楽しそうにしていたのはヒナでしたわね」 「え、そんなことないわよ。アリスが一番はしゃぎ回っていたじゃない」 「まあ、それはそうですけど。でも僕にはヒナギクさんも同じくらい、というかもっと楽しそうに見えましたよ。以前、二人で行った時の、目がキラキラしているヒナギクさんを思い出しちゃいました」 「そう言えばちょっと気になっていたんですけど、二人で行った事があるんですの」 「はい。あの時のヒナギクさんは、全身が笑顔みたいな感じで、初めて『本当のヒナギクさん』を見たような気がしました。 そばにいた僕まで幸せな気分になっちゃいまして」 「ちょ、ちょっと、ハヤテ君」真っ赤になったヒナギクの頭から蒸気が噴き出しそうな雰囲気だった。
「ふうん・・・。つまりこれは、私はお邪魔虫だったということかしらね」 いつの間にかアリスの目が拗ねたような光を放っている。 「そ、そんなことないよ、あーたん」 「今日はアリスが一緒だったから、もっと楽しかったわけだし」二人がかりで必死にアリスの機嫌を取る羽目になった。
「ヒナ、今日は一緒に寝ますわよ」 いつも押入れに寝ているアリスがこんなことを言ってくるのは初めてだった。しかし、遊園地を遊び倒したアリスにしてみれば興奮冷めやらぬものがあるのかもしれない。何と言っても、どこまで子供でどこから大人かよくわからないのだ。 アリスの本当の姿を知っている二人にしてみれば何となくおかしかったが、それが「微笑ましい」という感情なのかもしれない。
ハヤテはアリスの布団を押し入れから出し、ヒナギクの布団と並べて置いた。 「じゃ、僕はこれで失礼します」 「お待ちなさい、ハヤテ。あなたも一緒ですよ」
ハヤテとヒナギクは茫然自失して顔を見合わせていた。 「私は一度川の字になって寝てみたかったんですわ。当たり前じゃないですか、家族なんですから」 「そ、それはね、あーたんは良くても、それはちょっと」 「あら、娘の頼みをパパは聞いてくれないんですの?ママ−、パパが私を苛めるんですの」 こうなると、アリスに歯が立つ二人ではない。
ハヤテはもう一人分布団を持ち込んで川の字に並んだ。 「あ、あの・・・電気を消した方がいいですか・・・?」 「ハ、ハヤテ君、変なことを言わないの。とにかくアリスが境界線だからね。領空侵犯したら撃ち落とすわよ」 「は、はい・・・」 アリスはそんな会話にお構いなしで両手を伸ばし、ハヤテとヒナギクの手を握って目を閉じた。 「パパ、ママ、お休みなさい」
********************************************************:::
「くーくー」と可愛らしい寝息を立てるアリスは、その傑出した美貌を除けば普通の少女と変わりない。 「あーたん、寝ちゃいましたね」 ハヤテはアリスの寝顔と寝姿を飽きることなく眺めている。 (昔と同じだ。僕と手をつないで眠るあーたんもこんな感じだった) ただ、あの頃と違うこと。 アリスは、自分だけではなくヒナギクとも手を繋ぎ、ヒナギクに顔を向けている。
羨ましいような、ちょっと妬けるような思いがして、自然と視線がヒナギクに移った。
どきん、とした。 ヒナギクはアリスの横に身を横たえ、片手でアリスと手を繋ぎ、もう一方の手でアリスの頭を愛おしそうに撫でている。 愛娘を慈しむ母親がそこにいた。
ハヤテは目を奪われていた。 母性愛に満ちている今のヒナギクは、凛々しい、清楚、正義の味方、あるいは短気、子供っぽいとか、ハヤテがヒナギクに抱いているイメージからは出てこない。 (こんなヒナギクさん初めてだ。でも、なんてキレイなんだ・・・。まるで天女みたいな・・・。これもきっと本当のヒナギクさんなんだ・・・)
つい先ほども口にした「本当のヒナギクさん」。 そう思ったのは二回目、ということになる。 今まで自分はヒナギクの何も知らなかったのか。いや、知りながら目を逸らしていたのか。 そして、「本当のヒナギクさん」は何て素敵なんだろう・・・。
ハヤテは呆けたように意識が飛んでぼんやりしていた。 得体の知れない奇妙な感情が胸に湧いていた。
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Re: 憧憬は遠く近く 〜 不思議の姫のアリス ( No.11 ) |
- 日時: 2015/07/15 21:54
- 名前: どうふん
- アリスが眠った後、二人が残されます。
もう少し、この話を続けることにしました。 今ハヤテは胸に湧いた奇妙な感情に振り回されています。 一方のヒナギクさんは、そのハヤテに・・・
それにしても・・・ちょっとまずいな、と思っています。
当初構想の第一部がまだまだ終わりそうにない・・・。
【第6話:ふたり・・・】
ヒナギクの瞳がハヤテに向いた。 目が合ったハヤテはどぎまぎして目線を外した。 灯りを消しているため、ヒナギクはハヤテの表情の変化に気付かない。
「ねえ、ハヤテ君」 「な、なんでしょう」視線をヒナギクに戻しながら心臓が激しく鳴っている。 「ハヤテ君は、もちろん知っているのよね、アリスが天王州さんだということ」 「え、ええ。ヒナギクさんも、ですね」ちょっと気が抜けたような感じがした。 「でも、何で子供の姿に?」 「それは僕にもわかりません。というより本人にもわからないようです」 「じゃ、何で私たちのもとに?」 「それもわかりません。ただ、ヒナギクさんの力が必要だ、とは言っていましたね」 「それは聞いたわ、私も」 「だけど・・・それだけじゃないと思いますよ」 「え?」
ハヤテはアリスを見た。ヒナギクの瞳から目を逸らした、というべきか。 「力を取り戻すだけなら、もっと簡単な方法はあるはずです」別に根拠はないが。 「じゃあ、何でよ」 「今のあーたんは、記憶も力もほとんど喪っているようです。ただ、少し残っている記憶で、自分を大切にして守ってくれるものとして、ヒナギクさんを選んだんじゃないでしょうか」さっきのヒナギクの姿を見て、ハヤテは本当にそんな気がしていた。 「それはどうかしら。ハヤテ君はともかく、私は違うわよ。ハヤテ君と違って天王州さんとそう大した関係はなかったし」 また思い出してしまった。ハヤテとアテネが抱き合っている姿。 胸が詰まるような思いがしてヒナギクは黙った。
そんなヒナギクを見ながら、ハヤテは全く別のことを考えていた。 「あの・・・ヒナギクさん」 「ん、何かしら」 「朝まで、ここにいてもいいですか?」 ヒナギクは言葉が出ない。唖然とした瞳でハヤテを見詰めている。 別に、ハヤテはおかしなことを言っているわけではない。三人で寝ることになった時はそのつもりでいた。 しかし、それを改めて言い出されると、全く違った意味を感じてしまう。
しばらくの沈黙。 ハヤテとしては、アリスも寝たことだし、自分の部屋に戻った方がいいのかな、と思っただけなのだが、意識してか無意識か口から出た言葉は逆だった。 さらに深読みすると・・・。
ハヤテは自分の言葉の意味に気付き狼狽した。 「も、もちろん、境界線を越えたり、ヒナギクさんが身の危険を感じるようなことはしませんから・・・。あの、別に下心とかやましい気持ちは決して・・・。
な、何を言っているんですかね、僕は。きょ、今日はヒナギクさんやあーたんと一緒で凄く楽しかったのでつい。 これで失礼します」 「ま、待ちなさいよ、ハヤテ君。わ、私は別に構わないわよ」 「え、え、その・・・」 「アリスは良く夜中に目を覚ますのよ。その時にハヤテ君がいないことに気付いたら、面倒だし・・・。
でも、領空侵犯はなしよ、絶対。
そ、それと今日だけ・・・だからね」
ハヤテはそこに留まった。しかし、会話は止まった。 結局二人ともまんじりともせずに朝を迎えることになった。
ふと、ヒナギクは思った。 (『今日だけ』なんて言わない方が良かったかしら・・・。って、な、何を考えてるのよ、私は) 一方のハヤテはこう思っていた。 (『今日だけ』か。そりゃあそうだよな・・・。い、いや、それより変な意味はないってことはわかってくれたのかな)
****************************************************************************::
翌朝−日曜日のムラサキノヤカタ 昨日から一転して、外は雨音に包まれていた。 「今日は一日降りそうですね、ハヤテ君」 隣で料理をしているマリアの声が耳に入ってこない。 朝食の準備をしながらハヤテは悩んでいた。
(一体なぜ僕はヒナギクさんにあんなことを言ったんだろう) 『朝までここにいてもいいですか』 アリスがいた、それ以外の理由は思いつかない。しかし、相手がマリアや西沢歩だったとして、あんなことを口走るとは思えない。 大体あの場面で言うことは、『あーたんも寝たことですしこれで失礼します』となるはずだ。
もう一つ、愛歌から以前言われたセリフも胸に蘇ってきていた。 「ヒナがハヤテ君にとって特別な存在ってことね」「特別の意味はいろいろあるけど」 (僕は・・・そんなつもりはないけど・・・ヒナギクさんを女の子だと見なしていないんだろうか。だったらヒナギクさんが僕に怒るのも当然かもしれないなあ)
ヒナギクのことが好きなんだろうか、という方向にハヤテの思考は働かない。 しかし、違和感は感じていた。 (何か違う・・・。何かがおかしい・・・) ハヤテはそれ以上考えるのが怖くなり、折角のヒントを生かすことはできず、考えるのを止めた。
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Re: 憧憬は遠く近く 〜 不思議の姫のアリス ( No.12 ) |
- 日時: 2015/07/16 13:11
- 名前: 瑞穂
- 初めまして、瑞穂と申します。
第5話、第6話につきましての感想です。
ハヤテのヒナギクに対する想いが少しずつ変化してきたみたいですね。これまではヒナギクとはベットを共にしようとはしませんでしたが 「朝まで、ここにいてもいいですか?」というセリフ、ヒナギクのことが気にならなければ出てきませんよね。
それからハヤテの思考が「ヒナギクのことが好きだ」という方向に働かないのは残念ですが、最後にはきっとヒナギクの事が好きになるでしょう。期待しています。 それにどうふんさんの作品を何本も読んでいますが、いずれも原作に忠実ですから好きです。
それに、僕はハヤテ×ヒナギクのカップリングについての作品が作者を問わず大好きです。 今後の展開も楽しみです。
言葉が足りず、うまく表現できなかったところはご容赦ください。 長文、雑文失礼しました。
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Re: 憧憬は遠く近く 〜 不思議の姫のアリス ( No.13 ) |
- 日時: 2015/07/16 22:25
- 名前: どうふん
瑞穂さんへ
感想ありがとうございます。 前作まで含めて喜んでもらったようで何よりです。
アリスに振り回されて距離を縮めている二人ですが、これは二人の(ハヤテはもちろんヒナギクさんも)本来持っている気持ちが次第に現れて来たんだと思います。 まあ、「ベッドを共に云々」というのはアリスの圧力に負けた感がありますが。
前作も含め、私の基本的な考えは「ハヤテは過去の重さに呪縛され、その目にはフィルターが掛かっているが、本当に魅かれているのはヒナギクさん」です。 その根拠らしきものも一応書いておりますが、さて、どれほど説得力を持っていることやら。
「最後にはきっとヒナギクの事が・・・」とありますが、最終的に二人の仲がどうなるかはわからないですよ、と勿体ぶるほどのこともないですね。
二人の幸せな未来。周囲から応援され、祝福される世界。だが、そこに辿り着くにはお互いに傷つけ合うことも経験しなければならない。 何と言っても、ただでさえ不器用な恋愛初心者の二人のことですから。
そんなお話です。
こうした感想を貰えるのは嬉しいので、気が付いたことがあったらまた投稿して下さい。 突っ込みも大歓迎ですよ。
引き続き、ご期待に応えられるよう頑張ります。
どうふん
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Re: 憧憬は遠く近く 〜 不思議の姫のアリス ( No.14 ) |
- 日時: 2015/07/20 13:06
- 名前: どうふん
- ヒナギクさん、ハヤテにアリスが加わった家族デートの翌日です。
アリスはマイペースを崩しませんが、ヒナギクさんとハヤテにはちょっと変化が起こったはずです。 ただ、この二人の事ですので、一直線とは行きません。
何より、まだハヤテは疑心暗鬼、というか迷い子の状態です。
【第7話 : 勝負に賭ける女たち】
昼前−ムラサキノヤカタの食堂。
三人で川の字になって寝た翌日(本当に眠っていたのはアリスだけだったが)、ヒナギクは、昼近くになってあくびしながら起きて来たアリスの隣に座り、アリスの食事を手伝っていた。 給仕をしているハヤテは、先ほどからヒナギクの顔をちらちらと見ている。 (ヒナギクさん・・・、あんな優しいお母さんの顔をするんだ・・・。女の人はみんなそうなんだろうか?『家族』ってこれが本当なんだろうか?)
昨晩眠ったアリスの頭を撫でるヒナギクの姿が蘇る。 ハヤテの知らない世界がそこにあった。 「みんな」じゃないことは確かだった。少なくともハヤテは一度として親からあんな慈愛の籠った顔を向けてもらった覚えはない。「家族」というものに幻想など持ちようのない環境で生きて来た。 むしろ、傷ついている自分に手を差し伸べてくれた天王州アテネやマリアに似たようなものを感じたことがある。 (あんなに素敵なお母さんや可愛い娘が僕の家族だったら・・・
な、何を考えているんだ、僕は。僕は1億5千万円の借金持ちで、一生ナギお嬢様を守る立場だ。そもそもヒナギクさんみたいな人が僕なんか相手にしてくれるわけないじゃないか)
ヒナギクとお喋りしながらナイフとフォークをかちゃかちゃしていたアリスが顔を上げた。 「ハヤテ、さっきから何を一人で百面相をしているんですの」ハヤテは狼狽した。 「え、やだなあ。そんなことないよ、あーたん。あ、水が切れてるね、持ってくるから」 ハヤテは慌てて台所に向かった。
台所ではマリアが洗い物をしていた。 「あら、ハヤテ君はテーブルに戻って下さい。こちらは私一人で十分ですよ」 「え、いえマリアさん、お手伝いしますよ」 「もうほとんど終わりです。アリスちゃんが寂しがりますよ」 「え、大丈夫ですよ。ママが・・・、いえ、あのヒナギクさんがついていてくれますから」 マリアはくすくすと笑った。 「ママねえ・・・。だったらパパも居てあげないと。娘が父親離れするのは早いんですから」 なおも言い訳のように抵抗するハヤテをマリアは台所から追い出した。
アリスの食事が終わり、三人は部屋に戻った。 やはり雨が降り止む気配はない。 「今日は日光浴もできそうにないですし、お部屋でうだうだすることになりそうですわね」 「まあ、折角三人が揃っているんだから何かゲームでもしましょうか」 「それだったら、私、トランプをもっているわよ」 「いいですわね」 「アリスが知っているゲームは何かしら?」 「ポーカーでもセブンブリッジでも何でもできますわよ。レートはどうします?」 「一体、あなたはどこでそんなこと覚えたのよ」 「王家のたしなみですわ」 「どんな国なんです?モロッコですか、香港ですか?ま、まあ、とりあえず、オーソドックスにババ抜きから行きましょうよ」 「ババ抜き?それは知りませんわね」 「・・・やっぱり、普通の子供のゲームを覚えた方がいいよ、あーたん」
ババ抜きを三回やり、負けたのは全てハヤテであった。 「単純ではありますがなかなか面白い遊びですわね」アリスはご機嫌な笑みを浮かべている。 子供相手に本気でやってこの成績か・・・。ハヤテは軽く落ち込んでいた。 「ハヤテはすぐ顔にでるから負けるんですわ」 「ババを引こうとすると、凄く嬉しそうな顔をするからすぐわかるわよ」 「は、はあ・・・」
「でも、ハヤテ。あなたにも勝つ方法がありますわよ」 「え、どうゆうこと?」 「そもそも最後に残る一枚がジョーカーとわかっているから、反応してしまうのです。ハヤテは単純ですから」 (うう・・・。娘にここまで言われる僕の立場って一体・・・) 「それでしたら、ジョーカーを最初から省いて、それとは別の一枚も引いて隠しておくのです。そうすれば、最後に残った一枚がババということになりますわ。それはその時まで誰もわからないのです」 (あーたんの知能指数って幾つなんだろう。こんなことをすぐに思いつくんだ・・・) ヒナギクも呆れている。体は小さく、記憶や知識はなくても思考能力は天王州アテネ並みということか。 こうして、三人でいわゆるジジ抜きをすることになった。
「やった。僕が一番だ」 ハヤテが満面の笑みを浮かべて踊り上がった。アリスの言う通りだった。 そんなハヤテの姿がヒナギクとアリスにはおかしかった。 そればかりでなくヒナギクは、こんな無防備なハヤテの笑顔が嬉しかった。滅多に見られない姿に胸が熱くなった。
だが、ヒナギクとアリスがお互いを見る目は火花を散らしていた。 (最下位になるわけにいかないわ)もともと負けることが大嫌いでプライドの高い二人の勝負に賭ける執念はいずれ劣らず、と見えた。
ご機嫌なハヤテは二人の手持ちのカードを交互に覗き込んでいる。 ヒナギクの手持ちのカードは二枚、アリスは一枚となっていた。 そしてアリスの番。1/2の確率で引くカードを間違えなければアリスの勝ちとなる。
今ヒナギクはどちらがジジであるのか知っている。さっきアリスから引いたカードはペアがない。となると、こちらが・・・。 百も承知のアリスは心理戦を仕掛けた。こちらを引こうかな・・・、と言わんばかりにカードをつまんでは手を離し、ヒナギクの反応をチェックしている。 だが、ヒナギクも負けていない。普段は真っ正直でも、剣道の達人がフェイントが苦手なわけがなく、こと勝負と割り切るとポーカーフェイスを通している。
しかしアリスは、ある意味ヒナギク以上に狡猾な勝負師だった。ヒナギクの表情からジジを見抜くのは難しい、と思ったアリスはターゲットをハヤテに切り替えた。 相変わらず、引くカードを迷っているそぶりをみせながら、ヒナギクのすぐ隣でカードを覗き込んでいるハヤテの反応を横目で探っていた。
ヒナギクはアリスの視線がずれていることに気付いた。その理由も。 「ハヤテ君。顔が(カードに)近すぎるわよ。離れて!」鋭い声でハヤテを叱咤した。 びくん、としたハヤテはヒナギクから身を離した。
念のために書いておくと、ヒナギクはトランプの勝負に夢中になっていただけで、ハヤテに対する思惑など全くなかった。 そして、この発言がどういう効果をもたらしたかにも全く気付いていなかった。
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Re: 憧憬は遠く近く 〜 不思議の姫のアリス ( No.16 ) |
- 日時: 2015/07/20 20:59
- 名前: 瑞穂
- どうふんさんへ
こんにちは、瑞穂です。 更新楽しみにしていました。今回のお話も微笑ましくて好きです。
まず、女性は母性本能を発揮するだけでこんなにも変わるものなんですね。 家族から愛情を注がれたことのないハヤテには、その姿を見ただけで新鮮でしょう。
ハヤテはやはり根が優しく単純ですから、勝負に勝つ術というものを知らないみたいですね。小さい頃から社会の中を渡り歩いているので不思議です。 ただ、それをあっさりと身につけさせるアーたんの知能や心理には脱帽しました。
> 「ハヤテ君。顔が(カードに)近すぎるわよ。離れて!」 > ヒナギクはトランプの勝負に夢中になっていただけで、ハヤテに対する思惑など全くなかった。
ハヤテもヒナギクも恋愛初心者ですからお互いを理解するのに時間が掛かるでしょうし、そういった経験をすることにより2人は新たな壁を乗り越えていくんでしょうね。
>>7でロッキー・ラックーンさんが仰っているように、この親子は微笑ましく感じますし応援したくなります。個人的見解を申し上げれば、本当の親子みたいだなと感じました。
次回のお話も楽しみにしていますので、どうふんさんも今後とも頑張ってください。 また言葉が足りず、うまく表現できなかったところはご容赦ください。 長文失礼しました。
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Re: 憧憬は遠く近く 〜 不思議の姫のアリス ( No.17 ) |
- 日時: 2015/07/20 22:24
- 名前: どうふん
瑞穂さんへ
早速の感想ありがとうございます。 まあ、個人的な趣味ですけど、子供を慈しむ女性は素敵だと思いますよ。 お母さんであれ、通りすがりであれ。
ハヤテは今、ヒナギクさんに魅かれてはいても、まだ浅い段階です。 何より当の本人が気付いていないわけですから。
今のままでは埒が明かない、という状況で、その鍵を開くのはハヤテが知らない世界ではないかと思います。 そしてそれはヒナギクさんが持ってはいても表面から見えてこないもの。 「母性愛」をキーワードに持ってきました。 ハヤテにとって縁遠い世界でもあるし、効果があるのではないでしょうか。
あと、瑞穂さんが着目?引用している文章ですが、今後の展開に大きな意味を持ってきます。 その辺りは次回投稿にて。
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Re: 憧憬は遠く近く 〜 不思議の姫のアリス ( No.18 ) |
- 日時: 2015/07/21 12:30
- 名前: タッキー
- 参照: http://hayate/1212613.butler
- どうも、タッキーです
なんというか…ヒナさん、やらかしちゃいましたね。でも逆に効果があったりして(いろんな意味で だってほら、あんな言葉をかけられたら目覚め…ゲフンゲフン!!すみません。冗談です
にしてもアリスちゃんは策士ですね。今回はそれが裏目に出たのか、それともそれすら彼女の計算に入っていたのか…なんにせよこれからの展開が楽しみです。
次回も頑張ってください
それでは
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Re: 憧憬は遠く近く 〜 不思議の姫のアリス ( No.19 ) |
- 日時: 2015/07/22 23:43
- 名前: どうふん
タッキーさんへ
感想ありがとうございます。 アリスの能力は今のところ未知数で、戦闘能力・運動能力を除けば天王洲アテネ並みといってもいいのではないでしょうか。 ただし、性格は子供半分、大人半分というところで設定しています。
そうでなければハヤテとヒナギクさんが両親、ということにはならないでしょう。
ただ、さすがのアテネも今度ばかりは失敗したか。 そこから先を計算していたとは思えません。 (何より作者にそんな複雑なストーリーを考える能力はありません)
さて、ヒナギクさんの失敗は、どのように反映されてくるのか。 そのあたりは次回投稿にて。
どうふん
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Re: 憧憬は遠く近く 〜 不思議の姫のアリス ( No.20 ) |
- 日時: 2015/07/24 23:43
- 名前: どうふん
- ハヤテのヒナギクさんの仲はもう一息だったような気もします。
アリスは自分がどこまで意識しているかは定かでありませんが(実のところ作者にもわかっていない)、強力な助っ人です。
しかしお互い相手に魅かれている自分を自覚しながら、相手の気持ちには全然気づいていない、その状況にはまだ変化がありません。
【第8話: 閉ざされた心に響くもの 】
ヒナギクとアリスの心理戦は勝負がついた。ヒナギクの勝利だった。 悔しがるアリスを前に、満足感で一杯のヒナギクだが、この時初めてハヤテの姿が見えないことに気付いた。 「あれ、ハヤテ君は?」 「そう言えば・・・。さっきから居ないようですわね。お手洗いかしら」 これほど明敏な二人が、今の状況に全く気付いていなかった。
どしんどしんと近づいてくる足音がした。
「あら、戻ってきたようですわよ」 「いや、違うみたいよ」 ドアを荒々しく開けたのはナギだった。 「お前ら、私を差し置いて何を楽しそうにしているのだ・・・あれ、ハヤテはどうした?」 「ちょっと外に出たみたいね。すぐ戻ってくると思うけど」 「で、昨日も今日も三人で家族ごっこしていたのか」 「『ごっこ』じゃありませんわよ」 「あのな・・・、前から気になっていたんだが、アパートの執事のハヤテがアリスの父親代わりというのはまだ許せるが、ヒナギクと夫婦とはどういうことだ」 「私には事情がありますからね。ハヤテとヒナでなければだめなのです」 ぐぬぬ・・・、とナギは憤怒を押さえきれない。 「一体お前は何者だ。未来からやってきたハヤテとヒナギクの子供か。そ・・・そんなことはありえないが」 「ちょ、ちょっと・・・、ナギ」 「ええ、確かにそんなことはありませんわよ。遺伝子学上ありえません。むしろ外見だけならあなたの子供の方が可能性は高いと思いますけど」 「た、確かに髪の色は一緒だが、お前みたいに我儘で図々しくて生意気な子供が私にできるわけあるかあ!」 「いや、今のままでは多分そうなると思いますわ」 「確かに」 ナギの後ろにマリアと千桜が立っていた。
ナギたちはまだやいのやいのと言い争っていたが、結局全員でババ抜きに戻してゲームを続けることになった。
しかし、1ゲームが終わってもハヤテは帰ってこない。 気になったヒナギクは席を立った。
(マリアさんがゲームに加わったから、家事を交代したのかしら・・・) ヒナギクはムラサキノヤカタを一回りした。 しかし、屋敷のどこにもハヤテはいない。靴は玄関にあるから買い物でもない。 (あとは、ハヤテ君の部屋・・・?) しかし、ハヤテが一人で部屋に戻る理由が、ヒナギクには思いつかない。 まして、その原因が自分にあるということなど想像もしていなかった。
************************************************************************::::
ハヤテはベッドに寝転んでいた。頭の中には先ほどのヒナギクのセリフが何度となくフラッシュバックしている。 『ハヤテ君。顔が(私に)近すぎるわよ。離れて!』 (僕は馬鹿だ・・・。一体何を勘違いしているんだよ・・・)
ハヤテとヒナギクは、親としてアリスを可愛がっている。 だが、二人はそれぞれがアリスの親となってはいても、二人が夫婦というわけではない。 それを忘れて、調子に乗ってヒナギクに馴れ馴れしい態度を取った挙句、叱咤された。 つい先日、愛歌に指摘されたばかりなのに。
いや、それ以前に、ハヤテは十年もの間思い続けた女の子がいる。その子と再会し別れたばかりではないか。 ヒナギクはそのいきさつを知り、応援してくれた。 それに応えることもできず、当のヒナギクにそんな態度を取っている自分は軽蔑されて当たり前じゃないか。
自分の馬鹿さ加減が情けなかった。恥ずかしかった。 (ヒナギクさん、怒っているだろうな・・・。あ、あれ・・・、あれ・・・?) 涙が溢れていた。 (おかしいじゃないか、何で涙が?何で泣いているんだ、僕は?)
ノックの音がした。 「ハヤテ君、いるの?入るわよ」 ヒナギクの声だった。
「あ、あの・・・、ちょっと・・・」 半身起こしたハヤテはヒナギクを止めようとしたのだが、効果的な言葉を思いつく前に、ヒナギクは顔を覗かせていた。
「どうしたのよ、ハヤテ君。一人で部屋に戻って・・・寝てたの?」 「す、すいません。急に眠気に襲われて・・・、つい」 「もう。だったら一言言いなさいよ。心配するじゃない」 「済みません、ヒナギクさん。いつもいつも困らせてばかりで・・・」 腹立たし気なヒナギクを見て、ハヤテはその原因を全く別なものと捉えていた。 だから謝った理由も全く的外れだった。
「何言ってるの?・・・ハヤテ君、泣いてるの?」 「す、済みません。そんなことないです。ええ・・・、ちょっとうとうとしてたら変な夢を・・・」 「変な夢・・・?本当に?」 「・・・ (嘘じゃないさ。ヒナギクさんと家族になった夢を目を開けて見ていたんだから)」 「ねえ、ハヤテ君。ちょっとおかしいわよ。何があったの?また何か厄介ごとに巻き込まれてるの?私で良ければ相談に乗るわよ」
ヒナギクは本当に心配そうな顔で覗き込んでいる。いつもなら怒ったように問い質してくるのに。それが余計にハヤテを苛立たせた。 「済みません、一人にしてもらえませんか。ちょっと一人で考えたいことがあるんです」 その声は自分でもわかるくらいに素っ気なく響いた。
後悔した。また怒られると思った。 しかし、ヒナギクの顔は怒っていない。悲しそうだった。その瞳に涙が溢れているように見えた。 「ごめんなさい・・・」消え入るような声と共にヒナギクは姿を消した。
一人残されたハヤテの胸に、いつかとよく似た感情が湧き上がってきた。 間違えようがない。 『ハヤテなんか、いなくなっちゃえばいいんだ!』もう十年も前、ロイヤルガーデンでアテネとひどい別れをした時味わった、文字通り胸が張り裂けそうな気持ち。 今感じているのもそれだった。 (僕は・・・、僕は、どうしちゃったんだ) さしもの鈍感執事も、今度こそはっきりと意識せざるを得ない。
(僕は・・・、ヒナギクさんが好きみたいだ・・・)
2/20 遅ればせながらご指摘の表記ミス(アテナ ⇒ アテネ)、修正しました。ありがとうございました。
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Re: 憧憬は遠く近く 〜 不思議の姫のアリス ( No.21 ) |
- 日時: 2015/07/26 23:58
- 名前: 瑞穂
- どうふんさんへ
こんにちは、瑞穂です。
ヒナギクは原作同様本当に思い遣りがありますね。ハヤテについて家中を捜しまわったり悩みを解決しようと相談に乗ろうとしたり……。 ハヤテはそういう気持ちを、愛情を受け取ることがどうしてできないのか僕は悲しいです。 それから最初に投稿したときもお話しましたがこういう、どうふんさんの原作に忠実な手法は好きです。
なお、原作ではハヤテは誰よりも温厚で優しいですが、 今回は終盤で苛立ち素っ気ない態度をとったことが意外でした。
2人の距離が遠のいた描写があったことを前回の感想にも書いたので心配していましたが、とうとうハヤテがヒナギクの好意に気づきましたか。 これで少しずつでも2人の距離が縮むといいですね。
それではどうふんさんも今後とも頑張って下さい。次回も楽しみにしています。 梅雨明けもして暑さが厳しくなってきましたので心身ともに気をつけてくださいね。 長文及び拙い表現で失礼しました。
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Re: 憧憬は遠く近く 〜 不思議の姫のアリス ( No.22 ) |
- 日時: 2015/07/28 05:41
- 名前: どうふん
瑞穂さんへ
感想ありがとうございます。
私は、原作の魅力はストーリーよりキャラクターにあると思っていますから、キャラクターを壊さないように、変えるとしても不自然さは極力減らすようにはしています。 特にヒナギクさんに関しては。
ハヤテがヒナギクさんに魅かれていながら(原作にさえ、それらしいシーンはありました)受けることができないのは、ハヤテ自身の劣等感などネガティブな部分に問題がある、と思います。 ヒナギクさんの愛情表現が稚拙であるのももちろん原因ではありますが。
今回のハヤテの「素っ気ない」態度は意外だったようですが、私は十分可能性ありだと、思っています。 というのは、ハヤテは本来は優しくても、自分自身の悩みにうまく付き合うことは苦手と感じるからです。ショックを受けて精神的に不安定な時、周囲に憂鬱さや横暴さを曝け出すこともありましたし。
ともあれハヤテは自分の気持ちに気付きました。 しかし、ヒナギクさんの気持ちを誤解したまま、と言う状況は続いています。
どうふん
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Re: 憧憬は遠く近く 〜 不思議の姫のアリス ( No.23 ) |
- 日時: 2015/07/30 22:30
- 名前: どうふん
- ハヤテの惨憺たる心境とは別に、ハヤテ以上に傷ついているのがヒナギクさんです。
そして周囲の仲間たちの反応やいかに。
第9話:かすがいの威力と限界
ヒナギクは扉の前で佇んでいた。 さっきのハヤテのセリフは、ちょっと温まっていた心に何度目かの冷や水を浴びせた。 アリスのお蔭で想い人との距離が縮まったと思ったらこれだ。 (結局は、こうなるのか・・・) ハヤテが自分に心を開いて素顔を見せてくれるようになった、なんて思ったけど結局アリスの前だけの話なのか。
中からは時折ナギの怒声を交えながら、皆の笑い声が響いてくる。 怒声、とは言いながら楽しそうな雰囲気が伝わってきた。あっという間にアリスがナギとも 打ち解けたことがわかる。 ムラサキノヤカタの中心にいるのはナギでもハヤテでもなくアリスなのかな・・・、などとヒナギクはぼんやり考えていた。
扉が中から開いた。マリアだった。 「何をしているんです、ヒナギクさん。早く中にお入りなさい」 「あら、ヒナ。どうしたんですの?」 「何でもないわ・・・。ハヤテ君はちょっと疲れたみたいで寝ていたわ」 アリス、千桜、ナギ、マリアの視線がヒナギクに集中した。 只事ではない雰囲気を四者四様に感じていた。 しかし、どう対応していいか誰もわからない中、アリスが部屋を飛び出した。 今のヒナギクにそれを追いかける気力はない。
********************************************************
「何があったんですの、ハヤテ?」 「ご、ごめん。あーたん」アリスの顔を見れないハヤテは壁を向いてアリスに背を向けたまま動かない。 「ごめん、って。それはヒナに言うことではありませんの?ヒナは泣いてましたわよ」 「そうだよね・・・。だけど・・・僕は・・・ダメな奴なんだ。弱くて汚い奴なんだ・・・。迷惑の掛けっぱなしでヒナギクさんには嫌われちゃってるし・・・」 「何があったのか知りませんが・・・。だったらどうだと言うんです。このマンションからヒナを追い出すつもりですの?私にはお二人が必要なのよ。知ってるでしょう」 「ごめん・・・。しばらく時間が欲しいんだ。ちゃんとヒナギクさんには謝るから・・・。追い出すなんてそんなことは全然考えてないよ。落ち着くまで一人にしてほしいんだ」 「愛娘に対するセリフですか、それが」 「・・・でも本当に今はだめなんだ。ヒナギクさんのことを考えると胸が苦しすぎて。申し訳なくて・・・どんな顔をして会ったらいいのか・・・」
背を向けたまま頭を抱え込むハヤテをじっと見ていたアリスの口調が変わった。 「パパ、お願いがあるんですけど」
********************************************************::
誰もがヒナギクの周囲で沈黙していた。 「や、やあねえ。何をそんなにしんみりしているのよ。私は平気だから」 「語るに落ちたな、ヒナギク。ハヤテと何があった」ナギの目はじっとヒナギクを見据えている。その目には怯えたような疑念が含まれていた。 千桜が中に入った。 「ちょ、ちょっと待て、ナギ。その問題は後だ。それよりも・・・」千桜が言いかけた時、ハヤテを連れてアリスが戻ってきた。
外面的には、ハヤテがアリスを抱っこして連れて来たのだが、その主導権がアリスにあることは誰もが気付いていた。 大体、アリスが抱っこされる姿なんて誰も見たことがない。 「あら、ハヤテ君。羨ましいですね。アリスちゃん、次は私が抱っこしていい?」 「まあ、マリアさんにはお世話になっていますからね。良いですわよ」 「あ、次は私も・・・」 「まあ、折角だから私も抱っこしてやってもいいぞ」 「仕方ないですね。順番ですわよ。皆が喧嘩しないように時間制にしましょうか」 「何をこいつは。どっかのアイドルか天才子役か」 「ナギ、ご存じ?子供って結構重いんですのよ。落とさないで下さいね」 「何だとお・・・。まるで私が非力みたいではないか」 「どうしてそれを否定できるんだよ。まあ、確かに破壊力は凄いがな」
多分に取り繕いの部分はあるが、また賑やかになって笑い声が飛び交い、ハヤテとヒナギクも釣り込まれて笑っている。苦い笑いではあるが。 ちらり、と目が合った。気まずい気持ちのまま俯いた二人だったが、ハヤテの口からポツリと漏れた。 「ヒナギクさん、済みません・・・」 「あ、いえ、こちらこそ・・・」 何に謝っているのか、自分たちにもわからないが、とりあえずの形式的な仲直りはできた格好だった。 だが、お互い相手の気持ちを全くわかっていない。それどころか誤解は深まっている。 少し近づきかけた二人の距離は変わらないが、その間に深い溝が生じたような奇妙な雰囲気だった。
そしてもう一人・・・。 二人の様子をナギはちらちらと見ていた。 ナギもまた、二人の心情を理解できず、否、したくないという思いがあった。 今、自分が考えていることを信じたくなかった。
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Re: 憧憬は遠く近く 〜 不思議の姫のアリス ( No.24 ) |
- 日時: 2015/07/31 23:12
- 名前: 瑞穂
- どうふんさんへ
こんにちは、瑞穂です。
そういえば前回のレス返しで >しかし、ヒナギクさんの気持ちを誤解したまま、と言う状況は続いています。
この一文を読むまで、ハヤテとヒナギクの仲は漸く進展したと誤解していました。
今回の冒頭でヒナギクが傷ついているとありましたが、自分の意思で行動した結果というより、振り回された結果という意味合いの方が強いと感じました。
(第8話も含めて)それからハヤテ、自分の心の整理ができないからってヒナギクにもアテネにも当たるんじゃない!! 2人が可哀想だと思わないのか!? (アテネには当たった、とは言いませんか(苦笑))
ハヤテとヒナギクについて >お互い相手の気持ちを全くわかっていない。それどころか誤解は深まっている。
前者については解りますが、後者についてはどのような誤解なのかよく解りませんので説明して頂けるとありがたいです。
>子供って結構重いんですのよ。 アテネの体格については6歳のはずですが、体重はどれくらいあるんでしょうか? (子供でも女の子に体重について聞くのはやっぱりタブーですかね(苦笑))
今回の話の序盤と終盤で思いましたが、やっぱり笑い声というのは人々の心を和ませるものなんですね。
次回も期待しています。 長文失礼しました。
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Re: 憧憬は遠く近く 〜 不思議の姫のアリス ( No.25 ) |
- 日時: 2015/08/01 01:54
- 名前: ロッキー・ラックーン
- 参照: http://soukensi.net/perch/hayate/subnovel/read.cgi?no=25
- こんにちは、ロッキー・ラックーンです。
結構ご無沙汰ですが、毎話楽しませて頂いてます。
「かすがいの限界」というワードに、今後の波乱の展開を示唆されているように感じ、ドキドキしています。(あの扉絵のアリスちゃんは非常に可愛かったのも思い出しました 二人のために動き回るアリスちゃんが非常に可愛らしく、どんな事を考えているのかとても気になります。かすがって欲しい(迫真
それにしても、抱っこして登場とは…まだ私もやってなかったので今後の自分の作品の展開にかなりの刺激となりました。更新が滞っているのは置いといて。 あぁ…やっぱりアリスちゃんは良いですね。
ちなみに、前述の瑞穂さんのレスにあるアリスちゃんの身体データについて。身長92cmの体重17kgです。アニメ4期の第3話の冒頭の自己紹介でのカットインにある公式データです。 6歳女児の平均が115cmの21kg程度なのでかなり小さい方でありまして…そんな所もやっぱり可愛いですね。 あ、あとナギが今後活躍しそうなにおいがして楽しみだと思いました。
では次回も楽しみにしております。
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Re: 憧憬は遠く近く 〜 不思議の姫のアリス ( No.26 ) |
- 日時: 2015/08/01 20:22
- 名前: どうふん
瑞穂さん、ロッキー・ラックーンさん、感想ありがとうございます。
瑞穂さんへ
残念ながら、現時点で「二人の仲」は全然進展しておりません。
ヒナギクさんが傷ついている状況ですが、「振り回された結果」というのは行動面ではその通りだと思います。 でも、心理面では、むしろ「独り相撲の結果」という要素が大きいと思っています。 これはハヤテにも通じることですが、恋愛下手である二人は相手の気持ちを勝手に忖度して悲観的に物事を考え過ぎえています。 原作のヒナギクさんが、もっと楽観的に自信をもってハヤテにモーションを掛けていれば・・・。
で、ご質問について、 「二人の誤解」というのは、お互い「(相手から)嫌われている」ということです。 ハヤテはヒナギクさんから叱咤され、ヒナギクさんはハヤテから素っ気ないセリフを浴びせられ、お互いに相手から嫌われていると大誤解を抱いているわけです。 ちょっとわかりにくかったですかね。 付け加えると、アリスの活躍もあって、二人は改めて相手に魅かれ、特にハヤテはヒナギクさんを好きだということに気付きました。 二人の距離そのものは近づいています。 ただし、二人の間にある誤解は距離以上に、深い溝となって二人を隔てているわけです。
ロッキー・ラックーンさんへ
いつもながら、鋭い洞察力には敬意を表します。
このお話のアリスは不思議の姫と呼ばれるに相応しい異能の持ち主ですが、一人の力では状況を大きく動かすことは無理なのです。 まあ、それほど恋愛下手の二人、ということです。 さらには、アリスがハヤテとヒナギクさんのカップリングをどこまで意図しているかも不明です。
その点については第二部にて・・・
と言ってしまいましたので、バラしてしまいます。
現在、第9話まで辿り着きましたが、当初構想の第一部の半分にしか進んでおりません。 あまりだらだらするのもどうかと思いますので、第一部は次回投稿にて終了させることにしました。 そういうわけで次回が第一部最終話となり、第二部、(おそらく)第三部へと続くことになります。
あ、あと、アリスの身体データって、身長はともかく体重まであるんですね。知らなかった・・・。 (まあ、それもどうかと思いますが) アテナとハヤテが初めて会った時のエピソード(於、ロイヤルガーデン)からして小柄だとは思っていましたが・・・ とにかく、私に代わってお答え頂きありがとうございました
どうふん
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Re: 憧憬は遠く近く 〜 不思議の姫のアリス ( No.27 ) |
- 日時: 2015/08/02 20:41
- 名前: どうふん
- 直前のスレッドにも書きましたが、ここで小休止、といいますか
「憧憬は遠く近く〜不思議の姫のアリス」は以下第10話をもって完結とさせて頂きます。
もちろん、こんな中途半端な終わり方をするつもりはなく、「憧憬は遠く近く」第二部を近日中に開始する予定です。 あくまで、文章の構成、区切りの問題、とご理解下さい。
以下、最終話は、状況整理の意もありまして、ハヤテの独白です。
【第10話:憧憬は遥かに】
家庭に幻想なんて全く持っていなかった。
お嬢様やマリアさんに親がいなくても大して気にはならなかった。 幸せな家庭に恵まれているとばかり思っていたヒナギクさんさえ、本当の両親からは捨てられている、ということを知った。 家族なんて、親子なんてそんなものなんだろうと妙に納得していた。まあ、ウチの親はそもそも人間として最悪だったけど。
だけど、あーたんを挟んでヒナギクさんと川の字になって寝ていた時にぐらついた。 あーたんの頭を撫でるヒナギクさんはまるで、天女みたいだった。 あんなキレイなヒナギクさん、見たことがない。
それだけじゃない。ヒナギクさんから頭を撫でられる度に、あーたんが微笑んでた。 あーたんはとっくの昔に眠っていたのに。 気持ちか、愛情か、そういったものは気付かなくても本人には伝わるんだろうか?
愛情か・・・。 素敵なお母さんって、本当にいるんだ。
ヒナギクさんはきっとあんなお母さんになるんだろうな・・・。そして、子供はあーたんじゃなくてもヒナギクさんそっくりで。 それともヒナギクさんの恋人に似ているんだろうか。 誰なんだろう、その幸せなヤツは・・・。
十年前、僕にはあーたんしかいなかった。おそらくあーたんにも僕しかいなかった。 それなのに僕が馬鹿だったからヒドい別れをすることになった。 胸が張り裂けるような思いがして、それをずっと引きずっていた。
その後、誰からも愛されず、信じられることもなく、それも当たり前だと割り切っていた。ただ、心のどこかに希望をもっていた。あーたんを、あーたんとの再会を心の支えにできたから。
しかし現実はぼろきれになるまで働くだけだった。 自分の力ではどうしようもない状況で命を落とす寸前だった。
それがお嬢様に救われた。一生かけても返しきれない恩を受けた。 だから、約束した。一生お嬢様を守る、と。その後も、お嬢様は全財産を投げ出してまで僕を救ってくれた。 僕なんかを信じて頼ってくれている人がいるなら、その人を命がけで守る。それ以上の望みはなかった。
ただ、あーたんのことは時々夢に見た。その度に胸を締め付けられた。 そして、ギリシャで再会し、囚われていたあーたんを助け出すことができた。僕はあーたんにやっと謝ることができた。 僕を許してくれたあーたんは、別れの言葉と共に、お嬢様の元へ送り出してくれた。 今度はあんな辛い思いはしなかった。受け入れることができた。
そして今・・・、あーたんは子供の姿をして戻って来た。原因も目的もわからないけど、とにかくあーたんのために協力しなきゃ、と思った。 だけど、ヒナギクさんに無理強いして付き合わせてしまった。ヒナギクさんはあれだけ優しくて正義感の強い人だから承知してくれたけど、考えてみれば初めて見る子の親代わりになるなんて迷惑以外の何物でもないだろう。 最初、ヒナギクさんから断られたのも当たり前じゃないか。 そんなことにも僕は気付いていなかった。
ヒナギクさんにすれば・・・ こんなヤツと・・・夫婦みたいな立場になってるんだ。そしてそいつは勝手にその気になって馴れ馴れしくつきまとっているんだ。 嫌がられて当然だよ・・・。嫌われても仕方ないよ・・・。
結局僕は、いつだってヒナギクさんを困らせてばかりなんだ。 その挙句に僕はヒナギクさんを好きになってしまったわけか。これほどの迷惑もないだろう。 どこまで・・・、どこまで僕は情けない奴なんだ。最低だ。
それにしても、僕はいつヒナギクさんを好きになったんだろう。 あーたんを可愛がっているヒナギクさんを見た時だろうか。 いや、もっと前からだろうな・・・。愛歌さんの言っていたことが今ならわかる。 ギリシャでいろいろと助けてもらった時からかもしれない。 あの時はあーたんのことで頭が一杯で全然気づかなかったけど。 それとももっと前だろうか。
あーたん・・・。
君は怒るだろうね。こんな僕が女の子を好きになったと知ったら。 それとも心配するんだろうか。
強くもなれない。 好きな女の子を傷つけてばかりで、優しくもない。 1億5千万円の借金持ちで、ナギお嬢様に一生お仕えする身で、女の子を養う甲斐性なんてまるでない。
そんなヤツじゃないか、僕は。 君から教わったことを何一つできていない。 君の言う通り、今の僕に女の子と付き合う資格なんかないんだ。
でも、大丈夫だよ。これ以上ヒナギクさんを困らせたりはしないから。 この想いは僕の胸だけに留めておくから。 君への初恋と同じようにこの想い出を大切にし続けるから。
だから・・・心配しないで・・・。
<憧憬は遠く近く 第一部 〜 不思議の姫のアリス・完>
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Re: 憧憬は遠く近く 〜 不思議の姫のアリス ( No.28 ) |
- 日時: 2015/08/03 19:10
- 名前: タッキー
- 参照: http://hayate/1212613.butler
- どうも、タッキーです
まずは第一部完結おめでとうございます。 どうふんさんの作品はどれも(いい意味で)もどかしいというか…じれったいというか…。でもまぁ、そういうところがこの二人を応援したくなる理由の一つなんでしょうね。
自分もどうふんさんと同じような雰囲気のモノを書きたいんですけど、つい余計な話まで入れてしまって……。書きたいものを素直に書く努力をしたいです。
ま、何はともあれこれからもお互い頑張っていきましょう! 第2部以降も楽しみにしております。
それでは
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Re: 憧憬は遠く近く 〜 不思議の姫のアリス ( No.29 ) |
- 日時: 2015/08/04 00:27
- 名前: 瑞穂
- こんにちは、瑞穂です。
憧憬は遠く近く 〜 不思議の姫のアリス 第一部完結おめでとうございます。
今回のハヤテ君の独白を読んで感じましたが、 ハヤテの考え方は相変わらずネガティブですが、ポジティブになれることを願っています。 そしてコミックス第9巻3話でアリスが言ってたように、 いつかハヤテ君が強く、優しく、甲斐性を持てる人間になれることを信じています。
個人的な願望としてはヒナギクさんと結ばれて、アリスちゃんのような子供と幸せな家庭を築いてもらいたいですね。
ハヤテは今でも十分強くて優しいです。しかし部分的に自己中心的であったりデリカシーが、そもそも愛情が(?)ないのが成長の障害なんでしょうか?
>>25、>>26のコメントを読んで感じたことですが、 ロッキー・ラックーンさんのような鋭い洞察力をもって物事を表現すること、違う角度から見ることは僕にはできないのでそうしたいと、まだまだ精進しなくてはと思いました。そして敬称をつけることに気づかせてくれました。 また、お盆休みの間に僕も一度、小説を執筆して投稿してみることにします。(書き上げられるかは甚だ疑問ですが) 昨年9月に初めてこのサイトを訪問して以来、数多くの面白い小説に出会ったので(勿論どうふんさんにも)そういう気持ちになりました。
それからどうふんさん、>>26において僕の質問に答えてくださりどうもありがとうございました。
第二部も楽しみにしています。 上手く纏まらなかったかもしれませんがご容赦ください。 長文、雑文失礼しました。
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憧憬は遠く近く 第1章〜 不思議の姫のアリス ( No.30 ) |
- 日時: 2015/08/04 23:48
- 名前: どうふん
タッキーさんへ 瑞穂さんへ
感想ありがとうございます。 とりあえず序盤終了、というところですが、個人的には、前作と違い、書き上げた感、あるいは余韻みたいなものがイマイチないですね。 原因ははっきりしているわけで、前作は各部が一応物語としてそれぞれ完結していましたが、今回はただ一区切りに過ぎない、というところでしょう。 こんな状態でほったらかしにしておくのも何ですので、できるだけ早く続きに掛かりたいと思います。
タッキーさんへ
なるほど、「じれったい」ですか。私も書きながらそう思っているわけですから、その点私の考えていることが読み手に伝わっているんだと解釈しております。 実際、ハヤテとヒナギクさんが両想いになるのは、原作のシチュエーションを起点にする限りなかなか大変です。 それだからこそこの二人を応援したい、というだけでなく周囲にも盛り上げてもらいたい、そう思っています。
まあ、私はそもそも「ハヤテが本当に魅かれているのはヒナギクさん」という前提で書いてますから、タッキーさんより楽しているのも確かですけど。
瑞穂さんへ
今のハヤテは、どう書いてもネガティブになってしまうんですよね。 しかし、そんな男をヒナギクさんに宛がうわけにいきませんので、成長してもらう必要があります。 まあ、ちょっとしたきっかけで一皮むけるはず・・・と考えています。 ハヤテは確かに部分的に自己中心的なところもありますが、デリカシーはなくとも愛情はありますよ。ただ、アテネやナギに向くばかりで、なぜヒナギクさんにああも無神経なのかが不思議です。
あと、瑞穂さんの投稿も楽しみにしています。
それともう一点。 本作は前述したとおり、前作と区切りの意味合いが異なるので、第一部、第二部という分け方に違和感を感じてきました。 それで、今回は第1章、第2章ということにしたいと思います。 まあ、あくまで私の気の持ちようですので、大した意味はありません。
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Re: 憧憬は遠く近く 第1章〜 不思議の姫のアリス ( No.31 ) |
- 日時: 2015/08/06 09:16
- 名前: ロッキー・ラックーン
- 参照: http://soukensi.net/perch/hayate/subnovel/read.cgi?no=25
- こんにちは、ロッキー・ラックーンです。
第一章完との事で、ひとまずはお疲れ様でした。 まさかハヤテの独白で締め括るとは驚きでありましたが…。
やっぱりというかなんというか、ハヤテは10年前にとらわれまくっていますね。この心の呪縛から解き放たれるきっかけを与えてくれるのが誰になるのかが楽しみです。(はたまたとらわれたまま完結するのかどうかも とにもかくにもヒナへの好意が自覚できただけで第一章のハヤテ君としては大きな収穫だったと捉えています。
次章もアリスちゃんの活躍をお祈りしております。 それでは失礼しました。
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Re: 憧憬は遠く近く 第1章〜 不思議の姫のアリス ( No.32 ) |
- 日時: 2015/08/07 22:40
- 名前: どうふん
ロッキー・ラックーンさんへ
感想ありがとうございます。 「まさか」だったですかね。 まあ、大した意味があるわけでなく、ストーリーの区切りが良かったから、というのと、状況を整理しておこうか、と思い立ったのがハヤテに独白させた理由です。
ハヤテの呪縛・・・。これ自体はハヤテの逃避だと思っています。 ヒナギクさんに嫌われた・・・、僕はそもそも・・・、そんなネガティブな意識が、十年前の悪しき記憶と簡単に結びついてしまう。今のハヤテはそんな状態です。
ですが、ハヤテを縛る鎖は引きちぎられる時が来ます。 ただ、それはもう少し後のこと。
第1章は、ハヤテがヒナギクさんへの愛情に気付くまでの話ですが、同時に二人の溝が深まったのも事実です。 この状況から第2章は始まるわけですが、今まで同様(サブタイトルは変えますが・・・未定)アリスたちに活躍してもらう予定です。
どうふん
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