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「これは,私たち人類が悪魔と交わした,数学史上最も重要な約束の一つです」 |
by 春樹咲良 |
読書 | 2014年 1月21日(火) 1時25分 |
ごきげんよう,春樹咲良です。
大相撲初場所の方は稀勢の里の綱取りの夢があっさりと潰え,全勝優勝に驀進する白鵬に誰かが待ったをかけられるのかといういつもの展開に落ち着いていますね。 そんな中ですが,二回続けて同じ話題を取り上げるのも芸がないので,今日は読書の話でもしようと思います。 新カテゴリ,「読書」のスタートです。
さて,既にお話ししたように,私の読書の趣味は割とライトノベル寄りの小説です。 まぁ,分かりやすく言うと最近書店でよく見かける,「表紙に割と漫画・アニメ的なキャラクターが描かれている」,「ライトノベル専門レーベルではなく,一般レーベルから出版されている」,「ミステリを中心としたジャンルが多い」,「最近メディアミックス展開がよくされている」などの特徴がある本が中心です。 何かと話題になった「ビブリア古書堂の事件手帖」シリーズ(ドラマなんて知りません),明らかにその二番煎じとしか思えない「珈琲店タレーランの事件簿」などは,上記のほぼ全てを備えた,典型例と言ってよいでしょう。 確かに一般的な小説と比べると内容的にかなり軽い感じで書かれているので,そういう意味では「ライト」ノベルなのでしょうけど,一般的に「ライトノベル」というジャンルから連想される「学園」,「ファンタジー」,「異能バトル」みたいな要素があるわけではないし…うーん,などということをここで悩むのも不毛な話でしょうか。
まぁ,この辺りのことはまた機会を改めて書くとして,今日はそんな私の読んだ「ライト」ノベルの中から一つ取り上げて紹介しようと思います。
青柳碧人「浜村渚の計算ノート」(講談社文庫)
数学を使ったテロが頻発する世の中で,まったく数学のできない警察の捜査官と,それに協力する数学大好き少女(中2)がテロ組織と闘う…という,真面目なのか不真面目なのか分からないあらすじのお話なのですが,話の雰囲気としてはほとんど漫画です。 テロ組織「黒い三角定規」が引き起こす事件の背後には必ず数学で有名な定理,概念があり(より正確に言うと,それにこじつけた犯行をしている),それに関わる蘊蓄を楽しむ,みたいな構造をしています。 こうした構造は前述の「ビブリア(古書)」や「タレーラン(コーヒー)」とほぼ共通しているのですが,最近はそういうのが流行りなんでしょうかね。
シリーズものとして既刊が5冊出ていますが,巻を重ねる毎に徐々にいい味を出していく,そんな作品ですね。 はじめに読んだときは「ちょっとミステリとしては力不足のきらいがあるのでは」と思ったものですが,最近はそのメッセージ性を登場人物を通して上手く描写できているように感じます。 数学が得意な人も,苦手な人もきっと数学の不思議な世界を楽しめる,そんな作品です。
話が少し逸れますが,私は幼少の頃から中学生くらいまでは算数・数学に対しては割と親しみを持っていた方の人種でした。 それが,高校生活の半ば辺りから,受験勉強としての数学に埋没していく中で苦手が発症し,数年前の今頃に受けたセンター試験で酷い点数を叩き出し,それが響いて結果的に浪人したという暗い思い出につながっていくわけですが,まぁそれはそれとして,今でも数学の世界は割と好きです。 自分にはその素養がちょっと足りてなかったのかなとは思いますが。
ここからは,折角なので数学に関連したお薦めの本をいくつか挙げていこうと思います。
エンツェンスベルガー「数の悪魔―算数・数学が楽しくなる12夜」(晶文社)
子どもの頃によく読んでいました。 悪魔が夜な夜な不思議な数学の世界に主人公の少年を誘うという,まぁ絵本ですね。 子どもにはちょっと難しい概念(平方根や累乗など)も独特の遊び心ある言い回しで説明してくれます。 大人になってから読んでもきっと楽しめるはず。
小川洋子「博士の愛した数式」(新潮文庫)
第1回本屋大賞受賞作で,映画にもなりました。 交通事故の後遺症で80分しか記憶できないという障害を負った元大学教師の老数学者と,その家で家政婦として働くことになった主人公の「私」の交流を描いた名作です。 心情の繊細な描写が光る,読後感の良い小説だと思います。
本当は数学に関わる本だけでももっと色々と紹介したい本があるのですが,このペースで書き続けると例によって止まらなくなりそうなので,今日はこの辺にしておきます。
それでは,また。 |
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