去年の11周年総括文にて、私はハヤテSSからの撤退宣言をし、新ジャンルの検討開始を明言しました。
そして1年後の現在になっても新しいジャンルは決まっておらず、当サイトではハヤテSSを細々と書き続けています。
こんなことになってるとは1年前は想像していませんでした。月天&セイバーJ→ぴたテン→ハヤテ、と過去2度にわたってジャンル変更は経験してきましたけど、遅くとも6〜10ヶ月くらいで新作SS置き場の仮設置くらいは出来ると思っていたからです。原作が終了しファンサイトが下火になったジャンルからの撤退と、TVアニメが終了したとはいえ原作が絶賛連載中であるジャンルからの撤退とでは、これほど違うものなのでしょうか。SSを書かないまでも他サイトのSSや感想・考察記事を読むだけで満足してしまえる環境にいると、新ジャンルを探すモチベーションが高まらないというのは真実だったようです。そもそも撤退宣言をしたとはいえ、原作を嫌いになったわけではなかったですし。
もちろん新ジャンルに目を向けなかったわけではありません。「kiss×sis」を筆頭に「へ〜ん○しん!!〜そなたバーディ・ラッシュ〜」や「任侠姫レイラ」などコーナー設置寸前まで行った作品はありましたし、1年前にマイブームだった「ももんが」の位置には「はがない」がしっかりと居座っています。ただ……継続的にSSネタとして扱う作品としては、いずれも不安要素があるのです。作品批判と受け取られては困るのでこれ以上は書きませんけれど(皆さんも訊かないでください)。
さて新ジャンルは決まらないにせよ、ともかく宣言どおり100話目(あなたにここにいてほしい)を最後に、私はハヤテSSのコーナーを凍結するつもりでした。その理由は去年の総括文に書きましたので繰り返しません。勢いで102話(変態執事は上機嫌)まで書いてしまったのはご愛嬌ですが、本当に11月末の時点ではこれを最後にするつもりだったんです。
……その直後に、お正月企画の時期が巡って来さえしなければ。
これは迂闊としか言いようのない事態でした。撤退宣言の2ヵ月後にお正月が巡って来るなんて計算するまでもなく分かっていたのに……ジャンル撤退宣言をした以上、例年のように登場キャラアンケートを設置して読者の投票を募るのは厚かましいにも程がある。以前なら「期間限定作品の再公開」という手もありましたけど撤退宣言とともに全てを通常公開に移したので同じ手は使えない。では未確定ながら新ジャンルのSSを手がけるか?……いや、それじゃ既存読者へのお年玉にならないし……。
お正月企画自体をなしにするという選択肢は、このとき浮かびませんでした。3ヶ月おきに定例企画をやることは当サイトの生命線のひとつです(やめてくれとの声すらある不人気企画とはいえ)。皆さんに喜んでもらえそうな企画というと……新作SSしかない。こうして「ラブ師匠 VS 恋愛コーディネーター」の執筆が始まりました。
そしてこの作品は、3重の意味で誤算を生みました。
まずは長くなりすぎてしまったこと。「ラブ師匠 VS 恋愛コーディネーター」はタイトルどおり愛歌さんと西沢さんの対決を描く作品で、権謀術数をめぐらす愛歌さんと勘違い早とちりでお節介しまくる西沢さん、この2人の思惑が衝突したり食い違ったりしてハヤテたちを決定的に不幸にする……というのが基本構想です。ところが西沢さんが早とちり猪突猛進系キャラだったのは単行本8巻までの話で、近頃の西沢さんはすっかり癒し系お姉さんポジションに収まり、読者のイメージも後者側だったりします。そうすると今の西沢さんを愛歌さんと対決させるには、本編に入る前に彼女のお節介属性を……捏造ではなく公式設定として……読者に印象付けておく必要があったのです。かくして原作展開をなぞる形のプロローグ編を用意したのですが……これが全12話、後書き含めて連載期間19日に渡ってしまうというのは完全に計算外でした。ここから本編を書き足したら2月突入は必至で、お正月企画でも何でもなくなってしまう。こうしてお正月企画終了後、この作品は未完成の宿題として残る形になってしまったのです。
2つ目の誤算は、スピンオフ作品の存在です。「ラブ師匠VS〜」を書くために登場キャラの性格や基本立ち位置、こうすればこう動くなどの想像を積み重ねているうち……ギリシャに行っていないはずの春風千桜の方へと想像力が向いてしまい、3月に公開した中編SS「反省だけならハルにもできる」として結実する結果となってしまいました。撤退したのだから読みきりSSはもうお終い、お正月SSの宿題はあくまで例外……のはずだったのに、撤退宣言の5ヵ月後に従来同様にSSを執筆・公開してしまったわけです。言行不一致の典型ですね。
そして最後の誤算。それは複雑な気持ちで公開した上記2作品に、かつてないほど多くの方が感想やコメントを寄せてくださったことでした。『辞める辞める詐欺』と罵倒されても仕方ないかなと覚悟していた私にとって、1行コメントとはいえ多くの方が「面白かった」と作者に伝えようとしてくださった事実は涙が出るほど有難いものでした。ちょうどそのころ旧作も含めて延べ70作以上に1行コメントをつけてくれた現人神のような読者さん(全てが同一人物かどうかは不明)も来てくださり、私は嬉しさと忙しさに悲鳴をあげてしまいました。
そうした方々にお礼のレスをつけているうち……昨年10月の撤退宣言に自縄自縛になってる自分がアホらしく思えてきたのです。嫌なことや辛いこともいろいろあったけど、書きたい自分と読みたい皆さんがいるのなら、新ジャンルに没入するまでの間は成り行きに任せてみてもいいんじゃないかってね。
かくして、宣伝も交流もしないけれど思いついたものは我慢せず執筆して行こう、というのが私の現在の心境です。
なお5月以降に更新が滞っているのは、職場での立場が変わり趣味に割く時間が激減したのが主原因です。こちらは読者の皆さんとは無関係な事情ですので説明を省略します。