「支天輪の彼方で」8周年記念総括文  RSS2.0

4.ブログの失敗


Since : 2006.10.16
written by 双剣士
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 読者にとっての存在意義というものを突き詰めていくと小説コンテンツしか存在できなくなる、という話を前のページでしました。確かに小説目当てに通ってくださる読者から見れば、小説サイトの作者が全精力を小説執筆に没頭できるようになるというのは願ったり叶ったりというところでしょう。私自身も読者ならそう考えるだろうし、それが自分の能力を生かす唯一の道だと思いました。
 しかし……今にして思えば自分をそう納得させようとしていた心理そのものが、どこか間違っていたようです。

 うちのサイトには作者プロフィールとか日記とかは存在しません。これは最近になって取り外したというのではなく、8年間通じて一度も設置したことがないんです。これは『読者だったらどういうサイトを見たいと思うか』を開設当初から念頭において、あくまで小説サイトとしての充実を目指し、小説サイト運営者としての振舞いを自分に課してきたためです。小説を素晴らしいと思っても作者の趣味・年齢・普段の振舞いなどで幻滅してしまうことは少なくなかったし、幻滅させないような魅力あるパーソナリティが自分にあるとは思えない。だったら演じきるか隠しきるか。私は隠しきるほうを選びました。
(だったら総括文なんか置くなよ、という突込みに対しては『えぇ、だから最初の4年間は期間限定公開でした』とお答えします。それが常時掲示するコンテンツへと昇格した経緯については4周年総括文(該当箇所)を参照ください)
 しかし私も霞を食べて生きているわけではありません。小説としての中身以外にも語りたいことはあるし宣伝したいこともあります。巡回リンク集や戯言欄紹介サイト集は、そうした思いを読者に興味を持ってもらえそうな形で表現するという意味合いも実はありました。そしてそれらを廃止してしまった今、そうした役割は新設したブログ『SSサイトの舞台裏』が引き継ぐことになります。読者の需要は小説サイト『支天輪の彼方で』が引き受けた、ブログのほうは課題や意味を負わずに思いついたことを好き勝手に書いていこう……そう思っていたわけです。

 でも、ダメですね。先述したように読者はジャンル関連情報を求めて巡回してるわけですから、そうした面を切り離した個人のつぶやきブログなんかを見に来てくれるわけ、なかったんです。
 変なプレッシャーを背負わずに書き続けることを目標にしたはずのブログでしたが、開設して数ヶ月が経ち、コメント0トラックバック0の記事が延々と並んでいくうちに……見てもらえないコンテンツに何の価値があるのか、という私の悪い癖がまた頭をもたげてきました。よそのブログがコメントやらトラックバックやらバトンを交し合っているというのに、その流れの片隅にすら入れずに細々と続けて何になるのか、と。時流に乗るためのツールだったはずのブログに個人的呟きの場という目的を期待してしまったために、どっちの用途にも役立たないネットのゴミと化してしまったのです。
 これじゃいけない、と思ってハヤテ各週連載を題材にした小ネタSSのブログ公開を開始しました。おかげさまでコメントもつき、1通だけですがトラックバックもいただけるようになりました。しかし読者に読まれることを意識して書くようになった途端、それは『支天輪の彼方で』の役割と被ることになります。そればかりか『読者の目を気にせず書き続けること』を目指してブログにはアクセス解析を付けなかったために、ブログの記事が増えれば増えるほど読者の動向が分かりにくくなる悪影響が目立ってきてしまったのです。これじゃわざわざブログに書く意味がない、と思って1月末に小ネタSSを『支天輪の彼方で』に移動し、再び気楽なブログを求めて書き続けてみたのですが……結局あっちを立てればこっち立たず、という無い物ねだりな自分の心を整理することが出来ませんでした。

 いやぁ〜、振り返ってみると自分のアホさ加減に呆れかえりますね。どっちか片方に決断すればいいのに、何度も決断する機会はあったのに。そしてこの一件で痛感しました、自分はとことん『つまらない人間』なんだって。ハヤテSSという餌をちらつかせないとお客を呼ぶどころか、自分のテンションを維持することすら出来ないんだって。初めからそのことは分かってたつもりなのだけど『今度こそ、今度こそ』とあきらめ悪く新コンテンツを作っては壊して……8年目の今に至ってもまだ失敗を繰り返していたんだって。


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