「支天輪の彼方で」4周年総括文  RSS2.0

1.はじめに


Since : 2002.10.12
written by 双剣士
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 敗軍の将、兵を語らず。

 人間は誰しも失敗をしますが、終わった後でくどくどと言い訳をする行為は見苦しいものとされています。あの時ああしていれば、うっかりあんなことをしなければ、誰々が余計なことさえしなければ……失敗や敗北を犯した人間の脳裏には反省や後悔や遺恨など様々な感情が渦巻くものですが、それは聞かされる側にとって決して愉快な話ではありません。成功した人の自慢話ならば不愉快ながらも学ぶものがありますが、失敗した人の話にはそれすらないからです。誰がわざわざ成功できなかった人の気分を共有したいと願うでしょうか?

 そんなわけで失敗の経験というのはあまり世には出てきませんし、本人も進んで語ろうとはしません。ですが失敗を得々と語ることは褒められた行為でないにしても、失敗の経験談そのものが無価値かというと、そう単純に言い切れるものでもありません。人間は過去の人たちの経験や資産を記録し引き継ぐことで進歩することが出来たのです。もし失敗や敗北を喫した者が即座に死に至り、成功した者だけが生き残れるという弱肉強食のルールだけが人類の歴史だったとしたら、人間は未だに大型肉食獣の後塵を拝する存在のままだったのではないでしょうか。社会や組織を作ることで一握りの失敗者を許容できる余裕を作り出し、成功談と失敗談の両方を未経験の者に語り継いでいったからこそ、人間は現在の繁栄を手にすることが出来たのではないでしょうか。

 『支天輪の彼方で』は4年前の10月12日に産声を上げました。以来1年ごとに過去の自分を振り返る作業を繰り返しているのですが、そのたびに私は上述の迷いを抱えてしまいます。今年の総括文は書くのをやめようと毎年のように思います。
 なんでわざわざ恥さらしの文章を公開するのかと。反省や繰言なら自分だけの日記帳にこっそり書けばいいんであって、読者の皆さんにはそれを克服した結果だけを見せればいいじゃないかと。『同じ失敗をしないで済む初心者の方が1人でもいれば……』と格好のいい台詞を吐いているけど、1年目や2年目ならいざ知らず4年目の自分が感じてることが初心者向きであるはずがない、他の人たちはとっくにこんな段階を克服してるに違いないって。

 この辺の心理が、去年まで総括文公開を1ヶ月間限定にしていた理由のひとつでした。アニメ・コミック系SS作家という肩書きで皆さんと接している以上、あまり小難しい性格だと思われたくないという意識もありました。
 ですが今回から期間限定公開にするのをやめようと思います。7月の50000ヒット記念に旧作・未完成作SSを再公開した流れを引き継いで、過去の総括文や今年1月のテキスト企画で公開した文章もオープンにしようと思います。今年の総括文は、このように考えを変えるに至った足跡と、過去および現在に至る失敗事項について『現実を直視する』ことがテーマです。

 私自身も初めての試みなので、言い訳がましい駄文になっている箇所もあるかと思います。読者の皆さんのお役に立つ箇所があれば、とは今回は申しません。開設4周年を迎えたサイト運営者の心境の変化について純粋な興味をお持ちの方のみ、この先の文章をご覧ください。


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