「支天輪の彼方で」3周年記念総括文(期間限定企画)  RSS2.0

3.3年目の改造内容


Since : 2001.10.12
written by 双剣士
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はじめにWeb運営の目的3年目の改造内容読者アンケートの結果と考察今後に向けてサイト移転のノウハウあとがきご意見専用掲示板

 Webサイトの運営は植物を育てる過程に似ていると、最近思うようになりました。

 園芸では、ここに枝が欲しいとか幹をまっすぐに伸ばしたいとか思っても、切り張りして無理矢理に形を変えることは出来ません。サイト運営も同様で、ヒット数を増やしたいとか読者に誉めてもらいたいとか雑誌に掲載されたいとか思っても、なかなか運営者の思うままにはいきません。それどころか、暇つぶしのつもりで作った日記ページに読者が集中する等のように、運営者の意図せぬ方向に成長していくことすら珍しくはないのです。
 ですが、だからといって目的も方向性も持たずに自由放埒に任せていればよいのかというと、決してそんなことはありません。木の形を直接変える方法はなくても、望ましい方向に育つように促す方法は存在します。下まで陽が当たるように上方の枝を切ったり、倒れないように添え木を当てたり、枯れたり根腐れしたりせぬように水の量を調節したり……行うべき手入れは数多くあり、そうすることで健康かつ見栄えの良い木に育つ確率を高めることが出来ます。そしてその手入れの方法には何がしかのセオリーが存在することが多いのです。

 これからWebサイトを始めるという方は、こんなに難しいことを考える必要はありません。なにせ貴方の才能という土壌に何が適しているかがまだ分からないのですから、葡萄でも林檎でもトマトでも、とりあえず片っ端から植えてみるというのは有効な方策でしょう。どんな肥料が適しているかも不明ですから、他人のサイトにある面白そうなものをどんどん取り入れる、というのもある時期までは有効かと思います。
 しかし、うちのように3年も運営を続けているサイトは、そろそろ自分の行く道というものを考えなくてはなりません。何度植えても林檎の木が枯れ、トマトが元気に育っているというのなら、トマトを育てるのに適した運営を志さなければならないのです。もしトマトを育てるのが好きになれないと言うのなら、では何を育てたいのかを真剣に考え作戦を練りなおす必要があります。そこではもはや、サイトを創設した当時のような曖昧な考え方は通用しません……現状を伸ばすにしろ変えるにしろ、目的と方針とそれに即した方法が必要になってくるのです。

 私のサイトは自作2次小説を掲載することを目的としており、先日のアンケートによれば読者が評価してくれる点もそこにあるようです。運営者と読者の意見が一致しているという意味で、幸運なサイトであると言って良いでしょう。しかし前のページで述べたとおり、『自作小説の発表窓口』と言うだけでは精神的にも執筆ペース的にもサイトを運営し続けるのが難しくなってきました。ともすれば『サイト運営のために小説を書く』という本末転倒な事態に陥りかけていたのです。
 この悪循環を脱するために立てた新たな目的については、前のページで説明しました。ここではそれに基づいて、この1年間にどんな試みをしてきたかを説明します。読者の中には『こういうことを狙って、これをする』という考え方に堅苦しさや嫌悪感を持つ方がおられるでしょうけど、2度と戻らない人生の貴重な時間を削って行うからには何らかの意味を持たせたい、というのが私の性分なのです。


A.戯言欄

 小説を量産することで読者の期待に応える、という方針がサイト運営の柱として十分でないことを自覚した私は、それに代わって読者に提供できる“価値”とは何かを考えました。ただし小説に代わる価値と言っても、これまでの読者嗜好を無視して『やってみたいことをやる』のでは意味がないことは先述した通りです。そこでアクセス解析結果を調べてみました。
   1.正門
   2.守護月天SSページ
   3.お勧めリンク集
 これが私のサイトのアクセス件数ベスト3。その下はゲーム系SS・ぴたテンSS・巡回リンクが熾烈な4位争いをしています。この傾向は去年の11月まで変わりませんでした。
 ということは……リンク紹介の強化、というのが新たに提供する価値として有望だと言うことになります。そのうえで読者に対して価値を提供する手段を考えてみると、
   他サイトへのリンクを単に並べるだけではなく、その中からピックアップした
   注目サイトを、誰の目にも明らかな形で紹介し推薦する

というのが良いのではないかと考えました。これならば読者に対するメリットは明らかですし、小説執筆より短期間で更新を続けていくことが出来ます。さらに考えを進めると、あくまで小説目当てで来てくれている読者をがっかりさせないためには、正門や更新履歴を書き換えることなくサイト紹介欄だけを更新できればいいわけです。そのためにはIFRAMEを使ってトップページに埋め込むか、あるいは別窓でポップアップさせればよいでしょう。

 こうして、正門からポップアップするサイト紹介欄『双剣士のざれごと』がスタートしました。そして、これを始めて以降のアクセス結果は、
   1.正門
   2〜4.守護月天SS・お勧めリンク・巡回リンクの混戦模様
に変わりました。これまで『膨大すぎて何を見ていいか分からない』と言われていた巡回リンク集が上位に食い込んだだけでなく、万年3位だったお勧めリンクまでがアクセスを増やしています。これは面白そうなサイトを探す起点にしたいという読者ニーズに『双剣士のざれごと』がある程度まで貢献できたから、と解釈して良いのではないでしょうか。


B.お勧めリンク集の改造

 うちのサイトではリンク集をあまり大きくしない方針でやってきました。当サイトの趣旨である2次小説に関連があって、かつ自信を持ってお勧めできるサイトとなるとそう沢山あるわけではないからです。また『リンク集1』『リンク集2』などという要領でお友達リンクを増殖させている他のサイトを見ていると、「相互リンクの絆を広めるのは結構だけど、読者にとって使いやすいとは言い難い」と感じてしまい、それと同じ形式は避けたいと考えた面もありました。
 それでも2年以上もサイト運営を続けていると、それなりに数が溜まるようになります。(当時は36件)全てのお勧めリンクサイトを1つのページに押し込んでいては、読み込みが遅くなってしまいます。また、いくら紹介文をつけてあるからといっても、数が増えてくると紹介文だけを目印に行きたいサイトを読者に判断させるというのは困難です。結局のところ「上から順」に読者はネットサーフィンをするでしょうし、そうすると最後尾に追加される新着サイトの利用率は低くならざるを得ません。新しいサイトが利用されにくいリンク集ということは、つまりジリ貧にまっしぐら、ということです。
 かくして2001年1月に、お勧めリンク集の改造を行いました。リンク集の改造に際して意を配った点は以下の2つです。

・分類そのものにサイトの意図を埋め込む
 『支天輪の彼方で』は小説サイトであり、リンク集は元々「他のサイトではもっと面白い小説が読めますよ!」という意味合いで創設したものです。ですから創作小説系サイトが数多くなるのは当然だし、「このサイトでは読者に何を提供できるのか」という視点でサイト紹介文を書いています。
 改造に際してはこの辺の意図をはっきりさせるべきだと考えました。したがって「月天系」「セイバー系」とか「お友達系」「同人作家系」と分類するのではなく、「小説が読めるサイトか」「小説に関連する知識が得られるサイトか」という分類になっています。改造後のアクセス解析結果を見ると、小説系サイト集のアクセス数は他の分類全ての合計より多いくらいです。私の意図が読者に伝わったと考えて良いでしょう。

・分岐ページに収録サイト名を埋め込む
 リンク集を見に来る読者の中には、「どんなサイトがあるんだろう」ではなく「あそこのサイトを、このリンク集ではどう紹介してるんだろう」という興味を持つ方がおられると思います。そういう読者にとっては、
   「あのサイトはここにあるのか? ここじゃないのか。
    じゃこの分類? あーまた外れ……」
と言う風にあちこち探し回るのは面倒でしょう。これはリンク集を複数ページで構成した場合のデメリットであり、私自身もそれでうんざりした経験が何度もありました。
 そこで私が出した答えは、以下のようなものです。
   リンク集のトップページを見ただけで、目的のサイトが何処にあるか分かる
 具体的には以下のようなプルダウンメニューを用い、場所をとらずに収録サイト名を確認できるようにしています。その代わり更新は面倒になりますが。

C.著作権規定の変更

 『支天輪の彼方で』には、著作権やリンク条件について規定したページがあります。そこの内容を今年3月に改訂しました。どのように変わったか、一部を引用して比較してみましょう。

以前の規定 新しい規定
 この「支天輪の彼方で」で掲示されている文書・画像・プログラムなどは、一部のフリー画像・寄贈品を除いて、全て双剣士が著作権を所有するものです。特に断り書きが付いている場合を除いて、許可無く転載・改変することを禁じます。
 この「支天輪の彼方で」で掲示されている文書・画像・プログラムなどは、双剣士が自らの趣味の範囲で掲載しているものです。このページによって受けた損失や誤解に関して、双剣士は一切の責任を負いません。また内容を双剣士自身の手で改変・削除することについても、基本的に読者の皆さんの同意を取ることはしません。ご了承ください。
 この「支天輪の彼方で」で掲示されている文書・画像・プログラムなどは、一部のフリー画像・寄贈品を除いて、全て双剣士が著作権を所有するものです。
 双剣士の著作物である小説やサイトコンテンツ(寄贈品は含まず)に関しては、以下の条件を守る限り自由に転載・再配布していただいて結構です。双剣士への連絡は必要ありません……もちろん連絡をもらえれば嬉しいですが。
1.作者名、作成日、メールアドレス、WebSite表示を改変・削除しないこと。(違法行為にあたります)
(2番以降は省略)

 いかがでしょう。ひたすら無用の摩擦を避けようと防備を固めていた以前の規定に対して、おおらかな内容になっていることがお分かりかと思います。これは、まず転載に関しては『エンターテイメントを提供する』という新方針の骨子に沿って、結果として多くの読者の目に触れるならOK、と考えることにしたためです。またサイト内容の改変・削除についても、『見たい人だけ見に来ればいい』という方針を止めるからには『双剣士の勝手』という言葉は使えず、見に来てくれていた読者に対する説明責任を果たすべきだと考えたからです。
 この規定が生きた例としては、今年6月末に廃止した『ぴたテン原作紹介』が挙げられます。このときには廃止の予告とその理由についての掲示を1ヶ月前から実施しました。消滅するコンテンツについて長々と理由を述べるのはみっともないと我ながら思いましたが、有無を言わさず抹消するというのは『楽しさを提供する者』の態度ではないでしょう。

 なおこうして並べてみると旧来の規定が頑固すぎたように見えるかも知れませんが、創作系のサイトであれば旧来規定と同趣旨の断り書きを置いているサイトは数多く存在します。ソフトウェアの使用許諾規定も旧来規定の流れに沿ったものが大半でしょう。今回の規定改訂は、いわば猿真似の段階から自分の意志で飛び出したというところでしょうか。


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