「支天輪の彼方で」2周年記念総括文(期間限定企画)  RSS2.0

5.これから自らに課すものは……物書きとして


Since : 2000.10.12
written by 双剣士
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 この1年間、私はさまざまな予告や未完成コンテンツを掲載して読者の皆様の期待[注1]を集め、そのほとんどすべてを裏切ってまいりました。主だったものだけでも以下の通り。

 いくら自分を鼓舞するための宣言だと言っても、あまりにも達成率が悪すぎます。しかも気がつくと執筆量は去年のペースの半分未満。読者像を絞り込むと偉そうなことを言っても、メインコンテンツの更新速度がこれでは目も当てられません。
 ノートパソコンが壊れただの仕事が忙しくなっただのといった理由は2次的なものでしかないでしょう。上記の公約が身に余る大風呂敷だったと考えても、去年の半分以下の執筆量という屈辱的な事実を拭うことはできません。数が多ければ良いという単純なものではないですけれど、『熱意が冷めた』と揶揄されても文句の言えない2年目の実績だったと反省しています。

 真剣に振り返ってみると、執筆ペースが落ちた原因としては以下のような要因が考えられます。

  1. SSの収集ペースが落ちたために、外部から入る刺激が少なくなった。(第2章にて詳述)
  2. Web運営姿勢の変化に伴うハングリーさの欠如。(第3章にて詳述)
  3. 1999年春は守護月天&セイバーJのアニメ放映終了があり、『人気の火を消してなるものか』と自分の心に期するものがあったけれど、今年はそれがなかった。
  4. 読者を落胆させる質の低い作品は出せない、と自らに課した枷を乗り越えられなかった。
 しかし反省しながら言うのもなんですが、これらの要因を1年目の水準まで再び回復させることは今後はおそらく無理なんじゃないかと思っています。そこで今の私が考えているのは、別の方面から攻め込む方法です。
『書き癖を付ける』 端的に言えばこうなります。

 私は執筆などしなくても、自分の頭の中でキャラクターたちを動かしてるだけで十分に楽しめる性格の持ち主です。ですから思いついた物語を次々と筆に乗せることはしていません。頭の中で色々と考えて、何度も物語をご破算にして、面白くなりそうな筋になったら何度も繰り返し演じさせながら細部を詰めていきます(メモをとりながら)。そうこうしているうちに『おっ、これは他の人に見せても楽しんでもらえそうだ』というひらめきが訪れる[注2]ことがあれば、初めてキーボードに向かって文章に降ろす、と。
 だからひらめきが訪れなければ、何ヶ月もキーボードに触らないことがあるわけですね。今年の夏はまさにそんな状態でした。ちょうど長期の出張のために夜中や休日にパソコンに向かえる環境でなかったこともあり、メモばかりが膨らんだままキーボードを叩かない日々が続きました。
 ところが出張の終盤になって。ぴたテンSS[注3]に着手しようと久しぶりにキーボードに向かったとき、はっきり分かったんですよ。腕が落ちてるなって。物語をなぞるだけなら問題はないんですけど、細部の表現方法とか、誤解を招かないように言い換える技量とかが低下しているのが自分で良く分かるんです。書きあがった小説を繰り返し読み直して推敲する時間をたっぷり取るようにすればある程度まではカバー出来るんですけど、調子に乗ってがむしゃらに書いている文章にときどき備わる『読者をわし掴みにして離さない魔力[注4]』が逆に薄まってしまうように感じて。
 そこで思ったのです。じっくり物語を練るのは良い。だけど物語が固まるまでぼーっとしていたら駄目だなって。ストーリーを支える豊かな文章力を身につけるためには、筋書きの練りこみを詰めるのと並行して、毎日キーボードに向かう習慣をつける必要があるなって。

 そういうわけで。毎日キーボードに向かう習慣をつけるために日記風ショート[注5]を再開しようと思います。もっとも過去2回の失敗の轍を踏むわけには行きません。『毎日更新』だったのを『毎週土曜日更新[注6]』に改め、『1ヶ月で完結』という前提も外します。どんなラストシーンを迎えるかを決めてから書くんじゃなくて、キャラクターの魅力で引っ張るタイプの物語にする(なる)つもりです。いちど休載すれば半月の時間が稼げるわけですから、スランプに陥っても何とかなるでしょう。
 内容はオリジナルストーリー。10年以上前から頭の中に住み続けているキャラクターたちを初めて表に出してみます。2次小説にしなかったのは『原作の世界観やキャラ性格を変えることなく、ちゃんと原作世界に戻ってこさせる』という借り物キャラを使う者としての仁義[注7]を、今回に限っては守り通す自信がないためであります。
 たぶん他の2次小説コーナーとはまったく雰囲気の違う物語になるだろうと思います。でもこうやって腕を磨くことは決して無駄にはならないでしょう。そしてキーボードに向かう機会を増やしておけば、2次小説を文章化するチャンスもきっと増えるでしょうし。
 なお2次小説の言霊が舞い降りたときには、オリジナルストーリーのほうは躊躇なく休載して2次小説の執筆を優先します。当ページのメインは2次小説のほうですからね。

 そういうわけですから。2周年を機に改称された「週刊小説」は、読者のためというより自分の修行のために書いている、当ページでは異色の企画です。第3章で述べたWeb運営ポリシーと合致しない部分がありますので念のため。


[注1]読者の皆様の期待
 最初から誰も期待してませんでしたよ、という冷たい突っ込みは却下します(苦笑)。せっかく2周年を機に反省してるところなんですから……。
[注2]ひらめきが訪れる
 いわゆる『言霊』と称しているやつが、これです。
[注3]ぴたテンSS
 10月6日に公開した「ちいさな勇気の届け方」のことです。他の作品とのクオリティの違いが分かりますか?
[注4]読者をわし掴みにして離さない魔力
 一度でもこれを経験してしまえば、小説書きは止められなくなります。小説の書き方講座では、技術云々は度外視してこの『魔力』を感じ取るところまで導いてあげられれば、と思っていたのですが……今となっては詮無いことですな。
[注5]日記風ショート
 1999年3月と6月に挑戦した毎日更新の戯曲企画。いずれも1ヶ月で話をまとめる目算がたたなくなり、大幅に掲載が遅れてしまう失態を演じました。そして書けない自分を恥じて胃を痛めたという経験も。作品の評判も良くなかったし。
[注6]毎週土曜日更新
 なぜ土曜日なのかというと、金曜の夜までに書き上げる約束にすれば平日の早朝か夜に少しずつ時間を割いて執筆をする習慣がつくのではないか、という期待があるからです。土曜日曜にダッシュを掛けるという私の悪い癖にメスを入れられたらと思いまして。
[注7]借り物キャラを使う者としての仁義
 これは2次小説を書き始めた当初から自分に課している制約ですが、他の方に押し付ける意図は毛頭ありませんし、こういう観点で意見を書き送ることもしていません。

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