この1年間、私はさまざまな予告や未完成コンテンツを掲載して読者の皆様の期待[注1]を集め、そのほとんどすべてを裏切ってまいりました。主だったものだけでも以下の通り。
真剣に振り返ってみると、執筆ペースが落ちた原因としては以下のような要因が考えられます。
私は執筆などしなくても、自分の頭の中でキャラクターたちを動かしてるだけで十分に楽しめる性格の持ち主です。ですから思いついた物語を次々と筆に乗せることはしていません。頭の中で色々と考えて、何度も物語をご破算にして、面白くなりそうな筋になったら何度も繰り返し演じさせながら細部を詰めていきます(メモをとりながら)。そうこうしているうちに『おっ、これは他の人に見せても楽しんでもらえそうだ』というひらめきが訪れる[注2]ことがあれば、初めてキーボードに向かって文章に降ろす、と。
だからひらめきが訪れなければ、何ヶ月もキーボードに触らないことがあるわけですね。今年の夏はまさにそんな状態でした。ちょうど長期の出張のために夜中や休日にパソコンに向かえる環境でなかったこともあり、メモばかりが膨らんだままキーボードを叩かない日々が続きました。
ところが出張の終盤になって。ぴたテンSS[注3]に着手しようと久しぶりにキーボードに向かったとき、はっきり分かったんですよ。腕が落ちてるなって。物語をなぞるだけなら問題はないんですけど、細部の表現方法とか、誤解を招かないように言い換える技量とかが低下しているのが自分で良く分かるんです。書きあがった小説を繰り返し読み直して推敲する時間をたっぷり取るようにすればある程度まではカバー出来るんですけど、調子に乗ってがむしゃらに書いている文章にときどき備わる『読者をわし掴みにして離さない魔力[注4]』が逆に薄まってしまうように感じて。
そこで思ったのです。じっくり物語を練るのは良い。だけど物語が固まるまでぼーっとしていたら駄目だなって。ストーリーを支える豊かな文章力を身につけるためには、筋書きの練りこみを詰めるのと並行して、毎日キーボードに向かう習慣をつける必要があるなって。
そういうわけで。毎日キーボードに向かう習慣をつけるために日記風ショート[注5]を再開しようと思います。もっとも過去2回の失敗の轍を踏むわけには行きません。『毎日更新』だったのを『毎週土曜日更新[注6]』に改め、『1ヶ月で完結』という前提も外します。どんなラストシーンを迎えるかを決めてから書くんじゃなくて、キャラクターの魅力で引っ張るタイプの物語にする(なる)つもりです。いちど休載すれば半月の時間が稼げるわけですから、スランプに陥っても何とかなるでしょう。
内容はオリジナルストーリー。10年以上前から頭の中に住み続けているキャラクターたちを初めて表に出してみます。2次小説にしなかったのは『原作の世界観やキャラ性格を変えることなく、ちゃんと原作世界に戻ってこさせる』という借り物キャラを使う者としての仁義[注7]を、今回に限っては守り通す自信がないためであります。
たぶん他の2次小説コーナーとはまったく雰囲気の違う物語になるだろうと思います。でもこうやって腕を磨くことは決して無駄にはならないでしょう。そしてキーボードに向かう機会を増やしておけば、2次小説を文章化するチャンスもきっと増えるでしょうし。
なお2次小説の言霊が舞い降りたときには、オリジナルストーリーのほうは躊躇なく休載して2次小説の執筆を優先します。当ページのメインは2次小説のほうですからね。
そういうわけですから。2周年を機に改称された「週刊小説」は、読者のためというより自分の修行のために書いている、当ページでは異色の企画です。第3章で述べたWeb運営ポリシーと合致しない部分がありますので念のため。