1年前に掲示しました1周年総括文において、私は『支天輪の彼方で』に足りない点として以下のような自己分析をしました。
(原文はこちらです)
一日あたりのアクセス数はここ半年ほど横這い状態です。固定客が付いてくれるのはありがたいことですが、狭い範囲で満足していてはいけません。今の読者は「ゲストブック」や「掲示板」など望んでいないのでしょうが、それが読者予備軍にとっても当てはまるとは限りませんよね。 -----------------(引用ここから)-----------------
これまでは「自分は掲示板やりたくてこのページ作ったんじゃないし‥」と及び腰になっていた面がありましたが、「お客様に楽しんでもらう」ことを至上とするならそんなことは言ってられません。
(中略)
となると‥小説の新作がなくっても、それなりに楽しんで帰ってもらえる仕掛けが必要です。夏頃から寄贈小説・CGのコーナーを設けたり、掲示板で試行錯誤していたのはそのためなんですが‥うーん、うまくいかない。他力本願でどうにかしようというのは駄目なようです。
(中略)
私がすべきことは、面白いSSを書くこと。もちろんそれが第一です。ですが、それだけではいけない‥そう焦燥感を覚える、2年目に向けての抱負でした。
-----------------(引用ここまで)-----------------
ここで書いた改善案のほとんどは実現されることなく終わりました。そして現在の私は、この頃ほど焦燥感を抱いていません。ある意味『開き直り』と言えるかもしれませんが、この章ではその辺の経緯について述べます。
あの頃の私は『読者に無駄足を運ばせて申し訳ない』という思いで一杯でした。いや正確に言うと『無駄足を運ばせたことで読者に見捨てられるのが怖い』という焦りがあったのでしょう。だからこそ2000年の年頭抱負に『新作2本/月』という目標を掲げたのですし、自力更新に頼らずにすむ参加型コンテンツを創設しようと第3期掲示板[注1]にて目的の違う5種類の掲示板に挑戦したりしました。いちいち更新内容を見に来なくてもいいように、メール通知サービスを追加しようと検討もしました。
ところが、これらの提案に対する読者の反応は芳しいものではありませんでした。『こういう風にして欲しい』という提案もありませんでした。そして私のほうも、前章で述べたように膨大なページをいちいち巡回しないWebスタイルに変わりつつあったため『ブックマークから外される恐怖』を以前ほどは感じなくなっていました。
そして2000年2月から自分のページのアクセス解析[注2]を行って読者の嗜好を調べるようになりました。それを見て気づいたのです。お勧めリンク集の利用度が予想以上に高いことに。
『そうか、新作SSがなくたって小説ページ巡回の起点として利用してくれてる読者も居るんだなぁ』
考えてみれば自分もそうです。以前までは『良いSSがあるか』が他のページを見に行くうえでの最大のポイントでしたけど、現在ではチャット目当てで行くページもあるし、人気投票やリレー小説に直行しているページもあります。小説はないけど膨大なリンク集があることを評価してお勧めリンクに載せてるページもあります。そうこう考えているうちに、はっと気づいたのです。
『ひとつのページに読者を囲いこもうって考え自体が間違いではないか? 読者は気に入ったページひとつだけで全てを満たそうと考えるほど単純じゃない。色々と手を広げて総合アミューズメントページを目指すより、内容を特化して読者の興味の一角に深い爪あとを残す戦略を取ったほうが良いのではないか』
更新の遅さを糊塗しようと画策したことが読者の期待を集められないのは、それがNo.1でもOnly1でもないからです。読者のためだといいつつ自分のヒット数のことを頭においていた自分が恥ずかしくなりました。かくして、1周年総括文で述べたあの台詞を振り返ることになります。
「読者は、何に期待してあなたのページに来るんだと思う?」
読者がこのページに期待するものは何かは、アクセス解析の結果を見れば明らかです。そこで私は思い切って読者像を限定し、その読者に向けたWebページ構成を志すことにしました。
『コミック・アニメ系の2次小説を読むのが好きなWebページ読者』
そんなの当たり前じゃない、と思われるかもしれません。ですがこういう割り切りをすることで、以下のような読者の声に積極的に応じるのは当ページの本旨にあらず、という具合に優先順位をつけることが可能になります。
その代わり、小説を読みにきた読者に向けた改良は着々と行っています。各ページに一括ダウンロード[注5]を用意したのはその一環ですし、お勧めリンク集におけるページ移転・廃止に可能な限り迅速に対応しているのもそのためです。2周年に際した小幅リニューアルで所蔵作品ガイドをつけたりゲームコーナーを廃止したのも、その方針を踏まえてのことです。
で、肝心の自作小説は? はい、それについては第5章にて述べます。
さて、それなりに筋が通っているかのように見える『想定読者像』ですが、大きな欠点がひとつあります。その読者像は私の単なる思い込みであり、現実の読者の要望とは一致しないかもしれないという危険があることです。自分に都合の悪い意見を無視するための理論武装にすぎないのではないかということ。
だからこそ、当ページでは随所に『ご意見箱』へのリンクが張ってあるのです。わざわざ『苦情・中傷も可』と書いてあるのもそのためです。この総括文にて手のうちを明かしているのもそれが狙いです。想定読者像を現実に近づけていくためには、読者の皆様の意見を参考にするのが一番だと思っています。
ただし現時点での読者像とあまりにもかけ離れた意見[注6]に対しては、感謝はしますけれども採用を見合わせることがあります。相手の方は気を悪くするでしょうけれど、すべての要望に応じていては曖昧模糊としたページに近づいてゆくだけですので。