01〜07日分+予告編
08〜14日分
15〜21日分
22日
23日
24日
25日
26日
27日
28日
29〜31日分+あとがき
子供たち「わーいわーい、碧眼のスーリアだぁ」
スーリア「‥‥(首を子供たちの方に向ける)‥‥」
ペドロスカ「やあやあ、おはようみんな。今日も美味しい飴が沢山あるよ」
子供たち「わーい、変な叔父さんだぁ」
ペドロスカ「‥しくしく‥」
ブラッドベリー「ははは‥あいつら、すっかり子供たちの人気者になっちまったな」
小樽「ああ、でもいいことじゃねぇか‥心なしか、俺たちの方も売れ行きが良くなったみたいだしよ」
客「よぉ小樽、今朝も活きのいいのを1匹頼むぜ」
小樽「へい、毎度!」
ブラッドベリー「はいよ、全くのんきなことで‥」
突如、だーん、という衝撃音と共に、ブラッドベリーが倒れる。
小樽「ブラッドベリー! どうした!」
ブラッドベリー「お、小樽‥(右腕に空いた穴から火花がのぼる)ぐああぁっ!」
スーリア「‥(無言のまま、小樽たちの方に首を向ける)‥」
ペドロスカ「ブラッドベリーさん!」
白いコートを着て銃を構えた男数人が、小樽たちを取り囲む。
小樽「な、なんでぇてめぇら!」
白い刺客「‥(黙って顎をしゃくる。数人が手早く小樽に駆け寄る)‥」
ブラッドベリー「あたしの小樽に、何しやがる(ばちちっ)あああぁっ!」
ペドロスカ「動いちゃ駄目だ、プラズマが電子中枢部に届いたら、修理できなくなる!」
小樽「(肩を掴まれて)何しやがるてめぇら、離しやがれ‥ブラッドベリー!」
ブラッドベリー「お、おた‥る‥」
ペドロスカ「オタルくん! やめろお前たち、話が違うじゃないか‥ぐあっ(払いのけられる)‥ちくしょう‥ス、スーリア?!」
スーリア「‥(ペドロスカを羽交い締めにする)‥」
ペドロスカ「離せスーリア‥(もがくが、汎用とはいえマリオネットの怪力には抵抗できない)‥だ、誰かぁ! 人さらいだぁ!」
白い刺客「‥(銃を観衆に向けて威圧している)‥」
小樽「何のつもりだ、てめぇら‥(どすっ)おめぇら、いってぇ‥(気を失う)」
白い刺客「‥(数人で小樽を担ぎ上げ、運び出そうとする)‥」
ライム「ほえ? なんだろあの人だかり‥(向かいの家の屋根の上から見下ろして)‥小樽?! こらーっ」
白い刺客「‥ぐあっ(ライムの飛び蹴りを受け吹き飛ばされる)」
ライム「小樽を、いじめたな〜っ!」
白い刺客「‥(無言で銃を乱射。しかし戦闘モードに入ったライムを捉えることはできず)‥」
数十秒後。刺客たちは全員倒されてしまう。
ライム「小樽、小樽っ! 起きて、死なないでぇっ!」
小樽「う、う〜ん‥ううっ」
ペドロスカ「だ、大丈夫だよライムちゃん。気を失ってるだけみたいだ。ごめんよ、僕がついていながら‥」
ライム「そんなのいいから! お医者さん呼んでよ、ペッちゃん! それとブラッドベリーを直せる人も! 早くぅ!」
小樽「う、うぅ〜ん‥(眼を開けると、心配そうな3人のマリオネットの顔が)おめぇら‥」
ライム「小樽、小樽ぅ!(抱き付く)良かったあ、助かったんだぁ!」
チェリー「ぐすっ‥良かったですわ、わたくし一時はどうなることかと‥」
小樽「俺はいってぇ‥そうだ! ブラッドベリーは? ブラッドベリーはどうした?」
ブラッドベリー「あたしはここに居るよ‥大丈夫さ。弾さえ抜きゃ、あたしたちには痛みなんか無いしね」
小樽「そうか‥良かった、ブラッドベリー(ブラッドベリーを抱きしめる)」
ブラッドベリー「お、小樽っ?!(赤面)」
ライム「ぶぅっ、ブラッドベリーずるい‥小樽を助けたの、ボクなのに‥」
医者「おう、眼が覚めたか小樽‥どこか具合の悪いところはないか?」
小樽「あ、先生‥いや、俺は別に何とも‥」
医者「そうかそうか、なら、今日はこのまま帰ってかまわんぞ。お前は果報者だのう、こんなに心配してくれるマリオネットたちが居て」
チェリー「先生、本当に有り難うございました」
スーリア「なぜ、邪魔をした‥やつらに情でも移ったのか」
ペドロスカ「は、話が違うじゃないですか? トゥーフェの件は僕に一任するってことで、僕をジャポネスに送り出したんでしょう? なぜ今になって、オタルくんを誘拐しなきゃならないんです?」
スーリア「帝国の命令に逆らう気か‥思い上がるな。事態は日々切迫している。どこの馬の骨とも分からん貴様に帝国の運命を預けられると思うか。貴様がトゥーフェを目覚めさせる能力を身に付けるのをいつまでも待ってはおれぬのだ」
ペドロスカ「待って、待ってください! もう一度、もう一度だけチャンスを! 必ず、必ず心を持ったマリオネットを虜にしてみせますから!」
スーリア「貴様には何も期待せん‥あの機械人形が惜しければ、帝国に役立てる道を自分で見つけ出すことだな」
ペドロスカ「お願いします、リゼアのようなことは、もう二度と‥」
スーリア「貴様に期待を掛けたばかりに、貴重な時間を浪費した‥2度目はないと思え。こんど邪魔をしたら、帝国にとって有害と見なすからな(眼の光が消える)」
ペドロスカ「あっ‥ああ、スーリア、可哀相に‥(無表情に戻ったスーリアを抱きしめる)」
ブラッドベリー「(扉の向こうで)そういう、ことか‥」
チェリー「(とことこ)本当に良かったわ、小樽様がご無事で‥小樽様たちが帰ってくる前に、美味しいお夕飯を作っておかなくっちゃ‥(がらっ)‥まぁ、ペドロさん?」
ペドロスカ「(駆け寄ってチェリーの肩を掴み)お、オタルくんは? オタルくんはどうでしたか? どこか怪我でも‥」
チェリー「ぺ、ペドロさん‥落ち着いてください。小樽様なら大丈夫ですわ。ライムとちょっと寄り道をしてるだけで、もうすぐここに帰ってきますから」
ペドロスカ「良かった‥本当に、良かった‥(へたへたと座り込む)‥面目ない、チェリーさん!(平伏する)」
チェリー「ち、ちょっとペドロさん、どうなさったんです?」
ペドロスカ「僕がついていながら‥オタルくんを危険な目に合わせてしまった。チェリーさん、おそらくオタルくんを襲ったのは、僕の国の連中です」
チェリー「‥そうでしたの‥」
ペドロスカ「僕が傍に居ることで、却ってオタルくんを探しやすくなったに違いない。あいつらは手段を選ばないんだ‥」
チェリー「‥ペテルブルグは、そんなに危ない状況なんですの?」
ペドロスカ「これ以上、ご迷惑は掛けられません。チェリーさん、オタルくんに挨拶したら、僕はペテルブルグに帰ります。皆さんもこの長屋を引き払って、どこかに隠れてください」
チェリー「え、で、でも急にそんな‥」
ペドロスカ「1ヶ月‥いや、もっと短くて済むと思います。僕があの娘を目覚めさせても、失敗しても‥すみません、何の御恩返しもできないままで‥」
スーリア「‥(じっとペドロスカとチェリーを見つめている)‥」
チェリー「で、でもあなたはまだ‥いま行ったら、死にに行くようなものですわ!」
ペドロスカ「ありがとう、チェリーさん。あなたのような人‥そう、“人”に出会えただけで、この国に来た甲斐がありました。変人扱いされつづけてきた僕の人生も、これで報われると言うものです‥」
チェリー「そんなこと、おっしゃらないで! きっと帰ってきてください!」
ペドロスカ「いや、僕はとうていオタルくんには及ばない。気難し屋の眠り姫のお眼鏡には、おそらく適わないでしょう‥お願いがあります。スーリアを、引き取ってはもらえませんか。あなたたちと違って何も出来ない、只のマリオネットですが‥」
チェリー「‥なんてことをおっしゃるの? あなたがどれだけスーリアを大切にしていたか、わたくしたちは良く知っています。あなたが小樽様の代わりになれないのと同じように、スーリアにとっても、あなたに代われる人は居ませんわ」
ペドロスカ「そんな‥僕なんて、所詮‥」
チェリー「(ペドロスカの頭を抱きかかえて)大丈夫、自信を持って‥本当はここに残っていただきたいけれど、どうしても戻るとおっしゃるなら、きっと成功させて元気に帰ってきてください。あなたなら、きっと出来るわ‥」
ペドロスカ「‥でも僕は、あなたの心を奪うことが出来なかった‥」
チェリー「‥いいえ。あなたは今まで、愛し方を知らなかっただけ。壊れ物のようにスーリアを扱うことしか知らなかっただけ。ひたすら綺麗にして、与えることだけしかして来なかっただけ‥あなたはここに来て、わたくしたちと一緒に家族として暮らし、仲間として商売をし、友人として遊びに行き‥そして、隣人として別れを言いに来てくれたじゃありませんの‥」
スーリア「‥(肩が小刻みに震える)‥」
チェリー「大丈夫‥今のあなただったら、きっと大丈夫。眠り姫はきっと、あなたのような人を待っていたんですわ」
ペドロスカ「そう、でしょうか‥」
チェリー「きっとそうです。わたくしだって、もし小樽様より先に、今のあなたに出会っていたら‥」
ペドロスカ「チェリーさん‥ありがとう、本当にありがとう。あなたに会えて、本当に良かった」
チェリー「ペドロさん、かならず帰ってくると、約束してくださいますね?」
ペドロスカ「ええ、きっと‥おかげで少しだけ自信が出てきました。ペテルブルグに着いたら、彼女に‥トゥーフェに、今の想いを伝えます。戦争だけじゃない、哀しいことだけじゃない‥こんなに温かくて、こんなに優しい人たちやマリオネットたちが居るんだってことを、トゥーフェに教えてあげたいと思います‥」
チェリー「ペドロさん‥」
ペドロスカ「チェリーさん、今だから言いますが‥告白の練習相手にあなたを選んだのは、理由があるんです。僕はここに来る前、一度トゥーフェを見たことがある‥彼女は、あなたに容貌がそっくりなんです」
チェリー「‥‥!」
ペドロスカ「なんて偶然だろう‥チェリーさん、もし今すぐペテルブルグに帰れるのなら、僕はあなたが眠っているんだと思って話し掛けることでしょう‥トゥーフェ、大丈夫だよ、眼を開けて‥」
チェリー「‥ペドロ、さん‥」
ペドロスカ「何も怖いことなんか無い。僕のことが分かるかい? ここは温かい世界だよ。優しくて楽しくて元気なみんなが、君が目覚めるのを待っているよ‥」
チェリー「‥‥(うっとり)‥‥」
ペドロスカ「僕は君を知っている。君の傍に居るために生まれてきたんだ‥一緒に表を歩こう。一緒に草原を駆け回ろう。一緒にご飯を食べよう‥もう君を離したりしないよ。さあ、起きてトゥーフェ‥」
チェリー「‥‥(瞳を閉じたまま、小さな声で)‥あなたは、誰‥‥」
ペドロスカ「君を迎えに来た男だよ‥大丈夫、怖いことなんか何も無い‥僕が君を守ってあげる。さぁトゥーフェ、怖がらないで‥」
チェリー「‥あなたを、信じていいの?‥」
ペドロスカ「そうだよ、僕のトゥーフェ‥おいで、一緒に光の世界に行こう‥」
チェリー「‥(ああぁぁああ〜んっ、し・あ・わ・せ〜)‥」
ブラッドベリー「(がらっ)てめぇ、調子に乗りやがって!(ペドロスカの襟首を掴んで吊り上げる)」
ペドロスカ「‥‥! ぐっ‥」
チェリー「あぁ〜ん、わたくし、わたくし‥眼を開けるわ‥あなたを信じて、勇気を出して‥」
ブラッドベリー「いつまで浸ってやがる、この洗濯板娘!(チェリーを蹴飛ばす)」
チェリー「(どたっ)‥は、わたくしったら、いったい‥ぶ、ブラッドベリー? ペドロさんに何をするの!」
ブラッドベリー「うかうかと乗せられやがって‥いいかチェリー、こいつはペテルブルグの手先なんだよ! ここに来たのだって、小樽を襲ったのだって、みんなこいつの差し金なんだ!」
ペドロスカ「‥ち、違う‥」
チェリー「な、何てことを言うの? ペドロさんはそんな人じゃないわ!」
スーリア「‥(無言のまま立ち上がる)‥」
ブラッドベリー「へっ、すっかり丸め込まれちまいやがって‥あたしは確かに聞いたんだよ。こいつがペテルブルグからの指示を受けているところをなぁ!」
スーリア「‥(するすると歩み寄って、ブラッドベリーの背後に迫る)‥」
ペドロスカ「‥や、やめるんだスーリア‥」
ペドロスカ「‥や、やめるんだスーリア‥」
チェリー「ペドロさんを離しなさい、ブラッドベリー!」
スーリア「‥(歩み寄って、ペドロスカを掴んでいるブラッドベリーの腕に手を添える)‥」
ブラッドベリー「ふん、よく聞きなチェリー、こいつとこのマリオネットはねぇ‥ぐぁっ!」
チェリー「きゃっ!」
スーリアの手から放たれた電撃により、ペドロスカを取り落とすブラッドベリー。
スーリア「‥しくじったようだな」
チェリー「す、スーリアがしゃべった?」
ペドロスカ「な‥そん、な、僕はようやく‥(電撃の余波で体が痺れている)」
スーリア「‥2度目はないと言ったはずだ。野良犬めが」
ブラッドベリー「‥そ、そうだよ。このスーリアはペドロの親玉との通信機を兼ねてるんだ!」
チェリー「ええっ!」
スーリア「‥(かちっ)‥」
ペドロスカ「(スーリアにしがみついて)待ってくれ! 今なら、今ならトゥーフェを起こせる! 今の僕なら出来るんだ! 頼む、待って!」
チェリー「‥爆発物反応? そんな、スーリアが!」
ブラッドベリー「‥ち、ちょっと、おい、どうなってんだい?」
ペドロスカ「おい! 止めてくれ! 聞いてくれよ、僕はすぐに帰るから! 帝国の役に立ってみせるから、待ってくれ! スーリアを‥」
チェリー「間に合わないわ! ペドロさん逃げて!」
ペドロスカ「スーリア、スーリア!」
ブラッドベリー「え〜いもう、危ないだろうが!(スーリアからペドロを引き剥がそうとするが離れず)」
チェリー「ペドロさん!」
そのころ、診療所から長屋に戻る小樽とライムは‥
ライム「たいしたことなくて、本当に良かったね、小樽(にこにこ)」
小樽「ああ、心配かけてすまなかったな」
ライム「‥あれ? あの煙、長屋の方じゃない?」
小樽「えっ? ‥本当だ、火事かな?」
ライム「大変だ! 小樽、ボクちょっと見てくるね!」
小樽「ああ、先に戻ってるチェリーたちが心配だしな」
駆け出すライム。
小樽「ちぇっ、毎度ながらライムは速いな、追いつけやしねぇ‥ん? なんでぇおめぇら、昼間の連中の仲間か‥ち、ちょっと、何しやがる!」
ライム「わぁ、煙吐いてるのボクたちの部屋だ。花ちゃんがまた何かやったのかな?(がらっ)ねぇ大丈夫?‥あぁっ!」
ブラッドベリー「‥まったく、無茶しやがって」
チェリー「ペドロさん! ペドロさん、眼を開けてぇっ!」
ライム「‥ペッちゃん‥それに、それまさか、スーリアの首?‥いやだああぁぁ!」
チェリー「早く、早くお医者様を!」
ブラッドベリー「‥あんたが取り乱してどうすんだよ。大丈夫さ、火傷は酷いけど死んじゃいないよ‥引き離すのがもう少し遅れたら、危なかったけどね」
ペドロスカ「‥うっ‥スー、リア‥」
チェリー「ペドロさん!」
ライム「(ぺたんと座り込んで)どーして‥ねぇ、どーしてこんなことに?」
ブラッドベリー「あたしにも良くわかんないのさ。ごたごたしてるうちに、スーリアが‥(涙いっぱいのライムを見て口をつぐむ)」
ライム「スーリアぁ‥ペッちゃん‥」
チェリー「ペドロさん、しっかりしてぇっ!」
花形「(がらっ)おーい、みんな大変だよ、小樽くんが、小樽くんが、ごっつい連中に囲まれて黒い車で連れ去られちゃったよ! 早く助けに行かなきゃ!」
ブラッドベリー「なんだ花公、いま取り込んでんだ‥えっ、おい今なんてった?」
花形「(ブラッドベリーに揺さぶられながら)だ、だからぁ、小樽くんが、攫われちゃったんだよぉ‥」
ブラッドベリー「ライム! おまえ、小樽と一緒だったんじゃなかったのかい?」
ライム「‥お、たる?‥」
ブラッドベリー「おいライムしっかりしろ! 小樽が危ないんだ、あたしたちの小樽がだぜ!」
チェリー「小樽様、が‥?」
ブラッドベリー「まったくもう、こんな時に限って‥案内しろ花公!(花形を引きずって外へ)」
ライム「‥いやだ‥小樽まで居なくなるなんて、いやだぁっ!(ブラッドベリーを追って飛び出す)」
チェリー「そんな‥小樽様が、また‥あっ、ペドロさん?」
ペドロスカ「チェリー‥さん‥スーリアを‥頼みます‥」
チェリー「無理なさらないで、今お医者様が来ますから」
ペドロスカ「僕の部屋の箪笥に‥スーリアが‥どうか‥(がくっ)」
ライム「こら〜っ、小樽を返せぇ〜」
ブラッドベリー「逃げようったって、そうはいかないよ!」
ジャポネス国境へ逃げる車を猛スピードで追いかける二人。だが、車との距離はぐんぐん離れて行く。
ブラッドベリー「ちくしょう、何てスピードだ‥」
ライム「負けない‥小樽まで‥小樽までなくして、たまるもんかぁ〜!」
ブラッドベリー「ライム‥」
ライム「花ちゃん、邪魔!(背負っていた花形を放り出しスピードアップ)」
花形「そ、そんなぁ〜」
二人のセイバーを引き離しつつ国境に驀進する黒い車。国境を抜けてプラズマ嵐の中に入れば、ライムたちは追ってこられない。ぐんぐんと国境に迫る一行だったが、その行く手には‥。
梅幸「くせ者め‥逃さん」
玉三郎「ジャポネスを愚弄する下郎に、この国境は跨がせん!」
ライム「あ、梅幸と玉三郎!」
ブラッドベリー「気を付けてくれ、その車には小樽が乗ってるんだ!」
玉三郎「承知」
梅幸「我らの眼を欺いて間宮小樽を誘拐せんとしても、そうはいかん!」
車から激しい銃撃が放たれるが、梅幸たちは楽々と躱して突進する。前方と後方を2体ずつのセイバーに挟み撃ちされた逃走車は、スピードを緩めぬままハンドルを切ろうとして横転!
ブラッドベリー「しめた!」
ライム「小樽を、よくもぉ! この、この、このぉ!」
・・・・そして、数時間後。入院したペドロスカとその付き添いのチェリーの居る病室のドアがノックされた。
チェリー「はい?」
小樽「(がらっ)よぉ、ペドロ‥大変なことになったそうだな」
チェリー「お、小樽様ぁっ!(駆け寄ってしがみつく)‥良かった、よくぞご無事で‥」
ブラッドベリー「危ないところだったぜ。あの二人のおかげさ」
ライム「ねぇチェリー、ペッちゃんの具合はどう?」
チェリー「小樽様、小樽様、小樽様ぁ‥」