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憧憬は遠く近く 第三章 〜 恋人の肖像
日時: 2015/10/25 23:08
名前: どうふん
参照: http://soukensi.net/perch/hayate/subnovel/read.cgi?no=413


憧憬は遠く近く 第三章 スタートします。

簡単に今までの流れを振り返りますと、
【第一章】お互い、自分の気持ちを意識したハヤテとヒナギクさんですが、相手に嫌われていると誤解したまま、仲はこじれる一方となりました。

【第二章】そんな二人を見かねた周囲が二人の仲を取り持とうとするのですが、いざ告白の瞬間、ヒナギクさんは倒れてしまいます。

そして今、ヒナギクさんはハヤテや千桜たちに付き添われ、救急車では救急病院に運び込まれてきました。


【第一話:深淵に潜みしもの】


「ハヤ太君、ヒナは?ヒナは無事か?」
「一体何があった?」
「ヒナちゃん、どうしちゃったの?」
救急病院に駆けこんできたのは生徒会三人娘だった。
美希がいち早く情報を掴んで二人に知らせたらしい。政治家の娘はさすがに耳が早い。

1Fロビーの長椅子に腰掛けているハヤテは、のろのろと彼女たちに顔を向けたが、茫然自失しているハヤテの口からは言葉が出てこない。
「おい、どうした、ハヤ太君。まさか・・・ヒナは・・・」
「ヒナちゃん、死んじゃったの?」泉の顔が泣きそうに歪んだ。
「ちょっとちょっと・・・。縁起でもないことを」割って入ってきたのは千桜だった。歩とルカも後ろにいた。


「ヒナの体には別に異常はない。401号病室で、今は落ち着いて眠っているから安心しろ。念のため、看護体制に入って、雪路もヒナについている。両親は海外だが連絡はついた。明日には戻ってこれる」
「体には異常がないの?」
「うん。どうも精神的なものらしい。過去のトラウマや記憶が強烈にトラッシュバックすると、意識が飛んだりすることがあるそうだ」
「過去の記憶って・・・一体」
「・・・君たちも知っているだろう。ヒナが昔親に捨てられたことは。
それ以来、ヒナは自分の好きになった人は皆いなくなってしまうんじゃないか、という恐怖を拭い切れていないんだ。
さっき綾崎君に愛を告白しようとしたとき、それが蘇ったらしい。
その前兆はあったのだが・・・。まさかこれほどの重症だったとは気付かなかった。ヒナに申し訳ない」

「そんな馬鹿な」叫び声は予想外の方向から飛んできた。美希だった。
「ヒナはそんなに弱くない。ヒナは私のヒーローなんだ。
親に捨てられたって、姉までいなくなったわけじゃない。そんなもの克服しているさ。まして、その程度のことで恋愛まで臆病になって意識を喪うなんてことはない」
「その程度、って。いくらヒナさんでもちっちゃい子供の頃だよ」口を挟んだのは歩だった。
「それでも、ヒナはヒナだ。今のヒナは絶対にそんなことはない」
「いい加減にしなよ。ヒナさんは現に倒れているんだよ」歩も気が立っている。あわや、二人の間で、つかみ合いが始まろうとした。


「待て、歩。美希の言う通りかもしれない」
「え、千桜さん、どういうことなの・・・かな?」
「確かに、親がいなくなったことは、ヒナにとって大変なショックだったろう。だけど美希の言う通り、本当に一人になったわけじゃない。雪路もいたんだ。現にヒナはあまり立派とは言えない姉を愛し、尊敬している。
それに今の親からは本物の親かそれ以上の愛情を受けている。それを拒絶したなんてことはないはずだ。
それなのに、恋愛にだけ、ああも拒絶反応を示すというのは飛躍がありすぎないか」
「で、でも・・・、ヒナさんは現に・・・」
「だからだ。今までずっと疑ってもみなかったが、この一足飛びの間に、私たちの知らない何かがあるんだ」
「そ・・・それって一体・・・」口をはさんだのはルカだった。
「それは、私の憶測より、事実関係を知っている人に聞いた方が手っ取り早い」
千桜は走り出した。わけがわからないまま歩たちは後を追った。
「どこに行くんだ、千桜」
「ヒナの病室だ」
その場には、まだ茫然としているハヤテ一人が残された。


******************************************************************


「大丈夫、千桜さん」
「す・・・すまん」
ヒナギクの病室がある4階まで階段を一気に駆け上がった千桜は歩とルカに支えられて歩いていた。
「何やってるんだよ、千桜。私たちみたいにエレベーターを使えばいいものを」
「自分を全然わかっていないんだな。いくら勉強ができてもそれだけでは社会に出れないぞ」
「千桜ちゃん、もうちょっと体を鍛えないと」
三人娘のからかいといたわりに千桜は反論できない。荒い息を吐いていた。



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Re: 憧憬は遠く近く 第三章 〜 恋人の肖像 ( No.1 )
日時: 2015/10/30 21:37
名前: どうふん
参照: http://soukensi.net/perch/hayate/subnovel/read.cgi?no=413


【第二話:恋人の肖像】


ヒナギクの病室のドアをそっと開くと、ヒナギクに覆いかぶさるように雪路が眠っていた。妙な格好で。
「あいつはこんな時まで一升瓶を抱いて眠るのか、全く妹が倒れたというのに。酒を病室に持ち込むか、フツー」
「でも、雪路ちゃん、凄くない?栓は抜いてないよ」
「なるほど、全然酒に手を付けていないということか。やはり妹のことが心配なんだな。
お、おい、何するんだよ、千桜」
「しっ」

千桜は、ヒナギクが目を覚まさないようにそっと雪路を揺さぶった。一升瓶を抱いて寝ぼけ眼の雪路を強引に連れ出し、エレベーターで3階の休息スペースまで来た。


「何の用よ。あんたたち」
雪路は不機嫌丸出しで、ソファの上にあぐらをかいていた。反射的に酒をラッパ飲みしようとしたが、栓を抜いてないことに気付き、忌々しそうに床に下ろした。
千桜は構わず雪路の目を見据えた。
「雪路先生、教えて下さい。ヒナが『愛する人が皆自分から去ってしまう』と考えるようになったいきさつを」
「んー、あんた、知ってるでしょ。ヒナは幼いとき親に捨てられて・・・」
雪路の話を遮って、千桜はきっぱりと言った。
「そっちじゃない。ヒナが恋人を喪った時の話です」
周囲にいた全員が息をのんだ。


「何で、そう思うのよ、千桜ちゃん」雪路は苦しげに横を向いた。
「ヒナは親を喪っても、苦しくても必ず愛する人が近くにいた。雪路先生、あなたが。だからその件だけで『愛する人はみんないなくなる』と思うでしょうか。それに、ヒナが臆病になるのは家族じゃなくて恋愛に関してです。

だとすると、ヒナの意識を喪うほどのトラウマには、他にというか加えてというか、別の原因があるはずです。それは恋愛問題じゃないか、と考えるのは当然でしょう」
「そ・・・それは変だよ、千桜さん。ヒナさんは、ハヤテ君が初恋の相手と言ってたし・・・。そんなこと聞いたことも・・・」
「その記憶が間違いだったとしたら?
別に隠すつもりはなくても記憶を失うことだってある。
特に小さな子供は、あまりに辛い記憶を時に心の奥底にしまいこんでしまう。そうしないと自分を保てないほどの辛いことを」

沈黙している雪路から目を離さず千桜は続けた。
「幼馴染の美希が知らないようだから、幼稚園のころじゃないかと思いますけど。

ヒナは、小さい頃の恋人との別れを無理矢理心の奥にしまいこんだ。
まあ、片思いだったのかもしれませんが・・・。
それでも辛い記憶は潜在意識として残り、ヒナの心を傷つけ続けている。
『私の好きになった人は皆いなくなってしまう』、という形で。

だからこそヒナは綾崎君を好きになっても自分からアプローチすることができなかった。
両想いということがわかっても、いざ、というとき、綾崎君がいなくなってしまうんじゃないか、という不安に勝てなかった・・・。
告白しようとした時、昔の記憶が蘇ったのかもしれない。
ヒナが意識を喪ったのはそういうわけだ、と思うのですが間違っていますか」

「負けたわよ、千桜ちゃん」雪路はため息をついた。


******************************************************::


雪路はぽつりぽつりと重い口を開いた。
「ヒナはね。親が前触れもなくいなくなった時、私としばらく二人で暮らした後で、今の両親に引き取られた。あの頃のヒナが大変なショックを受けて心が弱っていた事は本当よ。新しい親にももちろんすぐに懐くことなんかできなくて、私が一緒だといいけど、一人で部屋に閉じこもっていたことも多かったの。
そんな頃に、ヒナの好きな男の子が近所にいたのよ。

ショウタ君っていうんだけど、ヒナの2歳上だったかしらね。
私がいない時、いつもヒナはショウタ君に会いに行ってたわ。その子は小学生だったからヒナとはスケジュールが合わないことも多かったんだけど、妹みたいに可愛がってくれたの。
ショウタ君もヒナに恋していたんだと思う。

もちろんヒナもショウタ君のことを大好きだったわね。
『あたし、ショウタ君のお嫁さんになる。約束したんだ』って私にだけ教えてくれたわ。
ヒナがショウタ君にチューしていたことも見たことあるわ。あ、ほっぺよ、ほっぺ」

(昔のヒナはそんなに積極的だったんだ・・・)
(今のヒナちゃんからは想像できないね)
(確かにヒナさんの本来の性格を考えればその方が自然かな)
不謹慎は承知の上で、その場にいた全員が似たようなことを考えていた。

「でも・・・。ショウタ君とは何か事情があって別れたわけですか」ちょっと顔を赤らめながら千桜が先を促した。

「そのころ、ヒナが新しい両親に懐いていなかったことは言ったわね。幸か不幸か・・・結果から見れば不幸な事だったかもしれないけど、ショウタ君の親は今の両親とも仲良しだったのよ。ご近所さんだったし。

それでね、お養父さんはショウタ君も一緒に家族ぐるみで遊びに行けば、ヒナと自分たちが打ち解けることができるんじゃないかと思ったの。
それで、二家族揃って海辺の公園に行ったのよ。二人とも大はしゃぎで遊びまわって。
事故が起こったのはその時よ」



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Re: 憧憬は遠く近く 第三章 〜 恋人の肖像 ( No.2 )
日時: 2015/10/30 23:20
名前: 瑞穂

どうふんさんへ


こんにちは。瑞穂です。
少々ご無沙汰しています。
第3章が始まったので、またどうふんさんのSSが読めるという楽しみ、喜びが私の心中に満ちています。

いくら酒好きとはいえ、雪路の心は実妹に、ヒナギクの方に傾くみたいですね。もし酒の方が大事だと言えばいくらなんでも私も怒りを覚えますが。
ヒナギクに覆いかぶさっている雪路を見ると、2人を微笑ましく思います。

千桜さんについて感じることがありますが、ヒナギクさんをゆっくり休ませようとする為に雪路を病室から連れ出す気遣い、雪路の話を遮り必要な話へ導こうとする手法。そのような千桜さんの優しさやリードには感動しました。絶賛したいです。
今話では最も印象に残る記述でした。

ショウタ君については(何故か)どのような子なのか想像できますが(苦笑)、どうふんさんの次回以降の投稿を楽しみにさせていただきます。どのような展開になるのかを。
しかしヒナギクさんのファーストキスが、ハヤテ君やアーたんと同じような時期に済んでいたとは心底意外でしたね。(笑)

ヒナギクさんとハヤテ君の復活を楽しみに待っています。

どうふんさんの次回投稿を楽しみにさせていただきます。
最近冷えてきましたので、風邪などを引かないように気をつけてくださいね。(余計なお世話かと思いますが、ご容赦ください)
また、『感想の書き方を議論するスレッド』へ私見を投稿していただき、どうもありがとうございました。(遅くなってすみません)


長くなりましたが、以上をもって今回の感想を締めさせていただきます。
それでは、失礼致します。
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Re: 憧憬は遠く近く 第三章 〜 恋人の肖像 ( No.3 )
日時: 2015/11/01 17:42
名前: どうふん
参照: http://soukensi.net/perch/hayate/subnovel/read.cgi?no=413


瑞穂さんへ

感想ありがとうございます。ちょっと褒め言葉が過ぎるようですが・・・
気恥ずかしいくらいです。


で、前回投稿の内容についてですが、雪路はヒナギクさんを困らせ嘆かせつつも、お姉さんとしての想いは大切にしています。特に、本作の勝手な設定では、トラウマを抱えたヒナギクに一番近くで寄り添ってきたはずの人間ですから。
酒は、単に抱き枕として持ち込んだのではないかと。もっともヒナギクさんが復調すれば場所を弁えず祝い酒となるでしょうが。

千桜さんは、ちょっとカッコ良すぎますかね。こんなことなら前章で「作者の分身」なんて書くんじゃなかった。
もちろん彼女にしても全て悟っているわけでなく、微妙な思い違い、曖昧な箇所が雪路に修正、補足されているわけです。
そして、雪路を外に連れ出したのはもう一つ意味があります。万が一にも目を覚ましたヒナギクさんに話の内容を聞かれないため、です。

ショウタ君はこの物語において最初で最後のオリジナルキャラになります(多分)。
ただヒナギクさんのファーストキスの相手といってもマウス トウ マウスではありませんのでハヤテやアテネと同列に並べるのはいかがかと。


  どうふん
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Re: 憧憬は遠く近く 第三章 〜 恋人の肖像 ( No.4 )
日時: 2015/11/03 20:19
名前: どうふん
参照: http://soukensi.net/perch/hayate/subnovel/read.cgi?no=413


なぜヒナギクさんが恋愛に関してのみ、ああもヘタレになるんだろう。
そんな疑問が前からありました。
これには何か深い理由でもあるんだろうか、ということで考え付いたのが今回のお話しです。
どれだけ説得力を持ちうるかはわかりませんが、以下、ヒナギクさんの過去について、雪路の説明が完結します。

あ、本作第三章はこのまま続きます。



【第三話:悪夢の真相】


雪路は改めて周囲を見回し、もう一度ため息をついた。
「海に面した広い公園だったから、砂浜だけじゃなくて、岸壁、というかちょっとした崖のようなところもあったのよ。一応柵があって中には入れないようになっていたけど。
だけどショウタ君も小学生でやんちゃ盛りだったから・・・。ヒナは普段は真面目で慎重だったんだけどショウタ君の後ならどこでも付いて行ったし・・・。ヒナと二人で小さな隙間から柵の中に入りこんじゃったのよ。私も気付いて、急いで連れ戻そうとしたんだけど、距離があって間に合わなかったの。

そこまで言えばわかるわね・・・。

ショウタ君もヒナも一緒に海に落ちちゃったのよ。
悪いことに海の底は岩場になっていて・・・。
ショウタ君は岩で全身を強く打って重傷。

でもね、ヒナはかすり傷で済んだの。
というより・・・ショウタ君がヒナを守ってくれたのね。
ショウタ君は海から引っ張り上げられるまでヒナを抱きしめていたのよ。

ヒナは両親に連れられて毎日見舞いに行ったわ。
『きっと元気になってくれる。約束したもん』って言い張ってね。
だけど・・・ショウタ君は一生懸命に頑張ってくれたけど・・・。
とうとう・・・力尽きちゃったの。
『ヒナちゃん。ごめん』って、一言を残して・・・。

ヒナは、泣き叫んでは気を喪い、目を覚ましてはまた泣き出す有様で、しばらく入院していたの。


その時からよ・・・。
『私の好きになった人は、みんな、みんないなくなっちゃうんだ』って呟くようになったのは。
私がついているから大丈夫よ、っていくら言っても効果はなくて。
『お姉ちゃんもきっといなくなるもん』なんて言い出して。
両親がいなくなった直後だったから・・・なおさらそう思いこんでしまったのね。
そして家に戻ってきたとき、最近の記憶を喪っていたの。
ショウタ君のこともね、丸ごと抜け落ちちゃったのよ。

お医者さんは、いろいろ難しいことを言っていたけど、当時の私にはよくわからなかった。確か『抑圧による記憶喪失』、と言っていたわね。
はっきりわかったのは、その辛い記憶をしまいこまないと耐えられなかったから、ヒナは自分で記憶を引き出しにしまい込んでしまった。だから家族の皆様も思い出させるようなことはしないで下さい、ということね。

ショウタ君のご両親は、年上のショウタ君がヒナを危険な目に合わせた、といって謝っていたけど・・・。何と言ってもショウタ君は死んじゃって、ヒナは無事だったということもあって、お義父さん、お義母さんが凄く悩んで必死に謝っていいたわ。
そんな姿を見て、ヒナには自責の念もあったのね。
皮肉なことにそれがヒナと両親が打ち解けるきっかけになったんだけど。

私だって、両親にだって思い出すのも辛いこと。ヒナにとってどれだけの心の傷になったことか。
小学生になってからも、何かの拍子にいきなり震えだしたり汗びっしょりになったり、気を喪ったりしたこともあるの。

そうよ・・・今みたいにね・・・。
もう、そんなこともなくなって大丈夫と思っていたんだけど・・・

ついでに言うとね、ヒナが高所恐怖症になったのもその時からなのよ」
誰もが身動き一つせず、聞き入っていた。


「ヒナが・・・、そんな・・・」千桜は唇を噛みしめていた。
あのヒナがこれほどのトラウマを体に染み込ませるには、それだけの衝撃的な体験をしたことをなぜ想像できなかったのだろう・・・。
「ど・・・どうすればいいの・・・かな、千桜さん?」
歩は千桜の方を振り返ったが、千桜は答えない。苦し気な表情は変わらない。
三人娘やルカも顔を見合わせている。


「大丈夫ですわよ」聞き覚えのあるのどかな声がした。皆が声の方向に振り向くと、マリアを連れた(いや、実際は逆だろうが)アリスがいた。
「ヒナはそんなに弱い人ではありません。確かに小さい頃は耐えられなかったかも知れませんが、今のヒナは違います。私にとっての最愛のママなのですから」
「・・・お前、全然気づかなかったが、この話をいつから聞いていたんだ?」

「最初から聞いていましたわよ。細かいことにこだわることはことはありませんわ。肝心なのはヒナを救うことです。」
「まあ、それはそうだが・・・。何かいい考えがあるのか?」
「別に考えなんかありません。ハヤテに判明した事実を全部話すことです。それしかありません」
「そ・・・それはどういうことなのかな?」
「ハヤテを救えるのはヒナしかいない。ヒナを救えるのもハヤテしかいないんです。その役割を既にヒナは果たしているのです。今度はハヤテがヒナを救う番でしょう」

「さ・・・さっぱりわからないよ」
「いえ、アリスちゃんの言う通りですわ。あとはハヤテ君に任せましょう」
「マリアさんまでそう言うなら・・・。ハヤ太君なら、一階のロビーにいたはずだ。呼んでくる」
駆けだした美希の背中を見送って、アリスはポケットからそっと携帯電話に似たメーターを取り出した。
「貯金は全部使い果たしそうだけど、ここはハヤテに何としても火を点けないと」
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Re: 憧憬は遠く近く 第三章 〜 恋人の肖像 ( No.5 )
日時: 2015/11/10 20:30
名前: どうふん
参照: http://soukensi.net/perch/hayate/subnovel/read.cgi?no=413

ハヤテがようやく知った真実(繰り返しますが、当方の勝手な想像です)。
ハヤテはそれに向き合うことができるのか。
自分では無理だとしたら、それを後押しできるのは、やはりこの人です。


第4話 女神 再び


千桜の説明にハヤテは言葉を失っていた。
「ヒナギクさんに・・・そんな過去が・・・」
「私たちも知らなかった。本人さえ忘れようとして忘れることができなかったということだ」
「それで・・・、どうすればいいんでしょう」
「決まってるじゃないか。君がヒナを救うんだよ」
「ぼ・・・僕がですか」苛立たしげに千桜が声を荒げた。
「君はそれでも男か。
いいか、綾崎君。ヒナはあれだけ必死になって、意識を喪うほど苦しんで君に気持ちを伝えようとした。その姿を見て何とも思わないのか。
ヒナのおかげで君は自分を縛る鎖から解放された。そうだろう。

そうじゃないのか!
借金持ちでも、執事でも、自分が女の子と付き合ってもいいんじゃないか、と思えただろう。
今度は君の番じゃないか。
君がヒナにしっかりと気持ちを伝えて、ヒナを一人にはしないことを誓うんだ。
ヒナもきっとわかってくれる。ヒナを恐怖から救ってやれる」
「それは・・・僕には荷が重すぎます。もともと僕はヒナギクさんと釣り合うような人間じゃないんです。強くも優しくもない。甲斐性もない・・・。

それに・・・そんな苦しみを・・・僕なんかよりずっと苦しんできた人を助けるなんて・・。

ましてヒナギクさんを未来も一人にしないなんて約束・・・無理ですよ」
歩が飛び込んできてハヤテを平手打ちを浴びせた。
「ハヤテ君は、そんな・・・、そんな情けない人だったの?自分の好きな子がこれだけ苦しんでいるのに、助けてあげられないの?」
歩は、ハヤテの襟首を掴み、壁に押し付けて泣いていた。

ハヤテは閉じた目に涙を溢れさせながら抵抗はしない。
しかし、その口は開かない。首は縦に動かない。


歩の肩に手が乗った。
「もうおやめなさい」その場にいるはずのない人の声がした。
「ハヤテ、しっかりしなさい。私が鍛えたハヤテはそんなだらしない男の子ではないはずですよ」
「あ・・・あーたん」目を開いたハヤテの目の前にいたのは、天王州アテネだった。
「あ、あーたん、どうして」
そこにいる多くはアテネを直接の接点はなくとも見たことがある。だが、そんなことと関係なく、周囲は状況が呑み込めず唖然として動かない。一人を除いて。

「アテネちゃん?」
「久しぶりですわね、マリアちゃん」
「久しぶり、というのも変ですけど」
「やっぱり気付いてたのね。積もる話はありますが、私には時間がありません。ここは用件を先に済ませましょう」


アテネはハヤテに向き直った。
「いいこと、ハヤテ。今何に悩んでいるかはわかります。
だけど、ヒナは今『助けて』って叫んでいるのよ。いつかのハヤテのように。
その声が聞こえないのですか。

今のハヤテは確かに甲斐性なしです。だけど強さと優しさなら、今のハヤテは持っているはずよ。それなのになぜヒナを助けようとしないの。

あなたは、かつて私を助けようとした時、どれほど巨大な敵にたった一人で向かっていきましたか。
何で、勇気をもう一度奮い起こすことができないのです。
ヒナを助けてあげられるのはハヤテしかいないのよ」
「でも、あーたん・・・。僕は・・・、僕は・・・」
「『僕は』、何です?『僕は今でもあーたんが好きだ』とでも?」

「あーたん・・・」
「違うわよね。今、ハヤテの一番大切な人は誰?一番大切なことは何?それだけを考えなさい」
「ヒナギクさん・・・。ヒナギクさんを救うこと・・・」
「ならば、それ以上、私が言うことはありません」

アテネは踵を返した。
「あ、待ってよ、あーたん。僕はまだ君に」(聞きたいことがあるんだ)その言葉は呑み込んだ。アテネの後ろ姿には追いかけることを許さない厳しさがあった。
その姿は廊下の角を曲がってすぐに見えなくなった。


**************************************************************:


「綾崎君、もう結論は出た。そういうことでいいのか」
「ハヤテ君、後はあなた次第ですわね」
「ハヤテ君、お願い。ヒナさんを」
「ハヤ太くん」

「はい・・・。行ってきます。ヒナギクさんの元へ」
「ちょ、ちょっと待って。ハヤテ君の気持ちはよくわかったわ。だけど、今ヒナは眠っていていつ目覚めるかもわからないの。もう夜遅いし、面会時間だって過ぎているじゃないの。ヒナの看護人は私しか認められていないのよ。ヒナの目が覚めれば呼ぶから、今は帰りなさい」
「部屋の中でなくてもいいですから。僕はヒナギクさんの傍にいます」
「病院の規約上それはダメなの。不審者扱いされちゃうわよ。目が覚めたって検査があるんだし、明日の面会時間にもう一度来てちょうだい」
やむなく、雪路を残して全員が家に戻ることにした。


「そうだ、あーたんを連れて帰らないと」
「ん、アリスならあのベンチに寝ているぞ」
「まったくいつも神出鬼没だねー、この子は」
「それにしても、さっきの理事長は一体・・・?マリアさん、理事長のことご存じなんですか?」
説明するのも大変そうなのでハヤテもマリアも黙っていた。


******************************************************************::


翌朝−。
マリアとハヤテは一緒にキッチンで朝食をこしらえていた。
「ハヤテ君、何をぼーっとしてるんです。スクランブルエッグが焦げますよ」慌てて、ハヤテはフライパンをレンジから下ろした。
「心配しなくても大丈夫ですよ、ヒナギクさんなら。あとはハヤテ君次第です」マリアはくすくす笑っている。ハヤテは顔を赤らめた。照れ隠しもあって、ハヤテは昨晩からの疑問を口にした。
「マリアさん、あーたんのこと、ご存じだったんですか?」
「まあ、まさかとは思いましたけど。私も不思議なことをいろいろ経験していますからね。別に驚きはしませんでしたわ」
「ではあーたん、というか天王州理事長のことも、前から?」
「そうでなくて、どうしてあなたのことを白皇に推薦できますか」
「は・・・、はあ・・・。恐れ入ります・・・。でも一体どこに接点が」
「ナギのメイドになる前、私は天王州家にいたんですよ」
「ええ?でも、確かマリアさんは・・・」

その時、ハヤテの携帯がなった。雪路からだった。
「ハヤテ君。ヒナがいないの。病院から消えちゃった。そっちに戻ってない?どこに行ったかわからないのよ」


 ※11/11 指摘頂きました誤記、修正しました。ご連絡ありがとうございました。
※11/18 「レンジ」→「コンロ」との指摘を頂きましたが、ここは「レンジ」でいいかと思います。「コンロ」より「レンジ」の方が意味は広いので問題ないかと。ご連絡ありがとうございました。
    

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Re: 憧憬は遠く近く 第三章 〜 恋人の肖像 ( No.6 )
日時: 2015/11/14 19:23
名前: どうふん
参照: http://soukensi.net/perch/hayate/subnovel/read.cgi?no=413

真実を知り、仲間たちに支えられようやく固まったハヤテの想い。
今までは周囲に流されていた感がありましたが。
しかし、それを想い人に伝える前に、当のヒナギクさんは行方不明となっています。




【第五話:もう一つの想い】


携帯電話を握り締め、ハヤテはヒナギクとアリスの部屋に飛び込んだが、もちろんヒナギクの姿はない。
部屋の外に出たハヤテは送話口に顔を近づけた。
「一体なにがあったんです」
「それがわからないのよ。朝起きると、ヒナがベッドから消えていて・・・。携帯は置きっ放しだから連絡もつかないの。病院中を探して放送も流してもらったんだけど出てこないし、家にもいないし」
「どこに行ったか、何か思い当たらないですか?」
「さっぱりわかんないわよ。私はヒナが昨日意識を喪ってから、全然話もしていないんだから」
ハヤテはギリギリと歯を鳴らした。何てことだ・・・。雪路が何と言おうと、不審者扱いされてでもヒナギクに付いているべきだった。
「と、とにかく僕もヒナギクさんを探します」電話を切った。
駆けだそうとしたハヤテを呼び止めたのがアリスだった。部屋の入口に立って、寝ぼけ眼を手でこすっている。
「朝っぱらから騒々しいですわね。まだノックも覚えていないのかしら。私はヒナほど優しくはありませんわよ」突っ込みたいことはあったが今はそれどころではない。

「あーたん、大変なんだ。ヒナギクさんが」
「どこに行ったかわからない、わけですね」
「な、何でわかるのさ」
「横で電話を聞いていただけですわ」
「あ、ああ。横と言うか下で聞いていたわけだね」ハヤテは脛に一撃をくらって飛び上がった。
「口を慎みなさい。レディに対して失礼ですわよ」
「そ、それ、親に対する態度としてどうかと思うけど」

「そんなことより、ヒナの行き先です。あなたは見当が付かないんですか?」
「う・・・うん」
「いいですか、ハヤテ。ヒナは過去の記憶やトラウマが蘇って気を喪ったんです。あの負けず嫌いのヒナが、そんなことを許せると思いますか?」
「な・・・なんだかさっぱりわからないよ、あーたん」
「トラウマを抱えたその現場に行くに決まっていますわ」確かに・・・言われてみればそんな気がした。
「いいですか、ハヤテ。ヒナは自分自身で苦しみに向き合おうとしていることを忘れてはいけませんわよ」
アリスが何を言いたいのか、漠然とではあるがわかるような気がした
「わかったよ、あーたん。僕はもう迷わない」アリスは頷いた。
「それともう一つ、これだけは頭に入れておきなさい」


ハヤテは改めて雪路に電話した。
「例の公園の場所を教えて下さい」
雪路の頼りない記憶と下手な説明をやっとの思いで解読し、場所や行き方を調べるのに一時間かかった。

簡単な手書きの地図を握り締め、ハヤテはムラサキノヤカタを飛び出し、自転車に跨った。
漕ぎだそうとしたハヤテだが、門の前の人影をみて立ち止まった。

ナギが立っていた。腕組みして道を塞いでいた。

「お嬢様・・・」
「どこへ行く気だ、ハヤテ」
久しぶりに見たその眼差しが只ならぬ光を放っていた。
(あーたんが言ったとおりだ・・・)

ハヤテはたじろぐ思いを胸に閉じ込めた。
(僕はもう迷わない)ナギの目を見てきっぱりと言った。
「愛する人を救いに行きます」
「それは誰のことだ」
「ヒナギクさんです」
烈しい打撃音と共にハヤテと自転車が地面に転がった。
「お前は・・・、お前は・・・、自分の言っていることがわかっているのか。もう私のことなんかどうでもいいのか」
「そ、そんなことはありません。僕はお嬢様の恩を忘れたことはありません。僕はあくまでお嬢様の執事です」
「だったら!」
「だけど僕が愛しているのはヒナギクさんなんです。わかって下さい」
「馬鹿!わかるか、そんなこと!」
「お嬢様・・・。僕は馬鹿です。だけど、馬鹿でもそれを貫きたいんです。お嬢様の恩も愛する人も、大切にしたいんです」
「私のことなど愛していない・・・そう言うんだな、ハヤテ」
「お嬢様は僕の命の恩人です。かけがえのないものです。約束したことも忘れていません。僕は執事としてお嬢様を一生守り続けます。

だけど・・・、お嬢様が許してくれなくても、僕はヒナギクさんを愛します」

「馬鹿だ、お前は。救いようのない馬鹿だ」
「仰る通りです・・・すみません」
「だったら勝手にしろ」ナギはハヤテに背を向けた。

「す・・・すみません、お嬢様」ハヤテは自転車と起こし、俯きながらナギの横をすり抜けようとした。


「嘘・・・だろ」背を向けたままのナギが呻くような声を出した。
「へ、何がでしょう?」
「これからも私を守る、という話だ」

ハヤテはナギに向き直った。真っ直ぐにナギを見た。
「お嬢様。僕は人生に絶望して悪の道に入ろうとした時も、ぼろきれのように殺されそうになった時もお嬢様に助けられました。お嬢様は僕が苦しんでいる時、全財産を投げ打って救ってくれました。
今の僕があるのはお嬢様のお蔭です。だから、あの約束は、僕の命そのものなんです。必ず守ります」
「ふん・・・。く、口でなら何とでもいえるからな。第一そんなことヒナギクが受け入れる訳ないだろう」
「受け入れてもらいます。僕が必ず説得します。
それでもヒナギクさんにわかってもらえなければ・・・僕はヒナギクさんと別れます」
「・・・・・・!」

ナギはハヤテに向き直った。絞り出すような声がした。
「・・・いいのか、ハヤテ。そんなことを言って。
私はお前を遠慮なくこき使うぞ。ヒナギクとデートする時間だってないぞ。ヒナギクと結婚したって、私は・・・私は・・・」
感情がこみ上げて来たナギは、ハヤテの胸にすがりつき顔を埋めた。

ハヤテは涙が溢れそうになった。
やっとわかった。ナギは自分を本気で愛してくれている。アテネより、ヒナギクより純粋な愛情であるかもしれない。
だからこそ、何度となく何の代償も求めることなく自分を救ってくれた。
それなのに、それをなぜかと考えてみたことさえなかった。

いや、それは違うかもしれない。口に出さずともナギが求めた唯一の代償が愛されることだった。
(お嬢様・・・。いや、お嬢様だけじゃない。あーたん、ヒナギクさん、西沢さん、ルカさん・・・。僕は・・・僕はいつだって僕を愛してくれる人に助けられているんだ。そして僕はそれに甘えるばかりで、その人達に報いたことも、応えたことさえない)

ナギを抱き締めたかった。だが、それはできない、許されない。
その代わりに両肩に手を乗せて力を込めた。

「お嬢様。何と言われても僕の気持ちは変わりません。お嬢様は一生僕が守り続けます」
「バカハヤテ・・・。
それはヒナギクに言え。
ヒナギクに約束してやれ。一生そばにいる。ヒナギクを一人にしない、と。
今のは聞かなかったことにしてやる」
「お嬢様・・・」
「いつまでそうしてる。私の気が変わらないうちにさっさと行け。ヒナギクを救って来い。
それができなければお前はクビだ!」
「お嬢様、ありがとうございます」
ハヤテは改めて自転車に跨った。その姿はすぐに見えなくなった。

ハヤテに背を向けたナギは自分の部屋に向かって歩き出した。
肩を落とし、涙が流れ落ちる顔に誰も声を掛けられなかった。


一人、部屋に戻ったナギの前に、アリスがちょこなんと座っていた。


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Re: 憧憬は遠く近く 第三章 〜 恋人の肖像 ( No.7 )
日時: 2015/11/15 00:59
名前: ロッキー・ラックーン
参照: http://soukensi.net/perch/hayate/subnovel/read.cgi?no=25

こんにちは、ロッキー・ラックーンです。ご無沙汰しております。

いよいよといったところでしょうか、二人の胸の内をさらけ出し合う時が近づいてますね。
二人の金髪少女のやり取りにも期待がかかります。
まずはめでたく二人がアパート住人らに迎えられる場面を心待ちにしております。

次回も楽しみにしてます。失礼しました。
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Re: 憧憬は遠く近く 第三章 〜 恋人の肖像 ( No.8 )
日時: 2015/11/15 11:22
名前: プレイズ

初めまして。
読んだ感想を手短にですが。

ヒナが恋愛面でだけいつも奥手に回るのは何故か?そして今回意識まで喪ってしまったのは何故か?という理由のいきさつが、読んでて納得できるものだったので感心しました。オリジナルの描写でしたが、上手く考えられた内容だなと。
ショウタ君がまさか亡くなる所まで行くとは思わなかったので、そりゃヒナもショックを受けたでしょう。
ましてそれが幼い頃になら精神的ショックも相当。
それで、ハヤテに告白したらまた好きな人がいなくなってしまうかもしれない……となって意識まで喪ってしまう。なかなか難しい問題ですが、ハヤテはどうするのか。

あと、千桜の推察力が秀逸ですね。ヒナのこれまでの状況・環境を鑑みて、これは幼少期に恋愛絡みで何かあったのでは?と思い至るのが。彼女は周りが良く見えているし、考えも回るのが強みですね。
それと、アテネがわざわざ貯金を使い崩してまで元に戻ってハヤテに火を点けたのが、さすがだと思いました。ハヤテとヒナの事を想っての行動が良いです。アリス状態でも色々気にかけていて、アリスとしての良さも良く出ていると思いました。次のナギとのシーンも楽しみです。

ハヤテはヒナギクを救えるのか。ハヤテの働きに期待ですね。
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Re: 憧憬は遠く近く 第三章 〜 恋人の肖像 ( No.9 )
日時: 2015/11/15 17:06
名前: 瑞穂

どうふんさんへ


こんにちは。瑞穂です。
少々ご無沙汰しています。

今回は第5話の内容よりも話の繋ぎ方がよかったですね。
病室からヒナギクさんが脱走すると次はその行き先を探す、同室のアリスちゃんから行方を聞きだす、雪路に確認してハヤテ君がヒナギクさんの許へ向かう――という展開は定石どおりです。
ここで普通はそのまま教えられた場所へ向かいます。ハヤテ君がヒナギクさんへの愛情を伝えるのは予想のうちでしたが、ナギちゃんが道を塞ぎ手を挙げてまでも、誰よりも純粋にハヤテ君に自分への愛情を伝える言動は予想外でしたし、ハヤテ君が周りの女の子に応えられていないと回想する。この表現を挿入することで、ハヤテ君やナギちゃんに対する読者の心理が熱くなり、くすぐられているのではないかと思います。

個別の感想になりますが、ハヤテ君は本当に情け深いですね。特定の人に愛情を注いでもあとの人に変わらずと言っていい対応をしますから。
ナギちゃんについてはハヤテ君に振り向いてもらえなかったのは可哀想ですが、生活面だけでなく愛情においてあれだけ想い人に注げるというのは素晴らしいことです。

ちょっと表現が伝わりにくいところもあるかなと思いますが、ご容赦ください。


また次回のお話も楽しみにさせていただきます。
ハヤテ君とヒナギクさんが最終的にハッピーゴールできる展開を……
どうふんさんもそろそろ季節の変わり目が近づいてきますので、健康には気をつけてくださいね。

以上で今回の感想を締めさせていただきます。
それでは、失礼します。
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Re: 憧憬は遠く近く 第三章 〜 恋人の肖像 ( No.10 )
日時: 2015/11/15 20:30
名前: どうふん
参照: http://soukensi.net/perch/hayate/subnovel/read.cgi?no=413


ロッキー・ラックーンさん
プレイズさん
瑞穂さん


感想ありがとうございます。
本作は、勝手な想像に基づく強引な設定もありますので、受け入れられる自信はなかったのですが、正直ホッとした感じです。


ロッキー・ラックーンさんへ

ご無沙汰です。
さて、二人が自分の気持ちをお互いに伝え合う「いよいよ」の時が近づいています。
しかしその前にナギが立ち塞がりました。
結局はハヤテを見送ることになりましたが、ナギの想いと、それを見守るアリスの会話は次回投稿にて。
そしてハヤテの想いはヒナギクさんへ届くのか。ヒナギクさんを縛る鎖は引きちぎられるのか。
こうして書いてみると前章と逆転しちゃいましたね。


プレイズさんへ

初めまして。
本作は私の勝手な設定に基づくものではありますが、原作をできるだけ生かすよう意識はしています。(最近の連載とはかなりズレがあるかな、という気もしますが)
問題は、設定とそれに基づく展開が読んで頂いた方の納得・理解を得られるか、というところですので嬉しいです。
ショウタ君は私にとって唯一のオリジナルキャラですから人物像を描いても良かったのですが、ストーリーには直接の関係がないのでスルーしました。
ヒナギクさんがこれだけ恋愛に臆病になり、そして周囲が誰も知らない、口にしないのは、恋人との死に別れが原因ではないか、というのが私の憶測です。
推理と行動でハヤテとヒナギクさんを応援している千桜さんとアリスですが、その推理の過程に無理がなかったかは今でも自問しています。
もう彼女たちが推理を働かせる場面はないと思いますが。


瑞穂さんへ

ご無沙汰です。
ナギとの決着はストーリー上脇道かもしれませんが、大切なところだと思っています。
一つには私自身ナギが好きですので、ナギの想いを無視したくはありませんでした。ナギの言動に感情移入してもらえたのなら良かったと思います。
ハヤテの回想は、ハヤテにナギの想いを受け入れることはできなくても、受け取ってもらいたかったから差し込んだものです。それはまた、自分が多くの人に愛されている、ということに気付くことにもつながります。
これはハヤテがヒナギクさんに愛情を伝える前に知ってほしかったことです。
(ちなみに前作「想いよ届け」では最後までハヤテはナギの気持ちに気付きませんでした)


                                                          どうふん


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Re: 憧憬は遠く近く 第三章 〜 恋人の肖像 ( No.11 )
日時: 2015/11/18 23:28
名前: どうふん
参照: http://soukensi.net/perch/hayate/subnovel/read.cgi?no=413


アリスは千桜と並び、この物語のキーパーソンです。
それは、ハヤテやヒナギクさんに対してだけでなく、ナギに対しても。
それはナギと「同じ男を愛した女」だから、というだけでなく、皆に愛され可愛がられていることも無関係ではないでしょう。
今のアリスは天王州アテネと人格は同じでも全く別人になっているように思えます。

そして、今ならアテネにもヒナギクさんやハヤテ以外に友人ができそうな雰囲気が・・・。



【第6話:敗軍の将ふたり】


「まだいたのか、ちっこいの」ナギは横を向いた。
「あなたならわかってあげられると思っていましたわ。だから全て教えたのです。立派でしたよ、ナギ」
「お前に褒められるとはな」ナギは苦笑した。アリスには不思議なくらい腹が立たない。涙顔を見せることに大した抵抗もない。
「だけど、立派なものか・・・。別に何か考えがあったわけじゃない。
ハヤテの回答次第では、ヒナギクを救けに行くことさえ許さなかったかもしれないしな。

それなのに・・・、ハヤテは、ヒナギクと別れることになっても私を守ると言った。
あそこまで馬鹿だとは思わなかった。
私をあくまで主と認めてくれるなら、私だって認めなきゃ仕方ないだろう・・・。
あんな形でしか、私はハヤテにしてやれることはなかったんだ」
「それで充分ですよ、ナギ。私だって好きな人から身を引くことにしたのですからその辛さはわかります」
「ああ・・・、お前の記憶はどんどん戻っているんだったな。だがそんな姿で言われても説得力はないぞ。」
「そうですわね。でもその想いは変わりませんわよ。記憶だって、もうほとんど天王州アテネと一緒ですわ」

「だが、お前はなんで、ヒナギクをハヤテにくっつけようとしたのだ。お前だってハヤテのことが好きなのに」
「さあ、何でかしらね・・・。ハヤテとヒナの娘でいて楽しかったから・・・かしら。私も親の愛情を受けたことがない人間ですから。
それだけでなく、あの二人の近くにいて初めてわかることもあります」
「わかること?」
「二人の間にあるもの・・・。二人の想い、それには入り込めない。本人たちこそ気付いていなくても。
もうナギもわかっているでしょう」
「そうかもな・・・。
私たちはハヤテを愛して、ハヤテを助けて、ハヤテに助けられた。そしてお互い最後は振られたわけか。ハヤテのためにあれだけの犠牲を払ったのに」
「そうですわね、ナギ。でもね、もう一人いるんですわよ。ハヤテを愛するだけでなく、身を挺して助けた人が」
「・・・誰のことだ」
「もちろんヒナですわ。ヒナもまた私たちと同じくハヤテを助けているんです。
ただ、私たちとの決定的な違いがあるのですよ。
私たちはハヤテを助けようとしただけですが、ヒナは私を救おうとするハヤテを助けたんです。私が恋敵であることを百も承知で。命の危険を冒してまで。
そればかりか当のハヤテからは気付かれてさえいない」
「それでも・・・ハヤテが惚れたのはヒナギクだった」
「だからこそ、じゃないかしら。負けですわね。何もかもすっかり・・・」

ナギは笑い出した。泣き笑い、と言うべきか。
「全くだな。私は何をやってもヒナギクには敵わなかった。恋愛だけは勝とうと思っても、あいつを相手に勝つ材料なんか何もないんだ」
「そんなことはありませんわよ。いや、今はそうかもしれませんが、ナギが勝てるかもしれないものが」
「何だよ、それは」
「特別な何か・・・。あなたはそれを目指しているのではないんですの?」
ナギは部屋の奥を振り返った。しばらく手を付けることができず、ほとんどまっさらな漫画の原稿がそこにあった。
「特別な何か・・・か」ナギは呟いた。


顔を戻したとき、アリスの姿は既になかった。
(全く不思議な奴だな。出ていく気配もドアの音もしなかったぞ・・・。
それに、ずっと部屋にいたのなら何で私とハヤテの会話の中身を知っていたんだ?)


*********************************************************


ハヤテは高速道路を自転車で突っ走っていた。渾身の力でペダルを漕いだ。
車の間を縫うように走り、パトカーさえ振り切った。
(僕は馬鹿だ。ヒナギクさん・・・、あなたは・・・、あなたは・・・)


ずっと思っていた。
自分ほど不幸な人間はいない、と。
人間のクズである両親、誰からも受け入れられなかった自分、憑りつかれたような不幸体質。幽霊や同性のストーカーにまでまといつかれている。

だが、愛する人と死に別れた、という経験だけはない。
自分を捨てた両親はクズだった。
アテネとの別れだけは暗い影を心に落としていたが、いつか会えるのではないか、仲直りできるのではないか、という希望はあった。

だが、幼いヒナギクは愛する両親に捨てられた上に、恋人まで目の前で失った。もう戻ってこない形で。
(どんなに辛かっただろう、ヒナギクさん)
その苦痛と絶望がどれほどのものか。その答えが記憶そのものの封印だった。
(それを・・・、それなのに・・・、僕はヒナギクさんの借金を返してくれた姉がいて、新しい親からも慈しまれているから僕よりずっと幸せだとばかり思っていた。
僕はヒナギクさんのことを大好きなのに、何一つわかっていなかったんだ)
わかっていなかったのはヒナギクのことばかりではなかった。つい先ほどのナギの顔が、応援してくれた仲間の顔が浮かんでは消える。

(ヒナギクさん。僕はもう迷わない。待っていて下さい。今、行きますから)
山並みを走る高速道は坂道が多く、息は完全に上がっていたが、構うことなく必死にペダルを漕いだ。一休みするとそれだけヒナギクが遠くなるような気がしていた。
峠までたどり着いた時、目的地の海が見えた。次の料金所で一般道に下りれば公園まですぐだ。
(ここにいるはずだ、ヒナギクさん)
ハヤテはペダルに力を込めた。


手応え、いや足応えがなかった。無理に無理を重ねた自転車のチェーンが切れた。

バランスを失ったハヤテは空中を走る高速道のガードレールから外に放り出された。
宙を舞いながら、下界までかなりの距離があることに気付いた。

公園が見えるところまで来ている。
もう少し、もう少しなんだ。
もう少しでヒナギクさんに会えるんだ。

その前に地上に降りないと。
しかしそんなことができるのか。

ハヤテは両手を鳥のように動かした。足もばたつかせた。

だけど効果はない。
目の前に地面が凄い勢いで迫ってくる。

意識を失う前、最後に見えたものはヒナギクの面影だった。
その顔は微笑んでいるようで、泣いているようにも見えた。


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Re: 憧憬は遠く近く 第三章 〜 恋人の肖像 ( No.12 )
日時: 2015/11/23 21:59
名前: どうふん
参照: http://soukensi.net/perch/hayate/subnovel/read.cgi?no=413



負け犬公園にはブランコが軋む音が淡々と響いていた。
ブランコが揺れるに任せ、顔を伏せて腰を下ろしていた千桜は、もう一時間もそのままだった。
仲睦まじい男女の声が近づいてくる。
千桜は微かな期待を込めて顔を上げた。

やはり、あの二人ではなかった。
再び下を向いた千桜に心無い男の声が突き刺さった。
「気にすんなよ、失恋なんて。今にもっといい男が現れるから」女の笑い声が聞こえた。
言い返す気にもならない。
(ヒナ、綾崎君、どこに行っちゃったんだよ・・・。もう一年・・・。早く帰って来い・・・)
一年前のあの日、ヒナギクが病院から失踪し、それを追ったハヤテも一緒に消息を絶った・・・


済みません、冗談です。今のはホントに冗談です。
本篇は今から始まります。ハヤテが意識を失った数時間後です。



【第7話:すれ違う再会】


ハヤテは目を覚ました。
(こ、ここは・・・)
「気が付いたか、少年。ここは海の家。今はシーズン前で閉店しているがな」若い男の声がした。
まだ、頭と目がぼんやりしている。人影だけで顔や姿が判別できない。

(そ、そうだ・・・僕は高速道から落っこちて、地面に激突しそうになって・・・)
「あ、ありがとうございます。あなたが僕を助けてくれたんですか?」
「礼には及ばん、私は、人の命を助ける者、ライフセイバーだ。ちなみにこの海の家の名も『人命』という。
オープンが近いので買い出しに行ったら、人が降ってくるのに気付いたので受け止めた。運の良いことにクリーニングに出したタオルケットをリヤカーに山積みしていたからちょうど良かった。
それだけのことだ」
その男はハヤテの方を向くこともなく淡々と抑揚のない話し方をしていた。人を助けたことに特段の感慨もなさそうだった。その声に聞き覚えがあるような気がしたが、今はそれどころではない。

「あ、あの・・・。貴方のお名前は・・・?」
「私の名前などどうでもいい。お前、動けるのか」
「え、ええ」ハヤテは立ち上がり体を動かしてみた。全身にひどい疲労が残っていたが、大きな怪我はなさそうだった。
「だ、大丈夫です」
「なら、良かった。早く行け」
「え、あの・・・、どこに・・・」
「ずっとうなされていたぞ。この公園と花の名前を呼びながら、早く行かなきゃ、と。何て名前が忘れたが」
「そ、そうだ、ヒナギクさん」
「ああ、そんな名前だ。恋人の名前か」
「は、はい」
「だったらこのあたりにいるはずだ。とにかくお前が目指す公園までは運んで来たからな」
「す、済みません。御礼は後で。今はヒナギクさんに会わなきゃいけないんです」
「だからお礼など必要ない。早く目的を果たしに行け。ああ、これが公園の地図だ。持って行け。結構広いからな」
「は・・・はい。何から何までありがとうございます」

ハヤテは飛び出した。
ヒナギクのことで頭が一杯のハヤテがこの男の正体に気付くのは、もう少し後になるが、それは全く別の話である。


**********************************************************************::


ビーチから離れた公園の端に位置する岸壁・・・。
(こっちだ)
次第に目が回復して来た。地図を見ながらハヤテは走った。
海は夕焼けに染まっていた。


立ち止まった。
まばらな人影のなか、遠くからでも一目でわかる後ろ姿が、海に沈もうとする夕陽に向かってベンチに腰掛けていた。
涙が溢れてきた。
「ヒナギクさん!」
「ハヤテ・・・君」逆光ではあったが、振り向いたヒナギクの唇がそう動いたような気がした。
その人影が立ち上がった。
ハヤテは改めて駆けだした。

言葉より先に、することなんか一つしかない。周囲なんか関係ない。
想い人に駆け寄ったハヤテはヒナギクを抱き締めた。

「ちょ、ちょっと、痛いわよ、ハヤテ君」力が入りすぎたか。
「す、済みません。でも、無事だったんですね。僕は嬉しくて・・・。
済みません、離れます」
ハヤテは腕の力を抜こうとした。しかし安心のあまり気が抜けたせいか、酷使してきた膝から力が抜け、一人で立っていられない。
「済みません、ヒナギクさん。脚に力が入らなくて・・・。しばらくこのままで・・・いさせて下さい」
ヒナギクはそっと腕をハヤテの背中に回した。体を支えてくれた。
「心配・・・かけちゃったのね、ハヤテ君。こんなに無理して・・・。ごめんなさい」
「あ・・・あはは・・・。僕はやっぱりカッコよくはなれませんね」


ヒナギクがハヤテに肩を貸し、二人はベンチに腰を下ろした。
二人で眺める夕焼けが焼け落ちそうなくらい大きく燃えて、水平線に解け始めていた。
「ヒナギクさん」
「・・・何かしら、ハヤテ君」
「・・・・・・本当に済みませんでした」
「何を謝っているの」
「ヒナギクさんの気持ちも苦しみも、何も気付かなくて・・・。今ならわかります。僕がヒナギクさんをどれだけ傷つけてきたか」
ヒナギクは答えない。
(無理もない。僕はそれだけのことをしてきたんだ)
ヒナギクが今、何を考えているのかわからなかった。

ハヤテはここで告白をしようか、と思ったのだが、もう一つ、どうしても確かめたいことがあった。
「ヒナギクさんがここに来たのは、自分の過去と向き合うため、ですよね」
「ええ・・・、そうね」
「どうですか。目的は果たせましたか?」
ヒナギクは目を伏せた。
「ダメ・・・だったわね。ハヤテ君に想いを伝えようとした時、ほんの少し、思い出したことはあるの。
私に昔、心を通わせた愛する人がいたこと。その人がここで私を守って死んだこと。
だけどその人の名前も顔も思い出せない。ここに来れば全てを思い出せるかも、って思ったんだけど・・・。

私たちが落ちた崖の柵の所まで行って、下を覗いてみたけど、怖かった・・・それだけ。
結局、新しく思い出したことなんて何もない」
「そうですか・・・。それは・・・」ヒナギクの寂しそうな横顔にハヤテは声を詰まらせた。
周囲に黙って病院を抜け出すだけでも普段のヒナギクからは考えられない。さらに一人では高い所の景色を見ることさえできないのに、崖から下を覗き込むとは、どれだけ思い詰めたのか。


ハヤテは首を振った。
(だ、だめだ。こんなことじゃ。僕はヒナギクさんを救うためにここに来たんじゃないか)
「ヒナギクさん、今の辛い気持ちはわかります。ヒナギクさんが僕なんかよりずっと苦しい思いをしてきたということも、やっと気付きました。
だけど、昨日、ヒナギクさんが僕に伝えようとした気持ちは信じていいですよね。
僕は、今はっきりと言えます。


ヒナギクさん、僕はあなたを愛してます。
今の辛そうなヒナギクさんも、本当に素敵な笑顔のヒナギクさんも、あーたんに愛情を注いでいるヒナギクさんも、みんなみんな大好きです。
僕はヒナギクさんを絶対一人にしません。いつだってヒナギクさんを支えます。
だから・・・だから僕と付き合って下さい」

「・・・それは・・・無理よ」
思いもよらない答えだった。

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Re: 憧憬は遠く近く 第三章 〜 恋人の肖像 ( No.13 )
日時: 2015/11/27 23:06
名前: どうふん
参照: http://soukensi.net/perch/hayate/subnovel/read.cgi?no=413

そろそろ「いい加減にしろ」という罵声が飛んできそうな気がしてます。
お互いの気持ちを知っても、すれ違いを繰り返す二人。
ハヤテから交際を求められても「無理」というヒナギクさんの真意、そしてハヤテの覚悟が問われています。



【第8話:天女を縛る鎖】


「ど、どうしてです?もう僕に愛想を尽かしちゃったんですか」
ハヤテは混乱した。
対照的にヒナギクの声と表情には抑揚がなかった。
「そんなことないわよ、ハヤテ君。私はね・・・、本当に嬉しいの。ハヤテ君の気持ちを聞いて。いや、ここに来てくれたというだけで。
だけどね、今の私にはハヤテ君とお付き合いする資格はないの」

ハヤテの方を向いたヒナギクの顔には相変わらず表情がなかった。虚ろ、とも見える眼差しには、普段の強い意志も輝きも感じられなかった。
「やあねえ。そんなにびっくりした顔をしないでよ。
いい、ハヤテ君。私には愛し合った人がいたの。
そしてその人は私を守って死んでしまった。それなのに私はその人を思い出すことさえできない最低の人間なのよ。

ハヤテ君は10年間別れた人を想い続けていた。立派だと思うわ。それに引き換え・・・私はずっと逃げ続けていたの」
「な、何を言っているんです。誰もそんなこと思いませんよ。僕とは状況が全然違います。
ヒナギクさんがその人を思い出せなくなってしまったのは、ヒナギクさんが愛情深い人でそれほどまで悲しんだという証拠です。それを資格がないとか最低なんて言わないで下さい」
「それにね、私の記憶はいつ戻るかわからないのよ。ハヤテ君とお付き合いしても、その人の記憶が蘇った時、ハヤテ君を愛せなくなるかも知れない。
その時、本当に悲しむのはハヤテ君でしょ」
「・・・それは・・・。それでもいい。構いません。僕はその人に敵わないかもしれません。だけど、最後は別れることになっても、今の僕の気持ちも、ヒナギクさんの気持ちも大切にしたいんです」
「私には許せないのよ、そんなこと。
そんないい加減な気持ちのままで・・・愛せるかどうかわからない恋人を作るなんて」
「ヒナギクさん・・・」
「あ、誤解しないでね。ハヤテ君が嫌いとか愛想尽かしとかそんなんじゃないのよ。今の私は本当にハヤテ君が好きだし、そして来てくれたことは本当に嬉しかったんだから・・・。本当にありがとう」
今まさに沈もうとする夕陽を背にヒナギクは立ち上がった。

「じゃあね、ハヤテ君。一足先に戻っているわ。ハヤテ君はまだ立てないでしょ。ゆっくりと休んでから戻っていらっしゃい」

ヒナギクが去って行く。その後ろ姿にハヤテは叫んだ。
「ヒナギクさん!」
ヒナギクは振り向かない。足を緩めない。


****************************************************************::


ここで見失ったらもうヒナギクさんを救えない、僕は思った。
だが、足と腰に力が入らない。立ち上がれない。

立つんだ、ハヤテ。何のためにここまで来たんだ。
渾身の力を腕に込めた。両手を地面に叩き付ける。反動でよろめきながらも膝と腰が伸びた。

まだ痺れている左足に力を込めた。動いた。
右足を踏み出した。
歩ける、歩けるぞ。まだ僕には力が残っている。
ヒナギクさんを追いかけられる。

足は持ち上がらない。だが、進める。砂の上を擦りながら。
遮二無二前に出た。
しかし思うようにスピードは出ない。
ヒナギクさんとの距離が縮まない。
右手を伸ばした。
「待って下さい、ヒナギクさん」
地面が揺れた。体の前半分が砂に塗れた。

*******************************************************************

「全く・・・何やってるのよ、ハヤテ君」
「ま、まあ、お約束と言いますか・・・」
「なんで・・・、なんで・・・追いかけてくるのよ。私の気持ちは言ったでしょ」
「今までの僕なら引き下がっていましたよ、ヒナギクさん」
ハヤテは砂浜に突っ伏していた顔を上げてニッと笑ったつもりだが、その顔は障害物競争でメリケン粉の中の飴を探した後のように砂に塗れている。

こちらを向いたヒナギクの顔は涙でぐっしょりと濡れていた。
その顔が吹き出した。涙に塗れた顔で笑っていた。

ハヤテは救われたような気がした。
泣き笑いではあっても、今日、初めてヒナギクが笑顔を見せてくれた。感情が伝わってきた。
「あはは・・・、結果オーライですね。ヒナギクさん、止まってくれましたね」
しかし、今度こそハヤテに立ち上がる力は残っていなかった。

ヒナギクはため息をついた。ハヤテに歩み寄って荒っぽく腕を引っ張り、体勢を起こさせ、背中と膝を持ち直して担ぎ上げた。
(やっぱりヒナギクさんは力持ちだな・・・、って。こ・・・これって、お姫様抱っこ、だよね)
「あ・・・あの、ヒナギクさん、すっごく恥ずかしいんですけど」
「我慢しなさい」ヒナギクは冷たく言い放って、ハヤテをそのまま堤防まで連れて行った。
堤防にハヤテを座らせて、ヒナギクは背中を向けた。
「ま、待って下さい、ヒナギクさん」
「待つのはハヤテ君よ。安心なさい。そんな病人放り出して行かないから」

ヒナギクは近くの自動販売機でジュースを二本買って戻ってきた。
「オレンジとアップルどっちが良いの?」
「あ、ありがとうございます。ではアップルで」
「はい」
「あの、これオレンジでは・・・」
「ワガママ言わないの。私もアップルが飲みたかったんだから」
(だったら何で聞いたんです・・・?)オレンジを希望しても同じことが起こったような気がした。





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Re: 憧憬は遠く近く 第三章 〜 恋人の肖像 ( No.14 )
日時: 2015/12/02 21:57
名前: どうふん
参照: http://soukensi.net/perch/hayate/subnovel/read.cgi?no=413


先ほど最終話を書き上げて改めて最初から読み返してみました。

どうもバタバタしすぎたかな、と思っています。
考えてみればほぼ24時間内に起こった出来事なんですよね。
(第二章も似たようなものですが)
第三章は本作のキモの部分ですので、張り切って詰め込み過ぎたかもしれません。

とにもかくにも、以下、第三章最終話です。
ハヤテの必死の姿がヒナギクさんの心に光をもたらすことができるでしょうか。


【第9話:その先にあるもの】


ヒナギクがくれたオレンジジュースは、ハヤテのカラカラに乾いた喉に、疲弊しきった体に染み込んできた。生き返るような気がした。
だが今はそれよりもヒナギクのことだ。黙ってアップルジュースを飲むヒナギクの思いつめたような表情は変わらない。
「ヒナギクさん・・・いつまでそうやって自分を責め続けるんですか」
「仕方ないでしょ。今の自分を許せないから」
「許すとか、許さないとか・・・。
だったら僕はどうなるんです。子供の頃の過ちなんて、ヒナギクさんに百倍・・・というか比較にもなりませんよ。それでも僕を好きになってくれたんじゃないんですか?
僕のことを好きなら、僕の気持ちを受け入れて下さい。お願いです」

ヒナギクは前を向いたままだった。ハヤテと目を合わそうとしない。
だが、その表情がちょっと動いた様に見えた。
「いつか・・・ハヤテ君からそう言ってもらえることを夢に見てたの。もう涙が出るほど嬉しいわ。だからこそ、あなたを傷つけるかもしれないことはできないのよ」
「傷ついたってかまいません。ヒナギクさんだって僕にどれだけ傷つけられてきましたか。あなたは立派すぎます。いつ戻るかわからない記憶のために、自分に幸せになる権利なんかない、と言うんですか」
「記憶のため、じゃないわ。私と愛し合って、私を守ろうとして、私のために命を落とした人のために、よ。
私の記憶にすら残ってないんじゃ、その人があまりに可哀想じゃない。

そして今は好きでも・・・多分・・・いずれ愛せなくなる人のためよ。


そうねえ・・・
いつか記憶を取り戻して、それでもその人より好きと思える人がいたら、そしてこんな私でも構わない、という人がいたら、その時は私も恋ができるかもしれないけど・・・

今は無理よ・・・」

ちょっと違うんじゃないですか・・・、ハヤテは思った。
ヒナギクの十年前の記憶は微かにしか蘇っていない分、相当に美化されている。
それだけでなく、自分を責めるあまり、ヒナギクは感情を押さえつけ、混乱している。
だが、ヒナギクの心情を思えば、それを口に出す気にはなれなかった。
それ以上に、ヒナギクの辛さが伝わってきた。痛々しかった。
自分の思い込みに欠けているものにも気づいた。
申し訳ない気持ちで一杯になった。

病院で千桜の言った意味が今こそわかった。
(ヒナギクさんは自分でも気づかないで僕なんかよりずっと重くて堅い鎖に縛り付けられていたんだ。
それなのに、必死になって僕の鎖を引きちぎって救ってくれた・・・)
千桜、アリス、ナギ・・・仲間たちのセリフや一喝が頭に次々蘇ってくる。
『今度は君の番じゃないか!』
『ヒナは自分自身で苦しみに向き合おうとしていることを忘れてはいけませんわよ』
『それはヒナギクに言え!ヒナギクに約束してやれ』
『ヒナを救えるのはハヤテしかいないのよ』


「ヒナギクさん・・・済みませんでした」
「何を謝っているのよ。ハヤテ君は何も悪くない。私の気持ちの問題だから」
「その気持ちです。僕はヒナギクさんの気持ちも考えず、自分勝手なことばかり口走っていました。
辛い思い出がいきなり蘇って苦しんでいるヒナギクさんに、一方的に僕の気持ちだけ押し付けてました・・・。
本当に済みません。

それでも・・・僕はヒナギクさんが大好きです。今の話を聞いてもっと好きになりました。だったら恋人でなくてもいい。ヒナギクさんの傍にいさせて下さい」
ヒナギクは虚をつかれたような顔をした。
「そんなことして・・・あなたに何の意味があるの」
「ヒナギクさんがかつて好きだった人の気持ちを大切にするように、ヒナギクさんが僕を救ってくれたように、僕も最愛の人のために力になりたいんです。
ヒナギクさんが記憶を取り戻して、気持ちを整理できるまで、僕は待ちます」
「でも・・・でも・・・、いつになるかもわからないのよ」
「百も承知です。僕の愛する人はヒナギクさんしかいないんですから、いつ、なんて問題じゃありません」
「ばか・・・」ヒナギクが笑ったような気がした。かすかに頬を緩めただけであるが。

ハヤテの目に。
ヒナギクの胸に微かな光が点ったように見えた。
それが一かけらの希望の灯に思えた。
それが果てしなく遠くにあるのか、すぐそこにあるのかはわからなかったが。

信じることができた。
今はまだ遠くてもきっと自分の想いは届く。ヒナギクが受け入れてくれる時が来る。


「僕は確かに馬鹿です。だけどそれを貫きたいんです。
ヒナギクさんだってあれだけ苦しんで僕に想いを伝えてくれたんです。そんな簡単に僕をお払い箱にはできませんよ」
ふっ、とヒナギクが力なく笑った。いや、ため息だったのかのかもしれないが。
「あなたが一流の執事であることを忘れていたわ・・・。
好きにしたらいいわよ。だけど、私のことが嫌になったら・・・気持ちが冷めたらいつでも止めていいんだからね」
「ヒナギクさんの気持ちが整理できれば、僕はいつでもOKです」
「意味が違うわよ、ばか・・・」


***************************************************************::


夜遅くなって、二人はムラサキノヤカタに戻った。
真っ先に玄関まで飛び出してきたのは歩だった。
「ヒナさん、ハヤテ君、お帰りなさい・・・って、大丈夫かな、ハヤテ君」
ハヤテはまだ足腰がしっかりと立たず、ヒナギクに支えられて立っていた。
続いて現れたルカはそんな二人をじろじろと見ていたが、
「でも・・・その様子じゃ結果は上々みたいね」
ハヤテとヒナギクは気まずそうに顔を見合わせた。

 
 憧憬は遠く近く 第三章〜恋人の肖像・完

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Re: 憧憬は遠く近く 第三章 〜 恋人の肖像 ( No.15 )
日時: 2015/12/13 15:07
名前: 明日の明後日

スレッド完結おめでとうございます。初めまして、明日の明後日です。

どうふんさんの書かれたお話には全て目を通してはいるものの、ずっと感想を書きあぐねていたのですが(汗
今回、スレッド完結からそれほど間を置かずに感想キャンペーン期間に入りましたので、勇気を出して感想を送ることにしてみました。

随所随所で辛口なコメントとなるかもしれません。以前どこかで辛口歓迎というようなことをどうふんさんご自身でも仰っていたような記憶がありますが(うろ覚え)ご容赦頂けましたら幸いです。



「もうお前らさっさとくっつけよ(投遣り)」と言いたくなるくらいに遠回りしているハヤテとヒナギク。
そんなめんどくさい二人(辛辣)を辛抱強く応援する友人たちの心の暖かさには脱帽ものです。
結局、まだ「お前らさっさと(ry」な関係性に変化はありませんね。漸く一歩前進、と言ったところでしょうか。
これからヒナギクが、そしてハヤテがどのようにして彼女のトラウマと向き合っていくのか。今後の動向に注目です。

一点、腑に落ちないところがあったので質問させていただきます。
今回(というか前スレッドの終盤において)ヒナギクが倒れたのはハヤテへの告白を切っ掛けにトラウマが呼び起こされたから、ということだったかと思います。
ですが、時系列としては本作以前となる原作アテネ編においても、未遂に終わったものの彼女はハヤテへの告白を試みています。その前後においてヒナギクの心理的身体的な不安定さは特に描かれていないので、本作における「恋愛において特に強いトラウマを抱えている」という設定と矛盾するように思えます。
同じ告白という行為でも、原作中と本作中とで少し質が違いますので(前者は好意を伝えること自体が目的であるのに対し、後者では告白が恋人関係への発展と直結する)、そこがトリガーになったのかなとも思ったのですが少々説得力に欠ける気がしますので、どうふんさんがどのような解釈をしているのかお聞かせ頂けましたら幸いです。



次に、読んでいて個人的に気になったところの指摘となります。大きく二点、助言とまで言うと尊大ですが、参考程度に目を通して頂ければと思います。

・言葉の扱い方について
特に気になったのは「傷付ける」「愛してる」の二つの言葉です。扱い方が気軽過ぎるのではないかなと。

まず前者について。「傷付ける」という言葉はものすごく攻撃的なものであると個人的には認識しています。というのも、必然的に加害者と被害者が生まれてしまうからなんですね。
端的な言い方をすれば、特定の人物を悪者扱いすることになるわけですから、当事者でも外野でも乱発させていい言葉ではない、使いどころを見極めなければならないというのが個人的な見解です。
特に本作の1〜2スレ目では “ハヤテがヒナギクを傷つけている” という構図の描写が露骨でしたので、どうしてもハヤテが周囲の全員から悪者扱いされているような印象を受けてしまいました。

後者について、これも無闇に使用するのは控えたい言葉だと認識しています。
愛という言葉がどんな性質を持つのか正直よく分かってませんが、少なくとも小学校に入学するかしないかくらいの歳の子供同士のスキだのキライだのに、愛という言葉を持ち出すのは過剰演出なのではないかなと。
愛ってなんだよ(哲学)


・台詞回しについて
人物に話させ過ぎな場面が目立つかなと。
ヒナギクの過去について雪路が話す場面や、(話してはいないですが)千桜が思考を巡らせる場面などが主に該当します。
この手の描写はどうしても説明的な文章になってしまう嫌いがありますので、そのまま人物の台詞として描写するよりも、地の文で描写した方が自然です。




前作についても同じことが言えますが、どうふんさんは原作のワンシーンを切り取って、そこから独自の解釈を加えてお話を膨らませていく、という手法でSSを書かれています。
それ自体はよくあると言えばよくある手法なのだろうと思いますが、どうふんさんの場合、目をつけるシーンが違うなと。独特な(もちろんいい意味で)着眼点をお持ちだなと感心しております。
前作、本作ともに、私としてはただのギャグ描写としてしか捉えていなかった場面がお話の起点となっていますので、ハヤヒナというありふれたCPであるにも関わらず意外性や独自性を感じずにはいられません。
今後の展開にも期待していますね。

と言ったところで結ばせていただきます。長文失礼しました。

明日の明後日でした。



追記

どうふんさん、すばやいご返信ありがとうございました。
>>17を拝読しましたところ、疑問点にもご回答いただきまして恐縮です。
ただ「傷つける」という言葉が云々という点につきまして、正しく伝えられていないよう見受けられましたので補足しておきます。

> 「傷つける」行為は必ずしも悪人限定ではなく、普通の人、善人が無意識に行うことが多いのではないでしょうか。その行為自体は悪であっても、それをもって当人が悪であるわけではありません。

これにつきまして、全面的に同意です。多くの場合、人を傷つけるような行為とは無意識下で行われることが多いように思います。

ただ、↑で私が話しているのは、行為そのもの及びその実行者の性質についてではなく、「傷付ける」という言葉それ自体が持つ性質についてであるということをご認識ください。
「傷付ける」という言葉が出てきた時点で、“傷付けた側”と“傷付いた/傷付けられた側”、すなわち加害者と被害者という二つの立場が生まれるというのはお分かり頂けると思います。
私が「攻撃的である」と言ったのはこの性質を指してのことで、端的に言えば「傷付ける」という言葉は行為の実行者となる人物を悪意の有無を問わず加害者という立場に立たせてしまうものであると言えます。
これは言葉の持つ性質ですから人物の意図の如何とは全く関係のないもので、それゆえに使いどころを見極めなければならない、という旨を伝えたかったのですが、書き方が少々ざっくばらんでしたかね。失礼致しました。
どうふんさんがあえてハヤテの立場を悪くしようとしている訳ではない、ということは分かっているつもりですが、「傷付ける」と言う言葉を多用した所為でハヤテの立場が悪くなってしまっているように受け取れました。

ご参考になりましたら幸いです。


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Re: 憧憬は遠く近く 第三章 〜 恋人の肖像 ( No.16 )
日時: 2015/12/13 19:11
名前: 瑞穂

どうふんさんへ

こんにちは、瑞穂です。ご無沙汰しています。
「憧憬は遠く近く 第三章 〜 恋人の肖像 」完結おめでとうございます。

最近は合同小説本の原稿執筆中だったということで感想を書けませんでした。何卒ご容赦願います。

では感想につきまして。
ハヤテ君のヒナギクさんへの想いが届いてよかったですね。しかし第8話で(正確には7話の終わりで)ヒナギクさんがハヤテ君を受け入れられないと言ったときには焦りましたが、昔の気持ちを引きずっていた為とハヤテ君の説得・告白の描写を読んで私の短慮を恥じ入りました。
そしてハヤテ君が「何が何でもヒナギクさんを救う」為に追いかけ、それを受けてヒナギクさんが倒れたハヤテ君を救った描写は好感を持ちましたね。
お互いの鎖がちぎれた描写として、10年前のヒナギクさんの思い出とハヤテ君の(部分的に)自己中心的な考え方を入れたのは効果的だったのではないかと思います。
(上手く説明できずにすみません。それと2人の名前を繰り返し出したことも)

改めて完結おめでとうございました。また次の作品も楽しみにしていますのでこれからも執筆頑張ってくださいね。


あと、雑談というか勧誘になりますが、1度テーマ茶会や月末茶会などのチャットにいらしては如何でしょうか。私も誘われて茶会に行った身ですが、毎週行きたくなるくらいに楽しいので是非いらしてください。


それでは、失礼します。
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Re: 憧憬は遠く近く 第三章 〜 恋人の肖像 ( No.17 )
日時: 2015/12/13 20:41
名前: どうふん
参照: http://soukensi.net/perch/hayate/subnovel/read.cgi?no=413

明日の明後日さんへ


感想ありがとうございます。当方、日頃から、明日の明後日さんの切れ味鋭いSSには感服しております。
付け加えると、過日の「感想の書き方を議論するスレッド」においても、「さすが俺とは悩みのレベルが違うわ」と妙な感心をした次第です。
と言って、「失礼なんて思わないから俺をけなしてみてくれ」と催促するわけにもいきませんでしたが、ついに期待通り辛口の感想を頂くことができ、しばらくニヤニヤが止まりませんでした。
当方、突っ込むのも突っ込まれるのも大好きな元関西人ですので(本当にそれだけか?)。


で、当方の見解を申し上げます。


@「そんなめんどくさい二人(辛辣)を辛抱強く応援する友人たち」について
正にその通りです。そろそろ「いい加減にしろ」という罵声が飛んできそうな・・・、って前回も書きましたが、読者の方だけでなく、登場人物から出てきても不思議はないですね。
が、実際にオペレーション・パープルが発動してから、作品上の経過時間は実質三日程度なわけですから、まあありうるかな、と。


A「原作アテネ編」におけるヒナギクさんの告白未遂」と本作設定の矛盾点について
よくぞ突っ込んで下さいました。
こんな細かいところまで説明していては話が冗漫になるかと思って省略したのですが、以下の通り考えております。

記憶喪失というものは、なるのは一瞬でも、回復もまた一瞬であるとは限りません。ドラマのような展開はむしろ少なく、段階的となることの方が多いようです。
ここから先は私の妄想になります。

・もともとヒナギクさんは、初恋の辛い記憶を記憶の淵に深く沈めていたが、無意識に恋愛から逃げていた。
・原作で告白しようとした時はまだ顕在化するものではなく、自分でも気づかなかった。
・だが、その際に記憶を刺激されたヒナギクさんは、以来、(本作品中で)何度か自分でも理解できない妙な感情や悪寒に襲われるようになった(伏線として入れているつもりでしたが、ちょっと弱かったですかね)
・そして今回の告白で記憶が回復することになるわけですが、まだほんの一部でしかないわけです。
つまり、原作における告白がうまくいったとしても、いずれヒナギクさんは過去の記憶と向き合うことになったのではないか、と思っています。


B「言葉の扱い方について」は、助言ありがとうございます。今後の参考にさせていただきます。で、この点について私の考えを述べておきます。

・「傷付ける」についてですが、私はちょっと違ったイメージを持っております。「傷つける」行為は必ずしも悪人限定ではなく、普通の人、善人が無意識に行うことが多いのではないでしょうか。その行為自体は悪であっても、それをもって当人が悪であるわけではありません。
で、この場合、ハヤテが全員から悪人扱いされている様に感じられましたか?
うーん、そんなつもりはないんですけどね。ハヤテもまた、ヒナギクさんのうっかりした発言に傷ついていますし、歩がハヤテに激怒しましたが、それも誤解とわかったわけですから。

・「愛してる」に関する表記を見直してみましたが、確かに直した方がいいと思ったところが複数ありました。ありがとうございました。
 ただ、ヒナギクさん自身のセリフに関しては、記憶が微かにしか戻っておらず、自分の気持ちさえ理解できないままは意図的に「愛」と使っているんだと思います。これについては、ハヤテも「ちょっと違うんじゃないですか」と違和感を感じているわけです。

・台詞回しについて、「会話」と「説明文」をどう組み合わせるかは、私が今でもしばしば悩む問題です。会話が説明的になるのは避けたい一方で、説明文が長いと読むのがめんどくさくなるかな、とも思ったりしています。これは今後の課題として自分でも考えていきたいと思います。


長文になりました。ご容赦。
また、辛口の感想・ご意見・アドバイスをお待ちしてます。


                                  どうふん



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Re: 憧憬は遠く近く 第三章 〜 恋人の肖像 ( No.18 )
日時: 2015/12/14 01:11
名前: プレイズ

こんにちは、ご無沙汰してますプレイズです。
第三章完結おめでとうございます。

ナギとアテネは同じハヤテを愛した者同士なので通じる所もあったようですね。
ナギが、自分の恋心を抑えてでもハヤテの事をわかってあげた、そしてアリスはそれが出来ると信頼して彼女に全てを話した。ナギもよく認めてくれたし、それはハヤテのひたむきさ、それでもナギを主として守り続ける、という気持ちがナギの心を動かしたのでしょうね。
あと、アリスがハヤテとヒナの娘として接してきた事で楽しかったから、そして他者が踏み入れない二人の感情に触れて、ハヤテとヒナをくっつけたいと思ったというのには納得でした。アリスとして長い時間を彼らと過ごした事で、そう思うようになったのでしょう。
それと、ナギは特別な何かになりたい、が強みだというのは妙に納得してしまいました。アテネはほんと色々よく見ていますね。

ハヤテはどうにか何とかヒナギクの心の鎖を少しは解きほぐせたみたいでよかったです。
ハヤテが告白しても、幼少期の恋人が亡くなった件からなかなかヒナギクがすんなりは受け入れられなくて手強かったですが、よくハヤテが引かずに辛抱強く話をして光を点したなと思います。このように、人に対して根気よく話をするという描写が今作の魅力でもあったなと思いますね。

二人の今後には色々課題もあるかもしれませんが、上手く乗り越えて良いカップルになると思います。
どうふんさんの次回作もまた楽しみにしています。
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Re: 憧憬は遠く近く 第三章 〜 恋人の肖像 ( No.19 )
日時: 2015/12/14 22:02
名前: どうふん
参照: http://soukensi.net/perch/hayate/subnovel/read.cgi?no=413


瑞穂さん、プレイズさん、感想ありがとうございます。
恐ろしくマヌケなことに気付きましたが、第三章が終了して、その後のことを何も書いていませんでしたね。失礼しました。
現在、執筆は一休みしておりますが、第四章イコール最終章の構想を練っています。
二人が本当の恋人同士になるための最終段階となります。
途中経過は脱線を繰り返しても、結末は最初から決めておりますので。



瑞穂さんへ


今、ようやく一歩近づくことができた二人ですが、ヒナギクさんがハヤテを恋人として受け入れるまでにもう一つ乗り越えなければいけないものがあります。
つまりヒナギクさんを縛る鎖=過去の呪縛は、まだ解かれてはいないわけです。
そしてそれは、一朝一夕で解消できるものではない、と思っています。あの二人(特にヒナギクさん)のことですから。理屈はどうあれ、気持ちの整理に時間がかかるのではないかと。

あと、動けなくなったハヤテをヒナギクさんが助けるシーンを気に入って頂いたようで嬉しいです。
そもそも主題が明るい話ではありませんので、こうしたシーンを差し挟んで、雰囲気が暗くならないようにはしているつもりです、まあ、限界はありますが。


チャットにお誘いいただきありがとうございます。
正直、私は夜更かしが苦手というのと、そもそもチャットというものをした事がありませんのでちょっと尻込みしている次第です。



プレイズさんへ


ロッキー・ラックーンさんの作品もそうですが、何となくナギとアリスには通じるものを感じるんですよね。両方とも究極のお嬢様でありながら、ハヤテのためなら全て擲つことができるのですからこれは凄いな、と。その想いはやはり無視したくはないですね。
一方で、私としては、アリスがハヤテとヒナギクさんを応援するとしたら、「二人の子供」となったこと以外思いつかないわけです。そうした意味で原作におけるヒナギクさんのハッピーエンドは難しいだろうな・・・と。
私が当ホームページにお邪魔するようになった動機はその辺りです。前にも書きましたね。

「人に対して根気よく話をするという描写」を認めてもらったのは私が気付かなかった点です。ありがとうございます。自分としては少々理屈っぽくなってしまったかな、と思っておりました。
 

                                    どうふん
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