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転生 (10月11日更新) レス返し 次スレへ
日時: 2019/09/01 13:05
名前: masa

初めての方は初めまして。ご存知の方はお久しぶりです。masaです。

書き手は引退していましたが、一時的に復帰する事にしました。

今作は最近出会った「妻、小学生になる。」っと言う作品が大元です。
一応流れは大元の方に則っていますが、気になる方は調べてください。
なんせ、補足入れないつもりなので。

原作(ハヤテの方)の流れはかなり無視した部分があります。本編で触れますが、ご了承を。

では、本編どうぞ。
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ハヤテのごとく!時間軸から10年後。


夕暮れの時間帯、ある人物が俯いていて、暗い雰囲気で歩いていた。
ご存知?スーパーアイドル水蓮寺ルカである。
ルカは変装をしてはいるものの、テレビ等で見る時とは違い過ぎて「他人の空似」っと殆どの人が思う位だ。

ルカは時々すれ違う「楽しそうな家族連れ」を気付かれない様に羨ましそうな視線を送りつつ歩いていた。


                   × ×


「・・ただいま」
「おかえり。すまんな、お前に買い出しに行かせて」
「・・気にしないで」

ルカと会話しているのはナギであり、現在2人は三千院家で一緒に暮らしている。

「・・夕飯にするか」
「・・だね」

食事中、2人の間には一切会話が無く、時計の音や食器の音が不気味に木霊する位だった。
2人の食事はコンビニ弁当であり、栄養バランスに気を使ってはいるが、味気ない物である。

食事が終わっても怖い位の静けさが室内を支配していた。
すると

「お嬢様、お客様がいらしたのですが」
「・・誰だよ」

SPの1人がノックし、許可をもらって食堂に入ってから言い、ナギが返すと

「えっと。小学生の女の子なんですが」
「小学生の女の子!? 何でそんな子が私に」
「私も詳しくは。 ただ「三千院ナギさんに大事な話がある」っとしか」

申し訳なさそうに言われ、ナギは少しだけ考えた後

「通せ。 くれぐれも丁重にご案内しろ」
「はっ」

SPは敬礼し、食堂を出て行った。

暫くして赤いランドセルを背負った女の子が案内されてきた。
ナギとルカ、そして女の子は向かい合う様に座った後

「お前か?私に話があるというのは」
「ナギ、怖いよ」

睨む様な目付きだったナギをルカが注意すると

「お久しぶりです。っと言う挨拶が的確かもしれませんね」
「「は!?」」

女の子の挨拶にナギもルカも間の抜けた声を出し

「な、何を言ってるのだ!?お前とは初対面だぞ」
「えっと。私も初対面なんだけど」

困惑する2人に対し、女の子はあくまで冷静で

「分からないのは無理もないですよね。僕です、綾崎ハヤテです」
「「はあ!?」」

突然の言葉にナギとルカは驚きの声をあげ

「な、何を言ってるのだ、お前は。ハヤテは10年も前に死んでるんだぞ」
「そ、そうだよ。ハヤテ君は10年前に」

驚く2人を制する様に

「僕とナギさんが初めて会ったのは、負け犬公園の自販機の前でしたね」
「!!!」

「その時たちの悪いナンパ野郎に絡まれていた所を助け、その時緑色のフード付きのコートをお貸ししましたよね。そしてその時「助けてくれた礼がしたい」って言われ、僕が冗談半分に「じゃあ、仕事をください」って言ったら、執事の仕事をくれたんでしたね」

女の子の言葉にナギはただただ言葉を失っていた。

「色々ありましたよね。命を狙う殺し屋から何度もお助けしたり、遺産相続のごたごたからもお助けしましたし」

ルカは驚くナギを見ていると、今度は

「ルカさんと初めて会ったのは、何処かの倉庫でしたっけ? その時柄の悪いファンに囲まれていた所お助けして、「お金が無い」っと困っていた為コンサートの会場までお送りしましたよね。その時「親戚です」って嘘をついて裏方仕事ををお手伝いしましたね。まあ、半ば無理やり着替えも、でしたけど」

今度はルカが絶句する番だった。

「その後色々あって再会して、ルカさんは僕に告白してきましたよね。「こんな気持ちになったのは初めてだからうまく言えないけど、私の恋人になってください」って。その時本気度を示す為にキスもされましたね。で、恋人になりましたよね」

恥ずかしそうにするルカに女の子は続けた。

「色々ありましたけど、僕は夕暮れの公園でプロポーズしましたね。で、「次の大安の日に婚姻届けを出そう」って約束しましたが、それは果たせませんでしたね」

申し訳なさそうに言うと

「ヒスイさんが最後の悪あがきに襲ってきて、僕はナギさんをお助けする為に死んでしまいましたからね」

ここまで言い切ると、女の子はナギとルカの様子を窺って来た。
2人は暫く絶句した後

「そ、それは私以外にはハヤテしか知らん事」
「わ、私だって誰にも話してない事だよ。って事は」

「「本当に(ハヤテ)(ハヤテ君)なの!?」」

声をそろえて言う2人に女の子は笑みを浮かべ

「信じて貰えたみたいですね。良かった」

その笑顔は、2人はどうしようもない程の懐かしさを感じた。

「で、でもどうしてなのだ?」
「僕も詳しくは。たぶん、輪廻転生ってやつですね。前世の僕が死んだ後、神様が今の両親の子供として生まれ変わらせてくれたんだと思いますよ」

こう答えた後、疑問がありそうな2人の雰囲気を察し

「まあでも、「綾崎ハヤテの記憶」が蘇ったのはつい最近なんですよね。偶然このお屋敷の前を通りかかって、「大きな家だな」って思って眺めてたら、フラッシュバックのように記憶が蘇ったんです。なのでこうして」

「・・会いに来てくれたって訳か」
「ええ」

肯定すると、ルカが

「でも、信じられないよ」
「え!?まだ」
「ううん。そうじゃないの。 さっきの笑顔、それにその優しい雰囲気。間違いなく、私が愛したハヤテ君その物だよ」

ナギも頷いていて、2人はハヤテの言葉を全面的に信じていた。

すると

「では、本題に入りましょうかね」
「「本題!?」」

首を傾げる2人に

「何ですか、この食事は。何処からどう見ても、コンビニ弁当じゃないですか。まさか、僕が死んでからの10年、こんな食生活を続けてたんじゃないでしょうね?」
「「・・・」」
「約束、しましたよね?さあ、その約束を言ってください」

黙り込む2人にハヤテは溜息をついた。


                   × ×


時は戻り、10年前。

「ハヤテ、しっかりしろ」
「僕は、もう駄目です。 ナギさん、ルカさん、最期に約束してほしい事があります」

息も絶え絶えに言うと、ハヤテは

「僕が死んでも、食事を始めとした生活は、ちゃんとしてほしいんです。でないと、僕は安心して死んでられませんから」
「わ、分かった。約束する」
「だから、死んじゃ嫌だよ、ハヤテ君」

ナギとルカが約束すると、ハヤテを笑顔を浮かべた後

「・・ご臨終です」

医者の言葉に、ナギもルカも泣き崩れた。


                   × ×


「全く。お2人が約束を破るとは思いませんでしたよ」
「「ご、ごめんなさい」」

謝ると、更に

「それで、ナギさん」
「は、はいっ」
「普段、何をしているんですか?何と言うか、雰囲気ですがね」

ナギは気まずそうに間を空けた後

「基本、家に居るな。大事な用は向こうがだな」
「駄目じゃないですか。そんなにお綺麗に成長されたのに、勿体無いですよ。相手選びに慎重になるのは分かりますが、恋人を作る位はしないと。折角当主になったんですから」
「・・面目ない」

ハヤテはルカの方へ向き

「で、ルカさんは?」
「え、えっと。アイドルは続けてるよ。ファンの人やスタッフさんへの対応だってちゃんと」
「・・信じましょう。ですが、気付いてるんじゃないですか?「何処か暗い」って」
「・・ごめんなさい」

謝ると、ハヤテは溜息をつき

「まあ、兎も角。もう約束を破らないでくださいよ」
「「はい」」
「じゃあ、僕はもう帰ります。今の両親には連絡入れておきましたが、心配させちゃうので」

帰ろうとしたハヤテを呼び止め

「ハヤテ、今のお前は何て名前なんだ?」
「五月女沙羅ですよ」

「えっと。今のハヤテ君は、その」
「ええ。正真正銘、女の子です。体も戸籍も」

2人が納得すると、ハヤテは今度こそ帰って行った。

ハヤテが帰って行って暫くすると、ナギもルカも笑いあい

「全く。ハヤテの奴は生まれ変わってもハヤテだな」
「そうだね。小学生の女の子だけど、ハヤテ君だね」

また笑いあった後

「それにしても、ハヤテ君が生まれ変わってくれてよかったよ。これで」
「・・おい、ルカ。言っておくが、今のハヤテの身の回りの人とかかわるなよ」
「な、何で!?」

ナギは溜息をつき

「子供が誘拐されたりする等「子供が巻き込まれた犯罪」っては結構耳にするだろ。それにだ、小学生の女の子にかかわる犯罪は男だけとは限らんだろ。作者調べでは、「女が子供を誘拐しようとして捕まった」って事件は少なからずあるらしい。つまりだ。お前が今のハヤテに何かしようとしたら、捕まるぞ」

ナギが言い切ると、ルカは身震いしたが、ナギは続けた。

「今のハヤテの両親がどんな人かは知らんが、その両親が「お前なんか知らない」って言ったら、それこそ逮捕は逃れられん。「大人気のスーパーアイドルが小学生の女の子に手を出した」なんてニュースになってみろ。「子供に手を出したアイドル」何てレッテル、永遠にはがせんぞ。私の力をもってしても」

落ち込むルカにナギは

「兎も角だ。ハヤテに再会出来て嬉しい気持ちは十二分に理解出来る。だが、我々とハヤテの関係は「絶対に知られちゃいけない秘密」なんだ」
「で、でも、ちゃんと説明すれば」
「私達は別として、信じる奴なんか居る訳無いだろ。お前が逆の立場だったら、信じるか?」

ルカは少し考え、首を横に振った。

「分かったか?こっそり会うの絶対条件なんだよ」
「・・分かったよ」

ルカは渋々納得した。
すると

「あ、そう言えばさ。今のハヤテ君の名前って」
「たぶん、違うと思うぞ。恐らくだが、沙羅って名前の花があるんだ。こいつは夏椿とも言われ、沙羅双樹って花に似てるからこう言われるんだ。今のハヤテの両親がその花から名付けたんじゃないか?確か花言葉は「はかない美しさ」とか「愛らしさ」だったはずだし」
「ふ〜ん」

納得したルカは一旦間をおき

「ねえナギ。ハヤテ君が生まれ変わった事、あの人には教えてあげようよ。信じると思うし、口外もしないし」
「・・だな」


                   × ×


翌日。

「皆さん、今日もお願いしま〜す」
「あ、はい」

ルカは仕事現場に行くと、何時も通りスタッフの人達に声をかけていた。

「今日も私も頑張ります。一緒に頑張りましょうね」
「は、はい」

挨拶を済ませたルカは楽屋に行った。

「えっと。ルカさん、何か良い事あったのか?」
「目茶目茶元気だったぞ。前までは「表面上は明るいけど、何処か無理してる暗さがある」って雰囲気だったのに」
「ま。ああなってくれた方が仕事はやりやすいけどな」

一方のルカは楽屋に入ると、お弁当を広げていた。


                   × ×


回想入ります

「ルカさん、これどうぞ」
「え!?どうしたの、このお弁当」

仕事に向かおうと家を出るとハヤテがいて、包まれた弁当箱を差し出してきた。

「朝早く起きて作りました。たぶん、お弁当とか作ってないと思ったもんで」
「ば、ばれてたんだ。 うん、ありがと」

ルカが受け取ると

「ああ。お弁当箱は食べ終わった後、洗っておいてくださいよ。汚れがこびりついて、不潔になっちゃいますから」
「はいはい」


                   × ×


弁当の中を見たルカは猛烈な懐かしさに襲われていた。
紛れもなく、ハヤテが作ってくれた弁当だったからで、

「こ、これは」

1口食べた瞬間、涙が何滴も流れた。
それは、もう永遠に味わえないと思った、優しいハヤテの味だったからだ。

「美味しい。美味しすぎるよ、ハヤテ君」

涙を拭い、ただ只管に食べ続けた。


                   × ×


その日の夕方、ルカが帰路に着いているとハヤテと会い

「どうでした?お弁当は」

ハヤテが聞くと、ルカは答える代わりにハヤテを抱きしめた

「ま、不味いですよ。こんなところ誰かに見られたら」
「美味しすぎたよ。もう、幸せとしか言えないよ」

ルカはまた泣いた後

「私ね、ハヤテ君と結婚して、ハヤテ君との子供産んで、お爺ちゃんお婆ちゃんになるまで一緒に居るのが夢だったんだよね。でも」
「それはごめんなさいとしか言えません。でも、別れはいつか来るんです。僕達がこうしていられるのは、奇跡でしかないんです」

ハヤテが言い切ると、ルカは複雑そうな顔をした。

「本当の事を言えば、ルカさんもナギさんも、僕の死を乗り越えてほしかったんです。でも」
「そ、それは謝る以外出来ないや。ごめんね」
「もう、良いですよ。死んでしまった僕にも非が無い訳でもないですし」
「そ、そんな事無いよ。ハヤテ君の死は」

慌てるルカにハヤテは制し

「なので、僕が居なくても大丈夫な所を見せてほしいんです。折角こうして生まれ変わった状態で会えたんですから」
「そう、だね。頑張るよ」

ハヤテはお弁当箱を回収し、現在の家に帰って行った。


                   × ×


ルカが帰ってくると、ナギが正装していた。

「あれ?どうしたの、その格好」
「ん!?なあに、家に引き籠ってばっかいないで、外でも仕事をしようと思ってな。私は三千院家当主様だし」
「そう。頑張ってね」

ルカが励ますと、ナギは

「ちゃんとしないと、ハヤテに叱られる。現に、叱られたじゃないか」
「そうだね。お互いに頑張ろうか」
「ああ。って事で、夕飯は自炊するぞ」

ナギが言うと、ルカは驚き

「だ、大丈夫なの?」
「バカにするな。これでも、お前からハヤテを奪う為に練習してたんだぞ。ハヤテには勝てんが、ちゃんと出来る」
「そっか。じゃ、手伝うよ。私も花嫁修業してたから」

この日、ナギとルカの食卓は、10年ぶりに笑顔と話が尽きない明るい物になった。


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簡単なプロフィール紹介


 五月女 沙羅 (さおとめ さら)

年齢 10歳
誕生日 7月7日

 生まれ変わった現在のハヤテ。名前の由来はナギの推理通りである。
 ハヤテの時は女装が似合う女顔の男だったが、今世は正真正銘の女の子である。勿論、普通に女の子の格好をしている。
 身長・体重は同年代の女の子の平均レベルだか、少しだけ軽い。
 因みに、発育はまだである。

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以上です。

久しぶりなのに、長くなってすみません。

次回は続きです。

では。


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Re: 転生 ( No.1 )
日時: 2019/09/03 21:28
名前: どうふん

おっと、新しいスレッドが、と思ったらmasaさんでしたか。
何にせよ、また楽しみが増えました。

masaさんの作品ではいつも望むと望まざるとにかかわらずハレム展開となるハヤテが、今回は女の子として転生ですか。十年後の世界で何をするのか楽しみです。

それと女性陣。ハヤテに微妙ながら再会を果たしてちょっと前向きになった二人の他に誰が出てくるのか、こちらの方も興味があります。

展開、じっくりと拝見します。

                                    どうふん
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Re: 転生 ( No.2 )
日時: 2019/09/07 15:40
名前: masa

こんにちはmasaです。

レス返しの更新です。


 ●どうふん さん

 感想ありがとうございます♪

 >>おっと、新しいスレッドが、と思ったらmasaさんでしたか。
  何にせよ、また楽しみが増えました。

 ありがとうございます。そう言ってもらえると、とても励みになります。

 >>masaさんの作品ではいつも望むと望まざるとにかかわらずハレム展開となるハヤテが、今回は女の子として転生ですか。十年後の世界で何をするのか楽しみです。

 まあ、それに関しては「今後をお楽しみに」っとしか言えませんね。すみません。

 >>それと女性陣。ハヤテに微妙ながら再開を果たしてちょっと前向きになった二人の他に誰が出てくるのか、こちらの方も興味があります。

 それに関しても、「今後をお楽しみに」っとしか言えません。すみません。

 >>展開、じっくりと拝見します。

 ありがとうございます。ご期待に沿えるか分かりませんが、頑張ります。


 感想ありがとうです〜♪

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Re: 転生 (9月8日更新) ( No.3 )
日時: 2019/09/08 13:00
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
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前回、生まれ変わったハヤテと再会する事が出来たルカとナギ。


「私、水蓮寺ルカには小学生の恋人がいます。 そんな事言ったら、変に思うかもしれないけど、本当なんだからしょうがないよね」

こう思うルカの視線の先には一生懸命料理する人がいた。

「でも、安心して。正確に言うのであれば、婚約者だったハヤテ君が一度亡くなっちゃって、作者さんが言った通り生まれ変わったんだよね。今は小学生の、ね」

「ん!?何か?」
「あ、ううん。何でも無いよ」

料理を完成させ、振り返った際視線に気付き、聞いて来たが適当に返事をしていた。

「(まあでも、今のハヤテ君は女の子なんだよね。前は「女の子みたいな男の子」だったけど、今度は本当に女の子なんだよね)」

多少は複雑な感情にみまわれながらも、ルカはハヤテが作ってくれた料理を食べ始めた。


                   × ×


食後、お茶を飲みながらルカが話を切り出した。

「え!?連絡の手段を、ですか?」
「うん。こうしてまた会えたのも何かの縁だし、デートを含めて色々と出かけたいし。何だったらナギも誘って3人でさ」
「いや、しかし」

ハヤテは少し考え

「今の僕は別の家庭の子供なんですよ?それはちょっと」
「それ位分かってるよ。ナギにもきつく言われてるし。でもね」

ルカは俯くと

「10年間、私はハヤテ君無しで生きて来たんだよ?寂しさのあまりバカな考えが「数える方がバカらしい」って位何度もよぎったんだよ。実行はしなかったけどね」

「・・・」
「それに、ナギもどことなく寂しそうだった。私みたいにバカな考えが浮かんだかは分からないけどさ」

悲しそうに言うルカにハヤテは申し訳なさに襲われた

「だからさ、前ほどは無理でも一緒に居たいんだよ。だからさ」
「・・そう、ですか」

真剣な表情のルカに

「ルカさんって、僕に対する愛情は真っ直ぐすぎですよね。デートとか行ってもベッタリでしたし」
「何当たり前の事言ってんの。ハヤテ君は大好きだよ。何だったらこの10年、会えない間」
「わ、分かりましたから」

長くなりそうだったので打ち切らせ

「一応、両親から携帯は持たせてもらってますが、キッズ携帯なんですよね。つまり、親が登録した番号としかやり取り出来ないんですよ」

ハヤテは持っている携帯をルカに見せつつこう言い

「正直、「ルカさんやナギさんの番号を登録して」何て、言えないですからね」
「う〜ん」

ルカが考え始めると

「話は聞かせてもらったぞ」
「ナギ」
「ナギさん、今日はお仕事じゃ」

何時の間にかナギが居て、話に入って来た

「連絡の手段だよな? それなら私が何とかしてやるよ。私がもう1台の携帯を買ってやるよ。何だったら、裏ルートを通じて口の堅い奴からだな」

ナギが言うと、ハヤテは溜息をつき

「名義貸しは犯罪ですよ。それに裏ルート何て危ない物、もっての外ですよ。 正直、こうして会いに来てる事が両親にばれたら不味いのに、そんな危なすぎる橋は渡れませんって」

ハヤテの正論にルカもナギも落ち込んだ。

するとハヤテは少し考え

「でしたら、電話番号の無い携帯端末を買うってのはどうでしょう?それならば、自宅のWi-Fiからインターネットに接続出来ますから、通話アプリやメールアプリを使えば連絡は一応は可能だと思いますよ」

ハヤテが言うと、2人は

「成程」
「そいつは名案だな」
「全く。ナギさんって頭が良いのに、こう言う所は何処か抜けてますよね」

ハヤテの皮肉込みの言葉にナギは頭を掻き

「いやあ、面目ない」

「ただし、ですよ」

笑顔の2人にハヤテは厳しめの視線を向けつつ言い、

「会えるのは基本的に月・水・木と今日みたいな休日だけです。連絡するのもリスクを伴う以上殆ど出来ない事をご了承ください」
「「了解」」

取り敢えずは納得したが

「まあ、でも。アイドルなんて仕事をやっている以上不定休だけどね」
「私も、休日は安定せんな。仕事相手による事も無くは無いし」
「じゃあ、もう」

2人の言葉に連絡手段の確保を諦めようとしたその時

「でも、大丈夫だよ。マネージャーさんに頼んで、日曜位は休みを可能な限りは確保してもらうから」
「私も何とかするよ。幾らなんでも三千院家に逆らうバカは少なかろう」
「・・分かりました」

取り敢えずは話が纏まると

「って事で、早速買いに行こうか。今日私はお休みだし。 勿論一緒にね」
「え!?ああ、はい」
「ナギも一緒にどう?こうやって帰って来たって事は」

ルカの言葉にナギは不機嫌になり

「一旦戻って来ただけだよ。この後も仕事だ」
「あ、ごめん」
「まあ、良い。ホレ、金は出すから好きなの買って来い」

差し出されたお金を受け取ると、ルカとハヤテは出かけた。


                   × ×


「こうやって一緒に出掛けるのも、10年ぶりなんだよね。嬉しくて叫び出しそうだよ」
「止めてくださいね。 第一、僕の方は不安ですよ。知り合いに見つからないかどうかって」
「知り合い?学校の友達とか?」

ルカの言葉にハヤテは頷き

「まあ、でも。親戚のお姉さんって誤魔化す事は出来るんですけどね」
「ふ〜ん」

因みに、ルカは変装しています。


幸い、知り合いに出くわすなんて事は無く、近くの家電量販店まで来て

「ここが端末だけのコーナーだね」
「ですね」
「さ、好きなの選びなよ。ナギが結構お金持たせてくれたし」

嬉しそうなルカに、ハヤテは

「正直、この体ですから大きいと使い難いんですよね。タッチ操作も大変ですし」

敢えて言いますが、今のハヤテは10歳の女の子です。大人向けは大きいのです。

すると

「何かお探しですか?」

店員さんに声を掛けられ、ハヤテは

「えっと。子供向けの端末だけの機種が欲しいんですけど」
「ああ、はい。でしたら」


2人は買い物を終え、三千院家に戻って来た

「本当にそれでよかったの?なんだか可愛いのだけど」
「ええ、まあ。一応、今の僕は女の子ですから。 それに、これ位の方が隠しておけますし」
「そう」

今の内に慣れておこうと練習するハヤテを見て

「な、何ですか?」
「ん!?見れば分かるでしょ。 待ち受けにするの」
「見つかったらどうするんですか」

呆れと焦りが混じった表情のハヤテに

「大丈夫だよ。その時は「恋人です」って答えるから」
「駄目ですよ。捕まっちゃいますよ」
「まあ、大丈夫だよ。ハヤテ君は私を待ち受けにしないの?一応アイドルちゃんだから、ファンだからって言い訳は通じるよ」

ハヤテは少し考え

「や、止めておきます」
「え〜」

不満しかなかったが、ハヤテへの迷惑を考え、諦める事にした。


                   × ×


数日後。

「(相変わらずハヤテ君のお弁当は美味しいな〜)」

しみじみと思いながらお弁当を食べていると

「良いお弁当ですね」
「ん!?ああ、どうも」

マネージャーが声をかけて来たので、挨拶をしつつ

「ルカさん、何か良い事でもありました?以前に比べて明るくなったというか」
「まあ、ありましたよ。とっても良い事が」

ルカは一旦間を空けた後

「前までは、「生きる意味」を失ってた様な気がするんですよね。こういう仕事しているのにあれですけど。 ですが、最近になってやっと「生きる意味」を見つける事が出来たんです。そしたら、仕事や日常生活が以前より楽しくなっちゃって」

笑顔で言うルカにマネージャーは

「素敵な話じゃないですか。人間、何かを失っても別の何かが見つかる様に出来てるのかもしれないですね」
「きっと、そうだと思います」

笑顔で肯定したルカに

「差し出がましくなければ、聞かせて貰っても良いですか?新しく見つけた「生きる意味」を」
「う〜ん。何と言うか」

ルカは少し考え

「やましい事は無いんですけど、話したくないんです。 何と言うか、宝くじが当たる事以上の奇跡が起きたっていうか。 もし、これを話してしまえば「神様が怒ってそれを無かった事にしてしまう」そんな気がするんです」

ルカは何処か寂しそうに言うと

「なんかすみません。曖昧な答えで」
「いえ、良いんですよ。 ですが、安心してたんですよ」

首傾げるルカに

「私がついて以来、仕事中は兎も角、それ以外では何処か暗くて「心からの笑顔」をしてない気がしてて。ですが、最近のルカさんは「心からの笑顔」が出来てたので、安心してたんですよ」

「そう、ですか。なんか、ありがとうございます」
「いえいえ。マネージャーである以上、担当のタレントさんを気にかけるのは当然ですから」


                   × ×


帰宅後、ルカは自室のベッドで仰向けになって、マネージャーに言われた事を思い出していた。

「(心からの笑顔、か)」

ルカは暫く考え

「(そう言えば、ハヤテ君を喪ってから「心からの笑顔」をした覚えが無いな。何時も何時も「営業スマイル」だったからなあ。まあ、そんな事が出来る余裕なんか、無かったもんね)」

自分で自分に苦笑いをしていると、スマホに着信があり、

「今日もお疲れ様です。お弁当、今日も美味しかったですか?」

っと言うハヤテからのメッセージだった。

「何時も通り、美味しかったよ。ありがと」

っと言う返信をした後

「(ハヤテ君だった時もしてたこういう何気ないやり取りが、とっても温かい。そして、自然に笑顔になれる。今は、この日々を堪能しないと罰が当たるよね)」

こう思い、ナギに呼ばれたので部屋を出た。


-----------------------------------------------------------------------------------
以上です。

次回は未定です。

では。
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Re: 転生 (9月8日更新) ( No.4 )
日時: 2019/09/10 22:19
名前: どうふん

masaさんへ


転生しても性別が入れ替わってもハヤテは変わりませんね。記憶はともかく性格も。
せめて性別が変わらなければ、光源氏みたいな展開もあるでしょうが・・・。
ちょいと怪しからんことを考えると性同一性障害とも言えそうな・・・。

「宝くじが当たる事以上の奇跡」か・・・。いいセリフですねえ。確かにその通りですよ。「何で男の子に転生しなかったの」なんて筋違いなことを考えないルカもナギも立派です。

ところでナギのお仕事は何ですかね。漫画家ではなさそうですが。
一応サラリーマンやっているようにも見えますが、三千院家の当主として決裁する案件が多くていろいろとお忙しいのかな。


                                                                     どうふん

この作者は、誤字脱字の連絡を歓迎しています。連絡は→[チェック]/修正は→[メンテ]
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Re: 転生 (9月8日更新) ( No.5 )
日時: 2019/09/14 14:59
名前: masa

こんにちはmasaです。

レス返しの更新です。


 ●どうふん さん

 感想ありがとうございます♪

 >>転生しても性別が入れ替わってもハヤテは変わりませんね。記憶はともかく性格も。

 ナギ「そりゃそうだろうな。ハヤテだからな」
 ルカ「生まれ変わったり性別変わる位じゃ、変わらないよ、ハヤテ君は」

 >>せめて性別が変わらなければ、光源氏みたいな展開もあるでしょうが・・・。

 ナギ「いやあ、無いと思うぞ。ハヤテに限って」
 ルカ「確かにね。限りなくゼロに近いだね」

 >>ちょいと怪しからんことを考えると性同一性障害とも言えそうな・・・。

 ナギ「う〜ん。前世の記憶が残ってるだけだからな」
 ルカ「作者さんは「詳しい事は後々」だって」

 >>「宝くじが当たる事以上の奇跡」か・・・。いいセリフですねえ。確かにその通りですよ。

 ルカ「でしょ? 普通に考えたら「生まれ変わって前世の記憶が残ってる」なんてフィクションや都市伝説の中でしか出ないからね」

 >>「何で男の子に転生しなかったの」なんて筋違いなことを考えないルカもナギも立派です。

 ナギ「まあ、生まれ変わってくれた以上は性別何て関係ないのさ」
 ルカ「・・・」←少し考えちゃった人。

 >>ところでナギのお仕事は何ですかね。漫画家ではなさそうですが。
  一応サラリーマンやっているようにも見えますが、三千院家の当主として決裁する案件が多くていろいろとお忙しいのかな。

 ナギ「サラリーマンじゃないよ。漫画家でもないし。 財閥の当主様ってのは色々と忙しいんだよ。家に居ない事も多々あるし」


 感想ありがとうです〜♪
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Re: 転生 (9月15日更新) ( No.6 )
日時: 2019/09/15 12:50
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
-----------------------------------------------------------------------------------

前回、ルカは現在のハヤテこと沙羅ちゃんとの連絡手段を確保した。


ルカの現在のマネージャーはとあるテレビ局の廊下を歩いていた。
今日仕事の為来ていたのだが、カメラの調子が悪くなり、急遽休憩に入ったのだが、カメラが直った為スタジオから出ていたルカを呼びに行く為だ。

ルカを探して歩いていると、廊下に設置されたベンチに座ってスマホを見ていた。
集中している為か、自身の接近に気付いておらず、声をかける為に近くに来ると

「(え!?小学生位の女の子!?)」

待ち受けらしき画面には見慣れぬ少女(今のハヤテである沙羅ちゃん)が映し出されていて、困惑しているとルカは漸く気付き

「あ、何か?」
「あ、ああ。撮影再開するので呼びに来たんです」
「分かりました。直ぐ行きます」

ルカはスマホの電源を切ると、ポケットに仕舞ってスタジオに向かった。

「(い、今の人はいったい!?親戚の子かな?)」

気にはなったものの、今は仕事に集中する事にした。


                   × ×


仕事を終え、社員食堂で食事を兼ねた休憩をしていると

「ルカさん、今日はお弁当なんですね」
「え、ええ、まあ」

感傷に浸りながらハヤテが作ってくれたお弁当を食べているとマネージャーに声を掛けられたので返事をしつつ

「有り難い事に、ロケ弁を用意してくれるじゃないですか?でも、アイドルちゃんである以上あんまりがっつく訳にはいかないですよね。ですが、こういう手作り弁当なら平気なので」

相槌を打つマネージャーに

「そんな事言ったら、マネージャーさんだって」
「まあ、貧乏マネージャーですからね。それに、ロケ弁ばかりだと栄養が偏っちゃうってのもありますし、何というか、その」

言い難そうにしているので、ルカは一切急かさずに待っていると

「変に思われるかもしれませんが、私、料理が趣味なんです。特に、お弁当作りが好きで好きで。高校時代から自分のお弁当は自分で作ってたんです。まあ、クオリティが高いせいか、同級生にばれた事は無いですけど。 あ、自慢に聞こえたらごめんなさい」

照れながら言う自身のマネージャーにルカは

「素敵じゃないですか。全然自慢に聞こえませんよ。料理が出来る男性って良いと思いますし」
「は、はあ」

また照れるマネージャーにルカは

「(ハヤテ君だった時は、毎日お弁当を作ってくれてたんだよね。私に合わせて毎日毎日朝早く起きてさ。ハヤテ君は「当たり前の事ですから気にしないでください」って言ってくれたけど、毎回毎回感謝してたんだよ。ばれないように届けてくれてたし)」

昔を思い出し、懐かしんでいた。

「あ、そう言えば。ルカさんのお弁当って、毎日じゃないですよね?」
「え!?ああ、はい。月・水・木がお弁当の日です」
「へ〜」

相槌を打つマネージャーに対し

「(まあ、その日しかハヤテ君に会えないもんね)」

ばれないように寂しそうにこう思っていた。


                   × ×


翌日。

「じゃ、行ってくるね」
「おお、気を付けてな」
「ナギも仕事頑張ってね」

何時も通り、ナギと朝のやり取りをして三千院家を出て、少し歩いた所で

「あれ?ハヤテ君、どうしたの?」

ハヤテが待っている事に気付き、声を掛けつつ近付き

「確か、今日は来れ無い日じゃ」
「偶々都合がついたんです。それに、余っていた食材も使っちゃいたかったので」

何時もの様に弁当箱を差し出しつつ言うハヤテにルカは受け取りつつ

「またまた〜。私には分かってるって」
「はい?」
「私に会いたかっただけでしょ?だからそんな建前まで用意して私と言う恋人さ〜」

嬉々としていうルカに

「違いますよ。本当に偶々都合がついただけですって。 それに、何処にご近所の目があるか分からないんですから、家の外で恋人とかそう言う事言うのは」
「チェ〜、違うのか。 まあでも、ハヤテ君の言う事も尤もだし、家の外では恋人とか言うのは控えるよ」

ルカは不満そうにしつつも納得し

「では、今日も頑張ってください。僕はもう学校に行かないといけないので」
「うん」


                   × ×


仕事現場であるテレビ局につき、楽屋でマネージャーに今日の仕事の説明を受けていた。
すると

「あ、そうだ。ルカさん」
「はい?まだ何か?」

一通り終わり、楽屋を出て行く間際マネージャーが思い出したように立ち止まり

「今日、お弁当を2つ作って来たんです」
「え!?」
「先日、料理が趣味だって話したじゃないですか?そんな事を話したのはルカさんが初めてなんです。それでですね、味の感想をお願いしたいんです。自分と家族以外に食べて貰った事が無いので」

表情等には出してないが、ルカは困ってしまった。なんせ、今日はハヤテが作ってくれた弁当を持っているからだ

「確か、今日は手作りのお弁当が無いじゃないですか?ロケ弁も発注ミスで無いですし。 なので差し出がましくなければお願い出来ます?」

すると、ルカの困っている様な雰囲気を察したのか

「若しかして、迷惑でした? 幾らマネージャーとは言え男の料理なんて」
「そ、そんな事無いですよ。ありがたく、いただきます」
「良かった。 本当に助かります」


時間を飛ばし、昼。

「えっと。いかがですか?」

作ってくれた弁当は彩も栄養バランスも考え抜かれており、

「あ、美味しい」
「良かった。正直、不安だったんです。 自分で作った以上、家族が作った以上よっぽどじゃ無きゃ不味くは感じない以上不安は抜けきらなくて」
「お世辞抜きに美味しいですよ」

こうは言ったものの、ルカは

「(確かにお世辞抜きに美味しいけど、ハヤテ君の方が美味しいな。・・言えないけどさ)」

こんな事を思っていたそうだ。


                   × ×


時間を飛ばし、夕方。

「(ルカさん遅いな。今日は早めに終わるって言ってたのに)」

ハヤテは普段の待ち合わせ場所でルカを待っていたが、中々来ないので

「(仕方ない、帰ろう。遅くなったら大変だし)」

帰ろうと家路についた。

すると、途中の公園で1人の女性がベンチに座ってお弁当を食べていた。
ハヤテをそれを見て溜息をつき

「ルカさん」
「ち、違いますよ。よく間違われますけど、似ているだけで・・・何だ、ハヤテ君か」

名前を呼ばれ、ルカは慌てて弁明をしつつ声のした方を振り向くと、ハヤテが不満げな表情で腰に手を当てて立っていた。

「何でこんな所でお弁当を食べてるんですか。 それに、遅くなるなら言っていただかないと僕だって不味いですから」
「そ、そうだね。ごめんごめん。ついうっかり」
「それで。どうして」

溜息をつきつつ聞き返され

「マネージャーさんがね、料理が趣味らしくて。それで、感想を求められたんだ。だからお昼に食べられなかったんだよね。その後も何かとチャンスが無くて、今に」
「そうですか。 えっと、ルカさんのマネージャーさんって」
「ん!?集さんじゃないよ。もう辞めちゃったし。 って言っても事務所内で出世したから、だけどね」

説明しつつ更に

「折角作ってくれた以上、食べなくちゃ失礼かなって。 こういう仕事をしている以上マネージャーさんとのコミュニケーションは必須事項だし」
「えっと。今のマネージャーさんって」
「男性だよ。うちの事務所に入って直ぐ位に私についてくれたんだ」

「えっと。年齢とかって」
「さあ?確か20代後半位だったと思うよ。大学卒業して直ぐにこの業界入ったらしいし。あ、言っとくけど、プライベートな事は知らないよ。態々聞くほど野暮じゃないし」

察した為、聞かれる前に答えると、ハヤテは

「そんな時は別に無理して食べなくていいですよ。 こんな所を週刊誌の記者の人やファンの人に見つかったら凄く不味い事になっちゃいますし」
「まあ、確かにね。「1人寂しく公園でお弁当を食べるアイドルちゃん」なんて、週刊誌からすれば大金を出してでも欲しいスクープだし」

頬を掻きつつ言うルカに

「それにですね。羞恥心とか」
「い、幾らなんでもそれ位持ってるよ。 でもね、愛するハヤテ君が作ってくれた以上「食べない」って選択肢は、絶対を何万個つけても良い位あり得ないよ。だから、少し位恥ずかしかったり、立場を危ぶめる位なんでも無いよ」

ルカの真っ直ぐな言葉、真っ直ぐな目を見てハヤテは何も言い返さず弁当箱を返してもらい

「もう帰りますね。流石にこれ以上遅くなったら大変なので」

するとルカは帰って行くハヤテを少し見送った後呼び止め

「ゴールデンウイークにデートしようよ」
「ちょ!?そ、そんな大きな声で」

周囲を見渡しつつ慌てて駆け寄った。
幸い、周囲に人は居なかった。

「ルカさん、見つかったらどうするんですか。捕まっちゃいますよ」
「あ、ごめん。 それより、どう?10年ぶりにさ」
「・・無理ですよ。ばれたりしたら色々と問題が」

渋るハヤテにルカは考え

「じゃあ、ナギも誘おうよ。3人で、なら危険性も減ると思うし、いざとなったら「ナギ関係の子」って誤魔化せるし」
「・・・まあ、それなら」

ハヤテも納得し、

「行き先は任せてよ。私から誘った以上私が考えるのは当然だし。 それに、今のハヤテ君は女の子だしね」
「・・分かりました。お任せします」


ルカは帰宅後、ナギにも話をし、誤魔化しも含めて了承が取れた。
そして、ナギも自分も都合がつく日を伝え、行き先も伝えた。


                   × ×


一方。

「やれやれ。ルカさんの口にあって良かったよ、私の料理」

ルカの現マネージャーは洗い物をしつつこう思った。
すると

「それにしても、あの子はいったい」

ルカが待ち受けにしていたハヤテの事が気になり、考えていた。

「ルカさんは間違いなく独身。バツがあるとかも聞いてない。恋人の存在だってないはず。って事は、やっぱり親戚の子なのか? いや、しかし」

考えが纏まらず、

「仕方ない。明日、集副社長に聞いてみよう。それで解決するだろうし」


-----------------------------------------------------------------------------------
以上です。

次回は続きです。

では。
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Re: 転生 (9月15日更新) ( No.7 )
日時: 2019/09/15 21:09
名前: ささ

お久しぶりです、ささです。
転生とはいえ、ハヤテ(あっ、今は沙羅か)が元気でよかった。
このまま行くとルカがどこぞやかの変態(瀬川の…)になりそうで心配です。
その変態に言ったらトニ〇ワの主人公のような速さで沙羅を誘拐しそう。
1回程度なら沙羅の家に行くのは可能かなと思ったけど、ルカの場合それじゃ済まなくなりそう…
(一応小学生ってことだから)

以上です。
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Re: 転生 (9月15日更新) ( No.8 )
日時: 2019/09/18 21:59
名前: どうふん


masaさんへ

ハヤテも気になっているようですね。ルカのマネージャー。
料理が好きでも、よほど思い入れが強くないと他人のために弁当なんて作りませんし。
今からルカやハヤテにどう絡んでくるのか楽しみです。

もっとも集マネージャーなら嬉々として作りそうですが、まさか副社長。この十年間で一体どんな成果を。やはりルカ・・・?恋人を失ったあんな状態で・・・。凄いとした言いようがない。ハヤテが落ちるのも無理ないか。


                                                                        どうふん






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Re: 転生 (9月15日更新) ( No.9 )
日時: 2019/09/21 13:44
名前: masa

こんにちはmasaです。

レス返しの更新です。


 ●ささ さん

 >>お久しぶりです、ささです。

 お久しぶりです。感想ありがとうございます♪

 >>転生とはいえ、ハヤテ(あっ、今は沙羅か)が元気でよかった。

 ルカ「うん、本当に良かった」
 ナギ「ああ」

 >>このまま行くとルカがどこぞやかの変態(瀬川の…)になりそうで心配です。

 ルカ「い、幾等なんでも大丈夫だよ」
 ナギ「まあ、立場と言うのも、法律的というのもあるしな」

 >>その変態に言ったらトニ〇ワの主人公のような速さで沙羅を誘拐しそう。

 ナギ「まあ、間違いなく、するだろうな。で、今度こそ捕まって温情無し、っと」

 >>1回程度なら沙羅の家に行くのは可能かなと思ったけど、ルカの場合それじゃ済まなくなりそう…
  (一応小学生ってことだから)

 ルカ「そ、そんな事・・・ないよ」
 ナギ「・・ま、平気だろうな」

 現時点で詳しくは言えませんが、遊びに行くのは無理です。

 >>以上です。

 感想ありがとうです〜♪










 ●どうふん さん

 感想ありがとうございます♪

 >>ハヤテも気になっているようですね。ルカのマネージャー。

 ハヤテ「そりゃあ、まあ。一応、結婚直前まで行った間柄ですからね」
 ルカ「一応って。 まあ、嬉しいけどね」

 >>料理が好きでも、よほど思い入れが強くないと他人のために弁当なんて作りませんし。

 ルカ「たぶん、マネージャーだから。ってだけだと思うよ。私、アイドルちゃんだし」

 >>今からルカやハヤテにどう絡んでくるのか楽しみです。

 まあ、それに関しては話が進むのを待っていただくしかないですね。すみません。

 >>もっとも集マネージャーなら嬉々として作りそうですが、まさか副社長。この十年間で一体どんな成果を。やはりルカ・・・?恋人を失ったあんな状態で・・・。凄いとした言いようがない。

 ルカ「いやあ、関係ないと思うよ。集さん、元々優秀だったし。 まあ、ハヤテ君を喪って落ち込んでた時もいっぱい支えてくれたけどね」

 >>ハヤテが落ちるのも無理ないか。

 ハヤテ「ま、まあ。そうですね」
 ルカ「/////」←照れてます。


 感想ありがとうです〜♪

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Re: 転生 (9月22日更新) ( No.10 )
日時: 2019/09/22 12:15
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
-----------------------------------------------------------------------------------

前回、ルカはハヤテと出かける約束をした。


ルカのマネージャーは事務所に出社して直ぐに前任のマネージャーで現在は副社長である集さんの元を訪れ

「何よ、聞きたい事って」
「変な事を聞いてるかもしれませんが、ルカさんって、結婚とかは」
「何バカな事を言ってるのよ」

聞いた途端呆れた様に言われ

「あの子は現在進行形で独身よ。恋人だっていた事は無いわよ」
「じゃ、じゃあ親戚付き合いとかは」
「・・前に教えたでしょ?あの子の身に起こった事を」

無言で頷いたので、集さんは続けた。

「その一件以来、ルカの親戚付き合いは無くなったはずよ。まあ尤も、私があの子から離れて割と経つから、その間に復活した可能性は否定出来ないけどね」
「そうですか。ありがとうございます」

礼を伝え、自分のデスクに戻った後

「(じゃあ、あの子はいったい。 あ、そう言えばルカさんには同居人がいたはず。若しかして、その同居人の子供かな?なら納得だな)」

取り敢えずは結論付け、仕事に集中する事にした。


                   × ×


一方のルカ。

「わ〜っ、凄いですね。この姿だと、迫力が違いますね」

ルカは沙羅(ハヤテ)・ナギと共に水族館に来ていた。

「流石にテンション上がってるね」
「まあ、貴重な体験ですからね」
「そう言えば。前世の時はどうだったの?なんだか初めてみたいな雰囲気だけど」

ルカは何気なく聞いたのだが、ハヤテは気まずそうに

「前世の時は、これ位の年齢の時はもう既に働いてましたからね。こんな風に遊ぶ余裕なんか、無いですよ」
「あ、そうか。ごめん」

重い空気になってしまったので、ナギが

「私がいるとは言え、2人がこうやって出かけるのは、久しぶりなんじゃないか?」
「まあね。私が忙しいせいで中々デート出来なかったし。 最後にデートしたのは、プロポーズされる少し前だったかな」
「ええ。それ位ですね」

楽しそうな2人にナギは「自分はお邪魔虫でしかないな」っと思ったが、気を使って2人きりにしてしまうと色々と不味いので、それは止めるしかないとも思っていた。

その後も水族館を堪能し、ナギは出来る限り口を挿まず楽しむ2人を見守る立場を徹底した。
ハヤテは「生まれ変わって子供の姿の自分」っと言う状況に楽しんでいた。

一方のルカは

「(本当に、こんな風に「心から楽しい」って思ったのは何時ぶりだろうな。正直、「この日々は夢だった」って思っちゃう程、本当に楽しい。出来る事なら、こんな日々がずっと続いてほしいな)」

こんな事を思っていた。

すると、鯱の水槽の近くを通りかかった時、水槽内の鯱に水を掛けられた。

「ああ、注意書きがあったな。「水を掛けられる事もあるのでご了承を」って。まあ、構わんがな」

ナギが注意書きを読みつつ笑顔で言うと

「あの、ルカさん。水飛沫で誤魔化してますが、泣いてません?」
「たははっ、ばれたか。楽しさと懐かしさでついね」

頬を掻きつつ言うルカに、ハヤテとナギは溜息をつきつつも笑顔だった。


                   × ×


一行は館内のカフェスペースで休憩をとる事にした。

「アイス買って来るけど、何が良い?」
「じゃあ僕は、ブドウで」
「私はバニラかな」

ルカは2人の注文を聞き、買いに行った。
離れたのを見計らって

「ナギさん、最近どうですか?お仕事は」
「まあ、順調だな。 っとはいえ、中々思い通りにはいかんよ」

心配そうなハヤテに

「別に心配させるような事は無いぞ。 ただな、私の理想は「三千院家をより繁栄させ、より素晴らしい財閥にする」なんだよ。 そんな理想を抱えているくせに、中々その通りにならんだけさ」

ナギが言うと、ハヤテは心配そうな目つきを止め

「大丈夫ですよ。ナギさんならその理想を現実に出来ますよ。 それに、その手の理想はどうしたって時間が掛かってしまいますから、気長に自分が出来る事を積み重ねて行くだけですよ」

ハヤテがこう言うと、

「そうだよ。ナギなら絶対に出来るよ。 その為の気晴らしなら、私や沙羅ちゃんで良ければ、出来る限りは付き合うし」
「・・ありがとうな、2人とも」

ルカが買って来てくれたソフトクリームを食べつつ

「こうやってると、五月女沙羅って女の子は、本当にハヤテの生まれ変わりなんだって、思い知らされるよ」
「そうだね」

すると、少しの間会話が途切れた後

「後、8年なんだよね」
「ん!?何が8年なのだ?」

ポツリと言ったルカにナギが聞き返すと

「ん!? ハヤテ君と、つまり沙羅ちゃんと結婚出来るようになるまであと8年なんだなって」
「お前、沙羅が18になったら結婚するつもりか?」
「当たり前じゃん」

「何でそんな事を聞くの?」みたいな雰囲気のルカに

「あのですね、ルカさん。今の日本の法律じゃ同性婚は認められてませんよ。 8年後がどうかは知りませんが、それは流石に」
「じゃあ、海外に移住するもん。同性婚が認められてる国に。それか政治家になって法律を変えてでもハヤテ君と結婚するもん」

大真面目に言うルカにナギもハヤテもため息をつき

「やれやれ、ですね」
「お前、ハヤテの事、好きすぎるぞ」

呆れ気味の2人に対し、ルカは首を傾げるだけだった。

「僕、トイレ行ってきますね」
「おお。じゃあここでルカと待ってるぞ」

ハヤテが行った後、ルカが

「ナギはさ、どこか行きたいっての、あるの?」
「何だ、藪から棒に」
「ナギだって、ハヤテ君と出かけたいでしょ?私ばっかハヤテ君を独占しちゃ悪いし」

そう言われ、ナギは溜息をつき

「余計な気を使って。 まあ、出かけたい気持ちはあるがな。・・デートじゃ無いけどな」


それから暫くして。

「遅いね、ハヤテ君」
「ああ。私、見て来るよ」

ハヤテが中々戻って来ないので、ナギが様子を見に行った。
・・が、直ぐに戻って来て

「お、おい。ハヤテいなかったぞ」
「え!?」

慌てるナギにルカはもっと慌て

「あ、そうだ。携帯に」
「忘れたのか?ハヤテの携帯はWi-Fiが無いと使えないんだぞ」
「あ、そうだった」

その途端、ルカに強烈に嫌な予感が過り

「ど、何処に行ったんだ?ハヤテに限って迷子って事は」

ナギが考え出した瞬間、ルカは慌てて立ち上がり

「お、おい。待て、ルカ!!!」

ルカは館内に戻ると

「ハヤテ君!!」

ハヤテを大声で呼びながら探し

「あ、あの。小学生くらいの女の子見ませんでしたか?私の婚約者なんです!!」
「ええ!?」

2人組の女性に聞くと、その2人組は驚き、

「え、えっと。見てませんけど」
「そ、そうですか。ありがとうございます」

慌てていたため、ナギの忠告を忘れてハヤテとの関係を口走ってしまったが、今のルカにその余裕は無かった。

その後もルカは大慌てでハヤテを探し続け、

「(そ、そんな。嘘だよね!? 折角再会出来たのに、またハヤテ君を失うの!?そんなの嫌だよ!!)」

あまりにも必至な形相な為、周囲の人は「何があったんだ?」っと言った表情だった。

「ハヤテく〜〜〜ん」

「え、えっと。ルカさん?」

ルカが叫んだその直ぐ後に声が聞こえ、振り返るとハヤテがいた。
ルカはハヤテを見つけた瞬間、抱き着こうとしたが

「ま、待て!!落ち着け!!」

ナギに止められ、ハヤテにも

「と、取り敢えず、ここは人目につきますから」

ナギは謝りつつルカを引き摺って行った。


3人は人気の無い館内のテラスに来て

「兎も角、落ち着いてハヤテの話を聞け。な?」

ルカを宥めつつハヤテに促した

「えっとですね。 食堂のトイレが混んでたんですよ。それで仕方なく外のトイレに行ったら其処も混んでて。それに、その・・・まだ慣れなくてですね」
「まあ、今のハヤテは女の子だもんな。前世の記憶が残ってる以上、家以外でのトイレは変な感じするだろうな。男の方に入る訳にもいかんし」
「え、ええ」

ナギの言葉を肯定すると、ルカは漸く息を整え

「兎も角、良かった。本当に」
「・・すみません、心配かけて」
「謝らないでよ。確認もせずに慌てた私がいけないんだから」

話は落ち着き時間も時間なので、帰る事にした。


                   × ×


「ん〜っ。久しぶりに楽しかった〜」
「私も良い息抜きになったよ。お前達の邪魔をしていた気がしないでもないがな」

ルカとナギは楽しそうに話し

「次もどっか出掛けようか。海とか温泉とか」
「海は兎も角、温泉はな〜。難しいと思うぞ」

ルカとナギは楽しそうだったが、ハヤテは複雑そうだった。


                   × ×


翌日。

「マネージャーさん」

ルカは事務所で自分のマネージャを見つけ、話し掛けた。

「昨日水族館に行って来たんですけど、これ、お土産のお饅頭です」
「え!?良いんですか?」
「勿論。 えっと、甘い物って」

少し不安そうなルカに

「大好物ですよ。特にお饅頭はね」
「良かった。じゃあ、これ」

マネージャーは受け取ると

「ああ、そう言えば。ルカさんって、同居人がいますよね?」
「え!?ああ、はい」
「その方って、既婚の方ですか?」

聞かれたルカは首を傾げつつ

「いえ、独身ですよ。婚活はしているみたいですけど」
「え!?」

驚くマネージャーにルカは

「あ、その同居人は私の3つ下の女性ですよ。なので変な事は無いですから」
「は、はあ」

ルカの言葉を聞きつつ

「(じゃ、じゃあルカさんが携帯の待ち受けにしてたであろうあの子っていったい)」

マネージャーは気になって仕方なかった。


-----------------------------------------------------------------------------------
以上です。

次回は続きです。

では。
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Re: 転生 (9月22日更新) ( No.11 )
日時: 2019/09/29 07:13
名前: どうふん

masaさんへ

え、「恋人だっていたことないわよ」って、いたでしょ。まさか集さんも知らなかったとは。
それとも手元で慈しんだアイドルの悲劇を他人に話せなかったのか。
何にせよ新マネージャーは混乱しますよね。

だけどいずればれそうな雰囲気ですね。ルカは明らかに少女化したハヤテを恋人扱いしていますから。
もしハヤテが男の子に転生していたとしたら・・・。やっぱり光源氏のストーリーになりそうな。
ただし、この場合光源氏がルカで、幼児を大人になるまで手元で育てて恋人にする、という方の。


                                                          どうふん
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Re: 転生 (9月29日更新) ( No.12 )
日時: 2019/09/29 13:00
名前: masa

こんにちはmasaです。

レス返しの更新です。


 ●どうふん さん

 沙羅「感想ありがとうございます♪」

 >>え、「恋人だっていたことないわよ」って、いたでしょ。まさか集さんも知らなかったとは。
  それとも手元で慈しんだアイドルの悲劇を他人に話せなかったのか。

 ルカ「ばれたら別れさせられると思ったから、婚姻届けを出すまでは内緒にしてたんだよね。ハヤテ君を喪った後、悲しみに暮れてる時も「本当に理由」は教えてなかったし」

 >>何にせよ新マネージャーは混乱しますよね。

 マネージャー「で、ですよね。特に相手は小学生くらいの女の子ですし」

 >>だけどいずればれそうな雰囲気ですね。ルカは明らかに少女化したハヤテを恋人扱いしていますから。

 ナギ「だよな。一応何度も「気を付けろ」って言ってるけどな」
 ルカ「・・・」

 >>もしハヤテが男の子に転生していたとしたら・・・。やっぱり光源氏のストーリーになりそうな。
  ただし、この場合光源氏がルカで、幼児を大人になるまで手元で育てて恋人にする、という方の。

 ナギ「成程、確かにな。あのルカを見れば、そう考えるのは当然だよな」
 ルカ「・・ひ、否定出来ない」


 感想ありがとうです〜♪

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Re: 転生 (9月29日更新) ( No.13 )
日時: 2019/09/29 13:05
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
-----------------------------------------------------------------------------------

前回、ルカはナギ込みでハヤテと出かけた。 一方のルカのマネージャーは今のハヤテとルカの関係を気にし始めた。


マネージャーは自宅で自炊しつつ考え込んでいた。

「(ルカさんは独身だし、親戚付き合いも無い筈。 おまけに同居している人は独身だって言ってたから、その人の子供でも無い)」

考えが纏まらず、料理も完成したので食卓に並べ、テレビをつけた。
丁度ニュースがやっていて、何気なく見ていると

「本日17時頃、東京都内にある公園で遊んでいた小学生の女の子を誘拐しようとした罪で近くに住む女が逮捕されました。女は「1人暮らしが寂しくて家に連れて行こうとした。自分の子供にして育てるつもりだった」っと供述しているとの事です」

マネージャーはこのニュースが無性に気になった。

「近所の方々によると「その人は良くその女の子に話し掛けていた」「仲良さそうにしているから親戚の人かと思った」と話しており、職場の方々は「絵に書いた様な真面目な人だった」「そんな事をするなんて・・」っと話しているとの事です」

ここまで流れると別のニュースになったので

「やれやれ。世も末だよな。 男だけじゃなく、女性まで子供を誘拐しようとするとは。世の中腐ってるよな」

こんな風に独り言を言った瞬間、何故このニュースが気になったのか直ぐに合点が行った。

「まさか!?ルカさんに限ってそんな事・・」

否定しようとするのだが、自分の中の悪魔が嫌な事を囁き続けた。

「待ち受けにしている以上何かがあるはず。まさかルカさんにそんな趣味が!?  い、嫌有り得ない。あんな天使のようなアイドルのルカさんに限っては絶対にない!!」


                   × ×


数日後。

「ルカさん、本日の仕事ですが」

仕事内容を確認し、車を発進させた。
少し走らせた後、バックミラー越しにある事に気付き

「おや?ルカさん、何をなさってるんです?」
「ああ、日焼け止めを塗ってるんです。日焼けしたアイドルちゃんなんて、ファンの人達は嫌がるかなって」
「良い心がけですね」

感心しつつ

「しかし、日焼けを気になさるわりにはその日焼け止めは」
「ああ。これで十分ですよ。良い効力を持ってますし、持ち運びには小さい方が良いので」
「へえ。私は日焼けを気にした事が無いので、知りませんでした」

返しつつもつい

「(小さい方が!? な、何を考えてるんだ、私は)」

その後も仕事に集中しつつモヤモヤしていた。

今日仕事共にするジュニアアイドルのリハーサルをルカと共に見学していると

「最近の子達は凄いですよね。同じ頃の私を遙かに凌ぐ位」
「ルカさんだって凄いじゃないですか」
「ありがとうございます。 でも、若いって凄いですよね。あんなに生き生きと」
「ルカさんだってまだ十分若いですよ」

フォローされたルカは笑顔を返しつつ

「でも、ある程度年を重ねて来ると、つい思っちゃうんですよね。「若いっていいな〜」って」
「何言ってるんですか。何回も言いますが、ルカさんは十分過ぎる位若いですって」

フォローしつつもやっぱり?

「(若いって良い!? バ、バカな事を考えるな。有り得ないと言ってるだろ)」

その日1日気になってしまい、何時もに比べて少しだけ集中力を欠いてしまった。


                   × ×


帰宅後、ベッドに寝転んでまた考え込んでいた。

「私はマネージャー失格だよな。あのニュースを見て以来、気になって仕方ない。何でも無い言葉が意味深に捉えてしまう」

悩みつつテレビを見ると、またその手のニュースがやっており、今度は「誘拐した子供を自宅に監禁し、洗脳までしようとした」っと言う内容で、今度ばかりは専門家を交えて本格的に取り上げていた。

「もしルカさんがこの女の様に・・」

幾ら振り払っても余計な考えが浮かんでしまい、幼馴染に電話して次の休日に会う事にした。


                   × ×


約束した日。

「珍しいな。こっちが誘っても「忙しい」とか言って断るのに」
「仕方ないだろ。アイドルのマネージャーなんて、休みは簡単には取れないよ。おまけに私の担当は超売れっ子だし」
「羨ましいよな〜。俺、大ファンなのに」

不満を言うものの、気にして無い様で

「で?相談って何だよ」
「う〜ん。言っても信じて貰えるか。嘘は言わないけどさ」
「良いから言えよ。ちゃんと聞くよ」

マネージャーは少し悩み

「私担当のアイドルがな、変わった趣向を持ったんじゃないかって」
「・・詳しく言えよ。じゃないと信じれるものも信じられねえよ」

少し悩んでから、ここ数日のモヤモヤを正直に話した。

「・・成程な」
「・・信じてくれるのか?」

相手は敢えて答えず

「でも、なんで俺に相談したんだよ。・・まさか」
「バカを言うな。ただのマネージャーに過ぎないのに恋愛感情を持って良い訳ないだろ」
「だろうな。確かに、自分のマネージャーと結婚したタレントもいるみたいだが、相手が相手だもんな」

納得する相手に

「事務所に相談しなかったのは確たる証拠も無いのに、報告する訳にはいかんだろ。ただの思い過ごしだったら、色んな人に迷惑がかかる」
「そっか」
「・・私はな。あの人にはクリーンなイメージのままでいてほしいと思ってる。自分勝手かもしれないけど、マネージャーである以上スキャンダルは事前に防がないと」

心配そうに言われ、相談された相手は

「お前の気持ちは分かるよ。つい先日もそんなニュースが報道されてたもんな。しかも、結構大々的に特集も組まれてたし。一般人でもあんな風に取り上げるんだ、アイドルがそんな事すれば連日連日マスコミが追い掛け回すよな」

「・・だからだよ」

相手は少し考え

「もう直接聞くしかねえんじゃねえの?もしそうなら、事前に潰せるだろ。マスコミに嗅ぎ付けられる前に」
「そうなんだけどね〜」

マネージャーは何気なく表を見た。すると

「あ!!」
「な、何だよ。驚かすなよ」
「あ、あそこ。向かいの通りの看板の下。眼鏡かけた目立たない格好の」

マネージャーに言われたところを見ると、

「よ、良く分かったな。変装が見事すぎて水蓮寺ルカだって分かんなかったぞ」
「まあ、マネージャーになってから何年か経つからな。ってそれより」

慌てるマネージャーに対し、相手は冷静で

「これはチャンスだぜ。このまま見張って、例の女の子が現れたら「どういった関係の子ですか?」って聞いちまえばいいんだ。そうすれば万事解決だ」
「し、しかし」
「責任は俺がとるよ」

こんな風に話していると、ルカが手を振って誰かを招いる様に見え、その直ぐ後に話題の女の子(沙羅)が現れた。
すると、マネージャーの友人は探偵の様に顎に手をやり

「こりゃ、事件の匂いがするな」
「え!?」

「考えてもみろよ。 さっき、ルカさんが手を振って呼んでいたって事は、あの場所で待ち合わせをしていたって事だ。だが、身内なら家から一緒に来るはずだ。それに、親戚なら向こうの家族が一緒に来るのが普通だ。だが、どう見てもあの子は1人。家族や親族でもない女の子とあんな風に待ち合わせするって事は、「クロ」って可能性が高いって訳だ」

友人の的確な推理にマネージャーは完全に言葉を失っていた。

「こりゃ、事務所に報告するか、最悪通報だな。お前には悪いが・・」
「確認する!!行動はその後だ!!」
「お、おい!!」


                   × ×


こんな事が起こっている事など知らないルカと沙羅は

「すみません、遅れちゃって」
「気にしないで。女の子って言うのは、出かけるのに時間が掛かる物だしね」

実際は違うのだが、弁明が難しいのでそう言う事にしておき

「しかし、おめでたいですね。ナギさんが大きな仕事を成功させて」
「うん。友人として誇らしいよ」
「それで、ルカさんはお祝い何を買うか決めてるんですか?」

聞かれたルカは少しだけ考え

「それはハヤテ君と決めようかなって。って事で実は全然」
「もう。ルカさんが言い出した事ですよ」

「水蓮寺さん!!」

話していると突然声がして

「マ、マネージャーさん」


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以上です。

次回は続きです。

では。
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Re: 転生 (10月6日更新) ( No.14 )
日時: 2019/10/06 12:05
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
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前回、ルカのマネージャーは友人に相談中、ルカがハヤテと会っている所を目撃してしまった。


突然現れたマネージャーに沙羅は顔に出さない様に慌てたが、ルカは多少は驚いている様だが、どこ吹く風で

「水蓮寺さん、そちらのお子さんは、その」

言い辛そうにしていたが、意を決したのか

「水蓮寺さんとそちらのお子さんって、どういった関係なのでしょうか?」

沙羅は気が気でなかった。
もし、ルカが「婚約者です」なんて口走ればルカは破滅だからである。

そんな沙羅の気持ちなど知る由もないルカは

「どう言うって。この子は私のk」

ルカが言いかけた途端、沙羅はルカの脛を蹴飛ばし、強制的に中断させ

「若しかして、ルカお姉さんのお知合いですか?」
「え!?ああ、はい。マネージャーです」
「何時もルカお姉さんがお世話になってます。 b・・私、親戚の五月女沙羅って言います」

自己紹介されたので、マネージャーも自己紹介した。

「ルカお姉さん、お仕事は凄いですけど、少し抜けてる所もあるみたいなので、よろしくお願いしますね」
「い、いえいえ。毎日楽しませてもらってますよ。仕事は大変ですけど、ルカさんのお陰で楽しくて」
「子供相手に敬語使うなよ。 まあ、仕事上必要かもしれないけどな」

友人も自己紹介し、

「こんにちは、沙羅ちゃん。今日、沙羅ちゃんのパパやママは一緒じゃないの?」
「・・はい。本当は一緒に来るはずだったんですが、急な仕事で来れなくなっちゃって。でも、私がどうしても見たかった映画があるので、ルカお姉さんにお願いしたんです」
「そうだったんですか」

マネージャーは納得した様子だったが、友人は黙った

「ルカお姉さん」
「ん!?」
「そろそろ行かないといけないよね。映画が始まる前にルカお姉さんのお友達のお祝いを買わないといけないんでしょ?」
「ああ、うん」

ルカが返事すると、沙羅はマネージャーに

「これからも、ルカお姉さんをお願いしますね」
「勿論。 っと言うより、私の方が世話になるかも」

軽く会釈し、ルカ・沙羅と別れた

「やっぱり、親戚の子だったんだな。副社長が知らないうちに、親戚付き合いが復活してたんだよ」
「・・どうかな」

マネージャーは納得していたが、友人は疑うような視線をルカ・沙羅の後ろ姿に送っていた。

「俺にはどこか違和感を感じた。何となく「誤魔化しでああ言った」って感じが拭えない」
「そ、それは考え過ぎじゃ」
「・・後をつけるぞ。お前が大切に思っているアイドルのスキャンダルを未然に防ぐ為にな」

止める間もなく、友人は尾行を始めてしまった。


                   × ×


ルカと沙羅は近くの百貨店に来ていた。

「お祝いだけどさ、腕時計なんかどうかな?」
「最近はつけてない人も多いみたいだし、実用性は薄いかもよ、ルカお姉さん」

ルカは沙羅の口調に違和感を感じていた。

「化粧品なんかいいんじゃないかな?ルカお姉さんのお友達って、人と会う機会が多いんでしょ?」
「ねえ、どうしたの? 何時もと様子が違うよ、h」

ハヤテの名を呼ぼうとした瞬間、周囲に気付かれない様に沙羅は「睨み付ける」でルカを黙らせた。

丁度その頃、マネージャーと友人は後をつけていた

「不味いって」
「・・お前の為なんだよ。担当アイドルがスキャンダルで破滅、なんて嫌だろ?」
「そ、それは」

沙羅が口調に気を付けていたのは、尾行に気付いていたからである。


買い物を済ませたルカと沙羅は近くの映画館に来ていた

「えっと。じゃあ・・」
「お姉さん、これが良い」

沙羅が指さした映画は、小学生の女の子向けのアニメ映画だった。

「え!?でも、それって」
「良いの。これが見たい」

チケットを買い、時間になったので上映される劇場に入って行った。

「あれって、基本的には小学生の女の子が見る映画、だな。まあ、大人でも見ている人は居るみたいだが」
「やっぱり親戚の子に頼まれて映画を見に来ただけだって」
「いや、分からんぞ」

未だ疑う友人に

「もう止めようぜ。 自分が担当しているアイドルを信じないなんて、マネージャー失格だよ。本当はこうやって付け回すのだって、褒められた事じゃないし」
「・・分かったよ。お前が信じるなら、俺も信じる。やましい事は無いって」

2人は尾行を止め、折角なので飲みに行く事にした。


                   × ×


映画も終わり、ルカと沙羅は帰路に着いていた。

「結構面白かったね。あのシリーズは子供の時は見てたんだけど、今はああなってるんだね〜」

ルカは鼻歌交じりで楽しそうだったが、沙羅は黙り込んでいた。

「ナギ、喜んでくれるといいね、お祝い」

楽しそうにそう言うと、少し前を歩いていた沙羅が立ち止まった

「?? ハヤテ君?」
「ルカさん。今日、マネージャーの人に僕の事を「婚約者です」って紹介しようとしてましたよね?」
「そうだけど。 それがどうしたの??」

肯定すると、沙羅は振り返り

「どうして分からないんですか。婚約者が生まれ変わって、前世の記憶が残ってました。何て当人達以外は信じる訳無いじゃないですか。よくてロリコン野郎、下手すれば誘拐犯って認定されちゃうんですよ」

沙羅の言葉にルカは

「・・私は別に、ロリコン野郎でも構わないよ」

そう前置きし、

「私とハヤテ君は結婚直前まで行った婚約者同士なんだよ。一緒にいる事は寧ろ必然でしょ。私はハヤテ君との事を隠したり、嘘をつく事は嫌なんだよ。まるで私とハヤテ君の愛を自分自身で否定しているみたいで」

「世間一般からすれば、本人の気持ちはどうでもいいんですよ。周りが納得しなければ、その人はただの醜い犯罪者なんです。こっそり会うのなら兎も角、こうしている事がマスコミに嗅ぎ付けられたら、ルカさんは大変な事になるんですよ。その辺は理解してくださいよ」

説得する様に言う沙羅にルカは少しだけ間をおき

「嫌だよ、そんな事。理解なんかしたくない。 マスコミに嗅ぎ付けられる?上等じゃん」
「な!? ルカさん、どうして。貴方はそんな風に聞き分けの無い人じゃ」

驚く沙羅にルカはまた少し間をおき

「ハヤテ君が私の前から消えたからだよ」

こう言われ、沙羅は黙り込んだ

「10年前、私は凄く幸せだった。初めて大好きになった人と恋人になって、その人にプロポーズしてもらった。結婚して、子供を産んで、一緒に子育てして。そして人生の最期になるまでずっとずっと一緒。それが当たり前に来ると、信じて疑わなかった。疑う事すらしなかった。でも、それは呆気なく潰えた」

ここまで言うと、一旦間をおき

「その時思い知ったの。失う事の圧倒的な怖さを。知ってたはずだったのに、ハヤテ君が居なくなった事で、私の心に深く、その怖さを刻み付けた。だからね、嘘や誤魔化しだなんて無駄で、意味の無い事なんて嫌だよ。今度こそ、本当に失いたくないんだ」

ルカの真剣な表情に沙羅は何も言い返せないでいた。

「正直、こうやって形はどうあれまたハヤテ君が私の前に現れてくれた。これは、本当はありえない奇跡なんだよね。買って無い宝くじが当たる位。 これってさ、神様がくれたこれ以上ない程の幸運なんだよね。だからこそ、嘘や誤魔化しは、嫌なんだ」

悲しさと真剣さを混ぜたような表情のルカに沙羅はまた振り向き

「もう、良いですよ。ルカさんは、10年前と本当の意味で変わって無いんですね」
「そりゃそうだよ」
「ですが、ルカさん。やっぱり世間の目は気にしてくださいね」
「・・善処します」


                   × ×


「ナギ、おめでと」
「え!?何がなのだ?」

帰って来てそうそう、いきなり言われたので面食らっていると

「聞きましたよ。大きな仕事を成功させたって」
「ああ、その事か。ありがとな」
「だから、これお祝い。受け取って」

ナギは受け取ると照れつつ笑顔になった。

「因みに、選んだのはハヤテ君で〜す」
「おお、そうか。ハヤテが私の為に」

なんだか先程以上に嬉しそうなナギに

「ムッ。言っとくけど、ハヤテ君は私のだよ」
「分かってるよ。喜ぶ位いいじゃないか」

ルカは不満げに口を尖らせたが、これ以上は何も言わなかった。

「それにしても、今日は大変でしたよ」
「何かあったのか?」
「ルカさんのマネージャーさんに見つかってしまって。その場で誤魔化したり、後を付けられてたのでその誤魔化しを続けたり」

ナギが適当な相槌を打つと

「ハヤテ君も冷たいよね〜。別に誤魔化す必要無かったのに。正直に「婚約者です」って言っちゃえばよかったのにさ」

当たり前に言うルカに

「お前なあ。 前に言っただろ「私達と今のハヤテとの関係は絶対に知られちゃいけない」って。ただでさえそんな事件が起こって世間の目は厳しくなってるんだ。そんな事言ってみろ。お前、捕まるぞ」

「デ、デスヨネ〜」
「ナギさんがちゃんと常識あって良かったですよ。ルカさん、ちゃんと守ってくださいよ」

沙羅にも言われ、ルカは落ち込みつつ了承した。


-----------------------------------------------------------------------------------
以上です。

次回は未定です。

では。
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Re: 転生 (10月6日更新) ( No.15 )
日時: 2019/10/09 22:28
名前: どうふん


masaさんへ


何と言いますか・・・ルカが危なっかしいですね。
理屈じゃわかっているみたいですが。

こうなるとナギがいい味出してますね。ブレーキ役というか、ある意味、ルカの女房役みたいな。

それにしても予想以上にマネージャーさんの出番が多いですね。
一生懸命でいい人みたいですから、何らかのハッピーエンドであれば、とは思うのですが、
一つ間違うとこれまたヤバい方向に暴走しそうな・・・。
注視しておきます。

   
                                  どうふん
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Re: 転生 (10月6日更新) ( No.16 )
日時: 2019/10/12 12:40
名前: masa

こんにちはmasaです。

レス返しの更新です。


 ●どうふん さん

 ルカ「感想ありがと〜♪」


 >>何と言いますか・・・ルカが危なっかしいですね。
  理屈じゃわかっているみたいですが。

 沙羅「ホントですよね。ばれたら色々と大変だというのに」
 ナギ「まあ、ルカらしいって言ったら、それまでなんだがな」

 ルカ「・・・」


 >>こうなるとナギがいい味出してますね。ブレーキ役というか、ある意味、ルカの女房役みたいな。

 ナギ「まあ、そうならないと言われた通り危なっかしいからな。あいつ、ハヤテの事になると倫理観とか欠落しちゃうし」
 ルカ「・・・悪かったね、欠落して」


 >>それにしても予想以上にマネージャーさんの出番が多いですね。

 まあ、割と重要ポジションですからね。必然的に多くなるんですよ。


 >>一生懸命でいい人みたいですから、何らかのハッピーエンドであれば、とは思うのですが、
  一つ間違うとこれまたヤバい方向に暴走しそうな・・・。
  注視しておきます。

 それに関しては、詳しい事は言えないですね。すみません。


 感想ありがとうです〜♪

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Re: 転生 (10月13日更新) ( No.17 )
日時: 2019/10/13 13:15
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
-----------------------------------------------------------------------------------

前回、ルカは沙羅と出かけた際、マネージャーとその友達に遭遇してしまったが、何とか誤魔化せた。


それから数日後。

ここは現在のハヤテ・沙羅が通っている小学校。

「ちょっとヒマリ!!聞いたわよ!!」

朝の授業前、沙羅が準備をしていると、こんな怒鳴り声が聞こえて来た。
教室の後ろを振り返ると、何やらもめていた。

「どうしたの?美幸ちゃん」
「どうした?あんた、私の部屋が汚いって真由美に言ったでしょ!!何私の知らない所で悪口言ってるのよ!!」
「わ、悪口だなんて。わ、私はただ、美幸ちゃんの部屋がどうだったかって聞かれたから、答えただけだよ」
「だからってなんで汚いだなんていうのよ!!信じられないわよ!!」

沙羅は放っておけず、席から立ち上がった。

「あんたのせいでタケル君にまでね」

「まあまあ。落ち着いてください」

沙羅は2人の間に立って宥めつつ言い、

「な、何よ!?五月女さんには関係ないでしょ」
「そう言う訳にはいきませんよ。クラスメイトですからね」

未だ興奮する美幸を更に宥めつつ

「そんなに興奮してたら、話し合いになりませんよ。ここは取り敢えず深呼吸をしてください」
「要らないわよ!!第一、興奮してません!!」

明らかに興奮しているのだが、言ってしまうと火に油を注ぐ結果になるので、沙羅は再び宥めたりせず

「話を聞いてましたけど、ヒマリさんに悪気は無かったみたいですし、お互いに謝ればいいんじゃないですか?」
「な、何よそれ!!あんたはヒマリと仲が良いからそう言うんでしょ!!」

納得が行かないのか、更に興奮し始め

「ヒマリが私の部屋が汚いだ何て言ったせいで、皆に知られちゃったのよ!!男子達にまで伝わっちゃって最悪のなのよ!!そのせいでからかわれちゃったし!!」

「まあ、口を滑らせてしまったヒマリさんにも非がありますね。結果的に美幸さんを傷つけてしまったわけですし。そこはちゃんと謝りましょ」
「う、うん。ごめんなさい」

ヒマリはちゃんと頭を下げたので

「ちゃんと謝ったんですから、ここは許してあげてくださいよ」
「嫌よ!!許さない!!」

頑固な美幸に沙羅は

「じゃあ言いますけど、美幸さんにも非はありますよ、少しは」
「な、何でよ!!」

「普段から掃除とかに気を付けてないから、今回みたいな事になったかもしれないんですよ? 良いですか?男性と言うのは「料理や掃除と言った家庭的な事」が得意な人を好きになりやすいんですよ。顔や性格が良くても料理が下手だったり、掃除が出来なくて部屋が汚かったりすると「この人嫌い」なんて思うんです。今からそんなんじゃ、素敵なお嫁さんになれないかもしれませんよ?」

沙羅の的確の言葉に美幸は黙り込んだが

「べ、別にまだ早いんじゃ」
「今からちゃんとしないと、大人になってからちゃんとしようと思っても遅いんです。好きな人がいて、その人に好かれたいと思うなら、小学生である今から練習しておかないと、素敵なお嫁さんになれません」

沙羅の正論に美幸は黙り込み

「あ〜もう。分かったわよ!!私もごめんなさい!! これで良いんでしょ!!」
「分かって貰えてよかったです」

沙羅の笑顔を見た途端、美幸はなぜか心臓が速くなった。

「い、行くわよ!!」

美幸は取り巻きと言える2人にそう言うと、教室を出て行った。

「ありがと、沙羅ちゃん」
「いえいえ」


一方の美幸は廊下を歩きつつ

「(な、何よ、さっきの。私も五月女さんも女じゃない。なんで変な感じになったのよ。 わ、私にはタケル君がいるじゃない)」

モヤモヤしたが、声を掛けられて無理やり振り払った

「どうしたの?」
「な、何でも無いわよ!!」
「それよりさ、五月女さんみたいなあれこれ口を出す人って、絶対に男子から好かれないわよね」

取り巻きの1人に言われ、美幸は

「そ、そんな事は無いと」
「「え!?何か言った??」」
「な、何でも無いわよ!! そうよね、口煩いって言うんだっけ?そう言うのって絶対男子は嫌よね〜」

肯定したものの、何故か自分の言葉なのに嫌な感じがしたが、無視し

「ああ言う人って、絶対結婚出来ないし、お嫁さんにしたいって思う男はいないわよね〜」

「・・そうか?」

話ながら歩いていると、否定するような言葉が聞こえて来た

「俺は良いと思うけどな〜」

先程名前が出たタケルが腕を組みつつ立っていた。

「ちょっと、タケル君に悪口が聞こえちゃったじゃない」
「み、美幸が大きな声で話すからでしょ」
「ってか、さっきのってどういう意味だろ」

ヒソヒソと話す3人を一切気にせず、肝心のタケルは教室で友人と話す沙羅を見ていた。


                   × ×


一方。

「水蓮寺さん、先日はすみませんでした」
「え!?何がですか?」
「ですから、折角親戚の子とのんびりしている所なのに声をかけてしまって」

申し訳なさ全開のマネージャーにルカは

「気にしてないですよ。謝らないでください」
「そ、そうですか」

胸を撫で下ろすマネージャーに

「ところで。一緒にいた男性はお友達ですか?」
「ええ。幼稚園時代からの幼馴染です。あいつはしっかり者で昔から頭が良いので、悩んだ時とかは相談に乗って貰うんです」
「へ〜」

ルカは相槌を打つと

「なんか、羨ましいです。私には「幼馴染」っと言える人がいないんで」
「そうだったんですか」
「まあでも、今じゃちゃんと友人は居るので平気ですけど」

笑顔のルカにマネージャーは安心した。


仕事を終え、ナギと夕食後のお茶をしている時

「そう言えばさ。今のハヤテ君って、小学生なんだよね?」
「そりゃそうだろ。中身は兎も角、10歳なんだし」
「大丈夫なのかな?見た目は10歳でも、中身は色んな修羅場を潜り抜けて経験値豊富なハヤテ君なわけだし」

ルカの言葉にナギは少し考え

「言われてみれば確かにな。心配にはなるわな」
「でしょ?」
「まあでも、ハヤテはそう言う事も心得てるだろうし、大丈夫だろ。周囲に合わせるのって、あいつかなり上手いし」
「ナギが言うなら平気かな」


                   × ×


一方。

沙羅は放課後、友人のヒマリと遊んでいると、校庭でサッカー部が練習していた。

「タケル君って、かっこいいよね」
「へ!? ああ、まあ」

沙羅が相槌を打つと更に、

「タケル君って、地域のサッカークラブにも入ってて、その中でも凄く上手くて有名なんだよ。この前の試合も沢山ゴールを決めてて、他の学校の女の子もファンで、試合を見に来るんだって」

「へ〜」

言われた後、沙羅はタケルの練習風景を見て

「(確かに、強い将来性を感じますよね。怪我とかしなければ、「世界で戦える逸材」に成長するでしょうし)」

こう思った。・・が

「って、ヒマリさん。どうしてそれを知ってるんですか?」
「ん!?ああ、これは美幸ちゃんに・・あ、内緒だったんだ、これ」
「もう。そう言う「口を滑らせる所」直した方が良いですよ。大人になったら苦労しますよ。仲間外れにされたりで」
「き、気を付けます」

友人に注意され、少しだけ落ち込んだ。
すると、タケルが沙羅達の方へ向き

「お〜い、五月女」

「「「ねえねえタケル君。次の試合っていつ〜?」」」

美幸一行が乱入して来た

「今度の日曜だよ」
「「「応援に行って良い〜?」」」
「別にいいけど」

話が終わると、美幸は沙羅に気付いた。
・・が、美幸は直ぐに顔を背けた

「(な、何なのよ。なんで私が五月女さんを意識しないといけないのよ。私にはタケル君がいる、それでいいの)」


翌日、習字の授業で「好きな花」を書く事になり、皆は平仮名や片仮名、漢字で書いても簡単な漢字なのに対し、沙羅はちゃんと書いた。  「水蓮」っと。

放課後、途中でヒマリと別れ、1人で帰路に着いていた。

すると

「おーい、五月女」
「タケルさん」

タケルが追い付いて来て、横に並びつつ

「お前、最近何時も1人で帰ってるよな?久しぶりに一緒に帰ろうぜ」
「気を使わせてしまったのなら謝りますが、ですが」
「謝る必要はねえよ。 ちょっと話があってな」

タケルは少し間をおき

「お前さ、習字書くの上手くなったよな。今日のだって、すっげ〜って感心したし」
「それはありがとうございます」
「習字教室とかに通ってるのか?」
「まあ、色々」

適当に誤魔化しつつ

「(実際、習字のコンクールで優秀賞で貰える図書カードを換金して生活の足しにしてた。何て、言えないもんね)」

本当の事を言っても信じて貰える訳無いので、黙っておくことにした。

「それより、話と言うのはそれだけですか?」
「え!?あ、いや。そうじゃなくてさ。ええっと」

口籠るタケルに沙羅は首を傾げていると

「ああ、止め止め。こんなの俺らしくねえ。 俺、お前の事が気になって仕方ねえんだ」
「え!?ど、どうしてですか?」
「はっきり言うぞ。  俺、お前が好きだ!!!」

突然の告白の驚いていると

「お前はどうなんだ?」
「ど、どう?」
「好きな奴とかいるのか?って事だよ」

聞かれた沙羅は驚きつつも

「(好きな人って。結婚直前の婚約者がいるんですけど)」

流石に言える訳無いので黙り込んでいると

「あのさ。もし、俺の事を「嫌い」とか「嫌だ」とか思わないんだったらさ」

一旦間をおいた後

「俺と、付き合ってくれ!!」


-----------------------------------------------------------------------------------
以上です。

次回は続きです。

では。
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Re: 転生 (10月13日更新) ( No.18 )
日時: 2019/10/18 21:36
名前: どうふん


masaさんへ

まあ、案の定と言いますか。この場合沙羅は美少女でしょうし、性格がハヤテであれば男女問わずモテないわけがないです。

友達想いなところも元のままですね。
もっとも美幸さんは自分の部屋が汚いからと言って他人に謝ることはないと思いますけど。「許す」で十分なところかな。まあ、ハヤテの正論(と色気?)に丸め込まれた彼女なりの反省なんでしょう。

ハヤテの好きな花は「水連」ですか・・・「雛菊」じゃないんだな・・・。まあ、当たり前ですね。


                                                  どうふん

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Re: 転生 (10月13日更新) ( No.19 )
日時: 2019/10/19 14:27
名前: masa

こんにちはmasaです。

レス返しの更新です。


 ●どうふん さん

 ナギ「感想感謝するぞ♪」

 >>まあ、案の定と言いますか。この場合沙羅は美少女でしょうし、性格がハヤテであれば男女問わずモテないわけがないです。

 ルカ「だよね〜♪流石私の婚約者♪」
 ナギ「まあ、沙羅ちゃんの容姿等は次の話である程度は触れてるけどな」

 >>友達想いなところも元のままですね。

 ナギ「前世の記憶が残っている以上、簡単には変わらんだろ」
 ルカ「でしょ〜♪」
 ナギ「・・何故にお前が自慢げなんだ?」

 >>もっとも美幸さんは自分の部屋が汚いからと言って他人に謝ることはないと思いますけど。「許す」で十分なところかな。まあ、ハヤテの正論(と色気?)に丸め込まれた彼女なりの反省なんでしょう。

 ハヤテ「あ、いえ。僕はあくまで「言い過ぎた事」を謝るべきだと言っただけですが。まあ、喧嘩両成敗って所ですね。  ってか色気ってそんなのは・・」
 ナギ「・・あると思うぞ」

 >>ハヤテの好きな花は「水連」ですか・・・「雛菊」じゃないんだな・・・。まあ、当たり前ですね。

 ハヤテ「まあ、ルカさんとは「結婚直前まで行った間柄」でしたからね。仮にもプロポーズしましたし」
 ルカ「な、何か照れちゃうな///」


 感想ありがとうです〜♪
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Re: 転生 (10月20日更新) ( No.20 )
日時: 2019/10/20 12:40
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
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前回、沙羅(ハヤテ)は同級生の男の子に告白された。


沙羅が告白されてから数日後。

「ルカ、出かけて来るな」
「あれ?ナギ、出かけるの?今日はお休みじゃなかったっけ?」

今日は休みだったルカが自室で寛いでいると、ナギが顔を出して言って来たので確認がてら聞くと

「まあ、私も偶には1人で息抜きしたいんだよ」
「ああ、そう。行ってらっしゃい」
「ああ」

挨拶を済ませ、ナギは出かけた。


                   × ×


ナギはとあるサッカー場に来ていた。
そして観客席を探し、

「お〜い、ハ・・沙羅ちゃん」
「近くに人が居ないので、何時も通りで良いですよ」
「そうか」

ナギはハヤテの直ぐ隣に腰かけた。そして周囲の人と距離があるのを確認し

「で、どいつ何だよ。お前に告白した男子って」

ハヤテはグランドを指さし

「あそこです。ああ、丁度ボール持ってる人です」
「ああ、あいつか」

ナギが見ていると、相手のディフェンダーを華麗にかわして疾走していた。

「ふ〜ん。サッカーはゲームの知識しかないが、上手いもんだな。ゲームだと「優秀キャラ」に分類されそうだな」
「ええ、たぶん」

少しの間試合の様子を見て

「あいつの事、ルカには言わない方が良いな」
「やっぱり、そうですよね」
「言ったりしたら、ルカの事だ。小学生の男子相手でも果たし状を出すぞ」

無いと断言出来ないハヤテだった。


                   × ×


さて。ナギがなぜ休日返上でサッカー場に来ているのかというと、話は5日程前に戻ります。

「え!?同級生の男の子に告白されたのか!?」
「ええ、まあ」

三千院家を訪れていたハヤテはタケルとの事をナギに話していた。

「ふ〜ん。因みに、どんな風に、なのだ?」
「どんなって。 普通に「好きです。付き合ってください」って」
「ほう。小4でそれか。ませてるな」

何故かナギはワクワクと顔を輝かせていた。

「んで?OKしたのか?」
「してないですよ。 小学生で付き合うって、幾らなんでも早すぎますよ。 聞いた所、お兄さんとお姉さんがいるとの事なので、ちょっと大人ぶって言いたかっただけだと思いますよ」

ハヤテの言葉にナギは

「(いや、それはお前の天然ジゴロが影響していると思うんだが)」

こう思ったが、言った所で無意味でしかないので黙っておき

「って事はあれだ。「私には婚約者がいるので」って断ったのか?」
「もう、止めてくださいよ。普通に「ごめんなさい」って言っただけです」
「ああ、そう」

学校の宿題をしているハヤテを少しの間見守り、ナギは

「で、どうするんだよ」
「取り敢えず、「自分が出るサッカーの試合を見に来てほしい」って言われましたよ。 ただ、サッカーは大まかなルールは知ってますけど、細かいルールは全く知りませんし」
「1人で行けば浮くんじゃないかって?」

フォローする様に言ったナギに頷いた。

「試合に出れるって事は凄い奴なのか?」
「さあ? でも、有名らしいですよ。上手らしいですし、他校の小学校にもファンが沢山いるみたいですし」
「へ〜。そうか」

そう言うと、ナギはスマホを取り出し

「それで。肝心の試合は何時なんだよ」
「次の日曜ですけど」
「えっと。 その日は大丈夫だな。何とか出来る」

何故か嬉しそうに言うナギに

「え!?まさか来るつもりですか?」
「当たり前だろ。この三千院ナギが見極めてやる。 これでも人を見る目は自信あるんだぞ」
「は、はあ」

反対した所で意味は無いので、成り行きに任せる事にした。

これがナギが来ていた理由です。


                   × ×


その後も試合を見続け、試合終了のホイッスルが鳴らされた。

「へえ。タケルって奴がいるチームが勝ったぞ。おまけにあいつ1人で3点も決めたぞ」
「素人目にも凄さは分かりましたね」

ハヤテとナギがこんな風に感想を言い合っている一方、タケルはチームメイトと勝利を喜びあっていると、ハヤテに気付き、騒いでいる美幸と取り巻きには目もくれずに

「五月女。 来てくれたんだな」
「ええ、まあ」

沙羅とナギのもとに一直線にやって来た

「ん!?そちらのお姉さんは?」
「ああ。近所の仲良しの」
「三千院ナギだ。よろしくな」

タケルがナギに挨拶すると

「お〜い、タケル〜」
「若しかして彼女か〜」

チームメイトがグランドから声をかけて来たので

「ああ、そうだぜ。 紹介する、俺の彼女の五月女・・」
「ちょ!?ちょっと待ってください。 否定してくださいよ。告白は断ったじゃないですか」
「え!?サッカーの試合見に来てくれたから、考え直してくれたと」
「どうしても、って言われたからですよ」

沙羅が言うと、タケルは少しは残念そうにしていた

「第一、小4なのに付き合うとか早すぎですって」
「そうか?ってか、そう言うって事は付き合っても良いって事か?」
「違いますよ。変な風に言葉の意味を取らないでください」

ナギはもめている2人を止めるべきか少しだけ考えていると、タケルは呼ばれ

「先行ってて、お母さん」

自身の母親にそう言った後、沙羅の方へ向き直し

「今日は来てくれて、マジでありがと、五月女。すげえ嬉しかったぜ」

そう言うと、スコアボードの方を見つつ

「今日の対戦相手な、かなり強いんだ。でも、五月女が見てくれていると思ったら、何時も以上に動けたんだ。だから、勝てたのはお前のお陰だよ」
「まあ。お役に立てたのなら、良かったです」

すると、タケルは真っ直ぐ沙羅と向き合い

「前も言ったけど、もう一度言うな。 俺、お前が好きなんだ。顔もそうだけど、クラスメイトにも敬語使っちゃう所とか、女の子なのに自分の事を「僕」って言っちゃう所とか、すげえ優しい所とかさ。確かに前も優しかったけど、最近レベルアップしたって言うのか?本当に優しくなったよな」

ここまで一気に言うと、一旦息を整え

「それにさ、お前の出している空気って言うのも好きなんだ。本当に優しい奴って分かる空気って感じがして。お前は知らないかもしれないけど、クラスの男子で俺以外でもお前の事が好きって奴、多いんだぜ。 お前が「まだ早い」って言うなら、待つよ。待たせてくれ。俺の気持ちは変わらねえからさ」

一部始終を聞いていたナギは複雑な感情にみまわれた。

「言いたい事は全部言ったよ。 じゃあ、また学校でな」

そう言い残し、タケルは駆け足で母親の元に向かった。


                   × ×


ナギとハヤテは一緒に帰路に着いていた。

「なんだか、随分真っ直ぐな奴だったな」
「ええ、まあ」

ナギは少し考え

「お前さ、どう思ってるんだ? ルカは「8年待って結婚する」って冗談抜きに言ってるだろ?その事もだし、あいつの事もさ。 今のお前の正直な気持ちを聞かせてくれよ」

ハヤテは少しの間考え込んだ後

「ルカさんとの事は、色々と複雑ですよね」
「まあな。今のお前は女だし、ルカも女。同性婚は日本じゃ認められてないもんな。認めようって動きはあるにしろ。あいつの事だから本当に政治家になって法律変えてでも自分の気持ちを貫くだろうし」

ナギの言葉にハヤテは否定も肯定も出来ないでいた。

「それで、あのタケルって奴はどうなんだ?」
「・・分かりません。 確かに今の僕には「前世である綾崎ハヤテの記憶」が残っています。ですが、今の僕は女の子なんです。つまり、「女の子の気持ち」も持ってるんです。あんな風に告白されて、嫌な気持ちが無かったのは、正直本当なんです」

ハヤテの言葉にナギも複雑な顔をし、

「ルカはお前を喪って以来10年間、本当に寂しそうだった。心配になる程に。 だが、形はどうあれお前が戻って来てくれて、あいつは本来の明るさを取り戻したんだ。お前の事情とかは理解出来ない訳じゃ無い。だが、あいつの事は真剣に考えてやってくれ。どうしてもってときは、私が何とかしても良い」

ナギの真剣過ぎる表情と声色にハヤテは

「ルカさんとの事は、先程の事以外にもあるんですよね、事情が」
「え!?」
「・・何でも無いです」

笑顔で誤魔化され、ハヤテに「もうここで良い」っと言われたので、分かれた。


                   × ×


ナギが帰宅すると、ルカが出迎えてくれた。

「どう?息抜きは出来た?」
「・・まあな。 お前は何してたんだ?お前も休みだったわけだし」
「これです」

ルカが差し出して来た物を見てナギは

「懐かしいな、それ。昔を思い出す」
「でしょ〜?」
「今こうしてみると、酷いもんだな。よくこんなもんを世に送り出したよ。若さって怖いな」

苦笑いのナギに

「ところでさ、ナギ。頼みがあるんだけど」
「何だよ。別に構わんが」
「今のハヤテ君、つまり五月女沙羅ちゃんのご両親ってどんな人なんだろうね」

そう言うと、一旦間をおき

「ハヤテ君だった時の両親は「救い様が無い程のクズ」だったでしょ?だから五月女沙羅ちゃんの両親がどんな人達なのか、気になるでしょ?」
「確かにな。言われてみれば気になるな」
「って事でさ。ナギなら調べられるんじゃない?三千院家の力を使ってさ」

真面目な顔のルカにナギは

「分かったよ。相手がよっぽどじゃなきゃ、何とかなるし」
「じゃあ」
「任せろよ。直ぐに手配する。 結果は割と早く出ると思うぞ」

ナギに言われ、ルカは笑顔になった。


                   × ×


一方その頃、同時刻。

沙羅は現在の家に帰宅すると、ある事に気付いてしまった。
その為、出来る限り静かに自室に行こうとしたが

「沙羅!!!」

突然呼ばれ、緊張が走った。


-----------------------------------------------------------------------------------
以上です。

次回は続きです。

では。
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Re: 転生 (10月27日更新) ( No.21 )
日時: 2019/10/27 12:40
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
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前回、ルカとナギは現在のハヤテ・沙羅ちゃんの両親を調べる事にし、沙羅の方は帰って来た途端名前を呼ばれ、緊張が走った。


それから数日後。

「ただいま〜」
「お帰り、ルカ。早速だが、例の報告書、来てるぞ」
「へ!?ああ、沙羅ちゃんの両親の件だね」

帰って来てそうそうナギに言われ、一瞬分からなかったが直ぐに理解した。

「私はもう目を通したぞ」
「ふ〜ん」

ルカは手洗いと嗽、着替えを済ませてから、ナギが淹れてくれた紅茶を飲みつつ報告書を読み始めた。


                   × ×


一方の、沙羅。
話は前回の続きまで遡ります。

「沙羅!!!」

名前を呼ばれ、沙羅は一瞬反応出来なかったが、緊張を顔に出さない様に振り返った。

「何処に行ってたんだ!!今日は家にいるって言ってたじゃないか」
「きょ、今日は遅くなるんじゃ」
「仕事が思ったより早く片付いたからね。ってそれより」

相手は沙羅に詰め寄り

「帽子までかぶって、何処に行ってたか、答えてくれ」

沙羅は正直に答えるべきか少しだけ悩み

「友達の、サッカーの試合の応援に行っただけだよ」
「な、何!?そいつは男か!!」
「・・・う、うん」

悩んだ末正直に答えると

「おい!!そいつが何処の誰か調べろ!!」
「ま、待ってよ!!」

行動を起こしそうだったので、沙羅は慌てて止めた。

「何でも無いから!!友達ってだけだから。後、クラスメイトってだけだから」
「本当か!?」
「う、うん」

俯きつつ答えると、沙羅は抱きしめられた。

「ごめんよ〜沙羅。疑ったりして」
「苦しいよ、パパ」
「あなた。沙羅が苦しんでるわよ。 それに、ずるいじゃない」
「・・ママも」

沙羅を問い詰めていたのは現在の両親であり、両親に抱きしめられていた。

「こんなパパを許してくれるのかい?」
「うん。勿論、ママもね」
「「沙羅〜」」

沙羅は溜息をつきつつ両親の気の済むようにさせた。

「ところで、何処まで応援に行ったんだい?」
「え!?えっと。○○まで」
「遠いじゃないか。どうやって?」

また沙羅は少し悩んでから

「バスで行ったんだ。も、勿論貰ってたお小遣いから出したよ」
「えらいな〜、沙羅は。そんな所まで1人で行けるなんて」
「も、もう。普通だよ」

頭を撫でつつ言われ、沙羅は適当に返し

「でも、駄目だぞ〜。沙羅のこの綺麗な肌が日焼けしたらどうするんだ」
「あそこは屋外競技場なはずだし」
「ちゃ、ちゃんと日焼け対策したよ」

心配する両親に返すと

「でも、どうして沙羅が?応援ならその子の両親が」
「どうしてもって頼まれて。断れなかったからだよ」
「優しい優しい沙羅だからなのね。ホント、自慢の娘ね〜」

うっとりと言う両親に沙羅はまたばれない様に溜息をつき

「じゃ、じゃあ僕、着替えて来るね」
「ああ。今日はパパとママと一緒に夕飯を食べようね」
「あ〜、楽しみだわ〜」

嬉しそうな両親に背を向け、沙羅は部屋に向けて歩き出した。

すると、沙羅が見えなくなった時、

「おい。誘った奴がどんな奴か、調べろ」
「そうよ。沙羅を誑かすなんて、許せないわ」
「し、しかし。お嬢様は何でも無いと」

反論しようとしたが

「念の為だ。余計な芽は可能性の段階から排除せねばならん」
「そうよ。黙って従いなさい」
「ぎょ、御意に」

言われた人はお辞儀をし、離れた。


                   × ×


その日の夜。

沙羅はトイレに行きたくなり、廊下を歩いていると両親の部屋から明かりが漏れている事に気付き、扉も半開きだったので罪悪感を抱えつつものぞいた。


「ふむ。こいつが」
「沙羅を自分が出る試合に誘ったのよね」

沙羅の両親はタケルについての報告書に目を通していた

「見た所、問題はなさそうだな」
「ええ。本人は勿論、両親祖父母、問題無しね」

夫婦揃ってため息をつくと

「まあ、こいつなら沙羅の友人になる事を許しても良い様だな」
「ええ。幾等なんでも私達への報告書に嘘を書く訳無いしね」

流石にタケルが沙羅に告白した事は書かれてなかった(作成者が故意に書かなかった)。

「この先も、沙羅に近寄ろうと言う者には徹底を期さなければな」
「例え、私達が嫌われる事になってもね」

聞いていた沙羅は複雑な心境になった。
そこへ更に

「あの子には、出来る限りの、考えられる限りの愛情を注がないとな」
「ええ。沙羅が嫌がっても、愛を注ぐのを止める訳にはいかないわ。あの子の為だもの」

「その為なら、金は惜しまない。例え全財産を失ってでも、あの子を愛そう。・・あの事があるからな」
「ええ。あの事がある以上、お金で解決出来る事は全部解決しましょう」

「その為にも、仕事を頑張らないとな」
「ええ。沙羅との交流が減っちゃうのは寂しいけど、沙羅の為だものね」

両親の会話を聞き、沙羅は部屋の前を離れた。


トイレに行った後、自室のベッドに仰向けになり

「(本当に、このままでいいのかな?パパやママを裏切ってる事になるんじゃないかな?)」

ルカやナギに会いに行っている事は現在進行形で両親には内緒であり、先程聞いてしまった会話を考えると、申し訳ない気持ちがどうしても出て来た。

「(ルカさんやナギさんに会うのは、止めた方が良いのかな・・)」

思い悩み、暫く寝付けなかった。


                   × ×


報告書を読み終えたルカは、ナギがまた淹れてくれたお茶を飲み

「・・どうだ?」
「ナギはもう、読んだんだよね?」
「・・ああ」

答えると、ルカは暫く黙り込んだ

「良かった。今のハヤテ君はご両親に愛されてて」
「・・だな」

ナギは相槌を打ってから

「幼稚園に入園する時はその幼稚園の事や勤めている全ての保育士のあらゆる経歴、既に入園している者や一緒に入園する者・その保護者の祖父母に至るまで調べ上げるからな。勿論、小学校に入学する際も、な」

「所謂「過保護」って奴だね」
「・・ああ」

ルカは呆れるやら感心するやらの溜息をつき

「でも、よくそんな事を調べられるよね」

ルカの言葉にナギは答える代わりに

「五月女っと聞いて、「何処かで聞いた事がある」って思ったんだが、今回の報告書を見て思い出したよ。まさか五月女財閥だったとはな」
「え!?知ってるの?」
「ああ。流石に我が三千院家程ではないが、かなりの財閥だ。・・人の人生を狂わせるのに、さほど苦は無い位にな」

ナギの言葉にルカは息をのんだ

「で、でも。幾ら娘だからってどうしてここまで過保護に」
「何だ、最後まで読んでないのか?その疑問の答えなら、書いてあるぞ」
「え!?」

読み残した報告書の最後の方に、自らの問いの答えが書いてあった

「こ、これって」

「五月女のご両親は、夫婦共に1年以上の苦しい苦しい不妊治療の末、やっと子供を授かった。それが今のハヤテである沙羅だよ。だが、最悪な事に夫婦共に「これ以上の不妊治療は体が耐えられない。完全なドクターストップである」っと言う状況だ。奥さんの方は更に「子供を授かる事も、生む事も出来ない体になってしまった」っと言う悲劇が重なってる。そんな状況だからこそ、余計に過保護なんだよ。子供は欲しいが、これ以上は望めないんだからな。娘の為にどんな事でもしたいと思うのは、当たり前なんだ」

ルカ自身もし自分が同じ状況に陥れば、全く同じ事をしただろうと断言出来た。

「・・ルカ、これで分かっただろ」
「え!?な、何が?」

本気なのか態となのか分かり難い顔のルカにナギは

「沙羅の両親に、私達の事を知られてみろ。お前は勿論、この私でさえも敵に回すだろう。例え「最悪の返り討ち」だと分かっていても、何とかしようと動く。合法的だろうと、非合法だろうと、な」

息をのむルカにナギは続けた

「特にお前はどんな汚い事をしてでも、罰そうとするだろうな。ハヤテへの想いは、明らかに婚約者・結婚相手に向けるものだし」

落ち込むルカに

「・・あいつが大人になってからだったら、何とかならん訳では無いだろう。だから、現状では「内緒で会う」で我慢しろ」
「・・分かった」


                   × ×


ナギとルカの会話を知らない沙羅はというと

「お〜い、五月女」
「タケルさん」

学校にて次の授業の準備をしていると、調べられた事など露程も知らないタケルが話しかけて来た。

「一昨日は本当にありがとな、応援に来てくれて。改めて礼を言いたくて」
「別にお礼を言われる程じゃ」
「そうか?でよ、また来てくれよ。な?」

沙羅が答えられないでいると

「「「タケルく〜ん。私達は何時でもOKだからね〜」」」
「え!?ああ、ありがとな」

美幸とその取り巻き2人に言われ、タケルは一応礼を言い

「あの事、別に急いで答えは出さないでくれ。俺は待てるからさ」

直ぐに告白された事だと気付いたが、ハヤテは愛想笑いで返しただけにした。


                   × ×


放課後、三千院家を訪れると、ナギだけがいた。

「・・お前には悪いと思ったが、調べさせてもらったよ」
「な、何を、ですか?」
「・・今のお前のご両親について、だよ」

ナギの言葉にハヤテは察した。
するとナギは溜息をつき

「お前はどうしてそう「極端な家庭」に生まれるんだろうな」
「・・僕に言われましても」
「そうだな。謝るよ」

ナギは頭を下げた後、ハヤテの様子に気付き

「どうしたのだ?」
「い、いえ。別に」
「そうか?」

流石に「このまま内緒で会いに来るのを止めるべきか悩んでいる」っとは言えなかった。


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  簡単なプロフィール紹介


 五月女藤哉(さおとめ とうや)

年齢 45歳
誕生日 4月20日
家族 妻(紫苑)、娘(沙羅)

 現在のハヤテである沙羅の父親。五月女財閥当主であり、忙しい日々を送っている。
 本編でも触れたが、娘である沙羅にはかなり過保護。夫婦仲は極めて良好である。
 娘の沙羅がハヤテの生まれ変わりである事は知らない。










 五月女紫苑(さおとめ しおん)

年齢 44歳
誕生日 9月9日
家族 夫(藤哉)、娘(沙羅)

 現在のハヤテである沙羅の母親。夫と共に五月女財閥を支えており、忙しい日々を送っている。
 本編でも触れたが、娘である沙羅にはかなり過保護。時には夫以上に過保護を発揮する事も多々ある。夫婦仲は極めて良好。
 娘である沙羅がハヤテの生まれ変わりである事は知らない。


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以上です。

次回は続きです。

では。
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Re: 転生 (10月27日更新) ( No.22 )
日時: 2019/10/27 21:50
名前: どうふん


masaさんへ


おお・・・、ハヤテに念願の愛情ある両親が、と思いきや。
過ぎたるは及ばざるが如し、とでも言いますか。

まあ、気持ちはわからんでもないですが、ちょっといきすぎですね。
「非合法だろうが」とか「どんな汚いことでも」とか。
それを財閥の財力をバックとしてでは・・・。

これはルカを嗅ぎつけるのも時間の問題となりそうな感じですね。
ハヤテが悩むのも当然です。

あと生まれ変わったハヤテが「大人になったらなんとか」なるんでしょうか。あの両親が二十近く年の離れた女性と(実質)結婚することに果たして理解を示すのか・・・。


                            どうふん

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Re: 転生 (10月27日更新) ( No.23 )
日時: 2019/11/02 18:30
名前: masa

こんにちはmasaです。

レス返しの更新です。


 ●どうふん さん

 ルカ「感想ありがと〜♪」

 >>おお・・・、ハヤテに念願の愛情ある両親が、と思いきや。
  過ぎたるは及ばざるが如し、とでも言いますか。

 実は、これには裏話があるんですよね。 

 1つ目は沙羅が内緒で会いに来る理由を考えた時、「両親がかなりの過保護だから」だと話の構成上矛盾等が発生しない。
 2つ目はハヤテの時は屑だったからその逆にした方が面白いのでは?
 3つ目はナギに「お前はどうしてそう「極端な家庭」に生まれるんだろうな」っと言うセリフを言わせたかった。

 以上の理由から「両親が過保護」っと言う設定が誕生しました。

 >>まあ、気持ちはわからんでもないですが、ちょっといきすぎですね。
  「非合法だろうが」とか「どんな汚いことでも」とか。
  それを財閥の財力をバックとしてでは・・・。

 まあ、これにも裏話はあります。

 1つ目は「両親が過保護」っと言う設定を決めた後、その理由を考えた末に生まれた。
 2つ目は「ナギが三千院家当主になっている」っと言う設定を決めた為、「一般家庭だと不都合が生じる」っと言うのがあって、財閥の人間になった。

 以上がご指摘された理由です。

 >>これはルカを嗅ぎつけるのも時間の問題となりそうな感じですね。
  ハヤテが悩むのも当然です。

 それに関しては現時点では何も言えないんですよね。すみません。

 >>あと生まれ変わったハヤテが「大人になったらなんとか」なるんでしょうか。あの両親が二十近く年の離れた女性と(実質)結婚することに果たして理解を示すのか・・・。

 ナギ「まあ、過保護な以上娘に頼まれれば嫌とは言えんだろうな。 っとは言え詳しい事は内緒らしいぞ」


 感想ありがとうです〜♪

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Re: 転生 (11月3日更新) ( No.24 )
日時: 2019/11/03 13:05
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
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前回、沙羅はルカやナギに「会いに来るべきなのか」悩んだ。


「(僕の今の両親は、前世の時とは違って過保護だ)」

「「沙羅〜」」
「もう。パパ、ママ」

夫婦揃って沙羅を抱きしめていた。

「沙羅に早く会いたくて、パパ仕事頑張っちゃったぞ〜」
「ママも頑張ったわよ〜」
「はいはい」


「(こんな風に、仕事から帰ってくれば直ぐにベッタリ。更に)」


「沙羅、今日は学校はどうだったんだ?」
「何時も通り楽しかったよ。勉強頑張ったり、友達と遊んだり」
「そう。良かったわね〜」


「(前世の時はありえなかった家族の会話も出来てるんだよね〜)」


                   × ×


ある日。

「それでは皆さん、明日から夏休みです。体に気を付けて楽しんでくださいね〜」
「は〜い」

帰りのホームルームで担任の先生に言われ、先生が職員室に戻った後

「ねえ、沙羅ちゃん。沙羅ちゃんは夏休みにどこかに行く予定ってあるの?」
「え!?」

帰り支度をしていると友人のヒマリに話し掛けられ、

「私、去年は遊園地とか博物館に行ったんだけど、今年は鹿児島のお婆ちゃんの所に行く位なんだよね」
「そうなんですか」

相槌を打った後、沙羅は少し考え

「パパもママもお仕事忙しいですからね。旅行とか行けるかどうか」
「そうだったの。残念だったわね〜、五月女さん」

沙羅が返事すると、突然美幸が話しに割り込んできた。

「私は家族みんなで海外旅行に行くのよ〜。ドイツにフランスにスウェーデン」
「へ〜。美幸ちゃんのお家、凄いんだね」
「まあね〜。パパもママも旅行好きだから、毎年行ってるのよ〜。飛行機なんか10回以上は乗ってるし〜」

自慢話にヒマリが素直に感心すると、更に自慢を重ねた。

「どう?羨ましいでしょ、五月女さん」

勝ち誇った様に言った途端、沙羅は美幸の両肩に手を置き

「素晴らしいじゃないですか。そう言う事は、出来る時にやっておいた方が良いですよ。ね?」
「あ、はい///////////////////////////」

素直に笑顔を向けて来る沙羅に

「(な、なんでこんなにドキドキしないといけないのよ。こんなの、タケル君だけでいいのに。なんで同じ女の五月女さんにドキドキするのよ)」

美幸の方は複雑だった。


                   × ×


沙羅は1人で帰路に着いていた。

「(旅行か。パパやママに頼めば、絶対に連れて行ってくれるけど、「温泉宿貸し切り」とか「観光地丸々貸し切り」とかやりそうだからな〜。普通に楽しませてはくれないだろうな〜)」

普段の両親の接し方から、これ位の想像は容易だった。

こんな風に考えながら歩いていると、半ば無意識に三千院家の前を通りかかっている事に気付き

「(ついこの間の事なのに、「懐かしい」って思っちゃうのは、僕自身の今の気持ちのせいなのかな)」

SPの人に気付かれない様に、速足でその場を後にしつつ「生まれ変わり、記憶が戻ってから初めて三千院家を訪れた時」を思い返していた。

「(正直、記憶が戻った後、会いに行くべきか悩んだけど、今思えば良かったよ。あの2人が約束を破るとは思わなかったし)」

帰宅後、何時も通りのやり取りの後、両親が寝静まった頃合いを見計らってキッチンに赴き、翌日は持って行けるルカのお弁当の仕込みを始めた。

すると

「お嬢様、こんな時間に何を?」
「あ、いや。これは」

五月女家にいるメイドさんの1人が来て聞いたが、沙羅の様子で色々と察し

「・・私は何も見なかった事にします。ですが、この事を旦那様や奥様に知られないようにしてくださいね」
「・・分かってます。前みたいになりますからね」


回想入ります。

ハヤテはルカへのお弁当を作る為に適当に理由をつけて料理をしていた。
すると

「沙羅、こんな所で何をしてるんだ」
「あ、パパにママ。何って料理を」

応えようとした瞬間、沙羅は調理台から引き離され

「沙羅の綺麗な手とかが包丁で切れちゃったらどうするんだ」
「それに、火を使って火傷しちゃったらどうするのよ」

沙羅が理由を説明しようとするより早く

「何をしてる!!沙羅にもしもの事があったら」
「し、しかし。お嬢様がどうしてもとおっしゃったので」
「言い訳無用!!」

怒鳴られたメイドはビクリッとし

「沙羅、行きましょう。貴女は料理なんてしなくていいのよ〜」
「来月の給料、少し減らしておくからな」
「は、はい」

ハヤテは自分のせいで怒られてしまったメイドにジェスチャーで謝った。

回想終わります。


「(あの事があったから、パパやママが朝早く家を出る時しかルカさんにお弁当を作ってあげられないんだよね。やれやれ)」

ハヤテは呆れ交じりの溜息をつきつつも料理を続けた。


                   × ×


翌日の夜。

「ねえナギ。ハヤテ君の学校も夏休みに入ったみたいだし、3人でどっか出掛けようよ」
「3人で!?別に2人でも・・あ、お前には立場があったか」

ナギは直ぐに察し、

「ごめんね、こういう時に引っ張り出しちゃって」
「構わんよ。お前の為なら、お邪魔虫だろうが何だろうが、なってやるよ」
「ありがと」

礼を伝えると、直ぐに

「でさ、何処に行こうか?私は旅行に行きたいな〜。何とか数日位休み取れると思うし」
「あのなあ。泊りがけなんて、沙羅のご両親が許す訳無いだろ。忘れたのか?」
「そうだけどさ〜。チェ〜」

心底つまらなさそうなルカにナギは溜息をついた。

「まあいいや。日帰りでも、旅行は旅行だもんね。ハヤテ君に予定聞いて、出かけようよ」
「だな」


                   × ×


一方のハヤテは入浴後、自室で寛いでいた。
すると、ナギに買ってもらった携帯端末が鳴り、

「夏休み中、何処かで日帰りでも良いから出掛けられる時ある?」

っとルカからメッセージが来ていた。

「(どうしよう。今の両親の事を考えると、ルカさんやナギさんと内緒で会うのは、「裏切り」になる気がする)」

こう思うと直ぐには返信出来ず、部屋を出た。

廊下を歩いていると居間から両親の話声が聞こえて来た。

「沙羅も夏休み入ったし、何処か出掛けるか」
「そうね。家族3人水入らずでね」

「そうなると、ホテルとか観光地を貸し切りにする必要があるな」
「そうね。沙羅に何かあったらいけないし、遊園地だったとしたら沙羅を待たせちゃうなんて、問題外だものね」

予想通りの会話にハヤテが溜息をつくと

「なるべく早く、仕事を片付けないとな。じゃないと沙羅と出かけられないもんな」
「ええ。私達が仕事仕事で寂しい思いをさせるのは、絶対にダメだからね」

「あの子には私達が出来る事は全部やろう」
「例え世界中の人を敵に回しても、あの子だけは守りたいわね」

「お前とは勿論だが、沙羅ともずっとずっと一緒にいたい、愛したい」
「私も、貴方とは勿論、沙羅ともずっとずっと一緒にいたいわ、愛したいわ」
「「私達は家族だからね」」

物音を立てない様にハヤテは自室に戻った。


                   × ×


一方。

「あ、ハヤテ君から返信来たよ。 今週末なら、何とかなるみたい」
「・・私も何とかなるな。お前は?」
「えっと。  うん、私もお休みだ」

お互いにスケジュール帳を確認し、笑みをこぼし合った。

「さて。早速計画を立てよう」
「うん。楽しみだね〜」


一方のハヤテは返信した後携帯端末を隠し、

「(ルカさんやナギさんの事がばれれば、今の両親ならたとえ相手がナギさんでも意地でも立ち向かうだろうな。そんな事になれば、色んな人に迷惑がかかる)」

沙羅はベッドに寝転がり

「(それに、あんなに僕の事を愛してくれてる両親を、裏切っているっと言う事実に変わりはない。だから、次に会った時に伝えよう。「もう2人に会う事は出来ない」って)」

ルカやナギにも罪悪感は感じるのだが、最悪な事態を避けるためにはやむを得ないと自身に言い聞かせ、決意を固めた。


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以上です。

次回は続きです。

では。
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Re: 転生 (11月10日更新) ( No.25 )
日時: 2019/11/10 12:10
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
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前回、沙羅は両親の会話を聞いてしまい、「2人に会うのはもう止めよう」っと思い、伝える事にした。


「すみませ〜ん。写真撮って貰っても良いですか?」

現在、ルカとナギはハヤテと一緒に遊びに来ており、偶々近くにいた人に撮影をお願いしていた。

「良いですよ」
「じゃあ、向日葵畑をバックにお願いします」

ルカはデジカメを渡し、撮影してもらった。
デジカメを返してもらいつつお礼を言い、勿論撮影した写真を保存してからその場を離れた。
因みに、ルカは変装しています。


「へ〜。ここが大人も楽しめるアスレチック何だね」

一番テンションの高いルカが極力控えめに叫ぶと

「よ〜しっ、私も頑張っちゃおうかな〜」
「大丈夫ですか?もし万が一怪我でもしたら」
「大丈夫大丈夫。万が一怪我しても、仕事に影響なんかさせないって」

ルカの性格を考えると、大怪我しててもそれを隠して仕事に行きそうだと容易に想像出来た。

「じゃあ誰が一番上に最初に行けるか競争しよう。 よ〜い、ドン」
「お、おい。ルカ」

テンション高く挑戦し始めたルカにナギは溜息をつき、

「何だよ、あいつが一番楽しそうじゃないか」
「きっと、こう言う所に来るのは初めてなんじゃないですか?」
「それもあるだろうが、お前が一緒なのが、一番の要因だろうな」

ナギの推論にハヤテは何となくで同意出来た。
すると

「あ、あれ〜!?助けて〜」
「あいつ、目を離した隙に」

この手の施設にある網のトンネルの途中にルカが引っかかっていた。

「お客さ〜ん。そこは子供用ですよ〜」
「もう。しょうがないですね」

係員の人に言われ、ハヤテはあっと言う間にルカが引っかかっている場所に行きつき、ルカを助けた

「流石ハヤテ。女に生まれ変わろうが、身体能力の高さは折り紙付きか」

感心するナギをしり目に

「いや〜、助かったよ。ありがと」
「ルカさん、浮かれるのは良いですけど、節度を持ってくださいね。ご自分の立場をご理解の上に」
「だから、ごめんって」
「まあ、良いじゃないか。それより、動物との触れ合いコーナーに行くぞ」

夫婦の惚気の様な雰囲気の2人をナギが宥め、移動する事にした。


                   × ×


その後も色々な所を回り、満喫していった。
しかし、ハヤテは表面上は楽しみつつも内心は複雑だった。

「(今日出会うのを最後にしますって、何時伝えるべきだろうか。それを言えば、若しかしたら2人は悲しむかもしれない)」

伝えた際の2人の悲しそうな顔を想像すると胸が痛んだが、

「(でも、今の僕自身の立場を考えれば、それが最善。きっと、2人は大丈夫だと、思う。だから)」

こんな風にあれこれ考えていると

「ちょ!?ちょっとルカさん」
「どう?一兆万人のファンがいるアイドルちゃんの肩車は」

ハヤテはルカに肩車されており、困惑してしまい

「こ、こういうのは子供に」
「だって〜。私達にまだ子供居ないじゃん。 そ・れ・に、今のハヤテ君は子供じゃん」
「そ、それはそうですが」

現在の父親にされるのとは訳が違い、恥ずかしさが勝ってしまう為、降ろして貰った。
勿論?降ろす際ルカは不満げだったが。

その後も満喫し、時間になったので帰路に着く事にした。
ハヤテは「何時伝えるべきか」っと悩んでいた為、気付かれないようにしつつもうかなかった。


                   × ×


三千院家へ帰宅後、お茶で一服しつつ

「ん〜っ、楽しかったね」
「暑かったが、楽しかったよ」

ルカとナギはニコニコしていたが、やはりハヤテはうかなかった。

「今からじゃ何だし、夕飯は出前にするか」
「お、良いね〜。私は何にしようかな〜」
「ハヤテはどうする?リクエストは受け付けるぞ」

聞かれたハヤテは少し間をおき

「僕、あまりお腹空いてないんで」
「そうか。じゃ、止めておくか」
「だね。あ、私はお茶のおかわり、淹れて来るね」

ルカが部屋を出た後、ハヤテは俯きつつ

「(言わないと。「会いに来るのは今日で最後」だって。ここに来るのは、何だか当たり前みたいになっていた。でも)」

ナギの顔を一瞬だけ見た後

「(今の僕達は他人から見れば他人同士。特に今の両親に知られれば、大変な事になる。だから、伝えないと)」

意を決して顔をあげると

「あの。ちょっとお話が」

言いかけた途端、室内の電気が急に消えた。

「え!?停電ですか?」

「ハ〜ヤテ君」

真っ暗の中、呼ばれて振り返るとルカが居て

「遅くなっちゃったけど、お誕生日おめでとう」
「え!?」
「知らないとでも思ったのか?今のお前の誕生日だよ」

そう言うと、ナギは少し間を空け

「本当はもう少し早く祝うつもりだったんだがな。でも、当日は今のご両親が盛大に祝うだろうし、少しだけずらそうって相談してたんだ」

実際、沙羅の誕生日パーティは両親や使用人一同で盛大に執り行われた。

「でも、中々休日が合わなかったり。それに、ケーキを手作りしようと思ったんだが、私もルカも上手く行かなくてな。だから有名パティシエに頼んだりしてたら遅くなってしまったんだ」
「ごめんね、1ヶ月近くも遅くなっちゃって」
「謝らなくても」

複雑そうなハヤテに

「ささ、蝋燭吹き消して」
「さあさあ」

2人に促され、蝋燭の火を吹き消した。
直ぐにでもナギがリモコンで部屋を電気をつけると、ルカがバースデイソングを歌い

「どう?アイドルちゃんのバースデイソングは」
「ええ、良かったです」
「じゃあ、早速食べよう」
「あ、その前にトイレに行ってきます」

ハヤテが部屋を出て行ったあと

「ハヤテ君、元気出たかな?」
「今日、様子が少しおかしかったからな。きっと、私達が知らない所で、悩みの1つや2つ、あったんだろ。今の私達は、複雑な関係なわけだし」
「そうだね。私達に出来る事、あるかな?」

ルカの問いかけにナギは少しの間考え込み

「別に、特別何かする必要は無かろう。「綾崎ハヤテとしていられる時間」を贈ればいい」
「そっか」
「お前も知ってると思うが、あいつはしっかりした奴だ。でも、寂しがり屋な一面もある。生まれ変わったとはいえ、前世の記憶がある以上其処は変わらないだろう。だからこそ」
「ハヤテ君としていられる時間を私達が作るんだね」

フォローするようにルカが言うと、ナギは黙って頷いた。

一部始終を聞いていたハヤテは唇をかみつつ、胸の前で拳を強めに握りしめた。


                   × ×


ハヤテがトイレから戻って来た後、ケーキを切り分けて食べ始めた。
すると

「ねえハヤテ君。さっき何か言い掛けなかった?」
「え!?えっと」

少し悩んだ後

「何でもありません。 そんな事より、祝ってくれて、ありがとうございます」
「気にするな。な、ルカ?」

ナギが話しを振ると、ルカは泣いていた。

「お礼を言うのは、私達の方だよ。本当はね、こうやって直接お祝いしてあげるなんて、絶対に出来ない事だと思ってたから。だから、生まれ変わってくれて、ありがと」

子供の様にボロボロと泣くルカにハヤテもナギも暖かい笑みを浮かべ

「もう、泣かないでくださいよ」
「そうだぞ。折角のお祝いなのに、泣くなよ」
「・・そんな事言うナギだって、泣いてるじゃん」

指摘されたナギは気まずそうに

「う、煩い。お前が泣くからだろうが。 それに、私だってハヤテを大切に思う気持ちはあるんだ。そんな奴を祝えて、泣くなって言う方が無理だろうが」
「・・だね」

泣きながらケーキを食べる2人にハヤテは

「(これだけ僕を思ってくれる2人を、やっぱり悲しませる事は出来ない。今の両親にばれたら、その時はその時だ。今は、こうして2人といられる時間を大事にしよう。神様がくれた奇跡を、堪能しよう。だから、これからも会いに来るべきだね)」

こう思い、2人を宥めつつケーキを食べた。


-----------------------------------------------------------------------------------
以上です。

次回は未定です。

では。
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Re: 転生 (11月10日更新) ( No.26 )
日時: 2019/11/14 20:17
名前: どうふん


masaさんへ


以前の感想で「(両親が)ルカを嗅ぎつけるのも時間の問題」かと書きましたが、ハヤテの懸念ももっともです。
まあ、そうは言っても・・・それができるルカではないし、それがわかっているナギ、というところでしょうか。

その気持ちを受け止めて「これからも会うべき」、というハヤテの決意は正しくないかもしれませんが、心が完全に生前のものになっている以上、仕方ないですね。

神様がくれた奇跡か・・・。それは間違いないですが、本当に恩寵や福音であるのか、それとも気まぐれや悪戯なのか。
わざわざ性別を変えているところなど、どうも前者の疑いが消えないですが・・・。
それはこの後の展開を楽しみにしています。

                       どうふん






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Re: 転生 (11月10日更新) ( No.27 )
日時: 2019/11/16 19:15
名前: masa

こんにちはmasaです。

レス返しの更新です。


 ●どうふん さん

 ナギ「感想感謝するぞ♪」

 >>以前の感想で「(両親が)ルカを嗅ぎつけるのも時間の問題」かと書きましたが、ハヤテの懸念ももっともです。

 ハヤテ「ですよね。生まれ変わった僕の両親は普段が普段ですからね」

 >>まあ、そうは言っても・・・それができるルカではないし、それがわかっているナギ、というところでしょうか。

 ルカ「わ、私だって分かってるもん」
 ナギ「・・よく言うよ。私が止めなきゃ暴走しかねない程のくせに」

 >>その気持ちを受け止めて「これからも会うべき」、というハヤテの決意は正しくないかもしれませんが、心が完全に生前のものになっている以上、仕方ないですね。

 ナギ「まあな。ハヤテの決意が正しいか否かはこれからの私達次第だよな。 それより、今のハヤテの心は「完全に生前の物」じゃないぞ。「女の子の気持ちもある」って言ってたし」

 >>神様がくれた奇跡か・・・。それは間違いないですが、本当に恩寵や福音であるのか、それとも気まぐれや悪戯なのか。
  わざわざ性別を変えているところなど、どうも前者の疑いが消えないですが・・・。

 ナギ「それに関しては何とも言えんな」
 ルカ「作者さんのみぞ知る所、だね」

 >>それはこの後の展開を楽しみにしています。

 詳しくは言えませんが、ヒントを。 (>>20)のナギと沙羅の会話、及びこの先の話で「ハヤテが女の子に生まれ変わった理由」を推理出来るかと。


 感想ありがとうです〜♪

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Re: 転生 (11月17日更新) ( No.28 )
日時: 2019/11/17 12:15
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
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ここは沙羅が暮らす地域にある図書館。


現在沙羅は友人のヒマリと共に訪れていた。

「涼しいね〜、図書館」
「ですね。1度入ったら、外には出にくいですね〜」

外はかなり暑く、「熱中症注意報」が発令されるレベルの暑さだった。

「沙羅ちゃんは宿題の読書感想文、どの本で書くか決まってるの?」
「いえ、それがまだ。これから探そうかと」

図書館内を探していると「お薦め本のコーナー」があり、そのうちの1冊が何となく気になった。

「あ、その本。今凄く流行ってるんだって」
「確か、今度映画されるとかなんとか」
「うん、そうみたい。私のお母さんもそれ、読んでたよ」

ヒマリは母親から聞いた内容を思い出すように天井を見上げた後

「確か、主人公である女の人が大切な婚約者を亡くしちゃって、悲しみ中で生き続けてるんだよね。でも、その婚約者の人は生まれ変わってるんだよね。でも、折角生まれ変わったのに記憶が無くて、運命の悪戯で2人は会えないまま終わっちゃうんだよね」

話を聞き終わった後

「へ〜、そうだったんですね。 って、殆ど全部言っちゃ駄目じゃないですか」
「あ、ごめん」
「もう」

沙羅は本を元の場所に戻した後

「でも、悲しい終わり方ですね」
「うん。お母さんも読み終わった後、ずっと泣いてたよ。お母さんの友達で読んだ人も皆泣いちゃったみたい」
「そんなにいい本なら、映画化されても不思議は無いですね」

そう言った後、沙羅は

「(そう言えば。この映画の主演はルカさんだったはず。出来れば見に行きたいかな)」

こう思い、本来の目的である本探しに戻った。


                   × ×


一方。

「はい、カット。OKだよ、ルカちゃん」
「はい、ありがとうございます」
「良いよ良いよルカちゃん。まるで主人公が乗り移ったみたいな素晴らしい演技だね」

お礼を言いつつルカは

「(まあ、殆ど同じ様な体験をしているからね。違うのは、「生まれ変わった婚約者と再会出来た」って所だけど)」

こう思いつつ、流石に本当の事は言えないので誤魔化すだけにしておいた。


今日の撮影を終え、楽屋に戻ろうと歩いていると、マネージャが廊下で泣いていた

「マネージャーさん」
「え!?ああ、ルカさん。撮影終わったんですね。 お疲れ様です」
「あ、その本」

何故泣いていたのか気になったので聞こうとしたが、今自分が出ている映画の原作の本を読んでいた為だと気付き

「ルカさんが映画の主役に大抜擢されたのに、原作本を読んで無かったもんで、急いで読んでたんです」
「へ〜。真面目ですね」
「そんな。普通ですよ」

褒められて照れつつも

「ルカさんも読みました?この本」
「当たり前ですよ。このお仕事の話を貰った時、直ぐに買って読みましたから」
「へ〜。どうでした?」

ルカは思い出すように少し間をおき

「凄く、良かったです。私も泣いちゃいましたから」
「ですよね」
「(まあ、主人公が置かれてる現状が似すぎてて、感情移入出来たからって、言えないけどね)」

こんな風に思っていると

「あ、そうそう。ルカさん、今週末の仕事ですけど」
「ああ。花火大会の前座の奴ですね。それが何か?」
「その後の仕事が延期になりまして。つまり、その前座の仕事が終われば、後は自由時間になりました」

マネージャーの言葉にルカは目を輝かせ

「じゃあ、お祭りや花火を堪能出来るんですね♪」
「ええ。ただ、変装はしてくださいね。パニックになっちゃいますから」
「勿論ですよ〜♪」
「まあ、私は仕事なので、ルカさんだけでも・・聞いてないか」

鼻歌を歌うルカにマネージャーは自然と笑みがこぼれた。
一方のルカは

「(花火か〜。ハヤテ君と見られればいいけど、無理だよね。ま、1人でも楽しみますか)」

こう思っていた。


                   × ×


そして、花火大会当日。

「皆〜、今日はありがと〜」
「うおおおおお」
「この後は花火大会本番。そっちも楽しんでね〜」

ライブを終え、舞台裏に行くと

「お疲れ様です、ルカさん」
「はい、お疲れ様です」

マネージャーに挨拶されたので返した

「先日お話しした通り、この後は仕事ないので、ご自由にしててください」
「は〜い♪ あ、この衣装のままお祭りとか花火見物に行っても良いですか?」
「勿論ですよ。 っと言うか、主催者側はルカさんが望むならプレゼントするっておっしゃってましたよ」

マネージャーに言われるとルカは喜び、主催者を探してお礼を伝え、衣装をそのままもらう事にした。

祭り会場に来たルカは沢山ある屋台にテンションが上がり、

「(そう言えば。前もハヤテ君とこう言う所に来た事あったな〜。あの時は「頑張ったご褒美です」って言って沢山ご馳走してくれたんだよね。お金無いのに無理しちゃってたみたいだけどさ)」

懐かしさがこみ上げ、思わず泣きそうになったが、堪え

「さ〜てと、何処から回ろうかな〜」

思わず目移りしていると

「ルカさん!?」
「え!?」

呼ばれて思わず振り向くと

「あ、ハヤテ君」
「ルカさん、お祭りの方にも来たんですね。お仕事ですか?」
「ううん。今はプライベート。マネージャーさんに「自由時間だ」って言われたから、折角だからってね」

ルカが説明するとハヤテは納得した。

「ハヤテ君は?ご両親と一緒?」
「本当はその予定だったんですが、急な仕事が入っちゃったみたいで。泣きながら謝られましたよ。なので、友人のご家族と一緒です」
「そうなんだ」

するとルカはハヤテを少しの間見つめ

「こんな所でも会えるなんて、私達ってやっぱり「運命の赤い糸」で結ばれてるんだね〜」
「ちょ!?こんな所でそんな事言わないでくださいよ」

幸い、他の誰にも聞かれなかった。

「それより。ルカさん、浴衣なんですね。お似合いですよ」
「ありがと。まあでも、これはさっきの仕事の衣装なんだけどね。許可を得て貰っただけなんだよね」
「それでもお似合いですよ。流石ルカさんですね」

褒められたルカは照れつつ

「ハヤテ君も可愛らしい浴衣姿だね。似合ってるよ」
「まあ、これは両親が用意したものですけどね」

こんな風に会話していると、花火が始まった。

「綺麗だね」
「ええ」

少しの間花火に見惚れた後

「こんな風に2人で花火見るなんて、久しぶりだね」
「ええ。前世の僕が死ぬ前ですから、10年以上は経ってますね」

ルカは花火を見ながら、ハヤテだった時の日々を思い出していた。


                   × ×


話はハヤテだった頃、つまり沙羅になる前の頃。

「う〜。またハヤテ君とデート出来ない」
「仕方ないじゃないですか。お仕事なんですから」

ルカはハヤテとデートする約束だったのだが、仕事が入った為、キャンセルせざるを得なかった。

「・・じゃあ仕事辞めるもん。専業主婦になって、ハヤテ君支えるもん」
「駄目ですよ。応援してくれてるファンがですね」
「う、煩い!!ハヤテ君と比べたら、月とスッポンだもん」

ルカの愚痴にハヤテは溜息をつき

「大丈夫ですよ。今はアイドル稼業を頑張る時なんです。その内引退とかして、僕とかとの日々は、それからでいいじゃないですか。実際、伝説のアイドルと謳われる人も、結婚を機に引退して、それから家族との日々を送っている人もいるんです。一度も復帰せずにね」

ルカは誰の事を言っているのか直ぐに分かった

「僕達には時間がたっぷりあるんです。結婚してから、色々と考えましょ」
「・・ん!?それって若しかして」
「違いますよ。僕達がこの関係をこのまま続ければきっとくるであろう未来の話をしてただけです」

ハヤテの言葉につまらなさそうにしつつ

「まあ、こんな食堂でする事じゃないもんね。うん、そうだよね」

ルカはテーブルに突っ伏し

「(ハヤテ君の言う様に、時間はあるもんね。アイドルを辞めるのは、ハヤテ君と正式に結婚してからで、良いよね)」

こう思って、照れていた。


                   × ×


ルカがこんな風に思い出していると

「沙羅ちゃ〜ん。何処〜」
「あ、僕もう行かないと」
「そっか。会えて嬉しかったよ」

ハヤテは友人の元に行ってしまい、実質1人で花火を見始めた。

「(正直、何でハヤテ君が生まれ変わってくれて、記憶が戻ったかは分からない。でも、そんな事どうでもいいよね。当たり前に来るはずだった時間、当たり前に来るはずだった幸せ。それを今から手に入れられれば。例え、複雑極まりない、状況であってもね)」

ルカは時々ハヤテを見つつ花火を堪能した。


帰宅後、

「あり?ナギが居ないな。今日仕事だっけ?」

暫く考えても分からないので、使用人の人に聞くと

「お嬢様でしたら、出かけられてますよ。大事な用とか」
「へ〜」

その用事は分からないものの、敢えて聞いたりはしなかった。


-----------------------------------------------------------------------------------
以上です。

次回は続きです。

では。
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Re: 転生 (11月17日更新) ( No.29 )
日時: 2019/11/22 21:31
名前: どうふん

masaさんへ

う・・・ん。沙羅ちゃんの意識は完全にハヤテに思えましたが、そうとばかりでもないんですね。
確かに図書館のエピソードにはそんな感じもします。

そしてルカと二人の花火大会。これはもう何者かの意図(糸?)が働いているとしか思えないですね。
「実質一人」か・・・でも当人はそう思っていなかったと思いますよ。すぐ近くにいたみたいだし。

あとはナギ。さて何を企んでいることやら


どうふん




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Re: 転生 (11月17日更新) ( No.30 )
日時: 2019/11/23 18:45
名前: masa

こんにちはmasaです。

レス返しの更新です。


 ●どうふん さん

 沙羅「感想ありがとうございます♪」

 >>う・・・ん。沙羅ちゃんの意識は完全にハヤテに思えましたが、そうとばかりでもないんですね。
  確かに図書館のエピソードにはそんな感じもします。

 ナギ「まあな。前も言ったが、今のハヤテには「女の子の気持ち」があるからな」
 ルカ「ま、関係ないけどね」


 >>そしてルカと二人の花火大会。これはもう何者かの意図(糸?)が働いているとしか思えないですね。

 ルカ「でしょ〜♪まさしく「運命の赤い糸」だよね〜♪」
 ナギ「(偶然だと思うんだが。 まあ、それを言うほど野暮じゃないがな)」


 >>「実質一人」か・・・でも当人はそう思っていなかったと思いますよ。すぐ近くにいたみたいだし。

 ルカ「まあね。でも、声かけられなかったし、「夫婦の雰囲気」を出せなかったし」←不満げ。


 >>あとはナギ。さて何を企んでいることやら
  。

 ナギに関しては、次回のお話で触れてますよ。


 感想ありがとうです〜♪

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Re: 転生 (11月24日更新) ( No.31 )
日時: 2019/11/24 13:25
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
-----------------------------------------------------------------------------------

前回、ルカは仕事で花火会場に来た際、友人と来ていた沙羅に会った。 その頃のナギは・・。


「かんぱ〜い」

「今日は飲んじゃいましょう。って事で早速、男性陣に彼女はいますか?」
「ちょっと。最初は自己紹介からでしょ」

それぞれ自己紹介して行き

「三千院ナギです。こういう場は初めてですが、まあ、よろしくお願いします」
「水戸と言います。俺もこういう場は慣れてないというか」

水戸が名乗ると、ナギの隣の人が

「水戸さんは有名大学卒で、大手広告会社勤務のエリートらしいですよ」
「は、はあ」

ナギは適当に相槌を打ちつつ

「(やれやれ。私はやっぱりこう言う所は苦手だな。たいして知らない奴と飲み食いしながら色々と話すのは特にな)」

ナギはとある飲み会に参加していた。
何故人見知りするナギがこんな所にいるのかというと、話は数日前に巻き戻す必要があります。


                   × ×


数日前。

「では、今後ともよろしくお願いします」
「うむ。こちらこそよろしく」

ナギは三千院家の子会社に仕事の話をしに来ており、社長と話を丁度終えた所だった。
次の仕事の時間まで少しあるので、出してもらった紅茶で一息入れていると

「三千院様、少し宜しいですか?」
「ん!?なんだ?」

その会社の重役の人(女性)が来て、

「いきなりで不躾ですけど、今度の週末の夜って、時間取れます?」
「週末?まあ、特には無いが」

ナギが答えると、重役の人は目を輝かせ

「その日飲み会を開く予定なんですが、出来れば参加していただけませんか?」
「飲み会?私は酒飲めんぞ。それに、その」
「因みに、その飲み会は男女比を一緒にして楽しく飲み合いましょうって会です」

当たり前の様に補足され、

「それ、世間一般的には「合コン」って奴じゃ」
「まあ、そうとも言いますね。 それより、結婚とか恋人は」
「どっちも無いよ。そんなに興味ないし」

ナギが言うと、重役の人は驚き

「そんなにお綺麗なのに勿体無いですよ。是非とも参加してください」
「しかしなあ。第一、私の立場的に」
「大丈夫です。私以外は「大財閥・三千院家当主様」ってのは内緒にしますから」

ナギは頭を掻きつつ少し考え

「分かったよ。ただし、さっき言った「私の立場は内緒にする」これは絶対条件だ。少しでも仄めかす様なら、こことの契約は考えざるを得なくなるぞ」
「わ、分かりました」

三千院家という超取引先を失うのは即倒産に繋がりかねないので、何としても隠し通す事を決意せざるを得なかった。

こう言う訳なのです。


                   × ×


話は現在に戻します。

「(本当はこう言う所はあまり得意ではないんだが、仕方あるまい。こう言う所に参加して、交友の幅を広げたり恋人の1人位作れば、ハヤテもルカも安心させる事が出来るかもしれんな。頑張るか)」

前にハヤテに教わった「社会で役立つ会話術」を駆使し、何とか盛り下げる事も無く乗り切る事が出来た。


時間も時間なので取り敢えずお開きにし

「それでは、二次会に移行しようと思いますが・・」

飲み会を主催した重役の人は面々を見渡した後

「三千院さんはどうしますか?」
「う〜ん。明日も仕事だし、遠慮します」
「そうですか。では、行ける人は行きましょう」

ナギは挨拶すると、帰路に着き始めた。
すると、少し歩いた所で声を掛けられ、振り向くと先程の飲み会に参加していた水戸だった。

「さっきの飲み会、若しかして退屈でしたか?」
「あ、いえ。話は楽しかったですよ。ただ、初めてで不慣れだっただけです」
「それならよかったです。退屈させてしまったのではないかと、心配だったもので」

ナギは「気を使ってくれたのか?」っと感心していると

「自分はあまり三千院さんと話が出来ずに時間が来ちゃったので、なんか物足りなんですよね。出来ればまた会いたいなって。 それで、若し良かったら連絡先を交換しませんか?」
「へ!?」

ナギは少し考え

「まあ、構いませんが」
「本当ですか!?ありがとうございます」

2人は連絡先を交換し

「では次は2人で」
「へ!?ああ、はい」
「日時とかはまた後日連絡するので」

そう言って帰って行った水戸を見送りつつ

「(中々強引な奴だな。ま、いっか)」

深くは考えず、今度こそ帰路に着こうとしたが

「良いですよね〜」

重役の人が恨めし気に声をかけて来た。

「私なんか誰からも連絡先を聞かれなかったんですよ〜。二次会も結局女子だけだから、開催せずに解散ですよ〜」
「ああ、そう。取り敢えず、飲み過ぎだぞ」


                   × ×


後日。

「え!?飲み会に行ってたんですか?花火大会の日に」
「ああ、まあな」

家に来てくれたハヤテに話すと、ハヤテ(+ルカ)は驚いていた。

「飲み会の後、参加してた男の1人に誘われただけだよ。で、会う事になった」
「え!?何時、ですか?」
「今日の夜だよ」
「今日!?」

驚くハヤテは急に考え込み始めた

「えっと。飲み会に参加して、その後誘うって事は、えっと」
「それってデートだよ、ナギ」
「あ、やっぱりそうですよね。そうかなとは思ったんですが、確信が持てなくて」

ルカと結婚直前まで行ったとは言え、ハヤテはこの手の事に鈍いのを思い出し、ハヤテにこの話をしたのは失敗かなと思ったが、話が進まないので置いておく事にした

「でも、大丈夫なんですか?だって、ナギさんは」
「まあ、大丈夫だと思うぞ。相手は私の立場を知らんはずだし」
「「え!?」」

首を傾げる2人に

「飲み会を主催した奴に言っておいたんだよ。「私の立場は内緒にしろ」って。キツメに言ったから、話す訳無いしな」
「なら、大丈夫ですね」

そう言うと、ハヤテはナギを少しの間見つめ

「流石ナギさんですね。お綺麗に成長されましたから」
「そ、そうか!?//////////////////////」

ハヤテが褒めると、ルカは不満げに口を尖らせた。

「まあ兎も角、会うだけ会ってみるよ。どうするかはそれからだ」
「でも、珍しいね。当主様になったとはいえ、人見知りするナギが」
「まあ、ちょっとな」

複雑そうにハヤテを見つめるナギに、ルカは何となく察した(ハヤテは分かって無い)。

「まあ兎も角。会う以上少し位はお洒落した方が良いんじゃない?ちゃんとしすぎるのも駄目だと思うけどね」
「ええ、そうですね。お化粧もした方が良いと思いますよ」

ナギ自身も2人の意見に賛成だったが

「服は兎も角、化粧はした事無いな。教わった事も無いし」
「あ、そうなんだ。でも、困ったな。私もメイクしてもらう事は多々あるけど、自分じゃやった事無いし」

困る2人にハヤテが

「ナギさん、この前プレゼントしたお化粧品セット、持って来てください」
「え!?あ、ああ」

ナギは居間を出て行き、自室に保管していた化粧品セットを持って戻って来た。

「僕に任せてください」
「・・じゃあ頼むよ」
「あ、ルカさんは部屋を出てくださいよ」
「・・はいはい」

ハヤテが退出を命じてきた理由を直ぐに察し、ルカは居間を出た。

「大丈夫か?いくら今のお前が女とは言え、まだ小学生だろ?」
「前世の時にデパートの化粧品売り場で働いてた事があるので、技術はその時に習いましたよ」
「・・そうか」

ハヤテはナギのメイクを開始した
すると

「ナギさん、正直不安なんじゃないですか?」
「ん!?まあ、な」
「大丈夫です。ナギさんは人見知りはしてしまいますが、とてもいい人なんです。ナギさんの魅力は、分からない方がバカですし、それこそ腕のいい医者を紹介したくなる程ですよ」

ハヤテの言葉にナギはルカがこの場にいなくて良かったと思った。

「それに、僕が見た限りでは人を見る目はしっかりしています。自信持ってください。会えば分かる、ですよ」
「・・そうだな」
「はい、終わりました」

流石の手際で、話している内に終えていた。
ナギは鏡を見ると

「・・凄いな、流石ハヤテだ」
「お褒めに預かり光栄です」

許可を貰えたルカが居間に入って来ると

「おお〜。流石ハヤテ君。ナギの魅力が更に引き出されてる」

ルカにも褒めて貰え、ナギは時間になったので着替えて出かけて行った。

「ナギ、大丈夫かな?」
「大丈夫ですよ。ナギさんですから」
「・・だね」

ルカは今日も仕事の為、準備を始めていた。
すると

「あの、ルカさん。この機に聞いておきたい事があるんですが」
「ん!?なあに?」

ハヤテは少し間をおき

「ルカさんは、僕が死んでからの10年の間に、新しく恋人を作ったり、結婚したりとか、考えた事って、あるんですか?」
「え!?」


                   × ×


一方。

「お待たせしました」
「あ、待ってませんよ」

ナギが待ち合わせ場所に行くと水戸は既に待っていた。
ナギが声をかけると水戸はナギを見つめ

「な、何ですか?」
「いえ。以前もお綺麗でしたが、それ以上に綺麗なので、見惚れてしまって」
「はあ」

適当に返事しつつ

「(ハヤテに感謝だな。ハヤテのメイクのお陰だろうし)」

こう思っていると

「じゃあ、行きましょうか。車で来てるので」
「え!?あ、はい」

ナギは助手席に、水戸は運転席に座り、ナギがシートベルトを締めるのを確認すると、発車させた。


-----------------------------------------------------------------------------------
以上です。

次回は続きです。

では。
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Re: 転生 (11月24日更新) ( No.32 )
日時: 2019/11/24 23:17
名前: ささ

ささです。
ナギとしては「三千院家当主様」なんてのが合コンで知られたら逆玉の輿狙いの馬鹿が寄ってたかるだろうからね身分を明かさないことは絶対条件だよな。(そんなの漏らして三千院家との取引が無くなったら文字通りその会社は終わるけどね)
さて、ルカには核心をつく質問
答えによってはハヤテのお説(ry
ルカに関しては、前世でのナギとの間(下手しなくても)以上の爆弾でしょうから要注意(ある意味)ですね。このあとも楽しみにしています。
以上
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Re: 転生 (11月24日更新) ( No.33 )
日時: 2019/11/28 22:02
名前: どうふん


masaさんへ

え、ナギが合コン?それは意外。
しかもちゃんと的外れでない一般的な目的も持っているみたいで。
成果もあったみたいだし、うまくいくといいですね。

ところで、参加にあたり変装はしてたのかな。
してないと、誰かが気づく人間がいそうで。

                         どうふん
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Re: 転生 (11月24日更新) ( No.34 )
日時: 2019/11/30 14:55
名前: masa

こんにちはmasaです。

レス返しの更新です。


 ●ささ さん

 >>ささです。

 ルカ「感想ありがと〜♪」


 >>ナギとしては「三千院家当主様」なんてのが合コンで知られたら逆玉の輿狙いの馬鹿が寄ってたかるだろうからね身分を明かさないことは絶対条件だよな。

 ナギ「まあな。だから内緒にしろって言ったんだよ」


 >>(そんなの漏らして三千院家との取引が無くなったら文字通りその会社は終わるけどね)

 ルカ「だよね〜。三千院家を怒らして無事で済む企業や人なんていないよね〜」


 >>さて、ルカには核心をつく質問

 ルカ「ん!?何?」


 >>答えによってはハヤテのお説(ry

 ハヤテ「いや、僕はそんな事しないですけど」


 >>ルカに関しては、前世でのナギとの間(下手しなくても)以上の爆弾でしょうから要注意(ある意味)ですね。

 ルカ「だよね〜。今のハヤテ君である沙羅ちゃんの立場を考えれば特にね」
 ナギ「まあ、散々言い聞かせてるし、大丈夫だろ」


 >>このあとも楽しみにしています。

 ありがとうございます。ご期待に沿えるように頑張ります。


 感想ありがとうです〜♪










 ●どうふん さん

 ナギ「感想感謝するぞ♪」

 >>え、ナギが合コン?それは意外。

 ナギ「自分の事ながらそう思うよ。確かに意外だよな」


 >>しかもちゃんと的外れでない一般的な目的も持っているみたいで。

 ナギ「まあ、立場上不純な動機で参加するのもな」


 >>成果もあったみたいだし、うまくいくといいですね。

 それに関しては次回のお話にて。


 >>ところで、参加にあたり変装はしてたのかな。
  してないと、誰かが気づく人間がいそうで。

 ナギ「いや、してないよ。存在位は知ってるだろうが、顔や名前を知ってるのは会社でも上の方の人だけだからな。だから大丈夫だよ」


 感想ありがとうです〜♪

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Re: 転生 (12月1日更新) ( No.35 )
日時: 2019/12/01 12:55
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
-----------------------------------------------------------------------------------

前回、ナギは飲み会に参加した時にいた男性に誘われ、2人きりで飲む事にした。


一方その頃。

「え!?ハヤテ君、今なんて」
「ですから、新しく恋人を作ったり、結婚したりとか、考えた事あるのかと」

ルカは「信じられない」っと言った顔で

「そんなの、ある訳無いじゃん。何バカな事聞いてるの」

怒り気味に言った後

「ハヤテ君が死んじゃった後、ハヤテ君を想わない日は無かったよ。こうやって会いに来てくれる様になる前までね」
「・・そうですか」

複雑そうに言った後、ハヤテは続けた。

「ですが、ナギさんだって何時かは結婚する日が来るんですよ?今日の相手かどうかは兎も角。 結婚すれば、この家で暮らすようになるはずです。そうすれば、ルカさんは居辛くなってこの家を出て1人暮らしを始める事になるでしょうね」

ハヤテが言うと、ルカも複雑そうな顔になり

「そうだね。ナギが結婚してこの家で暮らし始めれば、私は邪魔以外何者でも無い。だから、安全性が保障されているマンションで1人暮らしを始める事になるよね」
「・・そうなったら、耐えられるんですか?」
「え!?」

首を傾げるルカに

「先程の言葉を考慮すれば、ルカさんはアイドルの仕事をしているとはいえ、ずっと1人で暮らす事になります。それこそ、死ぬまで。そんなの、耐えられるんですか?」

ルカは頭を掻きつつ少し考え

「それは、分かんないや。でも、幾ら寂しくても、大丈夫かもしれない。「仕方ない事だ」って思えばね」
「・・・」
「第一ね。私の「恋心」や「異性を好きだという気持ち」は全部ハヤテ君に捧げちゃったから。だから、もう私の中には残って無いよ、一欠けらだってね」

声色等から、ルカが嘘偽りの無い言葉を発している事が、ハヤテには直ぐに分かった

「だからね、ハヤテ君以外の恋人や、結婚相手はありえない。絶対を何千兆個付けても良いって断言出来る位」
「・・・」
「ん!?何か、言った?」

ぼそぼそと言われ、ルカが聞き返すと

「「ルカさんが僕以外の方を恋人にしたり、その方と結婚してても良かった」っと言ったんです」
「え!?」

ハヤテの言葉にルカには「歴史を根底から覆す大発見」をしたかの様な衝撃が走った。

「ルカさんの事は、前世だった時も生まれ変わった今でも、大切に思ってます。だからこそ、寂しい思いなんかしてほしくなかったんです。死んでおいてあれですけど」

ハヤテの言葉にルカは言葉を失ったままだった。
そんなルカに

「「幸せの形」は1つとは限りません。ルカさんが僕以外の人を好きなるというのも、それはそれで「幸せの形」なのかもしれません」
「でも、私の「本当の幸せ」は」
「でも、理由はどうあれ僕が死ななければ、こんな事にならなかったかもしれないんですよね」

ハヤテは長めの沈黙の後

「そうだね。それは全面的に肯定させてもらうよ」
「・・・」
「でもさ、ハヤテ君はこうして生まれ変わってくれた。女の子として、だけどね。 今はさ、これからの幸せを考えて行こうよ。それで万事解決だよ」

ルカは笑顔だったが、ハヤテは複雑だった。


                   × ×


ハヤテとルカが話している一方、ナギは

「じゃあ、取り敢えず俺は生で、三千院さんは」
「私は下戸なので、ソフトドリンクで」
「了解しました。それではお待ちください」

相手指定のお店に来ていた

「って、酒飲むんですか?私は免許無いから運転なんか出来ませんよ」
「大丈夫ですよ。代行業者呼ぶんで」
「はあ」

相槌を打ちつつナギは

「(こう言う大衆向けの飲み屋って初めて来たな。いかに私が一般的じゃないか分かるよな、こういう時)」

生まれてから現在に至るまで財閥の人間である事にこういう時には戸惑いを感じていた。

「注文は俺に任せてください。お薦めをドンドン頼んじゃうので」
「はあ」

また適当に相槌を打ちつつ

「(ハヤテと違って強引な奴だな。ハヤテは食べたい物を聞いてくれたり、苦手だったりする物を聞いてから頼んでくれるのに)」

こんな風に思っていると

「三千院さんって、誰かとお付き合いした事って、無いですよね?」
「へ!?ああ、まあ」
「やっぱりね。この前の飲み会で、恋愛に不慣れな感じがして、そこが良いなって思ったので」

相手の言葉に

「(そもそも、男を好きになるのだって、ハヤテが初めてだもんな。そして、今の所唯一になってしまった訳だが)」

こう思っていると店員が飲み物を持ってきたので、水戸は他の物を注文していた。


「いかがですか?濃い目の味付けですけど、そこがまたお酒に合うんです。下戸なのが勿体無い位です」
「まあ、美味しいですね」

取り敢えずは口に合うので、褒めてはいたものの

「(ハヤテやルカ、自分が作った物とは違うな。まあ、贅沢は言ってられんがな)」

こう思いつつ食べていると、水戸に見つめられている事に気付き

「な、何ですか?」
「なんか、食べてる姿も綺麗ですね。 隠そうと思っても、隠しきれてない上品さがあるというか」
「(まあ、幼少の頃から徹底的に教育されたからな。あの頃はたまらなく嫌だったが、こうして社会に出てみて役に立ったのか?)」


                   × ×


それから暫く経ち

「はい、もしもし」
『あ、ハヤテ君?今電話大丈夫?』
「今ですか?大きな声で話せませんが、平気ですよ」

現在の自宅に帰り、自室で予習(一応)していると携帯端末に着信があり、相手がルカだったので出た。

「ってルカさん、今はお仕事中じゃ」
『今は休憩時間だから平気。ってかそんな事より、SPさんに聞いたんだけど、ナギがまだ帰って無いみたいだよ』

ルカに言われ、ハヤテは部屋の時計を見た。

「まだ8時じゃないですか。普通にまだお店にいるのでは?」
『まあ、そうなんだけどさ』
「ナギさんだってもう立派に成人なさってるんですし、大丈夫ですよ」

電話越しに唸り声が聞こえて来たので

「やっぱり、心配なんですか?」
『そりゃあね。結構長く一緒に暮らして来た訳だし、ナギの立場を考えるとさ』
「大丈夫ですって。ナギさんだってご自分の立場を十分過ぎる位に弁えてますから、良い人か否かを見分ける能力は人一倍発達してますから」

ハヤテが言うと、ルカはまた唸った後

『分かった。ハヤテ君が言うなら、信じるよ。それに、私もナギの事を見て来たしね』
「ええ、そうですね」


                   × ×


一方、ナギは。

「(やれやれ。ハヤテと違って愚痴の多い奴め)」

酒が入ったからか、水戸が話すのは「世間話」等ではなく、「ただの口煩い愚痴」だった。
ハヤテに「社会に出たら、相手の愚痴に付き合うのも、必要な事ですよ」と教わっていたので、適度な相槌を挟みつつ取り敢えずは付き合っていた。

すると

「(やれやれ。オーダーした分は持って来ただろ。お前のミスだろ)」

店員に文句を言ったので、指摘こそしなかったものの、呆れていた。

「あの、飲み過ぎじゃないですか?」
「こんなの飲んだうちに入らないですよ」

また愚痴を再開したのでナギは呆れていた(顔に出さない様に)。


取り敢えずはお開きにし、会計をして外に出ていた

「いや〜、楽しかったですね〜」
「(ま、あれだけ愚痴を言えばな)」

また呆れていると車を止めた駐車場に来たので

「じゃあ、行きましょうか」
「なら、早く代行業者を呼ばないと」
「あ〜、大丈夫ですよ」

水戸の言葉にナギは睨みを利かせた

「この店来るとき結構この駐車場使うんですけど、帰りに検問や警察に出くわす事無いんで」

予想通りの言葉に、ナギは

「この程度の酔いなら運転を間違える事なんかないですよ。第一、代行業者が来るのを待つのはめんどくさいので、乗っちゃってください。何なら・・」

水戸の事を思いっきり殴り飛ばした

「な、何を!?」
「何!?この程度で済ましたんだ。寧ろ感謝してほしい位だわ」

ナギのドスの利いた声に驚いていた。

「私は嘗て、心から慕う大切な人を、交通事故では無いとは言え亡くした事がある」

ナギの言葉に更に言葉を失っているようだった

「分からないのか?お前のさっきの言葉が、如何に無責任なのか。同じ様な事を言って運転し、人を傷つけた大馬鹿者が何人いるのか知らんのか? 若しだ、それで人を轢き殺すような事があれば、お前は責任取れるのか?」

ナギの言葉に、ここに来てようやく俯いた

「取れる訳無いよな。大金を積もうが、罰を受けようが、生涯をかけて謝罪を繰り返そうがな。大切な奴を喪ってるから分かるよ。「人は死んだらそれまで」っと言う言葉の重みを。大奇跡が起きて、記憶を保持したまま生まれ変わらん限りはな」

ナギは背中を向け

「今回の事は、これで不問に期してやる。だが、次同じ様な事をしようとした時は覚悟しておけ。私にはお前は勿論、お前が勤めてる会社すらも、何とか出来る事を覚えておく事だな」

ナギは電話し、SPに迎えに来てもらう事にした。


                   × ×


帰りの車内。
ナギはハヤテに電話していた(勿論大丈夫なのを確認して)。

「すまんな、ハヤテ。折角お前がメイクしてくれたのに、駄目だったよ」
『ナギさんのお眼鏡に叶わなかったって事は、相手は碌な人じゃ無かったって事ですよ。ナギさんが謝る必要はありませんよ』
「・・そうか」

ハヤテの言葉にナギは強く安心出来た。

『ナギさんにはきっと、「運命の相手」が居ますよ。焦る必要は、無いと思いますよ。必ず出会えますって』
「・・お前とルカが出会えたみたいに、な」
『そ、それは』

照れてるのか、口籠るハヤテに

「お前はさ、ルカと出会った時、「運命」を感じたのか?」
『・・分かりません。ですが、告白され、付き合う様になってから「自分はこの先もこの人とずっといるんだろうな」って思ったのは事実です』
「だから順調に交際して、プロポーズしたのか」
『・・ええ』

ハヤテの言葉にナギは自然と笑顔になり

「ありがとうな、ハヤテ。 お前の両親に見つかると不味いし、切るな」

電話を切ると、ナギは窓の外に目をやり

「運命の相手、か」


帰宅後、ナギはテレビを見ながら寛いでいると

「あ、ナギ。帰ってたんだ」
「ああ。まあな」

帰って来たルカは直ぐに寛ぐナギを見つめ

「ナギ、大丈夫だった?」
「何がだよ。 まあ、今回の相手は碌なのじゃ無かった事だけは確かだよ」
「あっそ」


翌日、ナギの立場を知った水戸と直属の上司は菓子折り持参で謝りに来た。
当然の様に土下座してきたが、「もう不問に期したから謝る必要は無い。殴った事は悪かったな」っと言い、今後仕事の事以外自分に連絡して来ない事を条件に何もしない事にしたそうだ。


-----------------------------------------------------------------------------------
以上です。

次回は未定です。

では。
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Re: 転生 (12月1日更新) ( No.36 )
日時: 2019/12/06 21:47
名前: どうふん


masaさんへ

う・・・ん、デートらしきものに付き合ったということは、ナギも相手に悪い感情は持たなかったはずですが・・・。
何とも残念なやつでしたね。

デート相手に愚痴をぶちまけるとか店員さんに威張り散らすとか。
しかも今時、飲酒運転を平気でするとか、はっきり言ってクズですよ。
毅然と断らなければ、ナギまで共犯ですからね。

当方、ナギも好きなキャラですのでいつか幸せをつかんでほしいですが・・・。まだ道は遠いのかな。それでもハヤテのことを振り切ろうとはしているみたいですが・・・。


                                  どうふん
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Re: 転生 (12月1日更新) ( No.37 )
日時: 2019/12/07 21:25
名前: masa

こんにちはmasaです。

レス返しの更新です。


 ●どうふん さん

 沙羅「感想ありがとうございます♪」

 >>う・・・ん、デートらしきものに付き合ったということは、ナギも相手に悪い感情は持たなかったはずですが・・・。
  何とも残念なやつでしたね。

 ルカ「だよね〜。本当に残念極まりないよね」
 ナギ「全くだな」


 >>デート相手に愚痴をぶちまけるとか店員さんに威張り散らすとか。
  しかも今時、飲酒運転を平気でするとか、はっきり言ってクズですよ。
  毅然と断らなければ、ナギまで共犯ですからね。

 ルカ「本当に屑だよね。飲酒運転が散々騒がれてるのに。デートも最悪だったみたいだし」
 ナギ「まあ、何かする気はないがもう係わる事はあるまい」


 >>当方、ナギも好きなキャラですのでいつか幸せをつかんでほしいですが・・・。まだ道は遠いのかな。

 ナギ「そうか。ありがとうな。 まあ、幸せに関しては分からんよ。「結婚=幸せ」とは限らんからな」


 >>それでもハヤテのことを振り切ろうとはしているみたいですが・・・。

 ナギ「ハヤテ、か。それに関してはもう少し後で分かるらしいぞ」


 感想ありがとうです〜♪

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Re: 転生 (12月8日更新) ( No.38 )
日時: 2019/12/08 13:30
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
-----------------------------------------------------------------------------------

ルカの現在のマネージャーは幼馴染の運転する車に乗っていた。


「いや〜、良い天気だな〜。絶好のバーベキュー日和って奴だな」
「ああ、そうだな」

鼻歌交じりで運転する友人に

「あのさ。車買い替えたんだな。それに、積んであるテントも新品っぽいし」
「ああ。前の車もテントも大分ガタが来てたからな。この際だからって買い替えただけだよ」
「ふ〜ん」

暫く走った後

「でもさ、どうして誘ってくれたんだ?おまけにルカさんも誘え何て」
「あ〜」

友人は少しの間考え込んだ後

「まあ、気晴らしだよ。ルカさんだって仕事ばっかで大変だろうしさ。それに、お前だって仕事ばっかだろ?料理以外趣味ねえし」
「まあ、それならいいか。趣味が無いのも事実だし」

納得するマネージャーに

「(悪いな、嘘言って。お前自身気付いて無い様だが、お前はルカさんに恋愛感情を抱いてるよ。直接言ってもお前は否定するだろうし。だから、今回はそれを気付かせる為の計画何だ。悪く思わないでくれよ)」

密かにこう思っていた。

「で?肝心のルカさんは誘えたのか?」
「ん!?まあな。1日休みを取るのは骨が折れたが、事務所との交渉で何とかしたよ」
「そうか。ま、今日はアウトドアを趣味にしてる俺にドンッと任せなって」

そう言うと、マネージャーは話しかけて来なくなった。

「(お前は昔から真面目過ぎる程に真面目だったからな。だからこその危なっかしさもあった。幼馴染として、お前には幸せになって貰いたいと、本気で考えてるんだ。その為の憎まれ役なら、喜んでなるさ)」

信号待ちを利用して助手席の友人を見ると、ボーッと窓の外を見ていた

「(今回の計画は自分で言うのも何だが、割と完璧だ。何日もかけて練り上げたからな。大人気アイドルとの結婚は大変だろうが、そうなった時のサポートは俺が出来る限りするからよ)」

「ん!?何だよ」
「あ、何でも無いよ」

信号が青になったので、待ち合わせ場所まで車を走らせた。


                   × ×


待ち合わせ場所に着くと

「今日はよろしくお願いしますね」
「はい、こちらこそ」

ルカと共に沙羅もいた。

「あれ?他の方は一緒じゃないんですね?」
「ああ。急用で来られなくなったとか」

ルカとマネージャは会話していたが、沙羅とマネージャー友人は黙り込んでいた。

「こんな風にバーベキューするなんて初めてなので、昨日からワクワクしちゃって」
「そ、そうですか。まあ、ご期待に沿えるかどうか」

目を輝かせるルカにマネージャーは緊張気味で返した。

その後、ルカと沙羅は後部座席に座り、出発する事にした。


                   × ×


そして、目的地に着き、日除け用のテントも殆どマネージャー友人が1人で設置した。

「へえ。素晴らしい手際ですね」
「ああ。私の友人は昔からこういう趣味だったんですよ」
「へ〜」

素直に感心するルカに対し

「じゃあ俺達は受付に木炭取りに行ってきますね。おい、手伝え」
「え!?あ、ああ」

マネージャー友人は受付近くに着いた途端、マネージャーの肩を掴み

「おい、どういう事だ!!」
「な、何がだよ」

分かって無い友人に

「何でルカさんの親戚の子がいるんだって事だよ」
「何でって。お前がルカさんに「気晴らしに皆で楽しくバーベキューをする計画があるんですけど、ルカさんもどうですか?」って誘えって言ったから。だからルカさんは沙羅ちゃんを誘うって流れになっただけだが」

真面目に言う友人に

「まあ、そうなんだけどよ」
「な、何か不味かったか?」
「あ〜、何でも無い」

頭を掻きつつ言い、

「(まあ、良い。一応こういう時の為の計画も練ってあるし、「3人で」って計画を変更すればいいだけだ)」

こう考え、考えてあった計画を思い返し始めた。

一方

「あの、ルカさん。もっと沢山の人が来るって話のはずじゃ」
「う〜ん。そのはずだったはずなんだけど。まあ、急用とか出来て来られなくなっちゃっただけじゃない?」
「なんだか僕、明らかに場違いな気がするんですが」

気にする沙羅に

「まあ、いいんじゃない?普通の楽しめば。マネージャーさんは良い人だし、あの友達も良い人みたいだし。大丈夫でしょ」
「は、はあ」

そう言われたものの、気まずさを気にしていると、マネージャーとその友人が戻って来た。

「まあ、気持ちを切り替えてバーベキューに取り掛かりましょう。火つけ等はルカさん、手伝ってください」
「あ、はい」
「お前は料理を頼むぞ」
「了解」

それぞれ返事をしたが

「あ、でも。私火おこしなんてやった事無いですけど」
「最近は性能の良い着火剤があるので、初心者でも大丈夫ですよ」
「成程」

納得しつつ

「ところで。バーベキューって事はお肉や野菜を焼いたり、最後は焼きそばって流れ何ですよね?」
「今回はそれはベタ過ぎるので、料理が得意なこいつに任せる事にしてるんです」
「へ〜」

話がある程度纏まったので

「あの。b・・私は何をすれば」
「沙羅ちゃんは危ないから、ただ待ってるだけでいいよ」

そう言われ、沙羅は現状を考え始めた。

「(休日、野外、手の込んだ料理。  これって)」

少し考えた末

「(ルカさんとマネージャーさんをくっつける為のイベントなんじゃ)」

改めて言おう。現在のハヤテは女性である。
生まれ変わっても相変わらずその手の事には鈍感だが、「女の勘」が働いて正答に辿り着く事もあるのである。

「(若し仮にそうだった場合、僕が来た事は明らかに予想外。あの2人にその気があるかは別として、あの友人の人はきっとそう)」

ここまで考えると、自然と

「(やっぱり僕って、邪魔でしかないな。でも、今の僕じゃこっそり帰るなんて、無理だし)」

こういう考えに行きつき、周囲を見渡すとマネージャーが大変そうにしてたので

「手伝いますよ」
「へ!?そう言う訳にはいきませんよ。それに、指とか切っちゃったら大変ですし」
「大丈夫ですよ。家でもお手伝いしますし。割と得意な方ですよ」

マネージャーは少し考え

「じゃあ、お願いしますね。本当に簡単なのだけ」
「ええ」

自分を手伝ってくれる沙羅の手際を見て

「(凄いな。この子は、将来良いお嫁さんになれるかもしれないな)」

素直にそんな感想を持ったそうだ。


                   × ×


そして料理も完成し。

「いかがですか?」

自作の料理を食べるルカにマネージャーは緊張しながら聞いていた。

「美味しい」

1口食べたルカは素直にこう言い、

「このパエリア、お米の硬さも味付けも丁度良くて美味しいです」
「そうですか。良かった」

その後も堪能し

「いや〜。パエリアもアヒージョもあまり食べた事無いんですけど、とても美味しかったです」
「お口に合ったのなら何よりですよ」

素直に喜びあうルカとマネージャーに

「(ここまでは順調だな。性格も良くて家庭的な事も得意。見た目も結構良い。ルカさんへのこいつの良さアピールは順調と言える。おまけに沙羅ちゃんと一緒に料理した事によって、子供にも優しく出来る所をしっかりアピール出来た)」

計画が順調な事に内心ほくそ笑み

「あ。悪いんだけど、飲み物を切らしちまったから、買いに行ってくれねえか?ルカさんと2人でさ。後片付けは俺に任せてさ」
「へ!?2人で?別に私1人でも」
「1人だとあれだろ?だからさ」

2人きりにして良い雰囲気を作り、ルカへの想いを自覚させようと画策する友人の気持ちを知る由も無いマネージャーは

「良いよ、私1人で行くよ。ルカさんは、寛いでてください」
「(あ、おい)」

結局1人で行ってしまい

「(ま、いっか。また何とかすればいいわけだし)」

今日の所はもう諦め、後片付けをする事にした。


                   × ×


一方。

「マネージャーさん」
「あれ?沙羅ちゃん、どうしたんですか?」
「お手伝いしますよ。やっぱり1人だとあれ何で」

沙羅の申し出にマネージャーは少しだけ悩んでから

「じゃあ、お願いしますね」
「はい」

少しし

「あれ?自販機って、何処だっけ?」
「え!?覚えてないんですか?」
「さっきはあいつに着いて行っただけですからね。 方向感覚には自信あったんだけどな〜」

頭を掻きつつ困り気味に言って来たので

「携帯で場所を聞けばいいんじゃないですか?」
「あ。これはうっかり。   あ」
「まさか携帯も忘れたなんて」

沙羅のツッコミに

「まさにその通りでして。こりゃマネージャー失格だな、幾らプライベートとは言え」

自虐気味に言うと、悪い事は重なる物で、雨まで振り出した。


-----------------------------------------------------------------------------------

ここでマネージャーとその友人の超簡単なプロフィール紹介。


 森谷圭一(もりや けいいち):ルカの現在のマネージャー。スケジュール管理や次の現場への移動は完璧にこなしている。料理が趣味。独身で、恋人も無し。


 笹森雄一(ささもり ゆういち):圭一とは幼馴染。普段は大手企業勤務のサラリーマン。アウトドアの趣味があり、かなりのレベル。因みに独身。


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以上です。

次回は続きです。

では。
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Re: 転生 (12月15日更新) ( No.39 )
日時: 2019/12/15 12:00
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
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前回、ルカ達はバーベキューに来たが、色々あって沙羅とマネージャー、ルカとマネージャー友人っと言う風に別々になってしまった。


沙羅と森谷マネージャーは屋根付きの簡易の休憩室のような場所で雨宿りをしていた。

「雨、強くなってきてしまいましたね」
「ええ」

ここに避難する前は多少降っている小降り程度だったが、今はしっかり目に降っていた。

「沙羅さん、すみませんでした。私が道に迷ったうえ、携帯も忘れてしまったのが原因ですし」
「謝らないでください。この雨は誰のせいでもありませんから」

雨足は一行に弱まらず、強くなっているのではないかと、錯覚する程だった。
暫くの間、無言が続いたが

「あの。この際だから聞きたい事が」
「何でしょう?」

沙羅は森谷マネージャーの様子を確認しつつ

「ルカお姉さんの事、どう思っているのか、正直に教えてほしいんです」
「え!?」

驚く森谷マネージャーに沙羅は真っ直ぐ顔を見つめ

「気に障ってしまったのなら、謝ります。ですが、そう言うのが気になるお年頃なんです」
「は、はあ」

沙羅は自分が「小学生の女の子」っと言う立場を利用する事にし、森谷マネージャーの本心を引き出す事にした。

「もし、森谷さんがルカお姉さんの事を好きなら、それがどう言う意味の好きなのか、教えてください」

沙羅の好奇心に満ちた顔(演技で出してる)に森谷マネージャーは天井を見つめ、考え込み始めた。


                   × ×


一方。
ルカと笹森は乗ってきた車に避難していた。

「雨、結構降ってきちゃいましたね」
「ええ、そうですね。2人とも大丈夫だと良いんですけど」

屋根やフロントガラスに当たる雨音は割としっかりしており、心配するのは当然だった。

「でも、きっと雨宿りしてますよ。何処かは分かりませんけど」

ハヤテの有能さを知り尽くしているので、自然とこんな事を言えていた。
一方の笹森は

「(やれやれ。ルカさんの大ファンの俺としては、この上なく嬉しいシチュエーションだが、そんな事を思ったりして良い状況じゃないしな)」

色々と複雑だった。

それを知らないルカは、車窓から見える雨を見て

「(そう言えば。ハヤテ君と付き合い始めて、やっとデート出来た時も、急な雨に見舞われたんだよね。それでその時・・)」

「ん!?どうしたんですか?」
「あ、何でも無いですよ」

急に様子が変わったルカが気になり聞いたが、誤魔化された。

「(服が透けちゃって下着見られちゃった事あったよね〜。まあ、その時は可愛いの付けてたら良いんだけどさ)」

恥ずかしいやら懐かしいやらの思い出を思い返していた。

一方の笹森は会話が途切れてしまい、どう会話すべきか悩んでいると

「(待てよ。この機にルカさんの恋愛観を聞きだせば、今後の作戦に役立つかもしれないな)」

こう思い、出来るだけ失礼にならない質問表を脳内で作成し

「あの、水蓮寺さん。こんな時に何ですけど、聞きたい事が」
「何でしょう?答えられる範囲で良ければ」

ルカの返事に笹森は安心し

「アイドルの恋愛観について、お聞きしたくて」
「え!?」
「あ、お気を悪くしたのなら土下座位喜んでします。ですが、貴方のファンとして、聞きたいんです。アイドルって、基本的に恋愛禁止ですから気になっちゃって」

聞かれたルカは車窓からを外を見て、少しの間考え込んだ後

「口は、堅いですか?約束は、守れる人ですか?」
「自分で言う以上説得力は無いかもしれませんが、堅いですし守れます。必要であれば如何なる拷問でも口を割らない自信があります」

笹森の顔付に、ルカは「信用出来る」っと判断し

「私には恋人がいた事があるんです」
「え!?」
「勿論周りの人や事務所にも内緒で付き合ってましたけどね」

一旦間をおき

「その人にはプロポーズもされて。つまり、結婚直前まで行った程でした」

驚く笹森にルカは続けた

「でも、その人とは結婚出来なかったんです」
「ま、まさか」
「その人は、婚姻届けを出す前に死んじゃったんです。それも突然」

悲しそうに言うルカに、笹森は返す言葉が見つからなかった。

「ファンなら、気付いていたかもしれませんよね?ある時を境に私が暗くなった時があるって」
「ええ。じゃあまさか」
「その婚約者を喪ってしまったからです。そのショックから、立ち直る事がどうしても出来なかったからですよ」

こう言った後、少し間をおき

「まあでも。今は何とかなったんですけどね」
「そうですか」

流石に「生まれ変わって、前世の記憶が蘇って会いに来てくれたから」っと言っても信じて貰えないので、そこは黙っておく事にした。

「その人って、どう言う人だったんですか? あ、記者みたいで申し訳ないですけど」
「どんなって」

良い所を知り過ぎているので、どれをチョイスすべきか少しだけ悩んだ後

「とっても優しい人ですね。それに一切の見返りを求めない位。困っている人がいれば、ただ黙って手を差し伸べられる。その手を払い除けられたとしても、何度だって手を差し伸べられる人です」

黙って聞く笹森にルカは続けた。

「それに、どことなく私と似てるんです。大変な運命を背負っているのに、それに負けないで自分を変えないで。今思えば、好きになっちゃうのは当たり前だったんですよね」

何となく寂しそうに言うルカに

「若しかして、今も」
「はい。死んじゃってからも、想わない日はありませんでした。毎日毎日。 夢に出て来てくれた事も、数えられない位ありました。その人の事は、今でもどうしようもない程に、大好きなんです」

ルカの言葉に笹森は

「(こりゃ無理だな。相手が死してなお、ここまで想えるなんて)」

諦めかけたが、

「(でも、死者を思い続けても何にもならない。その為には、俺が何とか出来るなら、何とかしたいもんだな)」

只の自己満足かもしれないと自覚しつつも、ルカや友人の為にも、またあれこれ考える事にした。

すると

「雨、止みそうにないですね。傘有ります?」
「え!?ああ。折り畳みで良ければ、2つ」
「じゃあ私探してきますよ」

車を降りそうになったルカに

「あ。それなら俺が」
「いえいえ。私が行きたいだけですから」

そう言うと、傘を差してもう1つを持って行ってしまった。

「(今日聞いた事は、永遠に黙っておくかな。それが最善だよな)」

「(ハヤテ君の話したら、会いたくなっちゃった。何処かな〜)」

それぞれこんな事を思っていたそうだ。


                   × ×


一方。

沙羅に聞かれた森谷マネージャは、長めの沈黙の末

「好きかどうかと聞かれれば、それは好きですよ。ただ、それは人として。って意味ですけどね」
「・・・」
「ルカさんを初めて見た時、「なんて凄い人なんだろう。まるで神様みたいだ」って思いました。純粋なる崇拝って奴ですね」

そう言うと、少し間をおき

「今の事務所に入ったのは、ルカさんへの憧れから「こんな風なアイドルの人達をサポートしたい」って思ったからなんです。まさかルカさん本人を担当させてもらえるなんて夢にも思いませんでしたけどね」

照れる様に言われ、更に

「ルカさんを間近で支えさせてもらって、思ったんです。「この人は100年に一度出るかどうかの奇跡のようなアイドル」だって。そんな人に、恋愛感情なんか持てないですよ。この先もずっと」

本来は安心するべき言葉のはずだったのだが、沙羅は説明のしようのない謎の感情が沸き上がって来た。

「これは、ただの自己満足、自分勝手な思い込みなのは分かってます。ですが、ルカさんは「綺麗なイメージのままでいてほしい」って思ってるんです。沙羅さんは分からないかもしれませんが、「たった一度の恋愛」で捨てられてしまうのがアイドルという世界なんです」

ルカと付き合い、仕事を手伝う事もあったハヤテにはそれは十分に分かっていた。

「きっと、ルカさんは「結婚したとしても影響はない」とは思いますが、それでもやっぱり「綺麗なイメージ」が良く似合うと、思ってしまうんです。その為なら、たとえルカさん本人に嫌われてでも、守りたい。どんな汚れ役でも引き受けよう。そう思ってます」

純粋すぎる言葉に沙羅は

「(若し、ルカさんと今の僕の本当の関係を知られれば、この人はショックだろうな。今の僕は小学生の女の子な訳だし。ばれる様な事があれば、ルカさんのイメージは「最悪その物」になっちゃうから。でも、会わないって事は出来ないんだよね)」

改めてルカと自分自身との関係の複雑さを思い知り、ばれないように一層努力しようと誓った。

すると

「あ、2人ともここにいたんだ」
「ルカさん。どうしてここに」
「雨が降ってるから迎えに来たんですよ」

持ってきた傘をマネージャーに渡し、沙羅は自分の傘に入れた。

「フフッ♪ハ〜ヤテ君♪」
「・・他の人がいる時はそう呼ばないでくださいよ。 で、何か?」
「何でも無〜い♪」

何故か機嫌の良いルカに沙羅は首を傾げるばかりだった。


                   × ×


ルカも沙羅も送ってもらい、分かれ道

「今日はありがとうございました。態々来てもらって、嬉しかったです」
「こちらこそ、楽しかったです。誘っていただいて、ありがとうございました」

笹森とルカが話している一方、森谷マネージャーは沙羅に

「今日あの小屋で話した事は、ルカさんには内緒にしててください。嫌がられるかもしれないので」
「はい、分かりました」

こう話し、指切りをした。


-----------------------------------------------------------------------------------
以上です。

次回は未定です。

では。
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Re: 転生 (12月15日更新) ( No.40 )
日時: 2019/12/20 23:05
名前: どうふん


masaさんへ


なんとなくほっとしました。
マネージャーはもちろん友人もまともな人間だったんだな、と
ナギの例もありますので・・・。

とはいえ、この先に進むのが大いに難しいことも再確認できました。
マネージャーは純粋すぎるし、おそらくはそれ以上にルカの気持ちにブレがない。

ところで、一方の沙羅ちゃんの「説明のしようのない謎の感情」というのは気になりますね。
立場が変わってしまった現時点におけるルカの幸せを想ってのことか・・・、とは思いますけど。


                             どうふん
                                 
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Re: 転生 (12月15日更新) ( No.41 )
日時: 2019/12/21 15:20
名前: masa

こんにちはmasaです。

レス返しの更新です。


 ●どうふん さん

 ナギ「感想感謝するぞ♪」

 >>なんとなくほっとしました。
  マネージャーはもちろん友人もまともな人間だったんだな、と
  ナギの例もありますので・・・。

 まあ、何だかんだルカは人間関係は恵まれてますからね。変な人は来ませんよ。

 ナギ「まあ、私の場合は特例だっただけだな」


 >>とはいえ、この先に進むのが大いに難しいことも再確認できました。
  マネージャーは純粋すぎるし、おそらくはそれ以上にルカの気持ちにブレがない。

 ルカと森谷マネージャーに関しては、この先の話を見てもらうしかありませんね。ネタバレになってしまいますし。

 ナギ「まあ、ルカに関しては変わらんだろ。だって10年もだぞ」
 ルカ「まあね〜」


 >>ところで、一方の沙羅ちゃんの「説明のしようのない謎の感情」というのは気になりますね。
  立場が変わってしまった現時点におけるルカの幸せを想ってのことか・・・、とは思いますけど。

 ナギ「それに関しては、「想像にお任せします」って事なんじゃないか?あいつ自身も分からんだろうしな」


 感想ありがとうです〜♪

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Re: 転生 (12月22日更新) ( No.42 )
日時: 2019/12/22 11:50
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
-----------------------------------------------------------------------------------

ルカは現在とあるテレビ局に来ており、楽屋でマネージャーと打ち合わせをしていた。


「では、本日の仕事はこんな感じです」
「分かりました。 あ、そうだ。マネージャーさん」
「はい?」

楽屋を出ようとした時声を掛けられ、振り返るとルカは笑顔で

「先日はバーベキューに誘っていただいてありがとうございます。お料理とっても美味しかったです」
「いえいえ。こちらこそ、態々来ていただけて嬉しかったですよ」

お互いに笑顔を向けあい、

「つかぬ事を窺いますが、沙羅さんから何かを聞いてたりとか」
「何かって、何ですか?」
「あ、いえ。何でもありません。忘れてください」

ルカの様子から小屋での一件を聞いて無い事は分かり、誤魔化した。

「それより。 沙羅さんは凄いですよね。難しい料理の仕込みも見事な手つきでこなして。私より凄い位ですよ。それに飲み物の買い出しも率先して手伝ってくれて。大人になったら良い奥さんになれるんじゃないかって素直に思いましたから」

森谷マネージャーの言葉にルカは

「(まあ、ハヤテ君の料理は世界一美味しいもんね。優しさだって飛び抜けてるし。同性夫婦として将来楽しみだよ)」

こう思い、思わず笑みをこぼした。

「あの、ルカさん?」
「あ、すみません。 そこまで褒めて貰えると・・親戚として鼻が高いですよ」

思わず「妻として」っと言いそうになったが、慌てて修正した。

「それより。マネージャーさんが羨ましいですよ」
「え!?何がですか?」
「あれだけ料理が上手な事ですよ。私はあんまり得意じゃないので」

ルカが言うと、マネージャーは首を傾げた。

「あれ?でも、あのお弁当は」
「ああ、あれですね。 まあ、いいじゃないですか」

「ハヤテに作って貰ってる」とは流石に言えないので、誤魔化し

「普段は私と同居人が交代で作ってるんですけど、お互いに最近まで殆どやって来なかったせいでどっちも不得手で。別に不味くは無いんですけどね」
「そうだったんですか」

合いの手を入れたマネージャーに

「(実際、ハヤテ君と付き合う前も全然料理しなかったし、付き合った後もハヤテ君が作ってくれてたからね。本当に時々教えて貰ってた程度だもんね。ちゃんとやっときゃ良かったよ)」

自身に呆れつつもルカはこう思っていた。

すると、スタッフが楽屋に来てスタンバイをお願いされたので、一緒に楽屋を出てスタジオに向かった。


                   × ×


一方その頃、ナギは。

「では、今後ともよろしくお願いします」
「うむ。こちらこそ」

ナギは出張で茨城に来ており、丁度仕事話を終えた所だった。

「あ、そうそう。紹介したい人がいるですが、構いませんかな?」
「ん!?別にいいぞ」

相手の社長さんが呼ぶと、若い男性が部屋に入って来た。

「紹介します。私の息子で、この会社の後継者です」
「そうか」
「今日は休みだからのんびりしようと思ったのに」

社長の息子は半ば乱暴に社長の隣に腰かけつつ愚痴を言っていた。

「態々呼び出したりして何の用だよ」
「何を言ってる。私も引退までそんなに間が無い。だから大事な話だよ」

社長に言われ、面倒くさそうに頭を掻き

「で、あんた誰だ?」
「馬鹿者。この方をどなたと心得る。三千院家の当主様なんだぞ」
「え!?これは失礼した。財閥の当主何て爺さんかブクブク太ったおっさんかと」
「すみませんね。息子は仕事は出来るんですが、口が悪くて」

へこへこする社長にナギは

「気にするな。謝る必要は無い」
「あの〜、すみません。 ほら、挨拶せんか」
「あ〜、どうも。息子の蓮司っす。 まあ、仲良くしてください」

社長は息子を睨んでいたが、ナギは全く気にしてなかった。

「すまんが、蓮司さんとも仕事の話をさせて貰えんか」
「え!?私は構いませんが」

蓮司の方は明らかに乗り気じゃなさそうだった。

「時間はとらせんよ」
「分かりました。蓮司、失礼の無い様にな」

そう言うと社長は出て行った。

「じゃあまあ、早速」
「ヘイヘイ」


                   × ×


仕事の話を終え、ナギは海岸近くの喫茶店で一息入れていた。

「(やれやれ。あいつはずっと不愛想だったな。折角の休日を潰されたんだから、分からんでもないがな)」

仕事の話はちゃんと出来たが、蓮司は機嫌悪そうにしていた。

「(でも、あいつは口は悪かったが、何というか)」

考えつつ窓の外を見ると、埠頭に蓮司がいて、釣りをしていた。

「(あいつは。 折角だし、もう少し話してみるか。その上で今後どうするか決めればいいし)」

ナギは会計し、外で待っていたSPをその場で待たせて蓮司の元に向かった。

「おい」
「ん!?ああ、あんたか。当主様がこんな所来ていいのか?危ないんじゃねえの?」
「気にするな。危ない目は慣れてる」
「ああ、そう」

ナギとは目を合わせようとせず、ぶっきらぼうに返していた。

「なあ。さっきなんだがな」
「・・気に障る事、したか?なら謝るよ。 声をかけて来たって事は」
「違うよ。今後も良い付き合いをする為に、世間話をしに来ただけだ」

ナギが言うと、蓮司は短く息を吐き

「気になるんだろ?大きな会社の跡取り息子がこんなんなのが」
「・・・」

「俺は昔から「会社社長の息子」っと言う目で見られてきた。子供の頃からな。 それが嫌だったわけじゃない。でも、普通の友達付き合いとかしたいのに、難しかった。だから、そう言う目で見られない為に態と悪い口調で話したりぶっきらぼうな態度を取ったり。でも、そのおかけで臨む通りの生き方が出来た。 まあでも、そんな事してたせいでこんな風な生き方しか出来なくなっちまったのさ」

ナギは蓮司の気持ちが何と無くで理解出来た。ナギも「三千院家の令嬢」っと言う立場な為、色々あったからだ。

「気にするな。お前の事、咎めたりしないよ。仕事の事もな」
「・・そうか」

会話が途切れたので、ナギを海を見て

「釣れてるか?」
「いんや、全然。まあ、釣りはついでなんだけどな」
「へ!?」

間の抜けた声を出したナギに

「ダチを待ってた。そっちが本来の目的だよ」
「ふ〜ん。で、ダチとやらは何処にいるのだ?」

ナギが聞くと、蓮司は海を指さした。

「もう8年前だ。 そのダチは釣りが異様に好きでな。その日も小舟に乗って釣りに出かけた。だが、未だに帰って来ないのさ」

蓮司の言葉にナギは黙り込んだ

「そいつが出た後、海が荒れた。周りの奴らは波にのまれたか転覆して亡くなった。って言ってる。すでに葬式も済ませてるが、俺は信じてないのさ。何時の日か「何で俺が死んだ事になってんだよ!!」って文句を言いに帰って来るって信じてるのさ」

言い切ると、少し間をおき

「バカだよな、俺。そんな事信じてるの、俺だけなのに」
「・・バカだなんて思わないよ。きっと、帰って来る事もあるさ」
「・・だと良いがな」

ナギはハヤテを喪い、形はどうあれ再び自分達の前に現れたからこそ、自信を持って言えていたのである。
そして、

「(やっぱりこいつ、ハヤテに似てるな。あいつが口が悪くてぶっきらぼうだったら、まさにこいつだな。少し違うがな)」

こう思っていた。


車の所に待たせていたSPの所に行くと、蓮司が声をかけて来た。

「若し、あんたが迷惑じゃ無かったら、仕事関連の電話、して良いか?勿論時間とか弁えるさ。俺、親父の後を継ぐ気はちゃんとあるからさ」
「当たり前だ。お前のとことの契約は、打ち切るつもりはないからな」
「・・そうか」

SPは了承を得ると、発車させた。


                   × ×


一方。

ルカは本日の仕事を終え、マネージャーに送って貰っていた。
その道中

「すみませんけど、スーパーによって貰えませか?」
「構いませんが、どうなさるんですか?」
「安売りのお弁当とか買おうかなって」

ルカが言うとマネージャーは驚き

「え!?でも、自炊してるって」
「ああ。今日は同居人が帰りが遅いので、お弁当とかで良いかなって」

そう言うと、マネージャーは

「駄目ですよ。お弁当を否定する訳ではありませんが、良くないと思いますよ」
「でも」
「何でしたら、私が作りましょうか?勿論、お作りしたら直ぐに帰りますから」

マネージャーの提案にルカは

「良いんですか?ご迷惑なんじゃ」
「気にしないでください。担当のアイドルの健康管理も仕事の一環ですし」

そう言われたルカは少し考え

「じゃあお願いします。 あ、でも。冷蔵庫に食材入ってたかな?」
「まあ兎も角、スーパーによりましょ。今からじゃ少し回り道になりますが」
「そうですね」


                   × ×


一方の沙羅は、三千院家からさほど離れていない道路を歩いていた。

「(そう言えば。ナギさんは今日茨城に出張で遅くなるって言ってたな。って事は、ルカさんの事だから「スーパーの安売り弁当」で済ませそうだな。パパもママも遅くなるって言ってたし、何か作りに行こうかな)」

流石と言うべきか、ルカの考えを読んでいた。その為、三千院家に向かっていた。

すると、車のクラクションが聞こえ、横を見ると車が止まって

「お〜い、h・・沙羅ちゃ〜ん」

ルカが窓を開け、車内から手を振っていた。


-----------------------------------------------------------------------------------
以上です。

次回は続きです。

では。
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Re: 転生 (12月22日更新) ( No.43 )
日時: 2019/12/28 09:11
名前: どうふん

masaさんへ

蓮司さんの意外な一面。そっちの方が本当なんでしょうけど。
しかしある意味やさぐれていた男が事実上初対面の相手にこうもあっさりと内面をさらすのは、よほどナギに心を許させる何かがあったのか。
永年、当主の役割を果たしてナギに人徳が備わってきたのかもしれないですね。

おお・・・、ルカがマネージャーとはいえ、やましい目的は皆無とはいえ男を部屋に連れ込もうとしている。
そればかりかハヤテを見かけても悪びれることなく「沙羅ちゃーん」か。
ハヤテの複雑な表情が目にうかぶような・・・

                        どうふん



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Re: 転生 (12月22日更新) ( No.44 )
日時: 2019/12/29 13:25
名前: masa

こんにちはmasaです。

レス返しの更新です。


 ●どうふん さん

 沙羅「感想ありがとうございます♪」

 >>蓮司さんの意外な一面。そっちの方が本当なんでしょうけど。

 ナギ「だろうな。接してみてそう感じたしな」


 >>しかしある意味やさぐれていた男が事実上初対面の相手にこうもあっさりと内面をさらすのは、よほどナギに心を許させる何かがあったのか。

 ルカ「ナギ自身は人見知りだけど、ナギってそう言う所あるでしょ?私だってすぐに仲良くなれたし。だからだと思うよ」


 >>永年、当主の役割を果たしてナギに人徳が備わってきたのかもしれないですね。

 ナギ「それは・・どうだろうな。まあでも、そう言ってもらえると嬉しいよ。ありがとな」


 >>おお・・・、ルカがマネージャーとはいえ、やましい目的は皆無とはいえ男を部屋に連れ込もうとしている。
  そればかりかハヤテを見かけても悪びれることなく「沙羅ちゃーん」か。
  ハヤテの複雑な表情が目にうかぶような・・・

 ルカ「え!?何かいけなかった? 親切にしてくれるからそれを素直に受け取っただけだけど」
 沙羅「やれやれ」


 感想ありがとうです〜♪

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Re: 転生 (1月12日更新) ( No.45 )
日時: 2020/01/12 12:00
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
-----------------------------------------------------------------------------------

前回、ナギは出張で出掛け、沙羅はルカに食事を作りに行こうとしたところ、声を掛けられた。


「えっと、どうして?」
「ん!?」

普段ルカは、防犯上の理由等で近くまで送ってもらい、そこから歩いて帰宅していたのだが、今日に限ってかなり近くまで送って貰っていたので、聞いたのである。

「ほら、今日ナギは出張で遅くなるでしょ?で、夕飯はお弁当とかで済まそうって思ってたらマネージャーさんが作ってくれるって言ったから、それに甘える事にしたんだよね」
「は、はあ」

ハヤテがリアクションに困っていると

「あ、そうだ。沙羅ちゃんも一緒にどう? 良いですよね?」
「ええ、勿論」

マネージャーが答えると、ルカは一旦車を降り、

「ハヤテ君、今日は大丈夫?特にご両親とかさ」
「パパもママも今日は帰りが遅いので平気ですよ。使用人の人達も理解ある人ばかりですし」

ヒソヒソと内緒話をし

「沙羅ちゃんも大丈夫だし、行きましょうか。買い物してから帰ろうって話になってたし」

鼻歌交じりで車に戻り、

「さ、乗って。良いですよね?」
「勿論ですよ」

沙羅は少し悩んでから周囲に人の目が無い事を確認して、乗り込んだ。


移動中の車内、ルカは楽しそうに鼻歌を歌っていたが、沙羅は複雑だった。

「(家の中だと気が緩んで、ルカさんが思わず僕達の関係を口走っちゃう可能性は否めないんですよね。若しそうなったら、マネージャーさんは意地でも僕とルカさんの接触を防いでくるだろうな)」

普段は三千院家内ではハヤテでいられるのだが、今回ばかりはそう言う訳にはいかないので、何時も以上に注意する事を心に誓う羽目になった。

「(でも、何だろう。この人が来ると思うと、変な感じがする。ルカさんへの恋愛感情は無いって言ってたのに)」


                   × ×


買い物を終え、三千院家に着くと

「えっと。ルカさん、ここで生活してるんですか?」
「ええ、まあ。同居人は物凄い財閥の人で、ここに住まわせてもらってるんです」
「な、成程」

ルカは門の所でSPさんに話を付け、車で三千院家に入り、屋敷近くに止めてから中に入った。

「凄いですね。ここに来るまでも凄かったですが、キッチンも広いですね」
「まあ、財閥の家ですからね。あ、冷蔵庫とか好きに使っちゃっていいですよ」
「あ、はい」

料理を始めた森谷マネージャーを後ろから眺めていた沙羅は

「(なんだか、凄い状況な気が。この人が何時までいるかは分からないけど、ナギさんが帰って来てこの状況を見たら、良い気がしないかもしれないな)」

何故かまでは分からないながら、こんな事を思っていた。
そして

「(それに、さっきからこの人が家にいる事を歓迎出来ない自分と素直に歓迎している自分が一緒にいる。何なんだろう)」


                   × ×


一方。
ナギは自分の家がそんな状況になっている事は知らず、帰路に着いていた。

「(蓮司、か。良い奴だったな)」

帰りの車窓で外を眺めながら思っており

「(あいつには悪いが、肝心の友人は死んでしまっている可能性は高い。そうなら、私と似てるんだよな。「大切な人を亡くしてる」って点がな)」

強めの親近感を感じ、ナギは今迄以上に親密にして行く事にした。

「(こうして思うと、ハヤテが戻って来てくれたのは、本当に大奇跡なんだよな。本当に感謝せねばならないな、神様にな)」

信心はこれと言って無かったが、強く芽生えていた。

「(まあでも、今のハヤテは女だから、複雑怪奇だよな。ルカには悪いが今の日本じゃ同性婚は禁止だからな。 っとはいえ、ハヤテが来てくれる以上、私自身も楽しんで、大切にしないとな)」


                   × ×


一方。

「う〜ん、良い匂い」

料理が完成し、食卓に並べられていく料理を見て、ルカはテンションが上がっていた。

「ええ。僕も楽しみですよ」
「え!?」
「あ、いえ。何でも」

森谷マネージャーの前では一人称に気を付けていたので、慌てて誤魔化した。

「(それにしても、マネージャーさんは手際が良いですよね。元執事として素直に感心しちゃいましたから)」

沙羅が感心していると料理を並べ終わったので

「「「では、いただきます」」」

挨拶し、料理を堪能していた。
すると

「やっぱり、こう言うのは良いですよね」
「「え!?」」

突然言われ、ルカも沙羅も驚きの声をあげた

「私は1人暮らしなもんで、こうして食卓を囲んで食事する事は中々なくて。仕事が忙しくて実家に帰る事も稀ですから。だからこそ、家での食事が嬉しくて」
「そうですよね。私もお仕事から帰って来た時、食事の準備をして待っててくれて、一緒にご飯を食べる事がどんなに嬉しかった事か。何気なくても、幸せってこう言う事なんだなって思いますから」

そう言った後、ルカは少し暗くなった。

「でも、皆が皆私みたいに楽しく仕事している人って、少ないと思うんですよね。この業界にしろ、そうじゃないにしろ、楽しくなかったり苦痛だったり。でも、夢だったり大切な人の為だったり、そう言う理由があるからこそ、頑張れるじゃないかなって」

一旦切ると、ルカは続けた。

「こう思う様になったのは前言った様に「生きる意味を失ってたから」なんですよね。私にとって大切な人が、ある日急にいなくなってしまったんです。その人が当たり前にいる日々、その人と当たり前に過ごす日々。それが急に無くなっちゃった時、気付かされたんです。それがどれだけかけがえの無い物だったかを」

ルカの言葉に沙羅も暗くなってしまった。

「今思うと、同居人の人にも申し訳ない事をしたかなって。私にとって大切だったように、その人から見ても大切な人だったんですよね。会話も無く、ただただ暗い日々を送っちゃって」

「ルカさんにそこまで言われるなんて、よっぽど大切だったんですね、その人は」
「ええ」

肯定して来たルカに森谷マネージャーは笑みを浮かべたが、食卓が暗くなっている事に気付き

「(余計な事言っちゃったかな?何とかしなきゃ)」

後片付けは沙羅が手伝ってくれたので、その間挽回の策を練り

「ルカさん、トランプってあります?」
「え!?確かあったっと思いますけど」
「お借りして良いですか? 空気を悪くしちゃったみたいなんで、お詫びに特技をお見せしようかなって」

少し考え、ルカはトランプを取に部屋を出た。


「で、こうすると。ほら」
「おお〜、凄い」

森谷マネージャーはルカと沙羅にマジックを披露していた。

「こう見えて、高校時代は奇術研究部に所属していたので、割と出来るんですよ」
「へ〜」

ルカは素直に感心していたが

「(今のマジックのタネって、確かあれだったはず。なまじ知ってると驚けないな)」

前世の時、マジックショーの手伝いのバイトをした時に色々と覚えたので、大概のトリックなら分かってしまうので、沙羅は驚いたふりをしていた。

「他にも出来る奴有ります?」
「ええ。ではですね」


                   × ×


時間を少し飛ばし。

「ふう。疲れた」

ナギは帰宅し、運転してくれたSPに礼を言って屋敷に入ろうとした時

「あれ?こんな車、家にあったか?」

見覚えのない車に首を傾げつつ何時も通り屋敷に入って居間に向かった。
その道中

「そう言えば、ハヤテは今日遅くまでいられるって言ってたよな。って言ってももう帰ってるだろうがな」

会えない事を残念に思いつつも、沙羅の両親が過保護なのは知っているので、今日の所は諦める事にした。

すると、居間の前で中から話声が聞こえたので、まだハヤテがいるだろうと期待してドアを開けると

「あ、お帰り、ナギ」
「あ、ああ。ただいま」

怪訝な目付きのナギにルカは

「あ、初対面だっけ?私のマネージャーさんだよ」
「あ、初めまして」

自己紹介をした森谷マネージャーに

「もう、9時だぞ」
「え!? あ、もうこんな時間ですね。私はもう帰りますね」
「忘れ物とか気を付けてくださいね」

現場の微妙な空気を察した沙羅は気まずそうな顔になった。


ルカは車の所まで見送り

「今日はありがとうございました」
「いえいえ。お礼を言うのはこちらですよ。 では、また明日」
「ええ」

車が見えなくなった頃合で

「おい、ルカ。ちょっと来い」
「え!?」
「いいから来い」

ルカは首を傾げつつ、ナギに従った。


-----------------------------------------------------------------------------------
以上です。

次回は続きです。

では。
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Re: 転生 (1月19日更新) ( No.46 )
日時: 2020/01/19 13:35
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
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前回、ナギが帰宅したところ、森谷マネージャーがおり、その事をルカと沙羅に問い詰めた。


3人は居間にやって来たが

「どうしたの、ナギ。さっきから黙り込んで。顔だって強張ってるし」

ルカが聞いても、暫くの間無言だったが

「なあルカ。お前とあいつの関係って、ただの「アイドルと担当マネージャー」だよな?」
「え!?うん、そうだけど」
「じゃあなんで、家に招いたのだ?普段は防犯等の観点から近くまで、だっただろ?」

自分達の方を向かないナギにルカは首を傾げつつ

「料理を作ってくれるって言ったから、だよ。今日ナギは遅くなるって言ってたから簡単に済ませようと思ってたら、自分が作るって言ってくれて、それに甘えただけだよ」

正直に言うと、ナギはまた黙り込んだ

「ハヤテ君が一緒だったのは、偶々会ったからだよ。 ああ、因みに、ハヤテ君とマネージャーさんは知り合いになってるよ」
「・・どういう事だ」
「初めは5月頃(>>14)に買い物してたら偶然会ったからだよ。 で、マネージャーさんはハヤテ君の事を覚えててくれて、この前バーベキューに誘ってくれて、マネージャーさんとその友達、私とハヤテ君で行って来たんだ。その時ハヤテ君とも仲良くなったみたいだよ」

ルカの言葉に相変わらずナギは反応を示さなかった。

「確かに行くとは聞いた。だがそんな少人数だったのか?」
「え!?うん、偶々」

ルカは気付かなかったが、ナギは拳を握りしめていた。

「あ、そうそう。ハヤテ君が来れない日は、マネージャーさんがお弁当を作ってくれるんだよ」
「・・何でだ」
「何でって、アイドルなんてやっている以上ロケ弁とかにがっつく訳にはいかないでしょ?だから不健康になりがちだし、マネージャーとして私を心配してくれるだけだと思うし、別に深い意味は無いと思うよ」

ルカが言うと、ナギは突然立ち上がり、居間を出て行ってしまった。

「ど、どうしたんだろ。あんな冷たい目付きを向けてきて」

ハヤテは少しの間黙り込んだ後

「多分ですけど、ナギさんはルカさんが僕以外の男性と深く仲良くなるのが、嫌なんだと思いますよ」
「なんでまた」
「さあ、そこまでは」

何度でも言うが、今のハヤテは女性である。つまり「女の勘」が働く事もあるのである。

「それに、僕達の関係に他の人が入って来るのが、嫌ってのもあると思いますよ。自分が知らない間に、ね」
「それは、ナギの人見知りは関係ないよね」
「ええ、恐らく」

今回ばかりはルカにも理解出来た。

「ナギさんとは僕が話してきます。ルカさんは待っててください」
「あ、うん」

出て行こうとしたハヤテは、ドアの前で立ち止まった。

「さっきの食事の時ですが、僕が死んだ後に会話が無くなったと聞いて、辛かったと思ったのは事実です。僕の死がそこまで深い悲しみを与えてしまったんだと」
「そ、それは」
「それ以上に、ショックな事もありましたよ」
「え!?」

ハヤテの言葉にルカは驚いていた。

「ルカさんはナギさんの傍にいたのに、寄り添ってあげなかったんだって」
「え!?それって」

ルカの言葉にハヤテは一旦間をおき

「ナギさんは「あの事」があって、落ち込んだりはしませんでしたが、それでもやはりどこか悲しそうで寂しそうでした。だからこそ、「ルカさんと結婚しても僕が執事として支えよう。僕は側に居続けよう」そう思ってました。まあ、死んじゃいましたけどね」

ここまで言うとまた間をおき

「ルカさんも悲しかったのは分からなくもありません。ですが、ナギさんの傍にはルカさんがいましたよね?ナギさんには近くで支えてくれる人はルカさんしかいませんでした。にも拘らず、貴方はナギさんを支えてくれなかった。それが・・」

ハヤテの言葉は確実にルカの心に刺さっていた。

「だからこそ、ナギさんは今の僕達の関係に他の人が介入するのを嫌がるんだろうと、思います。こんな複雑にした僕が言うべきじゃないですけどね」
「・・ハヤテ君だからこそ、言えるんだよ」

今にも泣きそうな声でルカが言うと、ハヤテは居間を出て行った。
その直後、ルカは俯き

「(叱られちゃったな。でも、全部事実だもんね。 確かに「あの事」があったナギは表面上は取り繕ってても悲しそうで寂しそうだった。だけど、私は自分の事ばかりだった。最愛の婚約者を喪って分かってても何もしなかった。冷たい目付きで見られるのは、当たり前だよね)」


                   × ×


一方のハヤテは、ナギの部屋に来ていた。

「ナギさん、入っていいですか?僕しかいません」
「・・ああ、良いぞ」

僅かな沈黙の後了承が取れたので、ハヤテは部屋に入った。
ナギはベッドに横になっていたが、ハヤテが近くに行くと上半身を起こした。

「すまなかったな、あんな目で睨んで」
「いえ、謝らないでください」
「・・そうか」

ナギは長めの沈黙の後

「お前は分からんかもしれんが、あいつ(森谷マネージャー)はルカに恋愛感情を持ってるよ。ただ、それを何だかんだ言い訳して抑え込み、気付かない様にしている。あいつに会い、ルカの話を聞いてそう思ったよ」
「・・やっぱり」

沙羅の言葉はとても小さく、ナギには聞こえなかった。

「私はな、お前が好きだったんだ。初めて会った時、助けてくれた時「白馬に乗った王子様」ってこういう事を言うんだって、直ぐに分かった。お前が「仕事が欲しい」って言った時、猛烈に嬉しかった。「仕事を与えるという名目」で一緒にいられると。何時の日か、私に振り向いてほしいと、ずっと思ってた」

ナギは一旦間をおき

「でも、お前が選んだ女は私じゃ無かった。お前がルカを選んだ時、生きて来た中で感じた事が無いほど悔しかった。ルカの奴が憎たらしく感じた。それこそ、三千院家の総力を使ってルカの奴を潰したくなる程にな。でも、私は努力でルカからお前を奪い取ってやろうと、直ぐに頭を冷やして思ったのさ」

ナギはまた間をおき

「だがな、自分を磨いて、自分に欠けていた何かを満たして行った時、「こいつには勝てない」って、もう一人の私が言う声が聞こえた。無視しても無視しても、しつこくしつこく言って来た。その声に従うと決めた時、色んな事から解放された気がしたんだ。そして、「ルカとならハヤテは幸せになれる。ハヤテをめぐる戦いはルカになら負けても良い」って素直に思ったのさ。だから、お前達を祝福出来たのさ」

ナギの言葉にハヤテは

「そうだったんですか。気付かなくて、すみませんでした」
「謝るなよ。私達の後輩的漫画であっただろ?「言葉にしなくても伝わると思ってる方が間違ってる」って。ただでさえ鈍感なお前には言わなきゃ余計に分かんなかっただろ?」

ナギの言葉にハヤテは言い返せなかった。

「だから、お前に自分の気持ちを言葉にして伝えられなかった私が悪いんだ。だから、謝るな」
「・・そうですか」

ナギはまた少し黙り込んだ後

「だからかな。私が素直に負けを認めた相手だからこそ、ルカにはハヤテ以外の奴と幸せになるのが嫌だった。ルカがハヤテへの未練を一切持ってないのなら、こんな気持ちは捨て去ったさ。だが、この10年ルカはハヤテを想い続けてた。そしてお前は戻って来てくれた。だから、ルカにその気が無くてもマネージャーが家に来てた事が嫌だったんだ。だから、あんな目に睨んでしまった。ルカにも後で謝らないとな」

ナギは申し訳なさそうに言い、ベッドから降りて室内の椅子に座り直した。

「この年でこんな我儘言うのは間違ってるのは分かってる。だがな、言わせてほしい。お前がいて、ルカがいて、当たり前の、何気ない日々を送りたいんだ。お前が前世の時に決意した様に、一緒にいてほしい。形はどうあれ、な」

「え、えっと。気付いてたんですか」
「当たり前だ。三千院家当主様をなめるな」

照れくさそうに言うハヤテに返し

「自分で言うのも何だが、私は弱い。「あの事」があって、それを痛感させられた。だがな、お前やルカがいてくれれば、強くなれるんだ。でも、いなくなってしまえばそれは保てない。お前を喪った経験があるからこそ、断言出来るんだよ」

ナギが言うと、ハヤテは

「分かりました。今度こそ」
「まあ、今のお前じゃ今のお前のご両親にばれない事が絶対条件だけどな」
「で、ですよね〜」

ハヤテの言葉にナギは軽く笑った。

一方のルカは、部屋の前で話を聞いており、気付かれ無い様に急いで離れた。


                   × ×


ハヤテが居間に戻ってくると、ルカが何かをしていた。

「ルカさん、何をしてるんですか」
「ハヤテ君、ナギを呼んで来てくれないかな?二度手間になって申し訳ないけど」
「え!?ああ、はい」

言われたハヤテは直ぐに居間を出てナギを呼びに行った。


-----------------------------------------------------------------------------------
以上です。

次回は続きです。

では。
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Re: 転生 (1月19日更新) ( No.47 )
日時: 2020/01/20 01:22
名前: ハヤテ大好き

お久しぶりです。
覚えていらっしゃるかわかりませんが、過去に
別の作品の感想を書いた者です。

本作も更新されるたびすべて拝見してます。
私は原作ハヤテのごとくの初期からのファンです。
自分で言うのもなんですが、めちゃくちゃ原作を読み返し、ハヤテ愛は人一倍強いです。

だからこそ、今回の話はとても感動しました。
原作とは違うルカエンドからのスタートなのももともと魅力的なのですが、、、
どの話もナギの描写がすごく素敵です。(もちろんルカもハヤテも好き)

特に今回、「好きだった」ことをハヤテに伝えるナギの様子が自分の中ですぐ頭に浮かびました。
きっと澄んだ目でゆっくりハヤテに語りかけていたのだろうなとかいろいろ妄想しました。
内心、「ついに伝えたのか、よかった!」と個人的に安心もしました。

ナギが「ハヤテに選ばれなかった」と話すくだりですが
一瞬、原作のハヤテとナギの関係性ややりとりが走馬灯のように頭の中に流れました。
だから余計に切なくて、儚くて、胸を打たれました。

ナギには幸せな日々を送ってもらいたいです。
もちろん、生まれ変わったハヤテも執事でなくとも一緒にいてほしいです。

ルカもナギと一緒に楽しく生きてほしいです。

次回のお話も楽しみです。
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Re: 転生 (1月19日更新) ( No.48 )
日時: 2020/01/25 12:05
名前: どうふん


masaさんへ

しばらく間が空きました。
ここにきてナギの存在がクローズアップされてきましたね。
まあ、今回の件はちょっとルカが同居人(兼所有者)に無神経だったと思いますが。(お互い、普段から客を自由に呼び合う仲であるなら別ですが)
そもそもルカとナギがなぜ同居しているのか。なんとなくその経緯が見えてきた、というところでしょうか。

当方、ハヤテとルカはもちろんえすが、ナギの行き先も気になります。
願わくば幸あらんことを。


                                      どうふん

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Re: 転生 (1月19日更新) ( No.49 )
日時: 2020/01/25 18:30
名前: masa

こんにちはmasaです。

レス返しの更新です。


 ●ハヤテ大好き さん

 >>お久しぶりです。
  覚えていらっしゃるかわかりませんが、過去に
  別の作品の感想を書いた者です。

 感想ありがとうございます♪ ちゃんと覚えていますよ。


 >>本作も更新されるたびすべて拝見してます。

 ありがとうございます。嬉しいです。


 >>私は原作ハヤテのごとくの初期からのファンです。
  自分で言うのもなんですが、めちゃくちゃ原作を読み返し、ハヤテ愛は人一倍強いです。

 そうなんですか。自分もハヤテのごとくのファンですよ。 だからこそ?こういう小説活動に繋がってるんですけどね。


 >>だからこそ、今回の話はとても感動しました。
  原作とは違うルカエンドからのスタートなのももともと魅力的なのですが、、、
  どの話もナギの描写がすごく素敵です。(もちろんルカもハヤテも好き)

 ありがとうございます。今回では、暴走しがちなルカを宥めるがナギって役割ですからね。


 >>特に今回、「好きだった」ことをハヤテに伝えるナギの様子が自分の中ですぐ頭に浮かびました。
  きっと澄んだ目でゆっくりハヤテに語りかけていたのだろうなとかいろいろ妄想しました。
  内心、「ついに伝えたのか、よかった!」と個人的に安心もしました。

 少しだけ訂正させてもらうと、ナギは「寂しさも内包させた目」をしていたんですよ。言われた通りの目もしていましたが。


 >>ナギが「ハヤテに選ばれなかった」と話すくだりですが
  一瞬、原作のハヤテとナギの関係性ややりとりが走馬灯のように頭の中に流れました。
  だから余計に切なくて、儚くて、胸を打たれました。

 そうだったんですか。そう言っていただけると、書いたかいがあります。


 >>ナギには幸せな日々を送ってもらいたいです。
  もちろん、生まれ変わったハヤテも執事でなくとも一緒にいてほしいです。

 本編でも言ってますが、現状ではそれは難しいのは事実なんですよね。沙羅の両親は過保護ですし、沙羅は小学生の女の子ですから。


 >>ルカもナギと一緒に楽しく生きてほしいです。

 それは問題ないですよ。2人は仲がかなり良いですから。


 >>次回のお話も楽しみです。

 ご期待に沿えるか分かりませんが、頑張ります。

 感想ありがとうです〜♪










 ●どうふん さん

 ナギ「感想感謝するぞ♪」

 >>ここにきてナギの存在がクローズアップされてきましたね。

 3人の関係性を描いてい行くうえでは、今回と次回のは割と重要ですからね。だからこそ、書いたんですよ。


 >>まあ、今回の件はちょっとルカが同居人(兼所有者)に無神経だったと思いますが。(お互い、普段から客を自由に呼び合う仲であるなら別ですが)

 ナギもルカも「それなりの立場」がある人間ですからね。易々と客人を呼べませんからね。 まあ、ナギがあんな態度を取った理由は本編で触れたとおりの理由ですが。


 >>そもそもルカとナギがなぜ同居しているのか。なんとなくその経緯が見えてきた、というところでしょうか。

 実は言うと、そこまで深い理由ではないんですよね。 ナギは家に1人になってしまいましたし、ルカは防犯上三千院家が最も安全だからこそ、一緒に暮らしてるんですよね。勿論、ナギがルカを誘ったからってのもありますが。


 >>当方、ハヤテとルカはもちろんえすが、ナギの行き先も気になります。
  願わくば幸あらんことを。

 その辺に関しては、物語が進むのを待っていただくしかありませんね。ネタバレになっちゃいますから。

 感想ありがとうです〜♪


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Re: 転生 (2月9日更新) ( No.50 )
日時: 2020/02/09 12:40
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
-----------------------------------------------------------------------------------

前回、ハヤテはナギの想いを知り、それを聞いていたルカはある行動を起こした。


「呼んで来ました」
「うん、ありがと」

振り返らずにお礼を言ったルカに

「で、何の用なのだ?」
「・・2人とも、これを見てほしいんだ」
「「???」」

ナギとハヤテがルカの目の前の机の上にあった紙を見ると

「お前、これ」
「うん、見ての通りだよ」

手書きではあるものの、割とちゃんとした「婚姻届」だった。

「ハヤテ君、私の分はもう書いてあるから、「夫となる人」の欄に名前を書いてほしいんだ」
「ど、どうして」
「・・私達の関係を、より強固にする為だよ」

そう言うと、ルカは少しだけ間をおき

「今の私達は「赤の他人」だよね?それに、どれだけ本当の事でも、現状を理解してもらう事も無理だし。だからこそ、こういう形で確かな絆だと、証明しておきたいんだ」
「「・・・」」

「こんなものが無くても、私達の関係は絶対に壊れない事は分かってるよ。でもね、今のハヤテ君は複雑な状況。それに今のハヤテ君のご両親に知られる訳にはいかないし。だからこそ」

ルカは間をおき

「確かにこれは私の手作りだし、今の日本は同性婚は認められてない、それ以上に今のハヤテ君は結婚出来る年齢じゃないし。でもね、例え形だけでも、「絆の証」が必要だと思ったんだ。どんな事があっても、「変わらぬ関係」を築く為に」

ルカの真っ直ぐ過ぎる言葉にナギは笑みを浮かべた。
・・だが、沙羅だけは複雑な顔をしていた(ルカとナギは気付いていない)。

「ナギは、この保証人の欄に名前書いて。三千院家当主様の名前が書いてあれば、文句を言うバカな人は居ないだろうし」
「・・ああ、分かった」

ナギはクラウスの形見で、普段大切に使っている万年筆で言われた通り名前を書いた。

「さ、ハヤテ君も」
「え、ああ。はい」

ハヤテに書類を渡すと、ルカは椅子から立ち上がり

「ナギ、ごめんね」
「え!?」

突然深々と頭を下げ、謝罪の言葉をぶつけて来たルカに驚いていると

「ハヤテ君が死んじゃった後、ちゃんと寄り添ってあげられなかった事だよ」

ルカは頭をあげずに続けた

「ハヤテ君が死んで、悲しかったのは私だけじゃ無かった。ナギにとってもハヤテ君はかけがえのない存在だった。そんな人が亡くなれば悲しいのは当たり前なのに、私は自分の事ばかりだった。一緒に生活しているくせにね」

ナギは一切口を挿まず、最後まで聞く事に徹する事にした

「「あの事」もあって、ナギの傍には私しかいなかったのに。それなのにナギの悲しみを理解しようともせず、自分の事ばかり。一緒に悲しみを分かち合って、一緒に悲しみを癒し合ってれば少なくてもナギだけは、「ハヤテ君の死」を乗り越えられたかもしれないのにね」

ルカの言葉にナギは

「謝るな。確かに、私も悲しかった。だがな、それ以上にルカの悲しみは深かったんだ。初めて好きになった人と付き合えて、その人と結婚直前まで行けたんだ。そんな奴と死に別れれば、悲しいのは当然だ。お前が謝る必要は、無いよ。いてくれるだけで、助かってたんだぞ」

「・・ナギ」

ルカもナギも笑顔を向けあった。

「さて。ハヤテ君、書けた?」
「え!?あ、いや。僕、もう帰ります。これ以上遅くなれないので」
「え!?あ、うん」

ハヤテを見送った後

「あれ?ハヤテ君、書き忘れてる」
「え!?」

確かに、「夫となる人」の欄は無記入だった。

「どうしたんだろ」
「・・まあ、時間も時間だし、また次の機会で良いじゃないか」
「そうだね」

深く考えなかったルカに対し

「(ハヤテ、お前まさか)」


                   × ×


翌日。

沙羅は河原の土手で仰向けに寝転んでいた。

「書け、無かったな」

右手で天を仰ぎながらこう思い

「折角ルカさんがああやって皆の為を思って行動してくれたのに」

沙羅は昨日から考え続けており、堂々巡りを繰り返していた。

「どうしてだろ。本当なら迷う事無く僕の名前を書いて、「良かったね」って笑いあえるはずなのに」

こう考えつつ、更に

「それに、ルカさんに真っ直ぐに想いを向けられて、素直に喜べない私がいる。前世だった時には嬉しくて、微笑ましくて、愛おしくて。なのに今は」

こんな考えが浮かび、更に

「嬉しいはずなのに、心の何処かで「何かが違う」って思う私がいる。真っ直ぐに想いを向けられて、少しだけ嫌では無いけど迷惑に思う私がいる。どうして」

目を閉じて考えると、不思議と答えは直ぐに浮かんだ

「やっぱり、今の私が女の子だから、なのかな? 前世の「綾崎ハヤテ」の記憶があるとはいえ、女の子の心もある。だからこそ、女性のルカさんに真っ直ぐに恋愛感情を向けられて、同性愛が持てない私がいるからこそ、さっきみたいな感情が働くのかな」

こんな風に複雑な思いに駆られていると

「沙羅ちゃん、こんなとこで何やってるの?」
「あ、ヒマリさん」

現在の友人の1人であるヒマリが覗き込んできたので、立ち上がりつつ

「別に特には」
「ふ〜ん。でも、お洋服汚しちゃうと怒られちゃんじゃない? あ、草がついてるよ」
「あ。ありがとうございます」

背中についていた草をはらってくれたので礼を伝え

「折角だし遊ぼ。平気だよね」
「ええ、勿論」

ヒマリと並んで歩きつつ

「(さっきの事は、もう考えない様にしよう。余計な事を考えれば、また不幸にしちゃうよね)」

こう考えていた。

-----------------------------------------------------------------------------------
以上です。

実は言うと、今回は割と重要回です。

次回は未定です。

では。
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Re: 転生 (2月9日更新) ( No.51 )
日時: 2020/02/12 22:05
名前: どうふん


masaさんへ


「あれ、書き忘れてる」
ハヤテ・・・。何やってるんだよ。そんな大事なもの目の前に出されて書き忘れちゃいかんでしょ・・・そんなわけないですね。
ハヤテに書類を渡しておきながら、それをそっちのけでナギに向かって謝ってではタイミングが悪すぎ。
ルカの意外な天然さが伝わってるお話でした。

もっともハヤテにとってはその方が都合が良かったか・・・、いや沙羅と書くべきか。このあたりmasaさんは意識して使い分けているのでしょうか。

何にせよ、「ハヤテのごとく」の世界からルカ以外にはナギしか出てこない理由が匂わされてきたきたようで今後の展開が楽しみです・・・と言いたいですが・・・。
正直悪い予感もヒシヒシと・・・。

                                  どうふん
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Re: 転生 (2月9日更新) ( No.52 )
日時: 2020/02/15 21:45
名前: masa

こんにちはmasaです。

レス返しの更新です。


 ●どうふん さん

 ルカ「感想ありがと〜♪」

 >>「あれ、書き忘れてる」
  ハヤテ・・・。何やってるんだよ。そんな大事なもの目の前に出されて書き忘れちゃいかんでしょ・・・そんなわけないですね。

 ナギ「だよな。本編でも触れたが、どうしても書けなかったんだよな」


 >>ハヤテに書類を渡しておきながら、それをそっちのけでナギに向かって謝ってではタイミングが悪すぎ。

 ルカ「そうかな?謝るなら早い方が良いと思っただけなんだけど」


 >>ルカの意外な天然さが伝わってるお話でした。

 ナギ「それもあるが、ルカはハヤテが書いてくれるものだと、信じ切ってたんだよ。っと言うより、疑いすらしなかったって事さ」


 >>もっともハヤテにとってはその方が都合が良かったか・・・、いや沙羅と書くべきか。このあたりmasaさんは意識して使い分けているのでしょうか。

 「ハヤテ」と「沙羅」は出来る限りは使い分けてるつもりです。 「ハヤテ」でいられる時は「ハヤテ」。それ以外の時は「沙羅」っと、使い分けてます。


 >>何にせよ、「ハヤテのごとく」の世界からルカ以外にはナギしか出てこない理由が匂わされてきたきたようで今後の展開が楽しみです・・・と言いたいですが・・・。
  正直悪い予感もヒシヒシと・・・。

 その悪い予感が当たっているかどうかは、お答え出来ません。物語の核心を話しちゃう事と同義ですからね。


 感想ありがとうです〜♪

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Re: 転生 (2月16日更新) ( No.53 )
日時: 2020/02/16 12:20
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
-----------------------------------------------------------------------------------

ここは現在のハヤテである沙羅が通っている小学校。


現在、夏休みが終わった為、始業式が行われており、当然のごとく沙羅も参加していた。

「(そう言えば、例のイベントもそろそろだな)」

校歌を歌いつつ、こう考えていた。


                   × ×


数日後。

「はい。じゃあ運動会のプログラムは事前にお父さんお母さんに渡しておいてくださいね」

ホームルームで運動会についての話し合いが行われ、

「凄いね、沙羅ちゃん。リレーの選手に選ばられるなんて」
「いえ、そんな」
「本番も頑張ってね」
「ええ。出来る限り頑張りますよ」

ホームルーム後、ヒマリと話していると

「残念だけど、優勝は不可能よ。なぜなら、白組には「日本代表候補」っと言われている私がいるんだもの」
「へ〜。因みに、誰に言われてるの?」
「お母さんよ」

沙羅を敵視している?美幸が乱入してきて、自慢げに言って来た。

「そう言えば、美幸ちゃんも足速いもんね。楽しみだな〜、2人の戦い」
「そうでしょそうでしょ」

また自慢げに言った後

「五月女さん、負けたくないからってズルはしないでね」
「しませんよ。第一、そんな事して勝っても嬉しくもなんともないですよ」
「まあ。美幸ちゃんも正々堂々頑張ってね」

ヒマリは励ましのつもりで美幸の肩の手を置いた。すると

「ちょっと!!日焼けでまだ痛いんだから触らないでよ!!」
「あ、ごめん」

美幸は夏休みの間に結構日焼けしており、焼き過ぎな程だった。

「大丈夫ですか?日焼けにはビタミンCが良く効くみたいですよ」
「べ、別に心配して貰わなくても良いわよ」
「はあ」

強がりつつも

「(全く何なのよ。どうして五月女さんに優しくされると胸がドキドキするのよ)」

こんな事を思っていた。

一方の沙羅は、貰った運動会の案内を複雑そうに見ていた。

「お父さんお母さんも嬉しいんじゃない?見に来るの」
「へ!?」
「だって、自分の子供がリレーの選手に大抜擢されたら、凄く嬉しいと思うよ」

ヒマリの言葉に沙羅は少しだけ間をおき

「ま、まあ。喜ぶと思いますよ、きっと」
「でしょ〜?私の方は親戚のおじさんが来てくれて、ビデオカメラで撮ってくれるんだって。でも、私は足遅いし、運動出来ないからちょっと嫌なんだよね」
「ヒマリさん、こういうのは楽しむ事が大事だと思いますよ。出来る出来ないは関係ないですよ」

そう言い、更に

「親って言うのは、頑張っている子供が見たいのであって、結果はそんなに気にしないと思いますよ」
「ふ〜ん。じゃ、頑張れるだけ頑張ろうかな」
「(やれやれ。僕の方はどうしようかな)」

沙羅がこんな風に考えていると

「それで?沙羅ちゃんの所は?」
「あ〜、いや。パパもママも忙しいから、来れるかどうか」
「ああ。沙羅ちゃんの家、お金持ちさんだもんね」

沙羅は更に悩む羽目になった。


                   × ×


その日の夜。

「はあ〜、疲れた」

沙羅の父・藤哉は帰宅後、思わず呟きながら廊下を歩いていた。
すると

「あ、パパ。お帰り」
「沙羅〜」

娘を見つけた途端、抱き着き

「パパを慰めてくれ〜。今日も大変だったんだよ〜」
「はいはい」

沙羅は父親の頭を撫でてあげた。
すると

「ん!?沙羅、手に持っているものは何だい?」
「あ、これは」
「見せてよ〜」

じゃれ合いつつ結局運動会の案内を見られてしまい

「こんな大切な事を忘れてたとは。自分が情けない」
「えっと。パパ、来るの?」
「当たり前じゃないか!!絶対に行くぞ。勿論ママも一緒にね」

先程までの疲れはすっ飛んだ様にスキップしながら自室に向かう父を見て

「やっぱ、内緒にしておいたほうが良かったかも」

っと呟いた。


                   × ×


それから数日後。

その間、沙羅の小学校は体育は運動会の練習になり、同じ組の同じリレーの選手になったタケルと仲良さそうにしてた事で、美幸に嫉妬の視線を送られた事以外は順調に進んでいった。


一方。

「(へ〜。ハヤテが通っている小学校の運動会、そろそろなんだな)」

ナギは買い物帰り、地域の掲示板で運動会の案内を見て、こう思っていた。

「(見に行きたいもんだな。ハヤテが運動会に出ている所をな)」

こう思うと、直ぐに

「(だが、ルカには内緒にしておくか。あいつの事だから意地でも行きたがるだろうし。あいつが来たら問題が起こりかねないだろうしな)」

内緒にしようと誓い、帰路に着いた。

・・が

「おい、ルカ。どうしたんだ、そのカメラ」
「ん!?あ、ナギお帰り。何って買ったんだよ。ハヤテ君も出る運動会がそろそろだからさ」
「お前、やっぱり見に行くのか」

ナギは呆れ、

「あのなあルカ」
「何!?止めても無駄だよ」

ムスッとした顔で言われ、ナギは溜息をつき

「駄目に決まってるだろ」
「な、何でよ!!」

多少興奮気味に言われたが、ナギはあくまで冷静に

「考えても見ろよ。スーパーアイドルのお前が見に行けば、絶対に騒ぎになる」
「そ、そんなの変装すれば」
「不審者扱いされて、職質食らったらどうするんだよ。どうやって誤魔化すつもりだ」

ナギは直ぐにルカの言い訳を見抜き、遮る様に

「私なら兎も角、お前じゃ「偶々通りかかった」って言い訳は通用せんぞ。「スーパーアイドルがこんな所を通りかかる訳無い」って言われて終わりだ。そんな事になれば、「小学校を覗いていたアイドル」何てマスコミに書かれて、お前は終わるぞ」

言い返せないルカに

「それにだ。仮に職質を食らわなかったとしても、お前の事だから沙羅の事ばかり応援するだろ?あの過保護な両親が沙羅の応援に行かないなんて、絶対にありえない。他に大事な仕事とかあっても、全部すっ飛ばして応援に行くだろう。つまりだ、怪しまれて、学校側に事情を聞かれ、沙羅の両親にお前の関係を聞かれ、両親が「知らない」何て言えば、やっぱりお前に待ってるのは「破滅」なんだよ」

ナギの言葉にすっかり落ち込んでしまい

「分かったか?こっそりだろうが何だろうが、お前は応援に行けないんだ。気持ちは分かるが、我慢しろ」
「うう〜。応援行きたいよ〜。ハヤテ君の雄姿みたいよ〜」

遂には泣き出してしまったルカにナギは溜息をつきつつ

「まあ尤も、「水蓮寺ルカと言うスーパーアイドルの地位」を利用するって手はあるよ。沙羅だけの応援は出来んがな」

そう言い残すと、ナギは自室に行ってしまった。

「アイドルの地位、か。  成程ね」


                   × ×


時間を飛ばし、運動会当日。

「えっと。ルカさん、今日の運動会の事なんですが」
「ん!?勿論応援に行くよ」
「やっぱり。 駄目ですよ、来ちゃ」

沙羅の言葉にルカは「信じられない」っと言った顔になっていた。

「僕の両親も応援に来ますし、もう何日も前から楽しみにしてるんです。ですから、絶対にダメですからね。バラエティ的なノリ一切なしで」
「チェ〜」
「そんな顔しても駄目な物は駄目です」

不満そうに口を尖らすルカにハヤテは包みを取り出し

「お弁当、ナギさんの分も作ってきましたが、来ないでくださいね。仮に来たとしても、絶対に騒がないでくださいね」

そう言うと、ハヤテは登校していった。

「何だ、ハヤテ来てたのか」
「まあね。はい、こっちはナギの分」
「お、サンキュー」

ナギはハヤテお手製のお弁当を受け取ると

「それより。お前、本当にあれ、やったのか?」
「ナギがやれって言ったんでしょ」
「私はアドバイスは送ったが、やれとは言って無い。ったく」

ナギは呆れつつも出掛ける準備を再開した。


                   × ×


「え〜、皆さん。今日は運動会本番です。練習の成果を出せるよう、頑張りましょう」

校長先生が最初に開会の挨拶をした。
すると

「始める前に、特別ゲストを皆さんにご紹介します。 水蓮寺ルカさんです」
「はいどうも〜。水蓮寺ルカです〜」

ルカが朝礼台の上に立つと、会場はざわめきだした。

「今日はめいっぱい応援しますから、皆頑張ってね〜。って事で、まずは私の応援歌を贈ります」

喜ぶ生徒と保護者に対し、沙羅は

「(やれやれ。まさかこんな手に出るとは。 きっと、ナギさんの入れ知恵だな)」

こんな風に的確に見抜いていた。


                   × ×


話は数日前に戻します。

「えっと。話は分かりました」
「それで、あの」

ルカは校長室で話しており(勿論、アポはとった)、相手の出方を待っていた。

「貴方様の様な超一流のアイドルの方に来ていただけるのは、我が校としては光栄極まりないですが、残念ながら我が校には貴方様を呼べる程のお金は」
「何言ってるんですか。私からお願いしてるんです。ギャラなんていりませんよ」
「は、はあ。そ、それに、どうして我が校に?貴方様はこの学校のOGではないはずですが」

ルカは少し考え(とは言っても、想定内の質問なので答えは用意してた)

「内緒にしていただきたいんですが、実は私の現住所はこの近所何です。だからです」
「え!?そうだったんですか。 あ、もちろん口外しません」
「私、小さい時からこの仕事してて。運動会何てイベントには殆ど無縁で。なので、1回だけでも良いので見てみたかったんです。今回、この学校の運動会のお知らせを見て、どうしても観戦してみたくて」

ルカが補足する様に言うと、校長先生は納得したような顔になり

「成程。でしたら、特別応援ゲストの話し、こちらからもお願いします」
「では、交渉成立って事で。 あ、さっきも言いましたけど、この学校からのギャラは受け取りませんよ。そんな事しても突き返しますから」
「は、はあ」

こんな事がありました。

で、話は現在に戻します。


                   × ×


「(やれやれ。ルカ、本当にあいつは)」

実は、ナギもこっそり応援に来ており(勿論学校の外から)、応援歌を歌ったり、ラジオ体操を一緒にしている姿を見て呆れていた。

「(まあ、アドバイスを送った手前、強くは言えんがな)」

ルカは大会本部で、ナギは学校の外から見ていると競技が始まった。

「(やっぱり沙羅の両親は来てたか。私の読みは中ったか)」
「(ナギの言った通り、沙羅ちゃんの両親来てるね。直ぐ分かるよ。良い席取れてるし、迷惑にならない程度に目立ってるし)」

沙羅の両親は当たり前の様に来ており、どの親より愛娘を強く応援していた。

「(それにしても、旦那さんになるはずだった人が、小学生に交じって運動会出ている所を見ると、なんか変な感じ)」
「(執事として、ずっと私を支えてくれたハヤテが「小学生の女子」として運動会に出ている所を見ると、複雑な感情にみまわれるな)」

ルカもナギも表立って(ルカは特に)応援出来ないので、沙羅の事を微笑ましく見ていた。


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以上です。

次回は続きです。

では。
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Re: 転生 (2月23日更新) ( No.54 )
日時: 2020/02/23 12:05
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
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前回、沙羅の通う小学校で運動会が開催され、ルカは「アイドルの地位」を利用して応援し、ナギもこっそり応援に来ていた。


運動会は午前のプログラムは終わり、お昼休憩に入っていた。

「この調子なら白組が優勝よ。午後も頑張るわよ」

白組の代表?の美幸が何時もの取り巻き2人と話していた。

一方

「うわ〜、沙羅ちゃんのお弁当、豪華だね」
「(ママ、張り切り過ぎだよ)」

沙羅とヒマリは昼食を共にしており、沙羅のお弁当を見たヒマリは素直に感嘆していた。
沙羅のお弁当は流石に高級食材は使ってないものの、どう見ても「豪華」っと判断するには十分だった。

「何か交換します?嫌でなければですけど」
「良いの?じゃあね〜」

ヒマリとおかずを交換し、

「美味しい〜」
「ヒマリさんのも美味しいですよ」

こんな風に意見を出し合うと

「沙羅ちゃんのお母さんは凄いよね。漫画とかだとお金持ちの人ってお料理とかしないのに」
「ま、まあ」

普段は忙しくてあまり家事はしないのだが、この場では敢えて同意しておいた。

「私の両親は普段忙しくて。お母さんは料理があまり得意じゃないみたいだし、羨ましいよ」
「(両親、か)」


                   × ×


一方のルカは職員室に通され、副校長先生(女性)と話し込んでいた。

「いかがでした?ここまで見ていただいて」
「楽しいですね。私も小学生に戻って参加したくなる位」
「ええ、そうですね。私もこの職についてると、時々思うんです」

お互いにお茶を1口飲み

「ところで、ルカさんはお昼は」
「あ、お弁当あります」

ルカはハヤテに作って貰ったお弁当を食べると

「(ん〜♪相変わらずハヤテ君の料理は美味しいな〜♪)」

ルカはある程度食べた後

「そう言えば。この学校って、運動会中のお昼は生徒さん達は教室で食べるんですね」
「ええ。来られない親御さんの為の配慮として、別々にしてるんです」
「へ〜。普通、運動会のお弁当と言ったら、校庭で親や親戚の人達と食べるってイメージありますけどね〜」

ルカはお弁当を食べつつ感想を言い

「じゃあ、場所取りで整理券を配るのも、その配慮って奴ですか?」
「ええ。トラブル防止の為の措置なんですよ。最近じゃそう言う学校、多いんですよ」
「へ〜」


一方のナギ。

「(やっぱり、ハヤテの弁当は美味いな。あいつの優しさが、味にも出てるよな)」

近くの公園でルカ同様、ハヤテのお弁当を食べていた。

「(それにしても、昼食は親とかと一緒じゃないんだな。漫画とかじゃ一緒に食うのは当たり前の光景なのに。 まあ、色々な事情もあるんだろうがな)」

こう思うと、ナギは

「(寂しいもんだな。幾ら事情があるとはいえ)」

こんな事も思っていた。

因みに、SPの人達が人払いをした為(ナギには内緒で)、公園で食べてても平気なのである。


                   × ×


運動会は午後のプログラムが始まり

「はい、カードには何て?」
「アイドルの人、です」
「はい、OK」

ゴールした後、その生徒は

「お前、良いよな。あの水蓮寺ルカと手を繋いで一緒に走れるなんて」
「羨ましいぜ。超当たりカードだよな」
「俺、暫く手を洗いたくねえな〜」

見ていたナギは

「あいつ、まさか借り物競争の借り物として、運動会に参加するとはな」

こんな風に感想を漏らし

「まあ、流石は激務をこなすアイドル。足も速かったな」

ルカと一緒に走った生徒の1位を取っていた。


色々飛ばし

「次は、最後の学年別リレーを行います」
「(もう最後か。あ、ハヤテ君出るんだ)」
「(頑張れよ、ハヤテ。私も応援してるぞ)」

レースが始まり、沙羅にバトンが渡った

「(流石ハヤテ君。女の子に生まれ変わっても身体能力の高さは健在だね)」
「(まあまあの差があったのに、一位との差を一気に詰めたぞ)」

1位だった白組(美幸)との差はほんの数pにまで縮まり、次の人にバトンを渡した。

「タケル君、頑張れ〜」
「(あれ?今のナギの声、だよね?知り合いなのかな?)」

ナギは未だにタケルが「ハヤテに告白した男子」っと言うのは内緒にしていた。

その後のレースは沙羅やタケルの活躍もあり、紅組の勝ちで終わり

「優勝は、紅組です」

「(ハヤテ君のいる紅組が優勝か〜)」
「(最後のリレーの点が大きかったな。見事に逆転したし)」

閉会式が行われる中、ナギは保護者トイレに行き、その帰り際

「沙羅ちゃん、凄かったわね」
「ええ。大活躍だものね」

誰かしらの母親2人が話しており、ナギは思わず隠れて聞き耳を立て始めた。

「でも、紅組が優勝出来て、ある意味学校側は助かったかもね」
「ええ。沙羅ちゃんのご両親が何かをしたかもしれないものね」

「(どうやら、あの両親の過保護はどの保護者にも周知の様だな)」

話の内容でナギは直ぐに察し、

「それにしても、沙羅ちゃんは少し可哀想よね」
「ええ」

「(え!?何の事なのだ?過保護だからって、何かがある訳じゃなさそうなのに)」

ナギはいっそう聴力を研ぎ澄ませた。

「沙羅ちゃんのご両親、娘の事になると凄いものね」
「ええ。何でも、遊びに来たからってお菓子やジュースを出したら、後から色々言われた人もいるみたいよ」

「何処で買ったのか?とか、どんな物が入ってるのか?とか、事細かに聞いたんですってね」
「娘が食べる以上、調べるのは当然だ。らしいわね」

「モンスターペアレント、って訳じゃ無いけど、それに近いわよね」
「だから、沙羅ちゃんには何も出さないって暗黙の了解が産まれたらしいし、遊びに来たら親は神経尖らせて疲れるらしいわ」

「沙羅ちゃんが良い子なだけに、親があそこまで過保護病なのは可哀想よね」
「沙羅ちゃんは薄々親の過保護病に気付いているらしいわね」

「「あの子、本当に幸せなのかしらね?」」

一部始終を聞いてしまったナギは

「(過保護だって報告は聞いてたが、そこまでとは。  ハヤテ、お前)」

心配そうに校庭に目を向けた。


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以上です。

次回は続きです。

では。
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Re: 転生 (2月23日更新) ( No.55 )
日時: 2020/02/25 22:47
名前: どうふん

masaさんへ

「アイドルの人」こんな借り物競争あるかー、というところですが、これはルカさんの発案によるサービスでしょうね。いや、それ以上に自分が童心に還りたかったのか。

それと何と言いますか・・・。
沙羅ちゃんの両親のことです。溺愛にして過保護とは思っていましたがここまでくるとこれまた残念な親ですね。
傍から眺めて「あの子本当に幸せなのかしらね」重い言葉です。

          どうふん


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Re: 転生 (2月23日更新) ( No.56 )
日時: 2020/02/29 22:15
名前: masa

こんにちはmasaです。

レス返しの更新です。


 ●どうふん さん

 ナギ「感想感謝するぞ♪」

 >>「アイドルの人」こんな借り物競争あるかー、というところですが、これはルカさんの発案によるサービスでしょうね。いや、それ以上に自分が童心に還りたかったのか。

 実は言うと、これは学校側の遊び心だったんですよね。「ルカが来てくれるなら」って事で急遽追加した遊び心だったのです。


 >>それと何と言いますか・・・。
  沙羅ちゃんの両親のことです。

 ルカ「へ!?なんかあったの?」
 ナギ「・・・」


 >>溺愛にして過保護とは思っていましたがここまでくるとこれまた残念な親ですね。

 ナギ「まあ、過保護って事で「ある意味では」納得だがな」

 これに関しては、「過保護ならこれ位は当たり前なのでは?」って理由があったりします。


 >>傍から眺めて「あの子本当に幸せなのかしらね」重い言葉です。

 ナギ「だよなあ。まあ、詳しくは後々の話で、らしいがな」


 感想ありがとうです〜♪

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Re: 転生 (3月1日更新) ( No.57 )
日時: 2020/03/01 12:15
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
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前回、ナギは沙羅の事で衝撃的な事を聞いてしまった。


運動会当日の夜。

「ふう。今日は流石に少し疲れたな」

ハヤテは自室のベッドで仰向けに寝転んでおり、思わずこう呟いていた。

「(僕は中身は結構いい歳だけど、普通に運動会楽しめたな。前世の時には考えられなかった事だな)」

ハヤテだった時は日曜に開催される関係上、嘘をついて欠席して働いていた為、まともに運動会に出たのは初めてに近かった。

「(リレーではチームに貢献出来たみたいだし、前世の時に出来なかった事、これからも出来ると良いな〜)」

こんな風に考えていると、部屋のドアがノックされ、入室を許可すると

「沙羅、ちょっといいかい?」
「どうしたの、パパ」

現在の父・藤哉が部屋に来て

「今日の運動会、沙羅の組が優勝しただろ? その事を祝って盛大にパーティを開くから、それを早く知らせたくてね」
「え!?」
「大急ぎで準備を進めてるから、楽しみに」
「ちょ、ちょっと待ってよ、パパ」

報告だけ済ませ、部屋を出ようとした父を止め

「要らないよ、お祝いのパーティ何て」
「何でさ。折角沙羅が」
「優勝出来たのは僕だけじゃないって。皆で頑張ったからだよ。だからお祝いはいらないよ」

藤哉は不満そうな顔になり

「でも、リレーは沙羅のお陰だし、そのおかげで逆転優勝が」
「リレーも皆のお陰だって。パパやママが褒めてくれればそれで十分だから。盛大にパーティーなんかしなくていいから」

娘に言われ、藤哉は

「分かったよ。沙羅がそこまで言うなら、今日3人だけで美味しい物を食べるだけにするよ」

そう言い残し、部屋を出て行った。

「やれやれ、全く」

溜息をつくと、沙羅は再びベッドに寝転んだ。


                   × ×


それから数日後。

「ああ、それで間違いないぞ」

ナギは以前会った蓮司と電話で話していた。

『すまないな。あんたみたいに忙しい人に何度も電話して』
「気にするな。必要な事だし、迷惑でも何でもないし」
『そっか。最近親父が「早く引退したい」って愚痴るし、俺が早く継いで隠居させてやりたいんだ』

蓮司の言葉にナギは思わず笑みを浮かべ

「なら、頑張らないと、だぞ」
『ああ。頑張るよ。 だから、まだあんたに迷惑かけるだろうけど、頼むよ』
「ああ。じゃあな」

ナギは電話を切った後

「やっぱり、気になるな。今ハヤテである沙羅の両親は間違いなく、娘に愛情を注いでいる。だが・・」

運動会の時に聞いた話が気になり、仕事に集中している時以外はモヤモヤしていた。

「仕方ない。近い内に、ハヤテに聞くしかないか」

仕事を終え、SPを待たせている駐車場に向けて歩いていると

「おお、タケルか。久しぶりだな」
「はい、お久しぶりです」

お互いに挨拶し

「どうしたのだ?結構遅い時間だぞ」
「塾の帰りですよ。中学受験するつもりなんで」
「そうか。お前、凄いな」

ナギが褒めると、タケルは少し照れた後

「あ、そう言えば。この前の運動会、来てましたよね?応援聞こえました。ありがとうございます」
「ああ、聞こえたのか。別に礼を言われる事じゃ」

すると、タケルは言い難そうに少し間をおき

「あの、ナギさん。突然変な事かもしれませんけど、五月女って、最近変わりましたよね」
「え!?」

驚くナギに

「俺、五月女とは幼稚園の頃からずっと一緒だったんですけど、今年の春位から急に変わった気がして」
「(春位? あ、前世の記憶が戻った時か)」

ナギは直ぐに納得した。

「(こいつには正直に言うか? いや、信じる訳無いよな、前世の記憶が戻った何て)」

こう考えていると

「皆も何となくで感じているみたいなんですが、俺は余計に感じてるんですよね」

思い出す様に少し間をおき

「元々優しかったんですけど、何というか「レベルアップした」って言うんですか?兎も角凄く優しくなって。それだけじゃなく何というか雰囲気が」
「(それ、ハヤテの天然ジゴロだよ。ホント、生まれ変わってもそう言う意味じゃ恐ろしい奴だよ)」

ナギが呆れていると

「それだけじゃないんです。なんかあいつ、何かに疲れてるって感じがあったんですけど、その頃からそれが無くなって」
「(まあ、度合いは兎も角、前世の時には貰えなかった親からの愛情を貰えてるんだもんな。  だが)」

ナギは気になっている事をそれとなく聞く事にした。

「実はな、私が沙羅と仲良くなったのは、最近なんだ。だから、去年までの事は知らないんだ」
「あ、そうだったんですか」
「なあ、タケル。あいつの両親について、何か知ってるか?」

調べさせ、報告は聞いているのだが、プライベートには深くは突っ込まなかったので、その部分を聞く事にした。

「えっと。幼稚園の頃、親子で白玉団子を作るって言うのがあって、その時見かけた事があるんですけど、その時は何というか・・」
「ん!?言える範囲で良いぞ」

言い難そうにしているタケルにナギは囃し立てたりせず、待った。

「何と言うか、凄かったんです。 えっとい、い」
「一挙手一投足、か?」
「ああ、それです。 兎も角、どんな事をしても褒めてて。変な話、小麦粉をボウルに移しただけで「天才だ」とか「えらいぞ〜」とか。そんな事にも褒めてて」

過保護だというのは知っていたが、想像を超えていた。

「それに、お母さんがしてた話を聞いちゃったんですけど、その時に使った材料や調理道具は全部五月女の両親が用意したって。まあ、噂程度らしいですけど」

ナギは「間違いなく、本当だろうな」っと思っていた。

「これも聞いちゃった話なんですけど、五月女の親と仲良くしてる人は居るみたいなんですが、五月女の事には触れちゃいけないって内緒で決めてるらしくて」

これもこの前聞いた話と合致していた。

「あの、その事と五月女に何か関係が?」
「ん!? あ〜、何でも無い。気にするな」
「は、はあ」

誤魔化したナギに、タケルは深くは言及して来なかった。

「あの。五月女が何かに困ってるなら、俺が出来る事は何でもします。困っているならあいつの事、助けてやりたいんです」
「そっか。優しいな、お前は」
「い、いえ。そんな事は」

褒められて、照れた後

「あ、そうだ。連絡先、交換しませんか?五月女に何かあった時、直ぐに連絡を取り合えるように」
「え!?私は構わんが、平気か?今のご時世、そう言う事には色々と敏感なんだぞ」
「大丈夫ですよ。「友達だ」って言えばどうとでもなります」

ナギは悩んだが、ハヤテの事も係わっているので、連絡先を交換した。

「なあ。お前は何で」
「もう本人に告白したんで言っちゃいますけど、俺、あいつをお嫁さんにしたいんです。大人になったら結婚して、幸せにしてやりたくて。だからです」

ナギは「やっぱりな」っと思いつつ挨拶し、タケルと別れた。

「(あいつ、あのまま成長すれば好青年になるだろうな。良い意味で「将来楽しみだ」だよな)」

ナギは母親の様な母性を感じつつ

「(でも、ハヤテの事はやっぱり気になる。あいつの話を聞いて、なおさら。 兎も角、ルカにはこの事は内緒にしておいた方が良いな。あいつの事だから、知れば絶対に何かする。最悪の返り討ちに会っても)」


                   × ×


帰宅すると、少ししてハヤテが来た。

「・・あの、何か?」
「え!?あ〜、いや」

一緒にティータイムをしている時、思わずハヤテを見つめてしまい、聞かれたが答えられず、気になっていた事を聞くべきか悩んでいると

「ただいま〜」
「お帰りなさい、ルカさん」
「あ、ハヤテ君来てたんだ♪」

ルカが帰って来たので、聞けず仕舞いだった。

「あ、そうだ。ナギ、週末時間取れる?」
「へ!?何だよ、急に」

着替え等を済ませたルカも加えてティータイム中、ルカがいきなり切り出した。

「今日ね、マネージャーさんに言われてね。 この前さ、この家に招いた時あったでしょ?その時の事を気にしてたらしくて」
「ああ、あの時か」

お分かりでしょうが、(>>45)の時です。

「あの時、ナギは冷たくしちゃったでしょ?」
「ま、まあな」
「ナギを責める気はないけど、マネージャーさんは気にしてて。で、お詫びがしたいって言われてさ」

ナギは気まずさを覚えた

「一応確認の為にこの話を持ち出したんだ。まあ、ナギが嫌なら断っておくけど、どうかなって。断るなら、私が話しておくよ、「向こうも謝ってたのでお互い様って事でお詫びはしなくても良いですよ」ってな感じで」

ナギは少し考え

「分かったよ。何とか時間は作る。私としても折角の厚意を無下にはしたくないし」
「そう。じゃあ、伝えておくよ。 ところで、何か希望ある?ナギの希望を最優先してくれるって言ってたけど」

ナギは少し考え

「じゃあ、釣りかな」
「釣り!?なんでまた。 ナギ、興味あったっけ?」

ナギのインドア癖を知っていたルカ(ハヤテも)は驚いていたが

「ああ、そう言う事」
「な、何だよ」

ナギの傍には釣りを扱った漫画が置かれてあった。

「漫画に影響されやすいの、その年になっても変わらないね」
「う、うるさい/////////////////////////」

抗議するナギを気にせず

「じゃ、伝えておくよ」
「ああ」

ハヤテと話し始めたルカに対し

「(何だろうな。漫画に影響された訳じゃ無いのに、自然と「釣り」ってワードが出た。何だろうな)」

ナギは少しだけ複雑だった。


-----------------------------------------------------------------------------------
以上です。

次回は続きです。

では。
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Re: 転生 (4月13日更新) ( No.58 )
日時: 2020/04/13 19:00
名前: masa

お久しぶりですmasaです。

暫く休んでしまって、すみませんでした。
体調不良とかではありませんよ。

本編どうぞ。
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前回、ナギはルカや森谷マネージャーと釣りに出かける事になった。


「そう言えば、釣りって私初めてなんだよね。ナギみたいに釣りの漫画やアニメは結構見てるけど」
「私は厳密に言えば初めてじゃないよ。三千院家にはデカい池(湖ともいう)があるからそこでな。ハヤテや・・もいたしな」
「ふ〜ん」

ナギの言う池をルカは普通に知っているので、特には驚かず、ハヤテは懐かしんでいた。
するとすぐ近くに車が止まり、

「お待たせしました。お迎えにあがりました」

ルカは現役の超売れっ子アイドルなので、公共交通機関を使う訳にもいかないので、色々と考慮して車移動になったのである。

ナギ、ルカ、沙羅は車に乗り込み

「三千院さん、今日はよろしくお願いします」
「あ、ああ」

反応の薄いナギに

「(ナギさん、人見知りを発動させちゃってますね。当主になったとはいえ、中々治らないですからね)」

心配するハヤテをよそに、森谷マネージャーは発車させた。


                   × ×


一行は近くの釣り堀にやって来ていた。

「どう、ナギ。待望の釣りは」
「ん〜? まだ始めったばっかだよ。 まあでも、前は釣竿を飛ばしてしまって面白くもなんともなかったが、その時に比べれば、楽しいよ」

反応の薄いナギ・ルカコンビに

「私は楽しいですよ。釣りはこうして待ってるだけでも楽しいもんだって言いますし」
「(まあ、僕はあの時以外にも釣りはしてたんだけどね。食い扶持稼ぐ為に)」

ハヤテからすれば釣りは「楽しくない思い出」の方が大多数を占めるので、複雑だった。

すると

「ねえねえ。折角だから競争しようよ」
「何のだよ」
「若しかして、誰が一番の大物を釣り上げるかって言う?」

森谷マネージャーの言葉にルカは笑顔で

「折角こうしてるんですし、そう言うのあった方が良いかなって」
「ま、良いか。乗るよ」
「異議なしで」
「えっと。私も良いですよ」

ナギも森谷マネージャーも同意したので、沙羅は慌てて同意した。

しかし・・・

「あれから2時間以上。誰も音沙汰ないなんて」
「やれやれ。私は運には割と自信あったのにな」

誰もヒットすらせず、重苦しい空気が流れていた。

「わ、私は楽しいですよ。それに、釣りって言う物はその道のプロでも全く何も無いって珍しくないって聞きましたし」

森谷マネージャーはフォローしようとしたが、生簀を挟んで反対側の親子は普通に釣れていた。

「(き、気まずい。態と逃がしている事、感付かれないと良いけど)」

実は、沙羅の竿にだけは何度も当たりが来ているのだが、流石に自分が最初と言う訳にはいかないので、その度に逃がしていた。

そんな重苦しい空気を見かね

「ねえルカお姉さん、一緒に飲み物買って来ない?」
「ん!?あ、うん。良いよ」
「2人は荷物番をお願いします」
「あ、はい」

「(2人とも、気を使ってくれたのか。悪い事したな)」

沙羅とルカの行動に、ナギは直ぐに察していた。


「どうします?一切盛り上がってませんけど」
「う〜ん。こんなはずじゃなかったんだけどね〜」

ルカは腕を組んで少し考え

「折角皆で時間合わせて出かけて、ナギとマネージャーさんの関係を緩和させようとしたのにね」
「え、ええ」

流石に「自分はヒットしてたが気付かれ無い様に逃がしてた」とは言えず、誤魔化し

「おかしいな。盛り下がらない様に釣り動画を見て予習しておいたのに」
「まあ、現実はそんなに甘くは無いですよね」

適度に同意しつつ

「兎も角、僕達で何とかしましょう」
「そうだね。ここはアイドルちゃんの話術、見せちゃいますか」


一方

「お2人は、仲が良いんですね」
「え!?」
「三千院さんとルカさんですよ。職業柄、見てると分かるんです」

気を使って話し掛けて来てくれたので、ナギは

「まあ、結構長く一緒に暮らしてますからね。家が広くても、同じ部屋にいる事が多いですから」
「そうやってずっと仲良くしてられるのは、素晴らしい事だと思いますよ」
「そうですか。まあ、あいつとは色々と共通点が多いですから」

話していると、沙羅とルカが戻って来たので

「あ、そうそう。ルカお姉さんには面白い話があるんですよね?」
「あるよ〜。今度トーク番組で話そうと思ってるね」

そう前振りして話そうとしたその瞬間

「ゲッ、雨だ」

一行は慌てて屋根のある所に避難し

「やれやれ。予報じゃ降水確率0%だったのに」
「申し訳ありません。私のせいですね。どうも雨男で。 普段の仕事の時は兎も角、休みとかで出掛けると凄い高確率で雨に」

申し訳無さそうな森谷マネージャーに

「(そう言えば、前のバーベキューの時も。まあでも、僕のせいの可能性が高そうだな。僕もこういう大事な時は雨に降られるし)」

自身の運の無さに落ち込んでいると

「どうしよっか、この後」
「このままお開きってのはな〜」

ルカもナギも答えを出しかねていた。
森谷マネージャーもどうすべきか決めかねていたので

「あの、皆さん。b・・私行きたいところがあります」
「「「???」」」


                   × ×


一行は移動し

「沙羅さんって、結構昔の曲知ってるんですね」

一行はカラオケボックスに来ており、沙羅が歌った曲は一昔前の曲だった。

「(流石はハヤテだな。生まれ変わっても歌唱力は健在か)」

ナギは素直に感心しており、特には疑問を抱いていなかった。
沙羅が歌い終わると

「よ〜し、現役アイドルちゃんはカラオケでも凄いって所、みせちゃうぞ〜」
「ルカさん、明日以降の仕事にも差し支えるので、程々に」
「分かってますって」

一応の警告を受け取り、ルカは歌った。

「(流石はたった1人で大きい会場を埋め尽くすアイドル。歌唱力はすさまじいな)」

歌い終わると、ルカは

「2人は歌わないの?」
「あ〜、いや。私は」
「私は遠慮するよ。こうやって聞いてる方が好きなんだ」

ナギがそう言うと、ほぼルカが1人で歌っていた。
それを聞きつつ

「三千院さん、この前はすみませんでした。遅くまでお家にいてしまって」
「え!?あ、いや。それは」
「言い訳をするつもりはないですよ。家主の許可を得ずに、あんな遅くまでいちゃ駄目ですよね」

心底申し訳無さそうな森谷マネージャーに

「気にするな。私もあの時冷たい態度を取ってしまって、申し訳ないと思ってたんだ」
「謝らないでくださいよ。私が全面的に悪いですから」

これ以上食い下がるのは野暮なので言い返さず

「そう言えば、今回の事は三千院さん発案なんですよね?」
「ああ、まあな」
「釣り、好きなんですか?」

聞かれたナギは少し間をおき

「いや、特には。ただ何となく釣りって提案しただけだ」
「そうだったんですか」

少し間が空き

「三千院さんの話は、ルカさんから聞いてますよ」
「ふ〜ん。ま、碌な話じゃないだろうがな」
「いえいえ。良い話ばかりですよ」

前置きすると、森谷マネージャーは

「凄い人だって。 自分より少し年下なのに、色んな仕事をバリバリこなしてて、苦手な事にも出来るだけ挑戦してるって。そんな凄い人なのに、自分との心の壁を無くしてくれて、接しやすくしてくれてるって。だからこそ、尊敬してるって、言ってました」

間接的に聞いたルカの本音にナギは照れて頬を掻きつつ

「今回の事は、あいつが気を使ってくれて提案してくれた事は分かってましたよ。私もあいつの事は尊敬してます。アイドルと言う雲の上の存在のはずなのに、一気に距離を詰めてくれて。だからこそ、長く一緒に住めるってのも、あるかもしれませんね」

ナギの言葉に森谷マネージャーも笑みを浮かべた。
すると

「ほら、ナギも歌う」
「え!?しかしだな」
「空気なんか読まなくていいからさ。ほらほら」

煽るルカに

「分かったよ。1曲だけだぞ」

そう言って曲を入れ歌い始めた

「おお〜。流石ナギ」
「上手ですね」


                   × ×


カラオケを終え、3人は森谷マネージャーに送ってもらい

「今日はありがとうございました。楽しかったですよ」
「私も楽しかったですよ。まあ、魚が釣れればもっと楽しかったんですけどね」

ルカの自虐に森谷マネージャーは苦笑いをし

「あの、三千院さんは」
「・・ナギだ。名前で呼んでください」
「えっと」

少し悩んだ後

「では、ナギさんは」
「楽しかったですよ。また機会があったら、誘ってください」
「はい」

笑顔を向けあう2人にルカと沙羅も笑顔を向けあった。

「いや〜、楽しかったね〜。カラオケも堪能出来たし」
「カラオケに関してはほぼお前だけだっただろ。まあ、良いけどな」

ルカに皮肉で返し、

「ナギとマネージャーさんとのわだかまりも解消されたし、結果的に成功だね〜」
「まあな」

すると、ナギは少し間をおき

「ルカ、先に屋敷に入っててくれ」
「ほえ?何で?」
「ハヤテと話があるからだ。大事な、な」

ナギの真剣な表情にルカは

「分かった。先に入ってお茶淹れておくよ」
「すまんな。 あ、盗み聞きするなよ」
「しないって」

そう言うと、ルカは先に屋敷に入った。

ナギはハヤテを誘い、少し距離を取ってから

「あの、ナギさん。用事は」
「・・この前の運動会の時な、よからぬ噂を聞いた」

ナギの心配そうな表情にハヤテを息を呑んだ。

「・・今のお前の、家庭についてだ」
「!!!」
「ハヤテ、嘘や誤魔化しは止めろ。全部、正直に答えてくれ」

ナギは見抜く様な、でも心配そうな視線をハヤテに向け

「今のお前は、本当に幸せなのか?」


-----------------------------------------------------------------------------------
以上です。

次回は続きです。

では。
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Re: 転生 (4月13日更新) ( No.59 )
日時: 2020/04/18 08:00
名前: どうふん

masaさんへ


どうもご無沙汰しております。
次第に訪問頻度が減っているとはいえ、ちゃんと読んでおります。
さて、沙羅の両親の暴走っぷりは相変わらずですが、なんだかんだとハヤテの理性がそれを押さえているようですね。これが普通の子供だったら「あの親にして・・・」となりそうな。
それでも迷惑なほどに溺愛されている当人の気持ちというのはあるでしょうから、次回投稿、楽しみにしています。

あとはナギですね。なぜ「釣り」というキーワードが頭に浮かんだのか・・・。傍目にはいろいろと思いつくのですが・・・。
 

                            どうふん
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Re: 転生 (4月13日更新) ( No.60 )
日時: 2020/04/19 19:17
名前: masa

こんにちはmasaです。

レス返しの更新です。


 ●どうふん さん

 沙羅「感想ありがとうございます♪」


 >>どうもご無沙汰しております。

 ご無沙汰ですね。1ヶ月も休んでしまってすみません。


 >>次第に訪問頻度が減っているとはいえ、ちゃんと読んでおります。

 ありがとうございます。励みになります。


 >>さて、沙羅の両親の暴走っぷりは相変わらずですが、なんだかんだとハヤテの理性がそれを押さえているようですね。これが普通の子供だったら「あの親にして・・・」となりそうな。

 ナギ「まあ、確かにな。殆どの場合、「過保護に育てられた子供」はクズに育つからな」
 ルカ「だよね〜。まあ、沙羅ちゃんなら大丈夫な可能性はあるけどね」


 >>それでも迷惑なほどに溺愛されている当人の気持ちというのはあるでしょうから、次回投稿、楽しみにしています。

 ナギの問いかけの答えは、次回の投稿でちゃんと語ってます。 なので今は言えません。すみません。


 >>あとはナギですね。なぜ「釣り」というキーワードが頭に浮かんだのか・・・。傍目にはいろいろと思いつくのですが・・・。

 それが中っているかどうかは、後々の話で出てきます。 つまり、今は言えません。 内緒ばかりですみません。


 感想ありがとうです〜♪

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Re: 転生 (4月26日更新) ( No.61 )
日時: 2020/04/26 12:31
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
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前回、ナギは現在のハヤテ・沙羅に現在の家庭環境を聞いた。


「ハヤテ、もう一度聞く。今のお前は、本当に幸せなのか?」

聞かれた沙羅は少しの間答えなかったが

「どの程度の、どれ位の話を聞いたんですか?」
「・・色々だ」

ナギは少しだけ間をおき

「過保護だって事は知ってた。だが、私が聞いた限り「異常なまでの過保護」って思った。お前の同級生や友人の親は、お前関連の事で神経尖らせて疲れるっと」

ナギの言葉に完全に沈黙し、ナギは気にしつつ続けた。

「それにだ、タケルの奴に会って、聞いた。何かに疲れてる感じもあったと」
「・・そうですか」

沙羅は暫く黙り込んだが

「確かに、両親からの愛が、重すぎるのも時々感じてます。それに、ナギさんが聞いた事も、薄々感じてました。自分のせいで苦労を掛けてるんではないかと」
「・・・」

「ですが、直接的に何かをして居る訳では無いですし、過保護すぎて法を犯してるって訳でもないですから、ギリギリ大丈夫、だと思います。大変なのは事実ですが」

誤魔化し等は感じず、ナギはただただ心配そうな視線を送るだけだった

「だがな、ハヤテ。お前は何かに疲れてるって」
「そりゃあ、重すぎる愛を向けられたら、ね。無いより、その」

ナギは何となくで沙羅の気持ちを理解出来た。
若し、紫子やシン・ハイエックが生きていて、沙羅の両親と同じだったらっと思ったからだ。

「ですが、ナギさん。さっき「幸せか?」っと聞きましたよね?」
「え!?あ、ああ」
「大丈夫です、幸せです。前世の時は欠片も貰えなかった愛を貰えてるんです。前世の分を今世で受けてると思えば、ね」

ナギは、沙羅の笑顔に何かを感じたが、何も言い返せなかった。

「大丈夫ですよ。見た目は「小学生の女の子」ですが、中身は「数々の修羅場を乗り越えた綾崎ハヤテ」なんです。どうとでもなりますよ」
「・・分かった。お前がそう言うなら、私は何もしないよ」

挨拶をし、沙羅は帰路に着いた。

「(ナギさんに言った事には、嘘は無い。でも、「今の生活に満足出来てるか」は、分からない。過剰すぎる愛も、考え物だし。それに・・)」

沙羅は夕焼け空を見上げ

「(「綾崎ハヤテの記憶」が戻る前、つまり「五月女沙羅としての記憶」がかなり曖昧なんだよね。やっぱり、自分で自分の記憶を封印するなり消去しちゃったのかな)」

ルカには勿論ナギにも言えず、抱え込むしかなかった。  が

「(まあでも、こんな風に考えるのは贅沢だよね。愛の度合いは兎も角、愛してくれてるんだし)」


                   × ×


別の日。

ナギはとある波止場に来ていた。
すると

「あれ?三千院さん、こんな所で何してるんっすか?」
「ん!?ああ、あんたか」

釣竿を持った蓮司と出会った。

「何も、してないよ。ただ、海を見て心を落ち着かせたかった。それだけだ」
「ああ、そう。でも、あんたみたいに立場のある人間がこんな所に居ちゃ危ないんじゃないの?」
「心配無用だ。それ位、平気だ」

ナギが答えると、蓮司は波止場に腰かけて釣りを始めた。

「最初、あんたを見かけたとき驚いたよ。時間とか間違えたんじゃないかって」
「それは平気だ。私が勝手に早く来ただけだ」
「ああ。スケジュールを確認してから話しかけたからな」

相変わらずぶっきらぼうな言葉にナギは思わず笑みを浮かべた。

「・・差支えなければ、聞いて良いか? あんたが海を見て心を落ち着かせたくなった理由」
「・・理由、か」

黙り込んだナギに蓮司は謝りかけたが

「モヤモヤする事があった。心配する事があった。 だがな、私は何も出来ない。下手に何かをすれば、色々と面倒くさい事になる。そう思ったら、な」
「・・そっか」

ナギの言葉に、蓮司はこれと言ったリアクションはしなかったが、ナギも何も言わなかった。

「釣り、か。何度かやった事あるが、良く分からないんだよな。釣れた事は無いし」
「興味あんのか?なら教える位はさせてもらうが」

釣り糸を垂らしつつ言われ、ナギは少しだけ考え

「折角の厚意だ。ありがたく受けさせてもらおうかな」


それから暫くして

「おお。また釣れたぞ」
「へえ。あんた、筋が良いな」

三千院湖や釣り堀の時とは違い、大量と言える釣果だった。

「さて。食べる分だけ残して、後はリリースするか」
「・・だな。命は無駄に奪う訳にはいかんからな」

2人で海に返し、

「なんか、少し晴れた気がするよ。色々とな」
「そりゃよかった」
「海は不思議だよな。ただ眺めてるだけで、傍にいるだけで落ち着くから」
「・・でも、怖さも兼ね備えてる。それが海さ」

蓮司の言葉にナギは黙り込み

「・・すまん」
「何故に謝る?」

蓮司は不思議そうにしつつ

「前も言ったと思うが、俺のダチは釣りに行ったまま帰って来て無い。 でもな、そいつが行方不明になった時、海は時化てた。周りは止めたが「こういう時にこそ大物は釣れる」とか言って強引に行ってしまった。結果は言うまでもないだろ?」

自ら語ってくれた蓮司にナギは

「なんかすまんな。強引に語らせたみたいで」

「気にするな。俺が勝手にしゃべっただけだよ。でもな、あんただからこそ、海の怖さを知ってもらいたい。デカい津波や台風そんなもんが来ればひとたまりもない。実際、この辺でも大きな被害が出た事もある」

蓮司が言った被害にナギは

「やっぱり、海って怖さも兼ね備えてるんだな。私だったら、財力に物を言わせて安全な所に引っ越してしまう。 お前は、そう言う考えに至った事は無いのか?」

「・・無いよ。確かに海は美しさと怖さを兼ね備えてる。偶々大丈夫だっただけで、次は俺かもしれない。でもな、誰かを救う事が出来るかもしれない。何より、俺はこの土地が好きなんだ。何があろうとも、この土地で生き、この土地で死ぬ。それが理想かな」

蓮司の言葉にナギは

「なんかお前、凄いな」
「・・別に普通だよ。ってか、好き勝手に生きてるだけさ」
「・・そうか」

ナギが感心していると

「当主様、お仕事の時間です」
「分かってる。野暮な事するな」
「・・ご無礼を」

ナギと蓮司は仕事に取り掛かった。


                   × ×


それから暫くして。

「本日の仕事はこんな感じです」
「分かりました」

ルカはあるテレビ局の楽屋で打ち合わせをしていた。

「マネージャーさん、今日って何日でしたっけ?」
「○月○日、ですが」
「そう、でしたね」

言われたルカは少し間をおき

「(もう、そんな時期か。今年はどうしようかな)」


                   × ×


一方の沙羅は何時も通りの時間に起き出し、両親とのやり取り等何時も通りの朝を過ごした後

「(いい天気ですね。こういう過ごしやすい時は、執事仕事が何時も以上に楽しく感じてたんですよね)」

穏やかな天気にハヤテは前世の時を思い返し

「(何時も通りの朝、何時も通りの日常。そんな当たり前が何時も以上に楽しかったんですよね)」

そんな事を考えつつ三千院家に赴くと、門の前にルカとナギが立っていた。

「おや?お2人とも、お出かけですか?」
「うん、まあね」
「ああ、まあな」

すると、ハヤテはルカが花束を持っている事に気付き

「これから接見ですか?なら僕は」

ハヤテの言葉にルカは遮る様に

「分からない、覚えてないのも、無理はないよね」
「???」
「今日はね、ハヤテ君の命日なんだよ」


-----------------------------------------------------------------------------------
以上です。

次回は続きです。

では。
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Re: 転生 (4月26日更新) ( No.62 )
日時: 2020/04/29 09:05
名前: どうふん


masaさんへ

やはりハヤテとしては新しい両親に、複雑で、そして少々重い気持ちもあるようですね。
ただ昔の記憶があまり残っていない、そして人格も急に大きく変わった沙羅を、溺愛している両親はそれをどう見ているのかは気になりますね。
「前より可愛くなった、以上」というならそれまでの話ですが。

ところで、記憶が曖昧になっているとはいえ、ハヤテ君、自分の命日を忘れちゃったのかい。
君は交通事故でわけのわからないまま即死したわけではなかったはずだが・・・。
一方で「今年はどうしようか・・・」ルカやナギにとっては戸惑うのも当然でしょう。
毎年この日はハヤテの仲間たちが揃って墓参り・・・なんてイベントはあるのかな。


                                      どうふん


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Re: 転生 (4月26日更新) ( No.63 )
日時: 2020/05/03 12:15
名前: masa

こんにちはmasaです。

レス返しの更新です。


 ●どうふん さん

 ナギ「感想感謝するぞ♪」

 >>やはりハヤテとしては新しい両親に、複雑で、そして少々重い気持ちもあるようですね。

 ハヤテ「それは、まあ。 前世の時とは違いすぎますし、重すぎる愛というのも、ね」


 >>ただ昔の記憶があまり残っていない、そして人格も急に大きく変わった沙羅を、溺愛している両親はそれをどう見ているのかは気になりますね。
  「前より可愛くなった、以上」というならそれまでの話ですが。

 >>20でタケルが言った通り、沙羅は元々優しかったんですよね。つまり、言う程大きくは変わって無いんですよね。まあ、天然ジゴロは追加されましたが。
  沙羅の両親は実は言うと娘の変化にそこまで気付いてないのが裏設定であります。「前(記憶が戻る前)より自分達の愛を受け入れてくれてる」位にしか思ってません。


 >>ところで、記憶が曖昧になっているとはいえ、ハヤテ君、自分の命日を忘れちゃったのかい。
  君は交通事故でわけのわからないまま即死したわけではなかったはずだが・・・。

 ナギ「それは仕方ないさ。ハヤテは死ぬ前は重体で入院してたからな。日時の感覚が分からなくなるのは当然と言えば当然だ」


 >>一方で「今年はどうしようか・・・」ルカやナギにとっては戸惑うのも当然でしょう。

 ルカ「だよねえ。今年はハヤテ君いるし」
 ナギ「変な感じだよな」


 >>毎年この日はハヤテの仲間たちが揃って墓参り・・・なんてイベントはあるのかな。

 それに関しては次回である程度は触れてます。


 感想ありがとうです〜♪

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Re: 転生 (5月10日更新) ( No.64 )
日時: 2020/05/10 13:00
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
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前回、ハヤテは三千院家を訪れた際、自身の命日だと知らされた。


ハヤテ、ルカ、ナギはお寺に来ていた。そして

「毎年、命日には私とナギで来てたんだよね。でも、今年はハヤテ君戻って来てくれたし、一緒にお墓参りなんて、どうなんだろうって思ったんだよね」
「私も、同意見だった。ハヤテは、良く思わないともな」

ハヤテは「綾崎家の墓」っと刻まれた墓石を目の前にしていた。
そして、暫くの間黙り込んだ後

「特に、何も思わないんですよね。ただただ、不思議な感じです」
「「そう」」

2人とは目を合わさず、ただただ墓石を見つめ

「(ここに、前世の僕の遺骨が納められてる。でも、僕は転生して、前世の記憶が戻って自分自身のお墓参りをしている。神様は、どうして僕にこんな運命を背負わせたんだろう)」

おおよその見当はつくものの、やはり不思議な感じは否めなかった。

「さて。折角墓参りに来たのだ。何時までもこうしてたら、迷惑だ」
「だね」
「ですね」

花を手向け、線香も手向けて手を合わせた。
そしてもう帰ろうとしたその時

「おや?ここで会えるなんて奇遇だね」

突然聞こえた声にハヤテには緊張が走った。

「あ、パパ。どうしてこの時間に」
「ああ。今迄は仕事とかで午後にしか来れなかったが、今年は時間が取れてね。だから来たんだ。 まあ、結果的に良かったよ」

お分かりでしょうが、ルカの実父である。
ルカ父は持ってきた花と線香を手向け、手を合わせた後

「やっぱり、毎年来てるのかい?」
「うん。当たり前だよ」
「そうだよね」

親子の会話にナギは沙羅の様子に気付き

「あの」
「ああ、ナギさん。何時も娘が世話になってます」
「あ、いや。こちらこそ」

2人ともお辞儀し

「どうして、毎年ハヤテの墓参りに来てくれるのだ? 娘の想い人とは言え、結婚前に、その」

沙羅は「ナギが気を使ってかわりに聞いてくれた」っと察した。
問いかけにルカ父は少しだけ不思議そうな顔をした後

「ここには、私達の息子が眠ってるからね。 確かに、世間一般的には「元・娘の婚約者」っと言うが、そんなの関係ないさ。娘が想い続けている以上、私達からすれば息子なのさ」

義父になるはずだった人の言葉に、ハヤテは複雑だった。
聞いたナギはハヤテの様子に「聞かない方が良かったかな」っと思っていた。

「さて。ん!?」

ルカ父は沙羅に気付き

「あ、あの。何か?」
「ああ、何でも無いよ」

首を傾げる3人に

「(気のせい、だな)」

こう思い

「ところで、この子は一体?」
「ああ。このk」
「近所に住んでいる、最近仲良くなった私の友達なんです」

ルカを遮る様にナギが説明した。

「へえ、そうなんですか」
「初めまして。五月女沙羅です。小学4年生です」
「こんにちは」

ルカ父は笑顔で挨拶し

「ルカ、折角だから家に来ないか?寿司でも取って献杯でもしよう」
「え!?今から? まあ、仕事は夜からだから、それまでならいいけど」
「それは良かった。車で来てるから、それで行こう。 あ、勿論ナギさんもご一緒に」

誘われたナギは申し訳なさそうに

「すみません。私はこれから仕事なので」
「それは残念です」

すると

「ねえパパ。この子も一緒に行っても良い?」
「!?」
「僕は構わないよ。じゃ、先に駐車場に行ってるね」

そう言うと、ルカ父は行ってしまった。

一方、ルカとハヤテは桶や柄杓を元の所に返しに来た。
すると

「僕は、行きません」
「え!?な、何でよ」

ハヤテの言葉にルカは信じられないと言った口調で

「パパは構わないって言ってくれたじゃん。なら」
「理由はどうあれ、娘であるルカさんを悲しませてしまったんですよ。会わせる顔なんて、ある訳無いじゃないですか」
「・・死んじゃったのは、ハヤテ君のせいじゃない。ヒスイって人のせいだよ」

ルカのフォローにハヤテは

「どんな理由があろうとも「笑顔を奪わない」っと言う約束を反故してしまったのは事実なんです。先程は嬉しい事を言ってくれましたが、気持ちだけ受け取らせてもらいます。僕は、帰ります」

そう言ったハヤテの前に立ち塞がり

「私達家族は、ハヤテ君のお陰で元通りに戻れた。それは紛れもない事実だよね?」

そう、ルカと両親はハヤテの尽力のお陰で関係を修復する事が出来、今は時々しか会えないものの普通の家族に戻れたのである。
まあ、この事はルカの所属事務所は知らないが(集さんは感付いている可能性あり)。

「その事は、私も私の両親も感謝してる。だからこそ、結婚の挨拶をした時直ぐに許してくれたんでしょ?」
「・・・」
「ハヤテ君、気まずいって言うのは分かるよ。でもね、折角生まれ変わってこうしているわけだから、家族になるはずだった人達に会うのも、奇跡に感謝してするべきじゃないかな?」

そう言うと、一旦間をおき

「ハヤテ君、パパだけじゃなくママにも会ってほしい。何だったら、真実を打ち明けて理解者を増やすってのも、ありだと思うよ?」

ルカの言葉にハヤテは少しの間沈黙し

「分かりました。ただ、真実を打ち明けるのだけは、止めてください」
「・・分かった。どうするかは任せるよ。 私からは何も言わないから」

話は決着し、父を待たせていた駐車場に向かった。


                   × ×


移動中の車内。

「それにしても。最近は僕達は安心してたんだよ」
「え!?何が?」

急に切り出され、ルカが分からないでいると

「ルカだよ。この10年、ルカは落ち込んでたからね。テレビで見るルカは、明るく見えたが何処か無理してる感じがあったからね」
「あ、ばれてた?」
「あんな事したとはいえ、親だからね」

言い難そうに言うと、

「でも、最近のルカはそんな事は無く、本当の明るさを取り戻してた。だから、安心して見守れてたんだ」
「そっか」

親子の会話を沙羅は複雑な気持ちで聞いていた。


                   × ×


ルカ両親宅に着いた沙羅は複雑そうに家を見ていた。

「(なんか、変な感じだな。ここには何度も来てるのに、全く知らない他人の家に来た感じがして)」

沙羅は複雑だったが、ルカは何処か楽しそうだった。

「さ、あがってあがって」
「あ、お邪魔します」

外観や玄関から見た感じは10年前と殆ど変わっておらず、「懐かしい」と感じるはずなのに、沙羅はやはり「全く知らない他人の家」っと言う感じが否めなかった。


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以上です。

次回は続きです。

では。
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Re: 転生 (5月10日更新) ( No.65 )
日時: 2020/05/10 19:03
名前: どうふん


masaさんへ

ハヤテのお墓参りはナギとルカ(とその親)だけですか。ちょっと寂しいですね。
まあ命日ですからね。告別式とは違いますわな。

ルカの父親は何か気づいたんですかね。
沙羅にとっては前世の記憶が複雑に入り乱れて苦しい思いをしていますね。
これをどう受け入れ、乗り越えていくのか、今後の展開を楽しみにしています。

                                  どうふん
この作者は、誤字脱字の連絡を歓迎しています。連絡は→[チェック]/修正は→[メンテ]
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Re: 転生 (5月10日更新) ( No.66 )
日時: 2020/05/17 13:21
名前: masa

どうもmasaです。

レス返しの更新です。


 ●どうふん さん

 ナギ「感想感謝するぞ♪」

 >>ハヤテのお墓参りはナギとルカ(とその親)だけですか。ちょっと寂しいですね。

 ナギ「まあ、皆色々あるからな」
 ルカ「しょうがないっちゃしょうがないよね」


 >>まあ命日ですからね。告別式とは違いますわな。

 ルカ「私からすればどっちもたいして変わらないよ」
 ナギ「だよな。あ、私も、だぞ」


 >>ルカの父親は何か気づいたんですかね。

 それに関してはもう少し後の話で触れています。なので、今は言えません。すみません。


 >>沙羅にとっては前世の記憶が複雑に入り乱れて苦しい思いをしていますね。

 沙羅「ええ、まあ。前世の時とは違いすぎますからね」


 >>これをどう受け入れ、乗り越えていくのか、今後の展開を楽しみにしています。

 因みに、ルカの両親に関してはもう少し続ける「ルカの実家編」にて触れてます。

 まあ、その他の面々に関しては、ご期待に沿えるか分かりませんが、頑張ります。


 感想ありがとうです〜♪

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Re: 転生 (5月24日更新) ( No.67 )
日時: 2020/05/24 12:25
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
-----------------------------------------------------------------------------------

前回、ルカと沙羅はルカの両親の家にやって来た。


ルカは居間の隅に置かれている仏壇に手を合わせていた。勿論?ハヤテの為にルカの両親が用意した物であり、水蓮寺家にも置かれているのである。

「あの、ルカさん」
「折角だし、ね。後、やっとかないと色々とさ」

お線香をあげ、鐘を鳴らして手を合わせ終わった後、隣に座ったルカに話しかけると、小声でこう説明された。
実際問題、お墓でもそうだったが、前世とは言え自分の仏壇に手を合わされるのは不思議な感じなのである。

「お寿司はさっき注文したから、直ぐに来ると思うよ。それまでお茶でもどうぞ」
「あ。ありがとうございます」
「でもさ、パパ。本当に良かったの?」

聞かれたルカ父は少し間をおき

「構わないさ。折角娘や娘とも仲が良い子が来てくれたんだ。それに、ね」

仏壇に軽く目を向けたので、ルカも沙羅もこれ以上は言及するのを止め

「ところで、ママは?」
「あ〜、うん。出掛けてる」
「・・そっか」

親子の会話に沙羅は首を傾げるだけだった。

「ルカ、最近どうなんだい?」
「楽しいよ。仕事もプライベートも」
「そっか」

ルカ父はお茶を1口飲み

「ここに来るまでの車内でも言ったが、安心していたんだ。ルカはハヤテ君を喪って以来悲しそうにしていた。本当なら僕達が何かすべきなんだが、そんな資格は無かった。だから、祈るしか出来なかったからね」

悲しそうに言われ、沙羅は罪悪感に襲われていた。

「まあでも、理由は分からないけど、明るさを取り戻してくれて本当に良かったよ」
「うん、まあね」

一瞬だけ沙羅を見てから適当に返事をしていた。
ここに来る前に本当の事を言うかどうかはハヤテに任せていた為である。

「パパ達は最近どう?」
「ん!?まあ、ありがたい事に忙しくさせて貰ってるよ」

ルカの両親は芸能関係の仕事をしています。

「娘であるルカと暮らせないのは少し寂しいが、仕方ないさ」
「・・うん」

同居の話も何度かは出たが、両親が「自分達にはその資格が無い」っと断っていた。
その為、「都合が取れた時に時々会う」っと言うお互いに納得出来る形に収めていた。

「そう言えばさ。ルカはやっぱり今でもハヤテ君を?」
「・・当たり前だよ。この10年、そして今でもハヤテ君を想い続けてる。大好きって気持ちは、愛してるって気持ちは死んでも変わらないと断言出来るよ」

ルカの真っ直ぐ過ぎる言葉に沙羅は顔に出さないようにしつつ複雑な思いに駆られていた。
一方のルカ父は暖かい顔になり

「やっぱり新しい相手を見つけて、ってのは無いんだね」
「うん、ありえない」

断言した娘に、父は今度は複雑そうな顔になり

「ルカがそうだったように、僕達もハヤテ君の事は、片時も忘れた事は無かった」
「「え!?」」

「彼のお陰で、僕達夫婦は贖罪の機会を与えて貰えた。彼がいなければ、逃げ続け「ルカに会わない事が贖罪になる」何て勘違いしてた。でも、彼のお陰で「逃げずに贖罪をする」っと言う選択が出来た。 そんな彼がルカの結婚して息子になると聞いた時、神様に感謝した。娘への贖罪、息子への恩返し。それが同時に出来るからね。だから、彼が亡くなった時、娘以上に泣いた。「何故、彼に貰った莫大な恩を少しでも返させてくれなかったんだ」って」

そう言うと、立ち上がってハヤテの仏壇の前に立った。

「だから、いっぱい考えたんだ。どうすれば恩返しが出来るのかと。 そして「彼の事は絶対に忘れない。感謝の気持ちを持ち続ける。それこそが、唯一出来る恩返しだ」っと言う結論を出したんだ。ルカが他の男性と結婚したとしても、ね。天国のハヤテ君は迷惑かもしれないが、こんな事しか出来ないからね、僕達は」

この言葉に沙羅は今迄以上に複雑な気持ちに襲われた。
それはルカも同じで

「パパ、今迄こんな事話してくれなかったのに、どうして」
「そう言えば、なんでだろ。不思議と本当の事を話したくなったんだ」

ずっと沈黙する沙羅を心配しつつ、父との話を続けた。

一方の沙羅は室内を見渡しつつ前世の時の事を思い出していた。


                   × ×


話は遡り、結婚の挨拶等も済ませた少し後。

「ふふっ♪ルカは勿論だけど、ハヤテ君が来てくれて嬉しいわ〜♪」
「ま、まあ。都合がつきましたから」
「「楽しそうだね」」

ルカ母の様子に夫も娘も呆れつつも気持ちは理解出来た。

「折角だから、ゆっくりして行ってね」
「あ、はい。迷惑にならない程度に」

親子4人の会話は盛り上がり、

「あ、もうこんな時間ですね。僕はもうお暇しますね」
「え〜。もう!?」
「いえ、ですから」

迷惑になると言おうと思ったが、それを遮るようにルカ母が

「折角だし、夕飯食べて行ってよ」
「え!?それはありがたいですし、嬉しいですが」
「迷惑だなんて思わないよ。家族なんだから、遠慮は無しだよ」

義父に言われ、ハヤテは少しだけ考えた末

「では、お言葉に甘えて」
「よ〜しっ、腕が鳴るわ〜」
「ルカはお仕事は」
「ん!?今日はお休み。 明日はお昼からだよ」

ルカのスケジュールを確認し、母は鼻歌交じりでキッチンに向かった。

その後、父は仕事の為書斎に行き、ルカは自室で翌日の仕事の確認に行ったので。

「手伝いますよ」
「気にしないで。ハヤテ君は座ってて」
「・・手伝いたいんです」

義理の息子に言われ、義母は

「じゃ、一緒に作りましょうか」
「ええ」

その後は確認程度の会話をしつつ料理を進めて行った。
すると

「〜♪」
「どうしました?」

急に楽しそうな鼻歌が聞こえたので、思わず聞くと

「息子とこうやってキッチンに立てるなんてね〜♪楽しくてつい♪」
「は、はあ」

その後、料理中義母はずっと上機嫌だった。

「「「「いただきま〜す」」」」

料理も完成し、4人で食べ始めた。
すると

「ん!?これ美味しいね」
「それはね、息子が作った物よ」
「へ〜」

義父は感心し、もう1口食べた後

「こんな美味しい料理が作れる子が主夫になってくれたら、安心してルカを任せられるね」
「ええ♪」
「もう。第一、結婚したらアイドルは引退するもん」

ルカの言葉に両親は驚いていた。

「結婚したら引退して旦那様を支える主婦になって、子供が出来たら夫婦で仲良く子育てをするのが私の理想の夫婦像だからね。だ・か・ら、引退しちゃうの」
「そっか」
「じゃあ、テレビでルカを見れるのはあと少しなのね」

こんな風に楽しく会話をしつつ食事をしていった。


                   × ×


回想終わり。

「(こんな事も、あったっけ。まさかあれからそんな経たないうちに僕が死ぬなんて想像すらしてなかったけど)」

父と会話しつつ様子のおかしい沙羅をルカは心配していた。
っとはいえ、何となくで察しはつくので、言及等はしなかった。

「ねえパパ。ママはいつ帰って来るの?」
「ん!?もうそろそろじゃないかな」

聞かれて時計を見つつ答えると、それから少し間をおいた後ルカ父の携帯が鳴り

「申し訳ないんだけど、2人とも留守番をお願いしていいかな?」
「ん!?いいよ。沙羅ちゃんと待ってる」
「すまないね。お寿司が来たら、お金は置いておくから払っておいてね」

そう言うと封筒をおいて出て行った。

それから暫くしてから

「やっぱ、居辛い?」
「そりゃあ、まあ。あれを聞いてしまったので、なおさら」
「私もパパがあんな事を思ってたなんて知らなかったよ」

ルカは複雑そうに頭を掻き

「ねえハヤテ君、やっぱり本当の事を」
「駄目です。余計に言えません」
「・・分かったよ」

その後は怖い程の静けさが訪れた。 が

「あ、帰って来た」

車の音が聞こえ、ルカは玄関に向かった。
沙羅も少し後に続いた。


玄関に着いた時、沙羅の目には衝撃的な光景が目に飛び込んできた。


-----------------------------------------------------------------------------------
以上です。

次回は続きです。

では。
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Re: 転生 (5月24日更新) ( No.68 )
日時: 2020/05/26 20:58
名前: どうふん


masaさんへ

ルカの家の居間にハヤテの仏壇が・・・。(位牌というべきか)
それをルカの両親が用意したとは。これは「ハヤテの為に」というよりは「ルカのために」とした方が正確のような気も。

とはいえ、原作でもハヤテはルカの両親にとっては恩人ですから、特別な感情をもっていたのはわかります。
その恩人が娘と結ばれたら。そして結ばれてすぐ死んでしまったら。
誰のためかはともかく、仏壇を用意したくなるのもわかります。

ただハヤテにとっては針のむしろでしょうね。こんなに愛してくれる義両親の想いを心ならずも裏切ってしまったわけですから。

そんなハヤテが見た衝撃的な光景とは。次回、楽しみにしています。


                                     どうふん
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Re: 転生 (5月24日更新) レス返し ( No.69 )
日時: 2020/05/31 12:53
名前: masa

こんにちはmasaです。

レス返しの更新です。


 ●どうふん さん

 ルカ「感想ありがと〜♪」

 >>ルカの家の居間にハヤテの仏壇が・・・。(位牌というべきか)
  それをルカの両親が用意したとは。これは「ハヤテの為に」というよりは「ルカのために」とした方が正確のような気も。

 ルカ父「いや、ルカは滅多に家に来ないからね。ハヤテ君の為であり、僕達の為っと言うのもあるんだよ」


 >>とはいえ、原作でもハヤテはルカの両親にとっては恩人ですから、特別な感情をもっていたのはわかります。

 ルカ父「ああ。彼には大きすぎる恩を貰った。 むしろ、「特別過ぎる存在」だね」


 >>その恩人が娘と結ばれたら。そして結ばれてすぐ死んでしまったら。

 ルカ父「だからこそ、本編でも語った通りの想いを持っているのさ」


 >>誰のためかはともかく、仏壇を用意したくなるのもわかります。

 ルカ「だよね。私にも痛いほど分かるよ」
 ナギ「私もさ」


 >>ただハヤテにとっては針のむしろでしょうね。こんなに愛してくれる義両親の想いを心ならずも裏切ってしまったわけですから。

 ハヤテ「ええ。こんなにも強い思いを持ってくれてるなんて、知りませんでしたからね」
 ルカ「・・・」


 >>そんなハヤテが見た衝撃的な光景とは。次回、楽しみにしています。

 それに関しては「次回の更新を見てください」っとしか言えませんね。すみません。


 感想ありがとうです〜♪

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Re: 転生 (6月7日更新) ( No.70 )
日時: 2020/06/07 12:15
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
-----------------------------------------------------------------------------------

前回、沙羅は衝撃的な光景を目にした。


帰って来たルカ母は、車椅子に乗っていた。
っとはいえ、それ以外は10年前と特に変わりは無かった。

「あら?お客さん?」
「ああ。ルカのお友達だそうだ」
「そう」

夫に説明され、沙羅に笑顔を向けると

「こんにちは」
「こんにちは。 五月女沙羅です」

沙羅は自己紹介をしつつお辞儀した。

「ねえ貴方、ルカ。こんな可愛いルカのお友達が来てるんだし、あの日でもあるんだからさ」
「だから、お寿司はもう注文してる。夕飯の時間には来るようにしてあるから」
「そう。じゃあ、何か少し作るわね」

そう言うと、自ら車椅子を操作して、行ってしまった。
ルカ父もすぐ後に着いて行った。

「あの、ルカさん」
「ん!?」
「あの、その」

聞き難そうにしている沙羅にルカは察し

「ビックリ、しちゃったよね。でも、大丈夫だよ」
「は、はあ」

詳しい事を聞くのは躊躇われたので、それ以上は言及しなかった。


2人がリビングに戻ると、ルカ母は楽しそうに料理していた。
その後ろ姿を見ると、ハヤテにはどうしても気まずさを感じずにはいられなかった。

そんな様子を見かねて、ルカは

「大丈夫だよ。ママは、私やナギと違ってちゃんとハヤテ君の死を乗り越えられたからさ」
「え!?」
「あの明るさを見れば分かるでしょ?忘れてはいないけど、乗り越えた証拠だって」

そう言うと、ルカは言い難そうに少し間を空けてから。

「ただね、10年前つまりハヤテ君が死んじゃった直後は大変だったみたいだよ」
「え!?」
「毎日毎日泣き明かして、目の腫れが引かない日は無いって言える位で、後追い自殺も心配される程だったみたい」

自らの死がそこまで影響を及ぼした事に、また罪悪感を抱えたが

「そんな顔しないでよ。ハヤテ君のせいじゃないんだし。 それに、今はもう大丈夫なんだから、そんな顔したり罪悪感を抱える方が、失礼だよ」
「・・そうですね」


                   × ×


料理の仕込みも終わり、後はお寿司が届くのを待つだけになったので、お茶を飲みながら談笑していた。
すると

「あ、そうだ。沙羅ちゃんだっけ?ちょっといいかな?」
「はい、何でしょう」
「2人きりで話したんだけど、良い?」

沙羅は首を傾げつつ、少し考え

「勿論いいですよ」

「あ、良いの。自分でやるわ」

立ち上がって車椅子を押してくれそうになった夫を制し、少し離れた部屋に沙羅と共に入って行った。

「何だろうね」
「さあ? まあ、ルカ抜きとは言え「女同士のお話」がしたかったんじゃないかな」
「成程」

父の推理に同意出来たので、深くは考えるのは止めた。


一方。

「あの、何か?」
「・・間違ってたら、謝るわ。でもね、どうしても確かめたくてね」

そう言うと、沙羅と向き合ってから

「貴方、ハヤテ君よね?私には分かるわ」
「え!?あ、いや」

先程までの話を聞いてしまった以上正直には言い難かったが

「あの人も何となくで感付いてるかもしれないけど、私も分かるわ。貴方が「女の子に生まれ変わったハヤテ君」だって」
「・・・」
「どう?お義母さんの勘は間違ってる?」

義母になるはずだった女性の笑顔に沙羅は少し悩み

「なんで、分かったんですか?」
「言ったでしょ?お義母さんの勘よ。 それに、ルカの貴方に対する接し方でもね。あんな事をしたと言え、親だもの。娘の様子位見抜けるわ」

叶わないっと思いつつ、聞いてしまった話も加わり、感情が一気に込み上げてきて

「ごめんなさい、死んでしまって。ごめんなさい、悲しませてしまって」

自身の膝で泣き始めたハヤテにルカ母は優しく頭を撫でながら

「謝らないで。貴方が悪い訳じゃ無いわ」
「でも、でも」

泣きじゃくるハヤテにルカ母は

「私の方こそ、ごめんなさいね。貴方にこんな思いをさせちゃって」
「僕が、死ななければ良かったんです。本当に、ごめんなさい」

泣きながら謝る義理の息子になるはずだったハヤテに

「お義母さんの膝で良ければ、貸すわ」

優しさにまた感情が爆発し、厚意に甘える事にした。
その間、ただただ優しく頭を撫でてくれた。


ハヤテは落ち着き、泣き止んだ後

「なんか、すみません。色々と」
「気にしないで。生まれ変わっても、ハヤテ君のままで安心したわ」
「は、はあ」

気まずそうに頬を掻き、

「それより、その」
「ん!?ああ、これね」

ルカ母は自身の足を撫でつつ言い

「病気で足を悪くしちゃってね。定期的に通院も必要なのよ」
「そ、そうなんですか」

聞かない方が良かったかなと思っていると

「罰が当たったのよ。愛する実の娘にあんな事をしたんだもの。大人しく受け入れてるわ」
「・・・」
「そんな顔しないで。定期的な通院を欠かさなければ、問題無いもの。心配しないで」

本人がそう言う以上、ハヤテは少しだけ心配するのを止めた。


                   × ×


夕方になり、お寿司も届いてルカ母の料理も完成したので、4人で食卓を囲んだ。

「さて。 あ、沙羅ちゃん、山葵は大丈夫かい?サビ抜きじゃないけど」
「大丈夫ですよ」

行儀よく食べる沙羅にルカ父は

「親御さんの躾が、いいみたいだね」
「(まあ、中身はハヤテ君だからね)」

こう思いつつ、更に

「(今のハヤテ君は躾って意味じゃ出来てないかも。過保護だし)」

こう思い、料理を食べると

「あ、これ」
「気付いた?ハヤテ君がこの家に最後に来た時に一緒に作った物よ」
「うん、懐かしい」

ハヤテの味は普段味わっているのだが、この場では言えないので適当に言った。

「沙羅ちゃんは、お口に合ったかな?」
「はい、美味しいです」
「それは良かった」


                   × ×


食事を終え、ルカの仕事の時間もあるので、

「ありがと、パパ。送ってくれて」
「お礼を言われる様な事じゃないさ。それに、今日は楽しかったよ」

そう言うと、屈んで沙羅に視線を合わせ

「沙羅ちゃん、これからもルカと仲良くしてほしいんだ」
「勿論ですよ」
「うん、ありがと」

ルカ父は立ち上がってから、

「ルカ、これからも応援してるよ。頑張ってね」
「うん、パパもね」

すると、車に乗ろうとした父親を呼び止め

「若し、ハヤテ君に直接何か言えるとしたら、何て言う?」
「ん!?う〜ん、そうだな」

少し考えてから

「大丈夫だから、見守ってて。 頼りないかもしれないけど、君は安心して天国での生活を楽しんでくれ。だね」

そう言うと、ルカ父は車に乗って行ってしまった。

「本当の事、言わなくて良かったの?」
「ええ。これで良いんですよ、きっと」

ルカ母には自分の正体を知られているが、それは黙っておく事にした。

「ルカさん、良いご家族ですね」
「・・うん。あんな事はしたけどね」

皮肉込みで言うと、ハヤテは苦笑いをした。


                   × ×


一方、ルカ母はハヤテの仏壇の前におり

「また、会えるなんてね。今度は、義理の娘になってほしいわ」

ハヤテの遺影を手にしつつ、こう呟いた。


-----------------------------------------------------------------------------------
以上です。

次回は未定です。

では。
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Re: 転生 (6月7日更新) ( No.71 )
日時: 2020/06/11 18:52
名前: どうふん


masaさんへ


ルカのお母さんが車椅子?交通事故か、と思ったら病気が原因ですか・・・。いやまさか、
表向きはどうあれ、実はルカが心配したとおり後追い自殺の未遂だったとか。

それはさておき、当人から教えられたわけでもないのに義理の息子との再会に気づく母親はすごいですね。

ただ、ルカはまだ両親にわだかまりが残っているようですが、やはり厳しいですね。ハヤテの死を共に悲しんで、そろそろ水に流しても・・・とも思うのですが、まあ他人の勝手な想像ですから、ご容赦。

                                       どうふん
この作者は、誤字脱字の連絡を歓迎しています。連絡は→[チェック]/修正は→[メンテ]
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Re: 転生 (6月7日更新) ( No.72 )
日時: 2020/06/14 12:32
名前: masa

こんにちはmasaです。

レス返しの更新です。


 ●どうふん さん

 ルカ母「感想ありがと♪」

 >>ルカのお母さんが車椅子?交通事故か、と思ったら病気が原因ですか・・・。いやまさか、
  表向きはどうあれ、実はルカが心配したとおり後追い自殺の未遂だったとか。

 ルカ父「いや、違うよ。確かに、後追い自殺の心配はあったが、それは一度も無かったよ」
 ルカ母「私のは本当に病気よ。 まあ、本編でも言ったけど「罰が当たって病気になった」って思ってるけどね」


 >>それはさておき、当人から教えられたわけでもないのに義理の息子との再会に気づく母親はすごいですね。

 ルカ母「ふふっ♪ありがと♪ でも、最初のきっかけは勘でしかなかったんだけどね」


 >>ただ、ルカはまだ両親にわだかまりが残っているようですが、やはり厳しいですね。ハヤテの死を共に悲しんで、そろそろ水に流しても・・・とも思うのですが、まあ他人の勝手な想像ですから、ご容赦。

 ルカ「ん!?本編でも作者さんが説明してくれたけど、和解自体はちゃんと出来てるしわだかまりはもうほぼないよ。 両親が自ら望んで同居してないってだけだよ」


 感想ありがとうです〜♪

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Re: 転生 (6月21日更新) ( No.73 )
日時: 2020/06/21 12:30
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
-----------------------------------------------------------------------------------

ここは都内某所。


ナギはある人物と待ち合わせをしていた。

「ん!?おお、蓮司。来たか」
「すまんな、三千院さん。東京に来たのは結構前だから、迷っちまってさ」

今日は珍しくスーツ姿の蓮司が頭を下げつつ言って来たので

「気にするな。慣れてないと方向感覚に自信がある奴でも迷うみたいだし」
「・・例えそうでも遅れる方が問題だよ」

こう言われてはナギも言い返せなかった。

「まあ兎も角、今日はありがとな」
「気にするな。釣りを教えて貰った礼もあるしな。 っと言うより」

ナギは周囲を見渡した後

「SPとかいるが、良いか?」
「構わねえよ。あんたみたいに立場のある人間なら仕方ないさ」

町の人に紛れる様に三千院家のSPが複数いて、ナギを警護していた。

「早速だが、何か食べねえか?腹減っちまって」
「ん!? じゃあ、近くに評判のいい店があるから、そこに行くか」

ナギはスマホで調べつつこう言い、蓮司を案内し始めた。

さて、ナギがなぜこういう事をしているのかというと、話は数日前まで遡ります。


                   × ×


数日前。

「なあ。あんたに頼みがあるんだが」
「ん!?何だ、改まって」

仕事で蓮司の元を訪れ、帰り際に言われていた。

「実は、中学の時に世話になった先輩が東京で結婚式をあげる事になったんだ」
「へえ。そりゃめでたいな」
「その2次会に呼ばれたんだが、その時東京案内してくんねえか?」
「へ!?」

間の抜けた声を出したナギに

「いや、迷惑ならいいんだが」
「迷惑だなんて思わんが、私で良いのか?」
「良いからお願いしてるんだが」

ナギはほんの少しだけ考え

「分かった。案内するよ」
「・・助かるよ」


                   × ×


話を現在に戻します。

「どうだ、東京は」
「ん!? 人が多くて歩くのも大変だよ」
「まあ、気持ちは分かるがな」

ナギが同意すると

「まあでも、偶にならこう言う所も悪くないよ。親父に「我が社の跡取りになるなら、外の世界も沢山知っておけ」って言われてたから、良い社会勉強になったよ」
「・・そうか」

すると、このタイミングで注文した料理が運ばれて来て

「だから、あんたの東京案内は期待してるぜ」
「・・言っておくが、そんなに期待されても応えられんぞ」
「冗談だよ。ある程度観光名所を案内してくれれば、それでいい」

軽く笑いつつ言われたナギは溜息をつき

「(そう言えば、ルカやハヤテ以外で一緒に食事するのは、久しぶりだな。 ああ、あの時「>>35」以来だな)」

良いんだか悪いんだかの思い出を思い返した後

「(やっぱりこいつは、「不器用な所」を除けばハヤテに似ている。優しい所だったり、話すと楽しかったり。それと、特に話す事が無くても一緒にいるだけで何と無く楽しかったり。そう言う所が、な)」

こんな事を考えつつ店内を見渡すと、カップルと思わしき人がちらほらいた。

「(休日なだけあって、人は多いな。作者の言う通り、カップルらしき人がな。  ん!?今の私達も、傍から見ればカップルなんじゃないか?男女で食事しているし)」

こう考えてしまい、更に

「(元々人付き合いが苦手で、「あの事」やハヤテが死んでから余計に人と接しなくなった。おまけにこの立場だしな。そのせいで恋だの結婚だのっと言った世界とは無縁だと思ってたが、この私がな)」

こんな風に思っていると

「結婚ってさ」
「ん!?」
「ああ。結婚式に出席するから、考えてたんだ」

そう前置きし、

「結婚生活って奴はさ、大変だと思うんだよな。俺なんか、自分の事で精一杯で家族の事を守って行けるのか分かんねえんだよな。 結婚そのものは一切否定しない。だが、その理由が俺にはわかねえんだ」

言われたナギは少し考え

「私にも、結婚とかは分からん。だが、身近な人を見てて思うのは、「結婚するのも悪くない」って事だ。その身近な人達は女の方が只管に男の方が好きで、男の方は優しくそれを受け入れてた。 確かに、結婚したら色んな問題が襲い掛かるだろう。でも、その2人を見ていると「どんな事であろうとも、この2人の愛があれば乗り越えられる」って思うんだ。だから、そう言う愛を見つけられれば、結婚するって事なんだろうなって」

ナギの言葉をただ黙って聞き

「なんか、答えになって無いよな。すまんな」
「いや、1つの答えを知れた気がするよ。ありがとな」
「・・ならよかったよ」


                   × ×


食事も終わり、再び街に繰り出していた。

「ん!?あの行列は」
「ああ。話題のタピオカドリンクのお店だな。まだ人気あるんだな」

かなりの行列で、60分待ちと看板が出ていた。

「美味いのか?あれ」
「さあな。まあ、モノにもよると思うが、タピオカそのものには味は無いだろ。飲み物に入れて、食感を楽しむ物だろ」
「ふ〜ん」

そう言うと、蓮司は少し考え

「折角だし、並んでみるか。あんたは行列とか平気か?」
「作者は大嫌いらしいが、私は平気だよ。まあ、これも記念か」

特に反対する理由も無かったので、2人で行列に並び始めた。

「(話題になっているのは知っていたが、初めてだな。まあ、気長に待つか)」

特に何も考えず、適当に待っていると

「あ、すまん」
「???」

蓮司と手が触れてしまい、思わず反応してしまったが、蓮司は特に反応を示さなかった。

「(な、何なのだ私は。なんで意識しているのだ)」

モヤモヤしつつも並び続け、あと少しと言う所まで来て

「やれやれ。あと少しだな。  ん!?」

振り返ると蓮司はおらず、周囲を見渡すと人助けをしていた。

「何してるのだ?」
「ああ、すまないね、三千院さん。このお婆ちゃんが杖を落としちゃって、それが誰かの足に当たって飛んじゃったから、拾いに行ったんだよ」
「そっか」

ご老人はお礼を言いつつ去って行き

「悪かったな。俺のせいで折角並んでたのに」
「気にするな」

ナギは「やっぱりハヤテに似ている」っと思い

「あんたさえ良ければ、また並ぶか?」
「私は構わんよ」

再度並び直し、今度は買えた。

「ふ〜ん。これがタピオカドリンクね〜」
「食感は良いが、こんなもんなのか」

因みに、作者はタピオカドリンクを飲んだ事がありません。


                   × ×


その後も少し観光地を回り、最寄り駅まで来て

「今日は助かったよ。ありがとな」
「私も楽しかったよ。こっちこそありがとうな」

会話しつつ何と無くナギは感傷に浸っていると

「あれ?蓮司じゃない」
「ん!?何だ、お前か」

女性が現れ、蓮司と楽しそうに?会話し始めた。

「ん!?この人は」
「ああ。仕事で大切な付き合いのある人だよ」

ナギに気付き挨拶してきたが

「じゃあ、私はこれで。仕事があるからな」
「え!?あ、ああ」

ナギは不愛想に立ち去った。


帰りの車内。

「(そりゃそうだよな。あいつには私と違って友達はいるよな。普通の友達が欲しくてあんな風に生きて来たって言ってたし)」

心のモヤモヤは広がるばかりで

「(何なのだ、この感じは。何で、こうモヤモヤするのだ)」

ナギはこう考え、更に

「(そう言えば、恋愛から付き合うって何なんだろうな。その手の漫画はよく読むが、実際には分からんな)」

ナギの初恋はハヤテであり、その初恋は実らなかったので、理解出来ないのはやむを得なかった。


                   × ×


帰宅すると、ハヤテが来ていたので

「え!?僕がルカさんと付き合おうと思ったきっかけ、ですか?」
「ああ。聞いた事無いと思ってな」

ナギはそう前置きし

「あの頃のハヤテは、恋愛には兎に角鈍感だった。色んな奴に恋愛感情を向けられても、素でスルーなのか、そもそも恋愛には興味が無いのではないか。そんな感じだったが、ルカに告白された時はそれに応え、結婚直前まで行った。どうしてなのか、って思ってな」

聞かれたハヤテは少し考え

「よく、分かりません」
「「え!?」」

ハヤテの答えにルカは勿論、ナギも驚き

「ルカさんと接しているうちに不思議と自分の中で変化が起きている事に何となくで気付いていました。そんな時にルカさんに告白されて、今迄とは違った感情が働いて、OKしたんです。まあ、その後は特に疑問を感じる事無くお付き合いして、プロポーズしたんですけどね」

ハヤテの言葉にルカは不満げで

「何、それ。私が好きだから告白受けてくれたんじゃないの?」
「で、ですから。お付き合いした後は勿論好きに」
「じゃあ何切っ掛けなのさ。答えろ〜」

夫婦喧嘩の様なノリにナギは着いて行けず、自室に戻ってベッドに仰向けになった。

「(何なのだ、この感じは。確かにあいつはハヤテに似ている。だが)」

どうしても心のモヤモヤが晴れず

「(あいつにはどうも、ハヤテに向けていた想いが溢れてしまう。これは、やはり・・・)」

あれこれ考えていると、携帯にメールが届き、差出人は蓮司だった。
開いてみると

「三千院さん、友達がこの写真を送れってうるさいから、送るな。何か気に障った事があるなら、謝るよ。兎も角、今日は楽しかった。 またな」

添付された写真を見ると、

先程の女性がウエディングドレスを着ていて、その隣には純白のタキシードを着た男性がいて、その間に蓮司が挟まれていた。

「そっか。そう言う事か。  またな、か」

すると、妙に喜んでいる自分に気付き

「ウ〜。何なのだ、もう」


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以上です。

次回は未定です。

では。
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Re: 転生 (7月5日更新) ( No.74 )
日時: 2020/07/05 12:35
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
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ここはルカが所属する芸能事務所。


ルカは事務所で森谷マネージャーからスケジュールを聞いていた。

「あ、そうそう。ルカさん、今度の事務所主催の打ち上げですが」
「ああ。スタッフさんや所属タレントの殆どが参加する大規模な奴ですね」
「ええ。その打ち上げですが、丁度ハロウィンの日でもあるので、コスプレでの参加になるみたいです」

マネージャーの言葉にルカは驚き

「コスプレで、ですか?」
「まあ、我々裏方はほぼ強制ですが、タレントさんは「希望者のみ」みたいですよ」
「はあ」

返事の鈍いルカに

「それでですね、ルカさんはどうします?事前にどうするかを聞いておいて、希望者が少なかったら裏方だけになる方向で決まってますが」

頭を掻きつつ少し考え

「えっと、もう少し考えて良いですか?」
「構いませんよ。期限までもう少しありますから」

その日は考えつつ仕事をこなし

「コスプレ、ね〜」
「うん、どうしようかなって」

食後のティータイム中にナギに相談していた。

「お前はどうなんだよ。コスプレする事に関して」
「どうって。嫌じゃないけど、この年でね〜」
「・・言う程の年か?」

ナギは呆れつつツッコミを入れ

「まあ、言い方はあれかもしれんが」
「ん!?」
「ステージ衣装あるだろ? あれはお前だから良いが、一般人が同じ格好をするとコスプレになるから、それを考慮すれば別に其処まで違和感はないと思うがな」

ナギに言われ、ルカは少し考えつつ

「確かに、仕事着だから全く考えてなかったけど、言われてみればそうだよね」
「まあ、言い方が悪かったのは謝るよ。兎も角、打ち上げなんだから楽しく参加する事の方が大事だと思うよ」
「だね」

翌日。

「マネージャーさん。私、今度の打ち上げコスプレで参加します」
「あ、良いんですか?ルカさんが了承してくれればより盛り上がりますよ」
「因みに、コスプレ参加者はどれ位なんですか?」

森谷マネージャーは手帳を確認し

「今のところ、7割位の人はコスプレ参加を決めてますね」
「成程。あ、ところで、コスプレ衣装って」
「各自持参らしいですよ。まあ、費用は後日請求で全額支給されるみたいですが」
「そうですか」

ルカは帰宅後、

「コスプレ、ね〜」
「私分かんないし、手伝ってよ。コスプレなんてやった事無いし」
「私だって分からんよ。まあ、あいつならいいアドバイスくれるだろうが、忙しいだろうし。かくいう私も忙しいから手伝ってやれんよ。すまないな」

翌日、仕事中の合間の休憩中にマネージャーにも相談し

「いや、私が手伝うのは。それに記者に見つかったら何を書かれるか」
「変装するから大丈夫ですよ。それに、誰かにアドバイスを貰わないと駄目な気がして」

ルカに言われ、マネージャーは少し考え

「分かりました。今日の仕事終わりにでも」
「助かります」
「ただ、ちゃんと変装してくださいよ」


                   × ×


一方。

「社長、今年のハロウィンイベントですが」
「ああ、もうそんな時期か」

五月女財閥でもハロウィンはやっていた。
とは言っても、社員や傘下の企業の人達が集まり、コスプレして飲み食いするだけである。

「今年はどうするかな〜。私としては、妻や娘の沙羅と過ごしたんだがな〜」
「社長は毎年そうおっしゃってますよね。ですが」
「分かってる。交流会も大事だというんだろ」

藤哉としては十二分に理解しているのだが、愛妻家で娘には過保護なのでそっちを優先したかった。
すると、先程から話してた秘書の人(男性)が

「私に考えがあります」
「何だ、言ってみろ」
「今年は家族も参加出来るって事にしたらどうでしょう?そうすれば、社長の夢も叶いますし、一石二鳥なのでは?」

悩む藤哉に

「娘さんの可愛い姿を拝めますよ、家族参加を許可すれば」
「それは魅力的だ。だが、あの可愛い沙羅に何かされないか」
「大丈夫ですよ。社長のかh・・ご家族を大切にしているのは周知ですから」

五月女夫妻の過保護っぷりは「知らない方が無知」っと言われる程である。

「それに、例の事もありますから、今の内に思い出を作った方がよいのでは?」
「うむむ」

畳み掛けられる様に言われ、少し考えた後

「よし、分かった。社員に通達しておけ。後、開催は昼間に変更だとも」
「了解しました」

秘書が出て行くと、藤哉は笑みを浮かべた。

「楽しみよね、沙羅の可愛い格好」
「ああ、そうだな。それに、その」
「・・それは私から言っておくわ」

妻に言われ、藤哉は申し訳なさそうに

「すまないな。君にそんな事をさせて」
「妻ですもの。気にしないで」


                   × ×


一方、沙羅は学校で休憩時間を過ごしていた。

すると

「今週の日曜日、家でハロウィンパーティーするから来る人ー」

美幸がクラス全員に聞こえる声で言うと

「「は〜い」」

何時もの取り巻き2人は直ぐに参加を申し出ていた。

「沙羅ちゃんはどうするの?」
「僕は・・遠慮します」
「ふ〜ん」

友人のヒマリに聞かれ、少し悩みつつ答えた。

「まあ、本来のハロウィンは今の日本で行われてるのとは全然違うんですけどね」
「え!?」
「本来は子供達がコスプレして「来ても良いよ」って目印を出しているお家を回って「お菓子くれなきゃ悪戯するぞ」っと言ってお菓子を貰うイベントなんですけどね」
「良く知ってるね、沙羅ちゃん」

驚くヒマリに

「え、えっと。本で読んだんですよ。そう言う物だよって」
「ふ〜ん」

慌てて誤魔化しておいた。

すると

「ねえ、五月女さんも来てよ。良いでしょ?」
「え!?えっと」

何時の間にか美幸が来ていて、参加を打診してきた。

「何よ、いやなの?」
「そ、そう言う訳では」

煮え切らない沙羅に美幸は

「ねえねえタケル君。タケル君は来てくれるわよね?」
「へ!?俺? う〜ん」

突然話を振られたタケルは少し考え

「五月女が行くなら、行こうかな」
「(ええ〜。そんな事言ったら)」

言われた美幸は少し怖い笑顔になり

「どうするの〜、五月女さん。来るの〜?来るわよね〜」

両親の過保護病もあるので、悩んだが

「行こうよ、沙羅ちゃん。私も行きたいし」

ヒマリにも言われ、少し悩んだ末

「分かりました。行きます」
「だって〜。じゃあタケル君も」
「ああ。楽しみにしてるな」

半ば強制的に沙羅も参加する事になった。

その事で

「(な、何よ。何で私ったらタケル君が来る事より五月女さんが来る事を喜んでるのよ)」

美幸は人知れず悩む羽目になった。


                   × ×


時間を飛ばし、夜。

ルカは変装してコスプレ衣装が売っているお店に来ていた。

「これはどうでしょう?」
「う〜ん。それだとらしさが出ない気が」

「こっちはどうでしょう」
「そ、それは流石に違いすぎますよ」

「では、これは」
「似合ってますし、らしさは出てますが、なんかこう」

幾つかの衣装を試着し、意見を出してもらっていた。
ルカ自身、試着したものの、森谷マネージャーと同意見だった。

「じゃあ、これはどうですか?自分で言うのも何ですが、自信あるんですよ」
「おお〜。それはピッタリですね」
「じゃあ、これにしますね」

褒められた衣装に決め、会計をしようとレジに向かっている最中、子供用のコスプレ衣装のコーナーが目に入り

「(ハヤテ君に着て貰う衣装、見に来よ〜っと。今のハヤテ君は女の子だから、着てくれるでしょ)」

そう思ったが、直ぐに

「(あ、でも。ご両親が買うかな? まあ、いいや。少し位遅れても、着て貰って写真に収めればいいわけだし)

ルカには今度のハロウィンの楽しみが増えたそうだ。


-----------------------------------------------------------------------------------
以上です。

次回は続きです。

では。
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Re: 転生 (7月5日更新) ( No.75 )
日時: 2020/07/11 22:21
名前: どうふん

おおっと、ナギにもようやく春の足音が・・・、ってこれは前々回の感想ですよね。
何にせよ、ナギも私の好きなキャラですので、今後の展開が楽しみです。

それはともかく、ルカはこの物語ではアラサーになりますよね。それだけの期間、アイドルをやっていたのですから、ハロウィンのコスプレなどお手の物では?それともしばらくご無沙汰していたとか。
ところで沙羅ちゃんの一人称は学校でも「僕」なのかな。

                        どうふん
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Re: 転生 (7月5日更新) ( No.76 )
日時: 2020/07/12 12:40
名前: masa

こんにちはmasaです。

レス返しの更新です。


 ●どうふん さん

 沙羅「感想ありがとうございます♪」

 >>おおっと、ナギにもようやく春の足音が・・・、ってこれは前々回の感想ですよね。

 ナギ「春が来た、っと言えるのか・・?」
 ルカ「ま、良いじゃん♪」


 >>何にせよ、ナギも私の好きなキャラですので、今後の展開が楽しみです。

 ナギに関しては、現段階では詳しい事は言えませんね。すみません。


 >>それはともかく、ルカはこの物語ではアラサーになりますよね。それだけの期間、アイドルをやっていたのですから、ハロウィンのコスプレなどお手の物では?それともしばらくご無沙汰していたとか。

 ルカ「そりゃ、仕事ではやってたよ。でもさ、その時は用意してくれてた衣装を着ただけだし。ああいう半プライベートではコスプレの機会はほぼないし。こういう仕事しててもね」
 ナギ「そう言うもんか」

 因みに、裏設定では「ルカ達は28歳、ナギは26歳」って言うのがあります。


 >>ところで沙羅ちゃんの一人称は学校でも「僕」なのかな。

 沙羅「ええ、まあ。学校でも今の両親の前でも「僕」ですね。ルカさんのマネージャーさんの前だけ「私」は使いますけど」
 ナギ「因みにだ、(>>20)でタケルが「女の子なのに自分の事を僕と言っている」ってあったぞ」


 感想ありがとうです〜♪


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Re: 転生 (7月19日更新) ( No.77 )
日時: 2020/07/19 12:20
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
-----------------------------------------------------------------------------------

前回、ルカは事務所主催の打ち上げに参加する事になり、沙羅も美幸主催のハロウィンイベントに参加する事になった。


パーティまであと数日と迫ったある日。

ハヤテは自室で携帯端末を見ていた。

「ハヤテ君用のハロウィン衣装買っちゃった。着てくれるよね?」

っと言う内容のメールが来ていて、

「(美幸さんのパーティーに出た後にルカさん達ともパーティーしたら、流石に体力が持ちませんよ)」

現在のハヤテは身体能力は確かに高いが、体力は「小学生の女の子」相当しかないのである。

「(まあでも、コスプレ衣装で行くのも、良いかもしれないかな)」

そんな事を考えていると、ドアがノックされ

「沙羅ー、ちょっといい?」
「な、何?ママ」

慌てて携帯端末を隠し、母と対峙した。

「新作が出てたから、沙羅のお洋服買っちゃった♪」
「あ、うん。ありがと」
「それと、今度の土曜日、パパ達の会社で家族参加のパーティーがあるから、その衣装も入ってるわよ」
「ああ、うん」

開催が土曜日と聞いて、沙羅は安心し

「(やっぱり、美幸さんのパーティーに出る事は黙っておこう)」

改めて決意していると

「沙羅、もう一つあってね」
「???」


                   × ×


その後、特に何も無く日曜。

「え〜、皆さん。今日は日頃の仕事も忘れて楽しく行きましょう。乾杯」

社長の号令で打ち上げはスタートし

「いや〜、流石ルカ先輩。お似合いですよ」
「そ、そうかな?」
「私達じゃ絶対そこまで似合ってませんって」

ルカは後輩2人に褒められ、照れていた。
因みに、ルカの衣装はご想像にお任せします(一応言うと、可愛い衣装です)。
更に言うと、その後輩2人もそれぞれコスプレしています。

「ああ、そう言えば。こういう機会だから聞きたいんですが」
「ん!?何?答えられる範囲で良ければ、何でも聞いてよ」
「ルカ先輩、最近ルカ先輩のマネージャーと仲が良いって噂が出てますけど、実際どうなんですか?」

ルカは少し考えてから

「う〜ん。まあ、仲が良いのは事実かな」
「「へ〜。どれ位ですか?」」
「え!? う〜んと。ああ、この前の夏、プライベートでバーベキュー行ったかな」
「「ええ!?」」

驚く後輩2人に

「誘われたから、行ったんだよ。ああ、でもマネージャーさんの友達も一緒だったよ」
「「は、はあ」」
「ああ、後。この前は私が今住んでる家で料理を作ってくれたよ」

ルカからすればちょっとした自慢話だったが、後輩2人の受け取り方は違っていた。

「この前は私の友達も一緒に釣りにも行ったよ」
「「へ、へえ」」

これもまた「ただの思い出話」のつもりで話したのだが、やっぱり後輩2人の受け取り方は違っていた。

「あの。ルカ先輩はご自身のマネージャーさんとお付き合いなさってるんですか?」
「ん!? あ〜、違う違う。普通に「タレントとマネージャー」って関係だよ」
「そうですか。じゃあ、結婚とかは考えた事無いんですね」
「え!?あ〜、うん。まあね」

適当に誤魔化しつつも

「でもね、結婚したいなって、思っている人は居るよ」
「へ〜。そうだったんですか」
「どんな方なんですか? あ、記者みたいになっちゃってますが」

聞かれたルカは、少しの沈黙の末

「残念だけど、今直ぐは出来ないんだよね」
「「え!?」」
「だって、その人はまだ小学生だからね」

少し寂しげに言うルカに後輩2人はただただ驚くだけだった。


                   × ×


一方。

「皆ようこそ。今日は楽しんでいってね」

美幸の所のパーティも始まっており、招待客に美幸自ら号令していた。

「子供達はお皿を持って大人達の所に行って「トリックオアトリート」って言ってね、そうすればお菓子がもらえるから、精一杯可愛く言ってね〜」

取り仕切る美幸に

「美幸さん、今日はテンション高いですね」
「そうだね。 それにしても、美幸ちゃんのお家も広いね」

流石に五月女家程は無いものの、十分広い家だった。
因みに、ヒマリは妖精さんのコスプレで、沙羅は三角帽子をかぶった魔女のコスプレです。

「じゃあ私、お菓子貰いに行くね」
「ええ」

ヒマリが行ってしまうと、直ぐに

「似合ってるな、五月女」
「ああ、タケルさん」

吸血鬼のコスプレをしたタケルが声をかけて来た。

「何だよ。褒めたんだから礼の一つ位」
「お礼はお願いして貰う物じゃないですよ」

冷静に突っ込むと、

「なんかお前、今年に入ってから変わったよな。何て言うか、色んな事を経験した人みたいな」
「そ、それは」
「まあ、それもお前の魅力なんだけどな」

タケルの言葉に沙羅が苦笑いをしていると

「そう言えばさ、この前ナギさんと会ったんだけどさ」
「え!?ナギお姉さんと何かあったんですか?」
「う〜ん、何て言うか」

タケルは少し考え込んだ後

「お前、家でなんかあったのか?お前の事が大好き過ぎる両親に何かされてないか?」

心配そうなタケルに

「何も無いですよ。普通の家と変わらないですって」
「そうか?まあ、何かあったら俺で良かったら相談に乗るぜ。なんたってお前は俺の」

「五月女さ〜ん」

タケルを遮る様に美幸が声をかけて来た。

「どう、五月女さん。私のベルフェゴールのコスプレは」
「とってもお似合いですよ」
「タケル君はどう?」
「ああ、似合ってるよ」

すると

「(な、何よ。何でタケル君より五月女さんに褒められた方を喜んでいるのよ)」

こんな風に悩みつつも

「まあ、兎も角。五月女さんも折角来たんだから楽しんでよね〜」
「ちょ、危ないですからそんなの向けないでくださいよ」

美幸は漫画とかで悪魔が持っている三叉槍を持っていた。

「まあ、兎も角。盛り上がって行きましょうね」


                   × ×


一方、ルカは。

「「な、何だ。漫画のネタだったんですね」」
「うん、そうだよ」

相槌を打ちつつルカは

「(危ない危ない。この2人は口が堅いけど、何処から情報が洩れるか分かんないし、誤魔化せて良かったよ)」

こう思っていた。
因みに、ルカが漫画を描いている事は、ごく一部の人だけが知っています(因みに、後輩2人は知っています)。

「まあ兎も角、今は「亡くなった婚約者だった人が転生して会いに来てくれた」って漫画を構成してるんだよね」
「成程、面白そうですね」
「ルカ先輩の漫画は好評らしいですから、楽しみですよ」

純粋に慕ってくれている後輩2人に罪悪感を抱えつつも嘘をつきとおす事にした。

「あの、ルカ先輩。こういう席だからこそ、相談に乗って貰っていいですか?」
「ん!?なあに?」

「実は私、好きな人がいるんです。でも、その人に好きな人や恋人がいるんじゃないか、とか断られたらどうしようってって悩んじゃって、前に進めなくて」
「ルカ先輩、この子の悩みに良いアドバイスをお願い出来ますか?」

ルカは少し考え

「悩む前に、行動した方が良いかもしれないよ。 成功したとしたら、悩んでいた時間が無駄になるでしょ?その無駄な時間分、一緒にいられた時間を損した事になるよ。 もし失敗しちゃっても、その時はまた別に道を探す事が来出る。悩んでいた分その道を探すのが余計に遅くなっちゃうよね」

そう言うと、一旦間をおき

「まあ兎も角、時間は限られてるんだから、有効に使わないと。若しかしたら、その好きな人が突然永久にいなくなってしまうかもしれないからね」

ルカのアドバイスに後輩2人は

「ルカ先輩は、やっぱり頼りになりますね」
「相談してよかったです」
「・・ならよかったよ」

自身の体験談を交えつつアドバイスを送ると、後輩2人は満足してくれた。


                   × ×


因みに

「トリックオアトリート」
「あ、悪い。ルカは打ち上げとやらで遅くなるぞ」

沙羅はコスプレで三千院家を訪れたが、ナギはいたがルカは不在だった。

その事でルカは露骨に不機嫌になったが、ナギが見せてくれた沙羅のコスプレ写真や後日ルカが用意したコスプレを沙羅が着てくれた事で、機嫌は直ったそうだ。


-----------------------------------------------------------------------------------
以上です。

次回は未定です。

では。
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Re: 転生 (7月19日更新) ( No.78 )
日時: 2020/07/22 21:01
名前: どうふん


masaさんへ

 >「あの。ルカ先輩はご自身のマネージャーさんとお付き合いなさってるんですか?」
 まあ、ルカにしてみればちゃんと第三者が同席していることを伝えているんですけどね。先走りの感は否めませんが、後輩諸君はあれだけで神経が過敏になってしまうようで・・・。
 で、否定するのは良いけど「小学生と結婚したい」とあっては何事か、と思いますよね。
 ごまかせたようで何よりです。

 あとはナギや沙羅ちゃんも含めて、楽しいハロウィンだったみたいで何よりです。

  
                                       どうふん

 
 
 
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Re: 転生 (7月19日更新) レス返し ( No.79 )
日時: 2020/07/26 15:40
名前: masa

こんにちはmasaです。

レス返しの更新です。


 ●どうふん さん

 ナギ「感想感謝するぞ♪」

 >>>「あの。ルカ先輩はご自身のマネージャーさんとお付き合いなさってるんですか?」
  まあ、ルカにしてみればちゃんと第三者が同席していることを伝えているんですけどね。先走りの感は否めませんが、後輩諸君はあれだけで神経が過敏になってしまうようで・・・。

 ルカ「まあ、アイドルなんて仕事してると「恋愛関係」何て敏感になるのは当たり前だけどね。
 ナギ「それにだ。件の後輩はルカの事を強く慕ってるって、作者が言ってたぞ。だから余計に、だろうな」


 >>で、否定するのは良いけど「小学生と結婚したい」とあっては何事か、と思いますよね。

 ナギ「そりゃそうだろ。本編で私が何度も言ってるように、子供が巻き込まれる事件ってのは多いんだ。そう言う事に敏感になってる時代だからな」
 ルカ「・・・分かってるよ」


 >>ごまかせたようで何よりです。

 ナギ「まあ、基本的にルカはあんまり嘘は言わんタイプだからな。それに、さっきも言った通りその後輩はルカの事を強く慕ってるってのもあるから、誤魔化せたんだろうな」


 >>あとはナギや沙羅ちゃんも含めて、楽しいハロウィンだったみたいで何よりです。

 ルカ「まあ、ハヤテ君の格好を写真じゃ無くて直接見たかったけどね」
 ナギ「その事には触れん方が良いぞ。ルカの機嫌がまた悪くなる」


 感想ありがとうです〜♪

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Re: 転生 (8月2日更新) ( No.80 )
日時: 2020/08/02 12:35
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
-----------------------------------------------------------------------------------

前回、ルカと沙羅はそれぞれハロウィンパーティーに参加した。だが、沙羅はそのパーティーの前に母に・・・


話は前回のパーティー前の沙羅と紫苑が話している所に戻します。

「今度のお休みの日に、ママと2人で出掛けない?」
「え!?ど、どうして?」

沙羅は深い意味なく聞くと、紫苑は首を傾げつつ

「今度のお休みの日、ママはお仕事が休みだからね。それに、普段パパもママも忙しくて沙羅とお出かけ出来ないでしょ?それもあるのよ」
「そ、そうなんだ」

母親の説明に納得したものの、

「沙羅は何かある?約束とか」
「え!?な、無いよ」
「そうよね〜」

何となくで「若し、本当にあったとしても圧力とかかけて自分を無理やり優先させそう」とか思ってしまった。

「じゃ、そう言う訳だから、楽しみにしてるわね♪」
「あ、うん」

鼻歌を歌いながら部屋を出て行った母親に対し、沙羅は少しの間呆然とした後、紫苑が買って来てくれた服を見る事にして

「わ〜っ、可愛い服」

いかにも「女の子が好む可愛らしいデザインの服」が複数入っており

「・・こういう服でこうやって喜べるなんて、本当に女の子なんだな、今の僕」

部屋の姿見鏡であわせつつ自身を皮肉っていた。
っと同時に説明し様の無い不安が襲い掛かって来ていた。


                   × ×


数日後。

沙羅は教室から窓の外を眺めていた。

すると

「五月女さん、五月女さん」

先生に声を掛けられ、直ぐに「今日は自分が日直だった事」を思い出し、号令をかけた。


授業後、廊下を歩いていると

「五月女」
「あ、タケルさん」

タケルに声を掛けられ、向き合うと

「どうしたんだ、ぼうっとして。何か考え事か?」
「え!?あ、いや」

適当に誤魔化そうか少し考えた後

「今度の休日、ママとお出かけするんです」
「ふうん。何だ、良い事じゃないか」
「ええ、まあ。そうなんですけど」

煮え切らない沙羅にタケルは

「別にいいんじゃないのか?五月女のご両親は五月女の事が大好きなんだし、何も無いだろ」
「そうなんですけどね〜」
「それにさ、前だって「両親と出かける」ってクラスの奴の誘いを断る事も何回もあっただろ?」

タケルに言われ、

「え!?ありましたっけ?」
「何だよ、覚えてないのか?」

沙羅は腕を組んで少しの間考えたが

「えっと。全然」
「そっか」

沙羅の言葉にタケルは言及せず

「まあ俺が言いたいのはだ。 親とお出かけ何て、普通の・当たり前の事だろ?色々考えたりしないで気楽に楽しんで来いよ。な?」

笑顔で言って来たタケルに沙羅は

「タケルさんって、本当に良い人なんですね」
「そ、そうか?なんか照れるな//////////」

頬を赤らめ、嬉しそうなタケルは

「まあ兎も角だ。家の事で悩んでるんだったら、俺で良かったら相談に乗るぜ。力になれるか分かんないけどさ。 俺じゃ頼りないって言うなら、他の奴でも良いし」

こう言われ、沙羅はお礼を言ってまた廊下を歩き始めた

「(今の僕には、前世の記憶が戻る前の記憶は、殆ど無い。理由は分からないけど、「五月女沙羅としての自分」は色んな記憶を抹消しちゃってるとしか思えないんだよね)」

こんな複雑な考えを巡らせつつ、先程のタケルとのやり取りを思い出し

「(それにしても、タケルさんは本当に良い人なんですね。「前世である男の綾崎ハヤテの記憶」が無ければ、素直に好きになってたかもしれませんね。外見も内面もかっこいいですし)」

こんな風に思ったが、直ぐに

「(まあ、こんな事をルカさんに悟られたら、猛烈に怒りそうですけどね)」

っと、さっきの考えは胸にしまっておくことにした。


                   × ×


一方。

「「ルカ先輩」」
「ん!?ああ、今日は一緒だったっけ?」
「「はい」」

先日の打ち上げで話した後輩2人に挨拶され、ルカは返していた。

「先日の打ち上げはありがとうございました」
「ルカ先輩のお話楽しかったですし、相談にも乗って貰いましたし」
「ううん、良いよ。私も楽しかったし、相談も力になれたか分からないし」

ルカが自虐気味に言うと

「そんな。凄く為になりましたよ」
「そう?ならよかったけど」

真剣な眼差しの後輩にルカは笑みを浮かべた。

「あ、でもさ。私だから良かったけど、「好きな人がいる」とか「恋人がいる」って言うのはアイドルには御法度だよ。駄目とは言わないけど、ばれないようにね」
「「はい、それは勿論」」
「なら宜しい」

今度は真面目な顔で返すと、3人とも笑みを浮かべた。

「あ、ところで。打ち上げの時に言っていた漫画ってどうなりました?」
「亡くなった婚約者がどうのこうのって奴です」
「ああ〜、それね」

その場しのぎの誤魔化しだったため、その後の事は考えていなかったが

「ボツにしちゃった。思いついた時は「イケるぞ」ってなったんだけど、行き詰っちゃって」
「そうだったんですか」
「残念です」

嘘をついた後輩2人に心の中で謝っておいた。

「(まあでも、ハヤテ君との日々を多少の脚色を加えて書いても、面白くなりそうではあるけど、止めとこ)」


                   × ×


それから数日後。

「沙羅〜、準備出来た〜?」
「あ、うん。出来たよ」

沙羅は先日買ってもらった服に着替え、何度か確認してから部屋を出た

車での移動中の車内、母は何時も通り楽しそうなのだが、何となく違和感を感じていたが、口には出さなかった。
すると

「久しぶりね、沙羅と2人で出掛けるの」
「え!?あ、うん」
「あの時以来ね」

母に言われたが、沙羅はどうしても思い出せず

「(やっぱり、前世の記憶が戻る前の記憶が凄く曖昧だ。何となく覚えている程度しか、無い)」

チラッと母親の顔を見た後

「(記憶が戻る前、つまり「五月女沙羅としてだけ」で過ごしてた日々は間違いなくあるのに、その記憶は曖昧。一体、神様は何を望んでるんだろう)」

窓の外を眺め、沙羅はまた複雑な感情に襲われた。


                   × ×


その後、高級デパートを巡ったり等色々と堪能し

「楽しかったわね〜♪」
「あ、うん」

相槌を打ちつつ、沙羅は2つの違和感と戦っていた。

「でもさ、ママ。珍しいよね、ファミレス何て」

2人は一般的なファミレスに来ており、普段外食は高級店ばかりなのでこう言っていた。

「まあ、偶にはね。あ、大丈夫だからね」
「あ、ああ、そう」

沙羅は母が言った大丈夫の意味は「また権力使って調べた」だと直ぐに断定した。

「好きな物を頼んでいいわよ」
「えっと。じゃあ」

メニューと少しの間睨めっこし、「子供が好きそうなメニュー」を注文していた。


食後、抱えていた違和感のうちの一つを聞く事にした

「あのさ、ママ。どうして今日は2人きりなの?何時もはお出かけする時は、パパも一緒なのに」
「ああ、それね。それはね・・・」

答えかねている母に沙羅は急かしたりなどせず、待っていた。
すると、1分程の沈黙の末

「実はね、パパの会社が規模を大きくするって話が出ているのよ。大きくすれば、大変にはなるけど、沙羅との時間も取りやすくなるからって」

そう言うと、一旦間をおいた後

「若し、今回の話がうまくいけば、パパの会社は場所が変わるのよ。つまり、お引越ししなきゃいけないのよね」
「え!?」
「だから、沙羅は転校しなきゃいけないのよ。今の家より遠くに引っ越すからね」

母の言葉に沙羅は衝撃を受けていた。
それと同時に、自分が抱えていたもう一つの違和感の正体に漸く気付いた。


-----------------------------------------------------------------------------------
以上です。

次回は続きです。

では。
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Re: 転生 (8月2日更新) ( No.81 )
日時: 2020/08/07 20:55
名前: どうふん


masaさんへ

 まあ、今回は沙羅ちゃんのお母さんの意味深な動向と意図は何か・・・というところですが、「転居」でしたか。「今より遠くに」となるとルカやナギと会えなくなる可能性が。
そんな沙羅ちゃんの「もう一つの違和感」とは・・・?これはむしろハヤテの違和感なのかな。

ところで母親がわざわざ父親抜きでこんなことを言い出したのには何かウラがあるのか・・・?本来なら、むしろ父親が伝えることでしょうけど。そのあたりやはり気になりますね。


                        どうふん
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Re: 転生 (8月2日更新) ( No.82 )
日時: 2020/08/09 19:25
名前: masa

こんにちはmasaです。

レス返しの更新です。


 ●どうふん さん

 ルカ「感想ありがと〜♪」

 >>まあ、今回は沙羅ちゃんのお母さんの意味深な動向と意図は何か・・・というところですが、「転居」でしたか。「今より遠くに」となるとルカやナギと会えなくなる可能性が。

 ルカやナギに関しては、次回明らかにしています。なので、今は言えません。すみません。


 >>そんな沙羅ちゃんの「もう一つの違和感」とは・・・?これはむしろハヤテの違和感なのかな。

 ご指摘の事は、「母親の普段とは違う感じを本能的に感じていた」ってだけで、それに気付いて無かったから「違和感を抱えていた」っと描写したんですよ。


 >>ところで母親がわざわざ父親抜きでこんなことを言い出したのには何かウラがあるのか・・・?本来なら、むしろ父親が伝えることでしょうけど。そのあたりやはり気になりますね。

 それはですね、(>>74)でもありましたが、両親が一緒に伝えるつもりだったが同性同士の方が言い出しやすい。っと言うのがあったので、紫苑が「自分が伝える」っと言ったのです。
 藤哉もそんな妻の気持ちを察して「すまないな。君にそんな事をさせて」っと言ったんですよ。


 感想ありがとうです〜♪
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Re: 転生 (8月16日更新) ( No.83 )
日時: 2020/08/16 14:05
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
-----------------------------------------------------------------------------------

前回、沙羅は母親から「遠くへ引っ越すかもしれない事」を聞かされた。


母の言葉に沙羅は考え込んでいた。

「(遠くへ引っ越すって事は、今みたいにルカさんやナギさんと気軽に会えなくなるって事)」

こう考えると、2人の悲しむ顔が直ぐに浮かんだ

「沙羅?」
「あ、ごめんママ。何?」
「さっきも言ったけど、パパのお仕事が上手く行けば、沙羅は転校しなきゃいけないでしょ?それをどう思うのかなって」

沙羅は考えたが

「僕は、何も言わないよ。パパやママから離れないよ」
「もう、沙羅ったら♪」

現在の自分は小学4年生の女の子である。つまり、「引っ越したくない」っと言う我儘を言う訳にもいかないのである。
なので、ルカやナギに罪悪感を感じつつも両親に従う道を選んだ。

すると

「でもね、沙羅。沙羅がどうしても転校したくないって言うなら、別にいいのよ」
「え!?」
「引っ越した先の学校に、行かなきゃいいのよ。 ん!?それ、名案じゃない」

紫苑は自分の言葉に驚いていた。

「そうよ。そうすれば沙羅に変な事しようとする人は居なくなる。何でこんな事に気付かなかったのかしら」
「ええ!?で、でもママ。お勉強は」

沙羅が言うと、紫苑は

「大丈夫よ。勉強なら信頼出来る人に頼むから。 って事で〜」

紫苑は夫にメールした。
返信の様子から、藤哉も賛成している事は容易に想像出来た。

「(引っ越し、転校か)」


                   × ×


翌日。

「皆、今までありがとう。向こうの学校に行っても、皆の事は忘れないから」

沙羅のクラスに転校してしまう人が出て、お見送り会が開かれていた。

「うわあああん。転校しちゃうのやだよ〜」
「ごめんね」

仲が良かった美幸は抱き着いて別れを惜しんでいた。

「お父さんの仕事の都合何だって。仕方ない事だけど、寂しいね」
「・・そうですね」

ヒマリも沙羅も別れを惜しんでいた

「(転校、か。考えてみれば前世の時はあのクソ両親のせいで転校しまくってたから、感覚が麻痺してたな。でも、今は)」

お見送り会も終わり、帰路に着いていた。

「(考えてみれば、小学生の転校って外国に行くようなものだし、寂しさは一入なんだよね。例え引っ越し先が隣町だったとしても、子供じゃ気軽に行ける距離じゃないからね)」

こう考えていると、夕焼け空が余計にルカやナギとの別れを助長していた。

「(引っ越す事になれば、やっぱりルカさんにもナギさんにも会い辛くなってしまう。若し言えば、悲しませてしまって立ち直った2人が以前の様になってしまう可能性も・・)」

こう考えると、気が重かったが

「(今の両親は凄く良い人達だから、凄く僕の事を愛してくれてるから、引っ越したくないなんて、言う訳にはいかない。 若しかしたら、引っ越したくないって我儘を言えば、受け入れてくれる可能性はあるけど、それじゃ迷惑がかかる。だから)」

ルカとナギ、そして現在の両親を天秤にかけると、どうしても両親に傾いてしまう。なので、ルカ達にはすべて包み隠さずに言うしかなかった。

どうやって打ち明けるか考えていると

「お〜い、ハヤテ君」

変装したルカが手を振りながらこちらへ向かって来た

「ルカさん、大声でそう呼ばないでくださいよ。ご近所の皆様に変な目で見られたら」
「あ、ごめんごめん。ついね」

悪びれたり反省する態度が皆無のルカにハヤテは溜息をついた。

「今日もお弁当とっても美味しかったよ。毎日でも言うけど、ありがとね」
「い、いえ」
「で、今日はどうするの?夕飯一緒に食べれそう?」

何時ものニコニコした笑顔のルカにハヤテを意を決し

「ルカさん、大事な話があります。ナギさんを交えて、聞いてほしいんです」
「・・分かった。ナギは今日仕事で出てるけど、遅くならないらしいから、大丈夫だと思う」


                   × ×


場所を三千院家に移し、帰宅したナギにも「大事な話がある」と言って居間に集まって向かい合って座った。

「で、ハヤテ。大事な話って、何なのだ?」

ハヤテもルカも切り出し難そうにしてたので、ナギは敢えて空気を読まずに切り出した。

「えっと。実は・・・」
「「???」」
「引っ越す事になるかもしれないんです。遠くに」

ハヤテの言葉に2人は驚いていた。

「実は・・・」

ハヤテは出来るだけ詳しく話した。

「引っ越すかどうかは、まだ定かじゃないですが、恐らくは・・」
「まあ、あの五月女財閥だ。90%以上の確率で、そうなるだろうな」

ナギの補足に室内は静まり返った。

「何時になるか分かりませんが、そう遠くない日かと」

ハヤテの言葉に再び沈黙が訪れた。

それを破ったのは、ルカの盛大なため息だった。

「何だ。大事な話って、そんな事だったんだ」
「私はてっきり、我々の事がお前の両親にばれたかと思ったぞ」
「・・・」

2人の言葉に驚いていると

「引っ越すだけなんでしょ?だったら、会おうと思えば会えるじゃん」
「そうだぞ。お前の方からじゃ難しくても私達が会いに行けばいい」
「そうそう」

相槌を打ったルカにナギは更に

「何だったら、お前が引っ越した近くに、我々も引っ越せばいい。だろ?ルカ」
「そうそう。別にここじゃなきゃいけない理由なんて、ないし」

明るく言う2人に

「若し、パパの仕事が上手く行けば、今迄の様に会いに来る事は難しいんですよ」
「・・そうだね。確かに、それは寂しいよ」

ルカはこう言うと、少しだけ間をおき

「こうやって頻繁に会う事も、ハヤテ君のお弁当を食べられなくなるのも、確かに寂しいよ。でもね、死別するより、ずっとマシだよ」

ルカがこう言うと、ナギは

「確かにな。今、こうしている事自体奇跡なんだ。寂しくはなるが、隙を見て会えばいい。ただ、それだけだ。死別より、遙かにマシだ」

こう言われ、ハヤテは

「もう。泣かないでよ、ハヤテ君」
「・・泣かす様な事を言った人のセリフですか、それ」

ハヤテの反論に2人とも黙り込んだ。

「あ〜、もう。止め止め、こんな辛気臭い事」

ナギが大きめの声で言うと、ルカもハヤテも笑みを浮かべ

「あ、そうだ。来月はクリスマスがあるじゃん。どう?3人でパーティーでも」
「えっと。クリスマスには予定があるんですが」
「ええ〜〜〜」

即答したハヤテにルカが落ち込むと

「あのな、ルカ。お前だってクリスマスは仕事あるんじゃないのか?」
「あ、確かに。まだ分かんないけど、その可能性は十二分にあるかも」

更に落ち込んだルカに

「まあ、私も分からんし、3人で、はかなり難しいだろ」
「え!?ナギも予定あるの?」
「財閥の人間なんだ。「クリスマスは盛大に祝いましょう」何てあっても、不思議でも何でもないだろ」
「あ、そっか」

納得の言ったルカに

「まあ兎も角。この3人じゃクリスマスは難しいんだ。諦めろ」
「チェ〜」

2人のやり取りをハヤテは微笑ましく見ていた。

近い将来、こんな何気ないやり取りを見れなくなるかもしれないので、今の内にしっかり見ておこうと、そう思いながら。


-----------------------------------------------------------------------------------
以上です。

次回は続きです。

では。
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Re: 転生 (8月16日更新) ( No.84 )
日時: 2020/08/22 19:28
名前: どうふん


masaさんへ

 ナギはともかくルカが大人だったのは正直驚きです。
 ハヤテが遠くへ行ってしまうことにどんな反応するのかと思いましたが。
 それだけ死別が辛かったんですね。
  
 それにしても沙羅の両親の発想は驚くばかりです。
 遠くへ越しても転校しない・・・。通学にどれだけ時間がかかるのかは知りませんが。
 
 >「ええ!?で、でもママ。お勉強は」
 これは通学に時間がかかりすぎて勉強する時間がないってことかな。


 ルカ、ナギそして沙羅ちゃん、クリスマス、当日は無理でもクリスマスバージョンの期間に三人揃ってイベントはきっとできると思いますから、楽しんでね。


                              どうふん

 
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Re: 転生 (8月16日更新) ( No.85 )
日時: 2020/08/23 22:25
名前: masa

どうもmasaです。

レス返しの更新です。


 ●どうふん さん

 ナギ「感想感謝するぞ♪」

 >>ナギはともかくルカが大人だったのは正直驚きです。
  ハヤテが遠くへ行ってしまうことにどんな反応するのかと思いましたが。

 ルカ「そうかな?普通だと思うけど」
 ナギ「まあ、そう思われても仕方ないがな」


 >>それだけ死別が辛かったんですね。

 ルカ「そりゃあ、ね」
 ナギ「情けない事に2人とも10年も塞ぎ込んでしまったからな」


 >>それにしても沙羅の両親の発想は驚くばかりです。
  遠くへ越しても転校しない・・・。通学にどれだけ時間がかかるのかは知りませんが。

 それに関しては、「今の学校や引っ越した先の学校に転校手続きはするが、引っ越し先の学校には通わなくていい」っと言う意味です。
 そうすれば「溺愛する娘を誑かす愚か者は現れなくなる」っと言う思惑もあるのですよ。


 >> >「ええ!?で、でもママ。お勉強は」
  これは通学に時間がかかりすぎて勉強する時間がないってことかな。

 それはですね、前述した通りで、「学校に通わないのに勉強はどうするのか?」っと言う意味で聞いたんです。 まあ、中身は名門高校を卒業できるレベルの頭脳なので問題は無いですが、それでもね。


 >>ルカ、ナギそして沙羅ちゃん、クリスマス、当日は無理でもクリスマスバージョンの期間に三人揃ってイベントはきっとできると思いますから、楽しんでね。

 3人のクリスマスに関しては、後々の話で出てきますので、ここでは言えません。すみません。


 感想ありがとうです〜♪

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Re: 転生 (8月30日更新) ( No.86 )
日時: 2020/08/30 13:30
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
-----------------------------------------------------------------------------------

前回、ハヤテは「引っ越すかもしれない事」をルカとナギに話したが、2人は特に悲しまなかった。


それから数日後。

「はあ。疲れた」
「お疲れ様、貴方」

藤哉は社長室で妻の紫苑に労ってもらっていた。

「最近仕事が立て込んでて、沙羅に会えない」
「それは私もよ。でも、仕方ないじゃない」

不満そうな夫に不満そうに返しつつ

「あの事もあるし、クリスマスの事だってあるんだし」
「分かってるよ。でも、愛娘に会え無い不満位言ったっていいじゃないか」
「それは私だって言いたいわよ」

沙羅との時間が取れない不満を言い合う夫婦に秘書の人は溜息をついていた。


                   × ×


一方、ナギは。

「はあ」

溜息をついて、ベッドに仰向きに寝転んでいた。

「(ルカにはああ言ったが、実際には私のクリスマスの予定は無いんだよな)」

こう思いつつ、今迄のクリスマスを思い返し

「(クリスマスのパーティーって嫌いなんだよな。面白くもなんともないし)」

実際、ナギのパーティー嫌いは有名なので、傘下企業等は無理にパーティー開催を薦めて来ず、当主になった際のパーティー以外はナギが言わない限りは開催されて来なかった。

「(まあ尤も、嫌いなお陰でハヤテに出会えたんだから、そこは良いが)」

ルカに申し訳なく思いつつも、初めて出会った時の事を思い返し、ニヤケていた。
が、それは直ぐにでも消え

「どうすっかな、クリスマス。ハヤテは100%来れないし、ルカも仕事だろうしな」

思わず呟くと、枕元のスマホが目に入り

「ま、ダメ元で、動いてみるか」


一方。

「あの、マネージャーさん」
「はい?何でしょう?」

ルカは仕事前の楽屋でマネージャーと話していた。

「クリスマスイブやクリスマスって、どうなってます?」
「えっとですね」

森谷マネージャーはスケジュール帳を確認し

「あ〜、両方とも既に仕事が入ってますね」
「そ、そうですか」
「な、何か問題でも?」

不安そうに言う森谷マネージャーに

「あ、そう言うんじゃないです。単なる確認です」
「そうですか。私はてっきり三千院さんと何かあるのかと」
「まあ、向こうも忙しいですけどね」

ナギの心境を知らず、ルカはこう言いつつ

「(やれやれ。何とか少しでもいいからハヤテ君との時間を作りたかったけど、無理だな、こりゃ)」

ばれない様に心の中で愚痴った。


                   × ×


翌日の夜。

「しかし、ナギから呼び出しがあるとはな」
「いっつも我々が呼び出しても、「忙しいから無理に決まってるだろ」って断るのに」
「・・別にいいだろ。私だって偶にはだな」

愚痴るナギに呼び出された2人は笑顔になった。

「まあ兎も角。急に呼び出して悪かったな、千桜、カユラ」

そう、2人が声掛けしたのは千桜とカユラである。
勿論?2人とも立派な大人に成長している。

「気にするな。暇だったし」
「千桜に同じく。 ってか我々だけか?他の奴らは誘わなかったのか?」
「気を悪くするかもしれんから、先に謝っておく。 誘ったが断られた。来てくれたのはお前達だけだ」

申し訳なさそうに言ったが、2人は「あっそ」みたいな感じで一切気にしてなかった。

「まあでも、元気そうでよかったよ」
「ああ。綾崎君が亡くなって以来、お前もルカもずっと塞ぎ込んでたからな。やるべき事はやってたが」

カユラが言うと、ナギの様子を見つつ

「悪かったな、力になってやれなくて。忙しかったを言い訳にするつもりはないが、どうしても、な」
「ああ。私も同士なのに力になれなかった。そこはこの場を借りて謝るよ」

千桜が言い、カユラもそれに同意すると

「気にするな。お前達の事情も理解してた。悪いのは自力で立ち上がろうとしなかった私だよ」
「「・・そっか」」

笑顔のナギに2人の罪悪感は薄れた。

「しかし、何があった?ルカにしろナギにしろ、10年も落ち込んでたのに」
「ルカはテレビで見てて分かったし、ナギだってこうやって会えば明るくなってるし」

2人の質問にナギは

「(こいつ等にも教えるか? 「ハヤテが女の子に転生して会いに来てくれてる」って)」

顔色を窺いつつ少しの間考えたが

「(いや、止めておこう。万が一があれば、2人に迷惑がかかる。幾等なんでも私の力じゃルカ以外を守り切るのは無理だ)」

こう思い、ナギが答えるのを待っている2人に

「まあ、色々とな」
「「ふうん」」

これ以上は言及して来ず、ナギは友情に感謝した。

「それよりだ。2人を呼び出した本題に入りたいんだが」
「ああ、そっか」
「忘れてたな」

2人の言い分にナギは口を尖らせつつ

「2人のクリスマスの予定は、どうなってるのだ?メールとかで聞いても良かったが、何となくな」

ナギが聞くと、場の空気は明らかに悪くなった。

「ナギ、それは嫌味か?」
「寂しい独身女に対する、嫌みなのか?」

不機嫌オーラ全開で千桜とカユラに言われ、更に

「確かに、周りの奴らの殆どは結婚してるさ。子供も生まれて、幸せを築いている」
「だが、我々は無い。婚活しても空振りの連続。プロ野球ならとっくに戦力外通告を食らう程に空振りしまくってるさ」

愚痴る千桜・カユラにナギはこの話題を出したことを後悔していた。   が

「お前はどうなんだ。パーティー嫌いのお前の事だ。無いんだろ?」
「仕事関連の人を集めてパーティーって」
「・・無いよ。だから呼び出しを掛けたんだよ」

千桜とカユラの言及に、2人に負けない位不機嫌オーラを出した答えた。

「そ・れ・と、婚活は?私達は独身貴族を貫いても問題は無いが、お前はな」
「幾らなんでも綾崎君への未練は断ち切ってるだろうし」

千桜・カユラの言葉にナギは一瞬蓮司の顔が過り

「まあ、ハヤテへの未練は無い。 でも、気になってる奴は、いる」

ナギが馬鹿正直に言うと、2人は「隠れた超名作を発見した様に」目を輝かせた。

「何だよ、いるんじゃないか」
「じゃあその人を誘ってみろよ。このこの」

中学生の男子の様なノリの2人にナギは正直に答えた自分を恨んでいた。

「分かったよ。その代わり、お前達の予定を聞かせろ」
「私は無いよ。その頃は締め切りも無いから、暇してるし」
「私はイブからクリスマスにかけて生放送があるが、当日は配信の予定も無いよ」

因みに、千桜はラノベ作家、カユラはYouTuberで生計を立てています。

「答えて貰ったし、聞いてみるよ。  期待はするなよ」
「はいはい。じゃ、万が一断られたら、女子会な」
「私も千桜も何も無い可能性の方が高いし、女子会に付き合ってやるよ」

ナギは蓮司に「クリスマスの予定は空いてるか?」っとだけメールした。


                   × ×


翌朝。

「ナギー、ご飯出来たよ〜」
「すまん。腹減って無い」
「え!?体調悪いの?」

ドア越しに言われ、ルカが心配していると

「大丈夫だよ。ただ単に食欲が無いだけだ」
「そう?じゃあ食欲が出た時の為に作った奴はラップして冷蔵庫に入れておくね」

ルカが部屋の前から去って行くのを気配で感じ、ナギは

「はあ。断られた、か」

メールした後、割と直ぐに返信があり

「すまないな、三千院さん。その日は前々から友達達と旅行に行く予定が入ってるんだ」

っと書かれていて、

「何なのだ。何でこんなにショックを受けてるのだ。全く」

ベッドの上で寝返りを打ちつつ、悶えていると、千桜からメールが入り

「一応報告だ。私とカユラはある意味予定通りだ。 クリスマス女子会の変更は無し。 以上」

メールを見ると、ナギは「やれやれ」っと、溜息をついた。

「ま、どっかの会場をおさえて女子会するか」

ルカが仕事なのは知ってるので、割り切る事にした。


                   × ×


それから数日後。

沙羅は学校から帰って来て、ナギ達の元に行こうか悩んでいると

「沙羅、ちょっといい?」
「あれ?パパもママもお仕事じゃないの?」

両親が部屋に来たので、聞くと

「沙羅、クリスマスイブに3人で遊園地に行くよ」
「え!?」

突然言われ、驚いていると

「それだけだ。じゃ、パパもママも仕事に戻るな」
「あ、うん」

沙羅は首を傾げつつ、深くは考えない事にした。


                   × ×


そして、クリスマスイブ当日。

「じゃ、行こうか、沙羅」
「うん」

使用人の運転する車に家族3人で乗り込み、遊園地に向かった。

そして目的の遊園地に着き

「沙羅、寒いからこれしなさい」
「あ、うん」

母にマフラーを渡され、直ぐにまいた

「でも沙羅、本当に貸し切りにしなくて良かったのかい?」
「沙羅の為なら、貸し切りにする位訳無いのよ」

両親の言葉に

「うん。それに、こうやって沢山人が居る事や、乗り物に乗る為に並ぶのも遊園地を楽しむ醍醐味だから」
「そっか。じゃ、行こうか」

沙羅が真ん中になり、3人で手を繋いで遊園地を楽しみ始めた。

暫く堪能した後

「ねえパパ。どうして遊園地に連れて来てくれたの?今迄はパーティーやってたのに」
「あ〜、それはね」

藤哉は少し考え

「まあ、偶にはね」
「ふ〜ん」

夫婦で目配せし、どういうか考えた事は分かっていたが、敢えて言わなかった。

また暫く堪能し、休憩中

「あ、あのさ、パパ。お仕事はどうなったの?」
「ああ、そうだったね」

自身の引っ越しにもかかわるので、恐る恐る聞いた。

眺めの沈黙の末・・・

「・・無くなったよ」
「え!?」


-----------------------------------------------------------------------------------
以上です。

次回は続きです。

では。
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Re: 転生 (8月30日更新) ( No.87 )
日時: 2020/09/06 18:26
名前: どうふん


ナギの呼びかけに応じてくるのは千桜とカユラだけですか。ちょっと寂しいですね。
ヒナギクさんや歩は何か用があってこれなかったのだと思いたいです。


それでもナギは自分の意思で動き出したようですから良かった。応援してます。


しかし沙羅ちゃんのご両親の溺愛ぶりは大変ですね。
クリスマスに遊園地を貸切るなんて、どこの専制国家の皇女ですか。人としてやっちゃあいけませんよ。
ハヤテがいるから暴走は押さえられているようですが。まさか転生の記憶が戻る前にはやったことがあるとか・・・。あな恐ろしい。

で、転勤はなくかんた・・・というか、沙羅ちゃんの質問は「お仕事は?」なんですよね。
まさか、お仕事はなくなった・・・?。いや遊園地を貸し切りできる大富豪にそれはないか。


                                  どうふん
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Re: 転生 (8月30日更新) レス返し ( No.88 )
日時: 2020/09/12 13:45
名前: masa

こんにちはmasaです。

レス返しの更新です。


 ●どうふん さん

 ルカ「感想ありがと〜♪」

 >>ナギの呼びかけに応じてくるのは千桜とカユラだけですか。ちょっと寂しいですね。
  ヒナギクさんや歩は何か用があってこれなかったのだと思いたいです。

 ナギ「ああ、それは「各々細かい理由は違うが多忙だから」ってだけだ。もう皆良い大人だから仕方ないさ。家庭を持ってる奴もいるし」


 >>それでもナギは自分の意思で動き出したようですから良かった。応援してます。

 ナギ「そうか、ありがとな。ルカもきっかけはどうあれ止まってた時が動き出してるからな」


 >>しかし沙羅ちゃんのご両親の溺愛ぶりは大変ですね。
  クリスマスに遊園地を貸切るなんて、どこの専制国家の皇女ですか。人としてやっちゃあいけませんよ。

 藤哉「そうかい?普通だと思うが」
 紫苑「沙羅を待たせるなんて、そっちの方が有り得ないと思うけど」

 沙羅「(やれやれ)」


 >>ハヤテがいるから暴走は押さえられているようですが。まさか転生の記憶が戻る前にはやったことがあるとか・・・。あな恐ろしい。

 実は、やった事が何回かあります。 っとは言っても、「某夢の国」や「U○J」っと言った大規模な所は流石にやってませんが。

 ナギ・ルカ「・・・」←呆れてる。


 >>で、転勤はなくかんた・・・というか、沙羅ちゃんの質問は「お仕事は?」なんですよね。
  まさか、お仕事はなくなった・・・?。いや遊園地を貸し切りできる大富豪にそれはないか。

 それに関しては、次回の更新で明らかにしています。なので、ここでは言えません、すみません。


 感想ありがとうです〜♪
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Re: 転生 (9月13日更新) ( No.89 )
日時: 2020/09/13 14:05
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
-----------------------------------------------------------------------------------

前回、沙羅はクリスマスイブに家族で遊園地に来ていた。


父親の言葉に沙羅が言葉を失っていると

「あ、お仕事が無くなった訳じゃ無いよ。「引っ越しが」無くなっただけさ」

この言葉に安心すると

「相手が、こちらに合わせてくれたんだ。だから、仕事場を変えなくても、引っ越したりしなくても大きな仕事を成功出来たって訳なんだ」
「へ〜、パパ凄い」

沙羅は何となくで「両親の過保護っぷりを知っていたので、相手があわせてくれた」っと思った。

「沙羅には不安にさせちゃったでしょ?だから、そのお詫びを兼ねて、遊園地に来たんだ」
「今迄は家でパーティーだったけど、こういうのも良いでしょ?」

両親の言葉に沙羅は感激していた。
すると

「ちょ、ちょっとパパ」
「さ、もっと楽しもう」
「あ、ちょっと。ずるいわよ」

沙羅は藤哉に肩車されており、紫苑が文句を言っていた。

「あ、悪いな。順番、だな」
「ならいいわ」

前世の時はありえなかった「何気ない、当たり前の家族の温もり」に沙羅は自然と笑顔になった。


                   × ×


翌日。

「え〜、では。メリークリスマス」
「「メリークリスマス」」

千桜の号令にナギもカユラも続いた。

「しかしだな〜。今日までに「予定が入ってドタキャンごめんなさい」ってのを期待してたんだが、見事なまでに無かったな」
「お前なあ。そう言う虚しくなる話をのっけからするなよ」

千桜の愚痴にカユラが突っ込んだ。

「まあでも。ナギは私達と違って「期待が持てる予定通り」だからいいよな〜」
「全くだよ。羨ましい」
「ああ、そうかい。そりゃ悪かったな」

千桜とカユラの愚痴に皮肉を込めて返した。

「まあ、相手がどんな奴か分からんが、良い人なんだろ?」
「ああ、まあな」
「お〜お〜、羨ましいこって」

相変わらず愚痴連発の2人にナギは呆れ始めたが、付き合う事にした。

「まあでも。綾崎君みたいに鈍感王じゃないと良いな」
「そこんところ、どうなんだ?」

カユラが言うと、千桜も同意とばかりに聞いて来たので

「まあ、無きにしも非ず、かもな」
「そうか。まあ、ナギが誘った時点で可能性に気付かん様じゃ、また大変かもな」
「頑張れよ〜。私達の分までな〜」

からかう様に言う千桜とカユラにハヤテを思い出しつつ苦笑いをした。

それからはお互い世間話をしていると

「そう言えばさ。さっき散々愚痴って来たが、2人の結婚願望って、どの程度の物なのだ?」
「「う〜ん」」

聞かれた2人は考え込み

「結婚願望は確かにあるが、そこまでじゃないな。アラサーとはいえ、焦って無いのも仕事を割と優先させてるのも、事実だな」
「千桜に同じくな。まあ、私の場合割と特殊だから、難しいかもな」

愚痴の量の割に楽観的な2人にナギは呆れていた。
すると

「ん!?誰かの携帯なってるぞ」
「あ、私だ」

千桜の言葉にナギは直ぐに気付き

「あ」
「「何だよ、どうした?」」
「さっき話してた奴からの、着信なんだが」

画面には蓮司の名前が出ていて、出るべきか一応気にしつつ2人に言うと

「出ろ。今直ぐに出ろ」
「聞き耳何か立てないから、出ろ」

一応気にしつつ電話に出た

『あ、三千院さん。急に電話して悪かったな』
「いや、別に構わんが。で、どうしたのだ?」
『今日はすまなかったな、断ったりして。 で、お詫びにって言ったらなんだが、初詣に一緒に行こうかと思ってるんだが、どうだ?』

蓮司の提案にナギは「1人だったら飛び上がる程の嬉しさ」を感じ

「じゃあ、一緒に行くか。楽しみにするぞ?」
『いや、そんな期待されても。まあ、あれだ。極力頑張るから、当日にな。また連絡するよ』
「ああ、またな」

電話を切ると、2人ともニヤケ顔だった

「内容は分からんが、良い事の様だな」
「電話中のナギ、ずっと嬉しそうだったぞ」
「ま、まあ。初詣を一緒に行こうって話だよ。大したことは、無い」

千桜とカユラの言葉にナギは照れつつ言うと

「まあでも、鈍感王じゃ無くて良かったな。態々連絡してくれたんだからな」
「ああ。気にしててくれてたって、何よりの証拠だ」

千桜とカユラの言葉にナギはまた笑顔になり。

「そうだな」
「まあ、取り敢えずはおめでたいって事で」
「もう一度乾杯するか」

ノンアルコールのシャンパンで乾杯し直し、ナギは

「(そう言えば。ハヤテはどうしてるんだろうな。 まあ、あの過保護な両親といるんだろうけど)」

気にしつつも女子会を楽しむ事にした。


                   × ×


一方の沙羅はというと・・・

時間を巻き戻して昼間。
五月女一家は有名デパートに来ていた。

「クリスマスなだけあって、混んでるわね〜」
「沙羅、逸れないようにね」
「うん」

仲良く手を繋ぎ、おもちゃ売り場に行き

「さあ、沙羅。好きなおもちゃ、選んでいいよ」
「パパやママが買ってあげるわ」
「え!?いいの?」

沙羅が聞くと

「勿論さ。沙羅を不安にさせちゃったお詫びも兼ねてるし」
「え!?お詫びなら」
「良いのよ。気にしないで」

両親の言葉に沙羅は頭を掻きつつ少し考え

「じゃ、じゃあ」
「「うんうん」」

おもちゃ売り場を見渡すと、自然と「女の子向けのおもちゃ」のコーナーに導かれる様に行きつき

「(やれやれ。こう言う「女の子が喜ぶ可愛い物」を欲しいと思うなんて、本当に今の僕は女の子なんだな)」

一応、「男の子向けのおもちゃ」も見たが、「こう言う物を貰って喜ぶ気持ちがあまり分からない」っと言う感情が働き、自分は女の子である言う事を再認識させられた。

暫く見て回った後

「パパ、ママ。これが良い」

値段も高くない、可愛いぬいぐるみを選んだ。

「良いのかい?それで」
「何だったら、女の子向けのおもちゃ、全部買ってもいいのよ」

普段の両親の感じから嘘や冗談の類で無い事は直ぐに分かり

「ううん。これが良いの」

たいそう気に入ったっと言った感じでぬいぐるみを抱きつつ言った。

「じゃ、それを買おう」
「ええ」

会計後、

「ねえパパにママ。クリスマスプレゼントを買ってくれたのって、お詫びだけじゃないんでしょ?」
「あ、ばれたか。実はそうなんだよ」
「家のセキュリティってしっかりしてるでしょ?だからサンタさんが「自分の代わりにプレゼントをあげてほしい」って言ったからなのよ」

両親の言葉に沙羅は「誤魔化す為にそう言った」っと思いつつも、「サンタさんに娘を喜ばせる手柄を渡したくない」っと言うのも何となくで感じた。


こんな感じで沙羅が家族との時間を楽しんでいると

「ん!?あれはハヤテ君じゃん」

実は、ルカも同じデパートに来ていた。
偶然近くで仕事しており、長めの空き時間を利用して買い物に来ていたのである。

「(こんな所で会えるなんて、やっぱり私達は運命で結ばれてるんだね)」

そう思いつつ、迷惑にならない程度に人混みをかき分け沙羅の元へ近づいて行った。
すると

「(あ、ご両親と一緒なんだ。そりゃそうだよね)」

沙羅が現在の両親と同じなのを見つけ、途中で止まったが

「(でも、諦められない。僅かでもハヤテ君とクリスマスを過ごしたい)」

こう思い、気付かれない距離を保ち、怪しまれ無い様に五月女一家を尾行した。

しかし、一向にチャンスは訪れず

「(仕方ない。諦めるか)」

次の仕事の時間も迫っていたので、諦めて立ち去る事にした。


                   × ×


時間を戻し、再びナギ達。

2人と話しつつ、ナギは

「(やっぱ、誘ってよかったな。まあ、女だけってのはちと寂しいが、良かろう)」

そう思いつつ、今度は

「(そう言えば、ルカはどうしてるんだろうな。まあ、仕事で忙しくしてるだろうがな)」


-----------------------------------------------------------------------------------
以上です。

次回は続きです。

では。
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Re: 転生 (9月27日更新) ( No.90 )
日時: 2020/09/27 12:45
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
-----------------------------------------------------------------------------------

前回、クリスマスの日、沙羅は家族で過ごし、ナギは女子会、ルカは仕事だった。


五月女家はデパート内での飲食店で昼食を済ませ、帰路に着いていた。

「沙羅、そんなにそれ、気に入ったのかい?」
「へ!?まあ、それもあるけど」

ずっと笑顔の娘に藤哉が聞くと、沙羅は迷いつつも

「楽しかったから」
「そうかい」
「それは良かったわ」

前世の時は絶対にありえなかったこんな何気ないイベントに自然と笑みがこぼれていた。

「(ルカさんやナギさんは何してるんだろ。僕みたいに幸せ噛み締めてると良いけど)」


                   × ×


再び時間を夜に戻し

「あ〜、退屈だ」

ルカは居間で思わず呟いていた。

思ったより早く仕事が終わり、帰宅したはいいがナギは不在で、ハヤテにも連絡できず、テレビもたいして面白いのがやって無いので、大きめの独り言が出てしまっていた。

すると

「水蓮寺様、お客様です」
「お客。うん、通して」

SPさんに言われ、ハヤテが来てくれたのかと期待した

「よう、久しぶりだな、ルカ」
「お久しぶり〜」
「千桜。それにカユラも」

この10年、ほぼ交流が無かった2人の来訪に驚き

「ど、どうして」
「いや、なに。SPから「ルカが早めに帰宅して来た」って報告が来てな。で、「ルカも女子会に加えよう」ってなって、場所を家に変更したんだよ」

ナギに説明され、ルカは納得した。 ・・が

「ハヤテじゃなくて、残念か?」
「ちょっとね」

2人に聞こえないようにコソコソと話し

「ところで、あの2人にはハヤテ君の事は」
「言って無い。万が一を考え、打ち明けるのを止めた」
「まあ、それが無難だよね」

自分達を置いてけぼりにして内緒話する2人に

「何だよ、内緒話か?」
「折角の女子会なのにそりゃないだろ」

文句を言う千桜・カユラに

「「あ、ごめんごめん」」
「ま、良いけどな」
「クリスマスにこれと言って用事が無い独身女同士、楽しもうじゃないか」

カユラの毒にルカは苦笑いしつつ、ノンアルコールで楽しむ事にした。


                   × ×


一方。

帰宅した沙羅は買ってもらったぬいぐるみを枕元に置き、居間に赴いた。
すると、両親が「世界の終わりを予告された」様に落ち込んでいた。

「ど、どうしたの?」

沙羅が聞くと、突然2人に抱きしめられ

「「沙羅〜」」
「な、何!?」

悔しさや悲しさ、申し訳なさを同居させた声色に沙羅が益々訳が分からなくなっていると

「ごめんよ〜、沙羅」
「折角楽しんでくれてたのに〜」

両親の言葉に何となく察した

「急に仕事が入っちゃってね」
「折角今日は沙羅と一日中一緒にいようと思ったのに、ごめんなさいね」

自身の予感が中り、両親が何時も以上に申し訳なさそうにしている理由も、先程までの自分にあるとも悟り

「大丈夫だよ。僕なら我慢出来るから」
「「沙羅〜」」

両親の背中をそれぞれ軽くポンポンッと叩いて励まし、仕事へ見送った。

それからの数日間は五月女夫妻は目が回るほど忙しくなった。
朝早く出かけ、寝る為だけに帰って来るというのも当たり前の様になり、娘との時間が取れないと愚痴るのも口癖の様になっていた。

沙羅はそんな両親の為に何かできないかと考え、朝早く起きてお見送りをしたり、遅く帰った両親を労ったりもした。

更に、肩を叩いてあげたりもんであげるっと言ったマッサージも、今の体で出来る範囲でも行った。
勿論、過保護で娘大好きの両親には「効果は抜群だ!」っとテキストが表示される程喜んでくれた。


しかし

「(パパもママも大変そうだな。何か出来ないかな、今やっている以外の事)」

学校や自宅でも色々考え今の自分が出来る事を必死で探していた。

「(あれだけ愛してくれてるんだから、何かしなきゃな。重すぎる時もあるけど、恩返ししないと罰が当たりそうだし)」

考え込む事が多いため、ルカやナギ、学校ではタケル達に心配されたが、相談してどうにかなる物ではないため、誤魔化しておいた。

そして数日考えた末

「やっぱ、これしかないよね」

ハヤテは現在、自宅のキッチンに立っていた。
今日、両親は「遅い夕食の時間」に帰って来る事を聞いていた為、その時間に合わせて完成する様に逆算して、作る物を決めて近所のスーパーで貰っているお小遣いで食材をそろえていた。

ハヤテがこの結論に達したのは、ルカやナギが「ハヤテの料理はレシピ通りに作っても、何故か癒される料理になる」っと常々言っていた為だ。

ハヤテが料理を始めた直後

「あの、お嬢様」
「あ、何でしょう」

メイドの1人がキッチンに来て、恐る恐る声をかけて来た。
この人は普段、ルカへのお弁当を作る事を黙認してくれている1人である。

「今日は何を?普段お料理なさる時間より遅いですが」
「え、えっと」

沙羅は少し考え

「パパとママに、料理を作ろうかなって」
「だ、旦那様と奥様に、ですか!?」

沙羅の言葉に驚き、言うべきかどうか悩んだ後

「あの、それは止めておいた方が。以前(>>24)あったような事が」

厳しく叱られた経験がある為、沙羅の気持ちを尊重したい気持ちと、普段の五月女夫妻の過保護っぷりを鑑みて止めたい気持ちが争っている様な口調のメイドさんに

「パパとママ、最近凄く忙しいじゃないですか」
「あ、はい」
「だから、料理を作れば喜んでくれるかなって」

メイドは「120%の確率で喜ぶだろうな」っと思っていた。

「だから、どうしても作りたいんです」
「し、しかしですね」
「頑張ってくれてるパパとママに少しでも恩返しがしたいんです」

沙羅の言葉にメイドさんは

「分かりました。何かあったら、私が責任取ります」
「え!?いや、そこまでは」
「良いんです。本当は嫌ですが、このお屋敷を出て行く事も、已むを得ません」

考えた末、自分が何とかしようと、この場では折れた。

沙羅が料理中、何かがあっては不味いと念の為メイドさんは近くにいたが、ハヤテに限ってそのなにかは起こらなかった。


「「はあ〜っ」」

五月女夫妻は疲れ切った様子で溜息をつき、居間のソファーに体を投げ出していた。
すると

「パパ、ママ。ちょっといい?」
「おお〜、沙羅〜」
「また癒しに来てくれたの〜」

何時も通り両親に抱きつかれ、少しだけ好きにしてあげた後

「今日は、パパにママにプレゼントがあるんだ」
「「え!?」」

沙羅は一旦廊下に出た後、ファミレスで料理を運ぶ時に使うワゴンを押して室内に戻り、両親の前にそれぞれお皿を置いた。

「沙羅、これは一体」
「これはね、僕が作ったんだ」
「な!?おい、お前」

沙羅が言うと、藤哉は沙羅の後ろにいたメイドを咎め、紫苑も鋭い視線を送っていた。

「待って、パパ。僕がどうしてもってお願いしたんだよ。止められたけど、無理を聞いてもらったんだ。だから、怒らないであげて。ね」
「う〜ん。沙羅がそこまで言うなら」
「・・沙羅に感謝なさい」

両親が何時も通りに戻ったので、沙羅は溜息をつき

「パパもママも最近忙しいでしょ?だから、少しでも元気になって貰いたくて」
「「沙羅」」

過保護になるほど愛する娘に言われ、2人とも料理に向き合い

「凄く美味しいそうだ」
「食べるの勿体無いけど、いただくわね」

両親は沙羅が作ったオムライスを食べた。


-----------------------------------------------------------------------------------
以上です。

次回は続きです。

では。
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Re: 転生 (9月27日更新) ( No.91 )
日時: 2020/10/03 17:42
名前: どうふん

え、千桜とカユラがルカと「久しぶり」?この二人すら十年間交流がほとんどなかったとあっては、後は推して知るべしですね。ハヤテの仲間たちはやはり散り散りになっているのか。
まあ、仕方ないですが。

両親と仲良く過ごしている沙羅ちゃんですが、ハヤテの能力や性格を今まで以上に生かしながらも、感情の上では沙羅ちゃんの持分が増えてきたように感じます。
ルカにしてみれば、寂しく感じるんじゃないですかね。
変な方向に暴走しなきゃ良いですけど。


                                      どうふん
この作者は、誤字脱字の連絡を歓迎しています。連絡は→[チェック]/修正は→[メンテ]
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Re: 転生 (9月27日更新) ( No.92 )
日時: 2020/10/04 13:30
名前: masa

こんにちはmasaです。

レス返しの更新です。


 ●どうふん さん

 千桜「感想感謝するぞ♪」

 >>え、千桜とカユラがルカと「久しぶり」?この二人すら十年間交流がほとんどなかったとあっては、後は推して知るべしですね。ハヤテの仲間たちはやはり散り散りになっているのか。

 ナギ「それは仕方ないさ。前も言ったが、私達は「もういい大人」だ。交流が薄くなるのは仕方ないさ」
 ルカ「それに、ハヤテ君が死んじゃってからの10年の私やナギを見れば、自然と「久しぶり」になっちゃうよ」


 >>まあ、仕方ないですが。

 ナギ「まあ、そうだよな。仕方ないんだよなあ」


 >>両親と仲良く過ごしている沙羅ちゃんですが、ハヤテの能力や性格を今まで以上に生かしながらも、感情の上では沙羅ちゃんの持分が増えてきたように感じます。

 ナギ「そりゃ、そうだろうな。 あいつは「一度死んで生まれ変わった」だからな。最近(更新時)単行本1巻が出たばかりの「妖怪の力で性転換してしまった」って訳じゃ無いし」
 ルカ「それに、「ハヤテ君でいられる時」は私やナギの前だけだからね。そう感じるのは当然かも」


 >>ルカにしてみれば、寂しく感じるんじゃないですかね。

 ルカ「まあね。出来る事ならハヤテ君とずっといたいからね」


 >>変な方向に暴走しなきゃ良いですけど。

 ルカ「だ、大丈夫だもん」
 ナギ「・・何か半信半疑なんだが」

 まあ、ルカ達の物語はこれからの展開を待っていただくしかないですね。 すみません。


 感想ありがとうです〜♪

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Re: 転生 (10月11日更新) ( No.93 )
日時: 2020/10/11 12:55
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
-----------------------------------------------------------------------------------

前回、沙羅は疲れている両親の為に料理を作った。


沙羅の料理を食べた両親は突然黙り込んだ。
そして直ぐに泣きだした。

「「え!?」」

沙羅は「料理を失敗したか!?」とか「口に合わなかったのか!?」っと思ったが、そんな心配をよそに両親は泣きながらただ只管に料理を食べ進め、一気に完食した。

「パパ!?ママ!?」

反応の無い両親に沙羅が様子を窺っていると、また両親に抱きしめられた。

「すっごく、美味しかったよ、沙羅」
「ありがと。元気出たわ」

まだ泣いている両親に沙羅も抱きしめ返した。

「(若し、前世の時に死ぬ事無くルカさんと家庭を築いていたら、こんな風に何でも無い、当たり前の、普通の家庭を築けてたかもね)」

こう思い、今の両親からの愛を再確認していた。

まだ室内にいたメイドは使い終わった皿を片付け無言で部屋を出て行った。


                   × ×


五月女夫妻は入浴等を済ませ、寝室にいた。

「沙羅の料理、美味しかったな」
「ええ。それに、何というか「すっごく癒される」そんな感じだったわね」

紫苑が言うと、藤哉は無言で何度も頷いた。

「何時の間にか、沙羅は成長してたんだな」
「ええ。流石、私達の誇るべき愛娘ね」
「ああ」

また沙羅のオムライスの味を思い返した後

「まあ、あれだな」
「ええ、あれよね」

夫婦はお互いに何を言いたいか直ぐに理解し合い

「「嫁には渡さない」」

そう言うと笑みを向けあい

「寝るか」
「ええ」


翌日。

「おや?社長、どうされました?」
「ん〜!?何がだ?」

秘書に言われ、藤哉が返すと秘書は少し間をおき

「昨日までは「お疲れモード全開」って感じでしたのに、今日は何時も以上に生き生きとお仕事なさってるので」
「お!?気付いたか?」

寧ろ、五月女夫婦の様子に気付かない人は病院に行く事を薦める程である。

「実はな、昨日の夜、沙羅が料理を作ってくれたんだ」
「それがもう美味しかったのよ〜」
「へえ。そうだったんですね」

秘書は何気なく言ったのだが、娘自慢が始まってしまい

「(やれやれ、またか。社長達の娘さん自慢は長くなるんだよな〜)」

表情等には一切出さずに呆れつつも自慢話に付き合う事にした。


                   × ×


一方。

「「え!?引っ越しが無くなった!?」」
「ええ、まあ」

ハヤテは三千院家でルカとナギに事情を話していた。

「なんでまた。まさか」
「あ〜、いや。ナギさんの予感は違うかと」

言いかけたナギを遮る様に言い

「何でも、相手がこちら側に合わせてくれたみたいですよ。つまり、引っ越したりしなくても大きな仕事を成功出来たって事です」
「成程な」

ナギは直ぐに「過保護な五月女夫妻の為、相手側が折れた」っと直感した(ルカは分かって無い)。

「まあ、あれだね。喜んでいいか分かんないけど、今迄通りに収まったって訳だね」
「・・なあルカ。私も人の事言えんが、お前、滅茶苦茶喜んでないか?」
「う」

図星なのか、黙り込んだ

「ま、まあ、その。 あ、ハヤテ君はクリスマスとか何してたの? 私は仕事以外じゃ千桜やカユラ、ナギと女子会したよ」
「へえ、あのお2人と。まあ、今の僕じゃ会う訳にはいきませんが、懐かしいですね」
「まあ、あの2人にはハヤテ君の事は話してないし」

納得しつつ

「僕はイブは家族で遊園地に行きましたね。クリスマスはデパートに出かけましたよ。まあ、夕方以降は急に仕事が入っちゃったせいで一緒に過ごせませんでしたが」
「「ふ〜ん」」

ルカはデパートでハヤテを見かけていたのだが、言う理由も無いので黙っていた。

「なあハヤテ。ここ数日お前が悩んでたのって、引っ越し関連じゃないんだろ? 今のお前を見る限り解決したみたいだし、良ければ教えてくれないか?」
「あ、そうだよ。私もナギも心配してたんだよ」

ハヤテは少し迷ってから

「両親が凄く疲れてたので、今の自分が何をすべきか、何が出来るか、考えてたんです。元気を出させてあげたいって」
「「成程」」

ハヤテはお茶を一口飲み

「それで、考えた末手料理をふるまったんです。それ位しか、今の僕には出来ませんでしたからね」
「え!?大丈夫だったのか!? あの過保護なご両親の事だ「料理なんかしなくていい」って言うんじゃないのか。包丁や火が危ないって」
「私やナギの場合は隠れてやってるって言ってたから、良いんだけど」

予想通りの言葉にハヤテは

「まあ、何とか宥めて、食べて貰いましたよ」
「お前の事だ。大成功だったんじゃないか?」
「ええ。泣きながら喜んでくれましたよ」

ルカもナギもその光景は容易に想像出来た。

「僕がこの策を思いついたのはルカさんやナギさんのお陰なんですよね」
「「???」」
「お2人とも僕の料理を「癒される」って褒めてくれるので、若しかしたらって」

間接的にとは言え、役立った事は誇らしかった。

「まあ、あれだ。お前も色々と疲れただろ? どうだ?温泉とか行かないか?」
「お、良いね。私もマネージャーさんに頼んで仕事調節してもらうよ」
「まあ、今のハヤテの事を考えると、日帰り温泉は絶対条件だがな」

ナギの言葉にルカは不満たらたらだったが、泊りがけなど五月女夫妻が許す訳無いので、我慢するしかなかった。


                   × ×


話も終わり、3人は近くの商店街に来ていた。
ルカが総菜屋で買い物をしている間、ナギとハヤテは少し離れた場所で待っていた。

すると

「なあハヤテ」
「はい?何ですか?」
「・・お前には話しておく事があるんだ」

そう言うと、ナギは少し間をおき

「実は次の正月、初詣でな」

「へえ。ナギさんにもそう言う人が」
「ああ、まあな」

ナギに報告され、ハヤテは

「あ、でも。僕は両親と初詣に行く予定が」
「そっか。ルカには悪いが、行くとしたらあいつは1人で、になっちゃうんだな」
「あ、そうなんですか。なんか、申し訳ないですね」
「ああ」

お互いに申し訳なさを感じたが、どうしようもないので放置するしかなかった。

「あ。ハヤテ、私の事はルカには内緒だぞ」
「分かってますよ」
「ん!?何の話?」
「「いえ、何でも無いです」」

揃って言う2人にルカは首を傾げつつ言及はしてこなかった。

一行は近くの公園で買った揚げたてのコロッケを食べていた。
すると

「今年は、色々あったね」
「ええ。言葉じゃ言い表せない程に」
「全くだな」

ルカの呟きにハヤテもナギも同意し

「まだ分かんないけど、この先年を重ねても、今年が一番幸せだったって、言い切れるかも」
「だよな。私もそうかもな」

ルカとナギの言葉に

「僕達の人生はまだまだですよ。幸せの更新は、毎年行って行かないと」
「・・本当、だよね」

ルカの思いつめたような口調に驚いていると

「信じるよ、ハヤテ君」
「ええ。信じてください」

ルカの言葉にハヤテは優しく返し

「(今、僕がこうしていられるのは、神様が起こしてくれた大奇跡、何だよね。この幸せが決して壊れない事を、祈るしか出来なくても、何度でも祈ろう)」

ハヤテは改めて自分が置かれている現状を理解し、ルカやナギとの関係が壊れてしまわないよう、気を引き締める事にした。


-----------------------------------------------------------------------------------
以上です。

次回は未定です。

では。
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Re: 転生 (10月11日更新) ( No.94 )
日時: 2020/10/11 20:25
名前: どうふん

>「嫁には渡さない」か・・・。
正しくは「嫁には出さない」だと思いますが典型的な親バカのセリフですね。
もっとも通常は「父親」のセリフでしょうが、母親も一緒になって、というところが見事なほどです。
しかしながら、もしかしたら婿になるかもしれない、という可能性についてはご両親は全く気付いていないようですね。


>「僕達の人生はまだまだですよ」
その通りですね。沙羅とルカの未来はまだ予測しがたいですが。

                                     どうふん

この作者は、誤字脱字の連絡を歓迎しています。連絡は→[チェック]/修正は→[メンテ]
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Re: 転生 (10月11日更新) ( No.95 )
日時: 2020/10/17 13:31
名前: masa

こんにちはmasaです。

レス返しの更新です。


 ●どうふん さん

 カユラ「感想感謝するぞ♪」

 >>>「嫁には渡さない」か・・・。
  正しくは「嫁には出さない」だと思いますが典型的な親バカのセリフですね。

 藤哉「そうかな?極めて普通の事だと思うが」
 紫苑「そうよ。と〜っても、普通の事よ」

 ナギ「(やれやれ。これじゃ将来ルカが苦労しそうだよ)」


 >>もっとも通常は「父親」のセリフでしょうが、母親も一緒になって、というところが見事なほどです。

 紫苑「あら、どういう事?娘を大事に思うなら母親だろうが何だろうが、普通よ」
 藤哉「うんうん、そうだそうだ」

 ナギ「(やれやれ)」


 >>しかしながら、もしかしたら婿になるかもしれない、という可能性についてはご両親は全く気付いていないようですね。

 ナギ「そりゃ、沙羅の両親は「娘がハヤテの生まれ変わりで、前世の記憶が残ってる」って言うのを知らんからな」
 ルカ「それに、今のハヤテ君は女の子だもんね。婿になる可能性は微塵も考えちゃいないだろうね」


 >>>「僕達の人生はまだまだですよ」
  その通りですね。沙羅とルカの未来はまだ予測しがたいですが。

 ナギ「まあな。沙羅の両親には私達と会ってる事は内緒だからな。ばれたら一巻の終わりだし、課題は山積みだよな」
 ルカ「か、関係ないもん。絶対に今度こそハヤテ君と結婚するもん」

 感想ありがとうです〜♪


 さて、このスレも長くなってきたので、次回からは新しいスレで更新していきます。
 では。

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