Re: 転生 (12月1日更新) ( No.35 )
日時: 2019/12/01 12:55
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
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前回、ナギは飲み会に参加した時にいた男性に誘われ、2人きりで飲む事にした。


一方その頃。

「え!?ハヤテ君、今なんて」
「ですから、新しく恋人を作ったり、結婚したりとか、考えた事あるのかと」

ルカは「信じられない」っと言った顔で

「そんなの、ある訳無いじゃん。何バカな事聞いてるの」

怒り気味に言った後

「ハヤテ君が死んじゃった後、ハヤテ君を想わない日は無かったよ。こうやって会いに来てくれる様になる前までね」
「・・そうですか」

複雑そうに言った後、ハヤテは続けた。

「ですが、ナギさんだって何時かは結婚する日が来るんですよ?今日の相手かどうかは兎も角。 結婚すれば、この家で暮らすようになるはずです。そうすれば、ルカさんは居辛くなってこの家を出て1人暮らしを始める事になるでしょうね」

ハヤテが言うと、ルカも複雑そうな顔になり

「そうだね。ナギが結婚してこの家で暮らし始めれば、私は邪魔以外何者でも無い。だから、安全性が保障されているマンションで1人暮らしを始める事になるよね」
「・・そうなったら、耐えられるんですか?」
「え!?」

首を傾げるルカに

「先程の言葉を考慮すれば、ルカさんはアイドルの仕事をしているとはいえ、ずっと1人で暮らす事になります。それこそ、死ぬまで。そんなの、耐えられるんですか?」

ルカは頭を掻きつつ少し考え

「それは、分かんないや。でも、幾ら寂しくても、大丈夫かもしれない。「仕方ない事だ」って思えばね」
「・・・」
「第一ね。私の「恋心」や「異性を好きだという気持ち」は全部ハヤテ君に捧げちゃったから。だから、もう私の中には残って無いよ、一欠けらだってね」

声色等から、ルカが嘘偽りの無い言葉を発している事が、ハヤテには直ぐに分かった

「だからね、ハヤテ君以外の恋人や、結婚相手はありえない。絶対を何千兆個付けても良いって断言出来る位」
「・・・」
「ん!?何か、言った?」

ぼそぼそと言われ、ルカが聞き返すと

「「ルカさんが僕以外の方を恋人にしたり、その方と結婚してても良かった」っと言ったんです」
「え!?」

ハヤテの言葉にルカには「歴史を根底から覆す大発見」をしたかの様な衝撃が走った。

「ルカさんの事は、前世だった時も生まれ変わった今でも、大切に思ってます。だからこそ、寂しい思いなんかしてほしくなかったんです。死んでおいてあれですけど」

ハヤテの言葉にルカは言葉を失ったままだった。
そんなルカに

「「幸せの形」は1つとは限りません。ルカさんが僕以外の人を好きなるというのも、それはそれで「幸せの形」なのかもしれません」
「でも、私の「本当の幸せ」は」
「でも、理由はどうあれ僕が死ななければ、こんな事にならなかったかもしれないんですよね」

ハヤテは長めの沈黙の後

「そうだね。それは全面的に肯定させてもらうよ」
「・・・」
「でもさ、ハヤテ君はこうして生まれ変わってくれた。女の子として、だけどね。 今はさ、これからの幸せを考えて行こうよ。それで万事解決だよ」

ルカは笑顔だったが、ハヤテは複雑だった。


                   × ×


ハヤテとルカが話している一方、ナギは

「じゃあ、取り敢えず俺は生で、三千院さんは」
「私は下戸なので、ソフトドリンクで」
「了解しました。それではお待ちください」

相手指定のお店に来ていた

「って、酒飲むんですか?私は免許無いから運転なんか出来ませんよ」
「大丈夫ですよ。代行業者呼ぶんで」
「はあ」

相槌を打ちつつナギは

「(こう言う大衆向けの飲み屋って初めて来たな。いかに私が一般的じゃないか分かるよな、こういう時)」

生まれてから現在に至るまで財閥の人間である事にこういう時には戸惑いを感じていた。

「注文は俺に任せてください。お薦めをドンドン頼んじゃうので」
「はあ」

また適当に相槌を打ちつつ

「(ハヤテと違って強引な奴だな。ハヤテは食べたい物を聞いてくれたり、苦手だったりする物を聞いてから頼んでくれるのに)」

こんな風に思っていると

「三千院さんって、誰かとお付き合いした事って、無いですよね?」
「へ!?ああ、まあ」
「やっぱりね。この前の飲み会で、恋愛に不慣れな感じがして、そこが良いなって思ったので」

相手の言葉に

「(そもそも、男を好きになるのだって、ハヤテが初めてだもんな。そして、今の所唯一になってしまった訳だが)」

こう思っていると店員が飲み物を持ってきたので、水戸は他の物を注文していた。


「いかがですか?濃い目の味付けですけど、そこがまたお酒に合うんです。下戸なのが勿体無い位です」
「まあ、美味しいですね」

取り敢えずは口に合うので、褒めてはいたものの

「(ハヤテやルカ、自分が作った物とは違うな。まあ、贅沢は言ってられんがな)」

こう思いつつ食べていると、水戸に見つめられている事に気付き

「な、何ですか?」
「なんか、食べてる姿も綺麗ですね。 隠そうと思っても、隠しきれてない上品さがあるというか」
「(まあ、幼少の頃から徹底的に教育されたからな。あの頃はたまらなく嫌だったが、こうして社会に出てみて役に立ったのか?)」


                   × ×


それから暫く経ち

「はい、もしもし」
『あ、ハヤテ君?今電話大丈夫?』
「今ですか?大きな声で話せませんが、平気ですよ」

現在の自宅に帰り、自室で予習(一応)していると携帯端末に着信があり、相手がルカだったので出た。

「ってルカさん、今はお仕事中じゃ」
『今は休憩時間だから平気。ってかそんな事より、SPさんに聞いたんだけど、ナギがまだ帰って無いみたいだよ』

ルカに言われ、ハヤテは部屋の時計を見た。

「まだ8時じゃないですか。普通にまだお店にいるのでは?」
『まあ、そうなんだけどさ』
「ナギさんだってもう立派に成人なさってるんですし、大丈夫ですよ」

電話越しに唸り声が聞こえて来たので

「やっぱり、心配なんですか?」
『そりゃあね。結構長く一緒に暮らして来た訳だし、ナギの立場を考えるとさ』
「大丈夫ですって。ナギさんだってご自分の立場を十分過ぎる位に弁えてますから、良い人か否かを見分ける能力は人一倍発達してますから」

ハヤテが言うと、ルカはまた唸った後

『分かった。ハヤテ君が言うなら、信じるよ。それに、私もナギの事を見て来たしね』
「ええ、そうですね」


                   × ×


一方、ナギは。

「(やれやれ。ハヤテと違って愚痴の多い奴め)」

酒が入ったからか、水戸が話すのは「世間話」等ではなく、「ただの口煩い愚痴」だった。
ハヤテに「社会に出たら、相手の愚痴に付き合うのも、必要な事ですよ」と教わっていたので、適度な相槌を挟みつつ取り敢えずは付き合っていた。

すると

「(やれやれ。オーダーした分は持って来ただろ。お前のミスだろ)」

店員に文句を言ったので、指摘こそしなかったものの、呆れていた。

「あの、飲み過ぎじゃないですか?」
「こんなの飲んだうちに入らないですよ」

また愚痴を再開したのでナギは呆れていた(顔に出さない様に)。


取り敢えずはお開きにし、会計をして外に出ていた

「いや〜、楽しかったですね〜」
「(ま、あれだけ愚痴を言えばな)」

また呆れていると車を止めた駐車場に来たので

「じゃあ、行きましょうか」
「なら、早く代行業者を呼ばないと」
「あ〜、大丈夫ですよ」

水戸の言葉にナギは睨みを利かせた

「この店来るとき結構この駐車場使うんですけど、帰りに検問や警察に出くわす事無いんで」

予想通りの言葉に、ナギは

「この程度の酔いなら運転を間違える事なんかないですよ。第一、代行業者が来るのを待つのはめんどくさいので、乗っちゃってください。何なら・・」

水戸の事を思いっきり殴り飛ばした

「な、何を!?」
「何!?この程度で済ましたんだ。寧ろ感謝してほしい位だわ」

ナギのドスの利いた声に驚いていた。

「私は嘗て、心から慕う大切な人を、交通事故では無いとは言え亡くした事がある」

ナギの言葉に更に言葉を失っているようだった

「分からないのか?お前のさっきの言葉が、如何に無責任なのか。同じ様な事を言って運転し、人を傷つけた大馬鹿者が何人いるのか知らんのか? 若しだ、それで人を轢き殺すような事があれば、お前は責任取れるのか?」

ナギの言葉に、ここに来てようやく俯いた

「取れる訳無いよな。大金を積もうが、罰を受けようが、生涯をかけて謝罪を繰り返そうがな。大切な奴を喪ってるから分かるよ。「人は死んだらそれまで」っと言う言葉の重みを。大奇跡が起きて、記憶を保持したまま生まれ変わらん限りはな」

ナギは背中を向け

「今回の事は、これで不問に期してやる。だが、次同じ様な事をしようとした時は覚悟しておけ。私にはお前は勿論、お前が勤めてる会社すらも、何とか出来る事を覚えておく事だな」

ナギは電話し、SPに迎えに来てもらう事にした。


                   × ×


帰りの車内。
ナギはハヤテに電話していた(勿論大丈夫なのを確認して)。

「すまんな、ハヤテ。折角お前がメイクしてくれたのに、駄目だったよ」
『ナギさんのお眼鏡に叶わなかったって事は、相手は碌な人じゃ無かったって事ですよ。ナギさんが謝る必要はありませんよ』
「・・そうか」

ハヤテの言葉にナギは強く安心出来た。

『ナギさんにはきっと、「運命の相手」が居ますよ。焦る必要は、無いと思いますよ。必ず出会えますって』
「・・お前とルカが出会えたみたいに、な」
『そ、それは』

照れてるのか、口籠るハヤテに

「お前はさ、ルカと出会った時、「運命」を感じたのか?」
『・・分かりません。ですが、告白され、付き合う様になってから「自分はこの先もこの人とずっといるんだろうな」って思ったのは事実です』
「だから順調に交際して、プロポーズしたのか」
『・・ええ』

ハヤテの言葉にナギは自然と笑顔になり

「ありがとうな、ハヤテ。 お前の両親に見つかると不味いし、切るな」

電話を切ると、ナギは窓の外に目をやり

「運命の相手、か」


帰宅後、ナギはテレビを見ながら寛いでいると

「あ、ナギ。帰ってたんだ」
「ああ。まあな」

帰って来たルカは直ぐに寛ぐナギを見つめ

「ナギ、大丈夫だった?」
「何がだよ。 まあ、今回の相手は碌なのじゃ無かった事だけは確かだよ」
「あっそ」


翌日、ナギの立場を知った水戸と直属の上司は菓子折り持参で謝りに来た。
当然の様に土下座してきたが、「もう不問に期したから謝る必要は無い。殴った事は悪かったな」っと言い、今後仕事の事以外自分に連絡して来ない事を条件に何もしない事にしたそうだ。


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以上です。

次回は未定です。

では。