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【最終話】どんぐりで見た夢 〜 鬼か人か
日時: 2020/05/04 21:04
名前: どうふん

GWも半ばになりましたが、自粛がさらに長引くようで、遠出もできずやれやれです。
そんなこともあって、また久しぶりにパソコンに向かって二次創作に手を出してみました。

気分転換にマスクを着けて散歩すると、近所の飲食店がテイクアウト専門店や八百屋さん、マスク屋さんになっています。
これ以上経済を止めてこの国は大丈夫かよ、倒産、失業と自殺者激増の方が心配だ、なんて気がするんですけどね。


本作は、当方の旧作である「鬼か人か」、ゲゲゲの鬼太郎とのコラボ作品ですが、その続編となります。
前作第三章(最終章)で、ヒナギクさんは鬼太郎と結ばれ、今も夫婦で悪しき妖怪退治に勤しんでいます。といってそれが毎日続いているわけではありません。
そんなヒナギクさんと仲間たちの日常を描いてみたいと思います。
今、思いついているのは2話ほどです。



第一話 : 二人の歌姫


喫茶店どんぐりは昔の雰囲気をそのままに、今もそこにある。外見も内装も昔と変わらない。
ただ一年前にオーナーが代わり、メニューやコンセプトに工夫がなされた。それが功を奏して収支は大きく改善していた。


その日の夜、閉店間近になって扉に付けた鈴がなった。
「いらっしゃいませ・・・。あら、お帰りなさい」副店長の牧瀬恋葉は開きかけた扉に向かい丁寧に一礼したが、入ってきた人物に気づいて、顔を綻ばせた。店長にしてオーナーである桂ヒナギクだった。
「お疲れ様、恋葉ちゃん。また一人で任せて悪いわね」ヒナギクにしてもらったことを考えればこんなことは苦労とも思っていない。この仕事を任せてもらったばかりではなく、母親の入院費用に弟の進学費用まで肩代わりしてもらった。それよりも、ヒナギクが無事に帰ってきたことにほっとした。
「また世界の平和を守ってきたんですか」
「ま、そんなところね」
軽口を叩いているようで、実はそれほど間違いではないことを恋葉は知っている。「とにかく無理はしないで下さいね」
「ええ、ありがとう。今日はお客さんでいいかな」
普段は店長として働いているヒナギクは、時折、恋葉に店を任せて出ていく。大抵その帰りに昼間なら紅茶、夜ならアルコールで一息ついていく。鬼太郎が一緒となることが多いが、今日は一人だった。
「ええ、ごゆっくりして下さい」と応えた恋葉はいたずらっぽく笑った。「今日も珍しい方がこられてますよ」

どんぐりは今もハヤテの仲間たちのたまり場となっている。収支が改善した理由の一つがハそこにあることは否定できない。
今夜は誰がきてるのかしら、奥を覗き込むと小さな丸テーブルでコーヒーを啜るマリアが目に入った。目を合わせたマリアは、コーヒーを音を立てずに置くと立ち上がり、丁寧に上品に一礼した。
「相変わらずご活躍のようですね」
「マリアさんもお変わりなく」

「よろしかったら」マリアは同じテーブルの向い席を掌で指した。遠慮なく腰かけたヒナギクの元に、恋葉が大ジョッキに注いだビールに枝豆を添えて運んできた。
「マリアさんはコーヒーで宜しいんですか」
「ええ、お酒は弱いもので」
「それは意外な弱点をお聞きしました」軽くむくれて睨むような視線を送ってくるマリアだが、その瞳はヒナギクをどぎまぎさせるほど色っぽい。それでいて下品さは全く感じられない。女である自分ですらこうなのだ。男の人ならイチコロだろうな・・・。
かつてハヤテがマリアのことを「自分の見た一番キレイな人」と言っていたことを思い出した。少々癪であるが。


立て続けに三杯の大ジョッキを空けたヒナギクはハイボールに切り替えようとした。
今からペースを落とします、という合図だった。その横には空になった大皿が幾つも重なっていた。
一方のマリアは相変わらず、ゆったりとコーヒーを啜りながら、それを押しとどめるようにヒナギクの顔を覗き込んだ。
「ヒナギクさんのお腹の虫もそろそろ落ち着いたみたいですし、これからイイトコロ行きません?」


ミラーボールがきらきらとまぶしい光を放つ中、ヒナギクはソファに身をもたれさせていた。
「いいところって・・・カラオケボックスのことでしたか」
「ええ、こればかりはやめられなくて」
マリアの熱唱が三曲続き、ヒナギクもようやくマイクを取った。入口で躊躇していたヒナギクだが、プロもかくや、とばかりに見事に歌い上げるマリアに、引き込まれていた。
ギターこそないが、心から楽しそうに、あるいは陶酔しているような姿は雪路に似ているような気がした。
その後はさながら歌合戦のようになり、タンバリンを振りながら二人で熱唱していた。

時間を延長し、二人で何曲歌っただろうか。さすがに疲れを感じ、一休みして飲み物を啜っていた。
「今も三人でお住まいなんですよね」ハヤテとナギが結婚したのは一年以上も前のことである。それでもマリアは相変わらず二人と同居していた。
かつてこの変則的な新婚生活に抵抗ないのか疑問に思ったことがある。「ええ、何の問題もないですわ」笑顔で答えるマリアに改めて三人の絆の強さを感じた。考えてみれば、マリアはハヤテの身近にいながら当人に恋愛感情を持つことのなかった数少ない女性だった。

だが、この時のマリアはいたずらっぽく笑った。
「もうしばらくしたら四人になりますよ」とうとうマリアも結婚か、身を乗り出したヒナギクに、マリアは噴き出した。「ナギが身籠ったみたいですよ。もうハヤテ君が大喜びで。まだ安定期に入ってませんから周りには黙っていて下さいね」
ヒナギクは自分の頭を小突いた。確かに考えてみればそちらの方がずっと可能性は高い。だが、なぜそれを自分には教えたのだろうか。
「私だって、嬉しくてたまらないことは誰かに話したいんですよ。ただ相手がヒナギクさんぐらいしか思いつかなくて」
深読みして勘ぐっていたのを恥じるような思いがした。マリアは、ヒナギクがかつての恋をとっくに吹っ切り、むしろ友人の幸せを素直に喜べる人間だと認識しているのだろう。
かつてマリアはナギを大切に思うあまり、ヒナギクと利害が一致しなかったこともあった。だが今となってはどうでも良い。自分はマリアが好きだし、マリアも自分を心から信じて大切にしてくれているのだ。

「マリアさんはまだ結婚しないんですか」酔った勢いもあり、前々からの疑問を口にしていた。マリアさえその気になれば、断るどころか迷う男だって世の中にどれだけいるだろうか。
「それは私にもわかりませんね」マリアは遠くを見る目をした。だがそれは寂しさではなく、むしろ満足げに輝いていた。
かつて家庭教師やメイドとしてナギの傍にいたマリアにすれば、これからもずっとナギを見守り続けることが願いなのかもしれない。いや三人の絆を考えるとナギだけでなくハヤテもそうなのだろうか。
(そういえば、マリアさんはハヤテ君の実のお姉さんって聞いたことがあるけど・・・まさか・・・違うわよね)
ついまじまじとマリアの顔を覗き込んだヒナギクに気づき、マリアが笑顔をそのままに視線を返した。やはりどぎまぎとする自分を感じていた。


【第一話・完】


 ※第一話のタイトル 変更しました。



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Re: どんぐりで見た夢 〜 鬼か人か ( No.1 )
日時: 2020/05/04 23:37
名前: masa

どうもmasaです。


喫茶どんぐりは「良い意味でも悪い意味でも」変わらないんでしょうね。 まあ、変な奴が店の責任者になれば変わっちゃうんでしょうけど。
ってか、恋葉が副店長!?何となく意外感が。


自分のイメージではマリアさんは「超酒に強い酒豪」って感じですけどね。それこそスピリタスすらも涼しい顔で一気飲み出来る程。

ヒナギクは酒豪のようですね。まあ、あれが姉なので、疑問があるかと言えば、全く無いっと言えるのが正直な所ですが。

マリアさんのカラオケ好きは健在のようですね。原作の終盤では殆ど忘れ去られた設定になってましたが。
マリアさんもヒナギクもアニメでは歌が上手でしたからね。「偶々聞いていたスカウトマンが2人をプロの道に誘う」って展開も面白そうですけどね。


ウ〜ム、ハヤテはナギを選んだか。猫娘と傷を癒し合って、それが縁で結婚って予想はあったので、ちょっとだけ残念ですね。まあ、お祝いはしますが。

マリアさんの結婚か。自分の作品じゃ「絶対にありえない」って感じですね。だって、ねえ。
まあ、こっちじゃ出来そうですけど。 まあでも「見た目も性格も完璧で非の打ち所がないのになぜか結婚出来ない」ってキャラは何処の漫画でもいますから、それに当て嵌まっちゃうかも。


因みに、一応補足すると「マリアさんとハヤテは異母姉弟である」って言うのは原作者の方が明かしてましたよね。その設定が活かされる事は最後の最後までありませんでしたが。


では。
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Re: どんぐりで見た夢 〜 鬼か人か ( No.2 )
日時: 2020/05/05 19:03
名前: どうふん


masaさんへ


 今回は前触れもない投稿でしたが、さっそく感想をいただきましてありがとうございます。
 

>喫茶どんぐりは「良い意味でも悪い意味でも」変わらないんでしょうね。
⇒ まあ何となく、聖域みたいな感じがしています。個人的には「ゆかりちゃんハウス」もそうなんですが、取り壊されちゃいましたからね。


>ってか、恋葉が副店長!?何となく意外感が。
⇒ 大した意味はありませんが、何と言っても薄幸にして勤労少女ですからね。原作で彼女がどうなったのかはわかりませんが、ちょっとした未来を手に入れていてもいいかな、と思いまして。


>自分のイメージではマリアさんは「超酒に強い酒豪」って感じですけどね。
>ヒナギクは酒豪のようですね。
⇒ マリアさんについてはそれもありだと思います。ただ酔っ払い二人のトークにすることはないかな、と。そしてヒナギクさんに関して言えば、酒豪と同時に大食いなんですよね。大皿を幾枚も空にするほどの。

>ウ〜ム、ハヤテはナギを選んだか。猫娘と傷を癒し合って、それが縁で結婚って予想はあったので・・・
⇒ 原作では最後に結ばれた二人ですからね。当方の前作のエンディングでは若干のわだかまりは残ったでしょうが、時間の経過と共に消すことができたわけです。
後はネコ娘ですね。今、彼女は苦しい時を過ごしているでしょうが、きっと50年か100年の後にはその純粋な想いが報われると思います。


>マリアさんの結婚か。自分の作品じゃ「絶対にありえない」って感じですね。 
⇒ ちょっと当方としてはコメントしにくいところですが・・・。まあ本作におけるマリアさんはあくまで聖母ですので。

>因みに、一応補足すると「マリアさんとハヤテは異母姉弟である」って言うのは原作者の方が明かしてましたよね。
⇒ まあ、何と言いますか・・・。正直、設定に無理はないかという疑念は残るのですが・・・。


                                                   どうふん
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Re: どんぐりで見た夢 〜 鬼か人か ( No.3 )
日時: 2020/05/09 09:25
名前: どうふん


第2話 : 不思議の姫 再び


ランチタイムの喧騒も一段落し、喫茶店どんぐりに静けさが戻った。

「ヒナギクさん、お客様ですよ」
どんぐりの奥に入って企画書を見比べていた桂ヒナギクは牧瀬恋葉の声で我に返った。ちなみにヒナギクはオーナー兼店長で恋葉は副店長であるが、この店では誰にも肩書はなく、名前で呼び合っている。ところで恋葉が「お客さん」の名前を言わないということはハヤテ関連の、それも常連客ではない懐かしい顔ぶれということだ。
それがわかっている以上、客席に入る前から心の準備はできている。誰がいても驚くことはないだろう・・・、という予想は外れた。さしものヒナギクが絶句して足が止まった。
「アリス・・・」ちょこなんと上品に腰かけたその姿は、かつて高校生のヒナギクが娘として面倒をみていたアリスに紛れもなかった。年映えもあの頃の・・・十年も前のままだった。
アリスがヒナギクに目を向け、にこ、と微笑んだ。
まさか・・・アリスって妖怪だったの?十年前と変わらないその姿に、ヒナギクが最初に思いついた合理的な説明はそれだった。


「お久しぶりね、ヒナ」横手にある洗面所からもう一つ懐かしい声が届いた。声の主は天王州アテネ。混乱したヒナギクは言葉を失い、アテネの顔をまじまじと眺めた後、徐々に全身に視線を移した。お人形のような美貌と羨ましいばかりのナイスボディには磨きがかかり、かつての美少女ではなく、美女のそれだった。
(天王州さんはちゃんと年を重ねているわね)
凍り付いたまま動かないヒナギクに、アテネは笑いをかみ殺してアリスのテーブルに歩みよると隣に腰かけた。
「お化けでもみたような顔ね、ヒナ」それほど間違ってはいない。

アリスがちょっとむくれた。「こんなかわいいレディをつかまえて、『お化け』とは何事ですの、ママ」
「ママ?」言われてみれば・・・。確かにこの二人、顔のつくりから特長のある巻きロールの髪型まで瓜二つ、というも愚かなほどだった。ふくれっ面のアリスのアホ毛がさながらクレーン車のように揺れている。ここも同じだ。
ただ当時よりは若干幼く見える。大人ぶった物言いは大して変わらないが、中身は子供のままなのだろう。


十年近く前にギリシャに住むアテネから海外結婚した連絡が届いたことがある。しかし、子供ができたという話は聞いていなかった。日本に帰ってきたということも。
だが、それは後回しでいい。そもそもかつてのアリスは一体何者なのか。

おかしくてたまらない、という顔をしたアテネが種明かしした。
かつてのアリスが幼女化した自分であったこと。ヒナギクに近づいた目的。そしてかつての闘いにどのような形で関わっていたのか。そして自分そっくりの娘を得たアテネはいろんな思いを込めて「アリス」と名付けたことを。
ヒナギクはため息をついた。「我ながら、間が抜けていたわね・・・」何で今まで気づかなかったのか。こうして二人並べば一目瞭然だった。
「さぞおかしかったでしょうね。全然気づかない私を見て」まだ笑いが止まらないアテネは、両手を上げて宥めるようなそぶりをした。
「まあまあ。おかしいなんてとんでもない。私は楽しかったのよ。あなたに面倒見てもらって。そして仲間に入れてもらって」あのアパートで過ごした時間の前後で自分が大きく変わったということは気づいていた。いろんな人から表情が優しくなった、穏やかになった、と口々に言われた。

同じことはヒナギクも感じていた。初めて会った時、アテネには自分以外に友人はいなかった。周囲からは口を利くさえ恐れ多いと思われ、当人にも寄せ付ける雰囲気はなかった。
そんなアテネがアリスと入れ替わりに戻ってきた時、姿は昔のままでも中身は別人のようだった。初対面であるはずの歩や千桜とも親しげに話していた。
「とはいえ・・・騙していたことは確かね。ごめんなさい」丁寧に頭を下げられると、苦笑するしかなかった。
かつての友人、そして一時は親子。奇妙な関係にある二人の間の話は尽きなかった。そればかりでなく、二人ともあれから数奇な運命を生きてきた。実際のところヒナギクが妖怪譚を遠慮なくできるのはアテネが初めてだったかもしれない。


柔らかな寝息が聞こえた。いつのまにかアリスは眠っていた。寝顔までもかつての母親とそっくりで、いつも眺めていたそのままだった。
「それにしても・・・あなたがギリシャで挙式したことは聞いていたけど、何でアリスが生まれたことは教えてくれなかったの」
「この日のためよ・・・。いつかあなたを驚かせてあげたいと思ってね」
つまりアリスが生まれたその日から、ヒナギクを驚かすための準備を着々と進めてきたのか。何という壮大かつ遠大なイタズラであろうか。こうしたところも昔のアテネとは明らかに違う。
呆れるような思いとともに、久々に味わう敗北感だった。決して不愉快なものではなく、気持ちよく騙された。
「ところで・・・今日のことはナギや歩さんにも黙っていてね」どうやら同じことを繰り返すつもりらしい。

アテネはアリスを抱き上げて席を立った。ヒナギクも立ち上がり、母親に目配せした。アテネがどうぞ、とほほ笑むのを見て手を伸ばした。アリスのさらさらとしたブロンドも暖かくて柔らかい頬も、その感触は掌が覚えているものと変わりなかった。
この天使のような娘がヒナギクと意気投合して、どんぐりに入り浸り、この店のマスコットとなるのはすぐ後のことだった。


※年数計算を誤っていたので一部修正しました(5/27)。



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Re: どんぐりで見た夢 〜 鬼か人か ( No.4 )
日時: 2020/05/09 21:47
名前: masa

どうもmasaです。


ヒナギクの予想は普通に考えればその考えに行きつきますよね。
大人なら「10年経ってるのに変わらない」っての言うのは本人の努力次第でどうとでも出来ますが、子供じゃねえ。

まあでも、いきなり「お化け扱い」されれば大概の人は怒るなり不快感を露わにしますよね。性別関係なく、ね。


アテネが結婚!? 旦那はまさかマキナ!?って、な訳無いですよね。
まあでも、「ドッキリTV」っての言うのは今も昔も人気なので、そう言う意味ではアテネが謝る必要は無い気が。 ああ、後。ヒナギクが怒るのもね。「悪質極まりない」ってドッキリじゃないですし。


アテネの友人関係に関しては、理沙が言ってましたからね。「恐れ多い」って。まあ尤も、原作じゃアテネとヒナギクは一時険悪になってましたが。
(まあ、自分の作品じゃ「ハヤテにデレデレなアテネ」が周知なので「恐れ多い」ってのは無いですが)

あれ?でも、アテネって悪戯好きって一面ありましたっけ?そう言う意味じゃ「10年もかけた悪戯」ってのはちょっとだけ意外感が。


では。


(正直な話、「ハヤテと結婚出来なかったアテネ」は生涯独身を貫くって思ってましたけどね)


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Re: どんぐりで見た夢 〜 鬼か人か ( No.5 )
日時: 2020/05/10 15:47
名前: どうふん


masaさんへ


毎回、感想をありがとうございます。


>ヒナギクの予想は普通に考えればその考えに行きつきますよね。
⇒ ヒナギクさんにすれば、姿が変わらない子供を「妖怪か」と考えるのは無理ないかと。身の回りには鬼太郎やネコ娘など年を取らない存在が多数いるわけですから。

>まあでも、いきなり「お化け扱い」されれば大概の人は怒るなり不快感を露わにしますよね。性別関係なく、ね。
⇒ これはそのとおりです。アリスにすれば、母親の悪戯に付き合わされているだけで、何で相手が驚いているのかもわからないわけですからね。

>そう言う意味ではアテネが謝る必要は無い気が。 ああ、後。ヒナギクが怒るのもね。「悪質極まりない」ってドッキリじゃないですし。
⇒ これはアテネが謝っているのは、むしろ十年前のことなんですよ。当時(ケンカしていたとはいえ)友達でありながら本当のことを何も教えず、他人のふりをして無理やり同居させたこと。(真実を教えて頼んでいれば、ヒナギクさんは脅迫されるまでもなく引き受けたと思います)最後までそれを教えずに去っていたこと。
ヒナギクさんに苦い感情が沸いたのも無理ないかな、と個人的には思っています。一瞬だけですけど。

>あれ?でも、アテネって悪戯好きって一面ありましたっけ?そう言う意味じゃ「10年もかけた悪戯」ってのはちょっとだけ意外感が。
⇒ これは私の勝手な想像です。ただ(昔の)アリスや、アテネに戻ったときの「ゆかりちゃんハウス」での言動を見ると、こうした行動に出ても不思議はない、という気がします。

 あと、アテネの結婚について、ハヤテへの想いはナギに劣らず純粋なアテネですが、当のハヤテが幸せになったのを見届けた後は、気持ちを切り替えて自身の幸せをつかむことができるはず、というところです。


                          どうふん



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Re: どんぐりで見た夢 〜 鬼か人か ( No.6 )
日時: 2020/05/12 05:04
名前: プレイズ

感想失礼いたします。
以前このサイトで小説を書いていたとある者です。もう何年も前の事になりますが。。。
個人的事情で執筆が出来なくなってしまい、今はごくたまに来ては他の方の作品を閲覧するのみという形を取っています。

今回のお話は、月日が経って各キャラ達がそれぞれ大人になった展開で、その月日の経過が良い意味でキャラ間のやりとりや関係にアクセントを生んでいるのが好みです。

今回アリスちゃんが出てきたと思ったら、大人になったアテネが産んだそっくりのお子さんだったのにはやられました。
その子を事前情報なしでヒナギクの元に連れてきて錯覚させて驚かせるっていうのが捻りが効いていて面白かったです。年月をかけた悪戯の手の込み様にw
アテネが趣向の効いた悪戯をしたというのが、アリスちゃん時代を経ての彼女の良い意味での変化というのも好きです。あとアテネがちゃんと良い人を見つけて結婚してたのも良かった。
こういう原作キャラのその後っていうのは想像がかき立てられますし、良いものですね。
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Re: どんぐりで見た夢 〜 鬼か人か ( No.7 )
日時: 2020/05/13 12:00
名前: どうふん



プレイズさん


 以前、感想を何度もいただいたプレイズさんですよね。
 お久しぶりです。またお目に掛かれて(とは言わないか)嬉しいです。

 今回の設定は、当方の第三作「鬼か人か」の続編(エピローグというべきか)として当時から考えていたものです。
 とはいえ、当方、無精な性格で文章化することなくそのままになっていたのですが、この社会情勢の中、自宅に居るのなら、ということで始めたものです。


さて、内容についでですが、
 本作は、ヒナギクさんの職場であるどんぐりを仲間たちが入れ替わり立ち替わり訪ねてくる物語です。
 ヒナギクさんを驚かせた二代目アリスは、初代アリスと描き分けておりませんので、実質同一のキャラと思って頂いて結構です。
 本作のアテネは、嘗てのアテネではなく、仲間たちと絆を築き上げた(初代)アリスの成長した姿です。私は、ハヤテやナギだけでなく、アテネもまた人間関係を大きく成長させたキャラだと思います。そんなアテネが自分の力で幸せをつかむのは、ある意味当然とも言えるでしょう。
ただ、そのお相手が誰なのか ・・・。どんなヤツなのか。これは私にもわかりませんが当人の幸せな様子が伝わればそれでいいかな、と。

 
                                           どうふん
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【最終話】どんぐりで見た夢 〜 鬼か人か ( No.8 )
日時: 2020/05/16 09:33
名前: どうふん


この作品は冒頭でも申し上げた通り、拙作「鬼か人か」の続編です。とはいえ、ヒナギクさんの相手が誰かという問題はさておき、各キャラにとっての原作未来の一形態になれば、と思っています。
あとは、鬼太郎系のキャラやヒスイ、理沙あたりも描いてみたかったのですが、本作は以上をもって完結といたします。
短編三作だけでしたが、お付き合いいただいた方々に心より御礼申し上げます。

                                       どうふん




第3話:夢のまた夢


「うおーっす。やっぱりきていたか、ちっこいの」
「あら、ナギさん、その様子では締め切りには間に合ったようですわね」
今、綾崎ナギ(旧姓 三千院)はハヤテが瀬川虎徹とともに立ち上げたベンチャー会社の広報・美術を担当するだけでなく、自作の漫画を少年誌に連載している。
「よくわかったな」
「それはわかりますわよ」アリスが目を遣った先には、ラノベ作家である春風千桜がパソコンを前に取りつかれたように呟いていた。「締め切りが・・・。しめきりが・・・」

「ここ、座るぞ」遠慮なくアリスの向かいの席にどっかと腰を下ろしたナギはいつものコーヒーとケーキを注文した。
そして二代目という表現が適切かどうか、アテネの瓜二つの娘であるアリスは今日も特等席で優雅に紅茶を啜っていたが、椅子から飛び降りてナギの元にコーヒーとケーキを運んできた。実のところ、これを楽しみにやってくる客は多いのだが、このきまぐれなお姫様はいつもご期待に応えるとは限らない。もっとも「そこがまたいい」と言い出す客もいるくらいで、そのアイドルぶりは手に負えない。
待ちかねたようにケーキをフォークで掬ったナギは、頬張るか、と思いきやアリスの鼻先に運んできた。「ほい、お疲れ様。あーんして」
「赤ちゃんではありませんわよ」ちょっとむくれて見せたアリスだが、それでもぱくん、とフォークの先に食いついた。
その様子を目を細めて眺めていたナギが二口めを差し出したが、軽く睨まれた。「いい加減にしなさい」

「ところでさ」口をもぐもぐさせながらナギが、向かいに座っているアリスに尋ねた。「ヒナギクはどうした」
「また世界の平和を守りにいっているみたいですわね」
「相変わらず忙しい奴だな。できればお前とヒナギクの掛け合い漫才を聞きたかったんだが」
「失礼ですわね。漫才なんかしておりません」
そうは言っても・・・、ナギが顔を横に向けると千桜と目が合った。やつれた表情と目のクマは明らかに徹夜明けのものだった。大方、千桜もネタを探しにここにやってきたが、ヒナギクがいないので当てが外れたに違いない。代わりにナギとアリスの掛け合いに聞き耳を立てていた。
千桜やナギばかりではない。ヒナギクとアリスをお目当てに、元ゆかりちゃんハウスの住民や元生徒会三人娘たちの他、犬山まな、ネコ娘の姉妹、(ただし今ではまなの方が姉に見える)、アニエス・・・。縁ある仲間たちが入れ替わり立ち替わりどんぐりを訪れている。
誰もがどんぐりのマスターとマスコットガールを愛していた。


「あれ、ヒナギクちゃんはいないの」
新たに入ってきたのはどんぐりのかつてオーナーであった加賀北斗だった。手にはA4サイズの封筒を抱えていた。分厚く膨らんでいるところを見ると、何かの資料が入っているらしい。
加賀はかつて高校生のヒナギクをアルバイトとして雇っていた。二年に亘り行方知れずとなっていたヒナギクが戻ってきた時に涙を流して喜んだ加賀は、ヒナギクにここに就職しないか、と誘った。
「もう高校もやめたんでしょ。これからはずっとここで一緒に働いてくれない?」
「ええ、喜んで」飛び上がりかけた加賀であるが、次のセリフに意表を突かれた。「この店の経営を私に任せてもらえませんか」え、それは・・・。
「今まで雇ってもらいながら、アルバイトの立場に甘えてこのお店に大した貢献はしていなかったと思うんです。お詫びを兼ねて、この店を繁盛させる取り組みをさせてもらえませんか」
実のところ、加賀のいう就職とは永久就職のことであり、言葉以上に目に熱い想いを込めて伝えたつもりりだったのだが、この鈍い少女には伝わらなかった。
(ちょっと、遠回し過ぎたか・・・)そればかりでなく、いきなり過ぎたのも確かであった。

結局、加賀はヒナギクの提案をとりあえず了解して受け入れた。そして幸か不幸か、下心に気づかれる前に鬼太郎という彼氏の存在が明らかになった。
かくして加賀は涙を呑んだ。もっとも気づかれていれば、ヒナギクは決して店長を引き受けなかっただろうから、ある意味、それほど悪い結果ではなかったともいえる。
その後、加賀は新店長のサポートに徹し、三年後、予想以上に業績を上げたヒナギクにこの店を正式に譲った。

「いい場所は見つかったんですの」アリスが靴をポイポイと脱ぎ、椅子の上に立ち上がって加賀の手にした封筒を覗き込むそぶりを見せた。
今、ヒナギクは2号店を開いて牧瀬恋葉を正式に店長にする計画を立てており、加賀は場所探しに協力していた。何だかんだと言っても潰れそうな喫茶店をほとんど道楽で経営していた加賀である。地元ではそれなりの名士で、人脈もあった。
「3つほど見つかったよ。まあ、お薦めはこれだけどなかなか面白かったな。すぐ近くに『妖怪アパート』とかいうところがあってね。妖怪の目撃情報も・・・」
「お、おい。その話、もっと詳しく」目を光らせて食いついてきたのは千桜だった。
隣でナギが何とも渋い顔をして口元を歪めていた。
妖怪アパートって・・・。そこは多分、お前の知らないところじゃないぞ。何回か来たこともあるじゃないか・・・。
「まあ、ただの噂かもしれないかもね。そのアパートの本当の名前は『爽快アパート』といって・・・」
千桜がテーブルの上に崩れ落ちるのが見えた。



どんぐりで見た夢【完】



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Re: 【最終話】どんぐりで見た夢 〜 鬼か人か ( No.9 )
日時: 2020/05/16 12:35
名前: masa

どうもmasaです。

まずは完結おめでとうございます。


ナギや千桜の苦労(苦悩?)は何となく分かりますね。同人とは言え、小説を書いている身ですからね。

アリスのお怒りは、なんか違う気が。大人でも「あーん」は普通にやる気が(恋人限定ですが)。
まあでも、アテネ同様プライドは高いようですから、無理もないですが。

アリスの人気ぶりは何となくではありますが、分かりますね。
今のご時世ではありえませんが、一昔前は「我儘アイドル」何てのも持て囃された時代がありましたから。

喫茶どんぐり2号店か。面白そうではありますが、経営は苦労しそうですけどね。
「古き良き昭和の匂いがする喫茶店」って言うのは数が少なくなってるとはいえ、固定客や常連さんを獲得するにはそれ相応の時間を有しそうですし。


まあでも、千桜だったら「まてよ。人間と妖怪が様々な困難を共に乗り越えて行く連続ノベルは面白そうだぞ」とか思いついて、ヒナギクや鬼太郎、まなちゃんにあれこれ聞いて割と人気のある作品を書いちゃいそうですけどね。


では。
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Re: 【最終話】どんぐりで見た夢 〜 鬼か人か ( No.10 )
日時: 2020/05/17 19:16
名前: どうふん


masaさんへ


>ナギや千桜の苦労(苦悩?)は何となく分かりますね。同人とは言え、小説を書いている身ですからね。
⇒ まあ、私は気が向いたとき限定で、締め切りがあるわけでもないですし気楽なものですが。
これが義務付けられると確かにしんどいでしょうね

>アリスのお怒りは、なんか違う気が。
>アリスの人気ぶりは何となくではありますが、分かりますね。
⇒ アリスは自分がカワイイということをしっかりと理解しているんですよ。ついでに言えば、自分を可愛く見せる術も。一口だけ付き合ったのは、純粋に食べたかったからというより計算づくではないですかね。

>喫茶どんぐり2号店か。面白そうではありますが、経営は苦労しそうですけどね。
⇒ 確かに苦労はするでしょうね。ただしその辺りはヒナギクさんや加賀北斗がしっかりと考えて何とか採算に乗せるのではないかと思います。必ずしも同じ形態の店とは限りませんしね。

>まあでも、千桜だったら(中略)割と人気のある作品を書いちゃいそうですけどね。
⇒ 千桜は本作では何も良いところがなかったですが、頑張ってほしいですね。何と言っても私の分身みたいな存在ですから。
 そして千桜の描く鬼太郎の物語は私も読んでみたいです。


あと、masaさんへ。
毎回こうして感想を頂き、ありがとうございました。
励みになりました。

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