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女神と共に第三部 2nd (9月30日更新) 次スレへ続く
日時: 2015/02/15 16:07
名前: masa

こんにちはmasaです。

今回より、第三部はこのスレで更新していきます。

では本編どうぞ。
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ここは毎度お馴染み、三千院家。

ナギは現在、書斎の机に突っ伏して居眠りしていた。

「お嬢様、寝るなら布団で寝てくれ」

悠太に声を掛けられ、ナギは飛び起き

「ね、寝てないぞ。目を閉じて、アイディアを練っていただけだ」
「はいはい」

明らかに言い訳だったが、悠太は適当に受け流し、

「漫画って、やっぱり書くのが大変なんだな」
「まあな」

悠太は姉の美緒の手伝いをしていた経験があるので、少しぐらいなら分かるのである。

「私はいいさ。プロで、週刊連載を持っている人間は大変だろうな」
「確かにな」

悠太は白紙が多いナギの漫画を見て

「なあお嬢様、このままのペースで間に合うのか?」

悠太の質問にナギは過剰に反応した。

「確か、オフセ本にするんだったよな?だったら、印刷所に入稿する締め切りってもうそろそろなんじゃないのか?」

ナギは暫く沈黙した後

「何を言う。そんなもん、人間根性で乗り越えるのものだろう」

こう言うと、一呼吸置き

「時間が人間を支配するんじゃない。人間が時間を支配するのだ」
「名言言ってないで、書けよ」

悠太の正論にナギは

「だ、だが。このままでは間に合わないのも事実だな」

そう言い、腕を組んで少し考えると

「よしっ、ハヤテの所へ行こう。ハヤテだったら、良い案出してくれるさ」
「ヘイヘイ」


                   × ×


「漫画が間に合いそうもない、ですか」

いきなりやってきて、相談があると前置きし、そう相談されたハヤテは考え始めた。

「ああそうさ。なんかないか?」

ナギの機嫌が悪くなった声に気付かず、ハヤテは考えていた。

「なあハヤテ、答え聞く前にいいか?」
「な、何?」
「それだよ、それ」

悠太はハヤテに子猫のように甘えるアテネを指さしながらこう言った。

「あー、まあ。気にしないで」

一応補足しますが、ハヤテがルカと仲良くなったことで、アテネの機嫌が悪くなり、「甘える攻撃」を繰り出しているのである。

すると、話を聞いていた千桜が

「まあ、一番いいのは、誰かに手伝って貰う事だよ」
「あ、奇遇ですね。僕もナギさんに、そうアドバイスしようと思ってたんですよ」
「そ、そうか」

ハヤテが自分と同じ意見を持っていたことで、千桜は

「(な、何でだよ。なんで綾崎君が私と同じ考えを持ってたってだけで、喜んでるんだ?しかも、心が通じ合ってるなんて喜びまで出たんだ!?しっかりしろ、私)」

そう思っていた。
そんな事は当然知らないナギは

「だったら、千桜が手伝ってくれ」
「無理だよ。忙しい」
「チェ。だったら」

ナギが期待の籠った眼をハヤテ達に向けたが

「私は無理ですわ。絵画ならいざ知らず、そんなの書けませんわ」
「僕は一応出来ますが・・・」
「私が許可しませんわ。間に合わなかったら、自業自得ですわ」

アテネに遮られ、ハヤテに手伝ってもらうという道は絶たれた。
因みに

「(チッ。ハヤテに手伝ってもらって、良い雰囲気になってそのまま・・なんて期待してたのに)」
「(フンッ。どうせ、ハヤテと2人きりになろうという魂胆でしょうが、そんな事させませんわ)」

ナギとアテネはこう思っていた。

「う〜ん。俺は難しいな。簡単な手伝いならできるが、本格的なものになるとな」
「そっか」

念のために悠太にも聞いたが、期待に添えなかったようだ。

「(ナギさんの手伝いは出来なくても、一緒に切磋琢磨出来る人がいればいいんだけどな)」

ナギ達が帰った後、ハヤテはこう考えていた。


一方のナギは知り合いに手当たり次第あたる事にした。

「私は無理ね。漫画なんて描いたことないし」

ヒナギクにこう言われ、

「ウチは無理や。ナギの漫画なんかかけるわけないやろ」

咲夜にこう言われてしまい、

「万策尽きたか」

伊澄は問題外なので、聞く事すらしなかった。
ナギが悩んでいると

「(あ、そうだ♪手伝う振りして徹底的に邪魔しちゃいましょう♪そうすれば色々とおもしろそうですね〜♪そこへ追い打ちを掛ければ♪ああ♪)」

マリアさんはこんな事を考えていた。
しかし?

「仕方ない。1人で頑張るか」

ナギはこう言った。

「(ふざけんじゃねえぞ!!!!!!!!!!!なんで俺様を頼らねえんだ!!!!!!!!!!!!!計画を台無しにしてんじゃねえぞ!!!!!!!!!!!!!!!!!!)」

マリアさんはこう思ったそうだ。


                   × ×


次の日。

「はあ〜。今日もハヤテ君のご飯は美味しいな〜」

ルカは撮影で見せていた凛々しさが欠片も感じられない緩み切った顔でこう言いながら、ハヤテの作った食事を食べていた。

「そう言えば、ルカさんも次のコミサンに本を出すんですよね?」
「うん、一応ね」
「進んでますか?」

ハヤテの質問に、ルカは落ち込んでしまい

「まあ、忙しいですからね」

一応フォローしておいた。

「あ、そうだ」
「何?」
「一緒に切磋琢磨出来る同志がいれば、進みが早いかもしれませんよ」

ハヤテの提案にルカは

「そんなの居るの?」
「お任せを」


で、

「やっほ〜同志君♪」

「お、おいハヤテ、手伝いは欲しかったが、アイドル連れてくるなよ」

ハヤテはルカを三千院家に案内し、手伝いを連れてきたとナギに紹介したのだ。

「まあ、いいじゃないですか。これで何かと良い事ありますよ」
「しかし」

相手は超大人気アイドル。当然緊張するのだ。

「まあ、頑張ってください。僕は帰るので」
「帰るのか?お茶くらい」
「ありがと。でも、あんまり家を空けてると」
「あ。色々と大変か」

昨日見た光景を思い出し、悠太はハヤテを引き留めるのを止めた。

「じゃ、頑張れよ」

そう言うと、悠太も居間を出て行った。

「(ど、どうしよう。なんでハヤテとルカが知り合いなのかも気になるが、それ以上に緊張して言葉が出ない)」

アイドルと2人きりと言う状況がナギの緊張を高めていた。

「知り合って間もない人と2人きりか。女同士とは言え、照れるね」

ルカも同じ気持ちなのだと喜んだが

「そう言う時は、ゴッドイーターよ」

P○Pを取り出し、そう言ってきた。

「(漫画は!?)」

と言う突込みをしたが、結局一緒にすることにした。
暫くお互い無言でプレイしていたが

「私ね、1兆部売れる漫画家になりたいんだ。勿論本気で」
「え!?じゃあ、私と同じだ。でも、周りは誰も信じてくれなくて」
「成程。そこでも同志か」

ルカはウンウンと嬉しそうに頷いていた。

「そう言えば、作画進んでないんだっけ?手伝ってあげようか?」
「い、良いのか?」
「勿論。た・だ・し、アシ代3億円ね」

法外な値段にナギは目を見開いて、沈黙していた。

「大丈夫だよ。成功して稼げるようになったら、払ってよ。ね」
「そ、そっか。じゃあお願いするよ」

いい感じに話が纏まったが

「だったら、早く書け」

コーヒーの差し入れを持って来た悠太に突っ込まれ

「ま、待ってくれ」
「もう少しで、ミッションクリアできるから」

こんな感じの2人に悠太は溜息をついた。


「(何してんだ!!!!!!何で止めるんだよ!!!!!!!そのままにしとけば、面白かったのによ!!!!!!!!!屑が!!!!!!!!!!!!)」

こんな事を思った人も居たそうだ。


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以上です。

次回は続きです。

では。
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Re: 女神と共に第三部 2nd (2月18日更新) ( No.1 )
日時: 2015/02/18 16:48
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
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前回、ナギはルカに自身の漫画を手伝って貰う事になった。


「はーっ、それにしても、漫画って描くの大変なんだね」
「そうだねー」

ナギとルカは向かい合って漫画を描いており、思わずこう愚痴っていた。

「そう言えば、漫画を描きながらネーム考えるって言ってたけど、何か思いついたのか?」
「う〜ん」

ルカは上を仰ぎながら

「寝転んで考えるよ」
「それ、死亡フラグだぞ」

ナギに指摘されたが、ルカは相変わらず寝転んだまま

「は〜、本当にどうしようかなお話」

すると、ルカは何かに気付いたのか、突然起き上がり、部屋に会った本棚に向かい

「こ、これ「サイバーフォーミュラ」のブルーレイボックス」

因みに、作者はどんな話か一切知らないので、調べてください。

「なんで持ってるの!?」
「いや、だって好きだし」
「私だって好きさ」

ルカは嬉しそうにそう言うと、

「因みに、誰が好き?せーの」
「新条君」
「風見」

意見が合わず、少しの間沈黙が訪れた後

「何その当たり前な感じ。主人公じゃん。ナギには新条君のひたむきさが分かんないんだよ」
「な、何が当たり前な感じだ!!!!主人公だぞ!!天然なやつより大切だろうが!!!!」
「分かってないねー。新条君は努力家なんだよ」
「風見も努力家だ」

ここまで一気に言い合うと

「よしっ、だったらもう一度テレビシリーズ全37話見直して白黒つけようじゃないか」
「望むところよ」

ナギがブルーレイをセットし始めようとしたところ

「描けよ、漫画。アニメ見てないで」

急に声がして、ドアの方を見ると、千桜が立っていた。

「千桜」
「なんでここに」
「綾崎君から話を聞いて、様子を見に来たんだよ」

そう言いながら部屋に入ってきて。

「全く。時間無いんだろ?だったら、アニメに必死になってる場合じゃないだろ」
「何を言う!!!」
「そうだよ。アニメに必死になるから、漫画家になるんでしょ」

ある意味正論に千桜は黙り込み

「まあ、そうやって元気なら、大丈夫か」

そう言うと、まだ描き途中の漫画をざっと見て

「じゃあ私は帰るな」
「帰るのか?」
「一緒に見て行こうよ」
「遅くなると、心配させるからな」

そう言って帰ろうとした千桜にナギが

「因みにだ、千桜は誰派?」
「ランドル一択だ」

そう言い残し今を出て行った千桜に

「あいつ、分かってないな」
「だね」

ここでは意見があったようだ。

「さて、見るか」
「おうよ」

2人が見始めようとしたが、突然テレビが消えた。

「「あーっ、何をする」」
「何するじゃない!!!」

ドアの所にはリモコンを持った悠太が立っていた。

「時間無いんだろ?だったら、真面目にやれ」
「だ、だがな」
「あんだよ」

悠太の雰囲気に呑まれ、ナギは黙り込んだ。

「漫画の締め切りとかはお嬢様自身の手で決めたんだろ?だったら、守れよ。いいな?」
「「は、はい」」

悠太に叱られ、ナギもルカも真面目に書き始めた。
因みに

「(いい加減にしやがれ!!!!!!!!!!なんで脱線する2人を止めてんだ!!!!!!!!!!!!!そのままの方が面白いだろうが!!!!!!!!!!!!!!!俺様の楽しみを邪魔してんじゃねえ!!!!!!!!!!!!!!!!)」

とか思った人がいたそうだ。


そして数分後。

叱られた効果か、2人とも黙々と作業をこなしていた。

「そう言えば、ルカは今日泊まるのか?」
「う〜ん、そうね」

新しいコーヒーの差し入れを持って来た悠太にそう聞かれ、ルカは少し考え

「明日の仕事は夕方からだから、迷惑でなければ泊めさせてもらおうかな」
「そっか。じゃあ、客室の準備してくるよ」
「え!?あるの?」
「ここは財閥の家だからな」

そう言うと、悠太は居間を出て行った。

また少しの間黙って作業を進めていたが、

「な、なあ」
「ん!?何?」

ナギが話を切り出した。

「ルカって、ハヤテと知り合いだよな?な、何で知り合いなんだ?」
「な、何で?」
「いくらハヤテが天王州家の使用人長だからって、アイドルと交わる事は無さそうなのに、どう考えてもファンとアイドルって関係性じゃ無さそうだったからさ」

そう言われ、ルカは少し間を置き

「ちょっと前にね、色々あってハヤテ君に助けて貰ったんだ。まあ、その色々は言えないけど」
「そ、そうか」
「今も、助けて貰ってるんだ。まあ、友達みたいな関係かな?私からすればだけど」

気になっていたことが解消され、ナギは少しだけ安心した顔になった。

「さ、書いちゃおうか。また悠太君に怒られちゃうし」
「そうだな」


                   × ×


「やれやれ。寝ちまったか」

客室の準備を終え、悠太が戻ってくると、ナギが気持ちよさそうに寝息を立てていた。

「しょうがねえな」

そう言うと、悠太はナギをおんぶし

「俺はお嬢様を寝室に運ぶよ。ルカはどうする?」
「仕上げだけならやっておくよ」
「すまんな」

そう言うと、ナギをおぶった悠太が出て行った。

そして数分後には悠太が戻って来た。

「手伝うよ。簡単な手伝いならできるから」
「そう?じゃあお願いね」

悠太が手伝い始めて数分後

「そう言えば、ルカは寝なくて平気か?」
「不規則な生活には慣れてるよ。悠太君だって、平気?」
「同じだよ。慣れてる」

また暫く両者に会話が無かったが

「ねえ、聞いていい?」
「何を?」
「ハヤテ君と、ハヤテ君のご主人様の天王州さんの事」

悠太を手を止めた

「天王州さんにはまだ直接会ってないから、聞いた話なんだけど、仲良いんでしょ?あの2人」

聞かれた悠太は正直に答えるべきと悟り

「確かにな。主従関係からくるものじゃないことは確かだよ」
「そう。あの2人の出会いって知ってる?」
「詳しい事は。 何でも、10年前に偶然出会って、それ以来ずっと一緒らしいからな」

悠太の説明にルカは少ししんみりし

「そっか。10年か」

ルカの雰囲気に悠太は何かを察し

「(ハヤテめ。また厄介な病原菌をばらまいてるな)」

そう思った。

一方

「(フフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフ♪これは面白い展開になりそうですね〜♪もっと修羅場になれば私のコレクションが♪ああ♪)」

とか思った人も居たそうだ。


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以上です。

次回は未定です。

では。
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Re: 女神と共に第三部 2nd (2月18日更新) ( No.2 )
日時: 2015/02/18 19:59
名前: ささ

ささです。
ハヤテ、ルカとあんな約束して大丈夫なの?
アテネの逆鱗に触れても知らんよ。
よし、候補者一同に伝えるか。事実をむちゃくちゃねじ曲げて
ルカが「ハヤテの複製をつくりたい(意味深)」て言ってたよ。
No5まではわかるはず。
マリアさん、印刷所を買収してナギの作品を罵倒してもらえば(こんな作品なんか印刷できないとか)
悠太、ハヤテのジゴロは病原菌扱いかよ。
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Re: 女神と共に第三部 2nd (2月21日更新) ( No.3 )
日時: 2015/02/21 17:26
名前: masa

こんにちはmasaです。

レス返しの更新です。


 ●さささん

 >>ささです。

 サキ「感想ありがとうございます」

 >>ハヤテ、ルカとあんな約束して大丈夫なの?

 ハヤテ「大丈夫ですよ。ばれなければ」

 >>アテネの逆鱗に触れても知らんよ。

 ハヤテ「ま、まあ大丈夫ですよ」
 悠太「まあ、色々と大変だろうな。逆鱗に触れたら」

 >>よし、候補者一同に伝えるか。事実をむちゃくちゃねじ曲げて

 ハヤテ「いやいや。勘弁してくださいよ。た、大変な目に会っちゃいますから」

 >>ルカが「ハヤテの複製をつくりたい(意味深)」て言ってたよ。

 婚約者候補一同「・・・」
 ハヤテ「・・・」←寒気を感じてる

 >>No5まではわかるはず。

 伊澄「あ、あの。私も一応は分かるんですが///////////////////////////////」

 >>マリアさん、印刷所を買収してナギの作品を罵倒してもらえば(こんな作品なんか印刷できないとか)

 マリア「あら♪良い案ですね〜♪さっそく実行しましょう♪ああ♪」
 帝「・・・止めろ。話が進まん」←勇気を出して言った。

 >>悠太、ハヤテのジゴロは病原菌扱いかよ。

 悠太「なんか間違ってるか?「感染したら厄介」と言う意味ではそうだろ」
 ハヤテ「・・・違うと思うけど」


 感想ありがとうです〜♪

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Re: 女神と共に第三部 2nd (2月21日更新) ( No.4 )
日時: 2015/02/21 17:30
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
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ここはレンタルビデオ橘の住居スペース。

「本当に、白皇を辞めてしまうのですか?」
「ああ。成功する保証が何一つない新事業に挑戦するんだ。とても学業に手が回らないよ」

そう言ってきたワタルにサキさんは少しだけ間を置き

「でも、そうしたら無理して飛び級して白皇へ行った理由が」

サキさんにそう言われ、ワタルは目を閉じて考え込んだ後

「良いんだ。俺には無理があったんだよ」
「若」
「(そうさ。あの時のあれだって、今考えれば・・)」


                  × ×


話しはかなり遡り、ナギ達がまだ子供の頃。

「ナギちゃん、なんか壁に居るよ」
「あ、あれはゴキブリと言う危険な虫」

そう言った途端、Gが2人に向かって飛んできた。
しかし、伊澄がお札ではじき、Gをお札でつかんで窓から捨てた。

「もう大丈夫よ」


                  × ×


話しは現在に戻します。

「(あの時は、恋だと思っていた。そして、咲夜に譲ってもらって、無理して白皇に通った。でも、今思えば)」

黙り込んでるワタルにサキさんは心配そうな視線を送っていた。
それに気付いたかは定かではないが、

「辞める前に、身辺整理しねえとな」
「・・・」

サキさんの心境は複雑そのものだった。

「悪いなサキ、手伝ってくれ」
「分かり、ました」


                   × ×


そして翌日。

「これでいい」

ワタルは伊澄にメールで「今夜19時、負け犬公園に来てほしい。大切な話がある」と伝えておいた。

「若」
「サキは手筈通りに頼む」
「分かりました」

サキさんはワタルが伊澄に告白すると思っているため、とても複雑だった。

まあ、書く事無いので、割愛し、19時。

「来いひんな」
「予想通り、だよな」

事前に地図などを伊澄に送っておいたが、伊澄の迷子スキルの前にすべて意味をなくし、伊澄は来なかった。

「あいつの事だ、対策は練ってあるはずだが」
「でもなあ。あれは」

隠れて見ていたナギと咲夜は恐らく、相当来ないだろうと予想していたが、予想に反し、伊澄が約束より30分ほど遅れたが、来た。

「お連れしました」
「すまねえな」
「いえ、ハヤテ様のお蔭ですんなり見つかりました」

そう、ワタルは伊澄の迷子スキルを当然予想しており、ハヤテに頼んでいた。
そして、ハヤテが見つけた伊澄をサキさんが連れてきたのである。

「これ以上いるのは野暮やな」
「帰るか」

話しが始まる前に、ナギと咲夜は撤退した。

「ワタル君、話って何?」

話しの前に捕捉しておきます。
伊澄はご存知の通り、機械に弱いです。ですが、携帯だけは「ハヤテと何時でも話せるように」っと、練習したため、扱えるのである。

「伊澄、今から話すのは嘘や冗談なんかじゃない。いたって真面目な話だ」
「・・・」

伊澄は反応を示さないが、ワタルは話を続けた。

「俺はな、お前が好きだったんだ」
「そう、だったの。でも」
「言うな。話を聞いてくれ」

遮られ、伊澄は最後まで話を聞く事にした。

「お前が、ハヤテを好きなのは重々承知だ。だからこそ、気付けたんだ」
「な、何を?」
「俺のお前に対する気持ちは「恋」じゃなく、「憧れ」だったんだって」

ワタルは少し間を開け

「「恋」だと錯覚したのは結構前だ。あの時は、お前のかっこよさに「恋」だと思っちまった。今もそうだが、あのころの俺はガキだった。だから、「憧れ」を「恋」と錯覚したんだ」

ここまで一気に言うと、呼吸を整え

「だから、自分のレベルに合わない白皇に行ったり、色々と無茶した。でもな、お前がハヤテに恋し、「そいつにどう足掻いても勝てない」と悟った時、自分の気持ちと向き合った。そして、心に居た「正直な自分」と向き合って、「伊澄に対する気持ちは憧れだった」と結論付けられたんだ」

ワタルの言葉を聞き、伊澄は

「そうだったの。でも、どうしてその話を?」
「お前には迷惑かもしれない。でも、自分に嘘をつきたくないんだ。そして、前に進むために、話をすると決めたんだ。俺はこれから、忙しくなるから」

ワタルはまたしばらく間を開け

「話を続けるぞ?」
「ここまで来たら、最後まで付き合うわ」

伊澄の言葉に、ワタルは深呼吸し

「お前への気持ちが「憧れ」だと気付いた時、「本当の恋」に気付けたんだ。でも、今の俺は超が付くほどの未熟者だ。この気持ちを伝えるのは自分自身が許せない。それにだ、未熟者の俺じゃそいつには絶対の絶対に釣り合わない。だから、伝えても、相手は迷惑だ」

ワタルはまた間を置き

「俺はこれから、馬鹿な挑戦を始める。成功する保証なんかどこにもない、な。きっと、その挑戦が成功できれば、「本当の恋」をしている相手に釣り合う俺になってると思うんだ。俺はその時に告白するよ」

ワタルの話を聞き、伊澄は笑みを浮かべ

「頑張ってね。幼馴染として応援するわ」
「ありがと。伊澄も、伊澄自身の恋を頑張れよ。幼馴染として応援するぜ」

ワタルは伊澄と向き合い

「最後にだ、俺に本当の気持ちに気付かせてくれてありがと。そして、好きでいさせてくれてありがと」

ワタルと伊澄は握手し、伊澄は帰路に着いた。


                      × ×


少しし、全てを聞いていたサキさんが

「若、よかったのですか?あんな話して」
「良いんだ。あいつに話したのは、全部本当だ。だから、心配するな」

ワタルの強い目にサキさんは安心したが、ワタルの言っていた「本当の恋」が気になっていた。
しかし、この場で触れるのは間違えてると思い、何も言わなかった。

「サキ、これから忙しくなるぞ。一緒に頑張ろうな」
「ええ。お任せを」

話を終え、2人そろって帰路に着いた。

その道中

「(近い将来、俺の挑戦の決着が訪れる。その結末は「成功」にしたい。そうすれば、いつまでも待たせる事にはならねえ。だから、その時まで俺の気持ちは保留だな)」

そう決意を新たにした。


-----------------------------------------------------------------------------------
以上です。

次回は未定です。

では。
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Re: 女神と共に第三部 2nd (2月24日更新) ( No.5 )
日時: 2015/02/24 17:31
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
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ここは三千院家・ナギの書斎。

現在ナギと千桜は向かい合ってお互い真剣な表情をしていた。

「状況を整理しよう」
「ああ」

千桜はほんの少し間を開け

「今お前さんは同人誌を千部刷り、次のコミサンで売ろうとしている」
「ああ」
「今日は6月1日で、コミサンは6月12日だ。だが、原稿はまだない」

そう、ナギの同人誌はまだ完成していなかった。

「通常はこんな短期間で入稿するのはあり得ないし、断ってくる印刷所は多い。だが、力陽社の一日本プランを使えば、丸一日で、つまり6月10日の朝10時までに入稿すればオフセ本を作る事は可能だ」

千桜はここまで言うと、少しの間ナギの表情を見てから

「しかしだ、入稿期間が短いということは、各種割引フェアは当然適用されない。値段が上がるという事だ。印刷代は搬入料込みで21万3640円」

ナギは千桜の話を真面目に聞いており、値段の話を聞いても特に表情に変化が見られなかった。

「これはだ、仮に一冊300円で売ったとしても、700冊以上売り上げないと元は取れない計算だ。かなり無謀だが、それでもやるのか?」

千桜の問いかけにナギは数秒黙った後、机の中の金庫からお金を出し

「迷いはない。700冊だろうが21万以上だろうが、私の漫画は売れる。だから、持って行け」

すると、この話を聞いていたマリアさんは

「(あ、そうだ♪このお金を持って行って、入金した振りをして隠しちゃいましょう♪そうすれば当日になって困らせる事が出来ますね〜♪勿論ナギのお金を全部隠したうえで♪そうすれば♪ああ♪)」

こんな事を思い、実行に移そうとしたが

「迷いは無さそうだな。じゃあ行ってくるよ」

そう言うと、千桜は大事そうにお金を封筒に入れた後鞄にしまい、書斎を出て行った。
当然?このことで

「(ふざけんじゃねえぞ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!なんでてめえが行動してんだ!!!!!!!!!!!!!!!折角の計画が台無しじゃねえか!!!!!!!!!!!!俺様の楽しみを邪魔すんじゃねえ!!!!!!!!!!!!!!屑が!!!!!!!!!!!!!!!!!!)」

とか思った人がいたそうだ。

「よしっ、原稿を仕上げよう」

ナギは直ぐに机に向かった。

一方廊下では

「なあ千桜、正直な話1000部も売れるのか?」

悠太の問いに千桜は歩みを止め

「無理、だな。常識的に考えると」
「そうか。でも、止めない方が良いんだろ?」
「ああ。君も周知だろうが、何があるか分からないのがコミケだ。本人が自分の意志とお金で賭けようとしているんだ。君の言う通り、止めない方が良いのさ」

そう言うと、千桜は少し間を開け

「それにだ、失敗を恐れていては学べないこともある」
「「痛みを伴わない教訓は意義がない」か?」
「その通りさ」


                     × ×


翌日。

ナギがパソコンをいじっているので、後ろから覘くと「マリアのメイドパラダイス」と言うサイトを見ていた。

「お、おいお嬢様。なんだこのサイトは」
「ん!?これは私が運営しているサイトだよ」

ナギがキーボードをたたきながら

「架空のアイドルとして、マリアの日常を日記風に綴ったサイトだ。マリアが興味を持ったニュースをまとめたニュースサイトも兼ねてる」

悠太は複雑な感情を持ちつつ

「こんなの何時作ったんだ?」
「ほんの数日前だよ」
「そっか。で、肝心のアクセス数は?」

悠太の質問に、ナギは自信を含めた笑みを浮かべ

「ざっと1日53万ページビューだよ」

予想以上の数字に悠太は驚きで言葉を失った。

「これを中心に他にもニュースサイトを纏めるアンテナサイトを5つ制作した。それぞれ異なるジャンルのニュースを集めるサイトだ。これも1日平均2万アクセス。現在進行形で増加中だ」

ナギはここまで一気に言うと、呼吸を整え

「今日中に似たようなサイトをあと3つ立ち上げる。ここまでの伸び率やリンクの拡大率を考慮して計算すると、1日100万アクセスのネットワークが数日中には完成するはずだ」

ナギの解説に聞き入っていた悠太はここに来て口を挿むことにし

「こんなの作ってどうするんだよ」
「愚門だな。ステルスマーケティングだよ」

ナギは悠太の方へ振り返り

「私だってバカじゃない。あの同人誌を普通に売っても売れないことは百も承知だ。だが、それを指をくわえて見ているつもりなど毛頭ない。上手に客の動きをコントロールし、自然発生したように購買意欲をそそる。100万人もいれば、10万人ぐらいは興味を持つ。そして、僅か1%でもいい。その1%が買えば、1000人だよ」

ナギはここまで言うと、悠太に諭すように

「「売れるものを売る」のが営業じゃない。「売れないものを売る」のが営業なんだよ」

そう言うと、ナギは再びパソコンに向かい合い、作業し始めた。

「(お嬢様は確かに天才だ。だが・・・)」

真剣な表情のナギに悠太は

「(今は、「この意見」を言うのは野暮だな。黙って結末を見届けよう。これも経験だな)」

そう思い、何も言わないことにした。
それと同時に

「(で、でもこんな事して大丈夫か?嫌な予感と寒気がする)」

こうも思ったそうだ。


                    × ×


一方。

「え!?オフセ本1000部?」
「ええ。それも緻密なマーケティングをして、確実に売っていくらしいですよ」

ハヤテはルカに悠太からの報告を伝えていた。
それを聞いたルカは

「じゃ、じゃあ私だってオフセ本を」
「止めておいた方が良いですよ」

焦りだしたルカにハヤテが一蹴した。

「人の真似や宣伝したって今からじゃとてもじゃないですけど、間に合いませんよ」

こう言い放ち

「それより、今はこのコピー本をギリギリまで精度を上げて売る方がルカさんには合ってますよ」
「そう、かな」
「大丈夫です。僕はルカさんを信じているので、ルカさんも自分を信じてください」

ハヤテの笑顔にルカは頷いた。

「で、でも精度を上げるってどうやって?」
「では、1つだけお願いを」

ハヤテの言葉にルカは身構えた。

「そんな身構えなくても。簡単なお願いですから」
「よ、よしっ。どんと来い」

やっぱり身構えているルカにハヤテは

「「その本を取った人が最後まで読みたくなる漫画を描いてください」たったこれだけです」
「え!?それだけ?」

面食らってるルカにハヤテは言葉を続けた。

「老若男女問わず、様々な職種の人が最後まで読みたくなるような漫画であれば、自然と人気は出ますよ」

そう言うと、ハヤテは

「現に、某有名な海賊漫画だって、「最後まで読みたい」と思えるから、何億部と言う売り上げを記録するんです。あそこまでとは言いませんが、ルカさんも「最後まで読みたい」と思わせる事が出来る漫画を描いてください」

具体的な例を伴う解説にルカは納得し

「そうだよね。そうなるとどうすれば」

考え始めたルカにハヤテは

「では、約束通りアドバイスを。セリフは、出来るだけ少ない方が良いですね。そのセリフも簡潔で分かりやすいものを」

ルカは早速メモした。

「見にくいナナメ読みは止め、画面を見やすく、状況理解しやすい背景なんかあると、より効率的ですね」
「フムフム」
「回想シーンは止めた方が得策ですね。長期連載なら必要かもしれませんが、同人誌じゃ無駄だと思います」

真面目にメモ取りするルカにハヤテは安心し、続けた。

「読者の想像力にのみ頼る表現や曖昧な表現も無くした方が良いでしょう。そして普遍的なテーマの方が良いと思いますよ」

ハヤテのアドバイスを受け、ルカは書き始めた。

そして

「まだネームの段階だけど、見て」
「では」

ハヤテは受け取ったネームを見て

「ど、どう?」
「そうですね」


-----------------------------------------------------------------------------------
以上です。

次回は続きです。

では。
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Re: 女神と共に第三部 2nd (2月27日更新) ( No.6 )
日時: 2015/02/27 16:33
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
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前回、ナギは自分なりの方法で同人誌を売る方法を実行し、ルカはハヤテからのアドバイスでネームを書き上げた。


時間を少し戻しルカがナギの漫画を手伝っていた時。

「(私はあの日、ルカを見たとき「神様みたいだ」と思った。大観衆の中、光り輝くステージでそれに負けない輝きを放っていた。自分には無い「特別な何か」を持つ「特別な人」そう思った)」

ナギは漫画を描く手を止め、目の前のルカを見つめていた。

「ん!?何?」
「あっ、いや」

首を傾げるルカにナギは

「どうして、漫画家になろうと思ったのだ」
「誰かに与えられた力じゃなくて、自分の力だけで「特別な何か」になりたいからかな」

ルカの言葉にナギは自身とシンパシーを感じ、遠い存在だったアイドルが身近な人物に思え、

「ルカ」
「何?」
「なろうな。一兆部売れる漫画家に。「一緒に」」
「うん」

こんな事があったのです。


                    × ×


話を戻し、現在。

「どうかな」
「面白いですよ」
「ホ、ホント!?」
「ええ。今までと違って、面白いです」

笑顔で褒められたことで、ルカも笑顔になり喜んでいた。
すると

「(マスター。教えてください。マスターの秘策?を)」

白桜に問い掛けられ、ハヤテは

「(じゃあ、テストに例えようか)」
「(あ、はい)」

喜ぶルカに少しの間話し掛けなくても大丈夫だと思い、話を続けた。

「(テストで80点の物を90点にするのは難しいでしょ?さらに、90点の物を95点に、95点の物を98点にするなんて、至難の技でしょ?)」
「(そうですね。それなりに点数を取ってるので、大変は大変ですね)」

白桜が同意したので、さらに話を続けた。

「(でもさ、20点の物を50点にするのは難しくは無いよね?)」
「(そうですね。欠けている基礎を徹底的に固めれば、それ位は容易に上がりますね)」
「(じゃあ、漫画における基礎って何だと思う?)」

聞かれた白桜は少し考え

「(誰でも読める。ですか?)」
「(そうだね。それさえなんとかできれば、まあ何とかできなかったとしても、そう言う前提で書けば、それなりのレベルにはなるでしょ?)」

ハヤテの策に白桜は驚いていた。

「(読んでみたら面白い。って漫画も読んでもらえないと評価はゼロに等しくなる。ルカさんに例として挙げた海賊漫画だって、誰も読まなきゃとっくに打ち切りか強引に終わらす展開になってたと思うよ)」

実際、作者もそう思います。

「(成程。だから水蓮寺さんの漫画は飛躍的に進歩したんですね)」
「(そう言う事)」

白桜がさらに質問しようとしたところ

「ねえハヤテ君、一つ聞いていいかな」
「なんでしょう?」
「なんで30部だけなの?そうやって褒めてくれるなら、もっといけそうな気がしなくはないんだけど」

ルカに質問にハヤテは敢えて少し間を開け

「確かに、現状のレベルならば、もしかしたら100部くらいは行けるかもしれません」
「でしょ?」
「ですが、今回は「完売」と言う目的の元に販売すべきだとも思うのです」
「完売?」

白桜に話損ねたもう一つの策を話すことにした。

「コミサンの来場者は約2万人。その内の1%はいかない可能性を視野に入れ、見てくれる人はザッと見積もって200人くらいと計算しましょうか」
「う、うん」
「この漫画であれば、そのうちの2割くらいの人ならば買ってくれると、僕は思います」

聞き入ってるルカにハヤテは続けた。

「200人の2割は40人。そこから誤差などを含めると、30部が妥当かと」
「そうだったんだ。でも、大丈夫かな?」

ハヤテの的確な論理にルカは不安そうになったが、ハヤテはルカの肩に手を置き

「大丈夫です。完売は出来ますよ。そして、今回の完売は次への大きな糧となります。勇気と自信と言う名の糧に。成長には「敗北」と言う名の苦味も必要ですが、「勝利」と言う名の旨味も必要なんです。ですから、完売を目指しましょ」

ハヤテの言葉にルカの目は輝き、また漫画に向き合い始めた。

「(マスターはやはり凄いですね)」
「(そんな事無いよ。まあ、今回は「午前中完売」と言うのが一番だけど、それは高望みし過ぎかな)」


                     × ×


一方。

「な、なんだよこれ」

ナギの様子を見に来た千桜はナギ経営のサイトを見て驚いていた。

「何って、同人誌の宣伝サイトだよ」

ナギは不敵な笑みを浮かべると

「これで後日、マリアの写真集みたいな小冊子をおまけでつけて、マリアに売り子をしてもらえば完璧さ」
「な、何が完璧だ。目的が変わってるじゃないか」
「変わってなどいないさ。最初から「売る事」が目的さ」

ナギの言葉に千桜は

「数を捌けばいいってもんじゃないだろうが!!問題は中身だろ!!!!自分への挑戦じゃなかったのかよ!!!」
「何を言う。これだって挑戦の一環だ」
「な、何!?こんなの話題性で売ろうとしているだけじゃないか」
「それのどこが悪い!!!」

ナギは千桜と向き合うと

「世の中一番大事なのは数字だろうが!!現に、某掲示板だって、数字でその価値を決めてるじゃないか」
「それとこれとは違う!!!」
「違わない!!!!」

ナギは千桜を睨み付けるかのような目付きになり

「今の世の中売れた物が価値をを持つ。「数が正義」と教えたのはお前じゃないか」
「だからって。こんなの」
「なんだよ!!!いいか、私は「普通」じゃ満足できないんだよ!!!!普通に頑張って、仲間同士で「良かったね」なんて馴れ合いは嫌だ!!!私は、私は」

ナギは少し力を溜め

「「特別な何か」になりたんだよ!!!」

ナギの凄味に千桜は言い返せなくなった。


「やれやれ。良いのか、あれで」

千桜はキッチンで悠太に問い掛けていた。

「さあな。でも、俺は「敢えて」止めなかった」
「そう、か。君がそう言うなら、私は何も言わないよ」

悠太の有能さを知っているので、千桜はこれ以上の言及は止める事にした。

「お嬢様の同人誌、売れると思うか?」
「さあな。そんなの分かんないよ。ルカのもな」
「そっか」
「すべての結果は神のみぞ知る。だよ」

因みに

「(フフフフフフフフフフフフフフフフフ♪ナギの同人誌が全く売れなくて、落ち込む姿が見たいですね〜♪勿論徹底的に酷評される姿も見たいですね〜♪どっちも撮れればこれはもう♪ああ♪)」

とか思った人も居たそうだ。



決戦は近い。

結末がどうなるかは、まだ誰も知らない。

まさに、「神のみぞ知る世界」である。

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以上です。

次回は未定です。

では。
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Re: 女神と共に第三部 2nd (3月3日更新) ( No.7 )
日時: 2015/03/03 16:17
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
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時は6月7日。そう、時任麗の誕生日である。

時任家では、前日から勝指導の下準備が着々と進んでいた。

当然麗も朝から準備に念を入れ、後はパーティの出席者を待ち、パーティの開催を待つだけとなった。

「姉ちゃん、準備終ったよ」
「ありがと。皆は?」
「まだだよ。第一、時間まであるじゃん」

実際、開始時間まで1時間以上あった。

「そうなんだけどね。この年になっても、祝ってもらえるのは嬉しいもんでしょ?」
「確かに」

仕方ないので、麗は時間まで勝と会話して暇を潰すことにした。

そして、

「あっ、来たみたいだね」

チャイムが鳴り、勝は部屋を出て行った。
そして数分後。

「麗、誕生日おめでとうですわ」
「おめでとうございます」
「おめでとうさん」

招待客のアテネとハヤテと千桜が1番にやって来た。

「ありがとアテネ、ハヤテ君、千桜」

3人の祝福に麗は素直に笑顔で応じ、直ぐにまたチャイムが鳴り、数分後にナギと悠太がやって来た。

「おめでとうなのだ、麗」
「おめでとうさん」
「ありがとう」

2人の祝福に、また笑顔で返した。

アテネ達と雑談していると、またチャイムが鳴り、今度はヒナギク、泉、美希、理沙がやって来た。

「おめでとう麗」
「おめでと〜」
「今日は素直に祝辞を言おう」
「そう言う事だ」

それぞれの祝福に麗は笑顔で返した。

「えっと、後は」

まだ来てないメンバーを確認しようとしたところ、直ぐにチャイムが鳴り、少し後に愛歌さんが来た。

「あら、私が最後だったみたいね。お招きありがと。そしておめでとう」

捕捉すると、麗はヒナギクや泉達を介して生徒会の面々とも仲良くなってます。なので、千桜と愛歌さんが招かれたのである。

「全員そろったみたいですね。では移動しましょう」

勝の号令でパーティ会場に移動することになり、控室からそろって移動し始めた。
その道中

「ねえねえ麗ちゃん」
「何?」

泉が麗の隣に立ち、問い掛けた。

「雪ちゃん招待しなかったの?一応ヒナちゃんの姉だけど」

泉の質問に麗は少しだけ顔をしかめ

「別に招待してもよかったんだけど、あの人の事だから「酒は無いのか〜」とか言って暴れそうじゃない?」
「た、確かに。折角のパーティが台無しだもんね」
「ヒナにも迷惑かかるしね」

麗の正論に納得したのか、泉は美希と理沙の雑談に加わりに行った。
その後ハヤテが来て

「あ、あの一応聞いておきたいんですが」
「何?」
「神尾崎さんは招待しなかったんですか?」

ハヤテの質問に、麗は若干不機嫌になったが、顔に出さずに

「招待しなかったわ。ナギちゃんたちは個人的に仲良くしてるけど、あの人とは仲良くないし」
「あっ、すみません」

聞かない方が良い事だとようやく悟ったのか、謝って来た。

「良いのよ。あっ、着くわよ」

こんな会話しているうちにパーティ会場に着いた。


「では、改めまして」

勝はそう言うと、ジュースの入ったグラスを掲げ

「かんぱ〜い。そして、おめでと〜」

皆もそれに倣い、改めて麗を祝福した。

「さて、早速だが麗君へのプレゼントコーナーと行こうじゃないか」
「賛成〜」

理沙の号令で各々持って来たプレゼントを麗に渡して言った。

「皆ありがとね」

プレゼントを渡し終え、それぞれで雑談を始めた。
すると、ナギが麗の所に来て

「招いてくれてありがとな。正直、コミサンに向けて佳境だったが、来てよかったよ」
「そうだったの。忙しいのに来てくれてありがとね」
「なに。私たち、その、「友達」だろ?ライバルであるとともに」
「そうね。友達だもんね」

照れながら言うナギに麗は笑顔で返した。
っとそこへアテネとハヤテがやってきて

「相変わらず、誕生日パーティは質素に済ませるんですのね」
「まあね」

皮肉とも取れるアテネの言葉を特に気にせず

「家は財閥とは言え、アテネのとこみたいに桁違いって訳じゃないし、昔からあんまり騒がしいのは嫌いなのよ」
「そうだったんですか」

シンプルなパーティにハヤテは納得がいったようだった。

「止め止め。折角なんだから、楽しみましょ」
「そうですわね」

その後は雪路の乱入などは無く、楽しくパーティは進んでいった。


                     × ×


「ふう」

麗はテラスで寛いでいた。
主賓のはずの彼女がなぜ1人でここにいるのかと言うと、騒ぎ過ぎて少し疲れたためだ。

「騒がしいのはちょっと苦手だけど、皆楽しんでるし、良いかな」

SPの人が淹れてくれた紅茶を飲みながら思わずそう呟いていた。
すると

「麗さん」
「ハヤテ君」

ハヤテがパーティ会場から出てきて、麗の傍にやって来た。

「隣良いですか?」
「え!?あ、どうぞ」

ハヤテは麗の隣に腰かけた。

「良いの?アテネを放っておいて」
「「2人きりにさせるのが一番のプレゼントですわ」らしいです」
「あ、そうなの」

実際、ハヤテと2人きりになれて、麗は嬉しかった。

「ねえハヤテ君」
「はい?」
「アテネの執事を辞めて、私の所に来ない?歓迎するわよ」

この際チャンスだと思い、麗は尋ねた。

「それは出来ませんよ」
「なんで?「時任家使用人長」の座も用意するし、なんだったら今貰っている以上の給料出すわよ」

麗の提案にハヤテは

「アーたんには色々と恩を貰ってるんです。なので、今のところは辞めるつもりは無いですね」
「そう、なの」

ハヤテの言葉に麗はこう返しつつ

「(やっぱり、10年と言う名の絆は大きいのね。そう簡単には立ち入れないって訳ね)」

こう思っていた。

「まあいいわ。諦めるつもりは無いから」
「あ、そうなんですか」
「絶対、アテネから奪ってみせるから」

そう言うと、麗はハヤテにキスした。

すると、この光景を見ていた愛歌さんは

「(醜いわね。時任さんがハヤテ君と仲良くしている所を見て嫉妬するなんて。しかも、キスしたことに関しても、嫉妬して)」

こう思っていたそうだ。


その後、パーティは何事も無くお開きとなり、麗にとって良い意味で忘れられない日になったそうだ。


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以上です。

次回は未定です。

では。
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Re: 女神と共に第三部 2nd (3月3日更新) ( No.8 )
日時: 2015/03/06 12:25
名前: ささ

ささです。
アテネとヒナギクがいるなら雪路呼んでも大丈夫でしょ。
(酒をたかったら減俸または停職、解雇だろうから)
麗、なにヘッドハンティングしているの?
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Re: 女神と共に第三部 2nd (3月6日更新) ( No.9 )
日時: 2015/03/06 17:15
名前: masa

こんにちはmasaです。

レス返しの更新です。


 ●さささん

 >>ささです。

 ルカ「感想ありがとね♪」

 >>アテネとヒナギクがいるなら雪路呼んでも大丈夫でしょ。

 麗「あ、そうだったわね。でも、折角のパーティ台無しにしたくなかったしね」

 >>(酒をたかったら減俸または停職、解雇だろうから)

 アテネ「そうですわね。今度こそ、解雇通知ですわ」
 雪路「しょ、しょんなー」
 薫「自業自得だろ」

 >>麗、なにヘッドハンティングしているの?

 麗「別にいいじゃない。ハヤテ君が執事になってくれれば、毎日一緒に居られるし、勝も喜ぶだろうしね。勿論、私も♪」
 勝「だよね」


 感想ありがとうです〜♪

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Re: 女神と共に第三部 2nd (3月6日更新) ( No.10 )
日時: 2015/03/06 17:19
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
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ここは毎度お馴染み天王州家。

ハヤテは朝から溜息をついていた。
なぜって?それは簡単だ。

「もう、アーたんいい加減離れてよ」

今日も今日とでアテネが子猫のように甘えてくるからだ。

「嫌ですわ♪」
「離れてって」

アテネが甘える攻撃をしてくると、仕事等がし難いうえに、他の女性人の視線が鋭くなるため、ハヤテとしては離れて欲しかった。

「ハヤテがいけないんですわ。また女を作るから」

勿論ルカの事である。

「しょうがない」

そう思うと、ハヤテは

「ひゃ」

アテネの力が緩んだ一瞬を見逃さず、ハヤテは離れた。

「な、何するんですのよ」
「アーたんは昔からそこが弱いね」

そう、アテネは昔から項を擽られるのに弱く、どんなに頑張っても克服できないのだ。

「う〜。ハヤテ〜」
「離れてって言ってるのに、離れてくれないからだよ」
「で・す・か・ら、ハヤテが悪いんですわ」

そう言うと、アテネは再度ハヤテに甘えようとしてきたので

「じゃ、じゃあ用事があるから」

そう言うと、部屋を出て行った。

「ハヤテのバカ。私が居るのに、女を次々に作って」

そう言うと、拗ねてソファーに寝転がった。


                    × ×


「やれやれ。アーたんには困ったもんだよ」
「ホントよ」

いつの間にかソニアが来ていて、ハヤテに抱き付いて来た。

「やっとあの人離れたのね」

そう言うと、抱き付く力を強めた。

「あ、あのソニアさん?」
「なんでしょうか、ハヤテさん♪」

最上級の笑顔で抱き付いて来てるソニアにハヤテは

「離れてくれません?」
「嫌よ♪」

当然のようにそう言ってきたソニアに

「どうして抱き付いて来るんですか?」
「ハヤテさんが大好きだからよ」

ハヤテからすれば、なぜその理由で抱き付いて来るのか分からず

「離れてくださいよ。さっきやっとアーたんを引きはがしたのに」
「なら好都合ね」

噛み合わない話にハヤテは「諦める」と言う選択肢を選ぶしかないと思い始めたとき

「ほんまや。好都合や」

ソニアの相手をしているうちに日向がハヤテに抱き付いていた。

「アテネお姉ちゃんがおらん今がチャンスやね」
「日向さん、一応聞きますが」
「抱き付いとる理由は、ハヤ兄が好きやからやで」

ハヤテが聞くより早く日向が答え、離しそうにない雰囲気にハヤテはまた溜息をついた。

「(やれやれ。どうやって2人に離れて貰おう)」

ハヤテが2人を引き剥がす策を練っていると、

「貴方ねえ。生意気よ」
「なん、やと」

日向が抱き付いていることに納得できないソニアが喧嘩腰で日向に文句を言い、日向は日向でそれに応じ始めた。

「子供のくせにハヤテさんに抱き付くなんて生意気よ」
「子供とかこの際関係無いで!!!それを言ったら「おばさん」のくせにハヤ兄に迫るなや」
「なんですってー」

ソニアはまだ19歳なので、「おばさん」呼ばわりされるのは当然怒り

「私はまだ成人してないわよ!!!!!貴方なんかお子ちゃまじゃない!!!」
「なんやとー。ウチはもう10歳やで!!!お子ちゃまちゃうわ」

いつの間にかヒートアップし、ハヤテから離れていた。

「(えっと。今のうち、だね)」

ハヤテは急いでその場から走り去り、逃走した。

喧嘩中の2人はハヤテが居なくなった事に気付かず、暫くしてから気づき、やっぱりそのことで喧嘩は続いた。


                    × ×


危機を察知したハヤテは屋敷から出て、近所を散歩していた。

「疲れた。色々と」

思わずそう呟きながら歩き、

「なんで皆さん仲良くしてくれないんだろう。それに、アーたんは最近特に甘えてくるようになったし」

ハヤテがこんな風に考え事しながら歩いていると

「ハ〜ヤ〜テ〜様♪」

いつも通り?綾子がハヤテに抱き付いて来た。

「神尾崎さん」
「もう♪綾子と呼んでくださいな♪夫婦なんですから♪」

もう慣れていたので、ハヤテは綾子の言葉を無視し、

「なぜここに?」
「運命だからですわ♪私とハヤテ様が出会う運命だから、ここに居たんですわ」

まあ、本当のところ、綾子の「ハヤテ探知レーダー」で探し当てたのだが、それは言わず

「ハヤテ様、家に来ません?なんか、家に帰れそうにない雰囲気ですわ」
「あ、いや。それは」

実際当たりなのだが、そんな事言えば綾子に無理やり神尾崎家に連れていかれ、益々状況を厄介にするのは流石に分かり

「や、止めておきます」
「もう。でしたら、聞きたいことがありますわ」
「なんでしょう?」

綾子は軽く咳払いすると、

「最近また女を作ったらしいですわね」

綾子の鋭い指摘にハヤテは嫌な予感に駆られた。

「その女と言うのは、何でも大人気アイドルだとか」

綾子がなぜ、ハヤテがルカと仲良くなったのを知っているのか気にはなったが、聞く気になれず

「ハヤテ様、私と言う妻が居ながらなんでアイドルと仲良くしてるんですの?」
「ま、まあ。色々ありまして」
「ふ〜ん」

色々を聞いてこないので、安心できるはずなのだが、ハヤテの嫌な予感はぬぐえず

「まあいいですわ。こうなったら意地でも家に来てもらいますわ。そして、他の女と仲良くしようだなんて思わなくしてあげますわ」

綾子の笑みに隠された企みにハヤテは嫌な予感以外はせず、一瞬で綾子から逃げる策を考え

「愛しき姫・綾子、離れてくれるかい?」
「ハ、ハヤテ様?///////////////////////////////」
「愛しき姫を抱きしめたいんだ」

綾子の耳元で囁くと、ハヤテの計画通り、綾子が離れた。
当然ハヤテはそのチャンスを逃さず、一気に逃げ去った。

「し、仕舞った。逃がしましたわ」

そう言い、悔しがったのは一瞬で

「愛しき姫、なんて呼ばれちゃいましたわー///////////////////////////////////」

嬉しさで腰砕けになり、ハヤテを追えなかった。


                   × ×


綾子を振り切ったハヤテは公園に逃げ込んでいた。

「今日は厄日かな。いつも以上に色々と起こるし」

ハヤテが頭を抱えていると

「あら、ハヤテ君じゃない」

今度は麗と会った。

「時任さん」
「先日は誕生日会ありがとね」
「いえいえ」

綾子と違い、麗は何かを含んだ笑みではなかったため、ハヤテは安心できたが、

「そうそう。ハヤテ君に聞きたいことがあったのよ」
「へ!?」
「前は誕生日会だったから、水を差す形になると思って聞かなかったのよ」

聞く前から麗の聞きたい内容を察せたが、ハヤテとしては当たって欲しくない一心なので、敢えてその「聞きたいこと」を聞く事にした。

「ハヤテ君、最近になってアイドルの子と仲良くなったらしいわね」
「あ、や」
「しかも、ファンとアイドルと言う関係性じゃないみたいね。どういう事?」

あたってしまった予感にハヤテは

「色々あったんです。それで、仲良くなっただけですよ」
「へ〜。で、こっから本番ね」
「あ、はい」
「ハヤテ君から見てその子、確か水蓮寺ルカさんだっけ?どう思ってるの?」

この場で誤魔化すのは正直難しくはないが、そんな事されれば余計な詮索され、誤解を与えると思い、

「と、友達ですよ」
「本当?」
「う、嘘じゃありません」

実際は違うようだが、ハヤテが気付く訳も無く、自分から見た真実を伝えた。

「ならいいわ。じゃあ私、用事あるから」

そう言うと、麗は立ち去ろうとしたが、

「言い忘れたわ。ルカさんに手を出さないでね。私が居るんだから」

そう言い残し、去って行った。

「手を出すなって、どういう意味だ?そんな事する訳無いのに。それに、私が居るかっらってのもどういう意味?」
「(それはマスターには分かんないじゃないですか?)」

白桜に言われ、「その通りだ」と思ったので、考えを放棄した。


                  × ×


麗が帰った後も、ハヤテは公園で時間を潰していた。
すると

「はあい、ダーリン」

今度はクリスがやって来た。

「こんな所で何してるの?」
「まあ、暇つぶしです」

嘘を言う理由も無いので、そう言っておいた。

「ねえダーリン、聞きたいことが」

ハヤテは「またか」と思いつつ、聞く事にした

「新参者の私が言うのもあれだけど、何でアイドルの子と仲良くやってるの?」
「色々あったんです」
「そう。じゃあ」

そう言うと、クリスはハヤテに大人のキスをした

「ダーリン、その子とはフレンドよね?」
「勿論ですよ」
「ガールフレンド、にはならないわよね?」
「なりませんよ。なるわけないじゃないですか」

ハヤテからすれば、クリスの質問の意図が分からなかったが、答えておいた。

「ならいいわ。あ、でもたとえガールフレンドになったとしても、ダーリンのワイフは私の物だからね」

そう言うと、また大人のキスをして帰って行った。

「(ねえ白桜、何で皆して僕がルカさんと仲良くなった理由を聞いて来たんだろう)」
「(知りませんよ。唯の剣である私に聞かないでください)」
「(そっか。まあ、考えてても分かんないし、そろそろ帰ろっか)」
「(ほとぼり冷めてるといいですね)」

ハヤテには適当に答えておいたが、白桜には勿論理由が分かっていた。
言わなかったのは、ハヤテに言っても無駄だと分かってるからだ。


まあ、予想通りかもしれないが、家に戻ったハヤテが大変な目にあったのは言うまでもないだろう。
アテネに甘えられ、そのことでソニアと日向と喧嘩になり、千桜に助けを求めてもただただ冷たい目で見られ、解決の糸口を見いだせないことも、言うまでもないだろう。


こんな風に、いつも通りの事件が起こりつつ、6月12日はやってくる。

対決の決着はもう間もなくだ。


-----------------------------------------------------------------------------------
以上です。

次回、ついにコミサン開催です。

では。
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Re: 女神と共に第三部 2nd (3月9日更新) ( No.11 )
日時: 2015/03/09 17:33
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
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色々あったが、時は6月12日。そう、コミサンの開催日だ。


開催日の朝の三千院家。

「ナギ〜。これは何ですか〜♪」

マリアさんはナギに同人誌と共にある冊子を突き付けながら聞いていた。

「何って、マリアの同人写真集ではないか」
「いつの間に作ったんですか〜♪」
「ばれない様にこっそりな」

マリアさんの怖い笑みにナギは気付かず

「因みにだ、サイトも設立してあって、もう毎日何万人も訪れる人気サイトになってるぞ」

ナギは自慢げだったが、マリアさんは

「(ふざけんじゃねえぞ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!俺様のサイトを作った挙句写真集だぁ!!!!!!!!!!!!!!良い度胸してんじゃねえか!!!!!!!!!!!!!まあいい。普通の写真だけのようだから、今回だけは勘弁してやる!!!!!!!だがな、次はねえぞ!!!!!!!!!!!ゴミクズが!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

とか思ったようだ。


                     × ×


まあ、飛ばしてコミサン会場。

「千冊って意外とあるな」
「そりゃそうだろ」

目の前にある段ボールのタワーにナギは驚き、手伝いを申し出た千桜は冷静に突っ込んでいた。

「ま、売れるかどうか分かんねえけど、同人誌対決だけは勝てよ」
「同人誌対決?」

千桜と同じくナギの手伝いをする悠太の言葉にナギは首を傾げた。

「おいおい。それが本分だろ」
「前に真泉ってやつと意見がぶつかって、どっちが売れるかって勝負になったから、同人誌書いたんだろ」

悠太と千桜の指摘にナギは

「あ、忘れてた」

ナギの言葉に悠太も千桜も呆れてた。
するとそこに

「逃げなかったか。褒めてやろう」
「真泉」

偉そうな態度で真泉がやって来た。

「百冊勝負のはずが、千冊か。無謀と言うより無知だな」
「何とでも言え。私はお前に勝つ」
「受けてたとう」

ナギと真泉は睨み合ったが

「って言いたかったんだけど、今回落選だ」
「「「へ!?」」」

真泉の言葉にナギも千桜も悠太も間の抜けた声を出した。

「ぐう」

すると、真泉が胸を押さえて苦しむ演技を始め、そのことで女の子がやってきて

「大丈夫ッスか師匠!!」
「常人なら死ぬダメージだが、問題ない」
「よくも師匠にー」
「よせ若葉。今回は正々堂々と戦った結末だ。これ以上は俺の顔に泥を塗る事になる」

真泉は立ち上がると

「いい勝負だった。あばよ」

そう言うと立ち去って行った。

「なんだったのだ、今の」
「さあ」
「よしっ」

悠太は手をたたくと、

「さあお嬢様、相手はあっちだぜ」

全部なかったことにし、ナギの視線をある方向へ向けさせた。

「ルカさん、大丈夫ですか?」
「ちょっと暑いけど、平気だよ」
「すみません。これしか用意できなかったんですよ」

着ぐるみを着たルカとハヤテが居て、準備を進めていた。
一応補足すると、大人気アイドルのルカが素顔のまま売り子をすれば、パニックになり、それだけじゃなく「ルカが売ってたから売れた」という事になり、それはルカの想いとは違うからです。

「頑張るよ。何としても」

着ぐるみ越しとはいえ、ルカの決意を感じ取りナギは

「(勝つのは、私だ)」

自身も決意を新たにした。

「悠太く〜ん♪私も売り子するんですか〜♪」

今朝からずっと怖い笑顔のマリアさんが悠太に聞いていた。

「ま、まあ。経験だと思って、お願いしますよ」
「そ、そうですよ」

悠太も千桜も説得し、千桜とマリアさんで売り子をすることにした。
因みに、ナギは後ろで見守り、悠太は会計です。

「(これでいい。ネットでの宣伝は上々だし、マリアに売り子をしてもらえる事になった。これで私の同人誌は売れるはずだ。そうすれば、ルカみたいな特別な何かになれるはずだ)」

ナギが色々と考え込んでいる一方

「(気のせいじゃねえよな。マリアさんの笑顔が今朝からずっと怖え)」

悠太は内心震えていた。

そして、

「ただいまより、同人誌即売会、コミックサンデーを開始します」

アナウンスが聞こえ、お客さんがなだれ込んできた。

「私の考えは、正しいんだ」

ナギの呟きは悠太に聞こえていて、悠太は聞こえなかったふりをした。

一方ルカとハヤテ。

「売れるかな」
「大丈夫です。ルカさんなら」

不安そうなルカをハヤテが慰めていた。


すると、開場してすぐに

「マリアさんですよね。ブログ見ました」
「俺も俺も」

ファンらしき人がやってきて

「これください。マリアさんの写真集」
「あ、俺もください」
「はいは〜い♪こっちの本とセットで500円ですよ♪」

早速売れ始めた。

「悠太君、お釣♪」
「あ、はい」

いきなりの盛況に悠太と千桜は

「いきなりか」
「確か、ここみたいな島中はカベの買い物が終わった1時間後くらいに混み始めるはずだよな?」
「ああ、そうさ。予想外だな」

売りさばきながらこう会話し、それを聞いたナギは

「(見ろ。私のマーケティングは正しかったし、凄い)」

自信を深めていた。

それを見ていたルカは

「あっちは大盛況だね」

不安そうな声にハヤテは

「大丈夫ですよ。こっちも直ぐに向こうみたいになりますから」

ハヤテがこう言った直後、お客さんが来た。

「ご自由見てください。きっと気に入ると思いますから」

声ばれする可能性もあり、声を発せないルカの代わりにハヤテが宣伝した。

さて、ナギはと言うと。

「写真集とセットで500円ですよ〜♪」
「写真集とセットで500円です」

着々と売れていた。

「売れている。私の漫画が」

一応喜んでいたが

「写真集だけは」
「あー。バラ売りはしてないんですよ」

時々聞こえる「バラ売りはしてないのか」と言う声に胸を痛めていた。

「(いいんだ。理由はともかく、売れさえすれば私の勝ちだ)」
「・・・」

時々胸をさするナギに悠太は気付かれない様に心配そうな視線を送っていた。
すると

「へ〜。凄いね」

声がしたので、見るとハヤテが居た。

「ハヤテ、良いのか?ルカを手伝わなくて」
「ん?ああ、大丈夫だよ。だって」
「だって?」


「ルカさんの同人誌、もう完売したから」



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以上です。

次回は続きです。

では。
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Re: 女神と共に第三部 2nd (3月12日更新) ( No.12 )
日時: 2015/03/12 16:58
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
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前回、ついにルカとの同人誌対決が始まり、ナギの同人誌が順調に売れている所にルカの手伝いをしていたハヤテが来て「ルカの同人誌はもう完売した」と言われた。


「か、完売ってどういうことなのだ、ハヤテ」

ハヤテの言葉が信じられないのか、半ば詰める様にハヤテに聞いていた。

「だって、まだお昼になったばかりで、1時間ぐらいしか経ってないぞ」

焦るナギをハヤテは落ち着かせ、

「最初こそお客さんは少なかったんですが、呼んでくださった方々全員が、「面白い」って言ってくださって。1人で2部とか買ってくれた人もいたので、30部全てあっという間に」

ハヤテの言葉にナギは

「おい千桜、こっちは何部売れてる?」
「へ!?えっとだな」

千桜は直ぐに数え、

「こっちの段ボールがやっと空いたから、丁度30部だよ」
「(って事は、私の---)」

ナギが敗北を悟り、ショックを受けていると

「しかし、このセットの漫画は何なんだろうな」

ナギの漫画を買ったお客さんの声が聞こえてきた。

「ぶっちゃっけつまんねーし、いらなくね?」
「絵も下手くそだしな」
「じゃあ捨てちまうか。ゴミ箱あるし」
「おいおい。家で捨てろよ。まあ、俺もここで捨てるが」

ゴミ箱にはナギの同人誌が結構な数が捨てられており、買ったお客さんたちは明らかにナギの漫画が目当てではないと分かってしまった。

「(私は、なりたかっただけなんだ)」

すると、畳みかけるように

「すみません、この同人誌もうないんですか?」

ルカの元へお客さんがやってきて、声を出せないルカはジャスチャーで伝えようとしたが、直ぐにハヤテが駆け付け

「すみません。もう完売しちゃいまして」
「なんだ。残念だな」
「次からは早めに来ないとな」
「ああ。また買えないもんな」

お客さんの言葉は明らかにルカの同人誌を褒め称えていた。

「(ただ私は、特別な何かになりたかっただけなんだ)」

「おめでとうございます。やりましたね」
「うん。ハヤテ君のお蔭だよ」
「ルカさんの実力ですよ」

ルカは素直に喜びをかみしめていた。すると、ナギの視線に気づきナギに向けて親指を立てて、喜びを伝えた。

「う、うわあああ」
「あっ、おい。ったく」

悠太は頭を軽く2,3回掻き

「ここは頼むな」

そう言うと、ナギの後を追った。

因みに

「(フフフフフフフフフフフフフフ♪ナギったらあんなにショックを受けて♪しかも漫画が酷評されて私的には結果オーライですね〜♪これはまたコレクションが♪ああ♪)」

こんな風に喜んでいる人がいたそうだ。


                      × ×


一方のナギは、コミサンが開催されていたビルの屋上に駆け上がり

「うわあああ」

叫んでいた。

「お嬢様」

そこへ悠太が駆け付け、直ぐにハヤテと千桜も駆け付けた。

「ねえ悠太」
「真山君」
「任せな」

悠太がナギに近付くと、

「どこでだ?」
「え!?」
「どこでこんなに差が付いたんだ!!私だって売れるように努力した。なのに!!!」

「任せろ」と言われていたため、ハヤテも千桜も敢えて何も言わずに悠太の言葉を待った。

「ハヤテ、ルカの同人誌あるか?」
「うん。試し刷りのやつだけど」

悠太はハヤテから同人誌を借りると、

「読んでみろよ、それ」
「ルカの、か」

同人誌を呼んだナギは思わず吹き出し

「「どこで差が付いた」か。それを読めば一発なんじゃないか?」

悠太は鉄柵に寄りかかり

「確かにお嬢様はすげえよ。でもな、「漫画を売る方法」を考えたとき、ルカは「面白さ」で売ろうと努力した。その結果がそれさ。で、お嬢様は「豪華のおまけの力」で売ろうとした。それが今回の結果だ」

悠太はナギの様子を窺いつつ間を開け

「この対決に向けて、ルカの方は「面白さ」を徹底し、お嬢様は「おまけの豪華さ」に徹底した。お嬢様の言う差はこれなんじゃないか?現に、同人誌への評価を聞いて実感済みだろ?」

ナギは言い返せなかった。

「大丈夫さ。お嬢様はただ、間違っちまっただけさ。「漫画を売る方法」の答えの出し方をな」
「悠太」
「「努力は裏切らない」ってよく言うだろ?でも、努力の方法を間違えれば、裏切られるのさ。今回のお嬢様みたいにな」

悠太の言葉に自らの過ちに気付き、ナギは

「悠太、千桜。マリアに伝えてくれ。写真集と同人誌はばら売りしてくれと」
「了解」
「ああ」

悠太が売り場へ戻ろうとしたその時

「だったら、このままでは終われないだろ?」

千桜がこんな事を言い出した。


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以上です。

次回は続きです。

では。
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Re: 女神と共に第三部 2nd (3月15日更新) ( No.13 )
日時: 2015/03/15 18:09
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
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前回、ナギはルカに負け、悠太に諭されて過ちに気付いた。そこへ千桜が「このままでは終われない」と言った。


一方その頃。

「ありがとうございました〜♪」

売り場に残されたマリアさんは売り子を続けていた。
そこへ

「マリアさん、抜けててすみませんでした」

悠太が戻って来た。

「あら?ナギと千桜さんは〜?♪」
「「大事な用がある」って何処かに行っちゃいましたよ。なので、俺達で続けましょ」
「そうですね〜♪」

悠太は売り子になって少しすると、ある違和感に襲われた。

「(なんだろう。マリアさんが妙に笑顔だ。しかもその笑顔は「怖い笑顔」だ。なぜだ?)」

悠太の疑問の答えは

「(フフフフフフフフフフフフフフ♪ナギったら私にこんな事させて♪これはもうナギの恥かしい写真をネットに流すしかありませんね〜♪私のコレクションの中からどれを流出させましょうかね〜♪ああ♪)」

こんな事を考えているからである。


                      × ×


一方その頃のナギ達。

「なあ綾崎君、真山君たちだけに任せて大丈夫か?」
「大丈夫ですよ。悠太もマリアさんも優秀ですからね」
「そっか」

3人は会場を後にし、地下鉄に乗り込んでいた。

「それで、どこに行かれるんですか?」
「何、このままへこみっぱなしじゃ終われないだろ?だから、火をつけてやろうと思ってな」
「はあ」

ハヤテが見ると、ナギは落ち込んでいた。

「(私は愚かだった。「面白い漫画を描く」と言う目的だったはずなのに、それを忘れて暴走した。「売れればいいんだ」と言う間違った極論に辿り着き、手段を問わなくなった。だからマリアに悪いことしてしまったな)」


ナギはそう思ったが、会場に残った2人は

「マ、マリアさん。ご自分の写真集をご自分で売って恥ずかしくないんですか?」
「そうですね〜♪」

嫌な予感がした悠太は

「サ、サキさん、そこは触れないのがマナーっすよ。お嬢様が勝手に作って無理やり売り子にさせられたんですから」
「あ、そうなんですか。な、なんかすみませんでした」

そう言うと、サキさんは「申し訳ないオーラ」を出しながら帰って行った。

「(やれやれ。残って正解だったかな?)」

こんな感じだった。


話はナギ達に戻し。

「でも、大丈夫でしょうかね。ナギさん随分落ち込んでますが」
「大丈夫さ。あいつはかなりの漫画好きなんだ。きっとな」
「そうですね」

すると千桜は

「(ちょ、ちょっと待て。なんで今私は「ナギは居るが、綾崎君と出掛けるなんてデートみたいだ」なんて思って喜んだんだ?しっかりしろ。デートなんかじゃないし、喜ぶな)」

こんな風に悩んでいた。

まあ、特別なにも無く電車は目的地に着き、3人とも降りた。

「随分遠くまで来たが、どこまで連れていくつもりなのだ」

千桜はナギの質問に敢えて答えず、

「このまま負けっぱなしってのは嫌だろ?だから、見せておこうと思ってな」
「何を?」
「あれだよ」

歩みを止めた千桜の横に立ち、指さした方を見た。

「あ、あれは」
「そうさ。東京ビッグサイトだ。ここで8月12日から3日間、日本最大の同人誌イベントがある。今日の事が失敗と分かってるなら、正す事はできるはずだ」

千桜は一旦言葉を切り、

「2か月後、お前はこれに出るんだ。今日負けた自分にリベンジするんだ」

はっぱを掛けられたナギの目付きは鋭くなり、

「(そうさ、リベンジするんだ。今日負けた自分自身に。私は孤独じゃない。支えてくれる仲間がいる。だから)」

ナギが決意を固めていると

「ナギ」

ルカが現れた。

「ルカさん、どうしたんですか?」

ハヤテが声を掛けると、ルカは一瞬だけ顔を緩ませ

「帰りに見ておこうと思ってね。それより」

ルカはナギと睨み合った。そして

「待っていろ」
「・・・」
「2か月後、私はお前に勝つ!!!お前を越えてやる!!!絶対にだ!!!!」

ナギの宣言にルカは

「残念だね。私は待ってないよ。私はナギを突き放す。覚悟しなさい」
「望むところだ!!!」

今のナギとルカの間にはアニメならば炎の背景が間違いなく出ているだろう。

「あ、ハヤテ君。送ってってね。駅で待ってるから」

ハヤテにそう言うと、ルカは歩いて行った。

それを見送ると、ナギが

「なあハヤテ、私は勝てるかな」
「え!?」
「ルカにだ。勝てるよな」

ナギの形相にハヤテは

「それは、分かりません。ですが、ナギさんならきっと勝てますよ」
「そうかな」

不安そうなナギにハヤテは

「作者さんは、「色々あって夢を諦めざるを得なかった人」なんです。ですから、ナギさんみたいに「夢をかなえられる力があるのに、中々上手く行かない人」には特別思い入れがあるみたいなんです。ですからきっと」

こう言ってナギを慰めた。
するとナギはハヤテに抱き付き

「分かった。頑張ってみるよ。うまくいく保証はないけどな」
「応援します」

ナギの中には新たな決意の炎が宿ったようだ。

因みに、

「(お、おいおい。なんで私はナギに嫉妬してるんだ?なんで綾崎君に抱き付けて羨ましいなんて思ったんだよ)」

千桜はこんな風に悩み、こっそり見ていたルカは素直に?嫉妬していた。


こうして同人誌対決は一旦は決着した。

だが、2か月後に再勝負が待っている。

今度もまた、結末は誰にも分からない。


因みに、マリアさんの写真集は完売だったそうだ。


                   × ×


時を同じく、白皇の理事長室。

「あ、あの理事長」
「なんですの」

理事長のアテネと理事の1人の葛葉キリカが仕事をしていて、機嫌が悪そうなアテネに恐る恐る声を掛けていた。

「な、なんだかイライラしてません?」
「ハヤテのせいですわ」
「え!?」
「最近甘えさせてくれないんですわ。全く」

そう言われたキリカは

「(やれやれ。また禁断症状か)」

と呆れ

「橘君が辞めたことで、飛び級枠が空きましたね」
「それならもう決まってますわ。入りなさい」

アテネがそう言うと、大きなカバンを背負った女の子が入って来た。

「この方が新しい飛び級生、剣野カユラさんですわ」

このカユラが新しい波乱の元になるとはこの時、カユラ本人でさえも知らなかった。


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以上です。

次回は未定です。

では。
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Re: 女神と共に第三部 2nd (3月18日更新) ( No.14 )
日時: 2015/03/18 17:22
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
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ここは毎度お馴染み天王州家。

「ん〜♪ハヤテ〜♪」

今日も今日とでアテネはハヤテに抱き付いていた。より正確に言うのであれば、後ろからしがみ付いてると言える。まあ、コアラをイメージしてもらえれば分かりやすいだろう。

「アーたん、今日はどうしたの?やたらに甘えてくるね」
「ハヤテのせいですわ♪」

自分のせいだと言われたが、身に覚えがなかった。が

「最近全然甘えさせてくれてないじゃないですか♪だからですわ♪」
「あ、そう」

離れる意思を感じず、ハヤテは溜息をつくしかなかった。

「一応言うけどさ」
「離れませんわ♪最低でも、今日一日はこのままですわ♪」

長い付き合いのため、アテネが本気だと直ぐに分かった。

「もう」

ハヤテは心の中で呆れつつ、いつものように項を擽ろうとしたが

「無駄ですわ。この私が何の準備もせずに行動するとでも?」

手応えからタオルなどの柔らかい布だと分かり、唯一の手段を封じられたとも分かった。

「やれやれ」
「ハヤテ〜♪」

ハヤテが諦めたことでアテネは抱き付く力を強めた。

こんなやり取りが終わった頃

「ハヤテさん、洗濯・・終わりました」
「ソニアさん、ご苦労様です」

ソニアが入ってきて、ハヤテに報告したが、アテネが抱き付いていることですぐに不機嫌になり

「アテネお嬢様、なぜ抱き付いてるんですか?」
「答える義理はありませんわ」

一触即発の事態にハヤテは

「いつもの「甘えたい症候群」ですよ」
「ああ、そうですか」

ソニアの機嫌が直らないことで、ハヤテは

「じゃ、じゃあ僕他の仕事してきます」

慌てて部屋を出た。

「アテネ、許すまじ」


                     × ×


部屋を出たハヤテは住人の朝食の仕上げをしていた。
すると

「ハヤ兄、おはようさん」

日向が欠伸交じりで挨拶しながらやって来た。

「おはようございます」

笑顔で挨拶を返し、直ぐに仕事に戻った。

「朝食はもうすぐか?」
「あと少しで出来上がるので、お待ちください」
「さよか」

ソニアの時とは違い、日向の機嫌が悪くないと思い、安心と思った矢先

「ところでや。アテネお姉ちゃん、ハヤ兄から離れてや」
「嫌ですわ♪」
「ほう。ウチに対する挑発と取るで」

やっぱり日向の機嫌は悪かった。

「何と捉えようと、今日は離れませんわ」
「フン。それよりハヤ兄」

手招きするので、屈むと、キスしてきた。

「おはようのキスやで」
「あ、はい」
「じゃあウチ食堂におるわ」

そう言うと、アテネを一睨みしてキッチンを出て行った。

「ハ〜ヤ〜テ〜」
「さ、仕事仕事」

アテネの殺気を無視し、朝食を完成させた。
その直後に千桜も起きてきて、挨拶すると食堂へ向かった。


                   × ×


朝食も終わり、食後のティータイムになり

「アテネお姉ちゃん、いい加減離れろや」
「そうよ!!!!羨まし過ぎよ!!!!」

ついに、始まってしまったようだ。

「ハヤテのせいですわ。文句ならハヤテに言いなさい!!!!」
「ハヤ兄は関係無いで。一方的に甘えてるだけやないか!!!!!!」
「その通りよ!!!!!」

激しく睨み合う3人にハヤテは

「あ、あの千桜さん」
「なんだよ」
「止めていただけると、ありがたいのですが」

唯一と言える常識人?に頼ったが

「自分で何とかしろ」
「そ、そんなあ」

冷たく言い放ったが、千桜は

「(な、何で私まで「羨ましい」なんて思ってるんだよ。それだけでなく、私もこの言い合いに参戦したいとまで思ってるんだ?しっかりしろよ、私)」

こんな事を思っていたそうだ。


                   × ×


喧嘩も一段落つき、ハヤテは買い物に出かける事にした。
勿論、アテネはしがみ付いたままだ。

いつも通り、近所の商店街に赴き、安くて品質の良いものを選んで買っていった。
すると、いつもの八百屋で

「おやおや。ご主人様またかい?」
「え、ええ。まあ」

この商店街の人々にはアテネの「甘えたい症候群」は周知なので、特に驚きはしていない。

「大変だね。じゃあ、商品にならない野菜持ってって良いよ」
「い、良いんですか?」
「気にすんなって。こっちとしても、廃品にせずに済むし、お役に立てるからよ」

そう言われ、ハヤテは形の悪い野菜を有難く貰い、帰路に着いた。
その後も、商店街各地で味はいいが、商品に出来ないものを貰い受け、まあまあの大荷物となって帰宅した。

「皆さんいい人ですわね」
「まあ、今日は特別なんだと思うよ」

実際、半ば憐れみなのは言うまでもない。

「さてと、昼食の準備しないと」

昼夜兼用の仕込みをし、

「あ、あのさ。離れてくれない?」
「嫌だと」
「トイレなんだけど」
「なら仕方ないですわ」

アテネは離れたが

「逃げたりしたら、その時は」
「に、逃げないって」

何されるか分かるので、逃亡はしない方が賢明だった。

因みに、アテネがトイレの時もついて行かされ、トイレの前で待たされるという事になりました。


                  × ×


「へ〜。あのアイドルの方はこんな所に住んでたんですのね」

いつも通り、ルカに夕食を届けにマンションに言った時、アテネがこんな感想を漏らした。

「ルカさんはアイドルとは言え、大金持ちって訳じゃないからね」

いつも通りの宅配ボックスに夕食を入れ、メールをしながら答えた。

「あ、帰ろ。皆さんを待たせちゃうよ」
「そうですわね」

ハヤテにとって幸いだったのは、綾子に会わなかったことで、特別なにも無く家に戻って来た。

まあ当然朝の続きと言わんばかりに喧嘩になり、夕食中も喧嘩になっていた。

当然

「アテネお姉ちゃん、いい加減にせいや」

今日は日向の番だったので、当然風呂でも喧嘩になった。

「で・す・か・ら、ハヤテが悪いんですわ」

当然のようにそう言うアテネに日向は思いっきり睨み付け

「もうええわ。それよりハヤ兄、ウチの体洗ってや」
「え!?////////////////////////////」
「なんや?断るんか?」

断ってはいけない雰囲気にハヤテは黙って従った。


そして

「やっぱり来るんやな」

夜寝る時までアテネはハヤテにしがみついていた。

「もうええわ。疲れたわ」

今日一日中喧嘩してたので、日向は疲れもあって諦めモードだった。

「さ、寝よか」
「そ、そうですね」

右側からはアテネ、左側からは日向に抱き付かれ、ハヤテは

「(日向さんはともかく、アーたんは今日は本当に酷いな。そんなに甘えたかったのかな?)」

今日一日を思い出し、ハヤテはドット疲れが押し寄せた。

「(もう寝よ。明日には治ってるでしょ)」

そう思い、眠りの世界に旅立った。


しかし、アテネの「甘えたい症候群」は翌日にも治っておらず、また苦労する羽目になった。


-----------------------------------------------------------------------------------
以上です。

次回は未定です。

では。
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Re: 女神と共に第三部 2nd (3月18日更新) ( No.15 )
日時: 2015/03/20 14:46
名前: ささ

ささです。
アテネ、ハヤテに言っても無駄でしょ。あの鈍感が気づく確率は、白皇に撒いた米粒を見つけるよりも低いだろうから。やっぱりアテネ、大人の階段を登るべきだよ。
ハヤテ、千桜に助けを求めても無駄でしょ。自分の番の度に同衾しているのだから。
道中綾子に会っていたら…想像に難しくないな。
ハヤテがらみだとどこでも賑やかになるね。
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Re: 女神と共に第三部 2nd (3月21日更新) ( No.16 )
日時: 2015/03/21 18:12
名前: masa

こんにちはmasaです。

レス返しの更新です。


 ●さささん

 >>ささです。

 アテネ「感想ありがとうございます♪」

 >>アテネ、ハヤテに言っても無駄でしょ。

 ハヤテ「い、いや。無駄って。そんな事は」
 悠太「・・あるだろ」

 >>あの鈍感が気づく確率は、白皇に撒いた米粒を見つけるよりも低いだろうから。

 アテネ「成程。具体的ですわね」
 メイド長「まあ、確かにその通りですね」

 ハヤテ「・・・」

 >>やっぱりアテネ、大人の階段を登るべきだよ。

 アテネ「でしたら、今夜にでも♪」
 ハヤテ「駄目だって」

 >>ハヤテ、千桜に助けを求めても無駄でしょ。自分の番の度に同衾しているのだから。

 千桜「あ、いや////////////そ、そんな事は////////////」
 日向「あるやろ」
 ソニア「そうよね。違ったら、助けるはずだし」

 千桜「う、うるさい/////////////////////////」

 >>道中綾子に会っていたら…想像に難しくないな。

 ハヤテ「ですよね。なんか、凄い事になるでしょうね」

 ここでは書けないようなことになるかも。

 >>ハヤテがらみだとどこでも賑やかになるね。

 悠太「だよな。羨ましくは・・・無いか」
 マリア「(私的にはコレクションが増えるので、楽しいですけどね〜♪ああ♪)」


 感想ありがとうです〜♪

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Re: 女神と共に第三部 2nd (3月21日更新) ( No.17 )
日時: 2015/03/21 18:15
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
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ここは白皇学院高等部2年生の教室。

「にははー。皆さんどうも〜。瀬川泉だよ〜♪知ってると思うけど、白皇学院高等部に通う女の子だよ〜♪」

突然で驚かれただろうが、まあ、お付き合いを。

「運動も勉強も苦手だけど、元気に通ってるよ♪じゃあここで改めて友達紹介と行こうか♪」

まあ、付き合ってあげてください。

「まずは美希ちゃん。勉強は全くダメなくせに、策を練る事に関しては凄いんだよね。次に理沙ちん。この人も勉強は全然なのに、くだらない事に関しては全力を出すんだよね」

今更紹介することか!?と言う突込みは無しで。

「私たちは初等部からずっと一緒のおバカ3人組。よろしくね」
「「って待て待て。誰が馬鹿だ!!!」」

事実でしょ。

「「泉もバカだろ」」
「ふえ?だっておバカ3人組って」

話が終わらないので、先に進めます。


「今日は6月14日。今月の30日から期末テストだよなー」

美希の呟きに、理沙は苦虫を噛み潰したような顔になり。

「考えようにしてたのに、余計な事思い出させるなよ」

理沙の指摘に美希も理沙も溜息をつき

「赤点を取ったら、1週間補修か」
「夏休み前の優雅な時間をそんな無駄な物に費やすのは馬鹿げてるよな」
「本当だな。「時は金なり」と言う諺への挑戦状だよな」

グダグダと文句を言う2人に泉は

「あ、あのさ。毎年毎年そんな事言ってるんだから、勉強すれば?私もだけど」

泉の指摘に、美希と理沙は「何言ってるんだこいつ」みたいな顔をし

「「何とかならんもんかな」」

明らかに答えの出てる問題に悩んでいると

「勉強しろ。それ以外にあるか!!」

いつの間にか、担任の薫先生が来てて、呆れながら指摘してきた。

「これはこれは。我らが担任の薫先生ではないか」
「何用かな」
「「何用かな」じゃなーい。前回の小テストについてだ」

薫先生の話題に美希も理沙も苦虫を噛み潰したような顔になった。

「お前たちなあ、あのテストは不味いぞ。少しは先生の気持ちを考えろ」

薫先生は溜息をつき

「俺だって、夏休みとは言え色々と仕事があるんだよ。赤点取られたら余計に仕事が増えて大変なんだよ」

先生の超正論に理沙と美希が

「先生はそうおっしゃいますが、やる気のない我々には学校の勉強は難しすぎるんだ」
「そうだそうだ。寝る間を惜しんで寝てる我々には、勉強などする時間がないのですよ」

2人の屁理屈に薫先生は溜息をつき

「お前たちなあ。このままじゃ退学になるぞ。ならないにしても留年だぞ。これがどういう事か分かるよな?」

この問い掛けに3人は敢えて沈黙を貫き

「もう1度2年生をやるんだぞ?という事はだ、進級してきた今の1年生達と一緒に勉強するって事なんだぞ。嫌だろ?そんなの」

薫先生の説得も空しく

「フッフッフ。そんな言葉で我々が勉強するとでも?」
「無駄だな。フッフッフ」

不敵な笑みを浮かべる美希と理沙に対し泉は

「(私は、ちょっと嫌かな。ハヤテ君と皆と別々なんて)」

こう思っていた。

「仕方ない。おい、綾崎」

これまたいつの間にかハヤテが教室に来ていた。

「すまないが、3人の勉強を見てくれないか?」
「なぜ僕に?」

普段真面目な薫先生に驚いていたが

「綾崎は教えるのも上手と言う珍しいタイプだろ?俺は担当教科の体育はともかく、他は苦手なんだ」
「そうだったんですか」

しかし、薫先生はハヤテに

「(本当は違うんだが、建前上はそう言う事にしておいてくれ)」

こう囁き、それに対しハヤテは

「(じゃあなぜ?)」

声を潜めて再度聞き返した。

「(綾崎なら、あの3人も真面目に勉強するだろ。それが本当の理由だ)」

面倒見のいいハヤテだからこその依頼だった。

ハヤテと薫先生が相談している間泉は

「(ハヤテ君と勉強か。も、もしかしたらそれがきっかけで/////////)」

こんな事を考えていた。

「じゃあ頼むな。俺は今日他に仕事があるから」

そう言うと、教室を出て行った。

「で、どうしますか?」
「「何がだい?」」
「何が、って。勉強ですよ。する気はあるんですか?」

この質問に美希と理沙は

「愚門だな。極めて愚門だ」
「あるわけなかろう。そんな物」

偉そうかつ当たり前にそう言う2人にハヤテは頭を抱えた。

「で、でもさ。勉強はした方が良いんじゃない?今回の小テストだって、酷かったみたいだし」
「だよな。私なんか47点だぞ」
「ほう。理沙は47点か。私は43点だから、負けか」

そう言ってるが、本来は薫先生曰く

「このテストは簡単だから、50点以下は正直問題外だぞ」

とか言っていた。

「(え!?2人ともそれくらい取ってたの!?不味いのってもしかして私だけ?)」

因みに、泉の点数は27点だった。

「で、ハヤテ君は何点だったんだ?」
「100点ですけど」
「クッ。天才だねえ」

と言うより、クラスの8割以上が100点である。他は、3人を除けば90点台である。

「良いんですか?このままだと、薫先生の言ったとおり、留年しちゃいますよ」
「それもまた一興じゃないか」
「だよな。下級生と共に過ごす青春も面白そうだ」

真面目な顔をそう言ってきた2人にハヤテは

「やれやれ。薫先生には申し訳ありませんが、やる気のない人たちに勉強を教えても無駄なので、帰ります」
「そうか。貴重な時間を浪費させて申し訳なかったな」
「またな」

泉は帰ろうとしたハヤテを呼び止め

「ま、待ってよ。やっぱり留年は不味いよ。ここはひとつ、心機一転頑張って、勉強会をしようよ。ね」

すがる様にそう言う泉に

「あ、あの。花菱さんも朝風さんも帰っちゃいましたけど」
「あ、あれ!?」

美希と理沙の姿はすでになかった。

「えっと、瀬川さんはいかがいたします?」
「そ、それは」

すると、泉はある事に気付いた。

「(あ、あれ?もしかして、美希ちゃんも理沙ちんもいないって事は、2人きりの勉強会!?これってチャンスなんじゃ)」

ハヤテに好意を持つ泉はこう思い

「わ、私は教えてほしいな。あの2人はああ言ったけど、私は留年嫌だから」
「成程。しかし」
「な、何!?やる気ならあるよ」
「あ、いえ。そうではなくて」

ハヤテは言うべきかどうか悩み

「アーたんが許してくれるかどうか」

3人との勉強会ならともかく、放課後の誰も居ない教室に2人きりと言うシチュエーションはアテネからすれば大問題だが

「り、理事長さんなら私が説得するよ」
「どうやって、ですか?」

泉は必死で考え

「せ、生徒が留年しそうなのに、黙って見過ごすのはいかがなものでしょうか?って。そうすればきっと」
「まあ、一応聞いてみますか」

ハヤテはアテネに電話し、事情を説明した。
まあ、当然一悶着あったが

「仕方ありませんわ。ですが、ハヤテに手を出したりしたら、問答無用で退学ですわ!!!!」

とか言われたが、何とか許可は出た。


こうして、ハヤテの激務は追加された。


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以上です。

次回は未定です。

では。
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Re: 女神と共に第三部 2nd (3月24日更新) ( No.18 )
日時: 2015/03/24 15:55
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
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ここは白皇学院生徒会室。


「ふーっ。悪いな、いつも」
「いえいえ」

現在、千桜はハヤテに肩を揉んでもらっていた。
なぜかというと、ハヤテが生徒会への書類を持って来た際、千桜が肩が凝ってそうだったので、ハヤテが提案したためである。

「相変わらず君は上手いな」
「ありがとうございます」

ハヤテがマッサージしていると、

「あら。随分とうらやm・・楽しそうなことしてるわね」

愛歌さんが来て、そう言ってきた。

「え、えっと。綾崎君がやってくれると言ったので、その厚意に甘えようと」
「別に慌てる必要は無いんじゃない?弄りはしないわよ」

そう言われたが、千桜はあんまり安心できなかった。

「で、どうなの?気持ち良いの?」
「あ、はい。いつも通り気持ちいいです」
「ふ〜ん」

すると、愛歌さんは

「(いつも通りって事は、何回もやってもらってるって事!?私ったらまた。嫉妬なんて醜いわね。千桜さんは天王州さんの家に厄介になってるんだから、不思議は無いのに)」

こんな風に複雑な感情に見舞われていた。
因みに、愛歌さんは千桜が天王州家に居候していることは知っていたのです。

「あ、あの愛歌さん」
「何かしら?」

考え込んでいる所にハヤテに話し掛けられた。

「良ければ、愛歌さんにもマッサージしましょうか?」
「え!?」

思ってもみなかった提案に

「い、良いの?」
「僕でよければ」

気付かれない様に頬を染めた後

「じゃあお願いしようかしら」
「お任せください」

そう言うと、ハヤテは愛歌さんの肩を揉み始めた。

「本当。気持ち良いわね」
「ですよね?これはそうそう簡単には真似出来ませんよね」

半ば自慢げの千桜に対し、愛歌さんは気持ちよさで聞こえてなかった。

「(私ったら、たかがマッサージでこんなに喜んで。相手がハヤテ君だからかしらね)」

そう思ったがすぐにでも

「(いけない事って分かってるくせに、どうしてこうもハヤテ君への好意を持っちゃうのかしらね)」

愛歌さんがマッサージを受けているその頃、生徒会室の扉の前では

「(う、嘘。愛歌ったらハヤテ君にあんな事してもらってるの!?)」

こっそりヒナギクが見ていて、羨んでいた。

「(そ、それに。千桜がさっきいつもやってもらってるみたいな事も言ってたわね。う、羨ましいな)」

そう思ったが、直ぐに立て直し、扉を開けた。

「あら、ハヤテ君来てたのね」
「あ、はい。書類を持って来たので」
「そうだったの。いつも悪いわね」

何も見なかったふりをし、会話していた。

「じゃあ2人とも、仕事を片付けちゃいましょ」
「「はい」」
「あ、手伝います」

ハヤテの提案にヒナギクと愛歌さんは喜んでいた。
すると

「良いのか?またアテネの「甘えたい症候群」に苦労する羽目になるぞ」
「まあ、そうなんですけどね」

千桜の指摘にヒナギクと愛歌さんは

「(千桜ったら、余計な事を。折角ハヤテ君と居られると思ったのに)」
「(私ったら、馬鹿ね。千桜さんに対し「余計な事するな」って思っちゃったんだから。最近の私は醜い事ばかり浮かぶわね)」

それぞれこんな事を思っていた。

「大丈夫ですよ。事情を話さば分かってくれますって」
「ならいいんだが」

ハヤテが手伝う事になったことに対し、3人は

「(やった。ハヤテ君が手伝ってくれるわ。少ないチャンスを生かせるかしらね)」
「(やれやれ。私ったらいけない事を。ハヤテ君が手伝ってくれることに喜んだりして)」
「(ま、待て待て。なんで私はこんなに喜んでるんだ!?しかも、さっき「帰った方が良い」みたいなことを言ったことを後悔してるんだ!?しっかりしろ)」

それぞれこんな事を思っていた。


                    × ×


今回の生徒会の仕事は多かったが、4人がかりだったので、思いのほか早く終わり

「ありがと。後片付けは私がやっておくから、帰っていいわよ」
「そう。じゃお先に」
「また明日な」

愛歌さんと千桜が先に帰路に着いた。
因みに、千桜は愛歌さんにハヤテと一緒に生活していることに関して色々と問いただされたそうだ。

「あれ?ハヤテ君は帰らないの?」
「最後までお手伝いしますよ」
「そんな。別にいいのに」
「お気になさらずに」

結局、後片付けまで手伝ってもらい

「ふーっ。やっと終わったわね」
「お疲れ様でした」

そう言うと、ハヤテはヒナギクに紅茶を出した。
それを飲みながらヒナギクは

「(そう言えば、私だけじゃないかしら。肩を揉んでもらってないのって)」

そう思ったが

「(ここは素直に「肩が凝ったから、揉んで」って言えばいいんでしょうけど、凝ってないのよね、肩)」

ヒナギクは自分の体の頑丈さを恨んでいた。

「(あれ?でも、「凝ってないと揉んではいけない」って誰も言って無いわよね?「凝ってない時にもむと、逆に悪くなります」とも言って無いわね)」

こんな風にヒナギクが考えていると

「そう言えば。ヒナギクさん、お疲れのようなので、肩でも揉みましょうか?」

ハヤテがこんな提案をしてきた。

「(これはチャンスよ。ここで素直に「お願いするわ」って言えば、揉んでもらえるわね)」

1秒以内にこんな風に考え

「お願いしていい?」
「勿論」
「じゃあ、頼むわね」

ヒナギクがそう言うと、ハヤテはヒナギクの肩を揉み始めた。

「気持ちいいわね」
「ありがとうございます」

ハヤテのマッサージを受けながらヒナギクは

「(あの2人の言う通りね。これは最高の気持ちよさだわ)」

こう思っていた。

そして暫く経ち

「あれ?ヒナギクさん?」

ヒナギクが静かなので、マッサージを止めてヒナギクを見ると、気持ち良さそうに寝息を立てていた。

「寝ちゃったんですね。弱ったな」

そろそろ最終下校時刻なのだが、起こすの可哀想だとも思え

「家まで送るか」

そう思い、ヒナギクをおんぶし、自分のヒナギクの荷物を持って帰路に着いた。


因みに、ヒナギクの家に行った際義母が居て、そのことを弄られたが、適当に誤魔化した。

一応補足しますが、ヒナギクが目を覚ましたのは夜で、ハヤテにおんぶで家まで運んでもらったと聞いて、照れたのは言うまでもないだろう。


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以上です。

次回は未定です。

では。
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Re: 女神と共に第三部 2nd (3月24日更新) ( No.19 )
日時: 2015/03/24 22:42
名前: ささ

ささです。
ヒナギクさん、素直になったじゃん。悠太の指導の賜物か?(ナギ、悠太がライバル増やした!)
千桜、心配ないよ。愛歌さんがハヤテの目の前で弄ることはないから。
まぁ、後日愛沢家全企業と白皇のトップページにハルさんの画像がアップされるかもしれないけど。
(希望すれば天王州家のトップページにも載せるよ。ハヤテとのツーショットで)
ヒナギクさん、頑丈なのは大丈夫だよ。やっぱり子どもは頑丈じゃなくちゃね。(貴方のことではなくて、ハヤテとの子どもです。)

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Re: 女神と共に第三部 2nd (3月27日更新) ( No.20 )
日時: 2015/03/27 19:46
名前: masa

こんにちはmasaです。

レス返しの更新です。

 ●さささん

 >>ささです。

 伊澄「感想ありがとうございます」

 >>ヒナギクさん、素直になったじゃん。悠太の指導の賜物か?

 ヒナギク「まあ、悠太君が前に負けを選ぶことも大切って言ってたでしょ?だからよ」

 >>(ナギ、悠太がライバル増やした!)

 ナギ「・・・」ギロリ
 悠太「違うから睨むな」

 マリア「(このままライバルが増えてくれれば面白んですけどね〜♪そうすればナギが負ける確率が上がって♪ああ♪)」

 >>千桜、心配ないよ。愛歌さんがハヤテの目の前で弄ることはないから。

 千桜「え!?そうなの?信じきれないが」
 愛歌「本当よ。信じなさい」

 >>まぁ、後日愛沢家全企業と白皇のトップページにハルさんの画像がアップされるかもしれないけど。

 愛歌「ハルさん?確か咲夜さんのメイドさんよね?なんか関係あるの?」

 捕捉すると、この小説内では、愛歌さんは「ハルさん=千桜」と言う事実は知りません。

 >>(希望すれば天王州家のトップページにも載せるよ。ハヤテとのツーショットで)

 千桜「そ、それは//////////////////困るような嬉しいような///////////////////////」

 さらに補足です。千桜がメイドさんだと知っているのは、本人を除けば、ハヤテと愛沢家の人たちだけです。

 >>ヒナギクさん、頑丈なのは大丈夫だよ。やっぱり子どもは頑丈じゃなくちゃね。

 ヒナギク「子、子供って。失礼ね。私は子供じゃないわよ」

 >>(貴方のことではなくて、ハヤテとの子どもです。)

 ヒナギク「は、ハヤテ君との子、子供って///////////////////////////そ、そのあの/////////////////////」←気絶しました。

 美希「・・・しっかりしろよ」


 感想ありがとうです〜♪

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Re: 女神と共に第三部 2nd (3月27日更新) ( No.21 )
日時: 2015/03/27 19:49
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
-----------------------------------------------------------------------------------

ある日の夜、都内某所。

「ふう。何とか片付きましたね」
「ええ」

ハヤテはいつも通り、伊澄の仕事の手伝いをしたのであった。

「今回のは強力でしたね。伊澄さん、お怪我とかありませんでしたか?」
「ええ、私は。ハヤテ様は大丈夫ですか?」
「僕は頑丈ですから」

実際、ハヤテは無傷だった。

「それに、伊澄さんが無傷なら、僕は満足です」
「そ、そうですか//////////////////////////////」

伊澄はハヤテの笑顔に赤面しつつ、こう答えた。そして

「(ハヤテ様は本当にかっこいいですね。そう言えば、私は婚約者候補になっておきながら、特別な事は何もしてないんですよね)」

普段の自分の行動を思い返し、アプローチ出来ていない事に今更ながら気づいた。

「(このままじゃ負けちゃいますよね。だったら)」

そう思うと、ある決意をし

「あ、あの。ハヤテ様」
「はい?」
「あ、明日お買い物に行こうと思ってるんですが、一緒に行っていただきたいのです」

頬を染め、モジモジしながらこう言ってきた伊澄にハヤテは

「(一緒にって荷物持ちでもしてほしいのかな?だったら)」

こう考え、

「良いですよ。お付き合いします」

ハヤテにこう言われ、伊澄は

「(ほ、殆ど勢いで言っちゃったけど、これってデートよね?)」

こう悶えていたが

「(なんで買い物ぐらいであんなに嬉しそうなんだろう?そんなに出かけたかったのかな?)」

ハヤテはこんな見当違いな事を考えていた。

「で、では明日の10時に負け犬公園で」
「10時ですね。分かりました」

約束を済ませ、お互い帰路に着いた。


                    × ×


帰宅した伊澄は自室の箪笥を探っていた。

「私って、和服しか持ってなかったのよね。折角のデートなのに、いつもと一緒じゃ味気ないわね」

そう思ったが、自分自身は洋服を1着も持ってないし、他の住人も洋服は持ち合わせてなかった。

「仕方ない、わね」

そう思うと、再度出かける事にした。


「どないしたんや?こんな時間に」

伊澄は咲夜の元を訪れていた。

「じ、実はね、咲夜に私の洋服のコーディネートしてほしいの」
「は?元々おかしい頭がさらにおかしくなったんか?」

咲夜の皮肉を一切無視し、伊澄は事情を説明した。

「成程な。ハヤテお兄ちゃんとデートかいな」
「ええ。折角なのに、いつもと一緒じゃ意味がない気がして。で、でも私は洋服のセンスが分からなくて」

自分を頼ってきた伊澄に対し、咲夜は

「(幼馴染として力になりたいんやけど、お姉ちゃんとしては日向に頑張ってほしいんやけどな)」

こう思ったが、

「(まあ。折角伊澄さんが頼ってくれたんや。ここは力になったろ。ごめんな、日向)」

心の中で一応妹に謝っておき、

「ええで。ハヤテお兄ちゃんを魅了できるように、可愛い服を選んだる」
「ありがと。でも、変なのにしないでよ」
「そこは信用してや」


                   × ×


そして翌日。

「そろそろかな」

ハヤテは約束の1時間前から待ち合わせ場所で待っていた。
すると、

「お、お待たせしました//////////////////////////////」

声がしたので振り返ると、いつもとは違い洋服に身を包んだ伊澄が立っていた。

「あ、あのハヤテ様。変、でしょうか?////////////////////////////」

自分を無言で見つめてくるハヤテに伊澄は顔を赤くしながら恐る恐る聞いた。

「あ、すみません。あまりに可愛かったので、ついつい見惚れちゃいました」
「は、はあ//////////////////////////////」
「あ、勿論お似合いですよ。伊澄さんの可愛らしさが際立って見えます」

ハヤテは嘘偽りなく感想を伝えた。
すると、伊澄は更に真っ赤になり、洋服で来て良かったとも思った。

因みに、どんな格好かはご想像にお任せします。

「で、では行きましゅうか」
「あ、はい」

照れて噛んでしまったが、ハヤテは敢えてスルーした。

2人が歩き出そうとしたその時

「中々面白そうじゃな。このオババも混ぜて貰うぞ」

こんな声が聞こえ、いつの間にか伊澄の曾祖母の銀華さんがハヤテの背中に抱き付いていた。

「お、大お婆様。なぜここに?」
「お主が普段しない格好で出かけたから、面白そうじゃと思ってついて来たんじゃ」

当たり前のようにこういう銀華さんに伊澄は

「帰ってください。大お婆様には関係ないじゃないですか」
「フンッ。たかが買い物じゃろ?だったら、除け者にする必要は無いじゃろ」

伊澄からすれば、唯の買い物じゃないので、当然納得できなかったが

「ま、まあまあ。お2人とも落ち着いて」
「ハヤテ様」
「み、皆で行きましょ。ね?」

ハヤテの説得に伊澄は

「大変不本意ですが、ハヤテ様がそうおっしゃるのなら」
「じゃあ決まりじゃな」

そう言うと、銀華さんは背中からよじ登り、ハヤテに肩車をしてもらう形になった。

「じゃ、行こうかの」

伊澄はせめてもの抵抗に、ハヤテと手をつなぎ、本来の目的である買い物に出かける事にした。

「(伊澄め。こやつと2人きりにさせてなるものか。オババが阻止してやる)」

銀華さんはこんな事を思っていたそうだ。


                     × ×


公園を出た3人は近所の商店街に赴き、その中の和物を揃えている店に入った。

「お買い物って、和服の生地ですか?」
「それもありますが、それに合わせる装飾品も買おうかと思ったので」
「成程」

頷いているハヤテに伊澄は

「それでですね、ハヤテ様に選んでほしいんです」
「え!?僕が、ですか?」
「はい。ハヤテ様にお任せしたくて」

こう言われたハヤテは

「い、いいんですか?僕、和服とかのセンス分かりませんが」
「ハヤテ様が私に似合うと思って選んでいただけたのなら、私は嬉しいです」

笑顔でこう言われ、ハヤテは

「分かりました。一生懸命選ばせていただきます」

元々頼みを断れないのもあり、ハヤテは伊澄に似合いそうな和服の生地を選ぼうとしたが、

「じゃあ、ついでにこのオババの和服の生地も選んでもらおうかの」
「大お婆様もですか?」

伊澄の鋭い目つきに銀華さんは

「なんじゃ?オババとはいえ女子じゃ。お洒落するのに理由は要りまい」
「そうですが」

険悪になりつつある雰囲気にハヤテは

「ま、まあまあ。お2人とも選ばせてもらいますから」
「ほれ見ろ。こやつを困らせるでない」

悪者にされた伊澄は頬を膨らませ

「(とことん邪魔をなさるつもりですね。負けませんよ)」

そう思い、ハヤテが生地や装飾品を選んでいる間

「大お婆様、いつまで邪魔するおつもりですか」
「なんじゃ?気付いておったのか」

当然?ハヤテは気付いていないが、伊澄は銀華さんが邪魔のために乱入してきたと気付いていた。

「折角慣れないお洒落してデートに臨もうと思ったのに、邪魔しないでください」
「嫌じゃ。オババはあやつが気に入っておる。最期の青春くらい大目に見んか」
「できません!!!」

睨み合う2人に気付かずハヤテが戻ってきて

「大体見繕いましたが」
「どれどれ?」

銀華さんは直ぐに睨み合いを止め、ハヤテが選んできた生地と装飾品を見て

「流石じゃな。オババの趣味を見抜くとはな」
「私の趣味まで見抜いてたんですね。嬉しいです//////////////////////////////」

2人とも気に入り、生地を購入した。


                  × ×


店を出た3人は商店街を少し歩き

「そろそろお昼ですね。どうしますか?」

聞かれた2人は悩んでいた。すると

「外食になさいますか?それとも、僕が作りましょうか?」

この提案に2人は直ぐに

「ハヤテ様が作ってくださるなら、私はハヤテ様の手料理が食べたいです」
「オババもじゃ。お主の手料理を食べたいのお」

こう言われ、

「分かりました。では、お2人の家に行きましょうか」

3人は鷺ノ宮家に行くことにした。

家に着くと、ハヤテは早速料理に取り掛かった。

「(伊澄さんたちはきっと和食が好きだろうけど、ありきたりじゃいつも通りになっちゃうだろうしな)」

ハヤテは冷蔵庫に会った食材とにらめっこし、昼食のメニューを決めた。

「(ハヤテ様、料理をしている後ろ姿もかっこいいですね)」
「(オババ最期の青春はこ奴に任せたいのお)」

ハヤテの料理をしている姿を見て、2人はそれぞれこんな事を考えていたそうだ。

そして料理が完成し、家にいた初穂さんとも昼食にすることになった。

「美味しいわね。流石綾崎君ね」
「いつ食べてもハヤテ様の料理は最高ですね」
「ウム。オババも満足じゃ」

3人共から好評価を受け、ハヤテは安心した。

その後は夕方まで遊んだ(正確に言うのであれば、銀華さんに振り回された)。


                   × ×


「お邪魔しました」
「またいつでも来てね」

銀華さんは「泊まっていけ」と言ったが、帰らないと不味いので、帰る事になった。

「和服は出来る限り、早く仕立てます」
「楽しみに待ってますね」
「待っておるぞ」

そう、買った生地を使っての和服作りはハヤテに一任されていた。
本来はお店に頼むのだが、伊澄と銀華さんがハヤテに頼み込んだのだ。

「ではこれで」

そう言うと、ハヤテは帰って行った。
それを見送ると、伊澄一家は屋敷内に戻った。

「で、伊澄ちゃん、どうだったの?」
「な、何がですか」

和服に着替え、寛いでいる所に母の初穂さんがいきなり切り出した。

「何って、綾崎君とのデートよ。大お婆様が居たとはいえ、楽しかったの?」
「そ、それは////////////////////////////////////」

赤くなった娘に初穂さんは

「楽しかったのね」
「は、はい/////////////////////////」

また真っ赤になった娘に

「楽しみにしてるから。綾崎君、いいえ、ハヤテ君のお母さんになる日をね」

そう言うと、初穂さんは伊澄の部屋を出て行った。

「お、お母様ったら、気が早いですよ//////////////////////////」

伊澄は初穂さんの皮肉交じりの言葉の意味をちゃんと理解し、またまた真っ赤になった。

「(チャンスが少ないけど、これからはちゃんとハヤテ様にアプローチをしないと。でないと、唯でさえ私は不利なNo.6なんですから)」

そう思い、決意を新たにした。

-----------------------------------------------------------------------------------
以上です。

次回、ついにあの人物と邂逅。

では。
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Re: 女神と共に第三部 2nd (3月27日更新) ( No.22 )
日時: 2015/03/29 18:11
名前: ささ

ささです。
ヒナギクさん、いいもの見せてもらいました。(なかなか見れるもんではないからね、この映像をハヤテとマリアさんに送信して)
ハルさん写真流出の際は、事前に怪文書を流すよ。そういう視点で見れば気づくでしょ?
それとハヤテとのツーショットの場合日向が勝手に暴露するはずだから。
それでハヤテ、貴方無用心すぎ。道中綾子・クリスに会うor屋敷内でアテネに見つかるリスクは考えているの?(もしかしたら作者さんの意図が隠されているだろうが...)

いいよな千桜は、ハヤテと同居のために愛歌さんに弄られにくくなって。(三バカ、そう思いますよね?)
これにて。
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Re: 女神と共に第三部 2nd (3月30日更新) ( No.23 )
日時: 2015/03/30 16:07
名前: masa

こんにちはmasaです。

レス返しの更新です。


 ●さささん

 >>ささです。

 ハヤテ「感想ありがとうございます♪」

 >>ヒナギクさん、いいもの見せてもらいました。(なかなか見れるもんではないからね、この映像をハヤテとマリアさんに送信して)

 ハヤテ「ヒナギクさん、何かあったんですか?」
 ヒナギク「な、何も無いわよ///////////////////////」

 マリア「(コレクションに加えておきましょう♪ああ♪)」

 >>ハルさん写真流出の際は、事前に怪文書を流すよ。そういう視点で見れば気づくでしょ?

 千桜「や、止めてくれ。学校に行けなくなるし、天王州家にも居辛くなる」
 咲夜「そうなんか?平気やろ」

 >>それとハヤテとのツーショットの場合日向が勝手に暴露するはずだから。

 日向「せやな。おろそうやし、「ついうっかり」口が滑りそうやな」
 千桜「・・・止めて。お願い」

 >>それでハヤテ、貴方無用心すぎ。

 ハヤテ「な、何がですか?ただ単にお買い物に同行して、荷物持ちしただけじゃないですか」
 伊澄「(本当は違うんですが)」

 >>道中綾子・クリスに会うor屋敷内でアテネに見つかるリスクは考えているの?(もしかしたら作者さんの意図が隠されているだろうが...)

 ハヤテ「見つかっても大丈夫ですよ。僕はただ単に荷物落ちしただけですから。それに、アーたんに見つかっても、頼まれただけですから、怒りませんよ」
 アテネ「・・・」

 因みに、意図は無いですよ。

 >>いいよな千桜は、ハヤテと同居のために愛歌さんに弄られにくくなって。(三バカ、そう思いますよね?)

 美希「全くだよな。とばっちりがこっちに来て迷惑だ」
 理沙「そうだそうだ。迷惑だー」

 愛歌「あら?何が迷惑なのかしら?じっくりと聞きましょうか」
 美希・理沙「ヒイ」

 泉「(私は何でか平気なんだよね)」

 >>これにて。

 はい〜♪感想ありがとうです〜♪

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Re: 女神と共に第三部 2nd (3月30日更新) ( No.24 )
日時: 2015/03/30 16:18
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
-----------------------------------------------------------------------------------

ここは毎度お馴染み三千院家。

「で、どうだった?私の漫画は」

悠太はナギが描いた書きかけの漫画を見せられて、意見を求められ、困っていた。

「い、いやな」
「なんだよ。正直に言えよ」

悠太は頭を2,3回掻き。

「急展開過ぎるだろ。いけないとは言わないが、ついていけないぞ、これ」
「な!?いつも分かりにくいって言うから、大衆向けにだな」
「はいはい」

悠太は適当に受け流した。
因みに、どんな漫画かは原作をご覧ください。

「この感じじゃまた負けるんじゃねえか?」
「そ、それは」

ある意味正論とも取れる発言にナギは黙り込んだ。

「だったらさ、ルカみたいにハヤテに意見を求めてみたらどうだ?あいつなら的確なアドバイスを送れると思うんだが」
「そ、そうなんだが。そ、その////////////////////////////////」

急にモジモジしだしたナギに悠太は

「どうした?なんか不味いのか?」

悠太の質問にナギは少しの間モジモジした後

「だ、だって。褒めて貰いたいんだもん。凄いですねって///////////////////////////////」
「あっそ」

悠太は呆れるような感心するやらだった。

「でもさ、あと2ヶ月しかねえんだぞ?どうするんだ?」
「そ、それはだな。だからだ」

答えを模索しているナギに悠太は

「良いアドバイザーでも居ればいいんだがな」
「そっか。悠太はどうだ?」
「俺は無理だよ。姉ちゃんならともかく」
「む〜」

悠太の姉は忙しいので、頼むには気が引けた。

「よしっ、だったら今からアキバに行くぞ。研究だ」
「今からか?俺、この後用事があるんだが」
「なんだよ」
「実家に用事だよ」

悠太としては、同伴したいが、外せない用事なので困ってしまった。
すると、

「こんにちは。遊びに来ました」
「おおハヤテ。丁度良かった」
「な、何が?」

突然言われたハヤテは何の事か分からず、驚くばかりだった。

「お嬢様と秋葉に行ってくれ。俺は用事があるから」
「そう言う事。良いよ」

ハヤテの了解が取れ、悠太は書斎を出て行った。

「じゃあ、ナギさん。出かけましょうか」
「あ、ああ///////////////////////」

急に赤くなったナギに一切気付かず、ハヤテとナギは出かける事になった。

「(これって、デートだよな!?)」

照れるナギに

「(フフフフフフフフフフフフフフフ♪ナギったらあんなに照れて♪何かが起こって欲しいですね〜♪そうすればコレクションが♪ああ♪)」

こんな事を思っていた人がいたそうだ。


                   × ×


2人は秋葉にやってきて、同人誌も売っているお店にやってきていた。

「よしっ、私はまだまだ買いたいものがあるから、ハヤテは近くの公園にでも行って休んでてくれ」

取り敢えずは会計を済ませたが、ナギはまだ満足してなかった。

「お供しますよ」
「気にするな。そんな大荷物じゃ大変だろ?」

確かに、荷物はハヤテが全部持っていて、それは結構な量だった。

「私なら大丈夫だから」
「分かりました。お言葉に甘えさせてもらいます」
「じゃあ、これでも読んで待っててくれ」

そう言うと、ナギは先程悠太にも見せた漫画を渡し、違う店に繰り出した。

ハヤテはナギの厚意に甘え、近くの公園に赴き、ベンチに座って休むことにした。
そして、ナギに渡された漫画を読み

「なんか、凄いな(悪い意味で)」

ハヤテは溜息をつき

「ナギさんには何とか一兆部売れる漫画家になってもらいたいんだよね」

ハヤテが思わずこう呟くと

「一兆部売れる漫画、だって」

突然声が聞こえ、驚いて声のした方を見ると

一つ目の変てこな生物のコスプレをした人?が立っていた。

「な、なんだ!?宇宙人!?」
「慌てるでない」

ただただ驚くハヤテに対し、目の前の人?はそう言い、

「設定上、良い宇宙人だ」
「あ、そうなんですか」

本人?がそう言う以上は信じるしかなかった。

「で、どれが一兆部売れる漫画なんだ?」
「えっと、これみたいですが、読みますか?」

ハヤテが差し出すと、無言で受け取り、隣に座って一心不乱に読み始めた。
そして、読み終わると

「続きは?」
「あ、いや。これは僕が描いた漫画じゃないので、続きは貰ってないのでないんですよ」
「そっか」

隣に座る人?の反応にハヤテは

「(がっかりしてる?若しかして、良さが分かるのかな?)」

そう思い

「この漫画の作者は僕の友人なので、良ければ紹介しましょうか?」
「良いのか?」
「はい」

ハヤテがこう返事すると、

「じゃあ家に上がっていけ。作者がどんな奴だとか聞きたいから」
「え!?いきなりお家には」

ハヤテが言いかけると、コスプレイヤーは目の前に設置してあったテントに入ろうとしていた。

「私の家だ。狭いが遠慮するな」
「(「テントじゃん」って突っ込みはしちゃ駄目だろうな)」

遠慮しなくていいと言われたので、ハヤテはテントに入れて貰った。

「大丈夫なんですか?」
「問題ない。多分」

曖昧な返事にハヤテは呆れるやらなんやらだった。

「じゃあ、聞かせてくれ」

そう言うと、コスプレイヤーは着ていた着ぐるみを脱いだ。

「その漫画の作者の事をな」
「(え!?女の子?)」

着ぐるみの中から出てきたのはハヤテと年が殆ど変らない女の子だった。

意外な事実にハヤテが驚いていると

「警察だ。怪しい者がいると聞き逮捕する」

怒涛の展開にハヤテ

「(ええ〜!?)」

驚くばかりだった。

-----------------------------------------------------------------------------------
以上です。

次回は続きです。

では。
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Re: 女神と共に第三部 2nd (3月30日更新) ( No.25 )
日時: 2015/03/30 19:47
名前: 壊れたラジオ

どうも、今更自分のこの名前がどうなのかと首を傾げ始めた壊れたラジオです。

ナギの漫画は、どこだって似たような物なんですね。
まあ、突然それが誰しもに認められると思ったら、そりゃ難しいでしょう。
でも、褒めて欲しいと言う見栄はあっても、そのアドバイスを受けたうえで、それを活かして向上させた方が、アドバイスをした側としても誇らしいと思えるかもしれないと私は思います。……まあ、個人の意見なので、さらっと流してください。

ナギとハヤテが出かけた場所は……まあ、予想通りですね。
それでもって、あの人の登場の仕方は原作に近いみたいに感じます。
まあ、あの衝撃的な出会いに匹敵するような事ってまずないか……。

この後、この世界のハヤテ君がどう対応するかが楽しみです。


PS
(こっちの世界の)マリアさんへ
どうもお久しぶりです。相変わらずの黒さに脱帽です。
これじゃあ、こちらが持ってる『モンスターに追っかけられる彼女』の写真なんかいらなさそうですね。
それでは、黒くなるのも内臓だけにしておいてくださいね。じゃ。

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Re: 女神と共に第三部 2nd (3月30日更新) ( No.26 )
日時: 2015/04/02 21:59
名前: ささ

ささです。
伊澄と買い物をしていてもアテネは怒らないだろうね。(日向・ソニアもっと言えば綾子も)
「甘える」攻撃(綾子ならハヤテを拉致監禁)はあったのでは?
やっぱりこの出会いか。
悠太、他に頼る人がいないからってハヤテに頼んで平気なの?
なんかマリアさんが(ある意味)喜ぶネタを供給しているようにしか見えない。
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Re: 女神と共に第三部 2nd (4月3日更新) ( No.27 )
日時: 2015/04/03 19:05
名前: masa

こんにちはmasaです。

レス返しの更新です。


 ●壊れたラジオさん

 >>どうも、今更自分のこの名前がどうなのかと首を傾げ始めた壊れたラジオです。

 そうですか?なかなかユニークだと思いますよ。 あ、感想ありがとうございます♪

 >>ナギの漫画は、どこだって似たような物なんですね。

 悠太「まあ、そうだろうな。それがお嬢様だし」
 ナギ「・・・」

 >>まあ、突然それが誰しもに認められると思ったら、そりゃ難しいでしょう。

 ナギ「そ、そうだが。世の中何が起こるか分からないじゃないか」

 >>でも、褒めて欲しいと言う見栄はあっても、そのアドバイスを受けたうえで、それを活かして向上させた方が、アドバイスをした側としても誇らしいと思えるかもしれないと私は思います。……まあ、個人の意見なので、さらっと流してください。

 ナギ「い、いやな。ハヤテに内緒で上手くなって、「凄いですね、ナギさん」って褒めて貰いたかったんだよ////////////////////////////////だ、だからその//////////////////////」

 >>ナギとハヤテが出かけた場所は……まあ、予想通りですね。

 悠太「お嬢様の行動範囲は限られてるからな」

 >>それでもって、あの人の登場の仕方は原作に近いみたいに感じます。
  まあ、あの衝撃的な出会いに匹敵するような事ってまずないか……。

 まあ、そこを変える必要は無いと思ったので、そのままにしました。

 >>この後、この世界のハヤテ君がどう対応するかが楽しみです。

 結構すごいことしますよ。詳しくは本編にて。

 >>PS
  (こっちの世界の)マリアさんへ
  どうもお久しぶりです。相変わらずの黒さに脱帽です。
  これじゃあ、こちらが持ってる『モンスターに追っかけられる彼女』の写真なんかいらなさそうですね。
  それでは、黒くなるのも内臓だけにしておいてくださいね。じゃ。

 マリア「あらあら〜♪誰が黒いんですか〜♪私は聖母ですよ、せ・い・ぼ♪ まあ、彼女が誰かは分かりませんが、貰っておきますね♪ああ♪」


 感想ありがとうです〜♪










 ●さささん

 >>ささです。

 アテネ「感想ありがとうございます♪」

 >>伊澄と買い物をしていてもアテネは怒らないだろうね。(日向・ソニアもっと言えば綾子も)

 アテネ「そう、ですわね」
 日向「ただの買い物やからな」
 ソニア「そ、そうよね」

 メイド長「(3人とも顔が引き攣ってますよ)」

 >>「甘える」攻撃(綾子ならハヤテを拉致監禁)はあったのでは

 ハヤテ「あ、いえ。ありませんでしたよ。だって、唯の買い物じゃないですか」
 伊澄「(ち、違うんですけどね。気付かないかもしれませんが)」

 >>やっぱりこの出会いか。

 まあ、変える必要はありませんから。

 >>悠太、他に頼る人がいないからってハヤテに頼んで平気なの?

 悠太「別に平気だろ?ハヤテなら色々と頼れるし、お嬢様も喜ぶし」

 >>なんかマリアさんが(ある意味)喜ぶネタを供給しているようにしか見えない。

 マリア「そうですね〜♪色々と起こってくれると、もっと面白いんですけどね〜♪ああ♪」


 感想ありがとうです〜♪

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Re: 女神と共に第三部 2nd (4月3日更新) ( No.28 )
日時: 2015/04/03 19:11
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
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前回、ハヤテはコスプレをしている少女に出会い、その少女がいきなり逮捕されてしまった。


あまりの衝撃にハヤテは一瞬ではあるが、茫然としていたが

「って待ってくださいよ。なんでいきなり逮捕なんですか」

ハヤテの問いかけに警察官は立ち止まり、

「なんだね君は。知り合いか?」
「え、ええまあ」

知り合ったばかりだったが、取り敢えず話を合わせておいた。

「この子はここに居座る問題児なんだ。だから逮捕した」
「だ、だからって」
「知り合いなら、君にも来てもらう必要があるが?」

ハヤテは悩んだ。この場を切り抜ける方法は確かにある。しかしそれは、あまりやりたくない方法でもある。
しかし、目の前の少女は表情では読み取りにくいが、助けを求めていると長年の執事生活で培った直感で分かり、やむを得ずその方法を実践することにした。

「いきなりの逮捕ととはずいぶん乱暴ですね」
「何!?」

ハヤテは敢えて挑発的な態度を取り、それに強めに反応していた。

「この公園には「寝泊まりしてはいけません」ってルールはありませんよ」
「そ、それは」
「仮にあったとしても、まずは「注意」から入るべきじゃないんですか?それをいきなり「逮捕」と言う強硬手段とは乱暴じゃないんですか?」

ハヤテの正論に警察官も黙り込み、動揺したままなのか、声が震えたまま

「そ、そうかもしれんが、怪しい格好でいると」
「そんな事言い出したら、秋葉原に居るコスプレイヤーの人達を全員逮捕しなければいけなくなりますよ?」

またしても正論に警察官は必死で言葉を模索しているようだったが、ハヤテは畳みかけた。

「この事を訴えでもしたら、貴方の立場は相当危うい物になると思いますよ?」
「え!?」

「何の罪もない年端もいかない少女を注意もせずにいきなり逮捕したとなれば、間違いなく立場は危ういでしょうね。貴方は勿論、貴方の上司も「責任問題」となって、警察官で居られない可能性は高いでしょうね」

ハヤテは敢えて、挑発的な態度を続けていた。

「まあ、それでもいいというなら、逮捕すればいいじゃないですか。無論、そんな事をすれば、訴えますよ、僕は。横暴な権力として」

ハヤテの脅しに近い正論に警察官は慌てて少女にかけていた手錠を外し

「し、失礼いたしました」

震えながら敬礼していた。

「貴方様の言う通りですね。まずは注意ですよね。私が間違っておりました。ど、どうかこの事は内密にしていただきたいのですが」

不安に押しつぶされそうな相手にハヤテは挑発的な態度を止め

「勿論ですよ。ただ、次は無いですよ?」
「は、はい!!!!!」

警察官はそう言うと、大慌てで帰って行った。

ハヤテは溜息をつくと少女の方へ向き

「大丈夫でしたか?」
「え!?あ、うん」

少女は軽く深呼吸すると

「ありがとう。助かったよ」
「いえいえ。お役に立てて光栄ですよ」

ハヤテはいつもの必殺キラースマイルを少女に向けた。
すると

「(な、なんだ今の感覚。ま、まさか・・・恋!?)」

少女の動揺に気付かず、ハヤテは

「えっと、何か?」
「あ、い、いや。何でもない」
「はあ」

首を傾げるハヤテに対し、少女は

「剣野カユラだ」
「へ!?」
「自己紹介がまだだったなって思ってさ」
「そう言えば、そうでしたね。綾崎ハヤテです」

ハヤテとカユラは握手した。
すると

「お〜いハヤテ〜。って、誰だそいつ」

ナギが大荷物を抱えてやって来て、訪ねてきた。
ハヤテは軽く事情を説明した。

ハヤテがナギに説明している最中、カユラは

「(さっきのあの感覚。私の勘が正しければ、恋と言うものだ。まさか、この私が?)」

こう思ったが

「(い、いや。この結論にはまだ早い。もう少しこの人と交流を深め、ちゃんとした結論を出すべきだ)」

直ぐに切り替えた。

カユラの思考が落ち着いた頃

「あ、そうだ。ナギさん、お願いが」
「私に、か?」


                     × ×


「そう言う訳で、新しい住人を連れてきた」
「えっと、どういう訳で?」

ナギとハヤテはカユラを連れて三千院家に戻り、何の前置きも無くマリアさんに言い、当然マリアさんは訳が分からなかった。

「まあ、訳は後で話すよ。今日からこの家に住む剣野カユラだ」
「よろしく」
「は、はあ」

諦めたのか、事情聴取は止めたようだ。

「良いんですか?親御さんとかは」
「問題ない。カユラは、どこだって生きていける。その証拠に、この家の庭で、テント生活するから」

そう言うと、カユラは外に出てテントを組み始めた。

「い、いや。お前には客間を用意するし、そこで生活すれば」
「いや、いい。テント生活の方が慣れてるから、そっちのほうが落ち着く」
「そ、そうか」

ナギは若干残念そうになったが

「カユラがそう言うなら、それでいいよ。屋敷内だったら、冷暖房完備だが、そっちの方が良いなら」

ナギがそう言いかけた途端、

「やっぱ、客間貸して」
「へ!?」
「冷暖房、大事」
「あ、ああ」

ナギは呆れつつも空いていた客間に案内した。
因みに、建てている最中だったテントと、カユラの荷物はハヤテが運びました。

「そう言えば、剣野さんは」
「カユラで良い。そう呼んでほしい」
「カユラさんは、なぜ秋葉で路上生活を?」

ハヤテの質問に、カユラは部屋にあった本棚に本を仕舞いながら

「限定版が買いやすいからな」
「「え!?」」

2人が驚いていると、マリアさんが部屋に来て

「カユラさん、お荷物ですよ」

大きめの段ボール3箱をSPに運ばせていた。

「それにだ、店舗特典やレア物が手に入りやすい。それが理由だ」

カユラが開けた段ボールには大量の本が入っていた。

「若しかして、これって」
「そう。漫画だよ」

箱の中の漫画を取り出しているカユラにナギは

「な、なあ。気になっていたんだが」
「何?」
「カユラって名前って若しかして」

ナギの言葉を遮るようにカユラが

「「鎧伝サムライトルーパー」のヒロイン「迦遊羅」からだ。両親が大ファンだからな」

答えを言った。
すると

「へ〜。なんだか、貴方にお似合いの可愛い名前ですね」
「え!?あ、ああ。ありがと////////////////////////」
「? いえいえ」

ハヤテからすれば、いつも通り何気なく褒めただけだったが

「(な、なんだよ今の。ただ褒められただけなのに、なんで異常に嬉しく感じるんだ?さっきに仮の答えと繋がっているのか!?)」

カユラはこんな事を思った。
当然ナギは気付かず

「若しかして、その漫画好きは」
「両親の影響だ。生まれたときから漫画やアニメ、ゲーム漬けだった。私はこの13年で10万冊以上の漫画を読んできた」

カユラの言葉にナギは

「(こいつ、本物のエリートだ。オタクエリートだ)」

感心していた。
すると

「なんか、凄いですね。憧れすら抱くほど」
「そ、そうか?/////////////////////////////」

ハヤテの褒め言葉にまたしても

「(またか。やっぱりこれって)」

自らの出した考えを振り払うかのように

「10万冊以上も読んだが、いなかったよ」
「な、何がなのだ?」
「一兆部売れる漫画を描きたいって言った奴だよ。だから、興味が出た」

カユラの言葉にナギは惹かれていた。

「で?どんなのだ?「一兆部売れる漫画」とやらは」

カユラの問いかけにナギは答えられなかった。
そして答える代りに

「何、これ」
「私が書いた同人誌だ。10部も売れなかった。だから、一兆部なんてまだまだ」
「10部も、ね」

カユラはナギから受け取った同人誌を見て

「これがか?どう見てもメイドさんの写真集だが」
「だーっ。違う違う。こっちこっち」

慌てて奪い返し、本来の同人誌を見せた。

「まだまだなんてネガティブな言葉を発するって事は、一兆部なんて口だけか?」
「ち、違う!!!私は本気で狙ってる!!!だ、だが届かないんだよ。私の面白いと思う漫画が」

声を荒げるナギにカユラは

「届いてるよ私には」
「え!?」
「だから、安心しろ」

カユラの言葉にナギは笑みを浮かべた。

その一方ハヤテは

「(そう言えば、悠太が探してたよな。ナギさんにとっての良いアドバイザーを。もしかしたら、ナギさんの漫画を理解できるカユラさんだったら)」

そう思うと、

「カユラさん」
「ん!?」
「ナギさんのアドバイザーになってもらえませんか?カユラさんだったら、ナギさんを良い方向へ導けると思うんです」

ハヤテの提案にカユラは

「駄目、だな」

「「え!?」」


-----------------------------------------------------------------------------------
以上です。

次回は続きです。

では。
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Re: 女神と共に第三部 2nd (4月6日更新) ( No.29 )
日時: 2015/04/06 17:21
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
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前回、カユラにナギのアドバイザーになって欲しいと頼んだが、「駄目だ」と言われてしまった。


「だ、駄目ってどうしてですか!?」

聞いてきたハヤテの顔をカユラは少しの間見つめてきて、

「だって、知り合って間もないし」
「あ」
「それに、私も漫画読むのに忙しいし」
「そ、そうですね」

納得出来る様な出来ない様な説明にハヤテは取り敢えずは同意しておいた。

すると、ナギが

「やっぱり、誰かに教わった方が良いのかな」
「ナギさん?」

ハヤテがナギを見ると、とても不安そうだった。

「そうすれば、私の漫画ももっと沢山の人が読んでくれるようになるのかな?」

すっかり元気をなくしたナギにカユラは

「元気がないな」
「・・・」
「そんな時はコスプレが一番だ」
「へ!?」

面食らってるナギにカユラは

「見せてやる。見本を」

そう言っていきなり服を脱ぎだした。

「って何いきなり脱いでるのだー」
「だって、脱がないと着替えられないし」

そう言いながらも、カユラは上半身裸になり、さらにスカートも脱ぎだした。

「そうじゃなくて、は、ハヤテが居るじゃないか」
「だ、大丈夫ですよ。ぼ、僕後ろ向いてるので/////////////////////////////」

ハヤテは、カユラが脱ぎそうになった瞬間、大慌てで後ろを向いていた。

「そう言う事だ。それに、私は気にしない」
「だ、だからって。  って、えーーーい。服着ろー」

既に下着姿になっていたカユラは渋々元の服を着て、ナギを着替えさせた。
因みに、ナギが着替えている間ハヤテを部屋を出て、着替え終わった後に部屋に戻りました。
更にいうと、ナギが着替えている最中、カユラは

「(着替えや裸を見られても気にしないと言ったのは本当なんだよな。「綾崎君になら見られてもいい」と思った。やっぱりこれって、恋、なのか!?)」

こんな事を考えていたそうだ。

「で、なんなのだ?この格好は」
「ヒーローのコスプレだよ」

ナギは自分の格好に見覚えがあった。

「幸い、これは小説だ。だから安心しろ」
「そう言う問題か?」

呆れるナギにカユラは

「で、どうだ?」
「な、何がだ?」
「ヒーローのコスプレをする。つまり、自分もヒーローになった気がして元気が出るだろ?」
「出るかーーー」

声を荒げるナギにハヤテは

「ま、まあまあ。お似合いですから、落ち着いて」
「に、似合うかな?///////////////////////////////」

ハヤテの褒められて照れていた。そこへ

「誰の力も借りずに戦うヒーローの気持ちになる事すら出来ないのか」
「な、何?」

冷静さを取り戻しかけていたナギにカユラは

「アドバイスが欲しい、と言ったな?」
「あ、ああ」
「だったら、くれてやるよ」

カユラの言葉にナギは息を呑んだ。

「読者が読みやすいように、台詞や回想を減らせ。誤解を生む可能性がある表現を避けろ。老若男女が読みやすいストーリーにするために、簡潔にするべきだ」

的確なアドバイスにハヤテは

「そ、それですよ。それがあれば」
「って言うのは嘘だ」

思わず感想を言ったが、カユラが遮った。思わぬ言葉で。

「前人未到の領域に達しようとするやつが、こんな誰しもが実践してそうな方法で行けると思うか?その領域に。 否、行ける訳が無い。絶対にだ」

カユラの言葉をナギはただ黙って聞く事にした。

「自分の面白いと思うものが届かない。と言っていたな? だからこそ、常識的な方法を求め、誰かに正解を聞きたくなる。 だがな、そんなのは弱者の考えだ。不可能と言える夢を可能にするのには、弱者じゃ不可能だ」

カユラはここまで一気に言うと、いったん間を開け

「誰も行ったことが無い未開の大地に案内人なんか居ない。分かるだろ?」
「で、でも。誰にも分かってもらえない」
「恐れるな!!恐れて夢を下方修正なんかするな!!」

語句を強めたカユラにナギは気圧された。

「顔色なんて窺うな。自分を信じ、これが正論なんだと言い切れ!!」
「で、でも。信じる事が出来なくなったら?」
「努力だ。努力をすれば、自分を疑う材料なんか消し飛ばせる」

カユラは再度言葉を強めていた。

「有象無象の言葉なんか聞くな!!雑音も徹底的な無視を決め込め!!孤独も恐れるな!!他人の物差しで自分を測り直すな!!味方がゼロでも無視だ!!周りの声がうるさいなら、「自分が正しいんだ」と言って黙らせろ!!!」

カユラはナギの胸に拳を軽く当て

「捩じ伏せろ!!!!全てをだ!!!!」

こう言い切り、さらに続けた。

「そうじゃなきゃ、お前が行きたがってる「前人未到の領域」になんか行けない!!!行けるのは、ごく少数とはいえ、誰かが居る領域だよ」

カユラの言葉にナギは

「で、でもそんなやり方で誰も私の漫画を読まなくなったら」
「大丈夫だ。私が読むよ」
「僕も、及ばずながら」

ハヤテは敢えて口を挿み、ナギを安心させる材料を増やした。
それを聞き、カユラは笑みを浮かべつつ

「お前さんの漫画は、私や綾崎君が読むよ。一兆部の1人目と2人目になる。だから、自分を信じろ」

ナギを諭し、さらに

「アドバイスが欲しいなら、いつでもくれてやる。読んでほしいなら、読んでやる。それが、ここの宿代替わりだと思ってくれ」

カユラの言葉にナギは

「ありがとう。なんか、元気出たよ」
「それは良かった」
「じゃあ、描いて来る。私の漫画を」

そう言うと、ナギは着替えもせずに部屋を出て行った。

「流石、ですね。ナギさんを完全に元気にするなんて」
「そ、そんな事は///////////////////////」
「謙遜はよしてくださいよ。凄かったですよ。思わず尊敬しちゃいました」

ハヤテの褒め言葉と、必殺のキラースマイルにカユラは

「(この胸の高まり。そして、熱を持つ頬。やっぱりこれは恋だな。この私が、な)」

こう思い、ハヤテの顔を横目で見ながら

「(綾崎、ハヤテ君。か。この私の「恋と言う名の扉」を開けさせた罪を何れ償ってもらうか。でも、今は少しずつ仲を深めよう。焦りは禁物、だよな)」

自らのハヤテへの想いに結論を出し、決意も深めた。


一方

「(フフフフフフフフフフフフフフフフ♪カユラさんの様子を見る限りじゃハヤテ君に恋しちゃったみたいですね〜♪これは益々面白くなりそうですね〜♪こうなったら、皆さんでつぶしあって、共倒れしてくれると面白いんですけどね〜♪ああ♪)」

こんな事を思った人も居たそうだ。


-----------------------------------------------------------------------------------
以上です。

次回は未定です。

では。
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Re: 女神と共に第三部 2nd (4月9日更新) ( No.30 )
日時: 2015/04/09 18:18
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
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ここはレンタルビデオ橘の住居スペース。そう、ワタルとサキさんが生活している所だ。


ワタルは現在、カレンダーと睨めっこしていた。

「(今日は6月16日。新事業への準備は順調と言える。来週契約だからな)」

ワタルはハヤテに1億円借り、新事業を始めようとしていた。そのため、白皇を辞めたのだ。

「(今は新事業は置いておこう。大事なのは明日だ。俺からすれば、新事業以上に大切な日だ。サキの誕生日だからな)」

そう、6月17日はサキさんの誕生日であり、ワタルは前々から何とかしたいと考えていた。が

「(プレゼント買おうにも、金がねえ。かといって、手作りできるほど器用じゃねえしな、俺)」

ワタルがこんな風にカレンダーと睨めっこしつつ考え事していると

「若ー、お夕飯が・・って何してるんですか?」

サキさんがやってきて、ワタルの行動を疑問に思い聞いて来た。

「へ!?あ、いや。何でもないぜ」
「そうですか?」

怪しむサキさんにワタルは

「い、いやな。来週の契約について考えてたんだ。ほら、くれるのも同意義の契約で1億円借りただろ?失敗したら申し訳ないからさ」
「そう、ですね。あ、だからカレンダーと睨めっこを?」
「そう言う事」
「分かりました。あ、お夕飯出来てますので」
「お、おお。直ぐ行く」

ワタルが返事すると、サキさんは部屋を出て行った。

「(悪いな、騙すような形で。驚かせたいからな)」

心の中で詫び、後に続いて部屋を出た。


                     × ×


そして翌日。
ワタルは天王州家を訪れていた。

「な、なあ。今日が何の日か知ってるよな?」

ワタルはハヤテに大事な話があると2人きりにしてもらい、少し間を開けてから切り出した。

「今日ですか?サキさんの誕生日ですね」
「よ、よく覚えてるな。普段あんまり交流ないのに」
「まあ、執事ですから」

当たり前のように言うハヤテにワタルは

「(ナギや伊澄、咲夜の妹がデレデレになるのはこう言う所なんだろうな)」

こう思い、自分も見習いたいと思いつつ

「普段からあいつには世話になってる。だから、プレゼントでも、と思ってな」
「へ〜いいじゃないですか」
「だ、だがな」

ワタルは俯いて、少しの間黙り込んだ後

「か、金が無くてプレゼントを買ってやれないんだ」
「でしたら、お金ぐらい僕が」
「それは出来ねえよ。ただでさえ1億円も借りてるんだぜ?これ以上は」

ワタルの言葉にハヤテは敢えて食い下がらず、更なる言葉を待った。

「で、でだな。せめて何か手作りを、と思ってあんたを頼ったんだ」
「成程。それで、何を贈るんですか?」

ワタルはまた少し間を開け

「笑わないか?」
「勿論」
「ケーキだよ。難易度もそれなりに高いし、感謝の気持ちだって籠められるからさ」

ワタルの言葉にハヤテは笑みを浮かべ

「素晴らしいですね」
「そ、そうか?でだ、教えてほしいんだ。俺じゃとんでもない事になるのは目に見えてるし」
「分かりました。お手伝いします」

2人はハヤテの部屋を出て、キッチンへ向かった。


                      × ×


「それで、どんなケーキになさるんですか?」
「ホールケーキはムズイよな。ケーキである以上は見た目だって重視したいし」

考え込むワタルにハヤテは

「でしたら、カップケーキはどうです?あれなら、余程じゃない限り見た目もよくなりますし、味もよくなるはずですから」
「カップケーキか」

ハヤテの提案にワタルは少し考え込み

「それにしよう。じゃあ、教えてくれ」
「了解しました」

その後、ワタルはハヤテに教わりながらカップケーキの制作を行った。
正直、あまり器用ではないワタルはかなり苦労したが、それでもがんばり、

「後は、焼くだけか」

オーブンにかけ、上手く行けば完成と言う所にまでこぎ着けた。

「大丈夫ですよ。上手く行きます」
「そう、だといいな」

ワタルは不安そうだったが、ハヤテは敢えて慰めるような事はしなかった。

「な、なあ。どうしてここまでしてくれるんだ?大金貸してくれたり、俺に根気よく付き合ってくれたり」

ワタルの質問にハヤテは

「大切な人、だからですね」
「・・・」
「僕は執事としてじゃなく、僕個人として、皆さんのお役に立ちたいんです。だから、ですよ」

真顔でそう言うハヤテにワタルは

「(こんな事言っても、純粋に「かっこいい」と思えるよな。普通なら変な目で見られたりするのに)」

こう思い、さらに

「(俺も、いつかこの人みたいに凄い奴になれたらいいよな。そうすればあいつにも)」

こう思い、自身の成長を誓った。

そして暫く経ち

「出来た、か」

カップケーキは無事に成功し、試食用に作ったものを食べたところ、味もよかった。

「ありがとな。これで、多少は祝えるよ」
「多少だなんて。十分だと思いますよ」
「だと、良いがな」

ワタルは自作のカップケーキを簡単にラッピングし、

「じゃあ、もう帰るよ。ありがとな、世話になりっぱなしで」
「いえいえ」

ワタルは帰って行った。

っと、そこへ

「ハヤ兄、何してたんや?ワタル兄と」
「ワタル君の成長を手助け、ですかね」

ハヤテの言葉に日向は首を傾げ

「さっぱり分からんわ。それより、腹減ったわ」
「じゃあ、何か作りますね」
「頼むな」

そう言うと、日向はハヤテの背中に飛び乗った。


                    × ×


一方のワタルはカップケーキを隠し持ったまま帰宅し

「あ、若。お帰りなさい」
「た、ただいま」

留守番を頼んでおいたサキさんの出迎えを受け、

「な、なあ。今日は何日だ?」

突然の質問にサキさんは首を傾げつつ

「6月17日ですが」
「だ、だよな」

ワタルの意図に気付かず、首を傾げていると

「だ、だから。これやる」

持っていた簡単にラッピングされたカップケーキを手渡した。

「こ、これって」
「今日はサキの誕生日だろ?だ、だからその」

ワタルは恥ずかしそうに言葉を詰まらせたが

「わ、笑いたきゃ笑えよ。一生懸命作ったんだよ、それ」
「若の手作り、ですか」
「な、なんだよ」

恥ずかしそうにしているワタルに

「とっても、嬉しいです」
「そ、そうか?」
「嘘じゃありませんよ」

サキさんの笑顔に嘘は感じられなかった。

「では、2人で食べましょうか。2つありますから」
「そ、そうだな」

お茶を淹れ、サキさんはケーキを食べてみた。

「美味しいですよ」
「お、お世辞は止めろよ」
「お世辞なんか言ってませんよ。本当に美味しいです」

嬉しそうに食べるサキさんにワタルは

「(苦労して作ってよかったよ。喜んでくれたみたいだし)」

そう思い、一方のサキさんは

「(若が私の為に。しかも、本当に美味しいですね。ありがとうございます、若)」

何度も何度も感謝しながら、カップケーキを食べていた。


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以上です。

次回は未定です。

では。
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Re: 女神と共に第三部 2nd (4月12日更新) ( No.31 )
日時: 2015/04/12 13:56
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
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ここは負け犬公園。何処にでもありそうな普通の公園だ。


そこにあるベンチに座り、溜息をついている人がいた。
我らが主人公・ハヤテである。

「(やれやれ。なんで皆さんは、喧嘩ばっかりしてるんだろう)」

勘の良い方ならばお分かりだろう。当然、アテネ達の喧嘩から逃げてきたためだ。
理由は勿論?アテネの「甘えたい症候群」である。今朝になって発病し、ハヤテに甘えていた。
その為、ソニア、日向(今回は千桜も少しだが参戦)と大喧嘩になり、ハヤテは逃げるしかなかったのだ。

「(これからどうしよう。暫くは帰れないしな)」

少し悩んだ末、悠太やナギを頼ろうと立ち上がろうとしたその時

「ハ〜ヤ〜テ〜様♪」

綾子が後ろから抱き付いて来た。

「神尾崎さん」
「もう♪妻である私は名前で呼んでくださいな♪」

ハヤテは綾子の言葉をスルーし

「なぜここに?」
「運命ですわ」
「へ!?」

答えは何となくで分かってはいたが、一応は答えを聞く事にした。

「私とハヤテ様は運命によって導かれているんですわ。ですから、出会ったんですわ♪」

ハヤテの予感は当たっていた。

「そんな事よりハヤテ様」
「な、なんでしょう」
「お困りみたいですわ。恐らく、天王州さん関係で」

綾子のハヤテに関する恐ろしい直観力にハヤテは関心半分、呆れ半分で

「まあ、概ねその通りです」
「でしたら、家に来てくださいな♪」

綾子の言葉に強烈な嫌な予感に駆られたハヤテは断ろうとしたが

「決定ですわね。では、行きましょうか♪」

断る隙を一切与えず、綾子は強い力でハヤテを引っ張って行った。


                   × ×


神尾崎家にやってきたハヤテは当然?のように

「おや、綾崎様。いらっしゃいませ」
「お邪魔します」
「ハヤテ様、ただいまですわ」

こんなやり取りを行い、綾子の部屋に通された。

「さて、ハヤテ様」
「な、なんでしょうか?」
「聞きたいことがありますわ」

ハヤテは冷や汗が流れるのを感じた。

「以前は逃がしてしまいましたが、今度はそうはいきませんわ」
「あ、あの」
「ハヤテ様、なぜ私と言う妻が居るのに、次々に女を作るんですの?」

綾子の言葉から怒りなどは感じられなかったが、ハヤテは嫌な予感が拭えず、冷や汗も止まらなかった。

「最近じゃアイドルの子に加えて、ちょっと変わったコスプレ好きの女まで仲良くなったらしいじゃないですか」

念のために捕捉すると、ルカとカユラです。

「あ、あれはですね。ただ単にお友達になっただけでして」
「へ〜。そうなんですの」

綾子に自分の言葉が通じていないと瞬間的に悟れた。

「ハヤテ様、私以外の女に興味が持てないようにしてあげますわ」

そう言うと詰め寄って来た。

「あ、そうだ。神尾崎さん、お昼どうします?」
「決めてませんが」
「ぼ、僕が作りますよ。良いですよね?」

ハヤテは何とか話題を逸らそうと必死だったが、綾子に悟られないようにするのも必死だった。

「勿論大歓迎ですわ♪」
「で、では、準備とかあるので」

ハヤテは大慌てで部屋を出た。

「もう、こうなったら」


                   × ×


ハヤテは怪しまれない程度に時間をかけて昼食を作り、時間稼ぎを行った。

「美味しかったですわ」
「喜んでもらって光栄です」

満足そうな綾子にハヤテは安心し、後片付けを終えてから食後の紅茶を出そうと準備に取り掛かったが

「ハヤテ様、食後のお茶なら私が淹れますわ」
「そ、そう言う訳には」
「お気になさらずに」

綾子の笑顔にハヤテは断れないと持ったものの

「お茶を淹れるの執事たる僕の役目ですから」

折れたら危険と判断し、何とか綾子を宥めようとしたが

「ハヤテ様は一応現段階ではお客様ですわ。ですから、持て成したいんですわ」

こう言われた以上食い下がれず、

「わ、分かりました」
「では、私の部屋で待っててくださいな」

ハヤテは食堂を出て、綾子の部屋に向かった。


                    × ×


ハヤテは綾子の部屋で落着けなかった。

「(なんでこんなに嫌な予感ばっかりするんだ?僕のこの先の人生を左右しそうなほどの嫌な予感だよ)」

ハヤテが落ち着けずにいると、綾子が戻って来た。

「さあ旦那様、お茶が入りましたわ♪」

綾子が淹れてくれたお茶は見た目は普通だったが、「飲んではいけない」と言う警報が鳴り響いていた。

「さあ、ハヤテ様」

しかし、飲まないわけにはいかず、ハヤテはゆっくり飲み干した。
飲んでいる間、綾子はずっとハヤテの顔を見ていた。

「あ、あの」
「そろそろですわね」
「え!?  ・・って、う」

ハヤテは体のしびれを感じ、思うように動かせなくなった。

「ハヤテ様」

綾子はハヤテを優しくベッドに押し倒した。

「もう逃がしませんわ。大人の階段を上りましょう」
「だ、駄目ですよ。女の子がこんな事」
「大丈夫ですわ。ハヤテ様だったら」

綾子の目は真剣で、迷いなどなかった。

「だ、駄目ですって」
「大丈夫ですわ。この部屋の防音設備は万全ですわ」

噛み合わない話にハヤテは

「こ、こういう事は結婚後に」
「もう結婚してるも同然ですから、問題ないですわ」

話し合いの余地は無く、綾子は服を脱ぎだした。

「こうなったら」
「ハヤテ様? ・・ってキャ」

ハヤテは全ての力を使い、綾子を組み伏せた。

「駄目ですよ。僕たちはまだ結婚できません」
「法律なら、お父様に言えば」
「法律の問題じゃありません。僕にはまだ、「そう言う覚悟」が無いんです」

しびれ薬の影響で思うように動かなかったが、ハヤテはそれでも綾子を押さえつけていた。

「僕がそう言う覚悟が出来るまで待っててほしいんです」
「ハヤテ様」

ハヤテの真剣な目に綾子が折れそうになったその時、ドアがノックされ

「お嬢様、お茶菓子を・・・」

綾子の執事である城山が扉を半開きにしたまま固まっていた。

なぜなら、事前情報が無いため、ハヤテが綾子をベッドに押し倒しているように見えたからだ。

「・・・。お邪魔しました。ごゆっくり」

そう言うと、扉を閉めた。

「って違いますよ。誤解ですよー」

当然そんな叫びは届かず

「ハヤテ様、覚悟ならおありのようですわね♪さあ♪」


結局、綾子を説得し、誤解を解くのが夜までかかってしまい、ハヤテは疲れ切ってしまった。


当然、遅くなったことでアテネの「甘えたい症候群」は酷くなり、喧嘩も酷くなった。


後日、振り返ったハヤテは「人生で、1番か2番目に疲れたかもしれない」と語ったそうだ。


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以上です。

次回は未定です。

では。
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Re: 女神と共に第三部 2nd (4月15日更新) ( No.32 )
日時: 2015/04/15 20:44
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
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ここは毎度お馴染み天王州家。


前回の一騒動も何とか沈静化し、アテネの「甘えたい症候群」は発動せず、割と平和な朝食後のティータイムだった。
しかし、平和は長く続かないのが、ハヤテの不幸スキルである。

「ハヤテ坊ちゃん、お客様ですよ」
「僕に?誰だろう」

メイド長に連れられてやってきたのは

「はぁ〜い、ダーリン♪」
「クリスさん。いらっしゃいませ」

クリスは嬉しそうに挨拶し、ハヤテは普通に出迎えたが、アテネ達(千桜も一応含む)の機嫌は悪くなった。

「どうしたんですか?荷物まで持って」

クリスの手には少し大きめの鞄が握られていて、どこかに出かけるようにも見えた。

「今日ここに泊めて貰おうと思って」
「なぜ、ですの?」

アテネの不機嫌全開の声にクリスは

「ダディもマミィも家に居なくてね。使用人の人は一応いるけど、暇だったのもあって、泊めて貰う事にしたの」

当たり前のようにこう言い、当然アテネは

「駄目ですわ。絶対に」
「ホワイ?別に問題は」
「ありますわよ!!!!!!!」

アテネは突然声を荒げ、さらに

「貴方は私からすれば邪魔な存在。それ以外に理由などありませんわ!!!」

クリスはアテネからすればライバルであり、結構積極的でもあるので、「邪魔な存在」と断言できるのだ。

「ダーリン、ヘルプね」
「えっと、一応ここに泊まろうと思った理由を聞かせて貰えます?」

女性人の殺気にたじろぎながらもハヤテは話を進める事にした。

「使用人が居るとは言っても、寂しさはあるの。その寂しさをダーリンに膿めて貰おうと思ったのよ」
「な、なるほど」

相変わらずの殺気にハヤテはビビっていたが、スルーするという方法しかなく、アテネは

「駄目ですわ。一日ぐらい寂しさに耐えなさい」
「せやで。ウチが言うのもあれやけど、帰ってや」
「そうよ」

アテネ、日向、ソニアから否定され、クリスは

「ダーリン」

ハヤテに頼り、ハヤテはクリスの羨望の目に

「ま、まあ。今日1日ぐらいいいじゃないんですか?」
「「「「な!?」」」」

思ってもみなかったハヤテの言葉に、女性人は全員目を見開いて驚いていた。

「僕でよかったら、クリスさんの寂しさを軽減させてあげることぐらいお安いご用ですよ」
「ハヤテ、貴方」

アテネは言及しようとしたが、ハヤテは

「アーたん。アーたんなら「寂しさ」の怖さは知ってるはずでしょ?だったら」

アテネはロイヤル・ガーデンでの極限の寂しさを経験しているため言い返せず

「わ、分かりましたわよ。ですが、今日1日だけですわよ」
「サンキューね。ダーリンもサンキュー」

お礼を言うと、クリスはハヤテに抱き付き、キスした。

「ク、クリスはん!!!!!!!」
「ホワイ?問題でも?」
「大ありや!!!」

声を荒げる日向に対し、クリスはあくまでも冷静に

「みっともないですよ。一々声を荒げたりして」
「だ、誰のせいやと思ってるんや!!」

多少は荒げ声を和らげたが、やっぱり怒り全開の声で言い寄っていた。

「今日一日は一緒に住むんだから、仲良くするべきでしょ」
「で、出来へんわ」
「それは納得ね」
「(な、何で私まで納得してるんだ!?)」

アテネ達の態度を特に気にせず、クリスは

「ダーリン、今日はよろしくね」
「あ、はい」

こうして、ハヤテにとっては大変な1日が幕を開けた。


                    × ×


「ダーリン♪」

簡単な挨拶を済ませ、客室に荷物を置くと、クリスはハヤテに抱き付くようになっていた。

「貴方、何様なんですの?私のハヤテに抱き付いたりして」
「スキンシップね♪第一、ダーリンが貴方の物だと決まってないです」
「せや。スキンシップは納得できへんが、ハヤ兄がアテネお姉ちゃんの物やって決まってへんで」
「そうよ。ハヤテさんは私の物よ」

火花散らす女性人にハヤテは嵐が過ぎ去るのをただただ祈り、千桜は

「(な、何で私まで「綾崎君は私の物だよ」って思ってるんだ?わ、私には関係ないはずだ)」

こんな風に悩んでいた。

「ユー達は普段からダーリンとスキンシップしてるでしょ?今日ぐらいは私に譲るべきよ」
「出来ませんわ」
「せや。出来へんわ」
「そうよ」

殺気を向けてくる3人を無視しクリスは

「ダーリン♪アイラブユーね」
「い、いやあの」

クリスの甘え攻撃、そしてアテネ達の殺気攻撃にハヤテはただただ怯えるしかできず

「ちゅ、昼食の準備してきます」
「お供するわ」

大急ぎで居間から逃げ、キッチンに逃げ込んだ。

「全くハヤテは」
「仕方ないな」
「ホントよ」

怒るやら呆れるやらの3人に千桜は

「(またか。なんで私まで怒ってるんだ?病院に行った方が良いのか?)」

こんな風に悩んでいた。


一方のハヤテは

「あの、クリスさん」
「なあに?」
「そんなにくっつかれると、仕事がし難いんですが」

クリスはハヤテに後ろから抱き付いていて、やっぱり甘えていた。

「気にしないで」
「そんな事言われても」
「ダーリン♪」

クリスから離れる意思を感じられず、仕方なくこのまま仕事を続ける事にした。

結局、昼食中もクリスは抱き付いていて、雰囲気はかなり悪かった。


                  × ×


そして夜。

「皆さん、お風呂の準備が整いました」

ハヤテがそう告げると、全員反応した。

「ねえダーリン、一緒に入りましょ」
「え!?」
「前だって一緒に入ったんだし、問題は無いはずよ」

クリスの衝撃発言にハヤテは冷や汗を流し、女性人は殺気を向けた。

「残念ですわね。今日は私の日ですわ」
「セ、せやったな」
「そう言う事よ。諦めなさい」

無理やり納得しながら日向のソニアもクリスに言ったが

「ユー達は普段から一緒に入浴してるんでしょ?今日ぐらいは」
「許しませんわ」
「せやで!!!!クリスはんを許すなら、ウチだって入りたいわ」
「それは同感ね。私だって入りたいわよ」
「(病院、行こうかな。私まで一緒に入りたいだなんて思って)」

それぞれの言い分にクリスは

「グッドアイディアね」
「一応聞いておきましょうか」
「せやな。聞いておいて損は無さそうやし」
「聞かせて貰おうかしら」

そう言われ、クリスは

「皆で入ればいいんじゃない?そうすれば、不公平は無いわよ」

この意見にハヤテは皆反対するだろうと思ったが

「確かに、良い案ですわね」
「それならええか」
「良い事言うわね」

同意され、ハヤテはどうせ反対されるだろうから、と敢えて反論などを止めた。


で、結局

「ダーリン、私の体洗ってほしいね」
「ずるいで。ウチもや」
「私も当然ですわ」
「私もね」
「わ、私は・・・自分でやる」

皆で風呂に入る事になり、千桜以外の面々体を洗う事になった。
で、皆でお湯につかってる時

「クリスはんスタイルええなあ」
「そう?気にしたことは無かったわね」

日向の言う通り、クリスのスタイルはアテネと同じくらいで、まだ胸の成長期を迎えていない日向からすれば、羨ましかった。

「そ、そんなだけあれば、ハヤ兄にも」
「誘惑出来るわね」

少しだけ勝ち誇るクリスに日向はただただ俯くしかなかった。


                      × ×


そして風呂上り。

「ダーリン、今日は一緒に寝ましょ」
「な!?そんな事」

アテネが文句を言いかけたが、クリスは

「さあ、行きましょう。私、ダーリンの部屋で寝たいわ」
「あ、あの」

女性人の殺気にハヤテは何も言えず

「さあ、レッツゴーね」

クリスはそう言うと、ハヤテを無理やり引っ張って行った。

「納得、できませんわね」
「まあ、今日一日ぐらい我慢や」
「そう、ね」

女性人は納得できなかったが、今日ぐらいはっと許すことにしたようだ。


で、

「ダーリン」
「も、もう寝ましょうか」
「オーライ。あ、でも」

クリスは突然ハヤテに大人のキスをし、

「お休みのキスね」
「は、はあ/////////////////////////」

ハヤテは赤くなったが、クリスは笑みを浮かべ、布団をかぶって寝る体制になった。
ハヤテもそれに続き、布団をかぶって目を閉じた。

「(明日の朝も大変そうだな。何もないといいけど)」

そう祈りながら、眠りの世界に旅立った。

まあ、結局翌朝一悶着あったことは捕捉の必要は無いだろう。


-----------------------------------------------------------------------------------
以上です。

次回は未定です。

では。
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Re: 女神と共に第三部 2nd (4月15日更新) ( No.33 )
日時: 2015/04/18 14:08
名前: ささ

ささです。今更ながら、起こるべくして起こった事件だな。
「天王州ハヤテ 拉致監禁事件(容疑者 神尾崎綾子)」
実家+しびれ薬の組み合わせ…答え一択だな。
誤解するのも無理はないな。あの状況では。(詳しく書くと通報されそう)
誤解した城山の報告で、その日の夕食に…
なんかこの小説積極的なキャラが多い。負けず嫌いな人は大変ですね(笑)
そして、天は二物を与えるのだな。(アテネ・綾子・クリスを見て)(今更ながら)
翌日(クリス帰宅後)もまた一悶着だったのはいうまでもない?(そうでしょ、千桜)
これにて。
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Re: 女神と共に第三部 2nd (4月18日更新) ( No.34 )
日時: 2015/04/18 17:34
名前: masa

こんにちはmasaです。

レス返しの更新です。


 ●さささん

 >>ささです。

 日向「感想ありがとうな♪」

 >>今更ながら、起こるべくして起こった事件だな。

 悠太「だよな。予想通りだよな」

 >>「天王州ハヤテ 拉致監禁事件(容疑者 神尾崎綾子)」

 綾子「監禁だなんて物騒な。そ・れ・に、ハヤテ様は「神尾崎ハヤテ」ですわ」
 アテネ「天王州ハヤテであってますわよ」

 ハヤテ「・・・「綾崎」ハヤテだからね」

 >>実家+しびれ薬の組み合わせ…答え一択だな。

 悠太「だよな。やれやれ」

 >>誤解するのも無理はないな。あの状況では。(詳しく書くと通報されそう)

 ハヤテ「そ、そうですけど。な、何であんなタイミングで」

 不幸スキル。のお蔭です。

 >>誤解した城山の報告で、その日の夕食に…

 城山「いえ、確かにお赤飯を作ろうと思いましたが、結局は違いました」
 綾子「ハヤテ様が、説得しましたからね」

 >>なんかこの小説積極的なキャラが多い。負けず嫌いな人は大変ですね(笑)

 まあ、その方が面白くなるので。

 ヒナギク「・・・」
 ナギ「・・・」

 >>そして、天は二物を与えるのだな。(アテネ・綾子・クリスを見て)(今更ながら)

 ナギ「全く。不公平だ!!!!!!」
 ヒナギク「ホントよ!!!!!!!!!!!」
 伊澄「・・・」

 >>翌日(クリス帰宅後)もまた一悶着だったのはいうまでもない?(そうでしょ、千桜)

 千桜「なぜ私に? まあ、確かに大変だったよ。主に綾崎君がな。アテネ絡みで」

 >>これにて。

 はい〜♪感想ありがとうです〜♪

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Re: 女神と共に第三部 2nd (4月18日更新) ( No.35 )
日時: 2015/04/18 17:39
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
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ここは、原作含めて殆ど出たことが無い愛沢家。


そこの住人の1人である咲夜は自室のベッドで横になり、暇を持て余していた。

「退屈やな。おもろいテレビあらへんし、DVD見る気分とちゃうし、本も何回も見とるしな」

退屈すぎて他に誰も居ない自室こう呟くほど、暇だった。

すると、部屋のドアがノックされ、咲夜は直ぐに入室を許可した。

「日向?帰ってたんか」

普段は天王州家で生活している妹である日向だったため、こんな風に言ってしまったが

「なんや?実家に帰省したらあかんのか?」
「ちゃうちゃう。普段なら連絡よこしてから帰ってくるから、ビックリしただけや。気悪くしたなら謝るわ」

一応補足しますが、咲夜は家族には日向が天王州家で生活してて、半ばハヤテと同棲状態と言えることは内緒にしてあります。

「ほんで、何しに帰って来たんや?いつも通り顔見せに来ただけか?」

咲夜が聞くと、日向は少しの間俯いた後

「今回は、ちゃう。咲姉ちゃんに相談があって帰って来たんや」
「ウチに?ハヤテお兄ちゃんや天王州はんじゃあかんのか?」
「当然や。そうやなかったら、相談の為だけに帰ってこんわ」

日向の言葉、そして顔には冗談の類を一切感じず、真面目な相談だと咲夜は察せた。

「座れや。立ったままじゃ、話はしにくいやろ?」

姉の顔になった咲夜に安心し、日向は椅子に座った。

咲夜はベルを鳴らし、やって来た巻田にお茶を頼み、それが来てから

「で、なんや?相談ちゅうのは」

日向は紅茶を一口飲み、

「他ならぬ、ハヤ兄の事や」
「まさか、フラれたか?」
「ちゃう。意地悪の類でもないから安心してや」

日向の普段は無い雰囲気に咲夜は何となく程度で悩みを見抜いたが、確信も無いため、沈黙を守った。

「昨日、ウチのライバルと言える、クリスはんが泊まったんや」
「クリス? ああ、ディキソン家のお嬢様か」
「せや。でな、夜にクリスはんの提案で皆で風呂に入ったんや」

咲夜は先程の直観に確信を持ち始めた。

「その時や。クリスはんはアテネお姉ちゃん並みにスタイルが良かったんや。羨ましいやら悔しいやらやったんや」
「そう、か」

咲夜の直観は的中していた。

「咲姉ちゃん、どうしたら咲姉ちゃんみたいな抜群のスタイルを手に入れられるんや?一応努力はしとるけど、こればっかりは」

不安そうな日向に咲夜は

「何ぬかしとんねん。日向はまだ10歳やないか。成長期はまだや」
「不安なんや。ライバルはスタイルがええ人が多い。年下と言うハンデを乗り越えるにはある程度のスタイルが必要なんや」

咲夜は溜息をつくと

「まあ、大丈夫とちゃう?ナギや伊澄さんは現時点ではぺったんこや。そう言う意味ではどっこいどっこいや」
「せやけど。やっぱりぺったんこじゃあかんねん」

咲夜は再度溜息をつき

「将来は有望とちゃう?ウチの妹やし」

14歳とは思えないスタイルのよさを持つ咲夜の妹であれば、確かに可能性はあった。だが

「で、でもな。千桜お姉ちゃんが言ってたんや。姉はまあまあのスタイル持ちなのに、妹はぺったんこと言う姉妹が知り合いにおるって」

誰か、分かりますよね?

「でもなあ」
「だからこそ、態々咲姉ちゃんに聞きに来たんや。アテネお姉ちゃんに聞くわけにはいかんし、かといって男のハヤ兄に相談しても分からんやろうし」

不安を高める妹に咲夜は

「日向、恋愛において、一番大事なもんは何やと思う?」
「そ、それはやな」
「ここや、ここ」

親指で自分の胸を示す咲夜に

「やっぱ、胸か」
「そうそう。やっぱ胸が-----ってちゃうわ!!!!心や心!!」

思わず乗りツッコミし、直ぐに話を戻した。

「ええか?幾らスタイルが良くても、心が腐っとったら意味ないやん」
「ま、まあ確かになあ」
「日向、ハヤテお兄ちゃんがモテとる理由は分かっとるやろ?」

日向は当然だ、と言う顔になったので

「あの人は完璧やからや。顔もええし、性格も問題なし。だから、あれだけモテとるんや。日向がメロメロになっとるのも同じ理由やろ?」

日向は黙って頷いた。

「顔が良かったとしても、性格があかんかったら、上辺の付き合いしかできん。反対に、中身がよかったとしても、顔があんまよくなかったら、中々友達と言う関係にすらならへん。でもな、いざ友達以上になったら、そいつは愛されるで。中身がええんやからやな」

咲夜の言葉を日向はただただ黙って飲み込んでいった。

「幸い、日向は見た目はええ。それはお姉ちゃんが保証するで。せやから、スタイルなんか気にするなや。全く無視はあかんけど、取り敢えずは中身を磨け。そうすれば、ハヤテお兄ちゃんは振り向いてくれるで。絶対と付けてもええ」

咲夜の言葉で日向の顔はだいぶ晴れたが、まだ不安が残っているようだった。

「大丈夫や。自分に自信を持てい。見た目も中身も完璧な美女にときめかんアホはおらん。鈍感で有名なハヤテお兄ちゃんとて例外ではないわ」

普段道理になった日向に咲夜は笑みを向け

「せやから、悩むのはよせや。年下と言うハンデも中身をより完璧にすれば、越えられるわ」
「せ、せやな。ウチはバカなことで悩んでたんやな」

咲夜はうんうんと無言で頷き

「じゃあ、楽しみにしとるで」
「へ!?何をや?」
「決まっとるやないか。ハヤテお兄ちゃんが、ウチの「義理の弟」になる事や」

咲夜の言葉に日向は一気に真っ赤になり

「か、からかうなや////////////////////////////」
「真っ赤やな〜。そんなんで、ウチに「義理の弟」を作らすことはできるんか?」
「咲姉ちゃんーー///////////////////」

日向の雰囲気に咲夜は

「ホレホレ。ここまでおいでー」

からかように自分のお尻を軽く2,3回たたくと、走り出した

「逃がすかー//////////////////////」
「捕まえてみなー」

追いかけっこする愛沢姉妹を見て使用人の巻田国枝コンビは

「今日も、平和だな」
「ああ。良い事だ」

そんな感想を言いながら、仕事を続けた。


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以上です。

次回は未定です。

では。
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Re: 女神と共に第三部 2nd (4月21日更新) ( No.36 )
日時: 2015/04/21 17:21
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
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ここは毎度お馴染みの天王州家。


ある日の夕方、アテネは「偶には自分で」と思って夕刊を取りに行った。
するとポストに広告が入っていた。

「何々?ラーメンロシア新店舗開店、ですか」

興味が出たアテネは夕刊と共に居間に行き先程のチラシを詳しく見た。

「成程、この新店舗と言うのは、割と近くみたいですわね」

店舗地図を見てそう思い、プリントされたラーメンの写真を見ると、思わずつばを飲み込み

「ラーメン自体はハヤテが作ってくれたものを食べたことがありますが、ラーメン屋は行った事がありませんわね」

実際、インスタントラーメンだけではなく、ハヤテが一から作ったラーメンを食べたことがあるのです。

「ですが、お店で食べるラーメンと言うのは美味しいんですの?ハヤテのが最高級なだけに不安が付きまといますわ」

こう考えたものの、チラシのラーメンを見ると、どうしても「食べたい」と言う欲求は抑えられず

「聞いて、みますか」


                      × ×


「は?ラーメン屋のラーメンやて?」

アテネはまずは日向にリサーチを掛けた。愛沢家は財閥とは言え、庶民的な感覚も持ち合わせているからである。

「そら、ものにもよるが、大体は絶品やで。雑誌とかにのっとる以上ははずれは中々ないやろ」
「そう、ですか」

アテネは少しの間考えた後

「では、ハヤテとの比べてどうですの?」
「そ、それはやな」

聞かれた日向は少しの間考えた後

「ハヤ兄のと比べたらあかんやろ。そんな事言い出したら、お店の殆どが廃業しなきゃいかなくなるで」
「た、確かに」

日向の正論にアテネは黙り込み

「ともかくや、雑誌に載ってたり、チラシ配る店に外れは無いと思っても、平気やろ」
「まあ、参考になりましたわ」

そう言うと、アテネは日向の部屋を出た。
そして、

「は?ラーメン屋のラーメン?」
「そうですわ」

今度は千桜の部屋に行き、尋ねていた。

「私はラーメン嫌いだからな。食べに行った事無いよ」
「そう、ですか」

少し落ち込んだアテネに千桜は

「まあ、気になるんだったら行ってみたらいいさ。ラーメン特集で一番組作られるこのご時世だ。切磋琢磨して美味しいはずだよ」

こうアドバイスをし、念のためにソニアにも聞きに行ったが

「日本のラーメン屋には行った事無いですよ」

そう言われ、あまり参考にはならなかった。


                     × ×


アテネは自室に行き、考えを纏めていた。

「皆さんの意見を総合するに、「ラーメン屋のラーメンは美味しい」という事ですわね」

そう結論付け、部屋を出た。

「え!?ラーメン?」
「そうですわ。食べたいんですわ」

そう言ってきたアテネにハヤテは

「じゃあ今から作るよ。と言ってもインスタントになっちゃうけど」
「待ちなさい。私は、ラーメン屋に行きたいと言ってますのよ」

ハヤテは納得したが

「でも、夕飯の支度は殆ど完了してるし、これを明日食べるなんて」
「そう、ですか」

落ち込んでしまったアテネにハヤテは

「じゃあ、夕飯は控えめにして、夜食にラーメン食べに行く?」
「い、良いんですの?」
「止める理由が無いよ」

ハヤテがこういうと、アテネは笑顔になり

「楽しみですわね〜♪」

そう言って、鼻歌を歌いながらキッチンを出て行った。

「ラーメン屋か。久しく行って無いな」

ハヤテがそう呟くと

「なんや。やっぱ行くんかいな」
「日向さん」
「アテネお姉ちゃんがやたらラーメンの話しとったから、ウチも食べたくなったわ」

日向がそう言うと、ハヤテは

「あ、行った事あるんですか」
「まあな。愛沢家は庶民的な感覚も持ち合わせとるんや。と言っても、行くのは久しぶりやけどな」
「そうでしたか」

こんな風に話していると

「なんだ、行くのか」
「これは是非ともお供したわね」

千桜とソニアもやって来た。

「お2人とも行くんですか?」
「勿論よ。ハヤテさんとなら「死の世界」だって行けるわ」
「まあ、私も行くよ」

ソニアの言葉に苦笑いを浮かべつつ、

「確か、千桜さんはラーメンが苦手のはずじゃ」
「ラーメンを食べる事が全てじゃないよ。ラーメン屋は」
「成程」

実際、チャーハンや餃子があるところが多いですもんね。

「では、皆さんで行きましょう」

結局、皆で行くことになった。


                   × ×


そして。

「ここがチラシに乗ってたラーメン屋ですわね」

チラシの地図を参考にラーメン屋に着き、入ろうとしたが

「ハヤテ様〜♪」
「か、神尾崎さん!?」

突然綾子がハヤテに抱き付いた。

「こんな所で会えるなんて運命ですわ〜♪」
「貴方ねえ」

女性人の殺気に怯えながら

「な、なぜここに?」
「チラシにラーメン屋の物があったから、来てみたんですわ♪」

相変わらずの殺気にハヤテは

「えっと、一緒に入りましょうか。ここじゃ迷惑ですから」
「そう、ですわね」
「しゃあないな」
「そうね」
「・・・」

渋々ながらも女性人も納得し、お店の扉を開けた。
すると

「あれ?ナギさんに悠太。それにカユラさんにマリアさんも」
「おお、ハヤテ。偶然だな」

ナギ達が居て、既に座っていた。

「どうしたの?」
「お嬢様が「ラーメン屋行きたい」って言い出してな。折角だから皆で来たんだよ」

会話しつつ、適当に席を決めた。
まあ当然誰がハヤテの隣に座るか大揉めだったが、悠太が気を聞かせてナギの隣に座らせて、その隣は綾子になった。

「楽しみですね、ナギさん」
「あ、ああ」

話しかけられたナギは適当な相槌しかできなかった。
なぜなら

「(こんな所でハヤテに会えるなんて、運命だよな?だとしたら、嬉しいな//////////////////)」

と考えていたからである。
勿論?カユラも

「(これはまさしく運命。神が私に綾崎君と出会わせてくれたのだ。やはり私は綾崎君と結ばれる運命なのか)」

と、喜んでいた。らしい。

「(フフフフフフフフフフフフフフフフフ♪ナギったら偶然ハヤテ君と会っただけで喜んじゃって♪これはコレクションとしては中々良いものですね♪こうなった以上色々としようかしら♪ああ♪)」

と言うふうに別の意味で喜んでいる人も居たそうだ。


因みに、全員ラーメンの味に大満足だったそうだ。


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以上です。

次回は未定です。

では。
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Re: 女神と共に第三部 2nd (4月21日更新) ( No.37 )
日時: 2015/04/22 21:18
名前: ささ

ささです。
天王州家が平和だ。
一般人のハヤテだからこそ天王州家でラーメンを食べれるのだな。
ハヤテと比べたらB級グルメが消滅してしまう。
愛沢家だったら庶民派感覚を持ち合わせているでしょ!(お好み焼きを食べる財閥)
そもそも皆さんラーメン味わっていましたか?(ナギとかハヤテに夢中だったので味を覚えてないのでは?)
以上です。
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Re: 女神と共に第三部 2nd (4月25日更新) ( No.38 )
日時: 2015/04/25 20:02
名前: masa

こんにちはmasaです。

レス返しの更新です。


 ●さささん

 >>ささです。

 カユラ「感想ありがとな♪」

 >>天王州家が平和だ。

 メイド長「まあ、そう毎日争ってるわけじゃありませんからね、アテネお嬢様達は」

 >>一般人のハヤテだからこそ天王州家でラーメンを食べれるのだな。

 ハヤテ「ええまあ。ただ、一から作る方は完全に独学ですけど」

 >>ハヤテと比べたらB級グルメが消滅してしまう。

 千桜「そうだよな。綾崎君の神レベルと比べたら、そうなるよな」

 >>愛沢家だったら庶民派感覚を持ち合わせているでしょ!(お好み焼きを食べる財閥)

 日向「せやろ?でも、お好み焼きは関係あるんか?金持ちでも食べとると思うで」

 >>そもそも皆さんラーメン味わっていましたか?(ナギとかハヤテに夢中だったので味を覚えてないのでは?)

 ナギ「え!?ああ。ちゃんと味わってたよ。緊張してたのは事実だがな」
 悠太「ハヤテは大変そうだったがな」

 >>以上です。

 はい〜♪感想ありがとうです〜♪

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Re: 女神と共に第三部 2nd (4月25日更新) ( No.39 )
日時: 2015/04/25 20:07
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
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ここは毎度お馴染みの三千院家。の朝。

悠太はいつも通り、朝早く起きて執事の仕事をしていた。

すると

「やあ、おはよう」
「おお。おはよう」

廊下でカユラとすれ違い、挨拶した。が、直ぐにでも

「って待て。カユラ、その恰好は」
「え!?あ、ああ」

カユラは白皇の制服を着ていた。

「可愛かろ」
「あ、ああ」

胸を張りながら自慢してくるカユラに取り敢えずは合わせておいた。

「君には馴染みが無いだろう。これはだな、白皇学院と言うレアな学校のレアな制服なのさ」

解説すると、ドヤ顔になり

「見れた事を光栄に思いたまえ」

こう言ったものの、リアクションの薄い悠太にカユラは「これならどうだ」と、言いたげな表情で

「驚くべき情報はこれだけではない。なんと、私は13歳と言う若さで飛び級で高校2年生になったのだ」

最高に自慢できる情報を披露し、ドヤ顔で悠太を見たが

「そう言えば、ハヤテが言ってたな。ワタルの奴が辞めたことで飛び級枠が空いたから、転校生がくるって」

悠太の情報はカユラからすれば驚きであり

「成程な。それがお前さんだったわけか」
「な、何で知ってるんだ!?」

自慢するつもりだったカユラは驚きながら悠太に問いただした。

「悪いな。俺もお嬢様も白皇生なんだ。知ってたのは、結構顔が広いからな、俺」
「なんだ。レアな限定版だと思って買い求めたら、そんなに珍しくなかったみたいな感じだな」

カユラの例えは悠太には理解できた。

「なんかすまんな。それよりだ、こんな朝早く登校するのか?」

現時刻で登校するのは、朝早くの朝練がある人か、よほどの事情がある人ぐらいの時間帯だった。

「まあな。折角だから、校内見学でもしてから授業にと思ってな」

もう気にしてないのか、何時もの口調に戻ったカユラがそう説明した。

「そっか。でも、お供は出来ないぞ」
「なぜだい?」
「俺は仕事がまだあるし、お嬢様はまだ起きてこないし」

悠太がそう言うと、予想通りと言いたそうな顔で

「じゃあ、1人で行くよ。あの学校の地図ならある程度頭に入ってるし」
「そうか?気を付けろよ。何年も学校に通ってるのに、迷子になる奴が毎年結構出るらしいからな」
「任せたまえ」

そう言うと、カユラは鞄を持って歩いて行った。

「一応、手を打つか」


                     × ×


屋敷を出たカユラは白皇に来ていた。

「流石に広いな。やっぱ、案内役を連れてくるべきだったか?」

そう思いながらも、校門をくぐり敷地内を歩き出そうとしたその瞬間

「あれ?カユラさんじゃないですか」

声が聞こえ、振り返るとハヤテが居た

「あ、綾崎君」
「おはようございます」
「ああ。おはよう」

お互いに挨拶を済ませ、

「こんな所で会えるなんて偶然ですね」
「そ、そう、だな////////////////////////////////////////」

ハヤテの普段通りの何気ない一言にカユラは

「(こ、これは運命だな。やはり私と綾崎君は「赤い糸の運命」とやらに導かれているのだな)」

こう思っていた。

まあ、実際は悠太に頼まれたハヤテが「偶然を装って」やって来ただけなのだが、そこは敢えて触れないでおこう。

「カユラさんは、こんな早くに何をしてるんですか?授業とかにはまだ早いですし、部活も入ってないはずですが」
「校内見学だよ。だから早く来た」
「そうでしたか」

ハヤテは納得し

「ですが、1人で大丈夫ですか?初めての人を迷わす気全開の学校ですよ、ここ」
「何とかなるだろ」

特に気にせずこういうカユラにハヤテは

「でしたら、僕がご案内しますよ」
「い、良いのか?」
「構いませんよ。この学校は通いなれてるので」
「成程。君もこの学校の生徒か」

カユラはウンウンと頷きながら呟き

「じゃあ、頼もうか」
「お任せを」

話が纏まったので、2人並んで歩きだした。

ハヤテは気付いていないが、

「(こ、これって「校内見学デート」だよな!?だとしたらこれはチャンスだ)」

カユラはちゃんと気付いていた。


                      × ×


校内を少し歩き、

「じゃあ、まずはこれですね」

ハヤテが示した先には路面電車があった。

「一応この学校の名物ですよ。ただ、作者さんは「原作でも出ないし、面白くないから」っと、出したことは無かったみたいですが」
「幻の存在か」

カユラは適当に相槌し、

「他は?」
「う〜ん。あ、結構とっておきがありますよ」
「なら案内頼むよ」

また2人は暫く歩き

「ここです」
「おお。これは」

学校の敷地内とは思えないほど大きな湖があり、神秘的な雰囲気も出ていた。

「ここは、僕も僕のご主人様もお気に入りの場所なんです」
「人の気配が全くないが」
「校舎から離れてますからね。多分、卒業していった先輩方でも知らなかった人も沢山いると思いますよ」

神秘的な雰囲気にカユラは息を呑み

「綺麗だな。ここ」
「滅多に人は来ませんからね。だからこそ、美しさが保たれているんです」

ハヤテの言う通り、水は「透き通っている」と断言できるほど綺麗で、覗けば鯉などの生物が優雅に泳いでいた。

「(良い雰囲気だな。もしかしたら、このまま一気に仲が進展するかもな)」

カユラはこんな事を考え、期待していたが

「さ、行きましょうか。他にも名物はありますよ」
「あ、ああ」

ハヤテにこう言われ、横に並んで歩きだした。

「(チェ。あのまま行けば、キスぐらいは出来ると思ったんだがな。下手すればそれ以上もな)」

残念がりながらも、デート(カユラの中では)を続ける事にした。


                     × ×


「やっぱり、ここも名物ですよ」
「ほお〜」

2人は時計塔の最上階に来ていて、カユラは景色を堪能していた。

「何というか、荘厳だな」
「お気に召したようで、良かったです」

テラスから下を見れば、朝練に勤しむ生徒たちが見え、昼間とは違った景色を醸し出していた。

「ありがとな。最高の気分だ」
「いえいえ。ですが、もう一つだけお見せしたい景色があります」
「まだあるのか?」
「超特別な景色です」


                      × ×


「成程。先程とはまた違った美しさだ」
「時計塔ほどではありませんが、中々味のある景色ですよね?」

カユラは少しの間景色を堪能し

「でも、良かったのか?ここ、理事長室だぞ」

そう、ハヤテは理事長室にカユラを案内していた。

「平気ですよ。僕は、理事長の執事なので」
「そうだったのか」

ハヤテの説明に納得し、カユラは再び景色を堪能し始めた。

「この学校の理事長室は、校内を見渡せる場所に計算されて設置されてるんです。なので、こう言った景色が楽しめるんですよ」
「成程な」

景色を堪能し終えたのか、ハヤテの方へ向き直り

「ありがと。この学校に来て良かったと、改めて実感したよ」
「それは良かったです」

満足そうなカユラにハヤテも笑みを浮かべた。

「そう言えば、カユラさんはなぜ飛び級を?」
「10代は短いからな。飛び級で学生生活を圧縮出来るから、頑張ったんだよ。私は忙しい身だ」

カユラの説明に納得したようだった。
因みに

「(まあ、飛び級したおかげで「運命の赤い糸」を見つける事も出来たし、万々歳だが、これは言わないでおこう)」

こう思っていたそうだ。

「お、そうだ。案内してくれたお礼だ。後でとっておきのコスプレを見せてやろう」
「は、はあ」
「遠慮すんな」

実際遠慮はしてないのだが、ハヤテは敢えて何も言わなかった。
で、

「では、これからもよろしくな」
「こちらこそ」

そう言うと、2人は握手した。



因みに

「(フフフフフフフフフフフフフフフフフフ♪カユラさんったらハヤテ君とデートして♪ハヤテ君は気付いてないみたいですが、これはこれで面白いですね〜♪このコレクションを白皇じゅうにばらまいたら、面白そうですね〜♪そうなれば♪ああ♪)」

こんな風に喜んでいる人も居たそうだ。


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以上です。

次回は未定です。

では。
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Re: 女神と共に第三部 2nd (4月27日更新) ( No.40 )
日時: 2015/04/27 18:04
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
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ここは白皇学院高等部2年生の教室。

現在は放課後なのもあってか、2人を除いて帰宅してるか部活に勤しんでいた。

「で、熱を加えると、酸素と結びついて水になります」
「ほえ〜」

教室に残っている2人は泉とハヤテで、泉はハヤテに勉強を教えて貰っていた。

「何時聞いても化学って不思議だね」
「そうですね」

ハヤテのお蔭で泉はだいぶ頭がよくなり、原作みたいにバカみたいな質問はしなかった。

「そう言えば、今日は6月21日ですね」
「え!?あ、うん。そうだね」
「そろそろ夏本番ですね」
「そ、そうだね」

唐突な話題に泉は動揺し始めた。

「どうかなさいましたか?」
「あ、い、いやその」

動揺を何とか誤魔化そうと泉は

「私さ、夏生まれだから夏が近づくとテンション上がるんだよね。やっぱり、夏生まれは夏が好きな人は多いんだろうね」
「そう、なんですか」

因みに、作者は夏生まれですが、夏は嫌いです。暑さに弱いので。

「じゃあ、次の問題ですね」
「あ、はい」

適当に流したハヤテに泉は

「(そっか。私の誕生日、覚えてくれてないんだね)」

一瞬だけ残念がったが

「(でも、ハヤテ君と毎日一緒に勉強会出来るだけで満足だから、高望みしちゃ駄目だよね)」

そう思い、勉強に再度集中しようと思ったその時

「え!?これは?」

ハヤテが綺麗にラッピングされた箱を机に置いた。

「大したものじゃありませんが、17歳のお祝いです」

そう言うと、ハヤテは包装を丁寧にはがし、箱を開けた。

「どうぞ。僕お手製のパウンドケーキです」

ケーキにはご丁寧に「泉さん、お誕生日おめでとう」と言うプレートが飾られていて、それを見た泉はいつも以上の笑顔になり

「私の誕生日、覚えててくれたの?」
「執事ですから」
「あ、ありがと///////////////////////////////」

ハヤテ必殺のキラースマイルに泉は赤面した。

「喜んでいただけたみたいで、光栄です」

少し様子が変わった泉に気付かず、ハヤテはいつも通りに返していた。

「あ、そうだ。折角だから、コーヒー淹れて一緒に食べようよ」
「ここで、ですか?」
「そ。ハヤテ君と一緒にね♪」

泉は

「(2人きりの誕生日会か。なんか嬉しいな♪)」

こう思っていたが、そこはハヤテ

「でも、このケーキ結構大きめに作っちゃったので、生徒会の皆さんもお呼びした方が良いと思いますよ」
「え!?」
「そうすれば、賑やかなお祝いが出来ると思いますから」

泉の気持ちに微塵も気付かず、こんな事を言い出していた。

「あ、いやさ。ヒナちゃん達を呼ぶのもいいけどさ、なんていうか」

泉は何とかハヤテと2人きりになりたかったが

「ですが、先程も言ったとおり、大きめのケーキなので、2人で食べるには多いと思いますが」
「そ、そうなんだけどさ」

泉は普段はあまり使わない頭をフル稼働させていたが

「(ど、どうしよう。大きめのケーキを全部食べたいなんて言ったら幻滅されちゃうよ。食い意地が張った女の子だと思われて。で、でもストレートに2人きりが良いなんて伝え辛いし)」

良い案は浮かばず、悩んでいた。
で、やっぱり

「やっぱり、皆さんを呼んできますね」
「ちょ、ちょっと」

泉が引き止める口実を探していると。

「(マスター、瀬川さんは「2人きりが良い」と言いたいんじゃないんですか?)」
「(え!?そうなの?なんでまた)」
「(あのですね。行動するのに一々理由付けしたりしないですよね?)」

白桜に言われ、ハヤテは少し考えた後

「(そうだね。「何となく」で、動くこともあるし)」

こう結論付けると

「取り敢えず、コーヒー淹れてきますね」
「え!?あ、いや」

引き留める間も与えず、ハヤテは教室を出て行ってしまった。

「はあ。正直に「2人きりが良い」って言っておけばよかったかな。そうすれば・・」

こう思ったが、結局

「いいや。みんなで祝ってくれるみたいだから、楽しまなきゃ」

そう思う事にし、「ハヤテと2人きり」と言うシチュエーションは諦める事にした。

少しすると、ハヤテが戻って来た。 1人で。

「お待たせしました。コーヒーです」
「あ、あれ?皆は?」
「泉の誕生日だからね。僕だけで祝おうと思い直したんだ」

ハヤテからすれば、特に意味なく泉に言ったが

「(は、ハヤテ君が「泉」って///////////////////////そ、それに2人きりになれるんだ///////////////////////)」

泉には効果は抜群だった。

「じゃあ食べましょうか。余ったら持って帰ってください」
「そうだね♪夕ご飯の後にも食べるよ」

泉は「2人きり」と言う状況を意識しつつもケーキを堪能していた。
すると

「あ、そうだ」
「ほえ?」
「はい」

ハヤテは自分が食べていた分のケーキを一口大にして、泉に差し出してきた。

「俗に言う「あーん♪」です。どうぞ」
「あ、う、うん///////////////////////////////」

ハヤテからすれば、「ただの悪戯」だったが、泉は違い、

「(て、照れちゃうな//////////////////////////ハヤテ君って若しかして/////////////////////////)」

こんな風に勘違いを起こしていた。


                      × ×


で、夜。

「あら?ハヤテさん、このケーキは何なんですか」

ソニアの問いかけにハヤテは

「瀬川さんへの誕生日ケーキを作った時に材料が余ったので、それで作ったんですよ」
「へ〜」

ソニアから一瞬殺気が出たが、ハヤテは気付かなかった。

「あ、良かったら食べますか?」
「そう、ですね」
「夕食の後にでも」

そう言いかけたが、途中で止まった。 すでにソニアは食べ始めていたからだ。

「美味しいですか?」
「勿論」

因みに、ソニアがいち早く食べ始めたのは

「(皆に見つかる前に食べちゃわないと。ハヤテさんのケーキを独占出来ないもんね)」

こう思っていたからだ。



因みに、食べきれずに持ち帰ったケーキを見て虎鉄は

「くそー。俺も誕生日なのになんで俺には無いんだー。綾崎ー」

そういって家を飛び出し、アテネとハヤテにボコボコにされたのは言うまでもないだろう。


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以上です。

次回は未定です。

では。


あ、今回で第250話でした。蛇足ですが。
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Re: 女神と共に第三部 2nd (4月30日更新) ( No.41 )
日時: 2015/04/30 19:29
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
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ここは何度も登場している神尾崎家。

「ハァ、ハァ」

荒い息をしているのはこの家の令嬢・綾子である。

「風邪、ですね。熱もありますし」

綾子の専属メイドである崎山がたった今計り終った体温計を見ながらそう判断していた。

「うう。ハヤテ様〜」

幸い、休日の為授業などは無いが、綾子にとってハヤテに会えないのは拷問だった。

「我慢してください。悪化して重病になったらそれこそ大変ですから」
「で、ですが」
「駄目です」

起き上がろうとした主人を押さえつけ、ベッドに戻した。

「では、大人しくしててくださいね」

そう言うと、崎山は綾子の部屋を出た。

廊下に出て少しし、

「そう言えば、今日は執事長いないんでしたね。私も用事ありますし」

綾子に伝えるのを忘れてたことを思い出し、考え込んだ。

「旦那様も奥様も居ないですし、お嬢様は私と執事長以外の使用人は嫌がりますし」

少しの間考えた後

「あ、名案」


                    × ×


それから暫くし、綾子は大人しくしていたが。

「ケホケホッ。み、水」

熱のせいでふらつく体を動かし、ベッドの傍の水差しから水を取ろうとしたが、中々上手く行かなかった。
すると

「はい、どうぞ」
「あ、どうも」

綾子が渡された水を飲もうと口をつけたその時、

「は、ハヤテ様!?」

吹き出すのを何とか抑え、目の前の居る筈のない人物を見つめていた。

「な、なぜいるんですの?」
「崎山さんに連絡貰ったんですよ。「自分の代わりに看病してほしい」って」
「そ、そうでしたか/////////////////////////////」

綾子は照れと嬉しさが混じったような気持ちになり、それを誤魔化すように

「崎山はどうしたんですの?」
「なんか、大事な用事があったみたいです。なので、僕に頼んだみたいですよ」

自分に伝え忘れたことに多少のイラつきはあったが、ハヤテを呼んだことへの気配りに感謝していた。

「そんな事より、大丈夫ですか?顔赤いですよ」

風邪のせいもあるが、ハヤテが来てくれたことへの照れもあり、赤いのだが、当然ハヤテはそんな事に気付かず

「ひゃ」
「あ〜。結構ありますね、熱。寝てた方が良いですよ」

そう言うと、ハヤテは綾子に布団を掛け直した。

「ふ、不意打ちは反則ですわ///////////////////////////////」
「へ!?何か言いました?」
「な、何でもありませんわ」

急に額に手を当てられて驚きはしたが、直ぐに冷静になり、

「(ハヤテ様に看病してもらえるなんて。偶には風邪も引いてみるもんですわね)」

こう思い始めた。

「では、僕は家事などをやってくるので、寝ててくださいね」

綾子に笑顔を向けると、ハヤテは部屋を出て行った。

「ハヤテ様///////////////////////////////////今日はハヤテ様を独占ですわね」

そう思うと、眠りについた。

暫く眠り、目を覚ますと丁度お昼ぐらいだった。

「久しぶりに、だいぶ寝ましたわね。ですが、やっぱり辛いですわ」

多少は楽にはなっていたが、辛さは相も変わらずだった。

すると

「あ、丁度お目覚めだったみたいですね」

ハヤテがお盆に土鍋を載せて部屋に入ってきてそう言ってきた。
土鍋からは湯気が出ていて、美味しそうな匂いもしていた。

「食欲は無いかもしれませんが、食べた方が良いですよ」
「大丈夫ですわ。食欲はありますから」

風邪のときは食欲がわかない時もあるが、現時点ではそんな事は無かった。

綾子は上半身を起こそうとしたが

「あ、駄目ですよ無理は」

ハヤテはお盆をベッドわきのテーブルに置き、綾子が上半身を起こすのを手伝った。
そしてベッドに置くテーブルを出し、その上に持って来たお盆を置いた。

「腕によりをかけたので、出来るだけたくさん食べてくださいね」

そう言いながら土鍋のふたを開けると、シンプルながら美味しそうなおかゆだった。

「食べ終わった頃にまた来ますね」

そう言ってハヤテは立とうとしたが

「ハヤテ様、食べさせてくれないんですの?」
「へ!?」
「私、病人ですのよ」

綾子に笑顔でこう言われ、ハヤテは

「わ、分かりました」
「フフッ♪」
「で、では。あーん」

照れながらもハヤテは綾子におかゆを食べさせてあげた。

「お、おいしい」
「お口にあったようでよかったです」

結局最後までハヤテに食べさせてもらい、食後の薬を飲むと、直ぐに眠りについた。


                     × ×


時間を飛ばし、夕方。

「う、う〜ん」

目を覚ました綾子は

「大分落ち着きましたわね」

多少のだるさはあるが、今朝ほどの辛さはもうなかった。


「あ、お目覚めですか」

ハヤテがそばに居て、綾子が起きたのを確認すると、綾子の額に手を置き

「うん。だいぶ下がってきましたね。ですが、油断は駄目ですよ。風邪は治りかけが重要なんですから」
「ええ。それよりハヤテ様」

ハヤテは本能で、綾子がこれから言おうとしていることを理解した。

「ま、まさか」
「そのまさかですわ。私、汗でパジャマが濡れてしまってるんですわ。で・す・か・ら、着替えを手伝ってほしいんですわ♪もちろん、体も拭いてほしいんですわ♪」

当たり前のように笑顔でそう言う綾子にハヤテは拒否権は無いと瞬間的に悟り

「わ、分かりました。準備してきます」

ハヤテは直ぐにでも温めのお湯をタオルを持って戻ってきて、顔を真っ赤にしつつ綾子の体を拭き、新しいパジャマに着替えさせた。

「あ、あの終わった後で聞くのもおかしな話なんですが」
「なんですの?」

着替え終わり、既にベッドに寝転んでいる綾子は首を傾げながら聞き替えした。

「僕なんかでよかったんですか?体拭いたり着替えを手伝うのが」
「当然ですわ。むしろ、ハヤテ様でないと嫌ですわ」

当たり前のようにこういう綾子にハヤテは少しだけ安心した。

「と言うより、一緒にお風呂に入った仲じゃないですか」
「た、確かに」
「そして、ともに大人の階段を・・・」
「上ってませんよ」

直ぐにハヤテに否定され、綾子は頬を膨らませたが、

「近いうちに必ず」

ハヤテに聞こえるようにそう言った。

「そう言えば、大丈夫でしたの?」
「何がですか?」
「天王州さんですわ。よく説得できましたわね」

アテネのハヤテへの執着ぶりを知っているので、「念のため」程度に聞いた。

「まあ、大変でしたけどね。「友達の看病だ」と言って何とか説得できましたよ」
「そうでしたの」

実際のところ、「綾子の看病だ」とは言わなかった。
当然そんな事言えば、許可が下りないと分かっていたからだ。

「(看病相手が神尾崎さんだとばれたら、大変なことになりそうだな。ばれたりしないようにしないと)」

ハヤテは密かにそう決心していた。

時間を再度飛ばし、夜。

夕飯もハヤテお手製のおかゆであり、大満足の味であった。

「一応聞いておきますが」
「なんですの?」

夕食後の薬も飲み終わり、ハヤテと談笑していると、突然ハヤテが切り出した。

「泊めて貰ってもいいんですよね?」
「当然泊まってもらいたいです。なぜ、そんな当たり前の事を?」
「あ、いえ。泊まり込みで看病するつもりで来たんですが、念のためです」

ハヤテに言われ、納得し

「帰ると言い出したら、「病人をほおっておいて帰るんですの?」って言おうと思ってたんですが、必要なかったみたいですわ」
「は、はあ」

取り敢えずは宿泊の許可が出て、ハヤテは安心し

「あの、念のために聞きますが」
「ハヤテ様が寝るのは私の隣ですわ。万が一風邪がうつったときは責任取って」
「いえ、その先は良いです」

結局、ハヤテは綾子の部屋で綾子と一緒に寝た。


                     × ×


翌朝。

「もうすっかり良くなってますね」

完治と言える状態になりハヤテも安心していた。

「ご心配をおかけしましたわ」
「いえいえ。お役に立てて光栄ですよ」

笑みを浮かべるハヤテに綾子は突然大人のキスをした。

「お礼ですわ。後、昨日できなかった分ですわ」

風邪がうつる可能性があったので、控えていたが、治ったので

「ああ、ハヤテ様」
「ちょ、ちょっと」

我慢していた分を取り戻すかのように、ハヤテを押し倒して大人のキスをし続けた。

「フフッ♪」
「も、もう/////////////////////////////////////////」

満足そうな綾子に対し、ハヤテは真っ赤だった。

「で、ではもう帰りますね」
「分かりましたわ。では」

挨拶を済ませ、ハヤテは部屋を出て行った。

「ハヤテ様、やはり何としても手に入れてみますわ」

綾子は再度そう決意した。



因みに、帰宅したハヤテがアテネの「甘えたい症候群」に苦労したのは捕捉の必要は無いだろう。


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以上です。

次回は未定です。

では。
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Re: 女神と共に第三部 2nd (5月3日更新) ( No.42 )
日時: 2015/05/03 20:16
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
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ここは、あまり出たことが無い時任家。

「風邪、みたいだね」

麗の弟の勝がたった今計り終った体温計を見ながらそう言った。

「ごめんね勝。心配かけちゃって」
「姉弟なのにそう言う事言うのは野暮だよ」

姉の麗を窘め、勝は

「幸い、症状は大したことないみたいだから、市販の薬で大丈夫だよね」
「そうね。お医者さんに来てもらうまでも無いわよね」

自身の病状から、家庭医療で済ませる事にした。

「さ、うつっちゃうから部屋を出なさい」
「了解。姉ちゃんこそ、ちゃんと寝ててよね」

そう言うと、勝は部屋を出た。

「さてと。姉ちゃんの看病どうしよう」

うつると注意されたが、うつされるのを承知で看病するつもりでいたが

「お粥とか作るべきなんだろうけど、僕料理できないしな」

普段の料理は使用人の人か姉の麗が作ってくれるので、勝は料理出来ないのも等しかった。

「あ、そうだ。これなら姉ちゃんも喜ぶだろうし」


                     × ×


一方の麗は大人しくベッドに横になり、目を閉じていたが、眠れる気配が無かった。

「(何もしてないのもあるけど、眠れないわね)」

寝ようとは思っているのだが、寝れなかった。
寝ようと努力はしたが、やはり寝れず暫く経った頃

「(あれ?気持ちいい。誰かが額に乗せてたタオルを変えてくれたのね)」

濡れタオルが少しの間取り払われたと思ったら、適度な冷たさのタオルが再度乗せられ、麗はこう思った。

「(勝ね。でも、嬉しいかな)」

眠るのを諦め、礼を言おうと目を開けた。

「あ。起こしちゃいましたか」

麗は目の前の人物が信じられず、目をこすった後

「ハヤテ君!?なんでここに?」
「勝君に頼まれたんですよ。自分の代わりに看病してって」
「そうだったの」

納得しつつ麗は

「(勝、良い意味で余計な事してくれたわね)」

皮肉りつつも感謝していた。

「肝心の勝は?」
「勉強するって言ってましたよ」
「そう」

麗は少し間を開け

「ありがとね、態々」
「いえいえ。皆さんのお役に立つのが僕の使命ですから」
「でも、大丈夫?私の風邪がうつったりしたら大変じゃない?大事な時期なのに」
「それなら大丈夫ですよ。風邪なんて何年も前にひいて以来なったことありませんから」

実際、かなり前に風邪になったのだが、それ以来病気になったことが無かった。

「頑丈なのね」
「執事ですから」

この際関係ない気がするが、麗は敢えて突っ込まなかった。

「でも、今日がテスト前の休みなのは幸いだったわね」
「そうですね。僕も看病に集中できますし」

そう、白皇には「テスト前休み」と言うものがある。厳しいと有名なため、設けられているのだ。

「勉強しなくて平気?」
「普段からしてますから。油断はしないつもりですが、大丈夫ですよ」

ハヤテの笑みを見て、麗はこの話題を続けるのは止めた。

「そう言えば、アテネは?あの人の事だから、許可しなかったんじゃない?」

アテネとは幼馴染なので、性格等は知っているつもりだ。

「まあ、内緒にしてもらえるとありがたいですね」
「若しかして、黙って出てきたとか?」
「悠太と勉強会するって嘘ついてきました。あ、悠太とは話をつけてありますよ」

ハヤテがここに来れた理由を知り、アテネに悟られないように密かに誓った。

「まあ、折角だから勉強してたら?私の病状はつきっきりになる必要は無いし」
「そう、ですか?では、ここで勉強しますよ。机、借りますね」
「どうぞどうぞ」

ハヤテは麗が普段使ってる机を借り、勉強し始めた。

「(ハヤテ君、勉強中もかっこいいわね。ハヤテ君は気付いてないけど、2人きりよね)」

意識すると顔が赤くなり始め、

「(私が病人じゃなかったら、「押し倒さないの?」って聞くところなんだけど、惜しいことしたわね)」

2人きりと言うシチュエーションを利用したかったのだが、風邪を悪化させる可能性とハヤテにうつしてしまう可能性を視野に居れたら、諦めざるを得なかった。

「(まあでも、ハヤテ君の事だから、私が病人じゃなかったとしても、そんな事しないわよね。ま、してきたとしても受け入れるけど)」


                      × ×


暫く経ち、ハヤテが「昼食作ってきますね」と言って部屋を出た。

そして少しすると、土鍋を載せたお盆を持って戻って来た。

「一応お粥にしておきました。食欲は」
「あるわ。でも、しっかりとしたものは取れ無さそうだからありがたいわ」

そう言うと、麗は上半身を起こし

「じゃあハヤテ君」
「まさか「食べさせて」って言うんじゃ」
「ご名答」

麗の笑顔にハヤテは「逆らえない」と悟ったのか

「わ、分かりました」

反論などせず、麗に作って来たお粥を食べさせてあげた。

「流石に美味しいわね。後、慣れてるわね」
「ま、まあ執事ですから」

実際、綾子の看病をしたばかりなのに加え、昔からアテネが病気になるたびにさせられてきたので、慣れていた。

食事も終わり、薬も飲んだ頃

「姉ちゃん、調子どう?」

勝が様子を見に来た(ノック等はしました)。

「ハヤテ君のお蔭で楽になってきてるわ。私より、勝は平気なの?」

あまり成績が良くない弟を心配し、問い詰めたが

「平気だよ。休みを兼ねて見舞いに来たんだ」
「ならいいわ」

勝はハヤテの横に座り

「お兄ちゃん、姉ちゃんの病状は?」
「このまま安静にしてれば明日には完治してるよ」
「良かった。お兄ちゃんに助けを求めて正解だったね」

勝のこの言葉に思い出したのか

「勝、どうして態々ハヤテ君を呼んだの?忙しいかもしれなかったのに」
「だ、だって。僕、料理とかできないし。それに」
「それに?」
「姉ちゃんが喜ぶと思ったから」

自分の為と聞かされた麗は

「そうだったの。ありがとね」
「ううん。気にしないで」

怒られると思ったのか、一瞬身構えていたが、お礼を言われたので、直ぐに笑みを浮かべた。

「さ、私はもういいからあんたは勉強なさい」
「は〜い」

言われた勝は直ぐに部屋を出て行った。


                     × ×


時間を飛ばし、夜。

「ありがとね。夕食まで」
「い、いえ。お気になさらずに」

ハヤテの様子がおかしいのは、夕食も「食べさせて」と言われたため、それを実行したためだった。

「ついでと言っては何だけど」

ハヤテは次に何を頼まれるのか本能的に悟ったのだが、敢えて無言を貫いた。

「私の体拭いてくれない?」
「え、えっと」
「大分よくなってるとは言え、風邪ひいてるんじゃお風呂は控えた方が良いでしょ?でも、このままじゃよくないでしょ。私、女の子だし」

ハヤテが理由を聞くだろうと悟ったのか麗は直ぐに説明した。

「べ、別に僕じゃなくても」
「他に誰かいるの?」
「勝君とか」
「いくら姉弟とはいえ、勝は男よ。姉弟でもそれはね」

こう言われたが、ハヤテは納得できず

「僕だって男ですが」
「ハヤテ君なら気にしないわ。第一、一緒にお風呂に入った仲じゃない」

麗に指摘され、ハヤテは反論する術を失ったのか

「わ、分かりました」
「分かればよろしい」

結局ハヤテは麗の体を隅々まで拭き、「またか」とか思ったそうだ。

「そう言えば、ハヤテ君どうするの?泊まっていく」
「そうしていいのなら、それの方がありがたいのですが」

念のためとはいえ、ハヤテは祝はする準備をしてきておいた。

「じゃあ決まりね」

そう言うと、麗は自分のベッドの自らが寝ているすぐ横をポンポンと軽く叩いて招いていた。

「や、やっぱりですか」
「当然」

結局、夕食や入浴を済ませた後、麗の隣で寝る事になった。


                    × ×


そして翌朝。

「もう全快ですね」
「ありがと。すっきりしたわ」

風邪が完治し、何時もの調子を完全に取り戻した麗がハヤテに礼を言っていた。

「さて、風邪も治ったし」
「へ!?」

ハヤテに抵抗する間を与えず、麗はハヤテに大人のキスをした。

「お礼のキスよ。後、出来なかった分もね」

笑顔の麗に対し、ハヤテは真っ赤だった。

「あ、あの。もう帰りますね///////////////////////////////」
「そうね。「今は」アテネの執事だもんね」

笑顔の麗に対し、ハヤテは未だに真っ赤だった。

「じゃあ明日ね。お互いにテスト頑張りましょ」
「は、はい」

照れが残ってるハヤテは直ぐに帰路に着いた。

すると、少しして勝が来て

「あれ?お兄ちゃん帰ったの?」
「そうよ。さ、私も勉強しないと」

そう言うと、勝を促して屋敷に入った。


因みに、ハヤテはまたしてもアテネの「甘えたい症候群」に苦労したのは捕捉の必要は無いだろう。


-----------------------------------------------------------------------------------
以上です。

次回は未定です。

では。
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Re: 女神と共に第三部 2nd (5月3日更新) ( No.43 )
日時: 2015/05/05 19:44
名前: ささ

ささです。
確かに勝は身内とは言え中学男子だから肌を晒す訳にはいかないか。(じゃあハヤテはってこの小説でのハヤテloveな人は婚前でも大人の階段登ることを目論んでいるからね当然本人からしてNo problemでしょ。)
勝、使用人に看病を任せるってのは考えなかったの?(最も麗が喜ぶという意図なら当たっているが)
ハヤテの不幸スキルからして…(ここはお楽しみといったところかな)
でもハヤテにとって不幸中の幸いは入浴中の乱入がなかったことかな。
それとアテネの「甘える」攻撃の最中日向・ソニアのオーラが恐かったのでは?ハヤテ。
アテネがハヤテの看病しても当然洗剤入りの粥は出ないだろうしね。(今のナギでもしないな。)

これにて。
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Re: 女神と共に第三部 2nd (5月6日更新) ( No.44 )
日時: 2015/05/06 18:13
名前: masa

こんにちはmasaです。

レス返しの更新です。


 ●さささん

 >>ささです。

 麗「感想ありがとうね♪」

 >>確かに勝は身内とは言え中学男子だから肌を晒す訳にはいかないか。

 麗「そうでしょ?一応お互いに思春期ってのもあるしね」
 勝「ですね」

 >>(じゃあハヤテはってこの小説でのハヤテloveな人は婚前でも大人の階段登ることを目論んでいるからね当然本人からしてNo problemでしょ。)

 アテネ「当然ですわね」
 綾子「ハヤテ様には裸とか見られても気にしませんし」
 麗「大人の階段だって、当たり前のように上るわね」

 >>勝、使用人に看病を任せるってのは考えなかったの?(最も麗が喜ぶという意図なら当たっているが)

 勝「家って女の人の使用人さんってあんまりいないんですよね。それに、あの日は偶々みなさん休みでしたから。作者さんが描くの忘れちゃったみたいですけど」

 >>ハヤテの不幸スキルからして…(ここはお楽しみといったところかな)

 ハヤテ「そ、そんな特別な事はありませんでしたよ」
 事実です。

 >>でもハヤテにとって不幸中の幸いは入浴中の乱入がなかったことかな。

 ハヤテ「まあ、風邪ひいてましたからね。あ、でも勝君とは入りましたよ」
 勝「お兄ちゃんの背中流したんだよ」

 >>それとアテネの「甘える」攻撃の最中日向・ソニアのオーラが恐かったのでは?ハヤテ。

 ハヤテ「ええ、そうですね。アーたんにも苦労しましたが、皆さんが怖かったんですよね。なぜか」
 悠太「なぜかって、お前」

 >>アテネがハヤテの看病しても当然洗剤入りの粥は出ないだろうしね。(今のナギでもしないな。)

 アテネ「馬鹿にしないでもらいたいですわね。私はそれなりの教育は受けてきてますわ」
 ナギ「まあ、以前の私ならやったかもしれんが、今はあり得んだろ」

 >>これにて。

 はい〜♪感想ありがとうです〜♪

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Re: 女神と共に第三部 2nd (5月6日更新) ( No.45 )
日時: 2015/05/06 18:17
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
-----------------------------------------------------------------------------------

ここは毎度お馴染み三千院家。


「期末試験が終わったら、ご褒美が欲しいわけよ」

いきなりこんな事を言い出したのは、当然?ナギである。
言われた悠太は少しの間黙り込んだ後

「成程。死亡フラグって奴か。「戦争終ったら結婚するんだ」みたいな」
「違うよ!!!!!ご褒美だって言ってるのに、死んでどうする!!!!!」

悠太の言葉にナギは怒り半分で反論した。

「いいか、白皇のテストは厳しいんだぞ!!!!難しいうえに、期間も1週間と長い!!!!!そんな大変な目に合うんだから、心トキメクご褒美が欲しいと思うのは当然だろうが!!!!!!」

ナギの長々とした解説に悠太は

「(そんな事言い出したら、白皇生は皆大変だろうが。それぐらいでご褒美だのどうのこうのって言い出すのはお嬢様だけじゃねえか?)」

こう思ったが、口にはしなかった。

「心トキメクご褒美ねえ」

腕を組んで考え出した悠太に対し、

「(フフフフフフフフフフフフフフフ♪良い事思いついたわ♪ご褒美だと称してシーモンキーを贈りましょう♪そうすれば、毎日毎日無駄な努力をするナギも♪努力が無駄に終わってショックを受けるナギも撮影できますね〜♪そうすれば私のコレクションが♪ああ♪)」

こんな事を思った人も居たそうだ。

「う〜ん。思いつかねえな」
「じゃあじゃあ、声優一日体験とか?」
「どうやってだよ」
「そんなの美緒さんに」

ナギの言葉に悠太は溜息をつき

「無茶言うな。いくら姉ちゃんが有名な声優でも、そんな事出来ねえよ。声優になりたい人なんて沢山いるのに、お嬢様だけ特別扱いは出来ないよ」

悠太の正論に、ナギは黙り込んだ。

「(フフフフフフフ♪ここで私が「名案がある」と言って発言すれば私の計画は進みますね〜♪そうすればもう♪ああ♪)」

そう思って言おうとしたその時

「焼肉だ」
「「!?」」

突然聞こえてきた声にナギも悠太も驚いて扉の方を見た。
そこには千桜とハヤテが居て、千桜は「大事な事言うぞ!!」と言う雰囲気だった。

「ハヤテ。後千桜も。何の用なのだ?」
「話は聞かせて貰った。本来は勉強の息抜きのつもりで、遊びに行くと言った綾崎君について来ただけだったが、今はどうでもいい」

実際、ハヤテも息抜きとアテネからの逃走を兼ねて三千院家に行くところを千桜が「自分も行く」と言い出したのである。

「心トキメクご褒美、それは焼き肉を置いてそれ以外にあるか!!!」

千桜の力強い発言にナギも悠太も黙って聞いていた。

「焼肉屋に行き、熱々の炭火で色んな種類の肉を焼く。そしてそれを熱々ご飯と共に食う!!!これ以上至極のご褒美はあるか!?いや、ない!!!だから、ご褒美の王様は焼き肉だ!!!!」

千桜の言葉にナギは

「な、なるほど。確かにそうだな!!!」

目を輝かせながら同意していた。
すると

「(ふざけんじゃねえぞ!!!!!!!!!!!!!無駄な努力するナギを撮影する計画もショックを受けるナギを撮影する計画が台無しじゃねえか!!!!!!!!!!!!!俺様の計画の邪魔してんじゃねえぞ!!!!!!!!!!!!!!!!!!クズが!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!)」

とか思った人も居たそうだ。

「つまりだ。テストが終われば千桜が奢ってくれるんだな」
「あほか。私だってテスト受けるんだ。奢ってもらいたいのはこっちだし、金あるか!!!!!」

千桜の言葉にナギは「期待して損した」みたいな顔になった。

「お嬢様は、焼肉行った事あるのか?」
「無いよ。ん!?悠太はあるのか?」
「まあな。家は金持ちとは言え、桁外れって訳じゃねえんだ。とはいっても偶にしか行って無かったけど」

ナギは感心しつつ

「焼肉って高いのか?」
「ものにもよるよ。超高級店もあれば、格安店もある。まあ、要するにピンキリだ」

悠太の解説を聞き、ナギは

「じゃあ、悠太が奢ってくれるのか?」
「俺がか!?難しいな。俺自身の個人資産はそこまでじゃ」
「なんだ」

ショックを受けるナギだったが、そこへ今まで沈黙を守ってきたハヤテが

「でしたら、僕が何とかしますよ」

こう言った途端

「ハヤテが奢ってくれるのか!?」
「マジでか!?」
「神だ」

いつの間にか来ていたカユラまで喜んでいたので

「えっと、皆さんも、ですか?」

ハヤテは驚きはしたが、反論などはしなかった。
すると

「(フフフフフフフフフフフフフ♪これは中々のチャンスですね〜♪超超高級店に連れて行って、思いっきり痛い目に合わせちゃいましょう♪そうすれば、中々なコレクションが♪ああ♪)」

とか思った人も居たそうだ。
当然そんなことを知らない面々は

「焼肉ってどこがいいかな」
「そりゃやっぱり○々苑だろ。あそこなら間違いはない」
「これは期待値上がるな」

ナギも千桜もカユラも話を膨らませていた。

当然?これを聞き

「(いい加減にしやがれ!!!!!!!!!!!!!!!!!またてめえは俺様の邪魔しやがって!!!!!!!!!!!!!!!!!!超超高級店に連れて行って困らす計画が台無しじゃねえか!!!!!!!!!!!!!!!!!使えねえゴミが!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!)」

とか思った人も居たそうだ。

一方、盛り上がるナギ達に対し

「だ、大丈夫か、ハヤテ」
「何とかなるよ」

悠太だけは心配していたが

「焼肉か。初めてだけど、今までにない幸福を味わえるんだろうな」

こういうナギに

「ナギさんの期待に添わないと。期待値を上げるだけ上げておいて、裏切るなんて真似は出来ないよ」
「そうか。なんか、すまねえな。お嬢様の為に」
「気にしないで。喜んでもらえるなら、光栄だから」


                     × ×


そして、無事にテストも終わり。

「これが焼肉かー。美味しーのだ」

ナギは最上級の笑顔で焼き肉を食べていた。

「中々ですわね」
「ホンマやで。無料ちゅうのが上手さに拍車かけとるわ」
「日本の焼肉ってレベル高いですね」

当たり前のようにここに居るアテネ達に

「なあハヤテ、何で天王州たちも居るんだ?」
「ナギさんたちだけを連れて行くのは不公平だからね。話したら、皆「行きたい」って言ったから皆で来たんだ」
「成程」

給仕しながら悠太とハヤテは皆には聞こえないようにヒソヒソと話していた。

「でも、本当に良かったのか?全部奢ってもらって。半分くらい出すぞ」
「良いって。そんな事より、悠太も楽しみなよ。給仕なら僕がするから」
「で、でもな。俺も執事だし」
「気にしないでって。今だけはそう言うのを気にしないで楽しみなよ」

笑顔のハヤテに悠太は

「そっか?じゃあ、お言葉に甘えようかな」

そう言うと自分の席に着き、楽しみ始めた。


食事を終え、給仕したハヤテを含め、全員大満足したそうだ。

実際、結構な出費だったが、ハヤテは

「(皆さん満足してくれたし、出費はちょっと痛かったけど、気にならないかな)」

とか思ったそうだ。


-----------------------------------------------------------------------------------
以上です。

次回は未定です。

では。
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Re: 女神と共に第三部 2nd (5月6日更新) ( No.46 )
日時: 2015/05/08 21:12
名前: ささ

ささです。そりゃ○々苑だったら間違いないでしょ。(お店の人かわいそう三千院・天王州両財閥が揃っているとか)
初めて食べる焼き肉がハヤテが焼いたものって…この先他食べれないのでは?
マリアさんが黒すぎて聖女じゃなくなっていく(泣)(じゃあ何って堕天使?)
天王州家の財力で食べれない焼肉店はないでしょ。ハヤテだってそれなりに個人資産あるでしょうし。(○々苑も十分高級店だけど)
マリアさんの笑顔が怖いので大至急退散します。(腹いせならナギの恥ずかしいコレクションから流出してください)
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Re: 女神と共に第三部 2nd (5月17日更新) ( No.47 )
日時: 2015/05/17 15:13
名前: masa

こんにちはmasaです。

パソコンの故障で遅くなってしまいましたが、レス返しの更新です。


 ●さささん

 >>ささです。

 遅くなって申し訳ありません。感想ありがとうございます。

 >>そりゃ○々苑だったら間違いないでしょ。

 千桜「だろ?あ、でも作者は行った事が無いらしいぞ」

 >>(お店の人かわいそう三千院・天王州両財閥が揃っているとか)

 ナギ「そっか?別にクレームとかつけるわけじゃないから、平気だろ」
 アテネ「ですわね」

 >>初めて食べる焼き肉がハヤテが焼いたものって…この先他食べれないのでは?

 ナギ「そ、それは/////////////////////////」
 マリア「否定できませんよね〜♪フフ♪」

 >>マリアさんが黒すぎて聖女じゃなくなっていく(泣)(じゃあ何って堕天使?)

 マリア「あらあら〜♪誰が黒いんですか〜♪誰が堕天使なんですか〜♪私は聖母ですよ、せ・い・ぼ♪フフ♪」
 クラウス「・・・」

 >>天王州家の財力で食べれない焼肉店はないでしょ。

 アテネ「そうですわね。A5ランクの名品でもそろえられますわね」

 >>ハヤテだってそれなりに個人資産あるでしょうし。(○々苑も十分高級店だけど)

 ハヤテ「い、いや。そんなに沢山は」
 ワタル「よく言うぜ。人に1億も貸しておいて」

 >>マリアさんの笑顔が怖いので大至急退散します。(腹いせならナギの恥ずかしいコレクションから流出してください)

 マリア「あらあら〜♪逃げないほうが賢明ですよ〜♪フフフフフフフ♪」
 ナギ「(こ、怖いよ〜)」←泣いてる。

 ま、まあその。 感想ありがとうです〜♪

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Re: 女神と共に第三部 2nd (5月17日更新) ( No.48 )
日時: 2015/05/17 15:16
名前: masa

こんにちはmasaです。

パソコンの故障で更新が滞り、申し訳ありませんでした。

本編の更新です。どうぞ。
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ここはとあるライブ会場。

「さあー。まだまだ行くよー」
「うおおおお」

ステージの上で歌と踊りを披露しているのはルカであり、歓声を上げたのは当然彼女のファンだ。

「(マスター。こうやって改めて見ると、本物のアイドル様なんだ、って感じですね)」
「(そうだね。本当に凄いね)」

ハヤテは観客席の一番後ろでルカのステージを見ていた。
因みに、チケットはルカが手配してくれたので、ハヤテは招待された身だ。

「(毎日忙しいみたいだよ)」
「(大変でしょうけど、これからもっと大変になりそうですね)」

白桜の言葉にハヤテは

「(きっと、いつの日か手の届かない存在になるんだろうね)」
「(ええ)」


                    × ×


そしてライブ翌日。

「大変なのよ!!!」

天王州家のキッチンでこんな事を言い出したのはルカである。
ハヤテは少しの間をあけ

「あ、うどん美味しいですか?」
「美味しいわよ。 ってそうじゃなくて、話を聞いてって」

ハヤテはあまりいい予感はしなかったが、彼の性格上スルーすることなど死んでも出来ず

「お仕事は毎日大変なのは、察せますが、何かあったんですか?」

ハヤテが聞いたことで、ルカは「これ幸い」と言いたそうにうどんを食べる手を止め、少し間を置いた後

「もう、どうしていいか分かんなくて」
「は、はあ」

ルカはまた少し間をあけ

「実はね、今度大手飲料メーカーのCMが決まったの」
「凄いじゃないですか。おめでとうございます」
「ありがと。 でね、そのCMは私が颯爽と自転車に乗って、海まで走って新発売のスポーツドリンクを飲むって内容なの」

内容を教えられたハヤテはそのCMを想像し

「爽やかで素晴らしいじゃないですか」
「でしょ? それでね、その手のCMって決まると大きいから、マネージャーや事務所の人も喜んで、社長さんは食事会とか開いてくれて大盛り上がりなんだ。さらに言うと、事務所にも沢山ポスターが張られているの」

ルカはここまで一気にいうと、深刻な顔になり、

「ここからが本題なんだ。そのCMの撮影って明日からなんだ」
「成程。頑張らないといけませんね」
「そ、それはそうなんだけどね。けど」
「けど?」

首をかしげるハヤテに対し、ルカは間をあけた後

「やっぱり言えないよ。幾らハヤテ君でも」

こう言われたハヤテは

「大丈夫ですよ。何に困ってるかは分かりませんが、僕でよければ力になります」
「で、でも」
「ご安心を。僕は、どんなことがあっても味方ですよ」

ハヤテにこういわれ、ルカは安心したのか

「じゃ、じゃあ白状するけど」
「は、はい」

「実は、私は自転車に乗れません」

ルカのこの告白の後、しばらくの間奇妙な沈黙が訪れた後

「じゃ、じゃあどうやって颯爽と自転車に乗って、なんて撮影するんですか?」
「わ、分かんないわよ。だから困ってるんじゃない」

ハヤテはばれない様にため息をつき

「その事実はマネージャーさんたちは?」
「知らない。知ってるのはハヤテ君だけ」

ルカはさらに困った顔になり

「私、運動神経はいいから、皆「自転車くらい乗れるだろう」って思ってるみたいで、話がどんどん進んじゃって。でも、家が貧乏だったせいで自転車買ってもらえなくて。だから、乗ったこともないんだ」

ルカは今度は涙目になりつつ

「だけどね、大きな仕事だし、喜んでるマネージャーさんとか見てると「私、自転車に乗れないので断ってください」って言えなかったんだよー」

最後のほうは半ば自棄だった。

「仕事の間とかぬって自力で練習したんだけど、上手くいかなくて。だから困ってたの」

ルカの心の叫びを聞き、ハヤテは

「そういう大きなチャンスは、穴をあけたりふいにするわけにはいきませんよね」
「う、うん」
「幸いなことに、明日の撮影まではオフ」

ルカは黙って頷いた。

「でしたら、明日までに乗れるようにすればいいんですよ」

ハヤテは当然のように言ったが、ルカは違い

「そ、そんなの無理だよ!!!」
「無理じゃないですよ。それに、なんとかできればルカさんも傷つかず、社長さんたちだって喜ばせてあげられるじゃないですか」

ハヤテの正論にルカは

「で、でもさ。自転車ってあれだよ。こんな小さな接地面積で、あの明らかにバランスが悪くて自立すら出来ない車体を支えるんだよ」

ルカは指で小さな隙間を作りつつ座った。

「車やバイクなんかと比べると明らかに乗りにくいんだよ。あんなの乗りこなせるのは神か達人だけだよ」

そういうと、うどんを食べるのを再開しようとした。

「そんなに神や達人がいるかー」
「ああ!!うどん返して」

ハヤテはうどんを没収し、

「第一、作者さんは運動神経はさほど良くありませんが、ほぼ毎日自転車に乗ってますよ」
「そ、そうなんだ」
「それに、雑技団の方たちがやるような超人的な技をやれってわけじゃないんですから、誰でも乗りこなせますよ。練習さえすればね」

そういうと、うどんを返した。当然ルカはすぐに食べ始めた。

「練習法とか知ってますし、僕のご主人様も僕のお手伝いて乗れるようになったので、練習しましょ。一緒に」
「ハヤテ君。ありがと」

うどんを食べ終え、食休みをした後

「でもさ、どこで練習するの?」
「近所の公園とかで練習するわけにはいきませんよね。ルカさんアイドルですし」

ハヤテは少し考え

「まあ、幸いこの家の庭は広いので、補助輪つけて庭で練習するしかないですね。警備の面でも安全ですし」
「え!?で、でも」
「何か問題でも?」

ルカはモジモジした後

「補助輪つけての練習って、小さい子みたいで恥ずかしいかな〜。って」

目を逸らしながらこう言ってきたルカにハヤテは

「恥ずかしいとか言ってる場合か〜」
「ご、ごめんなさい〜」

ハヤテに叱られ、ルカは補助輪付の自転車で練習することになった。

倉庫にあった自転車に補助輪をつけ

「ともかく、練習しますよ。時間がないんですから」
「わ、分かった」

練習を開始使用したとき

「何してるんだ、こんなところで」

千桜が帰ってきて、聞いてきた。

「ルカさんの自転車の練習ですよ。明日までに乗れるようにならないといけないみたいで」
「そうだったのか」

そういうと、千桜はルカを見て

「私はてっきり、「自転車にまたがってするへんてこな儀式」をやってるのかと思ったよ」
「へ!?」

ハヤテがルカを見ると、補助輪があるので転んではいないが、千桜の言う通り、儀式でもしてると勘違いしそうなほどぎくしゃくした動きを見せるルカがいた。

「ま、まさかこれほどとは」
「ご、ごめん。私も想像以上に出来なかったみたい」

ハヤテは頭を数回掻き

「仕方ないですね。幸いなんだかんだでもう夜なので、あの手を打ちますか」


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以上です。

次回は続きです。

では。
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Re: 女神と共に第三部 2nd (5月19日更新) ( No.49 )
日時: 2015/05/19 16:01
名前: masa

こんにちはmasaです。

滞っていた分を取り戻すため、その分だけ駆け足で更新します。

本編どうぞ。
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前回、ハヤテはルカに助けを求められ、自転車の特訓をすることになった。


「なんだか、夜の白皇に来るの久し振りな気がします」

そう、ハヤテ達は白皇に来ていた。

「綾崎君は来たことあるのか?夜に」
「まあ、それなりに。良い事もあれば良くない事もありましたが」
「「へ〜」」
「よくない事のほうが多いですが」

ハヤテの自虐に千桜もルカも呆れるやら同情するやらだった。

「僕の事は置いておいて、徹夜で仕事に行く訳にはいきません。つまり、朝までには乗れる様にならないといけません」
「じゃあ、約4時間だな」

千桜の言葉にハヤテは黙って頷き

「ルカさん、選んでください」
「な、何を?」
「「優しく教えるか」と「厳しく教えるか」をです」

ハヤテの妙な気迫にルカも千桜も言葉を失った。

「僕は執事である以上自転車に関してはプロに匹敵出来そうなほどです。運転はそれなりに自信があります」

ハヤテは間を置き

「ですが、4時間という時間制限の中では優しく教えていては、間に合う可能性は低い。ですが、厳しくいけば比較的難易度の低いアクロバティックな芸を習得させることも可能です」

ハヤテはルカに厳しめの視線を送り

「さあルカさん、どちらのコースで行きますか?「厳しいコース」か「優しいコース」」

ハヤテの言葉に千桜は

「アクロバティックな芸っているのか!?」

気迫に押されながらも正論を唱えたが、誰ものらず

「分かったわ。私はプロのアイドル。だから、「厳しいコース」を受講するわ。さあハヤテ君」

ルカがこう言った途端、ハヤテがルカの顔に向けて水鉄砲で水を飛ばした。

「ハヤテ君じゃないですよ。コーチと呼びなさい」
「りょ、了解です。コーチ」

ルカが返事すると、ハヤテは

「では準備するので、身構えておいてください」
「は、はい」

ハヤテが準備を始めたのでルカは千桜の方へ向き

「そういえばさ、千桜はなんでついて来たの?」
「へ!?」

そう、天王州家の庭でハヤテが「白皇へ行こう」と提案した際、千桜が「自分も行く」と言い出したのだ。

「あ、いや。あ、あれだ」
「あれって?」
「ま、まあいいじゃないか。私はお茶買ってくるから、頑張れよ」

そういうと、千桜は慌てて走り去った。

「(そ、そういえばなんでなんだ?ルカが綾崎君が好きかもしれないという疑念があって、夜の学校で2人きり。なんて状況を考えてたら、つい「自分も行く」なんて言い出してしまった。別に2人きりだろうがルカが綾崎君を好きだったとしても関係ないじゃないか。なんで私は同伴したんだ??なんで2人きりという状況をなくそうとしたんだ?)」

千桜は走りながらこんなことを考えていた。


一方。

「ねえコーチ、どうしたら自転車に乗れる様になるの?」
「用はコツだよ。乗れる感じをつかんで、それを完全に身に着けられれば、もう自由自在さ」
「ほ〜」
「まあ、一体感。ともいえるね。自転車と乗り手のね」

そういうと、ハヤテは笑みを浮かべ

「そのための秘策、用意してありますよ」
「そ、そうなんだ」

ルカには嫌な予感以外はしなかった。

実際、それは当たっていた。

「あ、あの。コーチ、これは?」
「見たとおりです。「自転車のハンドルに両手を固定してる」だけですよ」

そう、現在ルカの両手はまたがっている自転車のハンドルに固定させていて、しかも特殊な縛り方のため、簡単には解けない様なっていた。

「縛るだけじゃないですよ。ほら」

ハヤテが示した先にはかなり急な坂があり、上りならば「心臓破りの坂」として名所申請を本気で考えるほどだ。

「な、何でここに!?」
「「駆け降りるため」ですよ。それ以外にこんな所に来る必要はないでしょ」

あくまで笑顔のハヤテにルカは

「こ、こんなの無理だよー。絶対に無理無理無理無理無理ー」
「大丈夫ですよ。死ぬ気になれば大概の困難は乗り越えられますから」
「乗り越える前に死んじゃうでしょー」

ルカの正論は鬼教官となった今のハヤテには届いてなかった。

「ハヤテ君やめようよ。死んじゃうからー」
「今はコーチですよ」
「そんなのどうでもいいでしょー」

ルカは涙目で必死で訴えていたが、

「レッツゴー♪」

ハヤテはそう言ってルカを押した。
当然急な坂なので、一気にスピードが出た。

「うわあああああああ」

そこらのジェットコースターよりスピードもスリルも出ているので、ルカが悲鳴を上げるのは当たり前だった。

「ハンドルを固定していれば、大丈夫ですよ」
「そ、そんな余裕ないって。だ、第一、こんなの小石とかに乗り上げたりしたら」

ルカがこう言った瞬間、自転車の前輪が小石に乗り上げた。
そのことで、ルカは死を覚悟した。が

「大丈夫ですか?」

転ぶより先にハヤテが自転車を止めた。

「大事なのは、「転ぶ恐怖」に打ち勝つことです。そうすれば、コツなんかあっという間ですよ」

そういうと、ハヤテは自転車を支えつつ

「ルカさんが転びそうになったら僕が助けます。なので、僕を信じて、ルカさんはペダルを漕ぐことに集中してください」
「ハヤテ君」

ハヤテの優しい言葉に安心したが、

「では、もう一度行きましょうか」
「え!?ま、また?」
「勿論」


                      × ×


そして暫くして。

「流石ですね。もう完全に乗れる様になったじゃないですか」
「そ、それはどうも」

ルカは荒い息をしつつ

「あのさ。途中で私をいじめるの楽しんでなかった?」
「まさか。僕はルカさんのために心を鬼にしただけですよ」

笑顔でこう言ってきたハヤテにルカは

「うっさい。ハヤテ君なんか、こうだ」

こういうと、水鉄砲でハヤテを攻撃し始めた。

「な、何するんですかー。濡れちゃいますよー」
「お返しだーい」

前後関係を知らない人がこの光景を見たら、「恋人同士が水鉄砲で戯れあっている」としか思えなかった。
偶々この瞬間に戻ってきた千桜はこの光景を見て

「(な、なんでなんだ!?なんで「ルカはやっぱり綾崎君が好きなんじゃないか」なんて疑惑を持ったことで、警戒心が出たり恨んだりしたんだ!?おまけに自分も綾崎君と水鉄砲で戯れたいなんて思ったんだ!?しっかりしろよ、私)」

こう思っていた。


因みに、ルカは翌日の撮影は無事に乗り切れたそうだ。

さらに因みに、

「(フフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフ♪ルカさんたらあんな風に悲鳴を上げて♪さらにハヤテ君と水鉄砲で遊んだりして♪これは中々のコレクションですね〜♪あ、そうだ♪これをネットに流したりしたら面白いでしょうね〜♪ああ♪)」

こんな風に喜んだ人がいたそうだ。


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以上です。

次回は明日です。

では。
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Re: 女神と共に第三部 2nd (5月20日更新) ( No.50 )
日時: 2015/05/20 19:06
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
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ここは毎度お馴染み三千院家。


現在ナギは書斎で唸っていた。

「アイディアが、アイディアがでーん」

夏の同人誌対決に向けてアイディアを練っていたが、これと言ったものは浮かんでいなかった。

「なあ悠太、なんかないか?アイディア」
「なんかって言われてもなあ」

聞かれた悠太は腕を組んで考えたが

「無いよ」
「そっか」
「しいてあげるとしたら、身の回りの出来事でも書いたらどうだ?」

この提案にナギは

「インパクト性に欠けないか?」
「刺激的だと思うが」

実際、殺し屋に命を狙われるなんて日常はあり得ないのだが

「インパクト性は、あればいいってもんじゃない。強すぎると、引かれる」
「だよな」

悠太からは画期的なアイディアを聞けそうもなかったので

「なあカユラ、お前は無いか?」

部屋で漫画を読んでいたカユラに意見を求めたが

「人に頼ってばかりのやつに、出すものなどない」
「・・・」
「いざとなったら、困るのはお前さんだ」

真顔でこう言われ、ナギは

「はあ」

ため息をつくしかなかった。

「(フフフフフフフフフフフフフフ♪このまま何も出来なきゃ面白そうですね〜♪あ、そうだ♪徹底的に妨害しちゃいましょう♪そうすれば不戦敗という屈辱を与えられますよね〜♪それを受けて悔しがるナギも面白そうですね〜♪ああ♪)」

こんな事を考えている人もいたそうだ。
当然、そんなことを知らないナギは

「仕方ない。アイディア練のために散歩してくる」
「そっか。気をつけてな」

1人の方がいいだろうと思ったため、同伴などは申し出なかった。

「(その散歩も無駄に終わってくれないかしら♪そうすれば私のコレクションが♪ああ♪)」


                   × ×


散歩に出たナギは屋敷の近所をぶらぶらと歩き、負け犬公園にやってきた。

「(くそ。散歩すればアイディアが出ると思ったが、違ったか)」

結局名案は浮かばず、公園のベンチで休憩も兼ねて考え込んでいた。

「(日常を描く、か。だが、こうやって公園に来る家族連れじゃインパクト性は薄いよな)」

公園の遊具で遊ぶ子供と母親を見てこんな事を考えていた。
すると

「あら、ナギちゃんじゃない。奇遇ね」

声をかけられ、見ると麗がいた。

「麗か。何の用なのだ?」
「悩んでたみたいだからよ」

ナギの隣に腰かけつつ、説明した。

「あ、そういえば」
「何?」
「風邪ひいたって聞いたけど、もう大丈夫なのか?」

ナギの言葉に麗は笑みを浮かべ

「もう大丈夫よ。ハヤテ君のおかげでね」
「そ、そっか」

するとナギは

「(ハヤテに看病してもらったのか。うらやましい。私も風邪ひきたいぞ)」

とか思ったらしい。

「で、何に悩んでたの?」
「漫画のアイディアだよ」
「あ、そうか。夏コミ近いもんね」
「知ってたのか」

漫画などに縁遠そうな麗が知ってたことに驚いていた。

「聞いたのよ。頑張って50部売上げを目指したって」
「まあ、な」

言葉を濁したナギに

「成程ね。次の夏コミに出す同人誌のアイディア練?」
「出ないから散歩して、それでも出ないから公園に来たんだよ」
「そう」

また悩み始めたナギに

「なんか少しくらいはないの?力になるわよ」
「ありがとな。まあ、全くないと言ったら嘘になるんだ」
「へ〜。じゃあ聞かせてくれる?」

ナギは敢えて少しの間をあけ

「自分の今の気持ちに形を与えられる奴がいいんだよな」
「っということは。主人公は漫画やアニメが大好きな子ね」
「そうなるか」

ナギは少し考え込み

「その主人公は、死すらも覚悟するような深い深い絶望を味わうが、それでも頑張ろうとするのがいいかな」

ナギの抽象的なアイディアに麗は

「じゃあさ、「すでに死んじゃってる」っていうのはどう?それならインパクト的にも申し分ないと思うけど」
「そうかもしれんが、ありがちじゃないか?そういうのって、なんだかんだで復活するんだろ?星のある球から出てくる竜が「願いはかなえた」みたいな感じで」

ナギがそういうと、麗は腕を組んで考え

「だったら、49日で成仏しちゃえば?それなら、読んだ人は「え!?成仏END!?」みたいな感じで驚くと思うけど」

賛同しそうにないナギに麗は

「因みになんだけど、ナギちゃんがその立場だったら、49日間何するの?」
「愚門を。漫画やアニメを徹底的に見る」

予想通りともいえるナギの答えに麗は

「それだけ?知り合いとかに挨拶とかしないの?」
「何を言う!!!たったの49日間なんだぞ。限界以上に---」

突然言葉を止めたナギに麗は

「ど、どうしたの?」
「あるんだよ50日目に」
「な、何が?」

首を傾げる麗にナギは

「大好きなアニメの最終回が、50日目なんだ」
「ま、待ってよ。見れないじゃん。大事な最終回が」
「だからだよ」

ナギは立ち上がると、麗の前に立ち

「いいか。アニメの最終回というのは、大体が最終回の1話前をとんでもなく良い所で終わらして、最終回に続く。なんて展開が多い。そんな最終回を見たいが、自分は49日で成仏してしまう。だが、肝心の最終回は50日目だ。だから、監督や製作スタッフの枕元に現れて、1日早くしてもらおうと努力するんだ。時には励まし、時には脅かし。だが、脅かしすぎて「出来ない」なんて嘆かれるが、それでも励ますんだ。そのお蔭か奇跡が起きるんだよ。そうすれば、最高の同人誌になるはずだ」

ナギは一気に説明し、一息つくと

「ありがとな。おかげでいいアイディアが形になった」
「別に私は何もしてないわよ」
「そんなことない。助言とかが無かったら、私は未だに唸っていた」

喜ぶナギに麗は

「お役に立てたのね。ならよかったわ」
「ああ。お前、凄いな」
「これでも財閥の党首だからね」

麗の言葉にナギは感心しつつ

「早速書かねば。じゃあな」
「またね」

ナギは走って帰路に就いた。

「私も帰ろ」

麗も帰路に就いた。


因みに

「(ふざけんじゃねえぞ!!!!!!!!!!!!!!!!あのクソ女、ナギにアドバイスしやがって!!!!!!!!!!!!!!!!!邪魔をする俺様の計画が台無しじゃねえか!!!!!!!!!いい加減にしやがれ!!!!!!!!!!!!!!!!使えねえゴミクズが!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!)」

とか思った人もいたらしい。

-----------------------------------------------------------------------------------
以上です。

次回(明日)、あるキャラが重要な局面を迎えます。

では。
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Re: 女神と共に第三部 2nd (5月20日更新) ( No.51 )
日時: 2015/05/20 21:19
名前: ささ

ささです。風邪を引いてハヤテに看病してもらおうって浅はかな考えだな、このマセガキは。(悠太がいるからないでしょ)
マリアさん、
ナギの恥ずかしい姿をハヤテに贈ると言うだけでも面白いものとれますよ
(隠しカメラを仕掛けてネット配信?)
あと、ルカさんのは神尾崎グループの週刊誌に持ち込むと面白いですよ。(財閥を敵に回した芸能人の末路を見てみたい)
マリアさん、ここはナギを馬車馬のように同人誌に集中させて原稿を印刷所に出す日にぶっ倒れさせたら?
あと麗、財閥の当主関係ないでしょ。
ありゃ、すごい形相で追いかけてきたか。(そんな顔しているとハヤテに嫌われるぞ)
じゃあハヤテの格好いいコレクションを送りつけて退散しよう。
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Re: 女神と共に第三部 2nd (5月21日更新) ( No.52 )
日時: 2015/05/21 16:45
名前: masa

こんにちはmasaです。

レス返しの更新です。


 ●さささん

 >>ささです。

 愛歌「感想ありがとね♪」

 >>風邪を引いてハヤテに看病してもらおうって浅はかな考えだな、このマセガキは。(悠太がいるからないでしょ)

 ナギ「そ、そうだけどさ。羨ましいじゃん」
 悠太「やれやれ」

 >>マリアさん、
  ナギの恥ずかしい姿をハヤテに贈ると言うだけでも面白いものとれますよ

 マリア「成程♪では早速♪どれにしようかしらね〜♪」
 帝「・・・止めろ」

 >>(隠しカメラを仕掛けてネット配信?)

 マリア「隠しカメラですか〜♪フフ♪」
 帝「な、なんじゃその笑みは」

 >>あと、ルカさんのは神尾崎グループの週刊誌に持ち込むと面白いですよ。(財閥を敵に回した芸能人の末路を見てみたい)

 マリア「そうですね〜♪そうすれば最高のコレクションになりそうですね〜♪ああ♪」
 ルカ「や、やめて」

 >>マリアさん、ここはナギを馬車馬のように同人誌に集中させて原稿を印刷所に出す日にぶっ倒れさせたら?

 マリア「ナギ〜♪時間がないですからずっとず〜と♪徹夜したらどうですか〜」
 ナギ「・・・」

 >>あと麗、財閥の当主関係ないでしょ。

 麗「あのね。財閥を率いるってことは、色々と必要なのよ。だから言ったのよ」

 >>ありゃ、すごい形相で追いかけてきたか。(そんな顔しているとハヤテに嫌われるぞ)

 ナギ「誰のせいだ誰の!!!!!!」

 >>じゃあハヤテの格好いいコレクションを送りつけて退散しよう。

 ナギ「こ、これは/////////////////////////////」

 悠太「これでいいのか?」


 ま、まあともかく。  感想ありがとうです〜♪

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Re: 女神と共に第三部 2nd (5月21日更新) ( No.53 )
日時: 2015/05/21 16:50
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
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ここは原作含めて殆ど出てない霞家。

そんな霞家のある日の真夜中。

「愛歌さん、愛歌さん」
「んん〜?」

愛歌さんは誰かに起こされ、目を開けた。
すると、目の前にはハヤテがいて、顔をのぞき込んでいた。

「ハ、ハヤ・・ん」

驚いて大声を出しかけたが、直ぐにハヤテが手で口を塞いできた。

「シッ。お屋敷の皆さん起きちゃいますよ」

口を塞がれたまま頷くと、ハヤテは手を離した。

「な、何でここに?しかもこんな時間に」

愛歌さんの質問に答えず、ハヤテは

「僕はね、ずっと前から愛歌さんの事が好きだったんですよ。アーたんじゃなくてね」

突然の告白に嬉しさがこみ上げたが

「だ、駄目よ。貴方は天王州さんの王子様でしょ?」
「嫌、なんですか?」
「え!?」

驚く愛歌さんに対し、ハヤテは寂しそうな子犬のような目になっていた。

「僕なんかじゃ迷惑なんですか?」
「そ、そんな事ないわよ。ほ、本当のこと言うとね。私も」

この先は言えなかった。言えば、引き返すことができなくなると本当が訴えていた。
だが、ハヤテには十分だったのか

「嬉しいです。僕たち、両想いだったんですね」

ハヤテの笑顔に、愛歌さんは全てを捨てる覚悟ができてしまい

「そうね。ハヤテ君が「好き」って言ってくれて嬉しかったわ。私も大好きよ」

愛歌さんがそういうと、ハヤテがキスしてきた。当然大人のキスだ。

「愛歌さん、この状況、分かりますよね?」

ハヤテは愛歌さんに覆いかぶさっていた。

「深夜、寝室、男女2人きり。ここまで言えば」
「そう、ね。ハヤテ君だったら、いいわよ」

愛歌さんがそういうと、ハヤテは愛歌さんの掛布団を優しく退かした。

「でもね、初めてだから優しくね。私、ひ弱だし」
「勿論ですよ」

ハヤテは愛歌さんのパジャマに手をかけ始めた。


                     × ×


「っは」

愛歌さんが飛び起きると、朝になっていて、当然ハヤテはいなかった。

「私ったらまた」

はい、夢オチです。

「ここのところ毎日よね。こんな夢」

実際、1週間近く同じような夢ばかり見ていた。

「なんでかしらね。 って分かりきってるわよね。彼への想いのせいよね。頭では彼への想いはいけない事って理解してるのに、心は許さない。そんな矛盾のせいよね」

自らへそう決着をつけ、寝間着から普段着へ着替えた。

この1週間、同じような夢を見続けるせいで、愛歌さんの溜息は増えていた。
出来る限り人の居る所では表へ出そうとしなかったが、1人きりの時は悩んでいた。

この日も朝食中、誰もいなくなったのを見計らってため息をついた。
すると

「お嬢様」
「梢君」

彼は愛歌さんの執事で、婚約者でもある梢だ。

「な、何かしら?」

愛歌さんが聞いても、彼は何も言わず、向かいの席に腰かけ真剣な顔になっていた。

「回りくどいことはやめ、単刀直入に聞きます」
「な、何?」

梢は一呼吸置き

「私たちの婚約を解消しましょう」
「え!?」

予想外すぎる言葉に、愛歌さんは何も言い返せず

「お嬢様、現在の貴方の心を占めているのは誰ですか?貴方の心を盗んだのは誰ですか?」
「そ、それは」

目の前の婚約者だと、直ぐにでも答えたかった。だが、なぜか言葉を発する事が出来なかった。

「やはり、彼なんですね。天王州さんの執事で、王子様である」

これは直ぐに否定したかった。だが、またしても言葉が発せなかった。

「否定、出来ないんですね」
「そ、そんな事」

無い、と断言できなかった。

「正直なこと言うと、知ってたんです」
「え!?」
「婚約関係を結ぶとき、貴方の心がとっくに盗まれていた事を」

この言葉に愛歌さんは俯いた。

「その婚約関係に関しても、無理やり自分を納得させ、結んだ事も」
「そんな事、無いわよ。無理やりなんかじゃ」
「すみませんが、そんな弱弱しい口調じゃ説得力は全く無いですよ」

言い返せず、俯いたままだった。

「気付いてたんです。「自分の想い人は親しい間柄の人の白馬の王子様。自分は手を出す事は勿論、想う事すら許されない。でも、心はそれを許してくれない。自分の想いはなぜか捨てられない」っと思っていることを」

これは、否定しなければならなかった。だが、心が、頭が言葉を出す事を止め、否定を許さなかった。

「やはり、ですね。彼・綾崎ハヤテさんへの強い想いは」
「ご、ごめんなさい」

この謝罪が、全てを物語っていた。

「今一度言います。婚約関係を解消しましょう」
「で、でも」
「好きでもない男との結婚だなんて不幸しか生まないと思いますよ」

梢の言葉は、愛歌さんの心に深く深く突き刺さった。

「お嬢様、彼への想いを表に出したらどうですか?」
「そんな事、許される訳無いでしょ。そんなの、駄目に決まってるでしょ」
「なぜですか?」

愛歌さんはこの問いに答えようとしたが、

「ハヤテさんと天王州さんは確かに親しい間柄です。天王州さんは、彼に執心、いえ依存してます。彼無しでは生きられないほどに」
「だ、だから」
「でも、あの2人は結婚してませんよね?」

梢は一呼吸置き

「確かに天王州さんは彼の婚約者の1人です。でも、結婚してる訳ではありません。結婚してたら、「自分の想いはいけない事。捨てなければいけない」と、思い込もうとするのは納得です。ですが、違いますよね?」

一旦愛歌さんの様子を窺い、言葉を続けた。

「だったら、想いを捨てるなんて愚の骨頂ですよ。捨てられないぐらい強い想いを持ってるのに」
「で、でも」
「だったら、少しは言い返してください。出来ない以上全てを肯定してると捉えますよ」

言い返せばよかった。だが、出来なかった。

「やっぱり、婚約は無かった事にすべきですね」
「それで、良いの?」
「さっき言いましたよね?「知ってた」っと」

一旦言葉を切り

「知ってた上で、婚約関係を結んだんです。いつの日か、彼への想いを我慢できず、「婚約を解消したい」と言いだすのを待ってたんです」
「梢君」
「でも、いつまで待っても言ってこないし、彼への想いを捨てると思いきやそれもしない。だからこそ、私から言い出すことにしたんですよ」

すると、梢は突然手をたたき、

「この瞬間から、お嬢様はフリーです。存分に想い人を狙ってください」
「ありがと」
「いえいえ」


                      × ×


そして翌日。

「あの、何のご用でしょうか?」

愛歌さんはハヤテを呼び出した。「大事な用がある」っと。

「ねえハヤテ君」
「はい?」

愛歌さんは突然ハヤテにキスし

「私ね、参戦するわ」
「な、何にですか?」
「さあね。自分で考えなさい」

ハヤテにそういうと、意地悪そうに笑みを向け

「(彼は鈍感。そしてライバルは多すぎる。でも、負けないわよ)」

そう決意していた。

一方のハヤテはキスされた理由も、愛歌さんが何に参戦するのかも理解できていなかった。


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以上です。

次回は明日です。

では。
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Re: 女神と共に第三部 2nd (5月22日更新) ( No.54 )
日時: 2015/05/22 20:49
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
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今回は、少し昔のお話です。


時は遡り、物語の時間軸から16年前の1月8日。

東京の中野にある女の子が生まれた。

父親は最初は売れたが後が続かなかった、俗に言う「一発屋」の歌手だった。
母親はコアなファンはいたものの、知名度は低いアイドルだった。

そんな両親の間に生まれたが、水蓮寺ルカである。

ルカの両親は夢破れた無念があった。生存競争の激しい芸能界で生き残れず、光り輝く事が出来なかったという無念だ。

そんな両親は思ったのである。「自分達が叶える事が出来なかった夢を、生まれてきた我が子に叶えてもらおう」っと。

だからこそ、ルカには英才教育を施した。「一流のアイドル」としての英才教育だ。


ルカはどっかの不幸な人とは違い両親の確かな愛を受けて育っていった。

ルカがある程度大きくなったある日

「見なさい、ルカ。パパはルカのために芸能事務所を作ったんだ」
「フライ・ドルフィン。光り輝く空を飛ぶイルカ。そういう願いを込めてこの名前にしたわ」

親子3人が見上げる先にはビルの窓の一角に大きく「フライ・ドルフィン」と書かれていた。

「ルカ、パパ達は失敗してしまった。だが、その失敗がパパ達の糧なんだ。研究し、今度こそ上手くいくつもりだ」

ルカの父は一旦言葉を切り。

「仇を取ってほしい」
「ママ達の夢を、叶えてほしいの」

その日以降、ルカの教育は徹底的に研究された。

だが、その為のレッスン料は膨大である。月に30万円を超えるなどザラだった。
「ルカの為なら」両親はそう思い、高いレッスン料を支払っていた。

しかし、お金が無尽蔵にあるわけではない。
父は売れたとはいえ一発屋。母はコアなファンのみ獲得したアイドル。

「どうしましょう。また借金が」
「構う事はない。ルカが、私達の愛娘が何とかしてくれる」

父は唇を噛みしめ

「ここで負けたら、私達はまた、芸能界に敗北する事になるんだ」

両親の思いは強かった。
しかし、芸能界は実力だけではどうにもならない特殊な世界。
お金を掛ければどうにかなる訳では無かった。

群雄割拠のこの時代、アイドルは大手のバックアップがなければ売れるのは不可能と言えるレベルだ。

その為、生活はどんどん苦しくなる。それに反比例し、売れる事は無かった。

「まだだ。まだ負けた訳じゃない。まだなんだ」

口癖のように何度もそうつぶやく両親をルカは見ていることしかできなかった。

だからこそ、ルカは両親の期待に応えたかった。夢を叶えてあげたかった。

そんな風に思っていたからこそ、大手芸能事務所の新人募集オーディションの告知を知った時、誰かに相談することはしなかった。
1人で考えて、1人で決断した。

「娘に自分たちの夢を叶えてもらいたい」と言う両親の想いに応えたい一心だった。

オーディションはたったの5分だった。一見長そうだが、オーディションを受ける面々からすればあまりにも短い。
だが、ルカはそのたったの5分で十分だった。

一言でいうなら「圧倒的だった」である。

ルカの他にもオーディションを受けたものは確かにいた。

だが、14年という歳月をかけて培われて技術は本物としか言えなかった。

「凄いね君。早速だけど、専属のマネージャーをつけて3年計画で売り出そう」
「甘やかさないからね」

こんな感じで話はあっという間にまとまった。

ルカは超大手芸能事務所のバックアップのおかげもあり、たった1年で表舞台に名乗りを上げる事が出来た。


だが、

気付かなかった。否、気付けなかった。両親の変化に。

「期待に応えてあげられる。夢を叶えてあげられる」この思いがあったから。

ある日、ルカが帰宅すると、家は蛻の殻だった。
ただ一つ、卓袱台とその上に乗せられたたった一通の「ルカへ」と書かれた手紙のみを残して。

手紙は、ルカを絶望のどん底へ突き落すのには十分な内容だった。

ルカの両親の夢は「自分たちの力だけで」ルカをトップアイドルにすることだった。
ルカが超大手事務所の力でスターになるということは「足りないのは自分たちの力だった」という事実を両親に突きつける行為とも取れる。

だから、両親は謝罪の手紙を残して、失踪した。

ルカの教育に使った1億5千万強の借金を残して。

その借金はルカが返済する義務はない。だがルカは事務所にお願いし、立て替えてもらった。

「これでいいのね?借金を事務所が建て替え、給料から少しづつ返済するって形で」
「これで、良いんです。我儘を聞いてもらってありがとうございます」

その借金が「切れてしまった両親との絆」そう思ったからこそ、借金を返すことにした。

この日はクリスマスイブだった。どういう形であれ、浮かれるはずである。
だがルカは

「これからは1人なんだ。もう、どんな理不尽な不幸が来ても、泣いちゃいけないんだ」

この決意を強いられた。


ルカはアイドルだ。だけど、これは両親の夢。ルカ自身には別の夢があった。

幼少期からの厳しいレッスン。その合間に見た漫画。それはルカの心を射止め、離さなかった。

そして、いつの日か自分もこんな漫画を描けるようになりたい。と思うようになった。

だが、仕事で訪れたプロの漫画家の生原稿を見て、「あまりにも厳しい現実」を突き付けられた。

自分の書いている原稿なんか「燃えるゴミ同然」と思えてしまった。

だが、彼女の鍛え抜かれた心は折れなかった。

「(同人誌で、力試しをしよう。これで駄目だったら)」

そう思い、同人誌即売会に参戦した。

ルカにとって、この同人誌即売会は大きな転機だった。

まず、友達ができたことだった。そして、その友人を通して、「自らと同じ志を持つライバル兼友人」に出会えた。

そして、無償で手を貸してくれる「自分のすべてを預けられる大切な存在」も出来た。

夢のおかげで自分は頑張れる。「次は何を書こうかな」っと。


                     × ×


ところ変わり

「これは、まずいわね。止めさせないと」


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以上です。

次回は続きです。

では。
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Re: 女神と共に第三部 2nd (5月24日更新) ( No.55 )
日時: 2015/05/24 16:42
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
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ここはとある超大手芸能事務所。

「へ〜。この漫画をルカちゃんが」

この事務所の社長がルカがコミサンで売った同人誌を見ながら感心していた。

「良いんじゃない?「漫画も描けるアイドル」って売りになるし」

社長は嬉しそうだったが、ルカのマネージャーの集さんは違い

「この路線を許せば、ルカがアイドルを止めると聞いても、聞いてもですか?」
「え!?」

驚く社長をしり目に、集さんは表情を一切変えずに

「ルカは、お金のためにアイドルをやっています。親の作った借金のために。この道を許してしまえば、極めて高確率で成功し、「アイドルとして」ではなく「漫画家として」借金を返済し、終わりです」

冷静な推理に社長は

「そ、そんなまさか」
「そのまさかですよ。それがあの子です」

集さんを眼鏡を直し

「止めさせないと。ルカには最低でも10年は働いてもらわないといけないのに」

そう、前回の最後の台詞は集さんである。


                  × ×


こんな修羅場?が起こっていることなど想像すらしてない三千院家。

「絶好調だ」
「ホントか?」

千桜はナギに「アイディアが纏まった」と呼び出されていた。

「事後で亡くなった少女がいた。幽霊となった少女が現世にいられる期間は49日。勿論、少女は世話になった人たちへの感謝の念はあったが、少女の見たいアニメの最終回が50日目にあるんだ。だから、なんとかしてその最終回を見るために奮闘するのである。主に監督などの製作スタッフの夢枕に立ちながらな」

ナギの解説に千桜も悠太も感心し

「凄いな。よく思いついたな」
「ま、アドバイスもあったがな」

ナギは照れくさそうに頬を掻き

「兎も角だ、ネームが出来上がってるから見てくれ」
「「どれどれ?」」

千桜と悠太がそのネームを見ると、先ほどナギが解説した内容など欠片すらも無い物が出来ていた。

「全然違うじゃないか!!!どこをどう間違えばこうなるんだよ!!!!」
「何を言う。面白さが倍増ではないか」

当然のように言うナギに千桜は溜息をつき

「そう言うのはいいんだよ。普通に描け。普通に」
「じゅ、十分に普通だ」

そういい返したナギの傍で

「中々だな」
「見ろ。分かる人には分かるんだよ」

カユラに褒められ、ナギは喜んでいた。

「(やれやれ。この調子で大丈夫か?次の同人誌対決)」

悠太は呆れつつも心配していた。


                     × ×


一方その頃、天王州家。

「平和だなー」

ハヤテは庭掃除をしつつそう呟いていた。
アテネは?と聞きたい方もいるでしょう。

「油断、しましたわ」

居間の椅子にロープで縛られていた。なぜかというと、「甘えたい症候群」でハヤテに甘えていたが、一瞬の隙を突き、脱出されて縛られたのである。

まあ、それは置いておいて。

ハヤテが掃除していると来客を知らせるチャイムが鳴り、ハヤテは大急ぎで門の所へ行った。
すると、フードを深々とかぶりマスクとサングラスで変装したいかにも「怪しい人」がいた。

「あ、あの。この家は強盗はお断りしてるんですが」

ハヤテが冷静にそう対応すると

「私よ、私」

来客が変装を解くと、ルカだった。

「どうしたんですか?」
「あ、あのさ。ハヤテ君にお願いがあって」
「なんでしょう?」

ルカは言い辛そうに少しため

「私を、この家に住まわせてほしいの」
「え!?」

予想外のお願いにハヤテは驚いて少しの間思考が追い付かなかったが

「な、何でですか?」
「そ、それは」

俯いてしまったルカにハヤテは

「とりあえず、中へどうぞ。マスコミの方々見つかると厄介なので」
「あ、うん。お邪魔します」


                    × ×


屋敷内に案内されたルカは客間に案内され、

「貴方と、こうやって顔合わせしたり会話するのは初めてですわね」
「は、はい」

やっと解放してもらえたアテネと対面し、日向、ソニアとも対面していた。

「で、どうしたんですの?この家に住みたいなどと」
「え、えっと」

緊張もあって言葉が出ないルカだったが、偶々つけていたテレビから

「次の芸能ニュースは「水蓮寺ルカ入院!?」ですね。大人気アイドルの水蓮寺ルカさんが体調不良で2週間ほど休養すると、所属事務所が発表しました。早く良くなるといいですね」

っと流れていた。

「これは、どういうことですの?」
「まあまあアーたん。そんな威圧してたら益々話せないよ」

ハヤテはアテネを宥め

「家出して来たの。事務所ともめちゃってね」

こういわれ、アテネは紅茶を1口飲み

「まあ、事情は敢えて聴きませんわ。アイドルというのは何かとあるんでしょうし」
「ご、ごめんなさい」
「貴方の気の済むまで、この家に住む事をを許可しますわ」
「い、良いんですか?」

ルカは期待の籠った眼でアテネを見た

「ただし、幾つか条件がありますわ。嫌だというなら、この話は無かった事にしますわ」

ルカは息をのみ、アテネはまた紅茶を飲み

「まず、私の事は名前で呼びなさい。敬語の使用も禁止ですわ」
「うん。それぐらいならいいよ、アテネ」
「よろしい。もう一つは、ハヤテには事情を話しなさい。そうでないと、ハヤテが余計なトラブルに巻き込まれますからね」
「あ、うん」

ルカが条件をのんだようなので、

「よかったな、ルカお姉ちゃん。ウチ、愛沢日向や。ウチも名前で呼んでな」
「ソニア・シャフルナーズです。アテネお嬢様のメイドしています。私の事も名前でお呼びください」
「よろしくね」

まだ多少ぎこちなさが残るが、とりあえずは迎え入れられた。

「ではルカさん、お部屋に案内します」
「あ、うん」


                   × ×


居間を出たハヤテとルカは殆ど使ってなかった(掃除だけしていた)客間にやってきた。

「今日からは、この部屋をお使いください」
「ありがと、ハヤテ君」
「それと、これもどうぞ」

ハヤテはルカに「ルカ's ROOM」と書かれていて、可愛らしい装飾も施されたプレートを手渡した。

「重ね重ねありがと」
「いえいえ。それより、どうしたんですか?ルカさんみたいな真面目な方が仕事をサボってまで家出するなんて」

ハヤテが訊ねると、ルカは俯いた。

「話したくないのなら、結構ですよ。アーたんには適当に言い訳しておくので」

ハヤテが優しく言うと、ルカは顔を上げ

「マネージャーに、同人誌の事がばれちゃったの」
「え!?」
「それで、漫画は描いちゃ駄目だって。だから、その」

言葉に詰まったルカにハヤテは

「もう、良いですよ」
「ハヤテ君」
「「漫画禁止令に反発した」って事にしておきます」
「ありがと」

大まかにとらえてもらえ、ルカは笑顔を向けた。

「必要なものがあったら言ってください。ここには軽めの家具しかないので」
「あ、じゃあさ」


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以上です。

次回は続きです。

では。
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Re: 女神と共に第三部 2nd (5月27日更新) ( No.56 )
日時: 2015/05/27 19:01
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
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前回、ルカは所属事務所と対立し、天王州家へ家出して来た。


ルカはハヤテにもらったプレートを扉に掛け、部屋に備え付けられていたベッドに寝転んでいた。

「(生まれて初めて、仕事を飛ばしてしまった)」

顔を手で覆い、物思いに耽っていた。

「(駆け出しのアイドルにとって、いや駆け出しで無かったとしても、アイドルが仕事を飛ばすということは、これ以上ない大失態だ)」

反省と後悔を混ぜたような考えに至ったが、直ぐに思い直し上半身を起こして

「べ、別にいいじゃないか。私は、好きでアイドルをやっていた訳じゃない。で、でも私には借金が」

事務所に立て替えてもらってる1億5千万強の借金が頭をよぎった。

「アイドルを続けていけば、完済不可能な額じゃない。で、でもそれ以外には・・・」

ルカはかけておいた上着から紙とペンを取り出し

「漫画が、ある。売れさえすれば借金は」
「売れなかったら、どうするつもりですか?」

急に聞こえた声に驚き、ドアの方を見ると

「ソ、ソニアさん」
「失礼を承知でノックなしで入らせてもらいました」
「何の、用ですか?」

ルカの問いかけにソニアは答えず、ルカの傍まで来て

「私は、漫画には詳しくはありません。ですが、それでも分かる事はあります」
「・・・」
「漫画家は、そう簡単には売れませんよ」

ソニアは一旦間を置き、言葉を続けた。

「売れる人は本当に一握り。その中で群を抜くとなると、恐ろしいほどの狭き門を潜らなければなりません。某有名な海賊漫画や、数々の不思議な道具で手助けしてくれるロボットが出る漫画みたいに、並外れて売れるなど、不可能に限りなく近い」

また間を置き、ルカを睨み付けるような鋭い視線を送り

「アイドルみたいに簡単な道では無いんですよ」

この言葉には流石にルカは

「アイドルだって、簡単じゃないよ!!!」

言い返したが

「仕事を飛ばし、引きこもる。そんな人の言葉など、説得力は皆無ですよ」

流石にこれは言い返せなかった。

「そういえば、ハヤテさんは?」
「え!?あ、ああ」

話は前回の終わりの直後に戻します。

「鍵を渡すから、私の部屋から荷物を持ってきてくれる?殆ど何も持たずに出てきちゃったから」
「それはいいんですが、大丈夫なんですか?」
「大丈夫。ハヤテ君だったら、見られて困るものは無いからさ」

そういうと、ルカは自宅の鍵を手渡した。

「あ、でもさ。出入りの時は見つからないようにしてね」
「分かりました。ややこしくなりますもんね」

そういうと、ハヤテは部屋を出て行った。

話は現在に戻します。

「ってわけです」
「成程」

説明を終えると、ソニアが見つめて来ている事に気付き

「な、何か?」
「いえ、別に」

ソニアは見つめるのを止め

「休むのも大事かもしれませんが、自分がどうしたいかを考えた方がいいでしょうね。言いたいことはこれだけです」

そういうと、ソニアは部屋を出て行った。

「自分がどうしたいか、か」

言われたルカはそう反芻し、再度ベッドに寝転んだ。


                    × ×


一方その頃。

「まさか、ルカちゃんが家出するなんてね」

ルカの所属事務所の所長が集さんと話していた。

「君の予想通りだった、ってわけだ。おかげでスケジュールを調整して、ウチにはダメージ無いけどね」

社長は「流石だ」と言う感情を込めてこう言っていた。

「で、肝心のルカちゃんは?」
「私に任せてください。一応「全て想定内」ですから」


                     × ×


一方その頃のハヤテ。

ハヤテはルカが住んでいたマンションに来ていた。

「(ミッションは完遂しなければならない)」

まるで一流のスパイみたいに身を潜めながら部屋へ向かっていた。

「(監視カメラはあそこ。死角は、一瞬だがあそこか)」

ハヤテはその一瞬を見逃さず

「ん!?何か映った様な」
「ネズミか虫だろ」
「そりゃそうか」

「(ミッション、完遂)」

ルカの部屋の前に無事にたどり着き、借りた鍵を使って部屋に入った。

「いらっしゃい。予想より早かったわね」

部屋の中にはすでに集さんがいて、ベッドに座ってコーヒーを飲んでいた。

「綾崎ハヤテ君、ね」
「あ、はい」

ハヤテが返事すると、集さんはコーヒーカップを机の上に置き、立ち上がった。

「親戚のはずがないと思って調べてみたら、驚いたわ。まさかあなたが有名な大財閥・天王州家の「使用人長兼お嬢様専属執事」なんですから」
「・・・」

ハヤテは返事をしなかったが、集さんは話を続けた。

「貴方がここに来たってことは、ルカはやっぱり貴方を頼ったのね」
「お答え、出来ません」
「別にいいわよ。天王州家なら、いろんな面で安全だからね。マスコミを黙らすことも、ストーカーを酷い目にあわす事も」

実際、難しくはないのである。

「で、ここからが本題よ」
「は、はあ」
「ルカの夢を諦めさせて頂戴。漫画家になるなんて馬鹿げた夢をね」

そういうと、少しだけを間をあけ

「せめて、8月のプロモーションまでにね」

ハヤテは少し待ち

「別にいいじゃないですか。夢を見るくらい。幾ら所属事務所でもそこまで管理する権利は」
「権利なら、あるわよ」
「え!?」

驚くハヤテをしり目に集さんは

「あの子には事務所が立て替えてある1億5千万強の借金があるの」
「成程。だからか」
「ルカにはお金がかかっているのよ。それを取り返すまで働いてもらわないといけないの」

そういうと、集さんはハヤテに詰め寄り

「なんだったら、貴方が返してくれる?ルカの借金。出来るなら、自由にさせてあげてもいいけど」

集さんがそういうと、ハヤテを少しの間目を閉じた後

「少々お待ちを」

そういうと、携帯を取り出してどこかに掛け始めた。
暫くの応答の末

「10分ほどで、用意できるそうです」
「な!?ま、まさか本気で代わり返済するっていうの!?」
「そのまさかですよ」

大真面目な顔のハヤテにただただ驚くだけだった。

「補足しますと、僕の個人資産なのでご安心を。天王州家には1円たりとも迷惑を掛けません」

ハヤテがそういうと、流石に呆れたのか集さんは溜息をつき

「貴方、おバカさんね」
「そう、ですね。「どんな事があっても人に尽くす」おバカさんですよ、僕は」

真面目に肯定したハヤテに

「負けたわ。さ、銀行に行きましょ。車で来てるから、送ってあげるわ」

そういって部屋を出ようとしたが

「集さん、でしたっけ?」
「そうよ。何?」

この時のやり取りは、集さんはこの時だけはさほど深くは考えなかった。
だが、後に強く印象に残ることになることはこの時は知らない。


                    × ×


ハヤテと集さんは銀行にやってきた。

「お納めください。利子などを含め、1億7千万あります」

数えると、本当に1億7千万あった。

「確かにもらったわ。これで、ルカの借金は帳消しね。あの子には今度はあなたに返済するように言わないとね」
「あ、そのことなんですが、ルカさんにはこの一件の事は内緒にしておいてください」

ハヤテがこういうと、集さんは口を開けたまま驚き

「正気!?ルカに内緒にするってことは、あの子が貴方に返済する義務を放棄することになるのよ。貴方自身の手で」
「別にかまいませんよ。それでルカさんを結果的に助けることになるのなら」

嘘偽りのない言葉をぶつけられ、集さんは

「貴方、いつか死ぬわよ。女性の手によって」
「まあ、気を付けますよ」

困りつつもこう言ったハヤテに

「もういいわ。ルカには内緒にしておくわ。でも、社長には報告しておくわよ」
「その辺はお任せします」

集さんはアタッシュケースを持って立ち上がりつつ

「約束は約束よ。でも、あの子は頑張りすぎる所があるから2週間の休みは変えないわ。その間、その後もかもしれないけど、ルカをよろしくね」
「分かりました」

その後は用心のためハヤテが護衛し、ハヤテは集さんに天王州家に送ってもらった。


そして夜。

「疲れた。ただいまー」

散々ナギにつき合わされ、千桜が帰宅すると

「あ、おかえりー」

出迎えたのは予想外すぎる人物だったので

「どうしたの?往年のコントみたいなずっこけ方して」
「ル、ルカ!?なんでここに?」

立ち上がりつつも聞くと

「色々あってね。今日からここに住む事になったの」
「あ、そう。よくアテネが許したな」
「渋々、ですわよ」

代わりにアテネが答えたので

「ま、いいか。アテネが決定権持ってるし」
「そういう事。よろしくね」
「あ、ああ」

こうして、天王州家はまた賑やかになった。


あ、補足すると、ルカの荷物は集さんが見繕いました。
ハヤテはそれを持って帰宅し、ルカに渡しただけです。



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以上です。

次回は未定です。

では。
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Re: 女神と共に第三部 2nd (5月27日更新) ( No.57 )
日時: 2015/05/27 20:40
名前: ささ

ささです。ナギ前回のコレクションの感想は?(言わなきゃマリアさんに情報提供します)
色々とツッコミます。
まず、ルカ
本当にみられてまずいものはないの?(下着とか・・・)
最もハヤテはメイド長に扱かれてデリカシーはあるはずだけど。
次、集マネ
ルカに内緒なら、これまで通り徴収はしないということ?
(徴収してハヤテに渡すやり方もあると思うけど)
天王州家ならそりゃあ安心でしょ。
最後にハヤテ、
いつか女性に殺されるのは同感だな(特に綾子が危険かな)
10分で1億7千万用意できる銀行もすごいけど、つい先日ワタルに1億貸してるってのがすごいんだけど。(というよりなぜ小切手ではなく現金?)

あと、強盗お断りは天王州家だけじゃない。(言葉の綾だと思うけど)最も天王州家に入る強盗って大馬鹿でしょ?(天王州家SPだけで十分でしょ)


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Re: 女神と共に第三部 2nd (5月30日更新) ( No.58 )
日時: 2015/05/30 16:39
名前: masa

こんにちはmasaです。

レス返しの更新です。


 ●さささん

 >>ささです。

 ルカ「感想ありがと〜♪」

 >>ナギ前回のコレクションの感想は?(言わなきゃマリアさんに情報提供します)

 ナギ「・・・」←怒りで言葉が見つからない模様。

 >>色々とツッコミます。

 あ、はい。

 >>まず、ルカ

 ルカ「な、何?」

 >>本当にみられてまずいものはないの?(下着とか・・・)

 ルカ「へ!?・・・あ!!////////////」
 ハヤテ「だ、だから聞いたのですが//////////////」

 >>最もハヤテはメイド長に扱かれてデリカシーはあるはずだけど。

 あるにはありますが、原作より多少マシぐらいです。正直言うと。

 >>次、集マネ

 集「あら、私にも?」

 >>ルカに内緒なら、これまで通り徴収はしないということ?
  (徴収してハヤテに渡すやり方もあると思うけど)

 集「その辺は言えないわね。私が作者さんに怒られちゃうし」

 >>天王州家ならそりゃあ安心でしょ。

 メイド長「そうですね。天王州家を怒らせるとどうなるかを身をもって知るだけですから」

 >>最後にハヤテ、

 ハヤテ「なんでしょうか?」

 >>いつか女性に殺されるのは同感だな(特に綾子が危険かな)

 ハヤテ「気を付けます。としか言えない気が」

 綾子に関して、ハヤテには手を出しません。その相手がどうなるか保証はありませんが。

 >>10分で1億7千万用意できる銀行もすごいけど、つい先日ワタルに1億貸してるってのがすごいんだけど。(というよりなぜ小切手ではなく現金?)

 ハヤテ「小切手だと、何かと問題がありそうだったので。銀行に関しては、天王州家御用達ってのもあったので、短時間で用意してもらえたですよ」

 >>あと、強盗お断りは天王州家だけじゃない。(言葉の綾だと思うけど)最も天王州家に入る強盗って大馬鹿でしょ?(天王州家SPだけで十分でしょ)

 まあ、強盗を歓迎するところってないですよね。

 アテネ「我が家に入った強盗は、昔いましたわね。ただ、凄く真面目になって出所したみたいですが」


 感想ありがとうです〜♪

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Re: 女神と共に第三部 2nd (5月30日更新) ( No.59 )
日時: 2015/05/30 16:41
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
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ここは毎度お馴染み天王州家。


「ふぁあああ」

つい先日越してきたルカが目を覚ました。

「あ、あれ?」

寝起きだったため、広い広い室内に驚いたが、直ぐにでも自分が家出して天王州家に厄介になっている事を思い出した。

「なんか、久しぶりにゆっくり寝た気がするな」

こういったが、朝の8時である。

ルカは起きだすと、パジャマから着替えて部屋を出た。

目を擦りながら廊下を歩いていると、

「わ〜。子猫だ〜♪」

尻尾の先と額に十字の白い模様がある黒い子猫が歩いていた。

「可愛いな〜♪この家で飼ってたんだ」

ルカは驚かせないように近づき、しゃがみ込んで頭を撫でようとしたが

「あ、あれ?行っちゃった」

撫でようとしたルカの手を避ける様に走って行ってしまった。

「あんまり人に懐いてないのかな?」

深くは考えず、洗面所に向かった。


                   × ×


「皆おはよー」

今のドアを開けつつ挨拶すると

「おはよ、ルカ」
「おはようさん」
「おはようございます」

千桜、日向、ハヤテが返してきた。

「あ、あれ?」

ソファーに座ると、先ほどの猫がハヤテの膝に乗っていた。

「ハヤテ君、その猫」
「え!?ああ、そういえば、初めてでしたね。ほらシラヌイ、挨拶して」

ハヤテがそういうと、シラヌイは短く

「ニャア」

こう挨拶すると、甘え声を出し始めた。

「(さっきは避けられたのに、ハヤテ君には甘え声?おまけにとっても落ち着いてるし)」

ルカがこう考えつつ何気なくアテネを見ると、シラヌイを強烈に殺意の籠った眼で睨んでいた。
シラヌイは気にせずハヤテに甘え、ハヤテはシラヌイの頭を撫でていた。

「皆さん揃ったので、朝食を仕上げてきますね」
「え!?あ、うん」

ハヤテはシラヌイを下すと、居間から出て行った。シラヌイは、付いていった。

「ねえ千桜、あの猫」
「ん!?ああ、シラヌイか」
「シラヌイって名前なんだ」

頷きつつそう言い、

「因みに、名付け親はナギらしいぞ」
「成程」

命名理由も何となくで察したようだ。

「それより、起きてすぐ廊下で見かけたんだけどさ」
「避けられたんやろ?」

遮る様に日向が言ってきたので、頷いた。

「シラヌイは、ハヤ兄以外には殆ど懐いてないんや。ウチらは勿論、ハヤ兄がいない時に世話しとるメイド長はんにまでな」
「え!?そうなの?」
「せや。ウチもこの家に来た時ルカお姉ちゃんと同じように撫でようとしたんや。猫好きやからな、ウチ。でも、避けられてもうた」

思い出して少しだけショックを受けつつ

「ハヤ兄に聞いたんやけど、元々は捨て猫だったらしいで、シラヌイは」
「そっか。人間不信が理由かな?」
「せやけど、さっき見たようにハヤ兄には恐ろしいほどに懐いているんやで」

日向の言葉にルカは自らの仮説を疑いだした。

「まあ、噛み付いたり引っ掻いたりせえへんから、怒らないけどな」
「猫は気分屋なところがあるらしいから、仕方ないんじゃないか?」

千桜の言葉に日向は

「よう言うわ。千桜お姉ちゃんは少しだけマシなくせに」
「どういう事?」

ルカが聞くと、日向は溜息をつきつつ

「ウチとソニアお姉ちゃん、他の使用人の人たちはシラヌイの気分さえよければ、撫でられるんや。嫌がるけどな」
「ほうほう」
「でもな、千桜お姉ちゃんは撫でても嫌がらないんや。抱っこはできへんけど」
「ホントなの?」

聞かれた千桜は飲んでた紅茶を置き

「まあな。なぜか私は平気なんだ。ただ、アテネには一切懐いてないけどな、シラヌイは」
「へ!?」
「アテネが触ろうとすると、アテネにしか分からないように殺気を向けるらしいんだ。「自分に触るな」みたいな雰囲気も出しつつな」

千桜のこの言葉にアテネは

「全く忌々しいですわ。ハヤテに甘えるだけでなく、私にだけ懐かないとは」

アテネの怒りの9割以上はハヤテに自由に甘えられることに向けられていた。

「そういうわけだ。もしかしたら、ルカもアテネ同様かもしれんな」
「ふ〜ん。だったら、観察してみよっと。後実験も」

そういうと、ルカは部屋を出た。


                    × ×


ルカの予想通り、シラヌイはキッチンにいて、ギリギリ邪魔にならないハヤテの傍にいて、じっとハヤテを待っているようだった。

「(ハヤテ君の傍にいたいのか?)」

考えつつ観察していると、シラヌイがルカに気付いたのか、ルカの方へ向き、まるで「どこかに行け」と言いたそうな目で見て来ていた。

「(な!?なんであんな目で)」

ルカが困惑していると、ハヤテも気付き

「おやルカさん、どうしました?」
「あ、何でもないよ。まだかな〜って」
「もう完成まじかですよ」
「楽しみ〜」

そういいつつチラッっとシラヌイを見ると、先ほどの雰囲気は無くなっていて、ハヤテが仕事に戻ると直ぐにでもルカに先ほど同様の目で見てきた。

「(まさに猫を被ってるっていうの?)」


朝食を終えた後も、隠れてシラヌイの観察を続けた。

「(成程。ある程度動き回る仕事の時は離れて待ってるけど、それ以外の時は頬擦りするんだ)」

掃除や洗濯などの大きな動きが必要のないときはハヤテの足などに頬ずりし、甘え声も出していた。
ハヤテは慣れているため、特に気にせず仕事していた。

「(さて、次はっと)」

ハヤテの仕事が少し落ち着くのを待って

「ねえハヤテ君」
「あ、何か御用ですか?」
「シラヌイを撫で撫でしたいんだけど」

ルカがこういうと、ハヤテは足元にいたシラヌイを抱き上げ

「どうぞ。あ、抱っこもします?」

聞かれたが、敢えて答えずにシラヌイの頭を撫でると、殺気とまではいかなかったが、物凄く嫌がってる感が伝わってきた。
試しに抱っこすると、限りなく殺気に近いものが伝わってきた。

「なんか、私に懐かない気が」
「まあ、ルカさんは初めての方ですからね。緊張してるんだと思いますが」
「そうかな」

ルカからすればハヤテの推論は間違っていると断言できそうだった。
抱っこしていると、「早く下せ。いつまで自分に触っているつもりだ」という雰囲気が確かに伝わってきた。

試しに下すと、直ぐにハヤテのもとに行き、ハヤテに擦り寄り、ハヤテに抱っこされると甘え声を出していた。

「(皆の言う通り、「ハヤテ君には」懐いているんだね。たぶん、元捨て猫とか関係ないと思うな)」

半日ほどの観察と先程の態度でこう結論付けた。


                       × ×


夜。

「さ、シラヌイ、ブラッシングの時間だよ」
「ニャ〜♪」

ハヤテがブラシを持ってシラヌイにそういうと、嬉しそうにハヤテに駆け寄り、ブラッシングを開始すると、目を細めて気持ちよさそうだった。

「ねえハヤテ君、そのブラッシングって毎日やってるの?」
「そうですね、毎日ですね。シラヌイは女の子ですし、綺麗好きでもありますし」

ブラッシングしつつこう答えたハヤテに

「私もやってみたいな」
「えっと。それは出来ないと思いますけど」

迷いつつも答えたハヤテに

「なんで?下手だから?」
「そうではなくて、シラヌイは僕以外にブラッシングされるのを凄く嫌がるんです。僕以外がしようとすると、威嚇するんですよ」

試しにルカがシラヌイ用のブラシを受け取り近づくと、威嚇してきた。

「ね?ですから止めた方がいいと」
「もし無理にやったらどうなるの?」
「引っ掻かれちゃいますよ。前に日向さんが実験したら、シラヌイは軽くとはいえ引っ掻いたんです」
「ああ、そう」

ハヤテがブラッシングを再開すると、また目を細め始めた。

「あ、そうそう。シラヌイはお風呂も好きなんですよ」
「猫って濡れるのが嫌いなはずじゃ」
「シラヌイは平気なんです。まあ、僕以外に洗われるのは嫌みたいですが。まあでも、毎日はよくないので、3日に1回ですが」

ブラッシングを終えると、また甘え始めた。

「ハヤテ君には甘えん坊なんだね」
「まあ、まだ子猫ですから」


暫くし、夜も更けてきたころ

「そういえば、シラヌイはどこで寝てるの?」

遅い時間なので、欠伸をかみ殺しつつ聞くと

「僕の部屋ですよ。僕の部屋にバスケットがあるので、そこがシラヌイのベッドです」
「そこだけ?」
「そうですよ。なぜかそこ以外ではシラヌイは寝ないんです。まあ、僕の膝の上で寝ることもありますが」
「ふ〜ん」

納得すると、シラヌイは欠伸をし、どこかに行ってしまった。

「おねむみたいですね」
「もう結構遅い時間だもんね」

シラヌイが寝に行った事でルカの観察日記は取りあえず終わった。

「(今日観察しての結果は、シラヌイはハヤテ君以外には基本懐いていない。ご飯もハヤテ君が作らないと食べない。トイレと爪とぎは決まった場所でしてるから、躾とかはしてあるって事かな)」

今日を思い返し、頭の中の日記にこう書いた。


「(なんか、羨ましいな。あんだけ自由にハヤテ君に甘えられて。私も甘えたいな〜なんて思っちゃった)」

こうも思ったそうだ。


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以上です。

次回は未定です。

では。
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Re: 女神と共に第三部 2nd (6月3日更新) ( No.60 )
日時: 2015/06/03 15:40
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
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ここは毎度お馴染み三千院家。


ここ最近住人となったカユラは自室で考え込んでいた。

「(ミッションは、完璧に遂行しなければならない)」

自分の中でこう前置きし、

「(綾崎君とデートする。これが今回のミッションだ。だが、あくまでも自然に誘えなければならない)」

ご存知の通り、カユラはハヤテを狙う女性の1人なのである。

「(一番の天敵は巨乳先輩だ。あの人の依存っぷりから考えて、普通に誘ったのでは絶対に阻止される。他の方々も同様だ。まあ、千桜は除くが)」

カユラは色々と考えを巡らし

「(以前してもらった学校案内の御礼という手は・・駄目か。「言葉だけで十分なはずですわ」という感じで切り捨てられる可能性が大だ。荷物持ちという手は・・これも却下だな。あの家には綾崎君以外の執事もいる。その人に頼む可能性が極端に高い)」

自分の中で色々と作戦を立ててはアテネ達に阻止されそうにない計画を模索し

「この手で行こう。これなら成功するはずだ」

作戦を決め、部屋を出た。


                     × ×


場所は変わり、天王州家の居間。

「は!?ハヤテの出かけたい、ですって?」
「ああそうだ」

カユラはアテネを前にして、前置きを簡略化して本題を切り出した。

「綾崎君のセンスはかなりいいと聞いた。私は、新しいコスプレに挑戦しようと思っててな。その新しいコスプレを綾崎君に評価してもらいたいのだよ」
「別にハヤテでなくてもよくて?私でも問題は無いはずですわ」
「フッ。これだから素人は」

カユラはやれやれといった感じに首を振り

「こういうのは異性の意見も取り入れなければならん。同性だけだと、独りよがりになる可能性を否めん」
「で、でしたら、真山君に頼めばいいじゃないですか」

カユラからすれば、アテネのここまでの反論は全て「想定内」だった。

「悠太っちのセンスは特別良い訳じゃない。だが、綾崎君はどうだ?君たちの服はすべて綾崎君のコーディネートと聞いている」
「そ、それは」
「その道の知識もそれなりにあり、尚且つ女性のセンスがわかっている綾崎君に頼むのは当然だと思うが?」

ここまで言い切り、カユラは内心「勝った」と思い、ドヤ顔をしていた。

「わ、分かりましたわよ。ハヤテ、手伝ってあげなさい」
「了解。では、行きましょうか」
「ああ」

作戦は見事成功し、2人きり(カユラにとってはデート)で出掛ける事になった。
因みに

「(綾崎君とデートか。嬉しいな)」

こんな風に喜んでいた。


                     × ×


場所は変わり、秋葉原のコスプレ衣装専門店。

「それで、どういうコスプレに挑戦なさるんですか?」
「今回は、「可愛いコスプレ」がテーマだ」
「成程。可愛いカユラさんにピッタリですね」

ハヤテからすればいつも通り褒めただけだったが

「(こ、これか//////////////////////////女性のハートを的確に打ち抜く褒め殺しとは//////////////////////////////)」

カユラには効果が抜群だった。

「と、兎も角だ。私が選んで試着した服を君が評価してくれればいいから」
「あ、はい」
「言っておくが、気を使うなよ。正直な意見を言うことだ」
「正直な、ですか」
「適当な褒め言葉では、意味がない。真のコスプレイヤーは自己満足だけでは駄目なのだよ」

実際のところ分かりませんが、そういう事にしておいてください。

「分かりました」
「では早速」

カユラは適当に幾つかコスプレを選んで試着室に入った。

「(僕なんかの意見で大丈夫かな?コスプレの衣装なんか選んだことないから不安だな)」

不安に駆られつつもハヤテは待機していた。
暫くすると

「これはどうだ?とあるボーカロイドなんだが」

ハヤテは少しの間見定めた後

「中々お似合いですね。結構細部にまで拘ってるんですね」
「まあな」
「ただ、ちょっと背伸びしてる感が強いですね」
「じゃあ、これはやめておくか」

カーテンを閉め、また暫くし

「今度はどうだ?私と同じコスプレ趣味があるこ○たの衣装だ」
「こ、これは」

ハヤテが黙ったので、不安に駆られたが

「お似合いですよ。凄く」
「お世辞抜きでか?」
「勿論。カユラさんの可愛さが際立っているので、似合うと評価したのです」

褒め言葉プラスキラースマイルに照れつつも

「これは、買うか/////////////」

またカーテンを閉め、また暫くし

「これはどうだ?チャイナ服なんだが」
「正直、微妙です」
「だよな。まあ、これに関しては着てみただけだ」

カーテンを閉め、少しすると

「なあ、ちょっと来てくれ」

顔だけ出し、こういってきた

「なんでしょう?」
「着替えを手伝ってくれ。1人じゃちょっと難しい」
「え!?////////////////////////////」

着替えを手伝うという事は

「あ、あの//////////////////////////」
「早くしろ。他の客に迷惑かもしれんだろ?」

こういわれ、ハヤテは照れつつ試着室に入り、カユラの着替えを手伝った。勿論?できる限りカユラの体などを見ないように。

「最後はメイド服だ。どうだ?」
「お、お似合いですよ//////////////////////////」
「じゃ、買うか」

元の服へ着替える際も、ハヤテは手伝わされた。
まあ、ハヤテが照れたのは言う必要はないだろう。


                      × ×


会計を済ませ、アニ○イトで品定めした後、近くの公園で休憩をとっていた。

「今日はどうだった?私につき合わされたとはいえ」
「中々楽しかったですよ」
「ホントか?」
「ええ。生き生きとしたカユラさんを見れたので」

ハヤテの笑顔を見て、カユラは

「(この人は、本物の天然ジゴロなんだな。その人に効果抜群な褒め言葉を選び、この笑顔。出来る事なら、私だけのものにしたいが、脈はあるんだろうか?)」

こう考え、

「カユラさん?」

突然立ち上がると、座ったままのハヤテに抱き付いた。

「え!?あ、あの」

驚くハヤテをしり目にカユラは

「(脈拍、異常なし。体温上昇、見受けられない。驚いてはいるが、緊張や動揺は無い、か)」

こう分析し、ハヤテから離れた。

「何でもないよ。ちょっと、よろけただけだ」
「は、はあ」

心配そうなハヤテにカユラは

「なあ、もう1つ聞いていいか?」
「なんでしょう?」

一呼吸置くと、

「君から見た私は、どういう「女」なんだ?」

質問した意図は分からなかったが、真面目に答えた方がいいと本能的に悟り

「個性的で、それ以上に魅力的な方だと思いますよ」
「他には?」
「外見的には、可愛らしさと、大人びた雰囲気が魅力ですね」

ハヤテにこういわれ、少し考えた後

「私が恋人になったら、どうなると思う?」
「きっと楽しい日々を送れると思いますよ。カユラさんみたいに素敵な方を恋人に出来たんですから」

ハヤテがこういうと、カユラは

「(成程な。少なくても、私の事は「女」として観れると、結論付けしてもよさそうだ)」

こう思った。


                       × ×


ハヤテはカユラを三千院家に送り

「今日はありがとな。楽しかったよ」
「こちらこそ」
「こういう機会があったら、また頼むよ」
「僕でよかったら」

挨拶を済ませ、ハヤテは帰路に就いた。

「(綾崎、ハヤテ君か。やっぱり、何としてもものにしなければ。このミッションは難関だな)」

こう思いつつもカユラは屋敷に入って行った。


「(フフフフフフフフフフフフフフフフフフフフ♪カユラさんったら色々と言い訳してハヤテ君とデートするなんて♪これはこれは面白い展開ですよね〜♪このコレクションを神尾崎家に届けたら面白いことになりそうだね〜♪なんでしたら、ナギを含めて他の財閥の方々にも送っちゃおうかしら♪ああ♪)」

こんな風に喜んでいた人がいたことは、誰も知らない。


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以上です。

次回は未定です。

では。
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Re: 女神と共に第三部 2nd (6月6日更新) ( No.61 )
日時: 2015/06/06 20:37
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
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ここは毎度お馴染み天王州家。


現在ハヤテは日向と共に天王州家の書庫に来ていた。

「なんか埃っぽいなあ」
「仕方ないですよ。掃除は定期的にしてますが、この書物の多さじゃ」

以前も描いたと思うが、この書庫の蔵書は国立図書館に匹敵しそうな数で、多くの人が読みそうな漫画や、専門家の人しか読みそうにない専門書まで様々だ。

なぜ2人がここに居るのかというと、日向が「調べ物をしたい」と言ったため、ハヤテがここに連れてきたのだ。
インターネットを使えばいいとお思いでしょうが、ネットじゃ無理そうだったので、ここに赴いたのだ。

「誰が読むや、これ」
「まあ、確かに」

日向が何気なく取ったのは「心臓バイパス手術の全て。これを読めば、あなたもバイパス手術の名人になれる本」であり、専門家やそれを目指している学生以外には絶対に見ないと断言本だった。

「この辺はウチには一切関係あらへんな。医学者なんて目指してらんし」
「え〜っと。日向さんがご所望の分類は確かあっちの方だった気が」

ハヤテの曖昧な情報に

「はっきりしてや。ハヤ兄なら分かるやろ?」
「すみません。量が量なだけに把握するのは不可能に近くて」

ハヤテに言われ、奥の方を見たが、奥の壁が見えないほど遠く

「確かにな。置いてある本のリストを作ろうと思うたら、1週間そこらじゃ終わらんで、これ」

書庫は奥行きもあり、天井も高いため、日向の言葉は確かである。

その後も適当に本を取りつつ探そうと思っている分類を見つけようとしたが、中々見つからなかった。
すると

「なんやこれ。世界の暗号大全集か?これ」
「へ!?どれですか?」

ハヤテが後ろから覗き込むと、

「ああ、これはフリギア語ですね」
「それって確か、ゴルディオンにあった古代王国か?」
「ええ、そうですよ」

ハヤテが答えると、日向は少しの間文字を見た後

「さっぱりや。まあ、読めたら怖いわな。とっくの昔に無くなったはずやし」

そういい、本を元の棚に戻した。

「余計な事に時間使わんでさっさと探そ。夜になっても終わらんで、これ」

そういいつつ、部屋の奥へ向かった。
ハヤテは敢えて後を追わず、日向が戻した本を手に取り、開いた。

「(アブラクサスの柱の森、剣を以て正義を示せ。さすれば道は開かれる)」

ハヤテは開いたページを見ながら

「(やっぱりだ。僕には失われたフリギア語が読める)」

そう、ハヤテにはフリギア語が解読できるのだ。

「(これってやっぱり、僕が「女神の転生体」だからなのかな)」

アテネ市の一件後、瑞希さんに「ハヤテは女神の転生体だ」と教えられていた。

「(そういえば、10年前にも同じような事があったな)」


                       × ×


時を戻し、本編より10年前。
ハヤテとアテネがロイヤル・ガーデンから出て、アテネが眠りから覚めてある程度経った日である。

「相変わらず、陰険な場所ですわね」
「地下、だからじゃの」

ここはミコノス島にある三千院家の別荘であり、アテネと帝はナギ達が迷いこんだ迷宮に来ていた。

「さっさと用事を済ませて出ますわよ。「何もいない」と分かってても、気分がいいものではないですからね」
「分かっとるわ」

アテネと帝は手にランプを持ち、歩いていた。
すると

「ところでじゃ、あの小僧はどこであったんじゃ」

帝がアテネに耳打ちし、少し後ろを不安そうについてくる少年について聞いてきた。

「ハヤテは、偶然会ったんですわ。聞きたいなら聞かせてあげますわ。私とハヤテの愛の日々を」

アテネが目を輝かせながら高らかに宣言したが

「長くなりそうじゃから、遠慮しとく」
「ま、貴方みたいな方に話しても仕方ないですからね」

これを境にアテネと帝の間に会話がなくなった。
それを見たのか

「ねえアーたん、ここはどこなの?」
「地下迷宮ですわ。この島に残された遺跡の1つのね」
「ふ〜ん」

興味なさそうにそういい、

「で、何するの?」
「ある重要な壁画の解読に挑むんですわ」
「あ、そ。僕には関係なさそう」

ハヤテがこういうと、アテネは

「まあ、貴方をここに連れてきたのは、「私が離れたくなかったから」ですからね」

少し照れながらそういうと、歩く速度を速めた。
ハヤテもそれに倣って、歩く速度を速めた。


しばらく歩くと、目的地に着いた。

3人はナギ達が見つけた壁画と対面していた。

「ア、アーたん。この壁画の城って」
「ええ。私の貴方がいた、「王族の庭城」ですわ」
「ほう。小僧とはここで会ったのか」

呆気にとられるハヤテをしり目に帝とアテネは

「どうじゃアテネよ」

書かれているフリギア語と対面していた。

「やはり、無理ですわね。書物を読み漁ったんですが」
「そうか。まあ、なんとかするしかないの」

こういった帝にアテネは

「貴方は貴方で、手を打っているみたいですわね」
「ああ。将来有望な小娘を見つけ、教育を施しておる」

因みに、マリアさんです。

「まあ、私の方も何とかしますわ。自力で、ね」

アテネがこういうと、今まで沈黙していたハヤテが

「ねえアーたん、この文字みたいなものって何?」
「フリギア語ですわ。今は失われた、ね」
「じゃあ読めないの?」

ハヤテの何気ない言葉にアテネは

「無理ですわね。ですから、解読しようと努力しているんですわ」
「ふ〜ん」

アテネに説明され、ハヤテはフリギア語を見た。

「!!!」
「な、なんですの?」

急に飛び上がったハヤテに驚いて聞いたが

「な、何でもないよ。訳分かんないな〜って」

適当に誤魔化し、再度文字を見た。

「(「アブラクサスの柱の森、剣を以て正義を示せ。さすれば道は開かれる」これって、アーたんがあの城を出るときに教えてくれた言葉じゃん)」

ただただ驚いていた。しかし、今は描かれていた内容より

「(な、何で読めるんだ?見た事も聞いた事もない文字なのに)」

この文字が解読できている事の方が驚きだった。

「(つ、続きがあるな。ついでに読んでみよう)」

ハヤテがこんな風に思っているとき

「あの小僧、まさか読めるのか?熱心に文字をみとるが」
「そんな訳ありませんわ。「読んでみて褒められたい」って思ってるだけでしょ」
「そうじゃな」

こんな風に帝とアテネは話していた。

そしてハヤテは

「(アブラクサスの柱の森、剣を以て正義を示せ。さすれば道は開かれる。これは城に閉じ込められた者を救うための理であり、純粋に助けたいと思えば入口にある365本のアブラクサスの柱の森のどれを切り付ければよいか分かるが、一欠けらでもそれ以外の気持ちがあると、絶対に失敗し、切りつけた者の命は絶たれる)」

ここまで読み進めるとハヤテは

「(これってアーたんを城から救い出すためにやった事、だね。あの時の僕は、「アーたんを助けたい」としか思ってなかったから、成功したんだね。この文章を見る限りじゃ)」

こう思い、続きを見ることにした。

「(城には「王族の力」と呼ばれる「如何なる願いを叶える事が出来る異能力」である「願望現実化」が封印されている。これは万物を捻じ曲げる力だ)」

この文面にはハヤテも身震いした。

「(願望現実化は使用の度に力を手に入れた者の寿命を一年削り、一月使えなくなるという代償が存在しているが、我が物にしようとする輩は多い)」

ここまで読み、ハヤテは

「(アーたんもあの帝って人もこれだからあの城に行きたがってるのかな。そして「王族の力」を欲している、のかな)」

文章から、こう判断し、さらに読み進めることにした。

「(願望現実化の力は先ほど記載した代償に関係のある願いは叶える事が出来ない。それと共に「力の消滅」も叶える事は出来ない。そのため、永遠に封印し続けるしか方法は無く、「王族の力」が心悪しきものの手に渡らぬことを願うばかりである。その願いを込め、ここに刻む。      天王州皇龍神)」

見る限りじゃここで文は終わっており、ハヤテは一息つき

「(これを刻んだ人、アーたんや瑞希さんと同じ名字だ。もしかしたらすっごい遠いご先祖様かな?)」

そう判断すると

「ハヤテ、もう帰りますわよ」
「あ、待ってよ」

ハヤテはすでに歩き出していたアテネに追いつき

「ハヤテ、ずいぶん熱心に見てましたわね。まさか」
「読めないよ。睨めっこすれば、読めるかな〜って。で、読めたら読めたで褒めてもらえるかな〜って」

ハヤテの説明にアテネは

「読めるわけありませんわ。仮に、読めたとしたら、存分に褒めてあげますわよ」
「じゃあ残念。読めなかったもん」

こう会話しつつ心の中では

「(僕があれを読めたことは、誰にも言わないようにしよう。じゃないと、大変なことになる気がするし)」

こう思っていた。


                       × ×


話は現在に戻します。

「(あの時は、何で読めるのか分かんなかった。でも、今は分かる)」

時を経て自らがフリギア語を読める理由を知る事が出来、それと共に

「(やっぱり、僕がフリギア語を読めることは言わない方がいいよね。アーたんにも言ってないし)」

こう思っていた。

「(さ、もう忘れて日向さんを手伝わないと)」


-----------------------------------------------------------------------------------
以上です。

今回の話は割と重要だったので、書きました。

それと、第二部ではった伏線回収の為でもあります。
その伏線は第二部のNo.32にある「伊澄以外にフリギア語が読めた人がいた」と言うところです。

次回は未定です。

では。
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Re: 女神と共に第三部 2nd (6月18日更新) ( No.62 )
日時: 2015/06/18 16:50
名前: masa

こんにちはmasaです。

諸事情で遅くなりましたが、更新です。

本編どうぞ。
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ここは毎度お馴染み天王州家。


今日は幸いにも?アテネの「甘えたい症候群」は発動しておらず、ハヤテは仕事に集中できていた。
現在は昼食後の後片付けをしており、相変わらずの手際だった。

「(作者の言う通り、凄い手際だよな。流石、というべきかな)」

やる事が無かった千桜は椅子に座り、頬杖を突きながら、ハヤテの仕事を眺めていた。

「(こういう人が結婚とかしたら、奥さんになる人は幸せだろうな)」

こう思った瞬間、千桜の脳内に「ハヤテと自分が仲良く家事をしている光景」が浮かんできて

「(って、待て待て。なんで今変な光景が浮かんだんだよ。多、確かに綾崎君の奥さんはなんて考えたが)」

「奥さん」という単語を思い浮かべるたび先程の光景が浮かんでしまい

「(やめやめ。こんな事考えるの)」

千桜がこんな風に無理やり自分の考えに決着をつけると

「何かご用でしょうか?」
「へ!?」

ハヤテが話しかけてきた。

「用事があるからここに来たのかと思いまして」

こう行ってきたハヤテに千桜は

「特別用事はないよ。暇だったから、君の仕事っぷりを見てただけだ」
「はあ」

ハヤテはこれ以上言及してこなかった。

「君の仕事を改めて見てて思ったんだがな」
「なんでしょう?」
「君が主夫になったら、凄そうだなって」

褒め言葉とも取れる意見にハヤテは

「あ、ありがとうございます」

一応礼を言い、キッチンを出ていこうとした。

「どこ行くんだ?」
「買い物です。近所のスーパーへ」

そう言って買い物籠を持ったハヤテに

「私も行っていいか?」
「へ!?」

首を傾げたハヤテに千桜は

「いや、ほら。私は世話になりっぱなしだろ?君といいこの家でといい。だから、偶には手伝おうと思ってさ」
「成程。なら、お願いしましょうかね」

ハヤテがそう言うと、千桜はハヤテの後に続いた。


                    × ×


2人は近所のスーパーにやってきた。

千桜は少し後ろでハヤテの買い物の様子を眺めていた。

半分ほど買い物を終えた頃

「こう言ったらあれかもしれんが」
「なんですか?」

籠の中の商品を見つつ

「天王州家ほどの財閥なら、金にものを言わせて「超一級品」だけを買ってると思ったよ」

千桜の言葉にハヤテは表情を変えず

「確かに、それも不可能ではないかもしれませんね。ですが、師匠の教えもありますし、僕自身の子供の頃の習慣みたいなものもありますから」
「???」

首を傾げる千桜にハヤテは

「食材というのは、お金をかければ良いと言う訳ではありません。安くて、出来る限り良い物を選ぶ。こういうことです」
「そういうもんか」
「ええ。要は、「食への感謝」が大切なんですよ」

千桜は「いい言葉だな」と思い、

「そういえば、皆の好き嫌いとか把握してるのか?」
「大体は」
「じゃあ、ルカもか?」

千桜の質問にハヤテは少しだけ考え

「ルカさんは、ニンジンやアスパラ、ピーマンみたいな野菜が苦手ですね」
「そうだったのか」
「なので、お弁当にこっそり入れておくのに苦労するんです」

千桜が感心していると

「あ、千桜さんが好きな桃が安売りしてるんで、買っていきましょう」
「すまんな。桃は大好きなんだ♪」

そう言った途端、

「って、なんで私の好物を知ってるんだ?」
「執事ですから。皆さんの好みを把握するのも役目ですからね」
「そ、そうか/////////////////////」

ハヤテの笑顔と気遣いに照れつつ

「(待てって。なんで綾崎君が私の好みを知っててくれて喜んでるんだ?そ、そういえばこれってデートみたいだみたいな考えがさっきからあるよな?な、なんでだよ。しっかりしろよ、私)」

千桜のこんな悩みは当然知る由もなく、買い物を続けた。


                    × ×


買い物を終え2人は帰路についていた。

当然?ハヤテはさり気なく重いほうを持っていた。
そして、近所のおばさま達に人気があった

「(なんか、凄いな)」

千桜がそう思っていると

「カッコいいわよね」
「ほんとほんと。ウチの旦那もあんな風に当たり前のようにさり気ない気配りが出来たらいいのに」
「離婚して彼を狙おうかしら。本気で」

こんな声が千桜には聞こえていた。

「(さり気ない気配りか)」

そう思いつつ横を見ると、ハヤテは千桜の歩くペースに合わせて歩いていて、道路側を歩いていた。

「君って、女にモテルタイプだよな」
「な、何をいきなり。そ、そんなわけないじゃないですか」

ハヤテの言葉に呆れつつ千桜は

「なあ、もし女の子に「好きです」って告白されたらどうするんだ?君は」
「えっと。恋愛的な意味で、ですよね?」
「当たり前だ」

聞かれたハヤテは少し悩んで

「分かりません」
「え!?」
「どう答えたらいいか、分かんないですよ」

千桜はため息をつき

「適当でもいいよ」
「え、えっと。でしたら、「人生の最期まで一緒にいてくれるか?」って聞きますかね」
「そっか」

ハヤテの答えに千桜は

「(って、いい加減にしろ。なんで私は「私だったら、最期までいてやる」なんて答えようとしたんだ?お、おまけにだ。綾崎君のさり気なさすぎる気配りに喜んでるんだよ)」

突然黙り込んだ千桜にハヤテは首を傾げるだけだった。


                     × ×


一方その頃、天王州家。

「ねえアテネ、ハヤテ君知らない?」

ルカが優雅に紅茶を飲んでいたアテネに聞いていた。

「ハヤテ?確か、買い物に行ったはずですわ」
「そ、そっか。ありがと」

ルカは礼を言うと、居間を出た。
少し歩くと

「どないしたんや?ルカお姉ちゃん」
「日向ちゃん」

日向が声をかけてきた。

「悩んでるみたいやな。ウチでよかった聞くで」
「え、えっと」
「年下で頼りにならんかもしれんけど、話したほうが楽になることもあると思うで」

日向の言葉にルカは

「じゃ、じゃあさ、聞きたいんだけど」
「なんや?」

ルカは少し間をあけ

「ハヤテ君に私が「好きです」って告白したら、恋人になってくれると思う?」


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以上です。

次回は続きです。

では。
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Re: 女神と共に第三部 2nd (7月18日更新再開) ( No.63 )
日時: 2015/07/18 17:12
名前: masa

こんにちはmasaです。

短編と休憩が終わったので、連載再開です。

本編どうぞ。
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前回、ルカは悩んでいた所、日向に話した砲が楽になる事もあると言われ、好きと告白したら恋人になってもらえるか尋ねた。


「ハヤテ君、私が告白したら、恋人になってくれるかな?」

不安だったためか、再度聞いた。
聞かれた日向は腕を組んで考えた後

「正直、難しいかもしれへんで」
「な、なんで?」

不安そうなルカに日向は

「ハヤ兄の鈍感度は並外れとる。ほぼ毎日ウチらと風呂入ったり、一緒に寝たりしとるのに、ウチらの好意に気づいとるか微妙なところや」

日向が当たり前のように言うと、ルカは驚き全開の顔になり

「え!?ハヤテ君とお風呂入ったり、一緒に寝たりしてたの?」
「なんや?一緒に住んどるのに、気付いてなかったんか?」
「あ、はい」

驚くルカに日向は

「因みにや、アテネお姉ちゃん、千桜お姉ちゃん、ソニアお姉ちゃん、ウチでローテーション組んで一緒に入浴や寝るのを決めとるで」
「え!?千桜も?」
「せやで」

千桜もメンバーに加わっていることを聞き、ルカは純粋に

「(う、羨ましいな)」

と思ったそうだ。

「まあ、ともかくや。ハヤ兄を落とすには並大抵の努力じゃ無駄やっちゅうことや」

日向の言葉にルカは

「そっか。普通にしてたんじゃ、告白程度じゃ駄目だってことだよね」
「せやな」

肯定した日向にルカは

「じゃ、じゃあもう、いきなりキスしちゃうとか、か」

言われた日向は目を閉じてルカの言葉を飲み込んだ後

「そこまでしてもまだ薄味やと思うで」
「な、なんでよ。女の子の「いきなりのキス攻撃」なんだよ」

日向は羨ましいやら憎らしいやらのような顔になり

「ハヤ兄には6人も婚約者候補がおるんや。その6人の人達の気持ちにも気付いているかどうかさえも微妙や。賭け事で言ったら、超大穴ってところやな」

日向の言葉にルカは人生史上最大の衝撃を受けたみたいな顔になり

「こ、婚約者候補?ハヤテ君に?しかも6人も?」
「まあ、知らんのも無理ないか」

日向は既に知っていた情報だったため、驚きはしなかったが、ルカは違った。
そのルカは暫く俯いた後

「じゃあもう、よっぽどじゃないと、駄目だね」
「せやね」

ルカが決意を固めようとしたところ

「さて、それはどうでしょうかね」

突然声が聞こえ、振り向くとソニアが壁にもたれかかっていた

「話は聞きましたよ。一部始終ね」
「き、聞いてたの」

ソニアはルカに詰め寄り

「私からすれば、「中途半端」な貴方の気持ちじゃ何をしようと無駄だと断言できますよ」

ソニアの言葉にルカはムッっとなり

「わ、私が中途半端?」

ルカの言葉にソニアはあくまで冷静に

「違うなんて説得力はありませんよ。アイドルとして集中しているわけでも、漫画家として集中しているわけでもないんですから」
「そ、そんな事」
「仕事投げ出して家出した方が、反論できませんよ」

そう言い残し、ソニアは立ち去った。

「中途半端、か」
「ルカお姉ちゃん?」
「(悔しいけど、言い返せなかった。で、でも胸に熱く宿るこの気持ちだけは)」

ルカが考え込んでいると、ハヤテが帰ってきた。ルカは玄関のほうへ走った。日向も後を追った。


「ハヤテ君」
「あ、ルカさん。何かご用ですか?」
「あ、あのね」

ルカが言おうか悩んでいると、

「綾崎君、荷物は私が運んでおくよ」
「え!?あ、はい」

千桜がハヤテの分の荷物を受け取ると、直ぐに他の使用人が来て千桜を手伝った。

「それで、何のご用でしょうか」

ルカは深呼吸し

「ハヤテ君は、女の子に「好きです」って告白されたらどうするの?」
「えっと、恋愛的な意味で、ですよね?」
「あ、当たり前でしょ」

真剣な表情のルカにハヤテは困ったように見上げた後

「分かりません」
「「え!?」」
「僕は、その答えは分かりませんよ」

嘘などを言っている様子のないハヤテに

「ど、どう言う事?」
「僕は、恋愛的な意味で告白されても、答え方が分かんないですよ」

ハヤテに言われルカは

「そう、なんだ。ありがと」
「は、はあ」

首を傾げるハヤテを残し、ルカはその場を立ち去った。

「(分かんない、か。じゃあ、考えようによっては、私にもチャンスがあるって考えてもいいってことだよね?)」

ポジティブに考えることにした。


                     × ×


ハヤテとの話を終えたルカはキッチンにいた千桜のもとに来ていた。

「ど、どうしたんだ、ルカ」
「聞きたい事がある。嘘偽りなく述べよ」

妙な迫力に千桜は黙って頷いた。

「まず、ハヤテ君と一緒にお風呂に入ったり、寝たりしてるのって本当?」
「あ、いや」
「嘘偽りなく述べよ」

また妙な雰囲気に千桜は照れつつも

「ほ、本当さ。一線は越えてないが」
「そう。じゃあ次」
「まだあんのか」

溜息をついた千桜をジト目で見た後

「ハヤテ君に婚約者候補が6人もいたって知ってた?」
「知ってるよ。一応な」
「そ、そう」

俯いたルカに千桜は

「ルカが知っている人を上げると、まずはアテネだ」
「当然、だよね」
「で、後は・・ナギだよ」
「ナ、ナギも!?」

驚くルカを宥め

「補足しておくとだな、アテネはNo.4で、ナギはNo.5だよ」
「アテネが一番じゃなかったんだ」
「まあな。まあ、上3人はルカは知らない人だよ」

千桜の言葉にルカは

「(私の知らないハヤテ君を好きな人、か。何時の日か会うかもね。そん時は、宣戦布告する殊になるかもね)」

ソニアの言葉を気にしつつも、こう思った。

「(やれやれ。ルカがこの手の事を聞いて来たってことは、またか。  って待てよ!!!!なんで私は警戒してるんだよ。友達のルカに。私は本当にどうかしている。アテネに頼んで、良い医者を紹介してもらうかな)」

千桜はこう思ったそうだ。


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以上です。

次回は未定です。

では。
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Re: 女神と共に第三部 2nd (7月21日更新) ( No.64 )
日時: 2015/07/21 17:32
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
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ここは毎度お馴染み三千院家。


今日は7月12日。そう

「なあ悠太、今日はお前の誕生日だよな?」

ナギに突然聞かれ、悠太は少々驚きつつ

「まあな。親父と母さん、姉ちゃんからお祝いメール貰ったよ」

悠太が答えると、ナギは頷きつつ

「今日、お前の誕生日パーティを開くことになった」
「俺のか?いいのか?」
「何当り前な事聞いてるんだよ。いいに決まってるから開くんだろ」

ナギの言葉に悠太は感動しつつ

「ありがとな。って事は若しかして」
「招待状なら送ったよ。悠太が親しくしている面々にな」

そう言うと、ナギはメモを取り出し

「まず、アテネとハヤテと千桜、咲夜と伊澄、ワタルとサキさん、後は私とマリアとカユラ。これくらいだな。私も知っている悠太と親しいやつはな」
「成程な」
「美緒さんや悠太の両親にも招待状は贈ったが、「都合が悪くて行けません」って断られた」
「3人とも忙しいしな」

悠太は仕方ないという感じで答えた。

「ルカも招待しようと思ったんだが、親しい事を知らない人もいるから、混乱が生まれる可能性もある。だから、事情を説明して招待しなかったよ」
「ルカは大人気アイドルだもんな」


「で、大規模にしてもよかったんだが、嫌だろ?派手なの」
「確かにな」

他にも友達はいるのだが、ナギとの関係は無いに等しいのである。

「折角の誕生日だ。つまりはプレゼントは必須」
「そ、そんな気を使ってくれなくても」

ナギは悠太を無視するように

「私は考えた。昨日からな。でだ、悠太には私の手料理を贈ろう」
「お嬢様のか?」
「不満か?」

睨んでくるナギに悠太は

「違うよ。嬉しくて聞き返しただけだ」
「ならいい。 今から仕込みとか始めるから、キッチンは出入り禁止な」
「了解」

悠太が了承すると、ナギは笑みを浮かべ、歩いて行った。

するとこの話を聞いていたマリアさんは

「(フフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフ♪良い事思いついたわ♪調味料の中身を全部入れ替えちゃいましょう♪そうすれば出鱈目な味になりますね〜♪そうすれば、気を使って全部食べる悠太君も♪無理して食べてくれてると分かったナギも撮影できますね〜♪そうすれば私のコレクションが♪ああ♪)」

こう思い、先回りすることにした。


                       × ×


キッチンに着いたナギは食材などをチェックする前にメニューを考えることにした。

「料理を引き受けたはいいが、出来る料理は限られてるな。っと、言う事は質素めになるか」

そう思ったが

「関係ないか。要は気持ちだ気持ち」

そう思い直し、冷蔵庫から必要な食材を取り出し始めた。

「誕生日と言ったらケーキとチキンは外す訳にはいかんな。幸いどっちも作れるしな」

料理を開始した。すると

「あれ?調味料が中身とラベルが違うな。誰かが間違えたか?」

幸い?ナギはすり替えられた調味料に気付き、間違えないようにしつつ料理を続けた。

「これでよしっと。ケーキとチキンの仕込みはこれで完璧だな。後は、他の料理だな。出来る限り同時進行で行こう」

ナギの料理は順調に進んでいった。


                       × ×


夜になり、招待された面々も三千院家に集まり

「皆の者、悠太の誕生日パーティに集まってくれて感謝する」

壇上に上がったナギはそう前置きすると

「堅苦しい挨拶は誰のためにもならん。っと言う訳で、乾杯」

ナギの合図でグラスを抱え、

「よしっ、早速プレゼントタイムと行こうか」

ナギがそういうと

「悠太、僕からはこれだよ。普段使ってくれればうれしいよ」

ハヤテのプレゼントは高そうなハンカチで、ちゃんと「Y・M」っとイニシャルが入っていた。

「ありがとな。大事に使うよ」


「私からはこれですわね。私のも普段使ってくださいね」

アテネのプレゼントは懐中時計で、世界的に有名なブランドだった。

「こんな高級品貰っていいのか?」
「当然ですわ」
「ありがと。こっちも大事にするよ」

「私からはこれだ。中々面白いぞ」

千桜のプレゼントはラノベで悠太は読んだ事が無い物だった。

「ありがと。暇を見つけて読むよ」
「そうしてくれ」


「ウチからのプレゼントはこれや。あんさんは笑いが分かっとらん。だから勉強せい」

咲夜のプレゼントは「吉○新喜劇」のDVDで、

「あ、ありがとな」

悠太は気付かれないように苦笑いを浮かべたそうだ。

「私のはこれです。祈りを込めておきました」

伊澄のはお札で、「幸福訪問祈願」と書かれていた。

「これは効きそうだな」
「まあ、一応私はプロなので」
「ありがと。お守りにするよ」

悠太は懐にしまった。

「俺とサキからはこれさ。2人で一生懸命選んだんだぜ」

ワタルとサキさんからはネックレスだった。

「ありがとな」

悠太は早速首から下げた。

「フフン。私からはこれさ。ありがたく受け取りたまえ」

カユラのプレゼントはコスプレだった。(小説なのが幸いなもの)

「あ、ありがと」
「大事に着たまえ」

タンスの肥やしになるだろうとは敢えて言わなかった。

「悠太く〜ん♪私からはこれですよ♪」

マリアさんのプレゼントは謎のDVDだった。

「後で見るととっても面白いですよ〜♪」
「あ、はい」

マリアさんの笑顔に悠太は

「(見ないほうがいいな。これ)」

そう思った。

「分かってると思うが私のプレゼントは料理だ。心して食せ」
「じゃあ、いただこうかな」

悠太が料理に手を伸ばしたことで

「(チャンスよ♪これで悠太君の気を使った引きつった笑顔を撮影できるわね♪そしてそれにより落ち込むナギも撮影できるわね〜♪ああ♪)」

こう思った人がいたが

「おお。流石お嬢様。美味いぜ」
「だ、だろ?」

不安そうなナギにマリアさん以外の面々も料理に手を伸ばした。

「あ、美味しい」
「ハヤテには全くもって劣ってますが、美味しいですわね」
「確かに美味いわ。ナギ、成長したなあ」
「ほんと。美味しい」
「驚いたな。サキ程と同じくらいうまいぜ」
「本当ですね。美味しいです」
「確かに美味だ」

それぞれが普通に褒め称えていて、気を使ったものではないと悟り、マリアさんも食べて

「(ふざけんじゃねえぞ!!!!!!!!!!!!!!!!なんで失敗しねえんだ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!折角のチャンスが無駄じゃねえか!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!俺様の計画を邪魔すんじゃねえ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!使えねえゴミクズ野郎が!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!)」

とか思った人がいたそうだ。


その後特に何も起こらず平和に誕生日会はお開きになった。


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以上です。

次回は未定です。

では
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Re: 女神と共に第三部 2nd (7月21日更新) ( No.65 )
日時: 2015/07/23 17:07
名前: ささ

ささです。
プレゼントをみると個性がでますね。
ナギの手料理かぁ、一度食してみたい。
悠太にとって一番のプレゼントだろうな。
調味料のすり替えって、べたすぎ。
背後の黒い笑みを警戒して退散します。
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Re: 女神と共に第三部 2nd (7月24日更新) ( No.66 )
日時: 2015/07/24 16:15
名前: masa

こんにちはmasaです。

レス返しの更新です。


 ●さささん

 >>ささです。

 泉「感想ありがとー♪」

 >>プレゼントをみると個性がでますね。

 よかったです、そう言っていただけて。結構考えましたから。

 >>ナギの手料理かぁ、一度食してみたい。

 ナギ「別にいいぞ。私の料理の腕はかなり上がってきてるからな」

 >>悠太にとって一番のプレゼントだろうな。

 悠太「まあな。多分、お嬢様も分かってて作ってくれたんだろうな」

 >>調味料のすり替えって、べたすぎ。

 マリア「・・・・・・・・・」

 >>背後の黒い笑みを警戒して退散します。

 マリア「・・・・・・・・・・・逃げられるとでも?」

 ナギ「止めろ、クラウス」
 クラウス「・・無理です」

 まあ、作者権限で何とかします。

 感想ありがとうです〜♪

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Re: 女神と共に第三部 2nd (7月24日更新) ( No.67 )
日時: 2015/07/24 16:27
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
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ここは白皇学院の2年生の教室。

「扱いが、違う気がするんだ」

突然こんな事を言い出したのは、理沙である。
言われた美希と泉は少しの間沈黙し

「なんかあったのか?」

美希が聞くと、理沙は椅子の背もたれに寄りかかり

「一昨日私の誕生日だったろ?」
「知ってるよ」
「改めておめでと♪」

理沙は思い出すように

「その時の事なんだよ」


                    × ×


少し遡り、その一昨日。

「やあハヤテ君。今日は何日かな?」

聞かれたハヤテは首を傾げつつ

「7月13日ですけど」
「その通りさ。でだ、何の日だ?」

また聞かれたハヤテは腕を組んで考えた後

「知りませんね」

そう言って立ち去ろうとしたので、慌てて理沙は引き止め

「7月13日だぞ」
「知りませんって」
「特別な日だろうが!!」

なおも首を傾げるハヤテに理沙はしびれを切らし

「私の誕生日だろうが!!!」
「そうだったんですか」

ハヤテは相槌を打つとまた立ち去ろうとした。当然引き止め

「誕生日なんだぞ」
「それがどうしたんですか?」
「誕生日と言ったら、プレゼントを贈るもんなんだよ」

言われたハヤテは驚いた(フリだが)。

「成程。勉強になりました」

そう言うとまた立ち去ろうとした。まあ、当然引き止め

「プレゼントをくれよ!!!」
「なぜですか?」
「誕生日だからだ!!!」
「誕生日がどうかなさいましたか?」
「だから!!!誕生日にはプレゼントを贈るもんだと言っただろうが!!!」

声を荒げた理沙に対しハヤテは

「誕生日にはプレゼントを贈るんですか。勉強になりました」

そう言って立ち去ろうとした。当然引き止め

「だから、何かくれって」
「なぜですか?」
「だからー!!!」


                     × ×


話し終え、一旦間を置き

「こんなやり取りを20回くらい繰り返した後、諦めて立ち去ったんだ」
「ハヤテ君って、おバカだったのか?」
「私も最初はそう思った。だが、後で思い返して、ボケてただけだと分かったんだよ」

理沙はそういうと、溜息をつき

「我々には贈るプレゼントなんかないと言う訳だよな」
「所詮は脇役か」

納得した美希と理沙に泉は

「あ、あのさ。私はもらったよ。誕生日プレゼント」
「「な、なにー。何をだ!!」」
「手作りのケーキ」

泉の報告に理沙は

「納得いかんな。泉は作者にメインの回を貰ったりしてるのに、なぜ私は誕生日なのに何もないんだ」
「そんなの分かりきってるだろ」

美希に言われた理沙は

「な、なんだよ」
「聞かないほうがいいぞ」

美希にそういわれたが、やはり気になってしまい

「な、なんだよ言えよ。気持ち悪いから」
「作者の気に入り度だろ」

美希はいったん間をあけ

「作者は泉の事を好きなキャラに位置付けてるが、理沙はそうでもないんだろ」
「ほ、本当か!?」

本当です。

「クッ。こうなったら、作者君が気に入っている人に聞くのが、一番だ。気に入られる方法については」

そういうと、携帯でどこかに電話し

「もしもしヒナか?」
『何よ』
「単刀直入に聞こう。作者君に気に入られる方法は何だ!?」

理沙が聞くと、ヒナギクは

『補習授業中でしょ。そんなくだらない事聞いてこないで勉強しなさい』

そう言うと、電話を切った。

「怒られたな」
「だったら、怒られない人へ電話すればいいんだ」

変なことで盛り上がる2人に泉は

「(勉強したほうがいいと思うけど。いいや、私は私で勉強しておこ)」

2人を無視して勉強に集中することにした。

「ナギちゃんか?作者君に気に入られる方法を聞いているんだが」

家で寛いでいたナギはため息をつき

『可愛げじゃないのか?』
「可愛げ?」
『いいか?作者が最も気に入ってる理事長は、「ハヤテに依存している」という可愛げがある。一番好きなオリキャラの神尾崎に関しても「ハヤテにベタ惚れ」という可愛げとも取れるものがある。それだろ』

言われた理沙は

「成程。助かったよ」

礼を言うと、電話を切った。

「あの、暗記はどうなってるんですか?」
「おおハヤテ君。ちょうどいい」
「何がですか?」

いきなり聞かれたハヤテは呆れつつ聞いていた。

「ズバリ、私の可愛げは何だ?」
「・・・暗記しましょうよ」

質問を無視し、正論をぶつけたが

「我々の中で可愛げが最もあるのは誰だ!!」
「泉だ」

美希と理沙は暫く考え

「確かに泉は可愛げがある」
「素直に感情を表に出したり、異性の前でも堂々と着替えたり」

美希と理沙は結論付け

「作者君に気に入られるにはそういう可愛げが必要なのか」

そういうと理沙は

「と言う訳で、可愛げの見本を見るために、ハヤテ君には泉のスカートをめくってもらおう」

当然こんなことを言い出した理沙にハヤテも泉も驚き

「な、何言ってるんですか。そんな小学校低学年の男子みたいな」
「いいじゃないか。そうすれば、可愛げが見れるし」
「見れません!!!第一そんな事」

反論しようとしたハヤテに

「あ、あのね」
「瀬川さんも言ってくださいよ。バカげてるって」
「ハ、ハヤテ君だったら、スカートめくってもいいよ//////////////////////////////ハヤテ君がしたいなら、う、受け止めるから//////////////////////////////////な、なんだったら、ブ、ブも/////////////////////////////////////////」

顔を真っ赤にしつつこう言った泉に理沙は

「これが可愛げか。よしっ、私のスカートをだね」

こう言いかけたが

「そんなバカバカしい事を言っているということは、補習のテストはもう初めていいんだな?」

担任の薫先生が教室に来ていて、冷めた目でこう言った。

「ま、待ってくれ」
「も、もう少し時間をくれ」

美希と理沙は慌てて教科書を見出した。


                    × ×


帰宅したハヤテを見て日向は

「ど、どないしたんや?いつも以上に疲れとるみたいやが」
「あ、いえ。可愛げって難しいですね」
「な、なんやそれ」

当然の突込みだったが、ハヤテはこの話題をこれ以上口にしなかった。


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以上です。

次回は未定です。

では。
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Re: 女神と共に第三部 2nd (7月27日更新) ( No.68 )
日時: 2015/07/27 17:07
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
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ここは何度も出てる神尾崎家。


「お嬢様、頼まれていた物です」
「ありがとうですわ」

この家の令嬢、綾子は執事の城山から封筒を受け取り、中身を取り出した。

「水蓮寺ルカ。超大手芸能事務所所属のアイドル。事務所にはオーディションに合格し、所属することになった」

綾子が読んでいるのは彼女自身が依頼したルカの身辺情報の報告書である。

「両親はともに元芸能人で、娘にアイドルとしての英才教育を施し、個人事務所を設立。しかし芽が出ず、去年のクリスマスイブに娘に1億5千万強の借金を押し付け失踪」

報告書を読み終え、綾子は一息つき

「この方が愛しのハヤテ様に最近近付く女ですか」

綾子はルカがハヤテと仲良くなったのを危惧し、調査させたのだ。

「お嬢様、いかがなさるんですか?」
「愚門を。例えどんな事情があろうとハヤテ様は私のものですわ」

当然のようにそう言った綾子に城山は

「(相変わらず、ですか。まあ、私個人としても綾崎様はお嬢様と結ばれてほしいですけどね)」

こう思った。

「善は急げですわ。出かけますわよ」
「あ、はい」


                      × ×


家を出た綾子は暫く歩くと

「あら、偶然ですわね」
「え、えっと」

変装して散歩していたルカと出会った。

「水蓮寺ルカさん、ですわね」
「あ、いや。そ、それは」

ルカとしてはばれるとややこしいので、誤魔化そうとしたが

「とりあえず、近くの公園に行きましょうか。人払いはさせますわ」
「は、はい」

綾子の発する独特の雰囲気にルカは反論できず、従うことにした。


                       × ×


2人は近くの公園にやってきた。
当然公園内は綾子が人払いさせたので、誰もいなかった。

「ど、どうして私だと気付いたんですか?」

ルカは当然の疑問をぶつけたが、綾子は答えずに

「貴方、最近ハヤテ様と仲良くなったみたいですわね」
「え!?あ、はい」

下手に逆らわないほうがいいと本能で悟り、なぜハヤテを知っているのとか、仲良くなったことを知っているとかの疑問は飲み込むことにした。

「なぜ、ですの」
「い、色々あって助けてもらって、それからです」
「ハヤテ様の悪い癖ですか」

綾子はやれやれといった感じで頭を横に振り

「そう言えば、まだ名乗ってませんでしたわね」

そういうと、綾子はコホンと軽く咳払いをし、

「私は神尾崎綾子。ハヤテ様の婚約者候補のNo.1ですわ」

名乗られた瞬間、ルカは色々と悟った。
ルカはアテネにハヤテの婚約者候補を教えてもらっていたためであった。

「貴方が、ハヤテ君の」
「ええ。未来の妻ですわ」

堂々と言う綾子にルカは感心やら色々混じった感情に襲われた。

「貴方は、ハヤテ様の事をどう思ってるんですの?」
「ど、どうって」

答えに詰まったルカに綾子は

「まあ、貴方がハヤテ様にいかなる感情を抱こうと、関係ありませんわ」
「え!?」

綾子の言葉にルカは驚いていた。

「はっきり言うために、貴方に接触したんですわ」
「・・・」
「諦めなさい。ハヤテ様の恋人ポジション並びに妻ポジションは」

挑発的に言われたルカは

「な、なんでよ!!!!」
「恋人だろうが妻だろうが、そのポジションは私のものだからですわ」
「ま、まだ決まったわけじゃないじゃない!!!」

声を荒げたルカに綾子は

「貴方、ご自分の立場をお分かりですか?」
「え!?」
「貴方は財閥の令嬢でもないごくごく普通の人。ハヤテ様の伴侶に相応しいと、本気でお思いですの?」

綾子はルカの様子を探りつつ、言葉をつづけた。

「それに聞いてますわよ。貴方、アイドルでありながら漫画家も目指しているとか」
「そ、それは」

事務所との対立理由が漫画だっただけに反論は出来なかった。

「はっきり言いますわ。貴方みたいに中途半端な方には、ハヤテ様の恋人などのポジションは差し上げませんわ」
「・・・中途半端」
「そうですわ。私は、ハヤテ様の妻になれるなら、令嬢という立場を捨てる覚悟はありますわ」

綾子はルカを睨み付け

「貴方にはあるんですの?「覚悟」が」
「・・・」
「ともかく、貴方にはハヤテ様はあげませんから。悔しかったら、それなりの地位を手に入れることですのね」

綾子はそう吐き捨てると、立ち去って行った。


公園を出たところで城山は綾子に声をかけた。

「いいんですか?あそこまで言って」
「いいんですわ。あの程度で諦めるなら、それまでということですわ」

綾子は間をあけ

「あの程度でハヤテ様への想いを捨てるというなら、「我がライバル」にする価値なんかないというだけですわ。諦めず、ハヤテ様へアタックすというなら、ライバルとして認めてあげますわ。ハヤテ様はあげませんが」

そう、綾子は態とルカを挑発したのだ。

ルカの「ハヤテへの想いの強さ」を確かめるために。


一方のルカはまだ公園にいた。

「中途半端、か。また言われちゃったな」

ルカは頬をポリポリと掻きながら

「で、でも。この胸に宿る熱い気持ちは・・」

胸に手を当て、ハヤテの事を考えた。

そして、暫く恋愛についても考え、

「財閥の令嬢じゃないと、恋しちゃいけないって決まってないよね。確かにハヤテ君を好きな人はナギを含めてお金持ちが多いけど」

こう思い、

「そ、そうだよ。確信は無いけど、千桜だってお金持ちって訳じゃないけど、ハヤテ君の事好きみたいだし、カユラだって物凄いお金持ちじゃなさそうだし」

省きましたが、ルカはカユラと友人になってます。

「恋愛や結婚に立場は関係ないよね。ね」

こう結論付け

「ハヤテ君を好きかどうか、か」

おおよその結論は出てるが、確信はないため、まだ暫くこの答えは考えることにした。

「(神尾崎綾子さん、か。若しかしたら、アテネ以上の強敵かも)


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以上です。

次回は未定です。

では。
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Re: 女神と共に第三部 2nd (7月30日更新) ( No.69 )
日時: 2015/07/30 15:45
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
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ここは毎度お馴染み三千院家の夜。


「なあお嬢様、そろそろ同人誌の内容を決めないと、間に合わねえんじゃねえか?」

パソコンをいじっているナギに悠太が言ったが、

「まあ、確かにな」

必要な資料を調べているわけでもなく、ダラダラのネットサーフィンをしていた。

すると?

「(フフフフフフフフフフフフフフフ♪このまま無駄に時間を過ごしてほしいですね〜♪そうすれば、それはそれは面白いことになりそうですね〜♪そうすればまたコレクションが♪ああ♪)」

とか思った人がいたそうだ。

しかし?

「お嬢様、漫画描くかパソコンを叢雲で斬られるかどっちか選びな」
「は、はい。すぐ止めます」

真後ろで悠太に言われ、ナギはパソコンの電源を切った。
その事で

「(またてめえは!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!俺様の邪魔がそんなに楽しいか!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!ええこら!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!)」

とか思った人がいたそうだ。

ナギはパソコンの電源を切ったが、ソファーに寝ころび

「でもさ、家の中だと集中出来ないんだよ。誘惑が多くてな」

確かにナギの周りには漫画やゲームが置かれていた。

「じゃあ、ファミレスにでも行くか」
「ファミレスでネームだと!?見たことあるやつじゃないか」

ナギは目を輝かせ

「漫画家を目指す以上は是非とも通らないといけない道だな。是非とも行こう」
「了解。じゃ、早速行くか」


                    × ×


ナギと悠太は近所の24時間営業のファミレスにやってきた。

「おー。これは何というか、漫画が捗りそうな環境だな」
「そっか」

2人は席に案内された。

「この感じもまたたまらん」
「ドリンクバー2つ」

少し興奮するナギを気にせず悠太は注文した。

「飲み物取ってくるから、何か考えといてくれ」
「あいよ」

悠太はドリンクバーの所へ行き、飲み物を2つ取ると、席に戻った。
すると

「お嬢様、俺は漫画のネタを考えろと言ったのであって、注文を考えとけとは言ってねえぞ」
「し、しかしだな」

文句を言われたが、ナギは見ていたメニューに目を落とし

「これを見ていたら、食べたくてしょうがなくなってだな」
「やれやれ」

悠太はため息をつきつつ

「で、何頼むんだよ」

取ってきた飲み物を置き、席に座りつつ聞くと、ナギは即答で

「オムライスだ」

結局注文し、待っている間とかも漫画は進まず

「ふう。美味しかったな」
「まあな」

ナギは背もたれに寄りかかって一息つくと

「悠太やマリアのご飯も美味しいが、こういう所での食事も悪くないな」

そう言いつつ携帯を取り出したので

「飯食って携帯いじってたら家にいるのと変わってねえだろうが」

悠太はナギにグリグリ攻撃をしつつ叱り付けた

「痛い痛い。謝るからやめてくれ」

ナギが謝ったので攻撃を止めた。

「い、今のは癖みたいなものだ。私だって真剣にやる気はあるんだよ」
「だったら、そのやる気を見せてくれよ。遊びに来てるわけじゃねえんだからよ」

悠太はため息をつきつつナギの持ってきたバックを見ると、P○Pが入っていた。

「お嬢様、その鞄に入ってるP○Pは何なんだ?」

また怒られそうな雰囲気にナギは

「た、偶々入っていただけなのだ」

必死で言い訳をし

「言われなくてもこれは自分で決めたことなのだ。だからちゃんとやる。もう1回飲み物を取ってきてくれ」
「ヘイヘイ」

言われたとおり、悠太は飲み物を取ってきた。
すると

「寝るなー」

ナギが居眠りしていたので、チョップを食らわせつつこう言った。

「せ、生理現象というやつだ。おなか一杯になったら眠くなっちゃうだろ?」
「ったく。ファミレス来ても飯食ってお茶した後携帯見て寝たら家にいるのと変わんじゃねえか」

悠太は呆れつつこういい、

「もしだぜ、この店に漫画家がいたら、真剣にネームをだな」

そう言いつつ近くの席に目をやると

「う、う〜ん。もうすぐできますから〜」

足橋先生がいて、居眠りしつつうなされていた。

「ありゃ駄目だな」
「だな」

足橋先生を見て悠太は怒る気が失せた。

「そう言えば、ファミレスっていろんな人がいるよな」
「そう言えば」

ふと見ると、クラウスとソニア(メイド服)がいた。

「何やってるんだ、あの2人」
「さあ?シスターの格好を見る限りじゃ、シスターの方は仕事を終えた直後か?」

2人が適当に分析していると、会話が聞こえてきた。

「そうですか。そこまでして出番が」
「ええ。なんかこう、この小説では数えるほどしか出番がない気がして」
「そうですか」

そういうと、ソニアは明らかにその辺で拾った石をテーブルに置き

「これは、人々に幸福をもたらすという伝承があるとてもとても有難い石の一部です」
「おお」
「伝承では、幸福を司る神が厄災から人々を救うために、自らの力を巨石に宿し、厄災から逃れるために幸福が必要になった時は、巨石の一部を削り、肌身離さず持っていると、幸福が訪れると言われています」

ソニアは説明を終えると間を置き

「これはその石です」
「素晴らしい」
「これがあれば「出番が増える」という幸福が訪れるかもしれませんよ」

ソニアの言葉にクラウスは目を輝かせ

「是非ともいただきたい」
「しかしこれは」
「信心は強いです」
「幸福訪れ度は個人差が」
「再度言います。信心は人並み外れて強いのです」
「分かりました。元神に仕える者として無料でお譲りしましょう」

ソニアがこう言うと、クラウスはまるで我が子を扱うように石を懐に入れた。

「クラウス、当然はまた駄目だな」
「あんな胡散臭さしかない石を貰うかね」

クラウスに2人は呆れるしかなかった。

すると

「なあお嬢様、あそこにいるの霞さんじゃねえか?」
「あ、本当だ」

別の席では愛歌さんが1人でいて、机の上に紙を広げて何かを書いていた。

「勉強か?」
「にしては紙が薄すぎじゃないか?」

2人が内容を気にしていると、偶々店員が通った時に風が吹いて少しだが内容が見えた。
見えた内容は

「綾崎ハヤテ誘惑プロジェクト」

という題がついていて、

「その1 風呂に乱入し・・・」

これだけ見えた。

「ま、まさか霞さん」
「ハヤテの事が・・・ま、まさかな」

ナギは現実から目をそらせるために乾いた笑みを浮かべていた。

「で、お嬢様。漫画はどうするんだよ」
「あ、そうか。仕方ない、描くか」

しかし、何も浮かばず只々ファミレスで休んだだけだった。

そのことで

「(フフフフフフフフフフフフフフフ♪どうやら無駄足だったみたいですね〜♪このままダラダラと時間が過ぎてくれれば面白んですけどね〜♪そうすればもう♪ああ♪)」

とか思った人がいたそうだ。


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以上です。

次回は未定です。

では。
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Re: 女神と共に第三部 2nd (8月3日更新) ( No.70 )
日時: 2015/08/03 18:01
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
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ここは白皇学院2年生の教室。


「さて、明日より夏季休暇だ。で、通い慣れている者には分かっているよな?」

担任の薫先生の問いかけに美希が恐る恐る

「宿題、ですよね?我等が担任様」
「流石だ。っと言う訳でだ」


                    × ×


終業式も終わり、天王州家。

「ん?なんやこれ」

机の上に置いてあった広辞苑と見紛うほどの分厚い本を持ちながら日向が聞いていた。

「白皇名物の、夏季休暇の「夏休みの敵」ですわ」

アテネの答えに日向は

「随分ストレートやな。ここは嘘でもええから「夏休みの友」とすべきやろ」

当然の突込みを入れた。

「まあ、白皇は一応名門校ですからね」
「せやけど。この量じゃうんざりするで」

表紙のなまはげも要因のようだ。

「白皇は夏休みを遊ばす気無いんかいな」
「そんなこと、無いと思いますわよ」

流石のアテネも自信無さげだった。

「そう言えば、日向さんは夏休みの宿題は出たんですか?」

ハヤテの質問に日向は

「一応は出たで。勿論計画的に片付けていくつもりや。始業式前日や当日に適当に片付ける気はさらさらないで」

こう答え

「なら安心ですね」

ハヤテは安心した。が、ソニアは

「あの、若しかしてこれが片付かないと、ハヤテさんと出かけられないとか、無いですよね?」
「若しかしなくても、そうですわ」

アテネが答えたことで、日向もソニアも顔色が変わり

「じゃあハヤ兄と海に行ったり出来へんって事かいな」
「なんですって?旅行もできないって事ね」

珍しく意見が合い

「なんやて!!なら早速手をつけんと」
「大変ですよ!!」

焦る2人に対し、アテネはあくまで冷静に

「大丈夫ですわ。その気になれば、私もハヤテも2,3日で片付きますから」
「え!?」

会話をずっと黙って聞いていた千桜は驚き

「そ、そんなに早く終わるの?」
「何を驚いているんですの?私とハヤテは」
「あっ。アテネは学校1位で、綾崎君は学校3位だったっけ」

思い出し、速攻で片付けられる事に納得していた。

「まあ、折角集まってるし、早々に手を付けるか」
「ですわね」
「ですね」

筆記用具を取り出し、白皇生3人は「夏休みの敵」を始めた。ついでに日向も自分の宿題をもってきて、始めた。

すると、

「あの、ソニアさん。皆何してるんですか?」
「学生の本分ですよ」

ルカがアイス片手に居間に来てソニアに聞き、ソニアは答えた。

「ああ、夏休みの宿題か」

4人のやっていることを見て、そう判断した。

「ルカさんは、夏休みの宿題はしないんですか?」

ソニアの何気ない問いかけにルカは微妙に顔を曇らせ

「私、高校に行ってないので」
「あ、すみません」

微妙な空気になりそうになり

「あ、空気を悪くする内容じゃないので」
「はあ」
「私はただ単に、高校に行くことよりアイドルの仕事を選んだだけで」

ルカは弁明しようとしたが、

「あ、でも。そのアイドル業も今は」
「止めましょ。誰の得にもなりませんし」

ソニアの指摘にルカはこの話題止めた。


                     × ×


時間は飛び、夜。

ルカは現在自室のベッドで横になっていた。

「私は、色々と大切なものを捨てて、アイドルをやってたんだね」

昼間の話で思い返していた。

「でも、今は・・・」

やはりこの話題はルカには重いようで

「喉渇いた。お茶貰ってこよ」

自室を出て、キッチンに行くと、偶々ハヤテがいた。

「どうしました?冷茶でも淹れましょうか?」
「お願いしようかな」

ハヤテはあり得ない速度で冷茶を出した。

「宿題進んでる?」
「ええまあ。僕とアーたんは6割ぐらい終わりました」
「え!?あの量の6割終わったの?」

ルカはアテネとハヤテの有能さを改めて思い知らされた。

「ま、私は苦労している皆を背に優雅に漫画を描かせてもらうよ」

ルカの自慢げな言葉にハヤテは軽い笑みを浮かべた。

「あと少しみたいだから、頑張ってね」
「はい。ルカさんも漫画頑張ってくださいね」

ハヤテは何気なくそう言ってキッチンを出て行った。
残されたルカはハヤテの言葉が胸に刺さっていた。

「(私は今、色々と犠牲にして漫画を描いている。 色々と、失敗は出来ない。でも、もしも駄目だったら? って駄目だよ、こんな事考えちゃ)」

ルカは空咳しつつこう考えていた。

「(私は、やるしかないのよ)」

こう思い、大きめの空咳をし掌を見ると

「え!?」

赤黒い液体が手についていた。


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以上です。

次回は続き?です。

では。
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Re: 女神と共に第三部 2nd (8月6日更新) ( No.71 )
日時: 2015/08/06 17:01
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
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ここは毎度お馴染み天王州家。


初めて見た時、「神様みたいだ」っと思った。

天王州家に遊びに来ていたナギは偶々テラスでボーッっとしているルカを見つけ、呆れつつこう思い

「ルカ、なんでここに居るんだ?」
「ん!?ああ、ナギ。遊びに来たの?」
「まあな。それより」

ナギが再度質問をぶつけるより早く

「色々あって、今はここに住まわせてもらってるの」
「あっそ」

色々をナギは聞かない事にし

「で、何してたんだ?」
「日向ぼっこだよ」

ルカは目を細め

「日向ぼっこすると健康にいいらしいからね〜。だからしてるの」
「ああ、そうですか。でも、日焼けとかは」
「日焼け止めなら塗ってるよ」

ナギはルカの隣に腰かけ

「ルカ、お前さんと接していると、イメージが変わってくるよ」
「え!?」
「最初に見た時、「神様みたいだ」って思ったんだよ」

ナギの言葉を聞き、ルカは胸を張り

「そうだよ。地上に舞い降りた女神とは私の事なのだ」

っと自慢した直後空咳が出た。

「大丈夫か?」

心配するナギに

「大丈夫だよ。人間、その気になればそう簡単には死なないから」
「そっか。まあ、天王州家なら腕の立つ医者を用意できるだろうから杞憂だろうがな」

そう言ってナギは心配するのをやめると

「なんだそれ。なんかのメモみたいだが」
「ああ、これ?棺桶リストだよ」

ルカの少々物騒な言葉にナギは驚き

「え!?お前死ぬの?」
「違うよ」

ルカは突っ込みを入れ、

「映画で見たんだ。余命一か月って宣告された人が、残りの人生で何ができるかリストに纏めてそれを実行していくってやつ」
「ふ〜ん」

ナギは感心しつつ

「で?何を書いたのだ?見せてみろよ」
「で、出来るわけないでしょ!!!」

反論するルカにナギは

「別にいいじゃないか」
「プライバシーの侵害だよ。見られてもいい内容とか書いてないし」

ルカはそう言い、話の矛先を変えようと

「そ、それより。ナギだったら何を書くの?」
「私か?私だったら、一兆部売れる漫画を描くことと、誰も到達できない名作を生み出すこと、アニメ化映画化、後は」

ナギの言葉にルカは

「それ、殆ど一緒じゃん」

突込みを入れた。

「私が色々言ったんだ。ルカだって一つぐらいは言えよ」
「そ、そんなのと交換なの?」
「そ、そんなのとは何だ」

怒るナギにルカは

「わ、分かったよ。じゃあ一つだけ。「ローマに行ってアイスを食べる」だよ」
「なんだそれ」

首を傾げるナギに

「ローマの休日だよ」

千桜が来て、説明した。

「オードリー・ヘップバーンのローマの休日だろ、それ」

千桜の解説にナギは

「なんだ、昔の映画か」
「一兆部売る漫画家を目指してるんなら、それくらい見とけ」

ナギに突込みを入れ、ルカの隣に腰かけた。

「でも、素敵だよな。何時の日かやってみたいよ」
「でしょ?いつの日かローマでアイス食べたいよね」

盛り上がり始めた2人にナギは

「正直、ハーゲ○ダッツの方が美味かったぞ」
「ええ!?やったことあるの!?」
「あるよ。住んでたこともあるし」

住む世界の違いにルカが驚いていると

「そんなつまんない事じゃなくてさ、インパクトのあるものは無いのか?」

無茶振りに近い振りにルカは

「ち、千桜はどうなの?」
「わ、私か!?」

突然話題を振られた千桜は困惑し

「え、えっとだな」

悩む千桜にナギもルカも

「ほれほれ」
「はいて楽になっちゃいなよ」

こんな風に煽った。

「わ、私は」

すると、千桜の脳内に


「私、幸せだよ。ハヤテと結婚出来て」
「僕もさ、千桜」

2人はキスし

「段々大きくなってきてるな」
「ここに、僕たちの愛の結晶がいるんだね」

ハヤテは千桜のお腹を摩り

「子供が生まれても、僕の一番は君だよ」
「ハヤテ」


こんな風にハヤテとの新婚生活が浮かび

「(バ、バカだろ私は。なんで綾崎君と結婚してるんだよ。お、おまけに子供まで。さらには私が一番だなんて言われることを妄想してるんだよ)」

こんな風に考え込んでいると

「なんか、よからぬことが浮かんだな」
「みたいだね」

状況が状況なだけに千桜は直ぐに反論できず

「わ、私はだな。身近な人に必要とされたいんだよ」
「ああ、そう」

千桜の弁解にナギはつまらなさそうだったが

「でも、それは素敵な事じゃない?」

そう前置きし、

「きっと人生って、小さな幸せを積み重ねて行って、最期まで満足できるかだと思うよ」

ルカの言葉に千桜は同調したが

「違うな」

ナギは反論した

「それは、見果てぬ夢を追う事を決意しなかった人間の逃げ口上だ」

ナギは立ち上がって2人の前に立ち

「人生は、勝つか負けるか。やるかやらないか。何かを成し遂げるか成し遂げられないか。だ」

そう言い、間を置いた後

「何も成し遂げられず、小さな幸せを積み重ねて「幸せだったよ」っと最期を迎えるのは、私はごめんだ」

そう言い切ってルカを見て

「私は「特別な何か」になりたいんだ。かつてステージで見たお前みたいに」

言われたルカは反応した。

「あの時のお前は、私の理想に近かった。気がする」
「そう。ありがと」

すると

「何してるんですの、ここで」

アテネがやってきたので、ナギは

「アテネはあるのか?死ぬまでにやりたい事」
「愚門を。「ハヤテのお嫁さん」ですわ」

アテネがそう言うと、ナギは

「それは、絶対にかなわんな。ハヤテのお嫁さんは私だ」

ナギが言うと、アテネとにらみ合いになった。

「(お、おいおい。なんで私まで「綾崎君のお嫁さんは私だ」なんて言い出そうとしてるんだよ)」

千桜はまた頭を抱えだした。

火花散る展開にルカは居辛くなってテラスを出た。


                        × ×


一方その頃。

「電話だ」

廊下にいたハヤテのもとに着信があり、画面を見ると集さんだった。

「はい、もしもし」
『大事なことを言い忘れてたわ』
「な、なんでしょう」

ハヤテは身構えた。

『今、ルカの休業理由は「体調不良」って事になってるでしょ?』
「あ、はい」
『あれ、本当の事だからね』
「え!?」

驚くハヤテに集さんは

『前に倒れた時、色々と検査したのよ。その時分かったのよ。結構ボロボロだって事が』
「そう、だったんですか」
『だから、無茶させないでね。それだけよ』

そう言われると、電話は切れた。

丁度そのタイミングでルカが来た。

「ハヤテ君」

ハヤテの顔を見ると、手に持った先程の「棺桶リスト」に目を落とした。
そこには「素敵な恋人を作る」という項目もあった。


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以上です。

次回は続き?です。

では。
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Re: 女神と共に第三部 2nd (8月9日更新) ( No.72 )
日時: 2015/08/09 14:47
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
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ここは、某所にある山中。


都会から離れているのもり、動物たちの声や風の音以外には何も聞こえない場所だ。

現在、ルカは川の畔の岩に腰かけ、足を川に着けていた。

「青い空。美しい川のせせらぎ。森を抜ける清らかな風」

自然を満喫するような呟きをしたが。

「すっごい暇」

違ったようだ。

「やばいよー。美しい森や小川のせせらぎとかヤバいよー。私、東京生まれの東京育ちだからこんな大自然に放り込まなくても。やる事なくて退屈すぎて死にそうだわ」

ルカに自然は合わないようだ。

「何でハヤテ君は私に過酷な試練を強いるんだろう。過酷すぎやしないかなー」


なぜルカがこんな山中にいるのかは、前回の続きにまで遡ろう。


                    × ×


ハヤテは集さんに電話でルカは結構ボロボロだと言われ、

『いい?ルカの主な病気はストレス性胃炎。分かると思うけど、精神疲労が原因の病気よ』

ハヤテには原因は直ぐに分かった。

『一応説明するわよ。対処法は、ストレスがかからないようになるべくリラックスさせることよ。大丈夫でしょうけど、重症化すると吐血とかの症状が出るからね』

電話で説明され、目の前のルカは

「電話誰だったの?」
「あ、いえ」

ハヤテは敢えて答えず

「ルカさん体とか大丈夫ですか?具合が悪いとかないですよね?」
「え!?あ、うん。大丈夫だよ。元気なだけが取り柄だし」
「そうですか」

ハヤテが安心した矢先

「偶に血とか吐いちゃうけど、全然問題ないって」

ルカの言葉に一瞬沈黙し

「血とか吐くんですか!?」
「へ!?あ、いやその」

誤魔化そうとするルカに

「何時からですか!!」
「だ、大丈夫だよ。ここ2,3日の話だし」
「ここ2,3日って。なんで言ってくれなかったんですか!!」

叱られたルカは萎んだが

「ともかく、病院に行きますよ」
「ふえええ。や、やだー」

抵抗しようとしたが、

「大丈夫ですよ。天王州家かかりつけの病院なので、腕は確かです」

ハヤテの力に抵抗できず、更にこういわれ、逃げ道を失った。


で、

「やはり、心や体に負担をかけず、落ち着いた場所で安静にしているのが一番ですね」

お医者さんにこう診断された。

「落ち着いた場所ですか」
「ええ。例えば、美しい森と小川のせせらぎとか」


ハヤテとルカは診断を終え、帰宅した。
まあ、ルカは無理やり病院に連れていかれ、少し不機嫌になっていたが。

「ハヤテ坊ちゃん、どうでした?」

帰宅すると、病院に行くと伝えてあったメイド長に話しかけられた。

「ストレスとかで血を吐いちゃうみたいで。落ち着いた場所で安静にする必要があるみたいです」
「そうですか」
「師匠、そういう保養施設とか知りませんか?」

聞かれたメイド長は少しの間考え。

「でしたら、天王州家使用人専用の保養施設をお使いになったらどうですか?」
「天王州家使用人専用保養施設?」
「はい。山の中にあるんですが、大自然に触れ、疲れた心や体を癒す目的で作られたとことなんです」

メイド長の説明にハヤテは首を傾げ

「あの。僕、そんな所知らないんですけど」
「それは仕方ないですよ。ハヤテ坊ちゃんは基本的にアテネお嬢様に付きっきりじゃないですか。それに、今もそうですが、ハヤテ坊ちゃんがアテネお嬢様から離れたりしたら」

途中で言葉を切ったが、十分だった。

「ともかく、そこで保養なさってはどうですか?そこなら殆どだれも使いませんし」
「そうですね。案内お願いします」

ハヤテはこう言ったが

「でも大丈夫?ハヤテ君が来るって事はアテネが」

ここ数日でアテネの依存度は十分に知っていた。

「大丈夫ですよ。アテネお嬢様たちは私が何とかしますから」
「そう、ですか?ならお願いしますよ」
「了解しました」


                      × ×


メイド長の運転で暫く走り

「ここですよ」

案内されてきた場所は

「あ、あの。どう見ても山小屋ですけど」

少々殺風景な山小屋だった。

「まあ、自然に触れて。っというのがコンセプトですからね」

メイド長はそういうと、周囲を案内し始めた。

「この山は天王州家の敷地なので、許可が無ければ一般の方は入れません。なので、防犯などは問題ありませんし、これだけの大自然ならば、リラックス効果も十分に期待できます。後、ここには温泉もあるので、温泉に入ればさらにリラックスできると思いますよ」

実際、案内されたとおり、気持ちよさそうな温泉があった。

「では私はこれで。アテネお嬢様たちを説得せねばならないので」

こう言って帰ろうとしたが、いったん止まり

「何かあったら電話してください。電波は通じているので携帯は使えますよ」

そう言うと、メイド長は帰って行った。

「こんな所があったんですね。ここならゆっくりできますね」
「だね。ここなら、捗りそう」
「な、何がですか?」

一応聞いたハヤテにルカは

「漫画だよ。マ・ン・ガ」

そう言って紙とペンを取り出した。

「駄目ですよ」

そう言ってハヤテはルカが取り出した紙とペンを取り上げた。

「ここには休みに来たんですから、漫画描いてどうするんですか」

ハヤテはそう言うと、ルカに詰め寄り

「ルカさんは頑張りすぎるところがあるって言ってましたよ。ルカさん、まともに休んだことってあります?」

ハヤテの剣幕にルカはタジタジだった。

「クリスマスは?」
「イ、イベントとかで歌ってました」
「お正月は?」
「レッスンを欠かしたことはありません」

ルカの言葉にハヤテは溜息をつき

「若しかして、物心ついた時からそんな生活とかじゃ」
「そ、そうだよ。ずっとだったよ」

ハヤテはまたしても溜息をつき

「だったらなおさらです。今はゆっくりと休むべきです。何も考えずに」
「で、でも。そんなことしたら世間からおいて行かれちゃうんじゃ」

不安そうなルカにハヤテは

「大丈夫ですよ。今のルカさんじゃ並大抵の人じゃ追いつけませんよ。ですから、今は立ち止まって休むべきなんです」

優しい言葉で諭した。
すると

「じゃ、じゃあさ。ハヤテ君も休んでよ」
「へ!?」
「ここにはアテネ達は居ないんでしょ?だったら、ハヤテ君だって休むべきだよ!!」

ルカの言葉にハヤテは驚いた。


まあ、こんなわけで山にいるのです。


-----------------------------------------------------------------------------------
以上です。

次回は続きです。

では。
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Re: 女神と共に第三部 2nd (8月12日更新) ( No.73 )
日時: 2015/08/12 17:35
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
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前回、ハヤテとルカは天王州家の保養所に来て、ルカを休ませようとしたところ、ルカがハヤテも休むように言った。


「いや、しかし」

ルカの言葉にハヤテは困惑していたが

「じゃあ休まないもん。徹底的なまでに漫画描くもん」

子供のように拗ねるルカにハヤテは僅かに笑みを浮かべ

「分かりましたよ。僕も休みますよ」
「じゃあ、私も休んであげる」

話が決着し、2人は山小屋の中に入った。

「中は見かけほど殺風景ではないね」
「まあ、使用人とはいえ天王州家の人間が使いますからね」

ハヤテはある程度調べ

「幸い食料なども充実してますから、生活には困りませんね」
「あっそ」

特に興味ないのか、ルカの返事はあっさりしたものだった。

「じゃあ着替えるから、外に出てて」
「あ、はい」

ハヤテが外に出ると、ルカはワンピースに着替えた。
そして外に出ると

「ハヤテ君も着替えちゃいなよ」
「へ!?」
「執事お休みするんでしょ?だったら」

下手に反論するとまた拗ねられると思い

「分かりました」

ハヤテは小屋の中に入って着替えた。

「えっと、いかがですか?」

ハヤテの私服にルカは

「なんか新鮮だな。執事服とパジャマ以外見た事無いから」
「は、はあ」
「似合ってるよ。凄くね」

ルカが褒めると、不思議な空気になり

「じゃ、じゃあ河原の方へ行こうか」
「あ、はい」

前回、ルカが川の畔にいたのはこういう理由です。


                      × ×


一方のハヤテはルカとは少し離れた川の畔で寝ころんでいた。

「(のどかだな。仕事をせずに川のせせらぎを聞きながら昼寝か)」

こう思ったが

「(不安だ。色々と)」

ハヤテは天王州家に来る前は年齢を偽って働いていたし、天王州家に来た後も修行か執事業をしていたため、働くことが習慣付いていた。

「(でも、昔師匠が「休むことも修行です」って言ってたからな。「休む修行」だと思えば苦にはならないけどさ)」

昔習ったことを思い返したものの、やはり落ち着かなかった。

「(でも、僕が休まなきゃルカさん休んでくれないしな〜)」

落ちかないものの、ルカを休ませるために「休む修行」をしようと決意した。
その時

「ふっふ〜ん。どうよ?そろそろ働きたくなったんじゃない?」

ルカに顔を覗き込まれた。

「ハヤテ君、私と同じタイプだから、働きたくなったでしょ〜?」

そう言われた時、ハヤテはとんでもない事に気付いてしまった。

ルカは丈の短いワンピースを着ている。にも拘らず、しゃがみ込んでいるため、寝ころんでいるハヤテの視界にルカの下着が入ってしまった。

「そ、そんな事無いですよ」

ハヤテは慌てて飛び起きた。

「え〜?」

不満を口にしつつルカは立ち上がった。

「いいんだよ、無理しなくても。働きたきゃ働けば。その代わり、私も漫画描くし」

ルカの言葉にハヤテは

「駄目ですよ。ルカさん、体がボロボロなんですから。ちゃんと休んでください」
「チェ〜」

ハヤテの言葉にルカは不満を漏らし

「だってさ、何をしたらいいか分かんないんだもん」
「別に何かをする必要はないんですよ」

ハヤテは周囲を指さし

「この穏やかで、緩やかな大自然に身を任せればいいんですよ」
「でもさ〜」

なおも不満を口にするルカに

「でしたら、今「休む仕事をしている」と思えばいいんじゃないんですか?」
「へ!?」
「僕も昔、「休む修行」を定期的にしてましたから。それと同じようなことだと思えば」

ハヤテの言葉にルカは

「そうだね。今、「休む仕事を」してるんだよね」

ルカがこう言った瞬間、突然大雨が降ってきた。

「あのさ。これって神様が「休むことは仕事じゃねえよ」って言ってるんじゃない?」
「違いますよ。「家に帰って休め」って言ってるんですよ」

結構な大振りなので、2人は急いで山小屋に戻った。

「凄い雨だったね」
「ですね」

2人とも結構濡れてしまっていた。

「タオルある?」
「ありますよ」

ハヤテは小屋にある棚に近付き

「早く着替えちゃいましょ。風邪ひいちゃいますから」

タオルを取り出しながらこういうと、後ろからルカのくしゃみが聞こえてきた。

「さ、このタオルで体を」

振り返ってタオルを差し出しながらこう言った。

「はー。酷い目にあったよ」

ルカはタオルを受け取り、髪を拭きながらこう言って。
すると

「ん!?」

なぜかハヤテが赤い顔でこっちを見ているので、ルカは何だろうと自分を見た。

すると、濡れたせいで服が透け、下着が見えてしまっていた。

当然ルカは一気に真っ赤になり

「も、もーーー。何見てんのよー」
「す、すみませーん」

噂によると、ルカが怒った瞬間近くに雷が落ちたそうだ。

「アアア、アイドルちゃんの下着姿とか、ぜぜぜ、絶対に見ちゃダメなものなんだからねー」
「い、いえ。見るつもりはなかったのですが」

ハヤテはルカが怒った瞬間急いで後ろを向いていた。

「ついその、見とれてしまって。すみません」
「もーー」

ルカは不満を口にしつつ、これ以上言及してこなかった。
一方のハヤテは

「(な、なんかあんなリアクションされると、新鮮味感じちゃうな)」

まあ、アテネを始めとするハヤテの身近にいる女性陣は下着姿はおろか裸を見られても何も言いませんもんね。

「(女の子、か)」

ハヤテは現状をようやく理解し始めたようだ。


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以上です。

次回は続きです。

では。
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Re: 女神と共に第三部 2nd (8月15日更新) ( No.74 )
日時: 2015/08/15 19:16
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
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前回、ハヤテとルカは天王州家の保養所で休んでいたが、急な雨で山小屋に避難したが濡れてしまった。


「じゃあ、着替えるからあっち向いててよね」
「あ、はい」

ハヤテは言われたとおり、ルカの居ない方を向いていた。

「(アイドル、か。たった1人で何万人も魅了出来るんだから、皆さんとは違うよな)」

ハヤテがこんな事を考えていると、ルカが着替え終わったと言ったので振り返った。

「な、なに?」
「あ、いえ」

ルカはやっぱりワンピースだった。

「でも、なんでこんな急に雨なんて。予報じゃ振るって言ってなかったのに」
「山の天気は変わりやすいってよく言いますからね」

ハヤテが解説するとルカが

「じゃあ、暫くは山小屋の中で2人きりか」

こんな事を言った瞬間、奇妙な空気になり

「じゃあ、僕も着替えますね」
「うえ!?あ、うん」

ルカは背を向けた。

「(2人きり、か。って待ってよ。この広い山で2人きりだよね!?アテネ達居ないし)」

ルカはこんな事を考えてしまい、いたたまれなくなって振り返ると、ハヤテは執事服に着替えていた。

「ちょっと!!」
「な、なんですか?ってか見ないでくださいよ」
「さっきは私の下着姿見たじゃん!!」
「あ、あれは不可抗力ですよ」

言い訳するハヤテにルカは

「ってか、ハヤテ君はここに居る間は執事はお休みするんでしょ?ずるいよー」
「あ、で、でも」

不満を言うルカにハヤテは

「執事服以外もう持ってきてないんですけど」

ハヤテの言葉にルカは少しの間沈黙した後

「じゃあ仕方ないね」
「ですよね」

話が決着し、ルカは椅子に座った後

「そういえばさ、ハヤテ君はなんで執事のお仕事してるの?悠太君に聞いたんだけど、10年前かららしいじゃん」

ルカの問いかけにハヤテは天井を見上げ

「ルカさんには、話してませんでしたね」

そう言うと、いったん間をあけ

「10年前、色々あって、両親のもとを飛び出したんです」
「な、なんで!?」

ハヤテは悩んだが、ルカになら全てを明かしても良いと思い

「僕の両親は「究極の駄目人間」なんです」
「へ!?」
「詐欺は当たり前にする、働かないくせにギャンブル三昧、おまけに僕が通ってた幼稚園に侵入して給食費を盗む。といった屑としか思えない事ばかりやってたんです」

ルカはハヤテの生い立ちに只々驚くばかりだった。

「先程言った幼稚園での一件で我慢できなくなったんです。だからこそ、僕は飛び出したんです。詳しい事は無我夢中だったので覚えてません。気付いたら、花畑に倒れてました。そこで、ご主人様でもあるアーたんに出会ったんです」

ルカは黙って聞いていたが、

「じゃあ、なんでそこから執事へって流れになったの?」
「初めてなんです」
「え!?」
「僕に「愛」と呼べるものをくれたのがアーたんだったんです。だから、僕は恩に報いるために執事を続けてるんですよ」

ハヤテの話にルカは驚くだけだったが

「そうだったんだ。ハヤテ君とアテネの間にはそんな逸話があったんだね」
「ええ、まあ」

するとルカはある事に気付いた。

「って、あれ?初めてって言ったよね?愛情をくれた相手がアテネだって」
「ええ」
「両親から愛情はもらわなかったの?」

ハヤテは一瞬歯を食いしばった後

「あの両親は愛情なんかくれませんでしたよ。殆ど年がら年中無視ですよ。僕が年齢を偽って稼ぎ出したお給料日の時だけ関心を示してきましたよ」
「・・・」

ハヤテの雰囲気にルカは「地雷を踏んでしまった」っと思った。

「まあでも、そんな屑だったから、アーたんをはじめとする皆さんに会えたんですけどね」
「そっか」

自らの生い立ちを決して暗くなる事無く明かしたハヤテにルカは

「ねえハヤテ君、私の借金理由って知ってる?」
「あ、いえ。なんとなく程度で推理は可能ですが」

ルカはハヤテの推理は聞かず

「元々は両親の借金だったんだ。理由は「養育費」だけど」
「アイドルになるための、ですね」
「正解」

当てられたことに特に驚きもせず

「ある日家に帰ったら、いなくなってたの。借金を残して」
「そう、ですか」

ハヤテはルカの顔色を窺いつつ

「その胸の痛みは、理解できるかもしれません」
「え!?」
「僕もきっと、アーたんに出会わなければ、同じ目に合ってたと思いますよ。いえ、同じ痛みを受けたと断言できますよ。あの両親も借金してましたから。ルカさんとは違う理由ですけど」
「そうなんだ」

訪れたであろう悲惨な未来を暗くならず、笑顔で言い切ったハヤテに

「(凄いな。私なんかじゃ想像すら出来ない。私なんかじゃ比べちゃいけないほど強い強い痛みを受けてきたのに、笑顔でいられるなんて)」

話が終わったと判断したハヤテは

「なんか、小腹が空きましたね。なんか作りますよ」

そう言ってキッチンで食料を漁り始めた。

「(きっと、誰も想像できないほどの痛みを受けたからこそ、あんなに優しいんだね。あんなに人に尽くせるんだよね。そう、自由にできるよう私の借金を代わりに返してくれたり)」

ルカは、ハヤテが自らの借金を返済してくれた事は知っていた。 同時に自分に内緒にすることで、返済拒否を遠回りにしてくれたことも。



なぜかというと、数日前、ルカはちょっとした用事で銀行に行ったとき、自分の口座に給料が全額振り込まれていたのに驚愕した。

当然疑問に思い、衝突したのを忘れて事務所の社長に詰め寄ったのだ。
その際

「わ、分かったよ。ただ、私が話したことは内緒にしてくれるかな?私が集君に怒られるから」

ルカが秘密にすると約束すると、社長が語り出した。

「君の傍にいる、執事君いるだろ?確か、綾崎ハヤテ君だったかな?その子が払ったんだよ、君の借金を。おまけに「ルカちゃんには内緒にする」という約束までさせて」

驚きで声が出ないルカに

「彼がルカちゃんの借金を代わりに支払ったのは、「ルカちゃんが自由に漫画を描けるようにするため」らしい。彼はすごいよね。そのために私財の殆どをなげうったんだから」



こういう理由で、ルカは自分の借金が無くなっていることを知ったのだ。

調理を始めようとするハヤテの背中を見てルカは

「(私は、この人の事が好きなんだね。それこそ、どうしようもないほどに)」

ハヤテへの圧倒的に強い好意を自覚したが、ソニアや綾子に言われた事が頭を過ったが、

「(確かに、私はアイドルとしても漫画家としても中途半端かもしれない。でも、この気持ちだけは。違う!!!)」

ルカは決意を固め

「ハヤテ君」
「はい?」

呼ばれたハヤテは振り返った。

すると


ルカに突然キスされた。


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以上です。

次回は続きです。

では。
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Re: 女神と共に第三部 2nd (8月18日更新) ( No.75 )
日時: 2015/08/18 15:29
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
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前回、ルカはハヤテへの強い好意を自覚し、突然ハヤテにキスした。


キスをしたルカは目を閉じてキスに酔っていたが、ハヤテは反対に目を見開き、驚きつつこんな事を考えていた。

「(それは、脳が溶けるかのように甘く、その甘さで溶けた脳に最初に浮かんだことは、「どうしよう、色々と怒られる気がする」だ)」

まあ実際、アテネに知られれば大変な事になるだろうね。

「(そ、そんな事言われても)」

ハヤテがグルグルと色々と考えていると、ルカがキスを止め、離れた。

「あ、あの。ルカさん」

困惑したまま話しかけると

「ハヤテ君」
「は、はい」

名前を呼ばれ、思わず背筋を正すと

「初めてだから」
「へ!?」
「こんな事したの、ハヤテ君が初めてだから」

赤い顔のルカに告白されたが、ハヤテは

「(僕はもう数えきれないぐらいしてて、しかも毎日してます。とは言えないよな)」

こんな事を思っていた。

そう、ハヤテは千桜以外の面々と一緒に寝る際、おやすみとおはようのキスをしているのだ。

ハヤテが余計な事を考えていると

「私、ハヤテ君が好き。大好き。だから、私の恋人になってよ!!」
「あ、あの」

突然の告白にハヤテが困っていると、ルカが突然吐血し、倒れてしまった。


                   × ×


色々と波乱が起こっている事など知らない天王州家。

「あれ?ハヤテは居ないのか?」

遊びに来たナギがアテネに聞いていた。

「知りませんわ!!!ハヤテが何処に行ったのかなど」

アテネは明らかにイライラしていて、ナギも一緒に来た悠太も少しではあるが恐怖を感じていた。

「禁断症状みたいだな」
「だな」

悠太もナギはヒソヒソと話しながら推理した。

「用が無いなら帰りなさい」
「「は、はいっ」」

アテネの剣幕に追い出されるように居間を出た。

「ハヤテ居ないのか」
「そう言えば、ルカも見かけないな。部屋か?」

2人が話しながら廊下を歩いていると、メイド長に話しかけられた。

「お2人になら、ハヤテ坊ちゃんと水蓮寺さんが何処にいるのかお話ししても平気そうですね」

メイド長はそう言うと、悠太に1枚の紙を手渡した。

「アテネお嬢様たちには内密にお願いします。何をするか分からないので」

そう言うと、何事もなかったかのように立ち去って行った。

「なんだそれ」
「地図だな。これによると、そこまで遠くないな。今からでも行くか?」
「勿論」

メイド長の口振りなどからハヤテとルカは2人きりだと察したナギは直ぐに返事をし、行動も直ぐに開始した。


                     × ×


その頃ハヤテは、ルカをベッドに寝かせた後、雨が止んだ外にいた。

「(ねえ白桜、さっきルカさんが僕の事を好きだって言ってたのって、恋愛的な意味で、だよね)」
「(当然ですよ。あの場合、それ以外にないですよ)」

先程の一件を白桜に相談していた。

「(で、でもさ)」
「(どうするかはともかく、返事はちゃんとした方がいいですよ)」

白桜に言われ、ハヤテが悩むと

「グッ」
「(マスター!?まさか)」

強めの頭痛に襲われ、白桜は嫌な予感に駆られたが

「だ、大丈夫。もう収まったから」

ハヤテは息を整えると

「もう山小屋に戻ったほうがいいね。そろそろ目を覚ますはずだし」
「(そうですね)」

ハヤテが山小屋に戻り、ルカの傍に行くと、丁度目を覚ました。

「ルカさん、体は大丈夫ですか?」
「うん、平気。だからさ、さっきの返事聞かせて」

真剣な表情のルカにハヤテは

「(誤魔化さないほうが、良いよな)」

そう思い、少しの間考え込んだ後

「すみません。お気持ちに応えることは、出来ません」
「私の事が嫌いだから?」
「そうではありません」

不安そうなルカにハヤテは真剣な表情で

「僕は、誰かの気持ちに応えることが、出来るかどうか分からないんです」
「それって、私じゃなくても。って事?」
「ええ。ですから、応えられないと」

ルカは不安そうだったが、ハヤテは

「そもそも。恋愛というのがイマイチピンと来なくて」

畳みかけるようにこう言うと、ルカが

「そっか。だったら、私にいい考えがあるよ」
「え!?」





因みに、

「フフフフフフフフフフフフフフフフフフフフ♪ルカさんッたらいきなりハヤテ君にキスして♪しかも、告白までするなんて♪これをネットにばら撒いたり♪マスコミに持ち込んだりしたらそれはそれは面白い事になりそうですね〜♪ネットかマスコミ、どっちにしようか悩むわね〜♪ああ♪」

とか考えていた人がいたらしい。





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以上です。

次回は続きです。

では。
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Re: 女神と共に第三部 2nd (8月21日更新) ( No.76 )
日時: 2015/08/21 15:21
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
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前回、ルカはハヤテに告白したが断られた。が、「自分に良い考えがある」と言った。


「い、良い考えって一体」
「恋愛がイマイチ分かんないんでしょ?だったら、私が教えてあげるよ」
「へ!?」

間抜けな声を出したハヤテにルカは

「私と交際すれば、恋愛とか恋人とかが何たるかを教えるよ!!」
「し、しかし」
「だ、大丈夫。私も初めてだけど、頑張るもん」

顔を少し赤くさせ、ルカは更に

「ハヤテ君の事が大好きだから、頑張るもん」
「ルカさん」

真剣な表情のルカにハヤテは

「でも、やっぱりルカさんとはお付き合い出来ません」
「そっか」

落ち込んでしまったルカにハヤテは

「少し寝た方がいいですよ」
「そうする」

布団をかぶったルカを残しハヤテは再度山小屋を出た。


                      × ×


山小屋を出たハヤテは近くの小川に来ていた。

「(あんな風に告白されるなんて、思ってもみなかったよ)」
「(マスター。貴方は少し貴方自身の天然度を自覚した方がいいですよ)」

白桜に毒づかれ、ハヤテは沈黙した後

「(でもさ、僕はやっぱり、誰かの気持ちに応えられないよ。そうしていいか分かんないし)」
「(私は、貴方に従うだけです。どのような決断を下そうと)」

封印の影響で恋愛感情の欠落が起こっているハヤテは恋愛や恋人といった意味が分からず、「断る」という道以外は分からないのである。


                       × ×


一方その頃、ナギ達は山小屋へ向けて山道を歩いていた。
本来なら山小屋近くまでSPに車で送ってもらうのだが、ナギの希望で麓から歩いているのである。

「中々いい景色だな。この山」
「天王州家の持山らしいからな。荒らす奴なんかいないんだな」

ナギも悠太も景色を楽しみながら登山していた。
すると

「なあお嬢様、最近になってふと疑問に思う事があるんだが」
「なんだ?答えられる範囲でよければ答えるぞ」

ナギがそう言うと、悠太は一旦間を置き

「今のところ、三千院家の遺産の筆頭相続人はお嬢様だよな?」
「そりゃあな。当主の実孫なわけだし」
「もしだぜ。もしお嬢様が遺産相続の条件を失ったらどうなるんだ?遺産は」

聞かれたナギは少しの間沈黙した後

「そうなった場合、ヒスイが継ぐことになるだろうな」
「ヒスイ?誰だそれ」
「初柴ヒスイ。私の友人だよ。あいつはジジイの妹の娘だからな」
「ふ〜ん」

悠太が納得していると

「まあ、万が一遺産を相続できないってなっても、平気だよ」
「そうか?」
「私は1人じゃない。支えてくれる人はいるし、私は一兆部売れる漫画を描くからな」
「そっか。まあ、仮に描けなかったとしても、1人で生きていける力を身に着けつつあるもんな」

悠太は笑みを浮かべ、ナギは「何を当たり前な事を」っと言いたげな顔になった。

すると、

「あ、見えてきたぜ。ハヤテとルカがいる山小屋」
「ホントだ。よーし」

そう言うと、ナギは駆けだした。

「あれ?ハヤテは外にいるぞ」

ハヤテを見つけると、方向を変えてハヤテの元へ行った。

「あれ?ナギさんに悠太。どうしたんですか?」
「遊びに行ったらいなかったんだ。で、メイド長さんにここに居るって教えてもらったからだ」
「成程」

ナギが説明すると、悠太が追いつき

「因みにだ、天王州達は居ないよ。あの人の口振りじゃ教えてないみたいだし」
「そうだったんだ」
「それよりだ。ルカは何処だ?」
「山小屋にいるよ」

ハヤテが山小屋を指さすと、悠太が

「お嬢様はハヤテと話してるか?ルカの方は俺が様子見てくるし」
「そうさせてもらうよ」

ナギはハヤテの隣に腰かけ、嬉しそうに会話を始めた。
悠太は一応ノックしてから山小屋に入った。


「悠太君」
「よう。調子はどうだ?」

体調があまり良くないと聞いていたので、聞いたのだ。

「体は平気。それより、1人?」
「お嬢様は外でハヤテと話してるよ。後は居ないよ」

悠太が言うと、ルカは少しの間俯き

「さっきね、ハヤテ君に告白したの」
「・・・」
「でもね、断られちゃった。「気持ちに応えられない」って」
「そっか」

ルカに突然の告白に悠太は

「(ハヤテの奴。やっぱり厄介な病原菌をばら撒いていたか)」

呆れていた。

「ねえ。ハヤテ君の婚約者候補の話って知ってる?」
「一応な」
「どんな人たちかも?名前ぐらいは教えてもらったけど」

不安そうなルカに悠太は

「全員、物凄い金持ちだよ。「財閥」って言えるぐらいな」
「・・・」

悠太が教えると、ルカは黙り込んでしまった。

丁度そのタイミングで、ナギが小屋に来て

「悠太、この山には温泉があるらしいぞ。折角だから入って行こう」
「俺はいいよ」
「そっか?じゃあ私は入ってくる」

嬉しそうに駆け出したナギにハヤテはタオルなどの位置を教え、

「ルカさんも入ってきたらどうですか?雨で濡れてしまったわけですし」
「・・そうだね。お言葉に甘えるよ」

そう言うと、タオルなどをもって小屋を出て行った。


                    × ×


先に来ていたナギは既にお湯につかっていた。

「いい湯だ。景色も抜群だし」

一応補足します。温泉は室内にあるので、雨などの影響はありません。ガラス張りのおかげで景色が見えているだけです。

「三千院家の遺産、か。万が一無くなった場合を考えて、ならなくてはな。「特別な何か」に」

ナギは立ち上がると

「そのためには、私は負けない」

そう言うと、振り返り

「ルカ、お前にだ」

温泉に入りに来たルカと睨み合った。


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以上です。

次回は続きです。

では。
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Re: 女神と共に第三部 2nd (8月27日更新) ( No.77 )
日時: 2015/08/27 16:28
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
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前回、ナギはハヤテとルカがいる保養所を訪れ、「折角だから」っと温泉に入る事にし、少し遅れてきたルカと睨み合った。


ナギは温泉から出てルカと睨み合っていた。

そして、

「(ルカ。 私の出会った私の欲しい「特別な何か」を持っている人。負けられない)」

こう思っていた。

同様にルカもナギと睨み合いつつ

「(ナギ。 私の出会った私が欲しい「愛しい人」にかなり近い存在。負けられない)」

こう思っていた。

「「(この人にだけは。絶対に)」」

お互いにこう思っていた。


睨み合いは暫く続いていたが、

「あのさ。お湯に浸からない?寒いし」
「そ、そうだな」

お互いに温泉に入り、睨み合いは取り敢えずは終結したが

「そう言えば、同人誌対決はもうすぐだけど、漫画の方は進んでるの?」
「あー、えーっと」

口籠ったナギの代わりに説明すると、全く進んでいません。

「超進んでいるさ」

再度言います。全く進んでいません。

「なんかこう、進みすぎて怖いくらいだ。その速さたるや「目にも映らないほど」だ」
「え!?」

少しだけ驚くルカにナギは

「何にせよ。今度こそ、私が勝つ!!」
「ふ、ふんっ。どうだか」

ナギの挑発的な態度にルカも応戦し

「今度も私が勝つ!!!私は、アイドルの仕事をなげうってまで描くんだから!!」

応戦してきたルカに面喰いながらもナギは

「たとえそれでも、勝つのは私だ!!!」
「いいえ。勝つのは私よ!!!」
「違う!!!勝つのは、私。この三千院ナギだ!!!」

もはや平行線にしかならず、お互いにまた睨み合った後、

「とにかく、今回の勝負は、私は意地でもお前に勝つ!!」

ナギは温泉から上がりつつ、挑発的な態度を崩さずにルカに言い切り、

「何だったら、何か賭けるか?」
「・・・」
「それがいい。対決と言っておきながら、そう言うのを一切決めてなかったからな」

ナギの提案にルカは少しの間沈黙を守った後

「賭けるって、何でもいいの?」
「ああ。法に触れるものでなければな。勝つのは私だから、それくらい問題ない」

ナギが同調したことで、ルカは少しの間目を閉じて間をあけ

「だったらさ、「婚約者候補No.7の座」ってのはどう?」
「え!?」

思ってもみなかった提案にナギは驚き

「それってどういう」
「単純な話だよ」

ルカは一旦間をあけ

「ハヤテ君の婚約者候補って、No.6まで埋まってるんでしょ?だから、私をNo.7になれるように尽力してほしいの」
「ル、ルカ!?」
「ナギなら出来るでしょ?財閥の人間でも何でもない私を婚約者候補にリストアップさせる事くらい」

大真面目な顔のルカにナギは只々驚きつつ

「そ、それは出来るが。なんでまた」
「私ね。ハヤテ君の事が好きなの」

ルカの告白にナギは言葉を失った。


                     × ×


一方その頃。

「な、なあ千桜お姉ちゃん」
「な、なんだ?」

日向が声を震わせながら千桜に声をかけ、千桜も声を震わせながら答えていた。

「アテネお姉ちゃんが、妙に怖いんやけど」
「き、奇遇だな。私も思ってた」

アテネから出ているのはまさに「殺気」であり、迂闊に近寄ろうものなら、死者が出そうなほどだった。

「まあ、アテネの事だ。綾崎君に甘えられてないから、ああなってるんだろうな」
「せやな。気持ちは理解出来んわけでもないが、ウチはあそこまで酷くないで」
「同感だ」

すると、2人のヒソヒソ話が気になったのか

「何、ですのよ」

アテネの殺気が2人に向いたので

「「な、何でもないです」」
「フンッ」

アテネはイライラしすぎて、さっきからティーカップを何個も握り割っていた。

「(ハヤ兄、はよう帰って来てや。このままじゃえらい事になるかもしれんで)」

日向はこう祈るしかなかった。


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以上です。

次回は続きです。

では。
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Re: 女神と共に第三部 2nd (8月30日更新) ( No.78 )
日時: 2015/08/30 15:18
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
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前回、結構重要な場面でしたが、今回はちょっと離れます。


「私の名前は貴嶋サキ。橘家のメイドです」

今回は、新事業に挑戦しているワタル達に焦点を当てます。

「今日からここが私の職場です。若が作った新しいお店です」

サキさんが見上げる先には「コミックVタチバナ」と書かれた看板があり、看板にはサキさんを模したキャラも描かれていた。

「若と2人でコツコツ作った同人誌ショップ。お客さんいっぱい来てくれるとうれしいな」

サキさんの願いとは裏腹に、初日の客入りはたったの3人で、売り上げは1500円だった。

「やべえな。客が全然来ねえよ」
「なんででしょうかね〜」

補足しますと、ワタルの出した店は秋葉原とはいえ、末広町駅の先の人通りの少ない路地裏なのです。

「(若が、落ち込んでしまっている)」

ワタルの様子を見たサキさんはこう思うと、

「だ、大丈夫ですよ。明日はお客さん倍は入りますよ」
「慰め、ありがとな。でも、倍だったとしても6人だぞ」

ワタルの正論にサキさんは黙り込んでしまった。

「俺、商才ないのかな?失敗する訳には絶対の絶対に行かないのに」

ワタルは落ち込んだままこう呟くと

「今日はもう店じまいだ。サキも上がっていいぞ」

そんな様子のワタルを見てサキさんは

「(若がこんなに落ち込むなんて)」

心配していた。


                     × ×


同人誌ショップを閉めた後、レンタルビデオ店の住居スペースに戻り、

「若ーお食事が出来ましたよ」

食卓に着いたワタルはまだ落ち込んでいた。

「(何時もの若なら、周りに当たり散らそうなものなのに)」

実際そんな事は無く、落ち込んでいた。

「(凹みすぎて、「萎れている」と表現できますね)」

こんな風に思ったものの、

「だ、大丈夫ですよ。まだ初日じゃないですか。だ、だから元気出してくださいよ」

こう言った後、サキさんはワタルが

「大丈夫って。無責任な事言うなよ」

とか返してくると思ったのだが、実際は無言で、少し間を置き

「そう、だといいな」

と、擦れる様な声でこう言ってきただけだった。

「(こ、これは不味いです。私が何とかしなければ)」

そう思うと、携帯を取り出した。


                    × ×


一方その頃。ハヤテと悠太は山小屋でナギ達が温泉から上がった後に備えて食事の準備などをしていた。
すると、悠太の携帯に着信があり

「(サキさん?珍しいな)」

そう思うと、ハヤテに断りを入れてから電話に出た。

「もしもし。どうしました?」
『そ、相談がありまして』
「俺にッすか?まあ、俺でよければ乗りますけど」

悠太がそう言うと、少しの沈黙の後

『実は、新店舗の開店が今日だったんです』
「あ、そうだったんですか。花輪でも贈るべきでしたか?」
『あ、いえ。それは良いんですが。実は』

サキさんは今日の集客率などを説明し

『そう言う訳で、若が落ち込んでしまって』
「そうだったんですか。でも、なんで俺に?そう言う事は出資者のハヤテに相談すれば」

悠太がこう言うと、電話口のサキさんは少しの間沈黙し

『ハヤテ様には、心配かけたくないんですよ。ただでさえ大金を借りている身なのに、そこまで面倒を見てもらう訳には』
「成程。至極真っ当な意見っすね」

悠太は頭を2,3回掻き

「分かりました。電話じゃアレ何で、今からそっちに行って良いっすか?」
『え!?良いんですか?』
「力にならない訳にはいきませんからね。それで?ご都合とかは?」
『あ、大丈夫です。すみません、お待ちしています』
「了解です」

悠太は電話を切ると、ハヤテの元へ戻り

「すまんなハヤテ。用事が出来た」
「そう。ここは僕がやっておくから、気にしないで」
「あいよ。お嬢様には「用事が出来たから先に帰る」っと伝えておいてくれ」

そう言うと、悠太は山小屋を後にした。

「さてと。ん?僕にも電話だ」


                     × ×


「成程。確かにいつも通りじゃねえな」

悠太が訪れると、ワタルは出迎えたが、やっぱり落ち込んだままだった。

「すみません。お役に立てなくて」
「人には向き不向きがありますからね。おかませを」

そう言うと、ワタルの隣に腰かけ

「落ち込んでるみたいだな」
「まあ、な。それなりの覚悟はあったが。な」

落ち込むワタルに悠太は

「しっかりしろよ。お前さんが落ち込んでどうするんだよ」
「分かっては、いるさ」

悠太はため息をつき

「あのな。あの手の店は、たとえ「百点満点の立地条件」だとしても、客がつくのに時間がかかるもんなんだよ」
「そう言えば」

ワタルは「忘れてた」と言わんばかりの顔だった。

「コンビニとか大手家電量販店なら、「気軽に来店」なんてできるさ。対して用が無くてもな。でも、あの手の店はその手の客以外はき難いだろ?ただの本屋じゃねえんだから」

悠太の言葉にワタルは元気を取り戻し始めた。

「落ち着け。まずは1人1人確実に客の心をつかめ。その手の客は1度決め込めば極めて高い確率でリピーターになる。お前さんみたいに「痒い所に手が届く品揃え」を信条にしてるならな」

悠太の言葉は確実にワタルに響いていた。

「今のこのご時世だ。誰かが「あの店は我々の趣味を網羅している」なんてネットにでも書き込めば、同種族が必ず食いつく。で、その食いついて来た客を離すな。そうすれば、時間は確かにかかるが、成功という名の栄光はころがみこむ。高い確率でだ」

ワタルの目に輝きは戻っていた。

「だよな。何を俺はバカやっていたんだ。ああいう店は時間がかかるってわかってたはずなのに」
「そうそう。今は頑張るしかない。お前さんなら大丈夫だ。オタクな姉とオタクな主人を持つ俺が保証しておくよ」
「すまねえな。目が覚めたよ」

ワタルの言葉に悠太は笑みを向け

「お役に立てて光栄だ。じゃ、俺は帰るぜ」
「おう。サンキューな」

悠太が帰った後、ワタルは

「サキ、心配かけたな」
「い、いえ」
「俺は、負けない。絶対に」
「その意気です」

ワタルは決意を新たにした。





因みに、

「(フフフフフフフフフフフフフフフフフフ♪ワタル君のお店の悪評を徹底的なまでにネットに書き込んじゃいましょうかね〜♪そうすれば、新事業は確実に失敗♪そうすれば私のコレクションがまた増えちゃいますね〜♪そうすればもう♪ああ♪)」

とか考えて、実行しようとしていた人がいたそうだ。





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以上です。

次回は未定です。

では。
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Re: 女神と共に第三部 2nd (9月3日更新) ( No.79 )
日時: 2015/09/03 15:39
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
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ここは毎度お馴染み天王州家。


「ん〜♪ハヤテ〜♪」

いつも通り?ハヤテに甘えているのはアテネである。

「はあ」

山小屋にいるはずのハヤテがなぜ戻って来ているのかというと、メイド長に電話を貰ったためである。
そう、前回ハヤテへの電話はメイド長だったのである「一時的に戻って来てほしい」と。

ハヤテが山小屋にメモを残して戻ったところ、アテネに抱き付かれ、今に至るのである。

「アーたん、いい加減にその甘え癖治したら?」
「何を言ってるんですの?ハヤテのせいですわ」

そう言うと、甘えを再開したアテネにやっぱり溜息をついた。

「それより、今朝からどこに行ってたんですの?」
「そ、それは」

ハヤテは本能的に「正直に言ってはいけない」と悟った。同時に「正直に言えば大変な事になる」とも悟った。

「ま、まあいいじゃん。それより、離れてよ」
「嫌ですわ♪」

凄みを帯びさせた声にハヤテはまた溜息をつきつつ前を見た。

「ハヤ兄〜♪」

今回に限っては日向も抱きついて来ていた。
分かりやすく言うと、後ろからアテネが抱き付いていて、正面から日向が抱き付いている。ハヤテがサンドイッチの具状態なのである。

「グググ。出遅れたわ」

ソニアはそんな光景に強烈な殺気を向け「どちらか自分に譲れ」と言いたげだった。

「やれやれ。千桜さんはバイトでいないし、どうしよう」

助けを求めようとも千桜不在でどうしようもなかった。

「あの、お2人とも」
「なんですの?」
「なんや?」
「僕、用事があるので出掛けなきゃいけないんですが」

ハヤテがこう言うと、

「何言ってるんですの?」
「出かけるなら一緒やで。勿論このままで、や」

言葉から離れる意思を感じられず、

「(やれやれ。暫くこのままにして、隙を見て強攻策に出るか)」

ハヤテは密かに決心していた。


                    × ×


「あの、家事がし難いんですが」

屋敷にいる以上仕事をしない訳にはいかず、家事を始めたのだが、アテネも日向も甘える攻撃を止めないでいた。

「ハヤテのせいですから」
「我慢するしかないで」

自分のせいと言われ、ハヤテは理由を模索したものの、思いつかず

「アーたん、日向さんは良いとして、なんで君まで?」
「あら?なんで私はいけないんですの?」
「いや、日向さんはまだ10歳だし、まだ甘えたい年頃って言われても納得だけど、アーたんもう16歳じゃん」

この言葉にアテネは頬を膨らませ

「幾つだろうと、関係ないですわ。私が甘えるはハヤテだけですから」

言い訳になってない理屈に

「無茶苦茶な理論やな。説明になってないで」
「な、なんですって」
「16歳にもなって甘えるなんて情けないともいえるで」

日向の挑発的な態度に

「フンッ。何を言われようとも気にしませんわ」

やっぱり甘えるのである。

「(やれやれ。時間的にそろそろ戻らないと、ルカさんを心配させちゃうな)」

気付かれないほど一瞬で時計を見て、そう判断し

「お2人とも、そろそろ満足しました?」
「してませんわ♪」
「してないで♪」

声色で現状脱出するには強硬策しかないと悟り

「(まあ、アーたんの弱点は知り尽くしてるからな)」

するとハヤテは出し抜けにアテネの脇腹を擽った。

「ひゃ!?な、何を」

くすぐったさで抜ける力を抑えつつ擽りから抜け出そうとしたが

「止めてほしいなら離れてよ」
「い、嫌。ハ、ハヤテ、やめなさい」

アテネは身を捩って我慢しようとしたが。

「ほらほら。離れないと〜」
「ひゃん。ひゃ、ひゃやて」

呂律が回らなくなるほど擽られ

「(今だ)」

力が緩んだ瞬間、離れさせられた。

「う〜。ハヤテ〜」

脇腹を抑えつつ涙目でハヤテに訴えかけると

「離れないアーたんが悪いんだよ」

再度ハヤテに甘えようとしたが、ハヤテは電光石火でいなくなり

「もう。ハヤテのバカ」

甘え足りないアテネは口を尖らせて毒づくしかなかった。


                    × ×


一方、アテネから逃げ延びたハヤテは

「さて。今度は日向さんですね」
「ウ、ウチには無駄やで。擽りなんかで負けんで」

日向は擽りに強く、ハヤテはそれを十二分に知っていた。

「日向さん」
「うう〜。頭撫でるのは反則やで/////////////////」

しかし、ハヤテに頭を撫で撫でされるのには弱かった。

「今のうちに甘えん坊癖を直した方がいいですよ」
「し、しかしなあ」
「アーたんみたいに、いい年して甘えるなって言われるようになっちゃいますよ」
「ハ、ハヤ兄ににら平気や」

日向の様子にもうひと押しだとハヤテは理解し

「甘えん坊な女の子は嫌いじゃないですが、僕は割としっかり者な女の子の方が好みなんです」
「・・・」
「日向さんにはそんな素敵な女性になっていただきたんです」

ハヤテが諭すと、日向は離れ

「分かったわ」
「よかった」
「ハヤ兄に甘えるのは時々にするわ。確かにアテネお姉ちゃんみたいに情けなくなりたくないからな」

説得が成功し、ハヤテは笑みを浮かべ

「では僕はこれで」

ハヤテは立ち去ろうとしたが

「そう言えば、ルカお姉ちゃん知らん?今朝から見かけないんや。部屋にもいないみたいやし」

日向はビクッっとなったハヤテに

「ハヤ兄まさか」
「し、知りませんよ。どこ行っちゃったんでしょうね〜。事務所かナギさんの所じゃないですか〜?」

背中越しだが、ハヤテが冷や汗を流していることに勘付き

「ハヤ兄、やっぱ甘えるのを止めるの、なしにするわ」

そう言って、また「甘える攻撃」を仕掛けてこようとした日向に

「し、し、し、失礼します〜」

ハヤテは大慌てで逃げた。

「怪しいわ〜。あら、えらい隠し事してる証拠やで」

ハヤテが逃げて行った方向にジト目を向ける日向であった。


因みに、ハヤテは山小屋に戻る際、つけられてないか細心の注意を払ったそうだ。


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以上です。

次回は山小屋に戻ります。

では。
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Re: 女神と共に第三部 2nd (9月6日更新) ( No.80 )
日時: 2015/09/06 16:22
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
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前回、ハヤテはメイド長の頼みで一時帰宅した際、アテネと日向に甘えられて苦労した。


ハヤテは夜になって星明りの中山小屋への道を歩いていた。

「やれやれ。なんとか説得?出来たよ」

思わず愚痴を呟きつつ歩き、山小屋に着くと

「あれ?悠太」
「おう、ハヤテ」

悠太が山小屋の前で待っていた。

「用事は済んだの?」
「まあな」

ハヤテは悠太の傍まで来て立ち止まり

「ナギさん達は?」
「お嬢様は先に帰ったよ。「今の私には1秒だって惜しい」って言ってた。ルカは中にいるよ」
「そっか」

報告を受け、ハヤテは

「悠太はナギさんと帰らなかったの?」
「俺か?ちょっとな」

悠太は間をあけると

「ハヤテ、ちょっといいか?」
「あ、うん」

悠太は近くの小川にハヤテを導き、大きめの岩に並んで座った。

「月明かりの中の小川のせせらぎも良いもんだな」
「そうだね。風流があって」

悠太は軽めの前置きをし、少しの間をあけ

「ハヤテ、ルカに告白されたんだって?」
「え!?あ、うん」
「断ったんだろ?」
「まあ、ね」

ハヤテが肯定すると、悠太は

「何でだ?」
「へ!?」
「相手は今を時めくスーパーアイドルだぞ。それなりの事情がなきゃ断らないだろ。普通」

悠太の指摘にハヤテは少しの間沈黙したが

「断った理由、か。僕も分かんないよ。ただ、「誰かの好意に応えられない」って思って」
「そっか」

悠太はハヤテがミダス封印の影響で恋心が欠落していることを知っているので、それが原因だろうと察した。

「なあ、ハヤテ。ルカの奴がなんでお前さんに恋心を抱いたり、告白したりしたか分かるか?」
「ええ!?えっと、その」
「ま、分かる訳ないか」
「ご、ごめん」

ただでさえ鈍感なハヤテなので、悠太の質問に答えられる訳なかった。
それこそ、小学生に「プロの数学者でさえ苦戦する超難問」を出すようなものだ。

「お前さんの、どうしようもない優しさだよ。ハヤテの場合、それをさり気なく当たり前にやるからな」
「あ、いや」
「否定できねえだろ?自分より他人優先。誰かの為なら自分を犠牲にするなんて超当たり前。そんな性格だもんな」

悠太の毒交じりの解説にハヤテは黙り込むしかなかった。

「あいつはきっと、ずっと頑張ってきたんだ。辛い事や悲しい事があっても、たった1人で乗り越え、走り続けてきたんだ。色んな事を我慢し、色んな痛みを耐え抜き、只管に走り続けてきたんだ。それは、結果的に「大きな力」を手に入れた。でも、心の寂しさは満たされなかった」

悠太はここまで一気に言うと、一旦間をあけハヤテを見て

「そんな時に出会ったのがお前さんだよ。初めて誰かに優しくされた。それは「無償の優しさ」だった。ただ黙って優しく手を差し出してくれた。その優しい手で助けてくれた。優しい手で心を満たしてくれた。だからだと、俺は思うよ」

悠太の言葉にハヤテは自分の手を眺めていた。

「ハヤテ、ルカの奴は本気だ。「命以外ならばなんだって犠牲にしてもいい」そう思うほどの、本気すぎる恋だよ」

悠太は言い切った後、ハヤテの様子を窺いつつ

「ハヤテ、今度の同人誌対決、お嬢様は「ハヤテの婚約者候補の座」を賭けたよ」
「え!?」
「次の同人誌対決で、お嬢様が勝てばルカはハヤテの事を諦める。ルカが勝てばルカはハヤテの婚約者候補No.7の座を手に入れる。そう言う勝負だそうだ」

驚くハヤテに悠太は

「お嬢様は本気だぜ。お嬢様にとってルカは「天王州や他の婚約者候補以上の脅威」だ。自分と同じ夢を持ち、何万人という観客を魅了するスーパーアイドル。そんな悪すぎる相手とこんな賭けをしたんだ。本気度が分からないなんて言うなよ?言ったらぶん殴るぜ」

勿論言うつもりはなかった。ナギがいかに次の同人誌対決にかけているか分かるからだ。

「次の勝負、荒れるね。「人生の分岐点」って言えるほどに」
「確かにな。2人にとってきっと「人生最大の勝負」になるだろうな」

悠太は立ち上がると

「ハヤテ、お前さんはルカの援護に回るんだろ?」
「そのつもりだよ」
「お嬢様の援護は俺がする。それならば、お互いに勝負の集中できるからな」

悠太は振り向いて去り際に

「ハヤテ、次の同人誌対決、勝者がどちらになるかまだ誰も分からない。お嬢様が勝ってお嬢様最大の脅威が去るかもしれないし、ルカが自分の恋を実らせるのに大きく近づくかもしれない。どちらが勝つにしろ、気持ちを蔑ろにするなよ。お嬢様にしろルカにしろ。そんな事をしたら、俺はお前を許さないからな」

悠太の気迫に本気度を感じ

「蔑ろになんてしないよ。どっちが勝ってもそれなりのケアはする。それは絶対に約束はするよ」
「そっか。安心したぜ」

悠太はハヤテに背を向けたまま

「じゃあ、俺も帰るぜ。お嬢様を援護しないとな」

そう言うと、帰って行った。

「(同人誌対決、か。僕も頑張らないとな)」

ハヤテはそう思うと、立ち上がって山小屋に戻って行った。





夏の同人誌対決。それは、ナギとルカにとってとても熱い戦いになるだろう。
勝者はどちらか。それは神のみぞ知る。

その勝負は確実に近付いてきている。





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以上です。

次回は未定です。

では。
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Re: 女神と共に第三部 2nd (9月9日更新) ( No.81 )
日時: 2015/09/09 22:14
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
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さて、今回は趣向を少し変えて、ある人物の日常?をお送りします。


春風千桜。彼女は普段天王州家に住み、(内緒で)咲夜のメイドをしています。それ以外にも彼女はバイトをしています。

アニメイト。ここはアニメ好きにとっては楽園であり、同じくアニメ好きの人達に支えられている。

千桜はここでもバイトをしていた。
彼女は気付いていないが

「(可愛いな)」
「(まさに天使だ)」
「(クソッ。うちにはあんな可愛い子は居ないというのに)」

店に来る客や同僚。そして他店の店員にこう思われていた。

「あ、先輩。これの在庫もうないんですが」
「あ、ああ。注文しておくよ」

彼は千桜の先輩で、例に漏れず千桜に好意に近い物を持っていた。

「(彼女は凄いよな。地味目だけど真面目。誰に対しても分け隔てなく優しく接し、優秀で物静か、愚痴や嫌味を一切言わないよな)」

勤務態度が真面目なうえ、自身の趣味が似ているというのも理由だが、

「お疲れさま」
「お疲れ様です」

仕事が終わり、帰ろうとしたとき

「あ、先輩、これどうぞ」
「こ、これは?」

差し出されたポットを受け取りつつ聞くと

「知り合いの料理上手の人から教えてもらったミルクティーですよ。残業続きでお疲れかなと思って。休憩時間に作っておいたんです」

真面目な顔でこう言われ

「わ、態々僕のために?」
「ええ。疲れた体に効きますよ」

笑顔を向けられ、赤面しつつ

「あ、ありがと」
「いえいえ。ポットは明日返してくれればいいですよ」

そう言うと、千桜は帰って行った。

「(優しいよな。同僚に過ぎない僕のためにこんなものを)」

母親以外で女性に優しくされることに免疫が無いので、効果覿面なのである。


                    × ×


別のある日。

「先輩、来週からのシフト、相談させてもらっていいですか?」
「構わないよ。若しかして、夏休み?」
「あ、はい。休みの日ならば結構がっつり入れるかな。っと」

現在、休憩室に2人きりというシュチュエーションである。
この先輩は多少意識したのか

「春風さんは旅行とか行かないの?」
「行きたいんですけどね〜。金銭面でどうも」

この先輩は女性との会話は連絡事項などの必要最低限の会話も含めて合計しても3分程度である。
千桜の含みを持たせていると言える物言いに意識していると

「先輩の予定はないんですか?」

畳み掛ける様な発言に「チャンスだ」と思い、1秒にも満たない模索の末

「じ、実は。海に行く予定があるんだ。だからさ」
「へ〜、海に。良かったですね」

ハヤテの鈍感スキルが一緒に生活しているうちにうつったのか、気付かぬうちにスルーし

「あ、休憩時間終わりですね。先に店に戻ってますね」

千桜が休憩室を出た後

「あ、あはは。分かってたさ。夢なんてものは寝ているときに見る物なのさ」

乾いた笑いをするしかなく、小さく愚痴を言った後、休憩室を出た。


                     × ×


で、また別の日。

「え!?先輩、「オヨネコぶ〜にゃん」持ってるんですか?」

ふとした切っ掛けで好きなアニメの話題になり、こういう話が出た。

「まあ、昔VSHに録画した奴だけどね」
「あれってDVDになってないんですよね。凄いですね」

千桜がこう言うと、

「よかったら貸そうか?」
「え?いいんですか?」
「構わないよ。何だったら、この後家に来る?近所だし」

この提案に千桜は

「いいんですか?だったら是非」

で、仕事終わり。

「はいこれ。結構重いけど」
「うわー。ありがとうございます」

千桜は笑顔になると、

「私、先輩が優しい人で良かったと思ってます。お世辞とか抜きで」

千桜に褒められ、

「(チャンス、なのか?で、でもここで焦って告白なんて愚の骨頂だよな)」

心の中で深呼吸し、

「あ、あのさ。前にミルクティー作ってくれたよね?」
「あ。味はどうでした?」
「美味しかったよ。なんというか、「疲れのとれる優しい癒しの味」だったよ」

少し間をあけ、

「で、でさ。誰に倣ったの?あれ。普通じゃ辿り着けない領域だよ、あれ」

千桜は少し悩んだ末

「そうですね。一緒に住んでる男の子からです」
「そ、そうなんだ。あ、あはは」
「ど、どうしたんですか?」

突然笑い出した先輩に困惑したが

「な、何でもないよ。じゃあ、また」
「あ、はい。このビデオ、なるべく早く返しますね」
「い、急がなくていいからね」

あいさつすると、千桜は帰って行った。

「(そ、そうだよね。あれくらいの年齢なら、同棲してても不思議はないよね。儚いよな)」

そう思い、自宅に入って行った。


「(先輩、なんであんな質問を?まあ、嘘じゃないし、いいか)」

千桜はハヤテ直伝?の鈍感スキルで理解できてないようだ。


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以上です。

次回は未定です。

では。
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Re: 女神と共に第三部 2nd (9月9日更新) ( No.82 )
日時: 2015/09/12 12:48
名前: ささ

ささです。ご無沙汰しています。
チェ、墓穴掘らないか。
千桜の方が重症なのでは?(自分の気持ちも気づいていないのだから)
ところでハヤテloveの皆さん、投稿キャンペーン中であるのでちょっと質問
当てはまるものを選んでください。(この際候補者の件は抜きで)
a)正妻じゃなきゃ絶対嫌だ

b)倫理上問題のある関係でも良いから同棲したい(これで分かって)
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Re: 女神と共に第三部 2nd (9月12日更新) ( No.83 )
日時: 2015/09/12 20:31
名前: masa

こんにちはmasaです。

レス返しの更新です。


 ●さささん

 >>ささです。ご無沙汰しています。

 感想ありがとうございます♪

 >>チェ、墓穴掘らないか。

 千桜「な、なんだよ墓穴って」
 さあ。

 >>千桜の方が重症なのでは?(自分の気持ちも気づいていないのだから)

 千桜「わ、私の気持ちって。私は別に」

 ソニア「よく言うわ。ハヤテさんとは些細な共通点でも喜ぶくせに」
 日向「それにや。好きでもない奴と風呂に入ったり一緒に寝たりせえへんで」

 千桜「そ、それはか、関係ないじゃないか////////////////////////」

 >>ところでハヤテloveの皆さん、投稿キャンペーン中であるのでちょっと質問

 一同「・・・」

 >>当てはまるものを選んでください。(この際候補者の件は抜きで)
  a)正妻じゃなきゃ絶対嫌だ

  b)倫理上問題のある関係でも良いから同棲したい(これで分かって)

 一行「a!!」

 愛歌「わ、私は。aって言いたいけど、bでもいいかな」
 千桜「(な、なんで私まで真剣に考えているんだ?お、おまけにaと叫びたい衝動に駆られるなんて)」

 一行は上記の2人以外です。


 感想ありがとうです〜♪

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Re: 女神と共に第三部 2nd (9月12日更新) ( No.84 )
日時: 2015/09/12 20:38
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
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ここはとあるファミレス。


「小学校1年生の時から白皇に通っている我々にとって、実に11回目に夏休みだ」

こう前置きしたのは理沙であり、目の前の「夏休みの敵」を睨み付けるかのように

「つまりだ、こいつも11人目と言う訳だ」

こう言い放った。

「で、どうするんだよ」

美希が同調するように言い、理沙は唸るだけだった。
しかし、暫く間を置き

「こうなったら、今年こそは生活を改めるべきだ」

机をたたきながらこう言い放った。

「毎年毎年休みの最後で苦しんで、結局遅れて怒られる。そして、やっとの思いで提出する。こんな生活を改めるべきなのだよ」

理沙の当たり前の発言に

「おお。それはつまりだ」

美希の驚きに不敵な笑みを浮かべ

「計画的に進め、早めに終わらせて有意義に夏休み最終日を迎えようじゃないか」

理沙の発言に美希だけは驚き

「成程。理沙にしては考えたな」
「(それって。当たり前なんじゃ。って無駄だよね、ツッコミ入れても)」

泉は呆れつつのツッコミを入れていた。

「しかしだ。問題のレベルは我々には高すぎるんじゃないのか?」

美希の言葉に理沙は

「安心したまえ。私含め、「おバカ三人組」なんて陰口たたかれているのは知っている」
「(理沙、それは自分がバカだって認めているものだぞ)」
「(リサちん、自分を省かなかったのが、幸い?かな)」

美希さえも呆れツッコミを入れ、理沙は一切気付かず

「そんな我々にとって幸いなのは、3人いるという事だ。だから、問題を三分割し、それぞれを別々に教えてもらう。これにより、3倍の速度で宿題が仕上がると言う訳だよ」

理沙の他人任せの理論に

「成程。3分の2は丸写しだが、関係ないと」

美希は感心していたが

「(私はもうすでに計画的に進めてて、半分ちょっと終わってるっていうのは、言わないほうがいいよね。「写させろ」とか言い出すし)」

泉は沈黙を守る事にした。「驚きで言葉が出ない」という雰囲気を出して。
まあ当然美希も理沙も泉のそんな様子に気付かず

「しかしだ、誰に教えてもらうんだ?頭だってよくないと、無意味だぞ」

美希の指摘に理沙は眼鏡をずりあげる動作をし

「ハヤテ君、千桜、ヒナの3人で良いんじゃないか?あの3人は天才だし、「頼まれたら断れない」というありがたい性格してるしな」

理沙の自分勝手な推論に

「そ、そうか?第一、ハヤテ君に頼んだりしたら、理事長の耳に入るんじゃないか?」
「そうだよ。そんな事になったら、今度こそ「退学処分」を受けても文句言えないよ」

2人の正論に

「大丈夫だ。ハヤテ君には「黙っててくれ」って泣きながら土下座すれば。後の2人もその理論で何とかなる」

美希は呆れ、泉は呆れを通り越し、尊敬すら持つようになった。

「ともかくだ、3人を泉の家に呼び、宿題するぞ」

そう宣言し、会計と連絡を済ませ、ファミレスを出た。


                        × ×


で、

「まあ、俺が駆り出された理由は、大体理解できた」
「って待て!!!」
「何で悠太君1人なんだよ!!!」

瀬川家に来たのは悠太だけだった。

「ヒナと千桜はどうしたんだよ!!」
「あの2人は欠席だ」
「何でだよ!!!!」

不満をあらわにする2人に悠太はため息をつき

「何でも、「宿題を3分の1ずつ写させろとか言い出しそうだから行かない」って言ってたらしいぞ」
「なんだよ!!!正解なだけに余計腹立つよ!!!!」

美希と理沙とは違う不満を持っているのは泉だった。

「あ、あのさ。ハヤテ君は?ハヤテ君なら、文句を言いつつも来てくれると思ったんだけど」

不安そうに言った泉に

「そうだ!!!ハヤテ君はどうしたんだ!!!」
「あいつは今、忙しいんだよ。相談されて、俺が代わりに来たの。押しかけるなよ」

泉は悲しさからなのか、俯いてしまった。
そんな事に気付かず(悠太は気付いた)、美希と理沙は

「こうなったら、直接乗り込もう」
「そうだな!!!」

2人は駆けだそうとしたが、

「って待て。ヒナはともかく、千桜は何処に住んでるんだ?確か、火事で家が消失して以来、どこに住んでるか不明だったはず」

美希の言葉に理沙は黙り込み

「だったら、2人でヒナの家に乗り込もう」
「そうしよう」

意見が纏まり、理沙が

「折角だ。泉は悠太君に教えてもらえ!!」

そう言い残し、2人とも出て行ってしまった。

「なんか、ごめんね」
「気にするな。怒ってないよ」

泉を宥め、悠太は

「で、どうするんだ?」
「あ、うん。実はいうとさ、「分からないところだけ」教えてほしいんだ」
「それは別に構わんが。やってるのか?」

悠太が聞くと、泉は自分の分の「夏休みの敵」を取り出し

「2人には言わなかったけど、半分ちょっと自力でやったんだ」
「へ〜。見直したぜ」
「えへへ。ハヤテ君も見直してくれるかな?」
「当たり前だろ。ちゃんと褒めてくれるさ」

ハヤテに褒められたところを想像したのか泉は顔を赤らめた。

「あ、それでさ。やったところだけでいいから、チェックしてくれる?正解率は悪くはないと思うんだけど」

悠太は差し出された「夏休みの敵」を受け取り、確認し始めた。

「で?どうかな?」

終わったのを確認し、聞くと

「9割以上の確率で正解だよ。流石に、3人の中で期末テストの赤点を唯一回避しただけはあるな」
「えへへ」

そう。泉は勉強の成果か、「おバカ3人組」の中で、唯一全教科赤点回避したのだ。

「そう言えば、悠太君は終わったの?これ」
「一応な」
「流石に高スペックな設定があるだけあるよね」

詳しくは悠太のプロフィールにて。

「じゃあさ、自力で頑張るからさ、「分からない所」と「間違った所」を教えて」
「了解」

泉は机に「夏休みの敵」を広げ、今日までにやっておいたところの続きをやり始めた。
少しの間時計の音のみが室内を支配し

「あのさ。この問題なんだけど」
「ああ、これか。これはな」

時々聞かれたところはヒントを教え、やっぱりそれ以外は時計の音だけが室内を支配した。

「お茶淹れてくるよ。キッチン何処だ?」

泉は屋敷内のキッチンの場所を教え、悠太が部屋を出た後も宿題を続けた。

「お茶淹れてきたぜ。休憩にしろよ」
「ありがと。あのさ、チェック良いかな?」
「勿論」

泉がティーブレイクしている間、悠太は新たに解かれた問題をチェックし、間違えている所にしるしを入れ、

「やっぱ凄いな。正解率9割越えだぞ」
「これでも頑張ってるんだから」

細かいミスはあるものの、大部分は自力で解いていた。


                       × ×


夜になり、悠太が帰る時間なった。
それまでに泉は残り10分の1までに減らしていた。

「あとは俺が教えなくても、平気そうだな」
「うん。ありがと」

時々とはいえ、教えてもらい、お茶も淹れてくれたので、感謝を伝えていた。

「あ、あのさ。お願いがあるんだ」
「ん!?なんだ?」

モジモジし始めた泉に悠太は何かを察し

「ハヤテに伝えておくよ。「泉は大部分を自力で解いた偉い子」だって」
「あっ、うん。よ、よろしくね/////////////////////////////////」

再度挨拶をし、悠太は帰って行った。

「よーっし。あと少し。がんばろー」

泉は決意を固め、屋敷内に戻った。



因みに

「2人とも、決めた分が終わるまで帰っちゃだめだからね」
「「は、はい」」

一昔前の体育教師みたいに村正携帯で睨みを利かされ、美希も理沙も自力で解かざるを得なかった。



-----------------------------------------------------------------------------------
以上です。

次回は未定です。

では。
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Re: 女神と共に第三部 2nd (9月12日更新) ( No.85 )
日時: 2015/09/13 20:08
名前: 瑞穂

masaさんへ

初めまして。瑞穂(みずほ)です。
ちょうど1年前に止まり木を訪問して以来、masaさんの作品は全て楽しく読ませていただいております。

さて、前回と今回のお話は原作でも好きなテーマの1つです。ですから2話分、感想を述べさせていただきます。

>>81につきましては、千桜さんとハヤテ君は内面的に似ている、という点が強調されていますね。鈍感ですが思い遣りがあり癒しを与えるというところは特に。原作でも2人の性格は似ているところが多いように見受けられます。
>>84では、特に印象深いのは、泉が自力で半分以上終わらせて殆ど正解していたということと、同じく墓穴を掘らなくなったという成長です。ハヤテ君に教わっているとはいえ、ここまで成長できるのはハヤテ君への愛情というモチベーションのなせる業ですかね。泉のことを見直しました。
それに引き換え理沙と美希、他人任せにするんじゃない。同じ高校生とは思えないな。(ツッコミ)

masaさんの作品全般について一言申し上げさせていただきます。
この「女神と共に〜」シリーズは大好きです。キャラクターでは中でも時任麗さんの人間性が一番好きです。特に優しくて誠実な印象を受けるところがお気に入りです。
他にも削除されましたが「疾風妹」「ハヤテの休日」「三千院ナギの思い付き」「倉鼠の悪夢」「私立鳳凰女学院」はお気に入りで、プリントアウトして毎週読ませていただいております。中でも「疾風妹」はmasaさんの作品の中で一番印象深い作品ですね。具体的な感想につきましては申し訳ありませんが時間の都合により割愛させていただきますが……。
masaさんの作品はオリジナルキャラクターが多数登場するとはいえ、原作に忠実なので読んでいて楽しいですね。読ませていただくうちに惹かれます。他の作品にはない魅力があるということでしょうか。

これからも時間に余裕ができれば、自分のペースで感想を差し上げられればと存じます。感想を書き始めて2か月なのでまだまだ拙いですが、どうかご容赦ください。
次回のお話もどのような展開になるのか楽しみに待っています。
長くなりましたが、以上をもって私の感想、私見とさせていただきます。
それでは、失礼致します。


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Re: 女神と共に第三部 2nd (9月15日更新) ( No.86 )
日時: 2015/09/15 20:24
名前: masa

こんにちはmasaです。

レス返しの更新です。


 ●瑞穂さん

 >>初めまして。瑞穂(みずほ)です。

 初めまして。感想ありがとうございます♪

 >>ちょうど1年前に止まり木を訪問して以来、masaさんの作品は全て楽しく読ませていただいております。

 ありがとうございます。ありがたきお言葉です。

 >>さて、前回と今回のお話は原作でも好きなテーマの1つです。ですから2話分、感想を述べさせていただきます。

 再度、ありがとうございます♪

 >>>>81につきましては、千桜さんとハヤテ君は内面的に似ている、という点が強調されていますね。

 そう、ですかね?原作を可能な限り崩さないようにしてるつもりの部分もあるので。

 >>鈍感ですが思い遣りがあり癒しを与えるというところは特に。原作でも2人の性格は似ているところが多いように見受けられます。

 確かに、2人には何かと共通点がありますもんね。
 千桜「・・・なぜ私は喜んでいる?」

 >>>>84では、特に印象深いのは、泉が自力で半分以上終わらせて殆ど正解していたということと、同じく墓穴を掘らなくなったという成長です。

 この小説では、ナギを始め大きく成長させているキャラが多めなので、ああなったんです。

 >>ハヤテ君に教わっているとはいえ、ここまで成長できるのはハヤテ君への愛情というモチベーションのなせる業ですかね。泉のことを見直しました。

 泉「あ、ありがと。ハヤテ君には、頑張っているところ見てもらって、褒めてもらいたいんだ/////////////////////////そ、そうすればさ////////////////////////」

 >>それに引き換え理沙と美希、他人任せにするんじゃない。同じ高校生とは思えないな。(ツッコミ)

 理沙「し、仕方ないだろ。あれは我々には難しすぎる」
 美希「そうだそうだ。断固抗議する」
 ヒナギク「・・・」

 >>masaさんの作品全般について一言申し上げさせていただきます。

 な、なんでしょう?

 >>この「女神と共に〜」シリーズは大好きです。キャラクターでは中でも時任麗さんの人間性が一番好きです。特に優しくて誠実な印象を受けるところがお気に入りです。

 この作品はあらかじめ設定などを真剣に考え、魂を注いでいるので、そう言っていただけてうれしいです。
 麗に関しては、「優しいお姉さん」って感じですからね。両親と死別しているというのが大きいのです。だからこそ、そういう印象を受けたんですね。きっと。

 >>他にも削除されましたが「疾風妹」「ハヤテの休日」「三千院ナギの思い付き」「倉鼠の悪夢」「私立鳳凰女学院」はお気に入りで、プリントアウトして毎週読ませていただいております。中でも「疾風妹」はmasaさんの作品の中で一番印象深い作品ですね。具体的な感想につきましては申し訳ありませんが時間の都合により割愛させていただきますが……。

 ありがとうございます。ただ、あれは「描いたは良いが、のちに思う事があって削除してもらった」作品なので。でも、そう言っていただけてうれしいです。

 >>masaさんの作品はオリジナルキャラクターが多数登場するとはいえ、原作に忠実なので読んでいて楽しいですね。読ませていただくうちに惹かれます。他の作品にはない魅力があるということでしょうか。

 な、なんか照れちゃいますね。 自分は、壊すところは徹底的に。忠実にするところは可能な限り壊さない。を信条にしているので。

 >>これからも時間に余裕ができれば、自分のペースで感想を差し上げられればと存じます。感想を書き始めて2か月なのでまだまだ拙いですが、どうかご容赦ください。

 いえいえ。感想をいただけること自体がとても有難く、励みにしておりますので。

 >>次回のお話もどのような展開になるのか楽しみに待っています。

 大まかではありますが決めてありますが、それは内緒で。

 >>長くなりましたが、以上をもって私の感想、私見とさせていただきます。
  それでは、失礼致します。

 ありがとうございます。これからも頑張ります。


 感想ありがとうです〜♪

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Re: 女神と共に第三部 2nd (9月15日更新) ( No.87 )
日時: 2015/09/15 20:35
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
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ここは毎度お馴染み三千院家。


ナギは現在、書斎で漫画を描いていた。

「(私は、負ける訳にはいかない)」

次の同人誌対決は、ナギにとって負けられない戦いだ。
負ければ、ルカは「ハヤテの婚約所候補No.7の座を手に入れられる。

悠太が推論したとおり、ナギにとってルカは「最大の脅威」だった。自信と同じ夢を持ち、自信と同じ相手に恋をしている。これを脅威と呼ばずして何と呼ぶべきか。

ただ、ナギは見落としていた。

負ける訳にはいかないと決意しても、実力は比例してはくれない事実に。

ナギの目の前にある原稿用紙にはもはや漫画と呼べる代物ではなく、「無意味な落書き」と言えるものである。

「(えっと。これって不味い気が)」

ナギは目の前の落書きを見つつ、

「(ルカとは、賭けをした。まあ、それ自体に後悔はない。だが、これでは勝敗以前の問題だ)」

自分で書いておいてあれだが、読む気が一切しない物である。

「(まあ、いいさ。楽に勝てる相手じゃない事は最初から知っている。だからこそ、戦う意味が生まれる)」

ナギは新しい原稿用紙を取り出し

「(集中だ。今の私に必要なのは、心を研ぎ澄ませ、集中することだ)」

ナギは目を閉じて精神集中し

「不安や後悔!?そんなものは無視だ。そんなもの、勝負が終わってからすればいいのだ」

自分にこう言い聞かせ、ペンを取った。

「アイス食べますか〜♪」

マリアさんがノックもせずに室内に入り、こう言ってきた。

「は!?」
「アイスですよ、アイス。暑いから、買ってきたんですよ〜♪」

なぜか笑顔のマリアさんにナギは

「いや、今集中したいから、いらないのだ」
「そうですか〜♪」

ナギが返事すると、マリアさんは部屋を出て行った。

「(やれやれ。おっと、いかんいかん。集中だ集中)」

ナギは気を取り直し、ペンを持ち直して精神を集中させ始めた。

が、マリアさんは音もなく室内に入ると、大きな物音を立てた。

「な、なんだよ」
「別に〜♪お気になさらず〜♪」
「気になるよ!!!!何をするつもりだ!!」

僅かに声を荒げるナギにマリアさんは妙な笑顔のまま

「アイロンですよ〜♪で・す・か・ら、お気になさらず〜♪」

そう言うとマリアさんは準備を始めた。

ナギは無視して集中しようとしたが、態となのか、「カチカチ」とか「ブシュー」と言った音を立てながらアイロンをしていたので

「うるさあああい」
「なんですか〜♪」
「なんですかじゃな〜い。なんでこの書斎でやるんだよ!!!」

我慢できなくなり、声を荒げ始めたナギに

「貴方の服のアイロンがけでしょ〜♪貴方の前でやるのが流儀でしょ〜♪」
「や、やってもらってることには感謝している。だからってここでやる必要はないではないか!!!」
「別にいいじゃないですか〜♪ナギに見てもらおうとですね〜♪」

ナギは言葉を遮るように

「ふ、普段から私の目の前ではやらんではないか。第一、この屋敷は広いんだから、他にやる部屋は腐るほどあるではないか!!!」
「分かりましたよ。小うるさい我儘な子に従ってあげますよ〜♪」

マリアさんが部屋を出て行ったあと

「まったく。なんで態々今日に限って。集中だ集中。心を乱されるな」

一方、部屋を出たマリアさんは「計画通り」と言いたげに黒い笑みを浮かべ

「(フフフフフフフフフフフフフフフフフフ♪このままあくまでもさり気なく邪魔しちゃいましょ♪そうすれば、ルカさんに不戦敗という屈辱を与えられますね〜♪そうすれば、悔しがるナギを撮影できますね〜♪そうすれば、またコレクションが♪ああ♪)」

こんな事を考え、次はどんなさり気ない妨害工作をしようか考え始めた。

一方、こんな思惑を当然知らないナギは椅子に座りなおし

「集中だ。集中」

精神統一しようとしたが

「やあナギ。アイス食べるか?」
「な、なんだよお前まで!!!」

千桜が部屋に来てナギに聞いたが、ナギは声を荒げた

「い、いやな。遊びに来るついでにお土産にアイス買ってきたんだよ。暑いからな」
「そ、そっか。それはありがたいが、集中したいんだ」
「そっか。それは悪い事をしたな」

謝ってきた千桜にナギは

「こっちこそ声を荒げてすまなかった」
「いいって。悪いのは邪魔したこっちなんだし」

取り敢えず、この場は収まった。

すると、この様子をこっそり見ていたマリアさんは

「(千桜さんナイスですよ〜♪でも、なんでナギの邪魔を徹底しねえんだよ!!!もっと邪魔しやがれ!!!!!!!)」

とか思っていたらしい。


「で、漫画の進み具合はどうなんだ?」
「そ、それは。良くないのだ」
「大丈夫なのか?」

心配してくれた千桜にナギは

「大丈夫、じゃないと思う。だって、この勝負にはハヤテがかかっているのだ」
「へ!?」
「同人誌対決に、ルカが勝てばルカは「ハヤテの婚約者候補No.7」の座を手に入れる。私が勝てば、ルカはハヤテを諦める。そういう勝負をすることになったんだよ」

報告すると、ナギは間をあけ

「だから、私は負ける訳にはいかない。負ける訳にはいかないから、集中したいんだよ」

ナギの言葉に千桜は

「勝てる、のか?」
「え!?」
「ナギ、ルカの今のレベルがどれくらいなのか知っているのか?知ってて、勝負を受けたのか?」

千桜の言葉にナギは

「どういう、意味なのだ」
「これを見れば分かるよ。ルカは「失敗作」って言ってたけどな」

千桜に手渡された原稿を見てナギは愕然とした。
なぜなら、オーラを感じられたからだ。

「ルカはさ、元々才能があったんだよ。その才能持ちが覚醒して、血反吐を吐くほど努力した結果がそれだ」

千桜はナギの様子を窺いつつ

「再度聞くぞ。勝てるのか?」

千桜の言葉にナギは

「た、たとえ負けたとしても、あ、あくまでNo.7の座に収まるだけだ。も、問題は」
「そんな後ろ向きな考えで本当にいいのか?」

声が聞こえ、振り向くと悠太が腕を組んで壁に寄りかかっていた。

「そんな後ろ向きな考えじゃ、勝てる勝負にも負けるぞ」
「分かってるよ。でも、か、環境がだな」

集中しようにも何かと誘惑などがあり難しそうだった。
すると

「お困りのようね」

別の声が聞こえ、ドアの方を見ると麗がいた。

「麗」
「ナギちゃんが同人誌対決するって噂を耳にしてね。で、話を聞くうえでは困ってるんでしょ?」
「ま、まあな」
「だったら、私に任せてくれない?」

麗の言葉にナギは目をぱちくりさせた。


因みに

「(ふざけんじゃねえぞ!!!!!!!!あのクソ野郎、なんでナギを嗾けてんだよ!!!!!!!!!それにあのクソ女!!!!!!!!!!!!ナギに協力してんじゃねえぞ!!!!!!!!!!!!!!!俺様のコレクションが増えねえじゃねえか!!!!!!!!!!!!!!俺様の邪魔してんじゃねえ!!!!!!!!!!!てめえの財閥潰すぞ!!!!!!!!!!!!!!くそが!!!!!!!!!!!!!!!!)」

とか思った人がいたそうだ。


-----------------------------------------------------------------------------------
以上です。

次回は続きです。

では。
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Re: 女神と共に第三部 2nd (9月18日更新) ( No.88 )
日時: 2015/09/18 19:47
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
-----------------------------------------------------------------------------------

前回、ナギは集中できない環境に嘆いていたが、麗が来て「自分に任せてほしい」と言ってきた。


ナギ達は三千院家を出て、時任家の車で暫く走り

「なあ麗、ここは何なのだ?」

ナギは目の前の1階建ての大きめの建物を指さしながら聞いていた。

「ここはね、我が時任グループ経営の保養施設なの」
「保養施設?」
「そうよ。ここはね、温泉やマッサージなどリラックスできる施設が充実しているの」

麗の説明にナギは興味津々といった様子で

「中に入っていいか?」
「勿論よ」

まるで玩具を与えられた子供のように施設内に入って行き、麗と悠太も続いた。


                   × ×


ナギは暫く施設内を見て回り

「中々良い環境じゃないか」
「ありがと」

ナギは喜んでいたが、

「でもさ、時計は?見かけなかったんだが」
「無いわよ」
「え!?じゃ、じゃあ、テレビは?それも見かけなかったんだが」
「それも無いわよ」

当たり前のように言う麗にナギは只々驚きの眼差しを向けるだけだった。
そんなナギに麗は

「ここのコンセプトはね、「時間を忘れてのんびりしてもらい、身も心も癒す」なの。だから、時間が分かるような時計やテレビは排除してるし、携帯は電源を切るようにお願いしてるし、時計も預かるようになってるの。あ、安心して。最初に時間指定をしてもらって、その時間になったらスタッフが教えるシステムになってるから、それなりに時間は分かるようになってるわ」

説明を受けて、ナギは納得していた。
そこへ悠太が

「なあ、他の客は?お嬢様と一緒に見て回ったんだがいなかったぜ」
「ここは完全予約制だからね。それに、ナギちゃんが集中できるように、貸し切りにしたから」
「わ、私の為?」

驚くナギに麗は

「そうよ。あ、「友達価格」ってことで料金は無料よ。聴取しないから安心して」
「そ、そこじゃないのだ。これだけの施設、完全予約制とはいえ、貸し切りにするのは大変じゃなかったのか?」
「ああ、そっち。ちょっと無理したけど、心配しないで」

笑顔を向けられ、ナギは安心した。が

「で、でもあんまりゆっくりしている場合じゃ」
「ナギちゃん、焦ったって何も生まれないわよ。「焦らず急ぐ」。今のナギちゃんにはこれが1番なんじゃない?」
「そ、そうだよな。持ちすぎない程度に心の余裕を持たないとな」

ナギはグッと胸を握った。

「で、お嬢様。ルカに勝つ秘訣はあるのか?ここでなら環境は完全だが」

悠太の何気ない質問にナギは黙り込み

「だ、大丈夫なのだ。私には「主人公補正」がだな」

ナギは恐る恐るこう言ったが

「あのな。最近忘れられがちだが、この小説の主人公はハヤテで、メインヒロインは天王州だぞ」
「あ」

ナギは忘れてたみたいな声を出し

「第一だ、「主人公補正」とやらが働くのはどっちか考えて見ろよ」
「えっと」

ナギはお金持ちで天才。将来に不安は少ない。
ルカは貧乏で努力家。将来には不安は満載。

「ル、ルカだよな。主人公は大体不幸な境遇だったり、何かにひた向きだったり」
「だろ?」

悠太の正論にナギは

「ま、まあでも。精一杯やった結果負けたとしてもだな」

言い訳をしようとしたが

「ナギちゃん、考えが甘いんじゃない?」
「え!?」
「ナギちゃんは、「自分が負けたとしても、ハヤテ君は今まで通り傍にいてくれる」って思ってるでしょ?」

ナギは黙って頷いた。

「いい?「恋という名の戦争」はほんの僅かな油断や慢心が敗北に繋がるのよ」
「う」
「聞いた限りじゃその子が勝てば、ナギちゃんにとって最大の脅威なんでしょ?だったら、死ぬ気で勝ちにいかないと」

麗の言葉に、ナギは俯いた。

「ん?時任はお嬢様の相手が誰か知ってるのか?」
「聞いただけだけどね。水蓮寺ルカっていう今は休業中のアイドルの子でしょ?」
「知ってたのか」
「時任家は一応財閥ですからね」

麗はナギの方へ向きなおし

「ま、ともかく、「ひた向きな努力」が必要なんじゃない?主人公にはさ」
「そうだな。目が覚めたよ」

ナギの目つきは変わっていた。

「でもさ、いきなり現実突きつけるようで悪いけど、どうするんだ?はっきり言うが、お嬢様とルカの間には「歴然とした差」があるぜ。画力と言いストーリー性と言い」
「グググ」
「その差は簡単には埋まらないの?」
「ああ」

麗は腕を組んで少しの間考え

「だったらさ、只々お話を考えたら?ネームってやつを考え続ければきっと面白い話が浮かぶんじゃない?」
「そ、そうかもしれんが、ただな」

不安そうなナギに、麗は腕時計を見ると

「まあ、その辺は予想通りよ。だから助っ人を呼んだわ」
「「助っ人?」」

ナギと悠太が首を傾げていると

「いやあお待たせ。道路が混んでてさ」

そう言いながら部屋に入ってきたのは

「「あ、足橋先生!?」」

プロの漫画家で、ナギ達の知り合いでもある足橋先生だった。

「頼んでおいてあれだけど、私も受けてもらえるとは思ってなかったわ。九割九分九厘断られると思ってたから」

麗も驚いていた。

「い、良いんっすか?忙しいはずじゃ」

不安で聞いた来た悠太に

「大丈夫大丈夫。暇だったし」
「「あ、そうですか」」

前科があるだけに不安は付きまとったが、これ以上の介入は無駄だと思い、黙る事にした。

「で、僕は何をすればいいんだい?」
「ナギちゃんへのアドバイスをお願いできますか?」
「それくらいならお安い御用だ」

足橋先生は受けてくれたが、ナギは不安がぶり返していた。

「(そう言えば、前のあの時が始まりだったよな。足橋先生の原稿を見て、私の原稿を見た先生の表情を見て、自信を失った。だから逃げた。若しかしたら、先生に原稿を見てもらえるかもしれないけど)」

不安で俯いていたナギに

「あ、そうそう。ずっと言いそびれていた事があってね」

先生はこう前置きすると

「以前見せてもらった君の漫画。粗削りではあったけど、将来性を十二分に感じたよ」
「え!?」
「あ、嘘やお世辞じゃないよ」

足橋先生は一応弁解し

「確かに今は原石の段階だ。でもね、磨き方つまりの才能の伸ばし方だね。それ次第では、僕のライバルになれる逸材になれるよ」

どんどん目つきが変わるナギに先生は

「どんな綺麗な宝石でも、原石の段階じゃそんなに綺麗じゃない。でも、きちんと磨けば何千万の価値がつくこともある。今の君がその状態さ」

先生の言葉にナギは顔つきまで変わった。

「今はただ、「頑張って」としか言えないけど、ね」
「先生。ありがとうございます」
「何のなんの」

話がまとまり、悠太が麗に

「なあ、まさか」
「私は何もしてないわよ。でもね、結果的に良かったんじゃない?「自信」ってやつはありすぎるのも困りものだけど、無いのはもっと困りものでしょ?」
「た、確かに」

悠太は頷いていた。

「あ、先生」
「なんだい?」
「この施設の温泉やマッサージ利用していってください。先生は特別に全て無料にしますから」
「い、良いのかい?」

麗は笑みを向け

「せめてものお礼ですから」
「そっか。じゃあさっそく」

そう言うと、先生は部屋を出て行った。

「じゃ、ナギちゃん」
「描くさ。只管に」

ナギは決意を新たにした。



-----------------------------------------------------------------------------------
以上です。

次回は続きです。

では。
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Re: 女神と共に第三部 2nd (9月24日更新) ( No.89 )
日時: 2015/09/24 22:06
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
-----------------------------------------------------------------------------------

前回、ナギは麗に時任家経営の保養所を貸し切りにしてもらい、足橋先生の協力も得て漫画を描くことになった。


「そう言えば、アイドルの子とは何か賭けたりしてるの?」

麗の質問にナギは答えようか悩んでいたが、

「「ハヤテの婚約者候補の座」を賭けたのさ。もし、私が負けたりしたら、ルカは「ハヤテの婚約者候補No.7」になる事が出来る」

ナギの報告に麗は当然驚き

「い、良いの?ルカって子を詳しくは知らないけど、そんな賭けをするって事は」
「私にとって、「最強にして最大のライバル」さ。でも、そこまで自分を追い込まなきゃあいつには勝てない。それほどの相手だから、オーケーした」

ナギの目に迷いなどを感じず、麗は

「まあ、ナギちゃんがそう言う以上は止めたりしないわ。だったら、意地でもナギちゃんを勝たせてみせるわ」
「ああ。ありがとう」

決意を新たにするナギに対し、麗は悠太に近付き

「そう言えばさ、ハヤテ君はこの勝負をどう思ってるんだろうね」
「どうって?」
「ナギちゃんに勝ってほしいとか、ルカって子に勝ってほしいとか。どちらの勝利を望んでいるのかって事よ」

麗に言われ、悠太は

「さあな。聞いた事無いから分からんよ。たぶんでしかないが、どちらかだけの味方はしねえんじゃねえか?」
「そう」

悠太に言われ、麗は

「(この勝負、はっきり言って結論が出てるに等しいわね。ハヤテ君にはこの勝負の結末はどっちが勝っても影響なしね)」

こう思った。


                     × ×


一方その頃。

「あっ、そこは駄目。ああ、そこは弱いの。ああ、ハヤテ君」

一応補足します。声の主はルカです。

「あの、足のマッサージするだけでそんな変な声出さないでくれます?」
「あ、あれ!?」

一応期待した方はすみません。

「そ、それはあれだよ。読者サービスってやつで」
「そんなのは止めてください」

冷めた対応のハヤテにルカは

「もういいよ。マッサージありがとね」
「いえいえ。それより、なんかあります?してほしい事とか」

ハヤテは特に意味なく言ったが

「言ったらしてくれるの?キスしてくれるとか」
「な、なんですかそれ。し、しませんよ」
「なんだ。だったら、期待持たせるような事言わないでよ。キス出来ないくせに」
「い、いや。そんなにしてほしいんですか?」

ハヤテの問いかけにルカは敢えて答えず

「今のところは無いよ。用事が出来たらいうから、今は邪魔しないで。漫画描くし」
「あ、はい」

ハヤテは去り際に

「ルカさん、無茶だけはしないで下さいよ。一応「保養のために」ここにきてるんですから」
「・・・」

ルカは少しの間沈黙し

「ねえハヤテ君、用事が出来たんだけど」
「なんでしょう?」

ルカはまた間を置き

「ハヤテ君はさ、どっちに勝ってもらいたいと思ってるの?」
「それって、同人誌対決の事ですよね?」
「そうだよ」

ハヤテは暫く考えたが

「すみません。考えていませんでした。まあでも、僕はどちらかだけの味方はしないつもりですが」
「そっか」

ハヤテの答えにルカは

「(考えていなかった。片方だけの味方はしない。それってつまり、「どちらが勝ってもいい」って事だね。この勝負、私やナギにとってはとても大事な勝負なのに、ハヤテ君からすれば、結果はどうでもいい)」

こう考え、

「(諦めたくない。感じた事が無い位異常に強い気持ちと独占欲を持っているのに、相手には気持ちが届く可能性は低い)」

この時ルカは以前日向に「キスぐらいじゃまだ薄味」という言葉を思い出していた。

「(勝って婚約者候補の座を手に入れても、その座で積極的に迫っても、ほぼ無味と言えるよね)」

ルカにとって「ハヤテを諦める」という選択肢は一切無く、「どうやってハヤテに気持ちを届け、恋仲になるか」という考えを漫画と並行して考えていた。
だが、肝心のハヤテは「勝敗は考えていなかった」と言う鈍感っぷり。

なので

「(仕方ないか。「卑怯」だけど、もうこの作戦しかない。この作戦を実行に移せば、私も自分を追い込むことができる。ナギ同様「意地でも勝利を手にする」という考えを支配させる事が出来る)」

自らを奮い立たせ

「ねえハヤテ君、前にした「1つだけお願いを聞く」って約束、覚えてる?」
「あ、はい」

ハヤテがちゃんと覚えていたので、安心し

「そのお願い、今聞いてもらってもいい?」
「え!?あ、はい。なんでもどうぞ。「出来る範囲で」になりますが」

ルカは少しの間間をあけ

「この勝負に私が勝ったら、「結婚を前提とした恋人」になって」
「・・・へ!?」
「本当なら、「結婚して」って言おうと思ったんだけど、まだ早い気がするから、「結婚を前提とした恋人」にしたの」

思ってもみなかったルカの提案にハヤテは暫くの間言葉が出ず

「あ、あの。冗談の類では」
「ないよ。こんな事、嘘や冗談。ましてやふざけて言うわけないでしょ」

ルカの言葉からは、超が付くほど真剣に言っていると感じ

「念のために聞きますが、「例の約束」をこの事に使用することに」
「後悔なんかする訳無いでしょ。卑怯かもしれない。でもね、私の「ハヤテ君が好き」という気持ちは異常なほどに強いの。独占だってしたいと思うほどにね。だから」

言葉を切ったルカにハヤテは暫く目を閉じて考えた後

「分かりました」
「え!?」
「その約束、聞いてみせます」

驚くルカにハヤテは間をあけ

「同人誌対決にルカさんが勝てば僕はルカさんの「結婚を前提とした恋人」になります」
「嘘じゃない?」
「「嘘は言わない」も、約束でしたよね?」

ハヤテの真剣な眼差しに

「そっか//////////////////////////////////じゃあ、意地でも勝たなきゃ」

ルカはそう決心し、原稿用紙に向き合った。


-----------------------------------------------------------------------------------
以上です。

次回は続きです。

では。
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Re: 女神と共に第三部 2nd (9月27日更新) ( No.90 )
日時: 2015/09/27 17:10
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
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前回、ハヤテはルカと「ルカが勝ったらルカと結婚を前提としたお付き合いをする」と約束した。


「な、な、な!?私が負けたら、ルカと「結婚を前提とした恋人」になるだと!?」

ハヤテは約束後、ルカに断りを入れてナギ達の元へ報告に来ていた。
なぜ、ハヤテがここに居るのかを知っているのかと言うと、悠太が教えたためです。

「ハ、ハヤテ、それはなんでなのだ」
「まあ、色々ありまして」

只々驚くだけのナギに対し、麗は幾分か冷静に

「そ、それってあれでしょ?罰ゲームで仕方なくってノリでしょ?」
「違いますよ」

ハヤテは敢えて間を空け

「これは、真剣な約束のうえでの賭けです。なので、「仕方なく」ではありません。正真正銘本物の誓いです」
「ハヤテ」

ハヤテの真面目さを知っている面々は嘘や冗談などではないと直ぐに分かれた。

「まあでも、ナギさんは焦らなくてもいいんじゃないんですか?」
「へ!?なんでなのだ」
「だって、ナギさんが勝てば、ナギさんからすれば万事解決じゃないですか」
「あ、ま、まあな」

確かにハヤテの言う通りなのではあるがナギの現状では相当な難しさであった。

「なあハヤテ、お前さんは、ルカが勝った場合でも、ちゃんとお付き合いするのか?」
「ん!?まあ、ね。「約束したから」じゃなくて、「ちゃんとした恋人」になるつもりだよ」
「そう、か」

ハヤテ優しいだけではないので、「想いに応える」と言うのは恋愛感情の欠落が起こっていても可能なのである。

「それで、ナギさんは勝つ見込みはあるんですか?」
「へ!?あ、そ、それはだな」

「勝つ」と見栄を張りたかった。だが

「なあハヤテ、お前なら分かるだろ?」
「え!?」
「「勝負事は余程の事が無い限り絶対はあり得ない」この言葉の意味を」

ハヤテは師匠からその教えを受けていた。

「「勝負である以上、油断も慢心もせずに全力を尽くせ」ですよね。そして「勝ち星を得るのがどちらになるのかは神しか知らない」と言う意味でもありますよね」

ナギは黙って頷き

「この場で「勝つ」と見栄を張るのは正直簡単だ。でもな、私はしない。出来もしない見栄は張らんよ」

悠太も麗もナギの強さに感心していた。

「すみません。くだらない質問でしたね」
「私の事は良いから、ルカのもとに居てやれ。私には悠太と麗がいるが、ルカにはいないだろ?」
「分かりました。頑張ってくださいね」

そう言うと、ハヤテは山小屋に戻って行った。

暫くして

「悠太〜」

ナギに泣きつかれ、

「な、なんだよ」
「ど、どうしよ〜。かっこいい事言っちゃったけど、ルカに勝つ見込みなんかないんだよ〜」

悠太は先程の感心を返してほしい気分になった。

「負けたらハヤテを取られちゃうよ〜。おまけにたった2週間しかなくて時間が足りないよ〜」

悠太は頭を2,3回掻き

「どうしろって。考えまくるしかねえんじゃねえの?」
「そっか。よし」


                      × ×


「ねえナギちゃん、本屋で何するの?」

保養所を出た一行は近くの本屋に来ていた。

「時間が無いんだ。僅かでもいい。ヒント探しにな」
「成程な。書店でアイディアの種を探すか。プロの漫画家がやる事らしいからな」

理解出来ていない麗に悠太が説明した。

「でも、見つかるのかな?」
「さあな。でも、作者もふとした切っ掛けでネタを思いつくこともあるらしいからな。その理論で行けばたぶん」

5分以上店内を見て回ったが

「駄目だ。良いアイディアは出ない」
「そう」

ナギは頭を抱え

「だったら、今度は歩きながら考えよう」
「散歩でネタを考えるって事?」
「ああ」

しかし、

「保養所に戻って来てしまった。だが、肝心のアイディアはゼロだ」

ナギは頭を抱え、悠太も麗も見守るしかなかった。
そこへ

「いやあ。久しぶりにさっぱりしたよ。ここの温泉もマッサージも最高だね」

足橋先生が笑顔で部屋に入って来た。

「あ、先生。ちょうどよかったっす」
「何がだい?」
「お嬢様が漫画のアイディア出しに苦労してるんです」
「そうかい。だったら、鉄板の方法があるんだけど」

ナギが聞きたそうだったので、足橋先生は軽く咳払いし

「昔ね、中杉通りと並走する細い路地を夜中に自転車で走ってたんだ」

話し始めた先生に全員息をのんで黙って聞いていた。

「深夜3時。町は静まり返り、薄暗い路地には僕1人だけだった。そんな時、向こうから老人が歩いて来た。中杉通りと並走する道だったから、結構遠くまで見渡せて、その老人とは結構距離があったんだけど、その距離からも分かるほど不気味だったんだ。だってその人は夜中の3時にも拘らず、白装束に深々と帽子までかぶってたんだ」

一旦切ると、ナギ達の様子を見つつ

「なんか嫌だなと思いつつだんだん近づいて来てね。さっさとスルーしたかったんだけど、好奇心に勝てず、すれ違いざまに見てしまったんだ。僕が帽子だと思ってたのは、顔面を覆うほどの大きなお札だったんだ」

話し終え、また間を置き

「まあ当然悲鳴を上げて大急ぎで逃げたんだけどね。オチとしては」

足橋先生の話にナギも麗も震えていた。

「な、なんなんすかその話」

悠太は怖がりながらも聞いた。

「面白かったでしょ?実はね、今の話は実話なんだ」
「え!?」
「先生、それってつまり」

足橋先生は頷き

「鉄板で面白い話にしたいなら、「面白い体験」をすることさ。で、その体験をもとに話の枝葉を整理し、キャラクターを膨らませて再構成すれば、面白い話は描けるよ。だって、元々面白い話なんだし」

ナギは感心していた。

「例を挙げなくても、そう言う面白い漫画はいっぱいあるでしょ?」
「確かにそうっすね」

ナギは腕を組み

「面白い体験。か」

こう呟くと

「(勝負の日まで2週間。作画時間とかを逆算して、あと2,3日なら平気だ)」
「でもさ。面白い体験なんて今更」
「旅だ」
「「え!?」」

ナギの言葉に悠太も麗も驚きの声を上げた。

「こうなったら、面白い体験をするために旅に出る」
「た、旅にッて。本気なの?」
「本気だ。基本的に面白い事は旅の中で起こるものだ」

そう言うと、ナギは深呼吸し

「私は今から、ハプニングしか起こらない旅に出る」

ナギの宣言に悠太も麗も驚くしかなかった。


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以上です。

次回は続きです。

では。
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Re: 女神と共に第三部 2nd (9月30日更新) ( No.91 )
日時: 2015/09/30 18:46
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
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前回、ナギは漫画のアイディアに詰まり、「ハプニングしか起こらない旅に出る」っと言い出した。


「た、旅って。ナギちゃん本気なの?」
「勿論だ。ルカに勝つにはもうこれしかないんだ」

ナギの目には決意が宿っていた。

「で、何処に行くんだよ。近場じゃハプニングなんか起こりようがないぞ」
「決まっているだろ。旅と言ったら、「そうだ、京都に行こう」だ」

ナギの決め台詞に悠太も麗も懐かしさを感じつつ

「でもさ、京都に行くだけでハプニングなんか起こるかな?しかも、漫画にできる様な、だよ」

麗の言葉にナギは頷いてから

「確かに、普通に行くだけじゃ難しいだろうな。現在社会じゃ交通の便はあまりにもいいからな」

ナギはこういうと、間を置き

「だがな、ここで只々無駄に時間を浪費するより、「挑戦してみる」と言うのが大事なんじゃないか?駄目だったら、その時はそのときさ」

ナギの宣言に

「そうだな。何もしないより何か行動を起こした方が、何とかなるかもな」

悠太がこう言い、麗は

「そうね。こうなったら、とことん付き合いましょ」

納得し、ナギについて行こうとしたが、携帯が鳴った。

暫くの応答の末

「ごめん。大事な用事が出来ちゃって、同伴出来なくなっちゃった」
「そっか。お嬢様には俺がついてるから、気にするな」

麗は再度謝ると、行ってしまった。


                   × ×


「あら〜♪漫画を描くために保養所にこもるんじゃんかったんですか〜♪」

ナギ達は三千院家に戻って来ていた。

「描くさ。でも、漫画を描くために、旅に出るのさ」

ナギはこういうと、自室に向かった。

「(チッ。描くのを諦めたかと思ったじゃねえか!!!!少しは俺様の役に立てよな!!!!!)」

悠太はこんな事を思っている人がいると気付かずにナギの後に続いた。

「で、旅の準備とかやらはどうするんだ?幾らなんでも自転車でとかは無理だぞ」
「分かってるさ。お前やハヤテみたいに化け物クラスの体力持ちなら可能だろうが、私じゃ無理だ」

そう言うと、ナギは携帯を取り出し

「まずは、報告さ。私だけ行動するんじゃフェアじゃないからな」

そう言うと、何処かにかけ始めた。

「あ、もしもしハヤテ♪」
『あ、ナギさん。どうしました?』

当然?電話の相手はハヤテだ。

「報告があってな。ルカがそこにいるなら、ルカにも聞こえるようにしてくれ」

電話口のハヤテはスピーカーモードにした。

「いいか。私はこれから京都の嵐山に旅に出る」
『え!?京都!?なんでまた』

声でルカだと察し、ナギは間を置き

「教えるために電話した。 足橋先生に「面白い漫画を描くには面白い体験をすることだ」ってアドバイスをもらった。だから、旅に出るのさ」

ナギの説明の後少しの沈黙の末

『ナギさん、大丈夫なんですか?』
「それは分からない。でも、無駄に時間を浪費するよりましだと思ったからな。ハヤテは心配しないでくれ」
『は、はあ。分かりました』

ナギはまた間を置き

「ルカ、聞いているな!!」
『あ、う、うん』
「私は、お前に勝つ。そして、ハヤテは渡さない。覚えておけ!!!!!」

そう言うと、ナギは一方的に電話を切った。

「これで良い」
「宣戦布告か。やるじゃねえか」
「これが無きゃ、旅に出る醍醐味は、殆どが消失する」

ナギはやる気満々だったが、悠太は

「でもよ、ハプニングなんてどうやって起こすんだ?普通に電車に乗って、普通に京都について・・じゃハプニングなんて「あ、反対方向に乗っちゃった」としか起こらないぞ」

ナギは悠太の言葉を目を閉じて飲み込み

「大丈夫さ。現代で、ハプニングを起こす方法は、これだ」

そう言うと、ナギは携帯を机の引き出しにしまった。

「旅には、携帯は持って行かない」
「へ!?」
「これだったら、地図アプリで行先を調べることも、GPSで現在地を特定してもらう事も、LINEで「ピンチなう」とか言って助けてもらう事も出来んさ」

ナギの無謀発言に悠太は

「だ、だがな。作者だって携帯持ってないし、それくらいじゃ」
「確かにな。これならどうだ?私は、東京駅への行き方なんてまるっきりわからん」

悠太は呆れを通り越して、尊敬すら持つようになった。

「勿論、京都への行き方も、嵐山が京都のどの辺なのかもしらん。それに、カードは置いていく。持ち物も、いくらか現金が入っている財布のみだ」

悠太は流石に心配になり

「だ、大丈夫なのか?もはや無謀しか残ってないが」
「悠太、お前だって分かってるだろ?今の私には、これくらいしないと駄目なんだ」

ナギの目を見て、悠太はこれ以上引き止めるのを止めることにした。

「それにだ、ある名言でもあったろ?「無謀な目的が、常識的な手段で達成される訳が無い」っとな」

悠太は頭を2,3回掻き

「分かったよ。やれるだけやってみな。ただしだ、自分で決めたんだ。うまくいけば自分のおかげ、失敗すれば自分のせい。だからな」
「ああ」

すると

「(フフフフフフフフフフフフフフフフフフ♪色々と手をまわして何も起こらないようにしちゃいましょう♪そうすれば色々と無駄にできますよね〜♪そうすれば、ナギの悲しむ顔とか撮影できますね〜♪そうすればまたコレクションが♪ああ♪)」

こう思って、実行しようとした人がいたらしいが

「素晴らしいわね、ナギ」

声が聞こえ、振り向くと伊澄がいた。

「貴方の情熱に感動したわ。私が京都まで案内してあげるわ」

伊澄がドヤ顔でこう言っていた。

「大丈夫かな。伊澄に道案内なんて」
「さあな。でも、「歩くハプニング製造機」の伊澄がいれば、面白い事が起こるかもな」

ヒソヒソと相談していると

「どうしたの?」
「な、何でもないのだ。伊澄、道案内頼むな」

こうして、ナギの旅は始まるのであった。





因みに、

「(ふざけんじゃねえぞ!!!!!!!!!!!!!なんでてめえがしゃしゃり出てきてんだ!!!!!!!!!!!!!!!!!!てめえがいれば、面白い事が起こって、ナギにネタを提供することになるじゃねえか!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!俺様の邪魔してんじゃねえ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!このゴミクズ野郎が!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!)」

とか思った人もいたそうだ。





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以上です。

さて、割とキリがいいので、次回からは新しいスレで執筆していきます。

次回は続きです。

では。
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