Re: 新世界への神話 4スレ目 2月2日更新 ( No.5 )
日時: 2020/02/09 21:14
名前: RIDE
参照: http://soukensi.net/perch/hayate/subnovel/read.cgi?no=24

こんばんは
今週の分を更新します。

 2
「この先に待っているタイハ、ユラ、あと一人の黄金の使者、そして明智天師。残す難関を前に突破できる力があるかどうか」
「ちょ、ちょっと待てよ」

 塁が何かを言おうとするが、彼らに質問する暇は無かった。

「な、なんなのだ!?」

 ナギから驚きの声があがったので、全員そちらのほうを向く。

 彼女の手元で、フェザリオンの勾玉とリングが発光した。何事かと思ったその瞬間には、勾玉とリングが宙に浮き、ジュナスの元へと飛んで行った。

 待ちかねていた主の元へ、帰っていったのだろう。

「フェザリオン、今までよく龍鳳を守ってくれた」

 ジュナスは、愛おしそうにその勾玉を手にする。

「そして今、私に力を貸してくれてありがとう」

 リングの方も、ひとりでにジュナスの手首に装着される。その瞬間、ジュナスとフェザリオンが一体化する。

「さあ君たち、ここまで来ることができたその力を見せてくれ」
「って言われても、何をすればいいんだ?」

 その方法が提示されないことで、首をかしげてしまう。

「簡単だ。君たちの全力による必殺技を私に向けて放てばいい」
「ちょっと、それは危険じゃないのか?」

 十一人の必殺技を全て受けるつもりなのだろうが、それではジュナスの身がもたないのではないか。達郎は彼の身を案じるが、ジュナスは特に意にも介さなかった。

「心配ない。それで倒れる私ではない」
「へえ、面白いことを言うわね」

 自信溢れるジュナスの物言いが、花南のプライドに障った。

 彼女は既にフラリーファと一体化しており、茎の杖を手にしていた。必殺技を放つ気満々である。

「そんな人には、一発入れてやらないと気が済まないわね」
「珍しく気が合うわね」

 ヒナギクもヴァルキリオンと一体化し、白桜を構えていた。

 意見が同じ時の二人は、誰にも止められない。

「行くわよ」
「言われなくても!」

 二人は同時にジュナスへと迫っていく。

「スタークロッド!」
「氷華一閃!」

 二人の得物がジュナスに襲いかかる。ジュナスはそれを両手で押さえるが、力は相殺しきれず、体が後退してしまう。

「あんまり私たちのこと、舐めてもらっては困るわ」
「甘く見てると、痛い目見るわよ」

 相手が誰であろうと、構わずに挑む。

 女子でありながらその勇ましい姿に、仲間たちも心動かされた。

「よし、僕たちも行こう!」
「女の子が先導して、黙って指をくわえているってのもかっこ悪いからね」

 ハヤテたちも自分たちの精霊と一体化し、戦闘態勢をとる。

 彼らが本気になったことを確認し、満足したジュナスは次に光たちの方を向く。

「魔法騎士の三人も、遠慮なく攻撃してくれ」
「え?でも…」

 光たちも、無抵抗の人に攻撃を加えることに躊躇してしまう。しかし、ジュナスはそんな心を取り除いていく。

「君たちもこれからの戦いに彼らの味方になる。私はそう信じているから、君たちも信じてくれ」

 信じる心。

 自分たちの力の源を悪意なく口にするので、光たちはそれを承諾することにした。

 そこからは、必殺技の連続だった。ハヤテの疾風怒濤、佳幸の炎竜斬りなどが飛び交い、光たちも魔法を繰り出した。

 十一人の必殺技と、三人の魔法。合わさればすさまじい威力になることは間違いないだろう。

 だが、ジュナスはそれらを全て受け、尚且つダメージすら受けていないような風体で立ちはだかっていた。

「マジかよ…」

 決して手は抜いていなかった。相手を倒すつもりで全員放った。マインド覚醒者は、マインドを解き放って。

 それでもジュナスは立っていた。今まで多くの黄金の使者と戦ってきたが、これほどタフな者はいなかった。

「私たちの魔法も効かないなんて…」

 光たちも衝撃的だった。彼女たちの魔法は、今までどんな窮地も覆してきた切り札だ。それが通用しなかったのだから、その分ショックは大きい。

「いや、君たちの攻撃は見事だ」

 だというのに、ジュナスはハヤテたちをたたえてきた。

「さすがはここまで突破できたことはある、素晴らしい技だ。魔法騎士の魔法も、心の強さが込められていたのを感じた」

 次にジュナスは伝助、氷狩、拓実の方を見やる。

「君たちはまだマインドには目覚めていないが、素質はある。今後の戦いではその力をつけられるだろう」

 この男にほめられ、ハヤテたちは自信がみなぎってくるのを感じた。この男の言葉には、そんな力が込められているのかもしれない。

「しかし、ただ一人不安でもある」

 それを聞き、全員に緊張が走る。

 全員の中で一人だけ失格。それは格好悪いし、仲間外れにされたような気もする。自分がそうでありたくないと全員は思う。

 果たして、いったい誰なのだろうか。

「それは、君だ」

 ジュナスはその一人を指差した。





今回はここまでです
続きは来週更新します。