【第7話】母親 ( No.26 )
日時: 2015/08/06 08:38
名前: ロッキー・ラックーン
参照: http://soukensi.net/perch/hayate/subnovel/read.cgi?no=25

こんにちは、ロッキー・ラックーンです。
大変ご無沙汰しております。生きてます。

今回は季節はずれの母の日のお話です。もう投稿予定から3ヶ月も経っているのか…(驚愕
それではどーぞ!



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こんにちは、アリスでございます。
今日は母の日。世間のお母様方がご家族から日頃の感謝をされている日です。
私の家族もその例に漏れず、「ママ」であるヒナのお家にて家族全員でお食事を楽しみました。やはりヒナとハヤテの手作りハンバーグは絶品で、主賓であるおば様からも拍手が起こりました。
お食事の後は、サプライズのプレゼントタイム。雪路さんからはお酒のボトルを、私達3人からはグラスセットを贈りました。ヒナがおば様へ感謝の気持ちを伝えると、おば様の目にはかすかに涙が浮かんでいるのが見えました。
ちなみにその後には私からヒナへサプライズのカーネーションをプレゼントしました。ヒナは照れながらも喜んでくれているようで、私もひと安心。
血の繋がった母子が一組もいないのにもかかわらず、母の日を存分に満喫した我が家なのでした。
さて、今回のお話はおば様のお部屋にお邪魔をして就寝という時間の出来事です。





     しあわせの花 Cuties 第7話【 母親 】





「アッちゃん、少しだけお話をしてもいいかしら?」

「ええ、なんでもどうぞ」



寝る仕度を整えておば様の布団に入ると、ヒナの布団と同じでとても温かくて安心できました。



「アッちゃんは、ヒナちゃんの事…好き?」

「ええ、もちろん大好きですわ。今さらなお話ですわよ」



おば様の様子からは、かなり改まった話題が出るような予感がしました。それでも私の思う事はまっすぐ素直に伝えていきます。



「そっか…。ヒナちゃんもね、アッちゃんの事が大好きなのよ。あの子ったら、私と二人でおしゃべりしている時の半分くらいはアッちゃんのお話なのよ?」

「それは初耳ですわね。嬉しい事ですわ!」



その言葉には純粋に嬉しくなリました。分かってはいるけど、嬉しい。本当に自分があの人の事を好いているのだと実感します。



「アッちゃんはヒナちゃんの事をママだって心の底から思えるかしら?」

「愚問ですわ。私の『ママ』はあの方ただ一人ですわよ」

「そっか。ヒナちゃんは幸せ者ねぇ〜」

「ウフフ、それを言うなら私の方が幸せ者ですわよ。無理に押しかけて来た私に対して、まるで本当に自分の子供のように愛してくれているのですから。とっても感謝してますわよ」



ヒナが私を受け入れてくれた事で、私の世界は大きく変わりました。
惰眠を貪っていたばかりの朝は、ヒナの元気な声から始まるようになって…その声から私も元気を分けてもらいました。ただただ暇なばかりだった昼は、ヒナが帰ってくるのを楽しみにする時間になりました。
親友と呼べる存在も出来ました。独り寂しくて眠れなかった夜は、あたたかくて優しいヒナの温もりに包まれるようになって…いつまでもこうしていたいと思うような安らぎを感じるようになりました。
普通の親子であれば普通の事なのかもしれませんが、それは私にとって何よりの心の支えとなりました。



「アッちゃん、私ね…」

「はい?」

「旦那との子供が出来なくて自分の人生に負い目を感じてた頃があってね…。とっても辛かった時期に私の前に現れたのがヒナちゃんと雪ちゃんだったの」

「そうなんですか」



いつになく真剣モードなおば様。きっと、今までヒナや雪路さんにすら話せなかった事なのではないかと思います。



「うん、嬉しかったなぁ〜。『神様は私の事を見捨ててなかったんだ』って思ったくらいよ」

「おば様の事を見捨てる神様なんていませんわよ」

「ウフフ…。だからね、私の『お母さんになりたい』っていう夢を叶えてくれたあの子たちの事を本当に愛してるの。」

「ヒナもおば様の事、とても愛していると思いますわ」

「そうかしら?本当にそう思う?」

「ええ、もちろんですわ!…信じられませんか?」

「ううん、そんな事無いわ。でもね、たまに…本当に時々だけど、不安になるの。私はヒナちゃんの事を愛してるけど、ヒナちゃんは私の事を…どう思っているんだろうって…」



ヒナを疑っている訳ではない。人間ならば誰しもが持っている言いようの無い不安をおば様も感じているのだと分かりました。



「おば様、私の話をしてもよろしいですか?」

「…うん、もちろんいいわよ」

「私には、実の両親がいません。もちろん私も『誰かしらの子供』だと思うのですが…その『誰かしら』というのを知りません」

「アッちゃん…」

「まあ、そんな事は今はどうでも良いのです。私が『ママ』として頼れるのはヒナだけなのです。それと同じように、ヒナが『ママ』として頼れるのはあなただけなのですわ!」

「!!」

「もしヒナが未だに実の両親に対して何か特別な感情を抱いていようとも、あなたがヒナの最愛である事は揺るがない。言い換えれば、あなたがもしヒナの前からいなくなったりしたら…ヒナは絶対に傷付きます。もちろん私もですわよ」

「うん…」



もしヒナが実の両親と再会できたとしても、ハヤテにはもちろん、おば様や私に対してもこれまでとはなんら変わらない愛情を振りまいてくれる事でしょう。
母親が二人という特殊、最愛が二つという特殊、二つなれども偽りなし。母親が二人という幸運は、きっと神がヒナに与えた特別な運命だったのではないかと思います。



「ヒナは私に対して『あなた方、義理の両親から注がれた愛情をそのまま向ける』だなんて言ってくれているらしいですわよ?あなたのヒナへの愛情無しには、今の私も存在しなかったですわよ。ですから…ありがとうございます」

「アッちゃん!」

「うっ!?もがもが…おば様苦しいですわ…もがもが」

「あなたと出会えて良かった…!」

「私も嬉しいですけど…苦しいですわ、おば様!」



大人げも無く、力いっぱいに私の事を抱き締めるおば様。私は苦しみながらもおば様の愛情を受け止めようと必死になりました。



「ゴメンゴメン。ちょっと嬉しいのが抑えられなくって♪」

「んもう、イヤですわおば様!」

「あ、今のちょっとヒナちゃんに似てた」

「そりゃあ、あれだけいつも一緒なら口調の一つもうつってしまいますわよ」

「そっか。仲良し母娘ね♪」



この人がヒナに注いでくれた愛情、それは私が受けている愛情。私がこの愛情を誰かに向けて注ぐ時が訪れたら、それはとても素晴らしい事なのだと思います。いつか、きっと…。



「ええ♪ですから明日もママを喜ばせてあげたいと思いますの!」

「良い娘を持ってヒナちゃんは幸せね。じゃあ私に良い考えがあるわよ〜!」

「是非お聞きしたいですわ!」



今はその愛情を受けるに足る存在を目指して、日々是精進なのでありますわ!
大好きなママのために、私はなんでもしてあげたいと思います。



【つづく】


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【あとがき】

大人を相手にもお悩み相談をこなしてしまうアリスちゃんのお話でした。
本当は母の日に投稿する予定で書いていたのが、間に合わなくなったのでお蔵入り…かと思いきやの投稿となりました。というのも、どうふんさんのSSを読んで親子関係の話を書きたいと刺激を受けたため、書き途中だったこの話に手をつけたという経緯があったりします。

母の日をお祝いしてるけど、そこに血の繋がった親子は一組もいない。というのがミソで、いつぞやにハヤテが語っていた「心の繋がり」を可視化させたような集まりだと感じ取って頂ければ幸いです。

ヒナママの「子供が出来なくて」うんぬんは、もちろんオリジナル設定です。雪路・ヒナギク姉妹が桂夫妻に助けてもらったのと同様に、桂夫妻もこの姉妹の存在に救われたのであったら良いなと思ったので、重い話をアリスちゃんに向かって語って頂きました。それにしても、桂義父の姿がお披露目される日は来るのでしょうかねぇ?

「母親が二人という特殊」からのくだりは、とある格闘ギャグ漫画のワンシーンに影響を受けています。
分かってくれる人がいたら嬉しかったりして…。この話のヒナも実の両親を未だに愛しています。

そんなこんなで主役の二人を一切出さずに終わる事となりました。次のお話では活躍が出来るのでしょうか?(未定

では、ここまでありがとうございました。ご感想・ご質問等お待ちしております。