Re: 新世界への神話Drei 10月13日更新 ( No.88 )
日時: 2018/11/05 21:46
名前: RIDE
参照: http://soukensi.net/perch/hayate/subnovel/read.cgi?no=23

どうも、RIDEです。

今年中にこのスレを終わらせることを目標に、ペースを上げます。


それでは、第40話です


第37話 雷獣の牙VS虎の鎧

「次は第7の間か」
「十二の間の半分を突破。自分たちでも信じられないよ」

 ハヤテたちは現在、第7の間を目指していた。

 黄金の使者たちと戦い、ハヤテたちは疲労が見せ始めていた。しかし、ここまで進んできたことが、彼らの戦意を燃え上がらせていた。

 中でも一番熱くなっているのは、この男だった。

「この先に待ち受けている黄金の使者たちも強いだろうし、気合入れていかなきゃな」

 塁は拳に力を入れる。ただしそれは使命感だけではない。

「なんていうか、血が滾ってきたぜ」

 彼は今までの戦いを見て、軽い興奮状態になっているのだ。今まで碌に戦えなかったことがそれを増している。

 それを見ている仲間たちは呆れてしまっている。

 高校時代、塁はケンカに明け暮れ、今は板前の仕事と共に格闘技の手ほどきを受けている。そのため、八闘士の中では武闘派であり、今までの戦いで闘争本能に火がついたのだろう。

 手を焼かされるという訳ではないが…。

「熱くなるのは勝手ですけど、空回りしないでくださいね」

 こういう時に、何かと上手くいかないのが塁だ。力はあるから頼れるのだが、彼が意気込むと失敗や不運な出来事にあってしまうのだ。その度、仲間が苦労する羽目になるのだが。

 痛いところを突かれ、塁は弁解に苦しくなってしまう。

「な、何言ってるのさ。俺だって決める時は決めるぜ」
「雷矢との戦いで完全に遅れてきた奴は誰だったか?」

 優馬に睨まれ、塁は押し黙ってしまう。

「…優馬さん、恨んでますか?」
「いや、ただ気負い過ぎるなということだ」

 それを聞き、塁も表情を引き締める。

「わかっていますよ。相手の実力が上なのは既に明白。決して楽観視はしませんよ」

 それを見て、全員は安心した。

「なら、心配はなさそうだな」

 皆が塁を信じている様子をみて、達郎は不満を露にする。

「なんか、俺の時と違って皆安心していない?」
「そりゃ、達兄が口だけで簡単にやられちゃうような奴だからじゃない?」

 エイジのその言い分に、達郎はムッときた。

「言っとくけどな、おまえが一番の不安要素なんだよ」
「ええっ!?」

 心外というような顔をするエイジ。

「そんなわけないよな、皆?」

 仲間たちに声をかけるが、その反応は冷たかった。

「いっつも考えなしで突っ込むからな…」
「たまに頭を使うにしても、ロクなことじゃないからな」

 全員、ため息をついてしまう。

「な、なんだよ」
「それがおまえの評価ということだ」

 見下した目を向けてくるのは、ナギ。

 こうなると、次の展開が見えてくる。

「なんだと、この腐った性根のチビ女が!」
「おまえに言われたくないわ、このバカ野郎が!」

 もはやお決まりとなった二人のケンカに、会ったばかりの光、海、風は戸惑ってしまう。

「ちょ、ちょっとケンカは…」
「いつものことですから、気にしないでください」

 ハヤテが呆れ半分で返答した。

「え…いつも?」

 その言葉に光たちは唖然としている。こんなレベルの低いケンカをいつもしているというのか。

 その間にも、ナギとエイジのケンカは続いていた。

「はいはい、そこまでだ」

 見かねた塁が二人の仲裁に入った。

「その元気は、これから戦う相手にぶつけようぜ」

 そう言って、二人の肩を抱きなだめる。彼の兄貴分な性格に触れたことで落ち着きを取り戻したナギとエイジは言い争いを止めるのだった。

「さあ、行こうぜ」

 そして、全員が次の間へと入っていった。



今回はここまでです。