Re: 新世界への神話Drei レス返し ( No.73 ) |
- 日時: 2015/11/14 20:54
- 名前: RIDE
- 参照: http://soukensi.net/perch/hayate/subnovel/read.cgi?no=23
- 間が空きましたが、更新します
6 佳幸たちの魂と亡者たちとの戦いは続いていた。
「まったく、驚いたな」
佳幸は、苦笑を浮かべていた。
「亡者たちが合体して巨大化できるなんてね」
彼らは無数の亡者たちと戦っていた。相手の力はさほど強くもなく、持久戦に耐えられれば楽勝という状況であった。
ところが、しばらくすると不利を悟ったのか亡者たちは佳幸たちに構わず一斉に一つに集い、融合していったのだ。
そして現在。
彼らの前には、十メートルは超えているであろう巨大な亡者が立ち塞がっていた。大きくなった分、威圧感も増しているような気がして中々一歩が踏み出せなかった。
皆がそうであるのだが、一人だけそんなことなどどこ吹く風の奴がいた。
「へっ、でかくなりゃ強くなると思ってんのか?」
エイジだ。彼だけは目の前の巨人は先程まで戦っていた亡者たちの時とレベルは変わらないと見ているのだろう。
「大きさだけでビビるわけねぇだろう!」
その威勢のよさそのままに、ウェンドランは巨大な亡者飛びかかり思い切り殴った。
拳はまともに入った。今までの亡者ならそれだけで倒せたはずだ。
しかし、今そこにいる巨大亡者には全く応えてはいないようだ。逆にウェンドランが軽く払い飛ばされてしまった。
「あ、あれ?」
予想とは違う結果に、エイジは間の抜けた声を出してしまう。
ウェンドランに変わり、今度はコーロボンブとワイステインが必殺技を叩きこんだ。だがこれも、大して効いてはいないようだ。
「全員で攻撃だ!」
ムーブランらも加勢し、できる限りの攻撃を一斉に行う。
それでも、巨大亡者はダメージを負った様子は見られなかった。ムーブランたちは一旦退いて相手の出方を伺う。
「塵も積もれば山となる、ですか」
伝助が困ったといった表情をしていた。
一体一体は弱かったが、文字通り一つとなったことで力が重なり合ったのだろう。万以上の数がいたので、単純計算でも万倍ということになるのだろう。
「せめて一体化ができればな…」
塁が悔しそうに歯噛みする。一体化した状態で全員で戦えば恐らく勝機はあっただろう。だが今はそれができない。
「ま、それでも戦うしかないけどね」
特攻精神は今に始まったことではない。負けん気でいれば何とかなるだろうといつも考えているのだ。
諦めてはいけない。
その思いが強かったのは、塁だけではなかった。
「負けない…」
光、海、風の三人は剣の先を下に向けて前にかざしだした。
「ここから出るために…」 「そして、セフィーロのために…」 「私たちは絶対に負けない!」
そう叫ぶ三人の目前に、六方星の魔法陣が現れ、剣の鍔に埋めてある宝石が光り出した。
その光の眩さから、膨大なエネルギーが収束していくのが感じられた。
とてつもない、威力だ。
「何かわからんが、あいつらの前にいない方がいいな」
危険を察知して、塁たちは三人の後ろへと下がった。それと同時に、光たちは魔法を放った。
「閃光(ひかり)の螺旋!!」
光が炎を、海が水を、風が気流を放ち、それぞれが螺旋の軌道を描きながら重なり合い、強烈な光となって巨大亡者を呑みこんでいった。
あまりの眩しさに、佳幸たちは目を閉じる。
閃光が収まり、目が開けるようになって確認すると、目前の巨大な亡者は影も形もなく、塵一つ残らず消滅していた。
「す、すげぇ…」
あまりの威力に、全員言葉を失ってしまう。これだけの攻撃は、恐らく黄金の使者でも可能な者はそうはいないだろう。
これだけの威力を生みだしたのは、三人の少女たちの心だ。その強さに、皆思わず感心してしまう。
「すごいな、中学生のテンションってやつは」
光たちは中学生だ。滅茶苦茶だが決める時は決めるエイジも中学生。難しい年頃の複雑な心に優馬は半ば呆れているが、そんな彼に拓実が嫌味を。
「おじさんじゃ理解できないですよ」
嫌味なんて軽いものじゃない。悪意剥き出しの雑言だ。
「何だとこの野郎!」
二人はそのまま睨み合いを始めてしまった。
周囲が困って嘆息していると、再び閃光がこの場を照らし出した。今度は自分たちによるものではない。
次は何が来るのかと身構えるが、彼らの前に現れたのは一人の少年だった。
「…子供?」
エイジやナギよりも下の、年端もいかない少年だった。
短いですが、今回はここまでです 次回でラスト。 更新は年末近くになると思います。
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