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飾りじゃないのよブログは

初出 2006年01月14日
written by 双剣士 (WebSite)
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 先週のハヤテ62話『ハヤテと巨像』を基にした小ネタSSをお届けします。1週間遅れになってしまいましたが、合併号なのでセーフでしょう。

 なお、この文章のラストシーンに登場する台詞は、あくまでネタです。ネタなんです。作者の本心が思わず漏れたとか、実はこれがSSのメインテーマだったとか、そんな気持ちは微塵もないんです。ないと言ったらないんです。ないんだってばっ!

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 執事クエストのダンジョン深淵にて、ついに合流を果たしたハヤテとナギたち一行。追いついて来た満身創痍のシスターに促され、いよいよ最終ステージの神殿へ……と意気揚がる場面に水を差したのは、親切なのか迷惑なのかよく分からない青年神父の幽霊であった。
「お前は誰だ、なぜフォルテシアの名をかたっている?」
「いったい何を……」
「とぼけるな。本物のシスター・フォルテシアは60を越えた婆さんだ。しかも婆さんのクセに趣味がジャ〇ーズの追っかけと言う年甲斐のない婆さんだ」
 とてつもなく不名誉な趣味を持つ老女と比較され、ぐっと唇をかむ偽フォルテシア。そんな胸中を知ってか知らずか、なおも青年神父のプライバシー暴露は続く。
「しかもいい歳してアニメやコミック誌にハマりこみ、毎週の少年サンデーを欠かさず熟読し、あまつさえインターネットで妄想小説など見せびらかすためのブログまで持っているという……いっぺん死んでバクテリアから進化し直した方が良さそうな、救いようのない婆さんだ」
「……おかしいのか、それ?」
「普通ですよね?」
 恥ずかしい真シスターの性癖の暴露に、そんなのと一緒にするなと思わず叫び出しそうになった偽フォルテシアは……さほど驚いてるふうでもない周囲の空気に毒気を抜かれ、きょろきょろと辺りを見渡した。
「アニメにハマるのに歳なんて関係ないよな」
「サンデーを毎週買うのは国民の義務だと思うぞ」
「自分で小説書いてるんなら、むしろ胸を張ってもいいくらいですよね」
「アニメやマンガが趣味として褒められたものかどうかはともかく、ブログを持ってるくらいで今どき変人扱いするなんて時代錯誤よね。いまではネットなんて空気みたいな存在なんだし」
 ワタル、ナギ、ハヤテのヲタク3人組に加え、ヒナギクまで一緒になって老シスターを全面的に擁護。唖然とする青年神父と偽シスターを尻目に、4人の会話は異様な盛り上がりを見せ……やがてその矛先は偽フォルテシアへと向いた。
「ただ問題は、私たちと話題が合うかどうかよね」
「いや、め○ん一刻とかを現役で読んでた世代なら、それはそれで貴重なんじゃねーか、俺が思うに」
「それは確かに……でも、やっぱり最近のマンガを知ってる人のほうが話しやすいんじゃないでしょうか」
「おいお前! 好きなマンガはなんだ?」
「は、はい、『ハ○テのごとく!』であります、隊長!」
 突然ナギに話を振られ、偽フォルテシアは反射的に唯一知ってるコミックのタイトルを挙げる。それを聞いた途端、パーティーの面々の扱いは急転した。
「おう、そうか、それは良かった!」
「日本人の鑑ですよね!」
「なぁ、こいつが俺たちの仲間ってことは、こいつや俺たちのことを変人呼ばわりした神父さんの方が、本当の敵ってことにならねーか?」
「確かに……」
「そ、そうです、こんな悪霊に耳を貸してはなりません!」
 自分のことを仲間と呼び、青年神父を敵と呼ぶ。ワタルの漏らした一言が巻き起こした新たな潮流に、偽フォルテシアはすばやく飛び乗った。蚊帳の外に置かれた青年神父が言葉を失う中、5人の刺すような視線が彼に集中し……まもなく誰も触れられないはずの幽霊の頭上に、“木刀・正宗”が勢いよく振り下ろされた。


 そして数分後。一時は仲間と呼び魂の契りを結んだはずの偽フォルテシアの裏切りにあい、巨大ロボット群に襲われたナギたち一行はピンチに陥っていた。巨像の手のひらの上で高らかに笑い声を上げる偽フォルテシアに向かって、ハヤテの悲痛な叫びが木霊する。
「なぜです、どうして?! あなたは僕たちの味方じゃなかったんですか?」
「くすっ♥、勉強不足ですよハヤテ君。マンガを題材にして小説を書く趣味なんて、とうの昔に卒業してますよ」
「もう小説書きをやってない?! そんな……なぜ?!」
「なぜってそりゃ……読者なんてあんま居ないのに、やっていけるか!!」
 経験したものしか分からない、深い深い悲しみを込めた偽フォルテシアの絶叫。それを聞いた4人は心の中で一斉に突っ込みを入れた。
《納得の理由だーっ!!》


Fin.

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