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老人の戦い方・その後

初出 2005年11月14日
written by 双剣士 (WebSite)
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 先週の少年サンデー「ハヤテのごとく!55号」のシーンのひとつから連想した小ネタSSです。本宅の更新ネタにするほどのものでもありませんので、ここで公開します。

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 ネクタイの君・ヒムロとマックスハート隊の対決を、札束贈呈という身も蓋もない荒業で解決してしまったクラウス。マックスハートブラック改めマリアは呆れた表情でその光景を見ていたが、まもなく大変なことに気がついた。
「クラウスさん、いったい彼にいくら渡したんです?」
「何を言っておるマリア、漫画のギャグにリアルな突込みを入れるなど野暮なことだぞ、うん?」
「おっしゃりたくないなら結構です、クラウスさんのお給金から引いておきますから」
 途端にうろたえるクラウスを尻目に、マリアは携帯端末を操作して金庫の出納記録を確認した。その額面を見て言葉を失う。
「2億……!!」
「い、いやぁ実際何が起こるか分からんからな。お嬢さまを応援するための必要経費というやつだ、うん」
「……まさかとは思いますが、一部を懐に入れたりはしてませんよね?」
「そんなことをするわけなかろう! お前たちの変装費用に1千万、お嬢さまの映像を残すのに1千万を使った他は、一文残らずあの若造にくれてやったわい! 優勝賞金より多い額でないと意味がないからの」
「まぁ、ナギにとっては2億なんてたいしたお金じゃないでしょうけど……でも経費に認めてもらえるかしら? たしかハヤテ君を首にするかどうかで、クラウスさんとナギは対立してたんでしたよね?」
「うぐぅ!」
 蒼白になるクラウスを細目で冷たく突き放しながら、メイドのマリアは深々とため息をついた。
「まぁ、そのおかげでナギが優勝できたのなら、なんとでも言い逃れはできるんでしょうけど」


 そして一同注目のなか、三千院ナギは胸の差で桂雪路に敗れる。


 三千院家に帰り着いたマリアはナギの面倒をハヤテに任せ、電卓片手に執事長室に直行した。
「全額返済まで、およそ40年ですね」
「まぁ額が額ですからね、無理のない返済計画ではこうなる……わけあるかぁっ!」
 頭を掻きむしりながらブチ切れるクラウス、御年58歳。返済までに死ぬ、確実に死ぬ。
「なんでそんな計算になる! ワシは三千院家の執事長だぞ、あんなヒヨッコの給料と一緒にするなぁ!」
「それはそうですけど、クラウスさんの借金額はハヤテ君より多いんですし……それに40年間、今と同じ働きができるわけでもないでしょうから」
 残酷な現実を突きつけるクールビューティ・マリア。世間的にはリストラ対象になってもおかしくない年齢のクラウス、このさき能力は落ちるばかり。しかもナギが三千院家の当主になれば、事あるごとに対立している現在の状況では執事長の座に居続けることすら危うい。
「あ、15年くらいで返済できるプランもありますけどね」
「何? 本当か?」
「その代わり、私財は全品没収。お給料のほとんどは返済にまわして、手取りは今のハヤテ君並みということになりますが……携帯の料金くらいでしたら、私が出してあげても良いですよ」
「うぐぐぅっ!!」
 そうなっては執事長の威厳など地に落ちてしまう。出口のない袋小路に囲まれてしまったクラウスは慙愧のうめき声を上げた。そんな彼にマリアは笑顔で追い討ちをかけた。
「クラウスさんの人生、もう限りなく無意味ですね♪」
「ううう、うるさーい!!!」


Fin.

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