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連載再開記念・サブキャラ座談会

初出 2001年11月06日/加筆 2002年12月09日
written by 双剣士 (WebSite)
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野村たかし(以後、た)「コミック月天の再開が決定!」
遠藤乎一郎(以後、乎)「夢みたいだねぇ、待ってた甲斐があったよね」
愛原花織(以後、花)「来春創刊の新雑誌、コミックブレードが舞台です!
  全国のマンガ書店に広告が貼られたから知ってる人も多いよね! まだ
  見てない人はコミックブレード へGO!」

宮内出雲(以後、出)「やれやれ、お子さまたちは元気がいいですねぇ。
  ま、そういうわけで記念に座談会をやれ、というのが大家さんから
  与えられた命題なのです」

乎「命題って……出雲さん、それ別の話ですよ……」
出「あ、あぁすみません。大家さんは今、新作SSのことで頭が混乱してる
  みたいでしてね……ともかく2年にも渡って時間を止めていたコミック
  月天が、どんな形で復活を遂げるのか、というのが今回のテーマなんですよ」

花「なんたって2年間ですもんねぇ。ファンの人の記憶も薄れてるだろうし、
  そもそもOVAしか知らない人ってのもいるでしょうし」


           **

乎「ええと、休載する直前は確か、太助君がシャオちゃんに告白して、
  シャオちゃんが太助君のことを大好きだっていって、それから花織ちゃんが
  温泉旅行を企画するも太助くんとシャオちゃんの結びつきを強めるだけの
  結果に終わって……」

た「だああぁっ! 言うな乎一郎、語るな喋るな漏らすなぁっ!」
花「そーですよっ! どーせ誰も憶えてませんって!」
乎「でも、単行本の11巻に載ってるし」
出「そうですね。11巻までのお話を踏まえたうえで続きを書くというのが、
  予想される復活パターンの第1でしょう。しかしね、この可能性はそれほど
  高くないんじゃないかと思うのですよ」

乎「どうして?」
出「再開する舞台が少年ガンガン誌なら問題はありません。しかし2年間の
  ブランク、そして新創刊雑誌の看板作品としての立場があります。
  しかも出版社が変わるんですよ。2年前までの展開を憶えている読者でないと
  付いてこれないような場面から、スタートできると思いますか?」

乎「あっ……」
花「でも、途中で出版社が変わったコミックって他にもありますよね。
  そういうときは、これまでのあらすじってのを数ページ割いて説明する
  パターンが多いと思いますけど?」

出「そうです。物語が『終わりなき日常』を繰り返しているか、あるいは
  第1部完結としてまとまっていれば、花織さんのいうパターンもある
  でしょう。ですが月天は……」

た「なんとも中途半端なところで休載しちゃったもんなぁ」
出「中途半端どころではありませんよ。さっき遠藤君が言ってたように、
  休載直前の月天はまさに激動期だったんです。太助君がついに新たな
  一歩を踏み出し、南極寿星のおじいさんの了解も取り付け、あとは
  シャオさんの運命を切り開くために歩み始める、という場面だったじゃ
  ありませんか。あそこで終わってれば美しかったのに、と大家さんは
  こぼしてましたよ」

花「でも、でも、あたしのアタックはまだ続いてたんですよ?」
出「そう思いますか? 私はあのまま続けば、我々サブキャラ陣は次々と
  心の整理を付けさせられて、シャオさんたちを見守る役に落ち着かざるを
  得なかったと思いますがね。物語はそこまで煮詰まっていたんです」

乎「あ、それじゃ今後の僕たちの立場って……」
た「ちょっと待てぇっ! 太助たちばかりが目立って俺たちがザコ扱いだなんて、
  そんなことは原作者が許してもこの掲示板の管理人さんが許さーん!」

花「そーですよっ!」
出「ザコ扱いというのは言い過ぎですね。メインカップルが互いの気持ちを
  確かめ合った後でも脇役が活躍できることは、先日完結した『ラブひな』が
  証明しています。ですが考えても見てください、我々の中に格闘系の
  キャラがいますか? 無心に慕ってくる妹系がいますか? メカオタクが
  いますか?」

乎「……ひょっとして個性が弱いのかなぁ、僕たち……」
出「残るは年上の突っ込み役と、天然の入った小動物使いですが、月天においては
  ルーアンさんとシャオさんがその役を務めてますからね。我々が活躍する
  場面は、極端に減るものと覚悟せざるを得ないでしょう」

た「もういい、分かった! これまでの月天の流れを継ぐわけには行かないって
  ことだろ」


           **

花「あ、そういえば、広告には『新・守護月天コミックついにスタート』って
  書いてありましたよね?」

た「そうか、そうだよな! きっとタイトルも変わって、新しい展開が
  待ってるんだぜ! よぉし、それなら俺とシャオちゃんの仲も……」

出「よく気が付きましたね。休載前までの展開は忘れて、別の時点から物語を
  再開するというのが復活パターンの2番目です。第1巻の冒頭まで戻るのは
  さすがにやりすぎでしょうから、キリュウさんが登場した直後あたり……
  全てのキャラクターが出そろい、お互いの人間関係が小康状態を保っていた
  時期まで戻るのが無難でしょう。OVA月天やラジオ月天はまさにそういう
  時期を舞台にしていますね」

花「やったっ! よおぉーし、今度はシャオ先輩なんかに負けないんだから!」
出「大家さんはいっそ太助君も省略して、別の主人を擁していた別の時代から
  始めるのも一興だと言っていましたが。予告ポスターに翔子さんが出ていた
  ことで、この可能性はなくなったと思って良いでしょう」

た「それは困る! 別の時代になったら俺たちが出られないじゃんか。
  みねね先生えらい! 嫌な出来事はすっぱり忘れて、新しい月天ワールドを
  作るんだっ!」

乎「でも、そうなると今までの太助君の努力は……無かったことになっちゃう
  のかな?」

出「そうですね。連載復活を心待ちにしていた読者に肩すかしを食わせてしまう
  ことが、このパターンの欠点です。旧連載の終盤で見せたシャオさんや
  キリュウさんの懊悩や名台詞も、もう一度仕切り直しになってしまいます」

た「こんなのは守護月天じゃない、って残念がる読者も居そうだなぁ」
花「なに言ってるんですか、あたしたちにとってはチャンスなんですよ、チャンス!」

           **

出「さて、休載直前の時点からはスタートできず、過去に戻るのもリスクが
  高いとなると、未来に飛ぶという可能性もあります。『あれから数年後』
  というパターンです」

花「あれ、でもそれじゃあたしたちの立場は……」
た「ザコ扱いは嫌だぜ」
出「それが、そうでもないんですよ。その頃の人間関係が小康状態にあることは
  もちろんですが、そのころの太助君は居心地が良いような、このままでは
  いけないような複雑な心境にあると思っていいでしょう。シャオさんを
  運命から解き放つと心に決めたものの、何の進展もないまま数年が過ぎた。
  そう言う状況下であれば、付け入る隙はあると思いませんか?」

乎「付け入る隙って、出雲さん……」
た「そうか! ある意味、太助が告白する前の時点に戻ったみたいなもんだものな。
  今までの経緯を否定しなくても、俺たちが蚊帳の外でじっとしてる必要は
  ないってことだ」

花「なるほど! 七梨先輩、また自信をなくしてるかも知れないし。それだったら
  あたしがしてあげられることもありますよね!」

出「那奈さんが聞いたら呆れかえりそうな状況ではありますがね。可能性としては
  一番高い、というのが大家さんの意見でしたよ」

花「きっと、それですよ!」
出「ただ、こちらもリスク無しとは行きませんでしてね。どういうことかというと、
  連載開始以来ずっと続いてきた『中学2年生の時代』に別れを告げることに
  なるわけで……精霊の皆さんはともかくとして、太助君や野村君は精神的に
  成長してないとおかしいでしょう。翔子さんが教え込む内容も年相応に
  ハードになっていくでしょうし」

た「アダルト……じゃない、ジュヴナイル世代の月天になるってことか」
乎「それは仕方ないんじゃないかなぁ。ブランク長かったんだし」
出「コミックの読者は割り切れるでしょうが、OVAからファンになった人が
  納得するかどうか。みねね先生の腕の見せ所ですね」

た「アセンブラOXみたいな展開だったら尊敬しちゃうよ、大笑いしながら」

           **

出「ところで、復活パターンはもうひとつあるんですよ」
た「まだあるの? もう勘弁して欲しいなぁ」
出「小説版でありそうな展開ですけどね。休載直前の時点から始めつつ、
  我々サブキャラにとって息の詰まりそうな状況を打開する案です」

花「え、そんなのがあるんですか? 教えて教えて!」
出「4人目の精霊を出すんですよ。守護月天の宿命を打開しようという太助君の
  大それた望みに対して、冷ややかに痛撃を浴びせられるようなキャラをね。
  できればルーアンさんやキリュウさんの応援を無に出来るような個性が
  欲しいところです。そうすれば太助君はまた懊悩状態に戻る。収まりつつ
  あった人間関係も、新キャラの登場で新しい展開を迎える。シャオさんは
  また不安に駆られて、私の元に相談に来て……」

た・乎・花「!」

           **

△2002.07.15加筆 : そして、連載が始まって……

出「さて、新守護月天が始まって数話たったわけですが」
乎「ほのぼの路線に戻ってますね……」
花「なんであたしが、野村先輩なんかにドキドキしなきゃならないんですかっ!」
た「あのさぁ、フェイちゃんが出てくるのは良いわけよ。だけど
  『フェイちゃんが何者か、フェイちゃんと周囲の人との関わりは
  どうなるのか』を主題にするんだったら、いままでの話の流れは
  ぜんぜん関係ないってことじゃんか!」

出「まぁ、連載を再開するにあたって最も無難なパターンだと、ある意味では
  言えますけどね」

乎「だけどこれで、しばらくは連載が続きそうだよね。重苦しい雰囲気が
  リセットされたみたいだし」

た「ちがぁう! 終わりなき日常をだらだら続けるだけなら『ああっ女神様っ』に
  任せとけばいいんだっ! キャラたちが成長し変わっていくことが守護月天の
  長所であり、だからこそ1話1話が瑞々しく輝いてたんじゃなかったのか?
  その積み重ねである旧展開を無視してどうするっ!!!」

出「野村君は、新連載が気に入らないみたいですね」
乎「僕は好きだけどなぁ。『ヒーリングプラネット』が帰ってきたみたいでさ」
花「あたし納得できません! 七梨先輩を返してっ!」
た「これじゃ月天キャラの人気にあやかった、まるっきり別の話だ!」
出「……やっぱり君たち、息ぴったり……」
た・「違いますっ!」

           **

△2002.12.09加筆 : 連載10話「はじまり」までの流れ

出「さてさて、11月30日の連載第10話にて物語に一区切りついたよう
  なので、またしても我々が招集されたわけですが」

乎「ほのぼの路線に戻ったように再開当初は思ったけど、シャオちゃんの
  内面変化とその肯定的な側面を描く路線に急旋回しちゃいましたね」

た「いまさらヒーリングプラネットとの関連を云々言ってもしょうがないよな。
  桜野先生の描きたかったのはこういうことだったって事だ。ま、旧連載の終盤
  からの流れとしては良いんじゃない? ああいう段階をいずれ通るってのは
  納得がいくし、シャオちゃんも結局は元気になったことだしさ」

花「あたしたちの出番は?」
乎「でも今回のことでシャオちゃんのイメージは大きく変わったよね」
出「ほう?」
乎「昔のシャオちゃんは『未知の感情の芽ばえにとまどう精霊』だったけど、
  なんだか今では『妙な宿命に縛られた普通の女の子』って言うかさ、そういう
  イメージになってるでしょ」

出「守護月天の宿命から半歩脱したと言うところですかね。離珠さんたち星神の
  皆さんがそのことを喜んでくれてるというのが何よりです。未来に横たわる
  重苦しさのひとつでしたから」

た「まだまだ乗り越える課題は多いけど、あの2人ならきっと大丈夫、
  そんな風に思わせる流れになってたよな。キャラクターが成長するって言う
  月天の核心部分をフォローしてくれたんで、大家さんはおおむね満足してるって
  言ってたよ」

花「あたしたちの出番は?」
出「ところで新キャラのフェイさんは、どうやら物語の中心にはならない
  みたいな雰囲気ですね」

乎「もっとトラブルメーカー的な役割かと思ってましたけど、観察者っていうか
  誘導役というか、裏方っぽい位置づけですね、今のところ」

た「かつて山野辺やキリュウちゃんが担ってたポジションだよな。ただ山野辺は
  なるべくならシャオちゃん本人に気づかせたいって思ってるから、太助が自分から
  行動を起こすようになった今の時点では、2人の応援はしても介入はしない
  ようにしてるみたいだし。キリュウちゃんは当初は太助たちの真意をあぶり出す
  働きをしてたけど、出演回数が長くなって個性の色づけが濃くなってくると
  自らの使命もあるから助言者としてあまり深入りはしなくなってる」

出「那奈さんも翔子さんに近い位置づけですね。働きかける対象がシャオさんか
  太助君かという違いはあっても」

た「うん。シャオちゃんたちの成長に伴ってそこらへんの不自由さが露呈して
  きたんだと思うんだ。だから桜野先生はフェイちゃんを送り込んだ。自分で
  背負うものが何もなくて、シャオちゃんたちの事情と未来図がある程度まで
  見通せる存在として」

花「あたしたちの出番は?」
出「しかしまぁ、これで新連載から月天ワールドに入った読者さんたちにとっても、
  シャオさんを取り巻く状況は理解されたのではないですかね。彼女の可憐さ、
  愛らしさはまだ闇鍋のエピソード以外では発揮されていないようですが」

た「太助も以前みたいに無力感に苛まれたりしてないみたいだしな。俺たちや
  ルーアン先生がシャオちゃんたちの奪い合いをしてたなんて、遠い昔みたいに
  思えてくるよ最近」

乎「ルーアン先生は昔からあんまり変わってないけどね。シャオちゃんのほうが
  一段落したのなら、今度はルーアン先生の話になってくれたらいいのにな」

花「あたしたちの出番は? ねぇ、あたしたちの出番は?」
出「さて、それじゃそろそろお開きにしますか」
乎「今回はすごく和やかな座談会だったね。いつもこうだと良いのにな」
た「それは今後の桜野先生次第だよな。新しい画風もそろそろ見慣れてきたし、
  ここまで来たら変に読者に媚びないで物語を進めて欲しいところだけど」


花「あたしたちの出番はぁっ???」
た「(花織の肩に手を置いて)花織ちゃん、それは言いっこなし」



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