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大富豪だよ!!三千院家 (一話完結)
日時: 2022/09/11 16:22
名前: masa

初めての方は初めまして。ご存知の方はお久しぶりですmasaです。

今回は(も?)思い付きのネタです。

原作の流れや時系列は完全無視を決め込んでます。

それを許せる心の広い方は本編どうぞ。
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ここは三千院家。


主であるナギは一室で若干ソワソワしながら待っていた。
すると、ドアがノックされ入室を許可した。

「おい、ナギ。何だよ急に皆を呼び出して」

紫ちゃんハウスの面々+アテネが入って来て、千桜が代表して尋ねた。

「フッフッフ。今日は最高に面白い事をしようと思ってな」
「ふ〜ん」

カユラがつまらなさそうにそう言いつつ室内を見るとある物が目に留まり、一緒に来た面々にも教えた。

「ねえナギ、この椅子は何なの?なんか、色んな種類あるけど」
「流石だな、お目が高い」

今度はヒナギクが代表して聞くと、「良い質問をした生徒を褒める教師」の様に言うと、

「これからする事にその椅子達が必要だからだ。今日の為に態々用意した」
「へ〜、そうなの」

ナギが何を企んでるのか分からないが、取り敢えず同調しておいた。

「で、私達を呼び出した事、お前がしたい事は何なんだよ」

千桜が聞くと、ナギはたっぷり間を取り

「大富豪さ」
「・・お前の事か?」
「違う。トランプの大富豪だ」

ボケなのかどうか分からないカユラの言葉にナギは一応突っ込みつつ

「私はかねてよりやってみたかった。だが、人数が少ないんじゃ面白味は減る。だから全員の予定が合うこの日を待ち望んでいたのだ」

高らかに宣言するナギに、ナギ以外の面々は「また漫画かアニメの影響だな」っと思っていた。

「ま、暇だし付き合うか」
「そうね。面白そうだし」

千桜とヒナギクが参加を表明すると、他の面々も無言で参加を表明した。

「で、この椅子は大富豪と何が関係あるんだ?」
「簡単さ。順位によって、座る椅子が変わる。っとある警官が主人公のアニメでもあっただろ」
「ああ」

カユラの質問にナギが答えると、カユラは直ぐに納得がいった。

「あれ?でも、私達は7人よ。椅子は6個しかないけど」
「やはりヒナギクは鋭い。とってもいい質問だ」

ナギはまた間を置いてから。

「最下位のメンバーは、床に座るんだ。 たとえトランプとは言え、負けたら床に正座して椅子に座る他の奴らに見下ろされる屈辱を味わう。 そんなのは嫌だろ?」

ナギの言葉に全員納得出来た。

「だから敢えて1つ少なめに用意した。 小説だから私が解説するが、1位は1番良い椅子に座り、2位はそれに少し劣る椅子に座るんだ。だから6種類あるんだよ」

ナギ先生、解説どうも。

「始める前にルール説明だ。 本来、トランプは1組だが、7人もいるから2組使う。 大富豪には様々なローカルルールがあるが、1つを除いて全部禁止だ。じゃないとややこしくなる一方だからな」

ナギは参加者の様子を窺いつつ

「警官が主役の漫画でもあっただろ?「ローカルルールを送ってくれ」って軽い気持ちで書いたらものすごい数の葉書が来たって。そのせいで大変な目に遭ったとも」

漫画を読まないヒナギクとアテネ以外は直ぐに「ああ、あれか」っと理解した。

「だから、「ローカルルールは1つを除いて禁止だ」って言ったんだ。 つまり、純粋に運と実力だけで勝負をするって事さ。それ以外は普通のルールと同じだよ」
「それでナギ、たった1つだけ許可されてるローカルルールって、何なの?」

ヒナギクが聞くとまたナギは間を置き

「階段ルールさ」
「階段って、確か」
「ああ。同じマークの並び数字、例えば「スペードの3、4、5」みたいにな」

千桜言葉にナギは直ぐに説明し、全員に理解を促した。

「ああ、後。ローカルルールかは分からんが、下克上ルールもありだ」
「最下位の奴がトップになると全部の順位が逆転するあれか。まあ、その方が盛り上がるか」

今度はカユラが言い、ナギは無言でうなずいた。

「さあ、始めようか。最初は順位は決まって無いから、ソファーでやるぞ」
「ちょ、ちょっと待て」
「何だよ。今更逃げるのは無しだぞ」

千桜が止めるとナギは不服そうに言った。

「違うよ。ルカとマリアさんはどうしたんだ?」
「ああ。ルカは誘ったが断わられた。仕事が忙しいんだと。マリアは用事でいないよ」
「そうか」

納得する千桜に

「第一、マリアが居ても事情を説明して参加しないでもらってたよ」
「何でさ」
「マリアはこういう事に異様に強い。つまり、マリアが居れば「1位は固定。2位以降は誰か争う」っという面白くない展開になる。お前だって嫌だろ?「絶対に負けない参加者」がいるゲーム何て」

ナギの言葉に千桜は無言でうなずいた。

「っという訳さ。じゃ、始めるぞ」


                   × ×


最初はクラウスに来て貰い、トランプを切るのと配るをやって貰った。
クラウスは参加者じゃないので、配り終えるとお辞儀をして部屋を出て行った。

くじ引きで順番を決め、ナギが最初だった。

「じゃあ、私からだな。 無難に3だ」
「じゃあ、僕は11っと」
「おい!!」

いきなり大きい数字を出したハヤテにナギは文句を言い

「4以上で数が小さいのから捨てるんだろ!!勝負するのは良いが変な事するな!!」
「だ、だって。11が一番小さいんですよ」
「な、何だと!!」

驚く面々に

「私はAですわ」
「お前まで何だよ!!」
「私は絵札と1と2しかないんですわ」

また文句を言うナギにアテネが弁明すると

「あ、僕も何です」
「何だって〜〜」

2人の言葉にハヤテとアテネ以外は驚くしか出来ず

「はい、これで上がりですね」
「では、それに次いで私が上がりですわね」

結局、ハヤテとアテネ以外は最初のナギ以外は出せず、1位ハヤテ、2位アテネが決まった。

「くっそ〜。アテネは兎も角ハヤテまでもが」
「な、何ででしょうね」

自身の運の無さを知り尽くしているハヤテも驚いていた。

その後はナギ曰く「レベルの低い争い」になり

「はい、3位は私ね」

3位はヒナギクになり

「ほい、4位は私だ」
「で、私が5位だ」

千桜が4位、カユラが5位になった。

「まさかハムスターと最下位争いをする事になろうとは」
「ナギちゃんの番だよ」
「パスだよ、パス」

機嫌の悪いナギを促すと、歩は

「じゃあ、私は・・」


「ヌググ。この私が最下位になろうとは」

ナギが最下位になり、カーペットも座布団も無い床に正座していた。

「ナギさん、最下位の人はトランプを配るんですわ。早くなさい」
「煩い!!分かってるわ!!!」

勝ち誇るアテネに促され、ナギはトランプを配った。

「(よしっ、一番強い2が3枚も来たぞ。これはチャンスなのだ)」
「・・ナギ、嬉しそうな所に水を差す様で悪いが、交換ルール忘れてるぞ」
「ぬわ〜っ、しまったのだ」

結局、折角3枚も来た2を全部ハヤテと交換させられ

「(グググ。とんでもない手になったのだ)」
「ナギからよ。いきなりパスしちゃう?」

ヒナギクにもバカにされ(本人にその意図はない。ナギにそう聞こえただけ)

「あ〜っ、3だよ。悪いか!!」
「お、怒るなよ」

千桜に宥められたが、ナギには全く効果が無く

「(クソ〜、このままじゃすまないぞ〜)」

ナギは歯ぎしりしつつ全員を睨んでいた。


                   × ×


それから数十分後。

「グググ。また負けたのだ」
「何か、今日のナギ、かっこ悪いな」

ナギは何度勝負しても負け続け、勝てても6位どまりだった。

「ナギちゃん、元気出して。人間、調子悪い時あるって」
「うるさいうるさ〜い。お前に慰めて貰っても、効き目薄いわ!!」

歩が慰めたが、結局最下位争いをしてる人だったので、嬉しさは殆ど無かった。

「珍しいよな。こういう時、「本物の大富豪はこういうゲームでも恐ろしい強運を発揮する」ってのが定番なのに、それが当てはまらんとは」
「結局、そう言うのは漫画だけって事か」

千桜とカユラの言葉にナギは何度も床を殴りつけ、悔しさを誤魔化すしかなかった。
一応アテネも大富豪なのだが、ナギのプライドを守る為にもこの場は沈黙を守った。

「だいたい何でハヤテはずっと1位なのだ!!アテネが1位なら兎も角!!」
「そ、そんな事言われましても」
「ハヤテに八つ当たりするのはよしなさい。見苦しいですわ」

アテネの言葉にナギは頭から湯気が出そうなほど興奮し、

「お前は本当に、こう言うどうでもいい時に運を使うよな!!」
「そ、そうですね」

ナギの逆ギレにハヤテは苦笑いを交えつつ返した。

「あ、そうそう。私がなぜ2位なのか、教えてあげましょうか?」
「な、何だよ」
「運命の赤い糸、ですわ。ですから、ずっと隣同士なのですわ」

うっとり言うアテネにアテネ以外の面々は

「(また始まったよ。アテネの運命理論)」

っと呆れていた。

「(もう良い。こうなったら、この日の為に練習していた、「積み込み」を使う時が来たのだ)」

ナギは気付かれない様に実行し、自分の最高の手に酔いしれていたが

「お嬢様、イカサマは駄目ですよ」
「な、何の事なのだ」

いきなりハヤテに指摘され、精一杯誤魔化しつつ言ったが

「それ、「積み込み」っと呼ばれるイカサマですよね?そんなの駄目ですよ」
「ハヤテ君、積み込みって確か」

確認しようとするヒナギクにハヤテは

「トランプを集める時、上の方に強い札が来る様にするんです。で、裏返して切る時に良い部分は動かさない様するんです。で、配る時に自分はそのいい部分からとるんです。これが「積み込み」と言うイカサマです」

ハヤテが解説すると、ナギ以外は全員ナギに疑いの視線を送った。

「そ、そんな事する訳」
「じゃあ、配り直そう。それで疑いは晴れるぞ」
「わ、分かったよ」

結局見抜かれてしまったナギは千桜に促された通り、再度トランプを集めて切り、配った。
勿論、イカサマ無しで。

「しかし、真偽はさておき、よく分かったな」
「ええまあ。危険な橋は沢山渡ったので、「イカサマは見抜くのも実行するのも上手」っという役に立つかどうかの技術が身についてしまって」

ハヤテの生い立ちを知る面々は呆れるやら同情するやらだった。


                   × ×

また暫く経ち

「ギャンブル場はここか〜」

突然雪路が乱入してきたが、勝負に集中していたメンバーは気にせず

「な、何よ〜。無視すんな〜」
「お姉ちゃん、うるさい。今大事なところなの」
「う〜、ヒナまで〜」

結局雪路は決着するまで待たされ

「で、何だよ、桂先生」
「面白い事をしているって聞きつけてね。だから来たのよ」

雪路の地獄耳に聞いたカユラを含めて雪路以外は呆れていた。

「で、幾ら賭けてるの?それとも宝石とか高級品?」
「そんな訳無いだろ。そんな事したら違法だろ。何も賭けてないよ。 自分のプライド以外はな」

ナギの言葉に雪路は残念そうにしたものの

「まあ、良いわ。面白そうだから私も加わるわ。良いでしょ?」

雪路の言葉に誰も異を唱えず、仕切り直しで始めた。

「(フッフッフ。2が5枚も来たわ)」
「一応年長者だから、桂先生が1番で良いよ」
「言ったわね、ナギちゃん。後悔させてやるわ!!」

そう言うと、何を血迷ったのか2を全部出し

「これで私の勝ちは決まりね」
「あのねぇ、お姉ちゃん」
「な、何よ!!」

ヒナギクは呆れつつ

「この後、何出すの?」
「え!?」

ヒナギクに言われ、自分の残りの札を確認すると、カスカードばかりで

「ま、間違えたのよ。ほら」

雪路は別なのを出した。

その後

「ヌ〜」
「結局お姉ちゃんが最下位ね」
「煩い!!妹なのに見下すな!!」

雪路が最下位なのを除けば、先程と同じ順位であり、椅子は一応用意してあったもう1つの椅子にナギが座っていた。

「桂先生がトランプを配るんだぞ」
「分かってるわよ!!」

ナギが促すと、イカサマはせずに配り

「(やったわ。今度は2が8枚よ)」

交換ルールで4枚に減ったが、それでも雪路は得意げであり、

「私の勝ちよ〜」

またしても、2を全部出し

「どうよ〜、この私の強さ〜」
「だからさ、お姉ちゃん」
「・・あ」

指摘され、気付いた雪路に他の面々呆れて溜息をついた。


                   × ×


それからまた暫く経ち

「まさか、お姉ちゃんが全敗とはね」
「う、うるさい」

結局順位はナギと歩以外は動かず、雪路は負けっぱなしだった。

「わ、私が言うのもあれだけど、見栄っ張りすぎですよ。だって、弱い札持ってるのに次も出せる範囲で強いカードしか出さないんですもん」
「歩君の言う通りだ。そんなんじゃ何回やっても勝てないぞ」
「そうそう。勝つ事にこだわり過ぎて戦略もへったくれも無いもんな」

雪路はそれなりに強いカードが配られるのだが、歩、カユラ、千桜の指摘した通りで、勝てずにいた。

「弱すぎるぞ。じゃあ、桂先生には「ビリ先生」って愛称付けるか」

ナギの弄りに雪路は拳を握りしめ、悔しさをかみ殺したが

「ま、まあいいわ。所詮これはゲームだもの悔しくないわ」
「・・とか言いつつ声が震えてるわよ、お姉ちゃん」
「煩い!!ゲーム上ではド貧乏でも、実際の私は「白皇の教師」なのよ。その気になれば結構な貯金が出来るわよ!!」

そう言い切った。

だが、翌日

「って思ってたのは昨日までよ。白皇をクビになったわ。ナギちゃんも満足でしょ」
「まあ、何時首を切られても不思議はありませんでしたが」

泣きながら報告され、ハヤテは特に憐れみを感じなかったが

「ま、まあ。私も悪気は無かったんですよ、ビリ元先生」

ナギの言葉に雪路は

「もう二度と大富豪なんてやらないわよ〜〜」

雪路の叫びは少しの間白皇に木霊したそうだ。


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以上です。

休載中の小説ですが、色々あって未だ「再開未定」です。

ですが、ちゃんと完結させるつもりなので、ご了承を。

では。
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