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もう一つの最終章 (一話完結)
日時: 2019/12/31 17:30
名前: masa

初めての方は初めまして。ご存知の方はこんにちはmasaです。

今回はタイトルを見ていただければお分かりでしょうが、「こんな最終章も良いのではないか?」っと思いついたので、執筆する事にしました。

この話の前提としては「ハヤテ達がヒスイと戦い王玉が奪われてしまった後」そして「アテネは既に元に戻り、ナギ達の前から去っている」です。
もう一つありますが、それは本編にて触れています。

所々話が飛んでますが、そこは原作で補完してください。殆ど一緒なので。

では本編どうぞ。
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「さよか。ヒスイの大馬鹿者がな」
「ええ」

ハヤテと伊澄は愛沢家に来ており、咲夜と伊澄の曾祖母にも事の次第を話していた。

「う〜む。オババはそ奴を知らんが、そんなに厄介な奴なのか?」
「「そ、それは」」

昔馴染の伊澄と咲夜は少しの間口籠り

「あいつは厄介な奴や。どんな事でも自分が勝たんと気が済まん奴や。それだけでなく、底無しに強欲な奴や」
「若し、ヒスイに三千院家の全てが渡れば、世界は危機に陥るでしょう。それ程までに厄介なのです」

2人の言葉にハヤテは俯き

「だからこそ、王玉は渡しちゃいけなかったんですね。僕は、自分が情けないです」

ハヤテの自虐に伊澄も咲夜も慰めるべきなのは分かっていたが、どうしても言葉が出なかった。

「僕はもう行きます。僕なりに出来る事は、考えてみます」
「待ってください」

帰ろうとしたハヤテを伊澄は呼び止め、

「・・全てを、背負い込まないでください。ハヤテ様が責任を感じる必要は、一切無いんですから」
「せやで。ぜ〜んぶ、ぜ〜んぶヒスイと言う大馬鹿野郎のせいや。言い方はあれやけど、ハヤテはんが責任を感じとるとしたら、自惚れもええとこやで」

2人の言葉にハヤテは何も言い返さず、行ってしまった。


                   × ×


帰宅したハヤテは考えながら廊下を歩いていた。
すると、ナギとマリアさん、少し後ろにいた千桜に会った。

「おお、ハヤテ。どうしたのだ?浮かない顔して」
「い、いえ」

ナギは首を傾げつつ

「まあ、いいや。それより、今回の漫画は順調だぞ。自信作でもあるし」
「・・・」
「おい、聞いてるのか?」

不機嫌顔のナギにハヤテは

「すみません。僕はこれから暫くの間、忙しくなります」
「何でなのだ?」
「三千院家の、遺産問題を早急に解決しなければならないからです」

ハヤテの言葉にナギとマリアさんは強めに反応した

「なんで、なのだ?」
「それは、将来の為です」

ハヤテの言葉にナギは「自分とハヤテの将来の為」っと受け取った。

「これから来る未来の生活為に、遺産が必要だからですよ」

今度は「これから来る未来の結婚生活の為」っと受け取った。

「そして、これが一番なんですが、お嬢様を幸せにするためです」

ナギ(千桜も)は「結婚して幸せにするため」っと受け取った。

「ですから、暫くの間執事の仕事は殆ど出来ませんが、ご了承ください」
「あ、ああ////////////////////////////////////////////」

照れるナギ(+千桜)に対し、マリアさんは

「(やれやれ。まあ、あれがありますから心配の必要はありませんが、相変わらずだ事)」

呆れつつ

「(もう、潮時なのかもしれませんね)」

密かにこう思っていた。


                   × ×


それから数日後。

「う〜ん」
「ん!?どうした?」

ナギが漫画を描いているので、千桜は手伝いに来ていた。

聞いてもまだ唸るナギに

「ネタ詰まりか?」
「ん!?いや、そう言う訳では無いんだ」

そう言うと、また唸った後

「考えてたんだ。ハヤテは将来の為に遺産が必要って言ってくれたが、本当に必要なのかを、な」
「ああ」

千桜は先日の事を思い出しつつ

「お前がそう考えるのも無理はないが、よく言うだろ?「金の切れ目が縁の切れ目」って。絆が絶対だと思っていても、金がなくなるなどふとしたきっかけで簡単に砕け散ってしまうもんなんだよ、そう言う絆って」

千桜の言葉にナギが言い返そうとしたが

「友達を悪くは言いたくないが、お前は1人じゃ何も出来ないだろ?料理等の家事は出来ないし。つまり、1人で生きて行くスキルを殆ど持ってないんだよ、お前は」
「・・・」
「だからこそ、綾崎君は「金が必要」って言った可能性は否定できないって訳だ」

千桜の言葉にナギは黙り込んでしまった。

「っとはいえ、ナギと綾崎君なら平気だろ。あんな事言われる位だし」
「だ、だよな。私のハヤテの愛の絆は絶対だ。あれがあったし」

自信満々のナギに

「あれ?なんだあれって」
「ま、まあ、いいじゃないか/////////////////////////////////////////」
「???」

首を傾げつつ、追及は止めておく事にした。

「しかし」
「な、何だよ」

千桜は少しの間ナギを見つめた後

「お前、本当に綾崎君が好きだよな。この手の話題になると顔を赤くするし、嬉しそうに話すし。漫画関連の話をする時みたいに」
「そ、それは」

口籠るナギに

「これは是非とも馴れ初めを聞きたいな。結婚式に呼んでもらいたい立場としてはな」
「わ、分かったよ。笑うなよ」

そう言うと、ナギは話し始めた

「へ〜、そんな事がな」
「そ、そうだよ////////////////////////////この関係の始まりはハヤテからなんだぞ/////////////////////」
「そんな少女マンガみたいな事、本当にあるんだな」
「わ、笑うなと言っただろうが/////////////////////////////」

ポカポカと軽く叩きながら抗議するナギに

「悪い悪い。笑ってるんじゃなくて、微笑ましいんだ。そんな素敵な出会い、私もしたいなって」
「ふ〜ん。お前も女なんだな」
「まあな。白馬に乗った王子様に憧れるのは、女に許された特権だよ」


                   × ×


それから数日後。

「君は忙しそうだな」
「ええ、まあ。油断ならない相手がいますから」
「そうか」

千桜とハヤテはとある公園で話していた。

ハヤテは作戦本部に届ける弁当を作る為に三千院家に一旦戻り、千桜は帰る時間が一緒になったので一緒なのである。

「それより、聞いたぞ」
「え!?何をですか?」
「君とナギの事だよ」

そう言うと、千桜はモデルみたいに1回転し

「去年のクリスマスイブの時、いきなり告白したんだろ?熱烈な言葉を並べてさ」
「え!?」
「話を聞いた時は驚いたが、素直に思ったよ。「運命はあるんだ」って」

笑顔に千桜に対し、ハヤテは少しの間黙り込んだ後

「あの、僕はナギさんに告白はしてませんよ」
「へ!?」

ハヤテの言葉に千桜は信じられない事を聞いた顔になり

「ど、どういう事だよ。 だって、ナギは「告白された」って言ったぞ。それにだ、君は「自分達の関係は恋人以上夫婦未満だ」って言ったんだろ?なのにそれはどういう意味だ」

「どうって。 ですから、告白「は」してないんですよ」
「せ、説明しろよ。頭が整理出来ん」

髪をグシャグシャと掻く千桜に

「知ってると思いますが、僕の両親は物凄い駄目人間なんです」
「・・知ってる。「駄目人間のオリンピック」なんて物があればぶっちぎりで金メダル取れる程って」

「ええ。去年のクリスマスイブの日、バイトから帰ったら一通の手紙が残されてました。それを読んだ僕は呆然としましたよ。なんせ、1億5千万強の借用書と共に「裏ルートで取引される臓器の金額リスト」が入ってたんですから」

聞いた千桜は寒気と共に強烈な殺意が湧いた。

「勿論、僕は逃げましたよ。でも、ある公園に逃げ込んだ後「逃げきれない」っと思い、「こうなったら誰かを誘拐して身代金を要求し、そのお金で借金を返そう」っと思いました。そんな時に高そうな服を着ていて丁度良さそうな女の子がいたので、声を掛けようとしたんです。まあ、変な奴にナンパされてたのでそいつらをぶっ飛ばした後で「さあ、誘拐しよう」って思ってその人の顔を見た時、「こんなバカな事は止めよう」って思ったんです。僕の人生で出会った事が無い程綺麗な人でしたから」

ハヤテはここまで一気に言うと、一旦間をおき

「その人を見ていて、僕は死を覚悟しました。両親の思い通りになるのは嫌だけど、道を踏み外す位なら死のうって。 だから「どうせ死ぬなら少し位は良い思いをしてから死んでも罰は当たらないだろう」って思って、その人に告白を飛び越してプロポーズをしたんです。まさか受け入れて貰えるなんて、思ってませんでしたけどね。 その人は僕の借金を肩代わりしてくれて、命を救ってくれたんです。その時「この人をどんな事があっても幸せにしよう」っと誓いました」

ハヤテが言い切ると、千桜は

「成程な。その女の子ってのがナギだと」
「ええ。だからこそ「告白「は」してない」っと言ったんです。だって」
「それを飛び越してプロポーズしたから、だろ?」

黙って頷いたハヤテに

「成程な、納得したよ。 ん!?って事は、君がルカやヒナに好かれてても平然としてたのは」
「僕には「結婚する事が決まってる女性」がいましたからね。 千桜さんが僕の立場だったら、そんな人がいるのに、なびきます?他の女性に」

千桜は一瞬だけ考え

「確かにその通りだな。そんな最低な事はしないよな」
「まあ、中にはそう言う人もいるでしょうけど、僕はしません」
「だろうな。君の性格を考えるとな」

千桜は手櫛で髪を整え

「まあ、安心したよ。君が何をしてるか知らんが、頑張れよ」
「ええ」


                   × ×


それから数日後。

「ねえナギ、何かあったの?」
「何かって、何だよ」

ヒナギクに聞かれ、ナギが返すと

「落ち込んでるように見えるからよ。何があったか知らないけど、悩みがあるなら相談にのるわよ?」

ナギは少し考え

「マリアがな、手紙を残していなくなった」
「・・そう」

ヒナギクは敢えて詳細を訪ねず

「・・その手紙には何て書いてあったの?」
「・・読んでない。怖くて読めない」
「・・そう」

ヒナギクはまた敢えて言及せず

「あのさ、頼りないかもしれないけど、良ければ私達を頼って。友達じゃない」
「ありがとな。でも、大丈夫だ」
「・・ならいいけど、無理は止めてね」

ヒナギクは敢えて食い下がらなかった。
ナギの方は

「(話を聞いてくれる奴はいるからな。母そっくりの人がいるって、何となく言えないし)」

数日前に母・紫子に瓜二つの人物に出会っており、話を聞いてもらっていた。


それから数日後。

「ん!?どうしたのだ?」
「ううん、何でも」

ナギが何時も通り紫子そっくりの人の病室に赴いていると、その人のスマホに着信があり、聞いたが誤魔化された。

「ねえ、知ってる?」
「何がだ?」
「貴女は執事さんに「告白された」って思ってるでしょ?」

何故知っているのか分からなかったが、ナギは聞かずに肯定した。

「それ、勘違いだから」
「え!?」
「嘘だと思うなら、ここにもう直ぐその執事さんが来るから、聞いてみなさいな」

そう言われ、少し待つとハヤテが駆け込んできた。

「やっぱりか。なんであんたがここに」
「久しぶりね、ハヤテ君」
「黙れ!!!お前なんかとはもう永久に会いたくなかった!!」

ハヤテの言葉に

「久しぶりの親子の対面なのに冷たい事」
「お前なんか、親じゃない!!!」
「それは置いておいて、貴方に聞きたい事がある事がある人がいるわよ」

そう言うと、ナギが病室の奥から出て来た

「ハヤテ、嘘だよな?こいつは「お前は私に告白してない」って言ったぞ」
「それは」

ハヤテは少し言葉につまった後

「・・本当に事を言います。それは、本当です」
「う、嘘だろ!?じゃあ私は・・」
「ナギ、話を聞いて」

ハヤテはナギの両肩に手を置いた。
すると

「聞きたくない!!」
「聞くんだ!!!」

ハヤテの強い言葉にナギはビクッとし、頷いた。

「確かに、「告白」っと言う物はしてないよ。それは全面的に肯定させてもらう」
「じゃあなんで、前に聞いた時に「自分達は恋人以上夫婦未満だ」何て言ったんだよ」
「だって、初めて会ったあの時、僕が君にしたのは「プロポーズ」だから」
「え!?」

驚くナギにハヤテは

「詳しい事は全部片付いてから説明するけど、美しい君を見て「告白を飛び越してプロポーズ」をしたんだ。だからこそ、「告白してない」って言ったんだ」
「じゃ、じゃあ」
「うん、そうだね。僕もナギも結婚出来る年齢じゃない。だからこそ、前に「恋人以上夫婦未満」だって言ったんだよ」

ハヤテの言葉にナギは一気に明るくなり

「も、もう///////////////////////////紛らわしい言い方するなよ///////////////////////////////」
「ごめんね、ナギ。でも、僕も照れくさくて//////////////////////」
「ったく/////////////////////////////////////////」

甘々モードを展開する一方、ハヤテの母はニヤリ顔をしていた。

「じゃあ、2人は結婚するって事は、私もあの人も貴方の恩恵に」
「バカな事を言うな」

ナギは今迄とは違い冷酷さと殺意を含ませた声になっていた。

「お前らなんかに、私達の邪魔はさせん。近付こうものなら、三千院家の力を使って、地獄を見せてやる。分かったな」

そう言うと、ナギはハヤテを伴って病室を出ようとしたが

「お前なんかと、話してたのは私の汚点だよ。私が話したことを言いふらすかどうかは好きにしろ。まあ、言いふらしたとしても、信じる奴はいないだろうがな」

そう言い残し、今度こそ病室を出て行った。

「まあ、良いわ。チャンスは幾等でもあるもの。三千院家のお金、必ず手に入れるわ」


                   × ×


それから数日後。

「どう、アーたん。ヒスイさん達の動向は掴めた?」
「いえ、それが全然。天王州家の情報網をもってしても見つからないとは」

作戦本部に赴き、聞いたが成果は得られてなかった。

「ですが、ヒスイもロトの鍵を狙っている以上必ず現れます」
「何としても、先手は打たなあかんな」
「ええ。絶対阻止ですわ」

強めの目つきの3人にハヤテは少しの間黙り込んだ後

「僕が今から、道を開くよ」
「「「え!?」」」

思わぬ言葉に驚き

「で、ですがハヤテ。道を開くには負の感情の爆発が必要なんですのよ」
「幾らハヤテはんがきつい過去を持ってたとしても、難しんとちゃう?それに、王玉はどうするんや?」
「ああ、それならありますよ」

そう言うと、ハヤテは王玉を見せた。

「ど、どうして貴方が持ってるんですの?あの時全て奪われたはず」
「ヒスイさんの所に乗り込むとき、万が一を想定して隠しておいたんだ。これはそれだよ」
「成程。流石ですわね」

アテネは褒めた後

「ですが、王玉があったとしてもどうやって道を開くんですの?」

聞かれたハヤテは少し間をおき

「大丈夫、それ以外の方法も知ってるからさ。そっちを実行するよ」
「まあ、あなたが言う以上信用しますが」
「大丈夫なん?」
「ええ」

ハヤテはまた間をおき

「道を開く前に、お願いがあります」
「何ですの?」
「僕が道を開いたら、必ず扉を固定してほしいんです。きっと、割と直ぐに閉じちゃうでしょうから」

そう言うと、ハヤテは伊澄と銀華さんの方へ向き

「お願い、出来ますよね?その役目はお2人にしか出来ませんから」
「・・・」
「分かった。了解したぞ」

さっきから無言の伊澄をスルーし、了承した。

「もう一つは、扉を固定したら急いでナギさんを呼んで来て、ロトの鍵を取ってくるように急かしてほしいんです。絶対にヒスイさん達が道を開いたら直ぐに現れてロトの鍵を奪いに来るでしょうから」

「分かりましたわ。 それより」

アテネが聞くより先にハヤテは作戦本部を出て、外に出た。

「咲夜さん、伊澄さん。ナギさんをお願いしますね」

そう言うと、ハヤテは手に持った王玉を胸に押し当てた。
すると、王玉から強い光が出た。

「や、やっぱり。ハヤテ様を止めて!!!!」
「「え!?」」
「早く!!!取り返しのつかない事に」

慌てる伊澄を宥めつつ

「どうしたんや?別に」
「あれは実行した者の命を生贄に道を開く秘術。そんな事をすればハヤテ様は」
「な、何ですって!?ハヤテ止めなさい!!」

3人は止めようとしたが、ハヤテが笑みを向けた後、

「こ、これは。 道が開いてますわ」
「ホンマか!?じゃあハヤテはんは何処に行ったんや?」

驚く2人に対し、伊澄は

「ハヤテ様は、この世から消失しました」
「「え!?」」
「扉を固定して、ナギを呼んでこないと」

淡々と行動しようとした伊澄を咲夜は止め

「な、何でそんな平気そうなんや。ハヤテはんが・・」

無理やりこちらを向かせた瞬間、咲夜は言葉を失った。
伊澄は泣いており、かなりの量の涙が流れていた。

「ハヤテ様の願いを叶えないと」
「・・せやな」

行動しようとしたその瞬間

「ほう。態々私の為に道を開いてくれるとは。ご苦労だったな」
「「ヒスイ」」

何時の間にかヒスイがおり、既に武器を構えていた。

「そこをどけ。死にたくないならな」
「ヒスイは私が止めます。咲夜はナギを」
「わ、分かったわ」

咲夜は駆け出し、アテネは伊澄と共に臨戦態勢を取った。

「邪魔はさせませんわ」
「フンッ。勝つのは私だぞ」

伊澄とアテネがヒスイたちの足止めをしている間に銀華さんは扉を固定し、咲夜はナギを呼びに行き、ハヤテに言われた通り、ロトの鍵を手に入れた。

「なあ。ハヤテは何処なのだ」
「ハヤテはんは」

黙り込む咲夜にナギは察したようで

「う、嘘だろ!?嘘と言え!!!」
「ウチかて言いたいわ。でもな」

咲夜や伊澄の雰囲気にナギは全てを察し

「ハヤテ。ハヤテーーー」

  ドサッ

ナギが叫んだ瞬間、近くで人が少し高い所から落ちる音が聞こえ

「あ、あれ!?どうして僕はここに」
「ハヤテ。  ハヤテーーー」

ナギはハヤテに抱きついた。  が

「そんなくだらない場面はいらん。さあナギ、ロトの鍵をよこせ!!!」

ヒスイが飛び掛かったが、アテネが止めた。

「それは私の物だ!!!渡せ〜〜〜」
「・・いや、これは私のだ。お前は負けたんだよ、ヒスイ」

興奮するヒスイに対しナギはあくまで冷静だった。

「ヒスイ。 私はハヤテに楽をさせてやりたいんだ。三千院家の遺産があれば、それが出来る。だから、お前には渡せない」
「黙れ!!!!黙れ黙れ黙れ!!!!!三千院家は私の物だ!!!!!」

聞き分けの無い子供の様なヒスイにナギは

「違う。私の勝ちでお前の負けなんだよ。受け入れろ」
「煩い!!!!」

ヒスイは再び飛び掛かろうとし、ナギはそれを制しようとしたが

「ヒスイさん、ナギさん」
「ん!?」
「お、お前」

ハヤテはナギからロトの鍵を取ると、ヒスイに差し出した。

「どうぞ。お譲りします」
「どういうつもりだ、貴様!!!」
「ハヤテ、私の話を」

ナギを遮る様に

「その気持ちだけで、十分だよ」

そう言った後、更に

「1回死に近い体験をして、分かったんだ。僕とナギの間には、沢山のお金は必要ないんだって。必要最低限のお金さえあればいいんだって」
「お前」
「良いんだ。お金は僕が何とかする。僕達には愛がある。何とかなるよ」

ハヤテの言葉にナギは黙り込んだ。

「これは貴方にお渡しします。ですが、勝負自体はナギさんの勝ちだという事を肝に銘じておいてください」
「・・フンッ」

ヒスイは不機嫌そうにロトの鍵を受け取ろうとした

「待ってください!!!ヒスイなんかに渡したら」
「大丈夫ですよ、伊澄さん。きっと、ヒスイさんなら平気ですから」

伊澄を宥め、ロトの鍵を渡した

「貴女を信じてますから」
「・・フンッ。じゃあな」

ヒスイは去り際

「(何だ、この感じは。これが恋と言うやつなのか!? まさかな)」

そう思ったそうだ。


「さあ、行こうか、ナギ」
「ああ。幸せになろうな」
「うん」

仲良く手を繋いで去って行く2人をアテネも伊澄も咲夜も優しく見送った。


                   × ×


それから2年後。

「ほら、起きろ千桜」
「痛って〜な。何も叩いて起こす事無いじゃないか」

ここはある団地の一室。朝から千桜はナギに文句を言っていた

「忙しいのに、来てやってるんだ。文句言うな」
「分かったよ。だがな、私は寝不足なんだよ」
「お〜お〜。売れっ子ラノベ作家様は大変だ事」

千桜はラノベ作家をしており、結構売れていた。

「兎も角、私は忙しんだ。学校に遅れる」
「やれやれ」

千桜は眼鏡を掛けつつ

「お前は立派だよな。旦那様を支えつつ学業にバイト、それに家事まで」
「何当たり前の事を言ってるのだ。ハヤテが外で働いてくれてるんだ。妻として支えるのは当たり前だ」
「だから、立派だと言ったんだよ」

ナギは現在高校生であり、高校に通いながらバイトをし、部活にも家事にも精を出していた。
最初の頃のナギの家事力はかなり悪く、ハヤテに根気よく教わってようやく一般人レベルに上達していた。

「褒めても何も出ないぞ。じゃあ行くからな。飯、ちゃんと食えよ」
「ヘイヘイ」

時間を飛ばし、夜

ナギは帰り際自販機で暖かい飲み物を買い、一息ついていた。
すると

「ねえねえ彼女、1人?」
「暇なら俺達と遊ばない?」

声をかけて来た男2人組に憐れむ様な視線を送った。

「「な、何だよ」」
「気を悪くしたなら謝る。だが、お前らの困った趣向にちょっとな」
「ど、どういう意味だ」

ナギは答える代わりに自分の左手を見せた。

「「そ、それは」」
「分かるか? お前らは人妻を口説く趣味があるという事だ。だから憐れんだのさ」
「「え、えっと」」

2人組は少しの間しどろもどろになった後

「「ごめんんさ〜〜〜い」」
「全く」

逃げて行った2人と入れ違う様にハヤテが来て

「ここにいたんだ。ちょっとだけ探したよ」
「おお、ハヤテ。今日は遅くなるんじゃなかったのか?」
「大事な日だからね。急いで切り上げたよ」

ハヤテの言葉にナギは

「おいおい。お前がそんな事して良いのか?」
「お言葉ですが、仕事はちゃんと全部片付けました」

ハヤテは現在会社を経営しており、成功してかなりの規模になっていた。

「まあ、いいか。お前が言うならな」

ナギは飲んでいた缶コーヒーをゴミ箱に捨て

「ケーキ、買ってあるよ。家で一緒に食べよ」
「ああ」

ハヤテはケーキの箱を持ってない方の手をナギとつなぎ

「でも、残念だよな」
「何が?」
「憲法が改正されなかったら、私は綾崎ナギになれたのにな」

不満そうに言うナギに

「仕方ないよ。でも、法律なんて関係ない。僕達は夫婦なんだから。それが公式か非公式だけだからさ」
「そうだな、旦那様」

ハヤテとナギ、2人の愛は深いのである


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以上です。

いかがでした?
こういう結末もありと言えばありじゃないですか?

納得が行かなかった方はすみません。
後、長く感じてしまった方はすみません。

では。
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