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女神と共に第四部 2nd (4月30日更新) 完結 レス返し
日時: 2019/02/03 22:00
名前: masa

こんにちはmasaです。

今回から第四部の後半です。

では本編どうぞ。
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ここは白皇の理事長室。
アテネと葛葉キリカは一緒に仕事をしていた。

「あの、理事長」
「何ですの」
「あ、いえ。なんか、イライラしている様に見えるんですが」

キリカの言う通り、アテネは仕事に集中はしているのだが、誰が見ても分かる程イライラを出していた。

「だって、最近ハヤテに甘えられてないからですわ!!」
「は、はあ」
「旅行中はバタバタしてたせいで甘えられず、帰って来てからも仕事だのなんだので甘えられず。だからですわ!!」

当たり前の様に言い切ったアテネに

「(やれやれ。また禁断症状か)」
「何ですのよ」
「いえ、別に」

キリカは呆れつつも特には言及せず、仕事に戻った。

それから暫くし、仕事終えたキリカは帰ったが、アテネは椅子に座って寛いでいた。
するとドアがノックされ、入室を許可すると

「し、失礼します」
「あら、朝風さん。態々お呼びだてして、申し訳ありませんでしたわね」
「い、いえ。それより、何の御用でしょうか」

お分かりの通り、理沙は緊張していた。アテネはクラスメイトだが、理事長室に個人的に呼び出されるなんて、余程の事だと思っているからである。

「貴方に、これをお渡ししようと思って」

アテネは封筒を差し出し、理沙は恐る恐る中を見ると

「な、何ですか、これ。請求書みたいですが」
「仰るとおり、請求書ですわ」
「な、何の?」

理沙が聞くと、アテネはやれやれと言った感じで首を横に数回振り

「それは貴方が「修学旅行中にハヤテのお金を勝手に使った」請求書ですわ。必ず払うように。分割可、ですわ」

請求書には結構な額が記載されていて、返済は大変そうだった。

「あ、あれは」
「ハヤテは奢るだなんて一言たりとも言って無いのに、勝手に決め、リタイアしているくせに自分の分まで請求するなんて、言語道断ですわ。請求するのは至極当然の事ですわ」

刺す様な視線を向けられた理沙は

「で、ですが」
「もし、払わない若しくはこれ以上渋るというなら、利子を1日につき100万円つけますが、良いんですの?」
「な!?り、理不尽な」
「訴えた所で、天王州家相手に勝てると、本気で思ってるんですの?」

こう言われては理沙は黙り込むしかなく

「で、どうするんですの?」
「は、払います、絶対に。ですから、利子の方は」
「よろしい。利子は無しですわ。ですが、絶対に返済する様に」

理沙は項垂れ、許可をもらって帰ろうとした。
すると

「ああ。返済が滞るようでしたら、利子は1日につき1千万円になりますから、お忘れの無いように」
「うう。鬼〜」
「何か言いましたか?」
「い、いえ。別に」

理沙は大慌てで帰って行った。

アテネは暫くしてから

「さて、次はっと」


                   × ×


一方の、三千院家。

「なあ、悠太」
「な、何だよ」

ナギは周囲を気にしつつ

「マリアなんだがな。旅行から帰って来てから、なんか変じゃないか?」
「奇遇だな。俺も感じてたよ」

2人はこっそり廊下を覗いた。
そこにはマリアさんがいて、普段通りメイドの仕事をしていたのだが、何というか雰囲気が普段と全然違うのである。

「私達、マリアに何かしたか?」
「いやあ。してねえと思うぜ」

室内に戻り、2人で考え込んだが全く分からず

「触らぬ神に祟りなし、だよな」
「カ、カユラ!?お前、何時の間に」
「さっきはいなかったぜ」

住人の1人であるカユラが何時間にか居て、お茶を飲んでいた。

「まあ、気にするな。それより、マリアさんだよ」
「「あ、はい」」
「ここに住む様になってそれなりに経つが、ああいう場合は何もしないのが一番だ。分かってるだろ?」

カユラの言葉に2人とも頷き

「何が何だか分からんが、こっちに矛先が向かないよう、「普段通り」を徹底するか」
「だよな〜。まあ、俺達が原因の可能性も捨てきれねえがな」

悠太の言葉にナギもカユラも無言を貫いた。

幸い?この会話は全てマリアさんに聞かれずに済んでいた。


                   × ×


一方。

「は〜っ、暇ねえ」

雪路は帰国後、普段生活している宿直室でだらけていた。

「賞金を獲得出来なかったし、その後も何も無かったしで。退屈だわ〜」

ブツブツと愚痴を零していると

「桂先生」
「うわあああああっ。り、理事長。いらしてたのですか」

ノックもせずにアテネが現れ、雪路は慌てて正座した。

「貴方にご報告があります。心して聞くように」
「は、はいっ」

雪路はいっそう背筋を伸ばし、アテネの言葉を待った。

「本日を以って、貴方を正式に「白皇所属のフリーの教員」に格下げいたしますわ」
「え!?そ、それっていったい」
「貴方は「教員が急病等で来られず、代理の教師もいなくて自習にする訳にはいかない場合」のみ仕事が与えられる、っと言う事ですわね」
「そ、それは」

狼狽える雪路にアテネは鋭い視線のまま続けた。

「別の世界史教諭なら、もう見つけてありますからご安心なさい。今迄貴方が担当して来たクラス等はその教員が引き継いで教えますから」
「じゃ、じゃあ私はどうなるのですか?」

すっかり元気をなくした雪路に

「貴方は基本、この宿直室に待機。生徒達が学校にいる時間帯はトイレを除いて部屋から出るのを禁止しますわ。さらに、最低賃金以外は支給しませんので、ご覚悟を」
「・・・」
「それに。家賃も徴収しますので」
「な!?」

驚く雪路に

「ご安心なさい。家賃は月千円ですから。有り得ない程低い家賃に感謝なさい」
「で、でも私にはその」
「流石に可愛そうなので、貴方が修学旅行中に負った借金は3000万円で許してあげますわ。少しづつでも、返済する様に」

言い切ると、帰ろうとしたアテネを呼び止め、

「な、何でそんな事に!?」
「何で!?分からないんですの?」

更に怖くなったアテネに雪路は震えつつ頷いた。

「貴方、ご自分が何をしたのかお忘れですか? 借金を背負ったのも、ゲームに負けたのも自業自得でしかないのに、それを逆恨みしてハヤテに何かしようとした何て言語道断!!!当然の報いですわ!!!」

「で、ですがそれは未遂で」

「未遂だろうと何だろうと、処罰は当然ですわ!!!クビにしなかっただけ、感謝なさい!!!」

アテネの殺気に雪路は更に縮み上がった

「言っときますが、辞めるのは別に構いませんよ」
「え!?」
「ただし、この白皇をクビになった教師を雇う学校が、あると良いですわね」

アテネの笑顔に雪路は心臓を握り潰されるような錯覚に襲われた

「勿論、他の再就職先やアルバイトは、我が天王州家が全力を持って潰しますから、ご理解を。つまり」
「辞めたら私は最期、って事ですよね?」
「ええ」

笑顔のアテネに

「うう。悪魔」
「あら?何か言いましたか?」
「い、いえ。ご加護を感謝しますって」
「そうですか」

アテネが出て行って少しすると、腰が抜けたように寝そべった。

「うう。どうすりゃいいんだ」

今迄の様な無計画の生活は出来なくなった事位直ぐに分かり、ヒナギクに頼る訳にもいないので、頭を抱えた。


                   × ×


一方。

「ハヤ兄〜♪」
「コラ、ハヤテさんにくっつき過ぎよ!!」

天王州家では、日向とソニアが何時も通り喧嘩していた。

「別にええやないか。ハヤ兄達が旅行中、ウチは全く会えなかったんやで。その分を補完しても、問題は無いやろ」
「大ありよ!!私だってハヤテさん達が旅行中は殆ど会えなかったのよ!!私がその分を補完したっていいじゃない!!あなた抜きで!!」
「ウチかてソニアお姉ちゃん抜きで甘えたいわ!!」

ハヤテの背中に抱き着いている日向と、腕に抱き着いているソニアは激しく睨み合っていた。

「(うう〜、良いな〜。私もハヤテさんとイチャイチャしたいな〜)」

こっそりとこの光景を見ていた恋葉はこう思っていた。


「貴方、子供のくせに生意気よ。ここは大人の私に譲りなさい!!」
「嫌や。大人のくせに子供のウチにあれこれ言うなんて、情けないんと違うか?」
「何ですって〜」

2人はハヤテから離れ、先程以上に激しく睨み合い

「「ム〜〜〜」」

アニメなら2人の背景に炎が燃え盛る状況にハヤテは溜息をつきつつ気付かれないように離れた。


「やれやれ。帰って来てそうそう大変だな〜」
「ニャ〜」
「何とか仲良くしてほしいもんだよ」
「ニャ〜」

ハヤテは抱っこしているシラヌイの背中を撫でつつ愚痴を零していた。
そんなハヤテにシラヌイはゴロゴロと喉を鳴らしつつも心配そうに鳴いていた。
ちなみ、日向とソニアが喧嘩中もシラヌイを抱っこしていました。

「ねえシラヌイ、皆さんが仲良くなって出来ないのかな?」
「ニャ〜」

ハヤテは直感的に「無理だと思うわよ」っと言っている様に聞こえた。

「さて。シラヌイ、抱っこはもう良いね」
「ニャ〜」

ハヤテが降ろすと、不満そうに泣き声を上げ、抱っこを続ける様に何度もジャンプをしながら訴えて来た。

「もう、しょうがないな」
「ニャ〜♪」

ハヤテが再度抱っこすると、シラヌイはまた喉を鳴らし始めた。

「シラヌイが満足するまで、駄目だなこりゃ」
「ニャ〜」

結局長い事抱っこする羽目になったそうだ。

勿論?帰宅したアテネや千桜やルカも言い争いに参加し、ハヤテが疲れる羽目になったのは言うまでもない。


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以上です。

次回は未定です。

では。
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Re: 女神と共に第四部 2nd ( No.1 )
日時: 2019/02/04 20:04
名前: ささ

えっと、天王州邸はいつからハーレム御殿になったのでしょうか?天王州家メイド長
そして、瑞希さん、この現状をどう見ますか?あと、
理沙、いつぞやかアテネ言ってたのよね…「ハヤテを頼りすぎると身を滅ぼす」と退学にならなくて良かったんじゃない!泉を見習いなさい!(あのくzじゃなかった変態執事とハヤテと(不適切な行為)をして(さらに不適切な行為)をして(さらにさらに不適切な行為)をするのは私(俺)と毎日言い争ってるのだがら)えっ、泉さん、違うの?
ちなみに(不適切な行為)で顔を赤く染めた人、何想像してるの?(ニヤニヤ)
きっと旅先でハヤテが大勝して絶賛悔しがり中の誰かさんに伝えてこよー
(ナギを含め先程頬を染めた人のリストを手渡す)
ハヤテ、アテネがあのダm…じゃなかった雪路をクビにしないどころか最低賃金は払うって!あんだけやらかしてるのにいつぞやかのように現物支給じゃなくて!女神様だよ!褒めてあげて「アーたん優しいね」って


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Re: 女神と共に第四部 2nd (2月6日更新) ( No.2 )
日時: 2019/02/06 17:45
名前: masa

こんにちはmasaです。

レス返しの更新です。


 ●ささ さん

 アテネ「感想ありがとうございます♪」

 >>えっと、天王州邸はいつからハーレム御殿になったのでしょうか?天王州家メイド長

 メイド長「さあ? まあ、ハヤテ坊ちゃんの性格等々を考えたら、何時なってもおかしくは無い状況でしたけどね」
 アテネ「・・・」

 >>そして、瑞希さん、この現状をどう見ますか?

 瑞希「まあ、皆が楽しければ良いがの。 個人的には曾孫が見たいんじゃがな」
 アテネ「お、お婆様//////////////////////」

 >>あと、
  理沙、いつぞやかアテネ言ってたのよね…「ハヤテを頼りすぎると身を滅ぼす」と退学にならなくて良かったんじゃない!

 理沙「そ、それはそうだが。 あそこまでキレられるなんて、思って無かったんだよ〜」
 アテネ「当然の処分ですからね♪」

 >>泉を見習いなさい!

 泉「エヘヘ♪」
 理沙「・・・泉のくせに〜」

 >>(あのくzじゃなかった変態執事とハヤテと(不適切な行為)をして(さらに不適切な行為)をして(さらにさらに不適切な行為)をするのは私(俺)と毎日言い争ってるのだがら)えっ、泉さん、違うの?

 泉「チ、違うよ〜。そ、そんな事してないよ〜」
 虎鉄「ま、綾崎は俺のだがな」

 >>ちなみに(不適切な行為)で顔を赤く染めた人、何想像してるの?(ニヤニヤ)

 泉「そ、それは////////////////////」

 >>きっと旅先でハヤテが大勝して絶賛悔しがり中の誰かさんに伝えてこよー

 誰か「・・・」

 >>(ナギを含め先程頬を染めた人のリストを手渡す)

 誰か「・・・」
 クラウス「な、何じゃ、この沈黙は」

 >>ハヤテ、アテネがあのダm…じゃなかった雪路をクビにしないどころか最低賃金は払うって!あんだけやらかしてるのにいつぞやかのように現物支給じゃなくて!女神様だよ!褒めてあげて「アーたん優しいね」って

 ハヤテ「まあ、アーたんは普通の事をしただけだと思いますけどね」
 アテネ「・・・」

 ハヤテ「アーたんは美しき女神様の様に優しいね」
 アテネ「も、もう/////////////////////////////」


 感想ありがとうです〜♪

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Re: 女神と共に第四部 2nd (2月6日更新) ( No.3 )
日時: 2019/02/06 18:00
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
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ここは毎度お馴染み三千院家。


「あ〜っ、暇なのだ〜」
「・・・」

だらけているナギに悠太は呆れつつ

「なあお嬢様、そんな風にだらけてるけど、最近漫画書いてるのか?」
「・・・」
「ルカは忙しくても何とか時間を見つけて書いてるらしいぜ」

悠太の言葉にナギは上半身を起こし

「漫画と言えばさ、最近作者が愛読しているサ○デーで最終回を迎える漫画が出て来てるよな」
「ああ。作者も好きで、単行本も買ってる漫画も終わりそうな雰囲気だし」
「だろ?まあ、新連載や長期休載から戻ってきた漫画もあるし、帳尻は取れてるんだろうけどさ」

しんみり言うナギに

「話を逸らすな。書いてるのかよ、漫画」
「・・・」
「10年後にルカと再戦するんだろ?ルカは進化を続けてるのに、この調子じゃまた負けるぞ」

悠太の言葉にナギは項垂れた

「(また負けてくれた方が面白んですけどね〜♪そうすれば究極的に追い詰めてコレクション出来ますからね〜♪そんな事になれば♪ああ♪)」

「だ、だがな、悠太よ。色々と忙しかったじゃないか」
「旅行から帰って来て時間はあったろ?数日とはいえ」
「そ、それは、そうだが」

言葉に詰まるナギに悠太は溜息をつき

「折角想像出来ない様な壮絶な体験を修学旅行でしたんだから、その体験を活かせばいいだろ」
「そ、そうだよな。あんな体験貴重なんだし、漫画風に多少のアレンジを加えれば、漫画賞はいただきだな」
「そうそう、その意気だよ」

立ち上がったナギは拳を握って闘志を燃やし

「よしっ、漫画を描いてくる。出来たら見てくれよな」

そう言ってダッシュで部屋を出て行った。
入れ替わるようにカユラが居間に来て

「ナギの奴、どうしたんだ?やる気に満ちた顔をしていたが」
「漫画書くんだと。出来たら見てほしんだと」
「ま、見てやるか。折角暇だし」


                   × ×


それから暫くし。

「おい、悠太。カユラもいたのか、丁度良い」
「悠太っちから話は聞いてるぞ。で?」
「まだネームだが、出来たぞ。ホレ」

2人がネームを見ると

「「な、何だよ、これ」」
「何って、漫画だろ」
「そうじゃなくて。悠太っちに「修学旅行での体験を基に」漫画を描くって言ったんだろ?」

カユラの言葉にナギは首を傾げつつ

「だから、主人公がビュッフェ好きってとこに」
「活かせてねーだろ。あの色々あり過ぎた旅行をよ!!」

悠太のツッコミにナギは笑いつつ眼鏡を直す仕草をし

「冗談だよ。いや、ボケたっと言うべきかな」

この言葉に悠太もカユラもカクッとなり

「ナイスツッコミだ。咲夜も褒めると思うぞ」
「「ああ、そうですか」」
「こっちが本物だ。ホレ」

ナギが見せてきた漫画は冒険物で、多少の脚色はあるものの、修学旅行での体験が基になっていて

「お、面白いじゃないか。やるな、ナギ」
「体験者だから余計に面白く感じるが、それを抜きにしてもおもしれえぜ」
「そうだろそうだろ。だが、そいつはまだ未完成だ」

ナギの言葉に悠太もカユラも驚き

「ど、どういう事だ?」
「私の中じゃそいつの完成度はまだ60%位ってとこだよ。まだまだ精進しないと」

不満そうに言ったナギに

「(ふざけんじゃねえぞ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!何ちゃんとした漫画書いてんだ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!もっといい加減な漫画書きやがれ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!徹底的に酷評してやろうとしたのに台無しじゃねえか!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!使えねえゴミクズやろうが!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!)」

とか思った人がいたそうだが

「お前、成長してるな」
「そうか?まあ、お前を始めとした恋のライバル達のお陰かもな。成長しなきゃこの戦いに勝てないし」

言われたカユラも笑みを浮かべ

「漫画は褒めてやるが、恋と言う名の戦争は褒めてやらんぞ」
「良いよ、別に。じゃ、完成度を高めて来るから、ネーム返してくれ」

ナギにネームを返し、また部屋を出て行ったナギを見送った後

「私も頑張らんとな。絶対に負けたくない戦いだし」
「ま、俺は応援しか出来ねえがな」
「悠太っちはナギだけ応援してろよ。私は私で頑張るよ」
「そっか」


                   × ×


それから数日後。
ナギは天王州家の千桜の部屋に来ていた。

「で?どうなのだ?」
「ふ〜む」

ナギ曰く、完成度を93%まで上げたネームを千桜に見せ、感想を求めていた。

「面白いじゃないか。賞を取れる可能性がかなり高いと思うぞ」
「おお、そうか。ありがとうな、千桜」
「あの壮絶な旅行はお前にとって、良い刺激になったみたいだな」

千桜は素直に褒めたが

「まだだよ。作者も言ったがこいつの完成度は93%なんだ。100%に出来なきゃ、意味は無い」
「そうか。手伝える事があるなら言ってくれ。私が出来る事は全部やるよ」
「じゃあ、早速頼むよ。道具、持ってきたし」
「その大きい鞄はそれか。良いよ」

その後、2時間程かけて完成度を98%まで上げ

「今日はこれまでだな。後は自分で考えるよ」
「頑張れよ。聞いたと思うが、ルカだって漫画書いてる」
「知ってる。なあ千桜、実際の所、私とルカの実力の差はどれ位なのだ?」

聞かれた千桜は考え込んだ

「お前の主観でいいよ。気なんか遣うな。そんな事したら、私は友達を止めるよ」
「分かったよ。 確かに、この漫画は面白い。だが、何日か前に見せて貰ったルカの漫画はまだまだ上だ」
「そっか」

落ち込むと思ったが、ナギは軽く笑うだけだった。

「ありがとな、正直に言ってくれて」
「お前が気を遣うなって、まあいいか」
「だが、現状の私じゃこれが限界だ。だが、もっともっと上を目指す。今はこいつを完成させる事が先決だ」

ナギはネームを見直し始めた。
すると

「千桜〜、居る〜?」
「居るぞ〜」

ドアをノックしつつ声がし、千桜が返事するとドアが開いた。

「仕事が早く終わったからゲームでも・・ナギもいたんだ」
「ルカ」

ナギは睨み付ける様な視線をルカに向け

「ナギもどう?一緒にゲーム」
「・・そんな事より。聞いたぞ」
「何を?」

首を傾げるルカに

「お前の漫画のレベルだ」
「へえ。ナギがここに居るのって、漫画か」
「ああ。まだネーム段階だが、お前にも見せる。自分との力量差を確かめてくれ」

ルカはネームを受け取ると、読み始めた。

「・・どうだ?」
「面白いじゃん。  でも、私の方がまだ上だよ」
「じゃあ、見せてみろ」
「良いよ」

ナギ、ルカ、千桜はルカの部屋に移動し、最近ルカが書いている漫画を見せて貰った。

「ック。お前、またレベルを上げたな」
「まあね〜」
「だが、今は負けてても、10年後には勝ってやる」

ナギとルカは睨み合い。

「もう帰る。こいつを完成させ、投稿する。 そしてさらなるレベル向上をする」

そう言い残し、帰って行ったナギを見送った後

「どうなんだよ、実際の所」
「危ない、かもね。同人誌対決の時より、随分レベルが上がってる。こりゃ油断ならないね」
「まあ、私はどっちかだけの味方はしないからな」
「それでいいよ」

ルカも更なるレベル向上を誓った。

果たして、10年後はどうなる!?


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以上です。

次回は未定です。

では。
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Re: 女神と共に第四部 2nd (2月9日更新) ( No.4 )
日時: 2019/02/09 12:45
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
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ここは毎度お馴染み天王州家。


「良い朝だな〜」

ハヤテは仕事中、こんな風に呟いていた。
すると

「ん!? あ、シラヌイおはよ」

シラヌイが何時もの様に足にすり寄った来たので、抱っこしつつ挨拶した。
抱っこされたシラヌイはゴロゴロと喉を鳴らして喜んでいた。

「やれやれ。修学旅行から帰って来てから、何時も以上に甘えん坊だね。 まあ、良いけどね」

甘え声を出すシラヌイにハヤテは暫く抱っこしつつ背中を撫で

「さ。僕はもう仕事しないといけないから、抱っこは終わりね」

シラヌイは不満そうだったが、納得した様に何時も通り少し離れた位置に移動した。

その後少しの間仕事をしていると

「ハヤテ様、おはようございます。今日もお願いします」
「恋葉さんおはようございます。こちらこそお願いします」

恋葉が出勤してきて、挨拶を済ませると何時も通り一緒に仕事を始めた。

「あ、そうだ。僕が修学旅行で居ない間、仕事はどうでした?」
「特にこれと言って報告する事は無いですよ。メイド長も、他の方々も優しくしてくれましたし」
「そうですか」

ハヤテは安心の笑みを浮かべた。

「ハヤテ様は修学旅行はどうだったんですか?」
「まあ、「壮絶な旅路」っと言いましょうかね」
「なんか、聞きたい様な、聞きたくない様な」

曇ったハヤテの表情で、恋葉は色々と察したようで

「やっぱ、止めておきます、聞くの」
「まあ、僕もあんまり思い出したくは無いってのもありますがね」

その後は特に会話も無く、お互いに仕事に集中した。


                   × ×


「ハヤ兄〜♪」

今日も今日とで日向はハヤテに甘えており、他の女性陣(ルカは仕事で不在)の殺気を浴びていた。

「日向さん、ハヤテさんに甘えすぎよ」
「そうだぞ。う、羨ましいじゃないか」

ソニア、千桜の文句を無視する様に甘え、

「離れなさい!!私だって抱き着きたいのよ」
「わ、私だって」

ソニアも千桜もハヤテに抱き着いた。当然

「2人とも何してるんや!!離れろや!!」
「「嫌です!!」」

3人は睨み合い

「貴方ねえ。最近ハヤテさんに甘えすぎよ」
「そ、そうだぞ。ちょっとは遠慮しろ」
「嫌や!!」

日向は抱き着く力を少し強め

「ウチはなあ。ハヤ兄が旅行に行っとる最中、会えすらしなかったんや。九泊十日もやで。溜まりに溜まったうっぷん、晴らしてもええやないか」
「わ、私だってハヤテさんとは」
「少しは会えたやないか。ソニア姉ちゃんはメイド長はんの許可をもらって追いかけたやないか」
「あ、あんなので満足出来る訳無いでしょ!!」

日向はソニアと少しの間睨み合い

「千桜お姉ちゃんもなんで抱き着いてるんや?」
「そ、そんなの言うまでもないだろ」
「フンッ」

不満げに鼻を鳴らし

「千桜お姉ちゃんは一緒に修学旅行に行ったやないか。それで十分やろ」
「な、何を言ってる!!大変過ぎる旅行だったんだ。イチャイチャする暇なんかあるか!!」
「そんなん関係ないで!!一緒に行ったって事実は変わらんやろ!!」

激しく睨み合う3人に、ハヤテは

「(やれやれ。なんでこんな風に喧嘩するんだろ。仲良くしてほしいのに)」

喧嘩している理由など微塵も分からず、殆ど不可能に近い願いを思っていた。
すると

「貴方達、いい加減になさい!!」

アテネが声を荒げ、ハヤテはこの喧嘩を止めてくれるものだと思ったが

「ハヤテは私のですわ。甘えて良いのも私だけですわ」
「「「・・・」」」
「つまり、貴方達の言い争いもただただ無意味なだけ。時間の浪費ですわ」

言い切ったアテネに当然

「何寝惚けた事言ってるんや?ハヤ兄はウチのやで」
「違うわよ。ハヤテさんは私のよ」
「いいや、それも違う。ハヤテ君は私の物だ!!!」

4人に抱き着かれ、ハヤテは溜息をつきつつ

「あの。日向さんは兎も角、何でみなさんまでこんな風に」
「ハヤテ、何で日向さんだけ例外なんですの?」
「そうよ。不公平よ」
「執事なら平等にだな」

不満があがり、ハヤテは

「あ、いや。それは」
「ウチがまだ子供やから、やろ?皆は違うやないか」
「それを言うなら、私たち全員子供ですわ!!成人してませんし」

アテネの言葉にソニアも千桜も頷いた。

「兎も角、この家の主は私ですわ!!世話になっている自覚があるなら、自粛なさい!!」
「それはそれ、これはこれやで」
「そうよ!!」
「その通りだ!!」

激しく睨み合う4人にハヤテは嵐が過ぎ去るのも待つほかなかった。

「(いいな〜、4人とも。あんな風に気軽にハヤテ様にいちゃつけて)」

恋葉は羨ましそうに一部始終を眺めていた。


                   × ×


その日の夜。

「ハヤ兄、一緒に風呂に入ろうや」
「「「な!?」」」
「別にええやないか。ハヤ兄が旅行中はな」

千桜が日向を遮る様に

「ちょっと待て!!ローテーション的には今日は私の日だ!!譲って等やる物か!!」
「ケチケチすんなや。ウチはな、我慢してたんやで。ウチかて譲らんわ!!」

睨み合う日向と千桜に

「それを言うなら、私だって我慢してたんですわ!!私だってハヤテと一緒に入りたいですわ」
「私だってそうよ!!!私も我慢してたんだから、私と一緒に入るべきよ!!!」

アテネとソニアも参戦し、激しい言い合いになった。
ハヤテは何とか宥め様としたが、全員聞く耳を持たなかった。
すると

「皆さん、そんな風にしててハヤテ坊ちゃんが困ってるじゃないですか」

メイド長が颯爽と現れて、言い合いを取り敢えずは修め、

「この家のお風呂は広いんですから、皆さん一緒に入ればいいじゃないですか」
「「「「・・・」」」」
「そうすれば不公平は無し。言い合いもお終いになります」

4人は少しだけ考え

「ま、それで手を打ちますわ。異議は」
「「「無い!!!」」」

「あの、僕の意見は・・通らないですよね、はい」

4人の顔色でハヤテは直ぐに意見をひっこめた。

結局5人で入る事になった。


                   × ×


入浴後。

「さて、問題はまだ終わってないで」

日向はいきなり切り出し、全員の顔色を窺い

「誰がハヤ兄と一緒に寝るかや。風呂はまだええけど、どうするんや?」
「成程。それは大問題ですわね」
「お風呂以上の、ね」
「ああ。解決せねばな」

意見を言った所で通らないので、ハヤテは沈黙を守った。

「ここは公平に、ウチやろ。ウチはまだ子供やし」
「それは公平とは言いませんわ」
「そうよ。この場合は大人も子供も関係ないわ」
「そうだ。寧ろ不公平だ」

睨み合う4人にハヤテは隙を見て逃げ出した

「しゃあない。ここは「公平に」じゃんけんや」
「それならいいですわ」

手の内を読み合う4人はかなりの接戦になった。
すると途中で

「ちょっと待った。ハヤテ君は何処に行ったんだ?」
「逃げられましたわね。追いかけますわよ」

しかし、ハヤテの部屋を含めて屋敷内を探し回ったが、居なかった。


「エヘヘ〜♪ハヤテく〜ん♪」
「あ、あの、ルカさん」

ハヤテはルカの部屋におり、ルカは厳重に鍵をかけてアテネ達が入って来れない様にしていた。その上で、ハヤテと一緒にベッドに入っていた。

「お風呂はチャンス逃しちゃったけど、一緒に寝るのだけは逃さないからね」
「は、はあ」

ハヤテはアテネ達から逃れ、自分の部屋に向かっている最中にルカに捕まり、そのまま部屋に連れ込まれたのである。

「もう寝よっか。お互いに明日も早いし」
「そ、そうですね」

何とかアテネ達にはばれなかったそうだ。


                   × ×


翌日もアテネ達は大喧嘩し、ハヤテやメイド長達が宥めても、効果は無かった。

暫くの間は静観を決め込んでいたが、何やらよからぬ流れに行きそうになったので、ハヤテは逃げ出した。

「また逃げられたか」
「フンッ。行き先など、想像出来ますわ」




「さあ、素直に白状なさい!!」
「だから、知らねえって」

アテネ達は三千院家に乗り込んでおり、ナギ達を尋問していた。

「素直になれば、痛い目に遭わなくて済みますのよ」
「知らんもんは知らんって。なあ、お嬢様」
「ああ。正直、ハヤテには頼って貰いたかったが、今回ばっかは知らないよ」
「そんなに言うなら、調べればいいだろ。そうすれば巨乳先輩たちの疑いも晴れるってもんだ」

カユラの言葉にナギも了承し、三千院家を虱潰しに探したが、ハヤテはおらず

「じゃあ、何処に行ったんですの」
「知らんよ。少しすれば戻ってくんじゃねえか?」
「そんなの待ってられませんわ」

あっと言う間にいなくなったアテネ達に悠太は呆れ

「やれやれ。ハヤテの苦労には同情するぜ」
「だよな〜。っとはいえ、羨ましい。私だってハヤテとイチャイチャしたい」
「同感だな。私もイチャイチャしたい」

流石にナギとカユラは参加しなかった。

因みに

「(ふざけんじゃねえぞ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!何でこの家に来ねえんだ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!そうすれば色々と面白い事があったじゃねえか!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!俺様のコレクションの邪魔すんじゃねえ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!クズが!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!)」

とか思った人がいたそうだ


                   × ×


肝心のハヤテはと言うと、

「成程。それで私の所に」
「すみません。ご迷惑をかけて」
「いえいえ。頼ってくれて嬉しいですよ、ハヤテ様」

ハヤテは鷺ノ宮家に逃げ込んでおり、流石のアテネ達も盲点だったのである。

「暫くは帰れないでしょうし、ほとぼりが冷めるまで家にいてください。私は構いませんし」
「助かります。そして、お世話になります」

ハヤテは頭を下げ、お礼を伝えた。
すると

「あら、綾崎君いらっしゃい」
「こんにちは」
「話は聞いてるわよ。お母さんの事も頼ってね」

初穂さんが部屋に来て、嬉しそうに言って来たので、ハヤテは初穂さんにも頭を下げた。

鷺ノ宮家では特に何も無く(強いて言うなら銀華さんがハヤテにくっ付いて来たので伊澄と喧嘩になった位)、2〜3日お世話になった後天王州家に戻った。


天王州家に戻った後も何時も通りアテネ達が火花を散らしていたが、修学旅行前には戻り、ちょっととは言え平和になった。

「(やれやれ。大変だけど、何とか日常が戻って来たよ。 こんな日々が、ずっと続いてほしいな)」


しかし、悲劇へのカウントダウンは確実に進み、もう皆無の所にまで来ていた。
それはこの時、誰一人として気付いていなかった。


-----------------------------------------------------------------------------------
以上です。

次回は未定です。

では。
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Re: 女神と共に第四部 2nd (2月9日更新) ( No.5 )
日時: 2019/02/10 20:03
名前: ささ

そりゃまあ、ハヤテが頼ってくれたら嬉しいですよね〜ハヤテloversの皆さん?
あれルカ、帰ってから恋人らしいことやっていない気が…
アテネ、ソニア、千桜、ルカ、(ええっと愛沢家の…三じゃなかった次女の…)日向に提案
これからも一緒に入ったらいかがですか?
ところでアテネ、ある程度探してハヤテがいないなら使用人にハヤテ探させればよかったのでは?
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Re: 女神と共に第四部 2nd (2月12日更新) ( No.6 )
日時: 2019/02/12 17:30
名前: masa

こんにちはmasaです。

レス返しの更新です。


 ●ささ さん

 カユラ「感想感謝するぞ♪」

 >>そりゃまあ、ハヤテが頼ってくれたら嬉しいですよね〜ハヤテloversの皆さん?

 ハヤテlovers「それは勿論」
 悠太「やれやれ」

 >>あれルカ、帰ってから恋人らしいことやっていない気が…

 ルカ「そりゃ、私だってイチャイチャしたいよ。でも、しょうがないじゃん。仕事が忙しいんだもん」
 集「まあ、ルカには我慢してもらうしかないわね。アイドルなんて職種選んでいる以上は」

 >>アテネ、ソニア、千桜、ルカ、(ええっと愛沢家の…三じゃなかった次女の…)日向に提案

 アテネ「あら、何ですの?」
 ソニア「何なの?」
 ルカ「名案だと良いけど」

 千桜「一応聞いておくか」
 日向「せやな」

 >>これからも一緒に入ったらいかがですか?

 全員「それは嫌だ!!」

 メイド長「皆さん、ハヤテ坊ちゃんの事になると独占欲が出ますからね。「ハヤテ坊ちゃんと2人きり」が良いんですよ」

 >>ところでアテネ、ある程度探してハヤテがいないなら使用人にハヤテ探させればよかったのでは?

 アテネ「そうなんですが、ハヤテの事になると手伝ってくれないんですわ!!まったくもう」
 メイド長「・・手伝わない方が良いから、ですよ。皆さんがハヤテ坊ちゃんをどんな目に合わせるか容易に想像出来ますし」


 感想ありがとうです〜♪

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Re: 女神と共に第四部 2nd (2月12日更新) ( No.7 )
日時: 2019/02/12 18:02
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
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ここは毎度お馴染み天王州家。


その家の前で口を半開きにして茫然としている人物がいた。
恋葉の弟であるカンタだ。

「す、すげえ。姉ちゃん、こんな所で働いてるのか」

流石に思考が追い付かず、暫く茫然としていたが

「あ、そうだった。こんな事してる場合じゃなかったんだ」

やっと整理出来て、チャイムを鳴らした。


                   × ×


一方の恋葉は何時も通りハヤテと仕事をしていた。

すると

「失礼します。恋葉さんにお客さんですが」
「え!?私に!?」

まだ新人である自分にお客が来た事に驚き、伝えに来たメイドに

「えっと。誰ですか?」
「牧瀬カンタっと、名乗りましたが。どうします?」
「あ。それ、弟です。えっと」

流石に自分1人じゃ判断しきれないので、ハヤテを見ると

「別にいいんじゃないですか?恋葉さんの弟でしたら」
「分かりました」

メイドは携帯を取り出し、少しの会話の後

「直ぐにここまで案内してくるそうです」

そう伝え、お辞儀をすると去って行った。

「カンタ、どうしたんだろ」

暫くすると、別のメイドに案内され、カンタがやって来た。

「いや〜、でっかい家だね〜。家とじゃ全然違うな〜」
「そ、そうだね。それより、どうしたの、急に。な、なんかあったの?」

恐る恐る聞く姉にカンタは何事も無い様に明るく

「だって、母ちゃんが「姉ちゃんの様子を見て来い」って。俺も気になってたから丁度いいかなって」
「なんだ。ちょっとだけ心配して損した」

恋葉は溜息をつき胸を撫で下ろしていた。

「お久しぶり、ですね。カンタさん」
「お〜、ハヤテ様じゃん。俺の「将来の兄ちゃん」の」
「そんな事は無いと思いますが」

ハヤテは訂正したが、カンタは聞いておらず

「姉ちゃん姉ちゃん」
「何?」
「折角来たんだからさ、ここでどんな事してるか見せてよ」
「はいはい」

一応許可をもらい、案内を兼ねて普段の恋葉の仕事っぷりを見せる事にした。


                   × ×


時間を飛ばし、昼過ぎ

「いや〜っ、ここってすげえよな」
「何が?」

休憩中、姉弟で寛いでいると、いきなり切り出してきた。

「凄い広いし、過ごしやすいし。さっき出してもらったお昼ご飯も美味しかったし」
「まあね」
「今迄は、姉ちゃんは帰って来た時は何時も疲れてたのに、ここで働く様になってからそんな事無い様に見えるのは、何か分かるな〜」

カンタは天王州家に来た時から割とテンションが高いのである。

「ホント、良い働き口を紹介してくれて感謝してるよ。前も言ったと思うけど、やりがいもあるし」
「うん、姉ちゃん見てて俺も感じた」

すると、兄弟の会話が一旦途切れると、カンタが恋葉の顔をジッと見つめ

「なあ姉ちゃん」
「ん!?」
「ハヤテ様と、チューしたのか?」

いきなり聞かれ、恋葉は飲んでたお茶を吹きだした

「な!?何をいきなり」
「母ちゃん言ってたぞ。姉ちゃん位の年だと、好きな人とチュー位普通だって」
「(お母さん、カンタに何吹き込んでんのよ)」

母親に呆れていると、

「どうなんだよ〜。教えろよ〜」
「言いません」
「チェ〜。あ、じゃあさ」

今度は何が来るのかと身構えると

「一緒にお風呂は入るのか?」
「な、何の話よ!!」
「だって関西弁の女の子が言ってたぜ。好きな男女なら普通だって」

今度は心の中で日向に愚痴を零した。

「どうなんだよ〜」
「は、入りません!!夜には私は家にいるでしょ!!」
「ん!?夜もいたら一緒に入るみたいに聞こえたぞ〜」

弟の弄りに恋葉は急に立ち上がり

「さ、仕事に戻らないと」
「教えろよ〜」

休憩室を出た後も弟の追及は続いた。
すると、偶然にもハヤテに出くわし

「ハヤテ様〜、姉ちゃんと風呂に入らねえのか?」
「は!?」
「ハ、ハヤテ様。答えなくていいですからね!!」

恋葉は止めたが、

「だって。あの綺麗なお姉さん達と風呂に入ってるんだろ?」
「そ、それは」
「だったら姉ちゃんと入ってもいいって訳だ」

ニヤニヤしながら言うカンタに

「い、いい加減にしなさい!!!」
「うわっ、姉ちゃんが怒った」
「ハヤテ様に迷惑かけないの!!!ここじゃお姉ちゃんの上司なの!!!偉い人なの!!!」

姉に叱られ、カンタは流石に落ち込んだ。

「まあ、恋葉さんとは入ってませんよ。第一、恋葉さんは僕とじゃ嫌がりますって」
「そ、そんな事無いです。ハ、ハヤテ様とだったら、その////////////////////////////」
「はい?何かおっしゃいました?」
「い、いえ、別に」

誤魔化す様に恋葉はこの場を去った。
すると、付いて来たカンタが

「聞こえたぞ〜。ハヤテ様となら入ってもいいんだ〜」
「カンタ〜」
「逃げろ〜」
「待ちなさ〜い」

姉弟の追いかけっこに、天王州家の面々はほほえましく見ていたそうだ。

帰宅後

「カンタ、恋葉はどうだったの?」
「ハヤテ様とイチャイチャしながら仕事してた」
「し、してないでしょ!!!嘘を教えないで!!」

すると、母はニヤリッと笑い

「カンタ、お兄ちゃんが出来るのも時間の問題だねえ」
「お、やっぱり」
「恋葉、子供は何人の予定なの?早く孫の顔が見たいよ」
「俺も見たいぞ〜。姉ちゃんとハヤテ様の子供」

2人の言葉に恋葉は顔を真っ赤にし

「も〜、2人とも〜」
「「ニヤニヤ」」


                   × ×


数日後。

牧瀬家の前にある人物がいた。
誰かと言うと、綾子である。

「(最近ハヤテ様を狙う輩が増えたと報告を受けて来てみれば、何ですの、このボロ家は)」

恋葉の事は当然掴んでおり、様子を見に来たと言う訳である。

「(外見もそうですが、中も相当ボロイですわね。こんな家の女がハヤテ様を狙っているというんですの)」

こっそり室内を除き、綾子はこんな感想を漏らしていた。
すると

「おや?お客さんですか?」
「いえ、ただの通りすがりですわ」

恋葉の母親に見つかり、綾子は直ぐに立ち去り

「(ともかく、敵情視察ですわ)」

こう決意し、天王州家に急いだ。


「ハヤテ様〜♪」
「あ、あの、神尾崎さん」

綾子は来て早々ハヤテに抱き着き、何時もアテネがやっている様に後ろからしがみついていた。

「お気になさらず。こうしたいだけですわ」
「は、はあ」

流石に慣れ始めたハヤテは特に言及せず仕事に戻った。
すると

「ハヤテ様、また女を作ったというのは本当ですの?」
「へ!?な、何の事ですか?」
「牧瀬恋葉とかいう女ですわ。どうなんですの?」

綾子の冷たい声色にハヤテは

「あ、いや。あ、あの人は、仕事に困ってたのでここを紹介しただけでして」
「へ〜、そうなんですの」

追及して来ない綾子にハヤテは冷や汗を流しつつも、仕事を続けた。

「あの、ハヤテ様。そちらは?」
「え!?ああ。こちらは」
「神尾崎綾子、ハヤテ様の婚約者ですわ」

恋葉はハヤテに婚約者がいる事は知っていたので、特に驚かず

「貴方が」
「ええ、以後お見知りおきを」

ハヤテは気付かなかったが、綾子と恋葉の間には微妙な空気感が漂っていた。

「(ハヤテ様の事をそんな風に呼んでいいのは私だけですのに)」
「(この人が、ハヤテ様の婚約者候補No.1。アテネお嬢様以上に厄介な相手)」

お互いに警戒し

「(何としても、見極めなければいけませんわね。私のライバルに相応しいかどうか)」

その後、綾子はハヤテにくっ付いたまま恋葉を見極めた。
まあ、ずっとハヤテに抱き着いている事でアテネ達と激しい言い争いにはなったが。


そして夕方、恋葉が帰る時間。

「(どうやら、恋葉さんはどことなくハヤテ様に似てますわね。ハヤテ様に惹かれたのも、何となく納得ですわね)」

綾子は今日1日の観察でこう判断し

「(一応、ライバルとして認めてあげますわ。まあ、ハヤテ様は私の物ですから、あげませんけど)」

一応は恋葉を認めた。

因みに、綾子は天王州家に泊まり、ハヤテと一緒にお風呂に入ったり一緒に寝たりしました。
勿論、アテネ達と大喧嘩になりましたが。


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以上です。

次回は未定です。

では。
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Re: 女神と共に第四部 2nd (2月12日更新) ( No.8 )
日時: 2019/02/12 20:17
名前: ささ

アテネ、ハヤテよりも上なんだから、ハヤテ捜索の件は強くいえばやらざるを得ないのでは?(その後ハヤテから怒られそうだけど)もしかしてseries1からずっとこうなの?
最近、このようにハヤテをめぐる言い争いがあると「平和だなぁ」と感じてしまいます。「例(ミダス)の件」を知ってる悠太さん、私は変でしょうか?
まぁ、アテネの目の黒いうちはないけど、もしメイド達に「ハヤテと風呂入ってもいい(ただし階段を昇るのはダメ)」っていうお達しがあったらどうなるんだろ?メイド長を除く独り身の人は勿論だが、彼氏持ちの人も分からんな…
その場合、メイド長はどうしますか?「可愛い弟子」と…

ところで、綾子が乱入しなかったら順番だった不運な方は誰ですか?

あと、綾子といい麗といい人使って疾風の周囲を探っているなんて…ハヤテのこと好きな人って変態なのか?(1名+αは確定だけど…)ともかく羞恥心を時空の彼方へ置き去りにした人多数だけど…(ハヤテ、そうでしょ?寝るのはともかく風呂の時…)
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Re: 女神と共に第四部 2nd (2月15日更新) ( No.9 )
日時: 2019/02/15 17:30
名前: masa

こんにちはmasaです。

レス返しの更新です。


 ●ささ さん

 日向「感想感謝やで♪」

 >>アテネ、ハヤテよりも上なんだから、ハヤテ捜索の件は強くいえばやらざるを得ないのでは?(その後ハヤテから怒られそうだけど)

 アテネ「そ、そうなんですが。何故か駄目なんですわ」
 メイド長「我々としては妥当な判断なんですけどね」

 >>もしかしてseries1からずっとこうなの?

 メイド長「いえ、昔は違いましたよ。ここ最近です。アテネお嬢様にライバルが急激に増えてからです」

 >>最近、このようにハヤテをめぐる言い争いがあると「平和だなぁ」と感じてしまいます。「例(ミダス)の件」を知ってる悠太さん、私は変でしょうか?

 悠太「別に普通じゃねえか?何気ない日常こそが、な」
 アテネ「・・・」←納得いってない。

 >>まぁ、アテネの目の黒いうちはないけど、もしメイド達に「ハヤテと風呂入ってもいい(ただし階段を昇るのはダメ)」っていうお達しがあったらどうなるんだろ?メイド長を除く独り身の人は勿論だが、彼氏持ちの人も分からんな…

 メイド長「彼氏持ちは流石にないと思いますが・・。まあ、アテネお嬢様達を羨んでいるメイド達は結構いるので、迷い無く一緒に入るでしょうね」

 >>その場合、メイド長はどうしますか?「可愛い弟子」と…

 メイド長「私はありえません。私とハヤテ坊ちゃんの間には「師弟関係」以外一切ありません」

 >>ところで、綾子が乱入しなかったら順番だった不運な方は誰ですか?

 アテネ「私ですわよ。全く憎らしい」
 綾子「・・・」←勝ち誇ってる。

 >>あと、綾子といい麗といい人使って疾風の周囲を探っているなんて…ハヤテのこと好きな人って変態なのか?(1名+αは確定だけど…)

 +αが誰か分かりませんが、ギリギリ大丈夫ですよ。好きな人の事を純粋に知りたいってだけですから。

 >>ともかく羞恥心を時空の彼方へ置き去りにした人多数だけど…(ハヤテ、そうでしょ?寝るのはともかく風呂の時…)

 ハヤテ「ま、まあ、確かに。ルカさんなんか特に。 最初は下着を見られる事すら恥ずかしがってたのに、今じゃもう・・・」
 悠太「大変だな。・・助けられねえけど」


 感想ありがとうです〜♪

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Re: 女神と共に第四部 2nd (2月15日更新) ( No.10 )
日時: 2019/02/15 18:00
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
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ここは毎度お馴染み天王州家。


「いや〜、しかし。最近ルカをテレビでよく見るよな」
「ああ。聞いた所によると、人気度はどんどん上がってるらしいからな」

遊びに来たカユラと千桜は歌番組を一緒に見ており、丁度ルカが歌っている所だった。

「テレビを通してだけ見ると、水蓮寺ルカは遠い存在なんだなって、あらためて認識させられるよな」
「だよな。友達の我々ですらそう思うよな」

カユラも千桜もしみじみと言った。 でも

「ハヤテく〜ん♪」
「あ、あの」

肝心のルカは家におり、子猫の様にハヤテに甘えていた。

「本当のルカは、こうなんだよな」
「テレビで勇ましく歌ってるルカと、今目の前にいるルカが本当に同一人物なのか、時々本気で疑問に思うよ」

カユラも千桜も同時に溜息をついた。

そんな事には目もくれず、ルカはただただ子猫の様にハヤテに甘えた。


                   × ×


ある日、ハヤテは買い出しの為に出かけており、帰りに何げなく本屋の前を通りかかった。
そしてまた何気なく普段は読まない週刊誌を手に取り、立ち読みをした。

すると、「特集!!水蓮寺ルカの真実!!」っと言う記事が目に留まり、気になったハヤテは自腹で週刊誌を買い、近くのベンチで読み始めた。

記事には

「現在人気絶頂の水蓮寺ルカの衝撃的な事実を我が週刊誌は掴んだ。 それは、水蓮寺ルカには恋人がいる、っと言う物だ。おまけにその恋人は婚約者でもあり、周囲が呆れるほどラブラブだという。 どの位かと言うと、毎日一緒にお風呂に入り、一緒に寝る仲だという。 信じられないようだが、この情報の信憑性は極めて高く、99.999%信じられる物である。本人の言葉はまだだが、結婚発表の記者会見の準備も進めているという噂も出ている」

っと書かれていた。
おまけに、モザイクはかかっていてハヤテだとは分からないが、変装しているルカとハヤテが手を繋いで仲良くデートしている写真も掲載されていた。

「な、何これ。ど、どうしてこれが」

ハヤテはただただ困惑し、大急ぎで帰路に着いた。


                   × ×


「不味いな、こりゃ」

ハヤテは帰って直ぐに(買った物を置いて)千桜に週刊誌を見せていた。

「なんでこの情報が漏洩したんだ?まさか」
「ぼ、僕はしゃべってませんよ。そんな事、たとえ激しい拷問に掛けられても、しゃべりませんよ」
「分かってるよ。ってかルカと君との事を知っている人はしゃべらないだろ。私を含めてな」

2人は頭を抱え、居間に急いだ。

当然だが、お昼の情報バラエティ(ミ○ネ屋)で雑誌で取り上げられた事が大々的に取り上げられており、コメンテーターも各々持論を言っていた。

「やばいぞ、これ」
「ええ。アイドルは「恋人がいないのが当たり前。恋人はファンの皆さんだ」っと言うのが本来ですからね」

千桜とアテネが不安を口にすると、恐ろしい程にタイミングよくルカの事務所前に中継が行き、軽めの変装をしたルカが記者達に質問攻めにあいつつ事務所に入って行く所だった。
ルカも一緒にいたマネージャーの集さんも沈黙を貫いていた。

「どうなるんだ、ルカは」
「えらいこっちゃな、これ。炎上せんとええけど」

「アーたん」
「ええ、分かってますわ」


一方

「全く。あれほど言ったわよね、「絶対にばれるな」って」
「わ、分かってますよ。最上級の警戒はしてましたし、家以外の人の目がある所では変装をちゃんとしてましたし」
「じゃあなんでマスコミが情報を掴んでるのよ!!!」

テーブルを叩きつつ言われ、ルカは委縮した。

「まさか」
「み、皆の事は悪く言わないでください!!!私の友達達に情報を流す人なんていません!!!」
「じゃあなんで!!」
「わ、分かりません」

集さんは溜息をつき

「兎も角、今日はもう仕事ないから、家まで送るわ。マスコミでごった返してるでしょうし」
「す、すみません」

裏口にもマスコミが張り込んでて出るのに一苦労だったが、何とか帰宅出来

「大変な騒ぎになっちゃったな」
「何でこんな事に」

ルカを含めて居間に集まっており、千桜を含めて皆で労っていた。

「一応言うけど、誰もしゃべってないぞ」
「信じてるよ、それ位」

千桜もルカもため息をつき

「まあ、何だ。部屋で1人なった方が良い。ゆっくり考えたいだろ?」
「うん、そうする」

千桜にも勧められ、ルカは自室に引き上げた。

ルカはベッドに仰向けになり、今後の事を考えていた。
するとドアがノックされ、入室を許可すると、ハヤテだった。

「ルカさん、どうするんですか?」
「ハヤテ君とはこれまで通りで居たいよ。でも、世間に発表するのはまだまだまだまだかなって思ってるし」
「分かりました、何とかします。ルカさんはこの屋敷に居てください。その方が120%安全ですし」
「うん、そうする」

ハヤテが出て行った後、ルカは再度寝転がった。
すると携帯に着信があり、相手は集さんだった。

『報告しとくわ。幾つかの仕事はキャンセルになったわ。数日は休みだから、家で大人しくしてなさい』
「はい、分かってます」
「それだけだから。 違約金とかの心配は、貴方はしなくていいからね」

携帯を切ると、ルカは溜息をついた。


ほぼ同時刻、三千院家。
三千院家でも同じ番組を見ており、ルカを心配していた。

「なんでマスコミがこの情報を掴んだんだろうな」
「あの天王州家が鉄壁のガードをかけてるんだろうし、なんでだろうな」
「俺達の身近に情報を漏洩するような裏切者はいねえ筈だしな」

ナギ、カユラ、悠太は口々にこう言い、皆で溜息をついた。

「アイドルを辞めさせられる様な事は無いだろうが、やばいのは事実だよな」
「なあナギ、何とか出来ないのか?」
「ま、何とかするよ」

ナギは携帯でクラウスさんに連絡し、動いてもらう事にした。

「「「でも、何でばれたんだ?」」」



「(ざまあみやがれ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!俺様と取引したうえ俺様に勝つからそんな目にあうんだ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!つまりは俺様のコレクションの邪魔をするからだ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!つまりは自業自得って訳だ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!ゴミクズ野郎どもが!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!)」



                   × ×


それから数日後。

「やれやれ。全く収まり見せないな」
「どうなっちゃうんや、ルカお姉ちゃんは」

連日特集が組まれ、ルカの所属事務所は対応に追われていた。

「何とかしたいが、私達じゃ、な」
「咲姉ちゃんにも相談したけど、難しいらしいわ」
「そっか」

千桜も日向もルカとは恋のライバルだが、こんな事で勝っても嬉しくないので、心配していた。

「それにしても。アテネもハヤテ君もこの数日何処に行ってるんだ?」
「全く姿を見いへんけど、どうしたんやろ」

2人はソニアを見た。

「さ、さあ。大事な用があると言ってましたけど」
「「収穫無し、か」」

2人とも溜息をついた。


一方のルカは自室に引き籠っていた。
この数日、何かをする気になれず、食事・トイレ・入浴以外は部屋にいた。

「どうなっちゃうんだろ。ハヤテ君もアテネも最近全然見かけないし」

この数日、溜息をつきっぱなしだった。

「集さんからの連絡も全然ないし、どうなってるんだろ。テレビから以外の情報は入って来ないし」

また溜息をつくと

「お、おいルカ!!!」
「うわあああああ、ビックリした!!!な、何、千桜」
「急いで居間に来い」

千桜が急に部屋に駆け込んできて、ルカを無理やり連れだした。
居間に行くと、丁度ミ○ネ屋がかかっていて

「水蓮寺ルカさんの婚約者等の情報ですが、悪質なでっち上げだと判明しました。記事を書いた記者は「注目されたくて、雑誌の売り上げを伸ばしたくてでっち上げてしまった。今は深く反省しています」っとコメントし、更に「事が大きくなりすぎて嘘だと言い出せなくなった。でも、会社に迷惑がかかるっと分かり、発表に至った」っとコメントしています。
水蓮寺さんの所属事務所と出版社・記者側とはすでに和解が成立されている模様です」

っと報道された。

「え!?これって」
「助かった、みたいだな」
「やれやれ。これでやっとウチらも安らかに寝られそうや」
「そ、そうだね」

ハヤテとの事は週刊誌に取り上げられた事は紛れもない事実なのに、それが「悪質なでっち上げ」っと言う事にされた事にルカが首を傾げていると、丁度携帯が鳴り、相手は集さんだった。

『ルカ、報道見た?』
「あ、はい。たった今丁度」
『なら話は早いわ。今から迎えに行くから、準備して待っててちょうだい』
「え!?あ、はい」

急いで準備を済ませ、迎えに来た集さんの車に乗って、事務所に向かった。


                   × ×


事務所に着くと、社長室に通された。

「いや〜、一時はどうなるかと思ったけど、助かったよ」
「え、ええ。でも社長、どうして」
「それは集君に聞いてくれ」

遮る様に社長に言われ、更に

「ルカちゃん、これからも頼むよ。明日から忙しくなるし」
「あ、はい」
「期待してるよ」

社長室を後にした後、今度は会議室に連れていかれ

「綾崎君に、感謝する事ね」
「え!?」

いきなり切り出され、困惑するルカに

「今回の火消しは、綾崎君が天王州家と協力して、してくれたのよ」
「ハヤテ君が?」
「そうよ。かなり強引な手も使ったみたいだけど、何とかしたって」

そう言われ、ルカはこの数日ハヤテとアテネの姿を見なかった事に合点が行った。

「今回の事はこれでお終い。情報が漏洩した理由とかは闇の中だけど、明日から今迄以上に頑張りなさい。スケジュール、ぎっしりよ」
「はい、勿論です」


                   × ×


また集さんに送ってもらい、帰宅するとハヤテもアテネもいた。

「ハヤテ君ありがと。また、助けて貰っちゃったね」
「いえいえ」
「ルカ、今回は私も動いたんですのよ」

アテネが不満を口にすると

「勿論、アテネにも感謝してるよ。ありがと」

アテネに笑みを向けた後、ハヤテに抱き着き

「ハヤテ君には本当に感謝しているよ。大好き」
「は、はあ」

ルカはハヤテに大人のキスをし

「これからもずっと一緒だよ」
「え、ええ」

アテネ達は、今回の事で大変な目に遭ったルカに考慮し、好きにさせてあげる事にした。



「(ふざけんじゃねえぞ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!なんで騒動を収めてんだよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!もっと色々と嘘を交えて加熱させてやろうとしたのによ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!そんな事になればコレクションが増えたじゃねえか!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!俺様の邪魔すんじゃねえ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!クズが!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!)」



しかし、ルカの想いは叶わなくなるかもしれない事態が迫っている事は、誰一人として、気付いていなかった。



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以上です。

次回は未定です。

では。
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Re: 女神と共に第四部 2nd (2月18日更新) ( No.11 )
日時: 2019/02/18 18:00
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
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ここは白皇の生徒会室。


「はあ」

そこで溜息をついている人物がいた。

「どうした泉。溜息なんかついて」
「珍しい事もあるもんだな」

溜息をついていたのは泉で、美希と理沙が話しかけていた。

「うん、ちょっとね。考え事」
「考え事!?ああ、それか」

美希は首を傾げると、泉の前の机にあった紙を見て、答えが分かった様だ。

「お前、まだ進路希望票出してなかったのか」
「うん、色々と考えちゃってね」

泉は再度溜息をつき

「参考なまでに聞きたいんだけどさ、2人はどうしたの?進路」
「「進路か〜」」

聞かれた2人は一瞬だけ迷ったふりをし

「まあ、私はほぼ決まってるよ」
「「へ〜」」

美希は一旦前置きをした後

「政治家になるつもりさ。一応、家系がそうだし」
「大丈夫か?政治家って、「頭が良くないとなれない」ってイメージは間違ってないと思うし」
「失礼な。確かにそうだが、一応政治家人生のプランは決めてあるよ」

美希は自身が定めたプランを話し

「ってな訳だ。最終的には総理大臣になる事だが、それは世の情勢次第だ」
「ふ〜ん。リサちんは?」
「私も美希と一緒で「取り敢えずは」決めてあるよ」

理沙はなぜかドヤ顔になり

「実家の神社を継ぐつもりだよ。あのバカ兄貴は「絶対に継がない」ってしつこい位に言ってるし。だから、必然的に私が後継者だな」
「「へ〜」」
「一応、白皇を卒業した後は「神職の資格が取れる大学」に行くつもりさ。巫女として神社に従事するには年齢的な問題で限界が来るしな」

何時に無く真面目な顔で言い切った理沙に感心した。

「で、肝心の泉はどうするんだよ」
「そうだそうだ。お前も教えろ」

泉は頭を数回掻き

「決まってないんだよね。「これがやりたい」っていうのが無いし」
「何だそれ。じゃあ、理沙みたいに実家の家業を継ぐっていうのは」
「無理だと思うよ。継ぐなら虎鉄君だろうし、私には経営者としての素質が無いし」

泉はこう言いつつも

「(本当はあるんだけどね、将来なりたい者。「ハヤテ君のお嫁さんになりたい」っていうね)」

からかわれる事は分かり切っていたので、敢えて言わなかった。

「今のお前なら大丈夫だと思うがな。学年で結構上位に食い込める程になってるし」
「だな。あのヒゲなら泉が「継ぎたい」って言えば、あの変態を追い出すだろ」
「そ、それじゃあ虎鉄君が可哀想だよ」

虎鉄の変態性を知ってはいるものの、兄妹なので擁護しておいた。

「まあ、提出期限まで日が無いんだし、先延ばしは良くないぞ」
「そうそう。何だったら、今みたいに色々と相談したらどうだ?」
「そうだね。そうするよ」


                   × ×


帰宅後、泉は虎鉄にも相談を持ち掛けた。

「って訳でさ、虎鉄君は進路どうするの?」
「愚問だな、我が妹よ」

虎鉄は一切の迷いのない顔で

「綾崎と結婚し、好きな鉄道関係の仕事に就く事さ」

言い切った虎鉄に泉は

「あのさ。日本じゃ同性婚は認められてないよ。確かに、「同性婚を認めないのは違憲だ」って動きがあるけどさ」
「だろ?つまりだ、俺と綾崎が結婚しても、何の問題は無いと言う訳だ」

疑う事無く言い切った虎鉄に泉は呆れつつ

「あれだけ嫌われてて、まだ懲りないんだ」
「当たり前だ。懲りるとか諦めるという言葉は、俺の辞書にはない!!!」
「あのハヤテ君があそこまで嫌うなんて、異常だと思うけど」

しかし、泉の言葉は虎鉄には届かず、泉はただただ呆れるだけだった。

「結婚云々は置いておいて、鉄道関係の仕事に就くのはちょっと」
「ああ。親父の跡継ぎ、だろ? まあ、綾崎との結婚は決定事項だが、鉄道関係は諦めてもいいかな。親父の後を継ぐ事もやぶさかではない」
「虎鉄君が継がなきゃ困ると思うけど」

泉の言葉を聞いてるのか聞いてないのか

「いや、待てよ。政治家になるという道もあるぞ」
「え!?」
「俺が総理大臣となり、「日本国でも同性婚を認めるものとする」って法律を作ればいいんだ。そうすれば、態々同性婚が可能な国に移住する必要は無い」

ドヤ顔で言い切る兄に

「虎鉄君がハヤテ君と結婚出来る確率は、0どころか大マイナスだと思うけど」
「妹よ、嫉妬は醜いぞ。お前も綾崎が好きなのは知ってる。だからそんな事を言うんだろ?」

全然違うのだが、言い返すのもバカらしいので沈黙を守った。

「ところでだ。泉はどうするんだ?将来」
「う〜ん。全然決めてないな〜。将来の夢も・・無くは無いんだけど」
「ふ〜ん」

虎鉄は泉の顔を少しの間見つめ

「兄から妹へ贈る言葉は、「お前らしい仕事を見つけ、それについてみたらどうか?」だな」
「私らしい仕事?」
「ああ。そうすれば自ずと進路も決まるってもんだよ」

そう言うと、居間を出て行ってしまったので泉は考え込み

「私らしい、か」


                   × ×


翌日。
泉は生徒会への書類を持って来たハヤテに相談を持ち掛けていた。

「進路、ですか」
「うん。全然決まらなくて」

考え始めたハヤテに

「色んな人に聞いてみたんだけど、なんか参考にならなくて」
「そう、ですか」

真面目に考えてくれてるハヤテの顔を見つつ

「(本当はあるんだよね。ハヤテ君と結婚して、子供を産んで専業主婦になりたいって。・・恥ずかしいから言わないけど////////////////)」

若干赤みを帯びたのだが、ハヤテは気付かなかった。

「あ、でも。虎鉄君が「私らしい仕事についたらどうか?」って言ってくれたんだけど」

虎鉄の名前を出すと明らかにハヤテが嫌そうな顔を一瞬したのだが、泉は敢えて指摘せず

「何だと思う?自分の事だから分かんなくて」
「う〜ん。瀬川さんの良い所はいっぱいありますからね〜。1番と言われると」

今迄以上に考え込むハヤテに

「そ、そんなに一生懸命考えてくれなくても」
「相談された手前、つい考え込んじゃって」

照れ笑いするハヤテに泉も笑みを返し

「じゃあさ、一緒に探してくれないかな? 進路希望票が書けないからさ」
「分かりました。お手伝いします」


                   × ×


その後、アテネの許可をもらって泉のお気に入りの場所をいくつか回り

「う〜ん。見つからないね〜」
「まあ、そうですね」

結局答えを出せず、瀬川家の泉の部屋で寛ぎつつ話していた。

「正直、ナギちゃんが羨ましいよ」
「え!?」
「ナギちゃんはさ、「漫画家になる」って夢があるでしょ?それに向けて一生懸命頑張ってるみたいだし」

スプーンで飲んでる紅茶をかき混ぜつつ言うと

「私にもあったらいいな〜。そういう夢中になれる事」
「・・・」

すると、ハヤテは観察するように泉を見つめ

「あの、瀬川さん」
「ん!?なあに?」

ハヤテは言うべきか少し悩んだ末

「一緒に瀬川さんのお気に入りの場所を見て回った時に、思ったんですが」
「???」
「瀬川さんの一番の良さは、純粋さっていうか、言い方は悪いかもしれませんが「子供っぽさがある所」だと思うんです」

ハヤテの言葉に泉は目をぱちくりした後

「子供っぽさか」
「気に障ったのなら」
「ううん、全然。良く言われるもん。「勉強は出来る様になったけど、子供っぽさがある所は変わらない」って」

何時もの笑顔の泉のハヤテは安心していた。

「若しかしたら、瀬川さんはそう言う所を活かした仕事を探した方が良いかもしれませんね。例えば、保育士とか」
「保育士か〜。なんか違う気がするな〜」

泉は少し考えると

「あ。あったよ、そういう仕事」
「え!?な、何ですか?」
「内緒。叶うかどうか、分かんないし」
「そうですか」

その後、アテネから「直ぐに帰って来い!!」っと言う電話があったハヤテは帰ってしまい、泉は進路希望票を書いた。

翌日。

「成程な〜」
「出来るかどうか分かんないけど、挑戦してみたいんです」

担任の薫先生に書いた進路希望票を出し、相談もしていた。

「良いんじゃないか?瀬川らしいというか」
「そうですか」
「頑張れよ。先生は応援するぞ」

背中を押してもらえ、泉は意気揚々と職員室を出た。

「(がんばろ〜っと。ハヤテ君の事も、夢の事も)」

そう思いつつ図書室に向かった。


因みに、泉が書いた夢は「絵本作家」です。


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以上です。

次回は未定です。

では。
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Re: 女神と共に第四部 2nd (2月21日更新) ( No.12 )
日時: 2019/02/21 18:00
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
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ここは毎度お馴染み三千院家。


「ウ〜ム」

住人の一人であるカユラは考え込んでいた。
カユラの目の前の机の上には前回も出た「進路希望票」が置かれていた。

「進路ね〜」

カユラは少しでもオタク人生を長く謳歌する為に飛び級をしたものの、「明確な夢」は無かった。

「いやいや作者よ。あるぞ、夢。 綾崎君と結婚すると言う夢が」

こう呟きつつも考えは纏まらず

「聞くか」

カユラは立ち上がり、部屋を出た。


                   × ×


「「進路か〜」」

相談されたナギと悠太は同時に考え、

「ってか、お前にはあるだろ?ハヤテのお嫁さんになるって夢が。  それは私も同じだがな」
「そんなの分かってるよ。ってか「結婚」はゴールと言えばゴールだが、「別のスタート」でもあるだろ?結婚後、だよ」
「まあ、そうか」

カユラの正論にナギはまた考えだした。

「ナギはどうなんだ?」
「決まってるだろ。「一兆部売れる漫画を描く」だよ。勿論、ハヤテと結婚して、な」
「お前は良い意味でも悪い意味でも変わらんな」

カユラは多少の皮肉を込めて言うと

「悠太っちはどうなんだ?」
「俺は「真山物産次期社長」に決まってるからな。白皇卒業したらお嬢様の執事も卒業して、社長就任だよ」
「あ、そっか」

忘れてた、みたいな言い方をしたカユラに

「まあ、強いてあげるとしたら、「真山物産をより繁栄させる」かな。それが夢っちゃ夢だな」
「成程、具体的だな」

頷きつつ言うカユラに

「ってか、カユラの親父さんは小さいながらもゲーム開発会社を経営してるんだろ?その後を継ぐとか無いのか?」
「考えた事も無かったな。親父殿の後を継ぐ、か」

少しの間考えると

「無くは無いが、「候補の一つ」だよな〜」

天井を見上げつつ言うと

「まあ、「剣野カユラっと言うオタク」を活かせる仕事なら何でもいいんだがな」
「曖昧だな。まあ、お前らしいが」

ナギが呆れと関心を混ぜたような感想を言うと

「ま、オタク仲間はまだいるし、相談するか」
「おう、行ってこい。私のアドバイスはもうないし」


                   × ×


「進路ね〜」
「千桜はどうなのかなってな」

カユラは天王州家に赴き、千桜に相談していた。

「まあ、カユラらしい仕事、が一番だろうな。アドバイスになってないがな」
「ウ〜ム」

少し考えた後

「ってか綾崎君は何処にいるんだ?折角来たんだから」
「居ないよ。忙しいんだと」
「ああ、そう」

露骨に残念がり

「ルカは?仕事か?」
「そうだよ。でも、ルカの場合」
「アイドルとしても漫画家としても成功する。だろうな」

聞かなくても分かるので、言及等は止め

「まあ、出版社に勤めるってのも、面白そうではあるな」
「成程な。新人発掘とか、漫画家本人以外誰よりも早く漫画が読めるし」

カユラの言葉に千桜は同意したが

「でも、それもやっぱり「候補の一つ」なんだよな〜」
「何だよ、それ。じゃあ「専業主婦」になったらどうだ?」
「うん、悪くない。勿論旦那は綾崎君だがな」

こう呟き、

「まあでも、「オタクな仕事」は絶対条件だな。これだけは外せん」
「だな」
「ゆっくり考えるさ。書類の提出期限は守れんだろうが」

そう言うと、カユラは千桜の部屋を後にした。


                   × ×


翌日。

「カユラ、昨日のあれ、考えたのか?」
「ん!?いんや、まだ」

昼食後のティータイムの時にナギが切り出した。

「まあ、最終的には「親父殿の会社を継ぐ、秋葉のどっかの同人ショップに就職する」でいいかなって」
「お前らしいな〜。まあどうせ」
「綾崎君と結婚する。つまりは「綾崎カユラ」として、ってつくよ。さっき言った夢の前に」

ドヤ顔で言うカユラに

「言っとくがな、私は負けんぞ」
「望むところだ」


                   × ×


一方。

「進路ね〜」

カユラに相談された千桜は、千桜自身も悩んでいた。

「ハヤテ君と結婚するのは決定事項だが、その後となると、決まって無いよな〜」

千桜の進路希望票も真っ白であり、悩み中だった。

「何や、ハルさん決まって無かったんかいな」
「ええ」

メイドのバイト中、咲夜に相談していた。

「別にウチはええんやで。愛沢家に就職しても」
「それはとても魅力的ですが」
「せやろ?ハヤテお兄ちゃんと結婚したとしても、夫婦で別の人間に仕えとっても、問題は無いやろ」

明るく言う咲夜に千桜は苦笑いをし

「まあでも、提出期限までまだ少しあるんで、考えときますよ」
「せやな。愛沢家に就職、も候補に入れといてや」
「ええ、勿論」


                   × ×


帰宅後、千桜は自室に籠って考え込んでいた。

「咲夜さんが言ってくれた通り、このままメイドを続けるってのも十分に魅力的だし、それ以外の道もあるんだよな」

千桜はこう呟きつつ考え込み
 
「アテネに仕える夫・ハヤテ、咲夜さんに仕える・千桜、か。勿論子供もいて」

すると、結婚式やその後の夫婦生活、子供の顔を妄想したのかニタニタと気味の悪い笑みを浮かべた。っと、そこへ

「千桜、ちょっといい?」
「おう、どうした」

ドアがノックされ、入室を許可するとルカだった。

「漫画描いたからさ、見て貰おうと思って」
「どれどれ?」

ルカの最新作の漫画を読み

「面白いじゃないか。またレベルが上がってるぞ」
「本当?良かった。 ナギの漫画のレベルが上がってるから、それに感化されてさ」
「ふ〜ん」

嬉しそうなルカを見つめていると

「ん!?どうしたの?」
「あ、いや。別に」
「そう?」

用事が済んだルカは部屋を出て行った。
その後千桜は少し考え

「そうか。「ラノベ作家」っと言う道もあるな。自分で言うのもあれだが、ラノベ好きだし」

部屋の本棚のラノベを見つめ

「良いかもな、ラノベ作家。ナギやルカみたいに好きな事を将来の職業にしても良い訳だし」

千桜はパソコンを立ち上げ、ラノベ作家になる方法を調べ

「やってみるか。成功出来るかどうかは別だが」

こう呟くと、また将来(ラノベ作家になった自分と、それを支えてくれる夫になったハヤテ)を妄想したのかニヤケ顔になり

「私原作のラノベをナギかルカが漫画化してくれるといいな〜。いや、私原作のラノベをナギが漫画化し、アニメ化の際はルカに声優になって貰うってのも魅力的だぞ」

妄想はドンドン膨らみ

「取り敢えずは、第一候補は決まりだな」

進路希望票に書き込み、鞄にしまった。


-----------------------------------------------------------------------------------
以上です。

次回は未定です。

では。
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Re: 女神と共に第四部 2nd (2月21日更新) ( No.13 )
日時: 2019/02/21 22:53
名前: ささ

ハヤテloversの将来の夢は「ハヤテの妻」となりどうするか…だなw
婚約者候補の財閥の皆さん(愛沢家の次女たる日向を除く)はまぁあれですが…
婚約者候補という制度が形骸化している気がするのですが…これはもう第1位の神尾崎綾子が大人の階段を…
最後に神尾崎父にお尋ねします。
(ハヤテの性格からこんなことは言わないと思いますが)綾子さんとの結婚を決めたハヤテが「綾崎」姓を残したいと言ってきたらどうしますか?
1.日本国政府に夫婦別姓を認めさせる
2.ハヤテの言うことだからグループ各社に対して「綾崎」を付けるよう通告する
3.結婚時の姓を「綾崎」とするが、グループはこれまで通り神尾崎グループ
4.ハヤテに頼み込んで何とか婿養子になってもらう
(当初「5.それだったら願い下げだとか言って断り、綾子さんから絶縁宣言を貰う」も入れる予定だったけど貴方がそんな小さなことで婚約破棄にはしなさそうだなと思い削除)
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Re: 女神と共に第四部 2nd (2月24日更新) ( No.14 )
日時: 2019/02/24 12:35
名前: masa

こんにちはmasaです。

レス返しの更新です。


 ●ささ さん

 伊澄「感想ありがとうございます♪」

 >>ハヤテloversの将来の夢は「ハヤテの妻」となりどうするか…だなw

 ハヤテlovers「当然!!!」
 悠太「やれやれ」

 >>婚約者候補の財閥の皆さん(愛沢家の次女たる日向を除く)はまぁあれですが…

 カユラ「それは別に関係ないじゃないか」
 ルカ「そうだよ!!愛さえあれば乗り越えられるよ!!」
 ソニア「そう言う事よ」

 >>婚約者候補という制度が形骸化している気がするのですが…

 それはまあ、「一応は」の設定なので。大事ではありますが。

 >>これはもう第1位の神尾崎綾子が大人の階段を…

 綾子「あら、良いですわね♪では早速ホテルに」
 ハヤテ「駄目ですからね」

 >>最後に神尾崎父にお尋ねします。

 綾子父「おお。何だい?」

 >>(ハヤテの性格からこんなことは言わないと思いますが)綾子さんとの結婚を決めたハヤテが「綾崎」姓を残したいと言ってきたらどうしますか?
  1.日本国政府に夫婦別姓を認めさせる
  2.ハヤテの言うことだからグループ各社に対して「綾崎」を付けるよう通告する
  3.結婚時の姓を「綾崎」とするが、グループはこれまで通り神尾崎グループ
  4.ハヤテに頼み込んで何とか婿養子になってもらう
  (当初「5.それだったら願い下げだとか言って断り、綾子さんから絶縁宣言を貰う」も入れる予定だったけど貴方がそんな小さなことで婚約破棄にはしなさそうだなと思い削除)

 綾子父「まあ、言われた通りハヤテ君は言わないと思うが。 仮に「どうしても」っと言われたら、5番は問題外だが、どれでもないよ。 「神尾崎・アヤサキ・ハヤテ」っと、ミドルネームを認めさせるよ。これならお互いの主張を通せるし」

 綾子「名案ですわね、お父様」


 感想ありがとうです〜♪

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Re: 女神と共に第四部 2nd (2月24日更新) ( No.15 )
日時: 2019/02/24 12:45
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
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ここは鷺ノ宮家。


伊澄は昼食後、母・初穂さんとお茶をしていた。
すると

「ねえ、伊澄ちゃん」
「はい?何でしょうか、お母様」
「何時、ハヤテ君と結婚するの?」

母の爆弾発言に伊澄は飲んでいたお茶を盛大に噴き出した。

「な、何ですか、いきなり」
「だって、貴方進路悩んでたでしょ?」
「そ、それは」

前回、前々回も出て来た進路希望票を伊澄も当然貰っており、何を書くか絶賛悩み中だった。

「そんな風に悩む位なら、ハヤテ君のお嫁さんになって、家庭に入りなさい。貴方にはそれが一番よ」
「ですが」
「何悩んでるのよ。貴方は婚約者候補No.6なんだから、悩む必要なんてないでしょ?」

畳みかける様に言われ、伊澄は

「私には光の巫女としての仕事があります。それに、この鷺ノ宮家を守っていくという使命だってあります」
「それは結婚しても、出来る事でしょ?」
「・・・」

母親の正論に言い返せないでいると

「っと言うより、光の巫女の方は別としても、鷺ノ宮家の方は「鷺ノ宮ハヤテ」に任せればいいじゃない」
「そ、それは/////////////////////////」

「鷺ノ宮ハヤテ」っと言う言葉に伊澄は大いに動揺していた。

「それとも、伊澄ちゃんはハヤテ君と結婚したくないの?」
「〜〜〜〜ッ///////////////////////////用事を思い出したので部屋に戻ります」

真っ赤な顔で部屋を出て行った娘に

「照れちゃって。あ〜、孫が見たいわ〜」


                   × ×


一方の伊澄は・・・

「ナギ、ここは何処でしょう?」
「・・私の家だよ」

間違いなく自室に向かっていたはずなのだが、ワープでもしたように三千院家に来ていた。

「相変わらずだな。まあ、ある意味安心出るが」
「そ、そう」

伊澄は悠太に出してもらったお茶を飲み

「ねえナギ、ついでだから相談したいんだけど」
「何だよ」
「私の夢って、何だと思う?」
「は!?」

いきなりの言葉にナギは訳が分からず

「進路の事よ。貰ったでしょ?」
「ああ、それか」
「ナギには「漫画家さんになる」って夢があるけど、私には」

寂しそうに言うと、少し間を空けた後

「あるにはあるのよね。 光の巫女として働きつつ鷺ノ宮家を守る。勿論、ハヤテ様と結婚して」
「それでいいんじゃないのか?別に無理して大学や就職って進路を選ぶ必要は無い訳だし」
「そう、よね」

納得しかけた伊澄に

「ただ、ハヤテと結婚は出来んぞ」
「え!?」
「ハヤテと結婚するのは私だからだよ。婚約者候補としても、私の方が有利だし」

ナギが言い切ると伊澄から普段は退治する悪霊に出すオーラが出た。

「それは聞き捨てならないわよ。ハヤテ様と結婚するのは私よ。 第一、私とナギじゃ婚約者候補としてはそんなに変わらないじゃない」
「伊澄、お前は付き合いの長い大切な親友だ。だが、私も聞き捨てならんな。ハヤテのお嫁さんは私だ」

睨み合う2人に、居間に来たカユラは全てを察し

「2人とも、綾崎君のお嫁さんは私だぞ」
「「それは違う!!!」」

睨み合う3人に、悠太は溜息をつくだけだったが

「お、ハヤテ。遊びに来たのか」
「「「え!?」」」

先程までは打って変わって、締まりのない笑みが3人が振り向くと、ハヤテはいなかった。

「おい、悠太」
「騙したのか」
「趣味悪いですよ」

睨む3人に

「捕らぬ狸の皮算用って知ってるか? 3人もそうだし、ハヤテも結婚出来る年齢じゃないだろ。だから、「現時点では」無意味な言い争いだよ」
「「「・・・」」」

悠太の正論に3人とも黙り込んだ。


                   × ×


「ふう。片付きましたね」
「ええ」

伊澄はハヤテに手伝ってもらって、悪霊退治をしていた。

「あの、ハヤテ様」
「はい?」
「私の仕事を手伝うって、どう思ってるんですか?」
「え!?」

驚きつつも、真剣な表情の伊澄に

「特に、何かを思うって事は。 皆さんの役に立てるのなら、出来る事は出来る限り全部したいって思いますから」
「そ、そうですか/////////////////////////////」

笑顔のハヤテに伊澄は赤面し

「ハヤテ様」
「え!?」

伊澄はハヤテに大人のキスをした

「今日のお礼です」
「は、はあ」

「(私、もう迷わない。ハヤテ様と結婚して、子供が産まれてその子が私の力を受け継いでたら、3人で光の巫女の活動をする。勿論、鷺ノ宮家を守りつつ)」

伊澄は自分の将来を決めた。


                   × ×


一方。

「なあ悠太」
「ん〜!?」

ナギは言い難そうに少し間を空け

「お前、将来は決まってるのか?」
「へ!? まあ。カユラにも言ったが、俺は「真山物産次期社長」だぜ。そういう意味じゃ、決まってるかな」
「ふ〜ん」

悠太は首を傾げつつ

「ってか、お嬢様も決まってるだろ」
「まあな。カユラにも言ったように「一兆部売る漫画家になる」って夢がな」
「なら、何でこんな話を」

ナギはまた間を空け

「最近な、迷ってるんだ。本当にそれでいいのかって」
「え!?」
「前に私は壁にぶち当たった。でも、それは乗り越えられた。でも」

ナギは机に顎をのせ

「結局私はルカに負けっぱなし。10年後は分からんが、未だレベルには大きく差がある。こんな調子で本当になれるのかなって」

元気のないナギに悠太は

「大丈夫だよ、お嬢様なら。お嬢様には「夢をかなえる実力」がちゃんとある。迷うなよ」
「だが」
「カユラに言われたろ?ねじ伏せろって」

ナギは顔をあげ

「分かってるさ。でも」
「らしくねえな。何時もの自信家っぷりはどうした」
「・・・」

ナギはまた間を置き

「進路について考えると、どうしてもな」
「進路で悩むなんて、お嬢様らしくねえぜ。三千院家ってバックが無くても、大丈夫だろ。何時もみたいに自信満々で居ろよ。それがお嬢様だろ」

悠太に言われ、ナギは

「でもさ。例のパンのヒーローを生み出した人だって、相当苦労したみたいだぞ。そのパンのヒーローが売れる前は」
「まあな。でもよ、漫画家として売れる時期何て、バラバラだろ」

悠太は少し間を置き

「確かに、パンのヒーローを生み出した人も、遅めのヒットだった。デビューして、そこそこの経験を積んでからヒット作に恵まれた人もいるし、全然売れずに諦めた人もいる」
「だ、だろ?」
「でもさ、新人賞を取って、いきなり週刊連載を持った人だっているんだ。作者も好きなサ○デーで連載している、な。1年以上の休載はあったが、立派に再開したじゃねえか」

悠太の言葉はナギに沁みていた。

「いいか?パンのヒーローを生み出した人だって、苦労に苦労を重ね、大ヒットに至れた。アニメは勿論映画だって立派に興行収入を得てるじゃねえか。あそこまで行けるかは分かんねえが、きっと大丈夫だ。迷うなんて、お嬢様らしくねえよ。自信たっぷりでいろよ。な?」

この言葉にナギは立ち上がり

「そうだよな。私らしくないよな。 ハヤテと結婚して、一兆部売る漫画家になる。それが私の唯一にして絶対の未来だ。タイムマシンがあって、未来の私が今の私に会いに来たら「一兆部売る漫画家になったぞ」って報告に来るよな」

「そうそう。その意気だ」

元気になったナギに悠太は安心し、

「よしっ、漫画書いてくる。あの漫画を完成させねば」

お茶を飲み干すと、書斎に向かった。

「頑張れよ。恋と言う戦争が勝てるって保証は出来ねえけど、漫画家って未来はきっとくる」

こう呟き、仕事に戻った。


-----------------------------------------------------------------------------------
以上です。

次回は未定です。

では。
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Re: 女神と共に第四部 2nd (2月24日更新) ( No.16 )
日時: 2019/02/25 17:50
名前: ささ

いや、財閥のご息女(日向を除く)の皆さんは、各々の財閥の当主としてハヤテとともにその名を世界中に轟かせるという夢がおありなのでは?
捕らぬ狸の皮算用か。ハヤテLovers全員に言えることだね。たとえ婚約者候補筆頭の神尾崎綾子様であってもその座に胡坐をかいていてはハヤテの結婚式に招待され、泣くという未来になってしまうからね。
とはいえ悠太のこの発言をどこぞやかの「優しい人」に頼めば、白皇に入れなくさせられるかな?

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Re: 女神と共に第四部 2nd (2月27日更新) ( No.17 )
日時: 2019/02/27 17:30
名前: masa

こんにちはmasaです。

レス返しの更新です。


 ●ささ さん

 ナギ「感想感謝するぞ♪」

 >>いや、財閥のご息女(日向を除く)の皆さんは、各々の財閥の当主としてハヤテとともにその名を世界中に轟かせるという夢がおありなのでは?

 悠太「だろうな。まあ、今回でそれなりに触れてるみたいだぞ」

 >>捕らぬ狸の皮算用か。ハヤテLovers全員に言えることだね。

 悠太「だろ?まあ、自信を持つって大事だけどな」
 メイド長「だからと言って年齢的な事がある段階は無駄でしかないですけどね」

 >>たとえ婚約者候補筆頭の神尾崎綾子様であってもその座に胡坐をかいていてはハヤテの結婚式に招待され、泣くという未来になってしまうからね。

 綾子「胡坐など掻いてませんわよ。油断や慢心などせず、全力で魅了してますわ。ですから、貴方が言う未来など、ありえないっと言う事ですわ。1秒後に宇宙が消滅する確率よりありないっとね」

 >>とはいえ悠太のこの発言をどこぞやかの「優しい人」に頼めば、白皇に入れなくさせられるかな?

 悠太「ど、どうだろうな。白皇は天王州家の物だし。無理じゃねえか?」
 優しい人「・・・」


 感想ありがとうです〜♪

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Re: 女神と共に第四部 2nd (2月27日更新) ( No.18 )
日時: 2019/02/27 18:00
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
-----------------------------------------------------------------------------------

ここは神尾崎家。


「そう言えば。お嬢様は進路は決まってるんですか?」
「ッフ。愚問ですわね」

綾子は崎山に聞かれ、「何を当然の事を聞いてるんだ」みたいな口調で返すと

「ハヤテ様と結婚し、家庭を持つ事ですわ。そして、お父様の後を継いだハヤテ様を主婦として支えるんですわ!!」
「・・やっぱり」

うっとりと言う綾子に呆れ交じりで言うと

「ただ、一つだけ心配な事が」
「え!?何ですか?」
「娘が生まれた場合ですわ」

綾子は顎に手を当てて考え込み

「ハヤテ様は宇宙一かっこいいですから、娘なのにハヤテ様に惚れるっと言うのは想像に難くないですわね」
「・・お嬢様の娘じゃなおさらかも」
「・・何か言いましたか?」

不機嫌そうに言う綾子を気にせず

「まあ、その夢も天王州さん達を倒せたら、ですけどね」
「恐れるに足らず、ですわね。ハヤテ様と私の結婚は、運命の神によって決められてるんですわ。何者も変えられはしませんわ」
「・・そうですか」
「早く孫を作って、お父様やお母様を安心させたいですわね〜」


                   × ×


一方。

「そう言えばさ。勝は将来決めてるの?」
「う〜ん」

麗は弟の勝に聞いていた。

「中学生なんだから、決めておかないと。色々と困るわよ」
「分かってるけどね〜」

少し考えても答えは出ず

「お姉ちゃんは?」
「私? 勿論、ハヤテ君と結婚して時任財閥をより繁栄させる事よ」
「やっぱそうだよね」

予想通りっと言った口調で言うと

「後は、孫をパパとママに見せてあげる事かな」
「ああ、うん」

姉弟で少ししんみりした後

「あんたはどうするのよ」
「う〜ん。やっぱり、お姉ちゃんとお兄ちゃんを支える事かな。秘書になるなりして」
「ふ〜ん」

すると、勝は少し考え

「でも、それにはやっぱりいっぱい勉強しないと駄目だよね」
「当たり前でしょ。まあ、お姉ちゃんが出来る限りの事はするわ」
「が、頑張るよ」

勉強は得意じゃない勝は苦笑いをした。


                   × ×


一方。

「ねえ、ダディ」
「何だい、クリス」
「ダディは、ハヤテ君が後を継ぐ事って、どう思ってるの?」

聞かれたクリス父は少しだけ考え

「あの子なら私の後を任せても良いと思っている。勿論、クリスを託す事もね」
「良かったわ」
「しかし、何で今更。彼にも直接「跡継ぎにしていい」って言ったはずだが」

首を傾げる父に

「学校で今後の進路の話が出ててね。私がハヤテ君と結婚する事は決まってるけど、ダディはハヤテ君が跡継ぎになるのはどうなのかなって確認したくて」
「なんだ。何回でも言うが、ハヤテ君が後を継ぐ事は寧ろ喜ばしい事だ」

父親の笑顔にクリスも笑顔を返した

「ところでだ。結婚した後はどっちで暮らすんだ?我がグループはアメリカと日本、両方に拠点があるが」
「出来れば、アメリカが良いわ。日本じゃ余計なの(アテネ達)がいるし」
「そうか。まあ、ディキソングループの力を駆使すればハヤテ君のアメリカ国籍取得はそんなに難しくないな」

因みに、親子の会話は全部英語です。


                   × ×


一方。

「アテネお嬢様って、将来は決めてあるんですか?」
「何をそんな分かり切った事を聞いてるんですの?」

メイド長に聞かれたアテネは呆れ交じりに言うと

「ハヤテと結婚し、夫婦で天王州家を繁栄させる事ですわ。勿論、子供も」
「やはりそうですか」

予想通りの答えにメイド長は呆れつつも

「まあ、その望みが叶うか、分かりませんが」
「・・どういう意味ですの?」

不機嫌になったアテネを気にせず

「最近はハヤテ坊ちゃんを狙う方々が増えたじゃないですか」
「ええ」
「おまけにお嬢様は婚約者候補としては結構不利なNo.4 どうなのかなって」

メイド長の言葉にアテネは一応納得し

「確かに一理ありますわね。ですが、私とハヤテには10年っと言う歳月がありますわ。その圧倒的なアドバンテージは何者も埋められはしませんわ」
「まあ、そうですね」

自信満々の主に

「(私としてはお2人が結ばれて欲しいですけどね。瑞希様も安心なさるでしょうし)」


                   × ×


一方。

「なあルカ」
「ん!?」
「ルカはさ、将来は決めてるのか?」

今日はハヤテと一緒に入れない千桜とルカは一緒に入浴しており、千桜が切り出していた。

「知ってるくせに」
「・・一応聞いておきたいんだよ」
「良いけど、なんでまた」

不思議そうに見て来るルカに

「学校で進路の話が出たからだよ。カユラとも話したし」
「ああ、成程ね」

納得し、直ぐに

「アイドルとしても、漫画家としても大成功を収める事だよ。勿論、ハヤテ君と結婚してね」
「・・・」

「何故かばれちゃって、大騒動になっちゃったけどさ、今度はちゃんとするよ。発表は、ライブの後かな。「水蓮寺ルカ、重大発表」って大きいモニターに出してもらって、「私結婚します」って発表して、「でも、アイドルは止めません」ってね。で、「綾崎ルカ」の名前で活動していくんだ。漫画家フライ・ドルフィンの正体は隠し続けるけど」

ルカは言い切ると一旦間を空け

「子供の名前も考えてるよ。女の子だったら「綾崎ハルカ」、男の子だったら「綾崎ハルト」。どうかな?」

ルカの問いかけに千桜は暫く黙り込み

「ルカ、捕らぬ狸の皮算用って諺、知ってるだろ?」
「うん。手に入るかどうか分からないの物を当てにして計画を立てる事、でしょ?」
「ああ。今のお前がそうだよ。 ハヤテ君のお嫁さんは誰がなるか分からない。まあ、私だが。 兎も角、結婚出来ない相手との子供の名前を考えても、意味ないって事だ」

千桜の言葉にルカは

「それは、聞き逃せないな。私はハヤテ君の婚約者候補No.7なんだよ。おまけに結婚前提の恋人だし」
「それは知ってる。だが「絶対結婚出来るか」って言われたら、違うだろ?」
「違わないもん。絶対結婚するもん」

2人は睨み合い

「ま、結婚っと言う結果が出るまでは、この言い争いは無駄だな。誰であっても」
「まあね」

2人はライバルだが、なんだかんだ仲は良いのである。


                   × ×


一方。

日向は一時帰宅を命じられ、愛沢家に戻って来ていた。

「日向は、将来を考えとるんか?」
「は!?なんや、急に」
「いやな」

咲夜は少し間を空け

「ハルさんがな、進路について相談して来たんや。せやから、お姉ちゃんとして妹の将来をやな」
「そう言う事かいな。まあ、決めてへんな」

日向はそう言うと一旦間を置き

「ハヤ兄と結婚するのは決定やけど、それ以外はまだやな」
「大丈夫なんか?」
「どうやろ。でも、ウチはまだ10歳や。まだ焦って決める段階じゃないやろ」

そう言った後

「あ、でも。咲姉ちゃんと違ってお笑いはやらへんで。見るのはええけど、自分でするのは嫌や」
「さよか。姉妹コンビってのもおもろいと思うけどなあ」
「それは嫌や。咲姉ちゃんがお笑い芸人になれば応援するけど」


                   × ×


一方。

「ソニアはこの先どうするか、決めてるの?」
「え!?」

休憩中、メイド長に聞かれ、ソニアは驚いていた。

「アテネお嬢様とそういう話になったから、聞いたのよ」
「ああ」
「貴方もハヤテ坊ちゃんを狙う1人でしょ?だからよ」

ソニアは少し間を空け

「ハヤテさん次第、ですね」
「え!?」

「私は「ハヤテさんとずっと一緒にいる事」が夢ですからね。結婚する事は決定事項だけど、それ以上は。結婚して子供を産んでも、ハヤテさんがアテネお嬢様に仕え続けるなら、私もこのままですね。辞めて別の職業に就くなら、私はそれを支えるだけ。子供が落ち着くまでは専業主婦、それ以降はメイドになる前みたいに雇われて色々とする位ですよ。勿論裏稼業以外で、ですけど」

ソニアの言葉に

「貴方も予想通りなのね」
「まあ、ハヤテさんと恋仲・結婚・子供を作るを実現したくて専属メイドになりましたし」
「そうだったわね」


                   × ×


一方。

「ヒナはさ、進路希望票は出したのか?」
「まあ、一応ね」

生徒会室で美希はヒナギクに聞いていた。

「差支えなければ、教えてもらいたいんだが」
「ん!?いいわよ」

ヒナギクは仕事の手を一旦止め

「取り敢えずは、進学かな。どっかの大学に行って、あの後はOLにでもなろうかしらね」
「なんだ。剣道はどうするんだ?止めちゃうのか?」
「ううん。出来る事なら、剣道で推薦入学出来たらなって。勿論、OLになった後もね」

美希は安心し

「まあでも、ヒナクラスになれば、東○も夢じゃないかもな」
「そうかしら」
「ああ。作者も好きな東○王にも出れるんじゃないか?「才色兼備の剣道少女」何てな」

美希の考えた異名に苦笑いしつつ

「まあ、私はあそこまで勉強は出来ないわよ」
「そうか?」

話の区切りを見て

「まあ、進路も大事だが、それ以上がヒナにはあるだろ」
「何よ」
「・・ハヤテ君だよ。好きなんだろ?」

黙り込んだヒナギクに続けた

「他の人達と違って、目立った行動をしてないじゃないか。大丈夫なのか?」
「そ、それは」
「まあ、いざとなった時のヒナの行動力は凄いからな。そういう意味じゃ心配してないが」

美希はからかい交じりで言うと

「兎も角、結婚っと言うゴールを目指す以上、頑張れよ。特に、神尾崎さんと天王州さんな」
「分かってるわよ。負けないんだから」


                   × ×


一方。

「そう言えば。お嬢様の進路はどうするんですか?」
「進路ね〜」

愛歌さんは執事の梢に聞かれ、考え込んでいた。

「進学や就職も考えてるけど、私の体の弱さじゃ限られてくるかもね」
「・・そうですか」

心配そうな執事に

「まあでも、霞家はハヤテ君に任せて、私は支える事に全てを捧げるってのも、有りよね」
「つまり、結婚してって事ですね」
「勿論。子供は・・お医者さんと相談しながらね。勿論欲しいし」

子供の顔を想像したのか、愛歌さんはにやけた

「まあ、私のやる事は変わりませんけどね。貴方や貴方達のお子さんの面倒を見る事にはね」
「ありがと。梢君も結婚とかすればいいのに」
「結婚しても、っと言う意味で言ったんですよ」
「成程」


                   × ×


一方。

「なあなあ姉ちゃん」
「何よ、カンタ」

今日はお休みなので家にいた恋葉は

「ハヤテ様と何時結婚すんだ?」
「な、何の話よ!!!」
「だって〜。俺、兄ちゃん欲しいし」

カンタが言うと、続け様に

「私も孫が欲しいわね〜。早く結婚して、お母さんも安心させておくれよ」
「も、もう、2人とも///////////////////////////////」

真っ赤になった恋葉に

「何時だよ〜。教えろよ〜」
「孫の顔は何時拝めるのかな〜」

質問攻めにあいつつ

「(私だって、ハヤテ様と結婚したいわよ。でも、困難なのよね)」

ライバルの多さは知っているので、多少は憂鬱になった。


-----------------------------------------------------------------------------------
以上です。

次回は未定です。

では。
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Re: 女神と共に第四部 2nd (3月3日更新) ( No.19 )
日時: 2019/03/03 12:30
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
-----------------------------------------------------------------------------------

ここは毎度お馴染み三千院家。


「なあ悠太、チョコ無いか?」
「は!?」

書斎に呼ばれ、いきなり言われ、悠太は間の抜けた声を出した。

「チョコだよ、チョコ」
「なんでまた」

ナギは「あ、そうか」みたいな顔をした後

「ネームが完成したんで、原稿を書いてたんだ。だが、どうも集中力が切れ気味でな。チョコで糖分補給でも、って思って呼んだんだ」
「成程な。じゃあ、探してくるよ」
「頼んだぞ」

数分後。

「悪い。丁度切らしてた。チョコ菓子やチョコ味のアイスもねえや」
「なんだ。間が悪いな」
「買って来るか?必要っぽいみたいだし」

悠太の提案にナギは少し考え

「すまんが頼むよ。こうなってくると意地でもチョコが食いたくなった」
「了解。リクエストはあるか?」

ナギはまた考え

「特には無いな。変な話、チ○ルチョコでもいいよ。お前に任せる」
「じゃ、行って来るよ」

悠太が書斎を出ようとした時、

「私もご一緒して良いですか〜」
「マリアさん!?なんでまた」
「何となくですよ〜」

因みに

「(一緒に行って徹底的に邪魔しちゃいましょう♪チョコを食べないと漫画を描きそうにありませんからね〜♪そんな事になれば徹底的に追い詰めてコレクションが増えちゃいますからね〜♪そんな事にあれば♪ああ♪)」

っとか思っていた人がいたそうだが、誰も気付かず

「まあ、いいか。頼んだぞ」
「了解」


                   × ×


屋敷を出た2人は歩きつつ

「さて、どうします?最悪、コンビニでチョコ菓子を買っても良いですけど」
「それでナギが満足すると思いますか?」
「(思いますって、言っちゃ駄目なんだろうな)」

謎の気配を感じ、黙っておく事にした。

「まあ、コンビニは最後の手段って事で」
「ですね〜♪」

2人は近くの商店街に来た。

「ここならお嬢様ご所望のチョコは見つかりそうですね」

「(私としては見つからない方が面白いんですけどね〜♪)」

少し歩くと

「お、ケーキ屋さんですね。入ってみますか」
「そうですね〜♪」

「へえ。品揃えも結構いいですね」
「ですね〜」

このお店は専属のパティシエもいるので、見た目も豪華めで品揃えも良かった。

「チョコケーキもありますし、ここで買って行きましょうか?」
「インパクト性が足りないって、ごねると思いますよ〜♪」
「そ、そんな事は」

流石に言い返したが、謎の恐怖を感じ

「そ、そうですよね。折角ですから、お茶してから行きましょうか」
「ですね〜」

悠太はロールケーキ、マリアさんはチーズケーキを注文し、店内で食べて行く事にした。


                   × ×


店を出た2人はまた商店街を歩いていた。
すると

「あら?ここは?」
「ああ、駄菓子屋さんっすね。懐かしいな」

昔からある「おばちゃんが1人で切り盛りしている」っと言った店構えで、折角なので中に入った。

「へえ。色々ありますね」
「まあ、駄菓子って色々ありますし」

2人は店内の駄菓子を見ていた。

すると

「ああ、そうだ。駄菓子に色々とツッコミを入れるのは、野暮ですよ。基本的に「遊び心」が大事っすから」

「(俺様の心を読んでんじゃねえよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!折角色々と難癖つけて困らせてやろうとしたのによ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!俺様の邪魔すんじゃねえ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!屑が!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!)」

とか思った人がいたそうだが、誰も気付かず

「折角ですし、チョコ味の駄菓子を幾つか買っていきますか。面白さがありますし」
「・・・」

チョコ味の駄菓子をいくつか買い(悠太は個人的な買い物もしました)、店を出た。

因みに、作者は「セブンネオン」と「うさぎマンボ」が好きです(聞いてないか)。


                   × ×

 
店を出た2人はコンビニにもよってチョコを買い、何気なく公園によった。

「これならお嬢様も満足しそうですね」

「(私としてはナギが満足しない方が面白いんですけどね〜♪)」

とか思った人がいたそうだ。

「ああ、そう言えば。最近言おうと思ってた事があるんですよね〜」
「へえ。何っすか?」

すると、マリアさんは悠太の方へ振り返り

「私、そろそろメイドを辞めようと思ってるの」
「へ!?」
「最近、ナギの成長はめざましいし、立派に成長したでしょ?私が支えなくても、もう大丈夫かなって」
「そ、そうっすか」

しかし?

「(動揺してやがるぜ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!俺様が辞める訳ねえだろ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!あいつらは俺様のコレクションの為の道具だ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!あんな便利グッズ、手放す訳ねえだろ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!)」

とか思った人がいたそうだ。

「(まあ、冗談だろうな。辞める訳ねえだろうし)」


                   × ×


帰宅後、ナギに買って来た物を渡すと素直にお礼を言い、手とかが汚れないチョコを食べつつ漫画を描き始めた。
その事で?

「(なんで満足してんだ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!そこは色々と文句言って困らせる所だろうが!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!俺様の楽しみを奪うんじゃねえ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!使えねえクソガキだな!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!)」

っとか思った人がいたそうだ。


それから数日後。

ナギの漫画も順調に仕上がっていた、そんな時

「なあ、マリアは?」
「さあ?朝から見てねえけど」
「私も見てないぞ」

取り敢えず一通り探すと

「ナギ、マリアさんの部屋にこんなものが」
「え!?」

カユラの手には「ナギへ」っと書かれた封筒が握られていて、ひったくる様に取って中を見ると


「ナギへ。 突然の事で驚いたでしょうね。でも、貴方はもう立派に成長した。私の助けなんか必要ない位に。だから、メイドを辞めて屋敷を出て行く事にしたわ。私も大丈夫だから、心配して探したりしないでね。   マリア」


っと書かれていた。

「お、おい、これ」
「どういう事だ、これ」
「そう言えば、何日か前に「メイドを辞める」って言ってたな」

3人は考え込んだが、答えは出ず

「取り敢えず、漫画読むか」
「取り敢えず、漫画描くか」
「取り敢えず、仕事するか」

バラバラに行動を始めた。


                   × ×


また数日後

「なあお嬢様」
「ん〜!?」
「どう思ってるんだ?マリアさんの事」

聞かれたナギは少し間を置き

「確かに、ここ数日姿を見かけない。本当に辞めたって可能性もある。だが、あのマリアが辞めるなんて、とても思えないよ」

こういうと、更に

「どうせどっかに隠れて私達の様子でも探ってるんだろ。で、「ドッキリでした〜」って出て来るオチだろ、どうせ」
「だよな。ナギに大賛成」
「ああ、そう」

ナギが持論を言うと


 ガッシャーーーーーーーーーン ←監視モニターに椅子が投げつけられ、壊れる音。


「ふざけんじゃねえぞ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!あのクソガキが!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!折角てめえが落ち込んで何も出来なくなった所を追い詰めてコレクションする計画が台無しじゃねえか!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!便利グッズなら大人しく俺様の役に立ってりゃいいんだよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!役立たずなゴミやろうが!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


それから数日後、マリアさんは何事も無く戻って来たそうだ。


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以上です。

次回は未定です。

では。
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Re: 女神と共に第四部 2nd (3月6日更新) ( No.20 )
日時: 2019/03/06 18:00
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
-----------------------------------------------------------------------------------

ここは毎度お馴染み三千院家。


「なあ、悠太」
「ん!?」

昼食後のティータイム中、ナギが話し掛けて来た。

「三千院家の遺産って、どうなってるんだ?」
「な、何だ、いきなり」
「あ〜、それはだな」

ナギは少し間を置き

「なんか、最近それ関連の話を聞かないからな。この小説の主役は天王州達だってのは分かってるが、気になってたんだよ」
「成程な。まあ、帝の爺さんが出した条件である王玉はちゃんと持ってるけどな」

悠太は首からかけてある王玉を見せつつ言い

「こいつを守り切れれば、何の問題も無いよ」
「そう、か。だが、あのクソ爺がこのまま沈黙を守ってると良いけどな」
「う〜ん。 そいつに関しては俺も何とも言えねえよな」

ナギも悠太を腕を組んで考え込み

「まあ、明日辺り行って確かめて来るよ。その方が安心だろ?」
「まあな。 ああ、私は行かんぞ」
「分かってるよ。忙しいし、あの爺さんの顔は見たくないっていうんだろ?」

ナギは無言で頷き、悠太は苦笑いをしつつ溜息をついた。


                   × ×


翌日。

悠太は三千院家本宅を訪れていた。

「俺がここに来た理由、あんたなら分かるだろ?」
「ああ、勿論じゃ」

予めアポを取り、帝と対峙して直ぐに悠太は前置きを省いて切り出していた。

「○○っと言うラジオの事じゃろ?」
「(それ、姉ちゃんが出てる奴じゃねえか)」
「あれは良い。あの方の弟であるお前と語らう日が来るとはな」

熱弁しそうな帝に

「違うよ。確かにお嬢様は欠かさず聞いてるが、俺は聞いてねえし」
「な、何じゃと!?じゃあ」

驚く帝に悠太は溜息をつき

「遺産についてだよ。前にあんたが出した条件は現在進行形で守ってるが、ちょっとな」
「まあ、予想通りじゃ。ついて来い」

悠太は帝に次いで部屋を出た。

暫く歩くと地下のような部屋に辿り着き、部屋の中央には厳重そうなケースが置かれていて、その中には巻物とペンが入っていた。

「何だ、こりゃ」
「見ての通り、巻物じゃ。そして、ワシの遺言書でもある」
「遺言書」

驚く悠太に帝は続けた。

「別に大した事は書いてはおらん。「自らの名を署名した者に三千院家の全てを譲る」っとな。つまり、このケースを開けて名前を書いた者こそ三千院家の後継者、っと言う訳じゃ」

言い切ると、少しの間沈黙が訪れた後

「ってかこんなのがあるなら」
「王玉は要らん、っと言いたいんじゃろ? まあ、話は最後まで聞け」
「ヘイヘイ」

納得した悠太に帝は

「見れば分かると思うが、このケースは鍵が無ければ絶対に開かん。ガラスに見えるが、特殊素材じゃから原爆クラスの高破壊力爆弾が無ければ壊せんよ。尤も、そんな事をすれば中の遺言書も吹っ飛んでしまうがの」

一気に説明した帝に

「無理やり鍵を開けられたらどうするんだ? 「どんな鍵でも開けられる」っていう鍵職人や泥棒だったらこれ位なら」
「このワシがそれを想定してないとでも?」
「まあ、想定してるだろうな」

ニヤリッとした帝は

「このケースには現時点で世界最高峰の防犯システムが施されておる。無理やり開けようとすれば唯一の入り口は閉まり、部屋を水で満たしてその者を溺死させる様になっておる。つまり、専用の鍵が無ければ何者であっても開けられんっと言う訳じゃ」

悠太は安心の溜息をついた。

「このケースの鍵はワシが厳重に管理しておる。無くしたり、盗まれたりはしてないから安心せい」
「って事は」
「以前出した相続の条件を満たした者に鍵を渡す。っと言う事じゃ」

予想通りであり、悠太はまた安心し

「何はともあれ良かったよ。このまま行けばお嬢様が全部相続するんだろ?」
「・・ああ。「このまま行けば」な」
「じゃあ、俺は帰るよ。邪魔したな」
「ま、待て!!」

帰ろうとした悠太を帝は呼び止めた。

「ヒスイには気をつけろ」
「ヒスイ? 前にお嬢様が言ってた初柴ヒスイか?」
「ああ、そうじゃ」

帝は目を閉じて少し間を空けた後

「あ奴は強欲じゃ、恐ろしい程にな。あいつは現段階じゃ沈黙を守ってるが、何を企んでるか分からん」
「何をって、普通に三千院家を」
「三千院家だけで済めば、良いがの」
「・・・え!?」

帝の言葉に悠太が言葉を失っていると

「これは予感じゃが、あ奴は「世界そのものを」巻き込む程の大事を起こしそうな気がするんじゃ。無論、三千院家を手に入れればそれは難しくは無いが、それ以上の事をしでかしそうな気がするんじゃ。お主なら、分かるんじゃないのか?」

悠太は冷や汗が流れるのを感じた。

「ま、まさか」
「無い、とは言い切れんじゃろ。目的が何であれ、あ奴は危険じゃ。 寧ろ、危険過ぎるっと言っても差し支えは無い」
「で、でもよ」

悠太は必至で頭の中を整理し

「それはあんたの予感ってだけだろ?」
「ワシの予感は良く当たる。こういう時の予感は、的中率は100%じゃよ」

悠太は拳を強く握り

「そいつは、そんなに危険なのか?」
「ああ」

肯定のみした帝に悠太は少し考え

「分かった。気を付けるよ」
「今一度言おう。 初柴ヒスイには気をつけろ。あ奴は危険すぎる。場合によっては世界を危機に陥れる程に、な」
「・・心に深く刻んでおくよ」

悠太は1人で地下室の様な部屋を出て

「(初柴ヒスイ、か。あった事はねえが、あの爺さんがあそこまで言うって事は)」

悠太は自然に身震いしていた。


                   × ×


帰宅後、悠太はナギにヒスイの事を聞いていた。

「ヒスイか〜」
「お嬢様とは幼馴染なんだろ?」

ナギは腕を組んで、上を見上げながら少しの間考え込んだ後

「確かに、あいつとは幼馴染さ。前までは数少ない友人の1人だったし」

また間を空けた後

「何と言うか、「変な奴」だよ」
「え!?」
「子供の頃、何かにつけては木に登ってたし、何か揉め事があれば「勝つまでやる」とか言って石で相手を殴る様な奴だったし、力で全てをなぎ倒す。そんな奴だった」

一旦間を置いた後

「正直に言うとな、子供の頃は憧れてたんだ。何となくな」
「そう、か」
「でも、何となく疎遠になった。今考えれば、何となく分かる様な分からない様な。そんな気がするよ」

ナギの言葉や表情には特には何かが含まれておらず、淡々と話している様に感じた。

「帝の爺さんは、「強欲だ」とか「気をつけろ」って言ったぜ」
「クソ爺がそう言うのも分かる様な気がするよ。友人を悪くは言いたくないが、警告した理由も、分かる」

ナギはまた間を空け

「悠太、爺がそう言う以上私からも警告しておくよ。あいつが訳も無くそんな事は言わない。人をからかう事は好きな奴だが、そこまで言う以上は何かがある。ヒスイには気を付けておけよ」

「ああ、分かったよ」

廊下に出て、歩きながら悠太は

「(何だろうな。俺にも芽生えているこの「嫌な予感」は。外れる事を祈るしかねえよな)」

自身に宿った予感と戦いながらこう思っていた。


                   × ×


「ヒスイ」
「・・何だよ」


-----------------------------------------------------------------------------------
以上です。

次回は続きです。

では。
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Re: 女神と共に第四部 2nd (3月9日更新) ( No.21 )
日時: 2019/03/09 13:30
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
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前回、悠太はヒスイの事を聞かされ、警告も受けた。


「ねえヒスイ」
「・・何だよ」

ヒスイは現在、自身のメイドである夜空と話していた。

「例の事なんだけどね、貴方の考えを一応聞いておこうと思って」
「何だ、そんな事か。私の考えは変わらないよ」
「なら安心したわ」

するとヒスイは

「そんな事より、例の事はどうなってる。まだなのか」
「ちゃんと進めてるわよ。でもねえ」
「何だよ」

苛立つヒスイに

「慎重に進める必要があるのよ。じゃないと」
「・・まさか、裏切る訳じゃ無いだろうな」
「そんな馬鹿な事しないわよ。ただ」
「まどろっこしい。早く言え」

敵意の目を向けて来るヒスイに夜空は溜息をつきつつ

「例の事が露見すれば、間違いなく妨害を受けるのよ」
「そんな物、跳ね除けろ」
「無茶言わないでよ。私だって、それが出来るならとっくにやってるわよ」

更に苛立ち始めたヒスイに夜空は宥めつつ

「天王州アテネ・神尾崎綾子・鷺ノ宮伊澄。この3人は厄介なのよ。普段は不仲でも、いざとなれば手を組む。そんな事になれば勝ち目なんかないわよ。私と貴方が同時に挑んでもね」

不機嫌なままのヒスイに

「私だって、例の事は一刻も早く実行に移したい。でも、慎重に慎重を重ねないと、ばれちゃうのよ」
「・・黙れ」

殺意しか無い声色に流石に夜空もたじろぎ

「何時までも私を待たせるな。いい加減我慢なんか限界だ」
「だから」
「黙れと言っている。 待たせる以上、「裏切り」っと同意義だ。私を敵に回したいのか?」

明らかに殺意を自身に向けて来るヒスイに溜息をつきつつ

「分かったわよ。多少強引でも、急いで進めるわよ」
「早くしろ」


                   × ×


数日後。

「おい、夜空」
「何よ。これでも忙しいのよ」
「そんなの関係ない。例の事はまだなのか」

睨むヒスイに

「安心なさい。最終段階に入ってるわよ。後、もう少しよ」
「・・・」

夜空はヒスイに背を向けた。すると殺意を感じ、急いで避けた。

「な、何するのよ」
「・・お前が裏切ってないかの確認だ」

ヒスイは何時の間にか刀を持っており、斬りかかったのだ

「裏切りは無いと、分かった。だが、もう限界だ。今直ぐに実行に移せ」
「これでも最大速度で進めてるわよ。今やったら中途半端になるわよ」
「煩い。私がやれと言ったらやるのが理だ」

らしいと言えばらしいのだが、横暴な意見に

「本当にもう少しよ。貴方は準備出来てるの?」
「当たり前だ。もうとっくにだ」
「はいはい。ならもっと急ぐから、待ちなさい」

そう言った途端また斬りかかって来たので、白刃取りで身を守りつつ

「私だって、例の事は実行したい1人よ。だからこそ、慎重かつ最大速度で進めてるのよ」
「・・・」
「貴方だって、中途半端になって例の事がばれた挙句、失敗するのは嫌でしょ?」

この説得に流石に折れたのか

「分かった。だが、猶予はあと1週間だ。それ以上かかった場合、お前は「裏切者」として処分する。そうなれば・・・」
「1週間ね。ギリギリだけど、やってあげるわよ」
「裏切りは万死に値する。忘れるな」


                   × ×


1週間後。

「ヒスイ。全ての準備が整ったわ」
「そうか。なら、直ぐに動くぞ」
「待ちなさい。気持ちは分かるけど、夜を待ちなさい」

止めた事で睨まれたが

「こういう事は闇に紛れて行動するから、最大限効果を発揮出来るのよ」
「・・一理ある」
「全ての実行は今夜。そうすれば貴方も私も・・・」

ヒスイ、夜空。ともに不気味極まりない笑みを浮かべ

「全ては今夜だ。それ以外は認めん」
「私だって認めないわよ」
「なら利害の一致だ」

ヒスイは窓際に立ち

「時間をかけた我らの計画、ついに始動だ!!」
「見てなさい。この計画によって全てが変わる!!!」


遂に行動を開始したヒスイと夜空。


悲劇へのカウントダウンはもう、存在していない。


それは、ヒスイと夜空以外誰も気付いていなかった。


全てが起こる夜は、もう間もなくだ。


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短いですが、以上です。

次回・・・

では。
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Re: 女神と共に第四部 2nd (3月12日更新) ( No.22 )
日時: 2019/03/12 18:00
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
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前回、ヒスイと夜空は遂に行動を開始した。


「ふう。遅くなっちゃったかな」

ハヤテは仕事帰り、帰路を急いでいた。
思ったより仕事が長引き、予定していた時間を過ぎてしまっていたからである。

すると、大きな公園の前を通りかかった時、悪しき気配を感じ

「(何だろう、今の。身の毛もよだつ程の悪しき気配)」
「(これは、かなり強い力を持つ悪のようですね)」
「(ほおっておくわけにはいかないよね)」

ハヤテの性格上無視は出来ないので、公園に入った。

神経を研ぎ澄まし、悪しき気配を探っていると

「な、何だ、これ」

突然巨大な魔法陣が足元に出現し、驚く間もなく

「(マスター!!急いで離れてください!!)」

白桜の忠告は間に合わず

「あ、ぐ、うぐぐぐ」

ハヤテは頭を抱えて蹲り、襲い掛かる激痛と戦っていた。
すると

「まさか、こんな簡単に引っかかってくれるとはね」

夜空が現れ嬉しそうに蹲るハヤテを見下ろしていた

「悪く思わないでね。私達の計画にはどうしても必要なのよ、貴方がね」

そう言い切った瞬間、

「やはり現れたわね、お邪魔虫が!!」

飛んで来たお札を結界で防ぐと、直ぐに仕事モードの伊澄が現れた。

「今直ぐにハヤテ様を開放しなさい!!!」
「嫌よ。折角苦労して、時間もかかって準備したのに」
「なら、力付くでも止めさせます!!」

伊澄は一気に力を開放し

「術式・八葉 建御雷神」

伊澄が放った攻撃は魔法陣を覆う結界に直撃したのだが、ヒビ一つ入らず

「そ、そんな」
「無駄よ。かなり強力な結界だもの。簡単には破れないわ」
「なら、何度でも放つまでです」

伊澄は再び建御雷神を発動しようとしたが、

「余計な事しないでくれる?」
「クッ」

夜空に攻撃され、伊澄も結界張って防ぐしかなく

「確かに、あんたの力は脅威ね。でも、肉弾戦じゃ只の小娘。こっちに分があるってもんよ」

夜空の攻撃を防ぐのに精一杯で、攻撃まで手が回らなかった。
すると

「やれやれ。またあんたなのね」
「偶々近くを通りかかって良かったぜ」

悠太が乱入し、既に叢雲を構えていた。

「こいつの足止めは俺がする。伊澄はハヤテを頼む」
「分かりました。ただ、お気をつけて」
「分かってるよ」

悠太は夜空と対峙し

「言っとくけど、手加減なんか期待しない事ね」
「そりゃこっちのセリフだ」

剣を取り出した夜空と悠太は激しい鍔迫り合いを繰り広げ、伊澄はハヤテを覆う結界に近付き

「これは・・。見た事も無い程に強力な結界。 ですが、これ位なら」

打ち破ろうと力を出すと

「え!?  キャアアアア」

突然謎の手が出現し、伊澄を吹っ飛ばした。

「伊澄!!!」
「余所見してて良いのかしら?」
「クソッ」

夜空は強く、悠太は伊澄のフォローには回れず

「だ、大丈夫です」

ギリギリで結界を張り、怪我等はしてなかった。

「な、何だよ、あれ」
「だから、余所見していいの?」
「グッ」

夜空は悠太より格上で、伊澄を気にしつつ戦うのは不可能だった。

「邪魔しないで、もらえますか」

伊澄は謎の手と戦い始めたが、建御雷神の効果はかなり薄かった。

「(早くしないとハヤテ様が)」
「(なんとかフォローに回りてえが、こいつ相手じゃ)」

伊澄も悠太も相手が格上のせいでハヤテを助ける事は困難だった。

「こうなったら」
「え!?マジ!?」

伊澄のオーラに悠太も夜空も慌てて距離を取った。

「術式・八葉神巻 神世七代」

伊澄が放った技には流石に謎の手は耐えられず、消滅した。

「相変わらず凄え威力」

呆れるやら感心するやらの悠太に対し

「ほう。やはり強いな」
「な!?」
「だ、誰だ」

顔に傷のある女の子が現れ、伊澄は驚いていた

「な、何故あなたが」
「説明する必要は無いだろう」

「伊澄、知り合いか?」

伊澄の直ぐ側により、悠太が聞くと

「初柴ヒスイ。私やナギの幼馴染です」
「あいつが」
「初めまして、だな。真山悠太」

一応挨拶するヒスイに

「そこをどきなさい、ヒスイ!!!でないと」
「もう遅い」
「「な!?」」

先程まで苦しみの声をあげていたハヤテが何時の間にか声をあげておらず、ハヤテから黒い煙の様なものが出ていた。

「あ、あれは」
「クッ。今からでも遅くはありません」

伊澄は再び攻撃したが、夜空の結界で防がれた。

「ヒスイ。記念すべき日だから教えてあげたら?」
「そうだな。心して聞くがいい。 我らの目的を」

ヒスイは不敵な笑みを浮かべると、語りだした。

「キング・ミダス様の封印を解き、願望現実化の力でこの世の支配者となるのだ!!私はミダス様の側近として。出来る事なら奥方として支配者となるべく、計画を進めていた。そして全てが上手く行った。どうだ、この偉大なる計画は」

ヒスイは大袈裟な身振りで言い切った。

「っと言う訳だ。全てが上手く行った以上これはもう必要の無い物だ」
「「こ、これは王玉」」

ヒスイは2人王玉を投げつけ、伊澄が見ると明らかに本物で、光も失って無かった。

「万が一の事も考え手に入れたが、上手く行った以上必要は無い。それはくれてやるよ」

不敵な笑みを浮かべヒスイは更に

「ミダス様はもうお目覚めになる。そうなれば、我らはもう支配者だ。願望現実化の力でな」
「ふざけんじゃねえ!!!そんな事、させねえぞ!!!」
「そんなふざけた計画の為にハヤテ様を犠牲にする事も許しません!!!」

構えた伊澄と悠太に対し

「言っただろ、もう遅いと」
「「な!?」」

ヒスイと夜空が脇によると、ハヤテは既に立っていた。 禍々しいオーラを放った状態で。

「あ、あれは。ミダスハヤテ」
「あ、ああああ」

言葉を失う2人に対し

「うむ。中々気持ち良い目覚めだ。力も増しておる」

以前にも聞いた地獄の底から聞こえて来る様な声に悠太も伊澄も心臓を握り潰される様な錯覚に襲われた。

「「おはようございます。我が君」」
「ん!?お前か。 それに・・」

ミダスハヤテは夜空を見ると知り合いを見る様な目付きになり、ヒスイを見ると「誰だこいつは」っと言った目になった。

「ヒスイっと申します。貴方様の封印を解いたのは私でございます」
「そうか。ご苦労」

褒められたヒスイはウットリとし

「我が君、私は貴方様の側近兼奥方になりとうございます。我らでこの世を支配しましょう」
「ほう。我の」
「はい」

ヒスイはミダスハヤテに笑顔を向けたが

「え!?」
「ヒスイ!!!」

ミダスハヤテは黒椿を召喚するとヒスイを斬りつけた。 深く斬られた為か、ヒスイからはかなりの出血が見られた。
その直ぐ後、ミダスハヤテは夜空も斬りつけた。

「な、何故。私は貴方の娘でございますよ」
「知るか。この我にそんな物は不要だ」

ミダスハヤテは冷たく吐き捨てると、ヒスイの方へ向き

「ミ、ミダス様。わ、私は」
「生意気な小娘の封印を解いた事は褒めてやろう。だが、我には側近や奥方など不要だ。 この世の支配者は我1人で良いわ!!」

ミダスハヤテの言葉にショックを受けたのか、ヒスイも気を失った。
ミダスハヤテは悠太と伊澄の方へ向いた。

「久しいな、貴様ら」
「てめえ。取り敢えずは封印を解いてくれた奴に対して」
「こいつにも言った通りだ。支配者は我1人で良い。他は我に支配されてればよいのだ」

あまりに身勝手な発言に

「ふざけるな!!!また封印してやる!!!」
「出来ると思うのか!?」
「出来る出来ないじゃねえ!!「やるしかない」だ!!!」

叢雲を構え、飛び掛かろうとした悠太を伊澄は止めた。

「な、何で止めるんだよ?お前はあいつを」
「駄目、です」
「な!?何を」

もめる2人にミダスハヤテは鼻を鳴らし

「まあ、良い。我は願望現実化の力を取りに行く。止めたきゃ止めてみるがいい」
「言われなくても・・・だ、だから伊澄、何で」

飛び掛かろうとするたびに伊澄に止められ、悠太は疑問でいっぱいだった。

「フンッ。興が醒めたわ。 我と戦うのなら、戦力を整えると良い。1日だけ、猶予をくれてやる。つまり、我は2日後に力を取りに行く。その時を、楽しみにしておるぞ」

地獄の底から聞こえて来るような笑い声をあげ、ミダスハヤテ消えた。

悠太は叢雲を鞘に納めると

「何で止めたんだよ。あいつは」
「説明します。その前に・・」
「え!?ああ。 取り敢えず、天王州家に運ぼう。話は天王州を交えて、だろ?」

伊澄は無言で頷き、悠太は気を失っているヒスイと夜空を応急手当てをしてから抱えて運ぶ事にした。

勿論王玉もきちんと回収して。

因みに、伊澄はまた髪が白くなってしまいました。


                   × ×


悠太と伊澄が天王州家に行くと使用人の人達は驚き、直ぐに医者を手配してくれた。

そしてアテネ、悠太、伊澄は応接間に集まっていた。

「何が、あったんですの?それにあの方たちはいったい」
「全部、順を追って話すよ」

悠太は先程の出来事を可能な限り詳しく話した。

「そうでしたか。  ハヤテ」

俯いてしまったアテネを気にしつつ

「兎も角。 実力者達を集めてまたあいつを封印するしかねえ。伊澄、頼んだぜ」
「そうですわね。キング・ミダスを封印出来るのは鷺ノ宮さんしかいませんものね」

期待を寄せる2人に対し、伊澄は俯いたままだった。

「おい、どうしたんだよ」
「鷺ノ宮さん?」

心配そうに見ていると、伊澄は口を開いた。

「封印は、出来ません」
「「え!?」」
「キング・ミダスは私の力も取り込んで、復活しました。ですから、再び封印を施すのは、不可能なのです」

驚く2人に伊澄は続けた。

「今のミダスに封印の力を使うっと言う事は、例えるなら植物に栄養満点の肥料を与える様なものです」
「つ、つまり、封印しようとすれば奴をパワーアップさせるだけって事か?」
「ええ。ですから、私達に出来る事はただ一つ。 キング・ミダスを倒す事です」

言い切った伊澄に

「ま、待てよ。足止めだけでボロボロにやられたんだぜ?それなのに倒せってのか?」
「ええ。そうでないと、ミダスは願望現実化の力でこの世を永遠に支配してしまいます。それだけは防がないと」
「そ、それはそうですが。ですが」

アテネもミダスハヤテの強さは十二分に知っているので、「倒す」っと言う事がいかに困難か十二分に分かっていた。

「でしたら、大人しく支配されますか?」
「そんなの、許す訳ねえだろ!!!」
「そうですわ!!!いかに困難であろうと、それだけは絶対に阻止ですわ!!!」

伊澄も勿論同意見だった。

「やるしかねえのか。俺達は、ミダスの野郎に勝つしかない」
「ええ。ハヤテを救う為にも、勝つしかありませんわ」

3人とも決意を固め、

「俺は実力者達に声をかけてみる。たぶん、協力してくれるはずだ。天王州と伊澄は、色々と準備を頼む」
「了解しました」
「了解ですわ」


再び悲劇は起こってしまった。

果たして、アテネ達は勝つ事が出来るのだろうか。

世界の命運をかけた戦いはいかに。

そして、戦いに参加する者とは。

因みに、王玉は力が戻った伊澄が破壊しました。

王玉の残り・・0個


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以上です。

次回は続きです。

では。
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Re: 女神と共に第四部 2nd (3月12日更新) ( No.23 )
日時: 2019/03/13 19:31
名前: ささ

えっ、ミダスハヤテ再訪だけでもやばいのに、伊澄の力を取り込んでるって・・
姿形がハヤテなミダスハヤテ相手でどこまで対応できるか興味深く待たせていただきます。
そういえば、これで悠太の持っているもの以外の王玉は無くなったというわけで・・・
こんなとこかな、これ以上は核心についての質問になりそうだw

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Re: 女神と共に第四部 2nd (3月15日更新) ( No.24 )
日時: 2019/03/15 17:30
名前: masa

こんにちはmasaです。

レス返しの更新です。


 ●ささ さん

 伊澄「感想ありがとうございます♪」

 >>えっ、ミダスハヤテ再訪だけでもやばいのに、伊澄の力を取り込んでるって・・

 伊澄の封印が聞かなくなる理由を考えた時、これが最適かなって思ったので、そうなったんですよ。

 >>姿形がハヤテなミダスハヤテ相手でどこまで対応できるか興味深く待たせていただきます。

 それに関しては、物語が進むのを待ってくださいっとしか言えません。すみません。

 >>そういえば、これで悠太の持っているもの以外の王玉は無くなったというわけで・・・

 悠太「まあな。俺が持ってる王玉が唯一残された王玉だな」
 アテネ「何時の日か破壊したその瞬間、何人もロイヤル・ガーデンには入れないっと言う事ですわね」

 >>こんなとこかな、これ以上は核心についての質問になりそうだw

 そ、そうですか。まあ、答えられる範囲で良ければ、答えるつもりだったんですけど。


 感想ありがとうです〜♪

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Re: 女神と共に第四部 2nd (3月15日更新) ( No.25 )
日時: 2019/03/15 18:00
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
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前回、ついにキング・ミダスが復活してしまった。


翌朝。

悠太は神尾崎家に赴いていた。

「そう、ですか」

綾子に可能な限りを話し、聞き終えた綾子は俯いて黙り込んだ。
流石に全ては話さないので、「ハヤテが悪しき英霊に乗っ取られてしまった事」「放置すれば世界が支配されてしまう事」「戦う以外に道は無い事」を話した。

「あいつの強さは異常だ。前に戦った時は天王州、ヒナギク、俺の3人がかりでもボロボロにやられた。死ななかったのが幸運な位にな」
「当然、ですわね。体はハヤテ様な以上、叶わないのは当たり前、ですし」

綾子の意見に悠太も同意見だった。

「協力してほしい。あいつを倒さなければ、世界は永遠に終わりだ。神尾崎が一緒に戦ってくれれば、勝率は僅かでも上がる。だから、頼む」
「勿論、協力は惜しみませんわ。ハヤテ様を救う為にも、世界を支配されない為にも」

言い切ると、更に

「ハヤテ様を救い出さなければ、私の夢である「結婚して神尾崎家を繁栄させる」っと言う夢は叶いませんからね」

うっとりと言う綾子に悠太は呆れつつも

「前回が偶々大丈夫だっただけで、今回はこそ殺されるかもしれねえぜ。「支配」が目的であっても、戦況次第ではあいつは俺達を殺すだろうぜ。そう言う迷いはあいつにはねえし」
「脅すつもりなら、効きませんわよ。神尾崎の強さ、存分に思い知らせてあげますわ」

強い目に、悠太はこれ以上引き留めるのを止めた。

「で、何時なんですの?」
「明日だよ。昨夜、「1日だけ猶予をくれてやる」って言ってたし」
「まあ、何とかなりますわ」

悠太は綾子と握手し、神尾崎家を後にした。
綾子は敷地内の道場に足を運び、決戦の準備を始めた。


                   × ×


悠太は今度は白皇の生徒会室に来ていた。
ヒナギクに電話した所、仕事があるから生徒会室に居ると言われ、約束したうえで来た為である。

「そう。あいつが」

ヒナギクも同様に、話を聞き終えると俯いた。
ヒナギクには「キング・ミダスの封印が解けてしまった事」「再度封印する事は不可能な事」「戦う以外に道は無い事」を話した。

「でも、鷺ノ宮さんが強力な封印を施したんでしょ?なんで」
「・・お嬢様達の幼馴染に初柴ヒスイってやつがいて、そいつが封印を強引に解いた。ミダスを主として世界を支配する為、だってよ」
「・・余計な事してくれたわね」

ヒナギクにしては珍しい強めの毒に驚きつつも、様子を見つつ

「前回同様、協力してほしい。さっきも言ったが、俺達は勝つしかねえんだ。ヒナギクが手伝ってくれれば、勝率は僅かでも上がる」
「・・返事をする前に、1つ良い?」

前置きして少し間を置いた後

「綾には声をかけたの?前回は時間の関係で呼べなかったけど、今回は」
「・・もう、話した。協力してくれるってよ」
「そう」

ヒナギクは安心の溜息を吐き

「勿論協力するわ。あの化け物の強さは知ってるけど、今度こそ倒さないとね」
「・・言っておくぜ。今回は前回とは比べ物にならない程「死ぬ確率」が高い。「支配」が目的でも、邪魔な俺達を殺すだろうし」
「・・確かに、死ぬ事は怖いわ」

暗い声で言うヒナギクに悠太は誘った事を後悔したが

「でもね、それ以上に「ハヤテ君を助けたい。あんな奴の思い通りになんかさせない」って思うの。そう思えば、「死の恐怖」なんか吹き飛ぶわよ」
「・・そうか」

迷いを一切感じない言葉に悠太は安心していた。

「で?戦いは何時なの?」
「明日だ。時間は決まって無いけど」
「そう。じゃあ、急いで仕事を片付けないと」
「・・手伝うよ」

悠太の手伝いで急いで仕事片付け、ヒナギクも決戦に備える事にした。


                   × ×


一方。

「ソニア、少しいいですか?」
「え!?あ、はい」

アテネは仕事をしていたソニアを自室に招き、向かい合う様に座った。

「あの、何でしょう」
「・・話をする前に聞いておきますわ。 あなたは、強いですよね?」
「え!?まあ、一応。 マフィアとかの用心棒とかしてましたし、結構な強さはあると思いますけど」

言われたアテネは少し悩み

「なら、大丈夫でしょうね」
「???」

首を傾げるソニアにアテネは話し始めた。
「ハヤテが悪しき英霊に乗っ取られた事」「放置すれば世界が支配されてしまう事」「戦う以外に道は存在無い事」を。

「ハヤテさんが昨日から帰って来ないのには、そういう理由が」
「ええ。あ奴の強さは異常ですわ。この私ですら、ボロボロになるほどに」
「そんなに」

アテネの強さは知っているので、流石に驚いていた。

「ソニア、確かにあなたにも協力してほしいですわ。勝つ確率は少しでも上げたいですし」
「だったら」
「ですが、貴方には覚悟はあるんですの?見た目はハヤテの英霊と戦う事、死ぬ確率が高い戦いに挑む事、そして死ぬ事を」

アテネの言葉に流石に俯いた。

「無理強いはしませんわ。貴方と言う戦力を失うのは痛いですが、嫌がるなら」
「バカにしないでよ」

ソニアがメイドについて以来基本敬語だったのだが、敬語が消えた事に驚いていると

「ハヤテさんを救うには戦うしかないんでしょ?なら、戦ってやるわよ。 それにさ、裏社会に係わると「死ぬかもしれない事」何て日常茶飯事よ。今更恐怖なんて感じないわ。 頼ってくれた以上、「命を懸けて」戦うわよ。死ぬのは嫌だけど、怖くは無いわ」

強い目と言葉にアテネは安心し

「なら、頼みますわ。戦力は多いにこしたことはありませんし」
「で?決戦は何時なの?」
「明日ですわ。協力すると言った以上、覚悟なさい」
「明日!?まあ、主の命令な以上メイド長も許可出すでしょうし、何とかなるわね」

こういうと、ソニアは部屋を出て行った。
そして、武器の手入れを始めた。

アテネは一応メイド長に話を通し、ソニアの参戦を許させた。


                   × ×


一方。

「そうか。あ奴が」

伊澄は帰宅後、曾祖母の銀華さんに話していた。
っとは言っても、「ハヤテが悪しき英霊に乗っ取られた事」「戦う以外に道は無い事」位だが

「オババはあ奴を気に入っておる。助ける為なら、協力するわい」
「ですが、あいつは私の力ですら殆ど通用しない化け物。大お婆様の手助けがあっても、勝てるかどうか」
「・・お前らしくも無い」

突然の言葉に驚いていると

「何時ものお前なら相手が誰であろうと負けず嫌いを発動して挑むのに、そんな弱気になるとは」
「で、ですが」
「お前にとっても愛しい奴なのだろう?なら弱気になんかなるな。そんなんじゃ勝てる者にも勝てんぞ」

曾祖母の言葉は確実に沁みていた。

「このオババも手を貸してやる。お前だけじゃなく、他の強き者も戦うんだろ?だったら、弱気を見せた瞬間に負けじゃぞ。何時も通り、負けず嫌いで居ろ!!」
「はい!!」
「うむ。流石は我が曾孫じゃ。 おばばにとっても愛しきあ奴を、必ず救おうぞ」
「はい!!」


                   × ×


一方。

「お嬢様、ちょっといいか?」
「何だよ。こう見えても、忙しいんだが」

ナギの前には書きかけの漫画が置かれていた。

「大事な話だ」
「・・分かったよ。話せ」

悠太は少しだけ間を空けて、話し始めた。
「明日、大きな戦いに挑む事」「その為に休ませてほしい事」そして「戦いで死ぬかもしれない事」を。

「・・・」
「お嬢様?」

ナギは無反応で、悠太はどうしたらいいか迷っていた。
すると

「休みはくれてやる。だが、条件がある」
「な、何だよ」
「絶対、生きて帰って来い。社長になる為に卒業するまで、執事を辞める事は許さんからな」

ナギの言葉に悠太は「執事が敬意を示すポーズ」を取り

「仰せのままに」
「・・死ぬなよ。絶対だぞ」

深々と頭を下げる悠太にナギはこう言うと

「お前にも、私とハヤテの結婚式に出てほしい。だから言ってるんだ」
「分かってるよ」

悠太は書斎を出ると

「(お嬢様の為にも、勝たねえとな)」

決意を新たにしていた。


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以上です。

次回は続きです。

では。
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Re: 女神と共に第四部 2nd (3月18日更新) ( No.26 )
日時: 2019/03/18 20:40
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
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前回、悠太達は決戦の為の戦士達に声をかけた。


戦士達は天王州家に集まっていた。

「これが戦いに参加する人達ですか」
「まあ、当然ですわね」

アテネと綾子の間にはピリピリとした空気が漂っていた。
普段、犬猿の仲の2人だが、状況が状況なので、何時もの喧嘩は我慢していた。

そんな空気に呆れつつ、悠太は

「それで。あいつは見つかったのか?」
「ああ、そうでしたわね」

アテネはコホンと軽く咳払いをして気を取り直し

「現時点で、あ奴の居場所を探るのは、不可能ですわ。 もっと時間を掛ければ出来るんでしょうが、そんな暇はないですし」
「って事は、あいつが動くまでこっちは待機するしかねえって事か」
「ええ」

アテネも悠太もため息をつき

「兎も角、皆さんには今日の所は我が家に泊まって貰って、明日の決戦に備えてもらうしか、ありませんわね」
「だな。俺もそれに賛成だ」

アテネが他の面々に様子を窺うと、誰も反対は無い様で、悠太の言葉に頷いていた。

「っと言う訳ですので、部屋に」
「待ちなさい」
「・・何ですの?」

立ち上がりかけたアテネを綾子が制し、アテネは不機嫌になりつつ聞いていた。

「戦いに参加する以上、聞いておきたい事がありますわ」
「だから、何ですの」
「悪しき英霊がハヤテ様を乗っ取ったのは聞いてます。ですが、幾らハヤテ様が異様に強くとも、世界を支配出来る程とは思えませんわ。その辺を、お教え願えます?」

アテネは考え始めた。 この場で全てを打ち明けるのは簡単だが、願望現実化の秘密をおいそれと話す訳にはいかない。
かと言って戦いを共にする面々(悠太と伊澄を除く)に何もかもを秘密にしたまま戦ってもらうのも気が引ける。
なので、暫くの逡巡の末

「世界を支配出来る、特殊な力があります。あ奴の狙いはそれですわ」
「じゃあなんで、ハヤテさんを支配する必要があるのよ。そんな事しなくても自分でさ」
「・・・」

ソニアの質問に悠太と伊澄以外は「そうだそうだ」っと言う空気になった。

「その力は、普通じゃ手に入りませんわ。ですが」
「ハヤテ様なら、手に入れる事が出来る。だから支配したと」
「ええ」

全員納得し、アテネは質問はもう無いかと皆を見渡していた。

「オババからもあるぞ。その英霊より先に、我らの誰かがその力を手にすればよいのではないか?そうすれば、万事解決じゃと思うんじゃが」
「そう言えばそうね。どうなのよ、天王州さん」

願望現実化を手に入れる条件を知っている悠太と伊澄は複雑な感情にみまわれていた。
2人も確かに同意見なのだが、手に入るかどうかは「確率が有り得ない程低いギャンブルに全財産をつぎ込む」様なものだからだ。

「それが出来れば、苦労なんかありませんわ」

アテネの言葉にこの場にいる全員(アテネ以外)は首を傾げた

「その力が封印されている場所には、現時点では何人も入る事が許されないんですわ」
「じゃ、じゃあその悪しき英霊も入れないのでは?」
「私の調べが正しければ、ハヤテであればその地への封印を解き、入る事が出来ます。ですから」
「ハヤテを乗っ取ってる英霊も、入れるって事か」

悠太の言葉にアテネは無言で頷いた。

「って事は。 私達がやるべき事は「戦闘準備を整え、そこへ行く為の入り口がある周辺で待機して、英霊が現れたら戦いを挑む」って事かしら?」
「ええ。全くもってその通りですわ」

ヒナギクの言葉にアテネは直ぐに肯定し、この場にいる全員の雰囲気が変わった。

「やるしかないわね。 天王州さん、この屋敷に剣道場みたいな訓練が出来る所、ある?」
「ええ、ありますけど」
「悪いけど、そこ貸して。 綾、明日に備えて訓練手伝って」
「勿論ですわ」

アテネは訓練場の場所を教え、ヒナギクと綾子は部屋を出て行った。

「オババは無用な力を使うぬよう、休むだけじゃな。今日泊まる部屋へ案内してもらうぞ」

銀華さんは他の使用人の案内で部屋へ向かった。

「私も鍛え直しておこうかしらね。 幸い、天王州家No.2の人が今日はいるし」

ソニアはこう言うと、部屋を出た。

「お2人も、休むなり鍛え直すなり好きにしてていいですわ」
「・・その前に話がある」
「私もあります」

悠太も伊澄も椅子から動かず、

「さっきは詳しくは知ら無い人達がいたから聞けなかったが、ロイヤル・ガーデンへは俺の王玉を使えば入れるんじゃねえのか?」
「ええ。悠太さんの王玉の穢れは、私が祓いましたし」
「そ、それは」

渋るアテネに

「大丈夫だよ。願望現実化を手に入れられるか分かんねえけど、万が一駄目でも何とかなるよ。ミダスの野郎に取られるより、よっぽどいいと思うぜ」
「私も、あんまり賛成は出来ませんが、その方が良いかと」

2人の提案にアテネは俯いて考え込んだ後

「先ほど言った事は、誤魔化し等ではありませんわ」
「「え!?」」
「城への入り口は、本当に閉ざされてるんですわ」

アテネは一旦間を置き

「皆さんに集まってもらう前、私は城への入り口がある場所へ赴きました。そこで確認したところ、城への入り口は、固く封印されていました。何故かは不明ですが、穢れ無き王玉を用いても、恐らくは城に入れませんわ。つまり、残念ながらお2人の提案は「不可能」っと言う事ですわ」

アテネの言葉に2人とも少しの間言葉を失い

「って事は、俺達じゃ無理って事か」
「あ、でも。固く封印されてるならハヤテ様でも」
「先程も言いましたが、その封印はハヤテであれば、解除は可能かと」

アテネの言葉に悠太も伊澄もため息をつき

「やっぱ、戦うしかねえか。 俺も鍛え直してくるよ」
「・・私は明日に備えて準備します。他の方々と私では、するべき準備が違いますから」

2人が出て行った後、アテネは少しの間俯いた後

「私も、準備しますか」

アテネも部屋を出た。


                   × ×


翌日。

ミダスハヤテはロイヤル・ガーデンへの入り口がある白皇に来ていた。

「ついに来たか。我が世界の支配者となるその時が」

そう呟き、入り口がある目の前まで行き

「(やはり、封印されておるな。恐らく、この体の持ち主である小僧が、城を出る時に無意識で封印したのであろう)」

こう思うとミダスハヤテは力を籠めた。
すると、あっけなく封印は破られ、入り口が出現した。
その瞬間

「「そうはさせませんわ」」

アテネと綾子の言葉を切っ掛けに他の面々も現れ、ミダスハヤテを取り囲んだ

「ほう。やはり現れたな。 まあ、気配は感じていたがな」

ミダスハヤテの声に、初めて聴いた綾子・ソニア・銀華さんは心臓を握り潰される様な恐怖を感じたが、無理やり振り払った。

「てめえをそこへ行かせる訳にはいかねえ。ハヤテは返してもらうぜ」

悠太が言うとミダスハヤテはニヤリと笑うと

「ま、待ちやがれ!!」

ロイヤル・ガーデンに入って行き、慌てて全員で後を追った

後を追うと、ハヤテとアテネが初めて出会った花畑に行きつき、そこでミダスハヤテは待っていた。

「ようこそ我の城へ。一応は歓迎してやるぞ」
「要らねえよ」
「・・フンッ」

構えているアテネ達に対し

「これでも我は、気を使ったのだぞ」
「どういう、事ですの」
「あそこで戦えば、周囲への被害は免れん。そんな事も分からんのか」

一応の正論にアテネは歯を食いしばった。

「だが、ここならどれだけ大規模な戦いを繰り広げ様が明日には直っておる。存分に戦えるぞ」
「なら、礼は言っておくぜ」

ミダスハヤテは相対する面々を見渡し

「名付けるなら、「七人の戦士達」っと言った所かな。 我を失望させるなよ。世界を支配する前の余興のな」

七人の戦士達は身構えた。

「まあ、慌てるな。お主等に良い物を見せてやろう」

そう言うと、ミダスハヤテは守護光速拳を発動した。
だが、様子が違った。
今迄より、発せられる黄金のオーラの輝きが増していたのだ。

「あ、あれは」
「知ってるのか?」

驚く綾子に悠太が聞くと、綾子は震えていた。

「・・絶望しか、無いかもしれませんわね」
「「「「「「え!?」」」」」」」

「あれは、伝説の「守護光速拳 第三段階」ですわ。あれを使えるとなると・・・」
「な、何だよ第三段階って。何が違うんだよ」

綾子は少しの間言葉を失ってから

「今迄は、「1の守りたい気持ち」で「1の力」を得ていました。ですが、第三段階に覚醒すると今迄の倍。つまり「1の守りたい気持ち」で「2の力」を得るんですわ」

「じゃ、じゃあ「100の守りたい気持ち」で「200の力」を得るって事か?」

悠太の問いに綾子は無言で頷いた。

「そりゃあ、やべぇかもな」
「ですが、勝つしかありませんわ」

再び身構えた七人の戦士達に

「終わったか?最期の会話は。 ならば行くぞ!!!」

尋常じゃない殺気をミダスハヤテは放ち、黒椿を手に襲い掛かって来た。


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用語解説


  守護光速拳・第三段階

 今迄より倍の力を得られるようになり、より強い力を得られるようになる。つまり「1の気持ち」で「2の力」を得るっと言う事である。
 第三段階への覚醒条件は「第二段階を完全に使いこなした状態で強い切っ掛けを与える」である。


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以上です。

次回は続きです。

では。
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Re: 女神と共に第四部 2nd (3月18日更新) ( No.27 )
日時: 2019/03/18 21:44
名前: ささ

ささです。え、守護光速拳・第三段階…
第一段階だけでもチートなのにその倍って尋常じゃなく不利だよね。
そもそも、女神の転生体ってだけでフリーパスで庭城に入ることができるだけでもあれなのに先んじて入ることができないっていうのも。
さて、どう立ち向かうのか楽しみに待ってます。
(あまりのシリアスさでナギ弄りが出来なくて残念) 
あっ、ミダスハヤテへの対抗策こんなのはどう?(ディキソングループの拠点国の超兵器を使ってハヤテごと物理的に消し去る・・・)
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Re: 女神と共に第四部 2nd (3月18日更新) ( No.28 )
日時: 2019/03/27 18:00
名前: masa

こんにちはmasaです。

レス返しの更新です。


 ●ささ さん

 >>ささです。

 綾子「感想ありがとうございます♪」

 >>え、守護光速拳・第三段階…
  第一段階だけでもチートなのにその倍って尋常じゃなく不利だよね。

 今だから言っちゃいますけど、「こう言う展開」を考えていたからこその、第三段階があったんですよね。

 >>そもそも、女神の転生体ってだけでフリーパスで庭城に入ることができるだけでもあれなのに先んじて入ることができないっていうのも。

 悠太「まあ、作者曰く「連載を始める前の設定固めの段階でこういう展開を決めていて、戦を避けられない理由を考えたらこうなった」らしいからな」
 アテネ「戦闘シーンを描くのが苦手だって言ってましたのに」

 >>さて、どう立ち向かうのか楽しみに待ってます。

 それに関しては、「話が進むのを待っててください」っとしか言えません。すみません。

 >>(あまりのシリアスさでナギ弄りが出来なくて残念) 

 ナギ「・・・」
 悠太「ドウドウ」

 >>あっ、ミダスハヤテへの対抗策こんなのはどう?(ディキソングループの拠点国の超兵器を使ってハヤテごと物理的に消し去る・・・)

 アテネ「そんなのは通用しませんし、よしんば通用したとしても「ハヤテを救う」っと言うのは達成出来ませんわ」
 悠太「ってかそんな事したら、周囲への被害は甚大なんじゃねえの?」


 感想ありがとうです〜♪

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Re: 女神と共に第四部 2nd (4月3日更新) ( No.29 )
日時: 2019/04/03 18:00
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
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前回、ついにミダスハヤテとの戦いが始まった。


ミダスハヤテの攻撃を綾子が防ぎ

「まずは私が相手ですわ」

綾子の手には既に青龍と朱雀が握られており、この2本で攻撃を防いでいた。
綾子はミダスハヤテを弾き飛ばし

「二刀流か。だが、2本あっても」
「お生憎ですわね。我が「神尾崎流剣術」は二刀流ですわ」
「・・フンッ。勝てるかどうかは別だがな」

綾子とミダスハヤテは激しい鍔迫り合いを始めた。
その激しさは少し離れて見ていた他の面々にも伝わり

「ほう。あの小娘、中々やりおるわい」
「神尾崎さんは、私より強いですからね」

銀華さんと伊澄はこんな風に感想を言いあい

「綾って、やっぱり強かったのね。本気で戦っている姿を見ると、思い知らされるわ」
「俺達の中じゃ、二番目に強いしな」

ヒナギクと悠太も一切目を離さずに言い、アテネとソニアは黙ってみていた。


一方の綾子はミダスハヤテと戦いを繰り広げつつ

「(何ですの。刀やこやつから放たれる尋常ならざる殺気は)」

戦う前から感じてはいたのだが、こうして武器を交えるとその邪悪な気はより強く感じ取れた。
経験した事が無い殺気に綾子は恐怖を感じつつも必死でそれを振り払い、戦っていた。
すると

「いい加減、本気を出したらどうだ?貴様の強さはこの程度ではないのだろう?」
「・・見抜いていたんですのね」

2人は一旦距離を取り、綾子は長めに息を吐くと

「行きます」
「来いよ。如何なる攻撃も効かぬ事を、身を持って分からせてやる」

綾子は青龍と朱雀を構え直し

「四神十字剣!!」
「フンッ」

技は見事なまでに防がれてしまい、

「通用しませんか。ならば」
「無駄な足掻きだと思うがな」

「四神剣舞!!」
「少しはましだな。だが」

再び防がれてしまい。

「やはり、初級の技では通用しませんわね」
「他にどんな技があるか知らんが、無駄なだけだと思うがな」

嘲笑うミダスハヤテに

「貴方を倒し、ハヤテ様を取り戻す為なら、どんな強敵だろうと勝ちますわ」
「・・フンッ」

綾子の雰囲気が変わり、見ている面々には緊張が走った

「四神ノ牙!!」
「・・この程度か?」

防がれたが、直ぐに

「四神鋏剣!!」
「中々だが、弱い!!」

「四神連牙!!」
「無駄だ!!!」

悉く防がれ、多少ながら反撃も許していた。

「クッ。 まさか中級の技すらも全く通用しないとは」
「弱いな。この程度で我を倒すと、豪語していたのか?」


「あの凄い技が全く効かないなんて」
「まさに、「化け物」だな」

綾子の強さを知っているヒナギクと悠太は冷や汗を流しているのを感じていた。


「神尾崎流剣術がここまで通用しないなんて、初めてですわね」
「・・こんな弱い技を受け継いでるとは。 貴様の家の高が知れる」

自分の家柄を馬鹿にされ、綾子は苛ついたが、冷静さを失えば余計に勝てないと一瞬で察して一瞬で冷静になった。

「ならば、実戦では滅多に使わないこれ以上を出すまでですわ!!」
「・・無駄なだけだがな」

綾子のオーラは更に増し、親友で付き合いもそれなりに長いヒナギクも見た事が無い感じになった。

「四神大牙!!!」
「おっと。良い技だが、効かん!!」
「クッ」

また通用せず、綾子はオーラを増しつつ

「四神大十字剣!!」
「悪くはない。我以外なら、危なかったかもしれんな」

見ていた面々にも分かる程の威力の技だったが、ミダスハヤテには全く通用しておらず、ミダスハヤテの余裕は全く崩れていなかった。

「そ、そんな。神尾崎流剣術の上級の技すら全く効かないなんて」
「・・貴様が弱すぎるせいだろう。 全くつまらん」

綾子は息を切らし、余裕を相当失っていた。

「あの綾が、ここまで一方的だなんて」
「(・・勝てんのかよ。あんたがやばかったら俺達は・・・)」

余裕を失いつつあるのは見ていた面々も同じだった。
綾子はハヤテを除けば作中最強のアテネに勝った事もある実力者だ。そんな綾子があまりに一方的に押され続ける状況に驚くしか出来ず

「こうなったら、奥の手ですわ」
「・・勝てぬと、まだ分からんか」

冷静さを無理やり取り戻し、綾子は構え

「神尾崎流剣術第三位の技・四神ノ首狩!!!」

「あれは。前に天王州を倒した大技」
「・・・」

しかし

「弱いな。こんなのが第三位とは」
「そ、そんな。通用しない!?」

まるで当たり前のように防がれ、綾子には驚きと動揺が同時に訪れ

「な、ならば」
「・・いい加減諦めろ」

「神尾崎流剣術第二位の技・四神大剣舞!!」

「な、なんて威力の技だ」

傍で見ている面々にも分かる程の大技だったが

「弱いな。弱すぎるぞ」
「う、嘘」

ミダスハヤテには一切効いていなかった。

「そ、そんな。第二位の技でさえも、効かないなんて」
「弱き事は罪だな。その程度じゃ我に勝つなど、不可能だぞ」


「あいつ、異常だぞ」
「あんな凄い技が、効かないなんて」

悠太もヒナギクも自身に襲い掛かる恐怖心をかき消す為に感想を言っており、他の面々は言葉すら出なかった。


「こうなったら。出すしかありませんわね」
「やれやれ。「無駄な努力」っと言う言葉を知らぬようだな」
「黙りなさい!!」

綾子は今迄以上のオーラを放ち、構えた。

「受けなさい。我が神尾崎流剣術奥義を」
「・・・」

無言のミダスハヤテに綾子は

「神尾崎流剣術第一の技・四神抜刀剣!!」

繰り出した瞬間、綾子は勝利を確信したが

「・・無駄だ」

ミダスハヤテは半回転を交え防いだ。

「そ、そんな。絶対不敗の奥義をこんなにも容易く」
「終わりか。なら、本格的に反撃に移らせてもらおう」

動揺する綾子にミダスハヤテは構え直し、守護光速拳を強めた

「綾!!!」
「・・ハッ」

ヒナギクに呼びかけられ、我に返ったが遅く

「グフッ」

連撃を食らい、大きなダメージを受けてしまい

「弱い」

再度連撃を繰り出して来て、何とか防いだが、全てを防げずに膝をついた

「ハアッ、ハアッ」
「もう、良い。死ね」

綾子は連撃を何とか防いだが、ミダスハヤテはニヤリッと笑い

「こうだったか?」

「あ、あれは綾の技」
「四神剣舞」

一刀流とはいえ綾子の技を模倣し、

「し、しまった!!」
「終わりだ!!」

四神剣を二本とも弾き飛ばし、大きく袈裟斬を繰り出し、

「ガハッ」

綾子は吹き飛ばされ、アブラクサスの柱の一本に背中から叩きつけられ、気を失った

「綾!!」
「つまらん」

冷たく言い捨て、アテネ達の方へ向き

「さあ、次は誰だ?」


神尾崎綾子、敗北


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用語解説


 四神ノ牙(しじんのきば):二本の刀を地面と直角に構え、敵を突く技。威力が高く、神尾崎流剣術中級に位置する技。

 四神鋏剣(しじんはさみけん):二本の刀を開いた鋏の様に交差させ、鋏で斬る様に敵を斬る技。威力が高く、神尾崎流剣術中級に位置する技。

 四神連牙(しじんれんが):四神ノ牙を連続で繰り出す技。一撃一撃の威力が高く、神尾崎流剣術中級に位置する技。


 四神大牙(しじんだいが):四神ノ牙の強化版。威力がかなり高く、神尾崎流剣術上級に位置する技。

 四神大十字剣(しじんだいじゅうじけん):四神十字剣の強化版。威力がかなり高く、神尾崎流剣術上級に位置する技。


 四神大剣舞(しじんだいけんぶ):四神剣舞の強化版。威力が相当高く、神尾崎流剣術第二位に位置する技。


 四神抜刀剣(しじんばっとうけん):二本の刀を左右の腰に一本ずつ持ったままさし、腕を交差させた構えから腰を落としてから敵に突進し、連続で抜刀術を繰り出す技。聞き手じゃない方が先で、聞き手の方が後である。仮に一撃目の抜刀術が防がれても、その一撃目で敵の防御を崩し、二撃目の抜刀術で倒す事が出来る。一撃目を防がれなければ両方とも中る。圧倒的な威力を持ち、神尾崎流剣術第一位の技で、奥義。ミダスハヤテに破られるまで誰にも破られなかった絶対不敗の奥義であった。


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以上です。

次回は続きです。

では。
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Re: 女神と共に第四部 2nd (4月6日更新) ( No.30 )
日時: 2019/04/06 13:05
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
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前回、ミダスハヤテとの戦いが始まり、綾子は敗れてしまった。


「さあ、次は誰だ?」

アテネ達は一瞬の静寂の後

「私ですわ」
「・・貴様か。鬱陶しい小娘の」

アテネが刀を抜きつつ面々から離れ、ミダスハヤテの前で立ち止まって構えた。

「見たところ、貴様と先程我が倒した小娘は、さほど実力の差があるとは思えんが」
「・・やってみなきゃ、分からないですわよ」

そう言うと、アテネはいきなり斬りかかったが、ミダスハヤテは軽々と受け止めた。

「奇襲のつもりだろうが、効かぬぞ」
「はなからそのつもりはありませんわよ」

アテネとミダスハヤテは激しい鍔迫り合いを始めた。
その激しさは先程の綾子と勝るとも劣らない激しさであった。

「あの小娘も、強いみたいじゃな」
「ええ。天王州さんも、私より強いお方ですからね」

アテネの戦いぶりを見て、銀華さんが呟くと、伊澄は返した

「流石、天王州さんね」
「俺達の中じゃ、最強だもんな」

ヒナギクも素直に感想を言い、

「(あの強さなら、若しかしたら)」

倒れている綾子を気にしつつ、ヒナギクはアテネに期待していた。


一方のアテネは手にした日本刀でミダスハヤテと激しい戦いを繰り広げ

「以前の貴様より、強くなっておるな」
「ギリシャで貴方に大敗を喫して以来、鍛え直し続けてましたからね」

アテネのレベルアップに関心している様に感じたが

「だが、まだまだ弱い!!」
「グッ!!!」

アテネは何とか防いだが、数mは吹っ飛ばされた。

「やはり、先程の小娘と変わらん。余興は、またつまらん物になりそうだな」

意地悪く笑うミダスハヤテに

「別に、面白くするつもりはありませんわ。貴方を倒す、その為に鍛え続けて来たんですわ」
「・・少しは楽しませろよ」

笑みを消し、再び鍔迫り合いを開始した


「悠太君、天王州さんは、勝てるの?」
「・・分からん」


一方のアテネは戦いながら

「(クッ。修行を積んだとはいえ、実力の差は相変わらずですわ)」

描写こそしてなかっただけで、前回の死闘から忙しい合間を縫ってアテネは修行を重ね、強くなっていた。
だが、ミダスハヤテとの差は埋まったようには感じなかった。

「グッ」
「つまらん。先程の小娘の方が、まだ我を楽しませたぞ」
「・・・」

荒い息をし、膝をつきつつアテネはミダスハヤテを睨み付け

「こうなったら、禁断の技を解禁するしかありませんわね」
「ほう。それは面白い。見せて貰おうじゃないか」

アテネは立ち上がると

「はああああ」

アテネから強力なオーラが発せられ

「食らいなさい」

アテネは何本もの細身の剣を召喚し、ミダスハヤテに放った。

「あ、あんな隠し玉があったのか」
「恐らく、強力さ故自ら戒めていたんでしょうね」

技の凄さに驚く悠太に伊澄は持論を言い、直ぐに納得した。


「くだらん」

ミダスハヤテは何事も無い様に剣を全て弾き、弾かれて地面に刺さった剣は消えた。

「なら、中るまで放つまでです」

今度は数十本単位で剣を放ったが、ミダスハヤテには全く通用せず

「こんな子供騙しが「禁断の技」か。実にくだらん」
「ク、クッソ〜〜〜〜」

更に百数本単位の剣を召喚しミダスハヤテに放ったが、通用しないどころか華麗にかわしつつアテネに接近し

「弱い」
「グフッ」

アテネに連撃を浴びせ、アテネは両膝をついた。

「何も進歩してないな、小娘よ。先程の小娘よりは面白いが、それでも余興にはならん」
「・・なら、これなら」

ミダスハヤテの後方から先程かわしたり弾いたりした大量の剣が飛んで来た。

「き、決まった」
「・・効かんと言っているだろう」

不意を突いたように見えたがミダスハヤテには通用せず、全て弾かれた。
しかも

「我でなければ、通用しただろうな」

アテネの奇襲も当たり前のように受け止めており、通用してなかった。

「ハアッ、ハアッ」
「弱い事は罪なもんだな」


「天王州の体力の減り方、変じゃねえか?」
「あの剣を召喚する技は、体力の消耗が激しいのでしょう。ミダスには全く通用してないっと言う精神的影響もあるみたいですし」

悠太の疑問に伊澄が答え、皆納得していた。


「もう、よい。貴様は飽きた」
「!!!」

連撃を食らい、倒れたように見えたが

「まだ、ですわ」
「しつこいな。勝てぬのが分からんようだな」
「例えそうでも、諦める訳にはいきませんわ」

ボロボロのアテネはフラフラになりつつもミダスハヤテに立ち向かったが、実力の差は明らかで

「もう諦めろ。本当に死ぬぞ」
「貴方なんかに支配されるくらいなら、死んだ方がましですわ」
「そうか。なら、死ね」

×時に袈裟斬され、綾子とは別の場所に吹っ飛ばされ

「あ、ぐ、ぐ」

立ち上がりかけたが流石に限界を迎え、倒れた。

「天王州!!」
「大丈夫です。気を失ってるだけです」

駆け寄ろうとした悠太を宥め、伊澄は直ぐにアテネの状態を見抜き、安心させた。


「さあ、次は誰だ」


天王州アテネ、敗北。


-----------------------------------------------------------------------------------
以上です。

次回は続きです。

では。
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Re: 女神と共に第四部 2nd (4月9日更新) ( No.31 )
日時: 2019/04/09 18:00
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
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前回、ミダスハヤテとの戦いが始まり、綾子・アテネは敗れてしまった。


「さあ、次は誰だ」

ミダスハヤテの問いかけにまた悠太達は一瞬の静寂の後

「私が出ます」
「ほう。今度は楽しめそうだな」

伊澄が前に出て、ミダスハヤテと対峙した。

「伊澄、気をつけろ。前2人の戦いを見て、確信出来た。あ奴は異常じゃぞ」
「・・分かってます」

曾祖母の言葉にミダスハヤテから目を離さずに言い、

「貴様は少しは強くなったのだろうな?でなければ以前の二の舞だぞ」
「・・なら、確かめてみますか?」

伊澄から発せられる、静かだが強いオーラに

「ほう。面白い」
「あの時の敗北は、私の心に今でも深く沁みついてます。あれ以来修行を重ね、私は強くなりました。今度こそ、倒します」

普段以上の仕事モードの伊澄に

「ならば、来い。あの2人の様に、無様に負けるがいい」
「・・2人への侮辱は、許しません」

伊澄はお札を取り出し、構えた。


「術式・八葉 武御雷神」
「またそれか」

伊澄の放った武御雷神はミダスハヤテには通用せず、いとも簡単に弾かれた。

「馬鹿の一つ覚えっと言うのか?通用しないのは前回の戦いで分かっておるだろう」
「・・・」

意地悪く笑うミダスハヤテに伊澄は

「術式・八葉 武御雷神四面」
「やれやれ」

伊澄が放った雷をミダスハヤテは正確無比に全て伊澄にはじき返し、伊澄は結界を張って防いだ。

「所詮小娘か。修行を積んでも」
「術式・八葉 武御雷神八面」

するとミダスハヤテは意地悪く笑みを浮かべ

「し、しまった」

雷を悠太達に方へはじき返した


「て、てめえ。相変わらずいい性格してやがんな」
「・・・」

幸い銀華さんが弾いて事なきを得たが、危なかった。

「伊澄、お前はそいつに集中してろ。こっちは大丈夫じゃ」
「は、はい」


ミダスハヤテの方へ向き直った伊澄は

「良いのか?同じ事を」
「大お婆様がいれば平気です。動揺を誘うなら、もう効きません」
「・・そうか」

伊澄は再び武御雷神を放ったが、やはりミダスハヤテには通用しなかった。

「確かに、以前よりは威力は上がっているな。だが、何発放とうが、効かぬわ」

伊澄は多少は動揺している様だが、表情は崩れず

「今迄のは、ウォーミングアップです。ここから本番です」
「・・面白い」

伊澄のオーラは一気に増した


「伊澄め。本気じゃ」
「だ、大丈夫なんっすか?」
「オババの結界はちょっとやそっとじゃ壊れんよ」


「術式・八葉神巻 神世七代」
「以前のあれか」

咆哮をあげつつ迫ってくる龍にミダスハヤテはこう言い

「以前より威力は上がっているが、無駄だ!!」

守護光速拳を強め、黒椿を手に龍に突っ込み、

「そ、そんな」

以前は一刀両断されたが、今度はバラバラに切り裂かれた。

「無力だな。これで修業を重ねたとは片腹痛い」
「クッ。ならばもう一度!!!」

伊澄は再び神世七代を放ったが、またバラバラに切り裂かれた。


「鷺ノ宮さんまで苦戦するなんて」
「・・化け物め」

「伊澄!!!負けるでない!!!」


「弱い。 もう、死ね」
「こうなったら」

伊澄のオーラは一気に増し

「術式・八葉神巻 別天津神」

伊澄が唱えると、巨大な不死鳥が出現し、雄叫びをあげつつミダスハヤテに迫った。


「な、何だありゃ」
「神々しくて、凄まじいわね」


あまりの威力に銀華さん以外は驚いていた。

だが、ミダスハヤテは不敵な笑みを浮かべると、守護光速拳をさらに高め、別天津神に突っ込んだ。

「そ、そんな馬鹿な!!!」

ミダスハヤテは別天津神を真っ二つに一刀両断し、止めとばかりに細切れにした

「これは流石に驚いたぞ。だが、我には効かん」

伊澄は歯を食いしばり

「(あんなに厳しい修業をしたのに。霊力だって大幅に増して、戦いに備えていたのに)」

悔しそうに震える伊澄にミダスハヤテは意地悪く笑い

「どうだ?修行を重ねたのにこんなにも簡単に追い詰められる気持ちは」
「ならば、もう一度です」

伊澄は別天津神を再び放ったが、ミダスハヤテは全く同じ様に真っ二つからの細切れにされ

「やはり貴様は多少特殊な術を使えるだけの小娘だ。我の敵ではない」
「クッ。ならばもう一度」

伊澄はまた別天津神を放とうしたが、銀華さんの喝で止まり

「冷静にならんか。霊力を無駄に消費するだけじゃぞ」
「・・すみません」
「フンッ。無駄にせずとも意味は無いがな」

冷静さを取り戻した伊澄は目を閉じて一度オーラを消した

「・・死ぬ覚悟か? そんな訳無いか?」

ミダスハヤテの意地悪な問いかけを無視し、伊澄は集中した。

すると、伊澄から不思議なオーラが放たれ始めた。


「凄い。まるで森の中に居る様な安らぎを感じる」
「それから、暖かな日差しに包まれる様な、優しい感じだ」

伊澄からのオーラを感じたヒナギクと悠太がこんな感想を漏らし

「(私はハヤテさんに優しく抱きしめられてる感じだけどね。暖かいし)」

ソニアはこんな感想だった。

「出るぞ。伊澄の最強にして最凶の技が」
「「「え!?」」」


「最終奥義・大神」

伊澄が唱えると、まるで聖母の様な巨大な女性が飛び出し

「終わりです、悪しき英霊よ」

ミダスハヤテに大神が迫り、ミダスハヤテは一度かわしたが

「逃がしません」

再び大神が迫った。
しかし

「逃げる?馬鹿を言うな」

守護光速拳を更に高め、黒椿を手に大神に突っ込んだ。


「い、幾らなんでも、あれは無理じゃないかしら」
「そ、そうなりゃ良いけど」
「・・・」


ヒナギクと悠太の願いは無残にも打ち砕かれた。

ミダスハヤテは大神の首を切り落とし、止めに体も頭も細切れに切り裂いた。
幾ら術式で生み出された人間姿の技とは言え、これが小説なのが幸いな少し酷な光景だった。

「そ、そんな。最終奥義も」
「こんなのが「最強にして最凶」か。くだらん」

ミダスハヤテは心底つまらなそうに言い

「ならばもう一度」


「伊澄、駄目じゃ!!!いったん引け!!!」


「え!?」

術を放とうとしたが、銀華さんに止められた。
何故なら術は発動せず


「伊澄の髪が」
「前みたいに真っ白になっちゃったわ」


伊澄の霊力が遂に尽き、結果は明らかだったが

「そうはさせん」
「しま」

どうする事も出来ず、大きく袈裟斬され、更に蹴り飛ばされて綾子が叩き付けられたのとは別のアブラクサスの柱に叩き付けられた

「グ、グウ」
「貴様はもう戦えまい」

気を失っているわけではないが、伊澄は霊力が尽き、動く事も不可能なので戦線離脱を余儀なくされた。


「さあ、次はだれかな」


鷺ノ宮伊澄、敗北


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以上です。

次回は続きです。

では。
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Re: 女神と共に第四部 2nd (4月12日更新) ( No.32 )
日時: 2019/04/12 18:00
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
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前回、ミダスハヤテとの戦いが始まり、綾子・アテネ・伊澄は敗れてしまった。


「さあ、次は誰だ」
「・・ワシが行く」

銀華さんが前に出て、ミダスハヤテと対峙した。

「貴様が?笑わせるなよ」
「年寄りだと思ってバカにしていると、後悔するぞ」

そう言うと銀華さんは大量の鎖付きクナイを召喚し、ミダスハヤテを攻撃した。

「・・先程の言葉は謝ろう。 面白くなりそうだ」
「返してもらうぞ。このオババと、曾孫が愛する男をな」


「勝てるかしら」
「分からん。かなり強いとは聞いてるが」
「・・これまでの感じじゃ、不味いけどね」

ソニアの言葉に悠太もヒナギクも返す言葉が見つからなかった。


一方の銀華さんは

「お主やりおるな。ワシの鎖をあっさり斬るとは」
「・・・」

ミダスハヤテは銀華さんが繰り出す鎖付きクナイをいとも容易く斬っており、攻撃は通用してなかった。

「だが、ワシの鎖は無限じゃ!!」
「ならば、その都度斬るまで」

途切れる事無く襲い掛かるクナイを全て切り裂いており、

「(こやつ、強い!!!流石に伊澄を倒しただけはある)」

口では余裕のある言葉を吐いていたが、内心は焦っており、

「(ワシの力が、何処まで持つか)」

銀華さんの鎖付きクナイは伊澄の攻撃同様霊力によって召喚されており、力が尽きれば召喚は出来なくなるのである。

「こんな攻撃、幾ら続けても無駄だぞ」
「ならば、本気を出すまでじゃ」

銀華さんは鎖付きクナイの数を増やし、強度もあげておいた。

「(どうじゃ。ワシの三番目に強い攻撃じゃぞ)」

四方八方から迫る攻撃にミダスハヤテは「やれやれ」っと言った雰囲気を出してから


「う、嘘でしょ。明らかに強そうな沢山の攻撃を全部」
「意にも介さず防ぎきるとはな」
「・・・」

ソニアは今まで感じた事が無い不安に襲われていた。


「言っておくが、我には数の理論は通用せんぞ。数十億の単位なら、別かもしれんがな」
「フンッ」

あまりにもあっさり防がれた事に顔には出さないようにしつつ驚き

「(このワシの力がここまで通用せんとは。初めての事じゃ)」

「どうした?もう終わりか?」
「ならば、もう一度じゃ」

先程より更に数を増やし、逃げ場を失わせつつ時間差も作りつつ攻撃したが

「くだらん。馬鹿の一つ覚えだ」
「・・それも防ぐか」

流石の銀華さんにも焦りの色が顔色等にも出始めていた。

「ワシは負ける訳にはいかん!!ワシの為にも、それ以上に愛する曾孫の為にもな!!」

再び鎖召喚し、周囲にあった武器やクナイを鎖に纏わせて攻撃したが、全く通用せず

「・・飽きた。 死ね」
「死ぬ訳にはいかん!!」

銀華さんは力を強め

「これならばどうじゃ!!」

大量の鎖付きクナイを召喚しそれを数十本ずつ束ね、太い鎖付きクナイにしてから放った

「(ワシの二番目に強い攻撃じゃ。これならば)」

銀華さんは自信があったが、ミダスハヤテは鼻で笑い


「そ、そんなあれも駄目なの?」
「こりゃ、勝ち目がねえかもな」
「・・私達の出番は、直ぐかもね」


ミダスハヤテはまるで豆腐を斬る様に全ての束ねられた鎖付きクナイを斬った。

「(う、嘘じゃ。あ奴とワシは、ここまで実力が離れておるのか!?)」

「期待していたのに裏切りおって。貴様もこれまでの小娘らと殆ど変わらん。 つまらないぞ」


「お、大お婆様」
「伊澄、お前はそこにおれ」

動かない体を無理やり動かそうとした曾孫に厳しい言葉をぶつけ、銀華さんは力を高めた。


「貴様を倒す。世界の支配など、させる訳にはいかん」
「なら、その決定事項を覆して見せろ」

銀華さんは先程の「二番目の攻撃」を再度繰り出したが

「通用せぬのが、分からんのか」
「・・分かっておるさ。今の攻撃は前置きじゃ」

そう言うと、銀華さんは今迄以上に鎖付きクナイを出現させ、

「受けるが良い。このワシの最強の攻撃を」
「・・・」

全ての鎖付きクナイを合体させ、超巨大な鎖付きクナイにしてから放った

「(これが効かぬわけが無い!!!)」

自信満々に構えていたが

「・・相変わらずつまらん」

「「「「な!?」」」」

まるで豆腐でも斬る様に超巨大な鎖付きクナイを切り裂き、一切のダメージを受けていなかった。

「う、嘘じゃ!!その攻撃が効かぬわけが無い!!」

取り乱す銀華さんに

「それは我以外に、だろう? 我からすれば何でも無い」

嘲笑う様に言うミダスハヤテに

「ワシは負ける訳にはいかんのじゃ!!」

大量の鎖付きクナイを召喚しつつミダスハヤテに迫ったが

「ぐ、ぐ。 こんな時に」
「・・時間切れ、の様だな」

若々しい姿から本来の姿に戻ってしまい、鎖付きクナイも召喚出来なくなってしまった。

「言っておくが、情けなんか期待せぬ事だ」

そう言うと、ミダスハヤテは銀華さんを蹴り上げ、大きな袈裟斬で追撃した。


「大お婆様!!」
「あの野郎!!」


悠太とヒナギクは飛び出そうとしたが、間に合わず

「止めだ!!」
「ガハァア」

連続攻撃からの肘鉄で吹っ飛ばし、吹っ飛ばされた銀華さんは気を失った。

「てめえ。よりによって」
「なんて酷いの」
「甘ったれた事ぬかすな」

怒り心頭の悠太とヒナギクにミダスハヤテは冷たく言い

「戦いに参加した以上、性別や年齢は関係ない。そんな事を言うのは、弱者の戯言だ」
「「クッ」」


「さあ、次は誰だ」


鷺ノ宮銀華、敗北。


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以上です。

次回は続きです。

では。
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Re: 女神と共に第四部 2nd (4月15日更新) ( No.33 )
日時: 2019/04/15 18:00
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
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前回、ミダスハヤテとの戦いが始まり、綾子・アテネ・伊澄・銀華さんは敗れてしまった。


「さあ、次は誰だ」

悠太とヒナギクはほぼ同時に飛び出そうとしたが

「私が行くわ」
「「え!?」」

ソニアがトンファーを手に前に出たので

「いや、俺が行く」
「何言ってるのよ、私よ」

ソニアは2人を鋭い目付きで睨み

「今の貴方達は冷静じゃない。私が戦ってる間に冷静になりなさい」

そう吐き捨て、ミダスハヤテと対峙した。


「・・見たところ、貴様は今迄の奴らより弱そうだが?」
「なめない事ね。これでも裏社会を渡り歩いたりして修羅場は潜ってるの。実力もそれなりにはあるわよ」
「・・まあ、良い」

2人は睨み合っていたが、一瞬の隙にソニアがミダスハヤテに攻撃を繰り出したが、ミダスハヤテは余裕で受け止めた。

「見ていなかったのか?我に奇襲は通じん」
「分かっててやったのよ」

トンファーのソニアと黒椿のミダスハヤテは激しい戦いを繰り広げた。


「正直、ソニアさんに勝ち目はあるのかしら」
「・・悪いが、無いと思うぜ。確かにあの人は強い。だが」

ソニアの戦いぶりを見つつ悠太は一旦間を置き

「ミダスの野郎とは格が違い過ぎる。まだ分かんねえけど、勝てねえだろうな」


一方のソニアは戦いつつ

「(弱ったわね。これでも裏社会での経験や天王州家の人達との特訓で強さを磨いてたけど、こいつは想像以上だわ)」

描写こそしてなかっただけで、ソニアはアテネや綾子と言った最強クラスの面々に負けない為に、ハヤテや他の強い使用人の人達に鍛えて貰っていた。

だが、ミダスハヤテはソニアが経験した事が無い強さを誇っていた。

「(でも、負ける訳にはいかないわ。ハヤテさんを取り戻す為にも、アテネの借りを返す為にも)」


少しの間激しい戦いを繰り広げていたが、2人が一旦離れた時

「・・大人しく引くと言うなら、見逃してやる事を考えてやらん事も無いぞ」
「・・どういう事よ」

臨戦態勢を崩さずに聞くと、

「お前は、明らかに弱い。遙かにな。 だからこそ」
「見逃すっていうの?」
「ああ。勿論、我の支配の邪魔は許さんがな」

ミダスハヤテの言葉にソニアはかなり強く睨み付けた。

「それとも貴様は、我に勝つ見込みはあると言うのか?」
「・・悔しいけど、認めてあげるわ。 そんなの、無いわよ」

ソニアの言葉に悠太もヒナギクも驚いていると

「これでも経験豊富なの。相手との力量差位、分かるわよ」
「ほう」
「でも、あんただけは許さない。例え勝ち目が全く無くても、戦うわ。 そして、勝つ!!」

ソニアの言葉にミダスハヤテは鼻で笑い

「バカバカしい。勝てない相手に立ち向かうとは」
「黙りなさい!!あんたは私の愛しい人を奪った!!その報いを思い知らせるわ!!」

ソニアの攻撃をミダスハヤテは軽々受け止め、

「ならば、死ぬがいい」
「私は死なないわよ。 あんたを倒さなきゃいけないし」

2人は再び激しい戦いを始めた。


「やっぱり、ソニアさんは」
「よっぽどの奇跡が起きなきゃ、厳しいかもしれないな」


ソニアは戦いつつ

「(こいつ、どうなってるのよ。圧倒的強者を4人も相手した後なのに)」

倒れている4人を気にしつつ更に

「(疲れとか、全く感じないわ。本当に化け物なの!?)」

異次元の強さに、ソニアは焦っていた。


「もう、良い。本当につまらん」

そう言うと、ミダスハヤテはソニアに連撃を与えた。

「グッ」

たまらず膝をつき、荒い息をし

「弱いな。本当に元裏社会の人間なのか?」
「・・そうよ。実家は元マフィアだし、生活の為にも危険な事は色々やって来たわよ」

ソニアが言うと、ミダスハヤテは呆れた様に溜息をつき

「なのにその弱さか。呆れて物も言えん」
「・・・」


「ソニアさんって、強いでしょ?」
「ああ。前にギリシャで戦った時はかなり苦戦したぜ。見ている限りじゃあの時以上に強くなってるが・・」


「私は、負ける訳にはいかないのよ」

斬られた痛みを気合で堪え、再びミダスハヤテに攻撃したが、やはり通用せず

「無駄だ。大人しく倒れてろ!!」

ミダスハヤテはソニアのトンファーを両方とも弾き飛ばし、×字に袈裟斬し、掌底で吹っ飛ばした。

「フンッ。退屈凌ぎにもならん」

ミダスハヤテは悠太とヒナギクの方へ向き

「さあ、次はどっちだ」

悠太とヒナギクが身構えると

「ま、まだよ」

血を流しながらもソニアは立ち上がり、殺気の籠った目をミダスハヤテに向けていた。

「大人しく寝てろ。折角死なない程度に痛めつけてやったのに」
「お生憎ね。裏社会で諦めの悪さは散々学んだわよ」

大怪我をしてなおも立ち続けるソニアに

「ならば、貴様は正式に殺してやろう」
「・・負けないわよ」
「だが、どう戦うのだ?武器は無いではないか」

ソニアが持ってきたトンファーは結構遠くに飛ばされたので、取りに行くのは難しかった。

「なら、格闘術で戦うまでよ。その訓練だって、積んでるわ」
「・・面白い」

ミダスハヤテは黒椿を腰に差し、ファイティングポーズをとった。

「付き合ってやるぞ、戦い方を」
「・・後悔させてやるわよ!!」

蹴りを繰り出したが受け止められ、

「やはり、つまらん」
「!!!」

連続で拳打を浴びせられ、回し蹴りで吹っ飛ばされた。

「ま、まだ」

言いかけたが首根っこを掴まれ、締め上げられた。

「諦めの悪さだけは認めてやる。だが、所詮それだけだ。   死ね!!」

首を掴んだままもう片方の手で顔を掴み、地面に勢い良く叩き付けた。

「ガフッ」
「・・終わりだ」

「・・ま・・だ・・諦め・・」

立とうとしたが流石に限界を超え、気を失った。

「つまらん。準備運動にもならん」

冷たく吐き捨て、


「さあ、次はどっちだ」


ソニア・シャフルナーズ、敗北。


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以上です。

次回は続きです。

では。
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Re: 女神と共に第四部 2nd (4月18日更新) ( No.34 )
日時: 2019/04/18 18:02
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
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前回、ミダスハヤテとの戦いが始まり、綾子・アテネ・伊澄・銀華さん・ソニアは敗れてしまった。


「さあ、次はどっちだ」

悠太は一瞬悩んだが、自身が出ようと声をあげようとした瞬間

「私が行くわ」
「ヒナギク!? 駄目だ!!俺が」
「・・私に行かせて」

ヒナギクの強い目に悠太が反論をし損なっていると

「貴方は最後の砦よ。私が、ミダスの体力を少しでも削っておくわ」
「だ、だが」
「・・私と貴方じゃどっちが強いかなんて、分かり切ってるでしょ?なら、体力を削る役目は弱い方がしなきゃ」

ヒナギクに言われ、悠太は折れた。


ヒナギクは村正を構え、ミダスハヤテと対峙した。

「貴様か。前に我に負けたのを、忘れたわけではあるまい」
「忘れてないわよ。忘れてないからこそ、あの日から特訓を重ねて強くなってるわ」
「・・・」

無反応のミダスハヤテに

「なら、試してみる事ね」

そう言った瞬間、村正で斬りかかり、ミダスハヤテは軽々と受け止めた。

「前も思ったが、こんな斬れぬ刀で我と戦うとは」
「何とでも言いなさい。これが私の戦い方よ」
「・・フンッ」

2人は激しい鍔迫り合いを始めた。

戦いながらヒナギクは

「(あの敗北から、綾に頼んで鍛えて貰ったんだから、少しでも体力を削らないと)」

ヒナギクは親友である綾子に頼み込み、厳しい修業を積んでいた。
厳しい修業を重ねたからこそ、ミダスハヤテとの実力差は嫌でも感じていた。
だが、それを無理やり振り払い、戦い続けた。


「(ヒナギクには悪いが、力の差は歴然だ。あの野郎が情けとかかけるように見えねえし)」


ヒナギクは戦いながら

「(やっぱり、こいつは強い。体はハヤテ君だから当然でしょうけど、それでも・・)」

「弱いな。今迄以上に、弱い。 これなら眠りながらでも、戦えるぞ」
「馬鹿にしないでよ!!私は、意地でも勝つ!!」

ミダスハヤテは鼻で笑うと

「貴様にも、情けをかけてやろうか?」
「・・どういう事よ」
「我の邪魔をしないというなら、見逃してやるよ。貴様みたいな弱い奴、戦うのも面倒だ」

ミダスハヤテの言葉にヒナギクはカチンとし

「自分の実力位、分かってるわよ。それでも、あんたなんか見逃せない。そんな事をすれば、この世は終わりよ」
「・・死ぬぞ」
「そんなのが怖かったら、こんなとこ来てないわよ」
「・・ならば、死ね」

ミダスハヤテは「一瞬」さえ遅く感じる程速さでヒナギクとの距離を詰め、大きく袈裟斬をした。

「グフッ、フッ」

斬られたところを抑え、膝をついた。

「まだ、戦うか?諦めろ」

ヒナギクは立ち上がって村正を構え、

「私は白皇学院生徒会長にして剣道部主将。こんな事で、折れたりしないわ!!!」

連撃を繰り出したが、ミダスハヤテは全て防いでいた。

「(お願い村正、私に力を貸して。こいつに勝てなきゃ、色んな事が終わっちゃうのよ)」

ヒナギクが思うと、村正からオーラが発せられた。


「あの感じ、村正がヒナギクの想いに答えたのか!?」


「ほう。少しは力が増したようだな。だが、まだ弱い!!」

ミダスハヤテは攻撃をはじき、今度は逆袈裟に大きく斬った。

「グッ、ハァハァ」

ヒナギクは村正を杖代わりに両膝をついた。

「所詮はその程度か。 楽にしてやる」

「ヒナギク、もう良い。引け!!!」

「馬鹿、言わないでよ」

ヒナギクは立ち上がり、再度村正を構えた。

「私は、引かないわ。意地でも」

悠太はヒナギクの負けず嫌いが発動した様に感じたが、直ぐに違うと分かった。

「負けない。少しでも長く」
「時間稼ぎなら、無駄なだけだぞ」

ヒナギクは再度連撃を繰り出したが、やはり防がれ


「(もう良い。倒れてくれよ)」


ヒナギクはもう気合と根性のみだった。
だがそれを嘲笑う様に

「つまらん。くだらん時間稼ぎだ」

そう言うと、ミダスハヤテが連撃をヒナギクに食らわせ、倒れる隙を与えずに蹴り飛ばした。

「ヒナギク!!」

「わ・・た・・しは・・まだ・・」

立ち上がりかけたが、気を失ってしまった様だ。

「無力だな。貴様が出来る事は、何もないというのに」

冷たく吐き捨て、悠太の方へ向いた。


「さあ、後は貴様だけだ」


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以上です。

次回は続きです。

では。
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Re: 女神と共に第四部 2nd (4月21日更新) ( No.35 )
日時: 2019/04/21 13:30
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
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前回、ミダスハヤテとの戦いが始まり、綾子・アテネ・伊澄・銀華さん・ソニア・ヒナギクは敗れてしまった。


「さあ、後は貴様だけだ」
「上等だ」

悠太は叢雲を抜き、ミダスハヤテと対峙した。

「貴様も、前に我に大敗を喫した事があったな」
「うるせえ。俺だって修行してんだ。あの時と同じだと思うなよ」
「・・フンッ」

ミダスハヤテは悠太を見定める様に見てから

「貴様で「七人の戦士」は最後なんだ。失望させるなよ」
「黙れ。俺は、勝つ!!」

ミダスハヤテは溜息をつき

「まあ、いい。かかって来い」
「行くぜ!!」

2人は激しい鍔迫り合いを始めた。

「ほう。確かに以前よりは強くなっているな」
「当たり前だ。どれだけ修業したと思ってんだ」

そう言ったものの、悠太は

「(クソッ。相変わらず力の差を歴然だぜ)」

数太刀交えただけで自分と相手の力の差を痛感していた。

「どうした?修行してこの程度じゃあるまい」
「うるせえ。余計なお世話だ」

激しい鍔迫り合いを続けつつ、悠太は

「(俺は、負ける訳にはいかねえんだ。皆の死闘が、無駄になっちまう)」

戦いつつ倒れている戦ってくれた6人を見つつ攻め立てていた。

だが、そんな悠太の想いを嘲笑う様にミダスハヤテは半ば笑みを浮かべつつ悠太の攻撃を捌いていた。

「相変わらず、弱いな。何も進歩してないではないか」
「クッ」
「貴様はこれまでの奴らの頑張りを無駄にするのか?」

意地悪く言われ、

「てめえ!!そう言うならハヤテを返しやがれ!!!俺からすればかけがえのない親友だ!!」
「それは出来んな。この体は我が世界を支配するのに必要なのだ」
「うおおおおおお!!!」

気合を入れ直し、今迄以上に激しい連撃を繰り出したが

「いい加減、「無駄な努力」を思い知れ。貴様では我に勝てん」
「黙れ!!黙りやがれ!!!!」

叫びつつも連撃を繰り出したが、ミダスハヤテには通用していなかった。

「(せめて、一太刀位は中れよ。何の為の修行だったんだよ)」

悠太は時間を見つけてはクラウスさんやハヤテと厳しい修業を重ねていた。
今回の様な万が一を想定していた為である。
しかし、ミダスハヤテと力の差が埋まった様には全く感じなかった。

「もう、良い。中々つまらん余興だった」
「!!!」

防御し様としたが間に合わず、大きく袈裟斬を受けてしまった。

「グ、グゥ」

片膝をつき、斬られた傷口を抑えつつ荒い息をした。

「寝てろ。我は「願望現実化」を取りに行く」
「行かせるかよ」

悠太は立ち上がって叢雲を構え

「行きたきゃ、俺を殺してからにしろ。死なない限りはてめえを止める」
「・・くだらん」

逆袈裟を繰り出してきたが、今度は防げた。
だが数mは吹っ飛ばされた。


「(悠太さん。 せめて私の力が戻れば)」

唯一気を失って無かった伊澄は2人の戦いを見ながら、自身を呪っていた。

「(何とか、加勢したい。でも、体が動かない)」

思ったより傷が深く、悠太の盾になる事も出来なかった。


「フンッ。くだらなさすぎる」
「!!!」

先程は防げた逆袈裟を今度をまともに受けてしまったが

「うおおお!!!痛くねぇ!!!」

気合と根性で耐え、連撃を繰り出したが

「つまらん」

逆に連撃を受けてしまい。

「ク、クソッ」

遂に倒れてしまった。

「ば、化け物め」
「貴様らが弱すぎるだけだろう」
「・・クッ」

ミダスハヤテは7人もの圧倒的強者を相手にしたのにもかかわらず、息切れはおろか汗の一滴すらも流していなかった。

「終わりだ。これで、我は永久に支配者となる」
「ま、待ちやがれ。行かせねえと」
「動かん体で何を言っても説得力は無かろう」

悠太は必至で体に命令していたが、無駄だった。

「そこで大人しくしていろ。我は力を取りに行く」
「クッソ〜〜」

何とかして止めたかったが、ミダスハヤテは王族の庭城に向けて歩き出した。



だが、その直後

「う、ご。な、何だ」

突然頭を押さえて苦しみだし、悠太と伊澄が驚いていると

「き、貴様。まさか」

「そうはさせないぞ」

ミダスとは違う声に

「ハ、ハヤテ。まさか意識が」
「で、でも、もう持たない」

「貴様!!大人しく支配されてろ!!」

キング・ミダスは無理やりハヤテを封じ込め、再び歩き出そうとしたが、

「グググ」
「させない。僕の体で支配なんか」
「無駄だ!!!」

キング・ミダスが力を強めると、ハヤテの体から禍々しい気配が出始めた。

「こう、なったら」

「ハ、ハヤテ!?」

ハヤテは黒椿を白桜に戻し

「ゆ、悠太。これから言う事を、皆に伝えて」
「ま、まさか!!止めろ!!!」
「駄目です!!!ハヤテ様!!!」

悠太も伊澄も何をしようとしているのか直ぐに察せた。

「動け!!!俺の体!!!動きやがれ!!!」
「動いてください!!私の体!!!戻ってください!!!私の力!!!!」

必至で叫ぶ2人にハヤテは頭を抑えつつ


「皆さん、こんな僕を、愛してくれてありがとう」

そう言って、ハヤテは笑顔を向けた。
そして





手に持った白桜で自らを刺し貫いた。





「ハヤテ〜〜〜〜〜!!!!!」





-----------------------------------------------------------------------------------
以上です。

次回は続きです。

では。
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Re: 女神と共に第四部 2nd (4月24日更新) ( No.36 )
日時: 2019/04/24 18:00
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
-----------------------------------------------------------------------------------

前回、ミダスハヤテとの戦いに「七人の戦士」は全員敗れてしまい、意識が戻ったハヤテが白桜で自らを貫いた。


ここは都内某所。

現在ここに居る人達は質素な服装に身を包み、俯いていた。
そして殆どの人は泣いていた。

この場に居る人の一人である悠太は前を向き

「(・・ハヤテ)」

悠太の目の前には大きな祭壇があり、そこは豪華に飾られ、中央に大きなハヤテの写真が置かれていた。

そう、ここは葬儀会場であり、ハヤテの葬儀が執り行われていた。
何故、こんな事になっているのか。それは前回の続きに時間を巻き戻す必要がある。


                   × ×


ハヤテは自らを貫いた後、倒れた。
そして悠太と伊澄が言葉を失っていると、ハヤテの体から真っ黒い煙の様なものが出た後、真っ黒い球が出て

「グオオオオオオオオオッ」

「な、何だありゃ」
「あれこそ、キング・ミダス」

驚く悠太と鋭い視線の伊澄に対し

「バ、バカな。この、我が。ウォオオオオオオオ」

暫く呻き声をあげた後

「わ、忘れるな!!!例え我を倒しても、人間が強欲を持つ限り第二、第三の我が現れる。貴様らの戦いは終わらぬのだーー!!」

そう叫ぶと、ミダスは金色に光り、消滅した。

「キング・ミダスは、完全に滅しました。永久に復活する事はありません」
「そ、そうか」

悠太は安心したが、一瞬で

「って事は、まさか!!!」

先程まで動かなかったのが嘘の様に体が動き、ハヤテの元へ駆け寄った。

「悠太さん!?」

伊澄が問いかけると、悠太は首を横に数回振った。

「・・そう、ですか」

泣きだした伊澄に対し、悠太はあくまで冷静に

「皆と、ハヤテを運ぼう。このままじゃ他の皆まで死んじまう」
「そうですね」

伊澄も立ち上がった。何時の間にか伊澄の髪の色は元に戻っていた。

「取り敢えず、こいつは抜かねえと。このままにしておけねえし」

悠太がハヤテの体を刺し貫いている白桜に手をかけようとした時、白桜は金色の球になり、王族の庭城の方へ飛んで行った。

「白桜は、眠りについたようですね。新たな主が現れる、その日まで」
「・・そうか」

悠太はハヤテをおぶり、2人を両脇に抱えた。
伊澄は霊気の糸を出し、残りの3人を運んだ。


一同が王族の庭城から出て来ると、ナギが待っていた。

駆け寄ってくるナギを見ると、悠太も伊澄を気を失ってしまった。
ナギは当然驚いたが、迅速に対応し、予め待機させてあった救急隊に任せた。


幸い、「七人の戦士」は全員命を取り留め、三千院家が用意した世界最高峰の医療のお陰で傷も残らずに済んだ。
数日眠り続けたが、全員無事に目を覚まし、退院も無事に出来た。
伊澄の力は今度ばかりは結構長めに戻らなかったが、何とか完全回復を遂げた。


だが、やはりハヤテは助からなかった。
それを聞いたハヤテに好意を抱いていた面々は泣き明かし、絶望に暮れた。
だが、せめて葬式位は最高にしようと、一番良いランクの葬式を頼んだ。

葬儀当日、かなりの数の出席者が来て、大きめの会場を用意したのだが、入りきれなかった人は外でのお焼香となった。


これで冒頭に繋がるのである。


                   × ×


参列者の殆どが泣く中、悠太は涙が出なかった。

「(何だろうな。悲しくて仕方ねえのに、涙が一滴も出やしねえ。 理由は分かり切ってるけどよ)」

葬儀は何事も無く進行し、火葬も済ませた。
お墓は既に手配済みで、かなりいい場所、かなり良いお墓に決まっている。


                   × ×


それから暫く経った。

「お嬢様〜。朝だぜ〜」
「煩い!!!入って来るな!!」

悠太は溜息をつき

「ずっと引き籠りっぱなしじゃねえか。良くねえぜ」
「黙れ!!!お前に何が分かる!!!」

それっきり何を言っても応答が無く、再度溜息をつくとナギの部屋の前から離れた。

「(やれやれ。やっと引きこもりが治ったと思ったら)」

廊下を歩いているとマリアさんに会った

「また駄目でしたか?」
「ええ、まあ。じゃあ、俺はやる事あるんで」

悠太が立ち去ると

「(フフフフフフフフフフフフフ♪ナギがこのままなら色々と面白そうですね〜♪この私が三千院家を乗っ取っちゃうってのも、面白いですよね〜♪ああ♪)」

とか思っている人がいたそうだ。


                   × ×


悠太は天王州家に来ていた。

そしてナギ同様アテネも部屋のドアの前で何とか説得しようとしたが、駄目だった。
溜息をつきつつ歩いていると、メイド長に声を掛けられた。

「また来てくれたんですね」
「ええ、まあ。このままじゃ良くないっすからね」
「・・どうでした?アテネお嬢様は」

悠太は首を横に数回振った。

「・・すみません、殆ど毎日」
「良いっすよ。好きでやってるんで」

悠太は殆ど毎日こうやって説得に来ているのである。
だが、成果は一向に上がらなかった。

「・・真山様は、悲しくないのですか?葬式の時も、泣いて無かったようですが」

悠太は頭を数回掻いた後

「そりゃ、悲しいっすよ。でも、それ以上に悔しくて」
「え!?」
「俺がもっと強かったら、こんな事にならずに済んだのかなって」

メイド長が納得いってると

「それに、このままじゃあいつも安心して成仏出来ないんじゃないかって」
「そう、ですか」

悠太は少し間を置き

「それより、こっちは平気っすか?」
「水蓮寺様とソニアは取り敢えずは大丈夫ですが、他の方々は・・・。それに水蓮寺様は家にいる間はハヤテ坊ちゃんの部屋に引き籠っちゃいますし」
「そう、っすか」

悠太は軽くため息をつき

「じゃあ、俺はこれで」
「ええ。頑張ってください」
「・・ええ」


                   × ×


天王州家を出た悠太は行動を始めた。

麗やヒナギクと言った「取り敢えずは」大丈夫な面々以外は引き籠っており、その人達の説得をしていた。
と言っても、成果は上がらず、失敗続きだった。

しかし、「諦める」っと言う選択肢は無く、ハヤテの葬儀が終わって以来殆ど毎日欠かさず説得に動いていた。

「(やれやれ。俺が何とかしねえとな)」

悠太自身、「悲しみ」で心を支配されそうになっていたが、「このままじゃ良くない」っと言う思いで振り払っていた。
全ては「弱い自分が引き起こした悲劇」っと言う思いもあって、何とかなっていた。


「そう。また駄目だったのね」
「ああ」

現在悠太は生徒会室でヒナギクとお茶をしながら話していた。

「だが、このままじゃあいつが浮かばれねえ。だから、負けないよ、今度こそ」
「・・強いわね」

溜息をつくヒナギクに

「ヒナギクは、大丈夫なのか?」
「全然、大丈夫じゃないわ。でも、生徒会の仕事や剣道に打ち込む事で、無理やり保ってるわ」
「・・何かしてた方が楽、か。俺と一緒か」

2人とも溜息をつき

「何とか、ならないかしら」
「・・難しい問題だな。時間を掛けて解決するしかねえし」
「・・そうね」

悠太自身、「願望現実化で何とか出来るのではないか?」っと思った事はあった。だが、それは危険すぎる賭けなので、諦めていた。

「じゃあ、俺はもう行くよ。お茶、ご馳走様」
「ううん、良いの。話し相手になってくれれば、多少は紛れるから」
「・・そっか」

生徒会室を出て、三千院家に戻る道すがら空を見上げ

「(ハヤテ、こっちは何とかして見せる。だから、お前は安心して成仏しろよ)」

そう思い、歩き出した。


-----------------------------------------------------------------------------------
以上です。

次回は続きです。

では。
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Re: 女神と共に第四部 2nd (4月27日更新) ( No.37 )
日時: 2019/04/27 13:05
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
-----------------------------------------------------------------------------------

前回、ハヤテは死んでしまい、悠太は悲しみに暮れるアテネ達を立ち直らせようと説得していた。


一方。

「ここは、何処だ?」

ハヤテは何も無い真っ白い空間を歩いていた。
某作品に出て来る「精神と時の部屋」をイメージしてもらえれば、分かり易いだろう。

「僕は何故、こんな所に?死んだはずじゃ」

この「何も無い空間」に来る前を思い出したが、王族の庭城で白桜で自らを刺し貫き、死んだはずなのである。

「若しかして、ここがあの世、なのかな?」

腕を組んでこう考えたが、

「それにしちゃおかしいな。地獄にしろ天国にしろ、他の死者の方々が見当たらないし」

幾ら考えても答えは出ず、当ても無く彷徨う他に考えも浮かばなかったので、取り敢えずは歩く事にした。


                   × ×


暫く歩いたがこれと言った変化は得られなかった。
かなり長い間歩いた様も気がするが、変化は訪れなかったのである。
っと言っても、こんな空間じゃ「時間と言う概念」があるかどうかも微妙なので、割と正確なハヤテの体内時計も役立たずだった。

「やれやれどうしたもんかな〜」

座り込んで思わずこう呟くと、また腕を組んで考え込んだ。
だが、どれだけ考えても現状を知る事も打開策を見出すのも不可能だった。

仕方ないので、目を閉じて座禅を始めた。
すると

「ん!?」

眩しい様な温かい様な光を感じ、目を開けると、目の前に先程までは誰もいなかったはずの空間に女性らしき人が立って?いた。

間違いなく知らない人のはずなのだが、ハヤテはただただ懐かしさを感じていた。

「あの、貴方は?」

立ち上がりつつ尋ねると

「私の名はロイヤル・クイーン。あなたの前世です」
「僕の?」
「ええ」

ハヤテは自身の前世や王族の力・王族の庭城について聞いていたので、驚かなかった。
それと同時に、感じていた「懐かしさ」にも合点が行った。

「ここは何処なんですか?なぜ僕はここに?」
「ここは、あの世でもこの世でも無い場所です。強いて言うなら「あの世とこの世の丁度中間」っと言った所でしょうか」
「成程」

納得が行ったハヤテに

「貴方がここに居る理由は、私が呼び寄せたからです」
「え!?」
「貴方は本来、天国へ逝くはずでした。ですが、様々な事情を考慮して、ここへ来てもらったのです。それが、貴方がここに居る理由です」

女神の説明に納得が行き、それと同時に沸き上がった疑問を口にする前に

「色々と言いたい事もおありでしょうが、手短に行きます。 あなたにはある事を選択してもらいます」
「え!?」
「このままあの世(天国)へ向かうか、現世に戻るか」

思わぬ選択肢にハヤテは驚き

「現世に戻るって、そんな事」
「出来ますよ。死んで転生しているとはいえ、ここまでの事が出来るんです。生き返らせる事は、容易です」
「成程。でも、僕は本来死ぬべき人間です。現世に戻る訳には」

ハヤテの答えに女神は

「ならば、見ますか?貴方が死んだ後の現在の現世を」
「え!?」

女神は右側を指さし、ハヤテはそちらへ向いた。
そこには何も無かったはずの空間にテレビの様に映像が映し出されていた。
そして前回(>>36)の様子が流れ始めた。

「室内の様子も見れるのは、仕様なので突っ込まない様に」
「あ、はい」


                   × ×


全てを見終わったハヤテはただただ言葉を失っていた。

「いかがですか?」
「いかがも何も」

言うべき言葉が見つからず、ただただ頭を掻いていると

「これでも貴方は、あの世(天国)を選びますか?もしそうなら、私は従うだけです」
「・・若し、現世に戻りたいって言ったら」

恐る恐る聞くハヤテに女神は少し間を置き

「本来あの世に逝くべき人間を現世に戻すんです。それ相応の代償はあります。呪い、っと言い換えてもいいかもしれませんね」
「・・・」
「まず、貴方は二十歳を境に老化現象が完全に止まります。周りの方々が年老いても、貴方は若いまま、っと言う事ですね」

ハヤテが黙って聞いているのを確認し、続けた。

「そしてもう一つは、誰かと結婚し、子供を産んでもらわない限り、如何なる方法を用いても死なない体になる。勿論、結婚相手が誰であれ、子供が無事に生まれさえすれば、普通に死ねる、っと言う事ですね」

説明を終え、女神は一旦間を置き

「以上が貴方を現世に戻す代償です。理不尽極まりないっと言う訳では無いので、考える余地はあると思いますが」
「で、でも、それは」
「ご安心ください。貴方の子供には、代償は遺伝しません。貴方限りの代償です。つまり、貴方の子供は普通に年を重ね、死ねないなんて事は無く一生を過ごせる、っと言う事ですね」

ハヤテは安心した。

「さて、答えを聞かせてください。あの世か、この世を」
「・・・」

ハヤテは長い長い熟考の末

「僕は、現世に戻りたいです。沢山の人を悲しませたまま死ぬなんて、嫌です」
「・・代償があるんですよ?」
「構いません。そんなもの、関係ありません」

ハヤテの強い目に女神は

「私の転生体が、貴方で良かった。貴方なら、「本当の幸せ」を掴めるはずです」
「それは、分からないですけどね」
「・・そうですね。現世に戻った貴方次第、ですね」

お互いに笑みを向けあい

「では、行きます。くれぐれも、代償をお忘れなきように」
「あ、でも」
「代償を話すか隠し通すかは、任せます。話したとしても、何の問題もありませんから」

ハヤテが胸を撫で下ろすと、女神から金色の光が放たれ始めた。
そして

「うわっ」

目が眩む強い閃光にハヤテは目を閉じ、そのまま気を失う感覚に襲われた。


                   × ×


「はっ」

目を覚まし、起き上がると

「ど、何処だ、ここ」

周囲を見渡すと、王族の庭城にある花畑だった。

「・・懐かしいな。こうやって寝そべってたら、アーたんに出会ったんだっけ」

少しだけ懐かしむと、ハヤテは立ち上がり

「行かなきゃ。悠太を手伝わないと」

そう呟き、駆け出した。


-----------------------------------------------------------------------------------
以上です。

次回、ついにシリーズ最終回!!

では。
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Re: 女神と共に第四部 2nd (4月30日更新) 完結 ( No.38 )
日時: 2019/04/30 12:30
名前: masa

こんにちはmasaです。

今回でシリーズ最終回です。

本編どうぞ。
-----------------------------------------------------------------------------------

前回、ハヤテは女神の力で人知れず現世に蘇った。


所変わって天王州家。

「おい、天王州。何時までそうしてるつもりだよ」
「・・・」
「こんな事してたら、あいつは悲しむぜ」

悠太は今日もアテネの説得をしていたが

「・・また駄目ですか?」
「何とかしたいんっすけどねえ」

メイド長が溜息をつき、悠太は腕を組んで考えていた。
すると

「じゃあ、僕に任せて」
「ん!?   !!!お、お前」


一方、室内のアテネ。

「(行ったようですわね。毎日毎日ご苦労な事ですわ)」

アテネはベッドに仰向けに寝転がり

「(私の悲しみを、理解出来る訳ありませんわ。10年以上も一緒に居た愛しき人をいきなり失った悲しみなど)」

アテネは何をする気にもなれず、必要最低限の食事とトイレと入浴以外、殆ど何もしておらず、髪もボサボサになっていた。
悠太の説得は聞いてはいたが、応える気にはなれなかった。

すると

「出ておいでよ。こんな事、良くないよ」

「(言い方を変えたとしても、無駄ですわ。私の悲しみが癒える事など、無いんですから)」

「出て来ないと、皆悲しいよ。だから、扉を開けて出てきて、アーたん」

「(い、今の声!?)」

最後の「アーたん」の部分以外は悠太声だったが、そこだけはもう永久に直接聞けないと思っていた声だった。
幾らアテネでも録音かボカロの聞き分け位は出来る。間違いなく、肉声だった。

信じられず、ドアまで駆け寄り、開けると

「やっと開けてくれたね」
「ハ、ハヤテ!?」
「信じ難いだろうけど、正真正銘本物の、僕だよ」

ハヤテの笑顔に変装や精巧に出来たロボットでは無いと直ぐに分かり

「ハヤテぇ」

泣きながらハヤテに抱き着き、ハヤテは分かっていた為、受け止めた。

「ハヤテぇ、ハヤテぇ」
「・・相変わらず、泣き虫さんだね」
「ハヤテぇ」

泣きながら何度も何度もハヤテの名を呼び、ハヤテはアテネの頭を優しく撫でた。

そんな状態が暫く続いた後

「アテネ、騒が・・・」
「いったい何な・・・」
「ホント、何が・・・」

騒動を聞きつけた千桜、ルカ、ソニアが来ると、衝撃的な光景を目にした。
死んだはずのハヤテがいて、アテネが抱き着いていたので、言葉を失っていた。

「皆さん、驚くのは無理もないですが、本物の僕ですよ。アーたんがこうしてる事が、何よりの証拠だと思いません?」

ハヤテが言うと、全員駆け出し、ハヤテに抱き着いた。
ルカは後ろから、千桜は左から、ソニアは右から、である。

「ハヤテ君、生き返ったんだな」
「嬉しい。恋人が戻って来てくれて」
「・・ハヤテさん」

ハヤテがどうすべきか悩んでいると、悠太が大きめの咳ばらいをし

「気持ちは分かるが、落ち着け。そんなんじゃ、話が出来んだろうが」
「「「「・・・」」」」

一応は正論なので全員離れ、それを見計らって悠太が

「ハヤテ、どうして?お前、間違いなく死んだよな?あの遺体が偽物だったなんてオチ、ねえ筈だし」
「う〜ん。何て言えばいいのか。まあ、全部話すよ」

全員で居間に移動しようとしたが、悠太が引き止めた。

「その前に、お嬢様とカユラも部屋から出してくれ。流石にあの2人も聞きたいだろうし」
「・・分かったよ。じゃあ、話は三千院家で、って事で」

全員納得し、移動する事にした。


                    × ×


三千院家に着くと、ハヤテはナギとカユラの説得をした。
当然2人とも驚いたが、ハヤテが本物だと分かり、アテネ達同様抱き着き、ひとしきり泣いた後、話を聞く事にした。

因みに?ハヤテが生き返ってナギが復活した事で

「(つまんねえな!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!このままだったらナギの野郎を徹底的に追い詰めてそれをコレクション出来たじゃねえか!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!それ以外にもこの俺様が三千院家を乗っ取るという面白い事も出来たじゃねえか!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! でもまあいい。これでまた俺様のコレクションが増える事には変わりねえから、許してやるよ)」

とか思った人がいたそうだ。

一行は居間に移動し、

「それでだ。ハヤテ、全部聞かせてもらうぜ」
「分かったよ。ちょっと長くなるかもしれないけど、全部話すよ」

ハヤテは女神との一件を全部話した。
とは言っても、女神に言われた「生き返る為の代償」は伏せたが。

ハヤテが話している間、誰も相槌などは打たず、黙って聞き続けた。
全部話し終わった後

「そう言う事だったんですのね」
「なんか、すげえな、その女神は」

ロイヤル・クイーンの事を知っているアテネと悠太は大いに納得が行っていたが、知らない面々は深くは分からないものの、納得は行った。

「兎も角。戻って来てくれて嬉しいのだ」
「ああ。情けない姿を見せたが、もう大丈夫だ」

ナギもカユラも笑顔を見せ、アテネ達も笑顔を見せた。
ハヤテも悠太もつられて笑顔になった。

「まあ兎も角、パーティーでもしようぜ。良いだろ?お嬢様」
「勿論だ。盛大に執り行うぞ」
「私も手伝いますわ。 癪ですが、ハヤテの婚約者候補の方々は、呼んだ方が良いですわね」
「まあ、それ以外にも呼んだ方が良い人達は居るがな」

千桜の言葉に招待する面々のリストアップは悠太に一任された。

「ところで。ルカは大丈夫か?」
「平気だよ。今日は簡単な取材とラジオだけだから、夜には帰って来れるし」
「なら参加だな」

その日のうちにハヤテは他の引き籠ってしまっていた面々に会いに行き、事情をちゃんと話してパーティーへ招待した。
全員最初は驚いたが、事情を知るとアテネ達同様泣いてハヤテに抱き着き、パーティーへの参加を表明してくれた。


その日の夜は盛大に「ハヤテ復活パーティー」が開かれ、大いに盛り上がった。

その最中

「ああ、そうだ。ルカ、お前とハヤテ君が「結婚前提の恋人」ってのはもう無しだぞ」
「な、何でよ!!!!」

千桜の事はに当然抗議の声をあげたが

「だって、生き返ったとはいえハヤテ君は一旦死んだんだ。無しになるのは当然と言えば当然だろ」
「そ、そんな理不尽な」

不満しかないルカに

「まあ、「婚約者候補」は無しにならないみたいだし、そっちで頑張れよ。私も頑張るがな」
「ヌググ」

納得は行かないが、仕方なく

「分かったよ。でも、絶対にハヤテ君と結婚するんだから」
「そりゃ無理だ。ハヤテ君と結婚するのは私だから」

因みに

「(ハヤテと結婚するのは絶対に私だ)」

っと、この場に居る女性陣は全員思ったそうだ。


翌日、アテネは「緊急朝礼」を白皇で行い、ハヤテが生き返った事を話し、ハヤテは軽く説明した。
参加者の半分位(全員女子)は嬉しさのあまり気を失い、保健室や緊急で作られた処置室に担ぎ込まれた。
ハヤテは白皇でも熱烈に歓迎され、ハヤテの人気の高さを証明する事になったそうだ。


                   × ×


それから数日後。

漸く全てが落ち着き、ハヤテと悠太は人気の無い白皇内の庭で話していた。

「やれやれ。色々と大変だったな」
「まあね。でも、嬉しかったよ」
「そりゃそうだろ」

悠太が呆れていると、ハヤテは苦笑いするしか出来なかった。

「それより。生き返るのに何も無かったのか?」
「う〜ん」

少し悩んだが、悠太には代償を話す事にした。

「だ、大丈夫なのか?それ」
「何れ話すよ。今は、言わない方が良い気がしてさ」
「・・だよな。俺も黙っておくよ」

悠太が理解を示したことに安心し、笑みを浮かべた。

「ああ、そうだ。聞きたい事があるんだ」
「ん!?何?」

悠太は少し間を置き

「お前が復活したって事は、白桜やお前が会得してた必殺技は」
「ああ、その事?それなら」

ハヤテは白桜を召喚し、守護光速拳も発動した。
守護光速拳は第三段階であった。

「成程な。それ込みの復活って訳か」
「まあね」

ハヤテは白桜を戻し、守護光速拳も解除した。

「それともう一つ。王族の庭城についてだがな」
「ああ。それは前と変わらないみたいだよ」
「へ!?」

分からない悠太に

「試しにこの前行ってみたんだ。そしたら入れたよ、普通にね」
「成程な」
「勿論、城の中も普通に歩き回れたし、普通に帰って来れた。その気になれば王族の力も持って帰れるかもね」

そう言うと、直ぐに

「まあ、力は欲しくないし、持ち出すのは良くないからそんな事しないけど」
「そりゃそうだろ」

話が一旦途切れると、悠太は思い出したように

「それより、お前はどうすんだよ」
「え!?何が?」

分かって無い顔のハヤテに悠太は盛大に溜息をつき

「お前の結婚相手だよ。婚約者候補だけでも7人もいるし、それ以外だって」
「ああ、それね」

ハヤテは少し考え

「僕はまだ結婚出来る年齢じゃないし、その時までゆっくり考えるよ」
「ああ、そう」

これ以上言及しても無駄なので、止めた。


こうして、何気ない日常が戻って来た。

恋愛絡みを除けば、争いは戻って来ないだろう。

それは、何事にも代えがたいとっても良い事なのだろう。





             第四部 〜最後の血戦〜 完





-----------------------------------------------------------------------------------
以上完結です。

長きに亘って連載してきましたが、今回でめでたくお終いです。

今までありがとうございました。

では。
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Re: 女神と共に第四部 2nd (4月30日更新) 完結 ( No.39 )
日時: 2019/04/30 23:28
名前: ささ

ささです。長きにわたりお疲れ様でした。>>36まで読んで、「これで終わらないな」とは思ってましたが、まさかハヤテが蘇るとは!ロイヤル・クイーン恐るべし!何気に婚約者候補も復活しているし…
(アテネ他3名の婚約者候補+婚約者候補以外のLOVERSの皆さんドンマイ)えっ、何がドンマイか分からない?しょうがない、神尾崎綾子お嬢様に教えていただきましょう。
全10スレにわたる長作の完結おめでとうございます。
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Re: 女神と共に第四部 2nd (4月30日更新) 完結 ( No.40 )
日時: 2019/05/03 18:03
名前: masa

こんにちはmasaです。

レス返しの更新です。


 ●ささ さん

 >>ささです。

 感想ありがとうございます♪

 >>長きにわたりお疲れ様でした。

 ありがとうございます。途中休止もありましたが、何とか書ききれました。

 >>>>36まで読んで、「これで終わらないな」とは思ってましたが、まさかハヤテが蘇るとは!

 元々こういう予定でしたし、そうでないと誰も救われませんからね。

 >>ロイヤル・クイーン恐るべし!

 悠太「まあ、あんなとんでもない力を生み出した女神様だからな」
 アテネ「死者の蘇生が出来ても、不思議はありませんわね」

 >>何気に婚約者候補も復活しているし…

 綾子「それに関しては私が動いたからですわ。ハヤテ様が生き返った以上、それも復活させるのは当然ですからね」
 アテネ「(順番さえもそのままなのは、憎たらしい事この上ないですけどね)」

 >>(アテネ他3名の婚約者候補+婚約者候補以外のLOVERSの皆さんドンマイ)

 悠太「婚約者候補は7人だぞ。天王州を除くなら「他6名」じゃねぇか?」

 >>えっ、何がドンマイか分からない?しょうがない、神尾崎綾子お嬢様に教えていただきましょう。

 綾子「簡単ですわね。私がいる以上他の方々にチャンスが回ってくる事などありえないですからね。ですよね?」
 綾子以外「・・・」

 >>全10スレにわたる長作の完結おめでとうございます。

 ありがとうございます。感想をいただけてそれも励みになったおかげで頑張れました。


 感想ありがとうです〜♪

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