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昔の約束 (一話完結)
日時： 2017/02/05 22:10
名前：
masa
初めての方は初めまして。ご存知の方はこんにちはmasaです。
原作が最終章に入りましたが、この小説では無視しています。
時系列等も無視でお願いします。
今回、やっぱりな思い付きです。
では本編どうぞ。
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ここは白皇学院。
｢会長、俺は貴方の事が好きです。付き合ってください!!｣
｢ごめんなさい。貴方の気持ちは嬉しいけど、応える事は出来ないわ｣
｢そ、そうですよね。俺なんかが貴方みたいな人と付き合える訳無いですよね｣
男子生徒は項垂れたまま帰って行った。
ほぼその直後
｢おーおー。天下の生徒会長様は今日もオモテでいらっしゃる｣
｢美希｣
いきなりでしたが、補足を。
言うまでもなく、告白されたのはヒナギクで、相手はまあ、細かい設定など無いモブである。
そして皮肉を言ったのは花菱美希である。
｢もう、からかわないでよ｣
｢皮肉の一つや二つ言いたくなるってもんさ。何回目だ?告白されたの｣
｢そ、そんなの数えて無いわよ｣
美希はジト目のまま
｢まあ、良いさ。そこらの変な奴とくっつくよりはな｣
｢もう。さ、生徒会の仕事するわよ｣
｢ええ〜〜〜｣
｢ええ〜〜〜じゃない!!!サボりまくってるんだから、手伝いなさい!!｣
｢チェ〜〜。理沙や泉みたいに逃げとけばよかった｣
ブツブツと文句を言いつつ、ヒナギクに付いて生徒会室に向かった。
ヒナギクが告白されていたほぼ同時刻、別の場所。
｢綾崎君、私は貴方が好きです。付き合って貰えませんか?｣
｢・・ごめんなさい｣
｢ど、どうして!?誰かと付き合ってるの?｣
｢そ、そう言う訳では。ただ、お気持ちに応えられないとしか｣
｢そう、なの。でも、諦めないわよ。絶対に貴方の心を盗んじゃうんだから｣
女子生徒が去って少ししてから
｢やれやれ。相変わらずお前はモテルな｣
｢お嬢様｣
告白されていたハヤテを見て、ナギは皮肉っていた。
｢あいつ、結構な財閥の人間だぞ。三千院家程じゃ無いが、あいつとくっついてたら一生苦労せんで済むぞ｣
｢相手の家柄は関係ありません。第一、それじゃあお金目的になっちゃいますよ｣
｢失言だったな。すまん｣
ナギは頭を下げた後
｢だがな、あいつとは親しい訳ではないが、人柄は噂程度で聞いてる。｢良い人｣だとな｣
｢そう、何ですけどね｣
｢私個人的な意見で言わせてもらうが、ハヤテとの相性は良い筈だ。何が不満だ?｣
答えないハヤテにナギは
｢まあ、良い。でも、今みたいにだれかれ構わず優しくしてたら、何時かは死ぬぞ。｢誰かの物になるくらいなら｣って具合にさ｣
｢ま、まあ。気を付けますよ｣
｢難しいと思うがな｣
× ×
別の日。
｢ヒナ、また告白されたらしいな。相手は財閥の坊ちゃんだってな｣
｢またその話?もういい加減にしてよ｣
｢良いじゃないか。親友の恋愛事情に興味持ったって｣
正論なため、黙り込んだヒナギクに
｢全く。本当に何が不満なんだ?ハヤ太君が好きなのは知ってるが、あの天然様は諦めた方が身のためだぞ｣
｢そ、そう言う訳じゃ｣
｢じゃあ何が不満なんだよ。私の調べじゃ今日告白してきた奴は、悪く言う人等居ないぞ。嫉妬絡みの悪評は除いてだが｣
ヒナギクは長めの沈黙の末
｢美希になら、教えてもいいかしらね｣
｢お!?生徒会長様のスキャンダルか!?｣
｢そんなんじゃ無いわよ。あなたが知りたがってる、｢告白を断り続ける理由｣よ｣
｢そいつは興味あるな｣
｢口が軽そうな貴方でも、口外しないって信じて話すわ｣
｢約束するよ。理沙や泉にも話さないよ。拷問かけられたら話は別だが｣
ヒナギクは苦笑いを浮かべつつ、少しだけ間をあけて話し始めた。
｢これはね、ずっと前。私がまだ幼稚園に入ったばかりの話よ。 その日は凄く退屈で、両親もお姉ちゃんもいないから、1人である公園に遊びに行ったの。何して遊ぼうかなって、公園内を見渡してたら、端っこの方で男の子が1人で座ってたの。私は、声をかける事にしたわ｣
｢何でだ?別に珍しい光景って訳でもなさそうだが｣
｢正直、今でもよくは分からないわ。ただ、何となく気になったのよ。何かをするわけでもなく、ボーッと座ってて、話しかけないでオーラを出してる気がしたから｣
｢そうか。あ、割って入って悪かったな。続きを聞かせてくれ｣
｢私が話しかけたら、その子はすっごくビックリしたわ。何とか話そうとしても、無視する訳では無いけど、返事は生返事だけだった。でも、根気よく話してたら、やっと受け答えしてくれるようになったわ。まあ、それでもやっぱり距離はあったけど。それからは、毎日のようにその公園に通って、その男の子と話そうと頑張ったの。何日もかけてその子は話してくれるようになったわ。自分の事をね。それから友達になるのに時間はいらなかったわね｣
ヒナギクは一旦間を置き、
｢それからは、毎日一緒に遊んだわ。楽しくてしょうがなかった。 でね、ある時から私の中に不思議な感情が芽生えだしたの。その頃の私はそれが何なのか全然分かんなかった。だから、お姉ちゃんに聞いたら｢それは恋だ｣って教えてくれたの。不思議と否定する気は全く無かったわ。だから、悩んだけど私から告白したの｣
｢ふ〜ん。今のヒナからじゃ想像できんな｣
｢そうかもね。でね、告白した時、その子はビックリしてた。でも、私がいかに真剣か伝えたら、OKしてくれたわ。それからは、友達としてじゃなく、恋人として遊ぶようになったの。でも、そんな日々はいきなり終わりを告げる事になったわ｣
ヒナギクはまた間を置き
｢その子がね、引っ越す事になったのよ。私は珍しく駄々をこねた。でも、困らせるだけって分かって、見送ることにしたの。その時その子が｢将来、絶対にまた会う事になる。だから、再会して大きくなったら結婚しよう｣ってプロポーズしてくれたの。指輪は無かったけどね｣
美希は少し間を置き
｢何だ、素敵な話じゃないか。って事は、ヒナはその約束を?｣
｢ええ、そうね。約束を守るために、告白は断ってるの。確かにハヤテ君は好きよ。でも、約束があるから悪い気がしてね｣
｢ふ〜ん。その男の子とは会えたのか?｣
｢ううん。それっきり｣
｢で、肝心のその子の名前とかは?出てこなかったじゃないか｣
ヒナギクは少し迷った末
｢ハヤテ｣
｢へ!?ハヤ太君か!?｣
｢違うわよ。確かに名前は一緒だし、雰囲気も似てるわね。でも、違うわ｣
｢証拠は?｣
｢だって、出会った時に言ってくるでしょ?あの時の子だって｣
｢確かにな｣
｢だから、奇妙な偶然よ｣
｢ふ〜ん｣
× ×
一方その頃。
｢なあハヤテ、お前また告白されたんだってな｣
｢え、ええ。まあ｣
｢全く。本当にオモテになるよな｣
ハヤテは乾いた笑いしか出来なかった。
｢なあ。何が不満なんだ?今回告白してきた相手は財閥の令嬢だぞ。人柄も嫉妬絡みの悪評を除けば悪い事なんかないぞ｣
｢ええ。これでも人の噂には結構詳しいですからね。その人の噂もきちんと聞いてます｣
｢じゃあ何が嫌なんだよ。金でもない、人柄でもないんじゃ｣
一応補足します。2人の間に原作のような誤解はありません。
｢そう、ですね。お嬢様には話しておいた方が良いですね｣
｢そうだな。まあ、口外はしないから安心しろ。これでも口は堅い｣
ナギが言うと、ハヤテは少しだけ間を置き
｢これは、僕がまだ幼稚園の頃の話です。 その頃の僕は孤独でした。両親が屑すぎるせいで友達はおろか、話してくれる人すらいませんでした。 ある日、家に居ても碌な事が無いので、公園で時間潰しをしていました。そんな時、同い年くらいの女の子が声をかけてきてくれたんです。正直、話しかけてくれるって事が信じられなくて、生返事ばかりしてました。ですが、その女の子は根気よく話しかけてきてくれたんです。なので、取りあえずの受け答えはするようにしたんです｣
｢ふ〜ん。やっぱ、ハヤテの昔話は重いな｣
｢すみません。もう終わりにしましょうか?｣
｢気持ち悪いから最後まで話せよ。ちゃんと聞くよ｣
｢正直、忘れられない日々でした。 その子は毎日のように来て、話しかけてくれるんです。生返事と適当な受け答えしかしない僕にですよ。それで、嬉しさが勝ってその子と自分の事とかちゃんと話すようになりました。それから、その子と友達になるのに、時間なんか必要ありませんでした｣
｢やっと良い話になったな。さ、続きを｣
｢あ、はい。 友達になって以来、毎日のように遊びました。今までの不幸が嘘だったと思えるほど、楽しい日々でした。 そんなある時、不思議な感情が芽生えていることに気付きました。その正体は分かりませんでした。それで、偶々帰ってきた兄さんに相談したら、｢それは恋だよ｣って教えてもらったんです。不思議と否定する気は一切ありませんでした。どうしようかと悩みつつ何時もの様に遊びに行ったら、その子に告白されたんです｣
｢へえ。相手から告白か。随分積極的なんだな｣
｢ええ。なんて答えたらいいか分かりませんでしたが、相手は真剣に自分の気持ちを伝えてきました。OKする以外ありえないと思い、恋人になりました｣
ハヤテは一旦間を置き
｢恋人として過ごす日々は今まで以上に充実した日々でした。ですが、そんな日々は唐突に終わりを迎えました。屑な両親が遠くへ行くと言い出したんです。正直嫌でしたが、逆らう事など出来ず、従う事にしました。その子とはきちんと別れの挨拶をしました。その時、僕はプロポーズしたんです。｢将来、絶対にまた会う事になる。だから、再会して大きくなったら結婚しよう｣って。経済的な理由で指輪は渡せませんでしたが｣
ハヤテの話を聞き、ナギは優しい笑みを浮かべ
｢素敵な話じゃないか。って事は、お前が告白を断ってるのって｣
｢ええ。約束を守るためです。破ったりしたら、その子に悪い気がして｣
｢で、その子とは再会できたのか?｣
｢いいえ。それっきりです。今どこで何をしてるのか｣
｢んで!?名前は?出てこなかったぞ｣
ハヤテは敢えて間を置き
｢ヒナギク｣
｢へ!?ヒナギク?会ってるじゃないか｣
｢いいえ。あのヒナギクさんじゃないですよ。確かに、名前は一緒ですし、雰囲気も似てますが｣
｢根拠はあるのか?｣
｢一応は。 もしそうなら、出会った時点で話題にしてくると思うんですよ。あの時の子だって｣
｢ふ〜ん。奇妙な偶然って訳か｣
ハヤテは答えなかったが、ナギは肯定と捉え
｢ってか良いのか?約束があるとはいえ、お前はヒナギクが好きなんだろ?｣
｢まあ、そうなんですけどね｣
× ×
別の日。
｢なあヒナ。聞いていいか?｣
｢何よ｣
｢ヒナの子供の頃の約束は聞かせてもらった。でも、もしハヤ太君が告白してきたらどうするつもりだ?約束を理由に断るのか?｣
長めの沈黙の末
｢何時までも昔の事を引き摺るのは良くないし、OKするわ。でも、自分からじゃ何となくね」
｢ふ〜ん｣
ほぼ同時刻
｢お〜い、ハヤテ。 って何してるんだ?｣
｢お嬢様、何か御用ですか?｣
｢いや、紅茶を淹れてもらおうとだな。 そんな事より、何してるんだって聞いてるんだよ｣
｢手紙を書いてたんです｣
｢まさか｣
｢昔の事を何時までも引き摺るのは良くないので、ヒナギクさんに告白する事にしました。｢このご時世に!?｣とか、｢ベタすぎるだろ｣って思われるかもしれませんが、ラブレターで告白する事にしました｣
ナギは笑みを浮かべ
｢お前らしいな。乙女度が高いお前のな｣
｢あ、あはは｣
｢まあ、結果報告待ってるぞ｣
翌日。
｢(よしっ、手紙も用意したし、後はヒナギクさんに渡すだけだな)｣
懐に忍ばせたラブレターを再確認し、ヒナギクを探していた。
｢(あ、あれはヒナギクさん。って、まさか)｣
一方のヒナギクはハヤテではない別の人間に呼び出されていた。
｢会長、こんな所に呼び出してすみません｣
｢別にいいわ。で、何?｣
｢俺は、貴方が好きです。付き合ってください｣
｢ごめんなさい。貴方の気持ちには応えられないわ｣
｢ど、どうしてですか。自分で言うのはおかしいですが、俺は性格的な事とかは｣
｢知ってるわ。これでも生徒会長だもの。生徒の事は大体で把握してるから｣
｢じゃあどうして｣
｢分かったわ。教えてあげる｣
ヒナギクは一呼吸置き
｢私にはね、結婚を約束してる人がいるの｣
｢え!?｣
｢分かる?あなたの気持ちに応えるって事は、婚約者を裏切る真似になるわ。だからよ。幾らあなたが人間的に欠陥が無くても、駄目なのよ｣
教えられた相手は暫く沈黙し
｢分かりました。なら、仕方ないですね。正直に言ってくれて、助かりました｣
｢ごめんなさいね｣
｢謝らないでくださいよ。お蔭で新しい恋を探せるですから｣
そう言うと、相手は去って行った。
× ×
夕方。
｢お、ハヤテ。告白はどうだったんだ?したんだろ?｣
夕食の支度をしているハヤテを見つけ、ナギは話しかけた。
｢ああ、これですか?｣
｢あれ?なんで持ってるのだ?｣
ハヤテは答える代わりに手紙を4つに割き、コンロの火で燃やした。
｢お、おい。お前｣
｢良いんです。こんな物渡したって、迷惑をかけるだけですから｣
｢どういう事なのだ｣
ハヤテは言い難そうに間をあけ
｢ヒナギクさんには、結婚を約束している人が居るみたいですから｣
｢ヒナギクに!?｣
｢告白しようと探していたら、別の人がヒナギクさんに告白していました。その時、偶々聞いちゃったんですよ｣
ナギは驚きつつも
｢そっか。ヒナギクはそんな嘘は言わんからな。本当なんだろ｣
｢間違く、ね｣
｢でも、良いのか?それで｣
｢良いんですよ。自分の想いに決着をつける事が出来ましたから。これで、昔の約束を果たす事に集中出来ますから｣
｢そう、か。まあ、私は応援するだけだ。頑張れよ｣
｢はい｣
｢(出来る事なら、約束の事を忘れてくれると嬉しいがな。そうすれば私が)｣
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以上です。
いかがでしたか?こういうハヤ×ヒナもありだと思いますか?
因みに、この小説の真のタイトルは｢昔の約束 〜すれ違う想い〜 ｣です。
だからこういう内容になりました。
実はいうと、この小説は｢ハヤヒナ合同本｣の参加を勧められた際に考えたものです。
ですが、内容を読んでいただければ分かりますが、｢ハヤヒナかどうか曖昧｣っと思ったので、｢参加保留｣っと言ったんですよね。
では。
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