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SOME DAY
日時: 2015/03/03 16:19
名前: みっちょ

ヒナギクさん誕生日おめでとうございます。

短いですが誕生日小説・・・になった(無理やりした)と思います。

ヒナギクさんほぼでてきませんけど(笑)

注意 CPは百合 シリアス ヒナ美希 キャラ崩壊 駄文

以下大丈夫な方だけ↓














「SOME DAY」

真黒なタキシードと真っ白なウエディングドレスを着て、バージンロードを歩く新郎と新婦を祝福しながら、満面の笑みを浮かべる彼女を見た。きっと、それは本物の笑顔で、かけた言葉に嘘や偽りはなかったと思う。


それでも、私は許せなかった。


白皇学院を卒業してもう、何年月日が過ぎただろう。まあ、ざっと考えて五年以上だろうな。桃栗三年、柿五年というからまあそんなもんだ、っと彼女に言うと「柿は八年でしょ?あとそれ使う場所違うわよ」っと呆れた笑いが返ってくる。まあそんな話は置いといて、だ。


ある日一通の招待状が私の元に届いた。



簡潔に言おう。


ハヤ太くんが結婚した。
別に彼が結婚しちゃいけない理由なんてない。あんな女の子みたいな顔してるくせに異様にモテル男だった。まあ、能力的には普通の男よりも数百段上の彼だから至極当然だったとも言えなくもない。性格も温厚で優しかったからそりゃモテルわ。諦めるしかなかった。

ずっと仕えていたわがままお嬢様のどこを気に入ったのかは分からないけれど。バージンロードを歩く二人は本当に幸せそうだった。笑い声の絶えないあたたかな式を迎えた。もちろん、私も。昔の友人からのブーケトスを受け取って笑っていた彼女も。本当にうれしそうに。喜んでいた。

その帰り道、彼女にたまたま渡したビデオカメラを私が受け取り忘れなければ。今日撮れたばかりの映像を見ながら、立ちすくんでいる彼女に声をかけなければ。彼女の瞳から落ちる涙を見なければ。

この関係が終わりを告げることもなかっただろう。

「ヒナ・・・」

振り向いたヒナはすぐに涙を拭う。目にゴミが入っちゃって、はいこれ。ヒナの手から異様なまでにぴっちりと閉じられたビデオカメラが戻って来た。

「ヒナ」
「なに?」
「ハヤ太くんのこと・・・まだ好きだった?」
「・・・」

濡れたまつげも乾かないうちに、自分はヒナからどんな答えを期待した?
もう諦めたから。まだ、好きだったけどしょうがないよね。
そんな言葉が聞きたかったのか?そんな言葉を引き出したかったのか?
・・・違う。そんなの自分が思っていた、思い焦がれてた彼女じゃない。

「・・・うん。好きだよ。ハヤテくんが結婚した、今も」

「そう・・・」

自分でもわけのわからない感情が浮かんだ。

言葉にするならそれはきっと、憎悪と表現するのが正しい感情。

・・・憎かった。どうしようもなく。もちろんハヤ太くんにだって感情はある。それは頭の悪い私にだって十分わかるさ。成績はバカだったけど、人の感情がわからないほど子どもじゃない。好きか好きじゃないかなんてその人次第だ。
なのに、憎くてたまらなかった。ヒナの心を奪えたくせに、ヒナと結ばれる権利を持てるくせに、ヒナを裏切った彼が。私はヒナに思いを伝える権利もない。仮にあったとしても答えの知ってるゲームなんて、やっても無意味だ。

「ヒナギク」

分かってる。これを言えば、彼女からどんな反応が返ってくるのか。もう今までの関係には戻れないことも。いままでよりも、ヒナが遠くに行ってしまうことも。分かった上で、私は彼女に伝えたいと思った。
ぎゅっと距離を縮めたヒナに、涙でぐしゃぐしゃになった顔に、そっと唇を寄せた。夕暮れの赤い街角で、彼女のきょとんっとした唇に自分の唇を押し当てる。

「!?」

目を大きく見開き、肩に手を置かれた。突き飛ばされるかと思って身構えたがなぜか、ヒナはそれっきり動かなかった。ほんの数秒、唇が触れ合って、ゆっくり離す。ヒナの目を見つめると、潤んだ瞳に、戸惑いの色が浮かんでいた。

「ヒナ。好きだよ」

好きだよ。

この四文字の言葉を伝えるのに幾月の日々を過ごしただろう。
答えの分かっているゲームをプレイする気にもなれなくて、ずっと見て見ぬふりをしてきた。

「美希・・・」

気持ち悪い。
そう思われただろうか。いきなりキスして、好きだなんて言いだした友人を。ずっと、友人だと思っていた同性を。ヒナはどんな風にとらえているのだろう。人の気持ちなんて考えるだけ無駄だと分かっているけれど。

「ヒナの気持ちはわかってる。だから、いいんだ。私が伝えたかっただけだから」

いきなりキスしてごめん。そう言い残して私はその場から立ち去った。立ち去ったなんてかっこよく言ったけれど、本当は逃げただけだ。答えを聞きたくなかったから。スコアの見たくないゲームだったからうやむやにしただけだ。
後ろで何か叫んでる声がしたけど、振り向く勇気はもうなかった。









それから、彼女とはもう一年近く会ってない。電話番号やメアド、全部変えて住む場所も変えた。徹底的に彼女を突き放した。それが、お互いにとって一番いいあり方だと思ったから。

めまぐるしい日々の中に埋もれて、あの日のことが夢だったように感じ始めたある夜。いつものように仕事から帰って時計を見ると、もう0時を回っていた。

3月3日。世間一般ではひな祭りとして、女の子達が祝われているのだろう。でも、私にとっては違う。今日は・・・。

考えても無駄だ。どうせ、もう会うこともない。そっと自分の唇をなぞるとリップの塗ってない表面はカサカサしていた。ちょっと爪でひっかけばすぐ血の味が口の中に広がる。あの時、ヒナもこの感触を感じていただろうか・・・なんて栓ない事を考えた。

寝よう。

そう思ってベッドの中に潜り込んでもなかなか眠気はやってこない。今日が彼女にとって特別な日だからなのか。それとも、たまたま眠気が来ないのかはわからない。

・・・直接は言えないけど。

「ヒナ。Happy Birthday。今も、これからも、ずっと好きだよ」

味気ない天井に向かって何を言ってるんだっと笑いそうになった。でも、どこか気持ちはすっきりして、穏やかだ。いつか、彼女に直接言いたい。またどでかい誕生日パーティーを開いて最高に困らせてやる。どんな顔をするだろうか。困りながらも、笑ってくれればいいな。

夢物語のような思考を巡らせながら、私は本当に夢の世界へ旅立ってしまった。

きっと、そう遠くない未来。

あのときから進んでない自分の物語に新しい一ページが加わることを願いながら。

今は、淡い夢でいい。

でも、いつか、きっと・・・。



















ヒナがほとんど出てない。ヒナギク様の誕生日(百合)
駄文ですし、シリアスですし、キャラ崩壊ですし、いろいろ突っ込みたいところあるとは思いますが大海原のようなひろい心で見ていただけると嬉しいです。


改めまして!桂ヒナギクさん、お誕生日おめでとうございます!!












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Re: SOME DAY ( No.1 )
日時: 2015/03/06 09:14
名前: プレイズ

初めまして、プレイズといいます。
読んでみて、とても質が高くて面白いと思いました。

美希の一人称の質が高かったですし、全然キャラ崩壊なんてしてないです。むしろ美希のらしさをより昇華して文章に落とし込めていたと思います。
美希の心理描写が丁寧ですね。ヒナギクへのどうしようもない想い、ハヤテが結婚した事でヒナギクの想いが報われなかった事への憎悪、これまで想いを伝えられなかったヒナへ想いを打ち明けて、でも答えを聞きたくなかったから怖くて走り去った、その一連の描写が良かったです。
ヒナギクが祝福していた裏で実は哀しんでいた事に気付いて美希が憎悪を抱いたに至る部分を描写する仕方が特に質が高いというか、読み応えがありました。

最後のオチの部分は、ヒナギクとはもう連絡を取り合わなくなってしまい、本来3月3日は雛祭りの楽しみ感がある日なのに美希にとってはヒナの事を思い出してセンチメンタルな気分になってしまう日、ってのが何か少し哀し気な最後でしたね。
ヒナギクからの返答を見ずに遮断し、どういう結果になったのかをわからないようにして、それから時が経ってヒナギクの事を想うという……
普通ならヒナギクが何かしら救いのある応答や連絡をしてくる描写とかを入れてもいいのじゃないか、と思ったのでオチの部分は少しだけ味気なく感じました。
しかし、同性に抱いた恋愛感情だからこそ、美希が想いをスムーズに障害なく伝えられないという物哀しさが感じられる話・結末だったので、そこがまたこの小説の魅力であると思います。
そこもまた美希のらしさというか、持つ独特の特色を表現できているなと思いました。
ヒナの誕生日小説に、あえてこういう少しセンチメンタルな美希の話を書かれたのはなかなか興味深くて面白かったです。

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Re: SOME DAY ( No.2 )
日時: 2015/03/08 21:54
名前: みっちょ

返信が遅くなってしまい申し訳ありません。
初めまして、プレイズさん。みっちょと申します。

感想ありがとうございます!


ヒナ美希は初挑戦で完全に自己満足のような形で書いたので「面白い」って言ってもらえるなんて;;もう本当にうれしいです!!
キャラ崩壊してないって言って頂けて少し安心しました(笑)

「ヒナギクが好きだからヒナギクのために何かしたいけど、それは自分じゃ絶対かなえられないこと」という感じで、美希の葛藤など書いてみたかったのでこんな話になりました。

最後結局哀しげな話で終わってしまいましたが案としては「happybirthday」と言ったあと
「そういうのは本人の前で言いなさいよね!」
っとヒナが登場する予定は構成上ありました。
でも、美希の気持ちはまだしっかりとは整理がついてないですし、やはり同性同士の恋愛ごとなのでそう簡単にはうまくいかないだろうなぁっと思ってあんな感じの最後になりました。
そこを感じ取って頂いて「魅力」とまで言って頂けて・・・嬉しくて泣きそうです;;
百合ですし、人を選ぶ話を誕生日小説としてあげるのはかなり不安だったのです。
今度はもっと明るめなヒナ美希に挑戦できたらいいなっと思っております。

感想頂けて本当にうれしかったです!ありがとうございました!!

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Re: SOME DAY ( No.3 )
日時: 2015/03/09 20:13
名前: 明日の明後日

こんばんわ、明日の明後日です。

失恋物のヒナ誕SSは私も過去に書いたことがありますが、更にヒナ美希で百合で、しかも主人公がヒナギクじゃない上に本人の出番が少ないという斬新(?)な構成には度肝を抜かれました(笑

happy endともbad endともつかない終わり方に、良い意味で「お、おう・・・」となりました。
後味が(どちらかと言えば)悪い終わり方なのに、その中に救いがちょっぴり混ぜられていて、ミルクの溶け切らないブラックコーヒーのような感じがよかったです(意味不明

ヒナ美希は“想いを伝えられない美希”が自虐的に描かれることが多い印象ですが、同様に自虐的であるにもかかわらず(開き直られたらそれはそれでリアクションに困りますが)、美希がヒナギクに想いを伝えてしまう、という点が驚きでした。
伝えるだけ伝えて縁を切り、しかしその後も想いを引き摺ったまま、というのがなんともリアリティがあるというか生々しいというか。そこで安易に救いを持たせなかった点がすばらしいというか「あ、分かってるな」と思いました(偉そう
作風にもよるのでしょうが、本作の雰囲気を考えると最後に分かりやすい救いを持たせたら白けてしまうだろうな、というのが個人的に抱いた感想です。
しかしそのまま美希が自己嫌悪を増幅させていって病んでいくような明確なbad endではなく、引き摺りつつも前向きな姿勢でいようとするところに僅かばかりの救いを感じて(上で述べた“救いがちょっぴり混じっている”というのはこのことです)、それが非常に好ましかったです。

これ以上はまとまりを欠きそうなのでこの辺りで失礼したいと思います。
明日の明後日でした。
この作者は、誤字脱字の連絡を歓迎しています。連絡は→[チェック]/修正は→[メンテ]
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Re: SOME DAY ( No.4 )
日時: 2015/03/14 00:32
名前: みっちょ

遅くなってしまい申し訳ありません;;

明日の明後日さん。感想ありがとうございます!

ヒナギクさんの出番もっと増やしたかったのですが、やはり今回の話の運び屋は美希ちゃんということで(ヒナの誕生日なのに(笑))、ですが、一応ヒナギクさんが主で書いた”つもり”です。
終わり方はかなり曖昧な感じになってしまいましたが上記の通り一応の救済措置(ヒナギクが現れるシーン)は用意しておりました。しかし、やっぱり普通とは少し違った恋愛なので少し暗め(というか完全に私の趣味な感じもします(笑))な感じで終わらせてみました。
もちろん、暗いだけじゃなくて少しくらいは希望を持たせて前向きにさせようと思った結果が明日の明後日さんが気付いてくださった部分なのですごく嬉しいです!

ミルクの溶け切らないブラックコーヒーですか!すごく(自分でも)しっくりきますね!!
人生全部が綺麗に混ざり合うようなものではないですし(特に同性愛は周りの目や偏見も多いですから)それでもつながっていたいと思う気持ちは変わらないので惹かれあってしまうんですよね。(自分でも何言ってるのか分からなくなってきてます(笑))

自己満足SSですが少しでも気に入って頂けたらなら幸いです。

語彙力とか全然なくて、文章にできないのですが感想頂けて本当にうれしかったです!!

ありがとうございました!!

みっちょ。
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