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桂雪路の楽しい住宅建築 【一話完結】
日時: 2012/11/10 17:19
名前: 竜神ユウ

どうも〜♪ 竜神ユウです♪

今日は雪路の誕生日という事で、前にひなゆめでも書いた事がある、雪路が主人公のギャグ系小説を書こうと思います♪

まあ、内容は完全に誕生日とは関係がないので、読んでも仕方がないと思う人は『戻る』をクリックする事をお勧めします……

ちなみにこれは、『ギャグマンガ日和〜聖徳太子の楽しい木造建築〜』を元ネタにした小説です♪

とりあえず楽しんでいただけたらと思います♪

それでは、本編をどうぞ〜♪






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 ある日、一人の女性(?)が歩いていた。


 「ちょっと!! 何で『女性』の後ろに『?』が付くの!? まるで私が、女性なのかどうかも分からないような存在みたいに言って!!」


 こんな具合に、道のど真ん中で、しかも地の分に向かって大声でツッコんでいる、傍から見れば頭の痛そうな人間が、白皇学院教師の、桂雪路である。


 「まったく……夏休みに入ってすっかり忘れてたけど、そろそろ建設中だった私のマイホームが完成する頃よね〜♪」


 雪路を知る人間が聞けば、百人が百人、「お前のどこにそんな金があったの!?」と問い詰めるような事を呟いていた。


 「失礼ね!! ローンよ!! ローン!!」


 ……酒に溺れた金の亡者が言っても、まったく説得力が無い。


 「うるさいわね!! というか、さっきからチョイチョイうるさいのよ!! 地の分の分際で、キャラクター様の事をゴチャゴチャ言うな!!」


 雪路は叫んだ。


 「……まあ、何にしても楽しみね〜♪」


 雪路は、マイホームが建てられる“予定”の場所へと到着した。




  ヒュ〜〜〜〜〜〜〜〜……




 「……酷く小ざっぱりしてるーーーーっ!?」


 雪路は目の前の光景を見て、思い切り叫んだ。

 目の前の土地には、家など建っておらず、ほとんど空き地の状態であった。

 雪路は以前見たときと違っていることと言えば、せいぜい柱が2,3本建てられているだけである。


 「ちょっと!! 大工さん!? 私の家、全然出来てないんだけど!? ていうか、全然出来てへんのやけど!?」


 雪路は近くにいた若い大工に、何故か関西弁で詰め寄った。


 「アンタの家ならまだまだですよ?」


 大工はあっさりと答えた。


 「だってアンタ、お金ケチって僕一人しか雇ってないじゃないですか?」


 「良いでしょ、別に?」


 「良いですけど、あと三十年はかかりますよ?」


 「えーーーーっ!? 困るのよ、それじゃ!! もうとっくに出来てると思って、ヒナに招待状出しちゃったのに!!」














                    ***














 一方、その頃の桂家では――。


 「……あれ? お姉ちゃんからの手紙……?」


 家の中では、桂ヒナギクが郵便受けの中から、雪路からの手紙を手に取っていた。


 「何でわざわざ手紙で……そういえば、夏休みに入ってから、宿直室を追い出されたって言ってたわね……。連絡もせずに、何やってたのかしら?」


 ヒナギクはそんな事を言いながら、手紙を開封して、中身に目を通した。




 『我が妹、ヒナ(貧)へ』




 「(貧)って何よ!? 初っ端から喧嘩売ってるわよね!? 何!? そんなに胸の大きさで勝ってる事を自慢したいのかしら!?」


 手紙の初っ端でムカついたのか、ヒナギクは声を荒げながら怒鳴っていた。




 『私のマイホームが出来ました〜!! ざまぁ見ろ〜!!』




 「何でこんなに偉そうなのよ!? というか、マイホーム建てるだけのお金があるんだったら、まずは学校とか私への借金を返すべきじゃない!?」


 ヒナギクの言うことも尤もだが、当然その言葉は雪路には届かない。




 『お土産を持ってこ〜い!! 良いお土産を持ってこ〜い!!    桂雪路』




 「……何でこんなに上から目線なのよ……。というか、私が家を見に行く事が前提になってないかしら?」


 ヒナギクは、怒るよりもむしろ呆れたような口調で言った。




 『P.S お風呂上がりに耳掃除をすると、湿っている』




 「……全体的にムカつく手紙ね……。というか、この追伸は何なのよ……」


 ヒナギクは手紙を読みながら、どんどんと表情を険しくしていく。


 「招待状っていうよりも、むしろ命令書よね……。やっぱり行かないと、絶対にお姉ちゃんは怒るでしょうね……。行ってちょっと見てすぐに帰ろう……。二秒くらい見て……」














                    ***














 その頃、雪路の方は――。


 「とにかく急いで!! もうとにかく、小さな小屋でも良いから作るのよ!!」


 とにかく体裁だけでも作ろうと、大工の尻を叩いていた。

 しかも、慣用句で表すような『尻を叩く』ではなく、文字通り、近くにある角材で、大工のお尻をぶっ叩きながら急がせている。


 「こ、小屋で良いんですか?」


 大工はお尻を痛そうにさせながら、作業を進めている。


 「急げ!! 明日までに何としても!!」














                    ***














 翌日、ヒナギクは雪路のマイホームの場所へと向かっていた。


 「お姉ちゃんに会うのなんて久しぶりね……。一体どういう生活してるのかしら……」


 何だかんだで、雪路の事は結構心配してるらしい。


 「……あっ、お土産忘れちゃった」


 ヒナギクは突然思い出して、その場で立ち止まった。


 「……まあ、こんなもので良いわよね」


 ヒナギクは少し考えて、雪路へのお土産を取り繕う事にした。


 「地図だとこの辺なんだけど、お姉ちゃんの家って……」


 ヒナギクは地図を見ながら歩いている。


 「……アレじゃないわよね、まさか? 表札に何か書いてあるけど、違うわよね?」


 そんなヒナギクの目の前に、何やらお化けが出そうな程に不気味な、小屋とも言えるほどの小さな家が一軒建っていた。

 表札には、『桂』とハッキリ書かれていた。


 「これがお姉ちゃんの家だなんて、私は信じないわ……。ここにお姉ちゃんがいたら、流石に信じるしかないけど……」


 「〜〜〜〜〜♪〜〜〜〜〜♪♪」


 何やら変な歌声が聞こえてきた。

 ヒナギクがその方向を見ると、雪路がギターをぶら下げて、何やら歌っているのである。


 「……いた……。何か歌ってる……」


 ヒナギクは呆れたような表情を作った。




 「ていうかギターの位置低っ!!」




 ヒナギクの言う通り、雪路の体にぶら下がっているギターは、雪路の膝の辺りの位置にあった。


 「あっ!! ヒナ、よく来たわね? 待ってたわよ? 弾き語りしながら……」


 「弾いてなかったじゃない!?」


 「実は弾けないのよ……。昔はやってたけど、もうやり方忘れちゃってね……」


 「それなのにそんなに誇らしげにぶら下げてるの!?」


 「……もう、いちいちうるさいわね……」


 雪路はそう言いながら、ギターを体から下ろした。


 「ギターなんかやめてやるわよ!!」




  ガシャァァァァン!!!!




 雪路がギターを地面に叩きつけると、ギターは大きな音を立てて大破した。


 「さあ、入って入って……出来立てほやほやのマイホームよ。ちょっと変な匂いするけど入って入って……」


 雪路は何事も無かったかのように、ヒナギクを家に招き入れようとした。


 「あっ、待った。お土産は持ってきたでしょうね?」


 「……やっぱりいる?」


 「当り前でしょ!? ただで私の家に入ろうなんて、図々しいにも程があるわよ!! 片腹痛いわ!!」


 「じゃあ……はい……」


 ヒナギクは、懐から封筒を一枚手渡した。


 「えっ!? 何々!? ひょとして……金一封とか!?」


 雪路は期待に表情を輝かせながら、封筒の中身を取り出した。




 『 肩叩き券   有効期限 今年以内 』




 「……ヒナ……アンタ……」


 雪路は、絶望の表情でヒナギクを見た。














                    ***














 「謝るから、お姉ちゃん……そんなに落ち込まないでよ……」


 部屋の中で、ヒナギクは雪路を慰めていた。


 「……だって……肩叩き券って、アンタ……今年以内って、アンタ……」


 「……それより、良い部屋ね、お姉ちゃん? 落ち着きがあって……」


 ヒナギクは話題を変えるために、とりあえず部屋を褒めることにした。


 「そんなに良い!?」


 「(あっ、機嫌が治った……)」


 「アンタ、なかなか家を見る目があるわね、ヒナ……」


 雪路はそう言いながら、何やらお菓子らしい箱を取り出した。


 「あっ、お菓子あるけど食べる? ちょっと変な匂いがするけど……」


 「いらないわよ、そんなの!! ああっ!! もう臭っ!! 魚臭い!! 何か犬の糞の溜まり場みたいな匂いがするわよ!?」


 ヒナギクは思わず鼻をつまんで叫んだ。


 「……何よもう、美味しいのに……」


 雪路はそう言いながら、中身を一つ口の中に放り込んだ。


 「……不味っ!!」


 「(……やっぱり……)」


 「うぅ……蟹の食べられないところみたいな味がするわ……。飲み込めないくらい不味いわね……ヒナ? お茶入れてきて……台所あるから……」


 「……お姉ちゃん? 私は今、お客さんのはずでしょ? お姉ちゃんが入れるべきなんじゃ……」


 「ほざきやがれ!! 私は先生で、お姉ちゃんなんだぞ!?」


 「……まったく、偉そうなんだから……」


 「偉いもん!!」


 ブツクサと文句を言いながら台所に向かうヒナギクに対して、雪路は高らかに言った。














                    ***














 台所でお茶を入れたヒナギクは、再び元の部屋へと歩いていた。


 「臭かったぁ……。台所から、何かカメムシみたいな匂いがしたわ……」


 ヒナギクが一歩歩くたびに、床が音を立てて軋んでいる。


 「……床がギシギシいってるけど、大丈夫なのかしら、この家?」


 そんなヒナギクの視線の先には、お風呂場が見えた。


 「……中はどうなってるのかしら?」


 ヒナギクは興味本位で、風呂場の扉を開けた。




 「……桂……ヒナゲシ……」




 その中では、見知らぬ男性が風呂に浸かっていて、ヒナギクの方を見ながら呟いた。




  バタン!!!!




 ヒナギクは思い切り扉を閉めて、猛スピードで元の部屋へと戻って行った。


 「お姉ちゃん!! お姉ちゃん!? お風呂に変な人が!!」


 「ああ、その人、この家を作った大工さんよ? 大工さんには、アンタの事をもう教えてあるから……」


 「名前間違えられらたわよ、私!? 『ヒナゲシ』って言われたわよ!? 『ヒナゲシ』って!!」


 「……ごめんね〜♪ 私が間違えて教えちゃった♪」


 「何で間違えるの!? 妹の名前を間違えるなんてあり得ないでしょ!?」


 ヒナギクは大声で問い詰めた。


 「うるさいわね……アンタの事をいつも『ヒナ』って呼んでたら、いつの間にか本当の名前が記憶からすっぽ抜けちゃったのよ!!」


 「いやいや!! どう考えてもおかしいわよ!! 『ヒナギク』も『ヒナゲシ』も花の名前だけど、どう考えても『ヒナギク』の方がメジャーでしょ!? 何で『ヒナゲシ』の方を教えるの!?」


 「……じゃあ、後でちゃんと訂正しとくわよ………面倒臭いから、『ヒマワリ』とかそんなんで良いでしょ……」


 「良いわけないでしょ!?」


 面倒臭そうに答える雪路に対して、ヒナギクは言った。


 「ああ、もううるさいわね!! とにかくお茶頂戴!! お茶!!」


 「(……この……さっきから聞いてれば……)」


 雪路の無茶苦茶な言い方に、ヒナギクはだんだん腹が立ってきた。


 「……はい、お茶……」


 ヒナギクは無表情の状態で、お茶の入った湯呑を差し出した。


 「……思いっきりお茶に埃が浮かんでるーーーーっ!!!!」


 お茶を受け取った雪路が叫んだ。

 湯呑に注がれたお茶の中には、そこら辺に落ちていたらしい、少し大きめの埃がプカプカと浮かんでいた。


 「……流石私の妹であり、白皇生徒会長のヒナね………露骨に地味な嫌がらせをしてくるわ……」


 「……じゃあ、私はそろそろ帰るから……」


 ヒナギクはさっさと帰ろうとする。


 「え? もう帰るの? 泊って行きなさいよ? ちゃんと布団もあるのよ? ちょっと変な匂いがするけど……」


 「どうして何もかも変な匂いがするの!? 泊らないわよ!! じゃあね!!」


 ヒナギクは部屋を出た。


 「え〜? 枕投げ楽しみにしてたんだけどね〜……良いじゃない、泊ってってくれたって……」


 「枕投げって……子供じゃないんだから。それに、いくら枕って言っても、当たったら結構痛いし、怪我するかもしれないわよ?」


 「見くびるな!! 枕だろうが石だろうが湯呑だろうが、華麗に避けてやるわ!!」


 「……そう? 分かったわ……じゃあ、遠慮なく……」


 そう言いながらヒナギクは、お茶の入った湯呑を、雪路に向かって思い切り投げた。




  バキッ!!!!




 「うぎゃっ!! あ、熱っ!!」


 湯呑は雪路の顔面に直撃し、しかも中身が全部顔にかかった。


 「……直撃じゃない、お姉ちゃん……避けなさいよ……」


 「ゆ、湯呑はやめなさい……痛い上に、危うくお茶なんかで火傷するという、かなり不名誉な事態に陥るところだったわ……」


 「いや、だって避けるって言ったから……」


 「……やってくれたわね……分かったわよ……何でもありのルールで良いのね? どうなっても知らないから……」


 雪路はそう言いながら、先ほどヒナギクから渡された湯呑(お茶&埃入り)を握った。


 「……もう帰っていいかしら?」


 「帰る前に……喰らいやがれ!! 湯呑ストレートアタック!!」


 雪路は意味不明な技名を叫びながら、ヒナギクに向かって湯呑を投げつけた。




  ガチャン!!!!




 だがヒナギクが湯呑をあっさりと避けたため、湯呑は後ろの壁に当たって砕けた。




  グサッ!!!!




 「うぎゃっ!!!!」


 しかも、割れた湯呑の破片が飛んできて、雪路の額にダイレクトに刺さった。


 「ゆ、湯呑が刺さった?」


 「お、おのれ……許さん……マジで許さん、ヒナ……」


 「いや……今のはどう考えても、お姉ちゃんの自業自得でしょ?」


 「ほざきやがれ!! 私の辞書に、『自業自得』という言葉は無いのよ!! ついでに言うなら、『貯金』と『禁酒』という言葉も無いのよ!!」


 「何よ、その自分勝手な辞書は!? というか、せめて『貯金』の言葉くらいは載せてくれないかしら!?」


 「『自分勝手』という言葉も無いわ!! 喰らいやがれ!!」


 雪路はそう言いながら、、必殺技の態勢に入った。


 「超必殺!! “ドンペリ・ローリング・アタック”!!」


 雪路は丸まった状態で、転がりながらヒナギクに突進してきた。


 「暴れないでよ、こんな狭い部屋で!!」


 ヒナギクは大きな声で叫んだ。


 「はっはっはっはっは!! 酒の力を思い知れーーーーっ!!!!」


 だがヒナギクはあっさりと避けてしまった。


 「あれっ!? 避けられた!?」




  ドゴッ!!!!




 「背中痛っ!!」


 ヒナギクが避けたので、雪路はそのまま後ろの壁に激突した。




  ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!!




 「え? 何? 地震?」


 突然家が揺れ始めたので、ヒナギクは驚いて声を上げた。


 「はっ!! しまった!! 今の必殺技の衝撃で、家が崩れそうになってる!!」


 「ええっ!! 崩れそうなの!?」


 「……実はこの家、急いで適当に作ったから、釘とか木材とかが足りなかったりしてるのよね〜……あはははははは♪」


 「笑ってる場合じゃないでしょ!?」


 「あ〜あ、こんな事なら、ヒナに伝説の超必殺技なんて使うんじゃなかったわ……」


 「そんな事より、お姉ちゃん!! 早く逃げないと!!」


 ヒナギクはそう言いながら、雪路を家から引きずり出した。




  グシャッ!!!!




 二人が家を出た瞬間、家は思い切り崩れた。


 「……あ〜あ……出来てたった一日で潰れるとはね……」


 雪路は、崩れ去った家の前で嘆いている。


 「…………」


 ヒナギクは正直に言って、そんな雪路にかける言葉が見つからなかった。


 「もう!! こんな日は酒よ!! 酒しかないわ!! 朝までとことん飲んでやるわよ!!」


 雪路はそう叫びながら、その場を猛スピードで走り去ってしまった。


 「……仕方ないか……」


 ヒナギクもこの時ばかりは、そう呟きながら見送ることにした。









 【完】






_________________________________________________






以上でこの話は終わりです♪

本当は雪路の誕生日をネタにした話を書きたかったんですが、僕の頭でははそんなアイデアは浮かんできませんでした……こんな時に自分の頭を恨みたくなります……

とりあえず、この場を借りて一言言っておきましょう♪




桂雪路先生、お誕生日おめでとう♪




それでは♪
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Re: 桂雪路の楽しい住宅建築 【一話完結】 ( No.1 )
日時: 2016/05/22 12:57
名前: 比企谷八幡

すごくおもしろかった!
ギターを壊すとことかヒナゲシとかワロッタ
もっと評価されるべき
また書いてください

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