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クラウスインパクト 【一話完結】
日時: 2014/04/18 17:14
名前: 竜神ユウ

我輩は竜神である、名前はユウだ。
ガオォォォオオオオオオ!! ←竜神の咆哮

というわけで竜神ユウです♪
このサイトに小説を投稿するのがかなり久しぶりになってしまいました……。

今日はクラウスの誕生日ということで、クラウス主体の小説を書こうと思いました♪ まあ、誕生日は全く関係ない話なんですが……。
他作品プロットの小説です♪ 元ネタは知ってる人は知ってると思います♪

それでは、本編をどうぞ♪




     ◇◇◇◇◇




 ある日、三千院家の庭――。

 「土など、食してみてはどうだろう?」

 全ては、クラウスのこの一言から始まった。

 「…………」

 その傍にはハヤテがいるのだが、クラウスの言葉を聞いて、何と答えたら良いのか分からずに固まってしまっている。

 「……なっ、何を言い出すんですか、クラウスさん!? 出番が無さ過ぎて、ついに頭がボケてしまわれたんですか!?」

 「ふっ、違うさ、綾崎よ」

 クラウスはかなり落ち着いた様子で、そしてどこか悟ったような表情で、遠くを見つめながらハヤテの問いに答える。

 「東宮家の執事は、驚異的なスパルタで何かある度に竹刀でボコボコにしているという。大河内家の執事は、主に花を撒かせたりパシリさせているという。瀬川家の執事にいたっては、ストーカー行為も辞さない同性愛者だという。私には、そういうインパクトがないと思ってな」

 「は、はぁ……」

 かなり身近な知っている例を挙げられ、その上で悩みを打ち明けられた事で、ハヤテは何と言っていいか分からずつい生返事をしてしまう。

 「……って! いやいや! だからといってこんな所で土をムシャムシャ食べても、誰も気付きませんよ!? 僕一人だけびっくりしますけど! というか引きますよ!? ドン引きですよ!?」

 「う〜む……」

 ハヤテの思い出したようなツッコミに、クラウスは本気で悩んだような姿勢を見せる。

 「それならばやはり……、他の執事のようなインパクトをもって……」

 「いやいや、やめてくださいよ?」

 何やら危ない方向に思考が飛びかけているクラウスを、ハヤテが止めに入る。

 「『他の執事のような』って言いますけど、野々原さんや氷室さんみたいな事をあのナギお嬢様にやったりしたら、クラウスさんは間違いなくクビですからね?」

 たしかにインパクトはあるだろうが、あのわがままで怒りっぽい主にそんな行動を取れば、クビ&追放という未来が透けて見える。

 「それに、最後の変態みたいになるのは絶対にやめてください。僕も、一応上司のクラウスさんを殴るのは気が引けるので」

 ハヤテにしてみれば、身近にあのような人間が一人いるだけでも鬱陶しいのに、それが二人に増えるなど冗談ではなかった。

 「……そうか」

 ハヤテの言葉に、クラウスは落ち込んで肩を落とす。心なしか目から涙が一筋流れたように見えた。

 「ぬおおおおおおおおっ!!」

 しかし、突然何かにとり付かれたかのように叫び声を上げた。

 「――!? く、クラウスさん!? どうしたんですか、いきなり!?」

 「私は……、私は何故こうも地味なんだ!? 原作第一巻やゴールデンウィーク編直後では活躍したというのに!!」

 クラウスは気が狂ったように叫び続ける、

 「おのれーっ!! こうなればやはり土だ!! 土を食うしかない!! 赤土を持ってこい!! 全て食い尽くしてくれるわ!!」

 「そんな無茶な! とにかく落ち着いてくださいって!」

 口調まで変わってしまい、おまけに暴れ出すほどに気が狂った様子を見せるクラウスを、ハヤテは必死に宥めるのであった。




     ◆◆◆◆◆




 そして、ハヤテは何とかクラウスを落ち着かせ、二人は屋敷の中にある和室っぽい場所で、お互い向かい合って正座していた。

 「良いですか、クラウスさん? 自分にできる事をしましょうよ。クラウスさんは三千院家の執事長でしょ? インパクトの有無はともかく、重要な役目だって任されてるじゃないですか? マリアさんの話では、近々他家に交渉に行く事にもなってるはずでしょう?」

 「おおっ、そうだな」

 ハヤテの言葉で、クラウスの顔には徐々に光が戻ってきていた。

 「……まさかとは思いますけど、忘れてませんでしたよね?」

 そんなクラウスの様子に、ハヤテは疑いの目を向けた。

 「わ、忘れてなどおらぬわ! きちんと頭にはあった!」

 ハヤテにそんな目を向けられて、クラウスは慌てた様子で、とてつもない早口で喋っている。

 「三千院家執事長である私が任された、他家に契約の為のこうし――ダッカルビ!!」

 「ダッカルビ!?」

 とてつもない早口で喋っていたため、クラウスは舌を噛んでしまったらしく、喋ってる途中で痛そうな表情をしながら意味不明な単語が飛び出した。

 「うぅ……、舌を噛んだ……」

 クラウスは口元から血を流しながら、痛そうな表情をしながらも話を進める。

 「とにかく、きちんと考えてはある。そのときに向けて、いろいろと作戦を練っているのだ。もうノートにびっしりと書き込まれているのだぞ、作戦は」

 クラウスがどこにでも売っているようなノートを取り出した。
 普通なら手帳などを使うのでは、とハヤテは思ったのだがその場では口に出さなかった。

 「本当ですか? ちょっと見せてくださいよ」

 「こんな感じだ」

 ハヤテが頼むと、クラウスはノートのページを開いてハヤテに見せるように向けた。

 ハヤテはそのページには、文字がびっしりと埋め尽くすように書かれてあると思っていたのだが、そこに描かれていたのは絵だった。
 絵の内容は、見た感じは少しクラウスに似た、とてつもなく恐ろしい顔だった。

 「――!? び、びっくりした……! な、何ですか、その顔は?」

 それを見たハヤテは驚いた表情で、クラウスにその絵の意味を尋ねた。

 「契約を断られた時の顔だ」

 「そんな顔をするんですか!? もっと毅然とした態度でいましょうよ!?」

 「ふむ、だがインパクトがあるだろう?」

 クラウスはハヤテの言葉など全く意にも介さず、さも当然のように言った。

 「貴様のもあるのだぞ?」

 クラウスが他のページを開くと、そこにも絵が描かれていた。
 そこに描かれていたのは、少しハヤテに似た顔をした人物が、口から大量の血を流している物だった。

 「いっぱい口から血が出ているーーっ!?」

 自分に似た顔が恐ろしい状態で出てきたので、ハヤテは気味の悪い表情で思わず叫んでしまう。

 「そんなのではなくてですね!? もっとこう……、交渉を成功させるような作戦はないんですか!? というかそもそも、作戦なのに絵で描かれてる時点でおかしいですよ!?」

 「綾崎よ、見よ!」

 「へ?」

 ハヤテがどうしたのかと不思議がっていると、クラウスは目の前で何やら始めた。
 そして、先程の自分似の顔が描かれたページと、今開いているハヤテ似の顔が描かれたページを、上手い具合に半分ずつくっ付けて、一つの顔を作り出した。

 「どうだ!? 合体したであろう!? 気持ち悪い事この上なし!!」

 「それがどうしたというんですか!?」

 クラウスは堂々と言って見せるが、ハヤテにはその行動の意味が全くといっていいほど理解できなかった。

 「まあ、安心したまえ。私とてきちんと交渉を成立させるつもりだ。例えばこれが、契約成立までもう一息という時の――」

 クラウスは話しながらもページをめくり、そして目当てのページを開いてハヤテに見せる。

 「貴様の頑張りだ!!」

 そこには、先程のハヤテ似の男と同じ顔をした人間が、土下座しながらも足が宙に浮いた状態が描かれていた。

 「何を頑張ってるんですか、僕は!? 何で僕が頑張ってるんですか!?」

 「そしてこれが、契約成立した時の貴様の――」

 ハヤテのツッコミを聞きながらもクラウスは新たにページをめくり、別のページに描かれた絵をハヤテに見せる。

 「満面の笑みだ!!」

 そこにはまたしてもハヤテ似の男の顔が描かれていた。微妙に笑顔になっているように見えるが、先程見たのと同じように口元から血が流れているため、恐怖しか感じない。

 「怖っ!! また血がダラダラと流れてるじゃないですか!? 顔がかなり怖いですよ!?」

 自分の顔をこんな風に描かれ、ハヤテは叫ばずにはいられなかった。

 「何で交渉中にこんなに口から血が流れるんですか!?」

 「歯を引っこ抜けばこのくらいは出るであろう?」

 「何で交渉中に僕が歯を抜くんですか!?」

 ハヤテは忙しそうにツッコミを入れていくのだが、クラウスは全く動じず、涼しい顔で傍に置かれた粗茶を口に含んだ。

 「とにかくこの作戦ノートを携えて、今から出発する事とする」

 「携えないでください、後生ですから」

 クラウスは作戦ノートを大事そうに抱えるが、ハヤテは本気で頼んだ。

 「それに、今から出発なんて急ですよ? 車の用意とか向こうにアポ取ったりとか、いろいろ準備が必要ですし――」

 「馬鹿者が!!」

 「へ?」

 いきなりクラウスが怒鳴り声を上げたので、ハヤテは目を白黒させて間抜けな声を上げる。

 「車などで行ってはインパクトが無さ過ぎるであろう!?」

 「は、はぁ……。じゃあ、何に乗って行くんですか?」

 ハヤテは聞くが、心の中でとてつもなく嫌な予感を感じ取っていた。

 「こんな感じの乗り物だ」

 クラウスは作戦ノートを再び開き、ページをめくってハヤテにそこに描かれている物を見せた。

 そこには、かなり怪しげな乗り物が描かれていた。
 とてつもなく巨大な乗り物で、運転席は乗り物の上部にあるらしく、屋根のない部分にクラウス似の人間が描かれていた。何やらパイプのような物が突き出しており、そこから煙を吐き出している。その他にもいろいろ特徴があるが、間違いなく不気味で、お洒落には程遠い。

 「嫌だーーっ!!」

 ハヤテはその乗り物の絵を見た瞬間、それ以上に嫌な光景を見て叫び声を上げる。

 「怖過ぎますよ!! 僕が下の方に組み込まれてるじゃないですか!!」

 ハヤテの見た嫌な光景とはこれだ。
 乗り物の正面、その下の方の部分に、ハヤテ似の男が頭部だけを突き出した状態で描かれていたのだ。

 「ふむ、旧約聖書の『アダムとイヴ』にちなんで、『巨泉』と名付けたのだ」

 「ちなめてないですよ!?」

 「ちなみ損ねたのだ」

 全く意味の分からないネーミングセンスである。

 「貴様の席は、上下に動くようになっているのだ」

 「何で上下に動くんです!? 僕はスイッチですか!?」

 この場所が席だった事にも驚いたが、それ以上に意味の分からない機能に、ハヤテは叫ぶようにツッコミを入れる。

 「いや、スイッチなどは全て上の私の席についているのだ。自爆スイッチとか……」

 「何で自爆スイッチがあるんですか!?」

 この世で一番危ないスイッチである。

 「捕縛スイッチとか……」

 「何を捕縛するんですか!?」

 ハヤテはこれに関して、必要性も作った意味も全くといっていいほど理解できなかった。

 「間違ってもその変な乗り物作らないでくださいよ?」

 ハヤテはその言葉を口にするのと同時に、何気なしに窓の外をチラッと見た。

 そこには、ノートに描かれていたのと全く同じ乗り物が、寸分違わない形で置かれていた。

 「もうできてたーーっ!? しかも庭に置いてあるーーっ!?」

 「ふっ、さっそく見つけたか、食いしん坊め」

 「棚のお菓子を見つけた、みたいに言わないでくださいよ!!」

 クラウスは自分の考案した乗り物を見つけられ、嬉しいのか目と表情を輝かせているが、ハヤテはひたすらツッコミを入れていた。

 「しかし、あれは雨に濡れると何やら変な匂いがするのだ」

 「犬か何かですか!?」

 「特に貴様が乗るところなどキツイぞ!!」

 「乗りませんよ!!」

 クラウスがさも当然のように言うが、ハヤテは全力で拒否した。

 「分かりやすく言うと、牛乳まみれの犬を拭いた雑巾のような匂いがするのだ。まあ、気にせず乗れ」

 「気にしますよ!! って、乗りませんからね!?」

 クラウスはハヤテの言葉など聞かなかったかのように話を進めるが、やはりハヤテは全力で拒否した。




     ◆◆◆◆◆




 「はっはっは!! 進むのだ!! どこまでも!!」

 三千院家から出発したその乗り物の上部で、クラウスは非常に高いテンションで、高らかに声を上げている。

 「うぇぇぇえええええええ……」

 その一方、ハヤテは乗り物の正面下部で、頭部だけが突き出した状態で、乗り物が進むたびに上下に動いていた。

 「ほんの二十メートルで……、もう酔ってきた……」

 その表情はかなり青白くなっており、今にも何かを吐き出しそうなほどに気持ち悪そうな状態だ。

 「仕方ないであろう? 貴様の席はタイヤに連動しているのだから」

 クラウスは上部の席からハヤテに声をかけるが、そこにはあまり心配している様子は見られなかった。

 「それより見よ、綾崎。これだけ大勢の人々から注目を浴びているぞ!!」

 たしかにクラウスの言う通り、多くの人々が二人の乗っている(?)乗り物に視線を向けている。もっともそれには興味だけではなく、不気味な乗り物に対する視線も含まれている。
 それに対してクラウスは満足そうな表情をしている。

 「僕はどちらかというと……、あまり人に見られたくありません……」

 相変わらず上下に動きながら、ハヤテは何とか口元の吐き気を抑えながら言葉を返した。

 『私は三千院家執事長のクラウス!! 倉臼征四郎である!! 以後、私の名前を覚えておきたまえ!!』

 すると何を思ったのか、クラウスはいきなりドラメガを取り出し、周囲の人々に対して高らかに宣伝を始めた。

 「意味の分からない宣伝やめて……、機械止めてくださいよ……」

 ハヤテもそろそろ限界が近いのか、ドラメガで宣伝しているクラウスに必死に懇願した。

 「君は執事であろう? それもナギお嬢様の執事なのだから、振り回されるのには慣れているであろう?」

 「いくら振り回される事に慣れてても……、こんな上下に振り回されてたら気持ち悪くなるに決まってるでしょう!?」

 ハヤテは叫びながら、頭部しか出ていなかった部分から何とか両腕を出した。そして、その両腕を何とか左右に引っかけて、上下への動きを停止させた。

 すると、それと同時に乗り物も音を立てながら停止した。

 「――!? 何をするのだ、綾崎!? 止まってはならん!! タイヤも止まるのだぞ!?」

 タイヤと連動して動いていたハヤテが止まり、それが原因で乗り物が止まってしまった事に対して、クラウスは慌てて言った。

 「ほら、私のハンカチで汗を拭きたまえ。そしてその手を離したまえ!!」

 クラウスは、紐に自分のハンカチを付けてハヤテの方に垂らした。

 「い、嫌ですよ……。手を離したらまた……、上下に動いて気持ち悪く……」

 ハヤテは左右に両手を引っかけたまま、上下に動かないように必死に耐えている。

 そしてしばらくすると、クラウスが紐で垂らしていたハンカチの角の部分が、ハヤテの右目に刺さってしまった。

 「――!? う、うわっ!! は、ハンカチの角が目に……」

 ハヤテは痛みで表情を変えるが、それでも何とか左右に引っかけた両手は離さなかった。

 「う……、うぅ……、この……!!」

 痛みで呻き声を上げながらも、ハヤテは首を振って何とかハンカチを吹き飛ばした。

 それと同時に風が吹き、その風で舞い上げられたハンカチはクラウスの顔を覆い隠してしまった。

 「もがっ……!! こ、これでは前が見えん!! 前が……!!」

 クラウスは慌ててしまい、ハンカチを取り除こうとして両腕を振ってしまう。

 そして、誤って自爆スイッチを押してしまった。

 その瞬間、乗り物が大きな音を立てて大爆発してしまった。

 「けほっ、けほっ……。クラウスさん? 大丈夫ですか?」

 爆発による大量の煙が晴れると、乗り物の部品による瓦礫に埋もれていたハヤテが姿を見せ、クラウスに声をかけた。

 「ふむ……、これだけのインパクトがあれば……」

 「ええっ!? まだそんな事を考えてたんですか!?」

 自爆によって乗り物が大破してしまい、自身もボロボロの状態になりながらそんな事を言うクラウスに対して、ハヤテは呆れるよりも驚いて叫んでしまった。

 果たして、クラウスのインパクトはどうなるのか!?




 「ちなみにクラウスさんはこの後、爆発による被害の弁償をお給料から引かれ、お嬢様に一ヶ月の謹慎を命じられ、マリアさんからは散々にお説教を受けました♪ おぇぇええええ……、思い出しただけで吐き気が……」




 【完】




     ◇◇◇◇◇




というわけで元ネタは、「ギャグマンガ日和・ハリスインパクト」でした♪
それでは最後に、クラウスさんにこの言葉を送りたいと思います♪

クラウスさん、誕生日おめでとうございます♪
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