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ヒナモブ【ヒナギク編終了】現在モブ子編
日時: 2014/03/06 23:38
名前: 絶影
参照: http://soukensi.net/perch/hayate/subnovel/read.cgi?no=49

お久しぶり……てか覚えている人がいるのでしょうか?
絶影なのであります。
暫く諸事情によりこの小説掲示板もといハヤテのごとく!すら離れていた私ですが、
この度復活しようかと思い、参上した次第であります。
依然として忙しくもあり、感想を書きにいけるか分からぬ身ではありますが、
またよろしくして頂ければなーと甘い考えを持ったり……。

それに随分離れていたので文章がですね……(汗
キャラの言動も少しおかしなところがあるかと思いますが、そこは何卒…なにとーぞご容赦を(笑

『漆黒の原野』の方は一旦更新を停止し、こちらを更新します。
とはいっても今回のは一話完結にしようとしてたくらいなので
長くても十話程度を予定してます。
すぐに戻れ……るかな?

ではでは!今回は小説漫画問わず定番といわれるネタ
『入れ替わり』に挑戦です。

――『入れ替わり』って?

入れ替わりとは、両想いであったり片想いであったりする男女が、
体のどこか(主に頭)をぶつけたり、はたまたある朝起きたら突然!
というように、お互いの体が入れ替わってしまうという話のことで、

「風呂はどうすれば……」

「絶対見ないでよね!///」

「でもそれじゃ洗えませんよ?」

「あーもう!私が洗うから目隠ししててっ!///」

というように必然的に距離が近くなりお互いがお互いを意識するようになり……(省略

ということです。
あ、どうもハヤテ君にヒナギクさん、説明ありがとうございました。


さて、今回入れ替わることになるのは一体誰なのでしょうか……。

3月19日追記)タイトル『ヒナギクさんがモブになってしまったようです。』を短くして『ヒナモブ』に変更いたしました。

全ての話が終わったら元に戻します。 

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 ヒナギク編:第一話 遠き山に日は落ちて 会長も階段から落ちます


"私"はその日、校舎の三階にある資料室から生徒会の資料を時計塔に運んでいた。

資料の数はとても多く、普通の女の子ならとても持ち運ぶことなど出来ないが、
仮にも私は生徒会長。
普段の筋トレによってこの程度は何でもない。

だが、ダンボールを三つ重ねて持っていたため足元が見えづらい。
そのため足で探りながらえっちらおっちらと階段を降りていた。

「まったくあの子達は……」

はぁ、と口から息が漏れ出す。
本当であれば資料を運ぶのは私だけではなかった。
瀬川泉、花菱美希、朝風理沙の三人が手伝ってくれるはずだったのだ。
だが、手伝う直前になって、

泉は「ヒ、ヒナちゃんごめん。お昼に食べたアイスのせいかお腹の調子が……」と、
頭を抱えながら脱兎のように逃走。
泉、信じて欲しいならせめてお腹を抱えなさい。

理沙は「ヒナすまん。自宅が火事でボーボーなんだって!」と、
スキップしながら逃走。

というかあなた達、人を信じさせようとする気ないでしょ。

最後に残った美希に目を向けると……。

「ヒナ、お前は馬鹿なのか!?お前はともかくとして、
 か弱い女の子である私がそんな大荷物持てるはずが無いだろう!」と、
何故か逆ギレ。何故私が馬鹿呼ばわりされなきゃいけないのかしら?
というか私もか弱い女の子なのだけど。
ということで美希は今私の後ろで絶賛応援中。

「フレッフレッ、ヒーナ♪ワァー」

ちょっと!恥ずかしいからやめなさい。
全く。こんな時に助けてくれる人は……。

「あ、ヒナギクさん。お疲れ様です」

やはり頼りになるハヤテ君。さすが私の好きな人。
まるでタイミングを計ってるような登場だが、私には唯々嬉しかった。

「大変そうですね〜。頑張ってくださいね!」

そう言って階段を駆け下りていくハヤテ君。
……え?ちょっと待ってよ!

「ハヤテく……きゃっ!」

追いかけようとしてうっかり足を踏み外してしまい、前に倒れこんでしまう。
妙にスローモーションに目の前が映り……。
ハヤテ君が咄嗟に私の前に出て支えてくれたのだが、資料の重さもあり
支えきれず一緒に倒れこんでしまう。
思わず目を閉じてしまった私の頭にガツンッと鈍い衝撃が走る――。







「痛た……」

重い。痛みの次に思ったのはそれだった。
目を開いた私の"上"にはハヤテ君がいて。
え?何でハヤテ君が上にいるの!?
驚きに目を見開き、さらに上に乗っている人物に気がつく。
それは……"私"だった。


え、何これ怖い。私幽体離脱でもしたの?
いや、それなら重さを感じるのはおかしい。
上に乗っている二人の重さで動けず、どうしたものかと思考を巡らせていると。
目の前の"私"が目を開けた。

「ご、ごめんなさい。えっと、綾崎さんに……私?」

目の前の"私"が私を見て卒倒せんばかりにうろたえるのがわかる。
というか早く退いて欲しいんだけど……。

「ご無事ですかヒナギクさん?と、ああ!すみません"モブ子"さん!」

ハヤテ君が目の前の"私"にヒナギクと呼び。私に向かって"モブ子"と言った。
えーっとつまり……。私はモブ子さん……。
白皇学院2年C組の只野モブ子さんになっちゃったってコト!?

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オリキャラっていうか、モブ子さんはモブAみたいな感じの人ですね(汗







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Re: ヒナギクさんがモブになってしまったようです。 ( No.1 )
日時: 2014/03/07 02:12
名前: サタン

うおおおおおおおお!
いきなり叫んでしまってすみません。
お久しぶりに絶影さんの名前を拝見して、しかも復活するとのことで大変興奮しておりますw
というわけで、お久しぶりのサタンです。
私を少しでも覚えていてくれたら嬉しいです。
さて前置きはここまでにして感想を。

相変わらず絶影さんの書き方上手いですね。
生徒会三人娘はバレバレの言い訳で仕事から逃げましたね。
原作でもありそうな行動で思わず笑ってしまいましたよw
そしてナイスタイミングでの天然ジゴロの登場。
しかし、通り過ぎるハヤテ。
さすが鈍感ハヤテですねw
ヒナギクと入れ替わった少女の名前は本当にモブキャラらしい名前ですね〜
只野モブ子→ただのモブ子ww

やっぱり絶影さんの作品は所々にハヤテらしさを感じられて面白いです!
次回の更新を気長に待ってます。
無理しない程度に更新を頑張って下さい。
では乱文失礼しました。
この作者は、誤字脱字の連絡を歓迎しています。連絡は→[チェック]/修正は→[メンテ]
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Re: ヒナギクさんがモブになってしまったようです。 ( No.2 )
日時: 2014/03/08 22:45
名前: 絶影
参照: http://soukensi.net/perch/hayate/subnovel/read.cgi?no=49


レス返しのやり方忘れちまったぜぃ……


>>サタンさん

サタンさん感想ありがとうございます。
私の復活を喜んでいただけて光栄至極にございます。
サタンさんのことはもちろん!もちろん覚えています!
それに「大切なヒト」のほうもちゃんと読ませていただきました。
私などが言うのもおこがましいですが、名作でしたっ!
詳しい感想は後日にします。申し訳ない…。

小説の書き方は変えました。
以前は一人の視点からの三人称系?を主にやっていたのですが、
今回は完全に一人称系です。
私が小説の師匠とする方を変えたせいなのですが、お気に召しましたでしょうか?(笑

ハヤテが荷物を運んでいるヒナギクを手伝わなかったのは
訳有りであったりなかったり…
もしかしたら理由説明があるかもしれませんね(笑

モブ子さんの名前の由来は…ご想像の通りです(笑

ほう…ハヤテらしさを感じられる、とな。
ハヤテSSの作者にとってこれ以上の褒め言葉はありませんっ(泣

今回の話はそれほど長くお待ちいただかないようにさせるつもりですっ

サタンさん、感想ありがとうございました!
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Re: ヒナギクさんがモブになってしまったようです。 ( No.3 )
日時: 2014/03/08 22:51
名前: 絶影
参照: http://soukensi.net/perch/hayate/subnovel/read.cgi?no=49

どうも絶影なのです。

本日は第二話を更新、する前に!
皆様にお伝えする事があります。

人、というのは思いこみによって感情が左右されるところがあります。
例えば、好きな芸人の漫才を聞くとき、
本来笑うところなのか微妙な細かいところでも笑ってしまったりしませんか?


そ・こ・で!皆様にお願いがありますっ!
今回の話、面白いと思いながら読んで欲しいのです!
さすれば通常の三倍、いや無限大!に面白く読んでいただだだ!……痛てーよ!
何するんだハヤテ君!

「さらっと読者様を洗脳するような真似は慎んでくださいね」

……はい。ほんと、すみませんでした……。


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 ヒナギク編:第二話 漫才劇場 会長とモブ


とりあえず状況を整理しよう。
私がハヤテ君と共に倒れたあの時、おそらく階段の下にいたモブ子さんの頭と
私の頭が激突。それで入れ替わっちゃったってことよね。
元に戻るためにはもう一度頭をぶつけ合えばいいのかしら?

まずはともかく目の前にいる"私"(中はおそらくモブ子さん)に状況を説明しないと。
そう考え、顔を上げた。
ところが目の前の"私"はそこまで考えが回らなかったようで。
酷くうろたえているのがはっきりとわかる。

「わ、わ、わ……私がかつらうひゃぁ!」

余計なことを言いそうだったので、私は"私"の首根っこを掴み持ち上げた。
そして心配して声をかけてくるハヤテ君に
「また明日ね!」と言い残し、そのまま走り去った。




「はぁ、はぁ、はぁ……」

意識は私でも体はモブ子さんであるためなのか、疲れが早い。
ともあれ、"私"を連れ出した私は、自分の考察が正しいか確かめるために声をかける。

「あなたは只野モブ子さん、でいいのよね?」

私の言葉に首を小刻みに縦に振る"私"。
私の顔でその怯えた栗鼠ような顔はやめてもらえないかしら。

「わ、わ、わ、わ……」

「ちょっと落ち着いて!?」

今にも発狂しそうな"私"に危機感を覚えた私は
彼女の頬を両手で挟みこみ、目をしっかりと見つめる。
すると彼女の眼の動きが段々と落ち着いてくるのを感じ、ほっと安堵のため息をつく。

「お、落ち着きました。これは夢ですね。お休みな――」

「だから落ち着いてー!夢で寝てどうするの!?」

「起きますっ」

そのドヤ顔やめてっ!?私の顔だから!


夢だと言い張る"私"と現実を見なさいという私の何度かの押し問答の末、
ようやく彼女に状況を説明することに成功する。
うんうん、と唸りながら理解したのか、顔を上げる"私"。

「それじゃ――」

「全くわかりませんっ!」

これにはさすがの私も唖然としてしまった。
もう一度、懇々と説明する私。
なんだか、この子の相手をしているとさっきの荷物を運ぶことよりも疲れる、と
思ったことは秘密にしておこう。

ようやく理解できたようで、元気良く、はいっと手を上げる"私"。
うん、とても元気で宜しい。あんまり私らしくはないけど。

「はい、どうぞ」

「もう一回頭をぶつけ合えばいいんじゃないかと思いましたっ!」

「確かに私もそう考えていたのだけれど……大丈夫?」

「大丈夫ですっ!私、頭には自信があるんですよっ!」

思わず言葉に詰まる。
この頭に自信があるっていうのは――今までの経歴から見て――
頭の良さっていう点ではないわよね?頭が硬いってことなのかしら?

「じゃ、じゃあ行くわよ!」

「はいっ!」

ガッツーン!と辺りに響きそうな音がし、凄まじい痛みが私の頭を襲う。
だけども入れ替わったような感覚は全くない。
失敗に終わったのだと、痛む頭を抑え、目の前を見ると――。

「あれれ?失敗ですね〜」

と、軽く涙目になっている私に対し、平然としている"私"がいた。
さらに彼女は、「もう一度やります?」と、
顔色一つ変えずに聞いてくる。

「ちょっと待って!何であなたそんなに平気なの!?」

たまらず聞いた私に、"私"ははっと息を呑んで黙り込んだ。
何だろう?何か聞いてはいけないことでも聞いてしまったのだろうか。
1分、2分、と時間が経過していき、段々不安になる。
理由はわからないけど謝ろう、と口を開きかけたその時。

「わかっちゃいましたっ!」

突然声を上げた彼女に私はビクリと体を震わせてしまった。
わかった?何がわかったっていうのよ。
疑問符が頭の上をキャッキャッと飛び回るのを感じながら彼女の返答を待つ。

「この体が桂さんのものだからですっ!」

まるで、これがこの世の真理だ、と言わんばかりの彼女を見て、
私は戦慄を感じずにいられなかった。
というか……彼女が何を言いたいのかわからなかった。
私は一先ず深呼吸し、精神を落ち着ける。
落ち着いたところでぽつぽつと直前の会話を思い出していった。

そういえば私「何であなたそんなに平気なの!?」って聞いたわよね?
その答えとして、この体が"私"のものだから、ということは……。

つまり……遠回しに、私が石頭だって言いたいの!?
というかあなた、自分の頭に自信あるって言ってなかった!?
なんで私の方は痛いのよ!!

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おかしい…。モブ子さんってお淑やかで控えめな性格だったはずなのに。
どうしてこうなった……。

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Re: ヒナギクさんがモブになってしまったようです。 ( No.4 )
日時: 2014/03/10 22:14
名前: 絶影
参照: http://soukensi.net/perch/hayate/subnovel/read.cgi?no=49

どうも絶影なのです。

いつわり○と空の飯○先生が漫画などの定番ネタは
入れ替え、幼児化、記憶喪失の三つだ、と仰っていました。

今回は入れ替えネタでしたので、いずれ幼児化や記憶喪失にも挑戦してみたいものです。

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 ヒナギク編:第三話 ドラ○もんはいずこ モブ一家の謎

とにかく。頭をぶつけても元に戻らない以上、別の方法を模索するしかないわね。

「こういうことに詳しそうな専門家に聞いてみることにするわ」

「専門家ですかー?」

そう。鷺ノ宮さんなら何とかできるかもしれない。
以前にハヤテ君から憑依がどうのこうのって話を聞いたことがあるし、
鷺ノ宮さんならもしかしたら。そんな私の淡い期待は――。

「すみません桂様に只野様。お嬢さまはその……ちょうちょを追いかけてどこかへ。
 とりあえず今日本にはいないみたいです」

鷺ノ宮さんに会うことさえできずに打ち砕かれることになる。
蝶を追いかけるのになんで日本の外まで行ってるのよ……。

あと、この状況を何とかできそうなのは牧村先生くらいかしら。
だけど、牧村先生は本当に最後、どうしようもなくなった時の最終手段にしたいわね。
だってあの人に任せると他の定番ネタ「幼児化」とか「記憶喪失」とかになりそうだし。
入れ替えに加えて幼児化、記憶喪失なんて本当にカオスだわ。

「仕方ないわ。暫くあなたが桂ヒナギク、私が只野モブ子を演じるしかないわね」

「えぇー!?そ、そんなの無理ですよぉ。私なんかが桂さんを演じるなんて……」

「大丈夫。私も出来る限りフォローするし、生徒会の仕事だって手伝うから」

「でもでも……」

「そうするしかないでしょう?他に何か良い案があるっていうなら聞くわよ」

「……はぁい」

その後、周囲に変に思われないようにするため、友人の呼び名や家族のことについてなど、
お互いの情報を交換し合った。

あ、そういえばモブ子さんにアリスのことを伝えるの忘れちゃったけど、大丈夫かしら?
アリスまだ小さいけど、結構鋭いところあるから、少し心配だわ……。



「ただいま、お母さん」

「あらおかえりモブ子。少し遅かったけど何かあったの?」

この人がモブ子さんのお母さんか。
モブ子さんの方はその、少し……アレな感じだったけど、お母さんは普通の人みたいね。

「ちょっと生徒会の人に用事を頼まれてしまったのよ」

ある意味本当のことだし、これで大丈夫よね?
ところがお母さんは顔を驚愕の表情に変えた。

「ええー!あんた生徒会の仕事なんて死んでも手伝わない。
 あんな人をやめた人と一緒に働きたくないっとか言ってたのに……」

モブ子さぁーん!!あなた家で何言ってるのよ!
てか人をやめた人って誰のことよ!

「仕方ないじゃない……無理やりだったのよ」

私は笑みを浮かべてそう言うと、お母さんが気の毒そうな顔でこちらを見る。
少し顔が引き攣っていたのかもしれない。
お母さんは近寄って来ると、私の心の奥の感情を覗き込むかのごとく見てくる。
そして、うんうんと頷くと、私の肩をぽんぽんと叩き、慈愛に満ちた目で見つめてくる。
その愛情を感じる眼差しに心が暖かくなるのを感じた――のだが。

次の瞬間、人が変わった。
目を怒らせ、ギリギリと凄まじい握力で握られているとわかる拳を私に見せ付け。

「あの赤毛のまな板娘に無理やり手伝わされたのねっ!
 一度見ただけだけど、あんな小娘に白皇学院の生徒会長は務まるとは思えないわっ!
 お母さん、文句言ってみるわね!」

お願いしますからやめてください。
私のどの部分を見てまな板だと思ったの、とか
色々聞きたいことがありますけど、凄く……凄く恐いです。
というか今のあなたの娘さんはその生徒会長です。

恐怖にガクガク震える足を無理やり動かして、
なおも言い募ろうとするお母さんから逃げるように階段を駆け上がり。
モブ子(はぁと)と書かれた表札のある部屋に飛び込んだ。

前言撤回よ……。なにあの人、全然普通じゃないっ!


その後、モブ子さんのお父さんも帰ってきて、夕飯、お風呂を済ませ、
勉強もして――モブ子さんの教科書ほとんど綺麗なままなのよね。普段勉強とかしてるのかしら?
何事も無く、寝ることができた。

そして、朝起きると、全てが何もなかったようになっていた。














ということはなく。
はぁ、とため息をつき、頭<かぶり>を振る。
すると何故か違和感があった。
何だろう、と気にはなったが、それは一先ず置いておき、
顔を洗うために洗面所に向かうことにする。

洗面所に着き、何気なく鏡を見ると――。

「何よこれぇええええ!!!?」

思わず叫んでしまった。というのも、鏡で見た私の頭が、
まるで夜寝ている間に竜巻に襲われたのかとでもいうように
くしゃくしゃ――いやぐちゃぐちゃになっていたのだ。
端的に言えば、ナギが言ってたすーぱーさいやじーんみたいな感じかしら。

「どしたのモブ子!?」

私の叫び声を聞いたモブ子さんのお母さんが物凄い剣幕で駆け込んでくる。

「どうしたもこうしたもこの頭何なの――ってええええ!!?」

またしても叫び声を上げてしまう。
何故なら、お母さんも私の頭と同じような状態になっていたから。

「お前達、なんだこんな朝早くから……」

さらに出てきたお父さんを見て、私はへなへなと座り込んでしまった。
お父さんもまた、超人化していたのであった……。
なんなのよこの家族……!皆で、かめ○め波でも撃とうっていうの!?



「はっはっは、遺伝だからしょうがないよ、なぁ?」

お父さんの言葉に、お母さんは笑みを浮かべて頷いている。
おかしいわね。私の記憶では親から子に伝わるのが遺伝であって、
本来なら赤の他人であるはずのお父さんと
お母さんが同じ性質(すーぱーさいやじーん化)がある可能性は極めて低いはず。
……ま、今更気にしても仕方ないわよね。

「それじゃ父さん、会社に行ってくるから」

いやいや待ってよ!その頭で会社行くの!?
思わずお父さんの腕を掴んだ私に
お父さんは「おっとっと」と言いながらこちらに振り向く。

「なんだモブ子は?お父さんがいなくなって寂しいのかい?」
と言って、私を抱きしめてきた。

ふと、前にもこんなことがあったなと思ってしまった。
たしか8、いやもう9年近く前か。私の誕生日の前の日、
いなくなってしまった前の日に本当のお父さんがこうしてくれたっけ。
思わず感傷的になりそうになるが、その気持ちは押さえ、本来の目的――頭への指摘――をしようとしたら。

……あれ?さっきまですーぱーさいやじーん状態だった頭が、
何故か綺麗な七三に分かれていた。
私が抱きしめられていた数秒の間に何があったのよ!?
嗚呼……もうダメ、私の常識は限界よ……。

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作中でモブ子のお母さんがヒナギクさんのことを悪く言っていますが、
別に普段からそう思っているわけではないです(汗
ただ、親バカが過ぎるところがあり、モブ子が酷い目にあったと思ったことによって
あんな言動に至ったわけです。
おそらく初見でヒナギクを見たときには、「あの子随分とぺったんこね、可哀想!」
程度にしか思っていまうぼぉあああ!!な、何をするんですかヒナギクさん・・・ぐふorz

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Re: ヒナギクさんがモブになってしまったようです。 ( No.5 )
日時: 2014/03/14 22:32
名前: 絶影
参照: http://soukensi.net/perch/hayate/subnovel/read.cgi?no=49

どうも絶影なのです。

高校はそれほど酷くなかったのですが、小学校、中学校と授業をサボったり、
先生に喧嘩売ってたりする系統の人たちがいました。

小学校の頃から煙草を吸っている人もいるらしく・・・。
日本はこれからどうなってしまうのでしょうか?
ま、私如きには特に何も出来ないのですが・・・
彼らを更正させるような存在が現れないものでしょうか・・・?

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 ヒナギク編:第四話 モブの日常 威圧する会長


学校へと向かう私に二人の女の子が走り寄って来る。
確か、眼鏡をかけ、髪をお下げにしている子が滝川雫<たきがわしずく>さんで、
ポニーテールにしている子が吉田凛<よしだりん>さんだったわね。
モブ子さんが呼んでいたあだ名がたっきーとよしりんだったから……。

「おはよー、たっきーによしりん」と、
滝川さんに向かってたっきーと、吉田さんに向かってよしりんと呼びかけながら挨拶すると、
何故か怪訝な顔をされた。私、何か間違えたのかしら?

「モブ子……。今日は珍しく頭爆発してないからもしかしたら正常!?とか思ったけど……」

「やっぱりモブ子はモブ子だねっ!」

え?何のことかさっぱりわからないんだけど……。
というかモブ子さん、あの頭でいつも学校来てたの!?

私は一応全校生徒の名前と顔を覚えているつもりだ。間違ってはいない……はず。
滝川さんに向かって、「あなた滝川さんよね?」と聞くと、「うん、そーだよ」と返ってくる。
さらに吉田さんに向かい、「あなた吉田さんでしょ?」と聞くと、「そうだよー」と答えてくれた。
うん、私は間違っていない。じゃあ何で?
どうにも、昨日から疑問符が頭の上から離れてくれない気がする。

「ていうかさ。モブ子がつけたんじゃんっ!私滝川なのに、よしりんとか
 呼ばれ続けたせいで皆から吉田って名前だと勘違いされるようになっちゃったし……」

「私も〜。出席で名前呼ばれるとき『滝川、何故返事しないっ!!』
 って先生に怒られちゃったこともあるんだからっ」

「あ、それ私が休んでた時でしょー。見たかったなぁ〜」

そ、それは災難ね……。というかモブ子さん、友達の名前くらい覚えてあげなさいよ……。


それから学校に着き、うっかりいつもの教室に向かおうとしてしまった。
当然のごとく滝川さんや吉田さんに「これだからモブ子は〜」とからかわれてしまった。
うぅ……私は悪くない、はず……。


教室に入ると、クラスメイトの一人が近寄ってきた。

「ねぇねぇ知ってる?桂生徒会長が実は鬘被ってたって話」

「そ、そんな訳ないじゃない!」

その話を聞いた私が、思わず声を荒げてしまったのは決して悪くない。
だって、いきなり自分のそんな根も葉もない噂を聞かされたら誰だって怒るでしょ!?

「ひっ……!ど、どうしたのよいきなり……?」

私の剣幕のためなのか酷く怯えるクラスメイトに、何故そんな話になったのかを聞く。
なんでも、昨日の入れ替わった一件の時、
"私"が言った「私がかつらうひゃぁ!」の部分がどう脚色されたのかわからないが
「私の鬘が!」と聞こえた模様。なんとも酷い話だが、一部自分のせいでもあるわけで……。

「とりあえずわた……じゃなくて桂生徒会長は鬘なんて被ってないと思うわよ?」

と、ちゃんと脅し……ではなく、にっこーりと微笑みかけて言っておいた。
その人、顔が青白くなって、足もガクガク震えてたけど、きっと風邪でも引いてるのよねっ!


そういえばさー、とたっきーこと吉田さんが話しかけてくる。

「今日は特無君のストーカ……じゃなくて観察に行かないのー?」

「へ?」

特無君といえば、2年D組特無モブ男君のことよね。
美希の話では、顔は良くも悪くもなく。頭も良くも悪くもなく。
運動も格別できる方ではないけれど、全く出来ないというわけでもない。
特徴が無いのが特徴、って聞いたけど……。あら、このフレーズどこかで聞いたような?

それよりも今この人ストーカーって言いかけたわよね!?
モブ子さんいつも何してるのよ!?
とは言うものの、私も以前ハヤテ君とマリアさんが偽デートをしているのを
追いかけてしまった経緯があるので、あんまり強いことは言えないのよね……。
やっぱり好きな人のことは気になるもの……。
そういえばあの時は歩と水族館に初めて行ったのよね。楽しかったなぁ〜。

「――と!ちょっとモブ子!?」

いけないいけない。思考が脇に逸れてしまって目の前の相手に対応するのを忘れてたわ。
しっかりしないと、と頭を切り替える。

「えっと、何だったかしら?」

「もぉー。今日はいつも以上に天然なんだから……」

失礼ね。私ほどしっかりした人はなかなかいないわよ?
でも、確かに今のは私らしくなかった。
一応非礼を詫びておくべきだろう。

「ごめんなさい……」

謝った私を見て、吉田さんがぷっと噴き出した。
彼女は、訳もわからず混乱した私に、ごめんごめん、と言いながら。

「いや、だっていつもなら『私は天然じゃないよ、
 人間だよっ?』って言うところなんだもんっ!」

……モブ子さん、私ね。あなたほど天然な人もなかなかいないと思うの。


授業を受け、時間は昼休み。
「今日のモブ子なんかすごいね〜」などと褒めてくる
滝川さんや吉田さんと一緒にお弁当を食べる。
そうかしら?先生の出題してきた問題って比較的簡単な部類に入る問題だったし、
少し考えれば皆解けるはずなんだけど……。

普段モブ子さんとその友人達がどんなことを話しているのか分からない私は、
専ら聞き役に回りながら過ごしていた……のだが。

「おーい、モブ子ぉ〜。アタシ今お腹痛くて動けないから代わりに焼きそばパン買ってきて」

「あ、アタシも〜」

授業中なのに先生の話を聞いていなかった人たち。
俗に言う、不良グループみたいな人たちが私に話しかけてきた。
てか、泉にも言ったけど、お腹痛いって言うなら少しはそういう素振り見せなさいよねっ!

「自分で買ってきたら?」

努めて冷ややかに返答した私に、一瞬呆けたような表情を浮かべた不良グループであったが、
どうやら怒ったらしく、顔を詰め寄せてくる。

「テメェッ!モブの分際でアタシらに逆らおーってのッ!?」

別に声を荒げたって恐くないし。
だいたいモブ子さんのことをモブの分際って言う割には、
あなた達なんて名前すらないじゃない。

怯えも震えもしない私にさらに怒りを募らせた不良グループの一人が、
頬でも張るつもりなのか、手を振り上げた。と、その時。

教室のドアがガラッと開き、「や、やめろよっ!」と声が上がる。
そこに立っていたのは……2年D組特無モブ男君だった。
彼はズカズカと教室の中に入っていき、私と不良グループの間に立った。

「モブ……只野さんを虐めるなッ!」

そう言い放った特無君がチラリとこちらを見る。
男らしいのは宜しいんだけど、前を見たほうが良いんじゃないかしら……?

「はぁ?なにテメェ、マジ邪魔」

「ぎゃふっ」

不良の一人が、振り上げていた手をそのまま振り下ろす。
そして呆気なく吹き飛ぶモブ男君。
彼、何しに来たのかしら……。と思わずにはいられない。

ただ、この騒ぎで誰かが呼んだのだろう、先生が駆けつけてきていた。
状況悪し、と見たのか不良グループは怒気を孕んだ眼でこちらを睨み付けながら逃げていった。

「ありがとう特無君」

結果はどうあれ、彼が私を守ろうとしたのは事実。
お礼を言っておくのが筋というものであろう。

「い、いや只野さんを守るためならこのくらい……」

頬を赤く染め、聞こえるかわからないくらいの小さな声で呟く特無君と
ヒューヒューとからかってくる滝川さんや吉田さんは少し放っておいて、考え込む。

不良グループがこのまま私を放っておくはずが無い。
桂ヒナギクに来るならばいくらでも相手をしてやるが、この体は只野モブ子さんのもの。
今ならば良いが、元に戻った時にモブ子さんに危害が加えられてしまうかもしれない。
それを避けるためには――。

「ごめん、私お手洗い行って来るわね」

後ろから追尾してくる複数の気配を感じながら、私は宣言通り女子トイレに向かう。
他に被害が出ないよう、誰もいないことを確認して中に入る。
三歩進んで、クルッ振り向くと――。
不良グループが私を見て、ニヤリと底意地悪そうな顔で笑っていた。

「待っていたわ、あなた達」

さぁ、『教育』の時間よ。覚悟しなさいっ!!


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本来であれば二日前に投稿する予定でしたが、遅れてしまった事をお詫びいたします。
というものの、後半の不良物の展開に納得がいかなかったためなのです。

最初はモブ子もといヒナギクが不良グループに怒鳴る→不良グループがビビッて改心!
という流れだったのですが、それじゃあんまりにも理由にならんだろ!と思ったので、
このような展開に。
・・・はい、わかってます。完璧に実力不足なのです(泣
ということなので。名も無き不良少女達がどんな目に遭ったのかは
各自のご想像にお任せするという事で(笑

この展開で納得していただけない場合は、そっと教えてください・・・。

次回ヒナギク編最終話ですっ!
引き続きよろしくお願いいたします。


追記)またしてもオリキャラが出てしまっていたのを忘れてましたっ(汗

滝川、吉田の両名は・・・友情出演?みたいな感じです。(今後私の別の小説内で出演するかも?)

まぁ今回はモブ子のただの友達という扱いで納得していただければと思います・・・。






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Re: ヒナギクさんがモブになってしまったようです。 ( No.6 )
日時: 2014/03/18 22:21
名前: 絶影
参照: http://soukensi.net/perch/hayate/subnovel/read.cgi?no=49

どうも絶影なのです。

人間やっぱり、自分の全てを理解してくれる人がいると嬉しいと思うんですよ。
ま、そんな人間がいない私が言ったところでなんの説得にもならないんですけどね・・・。
そんな寂しい現状を忘れるために見かけた猫を愛でる毎日です・・・orz

ネギ「何が言いたいんだお前はー!!って私はネギじゃないっ!
   ナギだぁー!!あと出番よこせぇえ!!」

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 ヒナギク編:最終話 会長、最後の戦い 見破られる正体


授業も終わり、もう放課後。
色々あったものの、正体がバレることもなく済んだと思う。

不良グループについては――彼女らも大変反省して更正することを誓っているので大丈夫だろう。
ちなみに彼女らは今、『今まで迷惑かけていた分、学校に尽くしますっ!』と言って校内を清掃中。
それも雑巾掛けをしている。別にそこまでしなくても良かったのだけど……。
本人達の意思だからしょうがないわよね?ただ――。

『姐御ぉ!ちょっとバケツに足突っ込んじゃった方がいましてねぇ!どうしましょうか!?』

「そうね。濡れたままだと風邪を引いてしまうから、
 その人には生徒会室にある大浴場に案内してあげなさい」

『りょーかいっす!』と、
問題が起こる毎に私に相談してくるようになってしまった。
ま、『教育』する前よりはマシになったはず……よね?

さて、私も"私"の手伝いに向かわなくては。


生徒会室に向かうため、エレベーターのボタンを押す。
数秒経ち、チンという音を立てて扉が開き、中に入ろうとする私に、声を掛けて来る者がいた。

「ちょっと、あなた。待ちなさいよ」

「……え?」

それは私の姉、桂雪路であった。

「桂先生、私に何か御用ですか?」

こんな時に、と歯痒い気持ちを抱きつつも冷静に対処する私に、
お姉ちゃんは殺気のようなものを飛ばし始めている。
なにか嫌な予感がするわね……。

「あなた、誰?生徒会の人間じゃないわよね!?」

「――ッ!!ちょっと待ってください!私は桂生徒会長に頼まれてお仕事を手伝いに来ただけで――」

「ふっ、墓穴を掘ったわね!あの子はね。私と違って自分の仕事を
 人に手伝わせようなんてしない子なのよ!それをよくも抜け抜けと……!」

別にそんなことはないのだけれど。ハヤテ君に手伝わせちゃってることだってあるし……。
あら?でもハヤテ君以外に手伝わせた人っていたかしら……?

それよりも、拙いわね。完全に敵認定されてしまったみたい。
うまく切り抜ける手を模索しようとするも、
少しでも動いたら殺すといわんばかりに警戒する
お姉ちゃんに滅多なことはできない。
あーもぅどうしたらいいのよ!

お姉ちゃんの弱点、弱点、弱点……。そうだっ!

「あ、2年C組の教室に『ドンペリ』を忘れてきてしまったわ。早く取りに行かないと……」

「なにぃ!?それを早く言いなさいよッ!私が盗りに……じゃない、取りに行ってあげるわ!」

光の速さで走り去っていくお姉ちゃんに、私はため息をつかざるを得なかった。
学校にお酒なんて持ってくるわけ無いじゃないっ!
元に戻ったら絶対!絶対にお仕置きなんだからッ!

そんなことを考えながら、私はエレベーターに乗り込み、
気付けばもう生徒会室のある階に着いていた。
モブ子さんはちゃんといるのかしら?

中に入ろうとしたが"複数"の人の気配を感じたため立ち止まる。
誰かしら?少し気になり、音を立てず扉に近寄り、耳を澄ませた。


「あなたはヒナギクさんではありませんね?」

え?中から聞こえてきたのはなんとハヤテ君の声。
それもバレてる!?なんで、とは思ったものの、私が体感してきた"只野モブ子"という人物は
こんなことを隠せる程に器用な人ではなかったかと半ば諦めるような気持ちになった。
鋭い人、もしくは"私のことを良く知ってくれている人"ならば簡単に気がついてしまうだろう。
ただ、ハヤテ君は決して鋭い人ではない、と私は思っている。だから――。


「ふぇーっ!?そ、そんなことあるわけ……」

人生には、いくつかの選択肢があるのだと思う。




















「いいえっ!あなたがヒナギクさんであるはずがありませんよ」

気が付いてくれたことを嬉しく思うか。




















「いつもよりも頼りないというか、儚くて。でもそこが可愛いらしい感じですしっ!」

……気付いた理由を怒るべきか。もしくは――。




















「それに……昨日からお風呂とか着替えをかれこれ十数回見ても全く怒らないですし」

あの『痴情犯』をぶっ飛ばすか……。


「え?ヒナギクさん、じゃないモブ子さん……?どうしました?」

「ハヤテ君の……バカぁああああ!!!」











えー……非常にグロいのでとても描写できません♪













「いい?モブ子さん。着替え覗かれたら怒らなきゃ!
 そうしないと自分のためにも相手のためにもならないんだから……」

ハヤテ君を『処分』した私は、裸を見られても怒らなかったという"私"に怒りの矛先を向ける。
まさか、私の体だから見られても良いなんて思ったんじゃないでしょうねッ!?

「すみません桂さん。でも、入れ替わったことに気がつくなんて、
 さすが桂さんの彼氏さんですねっ!」

怒りを見せる私にビクリと体を震わせながらもそんな言葉を返す"私"。
まるで、そ……その、私とハヤテ君が……『付き合っているのを確信』しているような彼女の言葉に少々慌ててしまい。

「いやいや!私とハヤテ君は"まだ"そういう関係じゃ……」

「"まだ"?」

「うっ……」

思わず墓穴を掘ってしまう私。
すると、目の前の"私"がいたずらっ子が面白いものでも見つけたような顔を見せた。
似たようなことを歩にもされたような気がする。
私ってそんなにわかりやすいのかしら?

「ふふ、頑張ってくださいね」

からかうような、いや実際にからかっている目の前の"私"に
不快とは言わないまでもモヤモヤとした感情が湧き上がる。
拙い、このままじゃ私、負けっぱなしだわ!

今までに与えられた情報を総動員し、彼女の弱点を探す。

そして……あった!

「モブ子さん、私ね。ストーカーは良くないと思うの」

「ふぇーっ!?か、桂さん何故そのことを!?」

ふふん、ざまあみなさい。
顔を茹蛸のように真っ赤に染める彼女――ってか"私"じゃない!
からかわれても、からかっても恥ずかしいなんて……。

「私、どうやってあなたに勝てばいいのよ……」

「いやいや!いつから勝負なんてしてたんですか!?
 というか私なんかが桂さんに勝つなんて恐れ多いです……」

がっくりと両手をついて項垂れた私に、
目の前の"私"はあわあわとしながら自信の無い発言をする。
そんな"私"の姿に耐え切れず。

「もっと自分に自信を持ちなさい」

「……え?」

私の言葉に呆けたような顔を見せる"私"。
確かにいきなりこんなこと言われても困るわよね。
だから、さらに言葉を付け加えてあげた。

「だいたい、今のあなたは私なんだから、
 そんな自信の無さそうな顔してると許さないわよ?」

微笑みかけ、ウインクもしてみる。
……ちょっと恥ずかしいわね、これ。
でも、彼女の沈み込んだ顔がぱぁっと笑顔に変わったのを見て、
お節介して良かった、とも思う。

「はい!」




後日。鷺ノ宮さんをようやく発見し、相談したところ。
「精神の入れ替わりでしたらこのお札を使って頂ければ簡単に元に戻れますよ」
との意見を得て、元に戻ることが出来た。
精神の入れ替えってそんなに珍しいことでもないのかしら?

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はいっ!以上を持ちまして、『ヒナギクさんがモブになってしまったようです。』
ヒナギク編は完結となります。

え・・・?『ヒナギク編』とは何だって?(聞いてない
仕方ないですねぇ〜教えて差し上げましょうっ(だから聞いてない

鋭い方、もしくはこの作品を気に入ってくださり(いねぇよ
何度も呼んでいただいた方はわかるかもしれませんが!

謎というか、微妙に投げっぱなしの部分があるのですよ。
それを補完する感じの話を次から投稿させていただきたいと思いますっ!

それではまた次回。
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Re: ヒナモブ 【モブ子編】 ( No.7 )
日時: 2014/03/19 22:31
名前: 絶影
参照: http://soukensi.net/perch/hayate/subnovel/read.cgi?no=49

どうも絶影です。

月曜日にスマス○でふ○っしーが出ていました。
ふ○っしーの中の人・・・本当に大変ですね。
わしゃわしゃして、ダンスして、大縄跳びまで・・・。

夏よりも冬にヒーターがんがんにかけてるところの方が
大変って言うのは個人的にウケました(笑

あと、わしゃわしゃ動いているのは、実は中に風を入れるためだったんですね。
驚きでしたっ!


さて、今回からはなんとモブ子の一人称になっています。
彼女が何を考え、どう思ってあのような奇行?に走っているのかを
表現できたらなーと思っています。

モブに主役張らせていいのか!?とか色々な疑問が出てきそうですが、
そこは気にしない優しい方がいることを願っています(汗

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 モブ子編:第一話 大変ですっ! モブが主人公になってしまったようです。


"私"はその日、いつものようにモブ男君の後をつけていたんです。
あ、モブ男君というのはですね。2年D組の特無モブ男君のことなんですっ!
とても格好良い男の子でですね!前世はきっとSM○Pの……誰でしたっけ?――ハッ!そう、キム兄(キム○ク、と言いたいらしい)だったに違いありませんっ!

「――ッ!」

おっと。危なかったですっ!モブ男君が急に振り返りました。
何かの気配でも感じたのでしょうか?
ちなみにモブ男君が私に気がつくはずはありません。
尾行技術についてはそんじょそこらのストーカーさんなど、
相手にすらならないのですからっ!
私はストーカーじゃありませんけどね!

モブ男君はやっぱり気のせいだったと思ったのか、首を傾げながら再び歩いていきます。
私も物陰から出て追いかけなくては――。
そう思ったときです。

「ハヤテく……きゃっ!」

そんな声が聞こえたのは。
不思議に思い、モブ男君に釘付けだった眼をその声の方に向けたら。
――人が降って来ました。

驚きです。白皇学院では放課後になると人が降って来るんですね。
小学生の頃から通ってますけど、全然知らなかったですっ!
――って!こっちに降ってきてません!?

頭に走る衝撃。そしてなにかがビシーッとなって、
さらにズバーッって感じがして私は意識を失ってしまいました。


再び意識が戻ると、誰か優しい人が助けてくれたのでしょう、
私は誰かの上に乗っていました。

「ご、ごめんなさい。えっと、綾崎さんに……私?」

な、なんということでしょう。私が二人になってしまったようです。
拙いです。これではモブ男君の取り合いになってしまいます!
ど、どうすれば……。

「ご無事ですか"ヒナギク"さん?と、ああ!すみませんモブ子さん!」

……綾崎さんはなにを寝惚けているのでしょうか?
私を見て"あの生徒会長"の桂さんの名前を呼んでいます。
まったく、三千院家のひつじ(執事、と言いたいらしい)さんも階段から落ちたせいでボケちゃったんでしょうか?

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少々短いですね・・・。
色々間違っていますので、こちらで修正しております。

次回の更新は日曜日を予定しております。
引き続き、よろしくお願い致します。


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Re: ヒナモブ【ヒナギク編終了】現在モブ子編 ( No.8 )
日時: 2014/03/23 22:40
名前: 絶影
参照: http://soukensi.net/perch/hayate/subnovel/read.cgi?no=49

どうも絶影です。

人に天然だねっていうと、貶しているみたいに取れますが、
天然という言葉に人を貶すような意味合いってないんですよね。

人為の加わらない自然のままの状態。また、人力では如何ともすることのできない状態。
天性やうまれつき、という意味だそうです。

つまり、人は誰しも世の中で生きていくために外側の自分を作っているのでしょう。
そして、その外側の自分を持ち得ない人を天然、と言って
酷い言葉だと社会不適合の烙印のようなもの押すのではないでしょうか。
悲しい事ですね。

ナギ「だからお前は何が言いたいんだよ…。あ、名前がネギじゃない。
   やればできるではないか……」

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 モブ子編:第二話 衝撃ですっ! モブの思考力

むむむ、とにかく私がもう一人増えてしまったことは一先ず置いておいて、
私のことを"ヒナギク"さんと呼ぶ綾崎さんには目を覚ましていただきましょう。

私は彼の眼をじっと見つめます。そこで気付いてしまったんですっ!
彼の瞳に映る――整った顔立ち。気の強そうな瞳。腰にまで届いている長くて赤い髪。
ふみゅ?どこかで見たようなことがありますね、この顔。
あ、そうそう。全校集会の時に壇上に立っている顔です。

――ッ!?生徒会長さんとそっくりの顔ですっ!
確かにこれならば綾崎さんが桂さんと間違えるのも無理はな――って!?

「わ、わ、わ……私がかつらうひゃぁ!」

突然"私"が、私の首をむんずと掴みました。
さらに軽々と持ち上げ、そのまま疾風の如く駆け始めています。
走っている最中、何か聞こえたような気がしますが
――その言葉を聞き取る余裕はありませんでした。




「はぁ、はぁ、はぁ……」

なにやら"私"が疲れています。
まぁ私を引っ掴んでそのまま走れば疲れますよね。

暫くして息を整えたのか、"私"がずいと顔を寄せ付けて。

「あなたは只野モブ子さん、でいいのよね?」

私はコクコクと頷きながらも、脳裏には戦慄が走っていました。

驚きですっ!今の私は桂さんそっくりの顔をしているというのに、
目の前の"私"は私が只野モブ子であることを見破っています。
さすが私ということなのでしょうか……。

「わ、わ、わ、わ……」

むむむ、色々聞きたいことがあってまとまりませんっ。
すると何を勘違いしたのか、"私"が。

「ちょっと落ち着いて!?」等と言っています。

落ち着いたほうが良いのはあなたじゃないでしょうか?と言いたかったものの、
確かに私も冷静じゃなかった部分が少しだけ、ほんのすこーしだけあるような気がします。
ふっふー、私は反省できる人間なんですよっ!

よくよく考えてみれば、私がもう一人増えて私が桂さんの姿になるなんておかしいですっ!
だからこれはきっと――。

「お、落ち着きました。これは夢ですね。お休みな――」

「だから落ち着いてー!夢で寝てどうするの!?」

「起きますっ」

完璧ですっ!寝て起きれば夢から覚めるんですよ。
それがわからないなんて、やはりこの"私"はまだまだのようですねっ!


その後、ほっぺを抓ったり、実際に寝てみたりしても何も変わりませんでした。
ふみゅ……どうやらこの"私"が言っている通り、これは現実のようですね。

さっきからゴチャゴチャ言ってますけど、結局何を言いたいんでしょうか?
この人、ちょっと説明の仕方が悪いんじゃないでしょうか?
もっとこう、ズバシャーッとわかりやすくですね。

「それじゃ――」

「全くわかりませんっ!」

あら?どうしたんでしょう、がっくり膝なんてついて。
落ち込むことでもあったんでしょうか?

それから暫くすると"私"はなんとか持ち直したみたいです。
さすが私ですね。七転八倒(七転び八起き、と言いたいらしい)とはこのことですっ!

「簡単に言うわよ?」

「はい」

「あなたは今、桂ヒナギクの姿をしているけれどモブ子さんでしょ?」

「そうですよ!」

「逆に私は今、モブ子さんの姿をしているけれど桂ヒナギクなの」

「え、そうなんですか」

「うん、そう。つまりね。さっき頭をぶつけたときに
 私達が入れ替わっちゃったってことなの。わかった?」

「ふむ。……はっ!つまりさっき頭をぶつけたときに私達が入れ替わってしまったということなんですか!」

「さっきから私そう言ってたわよね!?……嗚呼、もういいわ。そういうことよ……」

なんか良く分からないですけど、この"私"――桂さんらしい人――は気苦労が絶えないみたいですね。
ご愁傷様ですっ。ちょっと手を合わせて祈っておきましょう。な〜む〜。

そういえば、さっき頭をぶつけたから入れ替わったって桂さんは言ってました。
――ハッ!!ということはもう一度頭をぶつければ元に戻るんじゃないでしょうか!
ふふふ、やはり私は天才のようですねっ!

はい、と手を上げた私に、"私"が疲れた表情で「はい、どうぞ」と言う。
さっきから何をそんなに疲れているんでしょうか?
まぁいいです。ともかくこの素晴らしい考えを披露しなくては!

「もう一回頭をぶつけ合えばいいんじゃないかと思いましたっ!」

「確かに私もそう考えていたのだけれど……大丈夫?」

「大丈夫ですっ!私、頭には自信があるんですよっ!」

ふっふー、私が本気になれば知能指数三万はあるんですっ!
以前そのことを友達のよしりん(お忘れですか?滝川雫さんのことですよ)に言ったら
「三万というか散漫でしょ」と酷い言葉が返ってきましたが気にしません。

あれれ?いつの間にかさらに疲れている"私"。
もう考えるのも面倒なので気にしないことにしましょう。

さらに"私"はなにやらぶつぶつ言ってましたが、小さい声だったのでよく聞こえませんでした。
むむ、ちょっと失礼じゃないでしょうか?
でも私は大人なので文句は言いません。

その後もなにか言ってましたが、彼女の中で何やら考えがまとまったようです。
顔、というか頭を近づけてきて。

「じゃ、じゃあ行くわよ!」

私に異論があろうはずもありません。
元に戻ってまたモブ男君をスト……観察しなければならないんですっ!

「はいっ!」

頭と頭をぶつけ合わせ。来るであろう"痛み"に備えていた私ですが、
確かに衝撃はあったものの大して痛くはありません。
ですが、さっき感じたビシーッとなって、
さらにズバーッって感じがありませんでした。
目を開けてみるとやはり前には"私"の顔。

「あれれ?失敗ですね〜」

ふみゅ……。『桂さんの考えに賛同』して
頭をぶつけたのは良いのですが、全く効果ないじゃないですかっ!
どういうことですか!?と詰め寄りたいのはやまやまですが、
ここは大人のれでぃーらしく相手をそんちょーしてあげてですね。

「もう一度やります?」

ふっふー、なんて私は優しいんでしょうっ。
大して痛くありませんでしたし、
桂さんが諦めるまでこの茶番に付き合ってあげましょう。

"私"が体をブルブルと震わしています。
きっとこんなにも優しい私に感激しているのでしょう。

「ちょっと待って!何であなたそんなに平気なの!?」

――ハッ!そういえば前にバナナの皮を踏んで転んでしまった時は
頭が物凄く痛かったような気がします。
何で今は痛くないんでしょう……?

ふみゅ……。この問題はまるで針山から針を見つけるような難しさですね。
あら?それは簡単なことの例えでしたっけ?
そもそも針山の針を見つけるってかんよーく(慣用句)ありましたっけ?
針山の針を見つける……。良く分かりませんが、簡単なことのような気がしますっ。

あれ?そういえば私、何について考えようとしてたんでしたっけ?
むむむ、私の今後に関わりそうな重要なことだったような。

――ッ!!そうでした、『前に頭をぶつけたときは痛かったのに何故今は痛くないのか?』です。
ということは……。はっ!以前と今で違うところ見つければ良いんですっ!
ふふ、今日の私は頭が冴えてますねっ。尾行は元々得意ですし、怪盗(探偵、と言いたいらしい)になれる気がしますっ!
ここは怪盗淑女と名乗るべきでしょうか……?

おっと、いけませんね。怪盗淑女のことは後で考えましょう。
今と前で違うこと、それは……。
そう!日にちが違う!……ふみゅ。関係無さそうですね。
それと、えっと……。
その時、なにやら慌てた様子の"私"の姿が目に入ります。
そうだ……!今の私は"桂さん"の体でしたね。

桂さんといえば、48の殺人技と52にサブミッションを連続でかけられ、
さらに地獄のローラーでミンチにしようとしても怪我一つ負わない、
まさに人をやめた人って噂を聞いたことがあります。

つまり頭をぶつけても痛くないってことは……やはりそういうことなのでしょうっ!

「わかっちゃいましたっ!」

突然大きな声を上げた私に目の前の"私"はビクリと体を震わせたものの、
期待に満ちた(ように見える)眼差しを向けてきます。
ふふふ、聞いておもぉもぉけ!(慄け、と言いたいらしい)
これが、これこそが世界の真理なのですっ!

「この体が桂さんのものだからですっ!」

高らかに宣言した私の言葉に、目の前の"私"が戦慄を感じているのがわかります。
きっと彼女なりに理解しようとしているのでしょう、深呼吸一つ。
それからゆっくりと目を閉じて、私の言った言葉をそ……?おしゃく(咀嚼、と言いたいらしい)しているみたいです。

そして再び目を開いたときには、なんと激しい炎のようなものが灯っていました。
怒りに震える"私"の眼<まなこ>。私って、あんな顔できたんですね……。
というか私、何かやらかしてしまったのでしょうか?

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

モブ子はアホな子なのに難しい言葉を使いたがり、
結果として間違え、作者に注釈をつけさせるといった
手間をかけさせる困った子です…。

ちょいと遠出をすることになってしまいました。(4日ほど)
その間、ネタは考える事が出来ても文章は作れそうに無いので
次回の更新には少し時間がかかりそうです…。

なるべく早く更新したいと思っています(汗
引き続きよろしくお願い致します。



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Re: ヒナモブ【ヒナギク編終了】現在モブ子編 ( No.9 )
日時: 2014/04/08 23:13
名前: 絶影
参照: http://soukensi.net/perch/hayate/subnovel/read.cgi?no=49

どうも絶影です。

モブ子「全国のモブ男君ファンの皆様。作者さんがグズでノロマなせいで大変長らくお待たせしましたっ!」

グズでノロマって…。いや、それよりもモブ男ファンなんていない――ッ!!います、絶対いますからぁ!包丁向けるのやめて!?

モブ子「わかれば宜しいのですっ!それでは今からモブ男君の格好良さを十万字でまとめたものを発表したいと思いますっ!」

マジでやめてくださいお願いします。私の文章力が持ちません……。

注)当然ながらモブ男は出ません。

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 モブ子編:第三話 対決ですっ! モブVSアパートの住人

あれから暫くして、どうやら"私"も落ち着いたみたいです。
きっと世界の真理にわぬぉぬぉいて(戦慄いて、と言いたいらしい)しまっていたのでしょう。

「こういうことに詳しそうな専門家に聞いてみることにするわ」

「専門家ですかー?」

ふみゅ……。さすが生徒会長さんです。
交友関係が広くないと巨大な怪物とも戦えませんからね。

――ハッ!?今の私は桂さんなのですから、学校に迫り来る怪物と戦わなければならないんでしょうか!?
ひぇぇ……。どうか私が元に戻るまでは来ないで下さい……。
"私"についていきながら、これから戦うことになるかもしれない怪物に思いを馳せていると。
あら不思議。なにやら大きなお屋敷の前に着いていました。

表札には『鷺ノ宮』の文字。これって何て読むんでしたっけ?
ふみゅ……この私の知能指数を持ってしても難しいですっ!
きっとこれが分かるのはよっぽど偉い学者さんか
この家に住んでいる女の子をストーカーしている人だけなのでしょう。

桂さんがインターフォンを押し、中から黒服の恐そうな人たちが出てきました。
桂さんの姿を見て、射殺さんばかりに睨み付けましたが、私の姿を確認すると警戒を解きました。

ふみゅ……何故なのでしょうか?と一瞬考えましたが、今の私は桂さんの姿をしていたんでしたっ!
一瞬自分は有名人だったのかと思ってしまったのは秘密です。

「すみません桂様に只野様。お嬢さまはその……ちょうちょを追いかけてどこかへ。
 とりあえず今日本にはいないみたいです」

その言葉を聞き、がっくりと膝を着く桂さん。
ちょうちょさんを追いかけてどこかへ行ってしまうなんて理解しかねますねっ!
蜂さんに追いかけられて迷子になってしまったことは私もありますけど。
あの時は本当に、ほんと〜に恐かったです……。
ちょっと殺虫剤を撒いただけなのにあんなに追いかけてくるなんて信じられませんっ!
むむむ、思い出したら少し震えが。いけないいけない、これは記憶の底に沈めておきましょう。

ちらりと桂さんの方を見ると、ふむふむとなにか考え込んでいるようです。
顔が青くなったり、ため息をついたりしているのは、
きっと桂さんも私と同じように蜂さんに追いかけられたことがあって、
それを思い出しているのに違いありませんっ!

「仕方ないわ。暫くあなたが桂ヒナギク、私が只野モブ子を演じるしかないわね」

「えぇー!?そ、そんなの無理ですよぉ。私なんかが桂さんを演じるなんて……」

そう絶対に無理ですよっ!私、そんなおっきな怪物とかと戦えませんし。

「大丈夫。私も出来る限りフォローするし、生徒会の仕事だって手伝うから」

ふぉ、ふぉろーって、今のあなたは私の体なんですよっ!?
……ふみゅ?そういえば生徒会の仕事なんてのもありましたっけ。
やっぱり、絶対無理ですっ!

「でもでも……」

「そうするしかないでしょう?他に何か良い案があるっていうなら聞くわよ」

むむ、痛いところを突きますね。確かに私の頭を持ってしても解決策は見つかりません。
ここは、おっきな怪物が攻めてこないことを祈るしかないのでしょうか……。

「……はぁい」

納得はいかないまでも、そうするしかない。そんな思いになって、
桂さんとの入れ替わりを承諾してしまった私。
嗚呼……モブ男君、もう一度あなたに会いたかったですぅ……。
きっと三つ目の怪物に生きたまま食べられてしまうのでしょう。
いえ、触手を持った怪物に骨まで溶かされてしまうのかもしれません。

「――ぇ!?ちょっと聞いてるッ!?」

「――は、はいっ!敵襲ですかッ!?」

幾らなんでも早すぎますっ!
遺書くらい書かせてくださいよぉ……。

「敵襲って何?ま、いいわ。それよりも入れ替わったことを
 悟られないために家族とか友達のことを教え合わないと!」

「あ、そんなことでしたか。良かったです」

「そんなこととは何よ、結構重要なことよね?」

ふふ……今の私にとっては命に関わることじゃなきゃ何でもいいのです。

その後、私たちはお互いの情報を教えあいました。
これで桂さんも完璧に私になれますねっ!


「じゃあまた明日。バレないように本当に気をつけてね?」

「了解ですっ!」

桂さんったらご冗談を。
怪盗淑女の名を欲しいままにするこの私がバレるわけがありませんよっ!
というわけで、桂さんが住んでいるという"ムササビノヤカタ"とやらに向かうことにします。


ここがムササビノヤカタですか。
ふみゅ……少し見回してもムササビがいるようには見えませんね。
どこかに隠れているのでしょうか?少し期待していたので残念ですっ。

建物はかなり古いようにも思えますが、あの三千院さんが
住んでいるアパートなのですから、きっと中は凄いことになっているのでしょう。
ちょっぴり、緊張しながら入っていくと――。


「あ、ヒナさん。おかえり〜」

ふぉおお!?凄いですっ!こんな普通な人見たことありませんっ!
しかしあえて言うならば……ムササビではなく、ハムスター系な人でしょうか?

おそらくこの人は"歩"という人なのでしょう。
このアパートに住んでいる中で、私が顔を知らないのは、
桂さんの親友で歩さんという人と、ナギさんこと引きこもりクイーンのメイドさんでマリアさんという人。
この人がメイドさんとも思えませんし、やはり歩さんで間違いないでしょう。

「ただいま歩。ここにヒマワリの種があるんだけど、食べる?」

「え!いいのヒナさん!?これ好物なんだぁ〜」

ふふふ、私の見立てはやはり間違っていないようですねっ。
だぁ〜い好きなのは〜ひ〜まわりのたね〜は
ハム助(ハム○郎、と言いたいらしい)じゃなくても健在のようですっ!
ハムスターさんに餌付けした私は意気揚々と歩を進めます。


「無敵先輩、お帰り〜」

ふぉおお!?この人、なんか変なマスク被ってますっ!
一体誰なのでしょう?こんな人、桂さんの情報にはありませんでしたよっ!?
泥棒でしょうか!?強盗でしょうか!?ウルト○マンでしょうか!?

「た、ただいま……」

……ここはやはりスルーでしょうね。
人生には気にしてはいけないことがあると
偉い人が言ってたような気がしますし、これもその一つなのでしょう。
私はそっと変なマスクの人を避け、先に進むことにします。


「あらヒナギクさん。お帰りなさい」

遂に出ましたねメイドさんっ!確か桂さんのお話ではこの人の年齢について指摘すると命の危機に瀕するとの事。
あの桂さんですら怯えたふいんき(雰囲気、と言いたいらしい)を出していたのです。気をつけなくてはっ!

「あのヒナギクさん?なにか失礼なことを考えてらっしゃいませんか?」

――ひょっ!?な、なんですかこの人、読心術ですかっ!?

「いえ、読心術なんてマスターしていませんよ?」

にっこりと笑うメイドさん。この人……恐ろしすぎますッ!
この人とお話していると本当に首が飛ばされてしまう気がするので、脱兎のごとく逃走します。
「ちょっとヒナギクさん!?」とか聞こえますが、完全に無視ッ!です!


なんだか良く分からないですけど恐ろしいメイドさんを振り切った私の前に現れたのは――。

「おーヒナじゃないか。今日は早かったな」

くっ、まさかここで生徒会のメガネこと……名前なんでしたっけ?
ともかく、この人は桂さんとも近い間柄。気をつけないとバレてしまうでしょう。

「そ、そうね。今日は仕事がそんなになかったし」

「え?昨日たくさんあるって言ってなかったけ?」

「――ッ!わ、私にかかればあんなもの、十秒で終わるわよッ!」

「ふーん。あんな山になってたのをなぁ〜」

不思議そうに首を傾げながら去っていく生徒会のメガネこと……名前なんでしたっけ?
と、とにかく誤魔化せたでしょうか?
ふぅ、どうにも癖が多い人たちばかりで疲れました。
さっさと桂さんのお部屋に行って休みましょう。

無駄な物が特に見当たらない、整理整頓された部屋。
むむ、さすが生徒会長さん。机の上にはおそらく昨日勉強したのでしょう、教科書が数冊載っていました。
部屋を見回していると、突然押入れの襖がガラッと開きました。

「お帰りなさいヒナ」

驚きです。このアパートにはオプションで幼女さんがついてくるんですねっ!
……さすがにそんなわけはありませんか。

金髪に縦ロール。まるでどこかのお姫様ですかというような気品に満ち溢れる幼女さん。
桂さんの部屋にいるということは……桂さんの子供ですかッ!?
そういえば以前、子連れ生徒会長爆誕!という噂を聞いたことがあります。
ということは……きっとこの子がそうなのでしょうッ!!

「えっと……」

何と声をかけてよいものか迷っていると、幼女さんが私の顔をじっと見つめてきます。
まるで心の奥を見通すかのようなその瞳。私には、この幼女さんが見た目通りの年齢だとはとても思えませんでした。

「あなた、ヒナじゃないわね?」

「え?」

な、な、な、何でわかったのでしょう。
今の私、見た目は完全に桂さん。えっと……たつい振舞(立居振舞、と言いたいらしい)だって完璧なはず。
桂さんらしくドーンとしてシュパッとしているはずなのに……。

「まぁいいわ。白桜は今あなたの手元にあるみたいだし。
 その代わり……私の半径1メートル以内に近づいたら
 あなたを排除するからそのつもりで」

ひぇえ……この幼女さん、とっても恐いです……。
殺気とは言わないまでもキッ!と鋭い視線を飛ばしてくる幼女さん。
決して近づかないようにしようと心に決める私なのでした。

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まさか西沢さんもモブに普通な人といわれているとは思うまいて……。
ヒナギク編では次の日の朝までやりましたが、
モブ子編ではここまでです。
何故なら……

ナギ「ネタがないからな」

……そういうことです。
ではまた次回。



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