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歩み進む乙女〜ヒナギクの花を添えて〜
日時: 2014/02/14 21:45
名前: 鍵屋

 はい、お久しぶりの小説投稿です。ヒナハムを書くという事が先週の土曜日に決まりまして、久々な私ですが、私なりに頑張って書きました。
 タイトルに意味はないです……単に歩とヒナギクを入れたかっただけです。
 1300文字程度なので、読むのに3分もかからないかと思います。では。また後ほど。



 歩み進む乙女〜ヒナギクの花を添えて〜



 『私は白皇学院1年、生徒会長桂ヒナギク。これ、ありがたく受け取っとくわ西沢さん。ではごきげんよう』

 私は去年、特別なチョコをもらってしまった。親友になる前、会って間もないのに。
 今年は、私が渡す番。私ならできる。生徒会長なんだから。



 「よし」
 喫茶店どんぐりにて私はあの人に渡すチョコレートの準備をする。もちろん客が居る時にはしっかり仕事もする。
 「ハヤテ君に渡すんですね!」
 「え?」
 不意に後ろから話しかけられ、驚いた。振り向くとそこには歩がいつもの笑顔を私に向けていた。
 「歩、今日バイトの日だったっけ?」
 「今日はたまたま来ただけですけど、ヒナさんがいるから覗いてみようかなって」
 「そ、そう」
 ここで本人に見つかるとは思ってなかったので私は慌てていた。それと同時に、これは待ち合わせをするチャンスなのだと理解していた。
 「それ、ハヤテ君に渡すんでしょ?」
 「それは……」
 違う、これは歩に。とは本人には言えなかった。ハヤテ君に渡す分はもう用意してあり、歩に対して別に作ろうとしていたのだが、そんなことは本人に言えるはずもない。俯いて、歩に聞こえないくらいの声でもごもごと言う程度の音量。

 『そんなふうにウジウジ悩んでるハヤテ君……!私は嫌いよ!!』

 私はアテネでハヤテ君にそう言った。それを不意に思い出した私は、その時のハヤテ君と今の自分を比べてみる。
 (……人の事言えないわね……)
 私は決心して歩を見る。歩はその笑顔を私に向けたままだった。
 「歩、5時半に公園に来てくれないかしら?ちょっと話があるの。」



 「ヒナさん?話って?」
 公園の真ん中で、私の前にいる親友はじっと私を見つめている。夕日に照らされた彼女は綺麗だと思った。
 「話っていうのは……」
 ここにきて私は中々言えずにいる。今年は渡す、そう思って、用意して、歩も目の前にいるのに。
 (そんなじゃダメ。しっかりしなさい、私。生徒会長でしょ?)
 夕日に照らされた彼女をもう一度見つめなおす。彼女の笑顔を見ながら私は遂に、それを彼女に差し出した。
 「はい。これ、歩に」
 「……え?」
 歩は私が右手で持ってる物を見て、きょとんとしていた。
 「これ、ハヤテ君に渡すんじゃないんですか!?」
 「ハヤテ君にはもう渡したのよ。私が作ってたのは歩宛のよ。……ほら、いつも歩にはお世話になってるじゃない。そのお返しに、と思って」
 「むしろ私が助けてもらってるんですけどねー。あ、私もヒナさんに渡そうと思って用意したんですよ。……ほら、去年みたいに偶然あったものじゃなくて、やっぱりヒナさんにはヒナさんの為に用意したいと思ってたので」
 そう言って歩も箱を私に差し出す。それは綺麗にラッピングされて、リボンには『ヒナさんへ』と書いてあった。そして、箱に添えられたヒナギクの花。
 そして歩の純粋な微笑みがそこにあった。
 「考えることは同じ、ですね。」
 「そうね。……これからもよろしくね、歩?」
 「こちらこそ!」
 綺麗な夕日に照らされながら、暫く、私は大切な親友と話し、笑い、大切な時を過ごしていた。

 ヒナギクの花言葉『乙女の無邪気』はヒナギクの名前をもつ私よりも、常に前を見て歩み進む彼女にこそ似合うのかもしれない。



 はい、再び鍵屋こと鍵子です。ひなゆめ久々……で、実はこれ……10分クオリティだったりするので、何かしらおかしな部分があるかもしれませんが、見つけられたようでしたら、できれば指摘して頂ければ幸いです。

 では。さようなら
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