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懐かしのあの人(一話完結)
日時: 2013/09/19 22:52
名前: わふ〜

結構久しぶりに投稿。
多分まだ在学中のあの人が登場します。
個人的にちょっとクオリティが…ぜひアドバイスして下さい。



白皇学院。日本で最高峰の偏差値と動く金の量を誇る、小中高一貫教育の学校。その学校に通う綾崎ハヤテはいつも通り授業を受け、帰ろうと校門に向かっている途中であった。

「…ん?うわっ!」
 
突然バラがハヤテに向かってくる。ハヤテはあっさりとかわし、あたりを見渡す。

「バラ?一体誰が…?」

「僕さ」

「わっせ、わっせ」
 
声がした方を向くと、そこに立っていたのは茶色の執事服を着た美形の男…とその男の足元で花吹雪を一人、せっせと作り出している少年。

「あなたは…!誰でしたっけ?」

「ぐ…さすがに久々の登場だからね」
 
現れた男の方はハヤテを覚えているようだが、ハヤテは完全に忘れていた。

「冴木ヒムロだよ。そしてこちらは大河坊ちゃん」

「ヒムロ、花びらもういいかな?」

「ええ。ありがとうございます」
 
不思議なことに、この主従は主が執事の引き立て役である。

「…ああ、原作でしばらく出番がないあの……」

「メタな発言はよしたまえ。まあ、今回現れた理由はそこにあるのだが」

「え?」

「原作で出番がなく、アニメでも僕の出番が他のキャラに変えられ、おかげで出演料が…
ああ、これは冗談だよ」

「……」

なんとも言えないジョークにハヤテは苦笑いすらしない。

「結局のところ出番が欲しいだけでしょう?」

「まあね。そういえば君のお嬢様、遺産相続権を失ったそうじゃないか」

「…ご存知でしたか」

「当然だよ。けど…主の地位を守れずに何が執事だ」

「それは……」
 
あの時は色々とあったとはいえ、ナギを守れなかったのは事実。故に何も言い返せないハヤテ。

「少しくらい実力が上がっていることを期待していたんだが…少し平和ボケしてるんじゃないかな?」

「え…?」

「あの時の君はまだ生きるのに必死だった。まあ、執事になったばかりだっただろうし、それまでの人生からしてね……」

「何で僕の過去を……」

「…だけど今の君は慣れてしまった。色々と苦労しながらも楽しい空間に。そのせいで大分変わった気がするよ…君は。」

「……」
 
確かにハヤテは今までの地獄のような日々から一転、幸せな毎日を過ごしていた。それはハヤテ自身を大きく変えているのだろう。

「必殺技も身につけたのかな?どれ、少し試そうか」

「え?」
 
ヒムロはハヤテにバラを投げつける。あまりにも唐突なことにハヤテは反応が遅れ、バラをかわしきれない。

「さぁ、少し君の力を見せてもらうよ!」

「く…!」
 
ヒムロの切れ間なく続くバラの攻撃をギリギリのところで回避するハヤテ。

「そんなにボーっとしてると…取られちゃうよ」

「はっ!」
 
ハヤテが気付いた時にはもう遅かった。ヒムロはハヤテの背後におり、蹴りが炸裂する。

「うわぁ!」
 
蹴りによってハヤテは数メートルも吹き飛ばされた。ダメージも大きい。

「情けない。僕は大河坊ちゃん付きというハンデ戦だよ?」

「つ、強い…!」
 
久しぶりの強敵な上に突然のことでもあったため、ハヤテはうまく反撃出来ない。

「これで終わりかい?」

「…そうだ、あれを…!」

ハヤテが見ていたのは数多の木が生え、小さな森を形成している場所。

「む?」

「こっちですよ!」

ハヤテはその森の中に飛び込む。まるでヒムロを誘うように。

「なるほど。隠れながら戦う気だね。だが一流の執事を少し、舐めすぎではないかな?」

「(ヒムロさんをうまく撒いて不意打ちを決める!そうでもしないと攻撃を当てるのは難しそうだし……)」

ハヤテは森の中を移動しながら人の気配を探す。お前はゴ◯ゴか!と言いたくなるような芸当であるが
事実、驚異的な身のこなしと気配を断つことで確実にヒムロを撒いていた。

「そこか!」
 
―が、一流の執事はそれを上回る。

「木をなぎ倒してる……」

「あまり自然破壊はよろしくないがね…何より学校から賠償を求められたら困る。だが…もう逃さないよ!」
 
ヒムロはバラをいくつか手に「出現」させ、それをハヤテに投げつける。本人は先程と同じくハヤテの後方へ。だが……

「今度は見えてます!Bダッシュアタック!(疾風のごとく!)」
 
ハヤテは力強く地面を蹴り、跳び上がった。バラは空を切り、ヒムロは突然のことにバランスを崩す。

「今だ!」
 
ハヤテはヒムロの後方に一瞬で移動し、先程ヒムロがやったようにヒムロを蹴り上げる!…はずだった。

「え…?」

「惜しいな…でも敵はちゃんと見ないとね」

だがヒムロは無数のバラの花びらとなって攻撃をかわし、逆にハヤテに手刀打ちをお見舞
いする。

「が…!」

「まだまだ甘い。これでは大事な人も愛する人も守れはしない」
 
ハヤテは体をずらし、急所を外させていたので意識はかろうじて保っていたが、体は限界だった。

「まあ、あの頃よりは成長したようだ」

「く……」

「無茶はしない方がいい。これ以上お金にならないことをする気はないのでね」

「まだ…負けて……」

立ち去ろうとするヒムロを止めるハヤテ。だが明らかに戦闘続行は不可能であった。

「潔く退くのも大事なことだ。負けを知ることで人は強くなるそうだよ。またいつか、もっと強くなった時に戦ってあげるよ」
 
ヒムロはそう言い残し、去っていく。

「…まだまだ一流には程遠い……」

ハヤテは己の未熟さをただ実感するしかなかった。

「…ただいま帰りました」

「おかえりなさい…ってどうしたんですか?そんなに汚れて……」
 
ムラサキノヤカタに着いたハヤテ。出迎えてくれたマリアに言われたことは尤もで、ヒムロと戦った影響で執事服には泥が付き、シワが相当増えていた。

「…自分の未熟を痛感しました」

「…そう、ですか」

ハヤテは悔いていた。己の力のなさを。あれが主を狙う敵であったら終わっていた。それ程までの力の差。

「ハヤテ〜ってなんでそんなに汚れているのだ?」

「あ、いえ、色々ありましてね……」
 
そこに主の三千院ナギはやってきた。

「まあいい。さっさと着替えて私の部屋に来い!格ゲーで勝負だ!」

「…ええ。お付き合いします」
 
ナギの無邪気な笑顔…それを見てハヤテは励まされる。

「(もっともっと強く、執事として優秀にならなきゃな……)」
 
落ち込むだけでは終わらない。それが綾崎ハヤテという人間だった。 
ちなみにその後……

「…ぐすっ……」

「…えっと……」

「ハヤテのバカぁぁぁ!」

格ゲーであまりにもナギに勝ったせいでナギの怒りを買ってしまったハヤテだった…
いつになったら主の怒りを買わない執事になれるのだろうか。

「執事には責任がある。主を良い方向に導く……責任がね」



追記
あらすじがおかしくなっていたので修正しました。
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