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疾風の剣
日時: 2013/07/18 21:44
名前: パパガイ

こんにちは、パパガイと申します。皆様の書く物語を読んで刺激され投稿してしまいました。ハヤテのごとくを題材にした小説は初めてですが、面白い作品にできればと思います。構成はできているのですが、それに沿って書き終われるかはわかりません。長い目で見ていただけるとありがたいです。よろしくお願いします。

カップリングとしては疾風×理沙です。ただ、タイトルからわかるとおり、剣道部を舞台にしたお話にするつもりでいます。

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第01話:男子の本懐

『言ってくれれば、助けに行きますよ』

そんな言葉を言ってくれた人がいた。その人は、だれよりも強くて、優しくて。あの子はガン〇ムみたいな執事だといっていたけれど。あの人は本当に頼りになると思う。だから、私は今こうして彼の家の前にいる。

「こんにちはマリアさん、ハヤテ君、いますか?」
「ええ、呼んできますね。応接間で待っていてください」

はい、と返事をして私はソファに腰を掛ける。落ち着いた調度品は、綺麗に保たれていてマリアさんの仕事ぶりがうかがえる。価値はよくわからないけど、きっと高価なものなんだろう。そんなことに思いを巡らせていると、彼がやってきた。いつものとぼけた笑顔で。

「こんにちはヒナギクさん、今日はどんな御用ですか?」
「お願いがあるの、あなたにしか頼めないお願いが」
「お願い、ですか」
「ええ。私たちと一緒に大会に出てほしいのよ」
「大会、ですか。また何か伝統行事でも始まるんですか?」
「ふふっ、違うわよ。剣道の大会」
「え、でも僕剣道の経験は・・・」
「・・・いいのよ。これから練習してくれれば、そこらの部員よりきっと強くなれるわ」

あなたの強さはよくわかってるもの、と付け加える。彼が頼みを断れないのはわかっている。そういう性格だから。悪いけど、今回は利用させてもらうわよ

「え〜と・・・お嬢様が何ていうか」
「ナギの許可は大丈夫よ、マリアさんも」
「えっと、拒否権は・・・」
「ないわよ?」
「・・・わかりました」
「ありがとう♪」

男女混合のこの大会、団体戦だけが行われるのだが今年はうちの部から出られる選手が少ない。私と、東宮君と野々原さんとほかの部員で5名を何とか確保したが、この中で計算できる選手は私と野々原さんだけ。もとから部活動が盛んでない白皇において、チームとして上位を狙える絶好の大会なのだ。ヒナギクとしては、抜群の身体能力を誇るハヤテをチームに加え、次鋒に起用し、確実な1勝をとってほしいという目論見があった。レギュラーになれなくても、補欠に入ってくれればチームとしての力はぐっと上がる。ヒナギクの計画は完璧に思えた。

そう、この段階では・・・

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Re: 疾風の剣 ( No.1 )
日時: 2013/07/19 01:07
名前: パパガイ

ミスに気づいていただいたようで、修正しました。ありがとうございます。

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第02話:理想と現実


次の日、ハヤテは剣道部の部内試合を観戦に来ていた。ハヤテの「言った以上は本気で取り組む」という心意気の表れであろう。その日は、ヒナギクも出場するとあって3バカトリオも合わせた実に多くの観客が来ていた。それだけ、ヒナギクの人気が大きいといえるだろう。

「あらハヤテ君、来てたんだ」
「ええ、皆さん頑張ってますね。ヒナギクさんはこれから試合ですか?」
「私は今終わったの。次の試合は20分後くらいよ」

選手登録を狙う部内総当たりのリーグ戦、といっても現段階で選手を狙うのは男女合わせて6名、しかもそのうち3人は実力に不安のある新入生やいわゆるお坊ちゃまなのだから、20分後に行われる第13試合、ヒナギク対野々原の試合が注目の的であった。

「どうだハヤ太君、ヒナの剣道着姿は」
「なかなかそそるだろう」
「かっこいいよね〜」

どこからかあらわれた3バカトリオ。そうですね、とハヤテが応じるとヒナギクは顔を真っ赤にしている。まんざらでもないのだろう。それを見ていた東宮は複雑な思いを感じながら、ひっそりと2敗目を喫した。

第12試合まで終えて、ヒナギクは4勝0敗、野々原は3勝1敗として直接対決を残すばかりであった。

「野々原さん、調子はどうですか?」
「ああ、綾崎くん。お坊ちゃまにわざと負けた以外は全勝ですよ」
「・・・わざと負けたって言っちゃうんですね」
「お坊ちゃまにはぜひ代表になっていただかないと。今年の当確ラインは最低2勝。お坊ちゃまは最終戦、ちょっと強い相手ですからね、星をお譲りしないと」

このレベルの戦いで強い弱いもないはずなのだが、そこは主思いの執事のこと。しかし、実際のところ勝負弱い東宮に星を譲って代表に送り込むと、ヒナギクの悲願である優勝は遠ざかるのだが・・・。彼にはあまり関係のないことなのかもしれない

「ハヤ太くん、ヒナの試合だぞ」
「あ、朝風さん。わかりました。野々原さんも頑張ってくださいね」
「ええ。でも、桂さんの応援をしてあげないといろいろ大変そうだ」
「はははは・・・」

美希のすさまじい視線を感じながら、ハヤテは理沙の隣に陣取り、試合場を眺めた。

「朝風さん、ヒナギクさんと野々原さん、どっちが強いんですか?」
「そりゃハヤ太くん、野々原さんだよ。ヒナは強いけど、それは一般人レベルでの話だし」
「そういうものなんですかね」
「ああ、でも負けるとヒナはどうせ落ち込むんだ。『勝敗は人間の格が左右する』っていう信念みたいなもんがあるからね」
「『格』ですか・・・」
「練習量とか、人間性とか、私にはよくわからないけど。ヒナは努力して努力して、生徒会長であることに誇りを持ってるから。負けたくないんだよ」
「朝風さん、ヒナギクさんのことよく知ってるんですね」
「親友だからな。それに、美希と泉は運動嫌いだけど、いや、私も嫌いだけどさ。家が神社だし、なんか共感する部分はあるんだ」

そういった彼女の顔は、ちょっと大人びていて、ハヤテは少しの間見とれてしまっていた。その間に決着はついてしまっていたようだ。

結果は1対2で野々原の勝利。前半は面の取り合いだったが、終盤に体力が切れたヒナギクの慌てたところを逃さず、出小手が決まって勝負ありだった。

「お疲れ様です、ヒナギクさん」
「ありがと。でも、結局野々原さんに完敗ね」
「え、でも一本取ったじゃにですか、」

すごいですよ、と続けたかったが、理沙がハヤテの手を引っ張ってそれを止めた。彼女の指は掲示板を指している。

桂  :4勝1敗(9-2)
野々原:4勝1敗(9-3)

「(あれって、どういうことですか)」
「(ハヤ太くん、君は馬鹿か。得失点差を見ろ)」
「(えーと・・・)」
「いいのよ理沙。勝敗はならんだけど、得失点差で私の優勝ってこと。要は、野々原さんが東宮君に『わざと』負けた分で調整されちゃって、花を持たせてもらっちゃったってわけ」
「(ハヤ太くんの馬鹿)」
「(ごめんなさいごめんなさい・・・)」

おわってみれば、全体として野々原の手の上で転がされた感じなのだろう。下位の順位を見ると、勝敗で並んだ3位以下も得失点差の勝負になっており、東宮は3位タイ(実質4位の枠ギリギリ)で代表権を手に入れていた。すべて彼の計算通りだったのだ。

「じゃあハヤテ君、今日は来てくれてありがとう。私は生徒会室に戻るから、それじゃ」
「あ、ヒナギクさん!!・・・行っちゃった」
「私と泉はヒナのところに行く。鈍感執事は理沙に任せた!」
「任せたのだ!!」
「任されたぞ!!!」
「・・・うう」

完全に気の利かない男の称号を得てしまったハヤテは、一応野々原と東宮に代表選出の祝辞を述べ、理沙と帰途についた。三千院の館が近づいたとき、理沙がつぶやくように言った

「なあ、ハヤ太くん」
「なんでしょう」
「君は頑張らなくてはいけないよ。もうヒナにあんな思いをさせてはいけない。」
「・・・はい」
「ヒナは君に期待している。今日だって、君がレギュラーレベルになると信じて4人しか選出しなかった。それに、あのチーム状態だ。君は穴埋めじゃない、価値を計算できる選手になることが望まれている」
「・・・はい」
「チームで勝つっていうのはな。一人の負けをみんなで背負うことなんだ。ヒナはいっつも一人で戦ってる。だから、私はヒナに『チームで』勝ってほしいんだ」
「・・・朝風さん」
「私は運動嫌いだからね、ヒナの力にはなれない。君がやるんだ」
「・・・わかりました」

ヒナギクを助ける。その決意を胸に新たにしながら、ハヤテはある疑問を感じていた。またそれは、ほとんど逡巡なく、口をついてでた。

「それにしても朝風さん、剣道に詳しいんですね」
「・・・」
「もしかして、やってたとか?」
「・・・いや、ヒナがやっているのを見て興味を持って調べたんだ。調べるのが得意な奴も近くにいたし」
「花菱さんですね」
「ふふっ」
「お友達の話をする時の朝風さんは、とても優しい顔で笑うんですね」
「・・・この私を口説くとはいい度胸だねハヤ太くん」
「いやいや!!口説くとかじゃないですけど・・・大人だなって。僕、頑張りますよ」
「そうか、そうしてくれ。ヒナのために」
「いえ、朝風さんのためにもです!」
「・・・そうか」

そのとき、朝風さんが少しだけ笑ってくれたような気がした。三千院の前に着き、僕たちはわかれた。別れ際、彼女はちょっと顔を赤くして、こんな申し出をしてくれた



「さっき、剣道のことをしらべたといっただろう?」


「動画や、教本もあるから君の助けになるかもしれない」




「だから、その・・・こんどうちに来ないか?」

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一回の分量がちょっと多いですかね?

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