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それが一番! 泉と虎鉄誕生日記念・一話完結
日時: 2013/06/21 00:00
名前: サタン

「綾崎! 大人しく私のスイートハニーになれ! そして一緒に寝台特急で添い寝しようぜ! ハァハァハァ……」
「うわああああああああああああ! 疾風のごとく! 疾風のごとく!」

広大な校庭に風を切る効果音。
鳥が何事もないように飛び立つ下で、荒く息をつく綾崎ハヤテは額の汗をぬぐった。

「死に果てろ! この変態が……!」

キレるとヤクザになるという噂の執事も、暫定必殺技二連撃は堪えてしまう。
全く恐ろしい生命力だ。
しかも、何故か幸せそうに微笑みながら、芝生に血だまりを広げてピクピクしている。
これだけ痛めつけても明日には復活するのだから一流の執事は恐ろしい。
広がっていく血だまりに靴底が濡れる前に踵を返すと、首元を緩めながらハヤテに悪寒が走った。

「こいつ血を流しながらニヤニヤしてる……気味が悪い! 早く帰ろう……うわ、カバン教室だ」

今日は最悪だった。 授業が終わった直後に乱入した変態執事に迫られて窓から大脱出。
以来今までハヤテは、貞操のかかった鬼ごっこをさせられていた。 大袈裟じゃなく本当にかかっているから恐ろしい。
冬の日が落ちるのは早い。 脱出時まだ薄青かった空は、しだいに赤くなりつつある。
背後に横たわる亡骸から携帯の着信震動が聞こえたが、無視してハヤテはその場から逃げるように教室に向かった。





長い影を伸ばす商店街に、男女一組の高校生が歩いている。
と言っても、少年の方は執事服を着ているため、傍目には女子高生と執事が歩いているようにしか見えない。
執事服の少年、綾崎ハヤテの隣を歩いてるのは、ハヤテのクラスのいいんちょさんこと、瀬川泉だった。
二人が一緒に下校しているのには理由がある。
カバンを取りにいったハヤテは、携帯片手に迎えが来るのを待っていた泉と出くわし、
泉の迎えを担当していた変態執事を半殺しにしたハヤテが、お詫びに送ることを提案した。
泉は持ち前の明るい笑顔でそれを了承し、こうして二人並んで歩いているのだった。
もともと明るく裏表のない性格の泉と、穏やかで気配りができるハヤテは相性は悪くない。
とびきり盛り上がる話はなかったが、仲の良いクラスメート同士といった雰囲気で会話を楽しんでいた。
無言でいるのが苦手なのか、話題を振るのは泉の方で、ハヤテが穏やかにそれに答えるという形が多い。
傍目からは、二人は理想的なお嬢様と執事にも見えた。

「あ、たい焼きだ。 ほらほらハヤ太くん。 たい焼きだよ〜?」
「わかりました。 今日のお詫びに奢りますよ」
「わ〜い♪ 虎鉄くんだと経費で落とされるから奢りって感じがしなくってね」

両手を挙げて心から嬉しそうに笑う泉に、ハヤテが苦笑する。
ここまで素直に喜ばれると、奢り方としても悪い気はしなかった。

「――って、たい焼き、経費っすか」
「そうなの。 カメラとかNゲージ? とかにお金使うみたいですごく細かいんだよー」

執事として、積極的に経費で落とす金銭感覚を覚えるべきかと、ちょっと考えるハヤテ。
購入を済ますと、個別に紙袋に入っているたい焼きを一つ手渡した。

「熱いですよ」
「うん。 ありがと」

泉は瞳を輝かせて、小さな両手でたい焼きを受け取る。
頭をちょこんと出させると、湯気と共に甘くて香ばしい匂いが広がった。
店を後にして歩くのを再開する。 恐怖の鬼ごっこで空腹になっていたハヤテの口に、たい焼きの甘さが心地よく響く。
その隣で、泉は小さな口であぐあぐとたい焼きを食べながら、話を続けた。

「だから、ちょっとナギちゃんが羨ましいかなー」
「――え? どうしてです?」
「ほら、ハヤ太くんはお友達って感じがするから。 側にいてくれたら楽しそう♪」

経費に落とすのは隠れてするか控えるかのどっちかがいいのかな、とハヤテは思った。
その一方で、いやでも執事的には、お友達に見られるというのは果たして良いのか悪いのか、とも思う。
軽く考えこむハヤテの隣で、たい焼きの味に満足してか、泉ははぁっと白い息を吐いて、にこっと笑った。

「たい焼きも奢ってくれるしね♪」
「今日だけですよ?」
「ちぇー……あははっ」

軽く諌めるように言うハヤテに唇を尖らせた泉が、楽しげに声を上げる。
その屈託のない笑顔を見て、ハヤテもまた笑顔を浮かべた。





学校のこと――主に外国語履修の大変さを話しながら歩いていると、不意に泉がハヤテを呼び止めた。
商店街から一本外れた道にある小さな空間を指差し、首をかしげる。

「ね、ハヤ太くん。 あれ公園かな?」
「えっと……そうみたいですね」

袖を引かれたハヤテが彼女の指を差すほうを見て答えると、泉は猫耳をひょこっとさせるように笑顔を閃かせた。

「ちょっと寄っていこ?」

茜色に照らされた公園には、誰もいなかった。
そろそろ陽が完全に落ちようかという時間帯なので、子供は帰宅したのだろう。
夜遊びする子供が使うには早いし、今はちょっとした空白の時間帯になっているようだった。
小さな滑り台、小柄なジャングルジム、小さなブランコ公園には三つの遊具と、ベンチが一脚ある。
公園の規模に対して、それが充実しているのかどうかは公園であまり遊んだことがないハヤテにはよくわからなかった。

たい焼きの最後の一口を食べると、泉はぱたぱたと軽い足音で駆けていく。
彼女が目指した先には、二つの椅子がぶら下がったブランコがあった。

チャコンと金属音を立てて、ブランコに両脚を乗せる。

「よっと……わわっ……よーしっ」

バランスを保つと、身体を前後に揺さぶって、キィコ、キィコ、と立ち漕ぎを始めた。

「よいしょ、よいしょ」

制服に包まれた身体をせっせと動かす泉に、たい焼きの包み紙をゴミ箱に捨てたハヤテが追いつく。

「スカート、気をつけてくださいね」
「大丈夫だよー 今日は下にスパッツ穿いてるもん」

上機嫌に応える泉に微笑んで、ハヤテは少し躊躇うようにしながら隣のブランコに手を触れた。
キィキィと揺らしてから、そっと革靴の底を乗せてみる。 感触を確かめて、両脚をブランコに乗せる。

『あ、立てるかも――――んがっ!』

脚を伸ばして立つと、頭がブランコの上に走る支柱にぶつかった。
ゴツッと鈍い音がしてブランコ全体に震動が走り、ハヤテの視界に星が散る。

「いたた……」
「あははっ! どうしたのハヤ太くん?」

軽くピヨッて頭を抑えるハヤテに、泉が笑い声を上げる。
赤面したハヤテが崩れ落ちるようにブランコに座ると、泉はぴょんとブランコから飛び降りた。
髪留めで結われた小さな髪房がぴょこんと揺れ、スカートがひらりと舞う。

「ちょっと失敗しました」
「大丈夫? 怪我してない?」

苦笑するハヤテが抑えている頭を、泉はそっと手を添えて覗き込んだ。
少し運動した泉の身体から、汗と香水が混じった香りが漂ってくる。
制服に包まれた胸が目の前に突き出されると、ハヤテは頬を染めて視線を外した。

「大丈夫ですよ。 いや、子供用の遊具って、結構小さいものなんですね」

相手の体温を感じる距離に少し戸惑いながら、照れ隠しのように言う。
それを聞いて、泉は嫌味のない明るい調子で笑った。

「あはは、当たり前だよー 子供用だもん……うん、大丈夫そうだよ」
「ありがとうございます」
「いいんちょさんだもん、これくらい当たり前だよー」

礼を言われた泉は少し照れたように言うと、お礼のお礼をするように、ハヤテの頭をよしよしと撫でる。

『うわ……頭撫でられてる……』

それは、自他共に認める年上好きとしても、照れざるを得ないシチュエーションだった。
検査を終えた泉がパッと離れると、ハヤテは撫でられた頭を、もう一度すりすりと撫でる。
泉はぱたぱたと自分のブランコに戻ると、また底板の上に立ち上がった。
今度は漕がずに、少し高くなった視界を楽しむように遠くを、夕焼け空を見つめる。
薄い雲が流れる空には、どこかへ帰る鳥の群れの姿があった。
珍しく無言の時間が流れたあと、キィコ、と小さく漕いで、泉が口を開いた。

「いいんちょさん家はさー」

少し変わった語り口を聞いて、ハヤテが顔を上げる。

「結構過保護だったから、小さい頃はあんまりお外で遊べなかったんだー」

視線に気付いて笑顔を浮かべ、前を見つめたまま言葉を続けた。

「だから、こういう公園って少し憧れなの………ハヤ太くんは?」

少し踏み込んだ内容を誤魔化すように、キィコ、キィコと揺らす。

「僕も、公園で遊んだことはほとんどないです。 色々と稼がなきゃならなかったですから」

環境は全然違うというのに、変わった接点があることが奇妙に面白くて、声を落とすことなくハヤテが答える。
泉もハヤテの家庭環境には深く突っ込まず、相槌を打ったあと、少し間をおいてあっけらかんとした声を出した。

「そっかー……うん、じゃあ決まりだね」
「はい?」
「一緒に遊びたまえ、ハヤ太くん。まずは缶蹴りなどはいかがなものかな?」

親指をビッと立て、ウィンクする。

『さっきの導入は、この提案の照れ隠しですか……』

「はい、 いいですよ。 望むところです」

元気に笑って提案するいいんちょさんに、ハヤテはなんだか可笑しくなって笑顔で応じた。





太陽が沈みきるまでの短い間、ハヤテと泉の二人は子供時代に戻ったかのように遊んだ。
冬の澄んだ空気に明るい声が響く。 公園に面した道に人が通りかかることがあっても気にならない。
ハヤテは自分が過ごせなかった普通の子供としての時間を、少しだけ取り戻せたような気がした。
ひとしきり遊んだ二人は、ジャングルジムのてっぺんに並んで座り、星が瞬き始めた空を見上げる。
遊びの余熱と余韻が引いた頃、泉は少し迷った後に口を開いた。

「そういえば、ハヤ太くんは歩ちゃんとはまだ付き合ってないんだっけ」
「――え? なんですか、藪から棒に」

突然降って沸いた恋バナに、ハヤテが素っ頓狂な声を上げる。
急に話題を振った泉は、少し言葉を濁しながら、それでも話を続けた。

「んー いや、何となく聞いてみよっかなって」
「思いつきですか……」

諦め混じりの苦笑を聞いて、泉はクスクスと笑う。
隣に座りながら空を見て話すという距離感は、悪くないものだった。
ハヤテに顔を向け、人差し指を立てながらウィンクする。

「まあ諦めたまえ、女子高生の会話の半分は恋バナでできているのだよ♪」
「それは、仕方ないですね。 はい、付き合っていませんよ」

冬の乾いた風が吹き、まだ熱を持っていた身体を撫でていく。
髪を柔らかくなびかせる執事服の少年は、ちょっとだけ大人びた顔をして答えた。

「金銭面で面倒を見る甲斐性を身に付けなきゃいけないんだもんね? 大変だ♪」
「そうですね、大変です……でも、好きになるとか、付き合うっていうのが、良くわからない部分もあるのですが……」

ハヤテが泉の方を向くと、二人の視線が合う。
軽く微笑むと、ハヤテは泉をじっと見つめながら質問した。

「瀬川さんは恋人が出来たら、どんなことをしたいですか?」

真剣とも冗談ともつかない、軽い口調の質問だった。
自分から話を振ることが多かった泉は、ここに来て話を振られてちょっと戸惑う。
自分から振った恋バナ、しかもハヤテに悪気はないだけに逃げられない。

うーんと、と真剣に自分の心に尋ねたあと、答えに辿り着いた泉はこくこくと頷いた。

「私は、遊びたいかなー」
「遊びたい?」
「うん。 一緒にたくさん楽しいことして、一緒に笑うの。 きっとすごく楽しいと思うよー」

肩を竦めるようにして両手を膝の上で合わせ、にこっと笑う。
少し照れたようなその笑顔は、暗くなった空の下で見るには惜しいほど可愛らしいものだった。

「なるほど……遊ぶ、か……」

ハヤテは何か感じるところがあったのか、少し目を丸くしてから真面目な調子で頷いた。
何やら真剣に吟味されている様子に、赤面した泉がわたわたと手を振る。

「いやいやいや、そんなに真剣に考えないでよ、もー! 恥ずかしいじゃない!」
「え、あ……すみません。 そんなつもりは」

伸ばした手でバシバシ叩かれてグイグイと押されると、ハヤテも考えを中断して笑顔を返す。
からかわれたと感じたのか、今度は泉がハヤテに質問した。

「もー……今度はハヤ太くんの番だよ! ちゃんと考えないと怒るんだからね?」

頬を膨らませる泉に少しすまなそうに微笑むと、ハヤテは空を見上げて考える。
暗く透き通る青い空には、白く小さな星がちらちらと瞬きはじめていた。
泉がじっと待っていると、ややあってハヤテが口を開く。

「そうですね。 僕は、側にいたいです」
「側に?」
「はい。 好きな人に必要とされて、側にいられることが出来れば、幸せなんだと思います」

ハヤテの言葉に、泉は少しキョトンとした顔をしていた。
それがハヤテなりに真剣に考えた末の答えだということは理解していたが、
お互いの感覚に大きな隔たりがあって、内容を上手に理解することができない。

「……なんだか、女の子みたいな答えだねー でも」

少し困ったような顔をして応えたあと、空を見て、うん、と頷く。

「ハヤテくんの恋人になる人は、きっととても幸せになれるんだろうね」

にこっと笑って、ハヤテの気持ちを肯定した。素直に褒められたハヤテの頬が染まる。
笑顔を緩めて優しい表情をした泉と、少し驚いた表情のハヤテが見つめあう。
ハヤテの表情に気付くと、泉が小首をかしげた。

「どうしたの? ハヤテくん」
「いえ、ちゃんと名前を呼んで貰えたから、ちょっと驚きました」
「え―? ありゃ!?」

どうやら無意識のうちに出てしまったらしい。
自分の言葉を思い返して、泉自身が驚いた声を上げた。
あからさまに驚いたリアクションをして、手を口に当てる。

「あれ? あれ? なんでだろ。えーとえーと、ハヤ太くんハヤ太くんハヤ太くん……」

眉間にシワを寄せて必死に修正しようとすると、今度はハヤテが驚く番だった。

「わー! 待ってください! そんな必死に言い直さなくても!」
「いや、これはいいんちょさんのアイデンティティに関わる重要な問題だよ!」
「そんなぁ! 意地悪しないでくださいよー!」

ハヤ太ハヤ太と繰り返す泉を、ハヤテは必死になって揺さぶった。





夜が少しずつ深まっていき、外が深い紺色に覆われはじめた頃。
二人はジャングルジムから降りて、服を軽くはたく。
思ったより長くなってしまった寄り道が終わりを告げる。今日はもう帰る時間だった。

「それにしても、僕の名前、ちゃんと覚えてはいたんですね」
「あはは、バレちゃったかー でも大丈夫! これからも仲良しさんらしくニックネームで呼ぶから!」
「はぁ、もう諦めましたよ……でも、たまには本当の名前で呼んで欲しいです」
「どうしよっかなー あははっ! 考えとくよ」

ジャングルジムに立てかけていたカバンを手にとって、帰宅の確認を軽く目配せをする。
街頭の白い明かりに照らされながら、身なりを整えた泉がそれに応える。

「じゃ、行きましょうか」
「うん。そうだね」

泉を伴ってスタスタと歩き出したハヤテがふと見ると、ベンチに一人の若い男が座っていた。
やや体力ゲージが尽きかけている風情のその逞しい執事は、ハヤテをじっと見つめながら近づく。

「あ、綾崎! オランダに行って私と結……」
「疾風のごとく!」 
「ぎゃあああああああああああああああああ!」

住宅と商店が立ち並ぶ街の一角に衝撃波が走る。
ノータイムで暫定必殺技を発動したハヤテは、ぜーぜーと肩で息をしていた。
我が身に降りかかる不幸をひとしきり呪うと、はーーーーーーーーーーっと深い息を吐いて考えを切り上げる。
嫌なことは早く忘れたほうがいい。 というか、どうかなかったことにさせてください。 サンタさんとか天の声の中の人ー!

ハヤテは何事もなかったように振り返ると、呆然としていた泉に声をかける。

「さて、オチもついたことですし、帰りましょう」
「え、あ―うん、そうだね」

心を立て直して明るく笑う泉に微笑を返してから、視線を動かして公園を一望する。

親の代わりに働いていたハヤテは、確かに公園で遊ぶ子供たちを羨ましいと思っていた。
けれど、遊んでいる子供たちに対して、他にもう一つ羨ましいと思っていたことがあった。
優しい親の――誰かの、出迎え。
それは時間を見つけたハヤテが誰もいない公園で遊んでも、決して得られないものだった。

寂しかった頃のことを思い出し、少し落ち込んでしまったハヤテは、俯いて前髪で表情を隠す。
そんなハヤテの執事服をちょいちょと摘み、泉がにこっと笑顔を浮かべた。

「今日はありがとうね、ハヤテくん。 美希ちゃんたちとはこーゆー遊びできないから助かったよ。
 ハヤテくんだったら、きっと呆れないで付き合ってくれるって思ったんだー 思った通りだったよ♪」

屈託のない笑顔だった。感謝が伝わるようにだろうか、こだわっていたあだ名を今は使っていない。
その明るさに照らされるように、ハヤテも心の調子を取り戻していった。

「……はい。 僕の方こそ、楽しかったですよ」

ハヤテも心からの言葉を返し、お互いに笑顔を浮かべる。

「……さぁ、では、帰りましょうか、瀬川さん」
「うん。 では、帰ろうか、ハヤ太くん」

少し近づいた距離を整えてクラスメートに戻るように言い、二人は公園を後にする。
商店街はいくつか店が閉まり、人影も減って少し寂しい雰囲気が漂っていた。
ハヤテの隣をてくてくと歩いていた泉は、不意に思い出したように口を開く。

「それにしても『側にいたい』かー 私の考えってちょっと子供っぽいのかなー なんか恥ずかしーよー」

うーっと照れながら考えこむ泉に、ハヤテが苦笑する。
自分の答えの原因に、ハヤテは気付いていた。公園を振り返ったときに抱いた寂しさ。
それが誰かの側にいたいという願望を生んでいることに。 だからこそ、泉の単純で前向きな答えが響いていた。
泉に心変わりをしてほしくなくて、ハヤテが口を開く。

「そんなことないですよ。 一緒に遊ぶっていう考え、素敵だと思います。僕は遊ぶのが苦手だから、すごく参考になりました」
「……ホント?」
「はい、こんなことで冗談は言いませんよ」

一瞬だけ隣を歩く泉と視線を合わせて、再び前を向く。
心の内を見せた言葉を受け入れるように穏やかに肯定されると、泉の頬が赤く染まった。

「そっかー じゃあさ」

頭の後ろを撫でながら照れたように笑っていた泉は、てててっと少しだけ駆けて先を歩く。
革靴の爪先を立てて、くるっとターンすると、照れを隠すように、とびっきりの笑顔で言った。

「ずっと側にいて、一緒にたくさん楽しいことができれば、完璧だね♪」
「……はい、きっとそれが一番です」

ハヤテも心からの笑顔を返して、相槌を打った。
二人の合わさった結論がとても理想的に思えて。




END

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Re: それが一番!(泉&虎鉄誕生日記念・一話完結) ( No.1 )
日時: 2013/06/21 00:46
名前: 双剣士
参照: http://soukensi.net/ss/

久々にしゃしゃり出てきた、読者モードの双剣士です。
泉お誕生日SS、堪能させていただきました。

愛をささやくでもなければ童女のように甘えまくるでもない、微妙な距離感を保って接してくるいいんちょさんにベタ惚れしました。
原作の「もどかしいようで少しずつ進んでる」空気を見事に小説に描ききっていると思います。
特にクライマックスの「2人の夢は少しだけ違うけど、一緒になったらきっと素敵だね」ってあたりは、まさしく瀬川泉SSの真骨頂だと思いました。

数ヶ月かけて熟成させたにふさわしい快作だと思います。ありがとうございました。

# もう1人の主役のことには意地でも触れてあげない
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Re: それが一番!(泉&虎鉄誕生日記念・一話完結) ( No.2 )
日時: 2013/06/21 18:25
名前: ネームレス

どもー。名無しと書いてネームレスです。
感想に来たよ!
流石サタンさん。本当にありそうなお話で、虎鉄の下りも面白かったです。
いいんちょさん可愛いですね。無邪気と言うか何と言うか、可愛い。
話もわかりやすくて良かったです。まさに、瀬川兄妹の誕生日にふさわしい作品だと思います。
笑いながら読ませていただきました。
笑顔をありがとうだぜ!サタンさん!
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Re: それが一番!一話完結・レス返し更新 ( No.3 )
日時: 2013/08/15 05:28
名前: サタン

感想が来ていただと…!?←投稿して放置の末今頃気が付く始末…

とりあえず、レス返しに参りましょうか!

>双剣士さん

いつもお世話になっています。
感想ありがとうございます!
まさか双剣士さんから感想が頂けるとは思っていませんでした…!
楽しんで頂けたみたいで嬉しい限りです。
真骨頂…!? ありがとうございます!
泉ファンの書き手としてこれ以上ない最高の誉め言葉です…!
双剣士さんの仰る通り、「どうやったら原作での二人の雰囲気が書けるか」を念頭に置いてナギ誕生日記念を投稿した後、書き始めました。
虎鉄がww
双剣士さん、ありがとうございました!
今後ともよろしくお願い致します。



>ネームレスさん

こちらでは初めまして!
いつもチャットやツイッターではどうもです。
感想ありがとうございます!
このSSを読んで頂けただけでも嬉しいのに、泉が可愛いと言ってくれるなんて…感謝、感謝です!
色々試行錯誤した甲斐があります!
面白く読んで頂けて幸いです。
笑顔ありがとう! ネームレスさん!
今後もよろしく!


3DSからレス返ししているので、何か違和感ある文があるかもしれませんが、悪しからず。

それではまた。
(長編…いつ再開できるかな…)
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