Re: カメリア × ブロンド ( No.1 ) |
- 日時: 2013/06/12 22:31
- 名前: デス
- 1話 世界最速のチャリジャック
4月8日 午前7時45分 東京都内
4月の2週目の頭。各学校では新学期が始まり、会社では新入社員を迎え入れる時期だ。国内のあちらこちらでも桜が咲き始め、春の訪れを感じさせてくれる。元旦とはまた違った、1年の始まりの時期と言えるだろう。そして同時に今までとは違う新しい環境にその身を投じる時期でもあるのだ。それは現在学校に向かって自転車を走らせている一人の少年にとっても例外ではない。
シャアアアアアアアアアッ!!
?「はっ…はっ…はっ…はっ…!」
だがしかし、この少年がその身を投じた新しい環境とやらは、些か非日常が過ぎた。
?「くそっ…!…何で……!」
それは、
?『ソノ自転車ニハ、爆弾ガ仕掛テアルデ、ヤガリマス。速度ヲ緩メタリ、自転車カラ、 降リヤガリ、マスト、爆発シ、ヤガリマス』
?「何でこうなったあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
世にも珍しい、チャリジャックだった。
何故こんな事になったのか、少し時間を遡り、話は約45分前のとある高校の男子寮から始まる。
チーンッ
電子レンジの軽快な音が男子寮の一室に響き渡る。その音を認識した部屋の住人、綾崎颯(あやさきはやて)は早朝にも関わらずしっかりとした足取りでキッチンに向かい、電子レンジからトーストを取り出した。少量のバターを塗っただけの簡素なトーストを一口かじると既に淹れてあったコーヒーをこれまた一口飲む。何処と無く寂しげな朝食だが、ハヤテ本人はそれを苦に思わない。彼は他人と触れ合う事を好まず、ルームメイトの居ないこの一人っきりの状況に満足しているからだ。
だがそんな朝食風景も長くは続かなかった。
ピンポーン
ハヤ「ん?」
何の前触れも無く、部屋にインターホンの音が鳴り響く。ハヤテは食べかけのトーストとコーヒーをテーブルの上に置いて玄関の方へ歩き出した。
ハヤ(誰だ?こんな朝早くから…)
と、ハヤテは一瞬疑問に思うが、直ぐに心当たりの人物を脳内メモリーから検出することができた。こんな朝早くから自分なんかを訪ねて来てくれる人物など一人しか居ない。
ガチャッ
ハヤ「……やっぱり」
玄関のドアを開けた先には案の定、自分の良く知る人が立っていた。それを確認したハヤテは溜め息を吐く様に言葉を洩らした。
?「何よやっぱりって。私に訪ねられるのがそんなにご不満?」
ハヤ「そんなことありませんよ。おはようございますヒナギクさん」
ヒナ「おはようハヤテくん♪」
東京武偵校の生徒会長にして、ハヤテの幼馴染み、桂雛菊(かつらひなぎく)はニパッと太陽の様な笑顔を浮かべた。
ハヤ「それで?何かご用ですか」
ヒナ「用なんか無いわ。いつも通り生徒会長としての仕事よ」
ヒナギクはそう言うと部屋の主であるハヤテに何の断りも得ずに、リビングまで上がり込んだ。そしてテーブルの上に置いてあるトーストとコーヒーを見て声をあげる。
ヒナ「ああもう、またこんな質素な朝食取って。こんなんじゃ一日持たないわよ?」
ハヤ「別に僕なら一週間断食したって生きてられます」
ヒナ「ダメ!そういう不摂生が人の寿命を少しずつ削っていくんだから。ちょっと台所 借りるわよ」
そう言うとヒナギクは、『いつもの様に』キッチンの棚から『ハヤテの』エプロンを取り出して身に付けると『持ってきた』食材をスーパーの袋から取り出して料理を始めた。
ハヤ(ホント通い妻みたいだな)
そしてハヤテもそんなヒナギクの後ろ姿を見て、何十回目かの『いつもと同じ』感想を抱いた。
ヒナギクは去年の冬頃から『とある理由』で不登校になり始めたハヤテをチョクチョク訪ねては料理を作ったり部屋の掃除をしたりと、色々世話を焼いているのだ。ヒナギクは「生徒会長として不登校の生徒を放っておけない」と尤もらしい動機を述べているが、実際には別の理由がある。
ハヤ(きっと幼馴染みとして、僕のことを心配してくれてるんだろうな)
ハヤテはヒナギクの行為の理由をこう捉えているが、それは『半分正解で半分外れ』。そもそも幼馴染みとはいえ、男の部屋に女の子が何度も上がり込んで甲斐甲斐しく世話を焼くなど有り得ない話である。
だが女の子の胸中に、男に対する『ある感情』が秘められているなら、それは実に単純で得心のいく話になる。とはいえ、超鈍感・朴念仁・唐変木の三冠を達成しているハヤテがその事に気付ける筈もないのだが。
そして約15分後、料理を作り終えたヒナギクはハヤテの分のみ(自分はもう食べてきた)をテーブルに並べる。目玉焼きをベースにした洋食だ。
ハヤ「すいません、ヒナギクさん。何時も何時もこんな立派な料理を作ってくださって」
ヒナ「別に大した物は作ってないわ。大体そんなこと言うくらいなら自分でちゃんとした物 食べてよね」
ハヤ「ハハハ…」
力無く笑うハヤテをヒナギクはキッと睨み、更に言葉を紡ぐ。
ヒナ「それに、こういう時はすいませんじゃなくて、ありがとうでしょ?」
ハヤ「あぁ……すいません」
ヒナ「だからっ……!………もう……」
話を聞いているのかいないのか、また謝ったハヤテにヒナギクは怒鳴りかけたが、途中で諦めた様に息を吐きリビングを出ていった。そしてほんの数十秒後、ある荷物を持って戻ってくる。
ヒナ「はい、『防弾制服』と『拳銃』。ここに置いとくわよ」
ハヤ「……………」
ハヤテはヒナギクが持ってきた物を見て、今度こそ溜め息を吐きそうになった。防弾制服と拳銃なんて物騒な物が普通の学校で持たされる筈がない。
そう、ハヤテとヒナギクが通っている高校は『普通じゃない』のだ。
ハヤ「…始業式くらいは拳銃持ってなくてもいいんじゃないですか」
ヒナ「ダメよ。校則にもあるじゃない、『生徒は学内での拳銃と刀剣の携帯を義務づける』って」
ハヤ(…ああ、普通じゃないなぁ)
そう。本当に普通じゃないのだ。『武偵校(ぶていこう)』は。
ヒナ「それにまた、『武偵殺し』みたいなのが出るかもしれないし」
ヒナギクは不安そうに俯きながら喋った。武偵殺し。その名の通り、『武偵』を狙った殺人鬼のことだ。武偵の乗った車等に爆弾を仕掛けて自由を奪ったあげく機関銃(マシンガン)の搭載されたラジコンへリで追い回し、最終的に海に突き落とすという手口を使う。そういう内容の周知メールが年明けに送られてきたため、ハヤテも一応知っている。
ハヤ「でもあれは逮捕されたんでしょ?」
ヒナ「でも模倣犯とかが出るかもしれないわ……もしハヤテくんに何かあったら…」
そう呟いて再び不安そうな表情になるヒナギク。それを見たハヤテは慌てて制服と拳銃、そして戸棚から取り出した、兄の形見である、バタフライナイフを身に付けた。
ハヤ「分かりましたよ。ほら、これで大丈夫です」
ヒナ「よしよし。フフ、なんかハヤテくんって武器を構える姿が様になってるわよね」
ハヤ「そうですか?」
ヒナ「ええ、やっぱり血筋なのかしらね。先祖代々『正義の味方』って感じがするわ」
ヒナギクは純粋に、バタフライナイフを持ったハヤテをカッコイイと褒め称えるのだが、それを聞いたハヤテは複雑な表情になり、ヒナギクから顔を逸らして呟いた。
ハヤ「止めてくださいよ____冗談じゃありません」
そう言ってハヤテは食事を再開した。ハヤテの声色が一瞬変化したことにヒナギクは気付かず、そのまま対面のソファーに座ってハヤテの食事が済むのを待つ態勢になった。そうして2分程経った所でハヤテが口を開いた。
ハヤ「あの…ヒナギクさん。別に僕を待つ必要は無いですよ。先に登校してください」
ヒナ「ダメよ。ハヤテくんがまたサボらないように見張らなくちゃ」
沈黙に耐えかねて苦し紛れに出した提案はあっさりと却下された。だがハヤテは続けて喋り倒す。
ハヤ「サボりませんよ。これ以上内申点が下がったら色々と不味いですし。始業式くらいは ちゃんと行きますって」
ヒナ「本当?」
ジト目で睨んでくるヒナギクに一瞬怯むがハヤテは尚も喋る。
ハヤ「本当ですって。それに僕いつも通り自転車で登校しますから。ヒナギクさんは バスでしょう?僕のこと待ってたら遅刻しちゃいますよ」
ハヤテの筋が通った説得に今度はヒナギクが怯んだ。痛い所を突かれたと云わんばかりに呻き、暫し俯いて唸り続ける。そして唸りが止むと同時に顔を上げ、不機嫌そうな表情でハヤテを睨んだ。
ヒナ「…ハヤテくん、なんか最近冷たくなったわね」
ハヤ「へ?」
ヒナ「昔は敬語なんか使ってなかったし、私のことあだ名で呼ばなくなったし//」
少し頬を紅くしながらそう言ってくるヒナギクにハヤテはポカーンと呆気に取られていた。
ハヤ「いやそんな…僕達もう16歳ですよ。いい大人じゃないですか。どっちも自然なことですよ」
ヒナ「けど私達幼馴染みじゃない。もうちょっとフランクに接しても…いいんじゃ、ない?///」
更に頬を紅くしてモジモジしながら喋るヒナギク。おそらくここに第三者が居たなら一目でヒナギクが秘かに抱いている想いに気付けるだろうレベルの仕草だったが、如何せん相手が相手だった。
ハヤ「そんなことしたら周りのみんなからあらぬ誤解を受けてしまいますよ。いつもお世話して 頂いているヒナギクさんに迷惑はかけられません」
ヒナ「!……ハヤテくんのバカァァーーーーーーーーー!!!////」
ヒナギクは遂に真っ赤になった顔で喚き散らすと部屋を飛び出ていった。ハヤテはそれを呆然と眺めることしかできなかった。
ハヤ「…何で怒らせてしまったんだろう?」
ハヤテは困り顔でそう呟いた。イマイチ素直になり切れないヒナギクと鈍感過ぎるハヤテ。結局この二人は幼馴染みという一定のラインから進むことが出来ないのだ。
ハヤ「理由は分からないけど後で謝っておかないとな…」
だがハヤテは決してヒナギクを嫌っている訳ではないのだ。最初の頃は強引に押し掛けられて、正直鬱陶しく思っていたが、よくよく考えたら自分のことをここまで心配してくれたのは、ヒナギクだけであった。その事に気付いた今のハヤテはヒナギクを邪険に扱いはしない。寧ろ感謝している。
ハヤ(幼馴染みってだけで、こんな僕を心配してくれるんだもんな。僕も『ヒナ』のことを 大切にしないと)
だがやっぱり肝心な所は間違っているのだった。
その後ハヤテは一人でゆっくり食事を取り、ヒナギクに宣言した通り自転車で武偵校を目指して走り出した。武偵校とそこの生徒が住む男子寮・女子寮はレインボーブリッジの南方に浮かぶ南北2q、東西500mの人工浮島(メガフロート)内に同時に建っているため距離は然程無い。今の時間なら余裕で間に合うだろうとゆっくり自転車を漕ぐハヤテの耳に、突如として妙な音声が飛び込んできた。
?『ソノチャリニハ、爆弾ガ仕掛ケテ、アリヤガリマス』
ハヤ(ん?これって……ああ、VOCALOIDだ。最近ネット上で人気の人工音声が作れるやつ)
何故だかハヤテは音声の内容ではなく、音声そのものを先に分析する。だがしかしその天然ボケも束の間、脳内に送られてきた情報にギョッとする。
ハヤ(は?爆弾?何だそれ?何の冗談だ?)
眉を寄せて辺りを見渡したハヤテの視界にとんでもない物が飛び込んできた。ハヤテの自転車の左後ろにマシンガンを搭載したセグウェイ(左右平行に並んだ二輪のみで走る近未来的バイク)が、いつの間にか併走していたのだ。しかもマシンガンの銃口はキッチリハヤテに合わせられている。
ハヤ「な、何だ?!イタズラか?!」
ハヤテは叫ぶがセグウェイからは何の応答も無い。当然だ。そのセグウェイは『無人』であり、本来人が乗るべき場所にはVOCALOIDの音声を発するスピーカーとマシンガンしか乗っていないのだ。
?『助ケヲ求メテハ、イケマセン。ケータイヲ使用シタ場合モ、爆発、シ、ヤガリマス』
突然の事態に混乱しながらもハヤテは自転車のあちこちを片手でまさぐり、見付けてしまった。サドルの裏に妙な物体が着けられているのを。指でなぞった感触だけでは詳しい型は分からないが、どうやらプラスチック爆弾らしい。しかも結構な大きさで、爆発すれば自転車どころか大型自動車でも木っ端微塵にしてしまう様なサイズだ。
ハヤ(マジでかっ?!)
ハヤテは全身に悪寒が走るのを感じていた。嵌められた。そう直感で分かる。これはイタズラ等ではなく、正真正銘の事件だ。しかもこの手口、完璧に『武偵殺し』の模倣犯である。
ハヤ「何でこうなったあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
そして冒頭に戻るのだった。
あれから約5分間、ハヤテはメガフロート内を縦横無尽に走り回っていた。無論ただ躍らせられていた訳ではない。何とか相手の手から逃れるため色々と考えては実行したが、それらの努力も虚しく未だに逃げ回っているのが現状である。
先ず最初にやった事は、単純に相手から逃げることだった。こう見えてもハヤテは常人とは比べ物にならない身体能力を有している。それを活かして自転車を一気に加速させ、一度はセグウェイを撒くことに成功したのだ。しかしホッとしたのも束の間、何とハヤテの目の前の曲がり角から『新たな』セグウェイが飛び出て追ってきたのだ。どうやらセグウェイは最初から数台用意されていたらしい。
そのことに気付いたハヤテは次にセグウェイの無力化を図った。ベルトに装着されているホルスターから拳銃を抜こうとした所で、手の動きが止まった。それは冷静に考えてこちらが圧倒的に火力負けしているからだ。こっちが拳銃なのに対して、向こうはマシンガン。秒間に10発の9ミリパラべラム弾をブッ放すイスラエルIMI社のUZIである。一撃で仕留めないと確実に蜂の巣にされてしまう。
逃げることも出来ない、倒すことも出来ない。まさしく詰んだという言葉がピッタリの状況だった。
ハヤ(クソッ……死ぬのか僕は。こんな所で)
死への恐怖がドンドンと大きくなり、足がガクガクと震える。そして全力で自転車を漕ぎ続けたことによって、もう体力が限界に達しようとしていた。
?『ソレ以上、減速サセヤガルト、爆発、シ、ヤガリマス』
いよいよヤバイ。そう思った時、
ハヤテの目に更に衝撃的な物が飛び込んできた。
グラウンド近くに建つ7階建てのマンション、女子寮の屋上の縁に一人の少女が立っていたのだ。
武偵校のセーラー服、遠目にも分かる長い金髪のツインテール。そんな子が有明の白い月を跨ぐ様にして飛び降りた。
ハヤ(___飛び降りた?!)
少女はツインテールを靡かせ虚空に身を踊らせる。そして屋上で事前に準備してあったのだろうパラグライダーを広げて、あろうことか此方に降下してきた。
ハヤ(なっ!ダメ…)
ハヤテは少女に向かって叫ぼうとした。が、それよりも早く少女が叫んだ。
?「おい、そこのバカ!さっさと頭を下げろ!」
言うや否や、少女は左右の太股に着けたホルスターから、それぞれ銀と黒の大型拳銃を抜くと、セグウェイを銃撃した。
ドウドウドウッ! ガァンガァンズゴァンッ!!
ハヤ(……!上手い!)
通常、拳銃での平均交戦距離は7mと言われているが、少女とセグウェイの距離はその倍以上はあった。しかも不安定な空中から。おまけに二丁拳銃での水平射ち。そんな状況にも関わらず少女の射った弾は全てセグウェイに命中し、反撃する間も無くスクラップにした。半端な腕では無い。
ハヤ(あんな子、ウチの学校に居たのか?)
ハヤテは感心とも尊敬ともつかない心境で宙をフワフワと漂う少女を見つめた。すると少女が、そのまま左右に揺れながら此方へ近付いて来る。それを見てハヤテはハッとする。
ハヤ「来ちゃダメだ!この自転車には爆弾が仕掛けられてる!君も巻き込まれるぞ!」
そう叫んだら、
ゲシッ
頭を踏まれた。
?「バカッ!」
更に罵倒された。
?「武偵憲章1条!『仲間を信じ、仲間を助けよ』。さぁいくぞ!」
そう言うと少女は本来手で操作するブレークコードのハンドルに足首を思いっきり突っ込んで、空中で逆さ釣りの状態になった。それを見てハヤテはまさかと思う。だが今はそれしか方法が無い。
ハヤ(___よしっ!)
ハヤテは最後の力を振り絞って自転車を思いっきり少女に向かって飛ばす。
そしてジャンプし、少女の体に抱き着いた。
運転手を失った自転車は暫く慣性の力で走り続け、やがてバランスを失い地面に転がった。
ドッッッガアアアアアアアアアアアアアンッ!!!!
そして直後に閃光と轟音、爆風が辺りを襲った。
ハヤ「うぐぅ!」
?「きゃあっ!」
二人は抱き合った状態のまま爆風に飛ばされて地面を転がり、7転した辺りで意識を失った。
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Re: カメリア × ブロンド(緋弾のアリアクロス) ( No.2 ) |
- 日時: 2013/06/16 16:18
- 名前: 壊れたラジオ
どうも、壊れたラジオです
いや……デスさんの作品を見てると、 何だか自分の文学センスが物凄く低いレベルの様に感じます……
情景描写の類いとかは本当に分かりやすくて、 クロス小説なのにハヤテのごとくの雰囲気もちゃんとあって……
とにかく僕がこんなことを言うのもおこがましいのですが、とても面白い小説だと思いました
これからも頑張ってください!
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Re: カメリア × ブロンド(緋弾のアリアクロス) ( No.3 ) |
- 日時: 2013/06/20 22:05
- 名前: みっちょ
- わあああああああああああああ!!!!
リクエストを聞いていただきありがとうございます!! か、感動で胸がいっぱいです!! ハヤテ→キンジ ヒナギク→白雪 なんですね!! アリアは誰なのかは・・・ 中の人つながりですね!! 最高です!! デスさんが「ハヤヒナは無理かも・・・」と言っていたのはこういうことだったんですね。 ヒナギクさんが通い妻・・・本命が・・・ ハヤテ君、うらやましすぎます!! ハヤテもアリアも大好きなので本当にうれしかったです! ごめんなさい・・・テンション上がりすぎて頭がおかしくなってます(笑) あと自分の勝手な妄想・・・というかこうだったらいいな・・・と思うのですが・・・ 白雪→ヒナギクだったのはもしかして私がヒナギク好きだからですか? 中の人つながりだったら歩ちゃんがいたのでもしかして・・・と思って・・・ 違ってたらすみません!!
本当にありがとうございました!
これからも頑張ってください!!
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Re: カメリア × ブロンド(緋弾のアリアクロス) ( No.4 ) |
- 日時: 2013/09/09 20:27
- 名前: デス
- 遅くなって申し訳ありませーん!先ずはレス返しから行きまっせ!
○壊れたラジオさん
>>どうも、お久し振りデス!感想ありがとうございます。随分と謙譲的なお言葉ですが…… そんなに卑屈になることはありませんよ。私も『疾風の狩人』楽しく読ませて頂いて おりますゆえ。壊ラジさんも頑張ってください!
まぁでも、私の文学センスが高いということは否定しません(笑)。私結構色々な本読んでます ので。速読力、語彙力、音読力、作文力は並みの人より上だと自負しております(ドヤ)。 謙遜はしませんよ。お褒め頂きありがとうございます。
ということでちょっと調子コキましたが、これからもお願いします!
○みっちょさん
>>わああああああああああああああああああああっ!!どうもデス、みっちょさん! 感想ありがとうございます!いやー、みっちょさんのリクエストに応えた小説なので みっちょさんのお気に召さなかったらどうしようかと思いました。喜んでくださって 何よりデス。
そうですね、ヒナギク → 白雪 としてしまった以上、ハヤヒナは無理かな〜と。原作があれ なんで。中の人繋がりでアユムを白雪にしようかとも思いましたけど、『刀を使う』、 『生徒会長』という二つの特徴からヒナギクに抜擢しました。アユムには別の役割を与えます ので。
まぁみっちょさんがどうしてもというなら無理矢理ハヤヒナにしないこともないです(笑)。
ではでは!これからもよろしくお願いいたします!
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Re: カメリア × ブロンド(緋弾のアリアクロス) ( No.5 ) |
- 日時: 2013/09/09 20:29
- 名前: デス
- 2話 ヒステリアモード
意識の戻ったハヤテが最初に感じたのは背筋に走る痛みだった。
爆風で吹き飛ばされた時、体中を打ったらしく背中を初め、太股、肩、後頭部とあちこちがジンジン熱を帯びていた。ハヤテはその痛みに顔をしかめながら呻いた。
ハヤ「いったぁ………」
呻きながらハヤテは考える。先程の爆弾は『やはり本物』だった。悪戯にしては手が込み過ぎていた為間違いなく事件だとは思っていたが、いざ思い返してみると相当に恐ろしい体験だった。この16年と約5ヶ月の人生の中でこれ程まで『死』というモノを強く感じたのは初めてのことである。
ハヤ(一体誰があんなこと…)
ハヤテは頭を擦(さす)りながら体を起こそうとして、
ググッ ズズズ…
ハヤ「あれ?」
自分にのし掛かってくる重量に気付いた。その正体は先程自分を助けてくれた金髪の少女だった。
ハヤ「え?この娘………!」
この時ハヤテは漸く自分がどういう状態にあるか気付いた。先ずハヤテと少女は武偵校体育館の倉庫、そこにしまわれていた跳び箱の中にスッポリと填まってしまっていたのだ。どうやら爆風に吹っ飛ばされてこんな所まで転がってきてしまったらしい。少女が飛び降りた女子寮の近くにはグラウンドがあり、そのまま体育館が隣接している。あの爆発の威力なら有り得なくは無い距離だが、それにしたって随分と神った顛末である。
だがそんなことは重要ではないのだ。問題はハヤテと少女の体制にある。ハヤテは跳び箱の下の方で背中を地面に着けている状態だ。そして少女は両腕をハヤテの肩に乗せ、両脚でハヤテの脇腹を挟み込んでいる。つまりハヤテの上に全身で覆い被さっている状態なのだ。しかも少女は未だ気絶しているため、ぐったりと全体重をハヤテに預けている。
マズイ。マズ過ぎる。女の子と思いっきり密着してしまっている。普通の男子なら喜んでしかるべしラッキースケベ状態にも関わらず、ハヤテは内心で冷や汗をかくばかりだった。
ハヤ(ヤバイ。ダメだダメだダメだっ!!『こういうの』は禁止なんだ、僕の中では!)
ハヤテは先程までの痛みも忘れてこの状況から直ぐ様脱するため動き出した。兎にも角にも先ずは密着した体を引き離さねばならない。ハヤテは少女の脇腹を掴んで上半身を起こす。すると、
ペロンッ
ハヤ「へ?ぇいっ?!///」
何とハヤテの頭に少女の制服の裾(すそ)が引っ掛かって捲れ上がり、ブラジャーが露になってしまったのだ。少女が全体的にハヤテの上半身に凭(もた)れ掛かっていた為に発生したラブコメ展開だが、当のハヤテは顔を紅くしてあんまりな事態に呆然としている。本来ならさっさと顔を逸らすべきなのだが、まるで金縛りにあった様に首が微動だにしなかった。
理由は単純、少女が余りにも可愛い為、見惚れてしまっているのだ。
鮮やかで何処か幻想的な印象を抱かせる金髪、未発達な四肢と体躯、あどけない寝顔。大人の女性の魅力とは違う、少女特有の『未完成が故の美』。それを体現したかの様な女の子だった。
ハヤ(_____ヤバイ、可愛い。マジで可愛い)
ハヤテの脳味噌からは既に顔を逸らすという選択肢が消えていた。文字通り見入ってしまっている。そんなハヤテの視界に更なる情報が入ってきた。
ハヤ(?名札?)
少女の着ている制服の裏に名札が付いている、が倉庫の中は暗く書いてある文字が見えない。ハヤテはそれを読み取ろうと顔を少女の体に近付ける。
ハヤ(三千院・H・凪___)
ナギ「変態ーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」
ハヤ「へ?」
ハヤテが名札の文字を読み切った瞬間、妙に幼さの残る甘ったるい声が大音量で倉庫に木霊した。ハヤテは頭を少し引いて制服の裾から出すと上を向いた。そこには顔を真っ赤にして此方を射殺さんとばかりに睨み付ける少女、ナギがいた。どうやらたった今目を覚ましたらしい。
オワタ\(^o^)/
そんな電波をハヤテの脳は受信していた。
シュバッ ガツンッ
ハヤ「痛っ!」
ナギは即座に自身の制服を下ろすとハヤテの脳天を思いっきり殴り付けた。
ナギ「この痴漢!恩知らず!!人でなし!!!」
ハヤ「わ、ちょ、待ってください!わざとじゃ…」
ポカポカポカポカポカポカポカポカポカポカッ!
ハヤテは頭を片手で庇いながら弁明(というか言い訳)をするがナギは聞く耳を持たず両手でハヤテの頭を叩き続ける。が、それは至極当然のことだ。起きてみたら先程命懸けで助けてやった男が女である自分の服の中に頭を突っ込んでいるのだ。そりゃ『変態の恩知らずの人でなし』である。
不味いことになったな、とハヤテが内心困っていると、
ズガガガガガガガガガガガガガンッ!!!
ハヤ・ナギ「「?!」」
もっと困ることが起きた。
ナギ「さっきの二輪!まだ居たのか!」
ハヤ「え、まだって…」
ズガガガガガガガガガガガガガンッ!!
頭だけを跳び箱から出して外の様子を見たナギの言葉にハヤテが反応すると再び激しい銃撃の音が響いてきた。そういえばとハヤテは思い出す。先程の逃走劇中、自分を狙ってきたセグウェイは複数だったと。一台はナギに破壊されたが、恐らくその他の残りが追ってきたのだろうと考え至った。
ナギ「いかん、このままでは袋の鼠だ!」
そう言いながらナギは二丁の拳銃を抜くと跳び箱の外に向けて発砲する。しかし相手はマシンガン、それも複数。余りの火力差に頭を引っ込めるしかなかった。
ナギ「くそ!おい、お前も戦え!仮にも武偵校の生徒だろう!」
ハヤ「ちょ、無茶言わないでください!こんな体勢でこんな狭い跳び箱の中どうしろと!」
ナギ「向こうは7台だ、このままじゃ火力負けしてしまうぞ!言い訳しても誰も助けてくれん!」
ハヤ「そんな___」
ナギの言葉にハヤテは軽く絶望する。幸い日常的に拳銃を扱う武偵校の物は殆(ほと)んどが防弾製であり、この跳び箱も例外ではない。そのため今は何とか命拾いしているが、このままでは直ぐに破られてしまう。そんな僅かな時間でこんな狭い跳び箱の中から一体どうやって反撃しろと言うんだ。
分からない。どうすればいいのか、今の自分じゃ何も分からない。
ハヤテがそうやって思考の渦に呑み込まれていると、
ガァンガァンッ! ムギュッ
ハヤ「っ!!」
ハヤテの顔に思いっきりナギの胸が押し付けられた。跳び箱の隙間から拳銃を射ってセグウェイを狙った為、前屈みになり偶然そうなったのだが、
ハヤ(_____ああ、これはアウトだ)
ハヤテは顔を紅潮させながらそう思った。直に触れてしまったのだ、女の子の胸に。ナギの体は小学生と言われても全然通じる程に未発達な、所謂幼児体型というやつだ。胸の膨らみだって雀の涙程しかない。だが、それでも女性特有の柔らかさと甘い香りを持っている。それを顔面で受け止めたハヤテは自身の体内に生まれた『ある感覚』を感じていた。
体の芯が熱く、堅く、膨らんでいくような_____言い様の無い高揚感。
火傷しそうな程熱くなった血液が体の中心に集まっていく。
ドクッドクッドクッドクッドクドクドクドクドクドクドクドクドク_____ドクンッ!
___ああ、なってしまった。『ヒステリアモード』に。
ガァンッガァンッガキンッ!
拳銃が弾切れの音をあげたのを認識したナギは身を屈めて弾倉を差し換える。
ハヤ「やりましたか?」
ナギ「射程圏外に追い払っただけだ。並木の向こうに隠れたが、直ぐに出てくるぞ」
ハヤ「強い子だ。それだけで十分だよ」
ナギ「……は?」
ナギの応えを聞いたハヤテは突然口調がクールになった。ナギが怪訝そうに眉を寄せるのも構わず、次の瞬間ハヤテはナギを『お姫様抱っこ』していた。
ナギ「ひゃうっ?!/////」
ハヤ「ご褒美に、少しの間だけ、お姫様にしてあげるよ」
ナギ「〜〜〜〜〜?!?!////////」
ああ………やっちゃったな。
自分の発した、聞いている方が恥ずかしくなりそうなくらいキザなセリフと嘘みたいに明るく爽やかな笑みに、ナギが顔を再び真っ赤にしたのを見て、ハヤテは内心でほんの一瞬だけ苦笑した。
グ… トンッ
ハヤテは跳び箱の縁に片足を掛けると倉庫の端まで一足で跳び、積まれたマットの上にナギをちょこんと優しく座らせた。
ハヤ「姫はここでごゆっくり。硝煙の臭いにまみれるのはオレだけで十分だ」
ナギ「な、ななな……お、お前一体どうしたんだ?!///頭打ったのか?!///」
ハヤテの余りの豹変ぶりにナギは目をパチパチ、口をパクパクさせながら慌てた声をあげる。ハヤテはそれに取り合わず倉庫の入口に向かう。
ナギ「!待て、撃たれるぞ!」
ハヤ「ナギが撃たれるより全然良いよ」
ナギ「だ、だからお前はさっきから何を急にキャラを変えているんだ!///一体何をする気なんだ!」
ハヤ「ナギを、守る」
首だけナギの方に向けてウインクしながらハヤテはそう告げた。その時ちょっとだけ星が光った様な錯覚をナギは抱いていた。
倉庫の入口に辿り着いたハヤテは無防備にも右手をダラリと下げ、左手をズボンのポケットに突っ込むというリラックスし切った状態で仁王立ちした。相手と自分の間に何の遮蔽物も無い場所で油断し切っている敵を狙わない馬鹿は居ない。7台のセグウェイは並木から出てくると一斉にハヤテへ向かって発砲した。
ズガガガガガガガンッ!!
だがそれでもハヤテは全く動じないし慌てない。だって『視えている』のだから。
『ヒステリアモード』になった今のハヤテには銃弾の軌跡も、照準も、全ての動きがまるでスローモーションの様に視えてしまっているのだ。
ハヤ(へー、全弾オレの頭目掛けて寸分の狂い無く飛んでくるとは、中々良い造りしてるな)
ハヤテは余裕の有り過ぎる思考で冷静にそう分析すると、マトリックスよろしく体を思いっきり逆海老反りさせて銃弾を全て躱す。と、同時にホルスターから拳銃(ベレッタ・M92F)を抜いて流れる様な動作で右から左へと腕を動かし、射った。放たれた銃弾は7発。それらの行き先は目で見るまでもなく分かっている。全ての銃弾は寸分の狂い無く7台のセグウェイに乗せられているマシンガンの銃口に吸い込まれていき、
ガバズガォォォンッ!!!
暴発させた。圧倒的火力を誇るUZI達は拳銃の放った、たった7発の銃弾であっさりと無力化されたのだ。
ハヤ「おやすみ」
粉々になったセグウェイとマシンガンの残骸を一瞥してハヤテはそう呟いた(やっぱりキザっぽく)。そして倉庫の中に戻るとナギが立ち上がって此方を見ながら驚愕の表情を浮かべていた。目の前で起こった神業とも云うべき事象が信じられないという感じだ。ハヤテはナギの2メートル程前にやって来ると再びニコッと爽やかに微笑んだ。それを見たナギは我に帰った様にハッとなるとそっぽを向いて腕を組んだ。
ナギ「れ、礼はいわんぞ。あんなオモチャくらい私一人で何とか出来た」
ハヤ「だろうね。君の腕ならそれも十分可能だっただろう。でも可憐な姫君を弾丸風雨の中に晒す なんて真似をしたくなかったからね。ちょっとお節介を焼いたのさ」
恐ろしい程のジゴロ発言にナギは本日三度目の赤面と相成った。だが直ぐに何かを思い出した様にハッとなる。感情表現豊かだな、とハヤテはこれまた冷静に思う。
ナギ「お、お前、これでさっきの件をチャラにしようとしたってダメだからな!あれは強制猥褻! 歴とした犯罪だ!」
何のことだい_____なんてすっ惚ける事は出来ない。間違いなく先程の跳び箱での事だろう。
ナギ「わ、わわ私が気絶している間に…ふ、ふ、ふ、ふ、服をっ!!///脱がそうとしていた だろうがっ!!!/////それにそれに!!む………む……む、む、む、む、む、胸ぇ!!! 見てたぁっ!!!!///////」
怒りと羞恥を発散する様に地団駄を踏みまくりながらナギは大騒ぎする。顔はもうこれ以上無い程に紅くなり、冗談抜きで爆発しそうだった。
ハヤ「……ナギ、それは悲しい誤解だ。あれは不可抗力の事故ってやつだよ」
ナギ「ふ、不可抗力だと?!」
ハヤ「そう、あの爆発で吹っ飛ばされた時もみくちゃになってあんな体勢になってしまったんだ。 オレも起きた時は驚いたよ」
ナギ「嘘つけ!だったら何であんな奥まで顔を突っ込んでいた!!///」
ハヤ「…………………………………………………………………………」
不味い、とハヤテは思う。間が空き過ぎてしまった。これでは今更何を言っても説得力が無い。というかよくよく考えたらあの時自分がしていた行為は変態以外の何者でもなかった。切っ掛けは間違いなく事故だが、途中からはガッツリ見てしまっていたのだから。
ナギ「や、やっぱりそうなんだな……(激怒)」
するとハヤテの沈黙を肯定と受け取ったナギからゴゴゴゴゴという擬音が聞こえそうな程の怒気と殺気が放たれ始めた。本格的にヤバイと思ったハヤテは取り敢えず口を開く。
ハヤ「あーいや、違うんだナギ…」
ナギ「問答無用!!っていうか呼び捨てするな!!」
バギュバギュンッ!
ハヤ「!」
ハヤテは反射的に後ずさった。それと同時に足下に二発の銃弾が撃ち込まれる。
ハヤ(ヒステリアモードのオレが反応できないなんて…なんつー早抜き)
ハヤテが感心している間にもナギは二丁拳銃の照準をこちらに向けている。それを確認したハヤテは敢えて接近する。足を思いっきり踏ん張り、爆発的なスタートダッシュでナギに肉薄すると両脇でナギの両腕を挟み込む。
ガンガンカチンッ
ナギの拳銃から弾切れの音が響いたのを認識したハヤテはホッと一安心___出来なかった。
ググ…
ナギ「んん…たぁ!」
ブォワン!
ハヤ「なっ?!」
ナギは先程のハヤテ並みに深い逆海老反りをすると、バックドロップもどきの様な技でハヤテを後方に投げ飛ばした。
ハヤ(この娘、徒手格闘も出来るのか?!)
ハヤテは転がる様に受け身を取るとそのまま倉庫の外に転がり出た。
ナギ「逃がさんぞ!私は逃走する犯人を取り逃がしたことは一度も………あれ?」
ナギは拳銃を握ったままの両手でスカートの中をまさぐる。銃弾を再装填する為に弾倉(マガジン)を探しているのだろう。だがそれは、
ハヤ「これかい?」
先程組み合った時、既にハヤテが抜いていたのだ。
ナギ「あ!お前いつの間に!」
ハヤ「ごめんよ」
ポーーイ
ハヤテは手首だけを軽く動かして弾倉を並木の向こうに放り捨てた。それを見たナギは拳銃を握ったままの両腕をブンブン振り回して怒りを現す。
ナギ「もう!許さん!跪いて泣いて謝っても、絶対に!許さん!」
ナギは二丁拳銃をホルスターにぶち込むとセーラー服の背中に両手を突っ込んだ。そこから取り出したのは、
スラァッ……シャン
二本の刀だった。
ハヤ(二丁拳銃、徒手格闘技、今度は二刀流か)
ハヤテは最早感心を通り越して呆れさえ感じていた。どんだけハイスペックなんだこの娘。瞬間、ナギは跳躍しハヤテに向かって刺突を繰り出す。ハヤテはやはり慌てず身を捻ってそれを躱すとバックステップしてナギから距離を取ろうとするが、ナギは追撃の手を緩めない。
ナギ「強猥男は神妙に___んみゃあ!」
ドテッ
だがその追撃がハヤテに届くことはなかった。ハヤテは先程ナギから盗った弾倉に入っていた弾を辺り一面にばら撒いていたのだ。地面に転がるそれらを踏んだナギは漫画でしか見たことのないような可愛い奇声と見事なズッコケを披露した。
ナギ「ぬく、ぉんの…ぅおむにゃあ!」
立ち上がろうとするも再び銃弾を踏んですっ転ぶナギ。その隙にハヤテは並木の向こう側の道路まで逃げ延びていた。
確かにナギは常人離れした戦闘能力を持っている。だが今は怒りと羞恥で冷静さを欠いている状態だ。対するハヤテは『ヒステリアモード』。例え1万人のFBI捜査官が相手でも逃げ延びることが出来るのだ。
ナギ「この卑怯者!デッカイ風穴、空けてやるーーーーーーーーーーー!!!」
ナギの雄叫びが人工浮島(メガフロート)に響き渡った。
これが後に、『緋金(あかがね)のナギ』として世界中の犯罪者を震え上がらせる鬼武偵、 『三千院・H・ナギ』と、そのパートナー『綾崎ハヤテ』の、
硝煙の臭いにまみれた、最悪の出逢いだった。
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カメリア = 緋(赤紫) ブロンド = 金髪 タイトル通りでしょ?
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Re: カメリア × ブロンド(緋弾のアリアクロス) ( No.6 ) |
- 日時: 2013/09/12 16:29
- 名前: みっちょ
- ナギちゃんキター!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
あ、すみません。とり乱しました・・・みっちょです! 2話をずっと待ってました! 『三千院・H・ナギ』 『緋金(あかがね)のナギ』 違和感ゼロですね! アリアのアニメの風景がハヤテとナギになって頭の中に鮮明に浮かび上がってきました! 「ぬく、ぉんの…ぅおむにゃあ!」 くぎゅうボイスしっかり脳内再生させていただきましたよ! 萌えさせていただきました!! ハヤテのヒステリアモードというのも新鮮な感じがしてすっごく楽しみです! あ、無理にハヤヒナにしなくてもいいですよ(笑) むしろこのまま頑張ってください! 応援してます!!
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Re: カメリア × ブロンド(緋弾のアリアクロス) ( No.7 ) |
- 日時: 2013/09/14 18:08
- 名前: デス
- どうもデス。レス返しいきましょう。
○みっちょさん
>>感想ありがとうございます!ホント3ヶ月も待たせてしまって申し訳ありませんでしたっ!!! はい、ナギが本格登場です。萌えて頂けたなら幸いです!違和感無しと言って頂けて嬉しい です。何となく『緋弾のナギ』だと語感がなぁ……って思ったのでこういう称号になりました。
タイトルの『カメリア × ブロンド』 = 『緋色 × 金髪』で、『緋金のナギ』ということですね。
そしてハヤテのヒステリアモード、結構悩んだんですが最終的にヒスった時の一人称は『オレ』 にしました。やっぱり『僕』よりもクール度が上がるんで。紳士的でカッコイイハヤテをこれ から書けていきたいと思います。
もし文章がくどくて読みにくいとかあったら遠慮せずご指摘ください。それではっ!
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Re: カメリア × ブロンド(緋弾のアリアクロス) ( No.8 ) |
- 日時: 2013/09/14 18:09
- 名前: デス
- 3話 早過ぎる再会
『武偵(ぶてい)』とは、凶悪化する犯罪に対抗して新設された国際資格で、この武偵免許を持つ者は武装を許可され逮捕権を有する等、警察に準ずる活動を行うことができる。ただし警察と違って金で動き、武偵法の許す範囲ならどんな仕事でも請け負う、むしろ便利屋といった感じだ。
そして現在ハヤテが居るのは『東京武偵高校』。学園島とあだ名される人工浮島(メガフロート)内に建つ武偵を育成するための総合教育機関だ。
そんな『普通』とは一線を画す学校に在籍している綾崎ハヤテは現在、
ハヤ「…………………………(ズウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン)」
新しいクラスの新しい自分の席で突っ伏しながら負のオーラをこれでもかと云うほどに纏っていた。
ハヤ(ああ………またやっちゃったよ……どうしよ)
ハヤテはこれまでの人生でもう何百回目かという後悔をしていた。後悔の内容は約1時間前、ナギの目の前で『ヒステリアモード』になってしまった事である。
ヒステリアモードとは、正式名称『ヒステリア・サヴァン・シンドローム』という綾崎家の人間が持つ特異遺伝系体質のことである。この体質を持つ人間は一定量以上の恋愛時脳内物質(βエンドルフィン)が分泌されると、それが常人の約30倍もの量の神経伝達物質を媒介し、大脳・小脳・脊髄といった中枢神経系の活動を亢進(こうしん)させ、論理的思考力・判断力・反射神経等の能力が飛躍的に向上する。
つまり分かりやすく要約すると、この体質を持つ人間は『性的に興奮すると』一時的に人が変わった様なスーパーモードになれるのだ。
ハヤテは自らの持つこの体質を嫌っている。いや、憎んでさえいた。理由は多々あるが大まかに分けると3つある。
1つ目は単純に無茶苦茶恥ずかしいからだ。本来男には子孫を残すために女性を護る時多少パワーアップする本能があり、ヒステリアモードとはこの本能が異常に発達したものなのだ。そのため、ヒステリアモードになった男は『女性に対してとんでもなく甘くなってしまう』のである。困っている・ピンチに陥っている女性を目にすると何がなんでも助けたくなってしまい、オマケにその際女性に対してキザな言動を取ってしまうのだ。これは前述の通りヒステリアモードの大本にある子孫を残すという本能が働き、女性に対して魅力的な男を演じてしまうからだ。優しく接する、誉める、慰める、然り気無く触る、甘い言葉を投げ掛けるetc…という様に後から思い出す度死にたくなる様な、とんでもないジゴロキャラになってしまうのである。普通の感性の持ち主でも相当恥ずかしい行いだと云うのに、そこに来てハヤテは小学生並みの情緒しか無い、スーパー純情、草食系男子なのだ。ヒステリアモード後の精神的ダメージがどれほどのモノかは想像に難くない。
2つ目にハヤテは以前この体質を女子に利用されたことがあるからだ。中学の頃、モノの弾みで同級生達に体質のことがバレてしまい、それ以来女子達がハヤテを利用する事を覚えてしまったのだ。大半の場合は困った事があると真っ先にハヤテを頼る、面倒事を押し付ける、わざと『ヒスらせて』からかう等軽い雑用の範疇を出なかったが、時にはセクハラしてきた教師を退治させたりと、とんでもない事をやらされたりした。元来気ぃ遣いのハヤテはそれらの頼みを断り切ることが出来ず、結局中学に在籍中は女子達の間で『正義の味方』として祭り上げられてしまったのだ。そのため女性の前でこのモードになる事をハヤテは嫌っていた。
………実の所ハヤテを利用していた女子は全員ハヤテに『堕とされて』おり、何かとハヤテをヒスらせていたのは積極的になったハヤテとスキンシップしたいというのが本当の狙いだったのだが、その事をハヤテは知る由もない。
そして3つ目、これがハヤテがヒステリアモードを憎む最大の理由だ。
ハヤテの兄、綾崎戦(あやさきいくさ)はこの力のせいで破滅したのだ。
?「おーいハヤテ」
ハヤ「!」
昔のことを思い出しかけていたハヤテに突然右斜め後ろから声が投げ掛けられた。おもむろに声のした方を振り向くと、そこには見知った顔が居た。
ハヤ「…コテツくん」
コテ「よう、相変わらず暗い奴だなー。新学期からそんなテンションじゃ1年経つ頃にゃ地球の 中心核までテンションがめり込んじまってるぞ」
ハヤ「言ってる意味が解りません」
瀬川虎鉄(せがわこてつ)、それがハヤテに声をかけた男子生徒の名だ。白髪のツンツン頭をした美形で乗り物なら何でも運転できる車輌科(ロジ)Aランクの優等生である。ハヤテが強襲科(アサルト)に居た頃は良く現場まで運んでくれた親友でもある。が、極度の乗り物オタク故に女子と会話の波長が合わず、中々モテない残念なイケメンだ。
コテ「まぁ要はあれだ、無駄にテンション低いと不幸な目に遇うぞってことだ」
ハヤ「僕はテンションに関係無く四六時中不幸ですよ」
コテ「…おい、ホント今日はどうした?テンション低いだけじゃ飽きたらずオーラまで荒(すさ)み 切ってるぞ」
ハヤ「…朝っぱらからドンパチに巻き込まれたらそりゃ荒みもしますよ」
そう言ってハヤテはコテツから顔を逸らす。と、逸らした視線の先で女子三人が楽しそうに談笑しているのを見て再び顔を戻した。ハヤテは思わず溜め息を吐く。
武偵校では常に拳銃と刀剣の携帯を義務付けられており、女子生徒の大半は太股のレッグバンドにそれらを装備している。そして緊急時素早く武装を抜けるよう、スカートがメチャクチャ短いのだ。何かの拍子に、何の心構えもしていない状態でそれの『内側』を見てしまったらヒスる可能性が無きにしもあらずなのだ。なのでハヤテは極力女子を視界に入れない様にしている。彼女達は常に、自分にとっての『爆弾』をスカートやブラウスの内側に隠し持っているのだから。
コテ「そーいやお前今日来るのやけに遅かったな。何かあったのか?」
ハヤテはあの後ギリッギリで始業式に滑り込んでいたのだ。ヒナギクと約束してしまった以上、遅刻することだけは何としても避けたかったが故の、執念の結果だった。
ハヤ「……話したくないです」
コテ「…あ、そう……」
ハヤテの余りの憔悴っぷりにコテツは引き下がった。と云ってもコテツの席はハヤテの隣なのでそのまま腰を下ろしただけだが。程無くしてチャイムが鳴り響き、それと同時に担任の先生が入ってきてHRの時間となった。ハヤテが在籍することになった2Aの担任は牧村志織(まきむらしおり)、白髪のロングで眼鏡を掛けた探偵科(インケスタ)の主任で何故武偵校(こんなところ)に居るのか疑問に思われるほどおっとりした人物である。
シオ「はい、皆さんおはようございま〜す。今日から新学期、まだお休み気分が抜けていない人も いるかもしれませんが怠けることなく、己を磨いていってくださいね〜」
牧村先生の呼び掛けに対する生徒の反応は概ね良好だった。先生のおっとり加減に、可笑しそうに笑いながら返事をする者もいれば、苦笑気味に相槌を打つ者もいた。コテツは前者でハヤテは後者だったが。
シオ「さてと、実はですね〜、今日このクラスに転入生がやって来ます〜。皆さん仲良くして あげてくださいね〜」
牧村先生の言葉に生徒達は一斉に騒ぎだした。女子なのか男子なのか、ランクはどれくらいなんだ等普通の反応から普通じゃない反応まで様々だった。が、しかしハヤテだけは先生の言葉を聞いた瞬間とてつもなく嫌な予感がしていた。この約16年の歳月で幾度と無く不幸な目に見舞われ、その度に否が応でも磨かれてきた危機察知能力。それが警鐘をあげていた。そして数秒後、その予感は的中する。
ガララッ
ナギ「三千院・H・ナギだ。よろしく」
その姿と声を確認した瞬間、ハヤテの表情が一変した。目からはハイライトが消えて僅かに見開かれ、口が少々、いや、かなりしゃくれ気味に開かれた。余りにもあんまりな絶望を突き付けられ、顔の筋肉が強張ってしまった様な、そんな感じだった。
すると唐突にナギと目が合った。流石に愛想笑いを浮かべられる様な間柄ではなく、どうすれば良いのかと沈黙していると、
ナギ「先生。私あいつの隣に座りたい」
ハヤ「?!」
クラスメート「「「?!」」」
何故かナギが此方を指差してそんなことを宣(のたま)った。当然ハヤテは困惑し、クラスメートも全員一斉に此方を見てきた。
ハヤ「な、なんで……」
男子42「おい、どういうこった?!」
男子70「ハヤテの奴、女に興味無さそうな顔してたくせに、あんな可愛い娘と?!」
女子16「ハヤテくん、生徒会長というものがありながら!」
女子44「意外とプレイボーイだったの?!」
女子10「不潔っ!!!」
ハヤテの呟きはクラスの皆の喧騒に掻き消された。ハヤテの近くの席の者達はハヤテに詰め寄り、席が遠い者はそれぞれに様々な憶測を走らせる。ハヤテはクラス(というか武偵校唯一)の良心である牧村先生に視線で助けを求めるが、
シオ「あらあら、最近の娘は積極的ですね〜〜♪」
なんて言って全く場を収める気が感じられない。
コテ「よ、良かったなハヤテ!お前にも遂に春が!先生、オレ転入生さんと席替わりますよ」
遂にコテツまでもがこんなことを言ってきた。いい加減自分で何とかしなくてはと、ハヤテが口を開きかけた時、
?「ちょっとハヤテ!一体どういうことですの!!」
バンッ!!
ハヤテの左隣(コテツは右隣)に座っていた女子生徒が両手で机を叩きながら立ち上がりハヤテを睨んだ。その女子はナギと同じ鮮やかな金髪を黒いリボンでポニーテールに纏め、制服の上からでもハッキリと分かる程たわわに実ったバストを持つ、まさしく美少女と呼ぶに相応しい人物だった。その少女の声を聞いたハヤテはいよいよ頭痛がしてきた。
?「私(わたくし)というものがありながら他の女に手を出すなんて……信じられませんわ!」
ハヤ「ちょ、待ってくださいアテネさん…」
アテ「アテネさんじゃなくて『アーたん』と呼びなさいっ!!」
この女子生徒は天王州(てんのうす)アテネ。ハヤテと同じ探偵科(インケスタ)Aランクの優等生である。1年前の東京武偵校入試の際、『とあるハプニング』でヒスったハヤテに一目惚れしてしまい、以来ハヤテに度々アプローチを仕掛けている恋する乙女だ。
因みにアーたんというのはヒステリアモード時のハヤテに呼ばれた渾名である。
アテ「只でさえ…只でさえヒナという強敵が居るのに更にあんな可愛い娘まで………一体何人女性を 侍らせれば気が済むのですか貴方は!まさかとは思いますけど本気でハーレムを創る気じゃ ありませんわよね?!」
ハヤ「いやいや人聞き悪いこと言わないでくださいよ!大体僕が何時女の子を侍らせたって 言うんですか!」
アテ「……………本気で言ってますの?」
ハヤ「ええ」
ハヤテはキッパリと言い切った。
アテ「…………………………(ズーン)」
それを聞いたアテネはガクリと膝を地に着いた。アテネは確かに恋する乙女だ。意中の相手に何度もアプローチを行う程に積極的な。だがそれらのアプローチもこのクソ鈍感男には全く以て効果が無く、出会って1年経つというのに未だ『ただの友人』の域を出ない状態だ。ホントこの男はわざとやってるんじゃないかというレベルだ。意気消沈するアテネに数人の生徒が駆け寄って慰めの言葉をかける。
コテ「ハヤテ……お前って奴はホント……」
ハヤ「え?え?何ですか?」
訳が分からないとばかりに狼狽える親友を見ながらコテツはホント一発殴ってやろうかと思案する。
その時、
バギュンバギュンッ!!
銃声が二回鳴り響いた。
撃ったのは何時の間にか存在を忘れられていたナギである。ナギは二丁拳銃を持ったまま少し紅くなった顔で教室の後ろに群がるクラスメート達(の中心に居るハヤテ)を睨みつけた。
ナギ「れ、恋愛なんてくだらん!//いいか!そういうくだらんことを言う奴は、
風穴空けるぞっ!!」
これが三千院・H・ナギと、2Aのみんなとの最初のコミュニケーションだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
短くてゴメンね。 次回はたぶん番外編。
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Re: カメリア × ブロンド(緋弾のアリアクロス) ( No.9 ) |
- 日時: 2013/09/18 23:36
- 名前: みっちょ
- ア・・・アテネちゃんが理子たん役!?
さ、最高の配役じゃないですか!! 理子たん役であればハヤテにあんなことやこんなこと・・・ ごほん・・・失礼しました。つい本音が・・・ この中でこてつとハヤテは友達なんですね! 珍しい配役ですが新鮮な感じがしてとってもいいです(笑) 次回は番外編なんですね! 楽しみに待ってるのでむりせずがんばってください! 応援してます!!
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