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Ruka's root
日時: 2013/05/25 02:36
名前: プレイズ

初めまして。プレイズといいます。
初めての投稿になるので、最初に何て書けばいいのかよくわかっていませんが、どうぞよろしくお願いします。


今回書くのはルカのお話です。
あんまりちゃんとした文章が書けないかもしれませんが、どうぞ見てやってください。



※※(11/25記述)誠に申し訳ありませんが、こちらの小説の更新を一時停止させていただきます。
理由は>>13に記させてもらってます。
勝手を言ってすみませんが、しばし更新を停止させていただくことをご容赦ください。





=====================



広々としたスタジオに、懸命に動く一人の幼い少女の姿があった。


少し横に跳ねている水色の髪を揺らしながら、息を乱して踊っている。


「はっ、はっ……!」


短く息を吐いて、曲に合わせてステップ。


彼女は小さな手足を必死に動かして、何とか教えを物にしようとしている。


少女は今、レッスンを受けている最中だ。


名のあるコーチの指導の下、プロのダンススキルを身に着けるために日々練習に励んでいた。



彼女は名をルカという。


父は一発屋のロック歌手。母はB級アイドル。


彼女の両親は共に芸能界で輝く事が出来なかった苦い人生を歩んできた。


そんな2人の間に生まれたルカは、少し質素なさびれたアパートに両親と共に暮らしている。


彼女の生活は毎日厳しいレッスンの日々だ。


まだ入学前の幼い年だというのに、彼女には過酷な訓練が課されていた。


ルカにかける両親の期待は大きく、一流のアイドルへ成長させるために、2人は出来うる全てのカリキュラムを彼女へ受けさせた。


そこには多額の投資がなされていた。


無理な金の使い方をしたため家計は苦しくなり、ついには借金を負うまでになってしまった。


しかし、両親は借金をしてまでも、娘への投資をいとわなかった。


全てはルカを1流のアイドルにするため。


自分たちが打ちひしがれてきた壁を、自分たちの生んだ子で超えることが彼らの望みだった。



「ステップのスピードが遅い!もっと速く動きなさい!」


「は、はいっ!」


室内に鋭い声が響く。


ルカは今、スタジオにてダンスの基本レッスンを受けている最中だ。


コーチの指導の下、足さばきと手を使った身のこなしを身に着ける練習をしている。


「腕の振り上げが全然出来てない!あなたやる気あるの!?」


「……!す、すみません、」


英才教育のため、コーチの指導は厳しい。


毎日彼女は叱られていた。


「やる気がないのならもういい。ここでレッスンはお終いよ」


「え……、、」


「後は好きになさい。速やかに家に帰ればいいわ。あなたへの指導もこれで終了ね」


コーチは椅子から腰を上げて部屋から出ようとする。


ルカは慌てて言った。


「す、すみません!やる気はあります!レッスンを受けさせてください!」


「へえ、なら何であんな体たらくな動きしか出来ないのかしら?」


「っ……、、」


冷たい指摘に言葉をつまらせるルカ。


「口先で弁解しようと、動きがあんなでは全く説得力がないわね。私はそういう人間には英才の教育を授けたくはないの」


はあ、とウザったそうなため息をついてコーチは言い放つ。


「もう一度言うわよ。やる気がないのなら今すぐに帰りなさい。ここにいられても迷惑なだけだから」


「………」


ルカは何も言えなくなり、押し黙る。


懸命にレッスンを受けているつもりなのに、非難されるばかり。


だが、確かにコーチの言う事も一理あった。


内心では全力を注いで励んでいるとは言えなかったかもしれない。


……それは、つまり自分に落ち度があったという事だ。


「す、すみません……すみません…!」


目に涙を浮かべて彼女は詫びる。


「私の気持ちが……足りませんでした、、、!」


心のどこかに甘い部分があった。


それが動きの緩慢さ・キレのなさに繋がっていたのだろう。


それを自覚したルカは、心の底からごめんなさいとコーチに謝る。


涙を流しながら。


「私に……もう一度レッスンを受けさせてください!」


「……ふん。なら普段からちゃんと本気でやる事ね。いいわ、続けなさい」


ルカの必死の懇願を聞いて、コーチは椅子に座り直す。


どうにか見捨てられずに済み、彼女は安堵した。


「ありがとうございます!」


深くお辞儀をしてコーチへお礼を言う。


彼女はいつも律儀に全力でアイドルになるために励んでいた。


その真摯さの元は、両親の期待に応えるため。


お父さんとお母さんが叶えたかった、夢を私が叶える―


そう彼女は思いながら毎日を過ごしていた。

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Re: Ruka's root ( No.1 )
日時: 2013/05/27 01:17
名前: プレイズ

ルカはその日のレッスンを終えて、帰宅の途に就いた。


少し疲れた様子で彼女は通路を歩いていく。


終日レッスンに費やしているため、結構へとへとなのだ。


「早く家に帰ろっと」


玄関口から出た彼女は駐車場へと向かう。


駐車されている車群の中の一台を見つけると、ルカはその車の元へ歩み寄った。


ウインドウ越しに若い青年がこちらを見て微笑んでいる。



「ふぅ〜疲れたぁ……」


ルカはドアを開けて、迎えの車に乗った。


送迎役の父が彼女を迎える。


「おかえり。じゃあ帰ろうか」


気さくに言って、父は車を発進させた。


スタジオの駐車スペースから出ると、車は一度左折して大通りへと入っていく。



車を運転しているのはルカの父だ。


彼女は普段は母にバスで送り迎えをしてもらっているが、休みの日曜日はいつも父が車で送迎してくれている。


ルカの父は元一発屋のロック歌手。


彼は独特の髪型をしていて、分かれている髪が所々巻いたようにカールしていた。


ルカの横に跳ねた髪も、父のこのくせっ毛譲りである。



「ご苦労だったなルカ。今日はどうだった?」


「うん……また怒られちゃった」


「そうか」


疲弊気味に力なく述べる娘に、父は言った。


「だがそれは良い事だ。厳しいのはそれだけレッスンの質が高いということでもある」


「………」


「お前が一流のアイドルになるために、このレッスンは受けて必ずためになる。パパはそう思う。だから、辛いだろうけど頑張りなさい」


父の言葉に、ルカは少し間を置いてから答えた。


「……うん。私、へこたれずに頑張る」


「よし。それでこそパパ達の娘だ」


彼女に誇らしく微笑んで、父は嬉しそうに言った。


ルカは本当は弱音を吐きたかった。


だが、それは出来ない。


父が期待をかける一流の頂に立つ事を目指す人間が、そんな事を言えば父はどう思うだろう。


娘に対して失望するはずだ。


両親たちが成し遂げられなかった偉業を叶える事を一心に託されている自分が、そんな事を言ってはいけない。


彼女はそう子供心に思っていた。




家に帰って晩の食事を終えたルカは、30分ほど居間で休んだ後、すぐに布団で横になった。


一日のほとんどをダンスレッスンに費やしてきたため、体力はほとんど残されていない。


まだ小さい体にはしんどいスケジュールだ。


「一日ご苦労様、ルカ。ゆっくり休みなさい」


「うん、そうする…」


母が優しい言葉をかけてくれる。


眠たげなルカを見て、彼女は労わるように睡眠を促した。



彼女も父と同じく元芸能人のB級アイドルである。


ルカの母はアイドルとして売れずには終わったが、さすがに元アイドルだけあって容姿はなかなかに良く、美人の部類だった。


髪型は小奇麗なショートカットで、目立ちはしないが可憐な印象を見受けさせた。


ルカの髪型の基本形も、その母の物を受け継いでいる。



「おやすみなさい、パパ・ママ」


眠そうな声でそう言い、ルカは眠りへとついた。
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Re: Ruka's root ( No.2 )
日時: 2013/05/30 03:07
名前: プレイズ

翌日、月曜日も午後からレッスンが始まる。


日が照りつける角度が徐々に傾げ始めた頃、ルカは母に送られてバスでスタジオに向かった。


「じゃ、今日も頑張ってきてねルカ」


「うんっ、いってきます」


彼女は母に笑顔で手を振ってバスから降りる。


今日はまず発声の練習だ。


小さなうちから歌手として歌うための基礎を覚えさせるべく、彼女には発声のレッスンも課されている。


これは歌手としてしっかりとした発声法を得とくする事を目的としたレッスンである。


発声は歌手としての基本だ。声を上手に使いこなせなければ、アイドルは務まらない。


それを鍛えるため、ルカはまず声を大きく出す練習をしているのだ。



スタジオの中央に立って、大声を出す。


まずそこからスタートした。


「あー、あー!」


ルカは腹に手を当てて大きく声を出そうと努める。


だが今一声が小さい。


「それで大きな声のつもりなの?もっとスタジオの外に響くくらい大きく声を出しなさい。そんな声じゃ誰も相手にしてくれないわよ」


「…は、はいっ」


発声担当のコーチからの指摘に彼女は少し戸惑う。


自分では十分大きく声を出していたつもりなのだが、先生にとってはまだ足りないらしい。


このスタジオは結構な広さがあり、まだ小さなルカにとっては自宅と比べてとても大きな空間に感じられる。


その広大なスタジオの外にまで声を聞こえさせるなんて、彼女にとってはとても無理に思えた。


「………」


「さあ、もっと大きな声を出してごらんなさい」


コーチに急かされて、ルカは戸惑いつつも声を出した。


「あ……あーー!」


目一杯口を開けて声を出す。


だが、声量は先ほどとあまり差がないように感じられた。


「やめやめ、そんなじゃ全然だめ」


すぐにコーチに発声を打ち切られる。


「さっきと全然変わらないじゃない。やる気あるの、あんた?」


「っ……」


ルカの目一杯のつもりの声は、コーチにとっては小さく矮小な米粒のようなもの。


気怠そうなため息と共に、悪態をつかれる。


「そんな声じゃ、誰もあなたが何言ってるのか聞いてくれないわよ?そんな、ち・っ・ぽ・け・な・声じゃね」




発声練習の次は、器械体操のレッスンが始まる。


マットを使って前転や後転等の基本的な運動を行うカリキュラムだ。


このレッスンは、器械体操をただ行うだけではなく、見栄えを重視した美しさに重きを置いていた。


ダンスを踊る上で、動きを美しく見せることは非常に大事である。


マット運動を通してその基礎を身に着けるのがこのレッスンの狙いだ。


「さあ、まずは前転をしてみなさい」


「はいっ」


体操レッスンの担当コーチに言われ、ルカはマットの上で前転をした。


しかし、すぐにダメ出しをされる。


「全然ダメね。ただ前回りをしているだけ。見ていて汚いわ」


ビデオカメラで撮っていた今の映像をコーチは流してルカに見せる。


映像に映っている彼女の前転は、回る軌道や姿勢が傾げていたり歪んでいたりで、確かに見栄えがよくなかった。


「っ……」


「どうかしら。これは美しいと呼べる?」


マットの上に自ら立って、コーチはルカに見本を見せた。


コーチの前転は回る時の体勢・軌道が美しく、一切の歪みがない。


見ていて美しいと思わせる体操だった。


「……!(きれい……)」


ルカはコーチの前転の美しさに感銘を受ける。


「どう?あなたのと比べると、とても見た目が綺麗でしょう」


「は、はい…」


「どこが違うかわかるかしら」


回る際の整った姿勢。回る前と後も崩れない身構え。乱雑さは微塵もなく優雅で艶やかさまで感じさせる回転の身のこなし……挙げれば切りがなかった。


それくらいに、今の自分とコーチの所作を比べると差がある。


「わ、私は色々全然出来てない……です」


「そうね。基礎が全くなっていないわ。呆れてため息がでるぐらいに」


たった前転一つといえど、その立ち居振る舞いの美しさの重要度は侮れない。


その細かな所作の積み重ねが、見る観衆が受ける印象に影響を与えるのだ。


ダンスにおいてその基本基本の動作の美しさ・優美さは、ダンス全体の質に反映される。


「今から、初歩の初歩から粗を端正していく練習をします。歪んだ見栄え悪い所があったら、その都度容赦なくチェックを入れていくから。覚悟してこのレッスンに臨みなさい」


「はいっ!」


コーチの訓告に、ルカは誠意を込めて答える。


彼女は、ただ一心に自分がスキルアップをする事を目指してコーチに教えを乞うた。


1流のアイドルへの高みへ……登りつめるために。




その日、レッスンが終わってルカはバスに乗って帰路に就いた。


いつもと同様に今日も叱られ通しだったため、目には泣きはらした跡が赤く残っている。


「………」


気落ちした彼女は無言でバスに揺られる。


隣に座る母に喋りかける様子はなかった。


乗車してからずっと、沈黙を保ったまま。


そんな娘の状態を察したのか、母はさり気なく言った。


「そうだ、ルカ」


「え……」


「今日は少し本屋さんに寄って行きましょうか」


軽く微笑んでそう告げ、彼女は降車ブザーを押す。


不意な母の行動にルカはピンとこないような顔をした。


「……?どうしたの、ママ。本屋さんに何か用事があるの…?」


「ええ。少し読みたい本があるの。だから、ちょっと悪いけど寄り道させてちょうだいね」


気さくに笑って、母はバスを降りるようにルカに言った。


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Re: Ruka's root ( No.3 )
日時: 2013/06/01 01:34
名前: プレイズ

どうも、プレイズです。前回投稿した3話目の冒頭を少し修正しました。

翌朝→翌日 に直しています。ルカがバスでスタジオに向かった時間帯は朝ではなく午後なので、翌朝という語では相応しくなかったので翌日に修正しました。

では、以下からが4話目です。




=====================



ルカは母に連れられて近くの本屋さんにやってきた。


自動ドアをくぐって店内に入ると、彼女は少し上を見上げて母に聞いてみる。


「読みたい本があるんだよね」


「ええ。でも、まあそれは後回しでいいわ」


大人用の雑誌コーナーを通り過ぎ、母は奥のスペースへ歩いていく。


「え…?じゃあ何をしに来たの…?」


わからない顔をする娘に、彼女は言った。


「ルカに本を買ってあげる」


「え…?」


「あなたが好きな本を1つ買ってあげるわ」


いきなり母からそんな事を言われ、ルカはキョトンとする。


「本を…私に……?」


「ええ、そうよ。ルカに」


いつの間にか、母は子供用の本売場にやってきていた。


ルカの目の前の棚には子供用の本が並べられている。


「そ、そんな…悪いよ……」


しかし、お金がかかってしまう事を思い、彼女は断ろうとする。


「いいの!お金の事なんて気にしなくていいわ。あなたが欲しい本を買っていいのよ」


「で、でも……」


「子供が気を使わなくていいのよ、ルカ。これは普段頑張ってるルカへのお母さんからのご褒美だから。ねっ?」


口元に指を当てて微笑み、母はルカに遠慮させないように努めた。


その気持ちが伝わったのか、娘は遠慮がちにだが頷く。


「う、うん。じゃあ、1つ選ぶね」


彼女はゆっくりと売り場に歩み寄る。


子供用の本のコーナーには、色々な本が置いてあった。


昔話系の絵本や可愛い動物の本等。


それらを眺め、ルカは興味津々な顔をする。


(うわぁ……色んな本があるなぁ…)


普段、アイドルスキルを鍛えるレッスンばかりに追われる日々を送っている彼女は、娯楽的な遊び事等これまで嗜んだことがない。


それ故に、こうした所にこういう目的で来るのは初めてだった。


目の前の本の群に彼女は目を丸くして眺め入っている。


(どれにしよう……でも、あんまり時間かけたらママに迷惑かけちゃうし…)


ルカはそう思い、少し急いで本を選ぼうとした。


「急がなくていいわよ。ゆっくり選びなさい」


「え……」


「別に少しぐらい遅くなってもいいわ。余計な心配はせずに、好きなのを選んでね」


母は娘の不安を解すように言う。


それを聞いたルカは、急ぐ手を緩めてまた本を眺める作業に戻った。



本棚には一杯の本が並んでいる。


彼女はいくつかを手に取って読んでみた。


日本の昔話や海外の童話、動物の絵本等様々な本があり、彼女は興味津々で目を通していく。


その後、しばらく色々な本を見て回った後、ルカはまた1つ手に取ってみた。


その本の表紙には笑ったシマウマの絵が描かれている。


(シマウマさんだ)


それは『皆のヒーローシマウマン』と題されたコミック本だった。


中を開いて見てみる。


そこでは一頭のシマウマが華麗な後ろ両脚蹴りをかましていた。


蹴りを喰らったライオンが空中に吹っ飛ばされている。


(うわっ、何これ)


本の内容は、シマウマが悪い動物たちを様々な手を使ってこらしめるというもの。


足蹴りや頭突きなどの肉体攻撃で悪い肉食獣を成敗したり、知略を使って落とし穴に落として狼狽させたりしていた。


可愛い絵柄からはちょっと想像がつかないとてもユニークなお話である。


(あはっ、何これ面白い)


若干ハードではあるがコミカルな作風に、ルカは笑ってしまった。


何せシマウマがそれをやっているのである。


普通なら有り得ない事だが、漫画的ぶっ飛んだ設定がそれを可能にしている。


「あははっ」


いつの間にかルカは声を出して笑っていた。


シマウマの奇想天外な活躍ぶりに、彼女の笑いの琴線が刺激されたらしい。


「いいのが見つかった?ルカ」


「あ、ママ」


笑う娘を見て、母が声をかけた。


「あ…ご、ごめんなさい。本屋さんでは静かにしてないとだめだよね…」


「んー?いいのよ、ちょっとぐらい声を出して笑ったって」


気さくに言い、彼女はルカの持つ本を見た。


「それにする?」


「……うん」


遠慮がちにルカは答える。


内心では、まだお金の事が心配だった。


「よし、じゃあそれを買ってあげるわ。レジに持って行きましょう」


「で、でもやっぱり悪―」


「ルカは余計な心配はしなくていいの」


ルカの口に母の指があてられた。


「お金の事なら心配いらないわ。ママがちゃんとやりくりしてあげるから。だから、遠慮しないでいいのよ」


「………」


自分の不安を見透かしたように安心させる母に、ルカは少しだけ気が楽になった。


「……うん」


「よしっ。じゃあレジへ持って行きましょう」


笑顔で言い、母はルカの手を引いてレジへと向かう。


その母を見上げながら、ルカは言った。


「あ、ありがとうママ」


「ん?ふふ、どういたしまして」


振り向いて娘にウインクして返す。


心なしか母の顔は少し嬉しそうだった。



その後、本の入った紙袋を手に、ルカは母と共に帰りのバスに乗った。


バスに乗ってからしばらくの間、彼女は喋ることなく席に座ったまま揺られている。


だが先ほどまでのニヒルな表情は幾分か和らぎ、ルカは少しだけ気が紛れたようだ。


「……ママ」


「ん?なあに、ルカ」


不意に、ルカが言った。


「…あ、ありがとう。本を買ってくれて」


「ふふ、どういたしまして」


優しく微笑んで母は返す。


その日、ルカは大事な一冊のコミック本を手に、家路へとついた。
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Re: Ruka's root ( No.4 )
日時: 2013/06/02 20:44
名前: プレイズ

「こら!!また落ちたわね!!」


スタジオに鋭い声が響いた。


平均台からバランスを崩して落ちたルカへコーチの罵声が浴びせられる。


「何度落ちれば気が済むの!?毎回ターンで落ちてるじゃない!!」


「す、すみません…!」


今彼女は平均台に乗ってバランス感覚を鍛えるレッスンを受けていた。


内容は台の上で歩行し、さらに片足でのターンを何度か行うというもの。


しかし、ルカはいつもターンが上手く出来ず、バランスを崩して落ちてしまう。


その度にコーチの叱責が飛んでいた。


「ターンすら満足に出来ないんじゃ、話にならないわ!これじゃあ連続回転や側転なんてとてもじゃないけど無理よ!!」


「……っ」


演技の基本的な不備を指摘され、彼女は声を押し殺して黙り込む。


平均台の上で、彼女は何とかして上手くターンを決めようとするのだが、その際にバランスを上手く取れずに落下してしまうのだ。


落ちないようにしようと努めても、身体の重心が安定せずに傾いてしまう。


その結果、毎回ターンのところで彼女は台から落ちていた。


「ったく、こんな基本的な事もロクに出来ないのねえ……。能力が低すぎて呆れてものも言えないわ……!」


「………」


初歩的な出来て当たり前の事が出来ていないと揶揄され、ルカは無言で俯く。


こんな基本さえ満足に出来ないという事実が、彼女に自信を失わせていた。




その日もいつもと同様に、それから彼女は幾度も叱責を受け続けた。


応用以前に基礎の所で怒られることが目立ち、その度に彼女は何も言えずに押し黙った。


自分は懸命に練習しているつもりでも、コーチ達からは褒められることなく責められるばかり。


何とかして上手くやろうとするのだが、上手くいくどころか逆にミスが多くなってしまう。


そんなどうにもならない自身の状態に、彼女は落ち込むしかなかった。




その日、レッスンが終わってルカは家に帰ってきた。


疲れた様子で靴を脱ぐと、元気のない顔で洗面所へと向かう。


水道の蛇口を回して、彼女は汚れた手を洗った。


正面の鏡に映る顔には涙の跡が見える。


「………」


いつも同じような情けない日々を送る自分に、彼女は辟易していた。


どうしてもっとちゃんと出来ないんだろう……。


上手くレッスンをこなせない自分に、歯がゆくなる。


鏡に映る醜い顔を見て、彼女は自分に消沈していた。




彼女は晩御飯を食べて少し休んだ後、またすぐに布団に入った。


きつい一日が一段落つき、ひと時の安静が訪れる。


しかし、横になって休んでいると今日の事が頭に浮かんできた。


(今日も……一杯怒られちゃった)


叱責された数々の情景が思い起こされ、彼女は気を沈ませる。


『いったい何回落ちれば気が済むの!!』


『どうしてそんな小さい声しか出せないの!!』


『また身体の姿勢が偏ってる!姿勢を真っ直ぐ保ちなさいって何度も言ってるでしょ!!』


大声で怒られた内容が耳に刻まれ、嫌でも脳が思い出してしまう。


「………」


つらいレッスンの事を思い出し、ルカはしゅんとする。


指摘を教訓にして反省しなければいけないが、その作業は既に何度も何度も頭の中で行っているので、彼女は嫌になってしまった。


(もう……レッスンの事なんて、考えたくない…)


脳内で無限に繰り返される罵声と反省のジャグリングを彼女の頭は拒絶した。


これ以上その事を考えたら心が耐えられないぐらい悄然となって張り裂けそうで。


何か違う事を考えて、気を紛らわしたい―



そんな時、ふと彼女の目にある物が映った。


本棚に入れてある先日買ってもらったコミック本だ。


(あ……そういえば、この前お母さんに本を買ってもらったんだ)


買ってもらってからしばらく経ったが、日々のレッスンの忙しさですっかり読むのを忘れてしまっていた。


まだ本屋で最初の方しか読んでいない。


調度良いと思い、彼女は本を開けてじっくりと読んでみる事にした。
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Re: Ruka's root ( No.5 )
日時: 2013/08/09 19:12
名前: プレイズ

Θ皆のヒーローシマウマンΘ



その草原には往々に広大な草地が点在していた。


動物たちは腹を満たすために四六時中せっせと草をモグモグして食している。


そうしている間は空腹だけでなく心も満たされる平和な時間だ。


今日も彼らは憩いのグリーンランドで美味しそうに草を貪ってのんびりしていた。



し  か  し



そんな休息のひと時を壊す輩がやってくる。


派手な鬣を生やしたライオンが、突如草を踏み分けて闖入してきたのだ。


そいつは低い唸り声を鳴らして周りの草食動物達を威嚇した。


「グルルァア!こりゃあいい。獲物達がわんさかいやがるぜェ!!!!」


ギラァとした鋭い目つきでライオンは殺戮の意志を乗せた言霊を飛ばした。


それを受けた鹿や野兎達は、身震いをして一気に駆け出していく。


「う、うわあぁぁ!助けてくれえーー!!」


草食動物たちは群れを成して一目散に散り散りに消え去った。


それを見たライオンは誇らしそうにほくそ笑む。


愉し気に愉悦の表情を浮かべ、彼は前脚で足元の草を踏みにじった。


「ゲぇRaRaRaRa!強え俺様の威光に弱者共が逃げ惑う様は爽快。面白え、こりゃ面白え!w」


弱者動物達を我が身の風格で蹴散らし、満たされてライオンは高らかに笑う。


その後も彼は草原の所々を周回して食事中の草食動物達を見つけては、わざと威嚇して退散させるという行為を幾度となく行った。


そしてその度に派手な鬣を揺らしながら高笑いを響かせた。




このライオンは種々の草食スポットに神出鬼没に現れて闖入しては、彼らをビビらせるセリフを吐いていく。


草食動物たちは、圧倒的強者の百獣の王による蹂躙にあわてて逃げ惑う。


安穏とした時間をぶち壊された彼らは息も絶え絶えに草地を走り去らなければならなかった。




「もう我慢ならねえ!!何なんだあの野郎は!」


「俺たちの安らぎを奪いやがって!!許せねえ!」


安穏とした休息タイムをぶち壊された彼らは、怒りをあらわにしてライオンに憤った。


狩りをしに襲いにやってきたなら、まだ道義上納得は出来る。


だがあの獣はそうではなく、明らかに愉快犯目的で事を行っているのだ。


草食動物達を無意味に畏怖させて草地から追い払い、彼は自分の偉大さに酔ってそれを楽しんでいるらしかった。


「己の自己満欲求で俺らを追い払ってるのが気に食わねえ。ライオンだからって驕り高ぶってんじゃねえぞ」


「何とかして、奴をこらしめられないものでしょうか……」


ガゼルやイノシシ達はライオンに灸を据える事を画策した。


しかし、相手は動物界最強の主であるLion。


まともにやりあえば戦いにすらならないだろう。


「ムゥ……何か得策でもないものか」


「オホホホホ、お困りのようねボーイ達ぃ」


「「「「「「「!?」」」」」」」


「「「「「「「!?」」」」」」」


「「「「「「「!?」」」」」」」


突如、高笑いが響いた。


麗しく豊潤とした野太い乙女ボイスが彼らの抱く畏怖を包み込んでほぐしていく。


「そ、その声は」


「まさか―」


「シマウマンー!!?」


動物達は後方を振り返った。
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Re: Ruka's root ( No.6 )
日時: 2013/09/27 20:41
名前: プレイズ

困り果てた草食動物達の前に現れたのは、不思議な魅惑のオーラを持つシマウマだった。


それは、皆から何故かシマウマンと呼ばれて慕われているヒーローだった。


シマウマンと呼称されたその色物ホースは、野太い声で妖艶に彼らに語りかける。


「話は聞いたわよ〜。後は私にお・任・せ・な・さ・い」


ライオンを懲らしめる術をシマウマンは動物達に授けた。



‐‐‐‐‐‐‐



「あはは、あはははは」


本を読むルカの口から笑いが漏れる。


読み進めるにつれ、彼女はわくわくと目を輝かせながらページをめくっていく。


シマウマが悪いライオンを巧妙な策略に嵌めて陥れ、そして精神的に追い詰めていくのだ。


弱い立場の草食動物達に対して優位に立ち、我を振る舞う優越感に浸っていたライオン。


それがシマウマンによって地位の逆転を図られ、今度は逆に周りから相手にされず素通りされてしまう。


威圧を込めて唸っても威嚇しても動物達は意に介さない。


最上位であるはずの百獣の王が、三下である草食・小動物達から脅威にされなくなる。


まるで彼を最初からいないもののように誰も相手にしなくなったのだ。



‐‐‐‐‐‐‐



「何故だ??何故誰も俺を怖がらない!!」


ライオンは自分を無視する動物らに怒りを覚える。


全ての動物達にとって、自分は畏怖を抱かれ脅威を抱かれる優れた存在のはず。



―それがこの状況はどういうこった?



これでは、おかしい。


自然界の摂理・弱肉強食のシステムの上で、俺は頂点に君臨している。


皆から恐れられ、相手がこちらを視界に捕える際は尊厳を持って見られる事が当然だった。



―それが、これはいったいどういう事だよ――!?



業を煮やした彼は、ついにはこの状況に耐えられなくなった。


このままでは自分のアイデンティティーが崩壊してしまう。


そんな事は、断じて許されない。



許さねぇ――



許さねぇぞ―――



そんな事を考えながら、ライオンがふらふらと歩いていると。


彼は前方の草むらに一匹のウサギを見つけた。


(ほう……こりゃあ、いい所に憂さ晴らし出来そうな雑魚がいやがるぜェ)


獲たり、と笑みを浮かべ、ライオンはそちらへと足を運ぶ。


そして射程圏まで近づくと、わざとらしくザっザっと音を立てて草を踏み分けた。


だが、まだウサギはライオンに気づかない。


(おい……俺様が見える位置まで来てるのに、こいつは何呑気に草喰ってやがるんだ)


微妙に眉を吊り上げ、彼は怒りを顔に出す。


彼は歩みの速度を速めて前進した。


しかし、それでもウサギはライオンを意識した様子はなく、草を美味しそうに食べている。


(こいつ……いい加減にしやがれぇ!!!)


業を煮やしたライオンは、ついに小動物に向けて“突進”を開始した。


身体をしならせて、速度を一気にマックスに上げる。


瞬く間にハンターの姿はウサギの眼前へと移った。


しかし、ライオンが間近に近づいても目の前のウサギは全く驚くことはない。


悲鳴を上げることもなく、逃げる事すらせず、ただ泰然とその場で草を頬張っていた。


「何様だ、てめぇはぁぁぁあ!!」


ライオンの巨体が間近に迫る。


この距離ではもうウサギが逃げる事は不可能だ。


「ぎはは、馬鹿な兎だぜェ!」


天敵が接近しているのに気づかない能天気な捕食対象を彼は嘲った。


しかし次の瞬間、ライオンの姿は地面の下に消えた。


ドスンという音がする。


ウサギの前方には黒い穴が出来ていた。



「きひひ、馬鹿なライオンだっせぇw」


ウサギは嘲笑し、穴に落ちた間抜けなライオンを眺めた。


予め足元周辺に落とし穴を作っておき、首尾は万全だったのだ。


「ぐ、おおお」


穴に落とされたライオンは呻いて上を見上げた。


土壁の上端に笑うウサギの顔が見える。


始めからウサギはライオンの存在に気づいていた。


向こうが自分に向けて近づいてきている事も。


それを把握した上で、あえて無視していたのだ。


「て、てえぇ……!てめぇ、嵌めやがったなァ!!」


「ひゃははwライオンちょろすぎィ」


腹を抱えてのたうつウサギ。


ライオンはいきり立った。


「喰ってやラああ!!」


ドン!と力強く地面を蹴って、ライオンの巨躯が跳躍する。


瞬く間に穴の上へと、鬣を拡げた獣の顔が現れた。


大きく口を開けてウサギを一飲みする形相で。



バガアン!!



強烈な何かがその横顔にぶつけられた。


「ぶェラッ!!?」


脇から不意打ちの打撃を喰らい、ライオンは吹っ飛んだ。


そのまま10m程飛ばされ、勢いづいて草の上を転がる。


強いローリングがかかってかなり遠くまで転がった。


そして泥沼の上を飛沫を上げながら通ったあげく、ようやく回転は止まった。



ぶるぶると頭を振って、彼は顔に付いた泥を払い飛ばす。


ライオンの体毛には草が絡まり付き、鮮やかな鬣は泥まみれのみすぼらしい風体になってしまった。


「がはぁ……っ。な、何だぁ……?」


地面に這いつくばると、彼は飛ばされた元の場所を見た。


そこには、一頭のシマウマが立っていた。


「オホホホホ」


貴婦人のような微笑を浮かべ、それは悠然とライオンを見下げている。


「オホホホホホホホホ」


異様な、そして高慢な笑い声がライオンへと飛んでくる。


その声は妖艶で中庸で、若干男性よりの奇特なものだった。


顰蹙の面を向け、ライオンは奇妙なシマウマを威嚇する。


しかしそれは全然意に介される事はなかった。


「あ〜ららぁ。口ほどにもないったらあ〜りゃしないわぁ」


気に障るような喋り様で、シマウマが語りかけた。


「ライオンってゆったらもおっと強いもんじゃないのぉ?」
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Re: Ruka's root ( No.7 )
日時: 2013/10/11 22:46
名前: プレイズ

「何だと!?」


煽られてプライドを傷つけられたライオンは激高した。


百獣の王である己が、単なる馬から上から目線でのたまわれる筋合いなどない、と彼は憤怒する。


「俺を誰だと思っていやがる!!ライオン様だぞ!」


「うふふ。そのライオンちゃんが、この様なんじゃ〜面目ないわよぉ〜」


「てめぇ!」


怒った彼は、シマウマンへと特攻をかけた。


スピードを出して一気に接近する。


「うふふ」


不敵に笑うシマウマ。


そのムカツク顔に顔をしかめつつ、彼は馬に向けて疾走する。


「へっ」


ライオンは数m程手前まで来た所で高くジャンプした。


次の瞬間に、彼が直前までいた足元の地面が崩れる。


「―んなぁ!?罠をかわしたですって!?」


「へっ、読み通りだぜェ。俺様が同じ手を喰うかよ」


彼はシマウマンの足元に落とし穴が仕掛けられているのを予測していた。


狩りのプロな百獣の王たる本領発揮である。


「ちぃっっ!!小癪な」


シマウマンは滑空するライオンを驚きの顔で見上げる。


「ゲハハ、次で終わりにしてやるさぁ」


ライオンはシマウマを飛び越して地面に降り立つ。


そして奴を仕留めに振り返った。


しかし、振り返ったところで、またしても視界が暗転した。


「なにィ!?」


ガラガラ、ズドン。


ライオンの体は再び地面の下へと転げ落ちた。



「おーほッほォッ。よわッ、ライオンよわッw」


上から胸糞悪いヤジが降ってきた。


「ウガァ……ま、また落とし穴だと…ぉ……」


「うっふっふ。読み通りなのはこっちのセリフよぉ。なーに、上手くやっちゃった気でいたのぉ?」


ヘラヘラ調で馬鹿にするような笑いを送るシマウマン。


ライオンは屈辱を押し殺した声で吐き返した。


「このゲテモノのキモ野郎が……、卑怯なやり口でいい気になって何が面白え?」


「うふふ。それ言ったらアンタだって同じでしょー?」


煽るように、そして愉しむような目でシマウマンはライオンに言った。


「必要でもないのにただお遊び目的で、いたいけな草食動物達を逃げ惑わせるだなんて、許しがたい行為は断じて看過できるものじゃなかったわぁ。だからこうしてお灸を据えてやってるのよぉ」


シマウマンは多少高慢な口調でライオンに道徳を諭した。


意味もなく、お遊び目的に動物達を驚かせては逃げ惑わせ、そしてそれを娯楽にしているライオンの行為は道義上、改善されなければならない、と。


「ぐぉ……、つまり俺のやった“お遊び”が発端だってェのか……」


「そうよぉ。彼らにとっては『お遊びでやられちゃたまらねえぞ』って感じねぇ」


シマウマンはライオンに草食動物達の声を伝えた。


それを聞いたライオンは、しばらく考え込んだ。


「……俺はライオンだ。だから皆から特別な目で見られて目立ちたいのさ」


「まあ気持ちはわからないでもないわネえ。私だって皆から高貴な目で見られたいと思ってるからよくわかるわぁ」


「……へっ、てめえなんぞと一緒にされる筋合いはねえ」


気に食わねェと吐いて、彼は続けた。


「だが、確かに俺様もやりすぎた所があったかもしれねェ。お遊びであいつらを逃げ惑わせていたのは、調子に乗りすぎだったな…」


「…へェ!意外と良心のあるライオンちゃんだったのネぇ」


予想に反して諭しに理解を示すライオン。


シマウマンは意外な反応にフレッシュな目をする。


「驚いたわぁ。もーっと身勝手な暴君だと思ってたからぁ」


「け……俺だって聞き分けぐらいあんだよ。ただの暗愚な猛獣ってわけじゃねえからな」


少ししおらしくなったライオンにシマウマンは満足した笑みを浮かべた。


「うふふ、じゃあもうこれを機に、お遊びと称した迷惑行為はやめると約束するかしらぁ?」


「……ああ。今回はちょっと俺がやりすぎたぜぇ。もうあんな事して動物達を追い散らしたりしねえよ」


穴の中でライオンは反省した様子で頭を垂れた。


それを見たシマウマンは、納得したように笑顔になった。


「おっほっほ。結構結構。ちゃーんと反省して更生する姿勢を見せるとは、なかなか見所のあるライオンだわぁ〜」


シマウマンは穴の下のライオンへと木の丸太を差し出す。


「さ、上がってらっしゃい。賢明な百獣の王である事を証明してくれたからには、グリーンランドの仲間の一員として貴方を歓迎するわぁ」


「へっ、落とし穴に落ちたあげくシマウマに引き上げを助けてもらうとは、情けねえ始末だぜ…」


見栄えの悪い構図に顔を歪めるも、彼はシマウマから差し出された丸太を伝って上へと這い登った。



「さすがシマウマン!ライオンをも更生させて和解させるとわな」


「何という、かっこいいシマウマだろうか」


「俺達のヒーローはやっぱり凄いや!」


きっちりライオンを懲らしめて、その上道義を納得させて和解を得たシマウマンに、いつの間にか周りの草むらから姿を現した草食動物達が賛美の言葉をかける。


彼らは草葉の陰からシマウマンの活躍を見ていたのだ。



皆のヒーローシマウマンはまたしても彼らを救った。


こうして、グリーンランドにまた幸せな日常が戻ってきたのだ。


「これで、動物達も不安に駆られる事なくまた平和に暮らせるようになるわぁ」


問題が解消したため、シマウマンは平和な日常の回帰に耽美な笑いを浮かべた。


そんなシマウマンと同じく笑顔で笑い合う動物達。



―が、不意に動物達の顔つきが固まった。



「っ…!!シ、シマウマンさん……」


「う、後ろ……!!」


「―何かしらぁ〜??」


動物達に指摘され、シマウマンは後ろを振り返った。


「なによぉ〜〜、面白い珍種でもい――」




ガ   ブ   リ




次の瞬間、シマウマンの視界が真っ暗になった。
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Re: Ruka's root ( No.8 )
日時: 2013/10/23 03:02
名前: プレイズ

「「「「「な……!!」」」」」


「「「「「う、わああ……!」」」」」


動物達は皆血の気が引いた表情になる。


ライオンがシマウマンの頭部にかぶりついていたからだ。


「ヒぇっへっへぇ」


不敵な声をもらし、次の瞬間ライオンはシマウマンの頭を鋭い牙で力強く噛んだ。


ガブュリ!!!と悍ましい音が彼の口の中から聞こえた。


「ぐぱァッ!!」


シマウマンの叫喚声が響く。


ライオンの強靭な歯に一閃され、さしものシマウマンもひとたまりもない。


……致命傷であった。


「ご、、、ふうっ…!!」


彼の口から激しい吐血が吹きだされる。


ライオンは赤で染まっていく口内を感じ、残忍な笑みを浮かべた。


「げららららぁ。あんなつまらねえ説法で俺様を上手く改良したつもりかァ?あれで改心なんてするわけがねえだろぅ?」


「が……、、、、、は……ぁ、、っ!」


薄れゆく意識の中で、シマウマンは悔いる。


浅はかだった。


改心したと思っていたライオンの様子は、フェイクだったのだ。


そんな初歩的なミスリードに気付かずに勝利を誤信してしまったのである。


致命的な失敗!!!


「そ、そんなぁ…っ……この、誇り高きシマウマである、、この、私がぁ……こ、こんな……ところで……」


「さあ、冥途への御託は終わったかァ?じゃあな、気色悪いオカマ野郎wwwwww」



ガブュリ!!!



シマウマンを仕留めたライオンは高らかに笑い――


――その後、グリーンランドの空には血の雨が降ったという。



―おしまい―



-------



「………ふ、ふふ」


読み終わったルカは小刻みに身体を震わせる。


ふるふると本を持つ腕をぶるわせて、彼女は吐息を不規則に吐いた。


そして、耐え切れなくなったように笑った。


「あ、ははははっ!なに、これっ!」


途中まで読んでいた時点で予測したものとは、違う予想外の内容だったため、ルカは感嘆してしまった。


結構シュールな結末だが、予想を上回る展開に、今まで感じた事のない面白い感覚を彼女は感じた。


「なにこれっ、凄く面白い」


読んでいてわくわくし、シマウマンがライオンを追い詰めていく展開に笑っていたルカ。


しかしその主人公であるはずのヒーローがラストであっけなく悪役のライオンに惨殺されてしまうという、少々ショッキングな結末を迎える。


だが彼女は、それが逆に笑いの壺に嵌ったらしい。


「あははっ、あははっ」


身体を震わせながら、何度も彼女は笑いを漏らした。


コミック本を読んで、何故か自然に【笑う】という気持ちになれていた。






彼女はその後、しばらくして眠りに着いた。


最初に抱いていた悄然とした気持ちは多少浄化されたようだ。


ルカの中で、漫画という物に少し関心というものが出来た夜であった。

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Re: Ruka's root ( No.9 )
日時: 2013/11/03 18:19
名前: プレイズ

次の日曜日。ルカはレッスンに行くため、父に車で送ってもらっていた。


一週間のうち日曜日だけは、父が車でルカを送り迎えしている。



車内ではカーラジオがかかっている。


スタジオに着くまでは少しかかるので、その間退屈しないようにと父がかけていた。


聞こえてくるラジオからは、リスナーからリクエストがあった曲が流れてくる。


スピーカーから曲が流れる中で、父が言った。


「ルカ。今日はダンスのレッスンだな」


「うん」


「どうだ?やってて上達してる感じはするか」


最近のダンスレッスンのマスター具合を聞かれ、彼女は少しドキリとした。


正直、出来るようになっている実感がほとんど湧かないでいるのだ。


そんなロクに成長出来ないでいる自分の状態を父に話すのは躊躇われる。


「うーんっ…と……先週はたくさん注意されたから、ちゃんと出来るように頑張って練習する」


「そうか」


前方の信号が赤になり、車はゆっくりと減速をして停止する。


調度かかっていた曲が終わり、少しの間が出来た。


方向指示器のカッチカッチという音だけが、車内に聞こえている。


その音がしばし続いて、父が言った。


「まあ、なかなか簡単にはいかないだろうな。でも練習を繰り返すことで、徐々に実力がついてくる。今は我慢の時と思って、毎日のレッスンに励むことだ」


「うん……。私、ダンスがもっともっと上手くなるために頑張る」


父の言葉を受けて、ルカは気持ちを高めようと努める。


だが、どこか心の奥底で、少し正直になり切れない気持ちを薄らとだが感じてもいた。


それは何故だかはわからない。



「あ……」


ふと、ルカは気付いた。


記憶にある曲が耳に聞こえてきたのを。


アップテンポの激しいリズミカルな旋律が、スピーカーから流れてくる。


「これ……パパの歌だ」


流れてきたのは何と、父の曲だった。


ルカは驚いた顔をして横の父の方を見た。


父は少し意表を突かれた顔をしている。


前奏が終わり、ボーカルの弾けるような声が聞こえてきた。


勢いよく熱を持った歌声が、強い圧を持って耳に届けられる。


「凄いっ、パパの曲がラジオでかかってる」


「はは、そりゃまあヒットした曲だからな。さすがに唐突でちょっとびっくりしたが」


ルカはよく知る父の曲がラジオから流れだし、目を丸くして驚いて、聞き入った。


彼女は、父に何度か彼の曲を聞かされた事があるので、この曲ももちろん知っている。


「うわぁ……パパの曲がほんとにかかってるっ」


ノリ良く圧を発しながら、ボーカルの歌声はつんざく様に高揚していく。


それはまるで岩をも砕いて、空を突き抜けて天まで届きそうなくらいの情熱を持っていた。


ルカはその爆裂のエネルギーが蔵された歌声を聞いて、圧倒される。


「………凄いっ」


こんな父の歌がルカは好きだった。


聞いていると内からパワーが湧いてくるような、そんな力を感じるからだ。


「はは。まっ、ちょっと照れくさいけどな」


「どうして?こんなカッコいい歌を歌えるパパは凄いよっ」


「もう結構昔の話だしなあ……。それにこの1曲が当たっただけで、終わってしまったからな。今となっては情けなくもある」


顔に僅かに悔いをのぞかせて、父は車を発進させる。


いつの間にか信号は青に変わっていた。
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Re: Ruka's root ( No.10 )
日時: 2013/11/08 19:49
名前: プレイズ

「情けなくなんかないよ、パパは凄いもんっ」


ルカは父の言葉に賛同できないようで、少し反発して言った。


大好きな歌手としての父を、情けないなどと思った事はないからだ。


それを聞いた父は少し表情を綻ばせる。


「そうか。有難いな。でもパパとしてはやっぱり無様だったと思ってるよ」


「何で?1曲ヒットしただけでも凄いよ」


「だがたった1曲止まりだった。それ以降は世間に評価されなかったんだからな」


言って父は右にハンドルを素早く切り込んだ。


車は深いカーブを鮮やかに滑らかにスルーしていく。


ハンドルを速やかに戻して、父は言った。


「僕は、何作もヒットを飛ばす本当の真のロック歌手として輝きたかった。でも、それは叶わなかった」


言いつつ、アクセルを少し強く踏み込む。


「1曲は当たった。だが、次からは……ダメだった」


車は少し強く加速した。


「僕は、それでは納得なんて、出来なかったよ」


「パパ……」


ルカは、父が昔ロック歌手として1度当たりを出して売れた事を知っている。


そして、その1発を最初で最後に鳴かず飛ばずで、世間から忘れ去られた事も。


父と母が芸能界で輝けなかった事実は、彼女は両親からよく聞かされているからだ。


「ねえパパ……どうしてパパはこんなに凄い歌が歌えるのに、売れなく…なっちゃったの?」


ルカは前から気になっていた事を父に尋ねてみた。


こんなにもエネルギッシュで聞いていて元気が湧いてくる歌を歌える父が、何故一発屋で終わってしまったのか――を。


「そうだな……」


そう言って、しばらく父は沈黙した。





「――パパはね、情熱は誰にも負けない自信があったんだ」


沈黙を破り、父は話し始めた。


「僕は、ロックにかける魂は世界中のどんな有名なミュージシャンにも負けない。熱さと勢いと、そしてロックを愛するスピリットで観衆の心を圧して圧して制圧する。それが僕の歌手としての信条だった」


昔を思い起こすように想起して、父は話す。


「だが、技術の面での歌唱力がダメダメだったんだ。下手だったんだよ、歌が」


また父は、少しアクセルを踏み込んだ。


車はまた少し強く加速した。


「でも僕はそれでもやれると思っていた。小手先の技術なんて必要なくて、強いスピリットと情熱があれば、評価されると思ってそれを信条にロック歌手を仕事にしていたからね。だから、歌う技術的なテクニックを鍛える事にはそれほど力を入れずに、パッションを観衆にどう送り届けるかという事だけを重視していた」


結果的に、それが甘かったんだろうな――。と、父は呟く。


「下手さを勢いと熱さで圧し切る一本調子のスタイルは、最初こそ受けた。でも次以降は“飽きられた”んだ」


「うそ……私、パパの歌を下手だなんて全然思わないよ。物凄く力強くて、元気が出てくるから凄い好きだよ」


「ふふ、お前はまだ小さい子供だから、パパの歌をそう好意的に解釈してくれる。嬉しいよルカ。だが、耳の肥えた世間の解釈は違った。何の技術もテクニックもなく、ただ情熱をむやみやたらに一方的に飛ばすだけでは、観衆は満足しなかったんだ。浅はかな圧しつけがましい歌では、聞き手にはこちらの歌の魅力が伝わり切らなかった」


遠い目をウインドウの奥へ向けて、父は哀愁を帯びた声でそう零した。


「パパ……」


「僕はね、失敗したんだ。でもルカ、お前がきっと僕らに代わって夢の続きを叶えてくれる。パパ達がしてしまった失敗を元にお前のレッスンは考えられているからな。だからお前はきっと成功する。そして……ルカ。お前がパパやママの仇をとってくれ」


「……うん。パパ、私、絶対に1流のアイドルになって、パパとママの夢を――叶えるね」


ルカは、父に向けて頷いて言った。


単に形だけで頷いたのではない。


本当に、そう思って頷いたのだ。


大好きな父の歌が世間に評価されなかった訳を知って、父の娘である自分が真の1流のアイドルになって世間に評価される事で、父が成せなかった“歌手として真に評価される”という夢を父のために叶えたい――という思いをルカは強く持った。


今日からは、これまでよりもっとレッスンに対して一生懸命身を傾注して取り組もうとルカは心に決めたのであった。

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Re: Ruka's root ( No.11 )
日時: 2013/11/11 01:19
名前: プレイズ

それから、数日が経った。


彼女は変わらず毎日レッスンに通い続けている。


そんなとある日のレッスンでの事。



「ほら、まだ足りない!腕をもっと高く振り上げなさい!」


「はいっ!」


ルカはダンスのレッスンでコーチからいつものように厳しく指導を受けている。


しかし、彼女の動きはいつもと違っていた。


「腰を一気に落として左手で体を支えてもっと右手足を大きく魅せる!」


「はいっ!」


コーチの鋭い声に呼応して、ルカはキレのある動きを見せていく。


普段、ダンスレッスンで彼女はコーチの指示通りにダンスを踊っているが、いつもはコーチの基準に達する動きが出せずに怒られている。


だが今日は、いつもに比べて動きに精度がかかっていた。


「水が流れるように走って蝶が舞うように艶やかに飛べ!」


指示に呼応してルカの身体が流れ出す。


テンポよく彼女は動いて走って見せた。


そして、上方へふわりと飛び上がった。



「そこまで!」


コーチからストップの声がかかる。


「今日はまあましね」


珍しく怒声ではない声がコーチの口から出た。


ただ、褒められるでもなく、最低限レベルの演技だ、と言われる。


「まあいつもに比べれば、多少ましって程度ね。でもこんな程度じゃまだまだ全然不出来。優雅さや繊細さが全く感じられないわ」


「はい……!」


ルカはコーチの教えを熱心に聞く。


彼女の目は、これまでよりも気概に満ちていた。






その後、彼女は精力的にレッスンをこなし、一日を終えた。


着替えを終えた彼女は玄関口から出て廊下を歩いていく。


(今日は……いつもより、頑張れた気がする)


さっきのレッスンを振り返って、ルカは思った。


これまでよりも、熱心に取り組めたのだ。


その結果か、普段と比べてキレのある動きが出せた。


(パパの……夢を、絶対に私が叶えるんだ――)


先日、父に聞かされた話がルカの気持ちに変化をもたらしていた。


これまでも、彼女は両親のために頑張ってアイドルになるんだと思ってレッスンに励んできた。


しかし、どこか根拠が薄かった。


両親が昔、芸能界で活躍できずに夢破れて苦い芸能人生を歩んできた事は、親達からよく聞かされていた。


だが、今一実感が湧かなくもあったのだ。


物心つく前から、【パパやママは昔芸能人として輝きたかったが失敗して出来なかった。だからルカ……お前が仇をとってくれ――。私たちの夢を、あなたが必ず成し遂げてね――】と何度も言われてきた。


最初の頃は意味がよく理解できなかった。


それから、徐々に何となくだがわかってきた。


パパとママが昔実現させたかった夢があったけれど、残念だがそれは叶えられずに終わってしまった――。


パパとママは、娘の私に代わりに夢を叶えてほしいと期待している――。


私は、大好きな両親の期待に応えたい――。


大好きなパパとママのために、2人の夢を叶えてあげたい――。


と彼女は幼児心に思って育ってきた。


でも、そうはいっても具体的に何がダメで両親が失敗して夢を叶えられなかったのか、よくわからない状態で彼女はこれまでアイドルレッスンを受けてきた。


そして、ルカ自身は特にアイドルという物に興味があったわけではなかった。


毎日厳しいレッスンを受ける中で、彼女は次第に何のために自分はこんなにきつい事を続けなければならないのか――と、無意識に淡く抱く様になったのだ。


もちろん、大好きな両親のために夢を叶えてあげたいという思いはちゃんとあった。


だがその思いを強く抱くには、『何故、両親の夢は破れてしまったのか……?』という肝心なエクスキューズの詳細が必要だった。


これまでは、それをさほど気にせずとも、何となく把握していた両親の話だけを糧にレッスンを受けてきたし、受けてこれた。


しかし入学目前の歳になって、そろそろ彼女にもちゃんとした確たる行動原理が必要になってきたのだ。


あやふやで抽象的で断片的な理由では、日増しに厳しさを増すレッスンに、まだ幼い彼女の心が耐えられなくなってしまう。



そんな中で、先日父からああした話を聞く機会があり、ルカの中で大きな変化が起きた。


熱意を持って頑張って夢にかけていた父が失敗した詳細を聞いたことで、彼女の中で、父のために娘の自分が夢を叶えてあげたい――という思いがこれまでと比べて一層強くなり、強い信念として確立されたのだ。


それによって、ルカのレッスンに対する姿勢が、変わり始めていた。

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Re: Ruka's root ( No.12 )
日時: 2013/11/15 10:56
名前: プレイズ

どうも、ご無沙汰しておりますプレイズです。


先日投稿した、レスNo.10とNo.11を一部修正しました。


今回はその報告です。


修正したわけは、修正前の文章だと、伝えたいニュアンスが伝わり切らなかったり、セリフをまとめすぎたせいで読んでいて読みづらかったり、あと何か機械的に感じちゃったりしたためです。


それを是正したかったので、修正しました。


今回は、その報告のみなので本編はありません。


出来るだけ早く更新したいと思っています。では、また(/・ω・)/
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Re: Ruka's root ( No.13 )
日時: 2013/11/25 01:18
名前: プレイズ

どうも、プレイズです。


すみませんが、突然ですいませんがこちらの小説の更新を一時停止したいと思います。


理由は、書いていて内容的になかなか手短に書き進められない傾向があり、進行が遅いのが1つ。


そして、最近他に書きたい話が出来て、そちらを先に書きたいと思うようになってきたからです。


Ruka's rootを書く際はいつも、内容を考えて熟考して書いちゃうので執筆に時間がかかってしまうんですよね。


こちらの小説もちゃんと書き上げたいんですが、完結するまではまだ文量がかかり、完結までに結構な時間を要する事が予想されます。


でもそれだと他の書きたい話がいつまで経っても書けそうにないので、誠に申し訳ないのですが一度この小説の更新を停止して、1つ別の話を書き始めたいと思います。


なので、Ruka's rootはここで一旦更新を停止させていただく事をお許しください。


次の話が書き終わったら、もし書けるようならその時に更新を再開します。


勝手を言って申し訳ありませんが、ご容赦くださいませ。
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