Re: 女神と共に第四部 (10月30日更新) ( No.50 )
日時: 2018/10/30 19:00
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
-----------------------------------------------------------------------------------

前回、夜の雪山でのオリエンテーションが始まった。


「ナギさん、朝ですよ」
「え!?ハヤテ、お前どうして家に」
「何言ってるんですか?寝惚けてるんですか?」

キョトンとするハヤテにナギは

「そ、そうか。私とお前は」
「そうですよ。寝惚けててもそんな大事な事忘れないでください」
「そうだよな。それに私は・・・」


「お嬢様〜、寝るな〜」

ゴツンッ

「あ痛!!何するんだ!!」
「幾ら防寒しててもこんな所で寝るな。死ぬぞ」
「だからって殴る事無いじゃないか」

頭を摩りながら文句を言うナギに

「何だよ。じゃあ漫画みたいに「「寝るな〜!!寝たら死ぬぞ〜!!」って殴りまくってそっちで死ぬわ!!」って展開が良かったのか?」
「分かった、私が悪かったよ。起こしてくれてありがとう」
「ま、殴った事は謝るよ。で、何の夢見てたんだ?」

ニヤケていたので、良い夢なのは予想出来ていたが、一応聞いていた。

「ハヤテと結婚していたんだ。おまけに私がハヤテとの子を・・」
「やっぱか。それは兎も角、速くゴールしちまうぞ。これ以上吹雪いたら身動きが不可能になるからな」
「だな。急ぐぞ」

視界が利かない訳では無いが、かなり吹雪いていて、注意が必要だった。


暫く歩いていると

「あ、あれ!?悠太!? おい、何処だ!!」

何時の間にか悠太が居なくなっていて、「逸れた」っと判断するには十分だった。

「探すか!?  いや、駄目だ。そんな事をすれば遭難は必至だ。進むしかないか」

幸い順路は分かるので、進む事にした。

「しかし、暇だな。おい作者、話し相手になれ。こんな山に1人じゃ寂しすぎる」

はいはい、何でしょうか?

「分かってると思うが、何故こんな事をニュージーランドで行ったのか?」

お答えどうぞ。

「危険な動物が居ないからだ。カナダやアラスカならヒグマやグリズリーにに襲われる可能性があるが、ニュージーランドは蜂か毒蜘蛛位だ。主催者も安全を考慮して、ここにしたんだろ」

成程。ところで、前だけじゃなく後ろも見た方が良いよ。

「???」

ナギが振り返ると、熊が唸り声を上げていた。

「は、ははは。寒さのせいで幻覚を見たかな?こんな所に熊なんか」

せめてもの救いを求めてこんな事を言ったが、熊が吠えた。
なので

「うわ〜〜〜〜。逃げろ〜〜〜」

火事場の馬鹿力なのか、普段のナギからは想像出来ない速さで駆けていた。

「な、何でクマが〜!?天王州〜、この学校の危機管理は大丈夫なのか〜!?」

速度を一切緩めずに振り返ると、熊は追いかけて来ていた。

「悠太の家事修行のお陰で何とかなってるが、何時まで持つか」

こんな事を考えつつ走っていると、不吉な音が聞こえた。

「ま、まさか!?漫画でお馴染みの展開なんじゃ」

その通りであり、雪崩が直ぐ其処まで迫っていた。
雪崩は先程の熊を飲み込みつつ迫って来ていて、リタイアするにしろ逃げるにしろ間に合う訳無い状況に

「ハヤテ〜!!」

バッ

「え!?」

ハヤテを呼びつつ覚悟を決め、目を瞑って備えたが雪崩に飲み込まれる感覚が襲って来ないので、恐る恐る目を開けるとハヤテが直ぐ側にいた。

「大丈夫ですか?ナギさん」
「ハヤテ/////////////////////////」

現状で言えばちょっとした丘にお姫様抱っこされて居る状況だった。

「危なかったですね。偶々近くにいてよかったですよ」
「そ、そうだな////////////////////////」

本当はそのままが良かったのだが、丘に降ろされた。
雪崩は2人の近くを流れて行った。

「助かったよ、ありがと」
「いえいえ。人の役に立つ事が僕の使命なので、お気になさらず」

吹雪の最中なのだが、良い雰囲気にナギはチャンスだと思ったが

「「え!?」」

不幸な偶然なのか、2人が立っていた所の雪が崩落し、そのまま近くの川に落ちてしまった。


                   × ×


一方、ナギ達がこんな目にあっている事など知らないバス移動組は

「見ろ、理沙。参加者がまた減ったぞ」
「ああ。オリエンテーションは過酷みたいだな」

コンプレーターを見ていた美希と理沙がバスの車内で話していた。

「我々はバス移動を選択して正解だったな」
「ああ。無理して戦う必要が何処にあるってんだよ」
「・・・」

お気楽な2人に泉は複雑そうな表情で窓の外を眺めていた。
すると

「着いたみたいだよ、今夜の宿」
「おお。これは雰囲気あるな」
「なんか、地下牢があってもおかしくない雰囲気だな」

やっぱりお気楽な美希と理沙に対し、泉は複雑そうな表情を崩さなかった。
因みに、バスに乗っていた面々は気付かなかったが、ホテル名の所に「PRISON」っと書かれていた。


                   × ×


一方のハヤテとナギは、落ちた川から這い上がっていた。

「うう〜、寒い。まさか川に落ちるとは」
「大丈夫ですか?ナギさん」
「・・大丈夫に見えるか?」

聞かれたハヤテは少しだけ黙り

「幸い、漫画でお馴染み「遭難したら山小屋があった」って展開なので、そこで暖を取りましょう」
「そうだな。このままじゃ仮にリタイアして迎えに来てもらっても、その前に凍死してしまうからな」

2人が山小屋に入ると、物凄く都合よく暖炉があり、火をつけてから

「は〜っ、助かった」
「ですね」

熊に遭遇したり、雪崩に巻き込まれそうになったり、川に落ちたりと散々だったが、一応は一息つけた。

「なあハヤテ、いくら「1億5千万円が懸かった修学旅行」っとはいえ、ここまでする必要はあったのか?」
「そ、それは。 言い訳するつもりはないですが、このレベル5は金庭理事に一任していたので、詳しくは知らないんです。なんか、すみません」
「ハヤテが謝る必要はないだろ」

こうやって何時も通り気軽に話している様に見えますが、ナギはさっきから心臓の鼓動が速いのである。
なぜなら、川に落ちた際2人とも下着までずぶ濡れになってしまい、全裸だからだ。
おまけに小説なのが幸いで、タオルなどの体を隠す物が無いので「そのまま」なのである。

「(まさかこんな事になるとはな。ハヤテはどうなんだろうか)」

照れつつ振り返ると、ハヤテがナギの下着を干していた。

「お、おいハヤテ。それ」
「あ、すみません。乾かさなきゃっと思ったので。 あ、あの、出来るだけ見ないようにですね」
「き、気にするな。寧ろハヤテだったら見られても///////////////////////////////」

モジモジと言うナギを気にしつつも、ハヤテはナギと自分の服を干していった。

「(な、何を恥ずかしがっているのだ。前に一緒に風呂に入ったし、結婚すれば毎日一緒にお風呂は当たり前なんだし、裸位なんだ。2人きりなんだから、恥ずかしがったり気にしたりする必要はないだろ)」

そう思うと、心臓の鼓動はまだ速いが大分落ち着いた。

「ところでハヤテ。天王州や神尾崎は一緒じゃないのか?確かスタートした時は一緒だったはずだが」
「ええまあ。ただ、この吹雪のせいで視界が悪かったので、逸れっちゃったんです」


                   × ×


時間を少し戻し

「ハヤテ様、寒いですわ。温めてください」
「ハヤテ、私も寒いですわ。温めてくださいな」

綾子もアテネもハヤテに抱き着いていて、寒い事を言い訳にしてかなり密着していた。
ハヤテは歩き難かったが、文句を言った所で聞き入れてもらえないので、受け入れるのみだった。

すると

「貴方ねえ、さっきから邪魔ですわ」
「その言葉、そのままお返ししますわ!!」

アテネが文句を言い、綾子がそれに返すとまた激しい睨み合いになり

「私とハヤテ様の邪魔をしないでくれます!!運命によって結ばれる事が決まっている2人を」
「フンッ。運命によって結ばれる事が決まっているのは私とハヤテですわ!!貴方なんかじゃありませんわ!!」

山の雪が全て融けてしまうんじゃないかと錯覚するほど睨み合い、

「私は寒いんですわ!!ハヤテ様と抱き合って温め合うんですわ!!」
「フンッ。貴方なんか凍死してしまえばいいですわ!!ハヤテと抱き合って温め合うのは私だけですわ!!」
「天王州さんこそ凍死なさい!!そうすれば私とハヤテ様ずっと一緒に・・」

まだまだ続く睨み合いに

「お2人とも、こんなとこで言い合いは止めてください。遭難しちゃいます」

ハヤテが宥めると険悪な雰囲気は残るが

「ハヤテ様がそういうなら」
「ハヤテがそういうなら」

お互いに「遭難すればいいのに」っと思ったが、口にすれば間違いなく今迄以上の喧嘩になり、ハヤテを困らせる事は明白なので、我慢した。

暫く歩くと、流石に歩き難いので綾子もアテネもハヤテから離れており、3人並んで歩いていた。
すると

「あ、あれ!? アーたん!?神尾崎さん!?」

何時の間にか2人と逸れていて、周囲に見当たらなかった。

「探すべきかな? でも、そんな事したら遭難しちゃうし、ゴールで待つか」

ゴールへの順路は分かるので、先に向かう事にした。


                   × ×


「っと言う訳でして」
「成程な。でも、2人を探さなくていいのか?」
「2人とも強いので、心配はしてますけど大丈夫ですよ。ナギさんこそ、悠太と一緒じゃないですよね?」
「一緒だよ。この吹雪で視界が悪くて何時の間にか逸れてた。悠太の強さは信頼してるし、心配ではあるが平気だと思ってるよ」

お互いに報告を終え、沈黙が訪れた。
するとナギは

「(しかし、この状況はチャンスなんじゃないか? 山小屋で2人きりで、おまけにお互い裸だ。神が与えた一線を越える最大のチャンスなんじゃないか?)」

こんな事を考え、一線を越える方法を考え始めた。
しかし、ナギのこの考えを知らないハヤテは

「あ、そうそう。この裏にも山小屋があったので、見てきますね。若しかしたら助けてくれる人が居たり、サウナがある可能性もあるので」
「え!?お、おいハヤテ」
「大丈夫ですよ。寒さへの耐性は訓練である程度はつけてますので」

そう言うと、ハヤテは山小屋を出て行ってしまった。

「ハヤテの馬鹿。折角2人きりだったのに」

体育座りになり、折角のチャンスを活かせなかった自分と気付いてくれなかったハヤテを呪い始めた。

だが

「でも、ハヤテの服はここにあるし、私を残して勝手に先へ行くなんて考えられんし、まだチャンスはある。今度こそ・・」

直ぐに思い直し、そわそわしつつハヤテを待つ事にした。
っとはいえ暇なので、紛らわす為に楽しい事でも考える事にした。

「グフフ。一線を越えられればハヤテと結婚出来る。ハヤテとの結婚生活は楽しいだろうな〜」

ナギがあれこれハヤテとの結婚生活を妄想していると

「楽しい事ばかりじゃないと思うけど」
「え!?」
「教えてあげましょうか?あなたと綾崎ハヤテが結婚したらどうなるか」

声のした方へ向くと、

「お、お前は、ツグミ・ルリ!!」

入り口にツグミ・ルリが立っていた。

山小屋で1人きり(全裸で)のナギはどうなる?


因みに、ハヤテが向かった別の山小屋にはサウナがあり、別の人物がそこを利用していた。
一波乱あるかもしれない。


-----------------------------------------------------------------------------------
以上です。

次回は続きです。

では。

Re: 女神と共に第四部 (11月3日更新) ( No.51 )
日時: 2018/11/03 15:30
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
-----------------------------------------------------------------------------------

前回、ハヤテとナギは色んな偶然が重なって川に落ちてしまい、山小屋で暖を取っていた所、ナギが1人になった時にツグミ・ルリが現れた。


「お、お前。どうしてここに」
「別にどうでもいいじゃない、そんな事。それより」

ツグミが目的を言おうとしたが、遮る様に

「取り敢えず、そこ締めてくれ。寒い」
「ああ、それもそうね」

扉が開けっ放しで、外の冷気が容赦なく吹き込んでいたので、ツグミは扉を閉めて中に入った。

「で?さっき言った「私とハヤテが結婚したらどうなるか教える」って、どういう事だ?」
「知りたい? じゃあ教えてあげるわ。それは・・」
「どうせ、ニートやヒモになるって言いたいんだろ?」

ツグミを遮るようにナギが言い、驚くツグミを無視するようにナギが続けた。

「自分で言うのもあれだが、私は財閥の人間だ。そんな人間と結婚すれば、金に困る事は無い。そんな状態であれば、働く必要なんかないから、ニートやヒモになる可能性が高い。自分が働かなくても妻である私が腐るほど金を持っている。適当に家事をやっていれば、何も困らない。そう言いたいんだろ?」

正論を言われ、言い返す言葉を必死で探す様子のツグミにナギは

「更にだ、そんな関係は長く持たないから浮気され、その結果ハヤテは刺されて死ぬ。この推理、間違ってるか?」
「ヌググ。流石ね。折角用意した紙芝居が無駄になったわ」

ツグミは「何処に持っていたんだ!?」っとツッコミをしたくなる紙芝居を暖炉に入れ、

「その通りよ。でも、私のその考え、間違えてる?人間って生き物は「勉強しなくていいなら勉強しないし、働く必要が無いなら働かない」のが普通よ。綾崎ハヤテだって例外じゃないかもよ。だから」

「優勝しろってか?優勝して世間の厳しさをハヤテに教えろって言いたいんだろ?厳しさを教えてニートやヒモになるのを防げ。そうなんだろ?」
「・・・」

正論なのか、また黙り込んだ。

「お生憎だったな。それで動揺させて自分が優勝しやすくなる環境を作ろうって算段だったなら、失敗だよ。ハヤテは財閥の人間と結婚しても、そんな事にはならない。使用人長を10年位やってて、蓄えもかなりあるのに、あいつはせっせと働いてる。私と結婚しても、あいつは三千院家を一緒に繁栄してくれる。そして一緒に子供を・・・」

想像したのか、照れてモジモジするナギに

「あれ?ナギさん、どうしたんですか?」
「ああ、ハヤテ。戻って来たのか」
「ええ。ところでそちらは」

ツグミと違って裏口から入って来たハヤテは、山小屋を出た時にはいなかったツグミを示しながら聞いていた。

「ツグミ・ルリっと言って、同級生らしいぞ」
「え!?」

ナギが紹介するとハヤテはツグミを見つめ

「貴方、どなたですか?」
「いや、さっき紹介した通り」
「白皇にツグミ・ルリっと言う方は、いませんよ」

ハヤテの言葉にナギは驚き、ナギもツグミを見た。

「僕は教職員の方々も生徒の人達も顔と名前は全員覚えてます。ツグミ・ルリって方はいませんし、OGの人達にも、確かいなかったはず」
「な!?じゃあお前は」

ハヤテの指摘にツグミは

「ばれちゃ仕方ないわね。確かに、私は白皇の人間じゃないわ。勿論レベル5にも参加してない。ほら、参加者の証であるコンプレーターをつけてないでしょ?」

両腕を見せつつ言い、

「本当はなんだかんだ理由つけて三千院さんを連れ出して勝たせようと思ったんだけど、今は大人しく引き下がるわ」
「お前。なんでそんな」
「その内教えてあげるわ。じゃ」

そう言い残し、出て行った。

「何だったのだ?」
「さあ?あ、それより。 もう一つの山小屋でサウナを見つけましたよ」
「そうか」


                   × ×


2人はさっきまでいた山小屋の暖炉の火の始末をした後、もう一つの山小屋にやって来た。

「なあハヤテ、来ておいてあれだが、私はサウナはあまり得意じゃないんだが」
「耐えられなくなったら出ればいいだけですよ。暖炉より早く温まれると思いますよ」
「そうだな」

因みに、ハヤテはナギを見ない様に話してます。
タオルが無いので隠せないためです。

「ふ〜っ」
「少し暑いが、これ位なら」

お互いを見ないようにしつつ長椅子に座って温まっていると

「ハヤテ様♪」

ムニュ

「か、神尾崎さん!?何でここに?」

綾子(全裸)がハヤテに抱き着いて来て、驚きつつもハヤテは綾子を見ないようにしつつ聞くと

「ハヤテ様と逸れた後、仕方なく先へ向かっていたら雪で隠れてた川に落ちてしまって。で、偶然見つけた山小屋のサウナで暖まっていたら、ハヤテ様が来たんですわ」

「そ、そうなんですか。それより、離れてくれませんか?サウナなので寒さは」
「嫌ですわ♪こうして運命的に出会えたんですから、このままこの山小屋で大人の階段を」

綾子が益々強くハヤテに抱き着くと

「おい、貴様」
「あら、いたんですの?」
「ああ、そうだよ。それより、ハヤテから離れろ。私だって、その」

ナギは言葉に詰まっていたが、綾子にはその先は分かっており

「でしたら、ハヤテ様と大人の階段を上る権利をかけて、サウナバトルで勝負ですわ」
「ほう。耐えきれなくなって先に出た方が負けと言うあれか。良いだろう、受けてたつ」

ハヤテからすれば反対意見を言いたかったが、受け入れて貰えないのは今迄の経験から分かりきっていたので、諦めた。

「だ、だが。お前と私では体力の差がある。少し位ハンデをだな」
「不要ですわ。私は三千院さんより10分位先に入ってて、それで充分ですわ」
「・・分かった。それでいい」

話し合いは決着し、綾子とナギのサウナバトルは始まった。

一方のハヤテは完全に目のやり場に困っていた。
なぜなら、綾子もナギも全裸で、バスタオルすら身に着けていないからだ。おまけに2人とも隠す素振りを全く見せないため、余計である。
これが小説なのが幸いな光景なのも、ハヤテが必死で目を逸らす要因なのである。

「う〜っ。お前、もう出て良いんだぞ」
「そんな言葉、乗りませんわ。勝つのは私ですわ」
「勝つのは私だ。苦手なサウナでの勝負だって、勝ってやる」

15分以上経っても終わりそうにない勝負に、目のやり場に困り続けているハヤテはコンプレーターを見た。
すると

「え!?これはいったい」

コンプレーターの参加者の数が次々に減って行っていた。

「な、何でこんな急に脱落者が続々と!?」

ハヤテが驚いていると

ドササッ

「へ!?」

大きめの物音がして振り向くと、綾子もナギも倒れていた。

「ちょ、ちょっと2人とも」

慌てて駆け寄り、診ると気絶しているだけの様だった。

「も、もう。勝負するのもいいですが、この状況は勘弁してもらいたいですよ」

改めて言うが、2人はバスタオルすら身に着けてない状態である。
そんな2人を助けると言う事は、必然的に「見るしかない」なのである。


                   × ×


「「ん!?」」

綾子とナギが気が付くと、ソファーに寝かされていた。

「どうしてここに」
「確かサウナバトルしていたはずだが」

直ぐに思い出し、飛び起きると2人ともバスタオルに包まれていた。

「あ。お2人とも気付かれたんですね」

心配そうな顔をしたハヤテが近くの椅子に座っていた。

「勝負するのは良いですが、倒れるまでやると言うのは止めてください。下手すれば死んでしまうかもしれないんですよ」
「「は〜い」」

ちゃんと返事をした2人にハヤテは溜息をつきつつ

「ま、まあ。こっちの山小屋にはバスタオルがあってよかったですよ。色々と、ね」
「へ〜」

ハヤテの言葉に綾子はなぜか笑みを浮かべ

「私達にタオルを巻いたと言う事は、裸を見たと言う事ですよね?」
「あ、そうだぞ。どうなんだ?」
「ま、まあ。アハハハ//////////////////////////」

ハヤテの様子に2人は直ぐに察していた。


                   × ×


一方。

「これは、最悪だな」
「ちょっと!!これはいったいどういう事よ!! 何で私達が牢屋に入らなきゃいけないのよ!!」

千桜がぼやき、愛歌さんが文句を言うと

「いいえ、牢屋ではありません。ここも立派にホテルの部屋です」
「何処がよ!!」

部屋と廊下は鉄格子で区切られていて、床は石畳。一昔の牢獄の様で、どう考えても部屋ではなく牢屋だった。

「うう〜、寒いよ〜。こんな石畳の上のこんな薄い毛布だけなんて〜」
「最悪だ〜。こんなの地獄だ〜」

美希と理沙は、ただただ文句を言っていた。

「おい!!幾等なんでも夕食無しは無いだろ!!夕食位出せ!!」

理沙が文句を言うと、黒服がパンを出した

「そちらが本日の夕食です」
「こんな冷たいパン1個が夕食か!!」

また文句を言う理沙に黒服が

「因みに、あちらをご覧ください。先程からの脱落者の方々です」

黒服が示したモニターには

「わ〜、暖か〜い」
「シ○ンズのベッドは最高だね〜」

「夕食も高級バーベキューっと豪勢だね〜」
「本当に全部美味しい〜」

っと、見事すぎる程の格差が映し出されていた。

「耐えられないと言うのであれば、コンプレーターのボタンを押してください。直ぐにあちらの環境へとご案内します。いかがなさいますか?」

黒服の言葉に文句の嵐は取り敢えずは止んだ。

「私は寝るよ」
「カユラ。お前、こんな最悪の環境で寝れるのか?」
「別に、最悪って訳じゃ無い。確かに寒いが、何とかなる。パン1個あれば一晩位何とかなる。それに、私には目的があるからな」
「な、何だよ、その目的って」

千桜が聞くと、カユラは少し迷ってから

「優勝すれば、綾崎君にいっぱい褒めて貰える。そうすれば、綾崎君の中の私への好感度はうなぎのぼりだ。そんな事になれば、一気に告白への流れに持って行きやすい。私が欲しいのは金じゃない。「優勝する事によって得られる綾崎君の好感度」だよ。それが目的だよ。もう寝るから話しかけるな」

カユラが言い切ると、千桜も薄い毛布に包まって

「お前のその言葉を聞いて、考えが変わった。私も優勝する気が出たよ。元々は「ハヤテ君と楽しく旅行して良い雰囲気で再告白」だったが、優勝してお前が狙っている物を私が得たくなった」

「・・余計な事言ったな。まあ、良い。優勝は私だ」

少しするとカユラの寝息が聞こえてきた。

「(そう言えば、仮面の戦士はどうしたんだ?)」

千桜は気になって、近くだった仮面の戦士を見た。
すると、文句一つ言わずに毛布に包まって寝ていた。っとは言っても仮面のままなので眠っているかどうかは分からなかったが。

「(あのまま寝るのか。ってかあの人・・いや、まさかな)」

千桜も寝る事にした。


一方、美希と理沙はまだ悩んでいた。
すると

「やっぱり、こうなっちゃったね」
「え!?泉、まさかお前」
「こうなる事を読んでいたのか?」

驚く美希と理沙に泉は

「まあね。特典の付くオリエンテーションって事は、それに出て良い成績を出せればリタイアしなくてもあんな風に良い思いが出来る。つまり、参加しなければこんな風に辛い目にあう事は分かってたもん」

泉は一旦切り

「こんな事なら、小さい時からスキーやっとけばよかったよ。こんな時にしっぺ返し受けるなんてね。何事もサボっちゃ駄目って事だね」
「お前、そんなに冷静にそこまで考えてたなんて」
「すっかりお利口さんになってるな。ずるいぞ」

文句を言う2人に泉は苦笑いだけだった。

「で?お前はリタイアしないのか?」
「カユラちゃんが言った通り、何とかなるよ。それに、私も優勝したいもん。だから耐えるよ。おやすみ」

横になった泉に美希と理沙はまた頭を抱えだした。


                   × ×


一方、山小屋。

「どうぞ。お茶が入りました」
「ありがとうですわ」
「すまんな」

ハヤテは綾子とナギにお茶を出していた。綾子が居た方の山小屋には少しは物があったので、出来たのである。
幸い今は全員タオルで体を隠しているので、向き合って話す事が出来るのである。

「ところでハヤテ様。さっきの私達の裸を見た件ですが」
「あ、そうだぞ。さっきは誤魔化したが、どうなんだ?」

追及する2人にハヤテは少しの間天井や壁を見た後

「き、緊急事態だったので、勘弁してください。土下座なら」
「別に良いですわ。裸を見る位」
「わ、私も、別に構わんぞ/////////////////////////////」

土下座しようとしたハヤテに2人は言い、

「っと言うか、一緒にお風呂に入った仲じゃないですか」
「わ、私だって、その//////////////////////////////////」

「それに、結婚すれば一緒にお風呂は当たり前。それ以上もするんですから、裸を見られる位で恥ずかしがってたら、成り立ちませんわ」
「お、良い事言ったな。そういう事だ。謝る必要は一切ない」

断罪するつもりの無い2人にハヤテは安心した。

「で?サウナバトルの結果は?」
「あ、そうだぞ。どっちが勝ちで、どっちと大人の階段を上るんだよ」
「ど、どちらも気絶したのでノーカウントです」
「「チェ〜」」

公平な判断と言えるので、物言いは止めておいた。

すると、少しの沈黙の末

「ところで、ハヤテ様は結婚する気はあるんですの?」
「あ、そうだぞ。どうなんだ?」
「そ、それは」

ハヤテは少し考え

「今は年齢的な事もあるので考えてませんが、運命があれば将来的には・・」
「「ふ〜ん」」

ハヤテの答えに2人は

「(ハヤテ様との運命なら私で確定ですから、結婚する気があって良かったですわ。子供の名前、もう考えておいた方が良いですわね)」
「(ハヤテとの運命なら私で確定だから、結婚する気があって良かったよ。子供の名前、もう考えておいた方が良いな)」

っと、同じ事を考えていた。


-----------------------------------------------------------------------------------
以上です。

次回は続きです。

では。