Re: ハヤ☆すた 短編 (12月27日更新) ( No.25 )
日時: 2015/12/27 23:21
名前: masa

こんにちはmasaです。

本編の更新です。

どうぞ。
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「あ、3年B組〜」
「「「黒井先生〜」」」
「「はいはい」」


                     × ×


ある日の陵桜。

「おっす」
「あ、お姉ちゃん」
「やあ、かがみ」

「テストどうだったのよ、3人とも」
「え、えっと。いつも通りで」
「相変わらずボロボロだよ」

「僕は、いつも通りかな」
「ハ〜君は、「優秀な意味で」だよね。いつも通りって」
「だねえ。でさ、テスト期間って、いつもに比べて時間があったけど、気が付くとついいつも通り一夜漬けになっちゃうよねえ」

「あんたはもう少し「受験生」と言う自覚を持った方がいいと思うぞ」
「そうだよ、こなた。「後悔先立たず」って諺を身をもって知りたくはないでしょ?」


                  × ×

別の日の昼。

「そう言えば、昨日のニュースでまたこなたみたいのが出てたわよね」
「ああ。「その手の人が捕まって、自宅を調べたらその手の漫画が押収された」ってやつだね」

「2人とも、私は不公平だと、毎回思うのですよ。その手の漫画は直ぐにやり玉にあげられるのに、良い漫画だって沢山あるのに全然取り上げてくれないんだよね。はあ」

「まあ、それは同意できるよ。でもさ、仕方ないともいえるよ。芸能人だって、「こんな風な良い事しました」って話題は下手すればその日に忘れられるのに、「こんな風に悪い事しました」って話題は下手すれば1年経ってても話題にあげられるでしょ?要は、そう言うマイナスイメージの方が好きな人が多いって事だよ」

「ハヤテの言う通りかもしれないわね。マイナスイメージの方が好きなのかもね、大多数の人が」

「いや〜。ハヤちゃんもそうだけど、かがみもいい人だよね。こうやって擁護発言してくれるし。普通なら、「オタク必死ww」とか笑いネタにするのにさ」


一方その頃、同時刻。1年生の教室

「今朝ね、こなたお姉ちゃんと「姉妹って片方が片方の何かを吸収してる」って話になったんだ。確かに私とゆいお姉ちゃんってそうだなって。私は丈夫じゃないけど、お姉ちゃんは凄く強いし、発育とかもね」

「そうなんだ」

ゆーちゃんに言われ、みなみちゃんは子供のころの自分とみゆきさんを思い返し

「成程。吸収、ね」

自分の胸を触りながら。嘆いていた。


                     × ×


別の日。

「こなちゃん、お誕生日おめでとう。はいこれ、プレゼント」
「おお」
「はい、私からもよ。あげとかないと、色々言われそうだし」

「ふふっ。おめでとうございます。私からもです」
「僕からも、はい。おめでとうね、こなた」
「良いの?ハヤちゃんから貰っても」

こなたはかがみをチラチラ見つつ聞き

「友達に誕生日プレゼントを贈るのに、特別な理由とか無いでしょ。ああ、それと、こっちはお嬢様とマリアさんからだよ」
「おお。後でお礼の電話しておかないと。 で、皆ありがとね」

「祝ってもらえるのは嬉しいけど、これくらいの年齢になると、年とっても嬉しくないわよね」
「そうかな?僕は一昨年まで誕生日なんてないのも同然だったけどね。まあ、気持ちは理解できるけど、僕は嬉しいかな」

「ハヤちゃんの言う通りだねえ。私もすご〜く嬉しいよ」
「へえ。なんでよ」
「運転免許とかとりたいんですか?」

「こなたの事だから、「堂々と18禁のゲームが出来るから」って理由だと思いますよ」
「ピンポンピンポ〜ン。ハヤちゃん大当たりだよ」
「あんたね。今までも堂々とやって来たでしょ」

「確かにね」
「・・フッ」

「年食っただけで、外見も中身も全く変わってないわよね」
「ホントだよ」
「う〜。離せ〜」

かがみに頭をつかまれたこなたは文句を言ったが、かがみは気にせず

「みゆきは年上に見られたりするんじゃない?」
「ゆきちゃん大人っぽいもんね」
「貫禄がある、とも言えますね」

「え、ええ。実は私服で出かけると、たまにOLさんに間違われる事がありますね」
「ふ〜ん。大学生通り越しちゃうんだ」
「実年齢を考えたら、そこまで行ったら流石にみゆきさんに失礼ですけどねえ」

「こなたの場合、小学生の逆走だけどね」
「ふっふ〜ん。なんと言われようとも、私は今日から大人なのだよ」
「何言ってんだか」

「だね。中身は完全に中学生男子だよ」
「そうね。「良い大人」になったのなら、ゲームや漫画に熱をあげないんじゃないの?」

「かがみ、それは偏見だよ。家の外じゃ何人もの部下を持つお偉いさんでも、家に帰ったら漫画を読みふけったり我が子以上にゲームに熱中する大人だって、絶対って断言できるくらいいるって」

「そう言う事。「子供心」も大事なのだよ」

こなたとハヤテの意見が同じだったことにかがみを嫉妬を感じたが、反論できる材料が無いので、諦めるしかなかった。


一方その頃、ゆーちゃんは自分の教室で紙を切り抜いて何かを作っていた。

「何してるの?」
「これはね、今日こなたお姉ちゃんが誕生日だから、こっそり準備してパーティしようと思ってるんだ。今日はアルバイトだって言ってたから、その間にね」
「へえ」

しかし、こなたが帰りが遅くなるので夕飯はいらないという報告を忘れていたため、無駄になってしまったそうだ。


                    × ×


別の日。

こなた、みゆきさん、ハヤテは柊家に集まり、かがみ、つかさと共に勉強会を開いていた。
テストは終わったものの、受験生だからだ。

「ハヤテさん、ここなんですが」
「ああ。これはですね」

「ハヤちゃん、ここなんだけど」
「そこはだね」

「ねえお姉ちゃん、ここ分かんないんだけど」
「そこはね」

みゆきさんは偶にではあるが質問し、こなたとつかさはほぼ毎回かがみかハヤテに聞いていた。

「うぐ〜っ。疲れたよ〜」
「あんたねえ。まだそんなにやって無いでしょ」
「ま、まあ。こなたにしたら1時間ぶっ通しってのは珍しんじゃない?」

「ハヤちゃん擁護してくれるの?」
「呆れてるだけ」
「チェ〜。まあ、休憩って事で、テレビON」

こなたがテレビをつけると、偶々歌番組だった。

「そう言えばさ。このアイドルの人って最近凄く見かけるようになったね」
「確かにそうね。歌番組でもバラエティでも見かけるわね」
「えっと。確か名前は」

こなたが今歌を歌っているアイドルの名前を思い出そうとしたとき

「へえ。ルカさん本格的にデビュー出来たんだ」
「そうそう。水蓮寺ルカだ。・・・ってあれ?」

「へえ。ハヤテ、あの子とはどういう関係なのかしら?」
「あ、あの、かがみ?顔が怖いんだけど」
「気のせいよ〜。で、どういう関係なのかしら〜」

かがみはハヤテにずいずいっと迫っていた。

「正直に答えなさい〜」
「べ、別に。「中学時代の友達」だよ。ご両親が元芸能人で、娘であるルカさんを「一流のアイドル」にしたくて芸能事務所を立ち上げたんだって」

「馴れ初めを聞こうかしら〜」

「馴れ初めって。中学の時、クラスで孤立してたみたいだから、僕から声をかけたんだよ。最初のうちはちょっとした拒絶があったけど、割とすぐに打ち解けて友達になれたんだよ。僕経由で他の友達も出来たし。ルカさんの両親の話とかは仲良くなって聞いたんだよ。ここまで来たからには打ち明けるけど、家に遊びに行った事もあるよ」

「へえ」
「だ、大丈夫だよ。友達であって、それ以上の関係ではない。だから」
「まあいいわ。信頼しとくわ」


「かがみさん、必死ですね」
「仕方ないよ、みゆきさん。かがみんはハヤちゃん絡みだとああなるし」
「お姉ちゃん、ハ〜君の事大好きだもんね」



一方その頃。

「はあ」
「ルカ、いくら楽屋だからって、アイドルがため息なんかやめなさい」
「あ、ママ」

ハヤテ達が話題にしていたルカがマネージャーをしてくれてる母親に注意を受けていた。

「だってさ、パパとママ、そして私の夢だった「トップアイドルになる」って夢は取り敢えずは叶ったよ。でもさ、こう、「心にぽっかり穴が開いてる」っていうのかな」
「もしかして、例の男の子?中学の時の」
「うん。今何してるか知らないけど、すっごく会いたいんだ」

「全く。その事をマスコミに嗅ぎ付けられないでよ。アイドルは基本的に「恋愛禁止」なんだから」
「分かってるけどさ。はあ」
「やれやれ」

「(ハヤテ君、会いたいよ。再会出来たら、今度こそ私の気持ちを)」


                    × ×


陵桜はハヤテ達3年生は進路相談が始まっていた。

「ウ〜ム。進路希望か」
「夢とかはあるけど、実際考えると難しいよね」
「そうですね。進学となると、選ぶ学部とかでその後の進路にも係ってきますし」

みゆきさんが言うと、こなたはつかさの進路希望の紙を除き

「第一希望が栄養学科で、第二が服飾デザイン科。第三がマーケティング学科。か」
「うん。お料理とかお裁縫するの好きだし」
「つかさらしいねえ。夢を書くなんて」

こなたは感想を漏らし、

「みゆきさんの進路希望は?」
「私は医者志望なので、大学は違いますが全て医学部にしました」
「流石みゆきさん。目的がしっかりしてるね」

「医学部は基本的に難しいですが、みゆきさんなら大丈夫ですね」
「そ、そんな事は。油断大敵って言いますし」
「みゆきさんはよっぽどの油断が無ければ大丈夫ですって」

「ね、ねえかがみん。かがみんの希望は?」

お決まりのジゴロが発動し、こなたは慌てて話題をそらした。

「私は、第一が法学部、第二が経済学部。第三が文学部よ」
「なんだあ。面白くないの」
「面白くなきゃダメか?」
「こなた、大喜利じゃないんだからウケ狙ってどうするの」

「ホントよ。そう言うあんたはどうなのよ」

かがみはひったくる様にこなたの進路希望所を取ってみると

第一が団長、第二が北斗○拳継承者、第三がコンテマンだった。

「こなた、お笑い番組じゃないんだから、ウケ狙ってどうするの」
「ホントね。ってか、「睨めっこ」以外にあんた特技あるの?」
「特技か〜。  あっ、ポ○モン全部言えるよ」

「そ、それは素で凄いな」
「まあ、進路等々には一切影響なしだけど」

「ム〜。そう言うハヤちゃんの進路はどうなのさ」
「やっぱ、気になる?」
「勿論」

こなたがハヤテの進路希望所を見ると

「あれ?これって、かがみと大学も学部も全部一緒じゃん」
「ホントだ。ハ〜君の字で間違いないよね、これ」
「え、えっと。折角進学するんだから、大学もかがみと同じところが良いかな〜って」

「な!?/////////////////////////////も、もう/////////////////////////////////////」

「はいはい。リア充ですね〜」
「リア充?」
「うるさいわね!!!/////////////////////////////////////////////人の進路をどうこう言われたくないわよ!!!!////////////////////////////////////」


                    × ×


また別の日。こなた、かがみ、ハヤテは本屋に来ていた。

「おお、あったあった」

目的のものを取ると、レジに行き

「あんた、いつも雑誌とか買う時下からとるわね」
「上の方のは皆が触ってそうじゃない?だから出来るだけきれいなのが良いわけよ」
「ああ。気持ちは分かるわね」

「そうだね。カバーがかかってないと何となくね」
「そうね。回転寿司で「回っている寿司」じゃなくて「注文してきた寿司」ばかりを取るのと同じ理論ね。回ってるのだと乾いてたりしててね」

「うわっ。かがみんそんな事してるんだ」
「え!?違うの?」
「なんかセコイよ。ね、ハヤちゃん」

「こなた、僕が執事になる前は外食経験が殆ど無いの、忘れてない?」
「あ」
「まあでも、かがみみたいな人は多いんじゃない?なんかヤダってな理由でさ」
「そう言うもんかね」


店の外に出て、かがみが買ったものを見てこなたは

「何時も思うんだけど、かがみってよくそんな字ばかりの本読めるよね。眠くならないの?」
「私のはラノベだからね。漫画と似たような感覚よ」
「確かにね。字だけの漫画って思うし」

「うげ〜。私はそんなふうに思えないよ」
「そう?挿絵もあるし、難しい表現も使ってないから、あんたも読んでみたら?」

かがみに勧められ、こなたは

「い、いやそれは。アニメ化もしてるし、そっちで補完って事で」
「原作には原作の良さがあるのよ」
「それに、こなたは漫画だったらアニメ化しても読むじゃん」

「そうよ。読んでみなさい」
「謹んでお断りします」

「やれやれ。そう言えば、ハヤテも何か買ってたわよね?」
「何買ったの」
「ん!?これだよ」

「うえ〜。参考書じゃん。そんなのよく買うね」
「持ってる参考書じゃ足りない気がしたからね。こなたも買えばいいのに」
「私じゃ真っ白のままと言う結果が見え見えだよ」
「だろうね」


「そう言えばさ、かがみもハヤちゃんもよく本を読んでるよね」
「僕の場合、知識を得ることが楽しいと思う人だし」
「私は、教養を蓄えると、心が豊かになるって思うからよ。心の栄養ってやつ」

「ほう。かがみはその延長で体も豊かに・・アタッ」
「こなた、いい加減懲りようね」
「うう〜。鉄拳制裁〜」

「そう言えばさ。こなたが読んでる雑誌にも連続ノベルって掲載されてるはずだよ」
「い、いやさ。挿絵はチェックしてるんだけどね〜」
「やれやれ。普段愛だのなんだのって人に普及してるけど、こなたの愛はその程度って事?お嬢様はラノベでも読んでるよ」

「ムググ。分かったよ。読めばいいんでしょ」
「そうした方がいいよ。じゃないと、「つまらない愛」とか言われても反論できないしね」


                    × ×


別の日。陵桜。

「ねえこなた、世界史の教科書貸してくれない」
「良いよ。忘れたの?」
「昨日復習したら、机の上に置きっぱなしにしちゃってね」

「珍しいね。じゃあ、僕のを貸すよ」
「ハヤテも置き勉してたの?」
「昨日あんま勉強できなかったから、教科書持ってきてたんだ」

「そうなんだ。じゃ、私の教科書は良いわけだ」
「え、えっと」
「こなたのは借りない方がいいと思うよ。「中学生男子か」ってツッコミ入れたくなるような落書きしてそうだし」

「まさか」
「そのまさかである」

結局、ハヤテに教科書を借りた。

その日の夜。

『あ、もしもしかがみ?』
「もしかして、勉強とかの邪魔しちゃった?」
『平気だよ。で、どうしたの?』

「実はさ、さっき勉強が捗らないからって気分転換しようとしたら、机の上の物落とすは、残ってたはずと思ってた飲み物ないは、買いに行ったらお店が休みでコンビニ行ったら財布忘れたはで」

『マイナススパイラルだね。大変だったね』
「まあね」
『そういう時は、深呼吸をゆっくりするといいよ』

「そうなの。まあでも、ハヤテと話せて気分転換出来たわ」
『ならよかった』


                      × ×


また別の日。

「えっと。これで全部かな」

ハヤテは秋葉に買い物に来ていた。
何故って?ナギの買い物である。

「さて、帰って勉強しないと」

ハヤテが歩きだすと、路地から飛び出してきた人とぶつかってしまった。

「あ、すみません」
「いえいえ。お気をつけて」

「え!?ハ、ハヤテ君、だよね!?」
「へ!?」

突然名前を言われ、困惑した。
目の前の人物は帽子に眼鏡と言った風貌で、ハヤテは見覚えが無かった。

「あ、あの。どこかでお会いしましたっけ?」
「あ、ああ。実は・・・って話してる場合じゃなかった。一緒に来て」

ハヤテは手を引かれ、少し走ると人気のない路地裏に連れ込まれた。

「ここまで来ればもう大丈夫かな」
「あ、あの。僕に何か?」

「そうだった。私だよ、覚えてない?」

そう言うと、帽子と眼鏡を取った。

「ルカさん。お久しぶりですね」
「覚えててくれたんだ。 やった」
「成程。変装して秋葉に来たが、見つかっちゃったって訳ですか」

「うん。漫画買いにね。ハヤテ君と再会出来るなんて夢にも思ってなかったけど」
「そうですね。中学の卒業式以来ですね」
「うん。あ、でさ。折角こうして会えたし、メルアドと携帯番号教えてよ」
「良いですよ」

「ありがと。あ、でさ。ハヤテ君って、今何やってるの?」
「今ですか?執事ですよ。ある財閥のお嬢様に仕えてます」
「そうなんだ。で、でさ。あ、あの」

ルカは少しの間モジモジした後

「ハヤテ君って、今恋人居るの?」
「恋人ですか?居ますよ」
「そ、そうなんだ。 じゃ、じゃあ---------え!?いるの?」

「ええ。もう1年以上付き合ってて、同じ学校に通ってる人です」
「そ、そうなんだ。その恋人さんとは、今でも仲良いの?」
「勿論です。受験生と言う立場上デートは減らしてますが」

「へ、へえ。その学校って、何処?」
「陵桜学園ですよ」
「あ、あの名門校の?凄いね」

「いえいえ。あ、それより、ここに居て大丈夫ですか?ファンの方たちに見つかってしまうのでは?」
「そ、そうだね。じゃ、もう行くね」

ルカは再度変装し、路地裏を出て行った。

「ルカさん、なんであんな事聞いて来たんだろ?恋人がいるかなんて。そう言えば、アーたんにも聞かれたな。謎だ」

「(ハヤテ君、恋人が居たんだ。こりゃ早急に手を打たないと。でも、あんな名門校じゃな)」


                    × ×


別の日の泉家。

ゆーちゃんは自室で寛いでいたところ、こなたに誘われてゲームしに居間に行った。
すると

「あ、ハヤテさん///////////////////////」
「こんにちは。お邪魔してます」
「私が誘ったんだよ。気分転換にって」

「こなたの場合、気分転換に勉強してそうだけどね。まあ、断る理由も無かったので、誘いに乗りました」
「そ、そうなんですか//////////////////////////////」
「じゃ、ゲームしよ」

3人で対戦プレイをしていると、暫くして

「やほー。梅雨だねー」
「あ、ゆい姉さん」
「お姉ちゃんいらっしゃい」

「おー。君も来てたのかー」
「こんにちは」
「梅雨ってジメジメしてて嫌だね〜」

「そうですね。あ、お茶でも淹れましょうか?」
「良いの?」
「ええ。こなた、ポットとか使わせてもらうね」

「どぞどぞ」

「そう言えば、姉さんもうすぐ結婚1周年だね」
「そうだよー」
「そうなんですか。おめでとうございます」

「でもさ、旦那は単身赴任で会えないんだよね」
「そ、そうなんですか。これでも飲んで元気出してください」

ゆい姉さんはハヤテが差し出したマグカップを受け取って飲むと

「あ、美味しい」
「良かったです。お茶も淹れ方次第では味が大きく変化するので」
「うう〜。姉さん人妻だぞ〜」

「口説くつもりはありませんよ。僕、彼女いますし」
「そだったね。でも羨ましいな〜。そう言う人に直ぐに会えるって」
「は、はあ」

「ゆい姉さん、慣れてるんじゃない?そう言う事に」
「慣れてないって」
「こなた、身内なんだから少しは慰めてあげなよ」

「そうだけどさー。ん!?」

電話が鳴り、ゆい姉さんが出ると

「帰って来られるんだー。直ぐ帰るー」

「ほら、慰めなくてよかったでしょ?」
「結果的にそうなっただけでしょ」

「(ハヤテさん、優しいな。お姉ちゃんとはほとんど面識ないはずなのに)」


                   × ×


ある日の下校中。柊姉妹の会話を聞いていたみゆきさんが

「かがみさんとつかささんには、お姉さんが2人もいて羨ましいですね」
「そうですね。僕には兄がいますが、語れるほどの思い出はありませんし」

「そうかしら。ハヤテはともかく、私からすれば一人っ子のこなたやみゆきの方が羨ましく思うけど。ね、つかさ」
「え、えっと。そういう時もあるかも」

「いやいやお2人さん。そうやってキャストが多いと、いろいろできそうじゃない?」
「一応聞くけど、例えば?」

「ハヤちゃんなら分かるでしょ?古きアメリカで出生した父の帰りを待つ母と四姉妹の物語とか、アート専門に狙う女盗賊とか」
「こなた、後者じゃ誰かが余っちゃうでしょ。あれ、三姉妹だし」
「四姉妹盗賊ってのも面白いんじゃない?」

「何でもそっちにもってかないの」
「そうよ。あ、そう言えば、お父さんとお母さんの旅行、今日だったわよね?」
「あ、そっか。今日は私達だけだね」

「へえ。なんか、妙な偶然ですね」
「ハヤテ、偶然って?」
「今日は、お嬢様もマリアさんもいないんだ。本宅に用があってね。つまり、今日は僕1人なんだ。ちょっと違うけど、そう言う意味で偶然かなって」

「そう。1人、なの」
「うん。明後日には2人とも帰ってくるけど」
「ハ〜君、一緒に行かなかったの?」

「お嬢様が「お前は受験生なんだから、こんなくだらない行事に参加するな。こんな地獄、私とマリアだけで十分だ」って言ったので」
「そうなんだ」

すると、考え込んでたかがみが

「ねえハヤテ、今日泊りに行ってもいい?」
「へ?いいと思うけど」
「じゃあ決まりね。つかさ、いのり姉さんとまつり姉さんにはうまく言っておいてね」

「で、でも。着替えとかどうするの?明日も学校あるし」
「着替えならあるでしょ?前に泊まった時に」
「あ、そっか。洗濯するからって置いて行った奴仕舞ってあるや」

「学校の準備なら、明日の分なら持って来てあるわ」
「ならいいか。じゃ、かがみはうちに泊まりだね」
「ぬっふっふ〜。ハヤちゃん、かがみ、今日はお赤飯?」

「違うわよ!!!!!!!」


                   × ×


「ただいま〜」
「遅い。って、かがみは?」
「え、えっと」

姉のまつりに問いただされ、つかさが答えに迷っていると

「もしかして、例の彼氏君の家?」
「えっと、いのりお姉ちゃんの言う通りなんだ。かがみお姉ちゃん、ハ〜君が今日は家に1人だって言ったら泊りに行くってそのまま」

「やれやれ。青春してるやつは違うね〜」

皮肉たっぷりに次女・まつりが言うと

「で、頼んだ買い物は?」
「あ。ごめん忘れてた」
「全く。まあいいわ、姉妹が揃ってないんじゃ腕を振るっても仕方ないし」

「ご、ごめんね」
「良いって」
「つかさ、まつり、冷蔵庫にあるもので済ませちゃいましょ」

長女・いのりの号令でキッチンに向かい、料理を作った。

「じゃ、いただきましょう」
「「いただきます」」

挨拶し、食べ始めようとしたとき

「あ、あれ?お父さんにお母さん」
「どうしたの?旅行だったはずじゃ」

「それがね。予約してたの来週だったみたいなの」
「何その、コントみたいな展開」
「いやあ面目ない」

「フフッ。それより、今からご飯みたいね」
「え!?食べてないの」
「ええ」

「じゃあ皆で食べようよ」
「そうだね。それより、かがみはどうしたんだい?」

「え、えっと」
「例の彼氏君の所よ。外泊だって」
「ま、まつり」

姉のいのりに言われ、父・ただおを見ると、明らかに暗くなっていた。

「そ、そうかい。かがみは綾崎君の所に」
「な、なんかごめん」
「いや、いいんだよ、まつり。それより、晩御飯だね」

その日の柊家の晩御飯は少しだけ寂しそうだったと言う。


                  × ×


一方、ハヤテとかがみ。

「じゃあ夕飯作ってくるからテレビでも見て待っててよ」
「手伝うわ」
「そ、そんな悪いよ。かがみはお客様なんだし」

「手伝いたいのよ。それとも、私じゃ不満?」
「そ、そう言う意味じゃ。分かった、じゃあお願いするよ」

かがみにエプロンを貸し、一緒に料理を作り始めた。

料理が中盤に差し掛かったころ

「な、何よ」
「い、いやさ。こうやって並んで料理してると、新婚さんみたいだなって」
「な!?な、な、な。何をバカな事言ってるのよ//////////////////////////ほら、料理完成させちゃいましょ///////////////////////////////////」

まあ、食事シーン等は割愛し

「かがみ、お風呂沸いたよ。先に入っちゃって」
「ああ、あのさ」
「何?」

「い、一緒に入らない?お風呂/////////////////////////////////////」
「へ!?//////////////////////////////////////////」
「だ、だって。私達付き合ってもう1年以上経ってるのよ。キ、キスもしたし。だ、だから一緒にお風呂も解禁してもいいかなって////////////////////////////////」

「え、えっと////////////////////////////////////////////」
「わ、私とじゃ嫌だって言いたいの?///////////////////////////////////」
「か、かがみが良いなら僕は別に/////////////////////////////////」

「じゃ、決まりね///////////////////////////////////」

結局一緒に入った。

「やっぱり、寝るのも一緒なんだね」
「当たり前でしょ。さ、明日も学校だし、寝ましょ」
「うん。おやすみ」

「あ、待って。んっ」
「お、おやすみのキス、ですか?/////////////////////」

ハヤテはキスされたのであった。

「そ、そうよ//////////////////////////////じゃ、おやすみ」


                   × ×


翌日、陵桜。

「おっす」
「ぬっふっふ〜。新婚さんのご登校〜。ってね」
「な!?バ、バカな事言うんじゃないわよ!!!ただ単にハヤテの所に泊まっただけでしょ!!!!!」

「なんだ。何もなかったんだ」
「当たり前でしょ」
「私はてっきり、ハヤちゃんと風呂に入るくらいはしたと思ったんだけどね」

「え!?」
「あれ〜?その顔は図星〜!?」
「ううう、うるさい!!」

「か、かがみ。落ち着いて」
「わ、分かったわよ」

「これ以上はハヤちゃんに制裁貰うね」
「へえ。分かって来たじゃん」

「そう言えばさ、最近って本とか読む時間へってるよね」
「そう言えばそうね。私も「買ったけど、まだ読んでない本」あるし」

「私もまだ読んでない本枕元にいっぱいあるんだよね。でも、つい新しいのに手を出しちゃうんだよねえ」
「それ少し分かる」
「新しいのを買わずにあるのを読めよ」

「そうだね。勿体無いでしょ」
「でもさあ。新しいのがあると落ち着くというか、物足りない気がしない?」

「私に同意を求めるな」
「僕は少しは分かるけど、やっぱ勿体無いって」

「でもさあ。後で読むって分かってるし」
「ああ、そうですか」


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以上です。

では。