Re: 新世界への神話Drei 9月7日更新 ( No.45 )
日時: 2012/09/11 21:38
名前: RIDE
参照: http://hinayume.net/hayate/subnovel/read.cgi?no=7129

今日はサッカー、イラク戦でしたね。
スポーツというのは、見ていると熱くなります。ロンドンオリンピックでもそうでした。
皆さんはどうですか?


さて、まずはレス返しから。


絶影さんへ

>どうも、絶影です。

どうも。感想ありがとうございます。

>いやはや、さすがにエーリッヒは強いですね。
>雷矢もまた青銅の使者なのに白銀の使者をも超えるスピードを誇っているという時点で驚きですが(笑)

エーリッヒは黄金の使者の中でも腕が立つ方です。
そして雷矢も規格外の実力者。
この二人の戦いは、それをより際立たせると思います。

>しかしそんな攻撃も全くエーリッヒには効いていない。
>黄金の使者はチートか!とも思いたくなります…

黄金の使者は普通なら青銅、白銀では全く歯が立たない。例え雷矢でも例外ではない。
そのことを示したかったんですが、やっぱりちょっと強すぎましたかね…?

>やはり黄金の使者と対等かそれ以上に戦うためにはあれを発動するしか…(え

そう、あれを発動するしか…(笑)
それができるかどうかも含めて、見守ってください。

>エーリッヒの一撃を受けた雷矢はどうなってしまったのか。
>そして雷矢の静止を受けた光たちはどう動くのでしょうか。
>いや動かないかもしれませんけど(汗)

光たちがどう行動するか。
実は雷矢にとって重要になるので見ていてください。

>次回の更新も楽しみに待ってます♪
>それでは〜

絶影さん、感想ありがとうございました!


それでは本編です。


 6
 必殺技による逆襲を受けた雷矢は、勢いよく吹っ飛ばされてしまう。その身に受けた衝撃は今まで味わったことのない、予想以上に大きかった。

「こ。これが黄金の使者なのか…」

 今までの人生の中で地を舐めるような苦汁を幾度も経験をしたとしても、これ程の相手を前にしたことはなかった。自分の力を全く寄せ付けず、顔色一つ変えずに返してくる男を。

 それは雷矢が初めて、格上の戦士と対峙したことがであった。同時に黄金の使者を、ただの敵としてではなく超えたい強者として認識していた。

 絶対、この男たちに負けたくないと。倒れこみながら雷矢は強く思っていた。

 そこへ、エーリッヒが追い討ちとなる次の一撃を今にも打たんとばかりに構えていた。彼の周囲で、目に見えない念力が空で鳴っている。

 続けて攻撃を受けるわけにはいかない。

 雷矢は起き上がる間も置かずに再び電光石火を仕掛けてきた。電光石火がエーリッヒの念力よりも速く相手に命中するのは先程証明されている。この時も、エーリッヒよりも先に必殺技が決まるものだと思われた。

「遅い!」

 しかしエーリッヒが睨みを利かせると、彼の背後にウィルワーのオーラが浮かび出てきた。

「メンタルクラフィクション!」

 その瞬間、電光石火で攻めようとしていた雷矢の身体が、念力によってその場に押し止められてしまった。それだけなら普通に念力を使っているだけにしか過ぎないが、今エーリッヒが放っているものは今までのものとは少し変わっていた。

 それまではただ押し返そうとしていただけに過ぎなかったのが、雷矢の全身を縛り上げるように締め付けて、身動きを封じている。加えて、それまで雷矢が纏っていた電撃さえも消えてしまったのだ。

「マインドを発動させた黄金の使者が必殺技を放てば、電光石火など悪あがきにもならないのですよ」

 もっとも、マインドを発動させるまで至らせたことは見事ですと付け加えながらエーリッヒは語った。

 そんな称賛を受け止める余裕など、今の雷矢にはなかった。本気を出したエーリッヒの必殺技から何としても抜け出す。頭の中はその思考ばかりが駆け巡っていたからだ。

 だが焦ってはいない。冷静に集中できていないようであれば、誰もが脅威を感じさせるほどの男ではない。

 この拘束を力づくで打ち破れないか試してみるため、雷矢は電光石火を使おうとした。

 その瞬間だった。突然、雷矢の全身に痛みが走った。

「なっ…!?がっ…!」

 あまりの激しさに、声をあげることもままならない。ただ異様に思うのは、この痛みが体の外からではなく内から、まるで捻じり切られるような痛みであることだ。

「必殺技を使おうとしても無駄ですよ」

 エーリッヒの言葉通り、尚も必殺技で抗おうとした途端、またも激痛が雷矢を襲った。

「私のもう一つの必殺技、メンタルクラフィクションは肉体だけでなく精神をも縛りつける念力です。必殺技でもがけばもがくほど、精神を痛めつけることになります」

 そして、冷ややかな声で付け加えた。

「傷を負い続けると、その果てには心が死ぬことになります」

 それを聞いた光、海、風はイーグルを連想させる。眠ったままになっているものの心は存在している。その心さえも、なくなるということだ。

 心が死ぬ。それは、ただ生きているだけの人形になるも同然に違いない。

 下手に抗っては逆に自分がダメージを負うことになると悟った雷矢。打てる手を封じられた以上、彼は大人しくするしかなかった。

 それでも、戦いは放棄しない。雷矢はこの状況を打開する得策がないか、探し出そうとしている。

 そんな彼の不屈なる闘志は、エーリッヒにも伝わっていた。

 エーリッヒは相手がどれだけの実力を持っているか、どんな意志でもって戦っているのか、超能力と相まって測ることができる。

 だからこそ、エーリッヒは使者たちの間で「見極める者」とも呼ばれているのだ。立ち向かってくる者たちが抱く心に悪意があるかどうか探り、あるならば敵として排除し、そうでなければその者を見届ける。彼が賢明大聖から特命を授かったのも、エーリッヒがそういう人物であるからだ。

 また、黄金の使者たちの中でもエーリッヒが一番手に任されているのも、霊神宮を攻めようとする敵を詳しく知るためである。後に続くであろう仲間たちと渡り合えるか、念の間を抜けたか否かで他の黄金の使者たちにそれを報せるのだ。

 そのエーリッヒが見た雷矢からは、悪意というものは感じられなかった。闘志は並々ならぬ凄まじさではあるが、それ自体は純粋なものだ。噂されているような復讐鬼の様には見えなかった。

 この男も、先に行ったハヤテたちと同じ挑戦者なのだろう。

 信念は多少違えど、自らのために戦うのだと。

 だがそのためには、彼の力を示してもらわなければならない。

 エーリッヒは霊神宮に盲目的に従っているわけではないが、相手に情けをかけるような人間でもない。

 その場で雷矢にかける念力を強めていく。肉体も精神も圧迫され、身をよじることさえ許されなくなる。

 このまま、何もできずに終わってしまうか。

 微かにエーリッヒが落胆した時であった。

 突然、エーリッヒの横から炎、水、風が彼を狙って襲いかかってきた。雷矢に気を取られて遅れをとったため、回避は間に合わない。

 ならばこの身で受け止めようか。黄金の精霊が持つ防御力は青銅、白銀の群を抜いて高い。生半可な攻撃では傷一つつかないだろう。

 そう考えたが、そこでようやくエーリッヒは危機を悟った。迫りくる炎らは黄金のレベルに近い威力があると感じ、受け止めるなんて言えるものではない。

 焦りを抱いたエーリッヒは、やむを得ないといった様子でメンタルクラフィクションを解除し、テレポーテーションでかわす。

 奇襲を危ういところで回避したエーリッヒは、それを仕掛けた主を確認する。

 光、海、風の三人が、魔法でエーリッヒを狙っていたのだ。



ちょっと短かったかな…?

次回に続きます。