Re: 新世界への神話Drei 8月28日更新 ( No.43 )
日時: 2012/09/07 22:41
名前: RIDE
参照: http://hinayume.net/hayate/subnovel/read.cgi?no=7129

九月に入りましたね。
これから涼しくなると思うので夏より快適になるはずです。


さて、まずはレス返しから。



絶影さんへ

>ど、どうもお久しぶり…絶影です(汗)
>今更何だよとか聞こえてきそうですが…感想に(笑)

お久しぶりです!
絶影さんが来てくれてうれしいです!

>おお!ちょっとひなゆめに来ていない内に雷矢が復活してる!
>そして光たちと共に霊神宮乗り込んで…え?エーリッヒと対決…
>うーん…今までの経緯からエーリッヒが怪しむのは当然ですが…
>今の雷矢を見ると、二人が争う必要はない気がしますね(笑)

雷矢の話は試行錯誤を繰り広げましたからね。そして今回もどうしようかと悩んでいました。
エーリッヒの対決は、エーリッヒの役割上避けられないので。雷矢にとっても、重要な戦いになるわけですから、戦うというのが自然です。

>いくら雷矢が強いと言っても、黄金の使者であるエーリッヒに勝つことができるのか!

レベル差というのは、今回の話を見ればわかります。
これを見る限りは、ねえ…。

>そしてハヤテ達は一人目(実質二人目ですけど)の黄金の使者ロクウェルと対決。
>花南の頑張りでこの強敵を退けることが出来ました。
>次はどんな強敵が現れるのでしょうか?

次の刺客についても、考案中です。
結構時間がかかりますが、それだけ楽しめるよう頑張っています。

>雷矢の戦いはもちろん、そちらの方も楽しみです!
>それでは次回の更新もお待ちしてます。

とりあえず、今回の雷矢の戦いを楽しんでいただければと思います。
絶影さんも頑張ってください。

キーさんへ

>χ「今回は……ジェットたちより雷矢だな。」
>調「若干ひどくないか?」

ジェット「ふう、ずいぶんな言われようだな」
ジム「まあ、今回の私たちは裏方ですので」
ドリル「仕方ないと言えば仕方ないな」

>χ「まぁ、それだけ雷矢に期待してるんだよ。」
>調「とはいっても、この様子だとエーリッヒも実はわかってるんじゃないかな。」

エーリッヒは雷矢がどれだけの強さかわかりませんから。
まずは雷矢を見る、それからです。

>χ「まぁ、どのみち形式上でもやらなくてはならないんだろ。」
>ナオ「それより次回だね。…雷矢さんとエーリッヒさんが戦う。」
>χ「そうだな。…ジェットたちよりも雷矢だな。」
>調「ひどいことを言ってるのに気付いているのか?…まぁ、いい。」

雑魚相手のジェットたちよりは楽しめると思います。
雷矢がどう戦うか、見ていてください。

>χ「あ、次回以降の感想でキャラのリクエストが有ればどうぞ。」

それでは、奏さんでお願いします。

絶影さん、キーさん、感想ありがとうございました!

それでは、本編です。



 5
「戦うんだな…」

 雷矢とエーリッヒの二人を見て光は呟く。海と風も、戦いは避けられないと直感していた。

 精霊と一体化した二人の殺気は本物であり、いくら死闘を経験したことがあるとはいえ、日本の普通の中学生でしかない三人には無闇に割って入ることなどできなかった。

 それと同時に、悲しくもあった。仕方のないことであるというのはわかりきってはいるのだが、それでも戦わずに済めば、とどうしても思ってしまう。全てを割りきれないところは、甘いかもしれない。

 だが、この期に及んでそんなことを言うつもりも、増してやあくまで戦いを止めようという気もない。

 二人とも、自分自身のために戦おうとしているのだ。自分たちがここへ来たのも、自らがそう願ったからである。雷矢とエーリッヒも、同様のことであろう。

 それに、三人は”今は”戦いに割って入れないが、入るつもりがないということでもない。

 後悔だけはしない。

 そのために今は、戦うのだ。



 雷矢とエーリッヒは未だに睨み合いを続けていた。

 互いに相手の出方を伺い、一瞬の隙も見逃さないと神経を張り詰めていた。

 これが黄金の使者同士の戦いならば、このような緊迫した状況にもなると納得ができるが、エーリッヒが今相手にしているのは雷矢だ。

 たかが青銅レベルの使者でしかないはずの男が、黄金の使者にこれほどまで警戒されている。

 そうさせているのは、綾崎雷矢から発している凄まじい闘志のためであった。それは青銅のレベルを遥かに超えていたのだ。

 二人は硬直したかのように尚も身動き一つもしない。一秒が、二人には一時間以上にも感じているに違いない。

 尚も続く膠着状態。放っておいたら永遠にそのままでいるかもしれないと思われた。

 だがそれも、ついに破られた。

 雷矢がいきなりエーリッヒに向けて放電してきたのだ。何のアクションも起こさない、ノーモーションからの攻撃。完全に不意を突いた形であった。

 しかしそれは、エーリッヒに届くことはなかった。電撃が放たれたと同時に、雷矢の目の前からエーリッヒの姿が突然消えたのだ。

 次の瞬間、雷矢は背後から突然発生した殺気を感じ、反射的にその場から飛び退いた。それと同時に、雷矢がそれまで立っていた場所が何か見えない力で押されてしまったかのように大きく窪んでしまった。

「…な、なにあれ?」

 超常現象のように起こった光景に、目をぱちくりさせている海。光も風も驚いていた。

 雷矢とライオーガの力は、これより前に目にしていたから不思議とも思わなかった。だがエーリッヒについては不明な点が多かった。

 何故、一瞬で姿が消えたり現れたりしたのか。何故、床が砕けたりしたのかまったくわからない。

「なるほど、だから念の間というわけか…」

 一方で、エーリッヒと直接相まみえた雷矢は、相手の力について十分に察することができた。

「おまえの精霊が司るのは念力。そしておまえ自身も超能力者だということだな」

 突然消えたり現れたりしたのはテレポートによるもの。床を粉砕したのも念力によるものだということ。今までの中でも特殊なものである力と、表の門に刻まれてあった念の間という言葉からそこに結び付いたのだ。

 雷矢から念力という単語を聞いて、光たちは納得すると同時に彼に対して感心していた。あのたった一瞬でそこまで悟るというのは、彼女たちには無理なことだ。三人の中で一番賢い風でさえ、もう少し時間をかければ気づけたかもしれない。

 それだけに、雷矢にはただ驚愕するしかなかった。これが幾多の戦いを潜り抜けた戦士ということなのだろうか。

 エーリッヒも同様に、性格が変わればそれが表に出ていたであろう。彼もまた、雷矢の使者としての資質を見抜いていた。

 いくら規格外とはいえ、格下である青銅の実力を測れぬようでは、賢明大聖に特命を受けないどころか、黄金の使者として廃ってしまう。

 この男は、ただ者ではない。

 それを敵味方共通して、強く認識する。

 そして、彼らにそんな感情を抱かせた雷矢は、エーリッヒに対して先程以上に警戒していた。

 相手の力はわかったが、攻略法にまでは至っていない。

 超能力にもエーリッヒ自身にも隙が全く見当たらなかった。攻め口がない以上、無闇に攻撃することは避けるべきであるし、先程の攻防によって奇襲は通用しないことは証明されている。

 では、守りに徹するべきだろうか?

 いや、それは愚かな選択だ。雷矢にはそれがわかっているから、防御という考えを頭から追い払っている。

 今まで見てきた、雷や炎などという力と違い、念力は詳しいメカニズムは解明されていない。つまり、その力に対抗するすべは全くないのだ。

「どうしましたか?」

 中々行動を起こさない雷矢の相手であるエーリッヒは、冷ややかに声をかける。

「私を倒さない限り、先へは進めませんよ?」

 雷矢と対面している彼は棒立ちのまま。一見すると隙が多いように思われるが、超能力の発動に構えなど必要はなく、あれで戦闘態勢となっているのだ。

「動かないのであれば、こちらからいきますよ」

 エーリッヒがそう言ってからすぐに、彼の念力によって雷矢が軽く飛ばされ、壁に激突してしまう。

「雷矢さん!」

 その場で倒れこむ雷矢の姿を見て、光たちは声をあげる。

 三人はエーリッヒの超能力を前に、すっかり言葉を失ってしまった。何を言っていいのか、わからないのだ。

 一般的な精霊の使者がどれ程の実力を持っているのかは知らないが、強大な力を持つ雷矢を寄せ付けないエーリッヒは、口を閉ざしてしまうほど衝撃的だったのだ。

 とはいえ、彼女たちは足が竦んでただ見ていることしかできないような臆病者ではない。手甲の宝石から各々剣を取り出し、エーリッヒと戦う姿勢を見せた。

 だが。

「手を出すな!」

 雷矢の張り上げた声に、三人は反射的に足を止めた。

 それだけの迫力が、雷矢の声には込められていたのだ。

「こいつは、俺がやる!」

 冗談ではない、と雷矢は思っていた。

 いくら相手が自分よりも遥かに格上の黄金の使者であったとしても。

 いくら少女たちが魔法を使え、腕が立つ者だったとしても。

 女の子に、しかも三人に助けられたとあっては、この戦いに敗れること以上に屈辱なのだ。

 そのプライドを支えに、雷矢はよろよろと立ち上がる。

 超能力を防げない以上、彼が取れる手は一つしかなかった。

 一瞬でも気を緩めてはいけない。間違いなく反撃を受けてしまう。

 踏み込む足に力を入れ、先程以上に神経を尖らせる。

 そんな雷矢の直感が、エーリッヒの周囲が微かに揺らいだのを捉えた。

 恐らくは、念力を使う兆候だろう。

 雷矢は躊躇することはなかった。

「電光石火!」

 彼は一気にエーリッヒに襲いかかった。そのスピードは、瞬きしてしまえばもう追うことは不可能なほど速かった。

 雷矢の狙い。それは相手が念力を繰り出すよりも早く攻撃することであった。

 確かに念力を使う前ならば、エーリッヒを叩けるだろう。だが、念力が発動されるまでの時間は定かではないし、電光石火で以ても先手を取れないかもしれなかった。技自体をかわされることだって考えられる。

 不安要素はあったものの、結果としては的を得た。

 雷矢の必殺技はエーリッヒに命中し、相手の体勢を崩させた。

 それにより、エーリッヒからプレッシャーが霧散したように感じ、念力の使用を阻止したのだと察した。

 まずは出鼻をくじいた雷矢。だが、その成功に浮かれている暇はなかった。

 雷矢は矢継ぎ早にエーリッヒに攻撃していく。念力を使う間を与えてしまえば確実にやられてしまう。そうなれば、せっかく先手を打てたことが水泡に帰してしまう。

 手を止めてはやられてしまう。その思いから雷矢は次々と拳を繰り出し、電撃を浴びせる。

 激しい猛攻にさらされているエーリッヒ。だというのに、彼はそれでも平然とした態度を変えないでいた。

「…あなたの必殺技、電光石火と言いましたね。白銀の精霊でもあれほどのスピードは出せませんから、見事なものです」
「何が言いたい…」

 執拗に攻撃しているのに、苦しんでいる様子など見られない。蚊に刺された程度にしか感じていないのかと訝る雷矢。

「ですが、それでもまだ黄金の域には遠く及びません!」

 そんなエーリッヒは、いつの間にか右の拳に念力を集中させていた。念力は次第に目で見えるエネルギーとなり、拳を覆っていった。

「サイキックブロー!」

 念力のこもった拳が、雷矢の腹部へと入った。






  次回、エーリッヒの攻撃はさらに続く…



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