Re: 続・新世界への神話(11月9日更新。ヒナギク編) ( No.97 )
日時: 2011/11/16 19:50
名前: RIDE
参照: http://hinayume.net/hayate/subnovel/read.cgi?no=3929

30話も遂にラスト。
色々と展開が怒涛でしたが、それもこれで終わり。
最後は少々長めでお送りします。

でも、その前にまずはレス返しを


森野さんへ

>RIDEさん、お久しぶりです。僕の事を覚えていらっしゃいますか?
>一ヶ月も感想を書いていなかった大馬鹿者(森野)です。(汗)
>僕がRIDEさんの作品の常連になる事は難しそうですね……(苦笑)
>前置きを長くするのも何なので、感想の方へ移らさせてもらいます!

覚えていますよ!
こちらこそ、感想を中々送らずにすみません
無理に常連にならなくても、書ける時に感想を書いて書いて下さってよいですよ

>今回の30話編、色々と凄いですね。
>先ず美希がヒナギクに想いを告げましたか。
>報われない恋って、何だか可哀想ですよね…
>あ、勿論あの変態(虎鉄)は別ですよ♪

確かに、切ない以上の感情がありませんよね。
まあ、普段の美希からは想像できないので、ちょっとシリアスにしすぎたかな?
虎鉄に関しては、同意見です。

>ヒナギクが助けを呼んだ直後、ヒーローみたいにハヤテが登場!
>ハヤテ、お前どれだけ地獄耳なんだー!!

ハヤテはナギをはじめとして、大切な人の危機を察する本能があると思います。
小説二巻でも、ハヤテは授業中に屋敷内のナギの危機を感じ取りましたし。

>疾風のごとく駆けつけたハヤテを追ってハムスター(歩)も到着。
>普通人は戦場に来ちゃいけないんだよ、歩君。

歩はどこか危機感がないっていうか、緊張感がないっていうか・・・・
けどほとんどの人が、野次馬根性で見に行くと思いますよ。

>歩と美希、二人のおかげでヒナギクはハヤテに告白を――って、ええ!!?
>ハヤテは内心大慌てでしょうね。何せ自分の事を嫌っていると思っていた人からのまさかの告白ですから。

それはもう、天と地がひっくり返る想いだったでしょう。
自分の考えを覆されたのですから。それもいい意味で。

>ヒナギクがとうとう一体化を習得!確かにヒナギクには勇気がピッタリです。
>それに花南もヒナギクを仲間と認めましたか。
>この二人、案外いい組み合わせかもしれませんね。

いがみ合いながらも仲を深めていく。
二人にはそんな関係となることを意識しています。
だって、ヒナギクにはそんなキャラいませんし。

>ヒナギクと花南のタッグが謎の少女と戦闘。
>二人のコンビネーションに少女は苦戦。ヒナギク……いつの間に強くなったんだ……(と言うより今強くなった)

ヒナギクはそんなに目立っていないようには思えますけど
やっぱり強く見えますよね。まあそれまで活躍した光景が見られなかったせいかもしれませんけど。
それでも、吹っ切れた人間は結構強いものですよ。

>少女が激情に身を任せて襲い掛かろうとした時に、謎の声が少女を制した。
>それだけじゃなく、ハヤテ達全員を異空間に移動させる程の新手。こ、これはマズイのでは……?

声だけでも貫禄があります。
存在だけで全員震え上がっていますし、マズイと思ってしまうのも無理はありません。

>新たに現れたデボネアと呼ばれる巨大な女。
>……ノヴァ?デボネア?セフィーロ?
>RIDEさん、それはもしかして『魔○騎士レイ○ース』の事ですか?
>だとしたら光とかも出てくるんでしょうか?
>もし光がハヤテ達の所へ現れたら、最初は敵と判断されるでしょうね。(笑)

おお!わかる人がいた!

今回も、名前はできるだけ伏せていますが、あのキャラたちが登場しています。
光たちは、予定にはあります。
まあ、ノヴァのこともありますから誤解はすると思います。

>デボネアの目的は全ての破壊。
>それを止めるには霊神宮へ行かないといけない……
>これはかなり困った展開ですね。(汗)

まさかこのような展開になるとは誰も思っていなかったでしょう。
この場にはいないエイジたちがどう思うか。
そして彼らもどう決断するかも、これからの問題です。

>そういえばヒナギクの告白の行方がまだでした!
>ハヤテの決断が物凄く気になります!
>まぁハヤテの事ですから、『全てが終わったら答えを出します』とか言って、敵との戦いが終わるまで先延ばしにするんでしょうけど。

ハヤテならそう言いそうですね。
まあ、告白してすぐに答え出せというのは難しいでしょうから、どうなるやらですがね。

>次回、一体どんな展開が待っているのか楽しみです。
>更新頑張って下さい!それでは失礼しました。

はい、頑張ります!


絶影さんへ

>どうも絶影です
>それでは感想に

今回も感想ありがとうございます!

>勇気と手に入れた(というのか?)ヒナギクは
>今や信頼できる仲間となった花南とともに魔法を使う少女に立ち向かいましたね

手に入れた、というよりも振り絞ることを覚えたと言うほうが正しいと思います。
勇気はただ、自然に湧いてくるものではありませんからね。

>花南がヒナギクを信頼して自分を氷漬けにしたときは
>私もヒナギクと同じように「今信頼し始めた人をそこまで!?」と思いましたよ
>まぁおそらく私にはそこまで信頼できる人がいない寂しい奴だということですね(笑)

花南はヒナギクのことをよく見ていましたからね。
ずっと怯えていた女が、一世一代のために腹を括った。
その心意気ならば大丈夫だと思ったんでしょう。
・・・・まあ、失敗しても彼女が言ったとおり、自分で何とかするでしょうけど。

>少女を追い詰めていた時に現れたのは巨大な女性
>その強さは黄金の使者を越え、龍鳳と並ぶであろう実力
>女性は世界の崩壊を宣言しその場を去っていきましたね
>一体どういうことなのか
>気になります

彼女にとっては、ハヤテたちの戦いを崩壊への序曲と捉えています。
第三者から見れば、明らかに内輪もめですからね。

>最後に花南も霊神宮に乗り込むことに同意しましたね
>これからどうなっていくのか
>そしてヒナギクの告白の行方は

告白の行方は、気になっているところ悪いのですけど、呆気なく感じてしまうかもしれません。
一日で答えが出る問題ではないということです。二人とも経験それほど豊富というわけでもありませんしね。

>それでは次回の更新待ってます

今回の更新、楽しんでいただけたらと思います。


森野さん、絶影さん、感想ありがとうございました!

それでは、本編です!



 8
 白皇の校門前で、ハヤテたちはいろいろと話していた。

「それにしても、美野さんにはお世話になりっぱなしですね」

 申し訳なさそうにしながらも、どこか嬉しそうにハヤテは言う。

「昨日のあの騒ぎを仕掛けて、僕に誠実の魂を目覚めさせるきっかけを作ってくださいましたし」

 それを説いたのは伝助だが、ほとんどは花南のおかげといっても過言ではない。

「心が塞ぎ込んでいる私たちを引っぱたいて、大切なことを気付かせてくれた。最初はそのやり口が気に入らなかったけど、仲間として認めてくれて本当にありがとう、花南」

 ヒナギクも感謝の意を表す。

 花南は、そんな二人の前に出て、顔を向き合う。

「あんたたちにひとつ言っておくわ。借金執事には二つになるけど」

 何を口にするのかと、ハヤテとヒナギクは彼女に集中する。

「まず借金執事。私たちはもう仲間同士なんだから、名前で呼びなさい。佳幸や氷狩たちのことも、私が許可するわ。仲間は、名前で呼び合うものでしょ?」

 花南は二人に、粋な笑顔を見せた。だからハヤテも、快く応じる。

「わかりました、花南さん」
「よろしい。それと、礼なら私じゃなくて高杉に言いなさい」
「高杉君に?」

 意外な人の名前が出てきたことに、ハヤテとヒナギクは目を丸くする。花南は手紙を取り出し、そんな二人に手渡した。

「高杉が書いたものよ」

 そう。石像にされる前にダイが書き、翼に託した手紙。花南は昨日それを翼たちに返さず、ずっと所持していたのだ。

 二人は手紙を広げて、共に覗き込む。

 手紙には、こんな内容が記されていた。




 綾崎は何でもできる力をもっている。それでいて真面目だ。

 そのため周囲からいい奴と思われ、頼られている。けど、その強い責任感が仇となっている。

 なんでもできるから、自分ひとりで背負い込もうとする。それでは、いつかあいつは潰れてしまう。

 できることがたくさんあっても、一人がやること、やるべきことは限られている。だから人は協力し合える。

 そのことと、冷静に視野を広げればもっと余裕になれるだろう。

 桂も、常に一番を目指しているのは感心するが、それにこだわりすぎて、小さな世界に閉じこもっている。

 もっと肩の力を抜いて、意地を張らないこと。一番じゃなくても、自分を受け入れてくれるものを知るべきだ。

 本当は俺が直接話したかったが、この手紙が読まれているということは、それができない状態に陥っているということ。だから、俺の代わりにこのことをあの二人に教えて欲しい。

 綾崎も桂も、いい男やいい女になれるものがある。あの二人がどんな風に変わるか、楽しみだ。




「・・・・私はこれを読んで、私なりのやり方であんたたちに訴えたくなった。私はただ、高杉が話そうとしていたことを代わりにやっただけよ」

 花南が語るのを耳にしながら、ハヤテとヒナギクはダイが残した手紙に読み耽っていた。

「高杉君・・・・」

 おそらくダイはこれを書いている時点で、自らの身に危険が迫ることを予感していたに違いない。

 自分たちが見てきた限りでは、ダイはやる気のない態度が目立っていた。艶麗の戦いでそれが覆されたものの、このような手紙を残していたとは予想もしていなかった。その反面、こうして自分たちのことをちゃんと見ていてくれたことがなんとなく嬉しく思い、ましてや自身に危機が迫っているというのに、自分たちを気遣うその優しさに心がしびれてしまっ
た。

 そういえば、とハヤテは思い出した。雷矢との再会で落ち込む自分を励ましたり、苛立ちをヒナギクにぶつけた時は鉄拳とともに激しく叱り飛ばされた。これらも全て、自分を案じてのことだったのだ。それがわかると、ダイの人柄というものが大きく見え、彼がいたことにありがたみのようなものを感じていた。

「霊神宮へ行く理由がもう一つ増えましたね」

 ハヤテとヒナギクは、互いに同意見だというように頷き合う。

「絶対に高杉君を助けましょう。ちゃんとお礼が言いたいし、それが私たちにできる恩返し
みたいなものだから」

 花南も、ダイを救出するつもりでいた。

「私は、高杉と話がしてみたいわ。もしかしたら、話が合うかもしれないから」

 そう言った彼女は、ハヤテとヒナギクにどこか悪めいた笑みを送る。

「まあ、あの男への礼はあんたたちの関係がどうなるかで十分だと思うけど」
「どういうこと?」

 意味がわからずハヤテとヒナギクは互いに見合いながら首を傾げる。

「目の前で堂々と告白したなんて聞けば、どんな感想を抱くかしら」

 言われて、戦いの最中ハヤテへの想いを明かしたことを思い出したヒナギク。彼女の顔は茹で上がったかのように紅潮してしまう。ハヤテも動揺に照れ、正面から相手を見れなくなった二人は互いに顔を背けてしまう。

「あんたたちがどんな関係になるか、私も楽しみだわ。それじゃあ」

 そう言って、花南は帰っていった。

 ハヤテとヒナギクの間には気まずい空気が漂っている。そのため、二人は話しにくく、互
いに顔色を窺うといった様子であった。

「あ、あの」

 そんな雰囲気の中、ヒナギクが意を決して口を開いた。

「あの告白は本気だから。それと、答えは急がなくていいよ」

 ヒナギクの声はどこか細く、しかしはっきりとしていた。

「私はただ、ハヤテ君が好きって気持ちを伝えたかった、それだけだから。でもできるな
ら、なるべく早く答えを聞かせてね」

 そんな彼女にハヤテは、ただ相槌を打つことしかできなかった。

「じゃあ、また明日学校でね」

 そして、そそくさと帰ろうとするヒナギク。だがそこで、美希が好奇な目でビデオカメラ
を回していることに気がついた。

「・・・・何をしているの?」

 ドスを含ませて尋ねてみると、美希はあっけらかんとして答えた。

「いや、普段お堅い生徒会長が恋に揺れているところを撮らないなんて、動画研究部の名が
廃るだろう?」

 先程の戦闘における美希の告白から、これも彼女なりの愛情表現なのであり、また自分に
元気を出してもらおうとしているのだろう。

 わかっている。わかってはいるが、度が過ぎているようにしか思えない。

「没収よこんなもの!」

 ヒナギクは美希が持っているカメラをひったくった。

「あ、返せヒナ!」
「うるさい!もう帰るわよ!」

 ヒナギクは怒った足取りで去っていく。美希もそれに続いていく。

 残ったのはハヤテと歩だけとなった。

「・・・・僕たちも行きましょうか」
「そうだね。はっ、もうこんな時間!マスター怒っていないかな?」

 二人はアルバイト先の喫茶店どんぐりまで走っていった。どんぐりに着いた時はバイトの時間からかなり遅れていたが、客が来ていないことも合ってかマスターはそれほど怒っていなかった。

「ねえハヤテ君、ヒナさんへの返事どうするか迷っている?」

 仕事中、歩はハヤテに問い掛けた。

「ええ・・・・」

 ハヤテはヒナギクのことを思い返し、再び照れ出し困惑しているような表情になる。

「ハヤテ君、これだけは言っておくよ」

 歩が重々しい口調で語りかけるので、ハヤテはおとなしく聞こうとする。

「ヒナさんは、ハヤテ君のことが好きになってからずっとハヤテ君を思っていたの。ハヤテ君がヒナさんに嫌われていると思い込んでいるのを知ったときはすごくショックだったし、他にも自分の想いをうまく伝えられなかった時も、ハヤテ君が他に好きな人がいるって聞いたときは特に落ち込んでいたんだよ」

 ヒナギクが恋に悩んでいた時に力になっていた歩は、ヒナギクを案じている表情で語っていく。

「だから、ハヤテ君がどんな答えを出すにしても、真剣に返事して。ふざけてたりしたら、ヒナさんの友達として許さないから」

 鋭い視線でハヤテを圧した後、付け加えて言った。

「もちろん、私もハヤテ君のこと諦めていないから」

 歩の話を聞き終えた後、ハヤテは自分の心の中で自問していた。

 ヒナギクは自分のことが好きだった。でも、自分はどうなのだろうか。

 やんちゃだから放っておけなかった。喜ばせたいと思っている。でも、それは何故なんだ?

 それがわからずハヤテは戸惑う。別に雛菊が自分のことを好きだというのに困っているわけではない。むしろ嬉しく、周囲の人々に自分を好きな人がいるのだと伝えたいほどだ。

 ヒナギクのことを思うと胸が熱くなる。それがどういった感情によるものなのかわからないだけだ。

「僕は・・・・」

 ハヤテの胸の中は、モヤモヤとしていた。



 その夜。

 ヒナギクは自室にいた。部屋の照明はついておらず、窓から差し込む薄明かりだけが部屋
を照らしていた。

 そんな中で、ヒナギクは一人物思いにふけっていた。窓に浮かぶ夜空を、椅子に座りなが
ら眺めている。

 頭に思い浮かぶのは、昼間の戦闘。

 ハヤテヘの思いを打ち明けた時、自分が何か生まれ変わった気がした。まるで自分の心が
裸になった気分であった。

 いや、実際に生まれ変わったのだろう。

 あの時、自分は何もかも取り払った。恥もプライドも、全て。

 それまで自分を飾っていたもの、支えにしていたものがなくなり、生の言葉によるハヤテヘの思い。

 それを口にしたということは、もう彼女には何もなかった。生徒会長の誇りを自ら取り払
ったのだ。今の彼女は生徒会長という役職についているだけで、ただの女子高生だ。人より
優秀なだけで、それさえ自分では価値のあるものとは思っていない。

 本当に自分には何一つなくなった。

 否。

 自分には勇気がある。何がなくてもそれだけは確かだ。

 そしてそれが、ハヤテヘの思いをはじめ、自分を奮い立たせるのだ。

「今の私にはハヤテ君に対してどう接していけばいいかわからないけど・・・・」

 奇しくも、相手と同じ気持ちを口にするヒナギクだが、彼とは対照的に表情は清々しい。

「勇気だけは、確かにあるわ」

 とりあえず、明日会ったらまずは挨拶しよう。今までのように、元気よくしよう。ハヤテ
君はそう簡単に結論出せないし、昨日の今日だから戸惑うだろうな。

 そう思うと、ヒナギクは明日が待ち遠しかった。

 そしてふと思う。ハヤテを思うことに苦しみがあったはずなのに、今は明るい気分となっ
ている。

「苦しいこともあるけど、うれしいこともある、か」

 自分があの戦闘で言ったにもかかわらず、そのとおりだと実感している。

 嬉しさと同時に、苦しみもある。それが恋なのだとヒナギクは理解するのであった。




 精霊界のどこかの国。

 そしてどこかにある城。この城内に、ある青年がいた。地球のものとは思えない獣数匹と、なにやら会話をしている。

「アスコット」

 そんな彼に、一人の男が話し掛けてきた。

「王子。どうしたの?」

 アスコットという名を聞き振り返ると、王子と呼ばれた人物は軽く挨拶した。

 王子とはいえ、青年は畏まらず何の気兼ねもなく応じている。それは王子の人柄によるも
ので、それだけで王子がどれだけ親しみがあることがわかる。

 だが、決して無能ではない。

 王子は若干眉間を寄せて、青年に尋ねた。

「おまえが峡谷で助けたという男は、まだ目覚めないのか?」

 その問いは、青年の気がかりでもあった。

「うん・・・・まだずっと寝てるよ」

 昨日も、青年は様子を見に行った。その時もまだ、変化はなかった。

「そうか。まあ酷い怪我だったから、一日や二日で起きろというのも無理な話だな」

 青年が救助者を城に連れてきたのはほんの二日前。全身重傷の男を、この城の者たちは何
とか手を尽くし、辛うじて死ぬことは免れたのだ。

「けど、こうして眠り続けているとかえって不安だよ。もう二度と目を開けないようで」
「それはないだろ。オートザムの指揮官だって、回復傾向に向かっているんだ」

 この城で療養している他国の司令官の顔を思い浮かべて、王子は青年の暗い考えを撤廃する。

「あの男の身体も結構丈夫みたいだからな。それに、このセフィーロは信じる心が力になるんだ。だから信じよう」
「そうだね。けど何者なんだろう?名前とかも今のところまったくわからないど・・・・」

 その二人の話題になっている男。

 今は城のとある部屋で眠っている。

 憎しみに燃え、弟たちと戦い、そして敗れた男。

 生死不明と思われ、まだ目を空ける気配もない男は、雷凰のような闘志を潜め、今はゆっくりと眠っているのだった。